JP5986853B2 - スルホキシド基含有パラジウム担持シリカの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、選択的還元反応に適したパラジウム触媒の製造方法に関する。
高選択的で且つ副生成物を生成せずにクリーンにアルケンを合成する方法として、アルキンの水素化反応が知られている。アルケンやアルキンのような不飽和結合を持つ化合物は、白金族元素(ニッケル、パラジウム、白金)などの金属触媒により、水素雰囲気下で容易に還元され、不飽和結合に水素原子が付加する。しかし、アルキンから生成したアルケンは容易にアルカンまで還元されてしまう。そのため、アルキンから高収率、高選択的にアルケンを得ることは従来難しいとされてきた。
現在では、アルキンの水素化反応でアルケンを選択的に得る方法として、Lindlar試薬が一般的に用いられている。この試薬を用いる方法によれば、アルキンの水素化反応において、アルキン消失後のアルケンの逐次水素化反応を抑制し、アルケンを高選択的に得る事ができる。しかしながら、該Lindlar試薬は、有毒な鉛を使用し、キノリンを通常基質と等量若しくはそれ以上必要とし、更に、末端アルキン、即ち一置換アルキンからアルケンへの部分水素化反応ができない等の問題を有していた。
このような状況から、Lindlar試薬の欠点を補った方法が種々報告されている。例えば、パラジウム(Pd)をポリエチレンイミンに担持させたPd−PEI触媒を用いてアルキンの部分水素化反応を行う方法が報告されている(非特許文献1,2)。該方法によれば、末端、内部アルキン以外に分子内に硫黄原子や窒素原子を含む化合物であっても高収率でアルケンを取得することができる。
また、Pdナノ粒子のコロイド溶液を均一系触媒として用いてアルキンの部分水素化反応を行う方法が報告されている(非特許文献3)。該方法によれば種々のZ−アルケンが91.5〜99.7%という高収率で得ることができる。
更に、ピリジン構造を核とした分子鎖構造を持つポリアミノアミドデンドロンにPdナノ粒子を担持させた触媒を用いてアルキンの部分水素化反応を行う方法が報告されている(非特許文献4)。該方法によれば、96〜97%の収率でアルケンが得られている。
H. Sajiki, S. Mori, T. Ohkubo, T. Ikawa, A. Kume, T. Maegawa, Y. Monguchi, Chem. Eur. J. 2008, 14, 5109. S. Mori, T. Ohkubo, T. Ikawa, A. Kume, T. Maegawa, Y. Monguchi, H. Sajiki, J. Mol. Cat. A: Chem. 2009, 307, 77. J. Hori, K. Murata, T. Sugai, H. Shinohara, R. Noyori, N. Arai, N. Kurono, T. Ohkuma, Adv. Syn. Catal. 2009, 351, 3143. T.Mizugaki, M. Murata, S. Fukubayashi, T. Mitsudome, K. Jitsukawa, K. Kaneda, Chem. Commun. 2008, 241.
上記の如き方法によれば、Lindlar試薬の欠点を補い、有毒な鉛を使用せずに高選択に基質の部分水素化反応を行うことができる。しかし、これらの方法においては、最適時間を経過するとアルケン等の部分水素化された化合物が更に水素化(還元)されてしまう問題や、被毒化剤を要するため、その除去に手間を要する等の問題を有していた。特に被毒化剤として用いられるジメチルスルホキシドは、皮膚吸収性を有するため取り扱いに注意する必要があり、また、保存状態や反応によっては臭気を発するため、除去の手間以外に操作者への負担の問題もあった。
本発明者らは、Lindlar試薬の欠点を補った従来の方法と同等又はそれ以上の収率で部分水素化された基質を取得でき、且つジメチルスルホキシド等の被毒化剤を用いる必要のない部分水素化反応用の触媒について鋭意研究してきた。その過程で、スルホキシド基を含有するシリカにパラジウム金属を担持させ、得られた触媒を用いてアルキン誘導体の還元を試みたところ、該方法では、アルカン誘導体まで還元されてしまい、目的のアルケン誘導体を高収率に得ることはできなかった。しかし、パラジウム金属を担持したシリカに、スルホキシド基を導入し、得られた触媒をアルキン誘導体の還元に用いたところ、被毒化剤を用いることなく、アルキン誘導体からアルケン誘導体への水素化を高効率に進められることを見出し、本発明を完成するに至った。即ち、パラジウム金属を担持したシリカに、スルホキシド基を有する化合物を反応させると、スルホキシド基がパラジウム金属を覆う状態となって被毒化作用を発揮することを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明は、「パラジウム担持シリカと下記一般式[1]で示される化合物
Figure 0005986853
(式中、Rは炭素数1〜6のアルキレン基を表し、R1〜R3は、それぞれ独立して、水素原子又は炭素数1〜3のアルキル基を表し、R4は炭素数1〜3のアルキル基を表す。)
とを、水の存在下疎水性溶媒中で接触させることを特徴とする、スルホキシド基含有パラジウム担持シリカの製造方法」、「パラジウム担持シリカと下記一般式[1]で示される化合物
Figure 0005986853
(式中、Rは炭素数1〜6のアルキレン基を表し、R1〜R3は、それぞれ独立して、水素原子又は炭素数1〜3のアルキル基を表し、R4は炭素数1〜3のアルキル基を表す。)
とを、水の存在下疎水性溶媒中で接触させることにより得られる、スルホキシド基含有パラジウム担持シリカ」及び「シリカ、パラジウム、及び下記一般式[1]で示される化合物
Figure 0005986853
(式中、Rは炭素数1〜6のアルキレン基を表し、R1〜R3は、それぞれ独立して、水素原子又は炭素数1〜3のアルキル基を表し、R4は炭素数1〜3のアルキル基を表す。)
から得られるものであって、パラジウムの周りを一般式[1]で示される化合物中のスルホキシド基が覆い、一般式[1]で示される化合物中の−Si(OR1)(OR2)(OR3)基がシリカと結合していることを特徴とする、スルホキシド基含有パラジウム担持シリカ」に関する。
本発明の製造方法により得られるスルホキシド基含有パラジウム担持シリカを還元触媒として用いれば、従来の方法と同等又はそれ以上の高い収率でアルキン誘導体からアルケン誘導体を製造することができ、また、最高収率でアルケン誘導体が得られる時間(最適反応時間)を経過した後であってもその収率がほとんど低下することがないため、最適反応時間でアルケン誘導体を取り出す必要がなく、より簡便に高い収率でアルケン誘導体を得ることができる。
更に、本発明の製造方法により得られるスルホキシド基含有パラジウム担持シリカを還元触媒として用いた場合、従来法のように、ジメチルスルホキシド等の被毒化剤を除去する手間を必要とせず、より簡便な方法を可能とする。被毒化剤を用いる必要がないため、操作者が被毒化剤の取り扱いに注意をする必要がなく、臭気等の不快感もなく操作を行うことを可能とする、
更にまた、本発明の製造方法により得られるスルホキシド基含有パラジウム担持シリカは、固体触媒であるため不均一系触媒として使用することができ、回収、再利用等の点でも優れた触媒である。
実施例1で得られた、スルホキシド基含有Pd担持シリカ触媒を透過型電子顕微鏡でその構造を確認した結果を表す。 実施例2で得られた、スルホキシド基含有Pd担持シリカ触媒により部分水素化反応を行った時のアルケン量とアルカン量を表す。
[パラジウム担持シリカ]
本発明に係るパラジウム担持シリカは、パラジウムを担持しているシリカである。その担持方法は、吸着等による物理的担持であっても、イオン結合等による化学的担持であってもよいが、物理的担持が好ましい。
上記シリカとしては、担体として用いることが可能な多孔性のシリカをいい、例えばシリカゲル、具体的には、例えばMCM−41(例えばC. T. Kresge, et. al., Nature 359, (1992), p.710等に記載の方法により合成可能)、SBA−15(例えばD.Zhao, et. al., Science 279, (1998), p.548等に記載の方法により合成可能)、SBA−16(例えばD. Zhao, et. al., J. Am. Chem. Soc., 120, (1998), p.6024−6046等に記載の方法により合成可能)、FSM−16(例えばS. Inagaki et. al., J. Chem. Soc. Chem. Commun., (1993), p.680等に記載の方法により合成可能)等のメソポーラスシリカ、ヒュームドシリカ、多孔質ガラス等のアモルファス(非晶質)シリカ、例えばシリカライト等の結晶性シリカ等が挙げられ、中でもアモルファスシリカが好ましい。尚、これらのシリカは、市販のものを用いてもよいし、適宜合成したものを用いてもよい。
市販されているアモルファスシリカの代表例としては、例えばCARiACT−Q−3(商品名:平均細孔径3nm)、CARiACT−Q−6(商品名:平均細孔径6nm)、CARiACT−Q−10(商品名:平均細孔径10nm)、CARiACT−Q−15(商品名:平均細孔径15nm)、CARiACT−Q−30(商品名:平均細孔径30nm)等のCARiACTシリーズ(富士シリシア化学(株)製)、例えばアエロジル(商品名)、アエロジル200(商品名)、アエロジル300(商品名)、アエロジル380(商品名)、アエロジルA300(商品名)、アエロジルbs−50(商品名)、アエロジルE300(商品名)、アエロジルK7(商品名)、アエロジルM−300(商品名)等のアエロジルシリーズ(エボニックデグサ社製)、例えばワコーシルC−200(商品名)、ワコーシルC−300(商品名)等のワコーシルシリーズ(和光純薬工業(株)製)、例えばワコーゲルC−100(商品名)、ワコーゲルC−200(商品名)、ワコーゲルC−300(商品名)、ワコーゲルC−300HG(商品名)、ワコーゲルC−400HG(商品名)、ワコーゲルC−500HG(商品名)等のワコーゲルシリーズ(和光純薬工業(株)製)等が挙げられ、中でもCARiACT−Q−3(商品名:平均細孔径3nm)、CARiACT−Q−6(商品名:平均細孔径6nm)、CARiACT−Q−10(商品名:平均細孔径10nm)、CARiACT−Q−15(商品名:平均細孔径15nm)、CARiACT−Q−30(商品名:平均細孔径30nm)等のCARiACTシリーズ(富士シリシア化学(株)製)が好ましく、CARiACT−Q−30(商品名:平均細孔径30nm)が特に好ましい。
市販されているメソポーラスシリカの代表例としては、例えばSilica, mesostructured, MCM−41 type(商品名:平均細孔径2.3−2.7 nm)、Silica, mesostructured, HMS(商品名:平均細孔径3.9 nm)、Silica, mesostructured, MSU−H(商品名:平均細孔径7.1nm)等のAldrich社製、例えばTMPS−1.5(商品名:平均細孔径1.5nm)、TMPS−4(商品名:平均細孔径4nm)等のTMPSシリーズ(太陽化学(株)製)等が挙げられる。
上記パラジウム担持シリカ中のパラジウムは、パラジウムの粒径が0.3〜10nm、好ましくは1〜10nm、より好ましくは2〜8 nmであればよく、Pd(0)、Pd(I)、Pd(II)が挙げられるが、Pd(0)又はPd(II)が好ましく、Pd(0)がより好ましい。担持させるために用いられる本発明に係るパラジウムは、具体的には、例えば金属パラジウム、例えば酸化パラジウム、硫化パラジウム、塩化パラジウム、臭化パラジウム、ヨウ化パラジウム、水酸化パラジウム、硝酸パラジウム、硫酸パラジウム、シアン化パラジウム、酢酸パラジウム等のパラジウム化合物、例えばビス(アセチルアセトナト)パラジウム、ジアンミンジクロロパラジウム、ジアンミンジニトロパラジウム、テトラアンミンパラジウム塩化物、テトラアンミンパラジウム臭化物、テトラアンミン硝酸パラジウム、テトラクロロパラジウム酸、テトラクロロパラジウム酸アンモニウム、テトラクロロパラジウム酸ナトリウム、テトラクロロパラジウム酸カリウム、テトラクロロパラジウム酸リチウム、ヘキサクロロパラジウム酸、ヘキサクロロパラジウム酸アンモニウム、ヘキサクロロパラジウム酸ナトリウム、ヘキサクロロパラジウム酸カリウム、テトラシアノパラジウム酸カリウム、テトラチオシアナトパラジウム酸カリウム、テトラキストリフェニルホスフィンパラジウム、テトラブロモパラジウム酸ナトリウム、テトラブロモパラジウム酸カリウム、ヘキサブロモパラジウム酸ナトリウム、ヘキサブロモパラジウム酸カリウム、ビス(アセトニトリル)ジクロロパラジウム等のパラジウム錯体が挙げられ、パラジウム錯体が好ましく、中でも、テトラアンミンパラジウム塩化物、テトラアンミン硝酸パラジウム、テトラクロロパラジウム酸ナトリウムが好ましい。
本発明に係るパラジウム担持シリカ中のパラジウム量は、通常0.1〜50重量%、好ましくは0.1〜10重量%、より好ましくは0.1〜5重量%、更に好ましくは0.5〜5重量%である。尚、上記パラジウム量は、誘導結合プラズマ−発光分光法(ICP−AES法)等の方法等により測定されればよい。
本発明に係るパラジウム担持シリカの製造方法としては、例えば適当な溶媒に上記本発明に係るパラジウムを溶解又は懸濁させ、該溶液に上記シリカを混合して、通常1〜30時間、好ましくは1〜20時間、10〜40℃、好ましくは20〜30℃でパラジウムを含浸させ、次いで、当該シリカを乾燥させ、その後担持されたパラジウムをアルコール、ホウ素化合物又は水素化アルミニウムリチウム、水素等で還元することによりパラジウム担持シリカが得られる。なお、パラジウム化合物をイオン結合によりシリカに担持させる場合には、溶媒のpHを8〜12、好ましくは9〜10に調整する以外は、上記と同様に反応させればよい。
本発明に係るパラジウム担持シリカの製造方法における、上記本発明に係るパラジウムは、1種類を単独で用いてもよいし、複数種を適宜組み合わせて用いてもよい。また、該パラジウムの量は、溶媒中の濃度が0.1〜10mM、好ましくは0.1〜1mMとなるように添加すればよい。溶媒中の濃度を上記濃度として上記シリカにパラジウムを担持させることにより、パラジウム粒子をナノ粒子として本発明に係る担体に担持させることができる。
パラジウム担持シリカの製造方法で用いられる溶媒としては、具体的には、例えば水、例えばメタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール等のアルコール系溶媒、アセトニトリル、アセトン等の水溶性有機溶媒等が挙げられ、これらの溶媒は、1種類のものを単独で用いてもよいし、複数種のものを適宜組み合わせて用いてもよい。パラジウム化合物をイオン結合により担持させる場合には、溶媒のpHを8〜12、好ましくは9〜10に調整する必要があるため、水又は水とアルコール系溶媒の組みあわせが好ましく、水が特に好ましい。尚、これらの溶媒の使用量としては、例えばシリカ1gに対して、通常1〜1000mL、好ましくは1〜100 mLである。
パラジウム担持シリカの製造方法でパラジウムの還元のために用いられるアルコールとしては、例えばメタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール等のアルコールが挙げられ、中でもエタノールが好ましい。用いられるアルコールの量は、特に限定されないが、例えばシリカ1gに対して、通常1〜100mL、好ましくは1〜50 mLである。また、パラジウム担持シリカの製造方法でパラジウムの還元のために用いられるホウ素化合物としては、例えば水素化ホウ素ナトリウム、水素化ホウ素カリウム、シアノ水素化ホウ素ナトリウム、水素化トリエチルホウ素リチウム、水素化トリ(sec−ブチル)ホウ素リチウム、水素化トリ(sec−ブチル)ホウ素カリウム、水素化ホウ素リチウム等が挙げられ、中でも水素化ホウ素ナトリウム、水素化ホウ素カリウムが好ましく、水素化ホウ素カリウムがより好ましい。用いられるホウ素化合物又は水素化アルミニウムリチウムの量は、特に限定されないが、例えばパラジウム1mmolに対して、通常1〜50mmol、好ましくは1〜10mmolである。水素を用いる場合には、水素雰囲気下で還元することによりなされればよい。尚、上記アルコール、ホウ素化合物、水素化アルミニウムリチウム、水素等の還元剤は、パラジウム担持シリカ中のパラジウム量が0.1〜1重量%である場合には、上記アルコールを用いるのが好ましく、1重量%を超える場合には、ホウ素化合物、水素化アルミニウムリチウム又は水素を用いるのが好ましく、ホウ素化合物を用いるのがより好ましい。また、還元の際には、70〜90℃、好ましくは80〜90℃に加温し、1〜4時間、好ましくは1〜3時間撹拌することによりなされるのが好ましい。また、アルゴン等の不活性雰囲気下で還元されることが好ましい。
パラジウム担持シリカの製造方法におけるシリカの乾燥方法は、特に限定はされないが、真空下で乾燥するのが好ましく、通常1〜10時間、好ましくは5〜10時間乾燥させる。
パラジウム担持シリカの製造方法は、具体的には例えば以下の如くなされる。即ち、例えばテトラアンミンパラジウム塩化物を水100mlに0.1〜1mMとなるように溶解し、シリカ1〜3gを添加する。その後、pHが9〜11となるようにアンモニア水を添加し、20〜40℃で10〜20時間撹拌下で反応させる。反応後、得られたパラジウム担持シリカをろ過し、洗浄後、10〜20℃で5〜10時間真空下で乾燥させる。その後得られたパラジウム担持シリカを1gに対して10〜30mLのエタノールを加え、アルゴン雰囲気下で80〜90℃で1〜3時間撹拌させる。得られた還元後のパラジウム担持シリカをエタノールで洗浄し、10〜20℃真空下で乾燥させることにより、パラジウム担持シリカを得ることができる。このようにして得られたパラジウム担持シリカは、担持されたパラジウムが0.5−10nmの粒子径を有するものであり、本発明のアルケン誘導体の製造方法に適したものである。
[一般式[1]で示される化合物]
一般式[1]におけるRは、炭素数1〜6のアルキレン基を表し、炭素数1〜4のアルキレン基が好ましく、炭素数1〜3のアルキレン基がより好ましく、直鎖状でも分枝状でもよいが、直鎖状が好ましい。具体的には、例えばメチレン基、エチレン基、n−プロピレン基、イソプロピレン基、n−ブチレン基、イソブチレン基、sec−ブチレン基、tert−ブチレン基、n−ペンチレン基、イソペンチレン基、sec−ペンチレン基、tert−ペンチレン基、ネオペンチレン基、2−メチルブチレン基、1,2−ジメチルプロピレン基、1−エチルプロピレン基、n−ヘキシレン基、イソヘキシレン基、sec−ヘキシレン基、tert−ヘキシレン基、ネオヘキシレン基、2−メチルペンチレン基、1,2−ジメチルブチレン基、2,3−ジメチルブチレン基、1−エチルブチレン基等が挙げられ、中でもメチレン基、エチレン基、n−プロピレン基、n−ブチレン基等が好ましく、n−プロピレン基がより好ましい。
一般式[1]におけるR1〜R4の炭素数1〜3のアルキル基は、直鎖状でも分枝状でもよく、具体的には、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基等が挙げられ、中でもメチル基、エチル基が好ましく、メチル基がより好ましい。
一般式[1]におけるR1〜R3は、上記具体例の中でも、水素原子又はメチル基が好ましく、メチル基がより好ましい。
一般式[1]におけるR4は、上記具体例の中でも、メチル基が好ましい。
一般式[1]で示される化合物としては、例えば、メチル−3−トリメトキシシリルプロピルスルホキシド、エチル−3−トリメトキシシリルプロピルスルホキシド、プロピル−3−トリメトキシシリルプロピルスルホキシド、メチル−3−モノメトキシジヒドロキシシリルプロピルスルホキシド、エチル−3−モノメトキシジヒドロキシシリルプロピルスルホキシド、プロピル−3−モノメトキシジヒドロキシシリルプロピルスルホキシド、メチルトリメトキシシリルメチルスルホキシド、メチル−2−トリメトキシシリルエチルスルホキシド、メチル−4−トリメトキシシリルブチルスルホキシド、メチル−5−トリメトキシシリルペンチルスルホキシド、メチル−6−トリメトキシシリルヘキシルスルホキシド、エチルトリメトキシシリルメチルスルホキシド、エチル−2−トリメトキシシリルエチルスルホキシド、エチル−4−トリメトキシシリルブチルスルホキシド、エチル−5−トリメトキシシリルペンチルスルホキシド、エチル−6−トリメトキシシリルヘキシルスルホキシド、プロピルトリメトキシシリルメチルスルホキシド、プロピル−2−トリメトキシシリルエチルスルホキシド、プロピル−4−トリメトキシシリルブチルスルホキシド、プロピル−5−トリメトキシシリルペンチルスルホキシド、プロピル−6−トリメトキシシリルヘキシルスルホキシド、メチルトリエトキシシリルメチルスルホキシド、メチル−2−トリエトキシシリルエチルスルホキシド、メチル−3−トリエトキシシリルプロピルスルホキシド、メチル−4−トリエトキシシリルブチルスルホキシド、メチル−5−トリエトキシシリルヘプチルスルホキシド、メチル−6−トリエトキシシリルヘキシルスルホキシド、メチルトリプロピルオキシシリルメチルスルホキシド、メチル−2−トリプロピルオキシシリルエチルスルホキシド、メチル−3−トリプロピルオキシシリルプロピルスルホキシド、メチル−4−トリプロピルオキシシリルブチルスルホキシド、メチル−5−トリプロピルオキシシリルヘプチルスルホキシド、メチル−6−トリプロピルオキシシリルヘキシルスルホキシド等が挙げられ、中でも、メチルトリメトキシシリルメチルスルホキシド、メチル−2−トリメトキシシリルエチルスルホキシド、メチル−3−トリメトキシシリルプロピルスルホキシド、メチル−4−トリメトキシシリルブチルスルホキシド、メチル−5−トリメトキシシリルペンチルスルホキシド、メチル−6−トリメトキシシリルヘキシルスルホキシドが好ましく、メチル−3−トリメトキシシリルプロピルスルホキシドがより好ましい。
一般式[1]で示される化合物は、例えば以下の如く調製される。即ち、下記一般式[1’]で示される化合物と
Figure 0005986853
(式中、R及びR1〜R3は、上記と同じ。)
下記一般式[2]で示される化合物と
Figure 0005986853
(式中、R4は上記と同じ。Xは、ハロゲン原子を表す。)
金属アルコキシドを反応させ、通常1〜10時間、0〜20℃で反応させ、得られた下記一般式[1’’]で示されるスルフィド化合物を酸化することにより得られる。
Figure 0005986853
(式中、R及びR1〜R4は、上記と同じ。)
一般式[1’]で示される化合物は、具体的には、メルカプトメチルトリメトキシシラン、2−メルカプトエチルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、4−メルカプトブチルトリメトキシシラン、5−メルカプトペンチルトリメトキシシラン、6−メルカプトヘキシルトリメトキシシラン、メルカプトメチルモノメトキシジヒドロキシシラン、メルカプトエチルモノメトキシジヒドロキシシラン、3−メルカプトプロピルモノメトキシジヒドロキシシラン、4−メルカプトブチルモノメトキシジヒドロキシシラン、5−メルカプトペンチルモノメトキシジヒドロキシシラン、6−メルカプトヘキシルモノメトキシジヒドロキシシラン、メルカプトメチルトリエトキシシラン、2−メルカプトエチルトリエトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、4−メルカプトブチルトリエトキシシラン、5−メルカプトペンチルトリエトキシシラン、6−メルカプトヘキシルトリエトキシシラン、メルカプトメチルトリプロピルオキシシラン、2−メルカプトエチルトリプロピルオキシシラン、3−メルカプトプロピルトリプロピルオキシシラン等が挙げられ、中でも3−メルカプトプロピルトリメトキシシランが好ましい。尚、一般式[1’]で示される化合物は、自体公知の方法により合成しても、市販のものを用いてもよい。
金属アルコキシドとしては、例えばカリウムメトキシド、カリウムエトキシド、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、ナトリウムイソプロポキシドが挙げられ、中でもナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシドが好ましく、ナトリウムメトキシドがより好ましい。
金属アルコキシドの使用量は、通常、一般式[1’]で示される化合物1mmolに対して通常1〜10mmolである。
一般式[2]におけるXで示されるハロゲン原子としては、例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、中でもヨウ素が好ましい。
一般式[2]で示される化合物は、ヨウ化メチル、ヨウ化エチル、ヨードプロパン等が挙げられるが、中でもヨウ化メチルが好ましい。一般式[2]の使用量は、一般式[1’]で示される化合物1mmolに対して通常1〜10mmolである。
一般式[1’’]で示されるスルフィド化合物の具体例は、上記一般式[1]で示される化合物のスルホキシド基をスルフィド基に置換したもの全てが挙げられる。
一般式[1’’]で示されるスルフィド化合物の酸化方法としては、自体公知の方法に準じてスルフィドをスルホキシド基に酸化すればよく、例えば過ヨウ素酸ナトリウム等の酸化剤を用いて酸化すればよい。その使用量や反応時間、反応温度等も通常この分野で用いられる方法に準じて適宜設定すればよい。
[スルホキシド基含有パラジウム担持シリカ]
本発明のスルホキシド基含有パラジウム担持シリカは、上記シリカ、上記一般式[1]で示される化合物、及び上記パラジウムから得られるものであって、パラジウムの周りを一般式[1]で示される化合物中のスルホキシド基が覆い、一般式[1]で示される化合物中の−Si(OR1)(OR2)(OR3)基がシリカと結合している構造を有するものである。即ち、パラジウムを中心として、一般式[1]で示される化合物がスルホキシド基をパラジウム側にしてパラジウムの周りを覆い、更に一般式[1]で示される化合物の周りをシリカが覆う構造を有するもの、言い換えれば、パラジウム、一般式[1]で示される化合物、シリカの三層構造を有するものである。尚、本発明のスルホキシド基含有パラジウム担持シリカ中のスルホキシド基は、パラジウムと配位結合している。
[スルホキシド基含有パラジウム担持シリカの製造方法]
本発明のスルホキシド基含有パラジウム担持シリカの製造方法としては、上記本発明に係るパラジウム担持シリカと、上記一般式[1]で示される化合物とを、水の存在下疎水性溶媒中で、要すれば撹拌しながら接触させることによりなされる。
より具体的には、例えば適当な疎水性溶媒中に、本発明に係るパラジウム担持シリカと一般式[1]で示される化合物(スルホキシド基を有するシランカップリング剤)と水を添加混合し、通常1〜20時間、好ましくは5〜15時間、通常50〜100℃、好ましくは60〜90℃で、要すれば撹拌しながら反応させることにより得られる。
一般式[1]で示される化合物の使用量は、本発明に係るパラジウム担持シリカ1mmolに対して通常10〜100mmol、好ましくは10〜50mmolである。
上記反応の際に用いられる疎水性溶媒としては、例えばペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン、オクタン、イソオクタン、ノナン、デカン等の脂肪族炭化水素系溶媒、ジエチルエーテル、ベンゼン、トルエン、キシレン等が挙げられるが、ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン、オクタン、イソオクタン、ノナン、デカン等の脂肪族炭化水素系溶媒が好ましく、中でもヘプタンがより好ましい。これらの溶媒は、1種単独で用いても、複数種を適宜組み合わせて用いてもよい。上記溶媒の使用量は、パラジウムを担持した、シリカ1gに対して、通常1〜1000mL、好ましくは1〜100mLである。
上記反応の際に用いられる水の使用量は、本発明に係るパラジウム担持シリカ中のパラジウム1mmolに対して通常10〜1000mmol、好ましくは50〜100mmolである。
本発明のスルホキシド基含有パラジウム担持シリカの製造方法は、具体的には例えば以下の如くなされる。
即ち、パラジウムを担持したシリカ1g(パラジウム量として約0.05mmol)をn−ヘプタン10〜50mL中に懸濁した後、水1〜10mmol、及び、一般式[1]で示される化合物0.5〜5mmolを添加混合し、通常10〜20時間、50〜100℃で撹拌しながら反応させることにより得られる。反応後、必要に応じて沈殿物をろ過し、アセトン等で洗浄してもよい。
[スルホキシド基含有パラジウム担持シリカを用いた還元方法]
本発明の製造方法により得られたスルホキシド基含有パラジウム担持シリカを用いた基質の還元方法は、被毒化剤を用いないこと以外は、自体公知の還元方法と同様に行えばよい。即ち、上記スルホキシド基パラジウム担持シリカの存在下で、基質を水素源と反応させて還元することによりなされる。
上記基質は特に限定はされないが、アルキン誘導体が好ましい。即ち、本発明に係るスルホキシド基含有パラジウム担持シリカを触媒としてアルキン誘導体の還元反応を行うと、アルカン誘導体への還元がほとんどなく、部分水素化されたアルケン誘導体を選択的に得ることができる。
上記アルキン誘導体としては、例えば下記一般式[3]
Figure 0005986853
(式中、R11は、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、アミノ基及びニトロ基から選ばれる基を置換として有するアリール基、置換基を有さないアリール基、或いはアルキル基を表し、R12は、水素原子、アルキル基、ヒドロキシアルキル基、アルコキシカルボニル基を表す)で示される化合物が挙げられる。
一般式[3]におけるR11で示されるアリール基の置換基であるアルキル基としては、通常炭素数1〜6、好ましくは炭素数1〜3であり、直鎖状、分枝状及び環状のうちのいずれのアルキル基でもよく、具体的には、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、シクロブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、sec−ペンチル基、tert−ペンチル基、ネオペンチル基、2−メチルブチル基、1,2−ジメチルプロピル基、1−エチルプロピル基、シクロペンチル基、n−ヘキシル基、イソヘキシル基、sec−ヘキシル基、tert−ヘキシル基、ネオヘキシル基、2−メチルペンチル基、1,2−ジメチルブチル基、2,3−ジメチルブチル基、1−エチルブチル基、シクロヘキシル基等が挙げられ、中でもメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基等が好ましく、メチル基が特に好ましい。
一般式[3]におけるR11で示されるアリール基の置換基であるアルコキシ基としては、アルコキシ基としては、直鎖状でも分枝状或いは環状でもよく、通常炭素数1〜6、好ましくは炭素数1〜3のものが挙げられ、具体的には、例えばメトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、n−ペンチルオキシ基、イソペンチルオキシ基、sec−ペンチルオキシ基、tert−ペンチルオキシ基、ネオペンチルオキシ基、n−ヘキシルオキシ基、イソヘキシルオキシ基、sec−ヘキシルオキシ基、tert−ヘキシルオキシ基、ネオヘキシルオキシ基、シクロプロポキシ基、シクロブトキシ基、シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基等が挙げられる。
一般式[3]におけるR11で示されるアリール基の置換基であるハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、中でも臭素原子が好ましい。
一般式[3]におけるR11で示される、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、アミノ基及びニトロ基から選ばれる基を置換基として有するアリール基及び置換基を有さないアリール基におけるアリール基としては、例えばフェニル基、ナフチル基等が挙げられ、中でもフェニル基が好ましい。
一般式[3]におけるR11で示される、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、アミノ基及びニトロ基から選ばれる基を置換として有するアリール基の具体例としては、例えば、メチルフェニル基、エチルフェニル基、プロピルフェニル基、ブチルフェニル基、ペンチルフェニル基、ヘキシルフェニル基、メトキシフェニル基、エトキシフェニル基、プロポキシフェニル基、ブトキシフェニル基、ペンチルオキシフェニル基、ヘキシルオキシフェニル基、クロロフェニル基、フルオロフェニル基、ヨードフェニル基、ブロモフェニル基、アミノフェニル基、ニトロフェニル基、メチルナフチル基、エチルナフチル基、プロピルナフチル基、ブチルナフチル基、ペンチルナフチル基、ヘキシルナフチル基、メトキシナフチル基、エトキシナフチル基、プロポキシナフチル基、ブトキシナフチル基、ペンチルオキシナフチル基、ヘキシルオキシナフチル基、クロロナフチル基、フルオロナフチル基、ヨードナフチル基、ブロモナフチル基、アミノナフチル基、ニトロナフチル基等が挙げられる。
一般式[3]におけるR11で示されるアルキル基としては、通常炭素数1〜10、好ましくは炭素数1〜6、より好ましくは1〜3であり、直鎖状、分枝状及び環状のうちのいずれのアルキル基でもよく、具体的には、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、シクロブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、sec−ペンチル基、tert−ペンチル基、ネオペンチル基、2−メチルブチル基、1,2−ジメチルプロピル基、1−エチルプロピル基、シクロペンチル基、n−ヘキシル基、イソヘキシル基、sec−ヘキシル基、tert−ヘキシル基、ネオヘキシル基、2−メチルペンチル基、1,2−ジメチルブチル基、2,3−ジメチルブチル基、1−エチルブチル基、シクロヘキシル基、n−ヘプチル基、イソヘプチル基、sec−ヘプチル基、tert−ヘプチル基、ネオヘプチル基、シクロヘプチル基、n−オクチル基、イソオクチル基、sec−オクチル基、tert−オクチル基、ネオオクチル基、2−エチルヘキシル基、シクロオクチル基、n−ノニル基、イソノニル基、sec−ノニル基、tert−ノニル基、ネオノニル基、シクロノニル基、n−デシル基、イソデシル基、sec−デシル基、tert−デシル基、ネオデシル基、シクロデシル基等が挙げられる。
一般式[3]におけるR12で示されるアルキル基としては、上記R11で示されるアルキル基と同じものが挙げられる。
一般式[3]におけるR12で示されるヒドロキシアルキル基としては、通常炭素数1〜6、より好ましくは1〜3であり、直鎖状、環状のいずれでもよく、例えばヒドロキシメチル基、1−ヒドロキシエチル基、2−ヒドロキシエチル基、1−ヒドロキシ−n−プロピル基、2−ヒドロキシ−n−プロピル基、3−ヒドロキシ−n−プロピル基、1−ヒドロキシイソプロピル基、2−ヒドロキシイソプロピル基、1−ヒドロキシ−n−ブチル基、2−ヒドロキシ−n−ブチル基、3−ヒドロキシ−n−ブチル基、4−ヒドロキシ−n−ブチル基、1−ヒドロキシイソブチル基、2−ヒドロキシイソブチル基、3−ヒドロキシイソブチル基、1−ヒドロキシ−sec−ブチル基、2−ヒドロキシ−sec−ブチル基、3−ヒドロキシ−sec−ブチル基、4−ヒドロキシ−sec−ブチル基、1−ヒドロキシ−tert−ブチル基、1−ヒドロキシシクロブチル基、2−ヒドロキシシクロブチル基、3−ヒドロキシシクロブチル基、5−ヒドロキシ−n−ペンチル基、6−ヒドロキシ−n−ヘキシル基等が挙げられる。
一般式[3]におけるR12で示されるアルコキシカルボニル基としては、通常炭素数2〜7、より好ましくは2〜4であり、直鎖状、分枝状、環状のいずれでもよく、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、n−プロポキシカルボニル基、イソプロポキシカルボニル基、n−ブトキシカルボニル基、イソブトキシカルボニル基、sec−ブトキシカルボニル基、tert−ブトキシカルボニル基、n−ペンチルオキシカルボニル基、イソペンチルオキシカルボニル基、sec−ペンチルオキシカルボニル基、tert−ペンチルオキシカルボニル基、ネオペンチルオキシカルボニル基、n−ヘキシルオキシカルボニル基、イソヘキシルオキシカルボニル基、sec−ヘキシルオキシカルボニル基、tert−ヘキシルオキシカルボニル基、ネオヘキシルオキシカルボニル基、シクロプロポキシカルボニル基、シクロブトキシカルボニル基、シクロペンチルオキシカルボニル基、シクロヘキシルオキシカルボニル基等が挙げられる。
一般式[3]で示されるアルキン誘導体の具体例としては、例えば、プロピン、1−ブチン、2−ブチン、1−ペンチン、2−ペンチン、1−ヘキシン、2−ヘキシン、3−ヘキシン、1−ヘプチン、2−ヘプチン、3−ヘプチン、1−オクチン、2−オクチン、3−オクチン、4−オクチン、1−ノニン、2−ノニン、3−ノニン、4−ノニン、1−デシン、2−デシン、3−デシン、4−デシン、5−デシン等の直鎖状アルキン化合物;1−フェニルエチン、1−フェニル−1−プロピン、1−フェニル−2−プロピン、1−フェニル−1−ブチン、1−フェニル−2−ブチン、1−フェニル−3−ブチン、1−フェニル−1−ペンチン、1−フェニル−2−ペンチン、1−フェニル−3−ペンチン、1−フェニル−4−ペンチン、1−フェニル−1−ヘキシン、1−フェニル−2−ヘキシン、1−フェニル−3−ヘキシン、1−フェニル−4−ヘキシン、1−フェニル−5−ヘキシン、1−フェニル−1−ヘプチン、1−フェニル−2−ヘプチン、1−フェニル−3−ヘプチン、1−フェニル−4−ヘプチン、1−フェニル−5−ヘプチン、1−フェニル−6−ヘプチン、1−フェニル−1−オクチン、1−フェニル−2−オクチン、1−フェニル−3−オクチン、1−フェニル−4−オクチン、1−フェニル−5−オクチン、1−フェニル−6−オクチン、1−フェニル−7−オクチン等のフェニルアルキン化合物;1−フェニル−1−プロピン酸メチル、1−フェニル−1−プロピン酸エチル、1−フェニル−1−プロピン酸プロピル、1−フェニル−1−ブチン酸メチル、1−フェニル−1−ペンチン酸メチル、1−フェニル−1−ヘキシン酸メチル、1−フェニル−1−ヘプチン酸メチル、1−フェニル−1−オクチン酸メチル、1−フェニル−1−ブチン酸エチル、1−フェニル−1−ペンチン酸エチル、1−フェニル−1−ヘキシン酸エチル、1−フェニル−1−ヘプチン酸エチル、1−フェニル−1−オクチン酸エチル等のフェニルアルキン酸エステル;エチノール、プロピノール、2−プロピノール、1−ブチノール、2−ブチノール、3−ブチノール、1−ペンチノール、2−ペンチノール、3−ペンチノール、4−ペンチノール、1−ヘキシノール、2−ヘキシノール、3−ヘキシノール、4−ヘキシノール、5−ヘキシノール、1−ヘプチノール、2−ヘプチノール、3−ヘプチノール、4−ヘプチノール、5−ヘプチノール、6−ヘプチノール、1−オクチノール、2−オクチノール、3−オクチノール、4−オクチノール、5−オクチノール、6−オクチノール、7−オクチノール、1−ノニノール、2−ノニノール、3−ノニノール、4−ノニノール、5−ノニノール、6−ノニノール、7−ノニノール、8−ノニノール、1−デシノール、2−デシノール、3−デシノール、4−デシノール、5−デシノール、6−デシノール、7−デシノール、8−デシノール、9−デシノール等のアルキンアルコール;メチルフェニルエチン、エチルフェニルエチン、プロピルフェニルエチン、ブチルフェニルエチン、ペンチルフェニルエチン、ヘキシルフェニルエチン、メトキシフェニルエチン、エトキシフェニルエチン、プロポキシフェニルエチン、ブトキシフェニルエチン、ペンチルオキシフェニルエチン、ヘキシルオキシフェニルエチン、アミノフェニルエチン、1−アミノフェニル−1−プロピン、1−アミノフェニル−2−プロピン、1−アミノフェニル−1−ブチン、1−アミノフェニル−2−ブチン、ブロモフェニルエチン、1−ブロモフェニル−1−プロピン、1−ブロモフェニル−2−プロピン、1−ブロモフェニル−1−ブチン、1−ブロモフェニル−2−ブチン、クロロフェニルエチン、クロロフェニルエチン、1−クロロフェニル−1−プロピン、1−クロロフェニル−2−プロピン、1−クロロフェニル−1−ブチン、1−クロロフェニル−2−ブチン、フルオロフェニルエチン、フルオロフェニルエチン、1−フルオロフェニル−1−プロピン、1−フルオロフェニル−2−プロピン、1−フルオロフェニル−1−ブチン、1−フルオロフェニル−2−ブチン、ヨードフェニルエチン、ヨードフェニルエチン、1−ヨードフェニル−1−プロピン、1−ヨードフェニル−2−プロピン、1−ヨードフェニル−1−ブチン、1−ヨードフェニル−2−ブチン、ニトロフェニルエチン、1−ニトロフェニル−1−プロピン、1−ニトロフェニル−2−プロピン、1−ニトロフェニル−1−ブチン、1−ニトロフェニル−2−ブチン等の置換基を有するフェニルアルキン化合物;1−シクロヘキセニルエチン、1−シクロヘキセニル−1−プロピン、1−シクロヘキセニル−2−プロピン、1−シクロヘキセニル−1−ブチン、1−シクロヘキセニル−2−ブチン等の環状アルケニルアルキン化合物等が挙げられる。
上記一般式[3]で示される化合物を基質として上記還元方法を行うと、下記一般式[4]で示されるアルケン誘導体を得ることができる
Figure 0005986853
(式中、R11及びR12は上記と同じ)。
上記還元方法におけるスルホキシド基含有パラジウム担持シリカの使用量は、パラジウムのmol量が、基質1molに対して、通常1×10−7〜1倍、好ましくは1×10−5〜0.1倍、より好ましくは1×10−4〜1×10−2倍となるような量であればよい。
上記還元方法における水素源としては、例えば水素ガス、例えばメチルヒドラジン、エチルヒドラジン等のヒドラジン類、例えばギ酸アンモニウム等が挙げられ、なかでも、水素ガスが好ましい。また、これら水素源の使用量としては特に限定されないが、例えば原料基質1molに対して、通常1〜100mol、好ましくは2〜50mol、より好ましくは2〜20molとなるような量に設定される。
上記還元方法は、通常20〜50℃、好ましくは20〜40℃で、1〜30時間、好ましくは5〜15時間なされる。
上記還元方法は、溶媒中で反応させてもよく、該溶媒は、通常この分野で用いられるものであれば特に限定はされず、その使用量も通常用いられる範囲で適宜設定されればよい。
上記還元方法は、具体的には例えば以下の如くなされる。即ち、反応容器中の空気を水素で置換した後、基質を含むn−ヘキサン等の溶媒1〜10mLを反応容器に加える。その後、該溶媒にパラジウムを1〜10μmol含む上記スルホキシド基含有パラジウム担持シリカ1〜100mg、0.1〜1mmolの基質を加え、20〜40℃で5〜15時間反応させる。反応後、ろ過により本発明に係る触媒を除去し、反応溶媒を蒸発させることにより反応生成物を得ることができる。
以下に、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
実施例1 スルホキシド基含有Pd担持シリカ触媒(Pd/SiO 2 −Sulfoxide)の製造方法
(1) メチル−トリメトキシシリルプロピルスルホキシド(MeSOPrTMS)の合成
Figure 0005986853

MPTMS(メルカプトプロピルトリメトキシシラン、東京化成工業(株)製) 19.6 g(100 mmol)とナトリウムメトキシドを28%含有するメタノール溶液 20g(NaOMeとして100mmol)の混合溶液を100 mL三つ口フラスコに加え、滴下ロートを装着し反応容器内をアルゴン置換した後、氷冷した。滴下ロートを用いてヨウ化メチル(和光純薬工業(株)製) 16.6 g(110 mmol)を滴下した。滴下終了後、室温で1時間撹拌した後、反応管内を真空引きし、メタノールを蒸発させた。生成物をヨウ化メチレン(CH2Cl2)で抽出してろ過によりナトリウムメトキシド(NaOMe)およびヨウ化ナトリウム(NaI)を分離し、液相をエバポレーターにより濃縮後、減圧蒸留し、メチルトリメトキシシリルプロピルスルフィド(MeSPrTMS、沸点:95℃, 4mmHg)を得た(収率:80%)。
次いで、100 mLナス型フラスコに、得られたMeSPrTMS2.26 g(10 mmol)、メタノール20 mL、2,6−ターシャルブチル−p−クレゾール(和光純薬工業(株)製) 0.01 gを加え、アルゴン置換した後、反応器を氷冷し、過ヨウ素酸ナトリウム(NaIO4、和光純薬工業(株)製)2.4 g(12 mmol)を加え、氷浴中で24時間撹拌した。得られた液体を濾過後、エバポレーターにより濃縮し、メチル−トリメトキシシリルプロピルスルホキシド(MeSOPrTMS)を得た(収率:62%)
(2)Pd担持シリカ(Pd/SiO2)の調製
濃アンモニア水(28 wt%) 5mLをフラスコに取り、塩化パラジウム(PdCl2)0.2 gを加え、100 oCで30分よく撹拌し、塩化パラジウムを溶解させた。得られた淡黄色透明溶液をろ過し、溶け残った塩化パラジウムを除去した。ろ液に50 mLのエタノールを注ぐと白色のPd(NH34Cl2・H2Oが析出するのでこれをろ過し、真空下1時間乾燥させ、Pd(NH34Cl2を得た。
100 mLナス型フラスコに、得られたPd(NH34Cl2・H2O0.0131 g(0.05 mmol)を加えて脱イオン蒸留水50 mLに溶解させ、SiO2[CARiACT Q−30(200−350 mesh), 富士シリシア化学(株)製]1.0 gを加えた後、溶液を撹拌しながら濃アンモニア水をピペットを用いて滴下し、pHを10に調整した。フラスコに栓をし、そのまま空気雰囲気下で30 oCにて12時間撹拌した。得られたスラリーをろ過し、ろ液が中性になるまで脱イオン蒸留水約1Lを用いて洗浄後、デシケーターにて30oC、6時間真空乾燥させることにより、白色粉末のPd担持シリカ (PdIISiO2, 0.95 g)を得た。
次いで、調製したPd担持シリカを100 mL枝付きナスフラスコに加え、還流管、ガスバック付き三方コックを装着し、30分間ポンプにより真空引きした後、反応管内をアルゴン置換し、エタノール 20 mLを加え、85 oCで2時間加熱撹拌した。得られた粉末を吸引ろ過、エタノール 200 mLで洗浄後、デシケーターにて30oC、2時間真空乾燥し、茶色味を帯びた灰色粉末であるPd/SiO2(0.85g、Pd含量:0.047 mmol/g)を得た。
(3)スルホキシド基含有Pd/SiO2
更に、得られたPd/SiO2(1.0 g, Pd含量:0.047 mmol/g)を100 mL枝付きナスフラスコに加え、ガスバック付き三方コックを装着し、30分間ポンプにより真空引きした後、反応管内をアルゴン置換し、n−ヘプタン 20 mL、水0.090 g(5 mmol)を加え1時間室温にて撹拌した。続いて(1)で合成したMeSOPrTMS 0.226 g(1 mmol)を加えた後、80oCにて12時間撹拌した。得られた沈殿を吸引ろ過し、20 mLのアセトンで5回洗浄後、真空乾燥させ、触媒を得た(スルホキシド基含有Pd/SiO2)。
得られたスルホキシド基含有Pd/SiO2を透過型電子顕微鏡でその構造を確認した結果を図1の左図に示す。右図には、構造の模式図を示す。
図1の左図より、上記スルホキシド基含有Pd/SiO2は、パラジウムにスルホキシド基が結合し、その周りをシリカゲルが覆うという構造になっていると推測された。
実施例2 スルホキシド基含有Pd/SiO 2 によるアルキンの部分水素化反応
シュレンク管に、実施例1で得たスルホキシド基含有Pd/SiO20.050 g(Pd含量:2.3 μmol)を加え、ガスバック付き三方コックを装着した。反応器内を30分間ポンプにて真空引きした後、反応器内を水素で置換−脱気の繰り返しにより3回水素置換し、最後に水素を充填した。反応器内にn−ヘキサン5 mL、1−フェニル−1−プロピン 0.5 mmolを加え、30 oCにて反応時間を10〜180分に設定し、水素化反応を行った。ろ過により所定時間の反応物から触媒を除去し、ろ液をエバポレーターにより蒸発させて生成物を回収した。シリカゲルカラムクロマトグラフィー(WAKOGEL C−200、展開溶媒n−hexane:AcOEt)により、残留物から純粋な生成物を得た。生成物の同定はガスクロマトグラフィー(GC)、GC−MS、NMRを用い、定量は内部標準としてナフタレンを用いて、GCにて行った。その結果を図2に示す。尚、図2中−◆−は、アルケンの収率(化合物2)を、−●−は、アルカン(化合物3)の収率を表す。
また、120分と180分の際の化合物2及び3の収率を下記表1に示す。
Figure 0005986853
上記結果より、スルホキシド基含有Pd/SiO2を用いると高選択的に部分水素化反応が進行し、94%の収率でアルケンを得られることが判った。また基質の消失後、反応時間を延長してもアルカンへの水素化反応はほとんど進行しないことも判った。
比較例1 スルホキシド基含有シリカにパラジウム金属を担持させた触媒の製造方法
(1)スルホキシド基含有シリカの製造方法
SiO2(1.0 g)を100 mL枝付きナスフラスコに加え、ガススバック付き三方コックを装着し、30分間ポンプにより真空引きした後、反応管内をアルゴン置換し、n−ヘプタン 20 mL、水0.090 g(5 mmol)を加え1時間室温にて撹拌した。続いて(1)で合成したMeSOPrTMS 0.226 g(1 mmol)を加えた後、80oCにて12時間撹拌した。得られた沈殿を吸引ろ過し、20 mLのアセトンで5回洗浄後、真空乾燥させ、スルホキシド基含有シリカを得た。
(2)スルホキシド基含有シリカにパラジウム金属を担持させた触媒の製造方法
100 mLナス型フラスコにPd(NH34Cl2・H2O0.0131 g(0.05 mmol)を加えて脱イオン蒸留水50 mLに溶解させ、得られたスルホキシド含有シリカ1.0 gを加えた。フラスコに栓をし、そのまま空気雰囲気下で30 oCにて12時間撹拌した。得られたスラリーをろ過し、ろ液が中性になるまで脱イオン蒸留水約1Lを用いて洗浄後、デシケーターにて30oC、6時間真空乾燥させることにより、黄色粉末のPd担持スルホキシド含有シリカ0.95 gを得た。
次いで、調製したPd担持スルホキシド含有シリカを100 mL枝付きナスフラスコに加え、還流管、ガスバック付き三方コックを装着し、30分間ポンプにより真空引きした後、反応管内をアルゴン置換し、エタノール 20 mLを加え、85 oCで2時間加熱撹拌した。得られた粉末を吸引ろ過、エタノール 200 mLで洗浄後、デシケーターにて30oC、2時間真空乾燥し、茶色味を帯びた灰色粉末であるスルホキシド基含有シリカにパラジウム金属を担持させた触媒を得た。
比較例2〜3 スルホキシド基含有シリカにパラジウム金属を担持させた触媒によるアルキンの還元方法
スルホキシド基含有Pd/SiO20.050 gの代わりに比較例1で得たスルホキシド基含有シリカにパラジウム金属を担持させた触媒0.2g(1μmol)を用い、反応時間を10分又は25分とした以外は、実施例1と同様にして1−フェニル−1−プロピンの水素化反応を行った。その結果を以下に示す。
Figure 0005986853
表2の結果より、スルホキシド基含有シリカにパラジウム金属を担持させた触媒では、本発明の製造方法で得られた触媒(パラジウム担持シリカにスルホキシド基を導入した触媒)のようにアルキン誘導体を水素化してアルケン誘導体を高効率に得ることは難しいことが判った。
これは、触媒の構造の違いによるものと考えられた。即ち、本発明の製造方法によれば、スルホキシド基含有化合物のスルホキシド基がまずパラジウムと結合した後、トリメトキシシリル基がシリカと結合するため、パラジウムはスルホキシド基でほぼ完全に覆われた触媒になっていると推測された。一方、スルホキシド基含有シリカにパラジウム金属を担持させた場合では、スルホキシド基がシリカに担持されて自由に動けないため、パラジウムは、スルホキシド基で完全には覆われていないと推測された。
比較例4〜5 Pd/SiO 2 によるアルキンの還元方法(被毒化剤なし)
触媒としてPd/SiO2を用い、水素化反応を下記表中の所定時間とした以外は実施例2と同様の方法により、1−フェニル−1−プロピンの部分水素化反応を行い、実施例2と同様に生成物の定量を行った(比較例4)。
また、同様に、ジメチルスルホキシドを被毒化剤として基質の2mol%又は0.6mol%添加した場合についても実験を行い、生成物の定量を行った(比較例5〜7)。これらの結果を以下に示す。
Figure 0005986853
比較例4の結果より、被毒化剤がない状態でPd/SiO2を用いてアルキンの水素化反応を行った場合、反応時間15分ではアルケンの収率は72%であったが、反応時間を延長すると、逐次水素化反応の進行によりアルケンへの還元選択率は急激に低下してアルカンへ水素化されることが判った。一方、比較例5の結果より、被毒化剤であるジメチルスルホキシドを添加すると効率よくアルケン誘導体が得られることが示された。しかし、この場合、ジメチルスルホキシドを除いた後に化合物の収率を測定しており、臭いの問題や操作の手間の問題があった。また、比較例6、7は、実施例2で用いたスルホキシド基含有Pd/SiO2中のスルホキシド基(パラジウム1 mmolに対して6 mmol)と等量のジメチルスルホキシド(パラジウム1mmolに対して6 mmol)を用いて反応を行っている。しかし、この場合、高い選択性でアルケンを得ることはできなかった。即ち、ジメチルスルホキシド等の被毒剤を用いる場合、これらの使用量を適宜設定する必要があり、また、スルホキシド基含有Pd/SiO2のスルホキシド基の使用量と比較すると、より多い量のスルホキシド基(ジメチルスルホキシド)を用いないと高い選択性でアルキンからアルケンへ還元することができないことが判った。
実施例3〜18 スルホキシド基含有Pd/SiO 2 による種々のアルキンの部分水素化反応
基質として1−フェニル−1−プロピン0.5mmolの代わりに表4中の各種基質0.5mmolを用い、反応温度及び反応時間を表4記載の所定時間とした以外は、実施例2と同様の方法により、各種アルキンの部分水素化反応を行った。
該反応により得られた対応のアルケン化合物(式2)の収率を下記表4及び表5に示す。
Figure 0005986853
Figure 0005986853
上記結果より、本発明の方法により得られた触媒を用いて種々のアルケン誘導体の水素還元行った結果、いずれもアルケン誘導体を効率的に製造できることが判った。
図2中の−◆−は、実施例2におけるアルケンの収率(化合物2)を、−●−は、実施例2におけるアルカン(化合物3)の収率を表す。

Claims (5)

  1. パラジウム担持シリカと下記一般式[1]で示される化合物
    Figure 0005986853
    (式中、Rは炭素数1〜6のアルキレン基を表し、R1〜R3は、それぞれ独立して、水素原子又は炭素数1〜3のアルキル基を表し、R4は炭素数1〜3のアルキル基を表す。)
    とを、水の存在下疎水性溶媒中で接触させることを特徴とする、スルホキシド基含有パラジウム担持シリカの製造方法。
  2. パラジウム担持シリカが、粒子径0.3〜10nmのパラジウム金属を物理的に担持したシリカである、請求項1に記載の製造方法。
  3. R1〜R3が全てメチル基である、請求項1又は2に記載の製造方法。
  4. Rが炭素数1〜3のアルキレン基である、請求項1〜3の何れかに記載の製造方法。
  5. 疎水性溶媒が、ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン、オクタン、イソオクタン、ノナン、デカン、ジエチルエーテル、ベンゼン、トルエン、キシレンから選ばれる1種以上の溶媒である、請求項1〜4の何れかに記載の製造方法。
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