JP5984775B2 - コネクティングロッドおよびそれを備えるエンジン - Google Patents
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Description
しかし、大型エンジンの場合には一体形成することが難しく、複数の部材から構成されていることがある。
ここで、問題なのは、動力伝達時における、部材間の結合部位の摩耗やフレッティング亀裂などの疲労損傷が起こることである。
このコネクティングロッド1は、クランクシャフト2に連結される大端部3と、ピストン(図示省略)側につながる小端部4と、小端部4と大端部3とを連結する連接棒5とから構成されている。
大端部3は、上部冠3aと下部冠3bとに分割され、クランクシャフト2に上下から締結ボルトbで上部冠3aと下部冠3bとを一体化結合している。
小端部4は、ピストンにピストンピンを介して連結され、小端部4と連接棒5とは一体で構成されている。
そして、連接棒5と大端部3の上部冠3aとは、間に肉薄の板状の緩衝部材6(スペーサ)を介して連結ボルト7により、一体的にボルト止めされている。
上記コネクティングロッド1は、大型エンジン用であり、重量が大きく、慣性力により相対的に、連接棒5と上部冠3aとの結合面に圧縮、引張荷重がかかり、結合面に沿ってせん断荷重が働く。連接棒5と上部冠3aとが直接連結している場合は、上部冠3aと連接棒5とは、結合面に相対すべり量が作用される(図6参照)。
また、緩衝部材6に図8に示すように油路8を通過させることで、摩擦係数を小さくすることが試みられている。なお、緩衝部材6の両端部には、連結ボルト7を挿通する挿通穴7hが形成されている。
また、緩衝部材6に油路8を設けたとしても油路8は緩衝部材6の中間に位置し、連接棒5と上部冠3aとを緩衝部材6を介して連結ボルト7により結合した場合、連結ボルト7が挿通された挿通穴7h近傍の端部領域、例えば網点で示す領域hprは面圧が高く、潤滑油がもたらされないので、潤滑油による緩和効果は期待できない。
本発明は、以上の課題を改善するために提案されたものであって、特に大型エンジンに用いられる、複数の部材を組み立てる方式のコネクティングロッドにおいて、油路から潤滑油が行き渡るようにするために、面圧が比較的高い領域を通る油溝を設けることで、部材間にかかる応力に起因する摩耗、フレッティング疲労を抑制できるようにした、コネクティングロッドおよびそれを備えるエンジンを提供することを目的とする。
また、第2部材12は大端部12をいい、クランクシャフトCsに上下から締結ボルト13で一体化して、クランクシャフトCsに結合される上部冠12aと下部冠12bとを含む。
一方、緩衝部材14は、耐摩耗性、耐靭性のある素材として、例えば炭素工具鋼(SK85)を用いることができる。
図2に示すように緩衝部材14は、方形状の肉薄の鋼材(SK85)からなる。
緩衝部材14は、中心を貫くように油路16を形成する貫通孔16hが形成されている。
また、緩衝部材14は、長手方向両側の端部領域に、連結ボルト15を挿通する挿通穴15hが一対ずつ形成されている。
そして、挿通穴15hが形成される端部領域には、油路16を形成する貫通孔16hから潤滑油を導く油溝17が3条、長手方向中心軸に対称的に連通形成されている。
すなわち、3条の油溝17のうち、1条が貫通孔16hを貫いて長手方向中心軸に沿って形成されている。
そして、2条の油溝17が、長手方向中心軸に沿う油溝17に対称的に貫通孔16hを起点としてそれぞれ、緩衝部材14の長手側側縁に向かって拡開形成され、途中から端部領域の挿通穴15hの幅方向外側近傍を通るように、長手側端部に向かって形成されている。
なお、かかる油溝17は、緩衝部材14の両面に形成することができる。
図1に示すコネクティングロッド10を備えたエンジンを動作させると、ピストン(図示省略)がシリンダ(図示省略)を上下することで、小端部11aに連なる連接棒11bを介してクランクシャフトCsに伝達され、クランクシャフトCsが回転すると、コネクティングロッド10の小端部4は、図中、上下動し、連接棒11bがクランクシャフトCsを中心に円運動すると共に、大端部12、すなわち上部冠12aと連接棒11bとの連結部位が左右に揺動する運動がなされる。
ここで、緩衝部材14は、第1部材11における連接棒11bおよび第2部材12における上部冠12aの素材、SCM435に比較して、耐摩耗性が高いSK85により形成されているため、緩衝面にかかるせん断荷重を耐摩耗性の高い緩衝部材によって受け止め、第1部材11と第2部材12に対するフレッティング疲労の発生を抑制することができる。
すなわち、端部領域は、緩衝面の他の部位に比較して連結ボルト15の締め付け力により面圧が高く、コネクティングロッドが周期的に動作する際に、大きな荷重変化が加えられる領域であるため、複数の油溝17からもたらされる潤滑油により効果的にフレッティング疲労を抑制することができる。
なお、油溝17は、径Rが略1mmの凹溝としたので、緩衝部材14と対面する第1部材11および第2部材12との面圧が低下するようなことはない。
本発明は、上述の実施形態に限られない。例えば、油溝17の形態、形成パターンはあくまでも一例である。すなわち、最も面圧が高い位置に応じて、油溝17を形成することが望ましい。
さらに、油溝17の形状は、例えば、図4(b)に示すように、構成することもできる。この場合、油溝17は、緩衝部材14の表面の縁部に沿って面取り加工された面取り部17eを設けることもできる。
このようにすることで、油溝17から緩衝面への潤滑油の浸透を促進することができる。
11 第1部材
11a 小端部
11b 連接棒
12 第2部材(大端部)
12a 上部冠
12b 下部冠
13 締結ボルト
14 緩衝部材
15 連結ボルト
15h 挿通穴
16 油路
16h 貫通孔
17 油溝
17e 面取り部
Cs クランクシャフト
Claims (7)
- シリンダ内におけるピストンの往復運動をクランクシャフトに伝達されるコネクティングロッドであって、
前記ピストン側に連結された一端を含む第1の部材と、
前記第1部材に接続され、前記クランクシャフト側に連結された他端を含む第2の部材と、
前記第1部材および第2部材間に介在する緩衝部材と、
を備え、
前記緩衝部材のうち前記第1部材に対向する第1の緩衝面、および、前記第2部材に対向する第2の緩衝面の少なくとも一方に、潤滑油が供給される油溝が設けられている、ことを特徴とするコネクティングロッド。 - 前記油溝は、前記第1緩衝面および第2緩衝面のうち、前記コネクティングロッドの動作面との交線方向両端に位置する端部領域を通るように設けられている、ことを特徴とする請求項1記載のコネクティングロッド。
- 前記油溝は、前記第1緩衝面および第2緩衝面と前記コネクティングロッドの動作面との交線に対して対称になるように複数設けられている、ことを特徴とする請求項2記載のコネクティングロッド。
- 前記第1部材および第2部材には、前記コネクティングロッドの長手方向に沿って外部から潤滑油が供給される油路が設けられており、
該油路は前記第1緩衝面および前記第2緩衝面との交点において、前記油溝に連通している、ことを特徴とする請求項1記載のコネクティングロッド。 - 前記油溝は、面取り加工された凹状に形成されている、ことを特徴とする請求項1記載のコネクティングロッド。
- 前記緩衝部材は、前記第1部材および第2部材に比較して、耐摩耗性が高い材料により形成されている、ことを特徴とする請求項1記載のコネクティングロッド。
- 請求項1乃至6記載のコネクティングロッドを備えることを特徴とするエンジン。
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