以下、本発明の第1実施形態を図面に基づいて説明すると、第1実施形態の助手席用エアバッグ装置M1は、図1〜4に示すように、エアバッグ装置本体9と、天井壁部25と、を備えて構成されて、助手席前方のインストルメントパネル(以下、適宜、インパネと略す)5の上面側の搭載部位8に搭載されるものである。エアバッグ装置本体9は、折り畳まれたエアバッグ10、エアバッグ10に膨張用ガスを供給するインフレーター20、及び、折り畳まれたエアバッグ10を囲って、エアバッグ10を収納するハウジング30、を備えてなる。
インパネ5の搭載部位8は、インパネ5の上面側となる上壁部6の後縁6a近傍として、換言すれば、インパネ5の略水平方向に配設される上壁部6と上壁部6の後縁6aから斜め前下方向に延びる後壁部7との交差部位5a近傍として、下方側には、前下方向に延びる後壁部7が配設されていることから、上下方向のスペースSAが小さな部位としている。
ちなみに、実施形態のインパネ5は、一般的なインパネに比べて、上壁部6と後壁部7との間の交差部位5aの交差角度を小さくするように、後壁部7の前下がりの傾斜角度θ1を小さくしている。さらに、フロントウインドシールド4は、上壁部6に接近するように、後上がりの傾斜角度θ2を小さくしている。そのため、ハウジング30の後述するエアバッグ10に押されて開くドア部26が、前開きで開く際に、ウインドシールド4との干渉を抑制できるように、エアバッグ装置M1が、インパネ5の上壁部6の後縁6a側に配設されることとなり、その結果、実施形態のエアバッグ装置M1では、上下方向のスペースSAの小さなエリアの搭載部位8に搭載される構造となっている。
そして、インパネ5は、ポリプロピレン等の合成樹脂製として、実施形態の場合、上壁部6の一部、すなわち、上壁部6における搭載部位8の部位が、天井壁部25を構成している。
天井壁部25は、エアバッグ10の折り畳まれた折り完了体70の上方を覆うように配設される。そして、天井壁部25は、左右方向に延びた略長方形板状のドア部26とドア部26の周縁の周縁部位27とを備えて構成される。ドア部26は、前縁側をヒンジ部26aとして、膨張するエアバッグ10に押されて前開きで開くように構成されている。周縁部位27におけるドア部26の前後の部位は、ハウジング30の後述する側壁部45の上端を結合させる結合部位27a,27bとしている。
ドア部26の外周縁の下面側には、膨張するエアバッグ10に押されて破断する薄肉の破断予定部(ティアライン)28が形成されている。破断予定部28は、天井壁部25の下面側に連続的若しくは断続的に凹部を設けて形成され、上方から見て横長のU字状に形成されている(図2参照)。また、天井壁部25におけるドア部26の前縁側の破断予定部28の形成されていない部位は、ドア部26とその周囲の周縁部位27とを連ならせたヒンジ部26aを構成している。
エアバッグ10は、図1,7に示すように、膨張完了時の形状を略四角錘形状とする外周壁11を備えて構成される。外周壁11は、可撓性を有したポリアミド等の織布から形成されて、膨張完了時の乗員側に配置される乗員側パネル部12と、乗員側パネル部12から前方側へ先細りの四角錐状に延びる車体側パネル部13と、から構成されている。
エアバッグ10は、図3,4,7に示すように、車体側パネル部13の前部下部側に膨張用ガスの流入用開口13aを配設させ、かつ、流入用開口13aの周縁をハウジング30への取付部位14としている。取付部位14には、4つの取付孔14aが形成されている。
リテーナ16は、板金製の略四角環状の本体17と4本のボルト18とを備えてなる。本体17は、四角環状の底壁部17aと、底壁部17aの外周縁から上方に延びる縦壁部17bとを備えてなり、エアバッグ10内の取付部位14に配置される。ボルト18は、底壁部17aの四隅付近から下方に延びるように突設される。各ボルト18は、エアバッグ10内に配設される本体17から取付孔14aを経て突出する。これらのボルト18は、エアバッグ10とインフレーター20とをハウジング30に取り付けるとともに、ハウジング30と取付ブラケット90とを結合させるものである。
なお、取付ブラケット90は、図3〜6に示すように、エアバッグ装置M1をインパネリインホース1から延びるブラケット2に取り付けるものであり、板金製として、ブラケット2にボルト3止めされる固着片部91と、固着片部91の左右両縁から上方に延びる二つの支持杆部92と、を備えて、前後方向から見て、U字状としている。固着片部91には、ボルト3を締結するナット91aが固着され、各支持杆部92の上端には、前後方向に帯状に延びて、インフレーター20の後述するフランジ部22の左右の下面側に当接されて、エアバッグ装置M1を支持する支持座92aが形成されている。各支持座92aには、リテーナ16のボルト18を挿通させる貫通孔92bが前後に並設されている。
インフレーター20は、上部21a側に膨張用ガスを吐出する複数のガス吐出口21bを設けた円柱状の本体部21と、本体部21の外周面から突出するフランジ部22と、を備えてなり、フランジ部22には、リテーナ16の各ボルト18を挿通させる取付孔22aが形成されている。エアバッグ10の流入用開口13aやリテーナ16の底壁部17aの中央の開口、さらには、後述するハウジング30の底壁部41の開口42は、本体部21を挿入可能な内径寸法としており、本体部21におけるフランジ部22より上方の上部21a側は、底壁部41の開口42、流入用開口13a、リテーナ16の底壁部17aの中央の開口を経て、折り畳まれたエアバッグ10内に挿入されている。
ハウジング30は、図3〜6に示すように、天井壁部25のドア部26に結合されるドア支持部36と、天井壁部25の下方側で、エアバッグ10の折り完了体70を覆うハウジング本体40と、を備えて構成される。ハウジング本体40は、インフレーター20とエアバッグ10の取付部位14とを取り付ける底壁部41と、底壁部41と天井壁部25との間に配設される側壁部45と、を備えて構成される。
ドア支持部36は、全面をドア部26の裏面側に結合される長方形板状のドア結合部37と、ドア結合部37と側壁部45との連結部位に配設される曲げ変形可能なヒンジ部38と、を有して構成されている。ドア結合部37は、左右方向に延びた長方形板状として、ドア部26に溶着されている。ヒンジ部38は、断面をV字状に曲げられる形状に形成され、ドア結合部37の前縁側に形成され、ドア部26のヒンジ部26aを構成している。
ハウジング本体40の底壁部41は、左右方向に延びた長方形板状として、左右方向の中央に、インフレーター20の本体部21を下方から挿入可能な円形の開口42を備えて構成される。開口42の周縁は、エアバッグ10やインフレーター20の取付部位43として、リテーナ16のボルト18を挿通させる取付孔43aを配設させている。
ハウジング本体40の側壁部45は、底壁部41の前後両縁から上方に延びる前側部位としての前板部46と後側部位としての後板部49とから構成され、左右に、長方形の開口32を設けている。すなわち、第1実施形態のハウジング本体40は、底壁部41と、底壁部41の前後両縁から上方に延びる前板部46及び後板部49からなる側壁部45とにより、前後方向の断面を略U字形状に構成されている。
そして、前板部46と後板部49との上端には、前後の外方に延びる結合鍔部47,50が形成され、結合鍔部47,50は、それぞれ、各天井壁部25の周縁部位27の結合部位27a,27bに対して、溶着されて結合されている。前板部46の上端の後側には、ドア支持部36のヒンジ部38が連結されている。
そして、第1実施形態の場合、ハウジング本体40は、結合鍔部47,50を除いた前後方向の幅寸法CLLを、エアバッグ10を収納可能に、エアバッグ10の折り完了体70の前後方向の幅寸法ALLより大きくしている。
また、ハウジング本体40の左右方向の幅寸法CWLは、エアバッグ10を収納可能に、エアバッグ10の折り完了体70の左右方向の幅寸法AWLより僅かに大きくしている。
なお、第1実施形態では、図3〜6に示すように、天井壁部25におけるドア部26と破断予定部28との左右方向の幅寸法DWLは、折り畳んだエアバッグ10の折り完了体70の左右方向の幅寸法AWLと同等、若しくは、僅かに大きく、ドア部26と破断予定部28との前後方向の幅寸法DLLは、折り畳んだエアバッグ10の折り完了体70の前後方向の幅寸法ALLと同等、若しくは、僅かに大きく設定されている。
また、第1実施形態の場合、ハウジング本体40とドア支持部36とは、ポリオレフィン系熱可塑性エラストマー等の合成樹脂から一体成形されたハウジング用成形品55から形成されている。ハウジング用成形品55は、エアバッグ装置M1の組み立て時に、前板部46と底壁部41との前側交差部位40aを、拡開させた後に復元可能に変形できる物性の合成樹脂材料から形成されている。
そして、ハウジング本体40は、折り完了体70の中央部位70aにおける前後縮小折りの折り畳み部位65を収納可能に、底壁部41の天井壁部25からの離隔距離SLを、前後縮小折りの折り畳み部位65の厚さ寸法T0に対応させて、設定している。さらに、この離隔距離SLは、インフレーター20の本体部21の上部21a側がハウジング本体40内に下方から挿入されても、円滑に、ハウジング本体40内に折り畳み部位65を収納させておくことができるように、設定され、その離隔距離SLに対応して、側壁部45の高さ寸法H1が設定されている。
また、ハウジング本体40は、膨張時のエアバッグ10の圧力に対抗できる強度を有するように、側壁部45を介在させて、底壁部41を天井壁部25に連結させている。実施形態の場合、側壁部45の前板部46と後板部49とは、下縁側が、底壁部41と一体成形されて底壁部41と連結され、上端の結合鍔部47,50が、天井壁部25の周縁部位27における前後の結合部位27a,27bに対し、溶着を利用して連結されている。そして、底壁部41や前板部46、後板部49自体は、膨張時のエアバッグ10の圧力に対抗できる剛性(強度)を確保できるように、所定の肉厚寸法tとして構成されている。
つぎに、エアバッグ装置M1を組み立てて搭載部位8へ搭載する工程を説明する。組立工程では、まず、エアバッグ10を折り畳む。
エアバッグ10の折り畳みは、まず、図8のAに示すように、エアバッグ10の膨張時に乗員側パネル部12が広く展開して後方に移動できるように、乗員側パネル部12を、流入用開口13aを下方に配置させて展開した車体側パネル部13の上に載せて、平らに展開させた折り準備体60を形成する。この折り準備体60は、流入用開口13aを中心とした左右対称形とし、乗員側パネル部12や車体側パネル部13に、適宜、流入用開口13a側に接近させる折目を設けて、平らに展開させている。
ついで、エアバッグ10は、ハウジング30に収納可能に、折り準備体60の外周縁を流入用開口13aに接近させるように、外形寸法を縮小する縮小折りにより折り畳む。第1実施形態では、エアバッグ10は、前後方向の寸法を縮小させる前後縮小折りだけで、折り畳んでいる。
実施形態の前後縮小折りは、図8のB、図9のAに示すように、折り準備体60における流入用開口13aより後部側の後縁側部位60bを、車体側パネル部13の側で巻くロール折りして、ロール折りした折り部位61を流入用開口13aの上方に載せる。ついで、図9のB,Cに示すように、流入用開口13aより前部側の前縁側部位60aを、蛇腹折りするようにし、その折り部位62をロール折り部位61の上に、折り重ねて、折り畳みを完了させて、折り完了体70を形成する。
実施形態の折り完了体70は、前後縮小折りだけで形成されて、中央部位70aが、最も厚い厚さ寸法T0とした折り畳み部位65から構成され、左右両端部70b,70c側では、流入用開口13aから離れるにしたがって、中央部位70aより厚さ寸法を小さくしている。
なお、エアバッグ10の折り畳み時には、取付孔14aからボルト18を突出させるようにして、予め、リテーナ16をエアバッグ10内に挿入させておく。
そして、折り完了体70を形成した後は、折りの解消を防止し、かつ、折り完了体70の折目内等に異物が混入しないように、図10に示すように、可撓性を有した不織布等のシート材から形成されるカバー材80により、折り完了体70を覆う。カバー材80は、折り完了体70の前後方向の外周を覆う長方形状の帯状部81と、帯状部81から左右両側に延びる横カバー部86,86と、を備えて構成される。
帯状部81は、折り完了体70の底面側となる流入用開口13a側に配置される底カバー部82と、折り完了体70の天井側に配置される天井カバー部84と、折り完了体70の前後の側面側に配置される側壁カバー部83,85と、を備える。底カバー部82は、左右方向の中央に、流入用開口13aを開口させる開口部82bと、リテーナ16の各ボルト18を突出させる係止孔82aと、を備える。天井カバー部84は、エアバッグ10の膨張時に容易に破断するように、適宜、図示しないスリット等が形成されている。端縁側の側壁カバー部85と各横カバー部86の先端側には、ボルト18に引掛けて、カバー材80における折り完了体70を包むように覆ったラッピング状態を維持する係止孔85a,86aが形成されている。
そして、カバー材80は、図10のA〜Dに示すように、各係止孔82aにボルト18を引掛けて、帯状部81の底カバー部82、側壁カバー部83、天井カバー部84、側壁カバー部85を、折り完了体70の前後方向の外周に巻き付けて、側壁カバー部85の各係止孔85aに、後側のボルト18,18を引掛ける。と同時に、横カバー部86,86を折り完了体70の下面側に折って、各係止孔86aにボルト18を引掛ければ、折り完了体70のラッピング作業を終了することができる。
その後、カバー材80で包んだ折り完了体70をハウジング30に収納する。その際、図11のAに示すように、予め、ハウジング用成形品55におけるドア支持部36のドア結合部37を、インパネ5における天井壁部25のドア部26に対し、超音波溶着や振動溶着等により、溶着させ、また、前板部46の結合鍔部47も、天井壁部25の周縁部位27における前側の結合部位27aに対し、超音波溶着や振動溶着等により、溶着させておく。
そして、図11のB,Cに示すように、ハウジング本体40の底壁部41と前板部46との前側交差部位40aの交差角度θ3を拡開させる状態として、各ボルト18を取付孔43aから下方に突出させつつ、カバー材80で包んだ折り完了体70を底壁部41上に載せ、その後、前側交差部位40aの交差角度θ3を狭めて、後板部49の結合鍔部50を周縁部位27の後側の結合部位27bに当てる。そして、超音波溶着や振動溶着等により、結合鍔部50を結合部位27bに溶着させれば、ハウジング30が形成されるとともに、折り完了体70がハウジング30に収納されることとなる。
その後、フランジ部22の各取付孔22aに、底壁部41から下方に突出するボルト18を挿通させつつ、インフレーター20の本体部21の上部21aを、底壁部41の開口42を経て、ハウジング30に収納された折り完了体70内に挿入させる。そしてさらに、各ボルト18を貫通孔92bから突出させて、取付ブラケット90における左右の支持杆部92の支持座92aをインフレーター20のフランジ部22に当接させ、各ボルト18にナット19を締結すれば、インパネ5の搭載部位8に搭載した状態で、取付ブラケット90を取り付けたエアバッグ装置M1を組み立てることができる。
その後、車両のエアバッグ作動回路から延びる図示しない作動用リード線をインフレーター20に結線するとともに、インパネ5の図示しない取付部を車両の所定の取付部位に取付固定し、さらに、取付ブラケット90の固着片部91を、インパネリインホース1から延びるブラケット2に当て、固着片部91のナット91aにボルト3を締結して、固着片部91をブラケット2に固定すれば、助手席用エアバッグ装置M1を、インパネ5とともに、車両に搭載することができる。
車両へのエアバッグ装置M1の搭載後、インフレーター20のガス吐出口21bから膨張用ガスが吐出されれば、エアバッグ10は、膨張し、破断予定部28を破断させて、ドア部26を前方に回転させるように開かせ、ドア部26の開いた開口から、後方側へ展開膨張して、乗員を受け止め可能に膨張を完了させることとなる。
そして、第1実施形態の助手席用エアバッグ装置M1では、ドア部26の裏面側に結合させるドア支持部36が、ハウジング本体40の側壁部45の前板部46と連なって、ハウジング本体40と一体的なハウジング用成形品55から形成されている。そのため、従来のようなドア支持部と側壁部とを相互に結合させる結合部位(嵌合部位)が不要となって、その分の上下方向の寸法を小さくできて、ハウジング30の上下方向の寸法をコンパクトにすることができる。
勿論、ハウジング本体40は、側壁部45の少なくとも前後両側の部位、すなわち、前側部位としての前板部46と後側部位としての後板部49を、天井壁部25におけるドア部26の周縁部位27に結合させており、前後方向に沿って開くドア部26の開き時、ドア部26の周縁をハウジング本体40が安定して支持できて、円滑に周囲の破断予定部28を破断させて、ドア部26を開かせることができ、そして、エアバッグ10は、開いたドア部26の開口から円滑に展開膨張することができる。
したがって、第1実施形態の助手席用エアバッグ装置M1では、ハウジング30の上下方向の寸法を小さくできることから、インパネ5の上面側となる上壁部6側の搭載部位8が上下方向のスペースSAを小さくしていても、容易に搭載することができる。
また、第1実施形態の助手席用エアバッグ装置M1では、ハウジング30のドア支持部36が、前方側にヒンジ部38を配設させて、ドア結合部37をドア部26の裏面の略全域に対して溶着させている。また、ハウジング30のハウジング本体40における底壁部41と側壁部45の前側部位としての前板部46との前側交差部位40aが、復元可能として、左右方向の全域にわたって交差角度θ3を拡大させるように、曲げ変形可能に構成されている。
そのため、第1実施形態では、エアバッグ装置M1の組み立て時、まず、ドア支持部36のドア結合部37を、インパネ5における天井壁部25のドア部26の裏面側に、溶着により結合するとともに、側壁部45の前板部46の結合鍔部47を天井壁部25の周縁部位27に結合させる。その後、折り畳んだエアバッグ10を底壁部41上に載せ、側壁部45の後板部49の結合鍔部50を天井壁部25の周縁部位27に結合させれば、ハウジング30内にエアバッグ10を収納し、かつ、ハウジング30を組み立てることができる。
そして、その組み立て時、ハウジング30自体は、エアバッグ10の膨張時の内圧に対抗できる強度を具備する必要があるものの、底壁部41と側壁部45の前板部46との前側交差部位40aが、復元可能として、左右方向の全域にわたって交差角度θ3を拡大させるように、曲げ変形可能に構成されていれば、底壁部41上に折り畳んだエアバッグ10を載せる際、図11のA,Bに示すように、前側交差部位40aを拡開させるように曲げることができる。そして、前側交差部位40aを拡開させるように、天井壁部25と底壁部41との間を広くできて、エアバッグ10の載置作業が容易となり、エアバッグ装置M1の組立作業を円滑に行うことができる。
また、第1実施形態では、ドア部26とドア支持部36のドア結合部37とが、溶着により、結合されており、ボルトやナット等の機械的に結合する結合部品を利用していないことから、ドア部26とドア結合部37との厚さを薄くできて、天井壁部25と底壁部41との間のエアバッグ10の収納スペースを十分確保しつつ、ハウジング30の高さ寸法を小さくすることに寄与できる。
なお、第1実施形態では、ドア部26とドア結合部37とを溶着により結合させたが、接着剤を利用した接着により、ドア部26とドア結合部37とを結合させてもよい。
さらに、第1実施形態では、ハウジング本体40の少なくとも側壁部45の前側部位としての前板部46の上端の結合鍔部47が、天井壁部25に対し、溶着されている。
そのため、第1実施形態では、ドア支持部36のドア結合部37をドア部26の裏面側に、溶着させる際、同時に、ハウジング本体40の少なくとも側壁部45の前板部46の結合鍔部47の上端を天井壁部25に対して溶着させることができて、別途、ボルトやナット等の結合部品を使用することなく、簡便に、ハウジング30を組み立てることができる。
なお、実施形態では、前板部46の結合鍔部47と天井壁部25の結合部位27aとを溶着により結合させたが、接着剤を利用した接着により、前板部46の結合鍔部47と天井壁部25の結合部位27aとを結合させてもよい。
また、実施形態では、ハウジング本体40の側壁部45の後板部49も、天井壁部25の周縁部位27における結合部位27bに、溶着させており、別途、ボルトやナット等の結合部品を使用することなく、簡便に、ハウジング30を組み立てることができる。
勿論、この後板部49の結合鍔部50と天井壁部25の結合部位27bとの結合も、接着により、結合させても良い。
ちなみに、ドア部26とドア支持部36とを溶着により結合した場合には、前板部46の結合鍔部47と天井壁部25の結合部位27a、及び、後板部49の結合鍔部50と天井壁部25の結合部位27bも、溶着により結合させ、ドア部26とドア支持部36とを接着により結合した場合には、前板部46の結合鍔部47と天井壁部25の結合部位27a、及び、後板部49の結合鍔部50と天井壁部25の結合部位27bは、同様に、接着により結合することが、各部の結合作業を共通化できることから、望ましい。
但し、側壁部45の後側部位としての後板部49と天井壁部25の結合部位27bとの結合は、エアバッグ10を収納した後の後工程の結合作業となることから、溶着や接着ではなく、別作業となる機械的な結合作業としてもよい。例えば、図12に示す第2実施形態の助手席用エアバッグ装置M2のように、ハウジング30Aのハウジング本体40Aが、側壁部45の前板部46の結合鍔部47を周縁部位27Aの結合部位27aに対して溶着により結合させ、後板部49の結合鍔部50Aを、ボルト51,ナット52を利用して、周縁部位27Aの後側の結合部位27bに、結合させてもよい。
周縁部位27Aの後側の結合部位27bには、ボルト51が下方に延びるように左右方向に沿って複数並設され、結合鍔部50Aには、左右方向に並設されるように各ボルト51を挿通させる複数の取付孔50aが貫通されている。
第2実施形態でも、ハウジング本体40Aとドア支持部36とを具備したハウジング30Aは、第1実施形態のハウジング用成形品55と同様の合成樹脂製のハウジング用成形品55Aから形成されている。
この第2実施形態の助手席用エアバッグ装置M2では、図12に示すように、カバー材80により包まれたエアバッグ10の折り完了体70をハウジング30A内に収納しつつ、結合鍔部50Aを周縁部位27Aの結合部位27bに結合させて、ハウジング30Aを組み立てる際、単に、各ボルト51を取付孔50aに挿通させ、ナット52を各ボルト51に締結するだけで、ハウジング30Aを組み立てることができて、結合鍔部50を結合部位27bに溶着する場合に比べて、簡便に、組立作業を行うことができる。
なお、このような機械的に結合する結合部品によって側壁部を天井壁部に結合させる構造は、側壁部45の前板部46を天井壁部25の結合部位27aに結合させる部位に、適用してもよい。
また、第1実施形態の助手席用エアバッグ装置M1では、ハウジング本体40の側壁部45が、底壁部41を天井壁部25に結合させる部位を、前後両側の前板部46と後板部49とだけとしている。
そのため、第1実施形態では、ハウジング本体40の左右両側に、底壁部41を天井壁部25側に連結する部位を設けずに済むことから、底壁部41を天井壁部25側に連結する部位を設けない分、軽量化と省資源化を図ることができる。
さらに、第1実施形態では、ハウジング本体40が、左右両側を、側壁部45の部位を設けずに開放させる構成として、ハウジング30が、左右両側に開口32,32を備えて構成されている。
そのため、第1実施形態では、ハウジング30の左右両側が、開口32,32を設けて開放させており、一層、ハウジング30の左右両側を覆う部材を設けない分、軽量化と省資源化を図ることができる。
勿論、図13,14に示す第3実施形態の助手席用エアバッグ装置M3のように、大きな開口32,32を設けずに、ハウジング本体40Bの側壁部45が、底壁部41を天井壁部25に結合させる部位を、前後両側の前側部位としての前板部46と後側部位としての後板部49とだけとした状態として、ハウジング30Bのように、左右の開口32,32を部分的に覆う側板部53,53を、底壁部41Bや天井壁部25から突設させても良い。
第3実施形態でも、ハウジング本体40Bとドア支持部36とを具備したハウジング30Bは、第1実施形態のハウジング用成形品55と同様な合成樹脂製のハウジング用成形品55Bから形成されている。
この第3実施形態の助手席用エアバッグ装置M3では、ハウジング30Bの左右の側板部53,53により、ハウジング30B内への異物混入を防止できることとなる。
勿論、一層のハウジングの軽量化と省資源化を図るため、図15〜18に示す第4実施形態の助手席用エアバッグ装置M4のように、ハウジング本体40Cの左右方向の幅寸法CWLをエアバッグ10の折り完了体70の左右方向の幅寸法AWLより短くして、折り畳まれたエアバッグ10の折り完了体70が、左右の両端部70b,70cをハウジング30Cの左右の開口32から突出させて、ハウジング30Cに収納される構成としてもよい。
このような構成では、ハウジング本体40Cが、折り畳んだエアバッグ10の折り完了体70より、左右の幅寸法CWLを短くしており、さらに一層、ハウジング本体40Cの左右両側におけるエアバッグ10を覆う部位を少なくする分、軽量化と省資源化を図ることができる。
なお、第4実施形態では、ドア支持部36Cもハウジング本体40Cの左右方向の幅寸法CWLと同等としており、すなわち、ドア支持部36Cとハウジング本体40Cとを一体的に成形したハウジング用成形品55Cが、第1実施形態のハウジング用成形品55より左右方向の幅寸法CWLを小さくしている。
ちなみに、このような左右方向の寸法を小さくしても、ハウジング本体40Cは、膨張時のエアバッグ10の圧力に対抗できる強度を有するように、所定の肉厚寸法tとして、側壁部45Cの前板部46Cや後板部49Cを介在させて、底壁部41Cを天井壁部25Cに連結させている。
さらに、第1,4実施形態の助手席用エアバッグ装置M1,M4では、第2,3実施形態も同様であるが、エアバッグ10の折り完了体70が、左右方向の寸法を縮小する左右縮小折りを抑えて、主に前後方向の寸法を縮小する前後縮小折りで折り畳まれるとともに、少なくとも左右方向の中央部位70a、すなわち、流入用開口13a付近の部位を、前後方向の寸法を縮小する前後縮小折りの折り畳み部位65だけで形成している。
そのため、エアバッグ10の折り完了体70は、折り準備体60の外周縁を流入用開口13aに接近するように折り畳まれることにより、流入用開口13aの周縁部位が最も厚くなり易いが、その部位、すなわち、折り完了体70の左右方向の中央部位70aが、前後縮小折りの折り畳み部位65だけで形成されており、極力、厚さ寸法T0を小さくできる。
そして、ハウジング本体40,40Cは、折り完了体70の中央部位70aにおける前後縮小折りの折り畳み部位65を収納可能に、底壁部41の天井壁部25からの離隔距離SLを、前後縮小折りの折り畳み部位65の厚さ寸法T0に対応させて、設定されており、折り完了体70とともに、厚さ寸法(高さ寸法)H0を小さくできる。
勿論、ハウジング本体40,40Cは、厚さ寸法H0を薄くすることにより、膨張するエアバッグ10の反力を強く受けることとなるが、膨張時のエアバッグ10の圧力に対抗できる強度を有するように、側壁部45,45Cを利用して、底壁部41を天井壁部25に連結させており、膨張時のエアバッグ10を的確に支持でき、その結果、エアバッグ10は、円滑にドア部26を押し開いて展開膨張することができる。
したがって、第1,4実施形態の助手席用エアバッグ装置M1,M4では、第2,3実施形態も同様であるが、ハウジング本体40,40Cと折り畳んだエアバッグ10との厚さ寸法H0,T0を小さくできて、上下方向の寸法を小さくできることから、インパネ5の上壁部6側の搭載部位8が上下方向のスペースSAを小さくしていても、容易に搭載することができる。
さらに、第1,4実施形態の助手席用エアバッグ装置M1,M4では、第2,3実施形態も同様であるが、エアバッグ10が、折り準備体60から左右方向の寸法を縮小させる左右縮小折りを抑えて折り畳まれている。換言すれば、エアバッグ10の展開膨張時、左右の折り畳み部位の折りの解消が殆どない。そのため、乗員がインパネ5に接近して着座していても、エアバッグ10の展開膨張時に、左右の折り畳み部位の折りの解消に伴なって乗員を叩くような挙動が抑制され、エアバッグ10は、部分的な押圧力を作用させることを抑制可能な左右に展開した状態として、乗員を受け止めることができる。
特に、第1,4実施形態の助手席用エアバッグ装置M1,M4では、第2,3実施形態も同様であるが、エアバッグ10の折り完了体70が、前後縮小折りだけで折り畳まれている。
そのため、第1,4実施形態では、エアバッグ10の展開膨張時、左右の折り畳み部位の折りの解消が無く、左右の折り畳み部位の折りの解消に伴なう乗員を叩く挙動が全く無くなることから、一層、乗員がインパネ5に接近していても、展開膨張時のエアバッグ10が、部分的に押圧すること無く、左右に広く展開した状態として、円滑に乗員を受け止めることができる。
さらに、エアバッグ10の折り完了体70では、前後縮小折りだけで折り畳まれており、左右方向の幅寸法AWLが長くなるものの、厚さ寸法T0を左右の全域にわたって小さくすることができ、対応するハウジング本体40,40Cも厚さ寸法H0を小さくできて、一層、上下方向のスペースSAが小さな搭載部位8に、エアバッグ装置M1,M4を搭載することができる。
なお、エアバッグ10の折り完了体としては、厚さ寸法T0の増加を招かない範囲、例えば、図19,20に示す第5実施形態の助手席用エアバッグ装置M5のように、左右方向の中央部位70aの厚さ寸法T0より小さい厚さ寸法の範囲内であれば、左右の両端部70b,70c側に、折り準備体60の左右方向の縁60c,60dを流入用開口13a側に接近させる左右縮小折りの折り畳み部位67,67を設けて、折り完了体70Dを形成して、ハウジング30Cに収納させてもよい。
折り完了体70Dを覆うカバー材80Dは、折り完了体70Aが左右縮小折りの折り畳み部位67,67を備えている分、左右方向の幅寸法AWLが折り完了体70より短いことから、帯状部81Dや横カバー部86D,86Dは、図10に示すカバー材80の帯状部81や横カバー部86より短く構成されている。
また、第4実施形態では、折り完了体70の外表面の全面を覆うカバー材80を使用したが、折り崩れ防止と異物混入防止とを図れる必要最小限、例えば、ハウジング本体40Cから左右に突出する左右の端部70b,70c側付近だけを覆うように、カバー部材を配設させてもよい。
さらに、異物混入の虞れが無ければ、左右の端部70b,70c側を部分的に前後方向に巻くベルトタイプとして、カバー材を形成してもよい。
但し、上記のカバー材では、第4実施形態のカバー材80のように、ハウジング本体40Cの開口32,32から左右の端部70b,70c側を突出させる際、端部70b,70c側が下方に垂れないように、折り完了体70を覆えるように構成することが望ましい。
また、図21〜25に示す第6実施形態の助手席用エアバッグ装置M6のように、ハウジング本体40Eの側壁部45Eが、底壁部41Eを天井壁部25に結合させる部位として、前後両側だけでなく、左右両側にも、配設してもよい。すなわち、このハウジング本体40Eでは、側壁部45Eが、底壁部41Eの前後の縁から延びる前側部位としての前板部46Eや後側部位としての後板部49Eの他に、底壁部41Eの左右の両縁から上方に延びる左側部位としての側板部53EL及び右側部位としての側板部53ER、を備えて構成されている。
前板部46E、後板部49E、及び、側板部53EL,53ERは、それぞれ、上端に、ドア部29の周縁部位27における前後左右の結合部位27a,27b,27c,27dに対して溶着により結合される結合鍔部47,50,54,54を備えて、構成されている。
そして、この第6実施形態のエアバッグ装置M6の組み立て時には、まず、図25のAに示すように、ドア支持部36のドア結合部37を、インパネ5における天井壁部25のドア部26の裏面側に、溶着により結合するとともに、側壁部45Eの前板部46Eの結合鍔部47を天井壁部25の周縁部位27における結合部位27aに結合させる。その後、前板部46Eと底壁部41Eとの前側交差部位40aを撓ませたまま、図25のB,Cに示すように、折り畳んだエアバッグ10を底壁部41E上に載せ、溶着を利用して、側壁部45Eの後側部位としての後板部49Eの結合鍔部50を周縁部位27の結合部位27bに結合させるとともに、側板部53EL,53ERの各結合鍔部54,54を周縁部位27の結合部位27c,27dに結合させれば、ハウジング30E内にエアバッグ10を収納し、かつ、ハウジング30Eを組み立ることができる。
なお、第6実施形態のハウジング本体40Eは、側板部53EL,53ERを有した点が異なっているだけで、第1実施形態のハウジング用成形品55と同様なハウジング用成形品55Eから構成されている。
また、第6実施形態のハウジング本体40Eでは、側壁部45Eの各上端の結合鍔部47,50,54を周縁部位27に結合させた際、図24に示すように、底壁部41Eの四隅の位置に隙間SPを開けて、天井壁部25に結合されている。なお、隙間SPは、膨張時のエアバッグ10の一部を、インパネ5の内部におけるハウジング30E外に突出させない開口幅寸法WSP(1〜10mm、実施形態では、5mm程度)として、底壁部41Eの四隅の位置で均等に開口している。
この第6実施形態のエアバッグ装置M6では、ハウジング本体40Eの側壁部45Eにおける天井壁部25に結合される部位が、底壁部41Eの前後の縁から延びる前側部位としての前板部46Eや後側部位としての後板部49Eの他に、底壁部41Eの左右の両縁から上方に延びる左側部位としての側板部53ELと右側部位としての側板部53ERとを備えて構成され、折り畳まれたエアバッグ10が、ハウジング30Eの底壁部41Eと天井壁部25の間における前後左右の四方を囲われて、収納されることとなる。そのため、インフレーター20の作動時、膨張用ガスを流入させたエアバッグ10は、側壁部45Eにおける底壁部41Eの四方の縁から上方に延びる前板部46E、後板部49E、及び、側板部53EL,53ERにガイドされるように、圧力を天井壁部25に的確に作用させて、ドア部26を押し開くことができる。
特に、第6実施形態では、折り畳まれたエアバッグ10が、ハウジング30Eの底壁部41Eと天井壁部25の間における前後左右の四方を囲われて、収納されることから、ハウジング30の左右に開口32を有した第1実施形態のエアバッグ装置M1に比べて、膨張するエアバッグ10が開口32を経てインパネ5内で部分的に突出する虞れが無く、使用するインフレーター20の出力が大きくなっても、容易に対処することができる。
また、第6実施形態のエアバッグ装置M6では、ハウジング本体40Eの側壁部45Eが、底壁部41Eの四隅の位置に隙間SPを開けて、底壁部41Eの前後左右の縁から上方に延びて天井壁部25に結合されている。
そのため、第6実施形態のエアバッグ装置M6では、エアバッグ10の膨張時、ハウジング30E内におけるエアバッグ10の周囲のエアA(図24参照)の圧力が高まっても、側壁部45Eの前板部46E,後板部49E、及び、側板部53EL,53ERの相互の間の4つの隙間SPから、放射状として均等に、エアAを逃すことができて、膨張するエアバッグ10は、側壁部45Eの前板部46E,後板部49E、及び、側板部53EL,53ERにガイドされて、円滑に、ドア部26を押し開くことができる。
なお、上記の点を考慮しなければ、図26,27の変形例のハウジング本体440Fのように、後板部49Eと側板部53EL,53ERとが相互に連続するように構成されても良い。なお、このハウジング本体40Fでは、エアバッグ装置M7の組み立て時、図25に示す工程と同様に、前板部46Eと底壁部41Eとの前側交差部位40aを撓ませて、底壁部41E上にカバー材80を設けた折り完了体70を載せて組み付けることができるように、前板部46Eと側板部53EL,53ERとの間には、相互を分離させるための隙間SPが配設されている。
また、第6実施形態では、結合鍔部47,50,54,54を溶着により、周縁部位27に結合させた場合を例示したが、適宜、接着により結合させてもよい。さらに、結合鍔部50,54,54は、図12に示す構成と同様に、インパネ5側に設けたボルトを挿通させる取付孔を設けて、ナット止めにより、周縁部位27に結合させてもよい。