JP5982087B2 - 内臓脂肪蓄積予防または蓄積改善剤 - Google Patents

内臓脂肪蓄積予防または蓄積改善剤 Download PDF

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Description

本発明は、内臓脂肪蓄積予防または蓄積改善剤に関する。特に本発明は、脂肪の総エネルギー摂取量に占める割合が30%を超える対象者に用いられるための内臓脂肪蓄積予防または蓄積改善剤に関する。
近年、高血圧、高脂血症および糖尿病などの生活習慣病が増加し、健康への関心が高まっている。これらの生活習慣病は、内臓脂肪の蓄積に起因する肥満が原因であり、それぞれの病気が相互に関連している。最近では、これらの病気をメタボリックシンドロームと呼称し、この予防、改善に効果を示す機能性食品や薬剤の開発が盛んに行われている。
メタボリックシンドロームを予防するには、肥満を予防することが必要であり、このためには食事制限により摂取カロリーを減らすことが有効である。しかし、通常、食事制限は、栄養指導をしっかりと受けなければならず、日常生活において長期的に継続することは困難である場合が多い。そこで、食事由来の脂肪の蓄積を安全かつ健康的に抑制することは、肥満およびそれに関連する疾患の予防、治療に現実的で有用な方策であると考えられる。
一方、我が国では食の欧米化が進み、ハンバーガーなどのファーストフードに代表される脂肪の多い高カロリー食が生活に浸透しており、食事によるエネルギーの摂取が過多となっている。このことも、メタボリックシンドローム患者の増加に拍車をかけているといえる。
一般的な加工食品で100gあたりのエネルギー量と脂質に由来するエネルギー量を表1に示した。カレー、シチュー、ハンバーグ、ミートボールなど肉の使用量が多い食品において特に脂質のエネルギー比率が高い。食の欧米化によりこれらを喫食する機会が多いことはいうまでもなく、このような脂質の多い食事を頻繁にとることにより内臓脂肪が蓄積されているといえる。
このような背景から、安全かつヒトに対して有効性が証明されている特定保健用食品の開発が注目されている。今までに食後の血中中性脂肪値の上昇を抑える食品素材としては、膵リパーゼ阻害により脂肪吸収を抑制するグロビンタンパク質分解物(非特許文献1)、トリアシルグリセロールと異なる消化吸収性を有するジアシルグリセロール (非特許文献2)、魚油由来エイコサペンタエン酸、ドコサヘキサエン酸などが特定保健用食品として販売されている。
最近では、植物由来のリパーゼ阻害活性物質も注目されており、緑茶中の主要な成分であるエピガロカテキンガレートの脂質吸収抑制効果を利用した飲食物が多く市場に流通してきている。
また、ガルシニアカンボジア(Garcinia cambogia)の乾燥果皮抽出物に多量に含まれる(-)-ヒドロキシクエン酸((-)-Hydroxycitric acid、HCA)は、糖質からの脂肪合成を抑制するだけでなく、摂食量を減少させることにより内臓脂肪の抑制を導く(非特許文献3〜5)。このような食欲抑制は、近年、フェンフルラミンと類似の作用による中枢神経ニューロンのシナプスからのセロトニン放出の促進と再取り込みの抑制によると提案されている(非特許文献6および7)。
エピラクトースは、非還元末端よりガラクトースとマンノースがβ−1,4結合した2糖類であり、牛乳の加熱殺菌やラクトースのアルカリ異性化により生成する(非特許文献8および9)。また、エピラクトースは、セロビオース2−エピメラーゼの2−エピメラーゼ活性を利用することによりラクトースから酵素的に合成することが可能であることが示され(非特許文献10)、本酵素を用いることにより比較的温和な条件で容易にエピラクトースを調製することが可能となった。
この酵素合成法により調製されたエピラクトースを用いた生理機能解析が進められ、エピラクトースがビフィズス菌増殖活性 (非特許文献11)、いわゆるプレバイオティクス効果を有する糖質であることが明らかにされている。プレバイオティクスは、G.R.GibsonとM.B.Roberfroidによる定義によれば「腸内フローラ(消化管内に生息している微生物群、主に嫌気性菌)のバランスを改善することによって宿主の健康に好影響を与える食品」(非特許文献12)とされている。
代表的なプレバイオティクスとしては、オリゴ糖などの難消化性物質、プロピオン酸菌による乳清発酵物、および食物繊維などが挙げられ、オリゴ糖は、プロバイオティクスの餌となり、食物繊維は腸内細菌を貯留させてその増殖を補助する。プレバイオティクスの効果としては、ミネラル分吸収促進効果、血中コレステロールや中性脂肪値の抑制、動脈硬化の予防、血糖値の抑制、糖尿病の改善、肥満の改善、腸の運動の活性化、便秘の改善、免疫能の活性化、感染症の予防、癌の予防、血中アンモニア値の抑制、肝機能低下による肝性脳症の改善、腸内細菌によるビタミン類合成の促進、潰瘍性大腸炎の症状改善などが挙げられる。
エピラクトースにおいてもプレバイオティクス効果に起因する生理機能として、カルシウム吸収促進活性 (非特許文献13) 、血中コレステロールを低下させることによる脂肪代謝改善効果を有することが明らかにされている (特許文献1)。この脂肪代謝の改善効果は、標準精製飼料をベースとしたラットによる試験により得られたものである。結果として、総コレステロール値、LDL+VLDLコレステロール値がエピラクトースの摂取により低下した。
WO2008/062555
J.Nurt.1988;128:56−60 J.Am.Coll.Nutr.2000;19:789−796 Lipids 1974; 9: 129-34. Nutr Res 1988; 8: 209-12. FASEB J 1998; 12: A505. Res Commun Mol Pathol Pharmacol 2001; 109: 210-16 Mol Cell Biochem 2002; 238: 89-103. Milchwissenschaft 1980;35(1):5−8 Milchwissenschaft 1981;36(9):533−536 Appl.Microbiol.Biotechnol.2008;79:433−441 J.Dairy Sci.2008;91:4518−4526 J.Nutr.1995;125;1401−1412 J.Agric. Food Chem.2008;56:10340−10345 日本人の食事摂取基準(2010年版)、厚生労働省発表平成21年5月29日
厚生労働省では、高カロリー食摂取過多によるメタボリックシンドロームの発症を予防するために、脂肪の総エネルギー摂取量に占める割合である「脂肪エネルギー比率」の日本人における上限目標値を定めて公表している(非特許文献14)。日本人における「脂肪エネルギー比率」の上限目標値は、性別や年齢によって異なるが25〜30%の範囲である。「脂肪エネルギー比率」がこの上限目標値より高くなると、動脈硬化症、肥満、糖尿病などのメタボリックシンドロームの発症のリスクが高まると考えられている。
そこで本発明は、「脂肪エネルギー比率」が30%を超える対象者において、内臓脂肪蓄積の予防または蓄積した脂肪の低減、即ち、蓄積改善が可能な新規薬剤、およびこの新規薬剤の有効成分を含有する食品、飲料および飼料を提供することを目的とする。
本発明者らは、「脂肪エネルギー比率」が30%を超える対象者に相当する、高脂肪食負荷ラットを用いてエピラクトースの生理機能に関して鋭意研究を重ねた。その結果、普通食摂取における血中コレステロール低下効果とは全く異なるメカニズムにより、「脂肪エネルギー比率」が30%を超える対象者(ラット)において、エピラクトースが内臓脂肪の蓄積を抑制することを見出し、本発明を完成させるに至った。
特許文献1において脂肪代謝改善効果を検討した試験系は、昨今問題となっている高脂肪食の摂取過多状態における脂肪代謝改善を示すものではなく、高脂肪食過多での脂肪代謝改善効果は検討されていなかった。このような高脂肪食を負荷した状態でのエピラクトースによる脂肪蓄積抑制効果の発見に基づく本発明の薬剤並びに食品、飲料および飼料は、昨今の高カロリー食摂取過多によるメタボリックシンドロームの予防および改善において極めて有益である。
本発明は以下記載通りである。
[1]
エピラクトースを有効成分とする内臓脂肪の蓄積予防または蓄積改善剤。
[2]
脂肪エネルギー比率が30%を超える対象者に用いられるための[1]に記載の内臓脂肪蓄積予防または蓄積改善剤。
[3]
脂肪エネルギー比率が50%を超える対象者に用いられるための[1]に記載の内臓脂肪蓄積予防または蓄積改善剤。
[4]
対象者がヒトまたはヒト以外の哺乳類である[2]または[3]に記載の内臓脂肪蓄積予防または蓄積改善剤。
[5]
エピラクトースを含有し、脂肪エネルギー比率が30%を超える対象者に用いられるための食品。
[6]
1日当たり50〜500mg/kg体重の範囲のエピラクトースを摂取するように用いられるための、[5]に記載の食品。
[7]
全熱量中に占める脂質由来の熱量の比率が50%以上である、[5]または[6]に記載の食品。
[8]
エピラクトースを含有し、脂肪の総エネルギー摂取量に占める割合が30%を超える対象者に用いられるための飲料。
[9]
1日当たり50〜500mg/kg体重の範囲のエピラクトースを摂取するように用いられるための、[8]に記載の飲料。
[10]
エピラクトースを含有し、脂肪エネルギー比率が30%を超える対象者に用いられるための飼料。
[11]
1日当たり50〜500mg/kg体重の範囲のエピラクトースを摂取するように用いられるための、[10]に記載の飼料。
[12]
全熱量中に占める脂質由来の熱量の比率が50%以上である、[10]または[11]に記載の飼料。
本発明によれば、「脂肪エネルギー比率」が30%を超える対象者において内臓脂肪の蓄積を抑制することができ、その結果、内臓脂肪の蓄積予防と既に蓄積した内臓脂肪の低減、即ち、蓄積改善が可能となる。このため、本発明によれば、内臓脂肪の蓄積予防および蓄積改善効果を有する食品、飲料および飼料も提供できる。本発明の飲食物やペット用飼料などを抗メタボリックシンドローム製品として流通させることができ、メタボリックシンドロームの予防や改善に貢献することができる。
食餌性肥満モデル(高脂肪負荷)ラットの体重・摂餌量・摂水量に及ぼすエピラクトース28日間経口投与の影響を示す。各値は平均を示す(n=6ただし4WHF−エピラク500群のみ5)。*,**:4W普通食群との有意差p<0.05または0.01(Tukey−Kramerの検定)。※:投与28日翌日。○は4W普通食群、●は4WHF−コントロール群、△は4WHF−エピラク100、▲は4WHF−エピラク500。 食餌性肥満モデル(高脂肪負荷)ラットの器官重量(絶対重量)に及ぼすエピラクトース28日間経口投与の影響を示す。各値は器官重量(絶対重量)の平均±標準偏差(n=6ただし4WHF−エピラク500群のみ5)。*,**:4W普通食群との有意差p<0.05または0.01(Turkey−Kramerの検定)。#,##:4WHF−コントロール群との有意差p<0.05または0.01(Tukey−Kramerの検定)。 食餌性肥満モデル(高脂肪負荷)ラットの生化学的検査に及ぼすエピラクトース28日間経口投与の影響を示す。各値は生化学的検査各項目値の平均±標準偏差を示す(n=6ただし4WHF−エピラク500群のみ5)。*,**:4W普通食群との有意差p<0.05または0.01(Turkey−Kramerの検定)。#,##:4WHF−コントロール群との有意差p<0.05または0.01(Tukey−Kramerの検定)。 各群の試験前後の腸内乳酸菌数を示す。 肝臓中の脂肪酸代謝関連遺伝子(PPARαとSREBP−1)に及ぼすエピラクトースの効果を示す。普通食群は4W普通食群、高脂肪食群は4WHF群を示す。(a)PPARαの発現量。(b)SREBP−1の発現量。 肝臓中の脂肪酸代謝関連遺伝子(FASとCPT1)に及ぼすエピラクトースの効果を示す。普通食群は4W普通食群、高脂肪食群は4WHF群を示す。(a)FASの発現量。(b)CPT1の発現量。 脂肪組織における脂肪関連遺伝子に対するエピラクトース投与の影響を示す。*,統計学的な有意差を示す。普通食群は4W普通食群、高脂肪食群は4WHF群を示す。(a)PPARγの発現量。(b)HSLの発現量。
<内臓脂肪の蓄積予防または蓄積改善剤>
本発明は、内臓脂肪の蓄積予防または蓄積改善剤に関する。本発明の内臓脂肪の蓄積予防または蓄積改善剤は、エピラクトースを有効成分として含有する。
エピラクトースは、正式名称は4−O−β−ガラクトピラノシル−D−マンノースである。市販牛乳中に含まれる糖質であり、食経験が豊富なことから安全性が高く、上記のように有用な機能性を有する糖質である他、酵素合成による安全、安価な製造法も確立することが比較的容易である。例えば、特許文献1に記載の方法により大量生産も可能である。
エピラクトースは、本糖質を単独で使用する他に、最終製品(医薬品や後述する機能性食品、栄養補助食品、飲食品等)の必要に応じてデンプンなどの穀物系粉体、油脂、乳化剤、香料、増粘剤などを組合せた固体、液体、ゾル、ゲル、可塑性組成物などの構成としても良い。
デンプンとしては、コーンスターチ、ワキシーコーンスターチ、ハイアミロースコーンスターチ、馬鈴薯デンプン、小麦デンプン、タピオカデンプン、緑豆デンプン、サゴデンプン、米デンプン、えんどう豆デンプン、およびこれらにエステル化処理、エーテル化処理、架橋処理、酸処理、酸化処理、湿熱処理、α化などの物理的、化学的処理を単独または組合せて施した加工デンプンを上げることができる。
油脂としては、大豆油、大豆胚芽油、菜種油、高オレイン酸菜種油、コーン油、ゴマ油、ゴマサラダ油、シソ油、亜麻仁油、落花生湯、紅花油、高オレイン酸紅花油、ひまわり油、高オレイン酸ひまわり油、抗リノール酸ひまわり油、ミッドオレイックひまわり油、綿実油、ブドウ種子油、マカデミアナッツ油、ヘーゼルナッツ油、胡桃油、カボチャ種子油、椿油、茶実油、えごま油、オリーブ油、米ぬか油、小麦胚芽油、パーム油、パームオレイン、パーム核油、ヤシ油、カカオ脂、藻類油およびこれら油脂の水添油、エステル交換油、分別油などから選ばれる1種、または2種以上を組合せたものを挙げることができる。
乳化剤としては、食品に使用される乳化剤であればよく、グリセリン脂肪酸エステル、グリセリン有機酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン縮合リシノレート、ショ糖脂肪酸エステル、ステアロイル乳酸カルシウム、アルキルグリコシド類、エリスリトール脂肪酸エステル類、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル類、レシチン、酵素分解レシチン、酵素処理レシチンなどを1種あるいは2種以上組合せて使用することができる。
香料としては、通常食品に使用される天然系、合成系香料のいずれもが使用可能である。
増粘剤には、水溶液にしたときに高粘度化が可能である多糖類、すなわち、アラビアガム、アラビノガラクタン、グアーガム、キサンタンガム、サイリウムシードガム、ジェランガム、タラガム、ローカストビーンガム、タマリンドシードガム、大豆水溶性多糖類(ヘミセルロース)、アルギン酸ナトリウム、プルラン、ペクチン、カラヤガム、ガッティガム、トラガントガム、カードラン、グルコマンナン、キチン、キトサン、微小繊維状セルロース、微結晶セルロース類を挙げることができる。
そのほかにも、コラーゲンペプチド、乳タンパク質ペプチド、カゼインペプチド、オリゴペプチド、乳清タンパク濃縮物、えんどうタンパク、ゼラチンなどのたんぱく質由来の物質、大豆ファイバー、えんどうファイバーなどの繊維質なども配合することが可能である。また、糖類やpH調整剤を配合しても良い。
pH調整剤には、乳酸、グルコン酸、コハク酸、フマル酸、クエン酸、Lりんご酸、DLりんご酸、氷酢酸、グルコノデルタラクトン、L酒石酸、DL酒石酸などをあげることができる。
糖類には、グルコース、ガラクトース、マンノース、フラクトースなどの単糖類、マルトース、ラクトース、トレハロース、ニゲロース、イソマルトース、パノース、ショ糖などのオリゴ糖類、ソルビット、マンニットなどの糖アルコール類を適宜選択して1種あるいは2種以上組合せて使用することができる。
本発明の内臓脂肪蓄積予防または蓄積改善剤は、脂肪エネルギー比率が30%を超える対象者に用いられることが、内臓脂肪の蓄積予防または蓄積改善効果が顕著に得られるという観点から好ましい。さらには、脂肪エネルギー比率が40%を超える対象者に用いられることが、内臓脂肪の蓄積予防または蓄積改善効果がより顕著に得られるという観点からより好ましい。加えて、脂肪エネルギー比率が50%を超える対象者に用いられることが、内臓脂肪の蓄積予防または蓄積改善効果が特に顕著に得られるという観点から特に好ましい。脂肪エネルギー比率の上限は特にないが、通常は、例えば、70%程度である。
尚、後述の実施例では、「脂肪エネルギー比率」が59.0%の場合の例を示している。一方、前述のように、厚生労働省の資料によれば、日本人における「脂肪エネルギー比率」の上限目標値は、性別や年齢によって異なるが25〜30%の範囲である。「脂肪エネルギー比率」がこの上限目標値より高くなると、動脈硬化症、肥満、糖尿病などのメタボリックシンドロームの発症のリスクが高まると考えられている。即ち、日本人において上限目標値を超えると、食摂取過多によるメタボリックシンドロームの発症をする可能性が高くなると考えられている。従って、「脂肪エネルギー比率」が59.0%の場合の例である実施例においてエピラクトースの内臓脂肪蓄積予防または蓄積改善に対する有効性が示されたことから、「脂肪エネルギー比率」が上限目標値である30%を超える場合にもエピラクトースが内臓脂肪蓄積予防または蓄積改善に有効であることは、当業者には十分に予想できることである。
本発明の内臓脂肪蓄積予防または蓄積改善剤の投与対象は、ヒトまたはヒト以外の動物であることができる。本発明においてヒト以外の動物とは、産業用動物、伴侶動物および実験動物等を指す。産業動物とは、ウシ、ウマ、ブタ、ヤギ、ヒツジなどの家畜、ニワトリ、アヒル、ウズラ、七面鳥、ダチョウなどの家禽、ブリ、ハマチ、マダイ、マアジ、コイ、ニジマス、ウナギなどの魚類など産業上使用することが必要とされる動物である。また、伴侶動物とは、イヌ、ネコ、ハムスター、フェレット、ウサギなど家庭用ペットを示す。実験動物とは、ビーグル犬、ミニブタ、アカゲザル、カニクイザルなど医学、生物学、農学、薬学などの分野において研究目的で使用される動物を指す。
尚、本発明において、内臓脂肪蓄積予防または蓄積改善剤は、特定保健用食品を包含することができる。
本発明の内臓脂肪蓄積予防または蓄積改善剤は、有効成分であるエピラクトースを1日当たり50〜1000mg/kg体重の範囲、好ましくは100〜500mg/kg体重の範囲になるように、医療従事者の指示の下で、脂肪エネルギー比率も考慮して、例えば、経口投与することが適当である。
<食品、飲料、飼料>
本発明は、エピラクトースを含有し、かつ脂肪エネルギー比率が30%を超える対象者に用いられるための食品、飲料および飼料を包含する。ここで用いられるエピラクトース、脂肪エネルギー比率、および対象者は上記内臓脂肪蓄積予防または蓄積改善剤において説明したものと同様である。本発明の食品、飲料および飼料は、脂肪エネルギー比率が40%を超える対象者に用いられることが、内臓脂肪の蓄積予防または蓄積改善効果がより顕著に得られるという観点からより好ましい。本発明の食品、飲料および飼料は、脂肪エネルギー比率が50%を超える対象者に用いられることが、内臓脂肪の蓄積予防または蓄積改善効果が特に顕著に得られるという観点から特に好ましい。
本発明の食品、飲料および飼料は、1日当たり50〜1000mg/kg体重の範囲、好ましくは100〜500mg/kg体重のエピラクトースを摂取するように用いられることが、内臓脂肪の蓄積予防または蓄積改善効果がより顕著に得られるという観点から好ましい。
1日当たり50〜1000mg/kg体重の範囲のエピラクトースを摂取するように用いられるようにするために、本発明の食品は、脂肪エネルギー比率が30%を超える対象者が飲食する機会が比較的多い、比較的高脂肪の食品であることができ、かつこの食品に対してエピラクトースを含有させることが好ましい。比較的高脂肪の食品とは、前記表1に示した一般的な加工食品の中で、脂肪が多く、肉類を中心としたハンバーグやシチューなどの脂質のエネルギー比率に基づき、全熱量中に占める脂質由来の熱量の比率(表1中の「脂質kcal比率(%)」に相当する)が40%以上のものであることができ、50%以上のものであることが好ましい。これらは、ファーストフード店やファミリーレストランなど一般消費者が頻繁に立ち寄る外食店においてメインメニューに挙げられる品目であり、いずれも高脂肪食の代表例である。
例えば、体重60kgの食用対象者が、1日当たり50mg/kg体重のエピラクトースを、1品の高脂肪食(本発明の食品)から全量摂取する場合には、本発明の食品は、3000mg(3g)のエピラクトースを含有すればよい。但し、通常は、食用するのは1品のみではなく、かつ高脂肪食も1食でのみ食用するとは限らず、さらには本発明の飲料からもエピラクトースを摂取することで、所定量のエピラクトースを摂取することができるので、上記よりも少ないエピラクトース含有量の食品も本発明の食品に含まれるものである。そのような観点から、本発明の食品は、例えば、10〜300mg/100gのエピラクトースを含有するものであることができる
本発明の飼料についても、食品と同様に、1日当たり50〜500mg/kg体重の範囲のエピラクトースを摂取するように用いられるようにするために、脂肪エネルギー比率が30%を超える対象者が飲食する機会が比較的多い、比較的高脂肪の飼料であることができ、かつこの飼料に対してエピラクトースを含有させることが好ましい。
また、本発明の飲料は、比較的高脂肪の食品と一緒に飲用される機会が多い、例えば、ウーロン茶、緑茶、果汁飲料や炭酸飲料などの清涼飲料水、ビールを始めとするビール系飲料、焼酎、酎ハイ、ウイスキーなどのアルコール飲料を挙げることができ、かつこの飲料に対してエピラクトースを含有させることが好ましい。さらに、本発明の食品で説明したと同様の観点から、本発明の飲料は、例えば、5〜5000mg/100gのエピラクトースを含有するものであることができる。
但し、通常は、飲料のみではなく、上記本発明の食品からもエピラクトースを摂取し、かつ1回のみの飲用ではなく、複数回の飲用で、所定量のエピラクトースを摂取することができるので、上記よりも少ないエピラクトース含有量の飲料も本発明の飲料に含まれるものである。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、これに限定されるものではない。
〔実施例1〕
ラットに高脂肪食を与え、エピラクトース投与群と非投与群の脂肪蓄積量を比較した。すなわち、通常飼料であるCRF−1を与えた群(4W普通食群)および高脂肪食負荷食餌性肥満モデルラットの群(4WHF−コントロール群)を対照群として設定し、高脂肪食負荷食餌性肥満モデルラットにエピラクトースを100または500mg/kgで1日1回28日間強制経口投与させ、その脂肪蓄積抑制効果を検討した。高脂肪食は、後述のように「脂肪エネルギー比率」が59.0%のものである。
1)被験物質調製液
エピラクトースを精秤し、メスシリンダーを用いて日本薬局方精製水(ヤクハン製薬株式会社)で50mg/mL調製液を調製した。また、本液をメスシリンダーを用いて同精製水で5倍希釈し、10mg/mL調製液を調製した。
2)試験動物に関する事項
生後4週齢のCrlj:WI系のSPF雄性ラット(日本チャールス・リバー株式会社)を受入れた。各個体の識別は、油性フェルトペンで尾部に印を付けることにより行った。
(飼育環境条件)
飼育室は、温度22±3℃、相対湿度50±20%、換気回数8〜13回/時間、12時間の人工照明(午前8時から午後8時)に設定した。ブラケット式金属製金網床ケージ(260W×380D×180H、mm)に収容し、ケージ当たりの収容匹数は検疫および馴化期間では2または3匹、群分け後は1匹とした。ケージは群分け時、それ以降は2週に1回の頻度で交換した。飼育室内は毎日清掃および消毒した。消毒には塩素系消毒薬(ピューラックス、株式会社オーヤラックス)あるいはヨウ素系消毒薬(マイクロクリーン、株式会社エコラボ)を1週間単位で交互に使用した。
(飼料)
検疫および馴化期間中は、γ線照射固定飼料(CRF−1、オリエンタル酵母工業株式会社製)を金属製給餌器により自由に摂取させた。群分け後は、4W普通食群はCRF−1を、4WHFの各群は高脂肪食(5TA1 Butter60%kcal Diet10(Brown)、PMI Nutrition International)をそれぞれ金属製給餌器により自由に摂取させた。なお、普通食群に与えたCRF−1のカロリーは359kcal/100g、脂質由来カロリーは51.3kcal/100gであるため、脂質由来エネルギー比率は14.3%。一方、高脂肪食負荷群に与えた5TA1は509kcal/100g、脂質由来カロリーは300.2kcal/100g、脂質由来エネルギー比率=「脂肪エネルギー比率」は59.0%であった。
尚、上記のように本実施例では、「脂肪エネルギー比率」が59.0%の例を示す。
(飲料水)
水道水を給水器により自由に摂取させた。給水器の交換は2日に1回以上の頻度で行った。
(検疫及び馴化)
群分け日を含め6日間の検疫および馴化飼育を行った。検疫および馴化期間中に毎日1回の一般状態観察ならびに動物受入日、馴化3日目、群分け日に体重測定を実施した。
(群分け)
群分け日の体重に基づいて層化無作為抽出法により各群の体重が均一になるように群分けを行った。選抜から外れた動物は試験系から除外した。
3)試験方法
(試験群)
普通食を与えた群を4W普通食群、高脂肪食のみを与えた群を4WHF−コントロール群、高脂肪食に加えエピラクトースを100mg/kgとなるように1日1回経口投与する群を4WHF−エピラク100、高脂肪食に加えエピラクトースを500mg/kgとなるように1日1回経口投与する群を4WHF−エピラク500とした。試験群を表2に纏めた。
(被験物質の投与)
被験物質は、経口投与でディスポーザブル胃ゾンデおよびディスポーザブルシリンジを用いて胃内に強制経口投与した。投与容量は10mL/kgとし、1日1回28日間反復投与した。
(観察、測定および検査項目)
投与開始日を1日目と起算し、投与28日の翌日まで一般状態(生死、外観、行動)の観察、体重、摂餌量および摂水量の測定を経時的に行った。投与28日の15時から18時より絶食を開始し、翌日の9時よりエーテル麻酔下で腹大動脈より採血後、腹大動脈を切断し放血により安楽死させた。これより内臓脂肪(腸間膜、精巣上体周囲、後腹膜および腎周辺脂肪)、腰部皮下脂肪、肝臓、腎臓、副腎および胸腺を摘出し、重量を測定した。また乳酸菌およびビフィズス菌定量用に糞便および盲腸内容物を採取した。
(採血)
採血した血液を分離剤入り試験管(セパクリーン、栄研器械株式会社)に採取し、室温に45から60分放置後、4℃、3500回転/分で10分間遠心分離(CF7D2、日立工機株式会社製)し、血清を得た。
(生化学的検査)
血清を用いて表3に示した検査項目を測定した。
(乳酸菌及びビフィズス菌数の定量)
盲腸内容物中の乳酸菌およびビフィズス菌数の定量を目的として、リアルタイムPCR法により16SrDNAコピー数を測定した。4W普通食群および4WHF各群より採取した糞便約150mg、および盲腸内容物それぞれ約250mgからDNAの抽出を行った。トータルDNAの抽出は、UltraCleanFecal DNAキット(MOBIO)を使用し、添付のプロトコルにしたがって行った。
抽出したDNA溶液をテンプレートとしてリアルタイムPCRを行った。PCR は、SYBR Premix Ex Taq(Perfect Real Time)(TAKARA Bio)を用い、添付のプロトコルにしたがって行った。PCR 反応にはリアルタイムPCRシステムである Smart Cycler II System(TAKARA Bio)を使用した。乳酸菌16S rDNAコピー数の定量には、最初に95℃で30秒間反応させ、継いで95℃で5秒間、57℃で15秒間、72℃で15秒間のPCR反応を行った。またビフィズス菌16S rDNAコピー数の定量には、最初に95℃で30秒間反応させ、継いで95℃で5秒間、64℃で15秒間、72℃で15秒間の PCR 反応を行った。反応後、Smart Cycler II System(TAKARA Bio)に添付のプロトコルにしたがい16S rDNAのコピー数を定量した。
4)統計処理
各試験群の体重、摂餌量、摂水量、器官重量(絶対重量)および生化学的検査の各パラメーターを平均±標準偏差で表し、各項目ごとにTurkey−Kramerの検定で群間比較を行った。有意水準は5および1%とした。
5)試験結果
投与期間中における一般状態では、どの群にも異常はみられなかった。しかし、臓器重量および生化学的検査において4WHF−エピラク500群の1例で異常値が認められたため、参考値とし、本群では5例の平均±標準偏差を示した。その他の群では6例の平均±標準偏差を示した。
(体重)
4W普通食群の投与1日の体重は143±7gであり、投与28日の体重は360±24gであった。また、絶食後の投与28日翌日は325±20gであった(図1)。正常に体重増加し、特に異常は認められなかった。一方、4WHF−コントロール群では、投与1日の体重は144±6gであり、投与28日の体重は401±16gであった(図1)。また、絶食後の投与28日翌日は383±16gであった。投与11日頃から4W普通食群に比べ高値で推移し、投与28日および投与28日翌日の体重は4W普通食群に対し有意に高値であった。
これに対し、4WHF−エピラク100群および4WHF−エピラク500群の投与1日の体重はそれぞれ145±7gおよび144±7gであり、投与28日の体重はそれぞれ393±19gおよび388±27gであった。また、絶食後の投与28日翌日はそれぞれ374±19gおよび370±27gであった(図1)。2つの4WHF−エピラク群は4WHF−コントロール群に比べ低値傾向で推移した。投与28日翌日はそれぞれ4W普通食群に対し、有意に高値であった。
(摂餌量)
4WHFの各群は4W普通食群に比べ、投与4日以降有意に低値で推移した(図1)。4WHFの各群においては、エピラク投与群がコントロール群と比較して摂餌量が低かった。
(摂水量)
4W普通食群は投与1日から投与15日まで摂水量が増加し、投与15日以降は50g/dayの値で推移した。4WHF各群は、4W普通食群に比べ低値傾向で推移し、4WHF−コントロール群は投与2日の摂水量が、4WHF−エピラク100群は投与2、4および15日の摂水量が4W普通食群に対し有意に低値であった(図1)。4WHF−コントロール群と4WHF−エピラク500群はほぼ同様の値で推移し、4WHF−エピラク100群はそれよりも低値で推移した。
(器官重量)
4W普通食群の器官重量は、肝臓が10.3119±0.9621g、腎臓が2.3826±0.2099g、副腎が0.0666±0.0126g、胸腺が0.5951±0.0597g、腸間膜脂肪が3.8598±0.4047g、精巣上体周囲脂肪が4.7065±0.4725g、後腹膜および腎周辺脂肪が5.0871±0.6542g、内臓脂肪合計が13.6533±1.2169g、腰部皮下脂肪が6.8617±1.6038gであった(図2)。
4WHF各群の器官重量は以下の通りであった。4WHF−コントロール群の器官重量は、肝臓が12.0712±0.7632g、腎臓が2.5297±0.1455g、副腎が0.0615±0.061g、胸腺が0.7363±0.1422g、腸間膜脂肪が8.2190±1.0593g、精巣上体周囲脂肪が11.2646±2.0366g、後腹膜および腎周辺脂肪が11.0784±2.0035g、内臓脂肪合計が30.5620±2.0498g、腰部皮下脂肪が15.3852±4.0836gであった(図2)。4WHF−コントロール群は、4W普通食群に対し肝臓は高値傾向であり、各脂肪は統計学的に有意に高値であった。
それに対し、4WHF−エピラク100群は4W普通食群に対して4WHF−コントロール群とほぼ同様の傾向で、各脂肪は統計学的に有意に高値であったが、4WHF−コントロール群に比べ各脂肪は低値傾向であり、内臓脂肪合計は有意に低値であった(図2)。また、4WHF−エピラク500群は、4W普通食群に対して腰部皮下脂肪を除く各脂肪において統計学的に有意に高値であったものの、4WHF−コントロール群と比較して各脂肪は低値であり、腸間膜脂肪、内臓脂肪合計および腰部皮下脂肪において有意に低値であった(図2)。
(生化学的検査)
グルコース(GLU)は、4W普通食群で122±13mg/dLであり、他の群はこれより高値であったものの最高が4WHF−エピラク500群の137mg/dLでどの群もほぼ同様の値であった(図3)。
中性脂肪(TG)は、4W普通食群で51±30mg/dLであった。4WHF各群は、4WHF−コントロール群、4WHF−エピラク100群、4WHF−エピラク500群はそれぞれ43±12mg/dL、42±20mg/dL、47±7mg/dLであり、4W普通食群とほぼ同様の値であった(図3)。
総コレステロール(TCHO)は、4W普通食群で57±7mg/dLであり、一方、4WHF−コントロール群、4WHF−エピラク100群、4WHF−エピラク500群はそれぞれ64±11mg/dL、62±10mg/dL、69±15mg/dLと群間差は認められなかった(図3)。
低比重リポタンパク質(LDL)は、4W普通食群で10±3mg/dLであり、一方、4WHF−コントロール群、4WHF−エピラク100群、4WHF−エピラク500群はそれぞれ10±2mg/dL、10±3mg/dL、11±4mg/dLと群間差は認められなかった(図3)。
高比重リポタンパク質(HDL)は、4W普通食群で37±5mg/dLであり、一方、4WHF−コントロール群、4WHF−エピラク100群、4WHF−エピラク500群はそれぞれ45±7mg/dL、42±6mg/dL、46±9mg/dLと4W普通食群に対し高値傾向を示したが、4WHF群間で差は認められなかった(図3)。
4W普通食群のインスリンは0.440±0.199ng/mLであった。一方、4WHF−コントロール群、4WHF−エピラク100群、4WHF−エピラク500群はそれぞれ0.754±0.363ng/mL、0.540±0.272ng/mL、0.652±0.162ng/mLであり、4WHF各群は4W普通食群に対し高値傾向を示したが、4WHF−エピラク100群、4WHF−エピラク500群は4WHF−コントロール群に比べ統計学的有意差はみられなかったものの低値傾向を示した(図3)。
4W普通食群のレプチンは0.934±0.185ng/mLであった。4WHF−コントロール群、4WHF−エピラク100群、4WHF−エピラク500群はそれぞれ3.413±0.414ng/mL、2.322±0.769ng/mL、2.428±0.511ng/mLであり、4WHF各群は4W普通食群に対し有意に高値であったが、その中で4WHF−エピラク100群および4WHF−エピラク500群は4WHF−コントロール群と比較して有意に低値であった(図3)。
各群の腸内細菌数を測定した結果、乳酸菌数については、図4に示したように試験の前後で変化がなく、ビフィズス菌は試験前後で検出限界以下であった。本試験で使用したラットではこれら腸内細菌が定着しておらず、プレバイオティクス効果を有するエピラクトースを摂取させてもこれら細菌が増殖しなかったと考えられた。
以上の結果より、4WHF−コントロール群では、4W普通食群に比べ、体重の増加、器官重量における各脂肪重量の増加が見られた。このことから高脂肪食の28日間の摂食によりラットは充分肥満するものと考えられた。
食餌性肥満モデルラットに食餌負荷開始と同時にエピラクトースを100mg/kgおよび500mg/kgで1日1回、28日間反復投与した結果、高脂肪食負荷モデルに対しては脂肪蓄積抑制効果を有意に示した。
エピラク各群においては、コントロール群と比較して摂餌量が有意に低下しており、摂餌量の減少が内臓脂肪の蓄積を抑制したと考えられた。このことから、エピラクトースの摂取は、高脂肪食負荷時に摂餌量を抑え、摂取カロリーを適正化させる効果があると考えられた。
また、プレバイオティクス効果の有無を検討する目的で腸内乳酸菌及びビフィズス菌を測定したが、試験前後でエピラク投与群において乳酸菌は変化せず、ビフィズス菌については検出限界以下であった。このことから、本試験系で得られた脂肪代謝改善効果は、プレバイオティクス効果に基づくものではないと考えられた。
このことは、プレバイオティクス効果により脂肪の代謝が改善された場合、血中コレステロールの低下が認められるが、本試験系ではこれが認められていないことも本明細書にて得られた脂肪代謝改善効果がプレバイオティクス効果により得られたものではないことを示している。さらに、本試験系では、血中インスリンおよびレプチンの低下効果が認められており、エピラクトースは腸内細菌フローラの改善を介さなくても直接的に脂肪代謝を改善し、内臓脂肪の蓄積を抑制する機能があると考えられた。
そこでエピラクトースが脂肪代謝関連遺伝子の発現に影響するかを検討することを目的として肝臓と脂肪組織における脂肪代謝関連遺伝子の発現解析を行った。
4W普通食群および4WHF各群より採取した肝臓および脂肪組織それぞれ約30mgからRNAの抽出を行った。トータルRNAの抽出は、RNeasy Mini Kit(QIAGEN)を使用し、添付のプロトコルにしたがって行った。
次に、抽出したRNAからcDNAへの逆転写反応を行った。逆転写反応はHigh
Capacity cDNA Archive Kit(Applied Biosystems)を使用し、添付説明書の方法にしたがって行った。すなわち、RT master mixを50μlずつ1.5ml容マイクロチューブに分注し、そこへトータルRNAを50μl加えて混合した。逆転写反応は、最初に25℃で10分間、さらに37℃で120分間保持し、cDNAサンプルを合成した。これを以下の遺伝子発現量の解析に使用した。
まず、肝臓における脂肪関連遺伝子の発現量を定量PCRにより測定した。すなわち、脂肪分解系に関わるCPT1遺伝子の発現を制御しているPPARα遺伝子および脂肪合成系に関わるFAS遺伝子の発現を制御しているSREBP−1遺伝子の発現量を測定した。
定量PCRでは、GAPDHを内部標準遺伝子とし、その相対値として評価した。PCRは、TaqMan Universal PCR Master Mix(Applied Biosystems)を用い、添付のプロトコルにしたがって行った。PCR反応にはリアルタイムPCRシステムであるABI PRISM 7500を使用した。PCRのサイクルは、最初に50℃で2分間、次いで95℃で10分間反応させた。その後、95℃で15秒間、60℃で1分間のPCR反応を40サイクル行った。反応後、ABI PRISM 7500添付の説明書にしたがい、mRNAの発現量を定量した。得られた結果は、各群の平均値および標準偏差を算出し、多重比較法であるシェッフェのF検定を用いて統計学的検定を行った。有意水準はP<0.05およびP<0.01とした。
その結果、高脂肪食ではエピラクトース摂取群においてPPARα遺伝子の発現量の増加およびSREBP−1遺伝子の発現量の低下が認められた(図5)。
また、FAS遺伝子およびCPT1遺伝子についても発現量を測定した。その結果、FAS遺伝子については発現量の減少が認められたが、CPT1には特に傾向がなかった。
以上の結果から、FAS遺伝子およびSREBP−1遺伝子の発現レベルがいずれもエピラクトースの摂取により低下したことから、エピラクトースは脂肪合成関連遺伝子の発現を低下させることにより脂肪の蓄積を抑制することが示唆された。脂肪代謝系については、CPT1の発現レベルにはエピラクトース投与量との関連性を見出せなかったが、本遺伝子の発現レベルを制御しているPPARα遺伝子は発現レベルが上昇しており、エピラクトースの摂取が脂肪の代謝も促進している可能性がある。
次に脂肪組織におけるエピラクトース投与の遺伝子発現の変化について解析した。脂肪組織には白色脂肪組織と褐色脂肪組織が存在し、前者は過剰に摂取したカロリーを脂質として蓄積し、後者は脂肪を分解して熱を産生することにより体温の保持を行う。この機能の相違から、これらの組織における脂肪の代謝経路が異なる。すなわち、褐色脂肪組織では、ミトコンドリア内膜に特異的に存在するUCP−1により脂肪が分解され、UCP−1発現にはPPARγが大きな影響を及ぼす。一方、白色脂肪組織では、脂肪の蓄積が主な機能であるものの、脂肪の分解もある程度起こり、脂肪であるトリアシルグリセロールの分解をホルモン感受性リパーゼ(HSL)が行う。このように脂肪組織によって脂肪の分解経路が異なるため、エピラクトースの投与による各脂肪組織での遺伝子発現量の変化を解析した。すなわち、白色脂肪組織におけるHSLおよび褐色脂肪組織におけるPPARγの遺伝子発現量を測定した。
その結果、エピラクトースによりHSLの統計学的に有意な発現量の増大が認められた (図7)。このことから、エピラクトースの摂取により、白色脂肪細胞中において脂肪(トリアシルグリセロール)の分解が促進され、生成した遊離脂肪酸が肝臓や褐色脂肪組織で消費されたと考えられた。
本発明は、メタボリックシンドロームの予防薬やメタボリックシンドロームの予防に有効な健康食品、飲料および飼料等の分野において有用である。

Claims (9)

  1. エピラクトースを有効成分とし、脂肪エネルギー比率が30%を超える食餌を摂取する対象者に用いられるための内臓脂肪の蓄積予防または蓄積改善剤(但し、飲食品及び飼料を除く)。
  2. 脂肪エネルギー比率が50%を超える食餌を摂取する対象者に用いられるための請求項1に記載の内臓脂肪蓄積予防または蓄積改善剤。
  3. 対象者がヒトまたはヒト以外の哺乳類である請求項1または2に記載の内臓脂肪蓄積予防または蓄積改善剤。
  4. エピラクトースを、1日当たり50〜1000mg/kg体重の範囲で、脂肪エネルギー比率が30%を超える食餌を摂取する対象者に摂取させることを含む、内臓脂肪の蓄積予防または蓄積改善方法(但し、ヒトに対する医療行為を除く)。
  5. 脂肪エネルギー比率が50%を超える食餌を摂取する対象者に用いられるための請求項4に記載の方法。
  6. エピラクトースを有効成分とし、脂肪エネルギー比率が30%を超える食餌を摂取する対象者に用いられるための内臓脂肪の蓄積予防または蓄積改善用飲食品。
  7. 脂肪エネルギー比率が50%を超える食餌を摂取する対象者に用いられるための請求項6に記載の飲食品。
  8. エピラクトースを有効成分とし、脂肪エネルギー比率が30%を超える食餌を摂取する対象者に用いられるための内臓脂肪の蓄積予防または蓄積改善用飼料。
  9. 脂肪エネルギー比率が50%を超える食餌を摂取する対象者に用いられるための請求項8に記載の飼料。
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