JP2023518058A - ヒト対象でウロリチンの産生を増強するための組成物 - Google Patents

ヒト対象でウロリチンの産生を増強するための組成物 Download PDF

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Abstract

本発明は、1)ザクロの調製物、および/またはエラジタンニンおよび/またはエラグ酸の別の供給源と、2)1つ以上のヒト母乳オリゴ糖(HMO)を含む組成物に関する。本明細書には、前記組成物をヒト対象に投与することにより腸内でのウロリチンAおよび/または他のウロリチンの産生を改善する方法も開示されている。【選択図】図5

Description

本発明は、1)ザクロの調製物、および/またはエラジタンニンおよび/またはエラグ酸の別の供給源と、2)1つ以上のヒト母乳オリゴ糖(HMO)を含む組成物に関する。本明細書には、前記組成物をヒト対象に投与することにより腸内でのウロリチンAおよび/または他のウロリチンの産生を改善する方法も開示されている。
ウロリチンは、腸内微生物叢によるエラジタンニンおよび/またはエラグ酸の異化から生じる腸内微生物叢由来の代謝産物である。エラジタンニンが豊富な供給源は、ザクロとある種の果実とナッツ(ラズベリー、イチゴ、ブラックベリー、およびクルミなど)である。
エラジタンニンは腸内で加水分解されてエラグ酸を放出し、それがさらに腸内微生物叢によって処理され、その2つのラクトンの一方の喪失を通じて、そしてヒドロキシル基の連続的な除去によってウロリチンになる。
ヒトでは、ウロリチンA、ウロリチンB、およびイソウロリチンAが、エラジタンニンおよび/またはエラグ酸の異化変換の測定可能な最終代謝産物である(図1参照)。ウロリチンAはヒトの血漿と尿で観察される主要な代謝産物であり、その中ではそれが主にグルクロン酸および/または硫酸塩との複合体の形態として生じる。
ウロリチンA、B、C、Dはすべて線虫カエノラブディティス・エレガンスの寿命を延長させる能力を持つことが示されている(19.0%と45.4%の間)。ウロリチンAは処置の全期間を通じてマイトファジーを活性化させた。マイトファジーは、損傷を受けたか過剰なミトコンドリアをオートファジーによって除去するプロセスである。結果は、ウロリチンAを用いた処置がより老齢の線虫でミトコンドリアの生合成を活性化することをさらに示唆していた。咽頭ポンピングの速度と移動度がウロリチンAを用いた処置によって加齢中に改善された。同様の効果がウロリチンBで観察されたが、ウロリチンCとウロリチンDは利益が少ないか、なかった(Ryu他2016年)。ウロリチンAを用いた処置は、老齢マウスで改善された持久力(走行持久力が42%増)と増加した筋機能(自発的運動よりも57%高いレベル)を示した。除脂肪筋肉量は増加しなかったため、これはウロリチンが筋肉細胞の量よりも質を改善することを示唆する。分子レベルでは、ウロリチンAを用いた処置によりオートファジーとマイトファジーの転写産物がより多く発現するという一般的な傾向につながる(Ryu他2016年)。
さらに、ウロリチンAは、臨床試験において、ミトコンドリアの健康に対して有望な効果を持つこと示されている。ウロリチンAは、500 mg/日と1000 mg/日の用量で28日間経口投与した後、ヒトの骨格筋でミトコンドリアの生合成を促進した(Andreux他2019年)。
ミトコンドリアは細胞の中央エネルギー発生装置であり、広い範囲の細胞プロセス(細胞ホメオスタシスの調節が含まれる)で重要な役割を果たしている。複雑な調節ネットワークが新たなミトコンドリアの生成(ミトコンドリア生合成)と損傷したミトコンドリアの除去(マイトファジー)をバランスさせて健康な加齢と長寿の基礎を形成する。
マイトファジーの効率は加齢とともに低下し、損傷したミトコンドリアおよび/または過剰なミトコンドリアの蓄積の漸増、細胞機能の悪化につながり、最終的に細胞死に至る。たいていの加齢関連疾患、特に神経変性疾患は、ミトコンドリアが関与する。ミトコンドリアの障害は、糖尿病、がん、心血管疾患、アルツハイマー病、パーキンソン病、多発性硬化症、筋萎縮性側索硬化症、加齢性黄斑変性症、慢性炎症、および自己免疫障害などの多彩な疾患と関係している(Haas2019年)。損なわれているか欠陥のあるマイトファジーがアルツハイマー病(Fang他2019年)とパーキンソン病(Srivastava 2017年)の進行にとって重要であることは周知である。
骨格筋におけるミトコンドリアの機能の悪さは、老人における遅い歩行速度および弱い筋力と密接に結びついている。老齢者における筋肉機能の低下はより広い症候群の一部であることがしばしばあり、フレイル(虚弱)と名づけられている。フレイルは、障害、入院、および死亡に関する1つの重要なリスク因子である。マイトファジー関連遺伝子の発現低下が、フレイルである老齢者におけるより遅い歩行速度と相関していることが報告された(Drummond他2014年)。
新たに示されつつある証拠は、増強されたマイトファジーは、健康な加齢を促進するほか、さまざまな加齢関連の病状の発症と進行を遅延させることを示唆する。したがってマイトファジーの改変は、加齢に関連した虚弱を緩和するための潜在的な治療的アプローチとして役立つ可能性がある。
したがってウロリチンは、ミトコンドリアの機能と結びついたある種の加齢プロセスを遅延させることに関係する有益な効果を持つため、ウロリチンは加齢集団にとって貴重な栄養補助食品である可能性があることを示唆する実質的な証拠が存在する。しかし単離されたウロリチンは、規制当局の承認手続きを理由として一般にはヒトに直接投与することができない。ウロリチンAはアメリカ合衆国でGRAS認証がなされたが、欧州連合では新規な食品としてはまだ認可されていない(Djedjibegovic他2020年)。
単離されたウロリチンを消費することの1つの代替法は、エラジタンニンの天然供給源(例えばザクロと、ある種の果実およびナッツ(ラズベリー、イチゴ、ブラックベリー、およびクルミなど))を使用することであり、腸内微生物叢によりエラジタンニンおよび/またはエラグ酸が生体内異化されてウロリチンなることに依存する。
しかしエラジタンニンの天然供給源(ザクロなど)の摂取は一般に適用できる代替策ではない。というのもすべての人が望むウロリチン代謝産物を産生するのに適した腸内微生物叢を持っているわけではないからである。多数の臨床試験で報告されているように、所与の集団の5~30%がエラジタンニンまたはエラグ酸をウロリチンに変換することができないか、痕跡量しか産生することができない(Tomas-Barberan他2014年;Li他2015年)。ウロリチン産生者の中で2つの主要な代謝型が識別されている。すなわちウロリチンAだけを産生する個人と、ウロリチンAに加えてイソウロリチンAおよび/またはウロリチンBを産生する個人である(Tomas-Barberan他2014年)。したがって3つの異なるウロリチン代謝型、すなわちウロリチンAだけの産生者(UM-A)、混合型ウロリチン産生者(UM-B)、および非産生者(UM-0)が、一般に学術文献で言及されている。
どの腸内微生物がエラジタンニンからウロリチンへの異化変換に責任があるかはまだ明確にされていない。多数の臨床試験とインビトロでの研究がこの疑問に光を当てるのに貢献してきており、少なくともいくつかの細菌の群、属、および種が変換である役割を果たしていると認識されている。エガセラ科と放線菌門に属するゴルドニバクター属が、スペインで実施されたいくつかの臨床研究でウロリチン産生と結びつけられている(Gonzalez-Sarrias他2017年;Cortes-Martin他2019年;Romo-Vaquero他2015年)。
細菌種アッカーマンシア・ムシンフィラ(アッカーマニア科、ウェルコミクロビウム門)はインビトロでザクロのエラジタンニンからエラグ酸を産生することができる。この種は、ベースラインにおいてとザクロ抽出物投与の4週間後に、ウロリチンA産生者の糞便サンプルで非産生者と比べてそれぞれ33倍と47倍高い濃度で見いだされた(Li他2015年)。
乳酸菌とビフィズス菌は、ザクロ抽出物を摂取したときUM-Bの個人で減少する(がUM-Aの個人ではそうでない)ことが報告されている(Gonzalez-Sarrias他2017年)。他方で別の臨床研究は、ビフィズス菌がクルミを摂取したときUM-B対象でだけ増加することを報告した(Garcia-Mantrana他2019年)。さらに、出産後のUM-A の女性でUM-Bの個人よりも豊富なビフィズス菌(ビフィドバクテリア科、放線菌門)が見いだされた(Cortes-Martin他2019年)。
ある条件とある代謝型での腸内微生物叢の組成に関する矛盾した報告の同様のケースは、例外であるよりも一般的であるように見える。簡単に述べると、関係のある微生物の場合には、エラジタンニンからウロリチンへの分解は部分的にしか解明されておらず、より多くの経路が存在する可能性が大きい。
非産生者のグループでウロリチンの産生を活性化させる手段の必要性に現時点では対処されていない。なぜならこれら個人は、ウロリチンが健康を改善する効果からの利益がないからである。
特に年齢が50歳を超えた男女のウロリチン非産生者に、改善されたミトコンドリア機能による健康な加齢に関してウロリチンの生理学的な利点からの利益を可能にすることが、本発明の1つの目的である。改善されたミトコンドリア機能の健康上の利益に含まれるのは、筋肉の強さ、健康な心臓と免疫系の保持、および神経変性障害の回避である。
今や、ザクロの果実の調製物に1つ以上のヒト母乳オリゴ糖(HMO)を有効な用量で組み合わせて含む経口組成物の投与が、「非産生者」と見なされる個人におけるウロリチン産生の活性化につながることが、本発明者らによって見いだされた。本明細書で定義されているように、非産生者は、エラジタンニンおよび/またはエラグ酸を含有する食品源を摂取したとき、いわゆる最終ウロリチン代謝産物、すなわちウロリチンA、ウロリチンB、およびイソウロリチンAのいずれも、すなわちこれらのほんのわずかな量も産生しない。体液または組織の中のウロリチン(または他の任意の化合物)の測定に用いる分析装置に固有の検出限界(LoD)が理由で、真の非産生者を曖昧さなく特定することはできない。本明細書では、非産生者を、尿中の最終ウロリチンの最大量がクレアチニン1 mg当たり5 μg未満の個人と定義する。この定義は、Liら(2015年)、上記文献による知見に合致する。なぜならウロリチンAの非産生者は最終ウロリチンの非産生者と技術的に同一だからである。Liら(2015年)は、「ベースラインでUA産生なし」の一群の個人に、ベースラインで尿中にクレアチニン1 mg当たり2.9 μgまでのウロリチンA産生がある個人が含まれることを報告した(Li他、2015年)。したがって尿中にクレアチニン1 mg当たり5 μgの最終ウロリチンという上限は、最終ウロリチンの非産生者と産生者の間の合理的な分離線であるように見える。
上に言及したザクロの果実の調製物を1つ以上のヒト母乳オリゴ糖(HMO)の有効な用量とともに含む経口組成物を投与した後のウロリチンの産生増加は、対応する量のザクロ調製物だけか、エラジタンニンまたはエラグ酸の別の供給源によっては達成できない可能性がある。
第1の側面では、本発明により、ザクロの果実の調製物を1つ以上のヒト母乳オリゴ糖(HMO)の有効な用量とともに含む組成物が提供される。これら物質の組み合わせ効果は、腸内微生物叢による最終ウロリチンの産生増加である。
本発明は、非産生者を同定して治療し、これら個人が改善されたミトコンドリア機能(マイトファジーの増加を含む)のプラスの健康効果からの利益を得ることを可能にする方法にも関する。これは特に中年と老年の個人(50歳超)に当てはまる。同定は、標準化された用量のエラジタンニンを3日連続で摂取した後の個人から得られた尿サンプルの分析に基づく。
第2の側面では、それゆえ本発明により、非産生者であると同定されたヒト対象の治療に用いるための第1の側面による組成物が提供され、前記同定は、以下の工程、
a)標準化された用量のエラジタンニンを前記ヒト対象に3日連続で経口投与する工程と、
b)前記ヒト対象が第1の標準化された用量のエラジタンニンを摂取してから72~88時間後にそのヒト対象から尿サンプルを取得する工程、
c)前記尿サンプルを分析してウロリチンA、ウロリチンB、およびイソウロリチンAの存在とレベルを求める工程、
d)ウロリチンA、ウロリチンB、およびイソウロリチンAの前記レベルをそれぞれUA産生者および混合型産生者での代謝型参照レベルと比較する工程、
e)前記対象がUA産生者、混合型産生者、または非産生者であるかどうかを、対象のレベルと前記参照レベルの比較に基づいて判断する工程を含み、
ウロリチンA、ウロリチンB、およびイソウロリチンAが尿の中にクレアチニン1 mg当たり5 μg未満の合計量で存在していると前記対象が非産生者に分類される。
第3の側面では、本発明は非産生者であると同定されたヒト対象を治療する方法にも関係しており、この方法は、
a)標準化された用量のエラジタンニンを前記ヒト対象に3日連続で経口投与すること、
b)前記ヒト対象が第1の標準化された用量のエラジタンニンを摂取してから72~88時間後にそのヒト対象から尿サンプルを取得すること、
c)前記尿サンプルを分析してウロリチンA、ウロリチンB、およびイソウロリチンAの存在とレベルを求めること、
d)ウロリチンA、ウロリチンB、およびイソウロリチンAの前記レベルをそれぞれUA産生者および混合型産生者での代謝型参照レベルと比較すること、
e)前記対象がUA産生者、混合型産生者、または非産生者であるかどうかを、対象のレベルと前記参照レベルの比較に基づいて判断すること、
f)ザクロの果実の調製物を1つ以上のヒト母乳オリゴ糖(HMO)とともに含む第1の側面による組成物の治療に有効な用量を、非産生者に属すると同定されたあらゆるヒト対象に投与すること、そして
g)場合により、前記同定された対象で最終ウロリチンのレベルの上昇を少なくとも30日間(30日間、60日間、または90日間などであり、好ましくは90日間)にわたってモニタすることを含む。
第4の側面では、本発明は、ヒトの腸においてウロリチン、特に最終ウロリチンの産生を増加させる方法にも関係しており、この方法は、上記の第1の側面による組成物をヒト対象、特に中年または老年(50歳超)のヒト対象に投与することを含む。組成物は、摂取可能な薬として投与すること、医療機器、栄養補助食品、食品添加物、または医療食品、または特別な医学目的の食品として投与することができる。組成物の中の上記1つ以上のHMOは、500 mgと10000 mgの間のHMO/日、例えば少なくとも500 mgのHMO/日、例えば少なくとも750 mgのHMO/日、例えば少なくとも1000 mgのHMO/日、例えば少なくとも2000 mgのHMO/日、例えば少なくとも5000 mgのHMO/日の用量であることが好ましい。
図1:ザクロのエラジタンニン(プニカラギン)が腸内微生物叢によって異化されてウロリチンになることと、UA産生者(代謝型A)と混合型産生者(代謝型B)の間の違い。過渡的中間代謝産物であるルテイック酸はまだ検出されていない。最終ウロリチンは、ウロリチンA、ウロリチンB、およびイソウロリチンAである。他のすべてのウロリチンは中間的ウロリチンと定義される(Garcia-Villalba他2017年)。
図2:2つの時間枠のインキュベーション(0~24時間と0~48時間)の間に3つの異なる基質、すなわち3 g/LのHMO、1 g/Lのザクロ抽出物(PG)、および3g/LのHMO+1g/LのPGを発酵させたときのウロリチンAの産生。陰性対照(ブランク)も含めた。
図3:2つの時間枠のインキュベーション(0~24時間と0~48時間)の間に3つの異なる基質、すなわち3 g/LのHMO、1 g/Lのザクロ抽出物(PG)、および3g/LのHMO+1g/LのPGを発酵させたときのイソウロリチンAの産生。陰性対照(ブランク)も含めた。
図4:2つの時間枠のインキュベーション(0~24時間と0~48時間)の間に3つの異なる基質、すなわち3 g/LのHMO、1 g/Lのザクロ抽出物(PG)、および3g/LのHMO+1g/LのPGを発酵させたときのウロリチンCの産生。陰性対照(ブランク)も含めた。
図5:2つの時間枠のインキュベーション(0~24時間と0~48時間)の間に3つの異なる基質、すなわち3 g/LのHMO、1 g/Lのザクロ抽出物(PG)、および3g/LのHMO+1g/LのPGを発酵させたときの9人のドナーのウロリチンAの平均産生量。陰性対照(ブランク)も含めた。
定義
オートファジー:オートファジーは、細胞内における、その細胞がもはや必要としない細胞質エレメントの調節された消化である。
ビフィズス菌増殖促進性(bifidogenic):腸管内でビフィズス菌の増殖を促進する物質または化合物はビフィズス菌増殖促進性であると言われる。
生合成:新たな生きている生物または細胞小器官の生成。
異化:分子が一連の代謝経路を通じてより小さな単位へと分解されるプロセス。
複合体:2つ以上の化合物を接合することによって形成される化合物。
デコイ受容体:特定の増殖因子またはサイトカインを効率的に認識してそれに結合することができるが、意図する受容体複合体のシグナル伝達または活性化は構造的に可能でない受容体。
エラジタンニン:エラジタンニンはさまざまなクラスの加水分解可能なタンニンであり、1,2,3,4,6-ペンタガロイルグルコースの中のガロイル基の酸化的結合から主に形成されるポリフェノールの一種である。エラジタンニンは加水分解されるとエラグ酸を生じさせる。ザクロ果実に見られるエラジタンニンの例は、プニカルギンAとB、プニカリン、プニカリン異性体である。
最終ウロリチン:最終ウロリチンには、ウロリチンA、ウロリチンB、およびイソウロリチンAが含まれる。これらウロリチンは、ヒトの腸内でのエラジタンニンおよび/またはエラグ酸の異化変換による測定可能な最終代謝産物である。
フコシル化分子:1つ以上のフコース糖単位が付加された分子。
腸内微生物叢:腸内微生物叢は胃腸管に棲み着いている微生物コミュニティである。
ホメオスタシス:生きている系によって内部の物理的・化学的条件が安定に維持されている状態。
ヒト母乳オリゴ糖(HMO):ヒト母乳オリゴ糖はHMOと略され、ヒトの母乳に見いだされる複雑な炭水化物である。HMOは、還元端に1つ以上のβ-N-アセチル-ラクトサミニルおよび/または1つ以上のβ-ラクト-N-ビオシル単位を延長させることのできるラクトース単位を含むコア構造を持ち、このコア構造は、α-L-フコピラノシルおよび/またはα-N-アセチル-ノイラミニル(シアリル)部分で置き換えることができる。この点に関し、非酸性(または中性)HMOはシアリル残基を欠いており、酸性HMOは少なくとも1つのシアリル残基をその構造中に有する。非酸性(または中性)HMOはフコシル化すること、または非フコシル化することができる。
外皮:外皮は、通常は、さまざまな種子と果実の乾燥した外側被覆または膜性の外側被覆である。ザクロの外皮は2つの部分からなる。すなわち外側クチクラ層と繊維性マットを提供する果皮と、海綿状の組織で内側果実壁である中果皮であり、後者に多肉質の種衣が付着する。
加水分解:水分子の添加によってある分子が2つの部分に切断される化学的プロセス。
中間ウロリチン:中間ウロリチンには、ウロリチンM-5、ウロリチンM-6、ウロリチンM-7、ウロリチンC、ウロリチンD、およびウロリチンEが含まれる。これらウロリチンは、エラジタンニンおよび/またはエラグ酸がヒトの腸内で異化変換によって最終代謝産物であるウロリチンA、ウロリチンB、およびイソウロリチンAになるときの測定可能な中間代謝産物である。
代謝産物:代謝産物は、代謝の間、すなわち消化または他の生理学的化学的プロセスの間に産生されるあらゆる物質である。
代謝型:代謝表現型、すなわち個人を特徴づける代謝の種類。
マイクロビオーム:マイクロビオームは、特定のニッチ(ヒトの腸など)の微生物のコレクション全体である微生物叢の中の全遺伝材料を含む。
ミトコンドリア:ミトコンドリアは、真核細胞のエネルギー発生装置として機能する膜結合細胞小器官であり、酸素と栄養素をアデノシン三リン酸(ATP)に変換する。ミトコンドリアは、細胞のシグナル伝達活性のためにカルシウムを貯蔵し、熱を発生させ、細胞の増殖と死の媒介もする。ミトコンドリアは、2つの明確な膜と1つの独自のゲノムを持つ点が他の細胞小器官とは異なる。さらに、ミトコンドリアは二分裂によって増殖する。
マイトファジー:機能障害があるか過剰なミトコンドリアのオートファジーによる選択的分解。
混合型産生者:最終ウロリチンとしてウロリチンAに加えてウロリチンBおよび/またはイソウロリチンAを産生する個人。
非産生者:最終代謝産物であるウロリチンA、ウロリチンB、またはイソウロリチンAのいずれも産生しないか、少量(本明細書では尿中にクレアチニン1 mg当たり5 μg未満と定義する)しか産生しない個人。
果皮:熟した果実の外層。
絞りかす:果汁または油を得るために圧搾した後の果実の固形残留物。
プニコシド:プニコシドという用語は、ザクロ果実の中のプニカルギンとプニカリンを意味し、その中にはプニカルギンAとB、プニカリンAとB、およびプニカリン異性体が含まれる。
プレバイオティクス:ヒト腸内細菌叢が改変されることで宿主に健康上の利益を提供する食品成分であり、通常はオリゴ糖。
骨格筋:骨格筋は身体の3種類の筋肉のうちで最も一般的である。たいていの骨格筋は腱によって骨に付着しており、身体の部分間の互いに関連したあらゆる運動を生み出す。骨格筋は体細胞神経系の意図的な制御下にある。
UA産生者:最終ウロリチンとしてウロリチンAだけを産生する個人。
少なくとも3つのタイプのウロリチン産生者または代謝型が、いくつかの研究グループによって実施された多数の臨床試験で報告されている。第1に、最終ウロリチン代謝産物を、またはいかなる種類のウロリチンさえも、またはそのほんの痕跡さえも産生しないと記述される個人が存在する。これら個人は「非産生者」と呼ばれることがしばしばある。異なる臨床試験によれば、非産生者の群は人口の5~30%を占める(Tomas-Barberan他2014年;Li他2015年)。しかしこの群の個人によって排泄されるウロリチンがないという報告は、これら個人がウロリチンをまったく産生しないことの事実上の証明というよりは分析問題として理解すべきである(Cerda他2004年;Nunez-Sanchez他2014年;Truchado他2012年)。これは、介入試験において実践的に対処され(Li他2015年)、尿中のベースラインウロリチンA含量がクレアチニン1 mg当たり2.9 μgまでである参加者が非産生者に分類された。
したがって上述のように、「非産生者」は、本明細書では、エラジタンニンおよび/またはエラグ酸を含有する食品源を摂取したとき、最終のウロリチンA、ウロリチンB、およびイソウロリチンAを少量であっておそらく生理学的に無意味な量で産生する個人と定義される。なぜならこのグループの個人にこれら代謝産物がまったく存在しないと主張する科学的な根拠は存在しないように見えるからである。Liら(2015年)の観察に基づき、非産生者を、尿中の最終ウロリチンの最大量がクレアチニン1 mg当たり5 μg未満である個人と定義する。
第2に、最終代謝産物としてウロリチンAだけを産生する個人の優勢な群が存在する。排他的ウロリチンA産生者からなるこの群は人口の25~80%を占める。最後に、ウロリチンAをウロリチンBおよび/またはイソウロリチンAに加えて産生する個人からなるより異質な群が存在する。混合型産生者のこの群は所与の集団の10~50%を占める。他の代謝型が存在する可能性がある。なぜなら代謝型の研究の大半はスペイン人の集団でなされており、あらゆる文化と人種の群を代表していない可能性があるからである。
これらの群が発生することの直接的な解釈は、非産生者は、最終ウロリチンまたはすべてのウロリチンの効率的な産生に必要な1つ以上の細菌種または細菌群を欠いているか、これらの細菌が不十分なくらいに低レベルでしか存在しないというものである。腸内微生物叢の組成または機能の遺伝子多型または違いも、エラジタンニンが豊富な食品の摂取に対する個人の異なる応答に寄与しているであろう。この点に関し、個人間で代謝が大きく異なることが、エラジタンニン以外のいくつかのフェノール化合物(リグナンやプロシアニジンなど)について記載されている(Avila-Galvez他2020年)。
言い換えると、非産生者は、おそらく、さまざまな原因により最終ウロリチンまたはすべてのウロリチンの産生が不十分になっているむしろ不均一な群である。UA産生者は、ウロリチンA産生に必要なすべての細菌種を含むより均一な群だが、異なる集団の間にはバリエーションが存在する。最後に、混合型産生者の群は、少なくとも3つの下位代謝型、すなわちウロリチンA+イソウロリチンAの産生、ウロリチンA+ウロリチンBの産生、およびウロリチンA+イソウロリチンA+ウロリチンBの産生を含んでいる可能性が大きい。われわれが知る限り、これらの異なる下位代謝型を特徴づける試みはこれまでなされたことがない。
明らかに、非産生者はウロリチンのプラスの健康効果からの利益を得ることができないか、非常に限られた程度の利益しか得られない。したがってこれら個人でウロリチンの産生を活性化させることは、改善されたミトコンドリア機能を通じて彼らの全体的な健康に対する利点となるであろう。そのため、非産生者が自らの代謝型をウロリチン産生代謝型の方向に変化させることで利益を得られると期待するのは合理的であると考えられる。
いくつかの研究だけが、代謝型の間の変換を取り扱っている。健康な授乳中の女性の代謝型が出産後の最初の1年間に4回判定された(Cortes-Marin他2019年)。混合型産生者群の女性の20%が理由不明で代謝型が変化してUA産生者になった。別の臨床試験では、健康な過剰体重-肥満の個人における非産生者からウロリチン産生者への変換が報告されている。6人の非産生者のうちの3人における変換は、ザクロ抽出物を摂取したときに観察された。これら変換の状況はいくらか不明確であるように見える。なぜなら変換があった非産生者の群は、ベースラインにおいて、ゴルドニバクター属のレベルが有意により高い絶対的非産生者と異なっていたからである。さらに、この研究は、変換があった非産生者が実際にウロリチンを産生していることを報告しなかった(Gonzalez-Sarrias他2017年)。
本発明者らは、ザクロの果実の調製物(絞りかす抽出物など)と1つ以上のヒト母乳オリゴ糖(HMO)を含む組成物を投与することにより、非産生者であると同定された個人が自らの代謝型をUA産生者または混合型産生者へと変化させることができ、対応する量のザクロ抽出物だけを投与するときよりも確実にしかも有意により多くウロリチンを産生する結果となることを今や見出した。
第1の側面では、本発明により、
a.ザクロの果実の調製物と、
b.1つ以上のヒト母乳オリゴ糖(HMO)
を含む組成物が提供される。
一実施形態では、HMOは中性HMOまたは酸性HMOから選択される。中性HMOとして、1つ以上のフコシル化HMO、または1つ以上の非フコシル化HMOが可能である。
第1の側面による組成物の投与後、1つ以上の最終ウロリチン代謝産物が尿中にクレアチニン1 mg当たり5 μg以上の量だと、以前の非産生者がUA産生者または混合型産生者になる。
ザクロの果実の調製物は本分野で知られている方法によって得ることができる。いくつかの実施形態では、ザクロの果実の調製物は、ザクロの果皮から得ることができる。この調製物として、ザクロの絞りかすから得られた、すなわち絞った果実の残留物を抽出することにより得られたザクロの果実の抽出物が可能である。この抽出物は乾燥抽出物(粉末または顆粒)であることが好ましい。ザクロの果実の抽出物を調製する本分野で周知の他の方法も本発明の範囲に含まれる。
特別な実施形態は、少なくとも40%のポリフェノールを含むザクロの果実の抽出物に関する。本発明によるザクロの果実の抽出物は、少なくとも30%のプニコシドおよび/または少なくとも20%のプニカラギンをさらに含むことが好ましい。
本発明の第1の側面による組成物は、ザクロの果実の調製物と1つ以上のヒト母乳オリゴ糖(HMO)の間の比率(w/w)が5:1~1:10の範囲に含まれる。
一実施形態では、第1の側面による組成物は、ザクロの果実の調製物(抽出物など)、中性HMOまたは酸性HMOから選択される1つ以上のHMOを含む。中性HMOとして、1つ以上のフコシル化HMO、または1つ以上の非フコシル化HMOが可能である。
したがって第2の側面では、本発明により、非産生者であると同定されたヒト対象の治療に用いるための第1の側面による組成物が提供され、前記同定は、以下の工程、すなわち
a)標準化された用量のエラジタンニンを前記ヒト対象に3日連続で経口投与する工程と、
b)前記ヒト対象が第1の標準化された用量のエラジタンニンを摂取してから72~88時間後にそのヒト対象から尿サンプルを取得する工程、
c)前記尿サンプルを分析してウロリチンA、ウロリチンB、およびイソウロリチンAの存在とレベルを求める工程、
d)ウロリチンA、ウロリチンB、およびイソウロリチンAの前記レベルをそれぞれUA産生者および混合型産生者での代謝型参照レベルと比較する工程、
e)前記対象がUA産生者、混合型産生者、または非産生者であるかどうかを、対象のレベルと前記参照レベルの比較に基づいて判断する工程を含み、
ウロリチンA、ウロリチンB、およびイソウロリチンAが尿の中にクレアチニン1 mg当たり5 μg未満の合計量で存在していると前記対象が非産生者に分類される。
第3の側面では、本発明は、本発明は非産生者であると同定されたヒト対象を治療する方法にも関係しており、この方法は、
a)標準化された用量のエラジタンニンを前記ヒト対象に3日連続で経口投与すること、
b)前記ヒト対象が第1の標準化された用量のエラジタンニンを摂取してから72~88時間後にそのヒト対象から尿サンプルを取得すること、
c)前記尿サンプルを分析してウロリチンA、ウロリチンB、およびイソウロリチンAの存在とレベルを求めること、
d)ウロリチンA、ウロリチンB、およびイソウロリチンAの前記レベルをそれぞれUA産生者および混合型産生者での代謝型参照レベルと比較すること、
e)前記対象がUA産生者、混合型産生者、または非産生者であるかどうかを、対象のレベルと前記参照レベルの比較に基づいて判断すること、
f)ザクロの果実の調製物を1つ以上のヒト母乳オリゴ糖(HMO)とともに含む第1の側面による組成物の治療に有効な用量を、非産生者に属すると同定されたあらゆるヒト対象に投与すること、および
g)場合により、前記同定された対象で最終ウロリチンのレベルの上昇を少なくとも30日間(30日間、60日間、または90日間などであり、好ましくは90日間)にわたってモニタすることを含む。
第2と第3の側面の好ましい一実施形態では、非産生者であると同定された個人の治療は、500~10000 mgのHMO/日と500~5000 mgのザクロの果実の調製物/日を含有する第1の側面による組成物の1日用量を投与することを含む。
ヒト母乳オリゴ糖(HMO)は、ヒトの母乳の中に高濃度で存在する一群の複合糖またはオリゴ糖である。HMOは腸内微生物を選択するための代謝基質として機能するため、幼児の腸内微生物叢の発達に寄与する。言い換えると、HMOはプレビオティック物質として機能する。
HMOは特定の細菌(特にビフィズス菌)の増殖を選択的に促進することによって幼児の腸内微生物叢を形成することが見いだされている。HMOのこうしたビフィズス菌増殖促進効果は構造特異的であり、異なる個人の母乳中のHMOの組成に依存して異なる可能性がある。
HMOによって表わされる構造的多様性は大まかに、フコシル化(中性HMO)構造、シアル化(酸性HMO)構造、および非フコシル化中性構造に分けることができる。ほぼ200種類の異なるHMOがこれまでに同定されている。ヒト母乳オリゴ糖の建築ブロックは、D-グルコース、D-ガラクトース、N-アセチルグルコサミン、L-フコース、およびシアル酸という5つの単糖である。ラクトースは母乳オリゴ糖の還元端を形成する。ヒト母乳の中に生じるHMOの量と組成は女性の間で非常に変動する。
HMOは、プレバイオティック効果以外に、病原となるウイルス、細菌、または原生動物が上皮細胞の表面の糖に付着するのを阻止する可溶性デコイ受容体としても作用する。抗接着剤としてのこの機能は、腸の中で、そして呼吸管および尿管の中でも、感染性疾患を阻止するのを助ける可能性がある。
2'-フコシルラクトース(2'FL)とラクト-N-ネオテトラオース(LNnT)を20 gまでの1日用量で健康な成人に補足すると腸内微生物叢が改変され、主な影響として特に放線菌門とビフィズス菌の相対量が実質的に増加するとともに、ファーミキューテス門とプロテオバクテリア門の相対量が減少する。この改変は1~2週間以内に起こった(Elison他2016年)。
別の一実施形態では、第1の側面による組成物は、2-フコシルラクトース(2'FL)、3-フコシルラクトース(3-FL)、ジフコシルラクトース(DFL)、ラクト-N-テトラオース(LNT)、ラクト-N-ネオテトラオース(LNnT)、3-シアリルラクトース(3'-SL)、6-シアリルラクトース(6'-SL)、ラクト-N-フコペンタオース(LNFP-1)から選択される1つ以上のHMO、またはこれらの混合物を含む。
その1つ以上のHMOは、2'-FLと、LNnTとLNTの少なくとも一方;2'-FLとDFLの少なくとも一方と、LNnTとLNTの少なくとも一方(例えば2'-FL、DFL、およびLNnTとLNTの少なくとも一方);2'-FLと6'-SL;DFLと6'-SL;2'-FL、DFL、および6'-SL;2'-FL、6'-SL、およびLNnTとLNTの少なくとも一方;または2'-FL、DFL、6'-SL、およびLNnTとLNTの少なくとも一方を含むこと、またはこれらからなることが好ましい。
いくつかの実施形態では、第1の側面による組成物は、上記の非産生者であるヒト対象に投与される。いくつかの実施形態では、第1の側面による組成物を非産生者群のヒト対象に投与することにより、時間が経過するとそのヒト対象の腸内微生物叢が変化し、エラジタンニンおよび/またはエラグ酸から1つ以上の最終ウロリチンへの異化を改善することができる。
特別な実施形態は、ヒト対象に少なくとも30日間、例えば少なくとも50日間、例えば少なくとも100日間、例えば少なくとも150日間の期間にわたって投与することによりウロリチンの産生を増強するための、本明細書に開示されている組成物の利用に関する。組成物は少なくとも対象が1つ以上の最終ウロリを産生するまで投与することが好ましい。
本発明の組成物は、製剤にすること、好ましくは摂取可能な製剤(医薬品、栄養補助食品、食品添加物、または医療食品、または特別な医学目的の食品など)にすることができる。製剤は他の成分を含むことができ、その非限定的な例は、賦形剤、被覆剤、香味剤、1つ以上のハーブ抽出物または調製物、1つ以上の栄養素(1つ以上のビタミンおよび/またはミネラルなど)などである。組成物を製剤化して錠剤、ピル、カプセル、粉末、または顆粒にすることができる。目的に適した他の製剤は当業者には明らかであろうゆえ、それらも考えられる。組成物は別々の製剤にすることができ、その場合に第1の装置はザクロの果実の調製物を含み、第2の装置は1つ以上のHMOを含む。あるいは組成物は単一の製剤にすることができる。
ヒト腸内微生物叢によって産生されるウロリチンのレベルを分析することにより、本発明者らは、最終ウロリチンであるウロリチンAおよびイソウロリチンAと、中間ウロリチンであるウロリチンCに関し、HMO混合物またはザクロの果実の調製物を個別に投与した場合と比べたHMO混合物+ザクロの果実の調製物の相乗効果を見いだした(実施例5参照)。
したがって第4の側面では、本発明は、ヒトの腸においてウロリチン、特に最終ウロリチンの産生を増加させる方法にも関係しており、この方法は、上記の第1の側面による組成物をヒト対象、特に中年または老年(50歳超)のヒト対象に投与することを含む。組成物は、摂取可能な薬として投与すること、医療機器、栄養補助食品、食品添加物、または医療食品、または特別な医学目的の食品として投与することができる。組成物の中の上記1つ以上のHMOは、500 mgと10000 mgの間のHMO/日、例えば少なくとも500 mgのHMO/日、例えば少なくとも750 mgのHMO/日、例えば少なくとも1000 mgのHMO/日、例えば少なくとも2000 mgのHMO/日、例えば少なくとも5000 mgのHMO/日の用量であることが好ましい。
一実施形態では、ヒト対象でウロリチンの産生を増加させる第4の側面による方法は、500 mgと10000 mgの間のHMO/日、例えば少なくとも500 mgのHMO/日、例えば少なくとも750 mgのHMO/日、例えば少なくとも1000 mgのHMO/日、例えば少なくとも2000 mgのHMO/日、例えば少なくとも5000 mgのHMO/日を含む第1の側面による組成物を投与することを含む。
別の一実施形態では、ヒト対象でウロリチンの産生を増加させる第4の側面による方法は、少なくとも75 mgのプニカラギン/日、例えば75 mg/日と1500 mg/日の間、例えば100 mg/日と1000 mg/日の間、好ましくは少なくとも300 mg/日を含む第1の側面による組成物を投与することを含む。
別の一実施形態では、ヒト対象でウロリチンの産生を増加させる第4の側面による方法は、第1の側面による組成物の個別の成分の1つを摂取した後に産生されるウロリチンの達成可能なレベルと比べて増加したウロリチンの産生につながる。
好ましい一実施形態では、本発明は、ヒト対象の腸内でウロリチンA、ウロリチンB、およびイソウロリチンAの1つ以上の産生を増加させる方法に関係しており、この方法は、上記の第1の側面による組成物をヒト対象に、特に中年または老年(50歳超)のヒト対象に投与することを含む。
ザクロの果実の調製物は、少なくとも40%のポリフェノール、少なくとも30%のプニコシド、および少なくとも20%のプニカラギンを含むことが好ましい。いくつかの実施形態では、組成物は、少なくとも75 mgのプニカラギン/日、例えば75 mg/日と1500 mg/日の間、例えば100 mg/日と1000 mg/日の間、好ましくは少なくとも300 mg/日の用量でヒト対象に投与される。いくつかの実施形態では、プニコシドの用量は、少なくとも100 mg/日、例えば100 mg/日と2000 mg/日の間、例えば100 mg/日と1200 mg/日の間、好ましくは少なくとも400 mg/日である。ポリフェノールの用量は、少なくとも125 mg/日、例えば125 mg/日と2500 mg/日の間、例えば250 mg/日と1500 mg/日の間、好ましくは少なくとも500 mg/日である。
好ましい一実施形態では、本発明の組成物は、1)ザクロ抽出物を含有する錠剤、2)2-フコシルラクトース(2'FL)とラクト-N-ネオテトラオース(LNnT)という2つのHMOを組み合わせた粉末または顆粒、および3)使用するための指示を含むキットにすることができる。
別の一実施形態では、本発明の組成物は、ザクロ抽出物、2-フコシルラクトース(2'FL)、およびラクト-N-ネオテトラオース(LNnT)の混合物を含む錠剤として製剤化することができる。
別の一実施形態では、本発明の組成物は、1)ザクロ抽出物を含有する錠剤、2)2'-FL、3-FL、DFL、LNT、LNnT、3'-SL、6'-SL、LNFP-1から選択される1つ以上のHMOまたはこれらの混合物の粉末または顆粒、および3)使用するための指示を含むキットにすることができる。
別の一実施形態では、本発明の組成物は、ザクロ抽出物と、2'-FL、3-FL、DFL、LNT、LNnT、3'-SL、6'-SL、LNFP-1から選択される1つ以上のHMOまたはこれらの混合物との混合物を含む錠剤として製剤化することができる。
本発明の別の実施形態では、ザクロ抽出物は、エラジタンニンおよび/またはエラグ酸の他の天然供給源(クルミ、ラズベリー、イチゴ、およびブラックベリーなど)で置き換えることができる。
実施例1
ザクロ抽出物と、HMOの組み合わせとを含むキットの製造
ザクロ抽出物と、2-フコシルラクトース(2'FL)とラクト-N-ネオテトラオース(LNnT)という2つのHMOの組み合わせとからなるキットを開発した。このキットは錠剤製剤と粉末製剤からなる。
ザクロの無水エタノール抽出物をこの錠剤製剤で使用した。このエタノール抽出物はザクロ果実の絞りかすをベースにしていた(Monteloeder S.L.、エルケ、アリカンテ、スペイン国)。プニカラギンの含量は最少で30%であった。ザクロ抽出物の1日用量は1000 mg/4錠剤であった。
以下の錠剤賦形剤、すなわち微結晶セルロース、架橋したナトリウムカルボキシメチルセルロース、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、二酸化ケイ素、植物脂肪酸のマグネシウム塩、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリエチレングリコールを製剤に添加した。
他の活性成分として、2'-フコシルラクトースとラクト-N-ネオテトラオースという2つのHMOの混合物(Glycom A/S、ハアスホルム、デンマーク国)を粉末製剤のために使用した。これら2つのHMOの質量比は2:1(2'-FL/LNnT)であった。2'-FL/LNnT混合物の1日用量は5000 mg/スティックパックであった。以下の賦形剤、すなわちステアリン酸マグネシウム(0.25質量%)を製剤に添加した。
実施例2
尿サンプルによる非産生者の診断
非産生者、すなわち尿中にクレアチニン1 mg当たり5 μgよりも多い合計量の最終ウロリチンを産生することができない個人は、明らかに、これらウロリチンによって与えられるミトコンドリア機能の促進と改善に関係する健康上の利益を得られない。非産生者は以下の方法によって診断される:
プニカラギンを30%含有する1日用量のザクロ抽出物(2 g/8錠剤)が3日連続で個人によって消費される。4日目の朝、尿サンプルを回収し、ウロリチン含量をLC-MS/MS分析によって分析する。
こうすることで、個人を、エラジタンニンを代謝して最終ウロリチンにする能力に従って分類することが可能になる。最終ウロリチンの合計量が尿中にクレアチニン1 mg当たり5 μgよりも少ない場合には、その個人は非産生者に分類される。中間ウロリチンだけが存在することで非産生者の位置づけが変わることはない。
実施例3
胃腸模倣モデルによる最終ウロリチン産生にとって有利なHMOの特定
ザクロ抽出物に1つ以上のHMOを組み合わせることが腸のマイクロバイオームに及ぼす影響をM-TripleSHIME(商標)インビトロ胃腸モデル(Prodigest)で調べた。M-TripleSHIME(商標)の典型的な反応装置の設定は、ヒト胃腸管の異なる部分を模倣する一連の4つの反応装置からなる。最初の2つの反応装置は充填・引き抜き(fill-and-draw)原理に基づいて食品の摂取と消化における異なる工程を模倣しており、蠕動ポンプを用いて規定量のSHIMEフィード(140 mlを1日に3回)と膵液と胆液(60 mlを1日に3回)をそれぞれ胃と小腸の区画に添加し、特定の時間間隔の後に各反応装置を空にする。最後の2つの区画は、一定体積かつpH制御のもとで連続的に撹拌される反応装置である。異なる容器の保持時間とpHは、結腸の異なる部分における生体内条件に似るように選択する。近位結腸はpH 5.4~5.6と保持時間=12時間に設定し、遠位結腸はpH 6.0~6.5と保持時間=20時間に設定する。
プニカラギンの最少含量が30%のザクロ抽出物と、2'-フコシルラクトースとラクト-N-ネオテトラオース(2'-FLとLNnT)が2:1の質量比である混合物とを、各成分が1日当たり5グラムの濃度に等しくなるようにSHINEフィードに添加する。
非産生者である個人からの糞便微生物叢を接種すると、これら反応装置は近位結腸、横行結腸、および遠位結腸を模倣する。結腸の異なる領域内で微生物コミュニティを2週間適応させた後、1つの代表的な微生物コミュニティが3つの結腸区画の中に確立されるが、異なる結腸区画の中では組成と機能の両方が異なっている。
さらに、粘膜層のコロニー化を考慮するため、結腸を模倣する反応装置の中にブタのムチンを含める。したがってM-TripleSHIME(商標)により、内腔と粘膜の両方に関係する微生物コミュニティを数週間にわたって培養することができる。
M-TripleSHIME(商標)は4段階で作動させる:
1.安定化:健康な非産生者から提供された新鮮な糞便サンプルを反応装置に接種した後、2週間の安定化期間により、微生物コミュニティが異なる反応装置の中で局所的な環境条件に応じて分化することが可能になる。
この期間中、基本的栄養マトリックスを提供し、糞便接種物の中に最初から存在していた腸内微生物叢の多様性が最大になることを支援する。
2.制御:この2週間の期間中、標準的な栄養マトリックスを14日間の期間にわたってモデルに投与する。異なる反応容器内の微生物コミュニティのベースラインでの組成と活性をサンプルの分析によって明らかにし、参照基準として使用する。
3.処理 - 第1部:SHIMEシステムを通常の条件で3週間にわたって作動させるが、ザクロ抽出物(最少で30%のプニカラギン)とHMOを補足した標準的な栄養マトリックスを用いる。調べたHMOは2'-FLとLNnTの2:1混合物である。
4.処理 - 第2部:SHIMEシステムを通常の条件で3週間にわたって作動させるが、ザクロ抽出物(最少で30%のプニカラギン)だけを補足した標準的な栄養マトリックスを用いる。
5.ウォッシュアウト:この2週間の期間中、SHIMEシステムを標準的な栄養マトリックスだけで再度作動させる。
各反応装置の中の液体のサンプルを定期的に回収した後、16S rRNAシークエンシングを利用し、生成したウロリチンの組成と常在微生物コミュニティの組成を分析する。
発酵系からの結果は、ザクロ抽出物と、2'-FLとLNnT(2:1)のHMO混合物とを用いて3週間処理すると最終ウロリチン、特にウロリチンAが生成することを示している。さらに、この効果は、ザクロ抽出物だけでその後の3週間処理している間維持された。これは、腸内微生物叢の中でウロリチン産生に向かう平衡に到達していたことを示唆する。
微生物コミュニティのプロファイリングは、最初の処理期間中にアッカーマンシア属の量が結腸領域の遠位部で増加することを示した。近位部ではそのような変化は実質的に起こらなかった。この効果は第2の処理期間中維持された。
インビトロでのこの研究は、M-TripleSHIME(商標)にザクロ抽出物と、2'-FLとLNnT(2:1)のHMO混合物とを供給すると非産生者に由来する腸内微生物叢において最終ウロリチンの産生が活性化されたことを示す。さらに、この効果は、ザクロ抽出物を栄養マトリックスへの唯一のサプリメントとして添加したとき3週間の間維持された。したがって非産生者の腸内微生物叢は、ザクロ抽出物と、2'-FLとLNnTのHMO混合物とを用いた処理によってウロリチン産生者の腸内微生物叢の方向へと変化させることができる。
実施例4
エラジタンニンが豊富な食品源とHMO混合物の組み合わせを用いた非産生者の治療
以下の介入研究を設計し、エラジタンニンが豊富な食品源とHMO混合物の組み合わせが非産生者で腸内微生物叢による1つ以上の最終ウロリチンの産生を活性化させることができるかどうか調べた。
この臨床試験は2部構成の研究であった。研究の第1部では、一群の潜在的な研究参加者のウロリチン代謝型を明らかにした。非産生者だけを研究の第2部にリクルートした。研究の第2部では、ザクロ抽出物を毎日3週間にわたって消費することがウロリチンの産生に及ぼす効果を各研究参加者について調べた後、
1)毎日続けてザクロ抽出物を消費することがウロリチンの産生に及ぼす効果を
2)ザクロ抽出物+HMO混合物の組み合わせを毎日消費することがウロリチンの産生に及ぼす効果
と比較した。
HMO混合物の用量と組成はインビトロでの予備的な研究に基づいた。
第1部代謝型同定
60人の健康なボランティア(男性30人と女性30人)をこの代謝型同定研究のためにリクルートした。除外基準は、胃腸疾患またはなんらかの慢性疾患の病歴があること、体重を減らすダイエットの後であること、食事サプリメントを用いた治療を継続中であること、抗生剤、プレバイオティクス、または医薬品を研究の8週間前まで摂取していたこと、妊娠中または授乳中であることであった。対象の全員が、研究に参加する前に自らの食事習慣に関するアンケートに答えた。エラジタンニン含有源(例えばベリー類(イチゴ、ラズベリー、ブラックベリーなど)と、派生食品(ジャムなど))、ザクロ、チョコレート、ナッツ、およびワインの摂取が、研究前の1週間と研究中は禁止された(第1部)。
プニカラギンを40%含有する1日用量のザクロ抽出物(2 g/8錠剤)が3日連続で研究参加者によって消費された。4日目の朝、尿サンプルを回収し、ウロリチンの含量をLC-MS/MS分析によって分析した。
研究参加者を、UA産生者、混合型産生者、非産生者に分類した。
非産生者だけを研究の第2部にリクルートした
第2部ザクロ抽出物と、ザクロ抽出物+HMO混合物が非産生者でウロリチンの産生に及ぼす効果の測定
第1部からの非産生者を無作為に以下の2つの処置に分けた:
1.ザクロ抽出物を用いて3週間処置した後、尿試験によって調べ、次いでザクロ抽出物を用いてさらに3週間処置した(PE+PE)。
2.ザクロ抽出物を用いて3週間処置した後、尿試験によって調べ、次いでザクロ抽出物と、2'-FLとLNnTのHMO混合物とを用いてさらに3週間処置した(PE+HMO)。
ザクロの無水エタノール抽出物を錠剤製剤で使用した。このエタノール抽出物はザクロ果実の絞りかすをベースにしていた(Monteloeder S.L.、エルケ、アリカンテ、スペイン国)。プニカラギンの含量は最少で40%であった。ザクロ抽出物の1日用量は1000 mg/4錠剤であった。
2'-フコシルラクトースとラクト-N-ネオテトラオース(2'-FLとLNnT)という2つのHMOが質量比2:1の混合物を粉末として投与した。この混合物の1日用量は5000 mgであった。
3週間と6週間の処置の後、プニカラギンを40%含有する1日用量のザクロ抽出物(2 g/8錠剤)を研究参加者が3日連続で消費した。4日目の朝、尿サンプルを回収し、ウロリチンの含量をLC-MS/MS分析によって分析した。
研究期間の3週目と6週目(すなわちザクロ抽出物の投与と尿の回収の前の週)にはエラジタンニン含有源(例えばベリー類(イチゴ、ラズベリー、ブラックベリーなど)と、派生食品(ジャムなど))、ザクロ、チョコレート、ナッツ、およびワインの摂取が禁止された。
6週間の処置後に参加者の何人かについて尿サンプル中の最終ウロリチンを測定した。PE+HMO群ではPE+PE群よりも非産生者が産生者になった人数が有意に多かった(P<0.05)。したがって非産生者では、ザクロ抽出物+HMOの組み合わせがザクロ抽出物だけよりも大きな程度で最終ウロリチンの産生を活性化させるという仮説が立証された
研究期間中に副作用は報告されなかった。
実施例5
エラジタンニンが豊富な食品源とHMO混合物の組み合わせを用いたインビトロでのウロリチン産生の促進
短期のインビトロでの刺激においてHMO混合物、ザクロ抽出物(PG)、および両方の組み合わせが9人の無作為に選択されたヒトドナーの腸内微生物叢によるウロリチンの産生に及ぼす影響を評価するため以下の研究を設計した。ProDigestという会社(https://www.prodigest.eu/en)の短期コロニー刺激モデルを利用して試験製品と腸マイクロバイオームの間の相互作用を研究した。
すべてのドナーが50歳と70歳の間であり、健康で実験前の6ヶ月間は抗生剤を使用したことがなかった。糞便材料を回収し、糞便懸濁液を調製し、凍結防止剤と混合した。得られた懸濁液をアリコートに分け、瞬間凍結させた後、-80℃で保管した。実験の直前に糞便サンプルを解凍し、ただちに反応装置に添加した。
反応装置を、結腸の基本的栄養素を含有する糖枯渇栄養培地とともに48時間(37℃、90 rpmで震盪、嫌気性条件)インキュベートした。0時間(ベースライン)の時点、24時間後と48時間後(追跡)に反応装置からサンプルを回収した。各糞便サンプルを異なる4つの処理で使用した:
・対照処理(ブランク):栄養培地だけを反応装置に添加した。
・ヒト母乳オリゴ糖(HMO)処理:ベースラインの反応装置に3 g/LのHMO混合物を添加した。
・ザクロ抽出物(PG)処理:ベースラインの反応装置に1 g/Lを添加した。
・ザクロ抽出物+HMO(PG+HMO)処理:ベースラインの反応装置に1 g/LのPGと3 g/LのHMO混合物を添加した。
インキュベーションを1回だけ実施した結果、36の独立なインキュベーションが得られた。
ザクロ抽出物は、ザクロ果実の絞りかすをベースとしたエタノール抽出物であった(Monteloeder S.L.、エルケ、アリカンテ、スペイン国)。プニカラギンの含量は約40%であった。
HMO混合物は、2'-フコシルラクトース(2'-FL)とラクト-N-ネオテトラオース(LNnT)を質量比4:1(2'-FL:LNnT)にしたものからなる粉末であった。このHMO混合物はGlycom A/S、ハアスホルム、デンマーク国から提供された。
最終ウロリチンであるウロリチンA、イソウロリチンA、およびウロリチンBの濃度を0時間、24時間、および48時間の時点で測定した。さらに、中間ウロリチンであるウロリチンCとウロリチンDの濃度を0時間、24時間、および48時間の時点で測定した。
ウロリチンA産生に関してHMO処理またはPG処理のそれぞれと比べたHMO+PG処理の相乗効果がドナー1、2、および3で見られ、ドナー6と8ではより少ない程度で見られた(図2)。
イソウロリチンA産生に関してHMO処理またはPG処理のそれぞれと比べたHMO+PG処理の相乗効果がドナー1と5で見られ、ドナー6と8ではより少ない程度で見られた(図3)。
ウロリチンC産生に関してHMO処理またはPG処理のそれぞれと比べたHMO+PG処理の相乗効果がドナー5と7で見られ、ドナー1ではより少ない程度で見られた(図4)。
ウロリチンD産生についてはHMO+PG処理の相乗効果は観察されなかった。
ウロリチンBはどのサンプルでも検出されなかった。これは、この化合物が最終ウロリチンの代謝経路において後期に合成されることによって説明することができる(図1)。
したがってHMO+PG処理の組み合わせは、9人の無作為に割り当てられたドナーのうちの7人(すなわち、ドナー4と9以外のすべてのドナー)に由来する糞便サンプルのインキュベーションにおいてウロリチン産生を相乗的に改善した。この効果はウロリチンAの産生に関して最も顕著であった。9人のドナーでのウロリチンA産生に関する平均データが図5に示されている。
非産生者(おそらくドナー7と9)に対しては48時間のインビトロ研究の間にいかなる刺激効果も期待できないことに注意されたい。なぜならエラジタンニン/エラグ酸の異化に関係する十分な量の細菌が十分なレベルまで増殖するには数週間を必要とするからである。
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Claims (15)

  1. a.ザクロの果実の調製物、および
    b.1つ以上のヒト母乳オリゴ糖(HMO)
    を含む組成物。
  2. 前記HMOが中性HMOまたは酸性HMOから選択される、請求項1による組成物。
  3. 前記HMOが、1つ以上のフコシル化HMO、または1つ以上の非フコシル化HMO、またはフコシル化HMOと非フコシル化HMOとの混合物である、請求項1~2のいずれか1項による組成物。
  4. 前記1つ以上のHMOが、2'-FL、3-FL、DFL、LNT、LNnT、3'-SL、6'-SL、LNFP-1、またはこれらの混合物から選択される、請求項1~3のいずれか1項による組成物。
  5. 前記1つ以上のHMOが、
    a.2'-FLと、LNnTとLNTの少なくとも一方;
    b.2'-FLとDFLの少なくとも一方、およびLNnTとLNTの少なくとも一方;
    c.2'FLおよび6'-SL:
    d.DFLおよび6'-SL;
    e.2'-FL、DFL、および6'-SL;
    f.2'-FL、6'-SL、およびLNnTとLNTの少なくとも一方;または
    g.2'-FL、DFL、6'-SL、およびLNnTとLNTの少なくとも一方
    を含む、それからなる、または実質的にそれからなる、請求項1~4のいずれか1項による組成物。
  6. ザクロの果実の調製物と1つ以上のヒト母乳オリゴ糖(HMO)とを5:1~1:10の比率(w/w)で含有する、請求項1~5のいずれか1項による組成物。
  7. 単一の調製物として製剤化される、請求項1~6のいずれか1項による組成物。
  8. a.ザクロの果実の調製物、と
    b.1つ以上のヒト母乳オリゴ糖(HMO)
    を別々の成分として、使用のための指示とともに含むキットとして製造された、請求項1~6のいずれか1項による組成物。
  9. ウロリチン非産生者であると同定されたヒト対象の治療で使用するため、前記使用が、500~10000 mgのHMO/日と500~5000 mgのザクロの果実の調製物/日を含有する1日用量で前記組成物を経口投与することを含む、請求項1~8のいずれか1項による組成物。
  10. ウロリチン非産生者であると同定されたヒト対象の治療で使用するため、前記使用が、少なくとも75 mgのプニカラギン/日、例えば75 mg/日と1500 mg/日の間、例えば100 mg/日と1000 mg/日の間、好ましくは少なくとも300 mg/日の用量を含有する前記組成物を経口投与することを含む、請求項9による組成物。
  11. ウロリチン非産生者であると同定されたヒト対象の治療で使用するため、前記使用が、500 mgと10000 mgの間のHMO/日、例えば少なくとも500 mgのHMO/日、例えば少なくとも750 mgのHMO/日、例えば少なくとも1000 mgのHMO/日、例えば少なくとも2000 mgのHMO/日、例えば少なくとも5000 mgのHMO/日を含有する前記組成物を経口投与することを含む、請求項9または10による組成物。
  12. 請求項1~8のいずれか1項による組成物を投与することを含む、ヒト対象でウロリチン、特に最終ウロリチンの産生を増加させるための方法。
  13. 前記投与された請求項1~8のいずれか1項による組成物が、500 mgと10000 mgの間のHMO/日、例えば少なくとも500 mgのHMO/日、例えば少なくとも750 mgのHMO/日、例えば少なくとも1000 mgのHMO/日、例えば少なくとも2000 mgのHMO/日、例えば少なくとも5000 mgのHMO/日を含む、ヒト対象でウロリチンの産生を増加させるための請求項12による方法。
  14. 前記投与された請求項1~8のいずれか1項による組成物が、少なくとも75 mgのプニカラギン/日、例えば75 mg/日と1500 mg/日の間、例えば100 mg/日と1000 mg/日の間、好ましくは少なくとも300 mg/日を含有する、ヒト対象でウロリチンの産生を増加させるための請求項12または13による方法。
  15. 前記ウロリチンが、ウロリチンA、ウロリチンB、およびイソウロリチンAの1つ以上を含む、ヒト対象でウロリチンの産生を増加させるための請求項12~14のいずれか1項による方法。
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