JP5981429B2 - 末梢に制限されたfaah阻害剤 - Google Patents

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Description

関連出願の相互参照
本願は米国仮出願番号第61/368,500号(2010年7月28日出願)に基づく優先権の利益を主張する。当該出願の内容はその全体が、あらゆる目的において、引用により本明細書に組み込まれる。
連邦支援による研究開発下での発明に対する権利に関する宣言
本発明は、米国国立衛生研究所により許可番号DA0l2413、DA0l2447及びAA0l7538として認可された政府支援の基でなされた。米国政府は本発明に一定の権利を有する。
コンパクトディスクで提出される付属の「配列表」、表、又はコンピュータープログラムリストの参照
該当なし
末梢カンナビノイド受容体は、疼痛の発生に対して強力な抑制制御を発揮するが、この内在的な鎮痛作用に通常どの内因性カンナビノイドシグナルが関与しているかは不明である。この問題に取り組むため、本発明者等は、エンドカンナビノイドであるアナンダミドの分解を引き起こす酵素、脂肪酸アミドヒドロラーゼ(FAAH)に対する、末梢に制限された阻害剤を開発した。この化合物、通称URB937は、FAAH活性を抑制し、中枢神経系(central nervous system:CNS)外のアナンダミドレベルを上昇させる。URB937は脳や脊髄に到達できないにもかかわらず、齧歯類の炎症及び末梢神経損傷のモデルにおいて、持続痛の指標となる行動応答を減衰させ、侵害受容工程に関与する脊髄領域の侵害刺激誘発性ニューロン活性化を抑制する。CB受容体を遮断するとこれらの作用が阻止される。これらの結果は、疼痛情報のCNSへの伝達が、末梢CB受容体におけるアナンダミド媒介性シグナル伝達によって制御されていることを示している。このゲーティング機構を強化する脳非透過性のFAAH阻害剤は、疼痛治療に対する新たなアプローチとなる。
アラキドン酸とエタノールアミンとの天然アミドであるアナンダミドは、内因性カンナビノイド物質としての重要な基準の全てを満たしている(Devane, W.A. et al. Science, 258, 1946-1949 (1992))。即ち、刺激されたニューロンの指示に従って放出され(Di Marzo, V. et al., Nature, 372, 686-691 (1994);Giuffrida, A. et al., Nat. Neurosci., 2, 358-363 (1999))、高い親和性を以ってカンナビノイド受容体を活性化し(Devane, W.A. et al. Science, 258, 1946-1949 (1992))、担体輸送とそれに続く細胞内加水分解とからなる二段階プロセスによって迅速に排除される(Di Marzo, V. et al., Nature, 372, 686-691 (1994); Beltramo, M. et al., FEBS Lett., 403, 263-267 (1997))。アナンダミドの加水分解は、脂肪酸アミドヒドロラーゼ(fatty acid amide hydrolase:FAAH)によって触媒される。これは膜結合型セリンヒドロラーゼ酵素であり(Cravatt, B.F. et al., Nature, 384, 83-87 (1996); Patricelli, M.P. et al., Biochemistry, 38, 9804-9812 (1999))(国際公開公報第98/20119号)(米国特許第6,271,015号)、他の生理活性脂肪酸エタノールアミド、例えばオレオイルエタノールアミド(シス−9−オクタデセンアミド))(Rodriguez de Fonseca, F. et al. Nature, 414, 209-212 (2001))やパルミトイルエタノールアミド(Calignano, A. et al., Nature, 394, 277-281 (1998))も切断する。FAAHをコードする遺伝子を欠く突然変異マウスは、アナンダミドを代謝できない(Cravatt, B.F. et al., Proc. Natl. Acad. Sci. U. S. A., 98, 9371-9376 (2001))。斯かるマウスは、繁殖能を有し、概ね正常ではあるものの、痛覚の低下等、カンナビノイド受容体のアナンダミド活性が強化された兆候が見られる(Cravatt, B.F. et al., Proc. Natl. Acad. Sci. U. S. A., 98, 9371-9376 (2001))。これは、FAAHを標的とする薬物を用いれば、Δ−THC等の直接作動性カンナビノイドアゴニストにより生じる多数の(しかも多くの場合は不所望の)作用を回避しつつ、アナンダミドの持続作用を高められる可能性があることを示している(Hall, W., et al., Lancet, 352, 1611-1616 (1998);Chaperon, F., et al., Crit. Rev. Neurobiol., 13, 243-281 (1999))。
痛覚は、CNS内で作用する神経伝達物質によって、効果的に制御することが可能である。斯かる調節の特徴が顕著なのは、脊髄の後角である。ここは、侵害受容性(痛覚)線維により伝えられた刺激を、脳に伝達する前に処理する部位である。これらの中心的な機構に加え、CNS外の求心性神経線維の末端では、疼痛伝達の内因性制御が生じ得る。末梢調節の顕著な例の一つは、内因性オピオイドによるものである。内因性オピオイドは、炎症時に活性化された免疫細胞から放出され、感覚神経終末に局在するオピオイド受容体と相互作用することにより、疼痛の開始を抑制する1,2
エンドカンナビノイドメディエーターはオピオイドと類似した機能を果たしているとの説が唱えられている。これは、末梢CB及びCBカンナビノイド受容体の薬理的活性化により疼痛関連行動が抑制される3-7一方で、一次侵害受容性ニューロンにおけるCB1受容体発現を遺伝子的に破壊すると斯かる行動が悪化する8ことを根拠とするものである。更に、神経障害性の疼痛又は炎症に関連する臨床症状(例えば複合性局所疼痛症候群や関節炎等)に伴い、エンドカンナビノイドアナンダミドの末梢レベルが上昇することが証明されている9,10。別の主要なエンドカンナビノイドリガンドである2−アラキドノイルグリセロール(2-arachidonoylglycerol:2−AG)も、CNS外の侵害受容性シグナル伝達に関与することが示されている8,11
疼痛におけるアナンダミドの役割は極めて注目されている。米国特許出願公開第2002/0173550号には、アナンダミドやパルミトイルエタノールアミドの投与により疼痛を処置する方法が開示されている。米国特許出願公開第2004/0127518号及び第2003/0134894号には、FAAH阻害剤の投与により疼痛を処置する方法が開示されている。米国特許出願公開第2003/0149082号には、アナンダミド輸送阻害剤の投与により疼痛を処置する方法が開示されている。
これらの知見は、侵害受容(nociception)の末梢調節において、エンドカンナビノイド系が重要な機能を果たしていることを示すものの、当該機能に関与する(1又は2以上の)内因性リガンドの正体について決定的な洞察を与えるものではない。しかし、このギャップを埋めることは、疼痛開始を制御する内在機構を分子的に理解し、主な副作用を有しない新たな鎮痛剤を発見する上で重要である。本研究において、本発明者等は、末梢アナンダミドの作用を増強するとともに、疼痛シグナル発生の制御に果たす末梢アナンダミドの役割を解明する目的の下、アナンダミド分解性酵素FAAHの脳非透過性阻害剤を特定し、その特徴を解明した12。FAAH阻害剤の開発及び治療上の使用において特に懸念されるのは、CNS系内で内因性カンナビノイド系を調節する能力により、不所望の向精神又は気分変容作用が生じるかも知れないという点である。
本発明は、これらの課題やその他の課題に対処すべく、末梢に制限されたFAAH阻害剤を提供すると共に、疼痛及び/又は炎症を含む種々の状態の処置においてこれらの阻害剤を用いる方法を提供する。
第1の側面によれば、本発明は、下記式を有する化合物:
Figure 0005981429
(式中、Rは、ヒドロキシ及び生理的に加水分解可能なそのエステル、−O−カルボキサミド、−SH、−OC(O)R、−O−CO−NR及び−NRからなる群より選択され、ここで、Rは置換又は無置換のヒドロカルビルであり、R及びRは独立に、水素及び置換又は無置換のヒドロカルビルからなる群より選択され;R及びRは独立に、水素及び置換又は無置換のヒドロカルビルからなる群より選択され;Rは各々独立に、ハロゲン及び置換又は無置換のヒドロカルビルからなる群より選択され、nは0〜4の整数であり;Rは各々独立に、ハロ及び置換又は無置換のヒドロカルビルからなる群より選択され、mは0〜3の整数であり;Rは置換又は無置換のシクロヘキシルである)、及び医薬的に許容可能なその塩、並びに当該化合物の医薬組成物を提供する。好ましい態様によれば、当該化合物は、受容者体内での分布が末梢に制限される。
第2の側面によれば、本発明は、治療有効量の本発明に係る化合物を含む医薬組成物を提供する。当該組成物は、経口及び非経口経路を含む任意の投与経路様に製剤することができる。更に、当該組成物は単位用量形態としてもよい。
第3の側面によれば、本発明は、末梢に制限されたFAAH阻害剤(例えば本発明に係るFAAH阻害化合物)を必要とする対象を処置する方法を提供する。好ましい態様によれば、対象はヒトである。ある態様によれば、対象は、疼痛、炎症、又は免疫障害の処置を必要とする。ある態様によれば、疼痛は、侵害受容性、炎症性、又は神経障害性の疼痛である。好ましくは、末梢に制限されたFAAH阻害化合物は、本発明の化合物である。
第4の側面によれば、本発明は、内因的に産生され(即ち、アナンダミド、N−アラキドノイルドーパミン等のエンドカンナビノイド)或いは細胞外から供給されるカンナビノイド脂肪酸アミドの対象における末梢活性を、本発明に係る化合物を投与することにより増強する方法を提供する。好ましくは、脂肪酸アミドはアナンダミド、N-アラキドノイルドーパミン、オレオイルエタノールアミド、ステアロイルエタノールアミド、又はパルミトイルエタノールアミドである。脂肪酸エタノールアミドが細胞外から供給される場合、脂肪酸エタノールアミドの対象への投与は、本発明に係る化合物の投与の前でも、後でも、或いは一緒でもよい。ある態様によれば、対象は、疼痛、炎症、又は免疫障害の処置を必要とする。好ましい態様によれば、疼痛は、侵害受容性、炎症性、又は神経障害性の疼痛である。
第5の側面によれば、本発明は、乳癌耐性タンパク質(breast cancer resistance protein:BCRP)輸送系を通じて脳から排出され得る化合物をスクリーニングする方法を提供する。URB937や本発明に係る化合物の骨格と類似する骨格を、BCRPの基質として使用することができる。従って、ある態様によれば、本発明は、URB937類似体及び/又は本発明に係る化合物を、BCRP輸送系によって輸送される能力に基づいて、インビトロ(in vitro)でアッセイする方法を提供する。
URB937は末梢に制限されたFAAH阻害剤である。(a)種々の用量のURB937(0.03〜100mg−kg−1、s.c.)をスイスマウスに投与して1時間後の肝臓(黒丸)及び脳(黒四角)におけるFAAH活性。 (b)URB937をマウスに単回注射(1mg−kg−1、i.p.)した後の肝臓(黒丸)、脳(黒四角)及び血清(挿入グラフ)における分布。 (c)URB937の投与(1mg−kg−1、i.p)後の肝臓(黒丸)又は脳(黒四角)におけるFAAH活性阻害の経時変化。 (d)スイスマウスの肝臓、前脳及び視床下部のアナンダミド及びパルミトイルエタノールアミド(PEA)レベルに対するURB937(1mg−kg−1、i.p.、黒棒グラフ)又はビヒクル(白棒グラフ)の作用。 (e)野生型C57Bl/6マウス(+/+)及びFAAH欠損マウス(−/−)び肝臓のアナンダミド及びPEAレベルに対するURB937の作用。 (f)スイスマウスの2−アラキドノイルグリセロール(2−AG)レベルに対するURB937の作用の欠如(1mg−kg−1、i.p.、黒棒グラフ)。結果は平均±標準誤差(mean±min)で表す。n=3;*P<0.05;***P<0.001、対ビヒクル。
URB937はマウス及びラットにおいて有害化学物質に対する行動応答を阻害する。(a〜d)マウスにおける酢酸(HAc)誘導性疼痛行動。(a)ビヒクル(V)、URB937(URB、1mg−kg−1、i.p.)又はインドメタシン(IDM、1mg−kg−1、i.p.)投与から1時間後に評価された疼痛行動(ライジング(writhing)エピソード数)。酢酸なしでビヒクル及びURB937を投与した場合の作用も示す。 (b)URB937(1mg−kg−1、i.p.)によって誘発された抗侵害受容と肝臓FAAH活性阻害との統計上の相関。 (c)野生型C57Bl/6マウス(+/+)及びFAAH欠損マウス(−/−)の酢酸誘導性ライジングに対するURB937(1mg−kg−1、i.p.)の作用。 (d)URB937の抗侵害受容作用は、CBアンタゴニストであるリモナバン(rimonabant)(Rim、1mg−kg−1、s.c.)により抑制されるが、CBアンタゴニストであるAM630(1mg−kg−1、s.c.)によっては抑制されない。結果は平均±標準誤差(mean±min)で表す。n=5〜17。P<0.05、対ビヒクル;**P<0.01、対ビヒクル;***P<0.001、対ビヒクル;##P<0.01、対URB937;###P<0.001、対URB937。 (e〜g)ラットにおけるホルマリン誘導性疼痛行動。(e)URB937(1mg−kg−1、i.p.)による複合疼痛スコアの経時変化。ビヒクル、リモナバン(2mg−kg−1、i.p.)、又はURB937とリモナバンとの組み合わせとの比較で示す(F14,22=1.86、P=0.039)。ホルマリンは時間=0で注射した。 (f)URB937(1mg−kg−1、i.p.)によって、全ホルマリン応答期間における疼痛行動の曲線下面積(area under the curve:AUC)が減少した(F3,22=3.32、P=0.039)。 (g)URB937の抗侵害受容作用は、ホルマリン応答の第2相(Phase 2)に限定されない(10〜60分;F1,3=3.05、P=0.050)のに対して、第1相(Phase 1)(0〜10分)の疼痛行動には有意な変化は見られない(F1,3=2.22、P=0.115)。結果は平均±標準誤差(mean±min)で表す。n=5〜7。*P<0.05、全群、対URB937;P<0.05、URB937又はURB937とリモナバンとの併用、対ビヒクル。
URB937は、ラット腰部(L4)脊髄におけるホルマリン誘導性Fosタンパク質発現を抑制する。(a)ビヒクル、(b)URB937(1mg−kg−1、i.p.)、又は(c)URB937及びリモナバン(2mg−kg−1、i.p.)の注射後における腰部のホルマリン誘導性Fos陽性細胞を示す代表的な断面写真。目盛り線、1mm。 (d)ビヒクル(白棒グラフ)、URB937(黒棒グラフ)、リモナバン、及び、URB937とリモナバンとの組み合わせが、表層後角(ラミナI、II)、固有核(ラミナIII、IV)、後角頸部領域(ラミナV、VI)、及び前角のFos陽性細胞数に及ぼす作用の定量分析。同一対象の行動データを図2に示す。結果は平均±標準誤差(mean±min)で表す。n=5〜7。*P<0.05、全群、対URB937;P<0.05、URB937とリモナバンとの組み合わせ、又はリモナバン単独、対URB937;P<0.05、ビヒクル、リモナバン、対URB937.
URB937はマウスの末梢炎症により誘導される疼痛行動を減衰させる。URB937(1mg−kg−1、i.p.)の単独で、又は、リモナバン(R、1mg−kg−1、i.p.)若しくはAM630(AM、1mg−kg−1、i.p.)との組み合わせによる投与が、痛覚過敏に及ぼす作用。結果は平均±標準誤差(mean±min)で表す。;n=6。P<0.05、対ビヒクル;**P<0.01、対ビヒクル;***P<0.001、対ビヒクル;P<0.05、対URB937;###P<0.01、対URB937。(a)カラギーナン誘導性機械的痛覚過敏に対する作用。カラギーナン注射直前(0h)又は注射から4h後及び24h後に測定した。 (b)熱痛覚過敏に対する作用。カラギーナン注射直前(0h)又は注射から4h後及び24h後に測定した。 (c)機械的異痛(mechanical allodynia)に対する作用。カラギーナン注射から4h後及び24h後に測定した。 (d)肢浮腫に対する作用。
URB937は、マウスにおいて末梢神経損傷により誘発される疼痛行動を抑制する。(a〜c)ビヒクル(灰色棒グラフ)又はURB937(黒棒グラフ;1mg−kg−1、i.p.)の単回投与による作用。BL、ベースライン(結紮前に測定);IL、同側(結紮側)の肢;CL、対側(非結紮側)の肢。結果は平均±標準誤差(mean±min)で表す。n=6。***P<0.001、対ベースライン;P<0.05、対ビヒクル;##P<0.01、対ビヒクル;###P<0.001、対ビヒクル。(a)機械的痛覚過敏に対する作用。 (b)熱痛覚過敏に対する作用。 (c)坐骨神経結紮により誘発される機械的異痛に対する作用。 (d〜f)URB937の繰り返し注射(1mg−kg−1、i.p、1日一回で連続4日間)による作用。(d)機械的痛覚過敏に対する作用。 (e)熱痛覚過敏に対する作用。 (f)機械的異痛に対する作用。
スイスマウスの各組織におけるアナンダミド及びパルミトイルエタノールアミド(PEA)レベルにURB937(1mg−kg−1、i.p.)が及ぼす作用。白棒グラフ、ビヒクル;黒棒グラフ、URB937。結果は平均±標準誤差(mean±min)で表す。n=4〜6。P<0.05、**P<0.01、***P<0.001、対ビヒクル。
カラギーナンの足底内注射はスイスマウスの対側(非注射側)肢の機械的(a)及び熱(b)痛覚過敏、或いは機械的異痛(c)に影響を及ぼさない。リモナバン(R、1mg−kg−1、i.p.)及びAM630(1mg−kg−1、i.p.)は何の作用も示さなかった。結果は平均±標準誤差(mean±min)で表す。(a)機械的痛覚過敏に対する作用。 (b)熱痛覚過敏に対する作用。 (c)機械的異痛に対する作用。
末梢カンナビノイド受容体は、疼痛の開始に対して強力な抑制制御を示すが、この内在的な鎮痛作用に通常どの内因性カンナビノイドシグナルが関与しているかは知られていない。本発明者等は、エンドカンナビノイドであるアナンダミドの分解に関与する酵素、脂肪酸アミドヒドロラーゼ(FAAH)に対する、末梢に制限された新規な阻害剤を開発した。この化合物、通称URB937は、FAAH活性を抑制し、中枢神経系(central nervous system:CNS)外のアナンダミドレベルを上昇させる。URB937は脳や脊髄に到達できない(しかも当該化合物は、驚くべきことに、輸送系により脳から排出され易い)、齧歯類の炎症及び末梢神経損傷のモデルにおいて、持続痛の指標となる行動応答を減衰させ、侵害受容工程に関与する脊髄領域の侵害刺激誘発性ニューロン活性化を抑制する。CB受容体を遮断するとこれらの作用が阻止される。これらの結果は、疼痛情報のCNSへの伝達が、末梢CB受容体におけるアナンダミド媒介性シグナル伝達によって制御されていることを示している。このゲーティング機構を強化する脳非透過性のFAAH阻害剤は、疼痛治療に対する新たなアプローチとなる。
痛覚は、CNS内で作用する神経伝達物質によって、効果的に制御することが可能である。斯かる調節の特徴が顕著なのは、脊髄の後角である。ここは、侵害受容性(痛覚)線維により伝えられた刺激を、脳に伝達する前に処理する部位である。これらの中心的な機構に加え、CNS外の求心性神経線維の末端では、疼痛伝達の内因性制御が生じ得る。末梢調節の顕著な例の一つは、内因性オピオイドによるものである。内因性オピオイドは、炎症時に活性化された免疫細胞から放出され、感覚神経終末に局在するオピオイド受容体と相互作用することにより、疼痛の開始を抑制する1,2
当該化合物URB937は、強力なFAAH阻害剤であるが、CNS内に容易には侵入しないため、主に末梢組織のみで、アナンダミドの不活性化を妨害する。このように作用範囲が限定されているにもかかわらず、URB937は、急性及び持続痛の齧歯類モデルにおいて、顕著な抗侵害受容作用を引き起こした。斯かる作用は、CBカンナビノイド受容体の遮断によって妨害された。これらの知見は、末梢FAAH活性を阻害することで、発生した侵害受容性刺激の脊髄や脳への伝達を調節する内因性鎮痛作用が増強されることを示唆している。この機構はアナンダミドや、別の内因性脂肪酸アミドであるカンナビノイドによって媒介されている可能性が高い。
理論に束縛されるものではないが、末梢アナンダミドのシグナル伝達は、損傷組織に生じることにより、疼痛刺激の強度を調節する拡散パラクリン系(diffuse paracrine system)として機能するものと考えられる。この考えは二種類の証拠によって支持されている。第1に、炎症及び神経損傷によって生じたシグナルにより、アナンダミドの局所放出が誘発される。例えば、感覚ニューロンの培養物では、膜の脱分極及びTRPV−1チャネルの活性化の各々により、アナンダミドの産生が刺激される25のに対し、マクロファージでは、炎症促進受容体であるトール(Toll)様受容体4の活性化により、同様の作用が生じる26。これらのシグナルは、おそらくは未だ特定されていない他のシグナルと共に、脊髄神経損傷及び炎症の動物モデルについて報告されている末梢アナンダミドの上昇や8,11、ヒトにおける複合性局所疼痛症候群9や関節炎10等の疼痛状態に寄与しているものと考えられる。第2に、CB受容体は、とりわけ脳に豊富に存在するものの、哺乳類の種々の組織や器官に広く分布している。特に、大型一次感覚ニューロンにおいて発現され、末梢神経終末に輸送される27,28。ここでは、通常の疼痛閾値を維持する必要がある一方で8、顕著な抗侵害受容作用を十分に発揮することができる3,6。痛覚末端のCB1受容体は、局所的に産生されたアナンダミドの鎮痛作用を媒介していると考えられる。また、興奮性神経ペプチドの放出に対する阻害的影響を通じて、この脂質メディエーターの抗炎症活性にも関与している可能性がある29。それにもかかわらず、他のカンナビノイドやカンナビノイド様受容体も、直接又は間接的に、損傷に対する応答時のアナンダミドシグナル伝達に寄与していると推測するのが妥当である。可能性の高い候補としては、アナンダミド又は2−AGの何れかによって活性化され得るCB受容体30、及び、PEAや他の脂質由来メディエーターによって活性化されるα型ペルオキシソーム増殖因子活性化受容体7,20,21の2つが挙げられる。これらの受容体及びその内因性リガンドは、末梢感覚ニューロン及び免疫細胞に存在し、侵害受容及び炎症の調節への関与が指摘されてきた21,31,32
非神経細胞において選択的にFAAHを欠失させる一方、末梢及び中枢ニューロンではFAAHを保存した突然変異マウスは、通常の侵害受容性伝達に伴って、炎症促進性のトリガーに対する応答性が低下するという、顕著な表現型を示す33。斯かる知見について考えられる説明として、これは今回の結果にも整合するが、末梢侵害受容器におけるアナンダミドのシグナル伝達活性が、隣接する非神経細胞よりも、侵害受容器に局在するFAAH自体によって調節されている、ということが考えられる。っ斯かる説明は、末梢軸索切断によって大型感覚ニューロンにおけるFAAH発現が誘発される、という観察結果とも整合する。斯かる応答は、FAAHとCB受容体との共局在を拡大するものと予測される34
動物及びヒトの実験疼痛モデルにおいて、オピオイド受容体の直接作動性アゴニストは、強力な鎮痛作用を発揮する2,35。本発明者等の結果は、侵害受容の恒常性維持に関与するアナンダミド系機構の活性を増強することによっても、著しい鎮痛を達成することが可能であることを示すものである。これらの知見は、疼痛の内因性制御に対する新たな洞察を提供するものであり、これを治療に応用すれば、中枢への副作用が大幅に低減された効果的な鎮痛剤を開発することが可能となる。
定義
まず、本明細書及び添付の特許請求の範囲において、単数形表現(英文の“a”、“an”、“the”に相当)には、別途明確な記載がない場合、複数形も含まれるということに留意されたい。
「FAAH」は、哺乳類の脂肪酸アミドヒドロラーゼ(fatty acid amide hydrolase)を意味する。例としては、これらに限定されるものではないが、ヒト、ラット、及びマウス型の当該酵素が挙げられる。米国特許第6,271,015号は、FAAHの単離精製型を開示する。ある群の態様によれば、対象化合物のFAAH IC50は、生理的に適切な状態下におけるラット酵素の阻害に基づいて定義される。脂肪酸アミドヒドロラーゼ(FAAH)(Deutsch, D.G., et al., Prostaglandins Leukot. Essent. Fatty Acid, 66, 201-210 (2002))は、脂質エタノールアミドの分解に関与する酵素である(Fowler, C. J., et al., Biochem. Pharmacol. 62, 517-526 (2001); Patricelli, M. P., et al. Vitam. Horm., 62, 663-674 (2001))。例としてアナンダミド(AEA、1、図1)、(Devane, W. A., et al., Science 258, 1946-1949 (1992))、オレオイルエタノールアミド(Rodriguez de Fonseca, F., et al. Nature (London) 414, 209-212 (2001); Fu, J., et al., Nature (London) 425, 90-93 (2003))及びパルミトイルエタノールアミド(Calignano, A., et al. Nature (London) 394, 277-281 (1998); Lambert, D.M., et al., Curr. Med. Chem. 9, 663-674 (2002))が挙げられる。斯かる生化学過程は、AEAの場合の細胞内への選択的輸送と共に(Di Marzo, V., Nature (London) 372, 686-691 (1994); Beltrama, M., et al., Science 277, 1094-1097 (1997); Piomelli, D., et al., Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. (2002))、これらのオータコイドの細胞効果の停止をもたらす。脂肪酸エタノールアミドの多様且つ重要な生理学的役割ゆえに、FAAH又はFAAHを遮断し得るが、他のエンドカンナビノイド代謝酵素には結合しない種々の小分子化合物、例えばモノグリセリドリパーゼ(monoglyceride lipase:MGL)(Dinh, T.P., et al., Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 99, 10819-10824 (2002))やカンナビノイド受容体が、薬理ツールとしても、薬物開発プロジェクトのプロトタイプとしても有用である(Piomelli, D., et al. Trends Pharmacol. Sci. 21, 218-224 (2000); Bisogno, T., et al., Curr. Pharm. Des. 8, 533-547 (2002); Yarnell, A., Chem. Eng. News 80(49), 32 (2002); Smith, A., Nat. Rev. Drug Discov. 2, 92 (2003); Wendeler, M., et al. Angew. Chem. Int. Ed. 42, 2938-2941 (2003))。
「医薬的に許容可能な担体」(pharmaceutically acceptable carrier)という語は、任意の標準的な医薬担体、緩衝剤及び賦形剤、例えばリン酸緩衝食塩水、水、及びエマルション(例えば油/水又は水/油エマルション)、並びに種々の湿潤剤及び/又はアジュバントを包含する。適切な医薬担体及びその製剤例は、Remington's Pharmaceutical Sciences(Mack Publishing Co., Easton, 19th ed. 1995)に記載されている。好ましい 医薬担体は、意図される活性剤の投与方法に応じて異なる。典型的な投与方法を以下に記す。
「有効量」(effective amount)は、表示の障害、状態、又は精神状態に関して、所望の結果をもたらすのに十分な投与量を意味する。所望の結果には、例えば、当該投与の需要者における主観的又は客観的な改善が含まれる。疼痛に関して言えば、斯かる改善としては、疼痛の兆候又は症状の低減が挙げられる。
「処置」(treatment)、「治療」(therapy)等には、限定されるものではないが、受容者の健康状態に有益な変化を生じさせる方法及び操作が含まれる。変化は主観的なものでも客観的なものでもよく、処置対象の疾患、障害又は状態の症状や兆候等の特徴に関するものでもよい。例えば、患者の感じる疼痛が低減されれば、疼痛の処置に成功したことになる。例えば、腫脹の量が減少すれば、炎症を有益に処置できたことになる。同様に、臨床医が客観的な変化(例えば可動域の改善等)に気付けば、それまで動作を妨げていた疼痛や炎症を有益に処置できたことになる。受容者の状態の悪化を防止することもこの用語に含まれる。
治療利益(therapeutic benefit)には、本明細書で議論するような、有益な応答や処置対象の状態の改善を示す種々の主観的又は客観的因子が含まれる。
「医薬的に許容可能な」(pharmaceutically acceptable)又は「治療上許容可能な」(therapeutically-acceptable)は、ある物質がその使用される量において、活性成分の有効性又は生物活性と干渉せず、また、宿主に対して毒性を有しないことをいう。ここで宿主とは投与対象を指し、ヒトでも動物でもよい。
「治療有効量」(therapeutically-effective amount)とは、活性剤が所望の生物学的又は臨床上の結果を引き起こすのに十分な量をいう。ここでいう結果とは、疾患の兆候、症状、又は原因の軽減でもよく、生体系における他の所望の変更でもよい。本明細書において「治療有効量」とは、対象に投与した場合に、疾患、障害又は状態に実質的な改善を生じさせる製剤の量を指す。斯かる量は、処置対象の状態、状態の進行段階、適用する製剤の種類や濃度等に応じて異なる。所与の事例における適切な量は、当業者であれば容易に把握できるか、定型的な実験によって決定することができる。
「予防的処置」(prophylactic treatment)とは、神経的又は精神的な障害や状態の兆候を示していない対象や、初期又は軽度の兆候しか示していない対象に対して、病理の発現や障害や状態の悪化のリスクを低減することを目的として施される処置をいう。本発明の化合物は、不要又は不所望の不安又はパニック発作を防止するための予防的処置として用いてもよく、不安レベルの悪化が生じるリスクを低減するために用いてもよい。
本明細書で使用される「対象」(subject)という語は、処置を施される任意の動物を含む。例としては、限定されるものではないが、ヒトを含む哺乳類(例えばラット、マウス、ネコ、イヌ等)が挙げられる。
本明細書で使用される「ヒドロカルビル」(hydrocarbyl)という語は、(C−C)炭化水素ラジカル、即ち、(C−C)アルキル、(C−C)アルケニル、(C−C)シクロアルキル、(C−C)シクロアルケニル、(C−C)ヘテロアルキル、(C−C)ヘテロアルケニル、(C−C)ヘテロシクロアルキル、又は(C−C)ヘテロシクロアルケニルラジカルを指す。より好ましくは、各事例におけるヒドロカルビルは、置換又は無置換の(C〜C)、(C〜C)、又は(C〜C)ヒドロカルビル、更に好ましくは無置換の(C〜C)アルキルである。より一層好ましくは、各事例におけるヒドロカルビルは、メチル又はエチル又はトリフルオロメチルである。また、「ヒドロカルビル」という語は、上述のヒドロカルビル基のうち最大1、2、又は3原子がヘテロ原子で置換された基も含む。但し、ヒドロカルビルのヘテロ原子はたがいに隣接しておらず、且つ、ヒドロカルビルが化合物の残部に対して、ヒドロカルビルのヘテロ原子を介して結合していないことを条件とする。
本明細書で使用される「アルキル」(alkyl)という語は、単独であるか、他の置換基の一部であるかによらず、別途記載しない限り、直鎖又は分岐鎖の飽和の炭化水素ラジカルであって、指定された数の炭素原子を有する(即ち(C−C)は1〜6の炭素を意味する)。アルキル基の例としては、メチル、エチル、n−プロピル、isoプロピル、n−ブチル、t−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、n−ペンチル、n−ヘキシル、n−ヘプチル、n−オクチル等が挙げられる。
本明細書で使用される「アルコキシ」(alkoxy)という語は、分子の残部に酸素原子を介して結合されたアルキル部分を指す。即ち、アルコキシの例としては、限定されるものではないが、メトキシ、エトキシ、プロポキシ等が挙げられる。
本明細書で使用される「アルケニル」(alkenyl)という語は、対応するアルキル基から誘導されるが、1又は2以上の二重結合を有する点で異なる基を指す。同様に、「アルキニル」(alkynyl)基という語は、対応するアルキル基に応じて命名されるが、1又は2以上の三重結合を有する点で異なる基を指す。斯かる不飽和アルケニル基及びアルキニル基の非限定的な例としては、ビニル、2−プロペニル、クロチル、2−イソペンテニル、2−(ブタジエニル)、2,4−ペンタジエニル、3−(1,4−ペンタジエニル)、エチニル、1−及び3−プロピニル、3−ブチニル、及び、更に高次の同族体(homolog)及び異性体(isomers)を意味する。
本明細書で使用される「ヘテロアルキル」(heteroalkyl)という語は、対応するアルキル基に基づき命名されるが、N、O、及びSから独立に選択される1、2、又は3つのヘテロ原子を、当該アルキル基の炭素の代わりに含む点で異なる基を指す。ヘテロ原子である窒素及び硫黄原子は任意により酸化されていてもよく、窒素原子は任意により四級化されていてもよい。ヘテロアルキル基は分子の残部に対してヘテロアルキル基の炭素原子を介して連結される。また、ヘテロアルキルのヘテロ原子は他のヘテロ原子とは隣接しない。
「ヘテロアルケニル」(heteroalkenyl)という語は、対応するアルケニル基に基づき命名されるが、1、2、又は3つのヘテロ原子を、当該アルケニル基の炭素の代わりに含む点で異なる基を指す。ヘテロ原子である窒素及び硫黄原子は任意により酸化されていてもよく、窒素原子は任意により四級化されていてもよい。ヘテロ原子は炭素原子と二重結合を形成していてもよい。ヘテロアルケニル基は分子の残部に対してヒドロカルビル炭素原子を介して連結される。また、ヒドロカルビルのヘテロ原子は他のヘテロ原子とは隣接しない。
本明細書で使用される「シクロアルキル」(cycloalkyl)という語は、約3〜約8の炭素原子、より好ましくは3〜6の炭素原子を含む飽和単環式炭化水素ラジカルを指す。「シクロアルケニル」(cycloalkenyl)という語は、約5〜約6の炭素原子を含み、少なくとも1つの二重結合を有する単環式非芳香族炭化水素ラジカルを指す。シクロアルキル基及びシクロアルケニル基の例としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘキセニル、シクロヘプタ−1,3−ジエニル等が挙げられる。
本明細書で使用される「ヘテロシクロアルキル」(heterocycloalkyl)という語は、約3〜約8の炭素原子、より好ましくは3〜6の炭素原子を含む飽和又は部分的に不飽和の単環式炭化水素ラジカルであって、O、N、又はSから独立に選択されるヘテロ原子によって、1、2又は3つの炭素原子が独立に置換されたラジカルを指す。窒素及び硫黄原子は任意により酸化されていてもよく、窒素原子は任意により四級化されていてもよい。硫黄はチオ、スルフィニル又はスルホニルの何れの酸化状態でもよい。「ヘテロシクロアルケニル」(heterocycloalkenyl)という語は、少なくとも1つの二重結合を有するヘテロシクロアルキル基を指す。ヘテロシクロアルキル又はヘテロシクロアルケニル基は分子の残部に対して、それぞれヘテロシクロアルキル又はヘテロシクロアルケニル基の炭素原子を介して結合する。また、ヘテロシクロアルキル又はヘテロシクロアルケニルのヘテロ原子は、ヘテロシクロアルキル又はヘテロシクロアルケニルの別のヘテロ原子とは隣接しない。
本明細書で使用される「ヘテロ原子」(heteroatom)は、酸素(O)、窒素(N)、及び硫黄(S)を含む意である。
本明細書で使用される「ハロゲン」(halogen)又は「ハロ」(halo)という語は、ヨウ素(I)、臭素(Br)、塩素(Cl)、及び/又は、フッ素(F)を指す。
上述のヒドロカルビル、アルキル、アルケニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、ヘテロアルキル、ヘテロアルケニル、シクロヘテロアルキル、及びシクロヘテロアルケニルラジカルは各々、無置換の(C−C)又は(C−C)アルキル、無置換の(C−C)又は(C−C)アルコキシ、無置換のアミノ、無置換の(C−C)又は(C−C)アルキルアミノ、2つの無置換の(C−C)又は(C−C)アルキルアミノ、ヒドロキシ、ハロ、無置換のカルボキサミド、無置換の(C−C)又は(C−C)アルキルカルボキサミド、オキソ、及びニトロから独立に選択される1、2又は3つの置換基で置換されていてもよい。アルコキシ基の非限定的な例としては、メトキシ、エトキシ、t−ブトキシ、シクロペンチルオキシ、トリフルオロメトキシ等が挙げられる。本明細書で使用される「オキソ」(oxo)という語は=Oを指す。本明細書で使用される「アミノ」(amino)という語は-NH2を指す。ある態様によれば、ヒドロカルビル基は各々無置換である。ある態様によれば、ヒドロカルビル、アルキル、アルケニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、ヘテロアルキル、ヘテロアルケニル、シクロヘテロアルキル、及びシクロヘテロアルケニル基は各々無置換である。
末梢に制限された化合物(peripherally restricted compound)とは、血液脳関門を殆ど通過せず、或いはより迅速に脳から排出される化合物をいう。従って、末梢に制限された本発明に係る化合物は、末梢において中枢(例えば脳)よりも遥かに高い濃度で、FAAH活性を阻害する投与量で投与することができる。ある態様によれば、本発明に係るFAAH阻害剤は、マウスに皮下、静脈内、又は経口投与した場合に、末梢FAAH活性(例えば肝臓等)を阻害するED50が、脳FAAH活性を阻害するED50の1/4、1/8、又は1/10以下である。好ましくは、末梢に制限されたFAAH阻害剤とは、試験哺乳類の末梢でのFAAH活性の低減が、中枢(例えば脳)におけるFAAH活性の低減の少なくとも3、4、5、7、8、又は10倍である剤をいう。例えば、末梢におけるFAAH活性レベルが80%阻害される(ベースライン又はFAAH活性の非阻害レベルの20%が残存する)のに対して、中枢FAAH活性が10%阻害される(ベースライン又はFAAH活性の非阻害レベルの90%が残存する)場合には、FAAH阻害の差異は80%/10%又は8倍となる。
生理的に開裂し得るエステル(physiologically cleavable ester)は、インビボ(in vivo)でカルボキシエステラーゼの基質となるエステルをいう。生理的に開裂し得るエステルは通常、迅速に加水分解されて、血液又は血漿におけるエステルの濃度よりも対応するアルコールの濃度の方が高くなる。例えば、生理的に開裂し得るエステルは、インビボ迅速に加水分解されて対応するアルコール及び酸となり、治療関連投与量においてその半減期は、1/2、1、2又は3時間未満である。
本発明の化合物
本発明の化合物は、下記式の化合物:
Figure 0005981429
(式中、Rは極性基であり、ある態様によれば、Rは、ヒドロキシ及び生理的に加水分解可能なそのエステル、−O−カルボキサミド、−SH、−OC(O)R、−O−CO−NR及び−NRからなる群より選択され、ここで、Rは置換又は無置換のヒドロカルビルであり、R及びRは独立に、水素及び置換又は無置換のヒドロカルビルからなる群より選択され;R及びRは独立に、水素及び置換又は無置換のヒドロカルビルからなる群より選択され;Rは各々独立に、ハロゲン及び置換又は無置換のヒドロカルビルからなる群より選択され、nは0〜4の整数であり;Rは各々独立に、ハロ及び置換又は無置換のヒドロカルビルからなる群より選択され、mは0〜3の整数であり;Rは置換又は無置換のシクロヘキシルである。)、及び、医薬的に許容可能なその塩である。ある態様によれば、R、R、R、R、及びRは各々独立に、水素及び無置換のヒドロカルビルから選択される。更なる態様によれば、R、R、R、R、及びRは各々独立に、水素又は無置換のC〜Cヒドロカルビルから選択される。更なる態様によれば、R及びRの各基は各々独立に、ハロゲン又はC〜Cヒドロカルビルである。好ましくは、上述の本発明の化合物は、末梢に制限される。
上記の何れかに適用可能な更なる態様によれば、mは0であり、nは0、1、2、3、又は4である。別の更なる態様によれば、mは1であり、nは0、1、2、3、又は4である。更に別の態様によれば、mは2であり、nは0、1、2、3、又は4である。別の更なる態様によれば、mは3であり、nは0、1、2、3、又は4である。更に別の態様によれば、mとnとの合計は、0、1、2、又は3である。別の更なる態様によれば、上述の各々において、各ヒドロカルビル基は無置換である。
好ましくは、Rは、ヒドロキシ、又は、ヒドロキシの生理的に加水分解可能なエステルである。これらのエステルには、たとえば式−OC(O)Rのものが含まれ、ここでRは、置換又は無置換のヒドロカルビル、より好ましくは置換又は無置換のアルキル、アルケニル、シクロアルキル、ヘテロアルキル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロアルケニル、ヘテロシクロアルケニル、及びシクロアルケニルであり、更に好ましくは、置換又は無置換の(C−C)アルキル(例えばメチル、エチル、プロピル、トリフルオロメチル等)、或いは、置換又は無置換の(C−C)ヒドロカルビルであり、アルケニル、シクロアルキル、ヘテロアルキル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロアルケニル、ヘテロシクロアルケニル、及びシクロアルケニルから選択されるものが挙げられる。これらの態様の更なるものとしては、mが0であり、nが0、1、2である態様、mが1であり、nが0、1、又は2である態様、又は、mが2であり、nが0、1、又は2である態様が挙げられる。
上記の何れかに適用可能な更なる態様によれば、R及びRは、水素、或いは、置換又は無置換の(C−C)ヒドロカルビルであって、アルキル、アルケニル、シクロアルキル、ヘテロアルキル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロアルケニル、ヘテロシクロアルケニル、及びシクロアルケニルから選択されるものが挙げられる。これらの態様の更なるものとしては、mが0であり、nが0、1、又は2である態様、mが1であり、nが0、1、又は2である態様、或いは、mが2であり、nが0、1、又は2である態様が挙げられる。斯かる太陽の更なるものによれば、R及びRの一方又は両方が水素である。これらの態様の更なるものとしては、mが0であり、nが0、1、2である態様、mが1であり、nが0、1、2である態様、又はmが2であり、nが0、1、2である態様が挙げられる。更に別の態様によれば、R及び/又はRのヒドロカルビル基は無置換である。
上記の何れかに適用可能な更なる態様によれば、Rはヒドロキシであり、R及びRの少なくとも一方は水素である。斯かる態様の更に別のものによれば、R及びRの一方又は両方が水素である。Rがヒドロキシである他の態様によれば、R及びRは独立に、置換又は無置換の(C−C)アルキル(例えばメチル、エチル、プロピル等)及びHから選択される。これらの態様の更なるものとしては、mが0であり、nが0、1、2である態様、mが1であり、nが0、1、2である態様、或いは、mが2であり、nは0、1、2である態様が挙げられる。
上記の何れかに適用可能な更に別の態様によれば、Rは置換又は無置換のシクロヘキシルである。シクロヘキシルの置換基としては、アルキル(例えばメチル、エチル等)、ハロ(F、Cl、I、Br、好ましくはF又はCl)、及びトリフルオロメチルが挙げられる。これらの態様の更に別のものとしては、mが0であり、nが0、1、2である態様、mが1であり、nが0、1、2である態様、或いは、mが2であり、nは0、1、2である態様が挙げられる。
上記の何れかに適用可能な更なる態様によれば、Rは、置換又は無置換のアルキル、アルケニル、シクロアルキル、ヘテロアルキル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロアルケニル、ヘテロシクロアルケニル、又はシクロアルケニルであり、より一層好ましくは、置換又は無置換の(C−C)アルキル(例えばメチル、エチル、プロピル、トリフルオロメチル等)、或いは、置換又は無置換の(C−C)ヒドロカルビルであって、アルケニル、シクロアルキル、ヘテロアルキル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロアルケニル、ヘテロシクロアルケニル、及びシクロアルケニルから選択されるものが挙げられる。別の態様によれば、Rは(C−C)アルキル(例えばメチル、エチル、プロピル等)から選択され、nは0、1、2、又は3である。更に別の斯かる態様によれば、Rは各々ハロゲン又はハロアルキル(例えばトリフルオロメチル等)である。更に別の斯かる態様によれば、Rは各々ハロゲン又は無置換の(C−C)アルキル(例えばメチル、エチル、プロピル等)である。更なる斯かる態様によれば、mは0又は1である。
上記の何れかに適用可能な更なる態様によれば、Rは、置換又は無置換のアルキル、アルケニル、シクロアルキル、ヘテロアルキル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロアルケニル、ヘテロシクロアルケニル、又はシクロアルケニルであり、より一層好ましくは、置換又は無置換の(C−C)アルキル(例えばメチル、エチル、プロピル、トリフルオロメチル等)、或いは、置換又は無置換の(C−C)ヒドロカルビルであって、アルケニル、シクロアルキル、ヘテロアルキル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロアルケニル、ヘテロシクロアルケニル、及びシクロアルケニルから選択されるものが挙げられる。上述の何れかの別の態様によれば、Rは、(C−C)アルキル(例えばメチル、エチル、プロピル等)から選択され、mは1、2、又は3である。更に別の斯かる態様によれば、Rは各々、ハロゲン又はハロアルキル(例えばトリフルオロメチル等)である。更に別の斯かる態様によれば、Rは各々、ハロゲン又は無置換の(C−C)アルキル(例えばメチル、エチル、プロピル等)である。更なる斯かる態様によれば、nは0又は1である。
特に好ましい態様によれば、Rは、ヒドロキシ、或いは、生理的に加水分解可能なそのエステルであって、加水分解によって対応する化合物を放出するものであり、ここで、Rはヒドロキシであり、Rは無置換のシクロヘキシルであり、mは0であり、nは0、1、2であるか、或いはmが1であり、nが0、1、又は2であるか、或いはmが2であり、nが0、1、又は2である。斯かる態様の別のものによれば、式−OC(O)Rのエステルにおいて、Rは置換又は無置換のヒドロカルビルであり、より好ましくは置換又は無置換のアルキル、アルケニル、シクロアルキル、ヘテロアルキル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロアルケニル、ヘテロシクロアルケニル、及びシクロアルケニルであり、より一層好ましくは、置換又は無置換の(C−C)アルキル(例えばメチル、エチル、プロピル、トリフルオロメチル等)又は置換又は無置換の(C−C)ヒドロカルビルであって、アルケニル、シクロアルキル、ヘテロアルキル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロアルケニル、ヘテロシクロアルケニル、及びシクロアルケニルから選択される。更なる態様によれば、Rは無置換のヒドロカルビル、無置換のアルキル、無置換のアルケニル、無置換のシクロアルキル、無置換のヘテロアルキル、無置換のヘテロシクロアルキル、無置換のヘテロアルケニル、無置換のヘテロシクロアルケニル、又は無置換のシクロアルケニルであるか、或いは無置換の(C−C)アルキル(例えばメチル、エチル、プロピル、トリフルオロメチル等)、又は無置換の(C−C)ヒドロカルビルであって、アルケニル、シクロアルキル、ヘテロアルキル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロアルケニル、ヘテロシクロアルケニル、及びシクロアルケニルから選択されるものが挙げられる。
特に好ましい態様によれば、上記化合物は、以下の式を有する化合物:
Figure 0005981429
(3’−カルバモイル−6−ヒドロキシビフェニル−3−イルシクロヘキシルカルバメート)、又は、生理的に加水分解可能なそのエステルであって、加水分解によって、3’−カルバモイル−6−ヒドロキシビフェニル−3−イルシクロヘキシルカルバメート又は医薬的に許容可能なその塩を法主するエステルである。
好ましい態様によれば、上記化合物の何れかは、末梢に制限された化合物である。
本発明の化合物は1以上の不斉中心を含んでいてもよい。この場合、ラセミ体やラセミ混合物、単一のエナンチオマー、ジアステレオマー混合物、及び個々のジアステレオマー等が存在し得る。本発明は、本発明に係る化合物の斯かる異性体形を全て包含することが意図される。
本発明の化合物は、任意のジアステレオマーや、任意のエナンチオマー対を包含する。例えばジアステレオマーは、分別結晶によって、例えばメタノール、酢酸エチル、その混合物等の適切な溶媒から得ることができる。このように得られたエナンチオマー対を、光学活性な酸を分割剤として用いる従来の手法により、個々の立体異性体へと分割してもよい。
あるいは、本発明の斯かる化合物の任意のエナンチオマーは、既知の立体配置を有する光学上純粋な出発原料を用いて、立体特異的合成によって得ることもできる。
本発明の化合物は、その1以上の原子について、同位体の比率が天然の比率とは異なっていてもよい。例えば、化合物はトリチウムや炭素14等の放射性同位体で標識されていてもよい。本発明の化合物のあらゆる同位体の変形例は、放射性か非放射性かによらず、何れも本発明の範囲内である。
本発明の化合物は、医薬的に許容可能なその酸付加塩(例えば無機及び有機酸の使用に由来する塩)の形態で単離されてもよい。斯かる酸の例としては、塩酸、硝酸、硫酸、リン酸、ギ酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、プロピオン酸、マレイン酸、琥珀酸、マロン酸等が挙げられる。さらに、酸性官能基を含む特定の化合物は、その無機塩の形態を有していてもよい。この場合、対イオンは、ナトリウム、カリウム、リチウム、カルシウム、マグネシウム等、更には有機塩基からも選択することができる。「医薬的に許容可能な塩」(pharmaceutically acceptable salts)という語は、医薬的に許容可能な無毒な塩基又は酸から調製される塩を意味する。ここで、塩基又は酸には、無機塩基又は酸、及び、有機塩基又は酸が含まれる。
また、本発明は、本発明の化合物のプロドラッグも包含する。プロドラッグとは、投与した場合に代謝過程による化学変換を受けて、活性薬学物質になる化合物をいう。一般に、斯かるプロドラッグとしては、インビボ(in vivo)で本発明の機能的な化合物へ容易に変換され得る本発明の化合物の誘導体が挙げられる。適切なプロドラッグ誘導体を選択及び調製するための従来の手順は、例えば「Design of Prodrugs」(H. Bundgaarded編、Elsevier、1985年)に記載されている。また、本発明は、本発明の化合物の活性代謝産物も包含する。
本明細書に記載の化合物の一部はオレフィン二重結合を含むが、これらは別途記載する場合を除き、E及びZ幾何異性体の両方を含むことが意図される。
本明細書に記載された化合物の一部は、水素の結合点が異なる異性体、通称互変異性体ととして存在していてもよい。斯かる例としては、ケトン−エノール互変異性体と呼ばれる、ケトン及びそのエノール型が挙げられる。個々の互変異性体、更にはそれらの混合物も、本発明の式に包含される。
ハイスループットFAAH阻害アッセイ
本明細書に記載された化合物のアッセイはハイスループットスクリーニングに適している。斯かるアッセイとしては、FAAHへの阻害剤の結合、或いは、基質(例えばオレオイルエタノールアミドやアナンダミド等)の加水分解により発生する反応生成物(例えば脂肪酸アミドやエタノールアミン等)の放出を検出するものが好ましい。放出される反応生成物の検出を容易にするために、基質を標識してもよい。特別の反応生成物の存在、不在、又は定量化のためのハイスループット・アッセイは、当業者には周知である。即ち、例えば米国特許第5,559,410号には、タンパク質のハイスループットスクリーニング法が開示されている。また、米国特許第5,576,220号及び第5,541,061号には、リガンド/抗体結合のハイスループットスクリーニング法が開示されている。
更に、市販のハイスループットスクリーニングシステムが入手可能である(例えばZymark Corp., Hopkinton, MA;Air Technical Industries, Mentor, OH;Beckman Instruments, Inc. Fullerton, CA;Precision Systems, Inc., Natick, MA等を参照)。斯かるシステムによれば通常、全サンプル及び試薬のピペッティング、液体の分注、時間管理下でのインキュベーション、更にはアッセイ用検出器のマイクロプレートの最終的な読み取り等、全ての工程が自動化される。斯かる設定可能なシステムによれば、ハイスループット及び迅速なスタートアップ、更には高度のフレキシビリティー及びカスタマイゼーションが提供される。斯かるシステムのメーカーからは、種々のハイスループット用の詳細なプロトコールが提供されている。即ち、例えばZymark社は、遺伝子転写の調節、リガンドの結合等を検出するためのスクリーニングシステムを説明する技術情報を提供している。
抗侵害受容活性を有する化合物のスクリーニング法
FAAH阻害剤を抗侵害受容作用に基づいてスクリーニングする方法は、当業者に周知である。例えば、マウス・ホットプレート・テストおよびマウス・ホルマリン・テストでは、試験化合物を対象動物に投与し、組織の熱又は化学損傷に対する侵害受容反応が測定される。また、抗侵害受容活性のスクリーニング法を教示する米国特許第6,326,156号も参照。Cravatt et al. Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 98:9371-9376 (2001) 参照。
医薬組成物
また、本発明は上記の抹消に制限されたFAAH阻害化合物の医薬組成物を提供する。ここで、医薬組成物等における「組成物」(composition)という語は、(1又は2以上の)活性成分と、担体を構築する(1又は2以上の)不活性成分とを含む製品、並びに、上記成分のうち任意の2以上の組み合わせ、複合体形成又は凝集から、或いは上記成分のうち1又は2以上の解離から、或いは上記成分のうち1又は2以上の他の種類のの反応又は相互作用から、直接又は間接的に得られる製品を包含する意である。従って、本発明の医薬組成物は、本発明の化合物及び医薬的に許容可能な担体の混合により作製される任意の組成物を包含する。「医薬組成物」(pharmaceutical composition)という語は、動物やヒトを含む対象における医薬用途に適した組成物を示す。医薬組成物は一般に、有効量の活性成分と、医薬的に許容可能な担体とを含む。
本組成物は、経口、直腸、局所、非経口(例えば皮下、筋肉内、及び静脈内等)、眼内(点眼)、経肺(経鼻又は頬内吸引)、又は経鼻投与に適した組成物を含む。しかし、任意の所与の事例における最も適切な経路は、少なくとも部分的に、処置対象となる状態の性質及び重症度、並びに活性成分の性質に応じて異なる。典型的な投与経路は経口経路である。本組成物は、単位投薬形式で提示するのが有益である。これは薬学分野で周知の任意の方法で調製される。
実用的用途においては、本発明の化合物は活性成分として、従来の医薬合成技術により医薬担体と組み合わせ、稠密な混合物とすることができる。担体は、例えば経口、非経口(例えば静脈内等)等の投与に望まれる製剤形態に応じた、種々の形態を取り得る。経口投薬形態用の組成物を調製する場合には、通常の任意の医薬媒体を使用することができる。例としては、懸濁液、エリキシルおよび溶液等の経口液体製剤の場合、例えば水、グリコール、油、アルコール、香味剤、保存剤、着色料等が挙げられ、また、例えば粉剤、硬又は軟カプセル剤又は錠剤等の経口固体製剤の場合、デンプン等の担体、砂糖、微結晶性セルロース、希釈剤、粒状化剤、潤滑剤、バインダー、崩壊剤等が挙げられるが、液体製剤よりも固体経口製剤の方が好ましい。
投与の容易さの点では、錠剤及びカプセルが最も有利な経口投薬単位形態になる。その場合には当然、固体医薬担体が使用される。所望の場合、標準の水性又は非水性の技術によって錠剤を被覆してもよい。斯かる組成物や製剤は、例えば、活性化合物を少なくとも0.1%含有する。これらの組成物中の活性化合物の比率は、当然ながら変更してもよく、好適には、単位製剤の重量の約2%〜約60%の間であればよい。斯かる治療上有用な組成物中の活性化合物の量は、治療上有効な投薬量が得られるような量である。また、活性化合物を例えば液滴や噴霧剤として、鼻腔内投与してもよい。
錠剤、錠剤、カプセル等は、更にトラガカントゴム、アカシア、コーンスターチ、ゼラチン等の結合剤;リン酸カルシウム等の賦形剤;コーンスターチ、ポテトスターチ、アルギン酸等の崩壊剤;ステアリン酸マグネシウム等の潤滑剤;及び、スクロース、ラクトース、サッカリン等の甘味剤を含んでいてもよい。投薬単位形態がカプセルである場合、上記種類の材料に加えて、脂肪油等の液体担体を含んでいてもよい。
他の様々な材料が被膜として、或いは投薬単位の物理形態の修整剤として存在していてもよい。例えば、錠剤はセラック、砂糖、或いはその両方で覆われてもよい。シロップかエリキシルは、活性成分に加えて、甘味剤としてスクロースを、保存料としてメチル及びプロピルパラベンを、更には染料や、桜やオレンジ風味の風味剤を含んでいてもよい。胃腸管上部での崩壊を防ぐために、組成物は腸溶コーディング製剤であってもよい。
医薬投与用の任意の種々の投与経路、方法及び製剤は、Remington’s Pharmaceutical Sciences の第17版(Gennaro et al. Eds., Mack Publishing Co., 1985)に記載されている。Remington's Pharmaceutical Sciences, Gennaro AR ed. 20th edition, 2000: Williams & Wilkins PA, USA.
投与
本発明の化合物は非経口投与してもよい。これらの活性化合物の溶液又は懸濁液は、水を用い、適切にはヒドロキシプロピルセルロース等の界面活性剤を混合して調製することができる。分散液も、グリセロール、液体ポリエチレングリコール、及びその油中混合物を用いて調製することができる。通常の保存及び使用条件下では、これらの製剤は、微生物の増殖を防止するための保存料を含む。
注射可能な使用に適した医薬形態としては、無菌水溶液又は分散液、及び、無菌注射剤溶液又は分散液の即時調製用の無菌粉末が挙げられる。何れの場合も、医薬形態は無菌である必要があり、また、シリンジで容易に使用できる程度に流動性である必要がある。更には、製造及び保存条件下で安定である必要があり、また、細菌や真菌等の微生物の汚染作用に抗して保存される必要がある。担体は溶媒でも分散媒でもよく、例としては水、エタノール、多価アルコール(例えばグリセロール、プロピレングリコール及び液体のポリエチレングリコール等)、それらの適切な混合物、並びに植物油等が挙げられる。
本発明の化合物は広い投薬範囲で有効に使用し得る。例えば、成人を処置する場合、投薬量としては、例えば約10〜約1000mg、約100〜約500mg、或いは約1〜約100mgが必要となる。例えば1日当たり約0.05〜100mg、より好ましくは約0.1〜約100mgの服用量を使用し得る。最も望ましい投薬は、1日当たり例えば約0.1mgから約70mgである。患者によって投薬法を選ぶ場合には、まず1日当たり約2〜約70mgの投薬量から始め、状態が制御下にある場合には、約0.1〜約10mg程度の低容量まで投薬量を低減することが必要な場合も多い。例えば、成人の処置の場合、1日当たり約0.05〜約100mg、好ましくは約0.1〜約100mgの投薬量を使用することができる。正確な投薬量は、投与方式、所望の治療、投与の形態、処置される対象、処置される対象の体重、及び担当の医師や獣医の判断や経験に依存するであろう。
一般に、本発明の化合物は、単位投薬形態に分注してもよい。単位投薬形態は、好ましくは約0.1〜約100mgの活性成分を、医薬的に許容可能な担体と共に含む。経口、経鼻、経肺、又は経皮投与に適した投薬形態は、約0.001mg〜約100mg、好ましくは約0.01mg〜約50mgの上記化合物を、医薬的に許容可能な担体又は希釈剤と混合された状態で含む。保存や使用のために、これらの製剤は、微生物の増殖を防止するための保存料を含むことが好ましい。
適量の候補化合物の投与は、本技術分野で既知の任意の手段で行うことができる。例としては、経口又は直腸内、非経口、腹腔内、静脈内、皮下、皮膚下、鼻腔内、又は筋肉内等が挙げられる。一部の態様によれば、投与は経皮である。本技術分野では既知であるように、候補化合物の適量又は用量は経験的に決定されてもよい。適量又は治療量とは、所望の治療効果を提供する(例えば疼痛を治療又は緩和し、或いは炎症を治療又は縮小する)のに十分な量である。候補化合物は、疼痛を緩和し、或いは炎症を縮小するのに必要な頻度で投与することができる。例えば、1、6、8、12、又は18時間毎、或いは毎日又は毎週投与することができる。
経口投与に適した製剤は、例えば(a)液体溶液、例えば有効量のパッケージ化された核酸を、希釈剤(水、生理食塩水、PEG400等に懸濁した液;(b)カプセル、サシェ又は錠剤(各々所定量の活性成分を液体、固体、顆粒又はゼラチンに含む);(c)適切な液体中の懸濁液;及び(d)適切なエマルションからなる。錠剤形態は、ラクトース、スクロース、マンニトール、ソルビトール、リン酸カルシウム、コーンスターチ、ポテトスターチ、微結晶性セルロース、ゼラチン、コロイド状二酸化ケイ素、滑石、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸および他の賦形剤、着色剤、充填剤、結合剤、希釈剤、緩衝剤、湿潤剤、保存剤、香味剤、染料、崩壊剤および医薬適合性のある担体のうち、1又は2以上を含んでいてもよい。ロゼンジ形態は、例えば、活性成分をスクロース等の風味剤の中に含む。また、トローチは、不活性基材、例えばゼラチン、グリセリン又はスクロース、及びアカシアエマルション、ゲル等を、活性成分に加えて、本技術分野で既知の担体の中に含んでいてもよい。
注入溶液および懸濁液は、上述した種類の無菌粉末、顆粒及び錠剤から調製することができる。関節内(intraarticular、in the joints)、静脈内、筋肉内、皮内、腹腔内及び皮下等の経路非経口的投与に適した製剤としては、水性及び非水性の等張無菌注射溶液が挙げられ、これは例えば、酸化防止剤、緩衝剤、静菌剤、及び、製剤を対象受容者の血液と等張にする溶質を含む。また、水性及び非水性の無菌懸濁液も挙げられ、これは例えば、懸濁化剤、溶解剤、増粘剤、安定剤及び保存剤を含む。
経皮投与経路に関して、薬物の経皮投与のための方法は、Remington's Pharmaceutical Sciences, Gennaro AR ed. 20th edition, 2000: Williams & Wilkins PA, USAに開示されている。経皮又は皮膚パッチは、本発明の化合物を経皮送達するための好ましい手段である。化合物の吸収を増加させるために、パッチからDMSO等の吸収促進剤を提供することが好ましい。米国特許第5,962,012号、第6,261,595号及び第6,261,595号には、経皮薬物送達に関する他の方法が開示されている。これらは各々、その全体が参照によって組込まれる。
好ましいパッチは、皮膚への薬物送達の比率を制御する剤を含んでいる。パッチは、レザボア(reservoir)系又はモノリス(monolithic)系など、様々な投薬系を提供してもよい。レザボア設計は、例えば4つの層を有する。すなわち、皮膚と直接接触する粘着剤層、薬分子の拡散を制御する制御膜、薬分子の蓄積層(reservoir)、及び耐水性の裏材である。
斯かる設計は、規定の期間に亘って一定の薬物量を送達する。送達の比率は、異なる種類の皮膚の飽和限界よりも低い必要がある。
モノリス設計は通常、わずか3層からなる。即ち、粘着剤層、化合物を含むポリマーマトリクス、及び防水性の裏材である。この設計によれば、飽和量の薬が皮膚に供される。よって、送達は皮膚によって制御される。パッチにおける薬物量が飽和レベル未満に減少すると、送達率は低下する。
本発明の化合物は、本発明の他の化合物と組み合わせて使用してもよく、或いは疼痛、炎症又は免疫障害の処理、予防、抑制に有用な他の薬物と組み合わせて使用してもよい。ある態様によれば、第2の薬物はFAAH阻害剤ではないが、FAAH阻害剤と同じ障害を対象とする。斯かる第2の薬物は、同用途に通常使用される経路及び量で、本発明の化合物と同時に、又は連続的に投与される。本発明の化合物が1つ以上の他の薬と同時に使用される場合、第2の薬物及び本発明の化合物を含む単位投薬形式の医薬組成物が好ましい。本発明の化合物を1又は2以上の他の有効成分と組み合わせて使用する場合、本発明の化合物及び他の有効成分は、各々単独で使用する場合よりも低い用量で使用してもよい。従って、本発明の医薬組成物は、上記開示の化合物に加えて、1又は2以上の他の有効成分を含む医薬組成物も包含する。
経口、舌下、皮下、筋肉内、静脈内、経皮、局所又は直腸投与のための本発明の医薬組成物において、有効成分はそれ自体、あるいは別の有効成分と組み合わせて、従来の医薬担体と混合された単位投与形態として動物及びヒトに投与することができる。適切な投与単位形態としては、経口服用される錠剤、ゼラチン・カプセル、粉末、顆粒及び溶液、又は懸濁液等の経口形態、あるいは、舌下及び頬内投与、エアゾール、インプラント、皮下、筋肉内、静脈内、鼻腔内、眼内投与形態及び直腸投与形態が挙げられる。
他の態様によれば、本発明の医薬組成物において、1又は2以上の有効成分は通常、通常は投薬単位で調剤される。投薬単位は、毎日投与の場合、投薬単位当たり0.5〜1000mg、好適には1〜500mg、好ましくは2〜200mgのFAAH阻害剤を含む。
処置方法
疼痛の制御
ある態様によれば、式I及びIIの化合物は、対象の疼痛を緩和又は処置するために投与される。斯かる処置は予防でも治療でもよい。斯かる処置はヒトを対象とするものでもよい。本発明の化合物及び組成物は、疼痛の激しさ又は頻度又は程度を低下させる目的のみのために投与されてもよい。斯かる処置は、別の鎮痛剤又は抗炎症剤との併用療法として供されてもよい。ある態様によれば、疼痛はニューロパシー性疼痛である。ニューロパシー性疼痛は、後三叉神経痛、ニューロパシー性腰痛、末梢か多発ニューロパシー性疼痛、複合性局所疼痛症候群(灼熱痛及び反射性交感神経性ジストロフィー)、糖尿病性ニューロパシー、中毒性神経炎、及び化学療法薬によって引き起こされた慢性ニューロパシーからなる群から選択される。他の態様によれば、疼痛は腎臓部及び肝臓疝痛又は結合組織炎である。あるニューロパシー性疼痛の態様によれば、神経系の一次病巣又は機能障害は、対象の神経に対する機械的損傷によって生じたものである。更なる態様によれば、機械的損傷は、対象における神経の圧迫、神経の離断、灼熱痛、脊髄損傷、術後痛、幻肢痛又は瘢痕形成による。
他の態様によれば、疼痛は、組織の炎症又は損傷によって生じた疼痛である。炎症性疼痛は、侵害刺激から生じる組織損害に対する応答として発生する。組織傷害に対する応答として、侵害受容を強化するサイトカイニン及び他のメディエーターが放出される。その結果、損傷領域で生じる一次痛覚過敏症(疼痛に対する増感)、及び、損傷を取り巻く組織で生じる二次痛覚過敏症が連続して生じる。組織が治癒されるに従い、痛覚過敏症は炎症と共に治まる。更なる態様によれば、炎症は、肺水腫、腎臓結石、軽傷、創傷治癒、皮膚創傷治癒、鞘膜炎、カンジダ症、腰部脊椎関節症、腰の脊椎関節症、脈管疾患、片頭痛、鼻腔頭痛、緊張性頭痛、歯痛、多発動脈炎、甲状腺炎、再生不良性貧血、ホジキン病、強皮症、リウマチ熱、I型糖尿病、II型糖尿病、重症筋無力症、多発性硬化症、サーコイドーシス、ネフローゼ症候群、ベーチェット症候群、多発性筋炎、歯肉炎、過敏症、損傷後に生じる腫脹、又は心筋虚血、又は骨関節炎に関連する。
炎症の制御
ある態様によれば、式I及びIIの化合物を、対象の炎症の緩和のために投与してもよい。斯かる処置は予防でも治療でもよい。斯かる処置はヒトを対象とするものでもよい。本発明の化合物及び組成物は、炎症の激しさ又は頻度又は程度を低下させる目的のみのために投与されてもよい。斯かる処置は、別の鎮痛剤又は抗炎症剤との併用療法として供されてもよい。
免疫障害の制御
以下の実施例は説明の目的のために提供するものであり、添付の特許請求の範囲に規定される本発明の範囲を限定することを意図するものではない。実施例における材料及び/又は方法に基づいて当業者が把握し得る変形は、その全てが本発明の範囲内にあることが意図される。
材料及び方法
薬物分配係数(Drug distribution coefficients)。本発明者等は、溶質をn−オクタノールとpH7.4に緩衝化された水溶液との間で分配する、室温(25±1℃)におけるLog D7.4,oct値を決定した36
酵素アッセイ。本発明者等は、既報の標準的なFAAH及びモノアシルグリセロールリパーゼアッセイを行った15,37。基質としてはそれぞれ[H]−アナンダミド(米国国立薬物乱用研究所(the National Institute on Drug Abuse)から譲受)及び2−オレオイル−sn−グリセロール(Nu-Check Prep, Elysian, MN)を用いた。
薬物輸送アッセイ。アッセイはCerep Inc. (Redmond, WA)において、同社ウェブサイト(http://www.cerep.fr)に概要を示すプロトコールに従って実施した。
組織分析。本発明者等は、既報に従って組織抽出及びエンドカンナビノイドの液体クロマトグラフィー/質量分析を行なった38。更に下に詳述するように、同様の手順に従って、URB937の組織抽出及びLC/MS定量化を行った。
Fos発現。本発明者等は、オスのスプローグ・ドーリー(Sprague-Dawley)ラット由来の腰部(L4/L5)脊髄の切片のを用い、定量的免疫細胞化学5によってFosタンパク質レベルを測定した。
手術。本発明者等は、以前ラット24について報告した手順に小さな修正39を加えて、オスのスイスマウスの坐骨神経の結紮を行なった。
行動試験。本発明者等は、オスのスイスマウス及びC57Bl/6(野生型又はFAAH欠損)マウスへの酢酸のi.p.注射40、オスのスイスマウスでのカラギーナンの包埋放出(intraplantar injection)20、オスのスプローグ・ドーリー(Sprague-Dawley)ラットでのホルマリンの包埋放出(intraplantar injection)41、及び、オスのスイスマウスでの坐骨神経の結紮39により、誘発された侵害防御応答を測定した。
FAAH阻害剤の合成。URB937は概ね既報の手順に従って合成された36。本化合物は、3−ブロモ−4−ヒドロキシベンズアルデヒドを出発物質として、5つの工程を経て合成した。まず出発物質をベンジル化し(BzCl, DMF, CsCO3, rt, 3 h)、次にこれを酸化及び加水分解して(m-CPBA, CH2Cl2, 40 ℃, 72 h; NaOMe, EtOH, rt, 1 h)、4−ベンジルオキシ−3−ブロモフェノールを得た。これを、鈴木カップリング[3−カルバモイルフェニルボロン酸、トルエン、Pd(PPh、NaCO/HO、還流、2h]、カルバモイル化(c−C11CNO、EtN、トルエン/CHCN1:1、還流、18h)、及び水素付加脱保護によって修飾し、所望の化合物を得た。N−シクロヘキシル−O−ビフェニル−3−イルカルバメート1c〜eは、適切な3’−カルバモイル−4−置換フェノールとシクロヘキシルイソシアネートとの反応によって合成した。一方、化合物1fは、適切なフェノール誘導体から生じた対応するニトロカルバメート前駆体を、Pd/C触媒下で水素化することにより合成した。ビフェノールは全て、3−カルバモイルフェニルボロン酸と、対応する3−ブロモ−4−置換フェノール(前駆体1c、dの場合)又は3−クロロ−4−フルオロフェノール(前駆体1eの場合)との鈴木クロスカップリング反応によって合成した。全化合物の詳細な合成手順は別途報告する。
シクロヘキシルカルバミン酸3’−カルバモイル−6−ヒドロキシビフェニル−3−イルエステル(URB937)の合成。シクロヘキシルカルバミン酸3’−カルバモイル−6−ベンジルオキシビフェニル−3−イルエステル(222mg;0.5mmol)のEtOAc(2.5mL)及びEtOH(2.5mL)中懸濁液を撹拌しながら、10%Pd/C(22mg)を加えた。混合物を4気圧、50℃で4h水素化し、冷却し、セライト(Celite)で濾過し、濃縮した。残留物をカラムクロマトグラフィー(シクロヘキサン/EtOAc1:9)及び再結晶化で精製することにより、URB937を白色固体として得た。収率92%(0.163g)。Mp:128〜130℃(CHCl/n−ヘキサン)。MS (ESI) m/z: 355.2 (M+H+). 1H NMR (200 MHz, CDCl3) δ: = 1.13-2.02 (m, 10H), 3.55 (m, 1H), 5.13 (br d, 1H), 5.85 (br s, 1H), 6.59 (br s, 1H), 6.74-6.95 (m, 3H), 7.07 (s, 1H), 7.34-7.41 (m, 1H), 7.56 (m, 1H), 7.68-7.75 (m, 2H) ppm. IR (Nujol) nmax: 3333, 1701, 1655 cm-1.
他の化学物質。[H]−アナンダミドは American Radiolabeled Chemicals, Inc. (St. Louis, MO) から購入した。2−[]−AG及びAM630は Cayman Chemical (Ann Arbor, MI) から得た。アナンダミド、[]−アナンダミド及びPEAは、実験室で合成した42。リモナバン及びN-シクロヘキシル ビフェニル-3-イルアセトアミドはそれぞれ米国国立薬物乱用研究所(National Institute on Drug Abuse)及び Kadmus Pharmaceuticals Inc. から譲り受けた。
動物。本発明者等は、オスのスイス・ウェブスター(Swiss Webster)マウス(Charles River、20〜30g)、オスのC57Bl/6(Jackson Laboratory、20〜25g)、C57Bl/6バックグラウンドに10回以上戻し交配を行ったオスのFAAH欠損マウス(25〜35g)、オスのヴィスター(Wistar)ラット(Charles River、250〜300g)、及びオスのスプレーグ・ドーリー(Sprague-Dawley:SD)ラット(Harlan Laboratories、275〜350g)を用いた。マウス及びヴィスター・ラットは、標準ケージ内で、室温、12:12h明暗サイクルの下で集団飼育した。水及び標準食餌ペレットへのアクセスは無制限とした。ヴィスター・ラットはFAAH研究に広く使用されてきた。実験は全て、実験動物の飼育及び使用に関する米国国立衛生研究所(National Institutes of Health)のガイドラインを充足し、カリフォルニア大学アーバイン校の委員会及びジョージア大学アセンズ校の治験動物飼育及び使用委員会(Institutional Animal Care and Use Committee)によって承認され、ヨーロッパ共同体理事会指令86(609)EECに従った。また、実験のプロトコールはイタリアの規則(DL116/92)に従って実施した。
組織抽出。マウスをイソフルランで屠殺し、組織を採取して、迅速に液体窒素で冷凍した。冷凍組織を秤量し、内部標準として[]アナンダミド、[]−PEA、[]2−AG及びN−シクロヘキシルビフェニル−3−イルアセトアミドを含むメタノール(1mL)中でホモジネートした。分析物をクロロホルム(2倍量)で抽出し、水(1倍量)で洗浄した。有機相を収集し、窒素下で乾燥した。未分画の有機抽出物を、URB937の定量化に使用した。他の分析のために、有機抽出物を既報の開放床(open-bed)シリカゲル・カラムクロマトグラフィーで分画した43。簡潔に記すと、抽出物をクロロホルムに溶解し、シリカゲルG(60~A 230 - 400 Mesh ASTM; Whatman, Clifton, NJ)を充填した小型ガラスカラムにロードした。アナンダミド、PEA及び2−AGをクロロホルム/メタノール(体積比9:1)で溶出した。
血清抽出。斬首したマウスから幹血液を採集し、凝血させて、氷上に放置した。血餅を4℃で、18,000×g、10分間の遠心分離に供した。血清をガラスバイアルに移し、蒸留水で1mLに希釈した。タンパク質を、内部標準としてN−シクロヘキシルビフェニル−3−イルアセトアミドを含む氷冷アセトン(1mL)で沈殿させた。沈殿物を4℃、3000×g、10分間の遠心分離によって除去した。サンプルを窒素下で乾燥してアセトンを除去し、上述のようにクロロホルム/メタノールで抽出した。
液体クロマトグラフィー/質量分析(LC/MS)。アナンダミド、PEA、2−AG及びURB937の組織レベルは、1946A−MS検出器(Agilent Technologies, Inc., Palo Alto, CA)を連結し、エレクトロスプレイ・イオン化インターフェースを装備した1100−LC系を用いて決定した。URB937及びN−シクロヘキシルビフェニル−3−イルアセトアミド(m/z=294)は、XDB Eclipse C18カラム(50×4.6mm内径、1.8μm、Zorbax)を用い、流量1.0mL−min−1で3分間かけてBに対するAの比率を60%から100%に変化させる線形勾配下で溶出させた。移動相Aは、0.25%酢酸及び5mM酢酸アンモニウムを含むメタノールからなり、移動相Bは、0.25%酢酸及び5mM酢酸アンモニウムを含む水からなる。アナンダミド、2−AG及びPEAは、流量1.0mL−min−1で2.5分間かけて水対メタノールの勾配(メタノール85%から90%まで)下で溶出させた。カラム温度は40℃で維持した。MSの検出は陽イオン化モードで行い、キャピラリー電圧は3kVに設定した。分画装置の電圧は120Vから140Vまで変更した。乾燥ガスとして窒素を用い、流量13L・min−1、温度350℃で乾燥した。ネビュライザー圧力は60psiに設定した。分析物及び内部標準のNa付加物([M+Na])を、選択的イオン監視モードでモニターした。定量限界は0.4pmolであった。
薬物輸送アッセイ。輸送アッセイは Cerep Inc. (Redmond, WA) で実施した。細胞透過性は、1%のジメチルスルホキシド(dimethylsulfoxide:DMSO)を含むハンクス緩衝食塩水(Hanks' buffered salt solution)中に10μMの化合物が存在する状態で、心尖(A)から基底(B)方向及びAからB方向について決定した。流出比率(efflux ratios)はB−A透過性のA−B透過性に対する比率として計算した。
Fos免疫組織化学。ラット背側脚部にホルマリン注射を行い、2時間後にネンブタール(50mg−mL−1)の致死量を投与した。その後、1%ヘパリン処理リン酸緩衝生理食塩水(PBS)100mL、次いで氷冷4%パラホルムアルデヒド300mLにより、心臓を通じて潅流した。脊髄の腰部仙骨領域を各ラットから採取した。脊髄を4%パラホルムアルデヒドで4℃、24時間かけて固定し、次に30%ショ糖で4℃、24〜48時間かけて凍結保護した。脊髄から腰膨大(L4/L5)のレベルで40μm横断面のクリオスタット切片を作製した。切片は交互に浮遊させた状態で、PBSを充填した一連のウェル内に維持した。同一の細胞を2度カウントすることがないよう、4切片ごとにFos免疫反応性の処理を行った。過酸化水素中でインキュベートすることにより、内因性ペルオキシダーゼを不活性化した。非特異的結合を防ぐために切片をヤギ血清でブロックし、0.4%トライトンを含むPBSで希釈したFos一次抗体(1:20,000, Abcam, Cambridge, MA, USA)の存在下で(37℃で1h、次に4℃で48h)インキュベートした。次に組織を、ビオチン化ヤギ抗ウサギIgG(1:600, Vector Laboratories, Burlingame, CA, USA)二次抗体の存在下、37℃で1hインキュベートした。その後、切片をVectastain Elite ABC試薬(1:200, Vector Laboratories)中で1hインキュベートし、続いて2%ニッケル強化ジアミノベンジジン中で5分間インキュベートした。切片をスライドガラス上に載置し、風乾し、エタノール濃度を上昇させて脱水し、キシレン中で洗浄し、Permount付のガラスカバースリップで保護した。免疫染色操作の違いによって生じるばらつきを抑制するため、同一の実験では全ての条件を同時に処理した。免疫染色の特異性は、免疫染色プロトコールから一次抗体を省略し、ペプチド抗血清によりブロックされた特異的染色との前吸着を確認することにより決定した5
免疫活性化定量。顕微鏡観察により、質的に最も多くのFos陽性細胞を示した3つのL4切片を定量化のために選択した。切片の選択及びFos陽性細胞数の定量化は、実験条件を知らない観察者が行った。DMLB光学顕微鏡及び1,300ディジタル・カメラを用いて、切片を倍率5×でキャプチャーした。バックグラウンドの染色状態が同程度であることを示すため、同様の明度対比設定下で実施した。全切片に対して、イメージJソフトウェア(U. S. National Institutes of Health, Bethesda, Maryland, USA)を用いてラミナ細分割を行った。脊髄灰白質の細別割区画を、表面ラミナ(ラミナI及びII)、固有核(ラミナIII及びIV)、後角頸部(ラミナV及びVI)、及び前角(ラミナVII、VIII、IX及びX)として定義した44。脊髄灰白質の細分割区画を、表面ラミナ(ラミナI及びII)、固有核(ラミナIII及びIV)、後角頸部(ラミナV及びVI)、及び前角(ラミナVII、VIII、IX及びX)44として定義した。イメージJを使用して、染色強度によらず各細分割区画について、実験処置を知らない観察者がFos発現細胞を計数した。評定者内の信頼性は、表面ラミナが93%であったのに対し、全ラミナ細分割区画を通じた値は81%と、ばらつきがあった。
インビボ実験のための薬物調製。薬物をポリエチレングリコール400/Tween−80/食塩水(体積比1/1/18)に溶解させ、i.p.(5〜10mL−kg−1)又はs.c.注射(10mL−kg−1)で投与した。外側脳室注射については、URB937を100%DMSOに溶解し、5μL量を注射した。
手術。手術は何れも無菌条件下で実施した。
脳室内(i.c.v.)薬物投与用カニューレの留置。ケタミン(70mgkg−1、i.p.)及びキシラジン(9.33mgkg−1、i.p.)の混合物を用いてSDラットを麻酔した。定位フレームに載置し、耳棒(David Kopf Instruments, Tujunga, CA, USA)及び水平面下2.4mmに設置した門歯棒で安定化した。22ゲージのステンレス鋼ガイドカニューレを、実験7日前に右側脳室にインプラントしておいた。インプラント座標(ブレグマに対して前後方向−0.9mm、内外方向−1.5mm、頭蓋骨表面下方3.8mm)は、Paxinos & Watson ラット脳地図を用いて決定した45。3本のステンレス鋼ねじ及び歯科用セメントを用いてガイドカニューレを頭蓋骨に係留し、ダミーのスタイレットの挿入による注射まで維持した。注射に際しては、スタイレットを除去し、薬物又はビヒクル5μLを、10μLのハミルトン・マイクロシリンジを用いて注射した。シリンジは、PBSで満たしたPTFE 24Gカテーテル(Small parts Inc, Logansport, IN)を介して、ガイドカニューレの先端から1mm突出する28ゲージのステンレス鋼注射器に接続した。PTFE24Gカテーテルの遠位端から小気泡(3μL)を吸引し、注射された溶液をPBSから分離すると共に、注射を目視で確認した。注射は1分間かけて行い、逆流による漏出を防ぐために、更に1分間注射器を維持した。実験の終わりに、トリパンブルー(5μL)の注射によってカニューレの設置を確認し、その後にラットを安楽死させた。適切な配置を有する動物のみを試験対象とした。実験の前に7〜10日間ラットを回復させた。スイスマウスに対し、Bennett 及びXieの方法を準用して、坐骨神経結紮を実施した24。キシラジン(10mgkg−1、i.p.)及びケタミン(100mgkg−1、i.p.)でマウスを麻酔した。左腿を剃毛し、ベタジン(Betadine)(登録商標)で洗浄した。左腿中央を小さく切開し(長さ2cm)、坐骨神経を露出させた。神経の離れた2つの部位(2mm間隔で配置)で、縫合糸(7−0)を使用して神経全周を緩く縛った。手術領域にストレプトマイシン粉末を振り掛け、1か所の筋肉縫合と2箇所の皮膚クリップで閉止し、最後にベタジン(Betadine)(登録商標)で洗浄した。偽手術動物では、神経を露出したが、縛らずに放置した。動物は覚醒時まで熱ランプ下に放置した。
行動試験。若干の変更を加えて記載するように、スイスのマウス又はC57Bl/6マウス(野生型及びFAAH欠損)において、酢酸により誘発されるライジング(writhing)反応を測定した。簡潔に述べると、マウスを実験室で2h順応させた。各動物に酢酸(150μL、0.6%食塩水中)を注射し、ガラスシリンダーに入れた。酢酸注射5分後から20分間、腹部の伸張(身体及び後足の伸展)を係数した。酢酸の1h前にURB937、リモナバン及びAM630をs.c.注射で投与した。行動は処置条件を知らない観察者が評価した。スプレーグ・ドーリー(Sprague-Dawley )ラットを用いて、ホルマリンにより誘発される侵害受容を、既報に従って評価した41。ラットは個々に収籠され、共有の維持室内で、12:12hの明暗サイクル下で維持した。食物及び水に対するアクセスは自由とし、試験前に一週間設備に順応させた。ホルマリン投与1h前に、ラットにビヒクル、URB937(1mgkg−1、i.p.)、リモナバン(2mgkg−1i.p.)又はURB937及びリモナバンの組み合わせをi.p注射した。観察用コンテナ(透明なプレキシガラス箱、29×29×25cm)内で15分間順応させた後、右後肢背側表面へホルマリン(50μL、5%食塩水中)を注射した。ホルマリン注射後すぐ、ラットを観察用コンテナ内に戻し、侵害防御行動をビデオカメラで60分間記録した。録画は処置条件を知らない観察者が分析した。侵害防御行動は60分間連続的に測定した41。動物が3つの異なる行動カテゴリー(0、1、2)に費やした総時間を、5分間単位で記録した。(0)ラットは正常な姿勢を示す。(1)注射された脚部を上げる。(2)注射された脚部を舐め、揺らし、又は噛む。各5分間のビンについて、各々(1)注射された脚部を上げる行動、及び、(2)注射された脚部を舐め、又は噛む行動に費やした時間を分析した。侵害防御行動の分析は、複合疼痛スコアで重み付けしたスコア技術(CPS-WST1, 2)を用いて、観察の全時(0〜60分)、並びに、行動応答の第1相(0〜10分)及び第2相(10〜60分)を計算することにより行った46。台形規則を用いて、CPS-WST1, 2に対応する曲線下面積(area under the curve:AUC)を計算した。1%λ−カラゲーニン含有無菌食塩水50μLをマウス右後肢へ注射することにより、足浮腫を誘発した。脚部体積はplethysmometer(Ugo Basile, Milan, Italy)を用いて測定した。ビヒクル又はURB937(1mg・kg−1、i.p.)はカラギーナンの直前に注射した。リモナバン及びAM630(1mg・kg−1、i.p.)はカラギーナンの30分前に注射した。機械的痛覚過敏の評価は、一定の機械的圧力を背側表面に印加し、足を退避させる反応の潜時(s)を測定することにより行った。15−g調整ガラスシリンダー棒(直径=10mm)に円錐先端(直径=3mm)を形成し、これを用いて機械的外力を印加した。スタンドに取り付けた2つの輪の間で体重を垂直に係留し、垂直に方向の移動は自由とした。カットオフ時間は3分とした。熱痛覚過敏の評価は、既報に従って47、市販の装置(Ugo Basile, Varese, Italy)を用いて足裏表面に放射熱焦点を印加し(熱強度:赤外線3.0)、後脚を退避させるまでの潜時を測定して行った。カットオフ時間は30秒とした。機械的異痛(allodynia)の評価は、Dynamic Plantar Anesthesiometer(Ugo Basile)を用い、Von Freyフィラメントで後脚裏表面に段階的な力を印加することにより行った。カットオフ力は50gとした。
統計分析。結果を平均±標準偏差で表す。統計的有意性の検証は、スチューデントt検定、一元又は二元分散分析(analysis of variance:ANOVA)により、更には適宜、ボンフェローニ(Bonferroni)事後解析を加えて行った。曲線下面積により測定されるホルマリン誘導性侵害防御行動に対して、個々に単変量分散分析を行い、実験処置による影響を決定した。ホルマリン誘発性の複合疼痛スコアについては、反復測定(処置x時間[反復因子])分散分析を行った。グリーンハウス・ガイザー(Greenhouse-Geisser)修正を反復因子に適用した。Fos発現細胞数に対する実験処置の影響を決定するために、脊髄のL4/L5における個々のラミナ細分割区画について、単変量分散分析を行った。行動及びFos免疫染色データに対しては、各々フィッシャー(Fisher)LSD及びチューキー(Tukey)事後試験を実施した。事後比較が等分散仮定に合致しない場合は、自由度の微小調節によって修正した。分析は、SPSSの統計ソフトウェア(バージョン17.0; SPSS Incorporated, Chicago, IL, USA)を用いて行った。
結果
末梢に制限されたFAAH阻害剤の発見。現在のFAAH阻害剤は容易に脳血液関門を通過してしまう12。CNSへのアクセスが制限された阻害剤を生産するために、本発明者等は、O−アシルカルバメートURB59713,14(表1、1a)の近位フェニル環に対し、小型の親水性置換基であれば生物活性15を害しないと予想される位置に、極性を変更する化学基を追加した。この新たな化合物は、ラット脳FAAHの膜調製物を用いて試験した場合に、同等の活性を有しており、マウス(1mg・kg−1、腹腔内、i.p)(表1、1b〜1f)に全身投与した場合にも、肝臓FAAH活性の阻害に同程度の有効性を示した。しかし、CNSへのアクセス能においては、大きく異なっていた。特に、p−ヒドロキシフェニル誘導体URB937(表1、1b)は、マウス及びラットの末梢組織中のFAAH活性を抑えたが、脳FAAH活性には影響しなかった(表1、表2)。マウスにおける服用量探索試験によれば、脳のFAAH阻害のためのURB937の50%有効量(ED50)が、肝臓のFAAH阻害のためのED50の200倍にもなることが示された(図1a)。更に、全身投与の後、URB937(1mgkg−1、i.p.)は血清及び肝臓に急速に分配したが、脳組織では検出されなかった(図1b)。共有結合機構を通じてFAAHと相互作用することが知られている他のO−アリールカルバメートのように13,16、URB937は末梢FAAH活性をインビボで迅速且つ持続的に阻害した(表1c)。
末梢限定の機構。探索的構造活性関係分析によれば、p−ヒドロキシフェニル部分の極性こそが、URB937が末梢に限定される主な原因と考えられる。表1によれば、置換基Rが弱極性又は無極性である類似体(化合物1c、1d及び1e)が、マウスでの全身投与後に容易に脳に侵入したのに対し、Rが極性のアミノ基からなる類似体(化合物1f)は、その大部分が排出されている。しかし、URB937は比較的高い親油性を有する(分配係数、LogDoct, pH7.4:URB937、3.03*0.01;URB597、3.71±0.01;平均±標準偏差、n=3)ことから、当該分子はCNS内に受動拡散してしまうはずである。よって、斯かる過程に対する積極的な反作用が存在するはずである。斯かる考えを検証するために、本発明者等はまず、脳からの薬物の排出に関与する様々なタンパク質輸送体を発現するヒト上皮TC7細胞の極性化単層を用いて、URB937の浸透と流出との比率を決定した17。URB937の分布は、受動拡散で移動する脂溶性分子に予想されるような、TC7単層の心尖区画(A)と基底区画(B)とを通じて均等な分布は示さなかった。むしろ、化合物はA区画に蓄積された[透過性、nm−s−1(%回収)A−B、38(83%);B−A、371(95%);流出比、9.8;2つの独立した実験の平均]。しかし、この機構は、透過性糖タンパク質(Pgp)阻害剤ベラパミル(100μM)に対しては無反応であった[B−A透過性、nm−s−1(%回収):322(94%)]。これらの所見は、URB937がPgpとは薬理学的に異なる輸送系によってCNSから排出されることを示唆している。この解釈と一致するように、ネズミの外側脳室にURB937(0.1mgkg−1)の最大に近い服用量を注射したところ、1h以内に、肝臓FAAHがほぼ完全に阻害された(残余活性:対照の11.3±1.9%;平均±標準偏差、n=3)。反対に、10倍高用量の薬物を全身投与したところ(1mg・kg−1、i.p)、ラットの脳のFAAHには検出可能な影響は表れなかった(表2)。
CNSからのURB937の排出に関与する輸送系の正体を調べるために、本発明者等はラットに対して、脳浸透(25mg・kg−1、i.p.)を達成しないURB937の最も高い全身服用量と共に、脳血液関門トランスポーターの様々な薬理的な阻害剤を投与した(図1a)。乳癌耐性タンパク質(BCRP、ABCG1)の阻害剤である化合物Ko−143を共投与したところ、URB937の脳へのアクセスの用量依存的な増加が見られた。対照的に、浸透性糖タンパク質(Pgp)阻害剤であるベラパミル、あるいは有機陰イオントランスポータータンパク質阻害剤であるプロベネシッドの共投与には、そのような効果はなかった。これらの結果は、URB937が、BCRPと薬理学的に識別不可能なトランスポータータンパク質によってCNSから排出されることを示唆する。
末梢アナンダミドシグナル伝達の強化。URB937(1mg・kg−1、i.p)のマウスへの投与は、前脳部や視床下部ではなく、抹消のアナンダミドレベルを増加させた(図1d、図6)。この作用はFAAH活性の選択的な阻害によって生じたものである。なぜなら、(i)この作用に伴ってパルミトイルエタノールアミド(PEA)等の他の内因性FAAH基質の上昇が見られた上に(図1d)、(ii)相同組換でfaah遺伝子発現を欠損させた突然変異マウスでは斯かる作用は観察されなかったからである(図1e)。重要なことに、URB937は、インビトロではモノアシルグリセロールリパーゼ活性に影響を与えず(メジアン阻害濃度、IC50、>100μM;n=3)、インビボではエンドカンナビノイド基質(2−AG)の組織内濃度を変更しなかった(図1f)。
内臓疼痛の調節。脳に侵入するFAAH阻害剤は、齧歯類において、侵害刺激に対する行動反応を減ずる。これは通常、脳及び脊髄のアナンダミドシグナル伝達を増大する能力に起因する特性である12,13。末梢アナンダミドがこれらの作用に寄与するか否かを調べるために、本発明者等は、マウス腹膜腔への酢酸注射によって誘発された侵害防御(疼痛回避)応答に対するURB937の影響を検討した。URB937を皮下投与したところ、酢酸によって誘発されたライジング(writhing)反応は低減され、ED50は0.1mg・kg−1となった(図2a、データは示さず)。この作用は、(i)強力な非ステロイド性鎮痛剤インドメタシン(1mg・kg−1、s.c)により誘発される作用と薬効において匹敵し(図2a)、(ii)末梢FAAH阻害の度合いと相関を示し(ピアソンの相関係数、r=0.96、図2b)、(iii)突然変異FAAH欠損マウスでは不在だった(図2c)。URB937の抗侵害受容作用は、CB1アンタゴニストであるリモナバンによって遮断されたが、CB2アンタゴニストであるAM630では阻害されなかった(各々1mg・kg−1、s.c)(図2d)。
アナンダミドはバニロイド1型一過性受容器電位(TRPV−1)チャンネルのアゴニストであるが19、URB937を単独で投与されたところ(1mg・kg−1)、検出可能な侵害防御行動は誘発されなかった(図2a)。これは、末梢のFAAH阻害に続く内因性アナンダミドによって達した組織濃度では、TRPV−1チャンネルを活性化できないことを示唆する。さらに、α型ペルオキシゾーム増殖因子活性化受容体の刺激は、PEAによって誘発することが可能であるが20,21(図1d)、CB1受容体を遮断すると斯かる作用が防止されることから(図2d)、URB937の抗侵害受容作用の説明にはなり得ないであろう。
組織損傷誘導性疼痛の調節。別の一連の実験において、本発明者等は、ラット背面後足へのホルマリン投与によって生じた持続痛の組織傷害モデルを用いて、URB937(1mg・kg−1、i.p)の影響を評価した。ホルマリン注射は著しい侵害防御反応を誘発した。斯かる反応は、ビヒクル、リモナバン(2mg・kg−1、i.p)、あるいはリモナバン及びURB937(図2e)の組み合わせと比べ、URB937によって経時的に減少した。更なる分析によれば、以下が明らかになった。(i)URB937によれば、他のすべての処置群に比べて、ホルマリン誘発性疼痛行動の曲線下面積が減少した(図2f)。(ii)この作用は主に、ホルマリン応答の後期(第2相)の縮小によるものである(図2g)。この段階は、進行中の一次求心性線維活性に付随して、炎症及び脊髄の侵害受容回路の中枢性増感が生じる段階である22,23
末梢アナンダミド活性の増強が侵害受容入力の脊髄での処理を変更するか否かを調べるために、本発明者等は、行動試験に供したのと同じ動物を用いて、ホルマリン誘発性Fos発現を測定した。URB937は、ホルマリン(図3a、b)に対するFos反応を低下させるとともに、表面後角(ラミナ、I、II)、固有核(ラミナIII、IV)、後角の頸部領域(ラミナV、VI)、及び前角のFos陽性細胞数を減少させた(図3d)。この作用はCB1アンタゴニストであるリモナバン(2mg・kg−1、i.p)によって防止されたが、URB937なしで投与した場合には、Fosレベルは有意に変更されなかった(図3c、d)。URB937がCNSに透過しないにもかかわらず、脊髄での侵害受容処理を抑える能力を有するという事実は、疼痛入力が脊髄に侵入する前に末梢アナンダミドが疼痛入力を調整することを示唆している。
炎症及び神経障害性疼痛の調節。また、本発明者等は、FAAH活性の末梢での阻害が、炎症や神経損害によって生じた持続痛応答に影響を及ぼすか否かを検討した。本発明者等は、マウスの後足の片方に多糖カラゲーニンを注入し、炎症反応を引き起こした。これによって、機械的及び熱痛覚過敏(侵害刺激に対する増感)に加え、局所的浮腫が発症した(図4)。カラゲーニンと同時に、URB937(1mg・kg−1、i.p.)を単一回注射で全身投与したところ、カラゲーニン処置(図4a、b)から4h及び24h後の評価において、機械的及び温熱性痛覚過敏の著しい減少を引き起こした。また、当該薬物によれば、カラゲーニンの24h後の測定において、機械的異痛(非侵害刺激による疼痛)が抑制された(図4c)。これらの作用は炎症を起こした足に限定され(図7)、CB1アンタゴニストであるリモナバンによって阻害されたが、CB2アンタゴニストであるAM630では阻害されなかった(各々1mg・kg−1、i.p.)(図4a〜c)。URB937は、カラゲーニン注射から4h後の足浮腫には影響を与えなかったが、注射の24h後には逆転が生じ、その機構はCB1及びCB2受容体遮断の両方に感受性を示した(図4d)。
別の群のマウスにおいて、本発明者等は、左の坐骨神経を緩く縛ることにより、末梢神経損害を生じさせた24。手術から1週間後に、URB937を単会投与したところ(1mg・kg−1、i.p.試験2h前)、熱痛覚過敏が軽減されるとともに、手術した足の機械的痛覚過敏症及び機械的異痛が抑制された(図5a〜c)。特に、この作用には、手術されていない足の反応の変化が伴わなかった。この結果は、URB937が、神経損傷によって変更された機械的刺激や熱刺激の閾値を、選択的に標準化したことを示している(図5a〜c)。最後に、本発明者等は、神経結紮3日後から毎日1回4日間、URB937を反復注射し(1mg・kg−1、i.p.試験2h前)、その影響を調べた。斯かる処置によれば、単回投薬により誘発される抗侵害受容作用と識別し得ない抗侵害受容作用が誘発された(図5d〜f)。この結果は、URB937が、耐性を誘発することなく、持続的なニューロパシー疼痛を緩和することを示している。
Figure 0005981429
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Claims (29)

  1. 下記式を有する化合物:
    Figure 0005981429
    (式中、Rは、ヒドロキシ、−O−カルボキサミド、−SH、−OC(O)R、−O−CO−NR及び−NRからなる群より選択され、ここで、Rは置換又は無置換のヒドロカルビルであり、R及びRは独立に、水素及び置換又は無置換のヒドロカルビルからなる群より選択され;
    及びRは独立に、水素及び置換又は無置換のヒドロカルビルからなる群より選択され;
    は各々独立に、ハロゲン及び置換又は無置換のヒドロカルビルからなる群より選択され、nは0〜4の整数であり;
    は各々独立に、ハロ及び置換又は無置換のヒドロカルビルからなる群より選択され、mは0〜3の整数であり;
    は置換又は無置換のシクロヘキシルである)、又は
    医薬的に許容可能なその塩。
  2. が−OC(O)Rであり、ここでRは置換又は無置換のヒドロカルビルである、請求項1に記載の化合物。
  3. が−O−カルボキサミドである、請求項1に記載の化合物。
  4. 及びRが独立に、(C−C)アルキル及びHから選択される、請求項1〜3の何れか一項に記載の化合物。
  5. が無置換のシクロヘキシルである、請求項1〜4の何れか一項に記載の化合物。
  6. 及びRが各々独立に、ハロゲン及び置換又は無置換の(C−C)アルキルから選択される、請求項1〜5の何れか一項に記載の化合物。
  7. が置換又は無置換の(C−C)アルキルである、請求項1〜6の何れか一項に記載の化合物。
  8. がヒドロキシであり、R及びRの少なくとも一方が水素である、請求項1に記載の化合物。
  9. がヒドロキシであり、R及びRが共に水素である、請求項1に記載の化合物。
  10. mが0である、請求項1〜の何れか一項に記載の化合物。
  11. nが0である、請求項1〜1の何れか一項に記載の化合物。
  12. mとnとの合計が1、2、又は3である、請求項1〜1の何れか一項に記載の化合物。
  13. 下記式を有する:
    Figure 0005981429
    請求項1に記載の化合物、又は、医薬的に許容可能なその塩。
  14. 請求項1〜1の何れか一項に記載の化合物を含む医薬組成物。
  15. 請求項1〜1の何れか一項に記載の化合物の、哺乳類においてFAAHを阻害するための薬剤の製造における使用。
  16. 哺乳類が、疼痛、炎症性疾患、又は免疫障害の処置を必要とする、請求項1に記載の使用。
  17. 疼痛が侵害受容性、炎症性又は神経障害性の疼痛である、請求項1に記載の使用。
  18. 哺乳類が炎症又は免疫障害を有する、請求項1に記載の使用。
  19. 末梢の脂肪酸アミドヒドロラーゼ(Fatty Acid Amide Hydrolase:FAAH)を選択的に阻害するための医薬組成物であって、請求項1〜1の何れか一項に記載の化合物と、医薬的に許容可能な賦形剤とを含む医薬組成物。
  20. 疼痛、炎症、及び免疫障害から選択される状態を処置するための医薬組成物であって、請求項1〜1の何れか一項に記載の化合物と、医薬的に許容可能な賦形剤とを含む医薬組成物。
  21. 請求項1〜13の何れか一項に記載の化合物を含む、疼痛及び/又は炎症を処置するための医薬組成物
  22. 炎症処置するための、請求項2に記載の医薬組成物
  23. 疼痛処置するための、請求項2に記載の医薬組成物
  24. 請求項1〜13の何れか1項に記載の化合物を含む、哺乳類において、アナンダミド、オレオイルエタノールアミド(oleoylethanolamide:OEA)、パルミチルエタノールアミド(palmitylethanolamide:PEA)、又はステアロイルエタノールアミド(stearoylethanolamide:SEA)の末梢レベルを上昇させるための医薬組成物
  25. OEA、PEA、SEA又はアナンダミドが哺乳類内因性である、請求項2に記載の医薬組成物
  26. 前記哺乳類が疼痛、炎症又は免疫障害の処置を必要とする、請求項24又は25に記載の医薬組成物。
  27. 請求項1〜13のいずれか1項に記載の化合物及びアナンダミド、オレオイルエタノールアミド(OEAパルミチルエタノールアミド(PEA又はステアロイルエタノールアミド(SEA)を含む、哺乳類において、OEA、PEA、SEA又はアナンダミドの末梢レベルを上昇させるための組み合わせ医薬であって、ここで前記OEA、PEA、SEA又はアナンダミドが、前記哺乳類に、前記化合物の投与の前に、投与と共に、又は投与の後に投与される、組み合わせ医薬
  28. 前記OEA、PEA、SEA又はアナンダミドの投与が、前記化合物の投与と同時に行われる、請求項2に記載の組み合わせ医薬
  29. 前記哺乳類が疼痛、炎症又は免疫障害の処置を必要とする、請求項27又は28に記載の組み合わせ医薬
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