JP5980619B2 - ボーリング用工具およびボーリング用工作機械 - Google Patents
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切削加工にあたっては、刃先によるワークの切削部分に切削液を供給し、当該部分を適宜冷却および潤滑することがなされている。
また、工作機械の一部には、主軸の中心にエアや切削液を供給するための供給路を備えたもの(センタースルー型)がある。このような工作機械を用いる場合、主軸に装着する工具にも供給路を形成しておくことで、この供給路を通して工作機械の主軸から供給される切削液を刃先へと供給することができる(特許文献2参照)。
このような大径のボーリング加工では、主軸および主軸ヘッドに対して刃先が大きく移動する。このため、前述したノズル方式で切削液を噴射しようとすると、主軸ヘッドから刃先までが遠く、かつ移動範囲が広くなるため、通常主軸ヘッドに設置されるような数本程度のノズルでは対応しきれなくなる。
これに対し、ノズルを、主軸ヘッドではなくワークの近傍に設置し、ワークのボーリング加工部位に沿って多数のノズルを配置するという対策も考えられるが、設備が複雑になるとともに、ワーク毎の段取りが煩雑であり、現実的には困難である。
一方、切削液は刃先に集中的に供給できればよいのであり、工具にノズルを設置することができれば好ましいが、主軸とともに回転する工具、とくに刃先の移動距離が大きな大径のボーリング用工具の先端にノズルを設置することは現実的に困難である。
しかし、工作機械の全てが主軸に切削液の供給機能を備えているわけではなく、特に既に稼働している供給機能なしの工作機械に同機能を付加する改造等を行うことは、設備コスト的にも困難がともなう。
以上のように、従来のボーリング用工具およびボーリング用工作機械では、大径のボーリング加工を行う際に、切削液の供給を適切に行うことが困難であり、旧来通りの煩雑な作業、つまり作業員が手作業で刃先に切削液を補給する作業が避けられないという問題があった。
この際、タンクに切削液を貯留しておけば、アームの旋回に伴って遠心力により切削液がアームの先端側に向けて付勢され、パイプを通して刃先に向けて送り出される。これにより、刃先によるボーリング加工が実行される際には、ワークを切削する刃先への切削液の供給を行うことができる。
以上により、本発明によれば、簡単な装置構成でありながら、大径のボーリング加工でも切削液の供給を確実に行うことができる。
このような本発明では、加工時つまり遠心力が働いている際には、弁体が付勢手段に抗して移動し、非加工時つまり遠心力が働いていない状態では、弁体が付勢手段により一定位置に保持される。従って、弁体を、加工時にパイプを開放し、非加工時にパイプを閉鎖するような配置としておけば、加工時のみパイプを通して切削液が流通し、非加工時には切削液の流出を遮断することができる。
これにより、非加工時に刃先が工作機械の下向きとなっていても、重力により切削液が漏れ出す等の不都合を回避することができる。
このような本発明では、タンク内の切削液が減少した際に、補給用パイプを通して外部から切削液を補給することができる。
この際、工作機械の一部に補給用ボトルを設置し、この補給用ボトルとしてノズルを押すことで内容液が吐出されるポンプ式ボトルを利用すれば、工作機械の操作によりアームを移動させ、補給用パイプを補給用ボトルのノズルに当てた状態でノズルを押すことで、補給用ボトル内の切削液をタンク内に移送することができ、作業者の手作業によらず、工作機械が自動的に切削液の補給を行うこともできる。
このような本発明では、タンク内の切削液が減少した際に、タンクをアームから取り出し、切削液を補給することができる。
この際、カセット式のタンクを複数準備しておけば、使用中のタンクが空になった時点で即座に別のタンクに交換することができ、切削液の補給のための作業時間を最小限に抑えることができる。
また、カセット式のタンクを、別のロボットアーム等で交換するようにすれば、作業者の手作業によらず、工作機械が自動的に切削液の補給を行うこともできる。
このような本発明では、前述した本発明のボーリング用工具について説明した作用効果と同様な作用効果を得ることができる。
このような本発明では、タンク内の切削液が減少した際に、補給用パイプを通して外部の補給用ボトルから切削液を補給することができる。
この際、補給用ボトルとしてノズルを押すことで内容液が吐出されるポンプ式ボトルを利用すれば、工作機械の操作によりアームを移動させ、補給用パイプを補給用ボトルのノズルに当てた状態でノズルを押すことで、補給用ボトル内の切削液をタンク内に移送することができ、作業者の手作業によらず、工作機械が自動的に切削液の補給を行うこともできる。
図1および図2には、本発明の第1実施形態が示されている。
第1実施形態において、工作機械10は、本発明に基づくボーリング用工具20を備えたボーリング用工作機械であり、ボーリング用工具20は外部の補給用ボトル30から切削液Lの補給を受けるように構成されている。
ボーリング用工具20は、主軸11の先端に装着され、ワークWの凹部W1内面をボーリング加工するために用いられる。
シャンク21は、標準的なテーパーシャンクが用いられる。ただし、標準的なテーパーシャンクに限らず、主軸11の先端に装着できれば、その形式、構造等は限定されない。
刃先23は、超硬合金で製作された切削用の刃物であり、例えばボルト等でアーム22に固定される。
タンク25は、アーム22の刃先23とシャンク21との間の区間において、アーム22の内部に空洞を形成したものである。空洞の形成にあたっては、アーム22に用いる角柱状の部材の一方の側面から切込み、空洞を形成したのち側面を封止してもよく、断面C字状の部材を用いてその開いた面を封止してもよく、あるいはアーム22として角柱状の中空部材を用い、その両端を封止してもよい。
なお、図1および図2は、主軸11およびボーリング用工具20を回転させた状態を示しており、タンク25内の切削液Lは遠心力により刃先23側に貯まった状態で描かれている。
パイプ26の途中には、第1区間261と第2区間262との交差部分に、開閉弁27が設置されている。
弁室272は、第1区間261と同一軸線で形成されかつ連通された円筒状の空間を形成し、第2区間262は弁室272の内周面の第1区間261近傍に開口される。
弁体271は、比較的重量が大きな鋼球等とされ、第1区間261側にあるとき第1区間261の弁室272への開口を塞ぐとともに、第2区間262の開口をも塞ぎ、これによりパイプ26の流通を遮断することができる。
このような弁体271の移動があった際には、第1区間261および第2区間262の開口が開かれ、パイプ26の遮断が解除され、タンク25から刃先23に至るパイプ26が導通される。
補給用パイプ28は、アーム22の端面に開口する開口部281を有し、この開口部281には補給用パイプ28からの逆流を防止する逆止弁が形成されている。
この補給用パイプ28により、タンク25内の切削液Lが減少した際には、外部から切削液Lを補給することができる。
補給用ボトル30は、ワークWを支持するテーブルの一部等に固定されている。補給用ボトル30は、ワークWを支持するテーブルの上面に固定されたものの他、マグネットや面状ファスナ等で着脱自在にされて交換可能なものであってもよい。また、ワークWを支持するテーブルの上面に限らず、テーブルの側面に張り出す棚を形成してここに固定してもよく、テーブルの側面から突出するアーム等で支持してもよい。補給用ボトル30の設置位置は、工作機械10の動作によりボーリング用工具20が到達可能な範囲内であればよい。
従って、工作機械10を動作させてボーリング用工具20を移動させ、アーム22の刃先23側の先端を補給用ボトル30に向かい合わせ、開口部281を近接させてノズル31に接続するとともに、さらにノズル31を押し込むことで切削液Lを吐出させ、この切削液Lを補給用パイプ28からタンク25内に供給できるようになっている。
ボーリング用工具20を工作機械10の主軸11に装着し、主軸11を回転させることで、アーム22が旋回し、先端の刃先23が円周運動を行う。これにより、刃先23でワークWにボーリング加工を行うことができる。そして、アーム22の長さを大きくとることで大径のボーリング加工を行うことができる。
この際、タンク25に切削液Lを貯留しておけば、アーム22の旋回に伴って遠心力により切削液Lがアーム22の先端側に向けて付勢され、パイプ26を通して刃先23に向けて送り出される。これにより、刃先23によるボーリング加工が実行される際には、ワークWを切削する刃先23への切削液Lの供給を行うことができる。
従って、本実施形態では、簡単な装置構成でありながら、大径のボーリング加工でも切削液Lの供給を確実に行うことができる。
これにより、非加工時に刃先23が工作機械10の下向きとなっていても、重力により切削液Lが漏れ出す等の不都合を回避することができる。
とくに、工作機械10の一部に補給用ボトル30を設置し、この補給用ボトル30としてノズル31を押すことで内容液が吐出されるポンプ式ボトルを利用したため、工作機械10の操作によりアーム22を移動させ、補給用パイプ28を補給用ボトル30のノズル31に当てた状態でノズル31を押すことで、補給用ボトル30内の切削液Lをタンク25内に移送することができ、作業者の手作業によらず、工作機械が自動的に切削液Lの補給を行うこともできる。
図3および図4には、本発明の第2実施形態が示されている。
第2実施形態において、工作機械10Aは、本発明に基づくボーリング用工具20Aを備えたボーリング用工作機械である。ボーリング用工具20Aは、前述した第1実施形態のボーリング用工具20が外部の補給用ボトル30から切削液Lの補給を受けるものだったのに対し、交換可能なカセット式のタンク25Aを用いたものである。
本実施形態のボーリング用工具20Aにおいて、シャンク21および刃先23は第1実施形態のボーリング用工具20(図1参照)と共通である。しかし、アーム22Aは、外形、材質および寸法などは第1実施形態のアーム22と同様であるが、補給用パイプ28(図1参照)が省略され、タンク25Aおよびパイプ26Aも異なる構成とされている。
本実施形態では、タンク25Aが、着脱自在で交換可能なタンクカセット40の内部に構成されている。
タンクカセット40は、角柱状または円柱状の長尺材であり、内部にタンク25Aとなる空洞が形成されている。
キャビティ41は、アーム22Aの一方の側面に開口され、外部からキャビティ41内へとタンクカセット40を出し入れすることができる。なお、キャビティ41の開口は、アーム22Aの側面のうち、シャンク21が接続された側面を除く3面のうち何れかであることが望ましい。
アーム22Aには、第1実施形態と同様にパイプ26Aの第1区間261および第2区間262が形成されている。第2区間262の第1区間261はキャビティ41内面に開口されている。
タンクカセット40をキャビティ41内、つまりアーム22A内に装着した際には、タンクカセット40の第3区間263がキャビティ41内面に開口する第2区間262に接続され、これにより第1区間261ないし第3区間263が一連となってタンク25Aから刃先23近傍に至るパイプ26Aが構成される。
開閉弁27Aは、球状の弁体271と、弁体271を収容する弁室272と、弁体271を閉鎖位置に維持する付勢手段としてのばね273とを備えている。
弁室272は、第3区間263と同一軸線上に、第3区間263より大径の円筒状の空間を形成したものである。
弁体271は、比較的重量が大きな鋼球等とされ、タンク25A側にあるとき第3区間263の開口を塞ぎ、これによりパイプ26Aの流通を遮断することができる。
このような弁体271の移動があった際には、開閉弁27Aによるパイプ26Aの遮断が解除され、タンク25Aから刃先23に至るパイプ26Aが導通される。
本実施形態においても、前述した第1実施形態と同様に、簡単な装置構成でありながら、大径のボーリング加工でも切削液Lの供給を確実に行うことができる。
すなわち、ボーリング用工具20Aを工作機械10Aの主軸11に装着し、主軸11を回転させることで、アーム22Aが旋回し、先端の刃先23が円周運動を行う。これにより、刃先23でワークWにボーリング加工を行うことができる。そして、アーム22Aの長さを大きくとることで大径のボーリング加工を行うことができる。
この際、タンク25Aに切削液Lを貯留しておけば、アーム22Aの旋回に伴って遠心力により切削液Lがアーム22Aの先端側に向けて付勢され、パイプ26Aを通して刃先23に向けて送り出される。これにより、刃先23によるボーリング加工が実行される際には、ワークWを切削する刃先23への切削液Lの供給を行うことができる。
これにより、非加工時に刃先23が工作機械10Aの下向きとなっていても、重力により切削液Lが漏れ出す等の不都合を回避することができる。
すなわち、本実施形態では、タンク25A内の切削液Lが減少した際には、タンクカセット40をアーム22Aから取り出し、切削液Lを補給することができる。
この際、タンクカセット40を複数準備しておけば、使用中のタンクカセット40が空になった時点で即座に別のタンクカセット40に交換することができ、切削液Lの補給のための作業時間を最小限に抑えることができる。
また、タンクカセット40を、別のロボットアーム等で交換するようにすれば、作業者の手作業によらず、工作機械が自動的に切削液の補給を行うこともできる。
本発明は、前述した各実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を逸脱しない範囲での変形等は本発明に含まれるものである。
例えば、刃先23に切削液Lを供給するパイプ26,26Aの開口位置(第1区間261のアーム22、22A表面の開口位置)は適宜変更してよく、ボーリング用工具20,20Aが回転駆動されて加工状態にあるとき、パイプ26,26Aから流出する切削液Lが刃先23に適切にかかるような位置となるように調節することが望ましい。
その他、各部の細部形状、寸法、材質などは、実施にあたって適宜変更することができる。
一方、タンク25内と連通する補給用パイプ28はアーム22の側面のいずれかの向きに形成してもよい。この場合、補給用ボトル30は、ノズル31が横向きのものを用い、アーム22を水平方向に移動させて補給用パイプ28の開口部281をノズル31に接続し、さらにノズル31を押し込む動作等により切削液Lの移送を行うようにすればよい。
11…主軸
12…主軸ヘッド
20,20A…ボーリング用工具
21…シャンク
22,22A…アーム
23…刃先
25,25A…タンク
26,26A…パイプ
261…第1区間
262…第2区間
263…第3区間
27,27A…開閉弁
271…弁体
272…弁室
273…付勢手段であるばね
28…補給用パイプ
281…開口部
30…補給用ボトル
31…ノズル
40…タンクカセット
41…キャビティ
A…回転軸線
L…切削液
W…ワーク
W1…凹部
Claims (6)
- 工作機械の主軸に接続されるシャンクと、前記シャンクに支持されかつ前記主軸の回転軸線に対して径方向に延びるアームと、前記アームの先端に支持されてワークを切削する刃先とを有するボーリング用工具であって、
前記アームの内部に設置されて内部に切削液を貯留するタンクと、前記タンクから前記刃先まで連続するパイプとを有することを特徴とするボーリング用工具。 - 請求項1に記載されたボーリング用工具において、
前記パイプの途中に前記パイプを開閉可能な弁体と、前記弁体を前記回転軸線に向けて付勢する付勢手段とを有することを特徴とするボーリング用工具。 - 請求項1または請求項2に記載されたボーリング用工具において、
前記アームの表面と前記タンク内とを連通する補給用パイプを有することを特徴とするボーリング用工具。 - 請求項1または請求項2に記載されたボーリング用工具において、
前記タンクは前記アームに着脱自在なカセット式タンクであることを特徴とするボーリング用工具。 - 回転可能な主軸と、前記主軸に支持されかつ前記主軸の回転軸線に対して径方向に延びるアームと、前記アームの先端に支持されて前記ワークを切削する刃先とを有するボーリング用工作機械であって、
前記アームの内部に設置されて内部に切削液を貯留するタンクと、前記タンクから前記刃先まで連続するパイプとを有することを特徴とするボーリング用工作機械。 - 請求項5に記載されたボーリング用工作機械において、
前記アームは、前記アームの表面と前記タンク内とを連通する補給用パイプを有し、
前記アームが近接可能な位置に、前記補給用パイプに接続可能な補給用ボトルが設置されていることを特徴とするボーリング用工作機械。
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