以下、複数の実施形態による衣類乾燥機について、図面を参照して説明する。なお、各実施形態において実質的に同一の構成部位には同一の符号を付し、説明を省略する。
(第一実施形態)
まず、第一実施形態について、図1から図10を参照して説明する。
図1に示すように、衣類乾燥機としての洗濯乾燥機10は、外箱11、水槽12、回転槽13、モータ14、および扉15を備えている。なお、本実施形態において、外箱11に対して扉15側を洗濯乾燥機10の前側とする。洗濯乾燥機10は、ヒートポンプ方式の乾燥機能を有し、回転槽13の回転軸が地面に対して傾斜したいわゆるドラム式洗濯乾燥機である。外箱11は、鋼板などによってほぼ矩形の箱状に形成されている。水槽12は、外箱11の内部に収容されている。回転槽13は、水槽12の内部に収容されている。水槽12および回転槽13は、いずれも円筒状に形成されている。
水槽12は、円筒状の一方の端部に開口部121が形成され、他方の端部に水槽端板122が設けられている。開口部121は、傾斜した水槽12において水槽端板122よりも上側に位置している。同様に、回転槽13は、円筒状の一方の端部に開口部131が形成され、他方の端部に回転槽端板132が設けられている。開口部131は、傾斜した回転槽13において回転槽端板132よりも上側に位置している。回転槽13の開口部131は、水槽12の開口部121に周囲を覆われている。水槽12および回転槽13は、衣類を収容する乾燥室として機能する。
水槽12は、排気口16および給気口17を有している。排気口16は、水槽12の筒状部分を構成する周壁にあって上部前寄り部分に設けられている。給気口17は、水槽端板122にあって、該水槽端板122の中心よりやや上寄り部分に設けられている。排気口16および給気口17は、水槽12の内部と外部とを連通している。
また、水槽12は、重力方向の下方に位置する底部の後端側に排水部18を有している。排水部18は、排気口16および給気口17の下方に位置している。排水部18は、排水口123、排水弁19、および排水ホース20から構成されている。排水弁19が開放されることにより、水槽12内の水は、排水口123から排水弁19および排水ホース20を経由して洗濯乾燥機10の外部へ排出される。
回転槽13は、複数の孔21および複数の連通口22を有している。孔21および連通口22は、回転槽13の内部と外部とを連通している。孔21は、回転槽13の円筒状の筒状部分を構成する周壁の全域に形成されている。連通口22は、回転槽端板132の全域に形成されている。孔21および連通口22は、洗濯運転時および脱水運転時には、主に水が出入りする通水孔として機能し、乾燥運転時には空気が出入りする通風孔として機能する。なお、図1では、簡単のため複数の孔21および連通口22のうち一部のみを示している。また、詳細は図示しないが、回転槽13には、筒状部分の内側に複数のバッフルが設けられている。バッフルは、回転槽13の内側に収容された洗濯物を撹拌する。
モータ14は、水槽12の外側にあって水槽端板122に設けられている。モータ14は、例えばアウタロータ型のダイレクトドライブモータである。モータ14の軸部141は、水槽端板122を貫いて水槽12の内側へ突出し、回転槽端板132の中心部に固定されている。これにより、モータ14は、水槽12に対して回転槽13を相対的に回転させる。この場合、軸部141、回転槽13の回転軸、および水槽12の中心軸は、それぞれ一致している。
扉15は、図示しないヒンジを介して外箱11の外面側に設けられている。扉15は、ヒンジを支点に回動し、外箱11の前面に形成された図示しない開口部を開閉する。この外箱11に形成された開口部は、ベローズ112によって、水槽12の開口部121に接続されている。衣類などの洗濯物は、扉15を開放した状態で、開口部121、131を通して回転槽13内に出し入れされる。
洗濯乾燥機10は、図3に示す制御装置23や操作パネル24、および図2に示す給水装置25を備えている。制御装置23は、詳細は図示しないが、マイクロコンピュータなどから構成されており、洗濯乾燥機10の作動全般を制御する。操作パネル24は、図1に示すように、外箱11の前面にあって扉15の上側に設けられている。操作パネル24は、図3に示すように、制御装置23に接続されており、使用者は、操作パネル24を操作することによって運転コースの選択など各種設定を行う。
給水装置25は、図2に示すように、給水ケース26、給水弁27、および給水ホース28などから構成されている。給水弁27は、制御装置23に接続され、制御装置23の制御を受けて開閉駆動される。給水ホース28は、一端が給水弁27に接続され、他端が水道などの外部の水源に接続されている。制御装置23は、給水弁27を開閉駆動することにより、水源からの水を、給水ホース28、給水弁27、および給水ケース26を介して水槽12内へ供給する。
洗濯乾燥機10は、図4にも示すように循環風路30を備えている。循環風路30は、水槽12の外側において、排気口16と給気口17とを繋いでいる。具体的には、循環風路30は、排気ダクト31、フィルタ装置32、接続ダクト33、熱交換部34、および給気ダクト35から構成されている。
排気ダクト31は、図1にも示すように、水槽12の排気口16とフィルタ装置32とを接続している。排気ダクト31は、例えば蛇腹状のホースで構成されている。フィルタ装置32は、外箱11の内側上部にあって、水槽12および回転槽13の上方に設けられている。フィルタ装置32内には、フィルタ321が設けられている。排気口16から排気された空気は、フィルタ装置32のフィルタ321を通過する際に、リントなどの異物が取り除かれる。
フィルタ装置32は、接続ダクト33を介して熱交換部34の上流側に接続されている。熱交換部34は、外箱11の内側下部にあって、フィルタ装置32、水槽12および回転槽13の下方に設けられている。熱交換部34は、内部を通過する空気を除湿および加熱することで乾燥した温風を生成する。熱交換部34内には、蒸発器36および凝縮器37が設けられている。蒸発器36は、乾燥運転時における熱交換部34内の空気の流れに対して、凝縮器37よりも上流側に設けられている。蒸発器36および凝縮器37は、熱交換部34の外側に設けられた圧縮機38および減圧装置39とともに、ヒートポンプユニット40を構成する。熱交換部34内を通る空気は、蒸発器36によって冷却され、これにより除湿される。蒸発器36によって除湿された空気は、その後、凝縮器37によって加熱されて温風になる。
ヒートポンプユニット40は、圧縮機38を基準とした冷媒の流れ方向に対して順に凝縮器37、減圧装置39、および蒸発器36を接続して構成されている。蒸発器36および凝縮器37は、例えば微小な間隔で設けられた多数のフィンを有する管で構成されており、この管の内部に冷媒を流すことで、フィン間を通る空気と冷媒との熱交換を行う。蒸発器36および凝縮器37は、熱交換器として機能する。
圧縮機38は、圧送により冷媒を凝縮器37へ供給する。圧縮機38は、制御装置23に接続され、制御装置23の制御により駆動される。圧縮機38は、例えばインバータ制御によって圧縮機38の駆動回転数が変化可能に構成されている。制御装置23は、圧縮機38の駆動回転数を変化させることで、圧縮機38から吐出される冷媒の供給圧力を変化させ、これにより凝縮器37の加熱能力および蒸発器36の冷却能力を変化させる。減圧装置39は、凝縮器37から出た高圧で液状の冷媒を、減圧して低圧の気液混合状態にする。減圧装置39は、制御装置23の制御を受けて絞り開度が調整可能ないわゆる電動膨張弁で構成されている。
熱交換部34の下流側は、給気ダクト35を介して水槽12の給気口17に接続されている。熱交換部34と給気ダクト35との接続部分には、送風機41が設けられている。送風機41は、例えばシロッコファンなどで構成されている。送風機41は、制御装置23の制御によって回転数が変更可能に構成されている。送風機41は、熱交換部34内の空気を吸い込み、給気ダクト35側へ吐出する。これにより、図1、図2、および図4の矢印で示すように、水槽12および循環風路30を循環する空気の流れが生じる。この場合、循環風路30内の空気の流れについて見ると、排気口16が最上流側となり、給気口17が最下流側となる。
この構成において、乾燥運転のために圧縮機38および送風機41を駆動させると、熱交換部34内で除湿および加熱された温風は、送風機41の送風作用により、給気ダクト35を介して給気口17から水槽12内へ供給される。その後、温風は、主に連通口22から回転槽13内へ入り、回転槽13内の洗濯物から湿気を奪った後、主に孔21から回転槽13の外側へ出る。そして、湿気を含んだ空気は、排気口16から循環風路30に吸い込まれる。循環風路30に吸い込まれた空気は、まず排気ダクト31およびフィルタ装置32を通過する。このとき、衣類から出て空気中に含まれるリントは、フィルタ装置32内に設けられたフィルタ321によって捕集される。その後、接続ダクト33を介して熱交換部34へ流れる。このように、乾燥運転は、水槽12と循環風路30との間で空気を循環させ、その空気を循環風路30内で除湿および加熱することによって行われる。
また、洗濯乾燥機10は、給気口温度センサ51、排気口温度センサ52、圧縮機吐出側温度センサ53、凝縮器温度センサ54、蒸発器入口側温度センサ55、および蒸発器出口側温度センサ56を備えている。各温度センサ51、52、53、54、55、56は、例えばサーミスタなどで構成され、図3に示すように入力機器として制御装置23に接続されている。
給気口温度センサ51は、循環風路30内において凝縮器37と給気口17との間に設けられており、循環風路30内における凝縮器37と給気口17との間の空気の温度を検出する。給気口温度センサ51は、第一温度検出手段として機能する。この場合、給気口温度センサ51は、給気ダクト35内にあって給気口17の近傍に設けられている。そして、給気口温度センサ51は、給気ダクト35を通って乾燥室である水槽12および回転槽13内へ供給される空気、つまり熱交換部34で熱せられて乾燥室内へ供給される空気の温度を検出する。なお、給気口温度センサ51による検出温度を給気側温度Tsと表す。
排気口温度センサ52は、循環風路30内において蒸発器36と排気口16との間に設けられており、循環風路30内における蒸発器36と排気口16との間の空気の温度を検出する。排気口温度センサ52は、第二温度検出手段として機能する。この場合、排気口温度センサ52は、排気ダクト31内にあって排気口16の近傍に設けられている。そして、排気口温度センサ52は、乾燥室である水槽12および回転槽13から排気されて排気ダクト31内を通る空気の温度を検出する。なお、排気口温度センサ52による検出温度を排気側温度Teと表す。
圧縮機吐出側温度センサ53は、圧縮機38の冷媒の吐出側に設けられ、圧縮機38から吐出される冷媒の温度を検出する。圧縮機吐出側温度センサ53は、圧縮機吐出側温度検出手段として機能する。なお、圧縮機吐出側温度センサ53による検出温度を圧縮機吐出側温度Tdと表す。凝縮器温度センサ54は、凝縮器37に設けられ、凝縮器37の温度を検出する。凝縮器温度センサ54は、凝縮器温度検出手段として機能する。なお、凝縮器温度センサ54による検出温度を凝縮器温度Tcと表す。そして、蒸発器入口側温度センサ55は、蒸発器36の冷媒の入口側に設けられて蒸発器36に流入する冷媒の温度を検出する。また、蒸発器出口側温度センサ56は、蒸発器36の冷媒の出口側に設けられて蒸発器36から流出する冷媒の温度を検出する。なお、蒸発器入口側温度センサ55による検出温度を蒸発器入口側温度Tiと表し、蒸発器出口側温度センサ56による検出温度を蒸発器出口側温度Toと表す。
次に、圧縮機38および送風機41を起動した場合において、ヒートポンプユニット40による冷凍サイクルが正常に立ち上がった場合と、正常に立ち上がらなかった場合における各温度Ts、Te、Td、Tc、Ti、Toの変化について、図5および図6を参照して説明する。なお、図5、図6において外気温度は約10℃であり、圧縮機38を起動する前の各温度Ts、Te、Td、Tc、Ti、Toは、それぞれ外気温度とほぼ同じ温度となっている。また、ヒートポンプユニット40による冷凍サイクルが立ち上がった状態とは、熱交換部34により除湿および加熱されて給気口17から水槽12および回転槽13内へ供給される空気が、回転槽13内の衣類を乾燥させることのできる状態となったことをいう。
冷凍サイクルが正常に立ち上がった場合、図5に示すように、圧縮機吐出側温度Tdおよび凝縮器温度Tcは、圧縮機38を起動してから約20分間ほぼ同じ温度上昇率この場合毎分1℃程度上昇する。その後、圧縮機吐出側温度Tdおよび凝縮器温度Tcの温度上昇率は緩やかになる。この場合、圧縮機38が起動してから約20分経過後は、凝縮器温度Tcの温度上昇率が圧縮機吐出側温度Tdの温度上昇率よりも緩やかになり、圧縮機吐出側温度Tdと凝縮器温度Tcとの温度差は徐々に広がっていく。そして、圧縮機吐出側温度Tdおよび凝縮器温度Tcは、圧縮機38の起動後約20分から140分の期間において一定の割合で上昇した後、140分を経過した辺りで温度上昇が鈍化し、その後ほぼ一定温度に維持される。この場合、圧縮機吐出側温度Tdは約100℃、凝縮器温度Tcは約70℃に維持される。
給気側温度Tsと排気側温度Teは、圧縮機38が起動されると、凝縮器温度Tcの上昇に伴って上昇する。このとき、圧縮機38が起動されてから約30分の期間においては、排気側温度Teの温度上昇率よりも給気側温度Tsの温度上昇率の方が大きい。このため、圧縮機38が起動されてから約30分の期間においては、給気側温度Tsと排気側温度Teの温度差は毎分0.5℃以上、本実施形態の場合、毎分約1℃拡大していく。その後、圧縮機38を起動してから約30分を過ぎると、給気側温度Tsの温度上昇が緩やかになり、給気側温度Tsと排気側温度Teとの温度上昇率はほぼ同じになる。このため、給気側温度Tsと排気側温度Teは、約30分から140分の期間において、一定の温度差例えば20℃程度の温度差を維持したまま上昇する。このとき、熱交換部34を通過して乾燥した温風となった空気は、回転槽13内の衣類から湿気を奪うとともに熱交換し、これにより衣類の乾燥を進行させる。
そして、圧縮機38の起動後約140経過後、凝縮器温度Tcの温度上昇が鈍化しほぼ一定温度に維持されるのに伴って、給気側温度Tsの温度上昇も鈍化しほぼ一定温度この場合約50℃に維持される。その後、約180分を過ぎると、衣類の乾燥は概ね終了し、これにより、排気側温度Teの温度上昇は緩やかになって給気側温度Tsと排気側温度Teの温度差が縮まっていく。そして、給気側温度Tsと排気側温度Teの温度差が所定以下例えば15℃以下になると衣類の乾燥が終了したと判断されて乾燥運転が終了される。
蒸発器入口側温度Tiおよび蒸発器出口側温度Toは、圧縮機38が起動されてから約10分の期間において、蒸発器入口側温度Tiと蒸発器出口側温度Toとの温度差を維持したまま急速に低下する。その後、蒸発器36に着霜が生じなかった場合、又は着霜が生じたが凝縮器37の熱によってその着霜が早期に解消された場合は、凝縮器温度Tcの温度上昇に伴って蒸発器入口側温度Tiおよび蒸発器出口側温度Toも上昇する。そして、約180分以降における凝縮器温度Tcの温度上昇の鈍化に伴い、蒸発器入口側温度Tiおよび蒸発器出口側温度Toの温度上昇も鈍化し、ほぼ一定温度に維持される。この場合、蒸発器入口側温度Tiは約20℃、蒸発器出口側温度Toは約18℃に維持される。
ヒートポンプユニット40による乾燥運転の開始から終了までの期間は、衣類の乾燥の進行状態に着目すると、初期R1、中期R2、後期R3に大別される。初期R1は、ヒートポンプユニット40による冷凍サイクルの立ち上がり期間を示す。この初期R1中において、熱交換部34を通過して給気口17から水槽12および回転槽13内へ供給される空気は、衣類の乾燥にほとんど寄与しない。中期R2は、衣類の乾燥の進行に大きく寄与する期間を示す。この中期R2中において、熱交換部34を通過して給気口17から水槽12および回転槽13内へ供給された空気は、衣類の湿気を奪うとともに衣類と熱交換し、これにより衣類の乾燥を進行させる。後期R3は、衣類の乾燥の大部分が終了して乾燥の進行が鈍化した期間を示す。後期R3の経過後、乾燥運転が終了される。
そして、本実施形態において、図5に示すように冷凍サイクルが正常に立ち上がった場合、初期R1は、冷凍サイクルを起動してから約30分間つまり0分から30分までの期間となる。また、中期R2は、初期R1の経過後約150分間つまり30分から180分までの期間となる。そして、後期R3は、中期R2の経過以降つまり180分以降の期間となる。
これに対し、冷凍サイクルが正常に立ち上がらなかった場合、図6に示すように、蒸発器入口側温度Tiおよび蒸発器出口側温度Toは、圧縮機38が起動されてから約10分の期間において急速に低下している。このとき、蒸発器入口側温度Tiがマイナス温度まで低下しているため、周囲の湿度が高いと蒸発器36に霜が付着し始める。そして、圧縮機38の起動後約20分程度で、蒸発器36に生じた着霜によって蒸発器36が閉塞される。この場合、圧縮機38を起動した後、蒸発器36が着霜によって閉塞されるまでの期間は、圧縮機吐出側温度Tdおよび凝縮器温度Tcは上昇する。しかし、蒸発器36の閉塞によって循環風路30内を循環する空気量が低下すると、蒸発器36および凝縮器37と循環風路30内の空気との熱交換が行われなくなる。すると、凝縮器37の熱が蒸発器36に伝達されずに凝縮器37および蒸発器36の温度上昇が緩やかになり、その結果、圧縮機吐出側温度Tdおよび凝縮器温度Tcの温度上昇も緩やかになる。
また、圧縮機38の起動後、蒸発器36が着霜によって閉塞されるまでの期間すなわち約20分までの期間は、凝縮器温度Tcの温度上昇に伴って給気側温度Tsおよび排気側温度Teも上昇する。しかし、約20分を経過後は、凝縮器温度Tcの上昇が緩やかになるのに伴って、給気側温度Tsおよび排気側温度Teの温度上昇も緩やかになる。この場合、給気側温度Tsと排気側温度Teの温度差は、圧縮機38が起動されてから約20分に期間においては冷凍サイクルの立ち上がりが正常である場合と同様に、毎分0.5℃以上、本実施形態の場合、毎分約1℃拡大していく。しかし、圧縮機38を起動してから約20分を経過した後は、給気側温度Tsと排気側温度Teの温度差は毎分約0.2℃とほとんど変化しなくなる。
その後、蒸発器36に生じた着霜は、凝縮器37の緩やかな温度上昇に伴って時間をかけて徐々に解消されていく。そして、着霜による蒸発器36の閉塞が解消され始めると、循環風路30内を流れる空気の流量が次第に増加する。すると、蒸発器36を通過した冷気と凝縮器37との熱交換が行われるため、図6の約180分から200分の期間に示すように凝縮器温度Tc、給気側温度Ts、および圧縮機吐出側温度Tdが一時的に低下する。その後、約200分から220分の期間に示すように、蒸発器36の着霜の解消が促進されて、凝縮器温度Tc、給気側温度Ts、および圧縮機吐出側温度Tdが上昇するとともに、蒸発器入口側温度Tiおよび蒸発器出口側温度Toも上昇する。
そして、約220分以降において、給気側温度Tsおよび排気側温度Teは、図5に示す約30分以降の期間と同様に、圧縮機吐出側温度Tdおよび凝縮器温度Tcの上昇に伴って、一定温度差例えば20℃前後の温度差を維持したまま上昇する。このとき、熱交換部34を通過して低湿度の温風となった空気は、回転槽13内の衣類から湿気を奪うとともに熱交換し、これにより衣類の乾燥を進行させる。その後、後期R3を経て、乾燥運転が終了される。この場合、図6の約220分以降は、図5の約30分以降とほぼ同様に進行する。
このように、冷凍サイクルが正常に立ち上がらなかった場合、冷凍サイクルの立ち上がり期間である初期R1は、図6に示すように冷凍サイクルを起動してから約220分間となる。なお、詳細は図示しないが、中期R2は、図5に示す冷凍サイクルが正常に立ち上がった場合と同様に、初期R1の経過後約150分間つまり約220分から370分までの期間となる。そして、後期R3は、中期R2の経過以降つまり約380分以降の期間となる。この場合、冷凍サイクルが正常に立ち上がった場合の立ち上がり期間R1すなわち初期R1は図5に示すように約30分間であるのに対し、正常に立ち上がらなかった場合の立ち上がり期間R1は図6に示すように約220分間となる。すなわち、乾燥運転に要する時間は、冷凍サイクルが正常に立ち上がった場合に比べて正常に立ち上がらなかった場合の方が、立ち上がり期間R1の差分つまり190分も余分に要することになる。
このように、冷凍サイクルの立ち上がりが異常となった場合、その異常が解消されて正常な状態に回復するまでの期間は、凝縮器37の温度上昇が緩やかであるため、衣類の乾燥にほとんど寄与しない。そのため、蒸発器36に着霜が生じて冷凍サイクルの立ち上がり異常となった場合には、極力早期に蒸発器36の着霜を解消することが望ましい。しかし、蒸発器36の温度を監視することで蒸発器36の着霜を早期に検知することは困難である。なぜなら、蒸発器36の温度すなわち蒸発器入口側温度Tiおよび蒸発器出口側温度Toは、図5および図6に示すように、冷凍サイクルの立ち上がり期間R1において、その温度変化が鈍いからである。例えば、図5に示す正常な立ち上がりにおける蒸発器入口側温度Tiおよび蒸発器出口側温度Toと、図6に示す異常な立ち上がりにおける蒸発器入口側温度Tiおよび蒸発器出口側温度Toとに、明確な差が生じるのは、冷凍サイクルを起動してから約30分を経過した後となる。
このように、蒸発器36の温度に基づいて冷凍サイクルが正常に立ち上がったか否かを判断する場合、その判断は、冷凍サイクルが正常に立ち上がった場合の蒸発器36の温度と、冷凍サイクルが正常に立ち上がっていない場合の蒸発器36の温度とに、明確な差が出た後にする必要がある。すなわち、この場合、冷凍サイクルが正常に立ち上がったか否かの判断は、冷凍サイクルが正常に立ち上がっていれば蒸発器36の温度が十分に上昇しているだろうと予想される期間、換言すれば、冷凍サイクルが正常に立ち上がった場合における立ち上がり期間R1を経過し、暫く経った後にする必要がある。このため、蒸発器36の温度に基づいて冷凍サイクルが正常に立ち上がったか否かを判断する場合、早期にその判断を行うことができず、したがって、早期に蒸発器36の着霜を解消することが困難であった。
そこで、本実施形態において、制御装置23は、給気口温度センサ51の検出結果である給気側温度Tsと排気口温度センサ52の検出結果である排気側温度Teとの差に基づいて、ヒートポンプユニット40による冷凍サイクルの立ち上がりが正常であるか否かを判断する。そしてその判断は、圧縮機38を起動してから所定期間経過後を基準とする判定期間P内に行う。本実施形態の場合、判定期間Pは、圧縮機38を起動してから20分経過後30分に至るまでの10分間に設定されている。この判定期間Pでは、冷凍サイクルが正常に立ち上がった場合と正常に立ち上がっていない場合とにおける給気側温度Tsと排気側温度Teとの差の違いが比較的大きく表れるからである。例えば本実施形態では、圧縮機38の起動後比較的早期の期間である約20分から30分の期間における給気側温度Tsと排気側温度Teとの差の変化は、冷凍サイクルが正常に立ち上がった場合では図5に示すように毎分約0.5℃以上この場合毎分約1℃となる。一方、冷凍サイクルが正常に立ち上がらなかった場合では図6に示すように毎分約0.2℃となる。
制御装置23は、図7に示すように、乾燥運転を開始すると、ステップS11において減圧装置39の絞り開度K=k1に設定し、ステップS12において圧縮機38を回転数H=h1で起動させ、ステップS13において送風機41を回転数F=f1で起動させる。これにより、ヒートポンプユニット40による冷凍サイクルが起動される。なお、減圧装置39を流れる冷媒は、絞り開度Kが大きいほど流量が増大するとともに圧力降下が小さくなる。また、圧縮機38による冷媒の圧送圧力は、回転数Hが大きいほど高くなる。そして、送風機41による送風量は、回転数Fが大きいほど増大する。
制御装置23は、ステップS11、S12、S13を経て冷凍サイクルを起動させると、次にステップS14において立ち上がり判定処理を実行する。制御装置23は、立ち上がり判定処理において、判定期間Pにおける給気側温度Tsと排気側温度Teとの差の変化量が閾値以上であれば冷凍サイクルの立ち上がりが正常であると判断し、閾値未満であれば冷凍サイクルの立ち上がりは異常であると判断する。
具体的には、図8に示すように、制御装置23は、立ち上がり判定処理を実行すると、ステップS21において冷凍サイクルの起動後20分経過したか、すなわち判定期間Pの始期に達したか否かを判断する。起動後20分経過してない場合は(ステップS21でNO)、起動後20分経過するまでステップS21を繰り返す。その後、制御装置23は、冷凍サイクルの起動後20分経過すると(ステップS21でYES)、ステップS22へ移行し、判定期間Pの始期すなわち冷凍サイクルの起動後20分の時点における給気側温度Ts1および排気側温度Te1を検出する。
その後、制御装置23は、ステップS23へ移行し、冷凍サイクルの起動後30分経過したか、すなわち判定期間Pの終期に達したか否かを判断する。起動後30分経過していない場合は(ステップS23でNO)、起動後30分経過するまでステップS23を繰り返す。その後、制御装置23は、冷凍サイクルの起動後30分経過すると(ステップS23でYES)、ステップS24へ移行し、判定期間Pの終期すなわち冷凍サイクルの起動後30分の時点における給気側温度Ts2および排気側温度Te2を検出する。
その後、制御装置23は、ステップS25において、判定期間Pの始期における給気側温度Ts1および排気側温度Te1の温度差と、判定期間Pの終期における給気側温度Ts2および排気側温度Te1の温度差との変化率に基づいて、冷凍サイクルが正常に立ち上がったか否かを判断する。この場合、制御装置23は、10分間の判定期間Pの前後において給気側温度Tsと排気側温度Teとの温度差が5℃以上変化した場合、すなわち、次式(1)を満たす場合(ステップS25でYES)、ステップS27へ移行して冷凍サイクルの立ち上がりは正常であると判断する。
(Ts2−Te2)−(Ts1−Te1)≧5℃・・・(1)
一方、判定期間の前後において給気側温度Tsと排気側温度Teとの温度差の変化が5℃未満である場合(ステップS25でNO)、制御装置23は、ステップS26へ移行して冷凍サイクルの立ち上がりは異常であると判断する。この場合、蒸発器36には着霜が生じていると判断できる。その後、制御装置23は、図7に示すステップS15へ移行する。
制御装置23は、ステップS15において、冷凍サイクルの立ち上がりが正常である場合は(ステップS15でYES)、ステップS17へ移行する。一方、蒸発器36の着霜により冷凍サイクルの立ち上がりが異常となった場合は(ステップS15でNO)、ステップS16へ移行して異常回復処理を実行する。制御装置23は、異常回復処理を実行すると、図9に示すステップS31において圧縮機38を一時停止させる。すると、凝縮器37側の冷媒は圧力が低下し、蒸発器36で気化せずに比較的高温の状態で蒸発器36側へ流れ込む。これにより凝縮器37と蒸発器36との温度が均衡し、冷凍サイクル全体の温度が均一化する。すなわち、図10の約30分から40分の期間に示すように、凝縮器37の温度が低下するとともに蒸発器36の温度が上昇し、その結果、蒸発器36の着霜が解消される。
そして、制御装置23は、ステップS32において、圧縮機38の一時停止してから蒸発器36の着霜の解消に十分な時間、例えば1分間経過したか否かを判断する。1分間経過していない場合は(ステップS32でNO)、1分間経過するまでステップS32を繰り返す。その後、制御装置23は、圧縮機38の一時停止から1分間経過すると(ステップS32でYES)、ステップS33へ移行し、回転数H=h1で圧縮機38を再起動する。すると、図10の約40分から50分の期間に示すように、圧縮機吐出側温度Td、凝縮器温度Tc、および給気側温度Tsが上昇する。これにより、蒸発器36の着霜の解消が促進され、その結果、冷凍サイクルの立ち上がり異常が回復する
冷凍サイクルが再起動されて立ち上がり異常が回復すると、乾燥運転は、図10の約50分から200分の期間で示す中期R2となる。中期R2では給気側温度Tsと排気側温度Teとが徐々に上昇して衣類の乾燥を進行させる。その後、乾燥運転は後期R3に達する。制御装置23は、冷凍サイクルが再起動されると、図7に示すステップS17へ移行する。制御装置23は、ステップS17において給気側温度Tsと排気側温度Teとを検出する。そして、ステップS18において給気側温度Tsと排気側温度Teとの差に基づいて乾燥運転の終了を判断する。
制御装置23は、例えば給気側温度Tsと排気側温度Teとの差が15℃以下となったことを条件として乾燥運転を終了する。すなわち、制御装置23は、給気側温度Tsと排気側温度Teとの差が15℃より大きければ(ステップS18でNO)、ステップS17およびステップS18を繰り返して乾燥運転を継続する。その後、給気側温度Tsと排気側温度Teとの差が15℃以下となると(ステップS18でYES)、衣類が十分に乾燥したと判断し、圧縮機38を停止させ、乾燥運転を終了させる。なお、詳細は図示しないが、乾燥運転の終了後に送風機41による送風を行って衣類を冷却する冷却運転を行ってもよい。
この場合、図10に示すように、立ち上がり期間R1は、冷凍サイクルの起動後約50分間となる。また、中期R2は、冷凍サイクルの起動後50分から200分の150分間となる。そして、後期R3は、中期R2の経過後つまり200分以降となる。このように、冷凍サイクルの立ち上がりが異常となった場合であっても、圧縮機38を一時停止させて異常回復処理を行うことで、冷凍サイクルの立ち上がり期間R1を約50分間に抑制することができる。これは、冷凍サイクルが正常に立ち上がった場合の立ち上がり期間R1=30分間に比べて約20分延長されるに過ぎない。換言すれば、異常回復処理を行った場合における立ち上がり期間R1の延長期間約20分間は、異常回復処理を行わない場合における立ち上がり期間R1の延長期間190分間に対して約10分の1に過ぎない。
これによれば、制御装置23は、乾燥運転の初期段階である圧縮機38の起動後20分から30分の間に、ヒートポンプユニット40による冷凍サイクルの立ち上がりが正常であるか否かを判断する判定期間Pを設定する。そして、この判定期間P内において、制御装置23は、給気口温度センサ51の検出結果である給気側温度Tsと、排気口温度センサ52の検出結果である排気側温度Teとの差に基づいてヒートポンプユニット40による冷凍サイクルの立ち上がりが正常であるか否かを判断する。制御装置23は、冷凍サイクルの立ち上がりが正常でないと判断した場合には、圧縮機38を一時停止させて蒸発器36の着霜の解消を行い、冷凍サイクルの立ち上がりの回復を図る。
これにより、制御装置23は、ヒートポンプユニット40による冷凍サイクルの運転が正常に立ち上がったか否かを、乾燥運転の初期段階である圧縮機38の起動後20分から30分の間の早期に判断することができる。そして、冷凍サイクルが正常に立ち上がっていない場合は早期に正常な運転に戻すことができ、その結果、蒸発器36の着霜により冷凍サイクルが正常に立ち上がらなかった場合であっても、乾燥運転の大幅な延長を抑制することができる。
また、冷凍サイクルが正常に立ち上がったか否かの判断は、給気口温度センサ51による給気側温度Tsと排気口温度センサ52による排気側温度Teとの差の変化に基づいて行う。これによれば、給気側温度Tsと排気側温度Teとの差の変化は、冷凍サイクルが正常に立ち上がった場合と正常に立ち上がらなかった場合とにおいて圧縮機38の起動後比較的早期に明確な差が生じる。したがって、冷凍サイクルが正常に立ち上がったか否かを、圧縮機38の起動後比較的早期に判断できる。これにより、蒸発器36に着霜が生じて冷凍サイクルの立ち上がりが異常となった場合でも比較的早期に着霜を解消し、正常な運転に回復させることができ、その結果、冷凍サイクルの立ち上がり異常による乾燥運転の延長を抑制することができる。
(第二実施形態)
次に、第二実施形態について図11を参照して説明する。
第二実施形態において、制御装置23は、給気口温度センサ51による給気側温度Tsと排気口温度センサ52による排気側温度Teとの差に加え、圧縮機吐出側温度センサ53による圧縮機吐出側温度Tdに基づいて、ヒートポンプユニット40による冷凍サイクルの立ち上がりが正常であるか否かを判断する。この場合、第一実施形態に対して立ち上がり判定処理の内容が異なる。制御装置23は、図11に示す立ち上がり判定処理において、図8に示す第一実施形態の立ち上がり判定処理におけるステップS22に換えてステップS41を実行し、ステップS24に換えてステップS42を実行する。また、ステップS25の次に、ステップS43を実行する。
具体的には、制御装置23は、ステップS41において、給気側温度Ts1および排気側温度Te1の検出に加え、圧縮機吐出側温度Td1の検出を行う。また、ステップS42において、給気側温度Ts2および排気側温度Te2の検出に加え、圧縮機吐出側温度Td2の検出を行う。そして、制御装置23は、判定期間Pの前後において給気側温度Tsと排気側温度Teとの温度差が閾値例えば5℃以上変化していれば(ステップS25でYES)、ステップS43へ移行する。ステップS43では、判定期間Pにおける圧縮機吐出側温度Tdの変化に基づいて冷凍サイクルの立ち上がりが正常であるか否かを更に判断する。冷凍サイクルの立ち上がりの判断における圧縮機吐出側温度Tdの上昇温度の閾値は、例えば3℃に設定されている。制御装置23は、ステップS43において、10分間の判定期間P内において、圧縮機吐出側温度Tdの上昇温度が5℃以上であれば、すなわち、次式(2)を満たす場合(ステップS43でYES)、ステップS27へ移行し、冷凍サイクルの立ち上がりは正常であると判断する。
Td2−Td1≧5℃・・・(2)
一方、判定期間の前後において圧縮機吐出側温度Tdの上昇温度が5℃未満である場合(ステップS43でNO)、制御装置23は、ステップS26へ移行して冷凍サイクルの立ち上がりは異常であると判断する。
これによれば、制御装置23は、ヒートポンプユニット40による冷凍サイクルが正常に立ち上がったか否かの判断を、給気側温度Tsと排気側温度Teとの差、および圧縮機吐出側温度Tdに基づいて二重に行う。そのため、冷凍サイクルが正常に立ち上がったか否かについて、より正確な判断が可能となる。これにより、冷凍サイクルが正常に立ち上がっているにもかかわらず圧縮機を止めてしまい冷凍サイクルの立ち上がりに影響を与えることが低減され、その結果、乾燥運転の不要な延長を抑制することができる。
なお、この第二実施形態において、制御装置23は、給気口温度センサ51による給気側温度Tsと排気口温度センサ52による排気側温度Teとの差に加え、凝縮器温度センサ54による凝縮器温度Tcに基づいて、ヒートポンプユニット40による冷凍サイクルの立ち上がりが正常であるか否かを判断しても良い。この場合、制御装置23は、ステップS41において圧縮機吐出側温度Td1に換えて凝縮器温度Tc1を検出する。また、ステップS42において、圧縮機吐出側温度Td2に換えて凝縮器温度Tc2を検出する。そして、制御装置23は、ステップS43において、10分間の判定期間における凝縮器温度Tcの上昇温度が所定の閾値以上であれば(ステップS43でYES)、ステップS27へ移行し、冷凍サイクルの立ち上がりは正常であると判断する。これによっても、上記と同様の作用効果が得られる。
(第三実施形態)
次に、第三実施形態について図12を参照して説明する。
第三実施形態では、上記各実施形態に対して異常回復処理の内容が異なる。具体的には、制御装置23は、異常回復処理を開始すると、図12に示すように、まずステップS31において圧縮機38を一時停止させる。そして、ステップS51において、減圧装置39の絞り開度K=k2に変更する。絞り開度k2は、圧縮機38の一時停止前における減圧装置39の絞り開度k1よりも大きく設定されており、この場合、全開としてもよい。そして、制御装置23は、ステップS32において、圧縮機38を一時停止してから例えば1分間経過したか否かを判断する。1分間経過していない場合は(ステップS32でNO)、1分経過するまでステップS32を繰り返す。制御装置23は、圧縮機38の一時停止から1分間経過すると(ステップS32でYES)、ステップS52へ移行する。
制御装置23は、ステップS52において減圧装置39の絞り開度K=k3に変更し、ステップS53において送風機41の回転数F=f2に変更する。この場合、絞り開度k3は、圧縮機38の一時停止前の絞り開度k1よりも大きく、かつ、圧縮機38の一時停止の際の絞り開度k2以下に設定されている。また、回転数f2は、圧縮機38の一時停止前の回転数f1よりも大きい値に設定されている。
その後、制御装置23は、ステップS54において、回転数H=h2で圧縮機38を再起動させる。この場合、回転数h2は、圧縮機38の一時停止前の回転数h1よりも小さい値に設定されている。制御装置23は、圧縮機38を再起動させた後、ステップS55において、圧縮機38を再起動させてから所定期間、例えば10分間経過したか否かを判断する。10分経過していない場合は(ステップS55でNO)、10分間経過するまでステップS55を繰り返す。その後、制御装置23は、圧縮機38の再起動から10分間経過すると(ステップS55でYES)、ステップS56において減圧装置39の絞り開度K=k1に変更し、ステップS57において送風機41の回転数F=f1に変更し、ステップS58において圧縮機38の回転数H=h1に変更する。これにより、減圧装置39の絞り開度K、送風機41の回転数F、および圧縮機38の回転数Hを、圧縮機38を一時停止させる前の設定に戻す。その後、制御装置23は、図7に示すステップS17へ移行し(リターン)、これにより冷凍サイクルの立ち上がり異常が回復される。
このように、制御装置23は、圧縮機38を一時停止する際、減圧装置39の絞り開度Kを、圧縮機38を一時停止する前における絞り開度k1よりも大きい絞り開度k2に増大させる。これによれば、圧縮機38を一時停止した際、凝縮器37側にある高温高圧の冷媒が、低圧側である蒸発器36側へ流れ易くなる。これにより、冷凍サイクルの高圧側すなわち凝縮器37側と低圧側すなわち蒸発器36側との圧力および温度の均衡が早期に図られる。したがって、蒸発器36の早期の温度上昇が図られ、これにより圧縮機38を一時停止後、比較的早い段階で蒸発器36に付着した霜を取り除くことができる。その結果、冷凍サイクルの立ち上がりが異常な場合であっても早期に正常な運転に戻すことができる。
また、制御装置23は、圧縮機38を再起動する際、圧縮機38の回転数Hを、圧縮機38の一時停止前における回転数h1よりも小さい回転数h2に減少させる。これによれば、圧縮機38を再起動させた際、圧縮機38から吐出される冷媒の圧力が一時停止前よりも低くなり、蒸発器36の温度低下が抑制される。したがって、圧縮機38の再起動によって蒸発器36に再度着霜が生じることを低減し、これにより、圧縮機38の再起動後に、再度冷凍サイクルの立ち上がり異常が生じることを回避することができる。
また、制御装置23は、圧縮機38を再起動する際、送風機41の回転数Fを、圧縮機38の一時停止前における回転数f1よりも大きい回転数f2に増大させる。これによれば、循環風路30を循環する空気量が増大することで凝縮器37および蒸発器36の熱交換が促進されるため、蒸発器36の温度が比較的高く維持される。そのため、圧縮機38の再起動後に、蒸発器36に再度着霜が生じた場合であっても、その着霜の進行は抑制される。したがって、圧縮機38の再起動によって蒸発器36に再度着霜が生じて蒸発器36が閉塞されてしまうことを回避することができ、これにより、圧縮機38の再起動後に、再度冷凍サイクルの立ち上がり異常が生じることを回避することができる。
そして、制御装置23は、圧縮機38を再起動する際、減圧装置39の絞り開度Kを、圧縮機38の一時停止前における絞り開度k1よりも大きい絞り開度k3に増大させる。これによれば、圧縮機38を再起動させた際、凝縮器37側にある高温の冷媒が、比較的高温の状態で蒸発器36側へ流れる。これにより、蒸発器36の温度が上昇し易くなるため、圧縮機38を再起動させた際、蒸発器36の温度低下を抑制することができる。したがって、圧縮機38の再起動によって蒸発器36に再度着霜が生じることを低減でき、これにより、圧縮機38の再起動後に、再度冷凍サイクルの立ち上がり異常が生じることを回避することができる。
なお、上記第一実施形態および第二実施形態において、減圧装置39は、絞り開度Kを変更できるものでなくてもよい。
また、異常回復処理において圧縮機38を一時停止させる際、圧縮機38を完全に停止させずに回転数を低下させてもよい。
また、上記各実施形態において、第一温度検出手段を給気口17の近傍に設けた給気口温度センサ51とし、第二温度検出手段を排気口16の近傍に設けた排気口温度センサ52とした。しかしこれに限られず、第一温度検出手段を、循環風路30内において凝縮器37の近傍に設けた温度センサとし、第二温度検出手段を、循環風路30内において蒸発器36の近傍に設けた温度センサとしてもよい。
また、上記各実施形態は、洗濯乾燥機能を有したドラム式の洗濯乾燥機としたが、これに限られず、例えば洗濯機能を有さない衣類乾燥機でもよい。
以上説明した実施形態の構成によれば、衣類乾燥機は、循環風路内において凝縮器と給気口との間の空気の温度を検出する第一温度検出手段と、循環風路内において蒸発器と排気口との間の空気の温度を検出する第二温度検出手段と、を備えている。制御手段は、圧縮機を起動してから所定期間経過後を基準とする判定期間内において第一温度検出手段と第二温度検出手段とによる検出結果の差に基づいてヒートポンプユニットによる冷凍サイクルの立ち上がりが正常であるか否かを判断する。そして、冷凍サイクルの立ち上がりが正常でないと判断した場合に圧縮機を一時停止しその後再起動する。
これによれば、冷凍サイクルが正常に立ち上がったか否かの判断は、第一温度検出手段と第二温度検出手段とによる検出結果の差に基づいて行う。第一温度検出手段と第二温度検出手段とによる検出結果の差は、圧縮機を起動してから比較的早期に、冷凍サイクルが正常に立ち上がった場合とそうでない場合とで相違が生じる。そのため、冷凍サイクルが正常に立ち上がったか否かを判断する判定期間を、圧縮機を起動してから比較的早期に設定することができる。これにより、冷凍サイクルの立ち上がりに異常が生じた場合であっても、早期に正常な運転に戻すことができ、その結果、冷凍サイクルの立ち上がり異常による乾燥運転の大幅な延長を抑制することができる。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変更は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。