JP5979417B2 - 多層フィルム、及びスタンディングパウチ - Google Patents
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Description
その一方で、ヒートシールにより袋を密閉する場合には、熱加工性に優れる無延伸のポリオレフィン類フィルムが必須であるが、無延伸ポリオレフィンフィルムには包装材料として不足している機能も多い。
一方、アルミニウム箔を使用しないで比較的高い剛性とバリア性の得られるフィルム機材としてポリエチレンテレフタレート(PET)に代表される延伸ポリエステルフィルムがある。PETフィルムは機械的性能、耐薬品性、保香性、経済性等のバランスが良好な材料であるが、バリア性に劣る欠点があった。
前記接着剤を用いて形成される硬化塗膜の膜厚が150±50μmにおいて25℃における弾性率が1.0x109Pa以上であり、該硬化塗膜の膜厚が3±0.5μmにおいて相対湿度90%、温度23℃における酸素透過率が50cc/m2・day・atm以下であることを特徴とする多層フィルムにより上記課題を解決した。
本発明で使用するポリエステルポリオール(A)は、2個以上の水酸基を有するポリエステルポリオールであって、多価カルボン酸と多価アルコールとを重縮合反応することにより得られ、本発明の目的とするガスバリア性を発現させうるものであれば特に限定はない。
本発明のポリエステルポリオール(A)は、多価カルボン酸成分として具体的には、脂肪族多価カルボン酸としては、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸等を、脂環族多価カルボン酸としては1,3−シクロペンタンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸等を、芳香族多価カルボン酸としては、オルトフタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、ピロメリット酸、トリメリット酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、2,5−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、ナフタル酸、ビフェニルジカルボン酸、1,2−ビス(フェノキシ)エタン−p,p’−ジカルボン酸及びこれらジカルボン酸の無水物或いはエステル形成性誘導体;p−ヒドロキシ安息香酸、p−(2−ヒドロキシエトキシ)安息香酸及びこれらのジヒドロキシカルボン酸のエステル形成性誘導体等の多塩基酸を単独で或いは二種以上の混合物で使用することができる。また、これらの酸無水物も使用することができる。中でも、ガスバリア性を得る為にはコハク酸、1,3−シクロペンタンジカルボン酸、オルトフタル酸、オルトフタル酸の酸無水物、イソフタル酸が好ましく、更にはオルトフタル酸及びその酸無水物がより好ましい。
本発明で使用する多価アルコールは、具体的には、脂肪族ジオールとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ネオペンチルグリコール、シクロヘキサンジメタノール、1,5−ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、メチルペンタンジオール、ジメチルブタンジオール、ブチルエチルプロパンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、芳香族多価フェノールとして、ヒドロキノン、レゾルシノール、カテコール、ナフタレンジオール、ビフェノール、ビスフェノールA、ヒスフェノールF、テトラメチルビフェノールや、これらの、エチレンオキサイド伸長物、水添化脂環族を例示することができる。中でも酸素原子間の炭素原子数が少ないほど、分子鎖が過剰に柔軟になりにくいと推定されることから、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ネオペンチルグリコール、及びシクロヘキサンジメタノールが好ましく、更にはエチレングリコールがより好ましい。多価カルボン酸と多価アルコールとの重縮合反応は、公知慣用の方法で行うことができる。
・3個以上の水酸基を有するポリエステルポリオールにカルボン酸無水物又はポリカルボン酸を反応させることにより得られるポリエステルポリオール(A1)、
・重合性炭素−炭素二重結合を有するポリエステルポリオール(A2)、
・グリセロール骨格を有するポリエステルポリオール(A3)、
・オルト配向多価カルボン酸成分と、多価アルコール成分を重縮合して得られるポリエステルポリオール(A4)、
・イソシアヌル環を有するポリエステルポリオール(A5)、
等を挙げることができる。
以下、各ポリエステルポリオールについて説明する。
本発明で使用するポリエステルポリオール(A1)は、3個以上の水酸基を有するポリエステルポリオール(I)にカルボン酸無水物又は多価カルボン酸を反応させることにより得られる少なくとも1個のカルボキシ基と2個以上の水酸基を有するものである。3個以上の水酸基を有するポリエステルポリオール(I)は多価カルボン酸または多価アルコールの一部を三価以上とすることで得られる。
オルトフタル酸及びその無水物は、骨格が非対称構造である。従って、得られるポリエステルの分子鎖の回転抑制が生じると推定され、これによりガスバリア性に優れると推定している。また、この非対称構造に起因して非結晶性を示し、十分な基材密着性が付与され、接着力とガスバリア性に優れると推定される。さらにドライラミネート接着剤として用いる場合には必須である溶媒溶解性も高いことで取扱い性にも優れる特徴を持つ。
3個以上の水酸基を有するポリエステルポリオール(I)を合成する際に、多価カルボン酸成分により分岐構造を導入する場合には、三価以上のカルボン酸を少なくとも一部に有する必要がある。これらの化合物としては、トリメリット酸およびその酸無水物、ピロメリット酸及びその酸無水物等があげられるが、合成時のゲル化を防ぐ為には三価以上の多価カルボン酸としては三価カルボン酸が好ましい。
これ以外の成分として本発明のポリエステルポリオール(I)は、本発明の効果を損なわない範囲において、他の多価カルボン酸成分を共重合させてもよい。具体的には、脂肪族多価カルボン酸としては、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸等を、不飽和結合含有多価カルボン酸としては、無水マレイン酸、マレイン酸、フマル酸等を、脂環族多価カルボン酸としては1,3−シクロペンタンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸等を、芳香族多価カルボン酸としては、テレフタル酸、イソフタル酸、ピロメリット酸、トリメリット酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、2,5−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、ナフタル酸、ビフェニルジカルボン酸、1,2−ビス(フェノキシ)エタン−p,p’−ジカルボン酸及びこれらジカルボン酸の無水物或いはエステル形成性誘導体;p−ヒドロキシ安息香酸、p−(2−ヒドロキシエトキシ)安息香酸及びこれらのジヒドロキシカルボン酸のエステル形成性誘導体等の多塩基酸を単独で或いは二種以上の混合物で使用することができる。中でも、コハク酸、1,3−シクロペンタンジカルボン酸、イソフタル酸が好ましい。
本発明で使用する多価アルコールは、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ネオペンチルグリコール、及びシクロヘキサンジメタノールからなる群から選ばれる少なくとも1種を含むことが好ましい。中でも、酸素原子間の炭素原子数が少ないほど、分子鎖が過剰に柔軟になりにくいと推定されることから、エチレングリコールを使用することが最も好ましい。
3個以上の水酸基を有するポリエステルポリオール(I)を合成する際に、多価アルコール成分により分岐構造を導入する場合には、三価以上の多価アルコールを少なくとも一部に有する必要がある。これらの化合物としてはグリセリン、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、1,2,4−ブタントリオール、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスルトール等があげられるが、合成時のゲル化を防ぐ為には三価以上の多価アルコールとしては三価アルコールが好ましい。
これ以外の成分として本発明では前述の多価アルコール成分は、本発明の効果を損なわない範囲において、他の多価カルボン酸成分を共重合させてもよい。具体的には、脂肪族ジオールとしては1,5−ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、メチルペンタンジオール、ジメチルブタンジオール、ブチルエチルプロパンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、芳香族多価フェノールとして、ヒドロキノン、レゾルシノール、カテコール、ナフタレンジオール、ビフェノール、ビスフェノールA、ヒスフェノールF、テトラメチルビフェノールや、これらの、エチレンオキサイド伸長物、水添化脂環族を例示することができる。
また、本発明のポリエステルポリオール(A2)として、更に、分子内に重合性炭素−炭素二重結合を有するものを挙げることができる。
本発明で使用するポリエステルポリオール(A2)は、多価カルボン酸と多価アルコールを反応することにより得られ、多価カルボン酸、多価アルコールの成分として重合性炭素−炭素二重結合をもつ成分を使用することにより、ポリエステルポリオール(A2)の分子内に重合成炭素−炭素二重結合を導入することができる。
本発明のポリエステルポリオール(A2)は、多価カルボン酸成分として具体的には、脂肪族多価カルボン酸としては、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸等を、脂環族多価カルボン酸としては1,3−シクロペンタンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸等を、芳香族多価カルボン酸としては、オルトフタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、ピロメリット酸、トリメリット酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、2,5−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、ナフタル酸、ビフェニルジカルボン酸、1,2−ビス(フェノキシ)エタン−p,p’−ジカルボン酸及びこれらジカルボン酸の無水物或いはエステル形成性誘導体;p−ヒドロキシ安息香酸、p−(2−ヒドロキシエトキシ)安息香酸及びこれらのジヒドロキシカルボン酸のエステル形成性誘導体等の多塩基酸を単独で或いは二種以上の混合物で使用することができる。また、これらの酸無水物も使用することができる。中でも、ガスバリア性を得る為にはコハク酸、1,3−シクロペンタンジカルボン酸、オルトフタル酸、オルトフタル酸の酸無水物、イソフタル酸が好ましく、更にはオルトフタル酸及びその酸無水物がより好ましい。
多価カルボン酸において重合性炭素−炭素二重結合をもつ多価カルボン酸として無水マレイン酸、マレイン酸、フマル酸、4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸及びその酸無水物、3−メチル−4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸及びその無水物等があげられる。中でも、炭素原子数が少ないほど、分子鎖が過剰に柔軟になりにくいと推定されることから、無水マレイン酸、マレイン酸、フマル酸が好ましい。
本発明で使用する多価アルコールは、具体的には、脂肪族ジオールとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ネオペンチルグリコール、シクロヘキサンジメタノール、1,5−ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、メチルペンタンジオール、ジメチルブタンジオール、ブチルエチルプロパンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、芳香族多価フェノールとして、ヒドロキノン、レゾルシノール、カテコール、ナフタレンジオール、ビフェノール、ビスフェノールA、ヒスフェノールF、テトラメチルビフェノールや、これらの、エチレンオキサイド伸長物、水添化脂環族を例示することができる。中でも酸素原子間の炭素原子数が少ないほど、分子鎖が過剰に柔軟になりにくいと推定されることから、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ネオペンチルグリコール、及びシクロヘキサンジメタノールが好ましく、更にはエチレングクリコールがより好ましい。
多価アルコールにおいて重合性炭素−炭素二重結合をもつ多価アルコールとして2−ブテン−1,4−ジオール等があげられる。
また、本発明のポリエステルポリオール(A2)として、炭素−炭素二重結合を有する公知慣用の乾性油、又は半乾性油を挙げることができる。
本発明のポリエステルポリオール(A3)として、更に、一般式(1)で表されるグリセロール骨格を有するポリエステルポリオールを挙げることができる。
ガスバリア性接着剤用樹脂組成物の質量部から希釈溶剤質量、硬化剤に含まれる揮発成分質量、無機成分を除く質量をガスバリア性接着剤用有機樹脂全固形分の質量とする。
本発明で使用するポリエステルポリオール(A3)は、多価アルコールとして、炭素原子数2〜6のアルキレンジオール以外の多価アルコール成分を、本発明の効果を損なわない範囲において共重合させてもよい。具体的には、グリセロール、エリスリトール、ペンタエリトール、ジペンタエリスリトール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、テトラエチレングリコール、トリプロピレングリコール等の脂肪族多価アルコール、シクロヘキサンジメタノール、トリシクロデカンジメタノール等の脂環族多価アルコール、ヒドロキノン、レゾルシノール、カテコール、ナフタレンジオール、ビフェノール、ビスフェノールA、ヒスフェノールF、テトラメチルビフェノール等の芳香族多価フェノール、或いはこれらのエチレンオキサイド伸長物、水添化脂環族を例示することができる。
本発明のポリエステルポリオール(A3)は、多価カルボン酸成分としてカルボン酸がオルト位に置換された芳香族多価カルボン酸又はその無水物を必須とするが、本発明の効果を損なわない範囲において、他の多価カルボン酸成分を共重合させてもよい。具体的には、脂肪族多価カルボン酸としては、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸等を、不飽和結合含有多価カルボン酸としては、無水マレイン酸、マレイン酸、フマル酸等を、脂環族多価カルボン酸としては1,3−シクロペンタンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸等を、芳香族多価カルボン酸としては、テレフタル酸、イソフタル酸、ピロメリット酸、トリメリット酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、2,5−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、ナフタル酸、ビフェニルジカルボン酸、ジフェン酸及びその無水物、1,2−ビス(フェノキシ)エタン−p,p’−ジカルボン酸及びこれらジカルボン酸の無水物或いはエステル形成性誘導体;p−ヒドロキシ安息香酸、p−(2−ヒドロキシエトキシ)安息香酸及びこれらのジヒドロキシカルボン酸のエステル形成性誘導体等の多塩基酸を単独で或いは二種以上の混合物で使用することができる。
本発明で使用するポリエステルポリオール(A4)は、オルトフタル酸及びその無水物を少なくとも1種以上含む多価カルボン酸成分と、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ネオペンチルグリコール、及びシクロヘキサンジメタノールからなる群から選ばれる少なくとも1種を含む多価アルコール成分からなる。特に、前記オルトフタル酸及びその無水物の、多価カルボン酸全成分に対する含有率が70〜100質量%であるポリエステルポリオールが好ましい。
本発明のポリエステルポリオール(A4)は、多価カルボン酸成分として前記オルトフタル酸及びその無水物を必須とするが、本発明の効果を損なわない範囲において、他の多価カルボン酸成分を共重合させてもよい。具体的には、脂肪族多価カルボン酸としては、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸等を、不飽和結合含有多価カルボン酸としては、無水マレイン酸、マレイン酸、フマル酸等を、脂環族多価カルボン酸としては1,3−シクロペンタンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸等を、芳香族多価カルボン酸としては、テレフタル酸、イソフタル酸、ピロメリット酸、トリメリット酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、2,5−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、ナフタル酸、ビフェニルジカルボン酸、1,2−ビス(フェノキシ)エタン−p,p’−ジカルボン酸及びこれらジカルボン酸の無水物或いはエステル形成性誘導体;p−ヒドロキシ安息香酸、p−(2−ヒドロキシエトキシ)安息香酸及びこれらのジヒドロキシカルボン酸のエステル形成性誘導体等の多塩基酸を単独で或いは二種以上の混合物で使用することができる。中でも、コハク酸、1,3−シクロペンタンジカルボン酸、イソフタル酸が好ましい。
本発明のポリエステルポリオール(A)は、下記一般式(3)で表されるイソシアヌル環を有するポリエステルポリオール(A5)を含むと更に好ましい。
で表される基を表す。但しR1、R2及びR3の少なくとも1つは前記一般式(4)で表される基である)
Xは1,2−フェニレン基、1,2−ナフチレン基、2,3−ナフチレン基、2,3−アントラキノンジイル基、及び2,3−アントラセンジイル基から成る群から選ばれ、置換基を有していてもよいアリーレン基を表す。
ガスバリア性接着剤用樹脂組成物の質量部から希釈溶剤質量、硬化剤に含まれる揮発成分質量、無機成分を除く質量をガスバリア性接着剤用有機樹脂全固形分の質量とする。
本発明で使用する硬化剤は、前記ポリエステルポリオール(A)の水酸基と反応しうる硬化剤であれば特に限定はなく、ポリイソシアネートやエポキシ化合物等の公知の硬化剤を使用できる。中でも、接着性や耐レトルト性の観点から、ポリイソシアネートを使用することが好ましい。
本発明の接着剤は、ガスバリア性を損なわない範囲で、各種の添加剤を配合してもよい。添加剤としては、例えば、シリカ、アルミナ、アルミニウムフレーク、ガラスフレークなどの無機充填剤、安定剤(酸化防止剤、熱安定剤、紫外線吸収剤等)、可塑剤、帯電防止剤、滑剤、ブロッキング防止剤、着色剤、フィラー、結晶核剤、シランカップリング剤等が例示できる。中でも各種シランカップリング剤は透明蒸着面への接着性を高めることができるため、特に好ましく用いられる。
本発明の接着剤用樹脂組成物では、板状無機化合物を含有させても良い。
本発明に板状無機化合物が用いられる場合には、接着剤用樹脂組成物を硬化させてなる接着剤のラミネート強度とガスバリア性を向上させる効果を有する。
無機化合物の含有率(配合粒のPWC)は下記式(e)により求めることができる。
本発明で用いられる透明蒸着フィルムとしては、アルミナ蒸着フィルム、シリカ蒸着フィルム、シリカアルミナの2成分の蒸着フィルムが例示できる。蒸着の基材フィルムとして限定は無く、PETフィルム、ポリアミドフィルム、ポリエチレンフィルム(LLDPE:低密度ポリエチレンフィルム、HDPE:高密度ポリエチレンフィルム)やポリプロピレンフィルム(CPP:無延伸ポリプロピレンフィルム、OPP:二軸延伸ポリプロピレンフィルム)等のポリオレフィンフィルム等が使用できる。蒸着の方法としては公知の技術が使用でき、例えば、アルミナ蒸着フィルムの場合は、高真空下でアルミニウムを溶融、蒸発させ、酸素共存下でアルミニウムを酸化させつつフィルムに付着させてアルミの薄膜を形成させる方法が一般的である。また、透明蒸着フィルム上には保護コート層があっても、なくてもよい。
本発明の接着剤用樹脂組成物は各種ガスに対するガスバリア機能を持つ。遮断できるガスの対象としては、水蒸気、酸素の他、不活性ガス、アルコール、香り成分が挙げられる。
本発明の接着剤及び多層フィルムが遮断することを対象としている不活性ガスとは、食品等に対して不活性であり一般的な化学変化を起こしにくいことより、食品周囲への酸素や水蒸気の接触を防ぐ等の機能により、食品の風味の維持、内容物の保持、酸化防止の役に立つガスのことである。具体的には、窒素、炭酸ガスの他、ヘリウム、ネオン、アルゴン、クリプトン、キセノン、ラドンの希ガスが例示できる。中でも、窒素、アルゴン、炭酸ガスが不活性ガスとしては広く用いられる。
本発明の多層フィルムが遮断することを対象としているアルコールとは、少なくとも一箇所にアルキル鎖に対して水酸基が結合している構造を持つ、一般的にアルコール類に分類される材料類であれば特に制限がない。また、一価のアルコールでも多価のアルコールでも差し支えない。一価アルコールとしては、メタノール、エタノール、1-プロパノール、2-プロパノール、ブタノール、ペンタノール、ネオペンチルグリコール、ヘキサノール、ベンジルアルコール、アリルアルコール、シクロヘキサノール等を例示できる。また、多価アルコールとしては、エチレングリコール、プロパンジオール、ブタンジオール、グリセリン、トリメチルプロパン等が例示できる。更には、N,N−ジエチルエタノールアミン、N,N−ジメチルエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、N−エチルエタノールアミン等のアミノアルコール類の他、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール等のエーテル基含有のアルコール化合物等も用いることができる。
本発明の接着剤は、溶剤型又は無溶剤型のいずれの形態であってもよい。溶剤型の場合、溶剤はポリエステルポリオール及び硬化剤の製造時に反応媒体として使用してもよい。更に塗装時に希釈剤として使用される。使用できる溶剤としては、例えば酢酸エチル、酢酸ブチル、セロソルブアセテート等のエステル類、アセトン、メチルエチルケトン、イソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、メチレンクロリド、エチレンクロリド等のハロゲン化炭化水素類、ジメチルスルホキシド、ジメチルスルホアミド等が挙げられる。これらのうち通常は酢酸エチルやメチルエチルケトンを使用するのが好ましい。また、無溶剤で使用する場合は必ずしも有機溶剤に可溶である必要は無いと考えられるが、合成時の反応釜の洗浄やラミネート時の塗工機等の洗浄を考慮すると、有機溶剤に対する溶解性が必要である。
本ポリエステルは、ポリエステル(A1)、(A2)、(A3)、(A4)の構造を併せ持つ接着剤の主剤である。攪拌機、窒素ガス導入管、精留管、水分分離器等を備えたポリエステル反応容器に、無水フタル酸1316.8部、エチレングリコール573.9部、グリセリン409.3部及びチタニウムテトライソプロポキシドを多価カルボン酸と多価アルコールとの合計量に対して100ppmに相当する量を仕込み、精留管上部温度が100℃を超えないように徐々に加熱して内温を220℃に保持した。酸価が1mgKOH/g以下になったところでエステル化反応を終了し、水酸基価339.9mgKOH/gのポリエステルポリオールを得た。次いで温度を120℃まで下げ、これに無水マレイン酸421.8部を仕込み120℃を保持した。酸価が無水マレイン酸の仕込み量から計算した酸価の概ね半分になったところでエステル化反応を終了し、数平均分子量約520、水酸基価216.6mgKOH/g、酸価96.2mgKOH/gのポリエステルポリオールを得た。ポリエステルポリオール(A)1分子当たりの設計上の官能基の数 水酸基:2個、カルボキシ基:1個である。
本ポリエステルは、ポリエステル(A5)の構造を持つ接着剤の主剤である。
本ポリエステルは、ポリエステル(A4)の構造を持つ接着剤の主剤である。
製造例1で得たポリエステルポリオール(A)であるGly(OPAEG)2MA、酢酸エチル、マイカ粉末“HM6025”(Heng Hao社製、白雲母/非膨潤性、層間イオン性、板状、平均粒径/10μm、アスペクト比/約100)とを55/30/25の比率で混合し、分散撹拌機で分散を行って溶剤型接着剤用主剤Aを得た。
(溶剤型接着剤用主剤B)
製造例3で得たポリエステルポリオール(A)であるOPAEG、酢酸エチル、マイカ粉末“HM6025”(Heng Hao社製、白雲母/非膨潤性、層間イオン性、板状、平均粒径/10μm、アスペクト比/約100)とを55/30/25の比率で混合し、分散撹拌機で分散を行って溶剤型接着剤用主剤Bを得た。
(溶剤型接着剤用主剤C)
製造例2で得たポリエステルポリオール(A)であるTHEI(OPAEG)3を酢酸エチルで希釈し、不揮発分70%の溶剤型接着剤用主剤Cを得た。
(溶剤型接着剤用主剤D)
製造例3で得たポリエステルポリオール(A)であるOPAEGを酢酸エチルで希釈し、不揮発分70%の溶剤型接着剤用主剤Dを得た。
三井化学製「タケネートD−110N」(メタキシリレンジイソシアネートのトリメチロールプロパンアダクト体)と三井化学製「タケネート500」(メタキシリレンジイソシアネート不揮発分)を85/15(質量比)の割合で混合し硬化剤aとした。硬化剤aの不揮発分は78.7%、NCO%16.4%である。
溶剤型接着剤用主剤A、溶剤型接着剤用硬化剤aおよび酢酸エチルとを100/109/80の比率で混合し、バリア接着剤Aを得た。
(バリア接着剤B)
溶剤型接着剤用主剤B、溶剤型接着剤用硬化剤aおよび酢酸エチルとを100/140/80の比率で混合し、バリア接着剤Bを得た。
(バリア接着剤C)
溶剤型接着剤用主剤C、溶剤型接着剤用硬化剤aおよび酢酸エチルとを100/160/80の比率で混合し、バリア接着剤Cを得た。
(バリア接着剤D)
溶剤型接着剤用主剤D、溶剤型接着剤用硬化剤aおよび酢酸エチルとを100/100/80の比率で混合し、バリア接着剤Dを得た。
溶剤型ラミネート用接着剤主剤であるディックドライLX−703VL(DICグラフィックス社製:ポリエステルポリオール、不揮発分/約62%、樹脂(A)とは異なる構造を有する)と、タケネートD−110Nおよび酢酸エチルとを80/10/100の比率で混合して、非バリア接着剤を得た。
前記溶剤型接着剤を、バーコーターを用いて、塗布量5.0g/m2(固形分)となるように表1、表2の左側のフィルムのコロナ処理面に塗布し、温度70℃に設定したドライヤーで希釈溶剤を揮発させ乾燥した。次に接着剤が塗布されたフィルムの接着剤面と、表1の接着剤を介した次のフィルムとラミネートし、複合フィルムを作製した。3層構成以上の構成の場合は先に得られた複合フィルムの裏面に前記溶剤型接着剤を同条件で塗布、乾燥し、表1、表2記載の次のフィルムとラミネートをして複合フィルムを作製した。次いで、この複合フィルムを40℃/3日間のエージングを行い、接着剤の硬化を行って、本発明のバリア用積層フィルムを得た。いずれの実施例で得られた多層フィルムの透明度は、実質的に各比較例での多層フィルムでの透明度と差は無かった。
前記溶剤型接着剤をアプリケーター(150μm)を用いて、膜厚:150μm±50μmになるようにCPPフィルムのコロナ未処理面に塗工し、40℃オーブン中で一晩真空乾燥した上で接着剤硬化物を引き剥がし、粘弾性測定用サンプルとした。
(酸素透過率)
エージングが終了したバリア用積層フィルムを、モコン社製酸素透過率測定装置OX−TRAN1/50を用いてJIS−K7126(等圧法)に準じ、23℃90%RHの雰囲気下で測定した。なおRHとは、湿度を表す。尚、本装置での測定限界は0.1cc/m2・day・atmであるためそれ以下の測定値の場合では0.1>とした。測定結果を表1に示す。
エージングの終了した引張弾性率測定用積層フィルムに対して引張り試験機(オリエンテック製テンシロン万能試験機、雰囲気温度25℃、引張り速度20mm/分)で測定した。結果を表2に示す。
真空乾燥の終了した接着剤硬化物を粘弾性測定装置(TAインスツルメント製 動的粘弾性測定装置 RTAIII)にて、温度条件:−50℃から200℃(昇温速度:5℃/分)、周波数:1Hzで弾性率の測定を行った。結果を表3に示す。
表中記載の略称は、それぞれ以下を表す。
・PET:東洋紡エステルフィルム E5100:12μm;基材フィルム
・CPP:東レフィルム加工 ZK93−KM:70μm;シーラントフィルム
表中記載の略称は、それぞれ以下を表す。
・PET:東洋紡エステルフィルム E5100:12μm;基材フィルム
・CPP:東洋紡 パイレンP1128:30μm;シーラントフィルム
上記の結果、ガスバリア性接着剤を用いた各実施例での場合には汎用接着剤を用いた比較例に比べ、優れた弾性率を発現した。
Claims (25)
- 2個以上の水酸基を有するポリエステルポリオール(A)と2個以上のイソシアネート基を有するポリイソシアネート(B)とを含有してなるガスバリア性接着剤を用いてなる層、及びシーラントフィルムを有する多層フィルムであって、
ポリエステルポリオール(A)が、3個以上の水酸基を有するポリエステルポリオールにカルボン酸無水物又はポリカルボン酸を反応させることにより得られる少なくとも1個のカルボキシ基と2個以上の水酸基を有するポリエステルポリオール(A1)の水酸基価が20〜250、酸価が20〜200であり、
前記接着剤を用いて形成される硬化塗膜の膜厚が3±0.5μmにおいて相対湿度90%、温度23℃における酸素透過率が50cc/m2・day・atm以下であることを特徴とする多層フィルム。 - ポリエステルポリオール(A)が、芳香族環を有するものである請求項1に記載の多層フィルム。
- ポリエステルポリオール(A)が、分子内に重合性炭素−炭素二重結合を有するポリエステルポリオール(A2)である請求項1又は2に記載の多層フィルム。
- ポリエステルポリオール(A2)を構成する重合性炭素−炭素二重結合を有するモノマー成分が、マレイン酸、無水マレイン酸、又はフマル酸である請求項3に記載の多層フィルム。
- ポリエステルポリオール(A2)を構成する全モノマー成分100質量部に対して、重合性炭素−炭素二重結合を有するモノマー成分が、5〜60質量部である請求項3又は4に記載の多層フィルム。
- 前記一般式(1)で表されるポリエステルポリオール(A3)のグリセロール残基を、ポリエステル樹脂組成物中に5質量%以上含有する請求項6に記載の多層フィルム。
- ポリエステルポリオール(A)が、オルト配向芳香族ジカルボン酸又はその無水物の少なくとも1種を含む多価カルボン酸成分と、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ネオペンチルグリコール、及びシクロヘキサンジメタノールからなる群から選ばれる少なくとも1種を含む多価アルコール成分を重縮合して得られるポリエステルポリオール(A4)である請求項1又は2に記載の多層フィルム。
- オルト配向芳香族ジカルボン酸又はその無水物が、オルトフタル酸またはその無水物、ナフタレン2,3−ジカルボン酸またはその無水物、ナフタレン1,2−ジカルボン酸またはその無水物、アントラキノン2,3−ジカルボン酸またはその無水物、及び2,3−アントラセンジカルボン酸またはその無水物から成る群から選ばれる少なくとも1つの多価カルボン酸またはその無水物である請求項8に記載の多層フィルム。
- オルト配向芳香族ジカルボン酸又はその無水物の、多価カルボン酸全成分に対する使用率が70〜100質量%である請求項8又は9に記載の多層フィルム。
- ポリエステルポリオール(A)が、一般式(3)で表されるイソシアヌル環を有するポリエステルポリオール(A5)である請求項1又は2に記載の多層フィルム。
- ポリイソシアネート(B)が芳香族環を有するポリイソシアネートを含有するものである請求項1〜11の何れかに記載の多層フィルム。
- 芳香族環を有するポリイソシアネートが、メタキシレンジイソシアネート、トルエンジイソシアネート、又はメタキシレンジイソシアネートと2個以上の水酸基を有するアルコール、又はトルエンジイソシアネートと2個以上の水酸基を有するアルコールとの反応生成物である請求項12に記載の多層フィルム。
- ガスバリア性接着剤層が、更に層間が非イオン性であるか、或いは水に対して非膨潤性である板状無機化合物(C)を含有する請求項1〜13の何れかに記載の多層フィルム。
- ポリエステルポリオール(A)、ポリイソシアネート(B)、及び板状無機化合物(C)の総質量を100質量部とした場合、板状無機化合物(C)の含有量が5〜50質量部である請求項14に記載の多層フィルム。
- 板状無機化合物(C)が、粒径が0.1μm以上の粒子を含有するものである請求項17又は18に記載の多層フィルム。
- ポリエステルポリオール(A)を、ケトン系溶剤、エステル系溶剤、又はケトン系溶剤若しくはエステル系溶剤を含有する混合溶剤に溶解させて得られるガスバリア性接着剤層を有する請求項1〜16の何れかに記載の多層フィルム。
- ガスバリア性接着剤が無溶剤型である請求項1〜16の何れかに記載のガスバリア性多層フィルム。
- さらに、透明蒸着層、又はアルミ蒸着層を有する請求項1〜18の何れかに記載の多層フィルム。
- 酸素ガスバリア用多層フィルムとして用いる請求項1〜19の何れかに記載の多層フィルム。
- 水蒸気バリア用多層フィルムとして用いる請求項1〜19の何れかに記載の多層フィルム。
- 不活性ガスバリア用多層フィルムとして用いる請求項1〜19の何れかに記載の多層フィルム。
- アルコールバリア用多層フィルムとして用いる請求項1〜19の何れかに記載の多層フィルム。
- 保香用多層フィルムとして用いる請求項1〜19の何れかに記載の多層フィルム。
- 請求項1〜24の何れかに記載の多層フィルムを用いたスタンディングパウチ。
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