JP5978304B2 - パイプ及び配管によって生じる騒音を減衰させるための方法 - Google Patents

パイプ及び配管によって生じる騒音を減衰させるための方法 Download PDF

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Description

本発明は、流体、ガス、粒子、又はこれらの任意の組み合わせの流れを輸送するパイプによって生じる騒音を減衰するための方法に関する。また、本発明は、本方法を実施するための配管及びシステムに関する。
水が乏しい地域のエネルギー・プラントには、乾式又は空冷式熱交換器が装備されている。エネルギー・プラントの発電機を出た後に、蒸気は、この蒸気を例えばファンによって生成された空気によって冷却するような熱交換器ユニットに向けてパイプを通じて流される。凝縮水は、戻り管を通じて発電機に戻されるように導かれる。このような機構は、特に水が貯蔵される乾燥地帯の環境で用いられる。最新技術によれば、2つの別個の支持構造体が使用され、こうして1つのパイプが蒸気を運び、戻り管が凝縮水を発電機に戻すように輸送する。
蒸気の高い圧力と高い流速とによって、蒸気は、パイプを通じて流れる間に騒音を生じる。こうして、蒸気を運ぶパイプが、環境に影響を及ぼすような騒音を発する。特に内部の境目において、蒸気を運ぶパイプによって生じる騒音公害を防止するためにコストのかかる遮音対策を取り入れなければならない。蒸気パイプの遮音材を増やす実績のある方法は、パイプへの質量を追加したり、特殊な遮音要素等の遮音カバーを蒸気管に装備することである。しかしながら、このような遮音材は、このようなパイプシステムの全体のコストを相当増加させるような追加の材料費を生じさせる。
本発明の目的は、当該技術分野で公知の方法及びシステムと比較して安価な材料コストであり且つ適用が容易な、パイプを通じて流れる蒸気によって生じる騒音を減衰させるための改良された方法及び配管を提供することである。
本発明の第1の態様において、本方法は以下のステップを含むように提示される:
その内部に内側流路を規定する内側パイプであって、内側流路が内側パイプの配管の方向に延びる内側パイプと、内側パイプを取り囲むとともにその内側パイプに対して実質的に平行に延びる外側パイプと、を有する配管を設けるステップであって、それによって、2つのパイプ同士の間に内側流路に対して実質的に平行な外側流路が規定される、設けるステップと、
内側流路内であってこの内側流路に沿って蒸気流を形成するステップと、
外側流路内であってこの外側流路に沿って水の流れを形成するステップと、を含み、
水の流れによって、内側流路を通じて流れる蒸気流によって生じた騒音が減衰するように適合され、
ガスを前記水の流れに流し込み、前記水の流れ内に気泡の流れを生成させるステップをさらに含む
本発明のさらなる態様において、配管が、本方法を実施するために提示される。
本発明のさらに別の態様において、対応するシステムが、本方法を実施するために提示される。
本発明の好ましい実施形態が、従属請求項に規定される。特許請求の範囲に記載される配管及びシステムが、特許請求の範囲に記載される方法及び従属請求項に規定されるような好ましい実施形態と同様の及び/又は同一性を有していると理解するべきである。
蒸気が流れるパイプの追加の遮音性は、二重壁を使用することによって抑えられ、且つ蒸気流を運ぶ内側パイプを取り囲むような、外側パイプの外側流路内であってこの外側流路に沿った水の流れを形成することができることを発明者は認識している。外側流路内の水の流れによって、内側パイプの内側流路を通じて流れる蒸気流によって生じた騒音が減衰するように適合される。外側流路内の既に利用可能な水が、こうして、内側パイプに対して追加の質量体のように機能して、内側流路内の蒸気によって生じた音響の放出を減衰させるような遮音性を向上させる。上述したエネルギー・プラントの実装において、外側の水層は、基本的には、タービン用の貯水槽になる。このため、発電機は、もはや独立した貯水槽を必要としない。これは発電設備内のスペースを節約できる。外側流路の容量に比較して戻り水の量を勘案して、1回限りの充填が必要とされる。
このような二重壁の配管の使用は、2つの別個のパイプを用いる公知の方法に比較して、より良いコスト効率的だけではなく、一体化パイプ構造によってより少ないスペースを占めることになる。余分な材料費を生じさせ且つスペースを取るような追加の遮音要素は、こうして、もはや必要とされなくなる。
外側パイプは、使用される配管の外側流路を通じて流れる水塊が、遮音材を追加するタスクを実行するのに十分な大きさである限り、任意の容量を有することができることに留意する必要がある。配管が上述したように設計される限り、両方のパイプ、つまり内側パイプと外側パイプとが、任意の所望の形状を有することができる。当然のことながら、理想的な蒸気又は水の流れに関して、2つのパイプからなる円形プロファイルが好ましい。しかしながら、他のプロファイルも、本発明の範囲を逸脱することなく考えられる。
水の流れは、内側流路内の蒸気により生じた騒音を直接的に吸収することによって、配管の外側への騒音の伝播が防止される。こうして、単一のスペースのみを有する二重壁パイプの節約型配管が、2つの別個のパイプの代わりに必要になり、且つそれら二重壁パイプ内の構造支持体が必要になる。
方法は、水の流れにガスを流し込んで、この水の流れ内に気泡の流れを生成するステップをさらに含む。音響吸収効果は、水の流れにガスを吹き込むことによって増大することが示されている。特に、空気だけでなく他の気体も、従って使用することができる。この有利な効果は、変化する非圧縮性に依存している。騒音は、こうして、水層内に導入された気泡によって効果的に減衰される。ガスは、水の流れが、提示された配管に入る前に吹き込む又は外側流路内で既に形成された水の流れ内にガスを吹き込むことのいずれかによって、水の流れに流し込まれる。水平方向の配管の場合は、このガスの吹き込みは、外側流路の大きさに比較して小さい直径を有しており、外側流路内に配置されており且つこの外側流路に対して実質的に平行に延びるパイプ又は導管によって例示的に行うことができる。好ましくは、この導管は、外側パイプの底部に配置される。パイプシステムの全体を通じて均一な気泡の放出を維持するために、好ましくはその導管内に配置された多孔質ノズル又は小孔が使用される。垂直方向の配管の場合は、対照的に、円形リングが、好ましくは、気泡を放出するために使用される。このような円形リングは、外側流路の大きさに比較して小さい直径を有しており、且つ外側流路内に配置され、好ましくは、内側チューブ及び外側チューブに対して同心円状に配置される。
追加の騒音吸収効果は、この実施形態では、水とガスとの間の気泡の境界における騒音の散乱によっても生じる。気泡内のガスは、追加の音響減衰を生じさせる。その結果、配管に留まる騒音がほとんどなくなる。
別の実施形態によれば、ガスが水の流れ内に常時流し込まれて、水の流れ内に均一に分配する気泡の流れを生成することがさらに好ましい。外側流路を通じて流れる水又はガスによって減衰されることなく騒音が配管に留まるような可能性を減少させるので、気泡の均一な分布は、さらに吸音効果を増大させる。
さらに好ましい実施形態によれば、本方法は、外側流路から少なくとも一部のガスを抽出して、圧力上昇を防止する又は水層の排出を行うステップをさらに含む。これは、例えば外側流路を外側パイプの周囲部に接続するような外側パイプ内の排水導管によって行うことができる。この導管は、例えば上昇する気泡を抽出するために、外側パイプの頂部に設置することができる。このようなガスの抽出は、外側流路内の圧力上昇を防止するとともに、送り込まれたガスによって水層を排出することによって内側パイプがガスにさらされることを防止する。
本発明の別の実施形態によれば、内側パイプは、外側パイプに対して同軸に配置されることがさらに好ましい。このようなパイプの同軸配列は、内側パイプの周りに均等に分配された水の流れをもたらす。これによって、全ての空間方向に均一な効果的な遮音が可能になる。円形プロファイルを有する円筒形状のパイプの場合に、2つのパイプの同心配列は、特に水の最も効率的な利用及び内側パイプの周りの水層を全て等量にする観点から有利である。
さらに好ましい実施形態によれば、本方法は、防振マウントを用いて2つのパイプ同士の間に振動が絶縁された防振接続を形成するステップを含む。このような防振接続部は、内側パイプと外側パイプとの間の音響的に隣接する経路を阻止する。こうして、水の流れによる吸音の有効性は、阻害されない。防振マウントは、例えばこのマウントが接続されるような内側パイプを取り囲む追加の絶縁(防振・吸音)要素によって実現することができ、こうして、外側パイプと内側パイプとの間の直接的な接続が阻止される。防振は、内側パイプシステムの通常の静的な支持を行いつつ、関連する音響周波数をカバーすることのみを行うことに注意されたい。
好ましいさらに別の実施形態によれば、水の流れの容量は、蒸気流の容量に対して相対的に大きい。水の流れの容量を増やすと、同時に音響減衰効果を高めることができる。水の流れは、水の流れに起因する追加の流れ騒音を取り込まないようにするために、好ましくは非常に低くされている。
本発明のさらなる態様によれば、配管は、提示された方法を実施するために提示されている:
その内部に内側流路を規定する内側パイプであって、その内側流路が内側パイプの配管の方向に延びる、内側パイプと、
この内側パイプを取り囲むとともに内側パイプに対して実質的に平行に延びる外側パイプあって、それによって2つのパイプ同士の間に内側流路に対して実質的に平行な外側流路が規定される、外側パイプと、を有しており、
内側パイプは、蒸気を内外に流し込むための蒸気入口及び蒸気出口を有しており、内側流路内であって内側流路に沿って蒸気入口から蒸気出口への蒸気流を形成しており、外側パイプは、水を内外に流し込むための水入口及び水出口を有しており、外側流路内であって外側流路に沿って水入口から水出口への水の流れを形成しており、水の流れによって、内側流路を通じて流れる蒸気流によって生じた騒音が減衰するように適合される。
技術的な原理は、提示された方法に一致する上述した原理と同様である。蒸気を運ぶ内側パイプと、内側パイプを取り囲む返送方向の水の流れを運ぶ外側パイプと含む二重壁の配管を設けることにより、外側流路内の水によって、蒸気流の音響の放出が減衰され、それによって、内側パイプを音響的に遮音するような追加の質量体として機能する。
パイプ自体は、任意の形状、具体的には円筒形状又はプリズムの形状とすることができる。蒸気導入口及び蒸気出口、水入口及び水出口も任意の形状とすることができ、これら蒸気及び水の入口及び出口は、内側流路内に蒸気流及び外側流路内に水の流れを形成するために、蒸気又は水を内外に流し込むように適合される限り、それぞれ内側パイプ又は外側パイプの任意の位置に配置することができる。好ましくは、蒸気導入口及び水入口が、配管の反対側の端部に配置されており、内側流路内に蒸気流を生じさせ、蒸気流は、外側流路内の戻り水の流れに対して反対の方向に向けられている。蒸気出口及び水出口は、従って、配管の反対側の端部に配置されている。
好ましい実施形態によれば、外側パイプは、ガス、具体的には空気を水の流れに流し込むためのガス入口をさらに含んでおり、水の流れ内にガス/空気の気泡の流れを生成する。音響吸収効果が、ガスを水の流れに吹き込むことによって増大させることができることが示されている。この有利な効果は、変化する非圧縮性に依存している。騒音は、こうして、水層内に導入された気泡によって効果的に減衰される。このガスは、水の流れが提示された配管に入る前に流し込む又は外側流路内に既に形成された水の流れにガスを吹き込むことのいずれかによって、水層内に流し込むことができる。水平方向の配管の場合に、このガスの流し込みは、外側流路の大きさと比較すると小さい直径を有しており、外側流路内に配置され且つ実質的に平行に延びるパイプ又は導管によって例示的に行うことができる。好ましくは、この導管は、外側パイプの底部に配置される。パイプシステム全体に亘って均一な気泡の放出を維持するために、好ましくは、導管内に配置された多孔質ノズル又は小孔が使用される。垂直方向のパイプの場合に、対照的に、円形リングが、好ましくは、気泡を放出するために使用される。円形リングは、外側流路の大きさに比較して小さい直径を有しており、外側流路内に配置され、好ましくは、内側チューブ及び外側チューブに対して同心円状に配置されている。
追加の騒音吸収効果が、この実施形態において、水とガスとの間の気泡の境界において騒音を散乱させることによっても生じる。気泡内のガスは、追加の音響減衰を提供する。その結果、配管内に留まる騒音はほとんどなくなる。
別の実施形態によれば、外側パイプは、外側流路から少なくとも一部のガスを抽出する導管を有しており、圧力上昇を防止するとともに水層の遮音特性の低下を防止する。この導管は、例えば上昇する気泡を抽出するために外側パイプの頂部に設置することができる。このようなガスの抽出によって、外側流路内の圧力上昇が防止され、こうして、内側パイプの周囲の水層を追い出すようにする。
さらなる実施形態によれば、内側パイプは、外側パイプに対して同軸にされる。このようなパイプの同軸配列は、内側パイプの周りに均等に分配された水の流れをもたらす。この配列によって、全ての空間方向に効果的な均一の遮音が可能になる。円形プロファイルを有する円筒形状のパイプの場合に、2つのパイプの同心配列は、特に有利となる。
さらなる実施形態によれば、提示された配管は、2つのパイプ同士の間に防振接続を形成するために、内側パイプ及び外側パイプを遮音要素を介して互いに接続する支持構造体をさらに有する。このような防振接続部によって、内側パイプと外側パイプとの間に音響的に隣接する経路が阻止される。好ましくは、遮音材は、構造的支持を維持しながら、騒音に関連する周波数範囲においてその効果を確立する。こうして、水の流れによる遮音特性や吸音の有効性は、阻害されない。防振マウントは、例えばこのマウントが接続されるような内側パイプを取り囲む追加の弾性防振要素によって実現することができ、こうしては、外側パイプと内側パイプとの間の直接的な接続が阻止される。
さらに別の実施形態によれば、外側パイプの直径は、内側パイプの直径に対して相対的に大きい。これにより、外側流路を通じて流れる水の質量は、内側流路を通じて流れる蒸気によって生じた音響の放出を減衰させるのに十分な大きさとなる。
さらに別の実施形態によれば、本発明は、上述した方法を実施するためのシステムに関し、当該システムは、
水を受け取ってこの水を蒸気に変換するように適合された第1装置、具体的にはエネルギー・プラントの発電機と、
蒸気を受け取ってこの蒸気を水に変換するように適合された第2装置、具体的には熱交換器と、
その内部に内側流路を規定する内側パイプであって、内側流路が内側パイプの配管の方向に延びる内側パイプ、及び内側パイプを取り囲むとともに内側パイプに対して実質的に平行に延びる外側パイプを有する配管と、を有しており、
それによって、2つのパイプ同士の間に内側流路に対して実質的に平行な外側流路が規定され、
内側パイプは、第1装置から蒸気を流し入れるための蒸気入口と、第2装置に蒸気を流し出すための蒸気出口とを有しており、内側流路内であってこの内側流路に沿って第1装置から第2装置に蒸気流を形成する。外側パイプは、第2装置から水を流し入れるための水入口と、第1装置に水を流し出すための水出口とを有しており、外側流路内であってこの外側流路に沿って第2装置から第1装置に水の流れを形成する。この水の流れによって、内側流路を通じて流れる蒸気流によって生じた騒音が減衰するように適合される。
このようなシステムは、例えばエネルギー又は発電プラントに適用される。このようなアプリケーションでは、第1装置は、例えば水が受け取られ熱によって蒸気に変換されるような発電機である。生じた蒸気は、二重配管の内側パイプを通じて導かれ、内側流路内であってこの内側流路に沿って第2装置に向けて流される。このようなアプリケーションは、例えば熱交換器である。熱交換器では、蒸気は、生成された蒸気を再び水に変換するために、ファン又は別の水冷却流路によって生じたガスによって冷却される。凝縮水は、その後、二重配管の外側流路を通じて発電機に再び導かれる。このようにして、蒸気流及び返送される水の流れが同じ二重壁配管を通じて導かれるように、効果的な冷却回路が形成される。当技術分野で公知の同様のシステムとは対照的に、蒸気及び水を運ぶための2つの別個のパイプがもはや不要になり、ここで2つのパイプは一つに一体化されている。水の流れによって、内側流路を通じて流れる蒸気流によって生じた騒音が減衰するように適合されるので、内側パイプの追加の遮音材が抑制される。こうしては、システムは、ここで水の流れを運ぶ第2のパイプ内に一体化された本発明によって、材料コストを節約するだけでなく、余分なパイプのスペースも省かれる。水の流れによる騒音減衰の程度は、蒸気パイプの機械的遮音と比較して相当高いことが証明されている。
上述した問題は、従って、本明細書に提案された方法、配管及びシステムによって効率的な方法で解決される。
本発明に係る配管の第1の実施形態による本発明の一般的原理を示す図である。 本発明に係る配管の第1の実施形態の断面図である。 本発明に係る配管の第2の実施形態の断面図である。 図3に示される第2の実施形態の長手方向断面図である。 本発明に係る配管の第3の実施形態の断面図である。 本発明に係る方法を実施するためのシステムの模式図である。
本発明のこれらの態様及び他の態様は、これ以降に説明する実施形態(複数可)を参照して説明され且つ明らかになる。
図1には、その内部に内側流路14を規定する内側パイプ12を有する配管10の第1の実施形態が示されており、この内側流路14は、配管10の長手方向16に延びている。内側パイプ12は、この内側パイプ12に対して平行に配置された外側パイプ18によって取り囲まれている。外側流路20は、2つのパイプ12,18によって内側流路14に対して実質的に平行に規定されており、配管の方向16に延びている。
このように、二重壁配管10には、内側流路14と外側流路20とを有して提示される。本発明の方法によれば、蒸気流は、内側流路14内においてこの内側流路14に沿って形成される。この蒸気の流れは、矢印22によって示される。
蒸気流22は、蒸気入口24において内側流路14に送り込まれ、蒸気出口26において内側流路から流出する。蒸気入口24と蒸気出口26とが、好ましくは、内側パイプ12の両端部に配置されている。しかしながら、蒸気入口/出口24,26を、内側パイプ12の他の任意の位置にも配置することができる。形成された蒸気流22は、蒸気入口24から内側流路14又は内側流路14の一部を通じて蒸気出口26に流れ込む。蒸気入口/出口24,26は、簡略化するために図1には示されていない入口/出口ノズルによって好ましくは実現される。
また、本発明の方法によれば、水の流れが、矢印28で示される外側流路20内で生成される。水の流れ28は、水入口30において外側流路20に送り込まれ、2つのパイプ12,18同士の間の外側流路20を通じて流れ、水出口32において外側流路から流出する。
好ましくは、内側パイプ12内の蒸気流22と外側流路20内の水の流れ28とが、反対方向を向いている。追加の遮音材を必要とする代わりに、内側パイプ22を通じて流れる蒸気12によって生じる騒音は、外側流路20を通じて流れる水の流れ28によって減衰される。水は、こうして、蒸気流22によって生じる音響の放出を減衰させるような、内側パイプ12の遮音を改善する追加の質量体として機能する。蒸気流22によって生じる騒音を効率的に減衰させるために、水の流れ28の容量は、蒸気流22の容量に比較して相当大きくする必要性がある。
内側パイプ12が外側パイプ18に対して同軸に配置されている場合には、騒音の減衰は、配管10の全ての方向において効果的に実現することができる。しかしながら、2つのパイプ12,18の同軸配列は、必ずしも必要ではない。例えば蒸気流22によって生じる騒音が、配管10の片側でのみ減衰される場合に、内側パイプ12は、外側パイプ18内で横方向にシフトされてもよい。
図2には、配管10の第1の実施形態の断面図が示されている。さらに、気泡34が、本方法の実施形態に従って、外側流路20内の水の流れ28に導入されるように示されている。これらの気泡34は、水の流れ28内で均等に分配された気泡34の流れを受けるために、ガスを水の流れ28に常に流し込むことによって好ましくは生成される。気泡34は、内側流路14内の蒸気流22によって生じる騒音に対して遮音性の改善及び減衰をもたらす。内側チューブ(パイプ)12内で生じる不要な騒音が、図2において矢印36によって示されている。上述したガス流は、本発明の方法に従って、配管10に入る前に水の流れ28に既に統合されているか、又はガス導入口38を通じて水の流れ28に別個に吹き込まれるかのいずれかが行われ、ガス出口40を通じて水の流れから抽出される。ガス導入口/出口38,40は、配管10の両端部に横方向に配置されたガスノズル(簡略化のために図示せず)によって例示的に実現することができる。より好ましくは、ガスは、外側流路20のサイズに比較して小さい直径を有しており、且つ実質的に平行に延びるような外側流路20内に配置されたパイプ又は導管49から水層に吹き込まれる。このような導管49が、図5に例示的に示されている。好ましくは、この導管49は、外側パイプ18の下端部に配置されている。パイプシステム全体に亘って気泡の均一な放出を維持するために、好ましくは導管49内に且つこの導管49に沿って配置された多孔質ノズル又は小孔(簡略化のためにここには示されていない)が、使用される。
音響的に隣接する経路を阻止するために、2つのパイプ12,18が、防振接続部によってそれら横方向端部40,42において好ましくは一緒に取り付けられている。安定性の理由のために、より長い配管の場合には、追加の支持構造体が、2つのパイプ12,18を互いから所定の距離に維持するために必要とされる。このような支持構造体44は、配管10の第2の実施形態を断面及び長手方向断面で示す図3及び図4に例示的に示されている。
支持構造体44は、内側パイプ12の外周面を外側パイプ18の内周面に接続する機械的支持体として実現することができる。内側パイプ12を取り囲む追加の遮音要素46を提供することができる。この場合には、支持バー44が、外側パイプ18と遮音要素46との間に配置される。このように、外側パイプ18と内側パイプ12との間の直接的な接続が阻止され、それによって、音響的に隣接する経路が2つのパイプ12,18同士の間に生じないようにする。
図3に示される第2の実施形態によれば、外側パイプ18は、内側流路20を配管10の周囲部に接続するような圧力逃がし弁48をさらに有している。圧力上昇を防止するために、ガス34の少なくとも一部を、この逃がし弁48を通じて外側流路20から抽出することができる。
図5に示される第3の実施形態によれば、抽出導管51が、外側流路20からガス34の少なくとも一部を抽出するために設けられており、これによって、圧力上昇を防止するとともに、水層の遮音特性の低下を防止する。この導管51は、上昇する気泡34を抽出するために、例えば、外側パイプ18の頂部に設置されており、且つ外側パイプ18の長手方向に沿って延びている。このようなガスの抽出によって、外側流路内の圧力上昇を防止し、図5に概略的に示されるように、内側パイプ12の周囲の水層を追い出すようにする。
図6には、本発明に係る方法を実施するためのシステムの概略図が示されている。システム100は、第1装置50及び第2装置60を有しており、これらの装置は、提示された配管10を介して互いに接続される。このようなシステム100は、例えば、発電プラントに、より正確には、発電プラントの冷却回路に適用される。第1装置50は、例えば、熱を生成するとともに水によって冷却されるような発電プラントの発電機とすることができる。
こうして、水の流れ28は、発電機50を冷却するために使用される。冷却する際に、送り込まれた水の流れ28が蒸発して、変換された蒸気22は発電機50から再び離れる。発生した蒸気22は、提示された配管10の内側流路14を通じて返送され、第2装置60の配管10の他端部に入る。この第2装置60は、熱交換器として通常表されるアプリケーションである。このような熱交換器60は蒸気22を受け取り、ガス流又は他の液体によってその蒸気を冷却して、その蒸気を水28に凝縮させる。凝縮水28は、次に、配管10の外側流路20を通じて発電機50に戻される。
最新式の他のシステムと比較して、二重壁配管10は、一方が水の流れ用であり且つ他方が蒸気流用の2つの別個のパイプを使用する代わりに、2つの装置50,60を接続するために使用される。蒸気22を運ぶ内側パイプ12を取り囲む水の流れ28は、このように、蒸気22によって生じる騒音を減衰させ、且つ遮音材として機能する。上述したように、気泡34のさらなる流れを、水の流れ28の吸音効果を高めるために水の流れ28内に発生させることができる。別個のパイプがもはや必要ないので、遮音空間を節約することができる。蒸気を運ぶパイプの追加の遮音材はもう必要がないので、材料コストも節約することができる。
要するに、パイプを通じて流れる蒸気によって生じる騒音を減衰させることを可能にする方法、配管、及びパイプシステムが提示される。発生する騒音は、二重壁パイプの外側流路を通じて流れる水の流れによって主に減衰される。二重壁パイプの内側流路内で蒸気流が運ばれる。なお、配管の特別の寸法及び形状は、本発明の範囲から逸脱することなく変更することができることに留意されたい。
本発明は、図面及び前述の詳細な説明において例示され且つ詳細に説明されるが、このような例示及び説明は、例又は例示として考えるべきであり、限定的なものではない。本発明は、開示された実施形態に限定されるものではない。開示された実施形態に対する他の変形形態は、図面、明細書の開示、及び添付の特許請求の範囲の検討から特許請求の範囲に記載された発明を実施する当業者により理解され且つ達成することができる。
特許請求の範囲において、用語「備える、有する、含む(comprising)」は、他の要素又はステップを除外するものではなく、不定冠詞「1つの(a)又は(an)」は、複数を除外するものではない。単一の要素又は他のユニットは、特許請求の範囲に記載されるいくつかのアイテムの機能を充足する。特定の手段が異なる従属請求項に相互に記載されているという単なる事実は、これらの手段の組み合わせが有利に使用できないことを示すものではない。
特許請求の範囲における任意の参照符号は、特許請求の範囲を限定するものとして解釈すべきではない。

Claims (12)

  1. パイプによって、流体、ガス、粒子又はこれらの任意の組み合わせから構成される流れを輸送することによって生じる騒音を減衰させるための方法であって、当該方法が:
    その内部に内側流路を規定する内側パイプ(12)であって、該内側パイプ(12)の配管の方向に延びる内側パイプ(12)と、該内側パイプ(12)を取り囲むとともに前記内側パイプ(12)に対して実質的に平行に延びる外側パイプ(18)とを有する配管を設けるステップであって、それによって、2つのパイプ(12,18)同士の間に前記内側流路に対して実質的に平行な外側流路を規定する、設けるステップと、
    前記内側流路内であって該内側流路に沿って蒸気流を形成するステップと、
    前記外側流路内であって該外側流路に沿って水の流れを形成するステップと、を含み、
    前記水の流れによって、前記内側流路を通じて流れる前記蒸気流によって生じた騒音が減衰するように適合され、
    ガスを前記水の流れに流し込み、前記水の流れ内に気泡の流れを生成させるステップをさらに含む、
    方法。
  2. 前記ガスは、前記水の流れ内に常時流されて、前記水の流れ内に均一に分配する前記気泡の流れを生成する、
    請求項に記載の方法。
  3. 前記外側流路から少なくとも一部のガスを抽出して、圧力上昇を防止する又は水層を排出させるステップをさらに含む、
    請求項に記載の方法。
  4. 前記内側パイプ(12)を前記外側パイプ(18)に対して同軸に配置するステップをさらに含む、
    請求項1に記載の方法。
  5. 防振マウントを用いて2つのパイプ(12,18)同士の間に防振接続を形成するステップをさらに含む、
    請求項1に記載の方法。
  6. 前記水の流れの容量が、前記蒸気流の容量に対して相対的に大きい、
    請求項1に記載の方法。
  7. 請求項1に記載の方法を実施するための配管であって、当該配管が:
    その内部に内側流路を規定する内側パイプ(12)であって、前記内側流路が前記内側パイプ(12)の配管の方向に延びる、内側パイプと、
    該内側パイプ(12)を取り囲むとともに前記内側パイプに対して実質的に平行に延びる外側パイプ(18)であって、それによって、2つのパイプ(12,18)同士の間に前記内側流路に対して実質的に平行な外側流路が規定される、外側パイプ(18)と、を有しており、
    前記内側パイプ(12)が、蒸気を内外に流し込むための蒸気入口及び蒸気出口を有しており、前記内側流路内であって該内側流路に沿って前記蒸気入口から前記蒸気出口に蒸気流を形成し、前記外側パイプ(18)が、水を内外に流し込むための水入口及び水出口を有しており、前記外側流路内であって該外側流路に沿って前記水入口から前記水出口に水の流れを形成し、前記水の流れによって、前記内側流路を通じて流れる前記蒸気流によって生じる騒音が減衰するように適合され、
    前記外側パイプ(18)が、前記水の流れにガスを流し込むためのガス導入口をさらに有しており、前記水の流れ内に気泡の流れを生成する、
    配管。
  8. 前記外側パイプ(18)が、前記外側流路から少なくとも一部のガスを抽出するための抽出導管を有しており、それによって、圧力上昇を防止するとともに水層の遮音特性の低下を防止する、
    請求項に記載の配管。
  9. 前記内側パイプ(12)は、前記外側パイプ(18)に対して同軸にされる、
    請求項に記載の配管。
  10. 2つのパイプ(12,18)同士の間に防振接続を形成するために、前記内側パイプ(12)と前記外側パイプ(18)とを防振要素を介して互いに接続する支持構造体をさらに有する、
    請求項に記載の配管。
  11. 前記外側パイプ(18)の直径は、前記内側パイプ(12)の直径に対して相対的に大きい、
    請求項に記載の配管。
  12. 請求項1に記載の方法を実施するためのシステムであって、当該システムが:
    水を受け取って該水を蒸気に変換するように適合される第1装置、特にエネルギー・プラントの発電機と、
    前記蒸気を受け取って該蒸気を水に変換するように適合される第2装置、特に熱交換器と、
    その内部に内側流路を規定する内側パイプ(12)であって、前記内側流路が前記内側パイプ(12)の配管の方向に延びる内側パイプ(12)と、前記内側パイプ(12)を取り囲むとともに前記内側パイプ(12)に対して実質的に平行に延びる外側パイプ(18)と、を有する請求項に記載の配管と、を有しており、
    それによって、2つのパイプ(12,18)同士の間において前記内側流路に対して実質的に平行な外側流路が規定され、
    前記内側パイプ(12)が、第1装置から蒸気を流し入れるための蒸気入口及び第2装置に蒸気を流し出すための蒸気出口を有しており、前記内側流路内であって該内側流路に沿って第1装置から第2装置に蒸気流を形成し、
    前記外側パイプ(18)が、第2装置から水を流し入れるための水入口及び第1装置に水を流し出すための水出口を有しており、外側流路内であって該外側流路に沿って第2装置から第1装置に水の流れを形成し、
    前記水の流れによって、前記内側流路を通じて流れる前記蒸気流によって生じた騒音が減衰するように適合され、
    前記外側パイプ(18)が、前記水の流れにガスを流し込むためのガス導入口をさらに有しており、前記水の流れ内に気泡の流れを生成する、
    システム。
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