以下、図面を参照して本発明の印刷製本システムの第1の実施形態を用いたプリンタシステムについて詳細に説明する。本実施形態のプリンタシステム1は、後述する製本装置30におけるくるみ製本に用いられる糊の残量計測タイミングに特徴を有するものであるが、まずは、その全体の概略構成について説明する。図1は、本実施形態のプリンタシステム1の全体の概略構成図である。
本実施形態のプリンタシステム1は、図1に示すように、コンピュータ10と、コンピュータ10に有線または無線LANなどのネットワークを介して接続された印刷装置20と、印刷装置20において印刷処理の施された印刷用紙を用いてくるみ製本を行う製本装置30とを備えている。
本実施形態のプリンタシステム1は、くるみ製本の印刷物を作成するものであるが、図2に、そのくるみ製本された印刷物の一例を示す。くるみ製本の印刷物は、図2に示すように、表表紙、裏表紙および背表紙からなる表紙と、複数の本文ページとから構成されるものであり、複数の本文ページを束ねた用紙束の背部と表紙とが糊付けされて作成されるものである。
コンピュータ10は、表紙と本文ページに印刷される画像データを含む印刷ジョブデータを生成し、その印刷ジョブデータを印刷装置20に出力するものである。
印刷装置20は、印刷用紙に対してインクを吐出するインクヘッド部21を備えている。インクヘッド部21は、コンピュータ10から出力された印刷ジョブデータに含まれる本文ページや表紙の画像データに基づいて、印刷用紙に対してインクを吐出することによって印刷処理を施すものである。本実施形態のインクヘッド部21は、ブラックK、シアンC、マゼンダM、イエローYの各色のインクを吐出する複数のライン型のインクヘッドを備えるものである。
また、印刷装置20は、本文ページ用の印刷用紙HPが設置される給紙トレイ22と、表紙用の印刷用紙FPが設置されるストレート給紙台23とを備えている。給紙トレイ22は、第1給紙トレイ22aと第2給紙トレイ22bと第3給紙トレイ22cとを備えており、これらの給紙トレイに種々の用紙種類、用紙サイズの本文ページ用印刷用紙HPが設置される。また、ストレート給紙台23には、表紙用印刷用紙FPが設置される。そして、くるみ製本の印刷物が作成される際には、表紙用印刷用紙FPと本文ページ用印刷用紙HPとが、それぞれストレート給紙台23と給紙トレイ22とから給紙ローラ(図示省略)などによってピックアップされて給紙される。
また、印刷装置20は、表紙用印刷用紙FPと本文ページ用印刷用紙HPとを搬送する循環搬送路24を備えている。循環搬送路24は、ストレート給紙台23から給紙された表紙用印刷用紙FPと給紙トレイ22から給紙された本文ページ用印刷用紙HPとをインクヘッド部21の上流側から下流側に向けて搬送するものである。
また、循環搬送路24は、片面印刷の際には、インクヘッド部21において印刷処理の施された印刷用紙をそのまま連絡搬送路25に受け渡すものであり、両面印刷の際には、片面の印刷処理が終了した印刷用紙を反転部26まで搬送し、反転部26において表裏反転された片面印刷済印刷用紙を再びインクヘッド部21の上流側から下流側へ搬送し、その後、インクヘッド部21において再び印刷処理の施された両面印刷済印刷用紙を連絡搬送路25に受け渡すものである。そして、連絡搬送路25によって受け入れられた印刷済印刷用紙は、製本装置30に送り出される。
製本装置30は、印刷装置20の連絡搬送路25から送り出された表紙用印刷用紙FPおよび本文ページ用印刷用紙HPを搬送する用紙搬送路31を備えている。用紙搬送路31は、本文ページ用印刷用紙HPを整合トレイ32に搬送するとともに、表紙用印刷用紙FPを成形部39に搬送するものである。なお、用紙搬送路31上には、整合トレイ32へ向かう搬送路と成形部39へ向かう搬送路とを切り替える機構(図示省略)が設けられているものとする。
整合トレイ32は、用紙搬送路31によって搬送された本文ページ用印刷用紙HPを順次積載するものである。そして、製本装置30は、整合トレイ32から本文ページ用印刷用紙HPの用紙束TPを挟持するクランパ33を備えている。このクランパ33は、整合トレイ32から用紙束TPを受け取る用紙束受取位置と、成形部39へ用紙束TPを受け渡す綴じ位置との間を図示省略した移動機構によって移動可能に構成されている。
また、クランパ33の近傍には糊付部34が設けられている。糊付部34は、用紙束TPと表紙用印刷用紙FPとを接着するために用いられる糊が貯留された糊貯留部35と、糊を用紙束TPに塗布するための糊塗布ローラ36と、糊を糊貯留部35に補充する糊補充部37と、糊貯留部35に貯留されている糊の残量を検出する糊残量検出センサ38とを備えている。
糊貯留部35は、容器内に糊を貯留するものであるが、この容器には、糊が液状化する温度まで容器を加熱する加熱部(図示省略)が設けられている。
糊塗布ローラ36は長尺状に形成されたものであり、糊貯留部35の内側に水平な回転軸に回転可能に保持されている。なお、糊は用紙束TPを一体的に糊付けする役割も果たすものである。
糊補充部37は、糊が板状に固められてロール状に成形された糊ロール37aが設置されるものであり、後述する製本装置30の制御部50からの制御信号に基づいて、糊ロール37aから板状の糊を繰り出してカットし、これを糊貯留部35内に供給することによって糊の補充を行うものである。糊ロール37aから繰り出されてカットされた板状の糊は、糊貯留部35に設けられた加熱部によって加熱されて液体となり、糊貯留部35の容器内に貯留される。
糊残量検出センサ38は、糊貯留部35の容器内に貯留されている糊の残量を検出するものである。糊残量検出センサ38としては、たとえば光学センサなどを用いることができるが、これに限らず、その他のセンサを設けるようにしてもよい。
また、成形部39は、用紙搬送路31によって搬送された表紙用印刷用紙FPが上面に設置される背折りプレート40と、背折りプレート40の下方に設けられ、クランパ33によって綴じ位置まで搬送された用紙束TPの背部が表紙用印刷用紙FPを介して当接される付き当てプレート41とを備えている。
そして、製本装置30は、成形部39において綴じられて成形された印刷物42が搬送されて収容される排出部43を備えている。成形部39から排出部43まで印刷物42は自由落下により搬送される。
以上が、本実施形態のプリンタシステム1の全体の概略構成の説明である。
次に、本実施形態のプリンタシステム1の製本装置30における糊の残量計測タイミングに関連する制御系について、図3を参照しながら説明する。
本実施形態における印刷装置20は、図3に示すように、インクヘッド部21を含む印刷装置20全体を制御する制御部27を備えている。そして、この制御部27は、インクヘッド部21におけるクリーニング処理を制御するクリーニング処理制御部28を備えている。
ここで、本実施形態におけるクリーニング処理制御部28は、インクヘッド部21から複数回のインクを吐出させることによって、インクヘッド部21におけるインクノズルの詰まりを防止するためのクリーニング処理を行わせるものである。そして、クリーニング処理は、インクヘッド部21における印刷枚数が予め設定された枚数に到達する毎に周期的に行われる処理であり、たとえば1000枚毎や2000枚毎もしくは3000毎に行われる処理である。
そして、制御部27は、インクヘッド部21における印刷枚数をカウントし、そのカウント数が予め設定された枚数に到達した場合に、インクヘッド部21における印刷処理を一旦停止するものであり、このときクリーニング処理制御部28が、インクヘッド部21におけるクリーニング処理を開始する。そして、このとき制御部27は、製本装置30に向けて糊の残量計測の要求信号(印刷処理の一時停止を示す信号に相当する)を出力するものである。
本実施形態における製本装置30は、図3に示すように、製本装置30全体を制御する制御部50を備えている。そして、この制御部50は、糊貯留部35に貯留された糊の残量の計測と、糊補充部37による糊の補充を制御する糊残量計測制御部51を備えている。
制御部50は、印刷装置20から出力された糊残量計測の要求信号を受け付けるものであり、入力された要求信号に応じて一旦製本処理を停止するものである。そして、糊残量計測制御部51は、入力された要求信号に応じて、糊残量検出センサ38による糊残量の計測を開始し、糊残量検出センサ38における検出結果に基づいて、糊補充部37による糊補充を行わせるものである。なお、本実施形態においては、上述した糊残量計測制御部51と糊残量検出センサ38とによって請求項における糊残量計測部が構成される。
次に、本実施形態のプリンタシステム1の作用について、図4に示すフローチャートと図5(A)に示すタイミングチャートとを参照しながら説明する。なお、本実施形態のプリンタシステム1は、上述したとおり、製本装置30における糊の残量計測タイミングに特徴を有するものであるので、その点を中心に説明する。
まず、コンピュータ10においてユーザによって文書、イラスト、写真画像などが編集されて表紙用画像データと本文ページ用画像データとが生成され、その生成された画像データを含む印刷ジョブデータがコンピュータ10から印刷装置20に出力される(S10)。
コンピュータ10から出力された印刷ジョブデータは印刷装置20に入力され、印刷装置20において印刷処理が開始される(S12)。印刷装置20において印刷処理の施された本文ページ用印刷用紙HPと表紙用印刷用紙FPとは製本装置30に順次排紙され、製本装置30においてこれらを用いて製本処理が行われる(S14)。
そして、上述した印刷処理と製本処理とが順次進められるとともに、印刷装置20の制御部27において印刷枚数がカウントされる。制御部27におけるカウント数が予め設定された印刷枚数に到達した場合には、制御部27によって印刷処理が一旦停止され、クリーニング処理制御部28によってインクヘッド部21におけるクリーニング処理が開始される(S16,NO、S18,YES)。また、このとき制御部27から製本装置30に対して糊計測の要求信号が出力される。
印刷装置20から出力された糊計測の要求信号は、製本装置30の制御部50に入力され、制御部50は、入力された要求信号に応じて製本処理を一旦停止する。また、このとき糊残量計測制御部51は、入力された要求信号に応じて、糊残量検出センサ38による糊残量の計測を開始する(S20)。
そして、糊残量計測制御部51は、糊残量検出センサ38によって検出された糊残量に基づいて、予め設定された所定量からの糊の減少量を算出し、その減少量だけ補充されるように糊補充部37に制御信号を出力する(S22)。ここで、上述した予め設定された所定量としては、本実施形態においては、クリーニング処理を行う周期の印刷枚数よりも十分に多い印刷用紙を糊付けするために必要な量が設定される。具体的には、たとえば、クリーニング処理を行う周期の印刷枚数が3000枚である場合には、4000枚の印刷用紙を糊付けするために必要な量が予め設定される。なお、クリーニング処理を行う周期の印刷枚数を変更可能に構成してもよく、この場合には、その印刷枚数の変更に応じて上述した糊の所定量も変更するようにすればよい。
そして、糊補充部37による糊補充が完了すると、その旨を示す信号が製本装置30から印刷装置20に出力され、印刷装置20の制御部27は、その時点においてクリーニング処理が終了しているか否かを確認する(S24)。制御部27は、クリーニング処理が終了していることを確認した場合には(S24,YES)、再び印刷処理を開始するとともに、製本装置30に製本処理を再開するよう制御信号を出力する。一方、制御部27は、クリーニング処理が終了していない場合には、クリーニング処理が終了するまで処理の再開を待つ。
そして、上述したように糊の残量計測および補充の終了後またはクリーニング処理の終了後、印刷装置20において残りの印刷処理が再開されるとともに、製本装置30において残りの製本処理が再開され、全ての製本処理が終了した時点で1つの印刷ジョブデータの処理が終了する(S16,YES)。
上記第1の実施形態のプリンタシステムによれば、糊残量計測制御部51が、印刷装置20から出力された要求信号を受け付けた際に、糊の残量の計測および補充を開始するようにしたので、印刷装置20におけるクリーニング処理に並行して製本装置30において糊の残量計測と補充を行うことができ、図5(A)と図5(B)とを比較してわかるように、生産効率の向上を図ることができる。なお、図5(B)は、上述したとおり、従来のプリンタシステムにおけるクリーニング処理と糊の補充とのタイミングを示す図である。
次に、本発明の印刷製本システムの第2の実施形態を用いたプリンタシステム2について説明する。第2の実施形態のプリンタシステム2の全体概略構成は、図1に示した第1の実施形態のプリンタシステム1と同様である。そして、第1の実施形態のプリンタシステム1においては、印刷装置20においてクリーニング処理が開始された際に糊の残量計測および補充を行うようにしたが、第2の実施形態のプリンタシステム2は、印刷装置20においてクリーニング処理が開始された際、その時点における印刷ジョブデータの残りの処理量を取得し、その処理量に基づいて糊の残量計測および補充を開始するか否か決定するようにしたものである。
具体的には、第2の実施形態のプリンタシステム2は、図6に示すように、印刷装置20においてクリーニング処理が開始された時点、すなわち印刷処理が一時停止された時点における印刷ジョブデータの残りの処理量を取得する残り処理量取得部60を備えたものである。
そして、本実施形態における残り処理量取得部60は、クリーニング処理が開始された時点において、印刷処理がまだ終了していない印刷部数の情報を残り処理量として取得するものである。なお、残りの印刷部数の情報は、印刷装置20の制御部27において印刷処理済の印刷枚数をカウントし、そのカウント数と印刷ジョブデータに含まれている本文ページ数と総印刷部数とに基づいて算出するようにすればよい。
残り処理量取得部60において取得された残り処理量は、糊残量計測制御部51に出力され、糊残量計測制御部51は、入力された残り処理量が予め設定された所定の印刷部数よりも多いか否かを判定し、その判定結果に基づいて糊残量計測および補充を行うかいなかを決定するものである。すなわち、本実施形態における糊残量計測制御部51は、残りの処理量が少ない場合には、糊の残量計測および補充を行わないようにすることによって、第1の実施形態のプリンタシステム1の場合よりも、さらに生産効率を向上させるものである。
なお、糊の残量計測および補充を行うか否かを決定する際に用いる印刷部数の閾値については、少なくともその印刷部数の製本処理を行ったとしても、糊貯留部35における糊が完全になくならない値に設定される。具体的には、たとえば、上述したようにクリーニング処理を行う周期の印刷枚数が3000枚であり、糊貯留部35に貯留される糊の最大貯留量が4000枚の印刷用紙を糊付けする量である場合には、1000枚/本文ページの最大綴じページ数よりも小さい印刷部数に設定される。
図7は、第2の実施形態のプリンタシステム2の作用を説明するためのフローチャートである。なお、図7に示すS30〜S38については、図4に示すフローチャートのS10〜S18と同様の処理であるので説明を省略する。
そして、第2の実施形態のプリンタシステム2においては、S38において、印刷処理が一旦停止され、クリーニング処理が開始された際(S38,YES)、残り処理量取得部60によって印刷ジョブデータの残りの処理量が取得される(S40)。
残り処理量取得部60において取得された残り処理量は、糊計測の要求信号とともに印刷装置20の制御部27から製本装置30の制御部50に出力される。そして、制御部50は、入力された糊計測の要求信号に応じて製本処理を一旦停止する。また、このとき糊残量計測制御部51は、入力された残り処理量が予め設定された所定の印刷部数よりも多いか否かを判定する。
そして、糊残量計測制御部51は、残り処理量が予め設定された印刷部数よりも多い場合には(S42,YES)、上記第1の実施形態と同様に、糊残量検出センサ38による糊残量の計測を開始する(S44)。
そして、糊残量計測制御部51は、上記第1の実施形態と同様に、糊残量検出センサ38によって検出された糊残量に基づいて、予め設定された所定量からの減少分の糊量を算出し、その減少分の糊量だけ補充されるように糊補充部37に制御信号を出力する(S46)。
そして、糊補充部37による糊補充が完了すると、その旨を示す信号が製本装置30から印刷装置20に出力され、印刷装置20の制御部27は、その時点においてクリーニング処理が終了しているか否かを確認する(S48)。制御部27は、クリーニング処理が終了していることを確認した場合には(S48,YES)、再び印刷処理を開始するとともに、製本処理を再開するように製本装置30に制御信号を出力する。一方、制御部27は、クリーニング処理が終了していない場合には、クリーニング処理が終了するまで処理の再開を待つ。
そして、糊の残量計測および補充の終了後またはクリーニング処理の終了後、印刷装置20において残りの印刷処理が再開されるとともに、製本装置30において残りの製本処理が再開され、全ての製本処理が終了した時点で1つの印刷ジョブデータの処理が終了する(S36,YES)。
一方、S42において、糊残量計測制御部51が、残り処理量が予め設定された印刷部数以下であると判定した場合には(S42,NO)、上述した糊残量の計測および補充を行うことなく、その旨を示す信号を印刷装置20の制御部27に出力する。
印刷装置20の制御部27は、上記信号が入力されると、その時点においてクリーニング処理が終了しているか否かを確認する(S48)。そして、制御部27は、クリーニング処理が終了していることを確認した場合には(S48,YES)、再び印刷処理を開始するとともに、製本処理を再開するように製本装置30に制御信号を出力する。一方、制御部27は、クリーニング処理が終了していない場合には、クリーニング処理が終了するまで処理の再開を待つ。
そして、糊の残量計測および補充の終了後またはクリーニング処理の終了後、印刷装置20において残りの印刷処理が再開されるとともに、製本装置30において残りの製本処理が再開され、全ての製本処理が終了した時点において1つの印刷ジョブデータの処理が終了する(S36,YES)。ただし、上述したように残り処理量が予め設定された印刷部数以下であると判定された場合には、この全ての印刷処理および製本処理が終了した時点から糊残量計測制御部51によって糊残量の計測と補充が開始される。
上記第2の実施形態のプリンタシステム2によれば、印刷装置20における印刷処理が一時停止された際、印刷処理の残りの処理量の情報を取得し、糊残量計測制御部51が、その残りの処理量に応じて糊の残量の計測を行うか否かを決定するようにしたので、残りの処理量が僅かであって残りの糊の量で処理を完了させることができるような場合には、糊の残量計測および補充を行わないようにすることができ、第1の実施形態のプリンタシステム1からさらに生産効率を向上させることができる。
次に、本発明の印刷製本システムの第3の実施形態を用いたプリンタシステム3について説明する。第3の実施形態のプリンタシステム3の全体概略構成は、図1に示した第1の実施形態のプリンタシステム1と同様である。そして、第3の実施形態のプリンタシステム3は、残り処理量取得部60を備えている点については、図6に示す第2の実施形態のプリンタシステム2と同様であるが、糊残量計測制御部51において、糊の残量計測および補充を行うか否かを決定する際に用いられる印刷部数の閾値の求め方が異なるものである。
上記第2の実施形態のプリンタシステム2においては、糊貯留部35に貯留される糊の最大貯留量で糊付け可能な枚数(たとえば4000枚)からクリーニング処理を行う周期の印刷枚数(たとえば3000枚)を減算した枚数を、本文ページの最大綴じページ数で除算することによって印刷部数の閾値を求めるようにしたが、これは、前回のクリーニング処理から次のクリーニング処理までの期間において製本処理以外の要因で糊が全く減少していない(上記例の場合、1000枚分の印刷用紙の糊付けに必要な糊の量が残っている)という前提であるが、実際には、糊の水分が蒸発したりして糊の量が減少している場合も考えられる。
そこで、第3の実施形態においては、このような減少分も考慮し、実際に糊貯留部35に残っている糊の残量に基づいて、上記印刷部数の閾値を設定するようにしたものである。
図8は、第3の実施形態のプリンタシステム3の作用を説明するためのフローチャートである。図8に示すS60〜S70については、図7に示すフローチャートのS30〜S40と同様であるので説明を省略する。
そして、第3の実施形態のプリンタシステム3においても、S70において残り処理量取得部60によって残り処理量が取得され、その残り処理量は、糊計測の要求信号とともに印刷装置20の制御部27から製本装置30の制御部50に出力される。そして、制御部50は、入力された糊計測の要求信号に応じて製本処理を一旦停止する。また、このとき糊残量計測制御部51は、入力された糊計測の要求信号に応じて糊の残量の計測を開始する(S72)。
そして、糊残量計測制御部51は、糊残量検出センサ38によって検出された糊残量に基づいて、その糊残量によって糊付け可能な印刷部数を算出し、その印刷部数と残り処理量とを比較する(S74)。
そして、糊残量計測制御部51は、残り処理量が糊残量に対応する印刷部数よりも多い場合には(S76,YES)、糊残量に基づいて糊の減少量を算出し、その減少量だけ補充されるように糊補充部37に制御信号を出力する(S78)。
そして、糊補充部37による糊補充が完了すると、その旨を示す信号が製本装置30から印刷装置20に出力され、印刷装置20の制御部27は、その時点においてクリーニング処理が終了しているか否かを確認する(S80)。制御部27は、クリーニング処理が終了していることを確認した場合には(S80,YES)、再び印刷処理を開始するとともに、製本処理を再開するように製本装置30に制御信号を出力する。一方、制御部27は、クリーニング処理が終了していない場合には、クリーニング処理が終了するまで処理の再開を待つ。
そして、糊の残量計測および補充の終了後またはクリーニング処理の終了後、印刷装置20において残りの印刷処理が再開されるとともに、製本装置30において残りの製本処理が再開され、全ての製本処理が終了した時点で1つの印刷ジョブデータの処理が終了する(S66,YES)。
一方、S76において、糊残量計測制御部51が、残り処理量が糊残量に対応する印刷部数以下であると判定した場合には(S76,NO)、上述した糊の補充を行うことなく、その旨を示す信号を印刷装置20の制御部27に出力する。
印刷装置20の制御部27は、上記信号が入力されると、その時点においてクリーニング処理が終了しているか否かを確認する(S80)。そして、制御部27は、クリーニング処理が終了していることを確認した場合には(S80,YES)、再び印刷処理を開始するとともに、製本処理を再開するように製本装置30に制御信号を出力する。一方、制御部27は、クリーニング処理が終了していない場合には、クリーニング処理が終了するまで処理の再開を待つ。
そして、糊の残量計測および補充の終了後またはクリーニング処理の終了後、印刷装置20において残りの印刷処理が再開されるとともに、製本装置30において残りの製本処理が再開され、全ての製本処理が終了した時点において1つの印刷ジョブデータの処理が終了する(S66,YES)。ただし、上述したように残り処理量が糊残量に対応する印刷部数以下であると判定された場合には、この全ての印刷処理および製本処理が終了した時点から糊残量計測制御部51によって糊残量の補充が開始される。
上記第3の実施形態のプリンタシステム3によれば、印刷装置における印刷処理が一時停止された際、印刷処理の残りの処理量の情報を取得し、その残りの処理量と糊の残量とを比較した結果に基づいて糊の補充を行うようにしたので、糊の残量が残りの処理量を完了させるほど十分でない場合には、上記と同様に印刷処理の一時停止に並行して糊の補充を行うことによって生産効率を向上させることができ、残りの処理量が僅かであって残りの糊の量で処理を完了させることができるような場合には、糊の補充を行わないことによってさらに生産効率を向上させることができる。
また、上記第1〜第3の実施形態のプリンタシステム1〜3においては、印刷装置20においてクリーニング処理を行う際にこれに並行して製本装置30において糊の残量計測および補充を行うようにしたが、糊の残量計測および補充のタイミングは、クリーニング処理を行う場合に限らず、その他の印刷装置20のメンテナンスに起因して印刷処理を一時停止する場合に、これに並行して糊の残量計測および補充を行うようにしてもよい。
たとえば、印刷装置20における所定の部品の交換に起因して印刷処理を一時停止する場合に、この部品の交換に並行して糊の残量計測および補充を行うようにしてもよい。具体的には、図9に示すプリンタシステム4のように、印刷装置20における所定の部品交換時期を検出する部品交換時期検出部61をさらに設け、この部品交換時期検出部61によって部品交換時期が検出された時点において、印刷処理を一時停止するとともに、これに並行して糊の残量計測および補充を開始するようにしてもよい。そして、糊の残量計測および補充が終了した時点において、部品交換が終了したか否かを印刷装置20の制御部27が確認し、部品交換が終了していることを確認した場合に、印刷処理および製本処理を再開するようにすればよい。
部品交換時期検出部61による部品交換時期の検出については、たとえば所定の部品について、交換までの使用回数や経過期間などを予め設定し、それらをカウントすることによって部品交換時期を検出するようにすればよい。また、部品交換が終了したか否かについては、センサなどで部品が設置されたことを検出することによって確認するようにしてもよいし、印刷装置20の入力部(図示省略)を用いてユーザが、部品交換が終了したことを入力するようにしてもよい。
なお、印刷装置20における交換対象の部品としては、たとえば、第1〜第3の実施形態のプリンタシステムのような印刷装置20がインクジェットプリント処理を行うものである場合にはインクヘッド部21が挙げられる。
また、本発明における印刷装置は、第1〜第3の実施形態のプリンタシステムのようなインクジェットプリント処理を行うものに限らず、孔版印刷処理やレーザプリント処理を行うものでもよい。そして、たとえば、孔版印刷処理を行う印刷装置を用いる場合には、印刷ドラムやプレスローラなどの部品交換時期が検出された時点において、印刷処理を一時停止するとともに、糊の残量計測および補充を開始するようにすればよい。また、レーザプリント処理を行う印刷装置を用いる場合には、感光ドラムなどの部品交換時期が検出された時点において、印刷処理を一時停止するとともに、糊の残量計測および補充を開始するようにすればよい。
なお、上述したように印刷装置20における部品交換に起因して一時停止する場合に、糊の残量計測および補充を行う場合には、部品によっては交換期間が長いために糊の補充回数が少なくなって印刷ジョブデータの処理の途中で糊の残量がなくなる可能性があるが、その場合には、糊がなくなった時点で印刷処理および製本処理を一時停止して糊の補充を行うようにすればよい。
また、上記第2の実施形態のプリンタシステム2において、クリーニング処理ではなく、上述したように部品交換に起因して印刷処理が一時停止した際に、糊の残量計測および補充を行う場合、糊の残量計測および補充を行うか否かを決定するための印刷部数の閾値については、残りの糊の量で確実に製本処理が完了できる程度に小さい値とすることが望ましいが、もし印刷ジョブデータの処理の途中で糊の残量がなった場合でも、その糊がなくなった時点で印刷処理および製本処理を一時停止して糊の補充を行うようにすればよい。
また、上述したような印刷装置20のメンテナンスに起因して印刷処理を一時停止する場合に限らず、印刷装置20に対する消耗品の補充によって印刷処理が停止された場合に、これに並行して糊の残量計測および補充を行うようにしてもよい。
具体的には、図10に示すプリンタシステム5のように、本文ページ用印刷用紙HPおよび/または表紙用印刷用紙FPの用紙切れを検出する用紙切れ検出部62をさらに設け、この用紙切れ検出部62によって用紙切れが検出された時点において、印刷処理を一時停止するとともに、これに並行して糊の残量計測および補充を開始するようにしてもよい。そして、糊の残量計測および補充が終了した時点において、印刷用紙の補充が終了したか否かを印刷装置20の制御部27が確認し、印刷用紙の補充が終了していることを確認した場合に、印刷処理および製本処理を再開するようにすればよい。
用紙切れ検出部62による用紙切れの検出については、光学センサによる検出など既に公知な構成を用いることができる。また、印刷用紙の補充が終了したか否かについては、センサなどで印刷用紙が設置されたことを検出することによって確認するようにしてもよいし、印刷装置20の入力部(図示省略)を用いてユーザが、印刷用紙の補充が終了したことを入力するようにしてもよい。
また、上述したような用紙切れ検出部61に限らず、たとえば図11に示すプリンタシステム6のように、インク切れを検出するインク切れ検出部63をさらに設け、このインク切れ検出部63によってインク切れが検出された時点において、印刷処理を一時停止するとともに、これに並行して糊の残量計測および補充を開始するようにしてもよい。そして、糊の残量計測および補充が終了した時点において、インクの補充が終了したか否かを印刷装置20の制御部27が確認し、インクの補充が終了していることを確認した場合に、印刷処理および製本処理を再開するようにすればよい。
インク切れ検出部63によるインク切れの検出についても既に公知な構成を用いることができる。また、インクの補充が終了したか否かについても、センサなどでインクが補充したことを検出することによって確認するようにしてもよいし、印刷装置20の入力部(図示省略)を用いてユーザが、インクの補充が終了したことを入力するようにしてもよい。
また、本発明における印刷装置として、孔版印刷処理を行う印刷装置を用いる場合には、上述した印刷用紙切れやインク切れを検出した場合に限らず、孔版原紙切れが検出された時点において、印刷処理を一時停止するとともに、糊の残量計測および補充を開始するようにしてもよい。また、レーザプリント処理を行う印刷装置を用いる場合には、トナー切れが検出された時点において、印刷処理を一時停止するとともに、糊の残量計測および補充を開始するようにしてもよい。
また、上記第2の実施形態のプリンタシステム2において、クリーニング処理ではなく、上述したように消耗品の補充に起因して印刷処理が一時停止した際に、糊の残量計測および補充を行う場合、糊の残量計測および補充を行うか否かを決定するための印刷部数の閾値については、残りの糊の量で確実に製本処理が完了できる程度に小さい値とすることが望ましいが、もし印刷ジョブデータの処理の途中で糊の残量がなった場合でも、その糊がなくなった時点で印刷処理および製本処理を一時停止して糊の補充を行うようにすればよい。