以下、本発明を具体化した一実施形態について図面を参照しつつ説明する。本実施形態では、本発明を住宅等の建物から車両に電力を供給する車両給電システムとして具体化している。図1は建物10の外観を示す図、図2は一階部分11におけるガレージ15周辺の平面図、図3は図2のA−A線断面図、図4は図2のB−B線断面図である。なお、図1においては、(a)に建物10の斜視図を示し、(b)にガレージ15周辺の正面図を示す。また、(a)には車両出入口18が開放された状態の図を示し、(b)には車両出入口18が閉鎖された状態の図を示す。さらに、図2においては、支持レール61を仮想線で図示しており、図3においては、車両給電システムの電気的な構成を示すブロック図を図示している。
図1(a)に示すように、建物10は、下階部としての一階部分11と、上階部としての二階部分12とを有しており、それら一階部分11及び二階部分12は上下に重なって隣接している。一階部分11には、車両Cが駐車されるガレージ15が車庫として設けられている。ガレージ15は、建物10に対して一体的に形成された所謂インナガレージとされており、一階部分11における二階部分12と上下に重なった部分に配置されている。この場合、ガレージ15は、屋根(天井面)を有していることになる。
ガレージ15は、車両Cを駐車させるための駐車スペース16を有している。建物10の外壁17には、ガレージ15内への車両Cの出入りを可能とする車両出入口18が設けられており、駐車スペース16は、車両出入口18を通じて屋外側に開放されている。車両出入口18は、外壁17における建物正面(ファサード)側の部分に配置されており、車両Cは建物10のファサード側から駐車スペース16に出入りすることができるようになっている。
図2に示すように、建物10は、駐車スペース16を挟んで対向する一対の対向壁21,22を有している。車両出入口18は、それら対向壁21,22の間に配置されており、駐車スペース16は車両出入口18を通じて屋外側に開放された半屋外空間になっている。各対向壁21,22は、外壁17と同様の防水性や対候性を有しており、外壁としての役割を果たしている。なお、一対の対向壁21,22は、駐車スペース16側の壁面21a,22aをそれぞれ有しており、それら壁面21a,22aは互いに対向している。
ガレージ15は、車両出入口18に加えて、駐車スペース16をファサードとは反対側(奥側)に向けて開放する奥出入口23を有している。奥出入口23は、外壁17における駐車スペース16を挟んで車両出入口18とは反対側の部分に設けられている。奥出入口23の屋外側には建物10の庭等が設けられており、奥出入口23を通じてのガレージ15内への人の出入りは行われるが、車両Cの出入りは行われないようになっている。なお、ガレージ15においては、各対向壁21,22が延びている方向(車両出入口18及び奥出入口23の並び方向)が奥行方向になっており、対向壁21,22の並び方向が幅方向になっている。
建物10は、屋内空間としての玄関25と、物品を収納するためのガレージ収納26とを有している。玄関25及びガレージ収納26は、ガレージ15の幅方向において互いに離間して横並びに配置されており、それら玄関25とガレージ収納26との間にガレージ15が配置されている。この場合、ガレージ収納26は、ガレージ15を挟んで玄関25とは反対側に配置されていることになる。なお、一対の対向壁21,22のうち第1対向壁21は、玄関25側に配置されており、第2対向壁22は、ガレージ収納26側に配置されている。
ガレージ15の幅方向において、そのガレージ15の隣には車寄せ28が設けられている。車寄せ28は、ガレージ15と同様に、一階部分11における二階部分12と上下に重なった部分に配置されており、屋根(天井面)を有する玄関ポーチとなっている。第1対向壁21は、駐車スペース16とは反対側に向けて凹んだ凹部31を形成しており、その凹部31により車寄せ28が形成されている。この場合、凹部31の内側スペースが車寄せスペース32とされており、車寄せスペース32は、駐車スペース16と同様に、車両出入口18を通じて屋外側に開放された半屋外空間になっている。また、凹部31は、車両出入口18からガレージ15の奥側に離間した位置に配置されている。このため、車寄せスペース32と駐車スペース16との連通部分は、車両出入口18よりもガレージ15の奥側に配置されていることになる。
なお、ガレージ15の天井面と車寄せ28の天井面とは、同じ高さ位置に設けられており、ガレージ15と車寄せ28との境界部を跨いで連続して延びている。
玄関25と車寄せ28とは第1対向壁21を挟んで隣り合っており、第1対向壁21における凹部31を形成している部分には、車寄せ28と玄関25とを連通する玄関口33が設けられている。玄関口33には玄関ドア34が設けられている。玄関ドア34は、第1対向壁21に対して回動可能に軸支された開き戸とされており、屋外側(車寄せ28側)に向けて回動することで開放される。玄関ドア34には、電動式の玄関施錠装置35が設けられており、玄関施錠装置35は、玄関ドア34を施錠した施錠状態と、玄関ドア34の施錠を解除した解錠状態に移行することが可能になっている。
車寄せ28は、玄関25とガレージ15との間に配置されている。この場合、凹部31のうちガレージ15の奥行き方向に延びる部分が、玄関25と車寄せ28とを仕切っており、その部分に玄関口33が設けられている。なお、玄関25は、ガレージ15及び車寄せ28の両方に隣接していてもよい。この場合、凹部31のうちガレージ15の奥行き方向に延びる部分に加えて、ガレージ15の幅方向に延びる部分が玄関25と車寄せ28とを仕切っている。このため、凹部31のうちガレージ15の幅方向に延びる部分に玄関口33が設けられていてもよい。
車寄せ28の車寄せスペース32は、ガレージ15の幅方向においてガレージ15の駐車スペース16と横並びに隣接している駐車隣接スペースであり、駐車スペース16に連続した空間になっている。この場合、車寄せスペース32は、駐車スペース16から凹部31の内側に入り込んだ状態になっており、ガレージ15の幅方向において第1対向壁21の壁面21aよりも外側にある。このため、車寄せスペース32と駐車スペース16とが連続した空間になっていても、例えば建物10のファサード側にある道路から車両出入口18を通じてガレージ15内を覗いただけでは車寄せスペース32の内部が視認しにくくなっている。
ガレージ収納26は、第2対向壁22及び外壁17により囲まれた収納スペース41を有しており、第2対向壁22は収納スペース41と駐車スペース16とを仕切っている。第2対向壁22には、駐車スペース16から収納スペース41への物品の出し入れを可能とする収納スペース口42が設けられている。収納スペース口42は、車両出入口18からガレージ15の奥側に離間した位置に配置されている。このため、収納スペース41と駐車スペース16との連通部分は、車両出入口18よりもガレージ15の奥側に配置されていることになる。収納スペース口42には収納スペースドア43が設けられており、その収納スペースドア43は第2対向壁22に沿って移動するスライドドアとされている。なお、収納スペースドア43は、第2対向壁22に対して回動可能に軸支された開き戸とされていてもよい。
収納スペース41は、車寄せスペース32と同様に、ガレージ15の幅方向において駐車スペース16と横並びに隣接している駐車隣接スペースであり、収納スペースドア43が開放されている状態では駐車スペース16に連続した空間になっている。この場合、収納スペース41は、駐車スペース16から見て第2対向壁22の背面側に配置されており、ガレージ15の幅方向において第2対向壁22の壁面22aよりも外側にある。このため、仮に収納スペースドア43が開放されていても、ファサード側の屋外空間からでは車両出入口18からガレージ15内を覗いただけでは収納スペース41の内部が視認しにくくなっている。なお、収納スペース41が物品収納スペースに相当する。
ガレージ収納26は、第2対向壁22によってガレージ15に対して仕切られているため、玄関25等と同様に屋内空間とみなすことができる。ちなみに、収納スペース口42に収納スペースドア43が設けられていない場合は、収納スペース41が車両出入口18を通じて屋外に開放された半屋外空間とみなすこともできる。
なお、第1対向壁21は、対向壁21,22の並び方向において玄関25側の屋外空間から駐車スペース16及び車寄せスペース32への視線を遮っており、ガレージ収納26(第2対向壁22)は、対向壁21,22の並び方向においてガレージ収納26側の屋外空間から駐車スペース16及び収納スペース41への視線を遮っている。この場合、第1対向壁21とガレージ収納26とが互いに対向する2つの対向部に相当する。本実施形態では、2つの対向部のうち一方の対向部であるガレージ収納26は、駐車隣接スペースを有していることになる。
ガレージ15には、車両出入口18を閉鎖することが可能な閉鎖装置としてのシャッタ装置45が設けられている。シャッタ装置45は、車両出入口18に沿って昇降するシャッタカーテン46と、シャッタカーテン46を収納するシャッタケース47とを有している。シャッタケース47は、車両出入口18の上方に配置され、外壁17に対して取り付けられている。シャッタカーテン46は、シャッタケース47内に設けられた巻取ドラムに巻き取られることで開放状態に移行し、シャッタケース47から繰り出されることで閉鎖状態に移行することが可能になっている。
シャッタカーテン46は、パイプ式のシャッタカーテンとされており、複数のパイプ51と、それらパイプ51を接続するリンク部52とを含んで構成されている。各パイプ51は、水平方向に延びた長尺部材であり、互いに並列に並べられている。リンク部52は、各パイプ51の並び方向に延びる長尺部材であり、上下に隣り合うパイプ51をそれらパイプ51の長手方向における中間位置にて連結している。
シャッタ装置45においては、シャッタカーテン46が閉鎖状態にある場合、各パイプ51は上下に離間した状態でリンク部52により位置保持されている。この場合、車両出入口18が閉鎖され、車両Cや人が車両出入口18を通じてガレージ15内に出入りすることが規制される。つまり、シャッタカーテン46が開放されない限りは、建物10のファサード側の屋外から車寄せ28及び玄関25に出入りすることができないようになっている。また、この場合、パイプ51同士が離間しているため、シャッタカーテン46が閉鎖状態であるにもかかわらず、屋外側からシャッタカーテン46を通じてガレージ15内を視認することが可能になっている(図1(b)参照)。
ちなみに、シャッタカーテン46が開放状態にある場合は、シャッタ装置45が開放状態にあると称し、シャッタカーテン46が閉鎖状態にある場合は、シャッタ装置45が閉鎖状態にあると称する。
シャッタ装置45は、シャッタカーテン46を昇降させるために駆動するシャッタ駆動部53を有している。シャッタ駆動部53は、電気モータを含んで構成され、シャッタケース47内の巻取ドラムを回転させるための駆動部になっており、シャッタケース47に設けられている。シャッタ駆動部53が駆動していない場合は、巻取ドラムの回転がシャッタ駆動部53やストッパなどにより規制されており、例えば閉鎖状態にあるシャッタカーテン46を人が持ち上げてもそのシャッタカーテン46を開放することができないようになっている。
なお、シャッタ装置45が、車両出入口18を閉鎖する閉鎖装置に相当し、シャッタ装置45のシャッタ駆動部53やストッパが、閉鎖装置が開放状態に移行することを規制する出入口規制手段に相当する。
また、シャッタカーテン46は、スラット式のシャッタカーテンとされていてもよい。この構成では、シャッタカーテン46は、長尺板状のスラットを複数有しており、それらスラットは、水平方向に延びた状態で上下方向に並べられている。また、各スラットは、水平方向に延びる軸線を中心に回動可能になっており、回動することで、それらスラットの間の隙間を通じた通気が可能な通気状態と、スラットの間を通じた通気を遮断する通気遮断状態とに移行する。シャッタカーテン46が閉鎖状態にあり且つ各スラットが通気遮断状態にある場合、スラット同士の間に隙間が形成されず、屋外側からシャッタカーテン46を通じてガレージ15内を視認することができないようになっている。
本実施形態の建物10においては、駐車スペース16に駐車された車両Cに電力を供給するための車両給電システムが構築されている。ここでは、車両給電システムの構成について説明する。なお、駐車スペース16に駐車される車両Cは、充電可能な車載バッテリを有しており、その車両Cとしては、プラグインハイブリッド(PHV)自動車や電気自動車等の電動車両が挙げられる。
図4に示すように、車両給電システムは、商用電力を分電盤54から車両Cに供給する給電装置55を有している。分電盤54は、主幹ブレーカ54aを有しており、その主幹ブレーカ54aの一次側に商用電力が供給される。給電装置55は、車両Cに接続されることで分電盤54からの電力を車両Cに電力を供給する給電ケーブル57と、給電ケーブル57を巻き取ることが可能な巻取装置58とを有している。給電ケーブル57においては、巻取装置58から引き出される側の端部に接続プラグ59が設けられており、その接続プラグ59が車両Cのプラグ接続部に接続されることで給電ケーブル57が車両Cの車載バッテリと電気的に接続される。
ガレージ15、車寄せ28及びガレージ収納26には、巻取装置58を支持する支持レール61が設けられている。支持レール61は、その支持レール61に沿って延びる通電経路を有しており、その通電経路は銅線や銅板といった電気伝導率の高い材料により形成されている。支持レール61の通電経路は、分電盤54に対して電気的に接続されているとともに、巻取装置58を介して給電ケーブル57に対して電気的に接続されている。
支持レール61と分電盤54とは、それら支持レール61と分電盤54との通電を遮断することが可能な通電遮断部62を介して接続されている。通電遮断部62は、通電状態と通電遮断状態とに移行可能であり、通電遮断部62が通電状態にある場合に、分電盤54から支持レール61及び巻取装置58を介して給電ケーブル57に供給され、通電遮断部62が通電遮断状態にある場合に、分電盤54から給電ケーブル57に電力が供給されない。なお、通電遮断部62及び分電盤54が、給電ケーブル57を介して車両Cに電力を供給する給電部を構成している。
巻取装置58は、給電ケーブル57を巻き取るための巻取軸を有しており、巻取軸に給電ケーブル57を巻き取った巻取状態と、巻取軸から給電ケーブル57が繰り出された繰り出し状態とに移行可能になっている。なお、巻取装置58が、給電ケーブル57を支持する支持部に相当する。
支持レール61は、ガレージ15、車寄せ28及びガレージ収納26の各天井面に沿って延びており、巻取装置58は支持レール61に沿ってスライド移動することが可能になっている。巻取装置58は、支持レール61から離脱しないようにその支持レール61に対して係止されており、その状態のまま天井面(支持レール61)に沿って移動することになる。巻取装置58は、支持レール61に沿って移動するために駆動する移動駆動部63と、給電ケーブル57の巻き取り又は引き出しを行うために駆動する巻取駆動部64とを有している。これら駆動部63,64は、いずれも電気モータを含んで構成されており、個別に駆動することが可能になっている。
なお、巻取装置58においては、駆動部63,64を駆動させなくても、人が給電ケーブル57を巻取装置58の真下に引っ張ることでその給電ケーブル57を巻取装置58から引き出すことが可能になっているとともに、給電ケーブル57を巻取装置58の斜め下方に引っ張ることで巻取装置58を支持レール61に沿って移動させることが可能になっている。
図2に示すように、支持レール61は、ガレージ15の幅方向に延びている第1レール部61aと、ガレージ15の奥行き方向に延びている第2レール部61bとを有している。第1レール部61aは、ガレージ15の手前側(車両出入口18側)及び奥側(奥出入口23側)のそれぞれにおいて、ガレージ15を跨いで車寄せ28とガレージ収納26とに架け渡されている。第2レール部61bは、ガレージ15に設けられ、ガレージ15の手前側及び奥側に配置された各第1レール部61aを連結している。巻取装置58は、各第1レール部61aと第2レール部61bとの接続部分を跨ぐようにして移動することが可能になっている。
車寄せ28及びガレージ収納26には、支持レール61の端部がそれぞれ配置されている。具体的には、支持レール61のうち、ガレージ15の手前側及び奥側に配置された各第1レール部61aが、ガレージ15から車寄せ28及びガレージ収納26のそれぞれに入り込んだ状態になっている。なお、各第1レール部61aにおけるガレージ収納26に入り込んでいる部分は、第2対向壁22を貫通した状態になっている。
車寄せ28及びガレージ収納26には、巻取装置58を収納する収納ケース65がそれぞれ設けられている。収納ケース65は、略直方体形状の箱体とされており、支持レール61の各端部のそれぞれに対して設けられ、各収納ケース65は支持レール61の各端部を収納した状態で設置されている。この場合、ガレージ15の手前側及び奥側に配置された各第1レール部61aの各端部は、それぞれガレージ15側から収納ケース65内に入り込んだ状態になっている。また、各収納ケース65は、対向壁21,22の上端に合わせて配置されており、車寄せ28及びガレージ収納26の各天井面に当接している(図3、図4参照)。
車寄せ28においては、各収納ケース65が玄関ドア34の支障にならない位置に設けられている。この場合、車寄せスペース32において、玄関ドア34を開閉するための領域を開閉領域とし、収納ケース65の設置領域を給電ケーブル57を収納するための収納領域とすれば、それら開閉領域と収納領域とは互いに重ならない(異なる)位置に配置されている。
また、ガレージ収納26においては、物品を置いておくための物品棚などが設置されており、各収納ケース65が物品棚など物品を置くことに支障にならない位置に設けられている。この場合、収納スペース41において、物品棚の設置領域など物品を収納するための領域を物品領域とし、収納ケース65の設置領域を給電ケーブル57を収納するための収納領域とすれば、それら物品領域と収納領域とは互いに重ならない(異なる)位置に配置されている。
図4に示すように、車寄せ28においては、ガレージ15の手前側及び奥側のそれぞれにて、第1対向壁21により形成された凹部31の上端の各入隅部に対して収納ケース65がそれぞれ配置されている。ガレージ収納26においては、ガレージ15の手前側及び奥側のそれぞれにて、収納ケース65が第2対向壁22を貫通した状態で配置され、各収納ケース65の一側面がガレージ15側に露出しており、それら収納ケース65の露出面は、第2対向壁22の壁面22aと同一面を形成している。
各収納ケース65においては、支持レール61が入り込んでいる面(ガレージ15側の面)が開閉可能なフタ部66により形成されている。フタ部66は、その下端部が軸支されており、上端部が収納ケース65の開放部から離間する方向に回動することで収納ケース65をガレージ15側に向けて開放する。ここで、フタ部66が開放状態にあり、且つ巻取装置58が巻取状態にある場合に、その巻取装置58が支持レール61に沿って収納ケース65内に移動することが可能になっている。
なお、給電ケーブル57は、巻取装置58と共に収納ケース65に収納されることで収納状態に移行し、巻取装置58が収納ケース65の外側に出てガレージ15側に引き出されることで非収納状態に移行する。給電ケーブル57が非収納状態にある場合、その給電ケーブル57の少なくとも一部が駐車スペース16に存在(露出)していることになる。
各収納ケース65には、フタ部66を開閉させるために駆動するフタ駆動部67が設けられている。フタ駆動部67は、電気モータを含んで構成されており、フタ部66が閉鎖状態にあり且つフタ駆動部67が駆動していない場合には、フタ部66の開放がフタ駆動部67やストッパなどにより規制されている。なお、フタ部66が開放状態にある場合には、フタ駆動部67を駆動させなくても人がフタ部66を押すことでそのフタ部66を閉鎖させることが可能になっている。
なお、収納ケース65のフタ部66、フタ駆動部67、ストッパが、給電ケーブル57が収納状態から非収納状態に移行することを規制するケーブル規制手段に相当する。
次に、車両給電システムの電気的な構成について説明する。
車両給電システムにおいて、制御手段としてのホームサーバ71は、CPUや各種メモリ等からなるマイクロコンピュータを含んで構成されており、例えば玄関25の内壁面に取り付けられている。
ホームサーバ71には、分電盤54に商用電力が供給されていることを検出する電力センサ72と、シャッタ装置45の開放状態を検出するシャッタセンサ73と、玄関施錠装置35の施錠状態を検出する玄関施錠センサ74と、ガレージ15内に車両Cがあることを検出する車両センサ75と、巻取装置58が収納ケース65に収納されていることを検出する収納センサ76とが接続されており、それらセンサ72〜76は検出信号をホームサーバ71に対して出力する。
電力センサ72は、分電盤54に設けられており、その分電盤54の商用設備側に商用電力が供給されていないことを停電として検出する停電センサである。なお、車両給電システムはバッテリ等の蓄電装置を有しており、停電が発生した場合に、蓄電装置から車両給電システムに対して電力が供給されるようになっている。このため、停電中であっても、ホームサーバ71や電力センサ72等をある程度の時間においては動作させることができるようになっている。
シャッタセンサ73は、シャッタ装置45に設けられており、シャッタケース47の回転ドラムの回転角度を検出することなどによって、シャッタカーテン46が閉鎖状態にあることを検出する。玄関施錠センサ74は、玄関施錠装置35に設けられており、玄関施錠装置35が施錠状態にあることを検出する。
車両センサ75は、ガレージ15内に設けられており、駐車スペース16内を正規の駐車位置として車両Cが駐車されていることを検出し、ガレージ15内に車両Cが存在していてもその位置が正規の駐車位置でなければ車両Cの駐車としては検出しない。なお、正規の駐車位置は、車両Cが支障とならずにシャッタ装置45を閉鎖することができる位置ともなっている。
収納センサ76は、各収納ケース65のそれぞれに設けられており、収納ケース65内に巻取装置58が収納された場合にその巻取装置58と接触することで巻取装置58の収納を検出する接触センサとされている。各収納ケース65において、収納センサ76は収納ケース65の内周面から突出している。なお、収納センサ76は、巻取装置58に設けられていてもよい。この場合、収納センサ76は、巻取装置58の外周面から突出しており、巻取装置58が収納ケース65に収納されることで収納センサ76が収納ケース65の内周面に接触するようになっている。
ホームサーバ71には、シャッタ駆動部53と、分電盤54の主幹ブレーカ54aと、通電遮断部62と、巻取装置58の移動駆動部63及び巻取駆動部64と、各収納ケース65のフタ駆動部67と、無線通信や有線通信が可能な通信装置79とがアクチュエータとしてそれぞれ接続されており、ホームサーバ71は、指令信号を出力することでこれらアクチュエータの動作制御を行うことが可能になっている。
通信装置79は、スマートキーや携帯電話等の携帯機Kとの無線通信が可能になっている。携帯機Kは、住人等により入力操作が行われる操作装置であり、入力操作に応じて操作信号を出力し、その操作信号が通信装置79を介してホームサーバ71に入力されることで、ホームサーバ71により操作信号に応じた上記アクチュエータの動作制御が行われる。なお、携帯機Kとは別の操作装置がホームサーバ71に接続されていてもよい。この場合、別の操作装置に対して入力操作が行われた場合も、携帯機Kに対して入力操作が行われた場合と同様に、ホームサーバ71により上記アクチュエータの動作制御が行われる。
ホームサーバ71は、上記アクチュエータを制御対象としてガレージ管理処理を行うことが可能になっている。ここでは、ホームサーバ71により実行されるガレージ管理処理について、図5のフローチャートを参照しつつ説明する。なお、ホームサーバ71は、ガレージ管理処理を所定周期で繰り返し実行する。
図5において、ステップS101では、電力センサ72の検出信号に基づいて、停電が発生しているか否かを判定する。停電中でない場合、つまり、商用電力が分電盤54に供給されている場合、ステップS102に進み、各収納ケース65の収納センサ76の検出信号に基づいて、巻取装置58が各収納ケース65のいずれかに収納されているか否かを判定する。巻取装置58が収納ケース65に収納されている場合、ステップS103に進む。ちなみに、巻取装置58が収納ケース65に収納されている場合は、通電遮断部62が通電遮断状態になっており、分電盤54から給電ケーブル57には電力が供給されていない状態になっている。
ステップS103では、シャッタ装置45の制御モードを開放許可モードに設定する。開放許可モードに設定されている場合は、シャッタカーテン46を開放させる旨の操作信号が携帯機Kから入力されれば、その操作信号に応じてシャッタ駆動部53を動作させることで、シャッタ装置45を開放状態に移行させる。この場合、仮に、給電ケーブル57から電気を盗もうとしている不審者がシャッタカーテン46を開放してガレージ15内に侵入したとしても、巻取装置58が収納ケース65に収納されているため、不審者は給電ケーブル57を視認することができず、ひいては、給電ケーブル57の存在を知ることすらできない。
ステップS104では、ガレージ15内に車両Cが駐車されているか否かを判定し、ステップS105では、シャッタ装置45が閉鎖状態にあるか否かを判定する。車両Cが駐車されており、且つシャッタ装置45が閉鎖状態にある場合は、ステップS106に進み、給電ケーブル57に関する制御モードを給電ケーブル57の使用を許可する給電許可モードに設定する。
給電許可モードに設定されている場合、給電ケーブル57を使用する旨の操作信号が携帯機Kから入力されれば、その操作信号に応じてフタ駆動部67、移動駆動部63及び巻取駆動部64を動作させ、巻取装置58を収納ケース65内から駐車スペース16に移動させるとともに、給電ケーブル57を巻取装置58から所定長さだけ繰り出す。そして、接続プラグ59が車両Cのプラグ接続部に接続されたことなどを条件として、通電遮断部62を通電状態に移行させ、分電盤54から給電ケーブル57等を介して車両Cに電力を供給する。
ちなみに、支持レール61がガレージ15の幅方向及び奥行方向の両方に延びているため、ユーザは、車両Cの駐車位置や車種、プラグ接続部の位置などに応じて巻取装置58を移動させることで、給電ケーブル57の接続プラグ59を車両Cのプラグ接続部に容易に接続することができる。
シャッタ装置45が閉鎖状態にない場合(ステップS105がNO判定の場合)、つまり、シャッタ装置45が開放状態にある場合は、ステップS107に進み、玄関施錠センサ74の検出信号に基づいて、玄関ドア34の玄関施錠装置35が施錠状態にあるか否かを判定する。シャッタ装置45が開放状態にあっても、玄関ドア34が施錠状態にない場合、つまり、玄関ドア34が解錠状態にある場合は、ステップS106に進み、ユーザが車両充電を行う準備のために建物10内とガレージ15とを行き来している最中であるなどとして、給電許可モードに設定する。これにより、ユーザは、車両Cをガレージ15に入庫させた直後や、車両Cをガレージ15から入庫させる直前のタイミングにおいて、シャッタ装置45を閉鎖させるという煩わしい作業を行うことなく、車両充電を行うことができる。
一方、シャッタ装置45が開放状態にあり、且つ玄関ドア34が施錠状態にある場合、ステップS108に進み、給電ケーブル57に関する制御モードを給電ケーブル57の使用を禁止する給電禁止モードに設定する。給電禁止モードに設定されている場合、給電ケーブル57を使用する旨の操作信号が携帯機Kから入力されても、フタ駆動部67、移動駆動部63及び巻取駆動部64を動作させない。この場合、巻取装置58は収納ケース65内から駐車スペース16には移動されず、給電ケーブル57は巻取装置58から繰り出されないため、給電ケーブル57を車両Cに接続することができない。つまり、車両Cへの給電を行うことができない。
ここで、玄関ドア34が施錠状態にある場合、シャッタ装置45が開放状態にあれば、仮にユーザが建物10内に居たとしても、ユーザが気付かないうちに不審者が給電ケーブル57を別の車両に接続してその車両への給電を不正に行うということが懸念される。これに対して、給電禁止モードに設定されていれば、不審者が仮に給電ケーブル57の収納位置に気が付いたとしても、給電ケーブル57をガレージ15側に引き出すことができない。したがって、不審者により別の車両に不正に給電が行われるということを回避できる。
また、ユーザが建物10内から出てきて車両Cへの給電を行う場合は、玄関ドア34が解錠状態に移行されることになるため、玄関ドア34が施錠状態にある場合には、給電ケーブル57が使用できない状態になっていてもユーザにとっての不都合は生じにくい。
ガレージ15内に車両Cが駐車されていない場合(ステップS104がNO判定の場合)、ステップS108に進み、シャッタ装置45が開放状態であり且つ玄関ドア34が施錠状態である場合と同様に、給電禁止モードに設定する。ガレージ15内に車両Cが駐車されていない場合、仮にシャッタ装置45が閉鎖状態にあっても、不審者が給電ケーブル57をガレージ15の外側に引き出して別の車両に接続することが懸念される。これに対して、上述したように、給電禁止モードに設定されていれば、不審者は給電ケーブル57をガレージ15側に引き出すことができないため、不審者により別の車両に不正に給電が行われるということを回避できる。
巻取装置58が収納ケース65に収納されていない場合(ステップS102がNO判定の場合)、ステップS109に進み、玄関ドア34が施錠状態にあるか否かを判定する。巻取装置58が収納ケース65に収納されていなくても、玄関ドア34が解錠状態にある場合は、ステップS110に進み、巻取装置58が収納ケース65に収納されている場合と同様に、シャッタ開放許可モードに設定する。ここで、玄関ドア34が解錠状態にある場合は、ユーザが玄関25とガレージ15とを行き来している可能性が高く、不審者がシャッタカーテン46を開放することにユーザが気付きやすいと考えられるため、巻取装置58が収納ケース65に収納されずに給電ケーブル57がガレージ15側に露出していても、不審者によって給電ケーブル57から電気が盗まれる可能性は低い。
巻取装置58が収納ケース65に収納されておらず、且つ玄関ドア34が施錠状態にある場合、ステップS111に進み、シャッタ装置45の制御モードを開放禁止モードに設定する。開放禁止モードに設定されている場合は、シャッタカーテン46を開放させる旨の操作信号が携帯機Kから入力されても、シャッタ駆動部53を動作させない。この場合、巻取装置58が収納ケース65に収納されずに給電ケーブル57がガレージ15側に露出していても、不審者がシャッタカーテン46を開放させてガレージ15内に侵入するということができないため、不審者により給電ケーブル57から電気が盗まれることを回避できる。
停電が発生している場合(ステップS101がYES判定の場合)、ステップS106に進み、給電ケーブル57の使用を許可する給電許可モードに設定する。停電中の給電許可モードにおいては、収納ケース65についてフタ部66の開放規制、及び巻取装置58からの給電ケーブル57の繰り出し規制をそれぞれ解除しており、ユーザは、手作業により、フタ部66を開放し、巻取装置58を収納ケース65から取り出し、巻取装置58から給電ケーブル57を引き出すことができる。そして、接続プラグ59が車両Cのプラグ接続部に接続されたことなどを条件として、通電遮断部62を通電状態に移行させる。これにより、車両Cの車載バッテリから給電ケーブル57等の給電装置55を介して分電盤54に電力が供給される。この結果、車載バッテリにより建物10の電気設備を動作させることが可能となる。
なお、停電中においては、シャッタ装置45について開放許可モードを設定する。停電中の開放許可モードにおいては、シャッタカーテン46の開放規制を解除しており、ユーザは、閉鎖状態にあるシャッタカーテン46を持ち上げることでシャッタカーテン46を開放することができる。
以上詳述した本実施形態によれば、以下の優れた効果が得られる。
車両出入口18のシャッタ装置45が開放状態にある場合、給電禁止モードに設定されて給電ケーブル57が収納状態にて保持されることで、車寄せスペース32や収納スペース41から駐車スペース16に露出することがない。ここで、駐車スペース16に対する屋外空間からの視線が第1対向壁21やガレージ収納26により遮られることで、駐車スペース16の側方からではその駐車スペース16内の状況を視認することができない。
また、ガレージ15の幅方向において、給電ケーブル57を収納可能な収納スペース41及び車寄せスペース32が駐車スペース16の外側に配置されているため、仮に不審者が車両出入口18から駐車スペース16内を覗き込んだとしても、車両出入口18からでは一対の対向壁21,22が支障になって収納スペース41及び車寄せスペース32自体が見えにくくなっており、それら収納スペース41や車寄せスペース32に収納された状態の給電ケーブル57を視認することは非常に困難になっている。つまり、車両出入口18がシャッタ装置45により閉鎖されていなくても、車寄せスペース32や収納スペース41に収納された給電ケーブル57の存在を不審者に知られないで済む。
したがって、給電ケーブル57によって電力が不正に使用されるということを抑制できる。
給電ケーブル57が巻取装置58により支持されているため、巻取装置58を支持レール61に沿って車寄せスペース32や収納スペース41側に移動させるという容易な作業により、給電ケーブル57を収納状態に移行させることができる。この場合、給電ケーブル57が巻取装置58により支持されていない構成とは異なり、ユーザが給電ケーブル57の全体を手作業で持ち運ぶ必要がないため、給電ケーブル57を使用して車両Cへの給電作業を行った後に、給電ケーブル57を片付ける作業が容易になる。
支持レール61がガレージ15、車寄せ28及びガレージ収納26の各天井面に沿って延びるように設けられているため、車両Cが駐車されている状態のガレージ15内において給電ケーブル57の移動を車両Cの上方にて行うことができる。このため、車両Cにおけるプラグ接続部の位置や車両Cの駐車位置などに応じて給電ケーブル57を移動させる際に、給電ケーブル57が車両Cに接触してしまうという可能性を低減できる。
給電ケーブル57は車寄せスペース32や収納スペース41において収納ケース65に収納されることで収納状態に移行されるため、意図せずに給電ケーブル57が駐車スペース16側にはみ出してしまうことを抑制できる。しかも、支持レール61が収納ケース65内に入り込んだ状態になっているため、給電ケーブル57を巻取装置58ごと収納ケース65に収納することができる。これにより、給電ケーブル57を収納ケース65内に収納する作業を容易化できる。
車寄せスペース32においては、玄関ドア34の開閉領域とは異なる部分に収納ケース65が設置されているため、収納状態に移行させた給電ケーブル57や収納ケース65が玄関ドア34の開閉の支障になるということを回避できる。また、収納スペース41においては、物品を置くスペースとは異なる部分に収納ケース65が設置されているため、収納状態に移行させた給電ケーブル57や収納ケース65が物品を置くことの支障になるということを回避できる。
シャッタ装置45が開放状態にある場合でも、玄関ドア34が解錠状態にあれば、給電許可モードに設定されて給電ケーブル57を非収納状態に移行させることが可能であるため、給電禁止モードから給電許可モードに切り替えるためだけにシャッタ装置45を閉鎖状態に移行させるという手間をかけなくても、給電ケーブル57を駐車スペース16側に引き出す作業を速やかに行うことができる。ここで、玄関ドア34が施錠されていない状況としては、ユーザが車両Cの充電を行う準備のために玄関口33を出入りする可能性の高い状況が想定され、その状況では、ユーザが玄関口33から駐車スペース16に出ることで、電力が不正に使用されることに対する抑止力を発揮できる。したがって、シャッタ装置45を閉鎖するという手間をかけなくても、車両Cへの給電に関する防犯性が低下することを抑制できる状態になっている。
給電ケーブル57が非収納状態にある場合は、開放禁止モードに設定されてシャッタ装置45が閉鎖状態で保持されることで、不審者が車両出入口18からガレージ15内に侵入することが抑止できるため、給電ケーブル57が駐車スペース16側に引き出された状態になっていても、その給電ケーブル57が不正に使用されることを抑制できる。その一方で、給電ケーブル57が収納状態にある場合は、開放許可モードに設定されてシャッタカーテン46を開放可能になっているため、ユーザが車両出入口18から駐車スペース16内に容易に出入りすることができ、シャッタ装置45の使い勝手が悪くなることを抑制できる。
給電ケーブル57が非収納状態にある場合でも、玄関ドア34が解錠されていれば、開放許可モードに設定されてシャッタカーテン46を開放することが可能になっている。この場合、シャッタカーテン46を開放するためだけに給電ケーブル57を片付けて収納ケース65に収納するという手間をかけなくても、シャッタ装置45を開放状態に移行させるという作業を速やかに行うことができる。ここで、玄関ドア34が施錠されていない状況では、ユーザが玄関口33から駐車スペース16に出ることで、給電ケーブル57が不正に使用されることに対する抑止力を発揮できる。したがって、給電ケーブル57を片付けるという手間をかけなくても、車両Cへの給電に関する防犯性が低下することを抑制できる状態になっている。
車寄せスペース32及び収納スペース41の両方に収納ケース65が設置されているため、車寄せスペース32及び収納スペース41のいずれかを給電ケーブル57の収納先として適宜選択することができる。このため、車寄せスペース32及び収納スペース41のそれぞれの都度の状況に応じて、給電ケーブル57を好適に収納することができる。
停電が発生した場合、シャッタ装置45の開閉状態にかかわらず、給電ケーブル57を収納ケースら駐車スペース16に引き出すことが可能であるため、給電ケーブル57を車両Cに接続し、その車両Cから給電ケーブル57や分電盤54を通じて建物設備に電力を供給することができる。つまり、建物10への供給電力を車両Cの車載バッテリにより賄うことができる。
[他の実施形態]
本発明は上記実施形態の記載内容に限定されず、例えば次のように実施されてもよい。
(1)支持レール61の設置ルートは上記実施形態の構成に限られない。例えば、図6に示すように支持レール61が設置されていてもよい。図6(a),(b)においては、支持レール61の第1レール部61a及び第2レール部61bがそれぞれ1つずつ配置されており、ガレージ15の奥行き方向における第1レール部61aの位置が異なっているだけである。図6(c)においては、第2レール部61bがガレージ15において車寄せ28側及びガレージ収納26側のそれぞれに配置されており、それら第2レール部61bがガレージ15の奥行き方向における中間位置にて第1レール部61aにより連結されている。なお、図6においては、第1レール部61aにおけるガレージ収納26内に入り込んでいる部分の図示を省略している。
また、図6(b),(c)に示すように、ガレージ15の奥側にも車両Cの駐車が可能な駐車スペース16が確保されていてもよい。この場合、ガレージ収納26と車寄せ28との間に駐車される車両C1、及びガレージ収納26よりも奥側に駐車される車両C2のいずれも、建物10のファサード側から車両出入口18に入庫される。なお、複数の車両Cが駐車スペース16に駐車される構成では、給電ケーブル57が複数設けられていることが好ましい。この場合、複数の車両Cに対してそれぞれ給電ケーブル57が接続されることで、それら車両Cに対する給電を同時に行うことができる。
さらに、図6(c)に示すように、車寄せ28は、ガレージ15の奥行き方向において車両出入口18から奥側に離間していれば、奥出入口23よりもガレージ15の奥側に延びるように設けられていてもよい。つまり、車寄せスペース32は、駐車スペース16の隣からガレージ15の奥側に向けて延びるように設けられていてもよい。
(2)上記実施形態では、ガレージ15の幅方向において駐車スペース16の左右両側方に駐車隣接スペース(収納スペース41及び車寄せスペース32)が設けられていたが、駐車隣接スペースは、駐車スペース16の左右両側方のうち一方だけに設けられていてもよい。例えば、車寄せ28及びガレージ収納26のうち車寄せ28だけが設けられている構成とする。この場合でも、駐車スペース16は互いに対向する壁面21a,22a(一対の対向壁21,22)の間に配置されていることになる。
(3)上記実施形態では、第1対向壁21により形成された凹部31の内側スペースが駐車隣接スペースとしての車寄せスペース32とされていたが、駐車隣接スペースは、第1対向壁21を挟んで駐車スペース16とは反対側に配置されていてもよい。例えば、車寄せ28が設けられておらず、第1対向壁21を挟んでガレージ15と玄関25とが隣接しており、玄関25の内部空間である玄関スペースが駐車隣接スペースとされ、その玄関スペースが玄関口33を通じて駐車スペース16に通じている構成とする。この場合、支持レール61が第1対向壁21を通じて玄関スペース内に入り込んだ状態で設けられ、給電ケーブル57が支持レール61に沿って移動することで、玄関スペース内に収納されることが好ましい。
また、上記のように、駐車隣接スペースは、車寄せスペース32や収納スペース41ではなく、玄関スペースなどにより形成されていてもよい。
(4)上記実施形態では、駐車隣接スペースとしての収納スペース41が第2対向壁22を挟んで駐車スペース16の反対側に配置されていたが、駐車スペース16とは反対側に向けて凹んだ凹部が第2対向壁22により形成され、その凹部の内側スペースにより収納スペース41が形成されていてもよい。この場合、収納スペース41は、駐車スペース16と連続した空間となり、駐車スペース16と同様に半屋外空間となる。
(5)上記実施形態では、給電ケーブル57が巻取装置58を介して支持レール61により支持されていたが、給電ケーブル57が支持レール61に沿って延びるように設けられていてもよい。例えば、支持レール61に沿って移動する複数の支持フックが設けられ、それら支持フックにより給電ケーブル57が支持されている構成とする。この構成では、巻取装置58が車寄せスペース32や収納スペース41、対向壁21,22の内部に設置され、巻取装置58から給電ケーブル57が繰り出されることで、給電ケーブル57における接続プラグ59側の部分を支持レール61に沿って巻取装置58から遠ざかる側に移動させることができる。
なお、この構成では、支持フックが給電ケーブル57を支持する支持部に相当する。また、通電遮断部62が支持レール61の通電経路を介さずに給電ケーブル57に接続されている。この場合、給電装置55には支持レール61の通電経路が含まれないことになる。
(6)上記実施形態では、給電ケーブル57がガレージ15や車寄せ28、ガレージ収納26の天井面に沿って移動する構成としたが、給電ケーブル57がガレージ15や車寄せ28、ガレージ収納26の壁面に沿って移動する構成としてもよい。例えば、支持レール61の少なくとも一部がガレージ15や車寄せ28、ガレージ収納26の壁面に沿って延びるように設けられている構成とする。この場合でも、支持レール61がガレージ15の天井面に沿って延びるように設けられている場合と同様に、駐車スペース16に駐車された車両Cの上方において給電ケーブル57を移動させることが容易となる。
また、給電ケーブル57はガレージ15や車寄せ28、ガレージ収納26の床面に沿って移動する構成としてもよい。つまり、支持レール61がガレージ15や車寄せ28、ガレージ収納26の床面に沿って延びるように設けられていてもよい。
(7)上記実施形態では、給電ケーブル57が支持レール61により支持されている構成としたが、給電ケーブル57は駐車スペース16と駐車隣接スペース(車寄せスペース32又は収納スペース41)とに移動可能であれば、支持レール61により支持されていなくてもよい。例えば、巻取装置58が収納ケース65内に固定されている構成とする。この場合、給電ケーブル57は、巻取装置58により巻き取られることで収納ケース65内に収納された収納状態に移行し、巻取装置58から繰り出されることで駐車スペース16側に露出した非収納状態に移行する。
また、支持レール61が駐車スペース16及び駐車隣接スペースのうち一方だけに設けられていてもよい。この場合でも、支持レール61が設けられていない場合と同様に、給電ケーブル57を収納状態と非収納状態とに移行させることは可能である。
(8)上記実施形態では、シャッタ装置45の開閉状態に合わせてホームサーバ71が給電ケーブル57の引き出しを規制する処理を行っていたが、シャッタ装置45の開閉に合わせて給電ケーブル57の引き出し規制が機械的に行われる構成としてもよい。例えば、収納ケース65にフタ部66の開放をロック(規制)するロック装置が設けられており、そのロック装置とシャッタ装置45とがワイヤ等で機械的に接続されている構成とする。この構成では、シャッタ装置45が開放状態にある場合は、収納ケース65のロック装置がロック状態にあり、シャッタ装置45が閉鎖状態に移行されることで、ロック装置がロック解除状態に移行する。この場合、ロック装置がケーブル規制手段に相当する。
(9)上記実施形態では、収納ケース65がフタ部66を有していたが、フタ部66は設けられていなくてもよい。この場合でも、給電ケーブル57は、収納ケース65内に収納されることで収納状態に移行することになる。なお、フタ部66が設けられていない場合、収納ケース65内に巻取装置58が収納された状態で、巻取装置58が収納ケース65から出ることが移動駆動部63やストッパにより規制されることが好ましい。この場合、ストッパは支持レール61や収納ケース65に設けられており、移動駆動部63やストッパが給電ケーブル57の非収納状態への移行を規制するケーブル規制手段に相当する。
(10)上記実施形態では、給電ケーブル57が収納ケース65に収納された状態を給電ケーブル57の収納状態としたが、給電ケーブル57が収納ケース65に収納されていなくても、車寄せスペース32や収納スペース41といった駐車隣接スペースに収納された状態を収納状態としてもよい。例えば、収納ケース65が駐車隣接スペースに設けられておらず、給電ケーブル57が駐車スペース16側に移動しないように固定する固定装置が駐車隣接スペースに設けられている構成とする。この構成でも、給電ケーブル57を収納状態にて保持することが可能となり、固定装置がケーブル規制手段に相当する。なお、固定装置は、その内部に給電ケーブル57を収納しなくても、例えば給電ケーブル57の一部に引っ掛けられることなどによりその給電ケーブル57を固定するものであればよい。
(11)車両出入口18を閉鎖する閉鎖装置はシャッタ装置45でなくてもよい。例えば、水平方向にスライド移動する開閉体や、対向壁21,22に対して軸支された開き戸タイプの門扉などが閉鎖装置として車両出入口18に設けられている構成とする。
(12)上記実施形態では、ガレージ15に車両出入口18及び奥出入口23の両方が設けられていたが、ガレージ15には少なくとも車両出入口18が設けられていればよく、奥出入口23は設けられていなくてもよい。つまり、駐車スペース16への車両Cの出入りは車両出入口18から行われればよい。
(13)上記実施形態では、互いに対向する2つの対向部のうち、一方の対向部が第1対向壁21とされ、他方の対向部がガレージ収納26とされていたが、他方の対向部は第2対向壁22とされていてもよい。例えば、第2対向壁22を挟んで駐車スペース16の反対側に収納スペース41が形成されているのではなく、第2対向壁22が駐車スペース16とは反対側に向けて凹んでおり、その凹部内が収納スペース41とされた構成とする。この構成では、第1対向壁21と第2対向壁22との間に、駐車スペース16、収納スペース41及び車寄せスペース32が設けられている。つまり、対向壁21,22の並び方向において、駐車スペース16の両側方に駐車隣接スペースが配置されている。
また、ガレージ収納26が設けられておらず、第2対向壁22により外壁が形成された構成とする。この構成では、第1対向壁21と第2対向壁22との間に、収納スペース41は設けられていない。つまり、対向壁21,22の並び方向において、駐車スペース16の一側方にだけ駐車隣接スペースが配置されていることになる。この場合、第2対向壁22は構造的に建物10から独立して設けられた独立壁とされていてもよく、非構造体とされていてもよい。
(14)上記実施形態では、玄関ドア34が開き戸とされていたが、玄関ドア34はスライド式の引き戸とされていてもよい。この場合、車寄せスペース32においては、玄関ドア34を開閉するための開閉領域がほぼ存在しないため、給電ケーブル57を収納するための(収納ケース65が設置された)収納領域は、玄関口33への人の出入りに支障にならない位置に設定されることが好ましい。
(15)上記実施形態では、給電ケーブル57が収納状態にある場合に、携帯機Kに対して入力操作が行われたことを条件として、巻取装置58が収納ケース65から出て給電ケーブル57が巻取装置58から繰り出されるが、携帯機Kに対する入力操作が行われなくても、ガレージ15内に車両Cが駐車されている状態でシャッタ装置45が閉鎖状態に移行されたことを条件として、巻取装置58が収納ケース65から出て給電ケーブル57が巻取装置58から繰り出されてもよい。この構成によれば、ユーザがシャッタ装置45を閉鎖状態に移行させるだけで給電ケーブル57が非収納状態に移行することになるため、携帯機Kに対して入力操作を行うという手間を省くことができる。
(16)給電ケーブル57には、商用電力ではない非商用電力が供給されてもよい。例えば、自家発電装置としての太陽光発電装置や、蓄電装置、燃料電池装置が電力供給源として建物10に設けられており、その電力供給源から給電ケーブル57に電力が供給される構成とする。この構成では、電力供給源から通電遮断部62を介さずに給電ケーブル57への給電が行われてもよい。この場合、電力供給源が給電部に相当する。