JP5975331B2 - プラズモニック導波路を用いた光デバイス及び光アイソレーター - Google Patents
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Description
基本構造の3層積層構造に、光を入射する。即ち、図5において、紙面左から右に向けて入射する。図5は、導波路の光伝播方向の断面であり、該光伝播方向に垂直な方向の断面は、強磁性金属や第1及び第2の誘電体のいずれか1つ以上が、所定の幅に形成され、それにより、プラズモンを閉じこめ、導波路を形成することができる。磁場を光伝播方向に対して垂直に印加する。磁場を印加する方向が、図5に示すように、紙面に垂直で、その向きが紙面に垂直に入る向きの場合、出力が得られる。逆に、磁化を印加する方向が、図5において、紙面に垂直で、その向きが紙面に垂直に出る向きの場合、出力が得られない。前記強磁性金属層は、プラズモンの伝播方向に対して垂直な磁化を有し、磁化の向きにより光アイソレーション機能を制御できる。
本実施の形態は、Co/SiO2/Siからなる3層のプラズモニック導波路に関する。本実施の形態について図6を参照して説明する。図6(a)は、Si基板に製作されたプラズモニック導波路の構造を示す図である。SiO2層がSi基板とCo層の間に介在している。図6(b)は、SiO2の膜厚に対する、プラズモンが1/eに減衰する伝播距離(右縦軸)、及びSiO2の膜厚に対する磁気光学性能指数(左縦軸)の値を示す図である。図6(a)では、磁場がプラズモンの伝播方向に対して垂直に印加されている。図6(a)は、紙面の左から光を入射する場合で、かつ強磁性金属層Coの磁化を図6(a)紙面に垂直に入る方向とする場合の図である(順方向)。光は波長1550nmを使用した例である。図6(b)中に矢印で示すように、点線は、伝播距離(右縦軸)を示し、実線は、磁気光学性能指数(左縦軸)の値を示す。図6(b)に示すように、プラズモンは、SiO2の膜厚が6.1nmより薄いか、又は840nmより厚い時のみ、伝播する。SiO2の膜厚が6.1nmより少し薄いか、又は840nmより少し厚い場合、1/eに減衰する伝播距離が長くなり、プラズモンの光損失が小さくなり、磁気光学性能指数が非常に大きくなり、50%を超え、100%以上(図では140%)になる。この磁気光学性能指数が非常に大きくなることが、本発明の重要な効果である。得られた磁気光学性能指数の値は、優れた光アイソレーターとしてプラズモンを利用するのに十分に大きい値である。
本実施の形態は、Co/MgO/Siからなる3層のプラズモニック導波路に関する。本実施の形態について図7を参照して説明する。図7(a)は、Si基板に製作されたプラズモニック導波路の構造を示す図である。MgO層がSi基板とCo層の間に介在している。図7(b)は、MgOの膜厚に対する、プラズモンが1/eに減衰する伝播距離(右縦軸)、及びMgOの膜厚に対する磁気光学性能指数(左縦軸)の値を示す図である。実施の形態1と同様に、図7では、磁場がプラズモンの伝播方向に対して垂直に印加されている。光は波長1550nmを使用した例である。MgOの膜厚が9.6nm−595nmに近くなると磁気光学性能指数は急激に増大する。本実施の形態では、第1の誘電体層(本実施の形態ではMgO)は、第1のカットオフ厚み(本実施の形態では9.6nm)より薄いか、第2のカットオフ厚み(本実施の形態では595nm)より厚いときに、光アイソレーターとして優れた性能を有する。
本実施の形態は、Fe/SiO2/Siからなる3層のプラズモニック導波路に関する。本実施の形態について図8を参照して説明する。図8(a)は、Si基板に製作されたプラズモニック導波路の構造を示す図である。SiO2層がSi基板とFe層の間に介在している。図8(b)は、SiO2層の膜厚に対する、プラズモンが1/eに減衰する伝播距離(右縦軸)、及びSiO2層の膜厚に対する磁気光学性能指数(左縦軸)の値を示す図である。実施の形態1と同様に、図8では、磁場がプラズモンの伝播方向に対して垂直に印加されている。光は波長1550nmを使用した例である。SiO2層の膜厚が8.4nm−600nmに近くなると磁気光学性能指数は急激に増大する。本実施の形態では、第1の誘電体層(本実施の形態ではSiO2)は、第1のカットオフ厚み(本実施の形態では8.4nm)より薄いか、第2のカットオフ厚み(本実施の形態では600nm)より厚いときに、光アイソレーターとして優れた性能を有する。
Co/SiO2/AlGaAsからなる3層のプラズモニック導波路について調べた。本実施の形態について図9を参照して説明する。図9(a)は、GaAs基板上に、Al0.5Ga0.5As層、SiO2層、Co層の順で積層して製作されたプラズモニック導波路の構造を示す図である。SiO2層がCo層とAl0.5Ga0.5As層の間に介在している。図9(b)は、SiO2層の膜厚に対する、プラズモンが1/eに減衰する伝播距離(右縦軸)、及びSiO2層の膜厚に対する磁気光学性能指数(左縦軸)の値を示す図である。実施の形態1と同様に、図9では、磁場がプラズモンの伝播方向に対して垂直に印加されている。光は波長800nmを使用した例である。SiO2層の膜厚が6nm−185nmに近くなると磁気光学性能指数は急激に増大する。本実施の形態では、第1の誘電体層(SiO2)は、第1のカットオフ厚み(本実施の形態では6nm)より薄いか、第2のカットオフ厚み(本実施の形態では185nm)より厚いときに、光アイソレーターとして優れた性能を有する。磁気光学性能指数が100%を超えて、約200%近くに達する。
本実施の形態について図10を参照して説明する。本実施の形態は、リブ型プラズモニック導波路に関する。図10は、本実施の形態のリブ型プラズモニック導波路の断面図である。本実施の形態は、実施の形態1と各層の組成が同じで、Co/SiO2/Siからなるプラズモニック導波路であるが、導波路の構造が具体化されている。光の入射方向をz方向、磁化方向をy方向、積層方向即ち膜面に垂直な方向をx方向とする。図10に図示されるように、Si層の一部に導波路長手方向(図中z方向、プラズモン伝播方向)に伸びる溝を設け、該溝にSiO2層の一部が埋め込まれている。即ちSiO2が半分埋め込まれた構造であり、強磁性金属CoがSiO2層の上に形成されている。図10のように、Siリブはプラズモンを横方向(y方向)に閉じ込めるためである。リブの巾は200nm−500nmで、高さは10nm−150nmである。リブの大きさ(巾、高さ、z方向長さ)はSi細線光導波路とプラズモニック導波路の効果的なカップリングを起こさせるために調整する。実施の形態1と同様に、図10に太い矢印で示すように、磁場は、プラズモンの伝播方向に対して垂直でかつ強磁性金属Co層の面内である方向(y方向)に、印加されている。
本実施の形態について図11を参照して説明する。本実施の形態は、リブ型プラズモニック導波路に関する。図11は、本実施の形態のリブ型プラズモニック導波路の断面図である。本実施の形態は、実施の形態1と各層の組成が同じで、Co/SiO2/Siからなるプラズモニック導波路であるが、導波路の具体的構造が実施の形態5とも異なる構造を有している。図11に図示されるように、Si層の一部が導波路長手方向(プラズモン伝播方向)に伸びる凸部のリブを設け、SiO2層がその上に形成され、さらに強磁性金属CoがSiO2層の上に形成されている。図11のように、SiO2リブはプラズモンを横方向に閉じ込めるためである。リブの巾は200nm−500nmで、高さは10nm−150nmである。リブ大きさ(巾、高さ、z方向長さ)はSi細線光導波路とプラズモニック導波路の効果的なカップリングを起こさせるために調整する。実施の形態1と同様に、図11に太い矢印で示すように、磁場は、プラズモンの伝播方向に対して垂直でかつ強磁性金属Co層の面内である方向(y方向)に、印加されている。
本実施の形態について図12を参照して説明する。本実施の形態は、リブ型プラズモニック導波路に関する。図12は、本実施の形態のリブ型プラズモニック導波路の断面図である。本実施の形態は、実施の形態1と各層の組成が同じで、Co/SiO2/Siからなるプラズモニック導波路であるが、導波路の具体的構造が実施の形態5や6と異なっている。図12に図示されるように、Si層の平坦面上にSiO2層が形成され、さらにSiO2層の上に、リブ型の強磁性金属Coが形成されている。断面矩形の強磁性金属のCo層は、リブ形状となるようにエッチングやパターン形成方法により形成する。図12のように、Coリブは、プラズモンを横方向に閉じ込めるためである。リブの巾は400nm−1200nmで、高さは100nm以上である。リブの大きさ(巾、高さ、z方向長さ)はSi細線光導波路とプラズモニック導波路の効果的なカップリングを起こさせるために調整する。実施の形態1と同様に、磁場は、プラズモンの伝播方向に対して垂直でかつ強磁性金属Co層の面内である方向(y方向)に、印加されている。
本実施の形態は、Fe/SiO2/AlGaAsからなる3層のプラズモニック導波路に関する。本実施の形態について図13を参照して説明する。図13(a)は、GaAs基板上に、AlGaAs層、SiO2層、Fe層の順で積層して製作されたプラズモニック導波路の構造を示す図である。SiO2層がFe層とAlGaAs層の間に介在している。図13(b)は、SiO2層の膜厚に対する、プラズモンが1/eに減衰する伝播距離(右縦軸)、及びSiO2層の膜厚に対する磁気光学性能指数(左縦軸)の値を示す図である。実施の形態1と同様に、図13では、磁場がプラズモンの伝播方向に対して垂直に印加されている。光は波長800nmを使用した例である。SiO2層の膜厚が8nm−167nmに近くなると磁気光学性能指数は急激に増大する。本実施の形態では、第1の誘電体層(SiO2)は、第1のカットオフ厚み(本実施の形態では8nm)より薄いか、第2のカットオフ厚み(本実施の形態では167nm)より厚いときに、光アイソレーターとして優れた性能を有する。磁気光学性能指数が100%を超えて、約160%近くに達する。
プラズモニック導波路の光損失の減少を実証するため、比較例のテスト試料を作製して、測定した。図15は、比較例のテスト試料を示す図である。比較例のテスト試料は、本実施の形態のプラズモニック導波路(図14)を使用せずに、図15のように、強磁性金属のFe層30で覆われた従来の誘電体導波路を使用した。図15においても、磁場は光の伝播方向に対して垂直に印加されている。図15において、図14と同様に、強磁性金属層30の長さL3は、例えば4−100μm、入射側AlGaAsリブ導波路と強磁性金属層と出射側AlGaAsリブ導波路の両端の距離L4は、例えば800−1000μmである。
31 SiO2
32 Al0.5Ga0.5As、クラッド層
33 GaAs基板
34 SiO2
35 Al0.3Ga0.7Asコア層
40 入口ファイバー
41 出口ファイバー
Claims (9)
- プラズモニック導波路を有する光デバイスであって、
前記プラズモニック導波路は、強磁性金属層、第1の誘電体層、第2の誘電体層の順に積層されている少なくとも3層の積層構造を備え、前記第1及び第2の誘電体層は、光を透過する層であり、前記第2の誘電体層の屈折率が前記第1の誘電体層の屈折率より大であり、
前記積層構造は、プラズモンが伝播不可能となる第1の誘電体層の厚みの下限及び上限が存在する構造であり、前記第1の誘電体層が、プラズモンが伝播可能な所定の厚み範囲条件を満足するものであり、前記第1の誘電体層は、前記下限である第1のカットオフ厚みより薄いか、前記上限である第2のカットオフ厚みより厚いこと、
及び、前記強磁性金属層の磁化がプラズモンの伝播方向に対して垂直であること
を特徴とする光デバイス。 - 前記第1の誘電体層の厚みが、前記第1のカットオフ厚みの50〜99%の厚みであるか、前記第2のカットオフ厚みの101〜140%の厚みであることを特徴とする請求項1に記載の光デバイス。
- 前記強磁性金属層が、Co、Fe、Ni、FeCo、FeNi、FeCoB、SmCo、NdFeBのいずれかを主とする金属材料からなることを特徴とする請求項1記載の光デバイス。
- 前記強磁性金属層がCo、前記第1の誘電体層がSiO2、前記第2の誘電体層がSiからなり、前記第1の誘電体層の膜厚が4−8nm又は800−1000nmであることを特徴とする請求項1記載の光デバイス。
- 前記強磁性金属層がCo、前記第1の誘電体層がMgO又はAl2O3、前記第2の誘電体がSiからなり、前記第1の誘電体層の膜厚が7−10nm又は550−700nmであることを特徴とする請求項1記載の光デバイス。
- 前記強磁性金属層がFe、前記第1の誘電体層がSiO2、前記第2の誘電体層がSiからなり、前記第1の誘電体層の膜厚が6−9nm又は600−800nmであることを特徴とする請求項1記載の光デバイス。
- 前記強磁性金属層をリブ型にすることにより、横方向にプラズモンを閉じこめることを特徴とする請求項1記載の光デバイス。
- 前記第1の誘電体層及び第2の誘電体層の一方を凸形状とし、該凸部をなすリブ型部を他方の前記第2又は前記第1の誘電体層に埋め込むことにより、横方向にプラズモンを閉じこめることを特徴とする請求項1記載の光デバイス。
- 請求項1乃至8のいずれか1項記載の光デバイスが、光アイソレーター機能を有することを特徴とする光アイソレーター。
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