JP5975265B2 - 薬品トレイ - Google Patents
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Description
作成された処方情報は、薬局に送付され、薬剤師によって調剤が行われたり、自動薬剤払出装置等にデータが送信され、患者ごとに処方に基づく医薬品が自動で取り揃えられる。
特に入院患者における注射薬においては、患者の症状に対応した処方がなされており、それらの薬品が確実に当該患者に確実に投与されなければならず間違えることは許されない。
そのため病院、特に入院患者が多い大病院では、間違いを防ぐために、個々の患者に投与すべき医薬品を一つの薬品トレイに収納しておくことが行われている。
即ち複数の薬品トレイを準備し、例えば患者Aに処方された医薬品をすべて、一つの薬品トレイに収納し、当該薬品トレイに、例えば、「実施日、患者名、病棟名、主治医名」といった情報を記載した表示部材(リライトカード、電子ペーパ等)を付ける。
この様な薬品トレイが、例えば特許文献1,2,3に開示されている。特許文献2に開示された薬品トレイ100は、樹脂によって成形されたものであり、図29に示す様に、内底部101と、4面の立壁部102,103,104,105を有している。また薬品トレイ100の内部は、仕切り107によって4領域に仕切られている。
特許文献2に開示された薬品トレイ100では、内底部101及び各立壁部102,103,104,105は、仕切り107を挿入する部分を除いて平滑である。即ち特許文献2に開示された薬品トレイ100は、内底部101を構成する部位の肉厚及び各立壁部102,103,104,105の肉厚が略均一である。
前記した特許文献1は、薬剤払出装置200を開示するものである。
特許文献1に開示された薬剤払出装置200は、図28の様に装置本体201に、トレイ供給部202と、トレイ回収部203、ラベル供給部204、トレイ搬送部205、アンプル供給部206、注射箋供給部207および制御部208を有している。
そしてトレイ供給部202からトレイ100を供給すると共に図示しないラベルプリンタでラベルに薬品名等を印刷して前記トレイ100にラベルを取り付ける。
その後、トレイ搬送部205を駆動してトレイ100を移動させ、トレイ100を所定の位置に停止させる。そしてアンプル供給部206から薬剤のアンプル(図示せず)を払出してトレイ100にアンプルを収容する。
薬剤選択供給ゾーン112では、各薬剤払出し装置120乃至124から処方箋に応じた薬剤が払い出され、薬品トレイ100に収容される。
またカート待機部128の近傍には、空カート置場130があり、カート供給部127の近傍には、積載済カート置場131がある。
即ち空カート置場130に整理されて置かれた空のカート132は、カート待機部128を経てカート供給部127に送られる。そして空のカート132がカート供給部127に仮固定される。
一方、搬送コンベア116によって運ばれて来た薬品トレイ100は、積み上げリフター126によって所定の高さに持ち上げられ、空のカート132に順次積み込まれる。積み込みを終えたカート132は、積載済カート置場131に移動される。
即ち、薬品トレイ100に求められる第1の要求品質として、軽量化があげられる。
ここで、薬品トレイ100の底部101や立壁部102,103,104,105の肉厚を薄くすれば、当然に薬品トレイ100の重量は低下する。しかしながら、単に肉厚を薄くすると、全体の剛性が低下し、実用に耐えないという問題が新たに生じる。また前記のように自動調剤装置で用いられることが多いため、機械による保持力等にも対応できる最低限の強度が必要である。即ち薬品トレイには、錠剤や散薬ばかりでなく、注射薬等の液状の薬剤や、簡単な医療器具も入れられるため、それらを保護し、安全に搬送する機能も要求される。
ここで輸液等の点滴薬や浣腸は、相当の液量があり、重量が重い。また浣腸器は、通常の注射器に比べて格段に大きく、重い。
そのため薬品トレイ100の肉厚を薄くすると、これらの重量物を運搬する際に変形し、持ちにくい。
即ち他の要求品質として、静寂性(第2の要求品質)と、液漏れがないこと(第3の要求品質)があげられる。
第2の要求品質として挙げられる静寂性は、前記した様な薬剤払出装置200や調剤システム110の採用と関連するものである。即ち前記した様な薬剤払出装置200や調剤システム110で薬品トレイ100を使用した場合に、騒音を発しないことが大切である。
前記した様な調剤システム110等では、ローラコンベア等の搬送コンベア116によって薬品トレイ100が搬送される。そして事実上、調剤システム110は、外来患者が帰った後で運転される場合が多く、夜間に調剤システム110等が稼働することとなる。そのため搬送コンベア116で薬品トレイ100を搬送する際に、騒音を発することは好ましくない。
即ち、前記した様に、薬品トレイ100には、錠剤や散薬ばかりでなく、注射薬等の液状の薬剤も入れられる。注射薬は、アンプル等のガラス容器に収納されている。そのため搬送中に、容器が割れて液が漏れることがある。また自動調剤システムから薬品トレイ100に払い出された際に割れる可能性もゼロではない。そしてカート132で薬品トレイ100を運搬する場合や、手で薬品トレイ100を運搬する場合は、薬品トレイ100が積み重ねられているので、薬品トレイ100から注射薬等が漏れると、下の薬品トレイ100内の医薬品が汚染されてしまう。そのため薬品トレイ100は液漏れしないことが望ましい。
即ち請求項1に記載の発明は、医薬品又は医療機器を入れる薬品トレイであって、略四角形の内底面と、内底面の4辺から立設された正面立壁、背面立壁、左側立壁及び右側立壁があり、上方が開放されていて、内底面と前記4面の立壁によって凹部が形成されたトレイ本体を備えた薬品トレイにおいて、前記トレイ本体の内底面には、トレイ本体の凹部側に隆起したリブがある。
即ちいずれが正面立壁であっても良いが、正面立壁に対向するのが背面立壁であり、それ以外の2面が、左側立壁と右側立壁である。
本発明の薬品トレイでは、その内底面に、トレイ本体の凹部側に隆起したリブがある。そのため、内底面を構成する部位の肉厚を薄くしても内底面全体の断面係数は維持され、剛性を確保することができる。
また前記したリブは、トレイ本体の凹部側に隆起するものである。そのためトレイ本体の裏面側には大きな突出部はできない。その結果、搬送コンベアに載置されて運搬されるとき、搬送コンベアのローラやプーリが衝突することがなく、静寂性が保たれる。
さらにアンプル等は円柱形であり、転がり易い形状であるが、本発明の薬品トレイは、トレイ本体の凹部側に隆起したリブがあるため、アンプル等が転がる範囲が規制される。即ち薬品トレイが前記した特許文献1の様な薬剤払出装置200に使用された場合、装置内の搬送装置で薬品トレイが搬送されるが、その際の慣性力によってアンプル等が転がる場合がある。そして仮にアンプル等が長い距離を転がり、何かと衝突して停止すると、アンプル等が保有する速度や回転エネルギーが大きいためにアンプルが破損する場合がある。これに対して本発明では、トレイ本体の凹部側に隆起したリブがあるため、アンプル等が転がる範囲が規制され、アンプル等に勢いが付く以前にアンプル等の転がりが阻止される。そのため本発明の薬品トレイによると、アンプル等が壊れにくい。
また本発明では仕切り板に保持片が設けられており、仕切り板の保持片が前記リブを保持した状態で、仕切り板がトレイ本体に装着されている。そのため仕切り板とトレイ本体の底部との間に一体性があり、全体としての断面係数が高く、剛性が高い。
請求項8に記載の発明は、4面の立壁の内の対向する少なくとも一組の立壁は、少なくとも内底面から1cmの高さの領域が開口の無い密閉領域であり、前記一組の立壁の少なくとも一つは、密閉領域よりも上の領域の一部または全部に、多数の開口が設けられていることを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の薬品トレイである。
この構成を採用すると、液が漏れても少量ならば、閉塞されたエリア内で止まる。
以下の説明において、上下、天地の関係は、薬品トレイ1を使用する場合の姿勢を基準とし、開口側が上である。また薬品トレイ1の凹部17の底を内底面10と言い、薬品トレイ1全体の底面を外側接地面70と称する事とする。
以下の説明においては、最初に薬品トレイ1の大まかな構造について説明し、後で細かい工夫点を説明する。
本実施形態の薬品トレイ1は、前記した特許文献1に開示された様な薬剤払出装置200や、特許文献2に開示された様な調剤システム110に採用されるものである。また薬品トレイ1には、散薬や錠剤、カプセル等の固形の薬剤だけでなく、注射薬や点滴液等の医薬品も入れられる。さらに、注射器や浣腸器、体温計等の日常的な医療機器を入れる場合もある。
薬品トレイ1のトレイ本体2は、全体的に凹形をしており、その内部が、3枚の仕切り板3a,3b,3cによって図1の様に4個の区画5a,5b,5c,5dに区切られている。
なお本実施形態の薬品トレイ1は、4面の立壁11,12,13,15を有し、内底面10の短辺から立設された立壁11を正面壁と称しているが、正面壁の特定は、説明の便宜上行ったに過ぎず、いずれの立壁11,12,13,15が正面立壁であってもよい。
開口側フランジ部20を平面視すると、図5の様に、長方形の枠状である。
この様にトレイ本体2の内底面10には縦横方向にリブ21,22があり、両者は6か所で交差する。即ち本実施形態では、トレイ本体2の内底面10には、図5の様に6個のリブ交差部26がある。
またリブ21a,21b,22a,22b,22cは、いずれもトレイ本体2の凹部側に隆起するものである(図13参照)。
正面立壁11の外観形状は、板壁状であり、中央に四角形の開口32が設けられている。開口32の幅は、正面立壁11の幅の約3分の1に相当する。
正面立壁11には、前記した開口32以外に開口する部位は無い。
正面立壁11の外壁側に注目すると、外壁側の略全面には、図2の様に、正面視が長方形の凹部33が規則的に設けられている。
即ち本実施形態では、正面立壁11の中央の開口32を挟んだ二つの領域に、それぞれ8個づつ長方形の凹部33が設けられている。そして長方形の凹部33は、それぞれの領域で、横2列、縦4列に並べられている。
長方形の凹部33を別の角度から説明すると、図2の様に横2列の長方形の凹部33の間に、水平の背骨線35があり、当該水平の背骨線35から前後に肋骨線36が設けられていると言える。
そして各長方形の凹部33は、水平の背骨線35と、上下に延びる肋骨線36に接している。
また開口32の両脇であって、開口32から僅かに離れた位置に天地方向に延びる縦リブ38が設けられている。
背面立壁12は、前記した正面立壁11から開口32を除いた形状である。
即ち背面立壁12の外壁側に注目すると、外壁側の略全面に、正面視が長方形の凹部33が規則的に設けられている。
即ち本実施形態では、背面立壁12の外周全域に、長方形の凹部33が設けられている。
長方形の凹部33を別の角度から説明すると、横2列の長方形の凹部33の間に、水平の背骨線35があり、当該水平の背骨線35から前後に肋骨線36が設けられていると言え、各長方形の凹部33は、水平の背骨線35と、上下に延びる肋骨線36に接している。
背面立壁12の内面には、リブ39が3条設けられている。
右側立壁15の外壁側に注目すると、右側立壁15の下から2cm程度の高さの位置に下フランジ40が設けられている(図1,3,7,8)。下フランジ40は、右側立壁15の本体部分から垂直方向外側に向かって突出する壁であり、その稜線は、内底面10と平行に延びている。
下フランジ40は、右側立壁15の全幅に渡って形成されている。
本実施形態では、下から2cm程度の高さの位置に下フランジ40を設けたが、下フランジ40の位置はこれと異なっていてもよい。好ましい下フランジ40の高さは、下から1.5cm以上、3cm以下である。下フランジ40の高さは、少なくとも下から1cm以上の高さの位置に設けられる。
即ち下フランジ40よりも上の領域は、図3,10,11の様に、多数の開口43が設けられている。これに対して下フランジ40よりも上の領域には、開口は一切存在しない。
下フランジ40よりも上の領域に注目すると、図1,3,10,11の様に 、小さな長方形の開口43が多数設けられている。即ち長方形の開口43は、横3列に規則正しく並べられており、全体的に網状を呈している。
即ち図11の様に、開口43の幅Waは、その周囲の桟の部位の幅waよりも広い。そのため下フランジ40よりも上の領域は、中空部分の総面積の方が、中実部分の総面積よりも広い。
ただし、後記する係合溝形成リブ51a,51bに相当する部位については、開口43が埋められた状態となっており、当該部分は、凹部状となっている。
長方形の凹部45の幅Wbは、前記した開口43の幅Waと同一(図11)である。また長方形の凹部45と前記した開口43は、下フランジ40を挟んで縦に一列に配されている。
同様に、凹部45の間の縦線の幅wbは、開口43の周囲の桟の幅waと同一であり、且つ両者は直線上に並んでいる。
本実施形態では、右側立壁15の内壁側に11条の係合溝50が等間隔に設けられている。
これらの係合溝50は、いずれも同一である。
係合溝50は、図15の様に、二つの係合溝形成リブ51a,51bによって形成されている。
係合溝形成リブ51a,51bは、縦一列の開口43を挟んで対峙し、両者の間で係合溝50が形成されている。
ここで係合溝形成リブ51a,51bの稜線は、底部側から天地方向一定の高さまでは、右側立壁15の内壁と平行であるが、上部側については、右側立壁15に向かって傾斜する。即ち係合溝形成リブ51a,51bの高さ(突出方向の長さ)は、下端から一定の高さ(天地方向の高さ)のL領域は、一定であるが、それ以上のH領域は、高さ(突出方向の長さ)が暫時低くなっている。
言い換えると、図15の様に係合溝形成リブ51a,51bは、台形形状の側壁部53があり、当該台形の上辺に相当する位置にフランジ52が設けられている。逆に言うと、台形の斜辺に相当する部位(H領域)には、フランジは無い。
しかしながら、係合溝50の開口幅は、高さ方向で異なっている。即ち底部側から一定の高さまでは、前記したフランジ52が設けられており、開口部分を覆っているから、当該部分については、開口幅が狭い。
仕切り板3bは、図12の様に使用時の姿勢を基準として、上辺(長辺)71と下辺(長辺)72及び左右側辺(短辺)73,74を有する長方形である。
仕切り板3bは、その高さ(側辺73,74の長さ)が、前記した係合溝形成リブ51bのL領域の長さに等しい。また仕切り板3bの全長(長辺71,72の長さ)は、対向する右側立壁15と左側立壁13の内法と等しい。
仕切り板3bの全周には、フランジ部が形成されている。即ち仕切り板3bの中央部分は、厚さの薄い板であり、仕切り板3bの上辺71、下辺72、左側辺73、右側辺74にそれぞれフランジ54a,54b,54c,54dが設けられている。
即ち下辺フランジ54bの一方の辺から下方向に向かって2個の保持片55a,55cが垂下され、下辺フランジ54bの他方の辺から下方向に向かってさらに2個の保持片55b,55dが垂下されている。
仕切り板3bの全体から各保持片55a,55b,55c,55dの位置を表現すると、保持片55a,55cは、仕切り板3bの板厚方向の表側側から垂下された表面側保持片55a,55cであり、保持片55b,55dは、板厚方向の裏面側から垂下された裏面側保持片55b,55dである。
ただし表面側保持片55aと裏面側保持片55bとは近接した位置にあり、実質的に一組の係合部57aを構成している。
同様に、表面側保持片55cと裏面側保持片55dとは近接した位置にあり、実質的に一組の係合部57bを構成している。
本実施形態では、各保持片55の内面が保持面58として機能する。
突起60の高さ方向の位置は、右側辺フランジ54cの上端近傍である。また突起60の板厚方向の位置は、板厚方向の中心である。
突起60の側面形状は、略三角形であって逆止め構造となっている。即ち突起60は、下方向に向いた面47の傾斜が緩斜面であり、上方向に向いた面48は、これよりも急斜面である(図15)。
また本実施形態では、右側辺フランジ54cと左側辺フランジ54dは、その厚さが一様ではなく、図15の様に下側に向かう程、厚さが薄くなっている。
そのため右側辺フランジ54cと左側辺フランジ54dを側面側から観察すると、逆三角形を呈している。
前記した様に、薬品トレイ1は、一つのトレイ本体2と、3枚の仕切り板3a,3b,3c及び表示部材用ホルダー4によって構成されている。
3枚の仕切り板3a,3b,3c及び表示部材用ホルダー4は、トレイ本体2に取り付けられている。
即ち表示部材用ホルダー4は、トレイ本体2の正面立壁11の開口32に装着されている。ここで表示部材用ホルダー4の周辺部に設けられた係合溝64が、トレイ本体2の開口32の端面と係合している。そして図示しない係合爪が、トレイ本体2の一部と係合し、表示部材用ホルダー4の脱落を防止している。
また図16の様に、仕切り板3bが装着された状態においては、右側辺フランジ54cに設けられた突起60が、図16の様に右側立壁15の開口43の一つ内に入り込み、突起60が開口43の内周と係合している。
さらに右側辺フランジ54cと左側辺フランジ54dを側面側から観察すると、図15の様に逆三角形を呈しており、下側の厚さが薄いから、容易に右側辺フランジ54cと、左側辺フランジ54dを係合溝50bの位置に合致させることができる。
また前記した右側辺フランジ54c及び左側辺フランジ54dに設けられた突起60は、図15の様に下方向に向いた面47の傾斜が緩斜面であり、上方向に向いた面48が急斜面であるから、仕切り板3bを下方向に押し込む際には抵抗が小さく、仕切り板3bを抜き方向に移動させる場合には、大きな抵抗を生じさせる。そのため、本実施形態の薬品トレイ1は、仕切り板3を装着し易く、且つ仕切り板3の取り付け強度が高い。
また図13、図14の様に、仕切り板3bの下辺たる下辺フランジ54bが、トレイ本体2の内底面10のリブ22bと係合している。
即ち下辺フランジ54bに設けられた表面側保持片55aと裏面側保持片55bとが一組の係合部57aを構成し、当該表面側保持片55aと裏面側保持片55bが、リブ22bの側面を保持している。即ち表面側保持片55aと裏面側保持片55bの保持面58が、リブ22の側面と接している。
また表面側保持片55aと裏面側保持片55bとの対向する端面59が、交差部26近傍の他のリブ21と接している。
この様に、表面側保持片55aと裏面側保持片55bの保持面58がリブ21,22の交差部26を挟んで縦横方向のリブ21,22の内の一方のリブ22を保持し、且つ裏面側保持片と表面側保持片の端面は縦横方向リブの内の他方のリブ21と当接している。
本実施形態では、表面側保持片55cと裏面側保持片55dとが食い違った位置にあるから、個別に幅方向に移動可能である。そのため仕切り板3bを下方向に押し込む際に、表面側保持片55cと裏面側保持片55dの幅方向(仕切り板の肉厚方向)の間隔が容易に変化し、仕切り板3bを装着し易い。
その一方で、表面側保持片55a,55cと裏面側保持片55b,55dの位置は、比較的近いので、相当のリブに対する抱きつき力を発現させることができる。
また本実施形態では、表面側保持片55a,55cと裏面側保持片55b,55dは、リブの交差部26を保持するので、仕切り板3がしっかりとトレイ本体2に固定される。
一方、本実施形態の薬品トレイ1は、トレイ本体2の内底面10にリブ21,22が設けられているから、内底面10の断面係数を確保することができる。また本実施形態の薬品トレイ1は、仕切り板3の両端が左側立壁13及び右側立壁15と係合し、仕切り板3の下面がトレイ本体2の内底面10のリブ22と係合している。そのため仕切り板3は、トレイ本体2に対して一体性が高く、全体の断面係数を上昇させると共に、トレイ本体2の歪みを防ぐ機能を発揮する。
これらの点から、本実施形態の薬品トレイ1は、軽量であるにも係わらず、従来と同等の剛性を発揮する。
特に、薬品トレイ1は、図17の様に積み重ねられて使用される場合が多いが、下側の薬品トレイ1との間は、下フランジ40で遮蔽されているから、薬剤が下の薬品トレイ1に入り込むことはない。
即ち、前記した下フランジ40は、薬品トレイ1が積み重ねられた際に、下の薬品トレイ1の頂部の開口側フランジ部20と当接し、上の薬品トレイ1が下の薬品トレイ1内に落ち込むことを阻止する機能がある。そしてそれに加えて、開口43から液体が漏れた際には、図18の様に上記した下フランジ40が庇の役目を果して下の薬品トレイ1に薬剤が進入することを阻止する。
さらに、本実施形態では、底部の縦横にリブ21,22が走り、トレイ本体2の内底面10を区画している。そのためわずかな液漏れであるならば、リブ21,22によって蔓延が阻止され、汚染は、個々の区画内だけで収まる。
また本実施形態の薬品トレイ1は、多数の凹部33があり、当該凹部33は、特に肉厚が薄い。ここで、一般に、肉厚が薄い部位は、成形型の隙間が狭く、樹脂を回り込ませ難い。
これに対して、本実施形態では、凹部33同士の間に、背骨線35と、肋骨線36が設けられている。この背骨線35と、肋骨線36は、肉厚の厚い部位であるから、逆に成形型の隙間は広い。そのため本実施形態の薬品トレイ1は、成形時に、樹脂は背骨線35や肋骨線36の部位を経由して凹部33に流れ込むことができ、各部に完全に樹脂を行き渡らせることができる。
前記した様に、薬剤払出装置200や調剤システム110では、ローラコンベア等の搬送コンベア116によって薬品トレイ1が搬送される。搬送時における騒音の多くは、薬品トレイ1の裏面側の外側接地面70と、コンベア装置との接触によって発生する音である。
なお、薬品トレイ1の外側接地面70には、さまざまな凹凸があるが、最も下側に突出した位置を基準平面とする。
本実施形態の薬品トレイ1の外側接地面70には、長手方向に2本の溝61a,61bがある。また外側接地面70の短手方向に3本の溝62a,62b,62cがある。
ここで、短手方向に設けられた3本の溝62a,62b,62cに注目すると、溝62a,62b,62cはいずれも連続しておらず、5か所の領域に分断されている。即ち、溝62a,62b,62cは、それぞれ4か所の部位で埋められている。
より具体的に説明すると、各溝62a,62b,62cは、中央部分で2本の線(埋設部)63によって分断されている。
さらにその脇に、それぞれ一個づつリング状の部位(埋設部)66があり、リング状の部位66によっても各溝62a,62b,62cが埋設されて分断されている。
また中央部分で2本の線63および、リング状の部位66の表面の高さは、基準面の高さと同一である。即ち2本の線63および、脇のリング状の部位66の表面は、基準面と同一平面を形成している。この様に、本実施形態では、埋設部たる線63とリング状の部位66の表面は、基準面と同一の平面である。
なお本実施形態では、リング状の部位66の中心に成形時のゲート跡がある。
凹部67の内側については、当然に基準面よりも凹んでいるが、凹部67の周囲は基準面と同一の高さである。
また長手方向に延びる2本の溝61a,61bの周囲にも、長方形の凹部68が設けられている。この凹部68についても内側については、当然に基準面よりも凹んでいるが、凹部68の周囲は基準面と同一の高さである。
即ち図22に示す様に、外側接地面70の短辺と平行に、a−a線、b−b線・・・と無数の平行線を想定したとき、いずれの平行線についても、2点以上で基準面に当たる。
従って、例えば図20の様に、ローラコンベア等の搬送コンベア116に薬品トレイ1が載置されて搬送された際、搬送コンベア116のローラ69が落ち込むことは無い。
即ち搬送コンベア116のローラ69に薬品トレイ1が載置された場合、ローラ69と薬品トレイ1の接線は、図22のa−a線、b−b線・・・の様な短辺と平行な直線となる。そして本実施形態では、いずれの平行線についても、2点以上で基準面に当たるから、ローラコンベアで搬送中、常に二箇所以上の基準面で支持され、ローラコンベアが凹部の底の部位と接触することはない。そのため、本実施形態の薬品トレイ1は、搬送時における騒音が小さい。
この溝61a,61b,62a,62b,62cは、裏面側に突出するものではないから、ローラコンベア等のローラが衝突する機会は少ない。しかしながら、搬送コンベア116のローラ69が嵌まり込んでしまう懸念があるので、前記した様に、中央部分の2本の線63と、リング状の部位66によって溝61a,61b,62a,62b,62cを分断した。
その結果、搬送時における騒音が抑制された。
例えば、仕切り板3を一枚だけ装着してトレイ本体2を2区画に仕切ってもよい。逆により多数の仕切り板3を装着してトレイ本体2をより多数の区画に仕切ってもよい。
なお上記した実施形態では、左側立壁13及び右側立壁15にそれぞれ11個の係合溝50が設けられているから、最大で、11個の仕切り板3を装着することができる。
ただし、仕切り板3の装着数が少ない場合には、リブ21の上部に装着することが望ましい。
即ち、本実施形態の薬品トレイ1は、トレイ本体2と、トレイ本体2の凹部17を複数の区画に仕切る仕切り板3とを有する薬品トレイ1であって、前記トレイ本体2は、略四角形の内底面10と、底面の4辺から立設された正面立壁11、背面立壁12及び左右立壁13,15があり、上方が開放されていて、内底面10と前記4面の立壁11,12,13,15によって前記凹部17が形成される薬品トレイ1であり、前記トレイ本体2の対向する一組又は二組の立壁13,15に仕切り板3の側面が係合する係合溝50があり、前記トレイ本体2の内底面10にはリブ21があり、仕切り板3の前記内底面10側と対向する辺に、前記リブ21を保持する保持片55が設けられており、仕切り板3の側面がトレイ本体2の係合溝50と係合し、仕切り板3の保持片55が仕切り板3の前記リブ21を保持した状態で、仕切り板3がトレイ本体2に装着されている。
また本実施形態の薬品トレイ1は、開口があるから軽い。
また本実施形態の薬品トレイ1は、内底面10の凹部17側に縦横方向に複数のリブ21,22があるから、薬品トレイ1内に収容された医薬品等が動き難いという効果もある。
また本実施形態の薬品トレイ1は、図23乃至図27の様に、凹部17側に縦横方向に複数のリブ21,22があるから、意匠的にも特徴がある。
3a,3b,3c 仕切り板
4 表示部材用ホルダー
5a,5b,5c,5d 区画
10 内底面
11 正面立壁
12 背面立壁
13 左側立壁
15 右側立壁
17 凹部
20 開口側フランジ部
21a,21b リブ
22a,22b,22c リブ
23 区画
26 リブ交差部
30 切り欠き部
32 開口
33 凹部
35 背骨線
36 肋骨線
40 下フランジ
43 開口
45 凹部
50 係合溝
51a,51b 係合溝形成リブ
52 フランジ
54a,54b,54c,54d フランジ
55a,55b,55c,55d 保持片
57a,57b 係合部
58 保持面
59 端面
60 突起
61a,61b 溝
62a,62b,62c 溝
63 線(埋設部)
66 リング状の部位(埋設部)
67 凹部
68 凹部
69 ローラ
70 外側接地面
80 成形型
Claims (9)
- 医薬品又は医療機器を入れる薬品トレイであって、略四角形の内底面と、内底面の4辺から立設された正面立壁、背面立壁、左側立壁及び右側立壁があり、上方が開放されていて、内底面と前記4面の立壁によって凹部が形成されたトレイ本体を備えた薬品トレイにおいて、
前記トレイ本体の内底面には、トレイ本体の凹部側に隆起したリブがあり、
トレイ本体の凹部を複数の区画に仕切る仕切り板を有し、
前記仕切り板の一部であって前記トレイ本体の内底面側と対向する辺に保持片が垂下し、
前記保持片には、表面側保持片と裏面側保持片とがあり、
前記表面側保持片と裏面側保持片は仕切り板の肉厚方向に間隔を有し、且つ表面側保持片の仕切り板底辺の長手方向の位置と裏面側保持片の仕切り板底辺の長手方向の位置とが食い違った位置にあり、
前記保持片は内面がリブの側面と接する保持面であり、
表面側保持片の保持面と裏面側保持片の保持面によってリブの両側面を保持した状態で仕切り板がトレイ本体に装着されていることを特徴とする薬品トレイ。 - トレイ本体の内底面には、縦横方向にリブがあって、両者の交差部があり、前記裏面側保持片と表面側保持片には保持面と端面があり、前記裏面側保持片と表面側保持片の保持面は前記交差部を挟んで縦横方向リブの内の一方のリブを保持し、且つ前記裏面側保持片と表面側保持片の端面は前記縦横方向リブの内の他方のリブと当接していることを特徴とする請求項1に記載の薬品トレイ。
- 前記トレイ本体の対向する一組又は二組の立壁に係合溝があり、
仕切り板の側面がトレイ本体の前記係合溝と係合することを特徴とする請求項1又は2に記載の薬品トレイ。 - 仕切り板の側面には突起があり、トレイ本体の立壁には前記突起と係合する開口又は凹部があることを特徴とする請求項3に記載の薬品トレイ。
- 少なくともいずれか一つの立壁には多数の開口が設けられていて網状を呈し、前記開口の少なくとも一つに、前記仕切り板の側面に設けられた前記突起が係合することを特徴とする請求項4に記載の薬品トレイ。
- 前記トレイ本体の外周の底たる外側接地面に、多数の凹部があり、前記凹部の中の一群は、長穴状であって、四角形の外側接地面に対して斜め方向に延びていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の薬品トレイ。
- 前記トレイ本体の外周の底たる外側接地面であって前記リブに相当する位置は直線的に延びる溝状部となっており、当該溝状部の一部には溝が消失して他の部位と高さが同一となった埋設部が設けられていることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の薬品トレイ。
- 4面の立壁の内の対向する少なくとも一組の立壁は、少なくとも内底面から1cmの高さの領域が開口の無い密閉領域であり、前記一組の立壁の少なくとも一つは、密閉領域よりも上の領域の一部または全部に、多数の開口が設けられていることを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の薬品トレイ。
- トレイ本体のいずれかの立壁の外側下部には、当該立壁から突出すると共に薬品トレイが重ねられた際に他の薬品トレイの上端に当接するフランジ部があり、
フランジ部が設けられた立壁の少なくとも一つには、フランジ部よりも上部側に多数の開口が設けられていることを特徴とする請求項1乃至8のいずれかに記載の薬品トレイ。
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