JP5974810B2 - 張出試験装置及び張出試験方法 - Google Patents

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Description

本発明は、張出試験装置及び張出試験方法に関する。
自動車、家電製品、建築構造物等の被加工材を成形するにあたっては、各種の金属材に対して絞り加工やプレス加工等といった各種の成形処理が施される(例えば、以下の特許文献1を参照。)。また、ある種の鋼板においては、被加工材である鋼板を加熱しながら熱間で成形することも行われている(例えば、以下の特許文献2を参照。)。
特開平11−290960号公報 特開2005−254297号公報
ところで、上記特許文献1及び特許文献2に開示されているような各種の成形加工を行う際には、被加工材である金属材の成形加工特性を調べ、加工対象となる金属材に適した加工方法を用いることが重要である。
しかしながら、オーステナイト系ステンレス鋼やTRIP鋼等のオーステナイト組織を含む鋼板(以下、オーステナイト鋼板と記述する。)のようなある種の金属材では、金属材そのものに由来する発熱(例えば、加工発熱や加工変態熱)によって正確な試験結果の取得が困難になる場合があるという問題があった。
そこで、本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的とするところは、より正確に金属の張出試験を行うことが可能な張出試験装置及び張出試験方法を提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明のある観点によれば、試験材に対して張出加工を行うことで当該試験材の張出試験を行う張出試験装置であって、所定温度の液体状の熱媒体を保持し、前記試験材が当該熱媒体中に浸漬される熱媒体浴と、前記熱媒体浴中に配設されており、前記熱媒体の流れる流路が形成されたスペーサと、前記熱媒体浴中で前記スペーサの天面上に配設されるダイと、前記試験材が固定されるものであり、前記熱媒体浴中に降下することで前記試験材を前記熱媒体中に浸漬させる試験材固定機構と、前記熱媒体浴中へと降下し、前記試験材固定機構及び前記ダイに挟持された前記試験材を押圧することで当該試験材に対して負荷を付与するパンチ部と、を備える張出試験装置が提供される。
前記ダイには、前記試験材に当接する前記パンチ部の押圧部位と対応する位置に貫通孔が設けられており、前記パンチ部が前記熱媒体中へと降下することで、前記貫通孔内の前記熱媒体は前記流路を通って前記熱媒体浴中を流れ、前記熱媒体浴中に対流を生じさせるように構成されることが好ましい。
前記スペーサを厚み方向に切断した場合の前記流路の総断面積をSとし、前記試験材に当接する前記パンチ部の押圧部位の前記スペーサへの投影面積をSとしたときに、(S/S)で表される値が、0.2〜100であることが好ましく、前記(S/S)で表される値が、0.4〜8であることがより好ましい。
前記試験材固定機構には、貫通孔が設けられており、前記パンチ部は、前記貫通孔を介して前記試験材を押圧することが好ましい。
前記パンチ部は、荷重が付与される板状部位と、当該板状部材から突設され、前記試験材に当接することで前記試験材を押圧する押圧部位と、を有する、断面略T字形状の部材であり、前記板状部材と前記試験材固定機構との間には、所定の閾値以上の荷重が付与された際に付与された荷重の大きさに応じて収縮する収縮部材が設けられており、前記収縮部材が収縮することで、前記押圧部位の先端部が前記試験材を押圧することが好ましい。
前記熱媒体の温度を制御する温度制御機構を更に備えることが好ましい。
前記押圧部位の先端部は、球形状、角筒形状、円筒形状又は円錐形状を有するように構成されることが好ましい。
前記収縮部材は、ガススプリングであってもよい。
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、試験材に対して張出加工を行うことで当該試験材の張出試験を行う張出試験方法であって、熱媒体浴中に降下することで前記試験材を前記熱媒体中に浸漬させる試験材固定機構に前記試験材を固定し、熱媒体の流れる流路が形成されたスペーサ及び当該スペーサの天面上に配設されるダイが配設されており、所定温度の熱媒体が保持されている熱媒体浴中に、前記試験材の固定された前記試験材固定機構と、前記試験材を押圧することで当該試験材に対して負荷を付与するパンチ部と、を降下させ、前記試験材が前記試験材固定機構及び前記ダイに挟持された後に、前記パンチ部を更に前記熱媒体浴中へ降下させて、前記試験材を押圧する張出試験方法が提供される。
前記試験材が前記試験材固定機構及び前記ダイに挟持された後、前記試験材及び前記パンチ部の温度が安定した段階で、前記パンチ部を更に前記熱媒体浴中へと降下させることが好ましい。
以上説明したように本発明によれば、より正確に金属の張出試験を行うことが可能である。
本発明の第1の実施形態に係る成形試験装置の一例を模式的に示した断面図である。 同実施形態に係る成形試験装置のパンチ部の一例を模式的に示した説明図である。 同実施形態に係る成形試験装置のパンチ部の一例を模式的に示した説明図である。 同実施形態に係る成形試験装置に用いられる試験材の形状の一例について模式的に示した説明図である。 同実施形態に係る成形試験装置のスペーサの一例を模式的に示した説明図である。 同実施形態に係る成形試験装置のスペーサの一例を模式的に示した説明図である。 同実施形態に係る成形試験装置のスペーサの一例を模式的に示した説明図である。 実施例1の測定結果を示したグラフ図である。 実施例1の測定結果を示したグラフ図である。 従来の成形試験機による測定結果を示したグラフ図である。
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
(第1の実施形態)
<成形試験装置の全体構成について>
まず、図1〜図2Bを参照しながら、本発明の第1の実施形態に係る成形試験装置の全体構成について説明する。図1は、本実施形態に係る成形試験装置を側方から見た場合を模式的に示した概略断面図であり、図2A及び図2Bは、本実施形態に係る成形試験装置のパンチ部の一例を模式的に示した説明図である。
なお、図1に関する説明では、図中に示した直交座標系を利用して方向を説明するものとする。また、図1は、本実施形態に係る成形試験装置を、その中心軸を通るようにyz平面で切断した場合を示したものであるが、本実施形態に係る成形試験装置は、中心軸を通るようにxz平面で切断した場合についても、図1と同様な構造を有している。
本実施形態に係る成形試験装置10は、金属試験材に対して張出加工を行うことで、金属試験材の成形試験を行うものであり、いわゆる張出試験装置として機能する装置である。成形試験装置10は、金属試験材(以下、試験材とも称する。)Sに対して塑性加工を施す塑性加工部11と、金属試験材の温度を所定の温度に維持する恒温槽部13と、から構成されている。
[塑性加工部について]
まず、塑性加工部11の構成について説明する。
塑性加工部11は、試験材Sに対して負荷を付与する、断面略T字形状のパンチ部101を有する。パンチ部101は、図2Aに示したように、アクチュエータ等の公知の駆動装置(図示せず。)に連結されることで荷重が付与される板状部材101aと、板状部材101aから突設され、試験材Sに当接することで試験材Sを押圧する押圧部位101bと、から形成されている。また、図1及び図2Aでは、押圧部位101bの先端部(z軸負方向側の先端部)の断面形状が球形である球頭形状となっているが、押圧部位101bの先端部の形状は、実施する成形試験の種類に応じて適宜変更することが可能である。
すなわち、図2Bに示したように、中島法による成形限界試験を実施する場合には、図1及び図2Aに示したような球頭パンチを用いればよいし、マルシニアック法による成形限界試験を実施する場合には、図2Bに示したような円筒パンチを用いればよい。また、成形試験を実施する場合には、図2Bに示したような角筒パンチを用いればよいし、穴拡げ試験を実施する場合には、図2Bに示したような円錐パンチを用いればよい。
このように、押圧部位101bの先端部の形状は、実施する試験に応じて、球形状、角筒形状、円筒形状又は円錐形状を有している。
図1に戻って、パンチ部101の板状部材101aの下方(z軸負方向側)、かつ、パンチ部101の押圧部位101bの周囲には、収縮部材103が配設される。収縮部材103は、所定の閾値以上の荷重が付与された際に、付与された荷重の大きさに応じて収縮部材103自体の高さが定量的に変化する部材である。本実施形態では、パンチ部101の板状部材101aを介して荷重が付与され、荷重の大きさが所定の閾値を超えた時点で、付与された荷重の大きさに応じて高さが規則的に収縮していく。このような収縮部材103として、公知の部材を用いることが可能であるが、収縮部材103の一例として、ガススプリングを挙げることができる。
収縮部材103の下方(z軸負方向側)には、図1に示したように、押圧部位101bに対応する部分に貫通孔が形成された断熱材105が配設されることが好ましい。かかる断熱材105には、テフロンシート等の公知の断熱材を使用することが可能である。
断熱材105の更に下方には、押圧部位101bに対応する部分に貫通孔が形成され、試験材Sの固定されるブランクホルダ107が配設される。
ブランクホルダ107は、試験材固定機構として機能する部材であり、z軸負方向側の面の貫通孔に対応する部分に、試験材Sが固定される。パンチ部101の押圧部位101bは、断熱材105及びブランクホルダ107に形成された貫通孔を介して、固定されている試験材Sを押圧することとなる。
なお、試験材Sは、成形試験装置10の中心軸(z軸方向の中心軸)に対して点対称に配置された複数の試験材保持部材109により、試験材Sの中心と成形試験装置10の中心軸とが一致するようにブランクホルダ107に固定される。これにより、試験材Sの中心がずれないように保持しつつ、試験材Sに対して塑性加工を行うことができる。また、試験材保持部材109は、ブランクホルダ107に脱着可能に配設されるため、試験材保持部材109を取り外すことで、試験材Sの交換をより簡便に実施することができる。
[恒温槽部について]
次に、恒温槽部13の構成について説明する。
恒温槽部13は、図1に示したように、熱媒体浴111を有しており、熱媒体浴111の内部には、例えばシリコンオイル等の液体状の熱媒体113が保持されており、試験材Sの被測定部位が浸漬される。熱媒体113としてシリコンオイル等といった液体状の媒体を利用することで、熱媒体の熱容量を増加させることが可能となり、試験材に発生する熱による影響を緩和することができる。
熱媒体113の種類は、成形試験の実施温度に応じて決定すればよく、熱媒体113として例えばシリコンオイルを用いた場合には、シリコンオイルの使用許容温度範囲である−70℃〜250℃での成形試験が可能となる。
また、熱媒体浴111の内部(より具体的には、図1に示したように、熱媒体浴111の底面)には、スペーサ115が固定されている。このスペーサ115には、成形試験装置10の中心軸を中心として貫通孔が形成されており、また、この貫通孔を中心に、熱媒体113の流れる流路117が形成されている。
このスペーサ115については、以下で改めて詳述する。
スペーサ115の天面(熱媒体浴111の底面と対向する面)上には、ダイ119が配設される。ダイ119には、成形試験装置10の中心軸を中心として、パンチ部101の押圧部材101bに対応する位置に貫通孔が形成されている。この貫通孔の形状は、パンチ部101の押圧部材101bの先端部の形状に適合したものとなっている。
また、熱媒体浴111の下部には、図1に示したように、熱媒体113の温度を制御するための温度制御機構として、ヒータ121が配設されている。
[成形試験装置の動作機構について]
以上説明した塑性加工部11と、恒温槽部13とは、図1に示したように、中心にシャフトが配設された連結用スプリング123によって互いに接続されている。
試験材Sに対する各種の成形試験を実施する際は、まず、連結用スプリング123の長さを調整することで、試験材Sの固定された塑性加工部11を所定の温度に維持されている熱媒体浴111中に降下させ、試験材Sが、ブランクホルダ107及びダイ109に挟持されるようにする。
その後、試験材S及びパンチ部101の温度が安定するまで(例えば、試験材S及びパンチ部101の温度が熱媒体113の温度とほぼ等しくなるまで)、試験材Sに対して荷重をかけることなく、熱媒体浴111中に維持する。その後、試験材S及びパンチ部101の温度が安定した段階でパンチ部101の板状部材101aに対して荷重を付与して、パンチ部101を更に降下させる。これにより、ブランクホルダ107及びダイ109に挟持された試験材Sは、押圧部材101bにより更に押圧されることで張出加工が施されることとなり、ダイ109に設けられた貫通孔の中空部分に向かって試験材Sが張り出していく。
試験材Sが張り出していくことでダイ109に設けられた貫通孔の中空部分から押し出される熱媒体113は、貫通孔を通過し、更に、スペーサ115に設けられた流路117を流れることで、熱媒体浴111中を対流することとなる。このように、本実施形態に係る成形試験装置10では、パンチ部101の熱媒体113中への降下動作に伴って熱媒体浴111中に対流が生じ、熱媒体113が攪拌されることとなる。その結果、本実施形態に係る熱媒体浴111中では、成形試験を実施している際に熱媒体113の温度が均一に保たれることとなる。
なお、本実施形態に係る成形試験装置10では、熱媒体浴111中の熱媒体113の温度を更に均一にするために、上記のような攪拌機構に加えて、攪拌装置を更に利用してもよい。
以上、図1〜図2Bを参照しながら、本実施形態に係る成形試験装置10の全体構成について、詳細に説明した。
<試験材の形状について>
次に、図3を参照しながら、本実施形態に係る成形試験装置10で利用される試験材Sの形状について、簡単に説明する。図3は、本実施形態に係る成形試験装置に用いられる試験材の形状の一例について模式的に示した説明図である。
図1〜図2Bを参照しながら説明した成形試験装置10では、板状の金属材であれば、任意の形状の金属材を試験材Sとして利用することが可能である。しかしながら、図3に示したような略H字形状の試験材を用いることで、より正確に金属材の成形特性を試験することが可能となる。
すなわち、試験材Sの中央部分には、パンチ部101により荷重が加えられることとなるが、試験材Sの形状を略H字形状とすることによって、図中の点線で囲んだ領域への応力集中を分散することが可能となる。その結果、点線で囲んだ領域に応力集中に起因してき裂等が生じることを防止することができ、より正確に試験材Sの成形特性を測定することが可能となる。
<スペーサの構造について>
次に、図4〜図6を参照しながら、本実施形態に係る成形試験装置10で用いられるスペーサ115の構造について、より詳細に説明する。図4〜図6は、本実施形態に係る成形試験装置のスペーサの一例を模式的に示した説明図である。
先だって説明したように、本実施形態に係る成形試験装置10に用いられるスペーサ115には、パンチ部101の押圧部位101bに対応する部分に貫通孔が形成されている。この貫通孔は、例えば図4に示したように、スペーサ115を上方(図1のz軸正方向側)から見た場合に、成形試験装置10の中心軸を中心として形成されている。また、スペーサ115に形成されている流路117は、図4に例示したように、貫通孔と連通するように形成されている。図4に示した例では、流路117は、スペーサ115に対して井桁状に形成されている。
このような流路117をスペーサ115に形成することで、図4に示したように、パンチ部101の下降動作に伴って押しのけられる熱媒体113を、流路117を介してスペーサ115の外部の熱媒体浴111へと排出することができる。これにより、熱媒体浴111中に対流が生じて熱媒体113が攪拌される。
ここで、本実施形態に係るスペーサ115では、スペーサ115を厚み方向に切断した場合の流路の総断面積をSとし、試験材Sに当接するパンチ部101の押圧部位101bのスペーサ115への投影面積をSとしたときに、(S/S)で表される値が、0.2〜100となるように流路117が形成されることが好ましい。
ここで、流路の総断面積Sは、例えば図4の場合には、単位流路長あたりの断面積がW×Hで表されるため、(8本分の流路117の総延長)×W×Hで表される値が、流路の総断面積Sとなる。
(S/S)で表される値が0.2未満である場合には、成形試験に伴いスペーサ115の土台となっている金属が塑性変形してしまい、正確な試験結果が得られなくなる可能性があるため、好ましくない。また、(S/S)で表される値が100超過である場合には、押しのけられた熱媒体113の行き場がなくなり、成形試験装置10に必要以上の負荷が掛かって正確な試験結果が得られなくなる可能性があるため、好ましくない。
(S/S)で表される値は、更に好ましくは、0.4以上8以下である。(S/S)で表される値を0.4以上とすることで、適度な熱媒体113の流速を実現することができ、十分な熱媒体113の攪拌効果を得ることが可能となる。また、(S/S)で表される値を8以下とすることで、適度な流路の大きさを実現することができ、十分な熱媒体113の攪拌効果を得ることが可能となる。
なお、スペーサ115に形成される流路117のレイアウトは、図4に示した例に限定されるわけではない。例えば図5に示したように、スペーサ115上に十字状に流路117が形成されていても良いし、例えば図6に示したように、スペーサ115上に放射状に流路117が形成されていても良い。また、図4〜図6に示した例では、流路117の幅Wが一定である場合について図示しているが、流路117の幅Wを例えばスペーサ115の端部に向かうほど広くなるように形成するなど、幅Wを一定にしなくとも良い。
以上、図4〜図6を参照しながら、本実施形態に係る成形試験装置10が備えるスペーサ115に設けられた流路117の構造について、詳細に説明した。
以上説明したように、本実施形態に係る成形試験装置10では、熱媒体としてシリコンオイル等の液体状の熱媒体を使用することで、20℃近傍の室温だけでなく、熱媒体の使用許容温度範囲で、鋼材や非鉄金属材等の金属材の成形試験(張出試験等)を実施することが可能となる。また、熱媒体として液体状の熱媒体を利用することで、金属材に発生した熱による影響を抑制し、金属材に生じる温度変化を少なくとも30℃以内、更には15℃以内)とすることが可能となる。その結果、より温度が安定した試験条件で金属材の成形試験を実施することができ、試験材に対して塑性加工を均一温度で正確に施すことが可能となる。
そのため、本実施形態に係る成形試験装置10を利用することで、各種の非鉄金属材のみならず、残留オーステナイト鋼板等のように加工発熱や加工変態熱の影響を受けやすいような鋼板であっても、より正確な成形試験(張出試験等)を行うことが可能となる。
以下では、実施例を示しながら、本発明の実施形態に係る成形試験装置10について、具体的に説明する。本発明の実施形態に係る成形試験装置10は、各種の金属材に対する成形試験に適用することが可能であるが、以下では、オーステナイト鋼板を例に挙げて具体的に説明を行うものとする。なお、以下に示す実施例は、本発明の実施形態に係る成形試験装置10を説明するためのあくまでも一例であって、本発明に係る成形試験装置10が以下に示す例に限定されるわけではない。
(実施例1:張出試験)
実施例1では、図1に示した成形試験装置10を用いて、残留オーステナイト鋼板に対する張出試験を行った。用いたオーステナイト鋼板は、SUS304である。なお、パンチ部101には、図2Bに示した球頭パンチを用い、スペーサ115には、S/Sで表される値が0.69である、図4に示したスペーサを使用した。また、熱媒体113としては、−70℃〜250℃の範囲で使用可能なシリコンオイルを使用した。ここで、熱媒体浴111には、更なる攪拌装置を設置せずに試験を行った。
また、残留オーステナイト鋼板は図3に示した形状を有する試験片に加工し、熱媒体であるシリコンオイルの温度を25℃に制御した上で張出試験を行って、パンチ部101の降下量である成形ストローク[mm]と、試験片温度[℃]との関係を測定した。なお、試験片温度は、パンチ部101の押圧部位101bの先端と試験材との接触部位を、K熱電対を利用して測定した。
また、比較例として、従来の成形試験機を用い、上記と同様の試験片について試験片温度を大気中で測定した。
得られた結果を図7に示した。図7において、横軸はパンチ部101の成形ストローク[mm]であり、縦軸は試験片温度[℃]である。また、図7において、オイル中と示した曲線が実施例で使用した成形試験装置を用いた測定結果であり、大気中と示した曲線が従来の成形試験機を用いた測定結果である。
図7から明らかなように、オーステナイト鋼板を用いた試験材を大気中で測定した場合、成形ストロークが大きくなるにつれて、接触部の温度が大きく上昇していることがわかる。この温度上昇は、残留オーステナイト鋼板の加工変態熱や加工発熱に伴う温度上昇と考えられ、得られた接触部温度の測定結果には、加工変態熱や加工発熱に伴う誤差が重畳されているものと考えられる。
一方、オーステナイト鋼板を用いた試験材を、本発明の実施形態に係る成形試験装置を用いてオイル中で測定した場合、成形ストロークが大きい場合であっても、接触部温度の上昇度合い(温度変化)を、従来の1/3程度に抑制できていることがわかる。従って、本発明の実施形態に係る成形試験装置による試験片温度の測定結果は、加工変態熱や加工発熱に伴う誤差が低減されており、より正確にオーステナイト鋼板の加工に伴う温度変化を表したものであるといえる。
(実施例2:成形限界線図試験)
実施例2では、実施例1で用いたものと同様の残留オーステナイト鋼板に対し、実施例1で用いたものと同様の成形試験装置を利用して、成形限界線図(Forming Limit Diagram:FLD)試験を実施した。試験に際しては、(最小主ひずみε2/最大主ひずみε1)で表されるひずみ比βが1.0である等二軸引張を試験材に施した。なお、最大主ひずみε1及び最小主ひずみε2の計測は、熱媒体であるシリコンオイルの温度を−50℃、室温(約20℃)、100℃、200℃にそれぞれ制御して実施した。
また、比較例として、従来の成形試験機を用い、上記と同様の試験片についてFLD試験を大気中で実施した。なお、最大主ひずみε1及び最小主ひずみε2の計測は、熱媒体である大気の温度を−50℃、室温(約20℃)、100℃、200℃にそれぞれ制御して実施した。
得られた結果を、図8及び図9に示す。図8は、本発明の実施形態に係る成形試験装置を用いた試験結果を示しており、図9は、従来の成形試験機を用いた試験結果を示している。また、図8及び図9の双方において、横軸は最小主ひずみε2であり、縦軸は最大主ひずみε1を表している。
図8及び図9を比較すると、同様の試験材であるにも関わらず、各温度における成形限界線の形状が異なっていることがわかる。この結果からも明らかなように、本発明の実施形態に係る成形試験装置では、温度による材料特性の変化を明確に測定することが可能であることがわかる。
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
10 成形試験装置
11 塑性加工部
13 恒温槽部
101 パンチ部
101a 板状部材
101b 押圧部材
103 収縮部材
105 断熱材
107 ブランクホルダ
109 試験材保持部材
111 熱媒体浴
113 熱媒体
115 スペーサ
117 流路
119 ダイ
121 ヒータ
123 連結用スプリング

Claims (11)

  1. 試験材に対して張出加工を行うことで当該試験材の張出試験を行う張出試験装置であって、
    所定温度の液体状の熱媒体を保持し、前記試験材が当該熱媒体中に浸漬される熱媒体浴と、
    前記熱媒体浴中に配設されており、前記熱媒体の流れる流路が形成されたスペーサと、
    前記熱媒体浴中で前記スペーサの天面上に配設されるダイと、
    前記試験材が固定されるものであり、前記熱媒体浴中に降下することで前記試験材を前記熱媒体中に浸漬させる試験材固定機構と、
    前記熱媒体浴中へと降下し、前記試験材固定機構及び前記ダイに挟持された前記試験材を押圧することで当該試験材に対して負荷を付与するパンチ部と、
    を備えることを特徴とする、張出試験装置。
  2. 前記ダイには、前記試験材に当接する前記パンチ部の押圧部位と対応する位置に貫通孔が設けられており、
    前記パンチ部が前記熱媒体中へと降下することで、前記貫通孔内の前記熱媒体は前記流路を通って前記熱媒体浴中を流れ、前記熱媒体浴中に対流を生じさせる
    ことを特徴とする、請求項1に記載の張出試験装置。
  3. 前記スペーサを厚み方向に切断した場合の前記流路の総断面積をSとし、前記試験材に当接する前記パンチ部の押圧部位の前記スペーサへの投影面積をSとしたときに、(S/S)で表される値が、0.2〜100である
    ことを特徴とする、請求項1又は2に記載の張出試験装置。
  4. 前記(S/S)で表される値が、0.4〜8である
    ことを特徴とする、請求項3に記載の張出試験装置。
  5. 前記試験材固定機構には、貫通孔が設けられており、
    前記パンチ部は、前記貫通孔を介して前記試験材を押圧する
    ことを特徴とする、請求項1〜3の何れか1項に記載の張出試験装置。
  6. 前記パンチ部は、荷重が付与される板状部位と、当該板状部材から突設され、前記試験材に当接することで前記試験材を押圧する押圧部位と、を有する、断面略T字形状の部材であり、
    前記板状部材と前記試験材固定機構との間には、所定の閾値以上の荷重が付与された際に付与された荷重の大きさに応じて収縮する収縮部材が設けられており、
    前記収縮部材が収縮することで、前記押圧部位の先端部が前記試験材を押圧する
    ことを特徴とする、請求項1〜5の何れか1項に記載の張出試験装置。
  7. 前記熱媒体の温度を制御する温度制御機構を更に備える
    ことを特徴とする、請求項1〜6の何れか1項に記載の張出試験装置。
  8. 前記押圧部位の先端部は、球形状、角筒形状、円筒形状又は円錐形状を有している
    ことを特徴とする、請求項6に記載の張出試験装置。
  9. 前記収縮部材は、ガススプリングである
    ことを特徴とする、請求項6に記載の張出試験装置。
  10. 試験材に対して張出加工を行うことで当該試験材の張出試験を行う張出試験方法であって、
    熱媒体浴中に降下することで前記試験材を前記熱媒体中に浸漬させる試験材固定機構に前記試験材を固定し、
    熱媒体の流れる流路が形成されたスペーサ及び当該スペーサの天面上に配設されるダイが配設されており、所定温度の熱媒体が保持されている熱媒体浴中に、前記試験材の固定された前記試験材固定機構と、前記試験材を押圧することで当該試験材に対して負荷を付与するパンチ部と、を降下させ、
    前記試験材が前記試験材固定機構及び前記ダイに挟持された後に、前記パンチ部を更に前記熱媒体浴中へ降下させて、前記試験材を押圧する
    ことを特徴とする、張出試験方法。
  11. 前記試験材が前記試験材固定機構及び前記ダイに挟持された後、前記試験材及び前記パンチ部の温度が安定した段階で、前記パンチ部を更に前記熱媒体浴中へと降下させる
    ことを特徴とする、請求項10に記載の張出試験方法。
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