JP5974117B2 - エステル化のための多糖類シートを調製する方法 - Google Patents

エステル化のための多糖類シートを調製する方法 Download PDF

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Description

本発明は、セルロースの処理、より詳細には、開繊ならびに下流の加工処理および化学反応に関する。
シートおよびロールの形態のセルロースの官能化は一般に、まず開繊工程から始まり、下流の加工処理および化学反応のために繊維を調製する。特に、様々な酢酸セルロース製品を調製するための下流のアセチル化との関係でいうと、セルロースは、多くの場合硬材および軟材パルプならびにリンターが原料とされる。
いくつかの要因が、セルロース処理の様々な段階において制限をもたらす。シートの硬さは、一つのそのような要因であり開繊に影響を及ぼすことがある。 たとえば、従来技術で使用されている標準的な摩擦粉砕装置を使用するには、パルプ供給原料の硬さ指数は約3psi/ミル(814kPa/mm)未満でなければならない。ミューレン破裂強さ試験は、セルロースシートまたは板紙を特定の条件下に破裂させるのに要する圧力をその荷載容量の関数として測定するものであるが、これも上記セルロース供給原料が上記装置中でうまく処理されるかどうかの指標を提供する。
開繊工程が、極性液体、特に水を使用して改善される場合があることが示されている。水は開繊工程によく適しており、とりわけ、環境に優しい化学プロセスを提供することへの関心を考慮するとそういえるけれども、摩擦粉砕されたパルプ製品中に水が存在すると、下流の化学反応を妨げることがある。たとえば、アセチル化プロセスでは、水はアセチル化剤である無水酢酸を消費し、この薬剤の非効率的な消費につながることがある。下流の化学反応のための処理を改善する従来の試みは、終始一定した信頼できる湿分量を有しない摩擦粉砕製品をもたらしていた。従来の乾燥する試みはしばしば、乾燥不足の、乾燥過剰の、または不均一に乾燥された製品をもたらし、これは官能化段階における製品の品質に影響を及ぼしている。
本発明は、セルロースの処理、より詳細には、開繊ならびに下流の加工処理および化学反応に関する。
いくつかの側面では、本明細書に開示された実施形態は、セルロースシートストック(素原料)を約20%から約50%までの範囲の水分量まで湿らせる工程、該湿らせたセルロースシートを摩擦粉砕して湿ったパルプにする工程、該湿ったパルプをフラッシュ乾燥して約4%から約8%までの湿分量を有するセルロースフロキュール(綿毛状物)にする工程、および該セルロースフロキュールをエステル化してセルロースエステル製品を提供する工程、を含む方法に関する。
他の側面では、本明細書に開示された実施形態は、(a)セルロースシートストックを約20%から約50%までの範囲の水分量まで湿らせる工程、次に(b)該湿らせたセルロースシートを摩擦粉砕して湿ったパルプにする工程、次に(c)該湿ったパルプをフラッシュ乾燥して約5%から約8%までの湿分量を有するセルロースフロキュールにする工程、次に(d)該セルロースフロキュールをエステル化してセルロースエステル製品を準備する工程、そして次に(e)該セルロースエステル製品から繊維トウを形成する工程、を含む方法に関する。
当業者には、本発明の特徴および利点は、以下に続く好ましい実施形態の記載を読めば、直ちに明らかになろう。
以下の図は、本発明のある側面を例示するために含められたものであり、本発明を限定する実施形態であると見なしてはならない。ここに開示された主題は、当該技術分野に通じ本開示発明の恩恵を受ける当業者が考えつくであろう、相当な修正、変更、ならびに形式および作用上の等価物を包含する。
本発明の方法に使用されるフラッシュ乾燥機の実施形態を示す図である。 収集されたすべてのサンプルについてピークまでの時間対フラッシュ乾燥機入口湿分のプロットを示す図である。 ダストコレクターから収集されたサンプルのみについてピークまでの時間対フラッシュ乾燥機入口湿分のプロットを示す図である。
本発明は、セルロースの処理、より詳細には、開繊ならびに下流の加工処理および化学反応に関する。
多くの利点があるうちでも、本発明は、セルロースストックを、摩擦粉砕されたセルロース製品の過剰乾燥または乾燥不足を回避しながら水の助けを借りて開繊/摩擦粉砕させ、引き続いて乾燥して、より均一な湿分量を達成する方法を提供する。得られたセルロースフロキュールの湿分量は、たとえばエステル化を含む下流の処理化学反応に適合する範囲にある。
開繊、摩擦粉砕等の使用に係る多くのセルロース処理プロセスと異なり、本発明の方法は、当該技術分野で通常使用される様々な添加物、たとえば界面活性剤を必要とすることなく、水のみの存在下にこのような繊維の処理を達成することができる。したがって本発明の方法は、環境に優しい様式で繊維の処理を達成する。かかる処理方法では添加物は必要ないけれども、本発明の方法は、当該技術分野で知られた任意の添加物を、たとえば、界面活性剤、架橋剤、疎水性材料、鉱物微粒子、可塑剤、泡等を含む添加物を使用者の判断で利用することができる。このような添加物は、セルロース製品の目標最終用途に基づいて選択されることができるが、上記の開繊/摩擦粉砕を達成するために必要というわけではない。
本発明の方法における様々な工程は、官能化されたセルロース最終製品、たとえば酢酸セルロースに代表されるセルロースエステルを製造するための単一の体系に容易に統合される。たとえば、本発明のフラッシュ乾燥工程で生成されたセルロースフロキュールは、サイクロンセパレーターに供給され、そこで得られた分離されたセルロースフロキュール製品は化学的官能化のために反応容器中に直接仕込まれることができ、その結果、粗原料の処理工程数が低減されるとともに環境への曝露を減らすことができる。
本発明の方法は、当該技術分野で典型的に使用されているものより低コストの硬いセルロースシートを使用することに適合しており、同時に、さらなる化学的官能化に適した低密度の十分に摩擦粉砕されたセルロースフロキュール中間製品も提供する。このセルロースを摩擦粉砕し乾燥する条件は十分に穏やかなので、繊維の損傷が最小限にとどめられる。ここに示された助言を与えられれば、その他の利点は当業者には明らかであろう。
いくつかの実施形態では、本発明は、セルロースシートストックを約20%から約50%までの範囲の水分量まで湿らせる工程、該湿らせたセルロースシートを摩擦粉砕して湿ったパルプにする工程、該湿ったパルプをフラッシュ乾燥して約4%から約8%までの湿分量を有するセルロースフロキュールにする工程、および該セルロースフロキュールをエステル化してセルロースエステル製品を提供する工程、を含む方法を提供する。
本明細書で使用される用語「湿らせる」工程とは、重量パーセントで目標水分量までセルロースストックに水を加える工程をいう。湿らせる工程は、当該技術分野で一般に使用される任意の手段によって達成されることができ、たとえば、湿らせる工程は浸漬またはスプレー技術によって達成されることができる。スプレー技術を使用してセルロースストックを湿らせる場合、スプレー工程はシートの片側または両側にスプレーすることを含むことができる。いくつかの実施形態では、湿らせる工程は、最初に塊状のセルロースストックを切断しまたはサイズを小さくした後で達成されることもでき、たとえばシートの最初の切断もしくは引き裂きによってつくられた、幅の狭い細長片、小板または他のより小さい断片を湿らせることを含む。
いくつかの実施形態では、セルロースストックを湿らせる工程は、約20重量%から約50重量%までの範囲の水分量を有する湿らせたセルロースシートストックを提供するために実施される。いくつかの実施形態では、湿らせたセルロースストックは、約30%から約40%までの範囲の水分量を有する。いくつかの実施形態では、湿らせたセルロースシートストックは、約20%から約25%までの範囲の水分量を有する。いくつかの実施形態では、湿らせたセルロースストックは、約25%から約30%までの範囲の水分量を有する。いくつかの実施形態では、湿らせたセルロースストックは、約30%から約35%までの範囲の水分量を有する。いくつかの実施形態では、湿らせたセルロースストックは、約35%から約40%までの範囲の水分量を有する。いくつかの実施形態では、湿らせたセルロースストックは、約40%から約45%までの範囲の水分量を有する。いくつかの実施形態では、湿らせたセルロースストックは、約45%から約50%までの範囲の水分量を有する。いくつかの実施形態では、湿らせたセルロースストックは、約20%、21%、22%、 23%、24%、25%、26%、27%、28%、29%、30%、31%、32%、33%、34%、35%、36%、37%、38%、39%、40%、41%、42%、43%、44%、45%、46%、47%、48%、49%もしくは50%またはこれらの任意の部分である水分量を有する。
当業者は、湿分重量パーセントの的確な選択が、選択されたセルロースシート源によって左右されることがあることを認識するだろう。一般的な指針として、湿分量は、開繊に影響を与えかつ下流の摩擦粉砕工程を容易にするのに十分なものでなければならない。約15%未満の湿分量では、多くの源からのセルロースシートストックは、十分な開繊を示さないことがある。同様に、約55%超の湿分量では、下流のフラッシュ乾燥工程における問題が、たとえば過剰乾燥された、乾燥不足の、または不均一に乾燥された製品を含む問題が起きることがある。所与のセルロースストックのための適切な湿分量の評価は、多くの手段によって、たとえば摩擦粉砕の有効性を評価することまたは下流の化学反応の収率/効率、たとえばエステル化収率を測定することを含む手段によって評価されることができる。本発明の方法の有効性を評価する他の手段は、摩擦粉砕され乾燥されたパルプの目視検査および/または当業者に知られた適当な分析試験によって湿分量を定量的に測定することを含む。
本明細書で使用される用語「セルロースストック」または「パルプ」とは、シート、ベールの形態もしくは他の形態または組み合わせの形態をしている、工業的に入手可能なまたは容易に製造されるいくつもあるセルロースをいう。セルロースは、硬材、軟材または綿として特性付けられる植物種を典型的には源とする。かかるパルプは、限定されることなく、アバカパルプ、アセテートパルプ、農業残留物、たとえばストロー、バガス等からつくられる農業残留物パルプ、アルファパルプ、アスペン硬材クラフトパルプ、竹パルプ、カバノキ硬材クラフトパルプ、亜硫酸水素ケミメカニカルパルプ(BCMP)、晒ケモサーモメカニカルパルプ(BCTMP)、晒ユーカリクラフトパルプ(BEKP)、晒クラフトパルプ(BKP)、ブラウンパルプ、ケミカルパルプ、ケミカル砕木パルプ(CGP)、ケミメカニカルパルプ(CMP)、ケミリファイナーメカニカルパルプ(CRMP)、ケモサーモメカニカルパルプ(CTMP)、コールドソーダパルプ、綿リンター、綿パルプ、脱インキパルプ(DIP)、溶解パルプ、エスパルトパルプ、エーテルパルプ、ユーカリパルプ、亜麻パルプ、完全晒パルプ、砕木パルプ(GWP)または砥石砕木パルプ(SGWP)、強蒸解パルプ、硬材(ブナ)亜硫酸パルプ、麻パルプ、熱砕木パルプまたはサーモ砕木パルプ、ジュートパルプ、ケナフパルプ、ノッターパルプ、クラフトパルプ、マーケットパルプ、メカニカルパルプ、微結晶セルロースパルプ、中性亜硫酸またはモノ亜硫酸パルプ、中性亜硫酸セミケミカルパルプ(NSSC)、ニトロ化パルプ、漂白北方硬材クラフトパルプ(NBHKP)、漂白北方軟材クラフトパルプ(NBSKP)、北方混合硬材クラフト、非木材植物材料、たとえばストロー、草、ぼろ等からつくられた非木材パルプ、紙級パルプ、加圧砕木パルプ(PGW)、加圧リファイナーメカニカルパルプ(PRMP)、ラジアータパイン軟材クラフトパルプ、ぼろパルプ、リサイクル繊維パルプ、リファイナーメカニカルパルプ(RMP)、リファイナーおがくずパルプ、強化パルプ、おがくずパルプ、スカンジナビア軟材クラフトパルプ、セミアルカリパルプ、半晒パルプ(SBP)、セミケミカルパルプ、セミケミカルメカニカルパルプ(SCMP)、サイザル麻パルプ、弱蒸解パルプ、軟材パルプ、軟材亜硫酸パルプ、漂白南方硬材クラフトパルプ(SBHKP)、漂白南方軟材クラフトパルプ(SBSKP)、南方混合硬材クラフトパルプ、南方松軟材クラフトパルプ、特殊パルプ、ストローパルプ、タンデムサーモメカニカルパルプ(タンデムTMP)、サーモケミメカニカルパルプ(TCMP)、サーモメカニカルパルプ(TMP)、完全無塩素パルプ(TCF)、未晒軟材クラフトパルプ(UBSK)、未洗パルプ、ビスコースパルプまたはレーヨン級パルプ、洗浄パルプ、上質紙級パルプおよび木材パルプを含む。セルロースの任意の生物学的源も使用されることができる。
いくつかの実施形態では、本発明の方法はセルロースを湿らせる工程(調湿工程)を採用し、この工程は脱塩水を用いた処理を含む。上記したように、本発明の方法は、水のみを用いてそれ以外の添加物を必要とせずに、セルロース繊維の開繊/機械的処理を有利に達成するものであり、かかる方法は、湿らせたセルロースストックを生成するために適当な量の水を使用することによって機能し、セルロース繊維を化学的または機械的に処理するために通常使用される界面活性剤または他の添加物の必要を排除する。いくつかの実施形態では、上記にもかかわらず、添加物が、繊維に向けたある特定の下流での処理のために調湿工程の間に使用されることもでき、該添加物としては、たとえば界面活性剤、架橋剤、疎水性材料、鉱物微粒子、可塑剤、泡、インク、着香料および抗菌剤が挙げられる。下流においてエステル化が実施されることになっているような、いくつかのこのような実施形態では、採用すべき添加物は、エステル化条件との適合性によって選択される。
いくつかの実施形態では、本発明の方法は、摩擦粉砕工程を含む。本明細書で使用される「摩擦粉砕する」工程とは、セルロースストックのサイズをパルプの塊にまで減少する工程をいう。いくつかのこのような実施形態では、該パルプの塊は湿ったパルプである。いくつかの実施形態では、この摩擦粉砕工程は、個々のセルロース繊維をより小さいサイズにまで分解することもできる。いくつかの実施形態では、本発明の方法は、セルロースストックを細断して小さい断片にし、さらにこの小さい断片を摩擦粉砕して湿ったパルプにすることを含む摩擦粉砕工程を含む。いくつかの実施形態では、摩擦粉砕工程は、セルロースシートストックを湿らせた後で実施される。いくつかの実施形態では、摩擦粉砕工程の一部は、セルロースストックを湿らせる前に実施される。いくつかの実施形態では、摩擦粉砕工程は、フラッシュ乾燥部門にさらなる処理のために送られることができる、湿ったパルプを提供する。いくつかの実施形態では、摩擦粉砕工程は、フラッシュ乾燥に先立つ前処理部門に送られることができる、湿ったパルプを提供する。このような前処理部門では、任意の上記の添加物がこの湿ったパルプに混合されてもよい。
いくつかの実施形態では、湿らせたセルロースの摩擦粉砕に引き続いて、得られた湿ったパルプはフラッシュ乾燥に付される。いくつかの実施形態では、フラッシュ乾燥機は、環状ジェットミル技術、たとえば低圧力の熱ガスを使用して湿ったパルプを乾燥し凝集をほぐすThermaJetフラッシュ乾燥機(米国ペンシルベニア州、Telford、Fluid Energy社)に基づく。たとえば、図1を参照せよ。熱ガスがノズルを通してフラッシュ乾燥機中に導入され、高速度で循環するガス/製品流を生み出す。このガス流は、入ってくる湿ったパルプ材料を乾燥室に急速に送りこみ、そこで乱流の熱風が粒子と粒子との衝突を生じさせることによって湿ったパルプの凝集を素早くほぐす。この衝突は、乾燥媒体にさらされる表面積を増加させ、有効なフラッシュ乾燥を行うための迅速な熱交換を容易にする。この乾燥ゾーンから、ガス/製品流は静的分級ゾーンに入る。遠心力によって、より大きくより湿った粒子は、乾燥機の環の外側に残り、そこから乾燥室へと再循環される。より軽くより乾燥した粒子は、排気ガス流とともに運び出される。
いくつかの実施形態では、フラッシュ乾燥は、フラッシュ乾燥機の供給原料入口における約105℃から約200℃までの範囲の温度で、およびフラッシュ乾燥機の出口における約60℃から約130℃までの範囲の温度で行なうことができる。いくつかの実施形態では、フラッシュ乾燥機の供給原料入口温度は約100℃から約120℃までの範囲にある。いくつかの実施形態では、フラッシュ乾燥機の供給原料入口温度は約120℃から約140℃まで、約140℃から約160℃まで、約160℃から約180℃までまたは約180℃から約200℃までの範囲にあり、これらの範囲の任意の入れ子になった範囲およびそれらの任意の部分も含まれる。同様に、いくつかの実施形態では、フラッシュ乾燥機の供給原料出口温度は約60℃から約80℃までの範囲にある。いくつかの実施形態では、フラッシュ乾燥機の供給原料出口温度は約80℃から約100℃まで、約100℃から約120℃まで、約120℃から約140℃までまたは約140℃から約160℃までの範囲にあり、これらの範囲の任意の入れ子になった範囲およびそれらの任意の部分も含まれる。操作上の温度パラメーターは、フラッシュ乾燥工程から得られる乾燥されたセルロースフロキュールの最終湿分量および密度に影響を与えることがある。
いくつかの実施形態では、フラッシュ乾燥は低圧力の熱ガスで実施される。たとえば、いくつかの実施形態では、ノズル供給圧力として測定される低圧力は、約2psig(115kPa−a)から約4psig(129kPa−a)までの範囲にあり、1psig(108kPa−a)、2psig、3psig(122kPa−a)および4psigならびにこれらの部分も含まれる。いくつかの実施形態では、フラッシュ乾燥は熱風で実施される。いくつかの実施形態では、フラッシュ乾燥工程は、直接的または間接的に加熱された空気を用いて実施される。直接方式の加熱は、得られたセルロースフロキュールがある程度着色することがあることが示されている。製品の色が重要である場合には、このような着色を低減するためにフラッシュ乾燥機に送られる空気に間接的に熱が供給されることができる。
いくつかの実施形態では、本発明の方法は、微細粉および他の望ましくない粒子状物質を取り除きながら、特定の密度のセルロースフロキュール製品を選択的に分離することができる分離工程を用いる。いくつかの実施形態では、セルロースフロキュールのかかる分離は、サイクロンセパレーターによって達成されることができる。サイクロンセパレーターは、上流のフラッシュ乾燥機と容易に接続されることができるとともに、任意的に、分離されたセルロースフロキュールを後続の官能化反応用の反応器に直接搬送することもできる。
いくつかの実施形態では、本発明の方法はエステル化工程をさらに含み、該エステル化工程は無水酢酸、無水プロピオン酸、無水酪酸、混合酸無水物またはこれらの組み合わせを用いた処理を含む。セルロースのエステル化は、従来から知られている方法を使用して達成されることができる。たとえば、アセチル化は、酢酸と硫酸との混合物の存在下にセルロースフロキュールを無水酢酸と反応させることにより達成されることができる。いくつかの実施形態では、エステル化工程は、任意の酸無水物を用いた処理を含み、それによってエステル化されたセルロースフロキュールを提供する。いくつかの実施形態では、アセチル化工程は、無水酢酸を用いた処理を含み、それによって酢酸セルロース製品を提供する。
セルロースの部分エステル化は従来技術で知られている。これは、複数のエステル化剤を用いた反応によって混合エステル化製品の入手を可能にする。したがって、いくつかの実施形態では、本発明の方法は、第1のエステル化剤を使用して第1のエステル化製品を生成し、この反応ではすべての利用可能なヒドロキシル基が該第1のエステル化剤と反応するわけではない。この第1のエステル化製品は、次に第2のエステル化に付されて混合エステル化セルロースフロキュールを提供することができる。いくつかの実施形態では、第1のエステル化剤は無水酢酸であり、第2のエステル化剤は長鎖脂肪酸無水物であり、この長鎖脂肪酸無水物は分枝状または非分枝状の、飽和または不飽和の、約7から約30までの炭素原子を含む脂肪酸である。いくつかの実施形態では、第1のエステル化剤は長鎖脂肪酸無水物であり、これは分枝状または非分枝状の、飽和または不飽和の、約7から約30までの炭素原子を含む脂肪酸であり、第2のエステル化剤は無水酢酸である。
いくつかの実施形態では、無水酢酸によるエステル化を採用する本発明の方法は、従来技術で知られた酢酸セルロース製品、たとえば二酢酸セルロースまたは三酢酸セルロースを生成するために使用されることができる。いくつかの実施形態では、本発明の方法は、モノマー単位当たり約0.1から約3個までの酢酸エステル残基(アセテート基)の任意の置換度を有する酢酸セルロースを製造するために使用されることができる。すなわち、該置換度は、セルロースポリマーを構成するグルコースモノマー単位上の利用可能なヒドロキシル基の1個未満からそのすべてまでの平均である。いくつかのこのような実施形態では、本発明の方法は、二酢酸セルロースを製造するために使用される。いくつかのこのような実施形態では、本発明の方法は三酢酸セルロースを製造するために使用される。
本発明の方法によって製造可能な酢酸セルロース製品は、酢酸セルロースフレーク、酢酸セルローストウおよび酢酸セルローストフィルムを含むことができる。酢酸セルロースフレークは、靭性を有し、透明、耐衝撃性のプラスチックから、柔らかく、ドレープ性、吸収性の織物までの広範な製品に変換されることができる。酢酸セルロース繊維トウは、酢酸セルロースフレークからつくられることができる。いくつかの実施形態では、本発明の方法は、セルロースエステル製品から繊維トウを形成する工程をさらに含む。いくつかのこのような実施形態では、該繊維トウは酢酸セルロースを含む。製造されるトウは、フィラメント当たりのデニール値(dpf)、総デニール値およびそのトウ材料の最終用途に依存する他の物理的性質、の厳密な組み合わせが得られるように選択されることができる。
いくつかの実施形態では、酢酸セルロースフイルムは、本発明の酢酸セルロース製品から形成されることができる。このようなフィルムは、プリントラミネーション、カートン窓、パッケージ包装用品および他の多くの商業用途、たとえば高級食品、化粧品および医薬品用として使用されることができる。
いくつかの実施形態では、本発明の方法は、繊維級酢酸セルロースを製造するために使用される。繊維級酢酸セルロースは、約45から約58までの範囲のアセチル価(AV)を有する酢酸セルロースを含む。他の実施形態では、アセチル価は約54AVから約56AVまでの範囲を有することがある。いくつかの実施形態では、アセチル価は、約53、約54、約55、約56または約57であり、これらの部分であることもある。アセチル価は、酢酸セルロースまたは三酢酸セルロース製品におけるセルロースのエステル化度の尺度であり、全重量のうちの酢酸のパーセントを表示する。酢酸セルロースから製造される繊維は酢酸セルロースフレークから調製され、この酢酸セルロースフレークが沈降され、精製され、乾燥され、そしてアセトンのような溶媒中に溶解されて、紡糸溶液が準備される。ろ過後、この高粘性溶液は、紡糸口金を通して温風のカラム中に押出され、この中で溶媒が蒸発されて、酢酸セルロースの固形の連続フィラメントが残される。蒸発したアセトンは溶媒回収装置を使用して回収されて、追加用の紡糸溶液となる。この酢酸セルロース繊維は互いに絡み合わされ、ボビンに巻かれまたは出荷可能な繊維のチーズパッケージにされることができ、これはさらなる化学的処理なしに直ぐに使用されることができる。ステープルファイバーの製造では、多数の紡糸口金からのフィラメントが結集されてトウの形態にされ、捲縮され、所望の長さに切断され、そしてベールへと包装される。
いくつかの実施形態では、本発明の方法は、水溶性の酢酸セルロースを製造するために使用される。水溶性酢酸セルロースは、たとえば米国特許第3,482,011号および米国特許第4,983,730号に記載されており、これらの両方とも参照によってその全体が本明細書に取り込まれる。水溶性酢酸セルロースの用語は、水に比較的速く溶解し、かつ実質的な量の不溶性残留物を残さない酢酸セルロースのことをいうことは当業者によって理解される。典型的には、水溶性酢酸セルロースは、モノマー単位当たりアセテート基の約0.5から約0.9個まで、または約0.6から約0.8個までの範囲の置換度を有する。「置換度」が水溶性である酢酸セルロースのタイプを記述するために使用されるいくつかの慣用の方法のうちの1つにすぎないことは、当業者によって認識されるはずである。このタイプを記述する他の一般的な方法は、アセチル価またはアセチル含有量を測定することを含み、これらはそれぞれ酢酸の重量パーセントまたはアセチル基の重量パーセントとして測定される。さらに、水に可溶性の酢酸セルロース組成物が、他の有機溶媒、たとえばホルムアミド、N、N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ピリジンおよびN−メチル−2−ピロリドン、これらの混合物ならびにこれらと水との混合物に可溶性であることも当然に認識される。
いくつかの実施形態では、本発明の方法は、熱可塑性樹脂および熱硬化性樹脂から成る群から選ばれた1つを含む複合材料マトリクス中に、セルロースエステル製品またはそのトウを組み入れることをさらに含む。マトリクス材料中に組み入れられたセルロースエステル製品またはそのトウは、複合材料を形成する。典型的なマトリクス材料は、限定されることなく、エポキシ樹脂、ポリエステル、ビニルエステル樹脂、ポリエーテルイミド、ポリエーテルケトンケトン、ポリフタルアミド、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリイミド、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂およびビスマレイミド樹脂を含むことができる。本発明に有用なマトリクス材は、任意の公知のマトリクス材料を含むことができる(Mel M. Schwartz著、Composite Materials Handbook、第2版、1992年刊を参照せよ。)。マトリクス材料は、より一般的には、熱硬化性および熱可塑性の双方の樹脂(ポリマー)、金属、セラミックスまたはセメントを含むことができる。
マトリクス材料として有用な熱硬化性樹脂は、フタル酸/マレイン酸タイプのポリエステル、ビニルエステル樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、シアネート樹脂、ビスマレイミド樹脂および末端封止ポリイミド(たとえば、PMR−15)を含む。任意の熱硬化性マトリクス、たとえば業界標準のエポキシ樹脂およびポリエステルの仲間群、さらにフェノール樹脂、シリコーン、ポリイミド等が使用されることができる。ポリエステル樹脂が、たとえばバルク成形コンパウンド(BMC)またはシート成形コンパウンド(SMC)の製造のために使用されることができ、これらのコンパウンドは、これらの樹脂と予め混合された、短繊維状または長繊維状の官能化セルロース繊維を組み入れる。熱可塑性樹脂は、ポリスルホン、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリフェニレンオキシド、ポリスルフィド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルスルホン、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド、ポリイミド、ポリアリレートおよび液晶ポリエステルを含む。
いくつかのこのような実施形態では、エステル化セルロース繊維材料が、フロキュールまたはトウの形態で、複合材料の製造のために従来技術で知られた方法によって組み入れられることができる。いくつかの実施形態では、エステル化セルロース繊維材料は、様々な技術によって熱硬化性マトリクス中に組み入れられ、該様々な技術として、短繊維積層、樹脂トランスファー成形および湿式巻取り、真空樹脂トランスファー成形(VARTM)およびプリプレグ製造が挙げられるが、これらに限定されない。複合構造体として使用するためにセルロースエステル繊維を組み入れるのに使用される任意の現行技術が、本発明の繊維トウを組み入れるのに使用されることができる。エステル化セルロース繊維材料は、様々な技術によって熱可塑性マトリクスに組み入れられ、該様々な技術として、溶融もしくは溶媒含浸によって完全に重合化された熱可塑性マトリクスへ含浸する技術、粉体含浸によって物理的に緊密混合する技術、またはエステル化セルロース繊維材料とマトリクス繊維との共混合技術が挙げられるが、これらに限定されない。複合材料中にエステル化セルロース繊維を組み入れるのに使用される任意の技術が、実施可能な選択肢である。このような方法は、任意の熱可塑性マトリクス、たとえばポリプロピレン、ポリエチレン、ポリアミド、ポリスルホン、ポリエーテルイミド、ポリエーテルエーテルケトンまたはポリフェニレンスルフィドへの組み入れに使用されることができる。
いくつかの実施形態では、本発明は、セルロースエステル繊維トウ、たとえば酢酸セルロース繊維トウを製造するための完全に統合された方法を提供する。このような方法は、(a)セルロースシートストックを約20%から約50%までの範囲の水分量に湿らせる工程、(b)該湿らされたセルロースシートを摩擦粉砕して湿ったパルプにする工程であって、工程(b)が工程(a)の後に逐次的に実施される工程、(c)該湿ったパルプをフラッシュ乾燥して約5%から約8%までの湿分量を有するセルロースフロキュールにする工程、(d) 該セルロースフロキュールをエステル化してセルロースエステル製品を準備する工程、そして(e)該セルロースエステル製品から繊維トウを形成する工程を含む。工程(a)〜(e)の各々は、上記されたとおりである。
本発明のよりよい理解を容易にするために、好ましい実施形態の以下の実施例が示される。以下の実施形態は、本発明の範囲を限定するようにまたは画定するようには、決して読まれてはならない。
フラッシュ乾燥が、有効なパルプ開繊工程であると評価するために、実験室規模のアセチル化反応装置を用いた後続の評価用の、開繊された木材パルプを製造する試験実施が行われた。工業規模フラッシュ乾燥プロセスをシミュレートするために、スプレーノズルを備えた水添加装置が、パイロット規模の前細断機およびSprout Waldron社製摩擦粉砕ミルの前に設置されて、3インチ(7.6cm)幅の木材パルプシートの細長片が処理された。この配置の装置は、木材パルプ供給速度が約6.14〜約27.96乾燥パルプKg/時の間で変えられ、および乾燥機入口でのパルプ湿分が約17.6%〜約52.5%の湿分量の間で変えられることを可能にした。該配置の装置は、25分超の試験実施の間、フラッシュ乾燥機の安定な操作を可能にした。試験操作は可変の出発パラメーターを用いて行われ、最初の品質評価は開繊された木材パルプの目視観察に基づいて行われた。処理能力は、前細断機の速度およびスプレーノズルに水を供給するポンプの容量に関連していた。パルプはすべて4インチ(10.2cm)のFluid Energy Flash Dryer(型式4)に供給された。出口パルプ湿分量は、7%の目標に対して約5.5%から約8%までの範囲にあった。
試験実施は最初に、2つの原料供給速度、すなわち11.34および22.68Kg/時(25および50ポンド/時)(湿潤基準)において28.5%および45.4%のパルプ湿分量で計画された。この装置に通される木材パルプの妥当な線速度を維持するためには、3インチ幅の細長片を選ばなければならないことが計算によって示された。必要とされるパルプの量(一貫した3インチ幅)を製造するために、工業的に入手可能なパルプロールから3インチの細長片を製造するための1組のロールが製作された。この配置の装置が使用されて、3つの種類の木材パルプ、すなわち工業用ビスコース級木材パルプ(VG)、工業用酢酸セルロース級木材パルプ(AG)および第3の工業用パルプの各試験実施量が製造された。第3のパルプは、必要とされる全量を最小限にするために、他のパルプを試験する前に装置(湿潤、摩擦粉砕および乾燥)を狙いどおりの状態にしておくために使用された。
乾燥パルプ供給速度は、前細断機への原料供給ロール速度を変更することによって変えられた。これは2つの方法で達成された。原料供給ロールは機械式可変速ドライブを備えて、その原料供給ロール速度が細断機ロールとは独立に調節されることが可能にされた。さらに、可変周波数ドライブが、原料供給ロールモーターおよび前細断機ロールモーターに取り付けられた。原料供給ロールの速度を変更すると、前細断機によって生成される粒子サイズのみが変えられ、その試験実施では、低い原料供給ロール速度および通常の前細断機ロール速度で製造された酢酸セルロースフレークのろ過性能の低下が認められた。ドライブ周波数による制御が主の速度制御方法とされ、機械式原料供給ロール速度の調節は、所与のドライブ周波数においてパルプ供給速度を「微調整」するために用いられた。
パルプの入口湿分は、前細断機供給ロールの直前でパルプ細長片の両側に水をスプレーすることによって変えられた。使用されたスプレーノズルは、流体キャップ♯2850および空気キャップ♯73320を備えたSpraying System社のCo1/4Jシリーズであった。これらのノズルのスプレーパターンは、ノズルに供給される水およびまたノズルに供給される空気圧の双方を調節することによって制御される。脱塩水がFMI社製可変流量ポンプによってノズルに供給された。試験実施の設定としては、工業規模の実施と比較してはるかに高い割合の過剰スプレーが使用された。細長片の両端部が十分に湿らされることを確実にするために、スプレーパターンは、細長片の端を約1インチ(2.5cm)越えて拡がるように設定された。3インチの木材パルプ細長片に対して約5インチ(12.7cm)のスプレーパターンとすることによって、最終的な湿ったパルプの湿分から推定した水の流量を使用しないで済んだ。
乾燥機への供給原料速度の変動を最小にするために、湿潤装置、前細断機および摩擦粉砕ミルはスタック状に配置されて、各装置が互いへとそしてまた乾燥機へと供給原料を重力送りすることが可能にされた。この配置はまた、パルプ湿分が平衡に達するまでの所要時間量を最小にした。工業規模の装置では、追加の湿分を木材パルプに加えるところからフラッシュ乾燥機に入るところまでの時間は、これらの装置間の距離および移送速度(フィート/秒)によって制限されることがある。木材パルプが湿分平衡に達することを可能にすれば、装置は最小平均湿分レベルで操作されることが可能になる可能性がある。これらの試験実施から決定される最小湿分レベルは、余裕を持った推定値、すなわち水添加から乾燥機入口までわずかにより長い所要時間を有する工業規模の装置において必要とされるのよりも高い推定値、としての役割を果たすことができる。
乾燥機入口の標準的な回転弁が、4インチのFluid Energy乾燥機(Fluid Energy Processing and Equipment社、米国ペンシルベニア州、Telford)への湿らされ摩擦粉砕されたパルプを計量するために使用された。この回転弁は、製造装置の2つの部分間の封止はするが、摩擦粉砕ミルからの空気を実験室内に放出するのではなく乾燥機の中に移送することを可能にした。Fluid Energy装置は、乾燥機出口で乾燥されたパルプを収集するためのサイクロンとそれに続くダストコレクターを備えていた。このサイクロンは低密度のパルプを除くだけの大きさを持たず、該パルプ材料の大部分はダストコレクターへと運ばれた。該サイクロンは、完全には開繊されなかったパルプ材料を収集するようである。
開繊された木材パルプの目視評価に基づいて成功とみなされた試験実施の操作条件が、下の表1に示される。供給原料速度がこの表に含まれているが、参考のためのみに示されている。入口湿分、乾燥機入口および出口の温度ならびに乾燥機操作圧力が、所望の結果を達成するために制御されることができる変数である。供給原料速度は、プロセス要件/生産要件を満たすために変えることができる。
Figure 0005974117
上記の表1から、目視外観に基づいて選ばれた多くのサンプルが使用されて、1kg実験室規模反応器で酢酸セルロースフレークが製造された。測定されたパラメーターのうちの2つが規定された限界内になるように、反応条件が調節された。この調節されたパラメーターは、アセチル価(AV)および固有粘度(IV)であった。アセチル価および固有粘度は、それぞれ、ポリマーの置換度および分子量を示す。AVは湿式化学滴定法に基づいた検量線を用いてNIRによって測定された。IVの測定は、30℃でViscotekまたはキャノン−ウベローデの粘度計を用いて行われた。サンプルはまた、センチポアズ(cps)単位の溶液粘度(6%粘度)についておよび2つのろ過性試験、すなわちg/cm単位の詰まり値(PV)および粒子数/mL単位の粒子カウント(HIAC)についても試験された。PVが高いほどおよびHIACが低いほど、フレークのろ過性が改善されることを示す。PVは、一定の入口圧力の下に一定面積のフィルターを通り抜ける、アセトン/水中に溶解されたCA(酢酸セルロース)フレークの量を秤量することによって得られた。粒子カウントは、市販の計器(Hach HIAC(高精度粒子カウンター)、米国オレゴン州、Grants Pass)を使用して測定された。フレーク湿分パーセントも、他の分析をするためにそれが使用された後の重量減少量によって測定された。追加の試験のための十分な材料を作り出すために、いくつかの試験実施から複数のバッチが製造された。表2は、これらの評価から得られた結果を示す。
Figure 0005974117
本発明のフラッシュ乾燥開繊方法を使用して製造されたフレークが、別の2つの方法から製造されたフレークと比較された。1つは、現在工業的に使用されている方法に類似した従来からの乾燥開繊方法であり、他方は液相前処理方法である。これらのデータのまとめが表3に示され、この表は、フラッシュ乾燥工程を使用して製造されたフレークの品質が、他の公知の方法と同程度かまたはそれらよりも良いことを示している。
Figure 0005974117
このようにして、本発明は、上に述べられた目的および利点とともに本発明に本質的に存在するものにも十分に適合している。上に開示された特定の実施形態は、例示の目的のためのみにある。というのは、本発明は、それと異なってはいても、本明細書の教示の利益を受けた当業者には明らかな等価な様式で、修正され実施されることができるからである。さらに、本明細書に示された構成または設計の詳細には、下の特許請求の範囲以外には、何らの限定も意図されていない。したがって、上に開示された特定の例示的な実施形態が変更され、組み合わせられまたは修正されることができ、すべてのこのような変化は本発明の範囲および精神内であるとみなされることは明白である。本明細書に適切に例示的に開示された発明は、本明細書に具体的に開示されていない何らかの要素および/または本明細書に開示された何らかの任意的な要素がなくても、実施されることができる。組成物および方法が、様々な成分または工程を「含む(comprising)」、「含有する(containing)」または「包含する(including)」の文言で記載されているけれども、その組成物および方法はその様々な成分または工程「から本質的に成る(consist essentially of)」または「から成る(consist of)」こともできる。上に開示されたすべての数および範囲は、ある量だけ変わることができる。下限および上限を有する数値範囲が開示されているときは常に、その範囲に含まれる任意の数および任意の包含される範囲が具体的に開示されているものとする。特に、本明細書に開示された(「約aから約bまで」またはそれと同等の「近似的にaからbまで」またはそれと同等の「近似的にa−b」の形式の)すべての数値範囲は、そのより広い数値範囲に包含されるすべての数および範囲を明記しているものと理解されなければならない。また、特許請求の範囲における用語は、特許権者によって明示的にかつ明確に他様に定義されない限り、その平明な通常の意味を有する。さらに、特許請求の範囲で使用される不定冠詞「1つの(「a」または「an」)」は、それが導入する要素のうちの1つまたは2つ以上を意味すると本明細書では定義される。本明細書と、参照によって本明細書に組込まれることができる1つ以上の特許または他の文献と、における語または用語の使用法に何らかの矛盾がある場合は、本明細書と矛盾のない定義が採用されなければならない。

Claims (22)

  1. セルロースシートストックを20%から50%までの範囲の水分量まで湿らせる工程、
    前記湿らせたセルロースシートを摩擦粉砕して湿ったパルプにする工程、
    前記湿ったパルプをフラッシュ乾燥して4%から8%までの湿分量を有するセルロースフロキュール(綿毛状物)にする工程であって、前記フラッシュ乾燥が、フラッシュ乾燥機の供給原料入口における105℃から200℃までの範囲の温度およびフラッシュ乾燥機の出口における60℃から130℃までの範囲の温度で実施される工程、および
    前記セルロースフロキュールをエステル化してセルロースエステル製品を提供する工程、
    を含む方法。
  2. 前記セルロースシートを湿らせる工程が脱塩水を用いた処理を含む、請求項1に記載の方法。
  3. 前記摩擦粉砕工程が、
    前記セルロースシートストックを細断して小さい断片にする工程、および
    前記小さい断片を摩擦粉砕して前記湿ったパルプにする工程
    を含む、請求項1に記載の方法。
  4. 前記フラッシュ乾燥が低圧力の熱ガスで実施され、前記低圧力が2psig(115kPa−a)から4psig(129kPa−a)までの範囲にある、請求項1に記載の方法。
  5. 前記フラッシュ乾燥工程が、直接的または間接的に加熱された空気を用いて実施される、請求項1に記載の方法。
  6. 前記セルロースフロキュールをサイクロンセパレーターで分離する工程をさらに含む、請求項1に記載の方法。
  7. 前記エステル化工程が、無水酢酸、無水プロピオン酸、無水酪酸、混合酸無水物またはこれらの組み合わせを用いた処理を含む、請求項1に記載の方法。
  8. モノマー単位当たり0.1から3までのアセテート基の置換度を有する酢酸セルロースを製造するために使用される、請求項1に記載の方法。
  9. 二酢酸セルロース、三酢酸セルロース、繊維級酢酸セルロース、水溶性酢酸セルロースまたはこれらの組み合わせを製造するために使用される、請求項1に記載の方法。
  10. 前記セルロースエステル製品から繊維トウを形成する工程をさらに含む、請求項1に記載の方法。
  11. 前記セルロースエステル製品を、熱可塑性樹脂および熱硬化性樹脂から成る群から選ばれた1つを含む複合材料マトリクス中に組み入れることをさらに含む、請求項1に記載の方法。
  12. 前記繊維トウを、熱可塑性樹脂および熱硬化性樹脂から成る群から選ばれた1つを含む複合材料マトリクス中に組み入れることをさらに含む、請求項10に記載の方法。
  13. (a)セルロースシートストックを20%から50%までの範囲の水分量に湿らせる工程、次に
    (b)前記湿らされたセルロースシートを摩擦粉砕して湿ったパルプにする工程、次に
    (c)前記湿ったパルプをフラッシュ乾燥して5%から8%までの湿分量を有するセルロースフロキュール(綿毛状物)にする工程であって、前記フラッシュ乾燥が、フラッシュ乾燥機の供給原料入口における105℃から200℃までの範囲の温度およびフラッシュ乾燥機の出口における60℃から130℃までの範囲の温度で実施される工程、次に
    (d) 前記セルロースフロキュールをエステル化してセルロースエステル製品を準備する工程、および次に
    (e)前記セルロースエステル製品から繊維トウを形成する工程
    を含む方法。
  14. 前記セルロースシートを湿らせる工程が脱塩水を用いた処理を含む、請求項13に記載の方法。
  15. 前記摩擦粉砕工程が、
    前記セルロースシートストックを細断して小さい断片にする工程、および
    前記小さい断片を摩擦粉砕して前記湿ったパルプにする工程
    を含む、請求項13に記載の方法。
  16. 前記フラッシュ乾燥が低圧力の熱ガスで実施され、前記低圧力が2psig(115kPa−a)から4psig(129kPa−a)までの範囲にある、請求項13に記載の方法。
  17. 前記フラッシュ乾燥工程が、直接的または間接的に加熱された空気を用いて実施される、請求項13に記載の方法。
  18. 前記セルロースフロキュールをサイクロンセパレーターで分離する工程をさらに含む、請求項13に記載の方法。
  19. 前記エステル化工程が、無水酢酸、無水プロピオン酸、無水酪酸、混合酸無水物またはこれらの組み合わせを用いた処理を含む、請求項13に記載の方法。
  20. モノマー単位当たり0.1から3までのアセテート基の置換度を有する酢酸セルロースを製造するために使用される、請求項13に記載の方法。
  21. 二酢酸セルロース、三酢酸セルロース、繊維級酢酸セルロース、水溶性酢酸セルロースまたはこれらの組み合わせを製造するために使用される、請求項13に記載の方法。
  22. 前記繊維トウを、熱可塑性樹脂および熱硬化性樹脂から成る群から選ばれた1つを含む複合材料マトリクス中に組み入れることをさらに含む、請求項13に記載の方法。
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