バーナチップとしては、上述した特許文献1に記載されたバーナチップのように、混合体噴出孔の中途部に燃料噴出孔を連結することで、噴霧媒体に対して液体燃料を混合してから噴出するものがある。一方で、噴霧媒体と液体燃料を内部に設けた混合室で混合した後、噴出孔から噴出する内部混合型のバーナチップがある。この内部混合型のバーナチップにあっても、上述したバーナチップのように、混合体噴出孔を半径方向及び周方向に所定間隙で複数配列することで、液体燃料の微粒化を向上させた上で、混合体の噴流同士の干渉を防ぎ、燃焼性を向上させることができる。しかし、混合室を有する内部混合型のバーナチップの場合、この混合室での噴霧媒体による液体燃料の拡散が不十分である。
本発明は、上述した課題を解決するものであり、混合室での流体燃料と噴霧媒体の混合を促進することで燃焼性を向上させることが可能なバーナチップ及び燃焼バーナ並びにボイラを提供することを目的とする。
上記の目的を達成するための本発明のバーナチップは、チップ本体と、前記チップ本体の内部に設けられる混合室と、基端部が前記混合室に連通すると共に先端部が前記チップ本体の先端に開口して前記チップ本体の周方向に所定間隔で配置される複数の混合流体噴出孔と、前記チップ本体の基端側に長手方向に沿って設けられて流体燃料を前記混合室に供給する複数の流体燃料供給通路と、前記チップ本体における前記流体燃料供給通路より外側に設けられて噴霧媒体を前記混合室にその外側から供給する噴霧媒体供給通路と、前記混合室における前記流体燃料供給通路及び前記噴霧媒体供給通路より前方側に配置されるガイド部材と、を有することを特徴とするものである。
従って、混合室における流体燃料供給通路及び噴霧媒体供給通路より前方側にガイド部材が配置されていることから、流体燃料供給通路から混合室に供給される流体燃料と、噴霧媒体供給通路から混合室に供給される噴霧媒体が、ガイド部材に衝突することで拡散されるため、この混合室で効率良く混合することとなり、混合室での流体燃料と噴霧媒体の混合を促進することで燃焼性を向上させることができる。
本発明のバーナチップでは、前記ガイド部材におけるガイド面は、前記混合室の全長における中間位置よりも前記混合室の基端部側に配置されることを特徴としている。
従って、ガイド面が混合室の基端部側に接近して配置されることから、流体燃料の流れと噴霧媒体の流れがこのガイド面に早期に大きなエネルギを持って衝突することとなり、混合室で流体燃料と噴霧媒体を効率良く混合することとができる。
本発明のバーナチップでは、前記ガイド部材は、前記流体燃料供給通路の供給口に対向して配置されることを特徴としている。
従って、ガイド部材を流体燃料供給通路の供給口に対向させることで、流体燃料を適正にガイド部材に衝突させることで拡散させ、この混合室で噴霧媒体と効率良く混合することができる。
本発明のバーナチップでは、前記ガイド部材は、前記流体燃料供給通路から供給された流体燃料に前記チップ本体の長手方向に沿う軸線を中心とする旋回力を付与する旋回力付与機構が設けられることを特徴としている。
従って、ガイド部材に流体燃料に旋回力を付与する旋回力付与機構を設けることで、流体燃料供給通路から混合室に供給された流体燃料は、この旋回力付与機構によりここで旋回力することとなり、噴霧媒体供給通路から混合室に供給された噴霧媒体と効率良く混合させることができる。
本発明のバーナチップでは、前記ガイド部材におけるガイド面は、凹部形状をなすことを特徴としている。
従って、ガイド面を凹部形状とすることで、混合室に供給された流体燃料と噴霧媒体は、このガイド面内で一時的に滞留することとなり、混合室で流体燃料と噴霧媒体を効率良く混合させることができる。
本発明のバーナチップでは、前記ガイド部材におけるガイド面は、凹部湾曲形状をなすことを特徴としている。
従って、ガイド面を凹部湾曲形状とすることで、混合室に供給された流体燃料と噴霧媒体は、このガイド面に沿って旋回することで一時的に滞留することとなり、混合室で流体燃料と噴霧媒体を効率良く混合させることができる。
本発明のバーナチップでは、前記ガイド部材は、前記チップ本体における先端部側から延出する支持部材により支持されることを特徴としている。
従って、ガイド部材をチップ本体における先端部側から支持することで、ガイド部材による流体燃料と噴霧媒体との混合促進に悪影響を与えることはなく、混合室で流体燃料と噴霧媒体を効率良く混合させることができる。
本発明のバーナチップでは、前記チップ本体は、混合流体噴出孔が設けられるスプレイプレートと、前記流体燃料供給通路及び前記噴霧媒体供給通路が設けられるバックプレートとが連結されて構成され、前記スプレイプレートと前記バックプレートにより前記混合室が区画され、前記ガイド部材は、バックプレートから延出する支持部材により支持されることを特徴としている。
従って、チップ本体をスプレイプレートとバックプレートとに分割し、バックプレート側に支持部材によりガイド部材を設けることで、スプレイプレートとバックプレートの構造を簡素化し、低コスト化を可能とすることができる。
また、本発明の燃焼バーナは、流体燃料を供給可能な流体燃料供給配管と、噴霧媒体を供給可能な噴霧媒体供給配管と、前記流体燃料供給配管及び前記噴霧媒体供給配管の先端部に設けられるチップ本体と、前記チップ本体の内部に設けられる混合室と、基端部が前記混合室に連通すると共に先端部が前記チップ本体の先端に開口して前記チップ本体の周方向に所定間隔で配置される複数の混合流体噴出孔と、前記チップ本体の基端側に長手方向に沿って設けられて前記流体燃料供給配管の流体燃料を前記混合室に供給する複数の流体燃料供給通路と、前記チップ本体における前記流体燃料供給通路より外側に設けられて噴霧媒体を前記混合室にその外側から供給する噴霧媒体供給通路と、前記混合室における前記流体燃料供給通路及び前記噴霧媒体供給通路より前方側に配置されるガイド部材と、を有することを特徴とするものである。
従って、流体燃料供給通路から混合室に供給される流体燃料と、噴霧媒体供給通路から混合室に供給される噴霧媒体とが、ガイド部材により混合室で効率良く混合することとなり、混合室での流体燃料と噴霧媒体の混合を促進することで燃焼性を向上させることができる。
また、本発明のボイラは、中空形状をなす火炉内で燃料と空気を燃焼させると共に、前記火炉内で熱交換を行って熱を回収するボイラにおいて、前記火炉壁に前記燃焼バーナが配置されることを特徴とするものである。
従って、ガイド部材により混合室で流体燃料と噴霧媒体を効率良く混合することとなり、混合室での流体燃料と噴霧媒体の混合を促進することで燃焼性を向上させることができる。
本発明のバーナチップ及び燃焼バーナ並びにボイラによれば、バーナチップの混合室における流体燃料供給通路及び噴霧媒体供給通路より前方側にガイド部材を配置するので、混合室での流体燃料と噴霧媒体の混合を促進することで燃焼性を向上させることができる。
以下に添付図面を参照して、本発明のバーナチップ及び燃焼バーナ並びにボイラの好適な実施例を詳細に説明する。なお、この実施例により本発明が限定されるものではなく、また、実施例が複数ある場合には、各実施例を組み合わせて構成するものも含むものである。
図1は、本発明の実施例1に係るバーナチップを有する燃焼バーナの断面図、図2は、実施例1の燃焼バーナの平面図、図3は、実施例1の燃焼バーナにおける図1のIII−IIIの断面図、図4は、実施例1に係るボイラとしての油焚きボイラを表す概略構成図である。
実施例1の油焚きボイラは、流体燃料としての重油(または、軽油、石炭のスラリーなど)を燃料として用い、この重油を燃焼バーナ(バーナチップ)により噴霧媒体としての蒸気(または、高圧空気、高圧ガス、可燃性ガスなど)により微粒化させて噴霧し、火炉内で燃焼させ、この燃焼により発生した熱を回収することが可能なボイラである。
実施例1において、図4に示すように、油焚きボイラ10は、コンベンショナルボイラであって、火炉11と燃焼装置12とを有している。火炉11は、四角筒の中空形状をなして鉛直方向に沿って設置され、この火炉11を構成する火炉壁の下部に燃焼装置12が設けられている。
燃焼装置12は、火炉壁に装着された複数の燃焼バーナ21を有している。実施例1にて、この燃焼バーナ21は、周方向に沿って、例えば、4個均等間隔で配設されたものが1セットとして、鉛直方向に沿って、例えば、3セット、つまり、3段配置されている。なお、燃焼バーナ21の配置場所や個数はこれに限定されるものではない。
各燃焼バーナ21は、燃料供給配管22を介して燃料供給源23に連結されており、燃料供給配管22に燃料供給量を調整可能な流量調整弁24が設けられている。また、各燃焼バーナ21は、蒸気供給配管25を介して蒸気供給源26に連結されており、蒸気供給配管25に蒸気供給量を調整可能な流量調整弁27が設けられている。
従って、各燃焼バーナ21は、燃料供給源23から燃料供給配管22を通して燃料が供給されると共に、蒸気供給源26から蒸気供給配管25を通して蒸気が供給されることとなり、燃料と蒸気を混合して微粒化した後、混合流体として火炉11内に噴射し、火炎を形成することができる。
火炉11は、上部に煙道31が連結されており、この煙道31に、対流伝熱部(熱回収部)として排ガスの熱を回収するための過熱器(スーパーヒータ)32,33、再熱器34,35、節炭器(エコノマイザ)36,37,38が設けられており、火炉11での燃焼で発生した排ガスと水との間で熱交換が行われる。
煙道31は、その下流側に熱交換を行った排ガスが排出される排ガス管39が連結されている。この排ガス管39は、図示しないが、脱硝装置、電気集塵機、誘引送風機、脱硫装置が設けられ、下流端部に煙突が設けられている。
従って、燃焼装置12に各燃焼バーナ21が燃料と蒸気との混合流体を火炉11内に噴射すると、火炉11では、混合流体と空気とが燃焼して火炎が生じ、この火炉11内の下部で火炎が生じると、燃焼ガス(排ガス)がこの火炉11内を上昇し、煙道31に排出される。
このとき、図示しない給水ポンプから供給された水は、節炭器36,37,38によって予熱された後、図示しない蒸気ドラムに供給され火炉壁の各水管(図示せず)に供給される間に加熱されて飽和蒸気となり、図示しない蒸気ドラムに送り込まれる。更に、図示しない蒸気ドラムの飽和蒸気は過熱器32,33に導入され、燃焼ガスによって過熱される。過熱器32,33で生成された過熱蒸気は、図示しない発電プラント(例えば、タービン等)に供給される。また、タービンでの膨張過程の途中で取り出した蒸気は、再熱器34,35に導入され、再度過熱されてタービンに戻される。なお、火炉11をドラム型(蒸気ドラム)として説明したが、この構造に限定されるものではない。
その後、煙道31の節炭器36,37,38を通過した排ガスは、排ガス管39にて、図示しない脱硝装置にて、触媒によりNOxなどの有害物質が除去され、電気集塵機で粒子状物質が除去され、脱硫装置により硫黄分が除去された後、煙突から大気中に排出される。
ここで、燃焼装置12について詳細に説明するが、この燃焼装置12を構成する各燃焼バーナ21は、ほぼ同様の構成をなしている。
燃焼バーナ21は、図1から図3に示すように、燃料を供給可能な燃料供給配管(流体燃料供給配管)22と、蒸気を供給可能な蒸気供給配管(噴霧媒体供給配管)25と、燃料(流体燃料)と蒸気(噴霧媒体)との混合流体を噴出可能なバーナチップ41とを有している。この場合、燃料供給配管22と蒸気供給配管25は2重管であり、燃料供給配管22が内側に位置し、この燃料供給配管22の外側に蒸気供給配管25が配置されることで、燃料供給経路22aと蒸気供給経路25aが形成されている。そして、バーナチップ41は、この2重管(燃料供給配管22、蒸気供給配管25)の先端部に交換可能に取付けられている。
バーナチップ41は、チップ本体としてのスプレイプレート42とバックプレート43とから構成され、図示しない締付リングにより一体に連結されている。
スプレイプレート42は、基端(図1にて、右方)が開口して先端(図1にて、左方)が閉塞した円筒形状をなし、基端部に開口するように円柱形状をなす第1凹部51が形成されている。また、スプレイプレート42は、先端部に複数の混合流体噴出孔52が形成されている。混合流体噴出孔52は、基端部が第1凹部51に連通すると共に先端部が外部に開口しており、バーナチップ41の軸心を中心として周方向に均等間隔で複数(本実施例では、10個)設けられている。
バックプレート43は、円盤形状をなし、先端部に円柱形状をなす第2凹部53が形成されている。このバックプレート43に形成された第2凹部53は、スプレイプレート42に形成された第1凹部51と対向し、且つ、各凹部51,53は、ほぼ同径に設定されている。本実施例では、この第1凹部51と第2凹部53により混合室54が構成されており、各混合流体噴出孔52は、基端部がこの混合室54に連通することとなる。
バックプレート43は、第2凹部53(混合室54)の外周側に噴出チャンバ55が周方向に沿ってリング形状をなして形成されている。この噴出チャンバ55は、複数(本実施例では、8個)の連通路56を介して第2凹部53(混合室54)と連通している。即ち、各連通路56は、バックプレート43の径方向(放射方向)に沿って形成され、一端部が噴出チャンバ55の内周面に連通し、他端部が第2凹部53の外周面に連通している。
また、バックプレート43は、基端部に燃料供給配管22(燃料供給経路22a)及び蒸気供給配管25(蒸気供給経路25a)が連結されている。そして、バックプレート43は、燃料を燃料供給経路22aから混合室54に供給する複数の燃料供給通路(流体燃料供給通路)57が設けられている。この各燃料供給通路57は、バックプレート43にその長手方向に沿って設けられており、基端部が燃料供給経路22aに連通し、先端部が第2凹部53に連通しており、混合室54に燃料を供給可能となっている。
また、各バックプレート43は、蒸気を蒸気供給経路25aから混合室54にその外周側から供給する複数の蒸気供給通路(噴霧媒体供給通路)58が設けられている。この各蒸気供給通路58は、バックプレート43にその長手方向に沿って設けられており、基端部が蒸気供給経路25aに連通し、先端部が噴出チャンバ55に連通しており、各連通路56を通して混合室54に蒸気を供給可能となっている。
そのため、燃料供給経路22aの燃料は、複数の燃料供給通路57を通り、混合室54に対してバーナチップ41の軸線方向に沿って燃料を供給する。一方、蒸気供給経路25aの蒸気は、複数の蒸気供給通路58を通って噴出チャンバ55に供給され、この噴出チャンバ55から、複数の連通路56を通り、混合室54に対してバーナチップ41の径方向に沿って蒸気を供給可能となっている。
また、バーナチップ41は、混合室54における燃料供給通路57及び蒸気供給通路58より前方側(混合流体噴出孔52側)にガイド部材61が配置されている。このガイド部材61は、円板形状をなし、バーナチップ41を構成するスプレイプレート42における先端部側から後方に向かって延出する支持ロッド(支持部材)62により支持されている。
ガイド部材61は、燃料供給通路57の供給口側に向くガイド面63を有し、このガイド面63は、混合室54の全長Lにおける中間位置よりも混合室54の基端部側(バックプレート43側)に位置している。具体的に、ガイド面63は、混合室54の全長Lに対して、混合室54の基端部側(バックプレート43側)からL/4以下に位置させることが望ましい。また、ガイド面63は、燃料供給通路57の供給口に対向して配置されており、混合室54の先端部側(スプレイプレート42)から見て、燃料供給通路57の供給口の開口面積を1/2分以上被覆する大きさにすることが望ましい。
ここで、上述した実施例1の燃焼バーナ21(バーナチップ41)の作用について詳細に説明する。なお、図1にて、燃料の流れを黒塗りの矢印で表し、蒸気の流れを白抜きの矢印で表し、燃料と蒸気が混合した混合流体を斜線の矢印で表している。
燃料供給配管22を通して燃料がバーナチップ41に供給されると、この燃料は、複数の燃料供給通路57を通して混合室54に供給される。また、蒸気供給配管25を通して蒸気がバーナチップ41に供給されると、この蒸気は、複数の蒸気供給通路58、噴出チャンバ55、連通路56を通して混合室54に外周側から供給される。
すると、混合室54にて、各燃料供給通路57から供給された燃料と各蒸気供給通路58から供給された蒸気とがぶつかり合って混合する。即ち、混合室54に長手方向に沿って供給された燃料は、混合室54に外周側から径方向に沿って供給された蒸気により拡散して混合する。
また、混合室54に供給された燃料は、混合室54に外周側から供給された蒸気により中央部に集められ、ガイド部材61のガイド面63に衝突する。すると、燃料と蒸気は、ガイド面63によりこのガイド面63と第2凹部53とにより区画された空間で一時的に滞留する。即ち、ガイド面63と第2凹部53とにより区画された空間が予混合室となり、燃料と蒸気はこの予混合室で滞留するときに、拡散しながら混合されることとなる。
そして、ガイド面63により効率良く混合された混合流体は、ガイド部材61と混合室54の内壁面との隙間から前方側に流れる。そのため、燃料と蒸気が効率良く混合された混合流体は、混合室54から各混合流体噴出孔52を通して外部に噴出(噴霧)される。
このように実施例1のバーナチップにあっては、内部に設けられる混合室54と、先端部に形成された複数の混合流体噴出孔52と、基端側に長手方向に沿って設けられて燃料を混合室54に供給する複数の燃料供給通路57と、燃料供給通路57より外側に設けられて蒸気を混合室54にその外側から供給する蒸気供給通路58と、混合室54における燃料供給通路57及び蒸気供給通路58より前方側に配置されるガイド部材61とを設けている。
従って、燃料供給通路57から混合室54に供給された燃料と、蒸気供給通路58から混合室54に供給される蒸気が、ガイド部材61に衝突することで拡散されるため、この混合室54で効率良く混合されることとなり、混合室54で燃料と蒸気の混合を促進することで燃焼性を向上させることができる。
実施例1のバーナチップでは、ガイド部材61におけるガイド面63を混合室54の全長における中間位置よりも混合室54の基端部側に配置している。従って、ガイド面を第2凹部53側に接近して配置することから、燃料の流れと蒸気の流れがこのガイド面63に対して早期に大きなエネルギを持って衝突することとなり、混合室54での燃料と蒸気の拡散を促進して両者を効率良く混合することとができる。
実施例1のバーナチップでは、ガイド部材61を燃料供給通路57の供給口に対向して配置している。従って、燃料を適正にガイド部材61に衝突させることで拡散させ、この混合室54で蒸気と効率良く混合することができる。
実施例1のバーナチップでは、ガイド部材61をスプレイプレート42側から延出する支持ロッド62により支持している。従って、支持ロッド62がガイド面63と反対側に位置することから、ガイド部材61による燃料と蒸気との混合促進に悪影響を与えることはなく、混合室54で燃料と蒸気を効率良く混合させることができる。
また、実施例1の燃焼バーナにあっては、燃料供給配管22と蒸気供給配管25の先端部に上述したバーナチップ41を設けるので、混合室54にて、燃料と蒸気を効率良く混合することが可能となり、混合室54で燃料と蒸気の混合を促進することで燃焼性を向上させることができる。
また、実施例1のボイラにあっては、中空形状をなす火炉11内で燃料と空気を燃焼させると共に、火炉11内で熱交換を行って熱を回収する油焚きボイラ10において、火炉壁に燃焼バーナ21を配置したので、混合室54で燃料と蒸気の混合を促進することで燃焼性を向上させることができる。
図5は、本発明の実施例2に係る燃焼バーナに装着されるガイド部材の正面図、図6は、図5のVI−VI断面図である。なお、実施例2の燃焼バーナの基本的な構成は、上述した実施例1とほぼ同様の構成であり、図1を用いて説明すると共に、上述した実施例1と同様の機能を有する部材には、同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
燃焼バーナ21は、図1に示すように、燃料供給配管22と蒸気供給配管25とバーナチップ41とを有している。バーナチップ41は、スプレイプレート42とバックプレート43とから構成されている。スプレイプレート42は、基端部に第1凹部51が形成され、先端部に複数の混合流体噴出孔52が形成されている。バックプレート43は、先端部に第2凹部53が形成され、第1凹部51と第2凹部53により混合室54が構成されている。
バックプレート43は、第2凹部53の外周側に噴出チャンバ55が形成され、噴出チャンバ55は、複数の連通路56を介して第2凹部53に連通している。また、バックプレート43は、基端部に燃料供給配管22及び蒸気供給配管25が連結され、燃料を燃料供給経路22aから混合室54に供給する複数の燃料供給通路57が設けられると共に、蒸気を蒸気供給経路25aから混合室54にその外周側から供給する複数の蒸気供給通路58が設けられている。
そして、バーナチップ41は、図1、図5及び図6に示すように、混合室54における燃料供給通路57及び蒸気供給通路58より前方側(混合流体噴出孔52側)にガイド部材71(61)が配置されている。このガイド部材71(61)は、燃料供給通路57の供給口側に向くガイド面を有している。
実施例2にて、ガイド部材71は、燃料供給通路57から供給された燃料に長手方向に沿う軸線を中心とする旋回力を付与する旋回力付与機構がガイド面に設けられている。この旋回力付与機構において、ガイド部材71のガイド面は、径方向(放射方向)に沿う段差部72が周方向に均等間隔で複数(実施例2では、8個)設けられると共に、各段差部72の間に周方向に向かって高さ(厚さ)が変化する湾曲面73が形成されている。この湾曲面73は、図5にて反時計回り方向に向かって燃料供給通路57から遠ざかるように表面位置が変化するものであり、直線的な傾斜面であってもよい。
そのため、燃料が複数の燃料供給通路57を通して混合室54に供給され、蒸気が複数の蒸気供給通路58、噴出チャンバ55、連通路56を通して混合室54に外周側から供給されると、燃料は蒸気と混合しながら中央部に集められ、ガイド部材71のガイド面に衝突する。すると、燃料と蒸気は、旋回力付与機構により旋回力が付与される。即ち、燃料と蒸気は、各湾曲面73に導かれることで、図5にて反時計回り方向に旋回され、各段差部72に衝突することで拡散しながら混合される。
このように実施例2のバーナチップにあっては、ガイド部材71のガイド面に燃料供給通路57から供給された燃料に旋回力を付与する旋回力付与機構としての湾曲面73を設けている。
従って、燃料供給通路57から混合室54に供給された燃料は、蒸気により中央部に集められ、各湾曲面73に導かれることで旋回され、各段差部72に衝突することで拡散しながら混合されることとなり、混合室54で燃料と蒸気を効率良く混合させることができる。
図7は、本発明の実施例3に係る燃焼バーナに装着されるガイド部材の正面図である。なお、実施例3の燃焼バーナの基本的な構成は、上述した実施例1とほぼ同様の構成であり、図1を用いて説明すると共に、上述した実施例1と同様の機能を有する部材には、同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
バーナチップ41は、図1、図7に示すように、混合室54における燃料供給通路57及び蒸気供給通路58より前方側(混合流体噴出孔52側)にガイド部材81(61)が配置されている。このガイド部材81(61)は、燃料供給通路57の供給口側に向くガイド面を有している。
実施例3にて、ガイド部材81は、燃料供給通路57から供給された燃料に長手方向に沿う軸線を中心とする旋回力を付与する旋回力付与機構がガイド面に設けられている。この旋回力付与機構において、ガイド部材81のガイド面は、径方向(放射方向)に沿うと共に周方向に湾曲した縦壁部82が周方向に均等間隔で複数(実施例3では、8個)設けられると共に、各縦壁部82の間に周方向及び径方向に向かって高さ(厚さ)が変化する傾斜面83が形成されている。縦壁部82は、図7にて反時計回り方向に向かってらせん状に形成される。また、傾斜面83は、図7にて時計回り方向に向かって燃料供給通路57から遠ざかるように表面位置が変化すると共に、径方向の外側に向かって燃料供給通路57から遠ざかるように表面位置が変化するものである。
そのため、燃料が複数の燃料供給通路57を通して混合室54に供給され、蒸気が複数の蒸気供給通路58、噴出チャンバ55、連通路56を通して混合室54に外周側から供給されると、燃料は蒸気と混合しながら中央部に集められ、ガイド部材81のガイド面に衝突する。すると、燃料と蒸気は、旋回力付与機構により旋回力が付与される。即ち、燃料と蒸気は、各傾斜面83に導かれることで、図7にて時計回り方向に旋回されて各縦壁部82に導かれた後、各縦壁部82により径方向の外側に導かれることで、図7にて反時計回り方向に旋回されることで拡散しながら混合される。
このように実施例3のバーナチップにあっては、ガイド部材81のガイド面に燃料供給通路57から供給された燃料に旋回力を付与する旋回力付与機構としての縦壁部82及び傾斜面83を設けている。
従って、燃料供給通路57から混合室54に供給された燃料は、蒸気により中央部に集められ、各傾斜面83及び各縦壁部82に導かれることで旋回され、拡散しながら混合されることとなり、混合室54で燃料と蒸気を効率良く混合させることができる。
図8は、本発明の実施例4に係るバーナチップを有する燃焼バーナの断面図である。なお、上述した実施例と同様の機能を有する部材には、同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
燃焼バーナ21は、図8に示すように、燃料供給配管22と蒸気供給配管25とバーナチップ41とを有している。バーナチップ41は、スプレイプレート42とバックプレート43とから構成されている。スプレイプレート42は、基端部に第1凹部51が形成され、先端部に複数の混合流体噴出孔52が形成されている。バックプレート43は、先端部に第2凹部53が形成され、第1凹部51と第2凹部53により混合室54が構成されている。
バックプレート43は、第2凹部53の外周側に噴出チャンバ55が形成され、噴出チャンバ55は、複数の連通路56を介して第2凹部53に連通している。また、バックプレート43は、基端部に燃料供給配管22及び蒸気供給配管25が連結され、燃料を燃料供給経路22aから混合室54に供給する複数の燃料供給通路57が設けられると共に、蒸気を蒸気供給経路25aから混合室54にその外周側から供給する複数の蒸気供給通路58が設けられている。
そして、バーナチップ41は、混合室54における燃料供給通路57及び蒸気供給通路58より前方側(混合流体噴出孔52側)にガイド部材91が配置されている。このガイド部材91は、バーナチップ41を構成するバックプレート43における先端部側から前方に向かって延出する支持ロッド(支持部材)92により支持されている。このガイド部材91は、燃料供給通路57の供給口側に向くガイド面93を有している。
そのため、燃料が複数の燃料供給通路57を通して混合室54に供給され、蒸気が複数の蒸気供給通路58、噴出チャンバ55、連通路56を通して混合室54に外周側から供給されると、燃料は蒸気と混合しながら中央部に集められ、ガイド部材91のガイド面93に衝突する。すると、燃料と蒸気は、ガイド面93によりこのガイド面93と第2凹部53とにより区画された空間で一時的に滞留する。即ち、ガイド面93と第2凹部53とにより区画された空間が予混合室となり、燃料と蒸気はこの予混合室で滞留するときに、拡散しながら混合されることとなる。
そして、ガイド面93により効率良く混合された混合流体は、ガイド部材91と混合室54の内壁面との隙間から前方側に流れる。そのため、燃料と蒸気が効率良く混合された混合流体は、混合室54から各混合流体噴出孔52を通して外部に噴出(噴霧)される。
このように実施例4のバーナチップにあっては、バーナチップ41をスプレイプレート42とバックプレート43とから構成すると共に、混合室54における燃料供給通路57及び蒸気供給通路58より前方側にガイド部材91を配置し、このガイド部材91をバックプレート43から延出する支持ロッド92により支持している。
従って、バーナチップ41をスプレイプレート42とバックプレート43とに分割したことで、バーナチップ41の構造を簡素化することができ、また、バックプレート43に支持ロッド92によりガイド部材91を設けたことで、ガイド部材91をバーナチップ41に容易に配置することが可能となり、バーナチップ41をスプレイプレート42の構造を簡素化することができ、低コスト化を可能とすることができる。
図9は、本発明の実施例5に係るバーナチップを有する燃焼バーナの断面図である。なお、上述した実施例と同様の機能を有する部材には、同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
燃焼バーナ21は、図9に示すように、燃料供給配管22と蒸気供給配管25とバーナチップ41とを有している。バーナチップ41は、スプレイプレート42とバックプレート43とから構成されている。スプレイプレート42は、基端部に第1凹部51が形成され、先端部に複数の混合流体噴出孔52が形成されている。バックプレート43は、先端部に第2凹部53が形成され、第1凹部51と第2凹部53により混合室54が構成されている。
バックプレート43は、第2凹部53の外周側に噴出チャンバ55が形成され、噴出チャンバ55は、複数の連通路56を介して第2凹部53に連通している。また、バックプレート43は、基端部に燃料供給配管22及び蒸気供給配管25が連結され、燃料を燃料供給経路22aから混合室54に供給する複数の燃料供給通路57が設けられると共に、蒸気を蒸気供給経路25aから混合室54にその外周側から供給する複数の蒸気供給通路58が設けられている。
そして、バーナチップ41は、混合室54における燃料供給通路57及び蒸気供給通路58より前方側(混合流体噴出孔52側)にガイド部材101が配置されている。このガイド部材101は、バーナチップ41を構成するスプレイプレート42における先端部側から後方に向かって延出する支持ロッド(支持部材)102により支持されている。このガイド部材101は、円板形状をなし、燃料供給通路57の供給口側に向くガイド面103を有している。
このガイド部材101におけるガイド面103は、凹部湾曲形状をなしている。即ち、ガイド面103は、円形をなし、中央部が燃料供給通路57の供給口から最も遠ざかり、外周部に向けて近づくような凹んだ球面形状をなしている。
なお、この実施例では、ガイド部材101におけるガイド面103を凹んだ球面形状としたが、この形状に限定されるものではない。例えば、ガイド部材におけるガイド面を単に凹ませた凹部形状としてもよい。
そのため、燃料が複数の燃料供給通路57を通して混合室54に供給され、蒸気が複数の蒸気供給通路58、噴出チャンバ55、連通路56を通して混合室54に外周側から供給されると、燃料は蒸気と混合しながら中央部に集められ、ガイド部材101のガイド面103に衝突する。すると、燃料と蒸気は、ガイド面103によりこのガイド面103と第2凹部53とにより区画された空間で一時的に滞留する。即ち、ガイド面103と第2凹部53とにより区画された空間が予混合室となり、燃料と蒸気はこの予混合室で滞留するときに、拡散しながら混合されることとなる。
また、このガイド面103が凹んだ球面形状をなしていることで、混合室54に供給された燃料と蒸気は、このガイド面103に沿って旋回することで一時的に滞留することとなり、混合室54で燃料と蒸気が効率良く混合される。
そして、ガイド面103により効率良く混合された混合流体は、ガイド部材101と混合室54の内壁面との隙間から前方側に流れる。そのため、燃料と蒸気が効率良く混合された混合流体は、混合室54から各混合流体噴出孔52を通して外部に噴出(噴霧)される。
このように実施例5のバーナチップにあっては、混合室54における燃料供給通路57及び蒸気供給通路58より前方側にガイド部材101を配置し、このガイド部材101におけるガイド面103を凹部湾曲形状としている。
従って、混合室54に供給された燃料と蒸気は、ガイド面103に沿って旋回することで一時的に滞留することとなり、混合室54で燃料と蒸気を効率良く混合させることができる。
なお、上述した実施例では、ガイド部材61,71,81,91,101のガイド面63,93,103を混合室54の全長Lに対して、混合室54の基端部側(バックプレート43側)からL/4以下に位置させることが望ましいとしたが、燃料供給通路57から供給される燃料が衝突可能な位置であればどこに配置してもよい。
また、上述した実施例では、ガイド面63,93,103を燃料供給通路57の供給口に対向して配置し、混合室54の先端部側(スプレイプレート42)から見て、燃料供給通路57の供給口の開口面積を1/2分以上被覆する大きさにすることが望ましいとしたが、燃料供給通路57から供給される燃料が衝突可能な位置であればどこに配置してもよい。即ち、混合室54の先端部側(スプレイプレート42)から見て、燃料供給通路57の供給口の開口面積を全て被覆する大きさにしてもよいし、燃料供給通路57の供給口の開口面積を全く被覆しない大きさであってもよい。即ち、燃料供給通路57から混合室54に供給される燃料は、蒸気供給通路58、噴出チャンバ55、連通路56を通して混合室54に外周側から供給される蒸気により、混合室54の中央部に集められることから、ガイド面が燃料供給通路57の供給口に完全に対向していなくてもよい。
また、上述した実施例では、ガイド部材61,71,81,101を支持ロッド62,102によりスプレイプレート42の先端部に支持したり、ガイド部材91を支持ロッド92によりバックプレート43に支持したりしたが、この支持構造に限定されるものではない。例えば、ガイド部材を支持部材によりスプレイプレート42の内壁面に支持するようにしてもよい。