JP5971689B2 - 磁気共鳴撮像装置 - Google Patents

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Description

本発明は、磁気共鳴撮像装置に関する。
磁気共鳴撮像装置は、静磁場中に置かれた被検体の原子核スピンをラーモア周波数の高周波(RF:Radio Frequency)信号で励起し、励起に伴って被検体から発生する磁気共鳴信号を再構成して画像を生成する撮像装置である。
磁気共鳴撮像装置では、被検体内部の位置情報を得るために、直交3軸方向に夫々直線的に磁場が変化する3つの傾斜磁場を静磁場に重畳して撮像を行う。再構成処理では、傾斜磁場が位置に比例して線形に変化するという理想的な状態を前提とした処理を行っている。しかしながら、現実には傾斜磁場は非線形性の歪をもつため、単純に再構成処理しただけでは、その画像が歪を持つことになる。
傾斜磁場の非線形性歪発生の主要因の1つは渦電流である。傾斜磁場パルスの立ち上がりや立下りにおける急峻な磁場の変化を打ち消そうとして、傾斜磁場コイル自身又はその周辺にある導電体に渦電流が発生し、この渦電流によって生じる磁場(渦磁場)が本来生成しようとしていた傾斜磁場波形に重畳されることによって傾斜磁場波形が歪むことになる。
渦電流の影響を低減するために従来から種々の技術が開発或いは検討されている。例えば、特許文献1には、渦電流の影響を撮像位置に応じて低減するように傾斜磁場パルスの強度を補正する技術が記載されている。
特開2009−172360号公報
より高速に撮像を行うことは患者や検査医が求める基本的なニーズであり、特に動きのある対象を撮像する場合は必須となる。高速撮像法のうち、EPI(Echo Planner Imaging)法は、基本的に1回の励起によって傾斜磁場を高速に時間変化させることより、k空間の充填に必要なMR(Magnetic Resonance)信号をすべて収集する超高速スキャン法である。
EPI法パルスシーケンスのデータ収集領域では、リードアウト傾斜磁場波形の極性(台形状パルス波形の極性)を正負交互に高速に切り換えるため、各傾斜磁場波形の繰り返し周期(以下、この繰り返し周期をパルス繰り返し周期と呼び、その逆数をパルス繰り返し周波数或いは単に繰り返し周波数と呼ぶ場合がある)は非常に短いものとなる。つまり、EPI法のデータ収集領域における傾斜磁場波形は、他の撮像法に比べると非常の高い繰り返し周波数を持つ。周波数が高くなると、そのこと自体が傾斜磁場波形の波形歪の原因となり得る。しかしながら、従来の傾斜磁場波形の補正方法は、専ら渦電流を原因とする波形歪を補正するものであり、傾斜磁場パルスの周波数成分が高いことを原因とする波形歪は考慮されていなかった。
このため、渦電流のみならず、傾斜磁場パルスの周波数成分が高いことを原因とする傾斜磁場歪をも補正することができる磁気共鳴撮像装置が要望されている。
実施形態の磁気共鳴撮像装置は、所定のパルスシーケンスに基づいて傾斜磁場波形信号を生成するパルス信号生成部と、前記傾斜磁場波形信号を入力して被検体に傾斜磁場を印加する傾斜磁場コイルと、前記傾斜磁場によって空間的にエンコードされた磁気共鳴信号を再構成して前記被検体の画像を生成する再構成部と、を備え、前記パルス信号生成部は、前記傾斜磁場コイルのインピーダンス周波数特性の非平坦性によって生じる前記傾斜磁場の波形歪を打ち消すような前記傾斜磁場波形信号を、前記傾斜磁場コイルから印加される傾斜磁場の所望波形に対して変形した波形の信号として生成する、ことを特徴とする。
実施形態の磁気共鳴撮像装置の全体構成を示すブロック図。 傾斜磁場波形信号の生成に関わるパルス信号生成部の構成例を示す図。 EPIパルスシーケンスの一例を示す図。 従来のパルス信号生成部において生成される傾斜磁場波形信号と、その傾斜磁場波形信号によって生じる傾斜磁場の波形を示す図。 傾斜磁場コイルのインピーダンス周波数特性の非平坦性によって高周波領域の傾斜磁場に波形歪が生じることを示す図。 本実施形態に係る磁気共鳴撮像装置における傾斜磁場波形信号の生成概念を説明する第1の図。 本実施形態に係る磁気共鳴撮像装置における傾斜磁場波形信号の生成概念を説明する第2の図。 周波数特性補正のソフトウェア処理の一例を示すフローチャート。 ソフトウェア処理に基づく周波数特性補正を説明する図。 ハードウェア処理に基づく周波数特性補正に係る構成例を示す図。 リグリッディング処理の概念を台形波形の傾斜磁場を用いて説明する図。 正弦波を所望波形とする場合の第2の実施形態の動作例を説明する図。
以下、本発明の実施形態を添付図面に基づいて説明する。
(1)構成及び全般動作(第1の実施形態)
図1は、本実施形態における磁気共鳴撮像装置1の全体構成を示すブロック図である。図1に示すように、磁気共鳴撮像装置1は、静磁場を形成する筒状の静磁場用磁石22、静磁場用磁石22の内側において軸を同じにして設けられた筒状のシムコイル24、傾斜磁場コイル26、送信用或いは受信用のRFコイル28、制御系30、被検体(患者)Pが乗せられる寝台32等を備える。さらに、制御系30は、静磁場電源40、シムコイル電源42、傾斜磁場増幅ユニット44、RF送信器46、RF受信器48、シーケンスコントローラ56、コンピュータ58等を備えている。また、コンピュータ58は、その内部構成として、演算装置60、入力装置62、表示装置64、記憶装置66等を有している。
静磁場用磁石22は静磁場電源40に接続され、静磁場電源40から供給される電流により撮像空間に静磁場を形成させる。シムコイル24はシムコイル電源42に接続され、シムコイル電源42から供給される電流により静磁場を均一化する。静磁場用磁石22は、超伝導コイルで構成される場合が多く、励磁の際に静磁場電源40に接続されて電流が供給されるが、一旦励磁された後は非接続状態とされるのが一般的である。なお、静磁場電源40を設けずに、静磁場用磁石22を永久磁石で構成してもよい。
傾斜磁場増幅ユニット44は、X軸傾斜磁場増幅ユニット44x、Y軸傾斜磁場増幅ユニット44y、およびZ軸傾斜磁場増幅ユニット44zとで構成されている。なお、図1においては、静磁場用磁石22およびシムコイル24の軸方向をZ軸方向、鉛直方向をY軸方向、これらに直交する方向をX軸方向としている。
傾斜磁場コイル26は、X軸傾斜磁場コイル26x、Y軸傾斜磁場コイル26y、およびZ軸傾斜磁場コイル26zを有し、静磁場用磁石22の内側で筒状に形成されている。X軸傾斜磁場コイル26x、Y軸傾斜磁場コイル26y、およびZ軸傾斜磁場コイル26zはそれぞれ、X軸傾斜磁場増幅ユニット44x、Y軸傾斜磁場増幅ユニット44y、Z軸傾斜磁場増幅ユニット44zに接続されている。
各傾斜磁場増幅ユニット44x、44y、44zから傾斜磁場コイル26x、26y、26zにそれぞれ供給される電流により、X軸、Y軸、およびZ軸方向の傾斜磁場Gx、Gy、Gzが撮像空間にそれぞれ形成される。
装置座標系の3軸方向の傾斜磁場Gx、Gy、Gzを合成して、論理軸としてのスライス方向傾斜磁場Gss、位相エンコード方向傾斜磁場Gpe、および、読み出し方向(周波数エンコード方向)傾斜磁場Groの各方向を任意に設定できる。各傾斜磁場は、静磁場に重畳される。なお、スライス方向、位相エンコード方向、および、読み出し方向の直交3軸で構成される座標系を画像座標系と呼ぶものとする。
RF送信器46は、シーケンスコントローラ56から入力される制御情報に基づいて、核磁気共鳴を起こすためのラーモア周波数のRFパルスを生成し、これを送信用のRFコイル28に送信する。RFコイル28には、RFパルスを送信すると共に被検体からの磁気共鳴信号(MR信号)を受信する送受信用全身コイル(WBC:whole body coil)や、寝台32または被検体Pの近傍に設けられる受信専用のコイル(ローカルコイルとも呼ばれる)などがある。
RFコイル28で受信したMR信号は、信号ケーブルを介してRF受信器48に供給される。
RF受信器48は、受信したMR信号に対して、前置増幅、中間周波変換、位相検波、低周波増幅、フィルタリングなどの各種の信号処理を施した後、A/D(analog to digital)変換を施すことで、デジタル化された複素データである生データ(raw data)を生成する。RF受信器48は、生成したMR信号の生データをシーケンスコントローラ56に入力する。
シーケンスコントローラ56は、コンピュータ58の演算装置60の制御に従って、設定されたパルスシーケンスを含む撮像条件に対応する傾斜磁場Gx、Gy,GzおよびRFパルスを発生させるためのデータ列や制御情報を生成し、これらを各傾斜磁場増幅ユニット44x、44y、44zやRF送信器46に出力する。
また、シーケンスコントローラ56は、これらの傾斜磁場Gx、Gy,GzおよびRFパルスに応答して受信されたMR信号を、生データ(raw data)としてRF受信器48から入力し、演算装置60に出力する。
演算装置60は、磁気共鳴撮像装置1全体の制御を行う他、ユーザ操作によって入力装置62に入力された種々の設定情報に基づいて、各種のパルスシーケンスを含む撮像条件の設定や変更を行い、設定或いは変更された撮像条件に基づいてシーケンスコントローラ56を制御する。
また、演算装置60は、シーケンスコントローラ56から入力した生データに対して、逆フーリエ変換等を含む再構成処理を行って画像データを生成する。即ち、演算装置60は再構成部として機能する。生成された画像データは表示装置64に表示される。
コンピュータ58の演算装置60はプロセッサ等を備えて構成され、記憶装置66に保存されるプログラムコードを実行することによって、上述した各機能を実現する。
(2)傾斜磁場の波形歪
図2は、磁気共鳴撮像装置1のうち、特に、傾斜磁場コイル26(26x、26y、26z)に供給する傾斜磁場波形信号の生成に関わるパルス信号生成部70の構成例を図示したものである。パルス信号生成部70は、X軸、Y軸及びZ軸に対して、夫々パルス信号生成部70X、70Y、70Zを有するが、各パルス信号生成部70X、70Y、70Zは同一構成であるため、以下、サフィックスを付すことなく単にパルス信号生成部70と呼ぶ。
パルス信号生成部70は、その内部構成として、傾斜磁場波形データ列発生部71、実時間波形発生部72、渦電流補正部73、及び傾斜磁場増幅器74を有する。これらの各内部構成も各パルス信号生成部70X、70Y、70Zに共通するものであるため、X軸、Y軸及びZ軸に対応するサフィックスを省略して各内部構成の参照符号を記載する。
なお、図2では、図1との対応に関して、傾斜磁場波形データ列発生部71はシーケンスコントローラ56に含まれる構成とし、実時間波形発生部72、渦電流補正部73、及び傾斜磁場増幅器74は傾斜磁場増幅ユニット44に含まれる構成として図示しているが、パルス信号生成部70の機能配分はこの区分けに限定されるものではない。例えば、傾斜磁場波形データ列発生部71と実時間波形発生部72がシーケンスコントローラ56に含まれ、渦電流補正部73と傾斜磁場増幅器74が傾斜磁場増幅ユニット44に含まれる構成としてもよい。或いは、傾斜磁場波形データ列発生部71、実時間波形発生部72及び渦電流補正部73がシーケンスコントローラ56に含まれ、傾斜磁場増幅器74だけが傾斜磁場増幅ユニット44に含まれる構成としても良い。
パルス信号生成部70は、その全体の機能として、傾斜磁場波形信号を生成し、生成した傾斜磁場波形信号を電力増幅して傾斜磁場波形信号に相似な波形の電流を傾斜磁場コイル26に供給する。そして、この電流が傾斜磁場コイル26に流れることによって生じる傾斜磁場が被検体に印加される。
本実施形態に係るパルス信号生成部70は、渦電流に起因する傾斜磁場波形の歪のみならず、傾斜磁場コイル26のインピーダンス周波数特性の非平坦性によって生じる傾斜磁場の波形歪をも補正するものである。両者を区別するため、渦電流による歪の補正を渦補正と呼び、インピーダンス周波数特性の非平坦性によって生じる歪の補正を周波数特性補正と呼ぶものとする。このうち、渦補正は図2の渦電流補正部73で行い、周波数特性補正は、図2の傾斜磁場波形データ列発生部71又は時時間波形発生部72で行う。
本実施形態に係るパルス信号生成部70の詳細動作について、以下、EPI法パルスシーケンスを例にとって説明する。
図3は、拡散強調(Diffusion-weighted)用のSE(Spin Echo)系シングルショットEPIパルスシーケンスを示す図である。図3の上段から順に、RFパルス、スライス選択用傾斜磁場Gss、位相エンコード用傾斜磁場Gpe、リードアウト用傾斜磁場Gro、エコー信号Signal、の各波形を模式的に示している。
EPIパルスシーケンスは時間軸上で大きく2つの領域に分類される。このうち、前半の領域は、被検体に90°励起パルスや180°リフォーカスパルスをスライス選択用傾斜磁場Gssと共に印加して被検体にスピンを形成するスピン形成領域である。スピン形成領域では、拡散強調用の傾斜磁場パルス(Diffusion-weighting gradient)として、2つのMPG(Motion Probing Gradient)パルスも印加される。MPGパルスは、スライス選択方向、位相エンコード方向及びリードアウト方向の3方向に対して、3方向の総て、任意の2方向、或いは任意の1方向に印加してもよいが、図3に示す例ではリードアウト方向に2つのMPGパルスを印加している。この他、スピン形成領域においては、k空間上での位相エンコード方向及びリードアウト方向の読み出し開始位置を調節するTUNEパルスが、位相エンコード用傾斜磁場Gpe、及びリードアウト用傾斜磁場Groにそれぞれ1つずつ印加されている。スピン形成領域における傾斜磁場は、各軸において、単発、或いは高々2〜3発の非周期性のパルス波形であり、その中心周波数はゼロとみなすことがでる。そこで、以下、スピン形成領域を低周波領域と呼ぶものとする。
一方、EPIパルスシーケンスの後半の領域は、k空間のエコーデータを収集するデータ収集領域である。このデータ収集領域では、リードアウト方向の傾斜磁場パルスGroの極性を正負交互に周期的かつ高速に切り換えると共に、傾斜磁場パルスGroのゼロクロス点近傍のタイミングで、スパイク状の位相エンコード傾斜磁場パルス(ブリップパルスとも呼ばれる)を印加する。つまり、データ収集領域における傾斜磁場パルスGroとブリップパルスは周期性を持ち、その周期は、例えば、0.4ms〜1msであり、他の高速撮像法における傾斜磁場パルスの通常の間隔に比べても相当短い周期となっている。パルスが周期性を持ちまたその間隔が短いため、データ収集領域における傾斜磁場パルスGroとブリップパルスは、そのパルス繰り返し周波数を中心周波数とする高い周波数成分を持つことになる。そこで、以下、データ収集領域を高周波領域と呼ぶものとする。
なお、図3では、拡散強調用のSE系シングルショットEPIパルスシーケンスを例示しているが、本実施形態の磁気共鳴撮像装置1が対象とするパルスシーケンスはこれに限定されるものではなく、より一般的なEPIパルスシーケンスを対象としうる。例えば、MPGパルスを伴わない通常の形態画像用のEPIパルスシーケンスや、FE(Field Echo)系のEPIパルスシーケンス、或いはマルチショットのEPIパルスシーケンスでもよい。さらに言えば、EPIパルスシーケンスに限定する必要もなく、EPIパルスシーケンスの高周波領域と同程度に高い中心周波数成分の傾斜磁場を有するパルスシーケンスであれば、後述する本実施形態の磁気共鳴撮像装置1の技術的効果を享受することが可能である。
図4は、本実施形態のパルス信号生成部70との比較のため、従来のパルス信号生成部において生成される上記EPIパルスシーケンスの傾斜磁場波形信号と、その傾斜磁場波形信号によって生じる傾斜磁場の波形を図示したものである。
従来のパルス信号生成部は、実時間波形発生部において、低周波領域と高周波領域の双方に対して、所望波形、即ち、被検体に印加されるべき理想的な傾斜磁場の波形、例えば理想的な台形波形を生成する。そして生成した所望波形を渦電流補正部に入力する。周知のように、パルス状の傾斜磁場の立ち上がりや立下りにおいて磁場が急激に変化すると、傾斜磁場コイル26自身又はその周囲にある導電体に渦電流が発生し、渦電流によって生じる渦磁場は、磁場の急激な変化を打ち消すように作用する。したがって、所望波形をそのままの形状で増幅して傾斜磁場コイル26に供給すると、所望波形(台形)の立ち上がり領域や立下り領域の形状がなまった(歪んだ)傾斜磁場の波形となる。渦電流補正部では、この波形歪を補償すべく、立ち上がり領域や立下り領域の傾斜がより急峻となるように所望波形を補正し(即ち、渦補正し)、渦補正した波形を傾斜磁場コイル26に供給するようにしている。この渦補正によって、渦電流の影響が打ち消され、被検体に印加される実際の傾斜磁場波形は理想的な所望波形となる。
しかしながら、図4の右端の波形に例示するように、渦補正による上記効果が得られるのは、EPIパルスシーケンスのうちの低周波領域における傾斜磁場であり、高周波領域における傾斜磁場では十分な効果が得られず、依然として波形歪が残留することが分かってきた。
この原因を検討した結果、傾斜磁場コイル26のインピーダンスの周波数特性と、傾斜磁場波形信号の周波数との関係によって高周波領域の傾斜磁場に波形歪が生じることが判明した。図5はこの原因を説明する図である。
図5の上段は、傾斜磁場コイル26のインピーダンス周波数特性の測定結果の一例を示すグラフである。グラフの横軸は周波数を、また縦軸は測定したインピーダンスの相対値を示す。このグラフから判るように、傾斜磁場コイル26は、周波数ゼロから所定の周波数、例えば500Hzの近傍までの領域は、インピーダンスがほぼゼロとみなすことができるフラットな周波数特性を示す。この領域をフラット領域と呼ぶ。一方、周波数が前記所定の周波数を超えた領域では、インピーダンスが最初は徐々に、やがて急激に増加する周波数特性を示す。この領域を非平坦領域と呼ぶ。
一方、図5の下段は、図3に示したEPIパルスシーケンスのうちの、リードアウト傾斜磁場Groを取り出して図示したものである。前述したように、低周波領域における傾斜磁場波形信号は、ほぼ単発性のパルスであり、周期性を持たないためその中心周波数はゼロである。つまり、低周波領域における傾斜磁場波形信号の中心周波数は、インピーダンス周波数特性のフラット領域に対応する。
これに対して、高周波領域の傾斜磁場波形信号は、エコー間隔(ESP:Echo Spacing)の2倍の周期で繰り返されるパルス状の波形であり、そのパルス繰り返し周波数fr(即ち、傾斜磁場波形信号の中心周波数)は、1/(2・ESP)となる。一般に、EPIパルスシーケンスのエコー間隔(ESP)は、概ね、0.4ms〜1msの範囲であり、これは、傾斜磁場波形信号の中心周波数でみると、500Hz〜1.25kHzに対応する。そして、傾斜磁場波形信号の中心周波数が500Hz〜1.25kHzのいずれかにあるとすると、その中心周波数は、傾斜磁場コイル26のインピーダンス周波数特性の非平坦領域にあることになる。
つまり、傾斜磁場波形信号の中心周波数が傾斜磁場コイル26のインピーダンス周波数特性の非平坦領域(インピーダンスが高くなる領域)に落ち込むと、インピーダンスの非平坦性の影響を受けて傾斜磁場の波形に歪を生じると考えることができる。本実施形態に係る磁気共鳴撮像装置1では、この事実に着目し、傾斜磁場コイル26のインピーダンス周波数特性の非平坦性によって生じる傾斜磁場の波形歪を打ち消すような傾斜磁場波形信号を、傾斜磁場コイル26から印加される傾斜磁場の所望波形に対して変形した波形の信号として生成する手法を採っている。以下、この手法について説明する。
(3)傾斜磁場波形信号の生成
図6及び図7は、本実施形態に係る磁気共鳴撮像装置1における傾斜磁場波形信号の生成概念を説明する図である。
本実施形態の傾斜磁場波形信号の生成においては、まず、周波数特性補正を行わない状態で傾斜磁場の磁場波形を実測する。例えば、磁気共鳴撮像装置1の渦電流補正部73に、所望波形(例えば、理想的な台形波形)の信号を入力し、傾斜磁場コイル26から発生する傾斜磁場の磁場波形を実測する。傾斜磁場の磁場波形は、例えば、磁気共鳴撮像装置1のボア内に設置した既存のピックアップコイルの出力を既存の積分器で積分することによって実測することができる。得られた実測波形は、渦補正のみが行われたものであり周波数特性補正は行われていないため、高周波領域における実測波形は、図6の左上の波形Aに示すように、歪んだ波形となる。なお、渦電流による歪は渦電流補正部73による渦補正によって取り除かれているため、得られた実測波形は、傾斜磁場コイル26のインピーダンス周波数特性における非平坦性の影響を受けて歪んだ波形となる。
次に、歪んだ実測波形(波形A)と、渦電流補正部73に入力した所望波形(波形B)との差分をとり、差分波形(波形C)を得る。さらに、差分波形(波形C)を反転させた逆関数波形(波形D)を求める。そして、求めた逆関数波形(波形D)を磁気共鳴撮像装置1内の適宜の不揮発性記憶手段に記憶しておく。
ここまでの手順は、磁気共鳴撮像装置1を用いた実際の撮像を行うよりも前のいずれかの時期、例えば磁気共鳴撮像装置1の出荷前に行っておく。
一方、磁気共鳴撮像装置1を用いて被検体を実際に撮像する段階では、図6の中央及び右側に示すように、記憶してある逆関数波形(波形D)を読み出し、逆関数波形(波形D)と所望波形(波形B)とを加算して波形Eを生成する。生成された波形Eは、所望波形(波形B)に対して変形されたものとなるが、この変形は、インピーダンス周波数特性における非平坦性の影響を補償するためのものである。
図7は、磁気共鳴撮像装置1を用いた撮像段階における傾斜磁場波形信号の生成過程を説明する図である。
図7の中段に示すように、EPIパルスシーケンスの低周波領域では、所望波形(例えば、理想的な台形波形)の傾斜磁場波形信号が実時間波形発生部72から出力され、この所望波形が渦電流補正部73に入力される。渦電流補正部73では、渦補正された波形(渦電流の影響を補償するために変形された波形)のパルス信号が生成され、傾斜磁場増幅器74を通って傾斜磁場コイル26に供給される。そして、渦補正された波形の変形分が渦電流によって相殺され、実際に生成される傾斜磁場の波形は図7中段右側に示す所望の傾斜磁場波形(理想的な台形波形)となる。なお、低周波領域の傾斜磁場の中心周波数は、インピーダンス周波数特性のフラット領域にあるため、インピーダンスの非平坦性の影響による歪はほとんど発生しない。図7では、低周波領域における傾斜磁場としてMPGパルスを例示しているが、低周波領域における他の傾斜磁場(90°励起パルスや180°リフォーカスパルスに伴って印加されるスライス選択傾斜磁場Gssや、TUNEパルス等)に関しても、同様の処理を行う。
他方、EPIパルスシーケンスの高周波領域の傾斜磁場波形に対しては、所望波形そのものではなく、これを変形させた波形E(即ち、周波数特性補正が施された傾斜磁場波形信号)が実時間波形発生部72から出力され、この所望波形が渦電流補正部73に入力される。渦電流補正部73では、波形Eに対してさらに渦電流補正が施され、周波数特性補正と渦電流補正の双方が施された傾斜磁場波形信号(図7の中央下段)が生成され、この信号が傾斜磁場増幅器74を通って傾斜磁場コイル26に供給される。EPIパルスシーケンスの高周波領域の傾斜磁場は、渦電流の他、傾斜磁場コイル26インピーダンスの非平坦性の影響を受けるが、傾斜磁場コイル26に供給される波形は周波数特性補正と渦電流補正の双方が施された波形であるため、渦電流と非平坦性の双方の影響が相殺される。この結果、実際に生成される傾斜磁場の波形は図7下段右側に示す所望の傾斜磁場波形(理想的な台形波形)となる。
周波数特性補正は、以下に述べるように、傾斜磁場波形データ列発生部71においてソフトウェア処理として実施することもできるし、実時間波形発生部72においてハードウェア処理として実施することもできる。
図8及び図9は、このうちソフトウェア処理に基づく周波数特性補正を説明する図である。図8は、傾斜磁場波形データ列発生部71で行うソフトウェア処理の一例を示すフローチャートである。
図8のステップST10では、入力装置62を介して入力されたパルスシーケンスの種別等の撮像条件を装置1の内部に設定する。また、ステップST11では、装置1の種別情報を装置1の内部に記憶された情報等に基づいて取得する。そして、ステップST12において、取得した装置種別に対応する差分波形の逆関数を、予め記憶させている記憶手段から読み出す。
装置の種別によって傾斜磁場コイル26の種別が異なる場合がある。そして、傾斜磁場コイル26の種別が異なれば、傾斜磁場コイル26のインピーダンス周波数特性も異なり、周波数特性補正に用いる差分波形の逆関数も異なってくる。装置の種別と1対1に対応する逆関数のみを記憶手段に記憶させる形態も可能であり、この場合はステップST11を省略することができる。一方、予め求めた装置の種別ごとの総ての差分波形の逆関数を、装置の種別に関連付けて記憶手段に記憶しておき、ステップST11で取得した種別情報に基づいてその種別に対応する差分波形の逆関数を読み出す(ステップST12)ことも可能であり、この方がソフトウェアの共通化の観点からは好ましい。
ステップST13では、生成する傾斜磁場波形信号の波形が高周波領域に該当する波形か否かを判定する。傾斜磁場波形データ列発生部71は、その内部で自らEPIパルスシーケンスの波形データを生成するため、他からの情報を必要とすることなくこの判定をすることができる。
判定が否の場合(低周波領域の波形を生成する場合)は、ステップST14にて、低周波領域における傾斜磁場の所望波形(理想的な台形波形)のデータ列を生成する。図9の左中段には、ステップST14にて生成された低周波領域における傾斜磁場の所望波形データ列を示している。
一方、生成する傾斜磁場波形信号の波形が高周波領域の波形の場合には、ステップST15にて、高周波領域における傾斜磁場の所望波形(理想的な台形波形)のデータ列を生成し、その後ステップST16にて、生成した所望波形と、ステップST12で読み出した差分波形の逆関数とを加算して、周波数特性補正がされた波形(波形E)のデータ列を生成する。図9の左下段には、ステップST15、16で生成された波形Eのデータ列を示している。なお、ステップST15、16の処理は、傾斜磁場波形データ列発生部71の周波数特性補正データ生成部710が行う。
ステップST17では、生成された低周波領域と高周波領域の波形データ列を夫々時系列に配置し、適宜のメモリに一時的に保存する。
そして、ステップST18で撮像の開始タイミングを待ち、撮像が開始されると、メモリに一時的に保存したデータ列を読み出して実時間波形発生部72に出力する(ステップST19)。
図9に示すように、実時間波形発生部72の実時間波形変換部720では、入力したデータ列をアナログ波形としての実時間波形に変換する。その後、渦電流補正部73にて渦補正のための波形変形処理を行った後、傾斜磁場増幅器74を介して傾斜磁場コイル26に出力する。
上述した処理は、周波数特性補正のための波形を主にソフトウェア処理によって生成するものであるが、周波数特性補正のための波形生成をハードウェアにて実時間で生成することもできる。図10は、このハードウェアによる実施形態の構成例を示す図である。ハードウェアによる実施形態の傾斜磁場波形データ列発生部71では、低周波領域と高周波領域のいずれに対しても所望波形のデータ列を生成する。
一方、ハードウェアによる実施形態の実時間波形発生部72は、実時間波形変換部720の他、周波数解析部721、スイッチ722、723、加算部724、差分波形の逆関数記憶部725等を有して構成される。
実時間波形変換部72では、傾斜磁場波形データ列発生部71から出力される所望波形のデータ列をそのままアナログ実時間波形(事前傾斜磁場波形信号)に変換する。周波数解析部721では、公知のFFT等の手法を用いて実時間波形の周波数解析を実時間で行い、実時間波形変換部72から現在出力されている実時間波形が低周波領域にあるのか、或いは高周波領域にあるのかを判定する。
実時間波形が低周波領域にある場合は、スイッチ722、723を図10の「低周波領域」側に設定し、周波数特性補正をすることなく低周波領域の所望波形をそのまま渦電流補正部73に出力する。他方、実時間波形が高周波領域にある場合は、スイッチ722、723を図10の「高周波領域」側に設定する。そして、記憶部725に記憶された差分波形の逆関数と、低周波領域の所望波形と差分波形の逆関数とを加算部724で加算して、周波数特性補正が施された変形波形(波形E)を生成し、渦電流補正部73に出力する。その後、渦電流補正部73にて渦補正のための波形変更処理を行った後、傾斜磁場増幅器74を介して傾斜磁場コイル26に出力する。
上述したように、第1の実施形態に係る磁気共鳴撮像装置1によれば、渦電流のみならず、傾斜磁場パルスの周波数成分が高いことを原因とする傾斜磁場歪をも補正することができる。
(4)第2の実施形態
上述した第1の実施形態では、EPIシーケンスにおけるリードアウト用傾斜磁場(高周波領域における傾斜磁場)の所望波形として、極性が交互に入れ替わる台形波形を用いている。台形波形の立ち上がり、立下りの急峻さの程度は一般にスルーレートで表される。スルーレートが高い程、立ち上がり、立下りが急峻であることを示す。
前述した周波数特性補正は、基本的には、台形波形の立ち上がり、立下りのスルーレートを高めるように傾斜磁場波形信号の波形を変形する補正である。スルーレートを高めるという点に関しては渦補正のための波形変形も同様である。
他方、所望の強度の傾斜磁場を得るためには、傾斜磁場コイル26に数100アンペアといった大電流を流す必要があるが、この大電流は、傾斜磁場波形信号を傾斜磁場増幅器74で増幅することによって得られる。傾斜磁場増幅器74は、入力された傾斜磁場波形信号の波形に忠実に比例した電流波形を生成する必要があるが、高いスルーレートの波形を忠実に増幅しようとすると、傾斜磁場増幅器74に対する負担も増加する。例えば、高いスルーレートの波形を忠実に増幅するためには、傾斜磁場増幅器74で使用する内部電圧を高める必要があり、消費電力も増大する。また、発熱量も増加し、このための冷却機構の規模も大きくなる。
この他、スルーレートが高くなると、機械的な振動や騒音も大きくなる他、人体への安全性の規準に対してもより厳しい方向へはたらく。
そこで、第2の実施形態に係る磁気共鳴撮像装置1では、傾斜磁場波形のスルーレートを高めることなく、或いは逆に従来の台形波形に対してスルーレートをさらに低くすることによって、上述した傾斜磁場増幅器74の負担等を低減すると共に、第1の実施形態と同様に、渦電流のみならず、傾斜磁場パルスの周波数成分が高いことを原因とする傾斜磁場歪をも補正することができる手法を提供するものである。
この手法では、第1の実施形態で説明した周波数特性補正処理と、再構成処理におけるリグリッディング処理とを併用する。一般的なリグリッディング処理自体は公知技術であり、図11はその概念を台形波形の傾斜磁場を用いて説明する図である。
図11(a)は、EPIパルスシーケンスにおける台形状のリードアウト用傾斜磁場Groを時間軸方向に拡大して図示したものである。EPI法は極めて短時間での撮像を可能とする撮像方法であるが、台形波形の平坦領域のみならず、傾斜領域におけるエコーデータも画像の再構成に使用することで撮像時間のさらなる短縮を行うことができる。この場合、平坦領域に加えて傾斜領域をもサンプリングするため、このサンプリング方法はランプサンプリング(Ramp Sampling)と呼ばれる。エコーデータを時間軸上で等間隔にランプサンプリングしたエコーデータは、総てのk空間(リードアウト方向のk空間)で等間隔となるわけではない。具体的には、図11(b)に示すように、台形の平坦領域でサンプリングしたエコーデータはk空間上では等間隔に配置されて線形に変化するものの、台形の傾斜領域でサンプリングしたエコーデータはk空間上では非等間隔となり非線形な変化を示す。通常の再構成処理では、エコーデータがk空間上に等間隔に配置されているという前提で逆フーリエ変換を行うため、ランプサンプリングしたエコーデータを単純に再構成処理するとリードアウト方向に歪んだ画像となる。
そこで、図11(c)に示すように、ランプサンプリングしたエコーデータがk空間上で等間隔となるように再配置する処理が必要となり、この処理をリグリッディング処理と呼んでいる。リグリッディング処理は、再構成処理の前処理として行うこともできるし、再構成処理の内部の処理の一部に組み込むこともできる。
図11に示したリグリッディング処理は台形波形を対象とするものであるが、リグリッディング処理自体は台形波形に限定されるものではなく、その波形が既知でありさえすれば、任意の波形に対して適用することができる。つまり、傾斜磁場コイル26から実際に得られる傾斜磁場の波形が、想定した所望の既知の波形であればその所望波形の形状は台形である必要はない。
そこで、第2の実施形態では、第1の実施形態で説明した所望波形をスルーレートの低い波形とし、このスルーレートの低い所望波形に対して周波数特性補正や渦補正を施すと共に、このスルーレートの低い所望波形を既知波形としてリグリッディング処理を行っている。ここで、スルーレートの低い波形とは、傾斜磁場増幅器74のスルーレートに対する要求値(仕様値)を所定値以下にすることができる波形、と言うこともできる。
図12は、スルーレートの低い所望波形の一例として正弦波を取り上げ、正弦波を所望波形とする場合の第2の実施形態の動作例を説明する図である。なお、図12では、第1の実施形態との比較のため、参考波形としての台形波形を併せて図示している。
図12左下段に示すように、第2の実施形態では、実線で示す変形波形、即ち周波数特性補正の施された変形波形を実時間波形発生部72から渦電流補正部73に対して出力する。この変形波形は第1の実施形態と同様にして生成する。つまり、周波数特性補正を行わない状態で正弦波波形を渦電流補正部73に入力して傾斜磁場の波形を実測し、実測波形と正弦波波形(所望波形)との差分波形を求め、さらに差分波形の逆関数を求める。そして、その逆関数と正弦波波形(所望波形)とを加算して、周波数特性補正の施された第1の変形波形を生成する。
この変形波形は、渦電流補正部73においてさらに変形され、周波数特性補正と渦補正とが施された第2の変形波形(図12中央下段に実線で示す波形)が生成される。そして、第2の変形波形が傾斜磁場増幅器74にて増幅され、傾斜磁場コイル26に供給される。傾斜磁場コイル26によって生じる傾斜磁場は、傾斜磁場コイル26のインピーダンス周波数特性の非平坦性の影響と渦電流の影響を受けるが、傾斜磁場コイル26に供給される波形は非平坦性の影響と渦電流の影響を打ち消すように変形された波形であるため、傾斜磁場コイル26によって実際に生じる傾斜磁場の波形は、元の所望波形(図12右下段に示す正弦波波形)となる。
正弦波状の傾斜磁場に応答して収集されるエコーデータを等時間間隔でサンプリングすると、サンプリングデータはk空間上では非等間隔となる。そして、このサンプリングデータに対して、図11に示したようなリグリッディング処理を含む再構成処理を行って画像を生成する。但し、この場合、リグリッディング処理に用いる既知の波形は、台形ではなく、正弦波波形である。既知の波形に対応したリグリッディング処理を行うことによって、傾斜磁場の波形が正弦波形状であってもエコーデータをk空間上に等間隔で再配置することができ、画質は良好に維持されることになる。
一方、図12中央下段に示すように、傾斜磁場増幅器74に入力される波形の最大傾斜(ゼロクロス点の傾斜)は、周波数特性補正と渦補正による変形によって理想的な正弦波の最大傾斜よりも若干大きくなるものの、従来から多用されてきた台形波形の最大傾斜(スルーレート)に比べるとはるかに小さくなる。このため、傾斜磁場増幅器74の動作上の負担(消費電力や発熱等)が軽減される。また、磁場の急激な変化に伴う機械的な振動や騒音も低減され、さらに磁場変化に伴う人体への影響も軽減される。
また、傾斜磁場増幅器74に入力される波形のスルーレートが抑制されるため、傾斜磁場増幅器74のスルーレートに対する仕様を緩和することができ、結果的に、傾斜磁場増幅器74の規模(大きさ、重量、消費電力等)やコストを削減することが可能となる。さらに、傾斜磁場の波形は台形や正弦波に固定されず、設計上任意に選択することが可能であるため、スルーレート等の波形形状によって左右される各構成品(傾斜磁場増幅器74や傾斜磁場コイル26等)の仕様を決定する際の自由度が増え、バランスの取れた装置設計が可能となる。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
1 磁気共鳴撮像装置
26 傾斜磁場コイル
44 傾斜磁場増幅ユニット
56 シーケンスコントローラ
60 演算装置(再構成部)
70 パルス信号生成部
71 傾斜磁場波形データ列発生部
72 実時間波形発生部
73 渦電流補正部
74 傾斜磁場増幅器

Claims (10)

  1. 所定のパルスシーケンスに基づいて傾斜磁場波形信号を生成するパルス信号生成部と、
    前記傾斜磁場波形信号を入力して被検体に傾斜磁場を印加する傾斜磁場コイルと、
    前記傾斜磁場によって空間的にエンコードされた磁気共鳴信号を再構成して前記被検体の画像を生成する再構成部と、
    を備え、
    前記パルス信号生成部は、前記パルスシーケンスの情報に基づいて、前記傾斜磁場コイルのインピーダンス周波数特性の非平坦性によって生じる前記傾斜磁場の波形歪を打ち消すような前記傾斜磁場波形信号であって傾斜磁場増幅器に入力される前の波形を、前記傾斜磁場コイルから印加される傾斜磁場の所望波形に対して変形した波形の信号として生成する、
    ことを特徴とする磁気共鳴撮像装置。
  2. 所定のパルスシーケンスに基づいて傾斜磁場波形信号を生成するパルス信号生成部と、
    前記傾斜磁場波形信号を入力して被検体に傾斜磁場を印加する傾斜磁場コイルと、
    前記傾斜磁場によって空間的にエンコードされた磁気共鳴信号を再構成して前記被検体の画像を生成する再構成部と、
    を備え、
    前記パルス信号生成部は、前記傾斜磁場コイルのインピーダンス周波数特性の非平坦性によって生じる前記傾斜磁場の波形歪を打ち消すような前記傾斜磁場波形信号を、前記傾斜磁場コイルから印加される傾斜磁場の所望波形に対して変形した波形の信号として生成すると共に、前記傾斜磁場波形信号のパルス繰り返し周波数が、前記インピーダンス周波数特性のフラット領域よりも外側の前記非平坦領域に入り込む周波数であるとき、前記傾斜磁場波形信号を、前記傾斜磁場の所望波形に対して変形した波形の信号として生成する、
    ことを特徴とする磁気共鳴撮像装置。
  3. 所定のパルスシーケンスに基づいて傾斜磁場波形信号を生成するパルス信号生成部と、
    前記傾斜磁場波形信号を入力して被検体に傾斜磁場を印加する傾斜磁場コイルと、
    前記傾斜磁場によって空間的にエンコードされた磁気共鳴信号を再構成して前記被検体の画像を生成する再構成部と、
    を備え、
    前記パルス信号生成部は、前記傾斜磁場コイルのインピーダンス周波数特性の非平坦性によって生じる前記傾斜磁場の波形歪を打ち消すような前記傾斜磁場波形信号を、前記傾斜磁場コイルから印加される傾斜磁場の所望波形に対して変形した波形の信号として生成し、
    前記パルスシーケンスは、リードアウト傾斜磁場の符号を切り替えながら前記磁気共鳴信号を収集する高周波領域と、前記高周波領域に先立って前記被検体にスピンを形成する低周波領域とからなるEPI法のパルスシーケンスであり、
    前記パルス信号生成部は、
    前記傾斜磁場波形信号が前記高周波領域にあるパルス信号のとき、前記傾斜磁場波形信号を、前記傾斜磁場の所望波形に対して変形した波形の信号として生成し、
    前記傾斜磁場波形信号が前記低周波領域にあるパルス信号のとき、前記傾斜磁場波形信号を、前記傾斜磁場の所望波形と同じ波形の信号として生成する、
    ことを特徴とする磁気共鳴撮像装置。
  4. 前記パルス信号生成部は、
    前記傾斜磁場の所望波形と同じ波形の傾斜磁場波形信号を前記傾斜磁場コイルに供給して予め測定した傾斜磁場の測定波形と前記傾斜磁場の所望波形との差異を用いて、前記傾斜磁場波形信号を前記傾斜磁場の所望波形に対して変形する、
    ことを特徴とする請求項1に記載の磁気共鳴撮像装置。
  5. 前記パルス信号生成部は、
    前記傾斜磁場の所望波形と同じ波形の傾斜磁場波形信号を前記傾斜磁場コイルに入力して予め測定した傾斜磁場の測定波形と前記傾斜磁場の所望波形との差異を用いて、前記傾斜磁場波形信号を前記傾斜磁場の所望波形に対して変形する、
    ことを特徴とする請求項3に記載の磁気共鳴撮像装置。
  6. 前記パルス信号生成部は、
    前記低周波領域における前記傾斜磁場の所望波形と同じ波形に対応するデータ列と、前記高周波領域における前記傾斜磁場の所望波形に対して変形した波形に対応するデータ列と、を生成し、
    生成した各データ列を実時間波形に変換して前記傾斜磁場波形信号を生成する、
    ことを特徴とする請求項5に記載の磁気共鳴撮像装置。
  7. 前記パルス信号生成部は、
    前記低周波領域及び前記高周波領域の双方における前記傾斜磁場波形の所望波形と同じ波形に対応するデータ列を生成し、
    生成した前記データ列を実時間波形に変換して事前傾斜磁場波形信号を生成し、
    前記事前傾斜磁場波形信号を略実時間で周波数解析し、所定の周波数以上の前記事前傾斜磁場波形信号に対しては、前記測定波形と前記傾斜磁場の所望波形との差異を用いた変形処理を行って前記傾斜磁場波形信号を生成し、所定の周波数より低い前記事前傾斜磁場波形信号に対しては、前記変形処理を行うことなくそのまま前記傾斜磁場波形信号とする、
    ことを特徴とする請求項5に記載の磁気共鳴撮像装置。
  8. 前記再構成部は、前記磁気共鳴信号のk空間におけるリードアウト方向の配列を均一にするリグリッディング処理を、前記傾斜磁場の所望波形に基づいて行い、
    前記リグリッディング処理は、前記傾斜磁場の所望波形の立ち上がり及び立下り領域をも含めてランプサンプリングした前記磁気共鳴信号に対して行われる、
    ことを特徴とする請求項3に記載の磁気共鳴撮像装置。
  9. 前記パルス信号生成部で生成された前記傾斜磁場波形信号を増幅して前記傾斜磁場コイルに供給する傾斜磁場増幅器、をさらに備え、
    前記傾斜磁場の所望波形は、前記傾斜磁場増幅器のスルーレートの要求値を所定値以下とすることができる波形として設定される、
    ことを特徴とする請求項8に記載の磁気共鳴撮像装置。
  10. 前記パルス信号生成部は、渦電流に起因する傾斜磁場の波形歪をさらに補正する、
    ことを特徴とする請求項1乃至9のいずれかに記載の磁気共鳴撮像装置。
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