JP5969331B2 - 密封装置の取付構造、及び密封装置 - Google Patents
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Description
上記密封装置は、ゴム等の弾性素材によって環状に形成されているとともに主軸との間を密封するシールリップを有するシール部材を備えている。このシール部材は、前記主軸に対する着脱を容易とするために、紐状のシールゴムにより構成されている。シール部材は、その両端面同士を突き合わせて環状にした状態で軸方向に挟持されて前記ハウジングに取り付けられ、主軸の外周面と、ハウジングとの間を密封する(例えば、特許文献1参照)。
シール部材のつれ回りや、突き合わせ部のすき間の発生は、密封装置の寿命低下や、密封性能の低下の原因となる。
この結果、シール部材において、低温環境下においてゴム収縮が生じたとしても、密封装置としての密封性能の低下及び寿命の低下を抑制することができる。
この場合、本体部とハウジングとの間における周方向に沿った相対移動を、互いに隣接する溝部同士の間隔で定まる部分ごとに規制することができ、シール部材のつれ回りや突き合わせ部のすき間の発生をより効果的に抑制することができる。
さらに、シール部材を挟持する金属製の環状部材を備えているので、シール部材が長尺であっても、予めシール部材を環状部材に装着することで取り扱いが容易となり、ハウジングHへの取り付けを容易とすることができる。
オイルシール1は、フッ素ゴム等の弾性素材からなるシール部材3を備えている。シール部材3は、装着部2の内周面2aに内嵌されている環状の本体部4と、本体部4に一体に形成され主軸Sの外周面s1に摺接するリップ部5とを有している。
主リップ6の外周面側には、当該主リップ6を径方向内側に押圧して密封性を高めるためのガータスプリング8が装着されている。
補助リップ7は、主リップ6よりもハウジングHの外側に設けられており、これによって、外部の泥水や塵埃から主リップ6を保護し、主リップ6の密封性能が早期に低下するのを抑制している。
ハウジングHの端部に設けられている装着部2は、ハウジングHの端面h2に対して軸方向に段差を形成する段差面2bと、端面h2と段差面2bとを繋ぐ内周面2aとによって構成されている。
本体部4は、軸方向に交差している段差面2bに当接しているとともに、固定部材9の固定面9aに当接しており、段差面2bと固定面9aとの間で軸方向に挟持して固定されている。なお、本体部4に対する段差面2bと固定面9aとの間で軸方向に挟持される際の締め代は、0.1〜0.9mm程度に設定される。
シール部材3は、その両端面同士を突き合わせて環状としているため、両端面同士を突き合わせた突き合わせ部を周方向に1箇所有している。
突き合わせ部11は、図に示すように、シール部材3の両端面3a,3b同士が互いに突き合わされている。
また、1本のコイルスプリングにより構成されているガータスプリング8は、コイルスプリングの両端をフック部材8aによって接続することで環状とされている。
ゴム収縮が生じ、シール部材3が軸方向に収縮すると、段差面2bと、固定面9aとの間でのシール部材3を挟み込む力が弱まり、主軸Sの回転によってシール部材3につれ回りが生じる場合がある。また、シール部材3全体が周方向に収縮することで、両端面3a,3bが離間し突き合わせ部11にすき間が生じる場合もある。
このような、シール部材3のつれ回りや、突き合わせ部11のすき間の発生は、オイルシール1の寿命低下や、密封性能の低下の原因となる。
また、固定部材9の固定面9aにおいても段差面2bと同様の溝部20が形成されている。
本体部4は、段差面2bと固定面9aとの間で軸方向に挟持して固定されているので、本体部4の段差面2bに当接している当接面4aは、段差面2bに押圧され、図に示すように、溝部20の凹みに沿って入り込むように変形する。
これによって、低温環境下においてゴム収縮が本体部4に生じたとしても、本体部4が変形して溝部20に入り込んでいる部分のせん断力によって、本体部4とハウジングHとの間における周方向に沿った相対移動が規制される。つまり、本体部4とハウジングHとの間における相対回転が規制される。
また、本体部4とハウジングHとの間における周方向に沿った相対移動が規制されるので、シール部材3全体が周方向に収縮することで、両端面3a,3bが離間して突き合わせ部11にすき間を生じさせるのを抑制することができる。
以上によって、シール部材3において、低温環境下においてゴム収縮が生じたとしても、オイルシール1としての密封性能の低下及び寿命の低下を抑制することができる。
よって、図5(a)に示すように、径方向ほぼ中央部分でくの字型に折れ曲がるように形成された溝部20を多数並べて設けてもよいし、図5(b)に示すように、径方向に対して互いに傾斜角度の異なる2種類の溝部(第1溝部20a、第2溝部20b)を互いに交差させて設けてもよい。
本実施形態は、オイルシール1が環状部材30をさらに備えている点において、上記実施形態と相違しており、他の構成については、上記実施形態と同様である。
内側面32a,33aの少なくともいずれか一方には、図3及び図4で示したものと同様の構成とされた溝部20が形成されている。
なお、環状部材30は、予めハウジングHの内周面2aに内嵌可能な径寸法で環状に形成されている。
この点、金属製の環状に形成された環状部材30にシール部材3を装着すれば、シール部材3が長尺であっても環状部材30によって形状が定まることで取り扱いが容易となり、ハウジングHへの取り付けを容易とすることができる。
オイルシールの突き合わせ部に生じるすき間に関する検証試験については、擬似的な回転軸にオイルシールを外嵌し、所定温度に設定された恒温槽内に回転軸ごとオイルシールを投入し、恒温槽内の設定温度が安定した段階で、回転軸に外嵌した状態のオイルシールをそのまま取り出し、回転軸に外嵌した状態のままで速やかにオイルシールの突き合わせ部にすき間が生じているか否かを確認し、すき間が生じている場合には、そのすき間寸法を測定した。
突き合わせ部のすき間寸法は、図7に示すように、シール部材3を正面視したときに主リップ6の突き合わせ部11に生じた端面3a,3b間のすき間を読取顕微鏡等を用いて測定した。またこのとき、すき間寸法として、主リップ6の径方向外側部分のすき間寸法G1と、主リップ6の先端(摺接部6a)付近のすき間寸法G2の2つの箇所を測定した。
なお、擬似的な回転軸の外径寸法は105mmとし、実施例品及び比較例品の両方において、常温における回転軸に対する径方向の締め代が1.5mmとなるように設定した。また、実施例品及び比較例品の両方において、シール部材の本体部の軸方向の締め代は、0.1〜0.9mmの範囲で同一の値に設定した。
表1に示すように、比較例品では、25℃(常温)と、−15℃のときは、すき間は生じていないが、−20℃、及び−30℃では、すき間が確認されており、低温環境下においては、シール部材にゴム収縮が生じ、突き合わせ部にすき間が生じることが確認できる。
一方、実施例品では、いずれの設定温度においても、すき間が確認されなかった。
表2より、比較例品では、25℃(常温)と、−15℃のときは、すき間は生じていないが、−20℃、及び−30℃では、つれ回りの発生が確認されており、低温環境下においては、シール部材にゴム収縮が生じ、つれ回りが生じることが確認できる。
一方、実施例品では、いずれの設定温度においても、つれ回りの発生は確認されなかった。
一般に、オイルシールは、当該オイルシールが適用される軸の外径寸法に応じて、主リップの締め代が設定されている。例えば、外径寸法150mm以上、200mm未満の場合、主リップの締め代は、2.6mmと規定され、外径寸法200mm以上、400mm未満の場合、3.2mmと規定されている。このように、各径寸法について主リップの締め代は予め規定されている。この主リップの締め代の規定は、主リップによる回転軸に対する締付力がほぼ一定となるように設定されているとすると、前記規定に従って締め代を設定すれば、軸の外径寸法に関係なく同一の環境に調整されているといえる。よって、実際の風力発電機の主軸に用いるサイズのオイルシールの場合においても、前記規定に従った締め代の値に設定することで、上記試験結果と同様の結果が得られると考えられる。
3:シール部材 3a,3b:端面 4:本体部
5:リップ部 6:主リップ 7:補助リップ
9:固定部材 9a:固定面(第2固定面) 20:溝部
20a 第1溝部 20b 第2溝部 30 環状部材
31a 内周面 32a 内側面(第1固定面)
33a 内側面(第2固定面) H ハウジング S 主軸(回転軸)
s1 外周面
Claims (3)
- 回転軸と、この回転軸を包囲しているハウジングとの間を密封する密封装置の取付構造であって、
前記密封装置は、弾性素材によって形成されているとともに前記ハウジングの内周面に内嵌されている環状の本体部と、前記本体部に一体に形成され前記回転軸の外周面に摺接する環状のシールリップと、を有するシール部材を備え、
前記シール部材は、紐状のシールゴムをその両端面同士を突き合わせて環状にした状態で前記ハウジングに取り付けられ、
前記本体部は、前記内周面に内嵌された状態で、前記ハウジングに形成された軸方向に交差する第1固定面と、前記第1固定面に対向配置された固定部材の第2固定面との間で軸方向に挟持して固定されており、
前記第1固定面、又は前記第2固定面の少なくともいずれか一方には、前記本体部が前記ハウジングとの間で相対回転するのを規制するための溝部が形成されていることを特徴とする密封装置の取付構造。 - 前記溝部は、周方向に対して交差する方向に沿って延びた状態で、周方向に多数並べて形成されている請求項1に記載の密封装置の取付構造。
- 回転軸と、この回転軸を包囲しているハウジングとの間を密封する密封装置であって、
前記ハウジングに嵌合固定される金属製の環状部材と、
弾性素材によって形成されているとともに前記環状部材の内周面に内嵌されている環状の本体部、及び前記本体部に一体に形成され前記回転軸の外周面に摺接する環状のシールリップを有するシール部材と、を備え、
前記シール部材は、紐状のシールゴムをその両端面同士を突き合わせて環状にした状態で前記ハウジングに取り付けられ、
前記本体部は、前記環状部材の内周面に内嵌された状態で、前記環状部材に形成された軸方向に交差する第1固定面と、前記第1固定面に対向して形成された第2固定面との間で軸方向に挟持して固定されており、
前記第1固定面、又は前記第2固定面の少なくともいずれか一方には、前記本体部が前記ハウジングとの間で相対回転するのを規制するための溝部が形成されていることを特徴とする密封装置。
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