JP5967886B2 - カーボンナノチューブ分散液の製造方法 - Google Patents

カーボンナノチューブ分散液の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、カーボンナノチューブ(以下、CNTという)が分散媒に分散したCNT分散液の製造方法に関するものである。
CNTは、炭素によって作られる六員環ネットワークが単層あるいは多層の同軸管状になった物質で、その性状、サイズ、等により、さまざまな用途への展開が期待されている物質である。
例えば、電子放出源やビア配線等の電子デバイス応用、導電性や機械的強度を付与した樹脂コンポジット、リチウムイオン電池の添加剤としてエネルギーデバイスへの応用などが検討されており、産業上の利用分野は広い。
またCNTはナノメートルオーダーの直径に対して軸方向に長い形状を有しておりアスペクト比が高いことから、カーボンブラックやカーボンファイバー等の導電性フィラーに比べて極めて少量でも導電性が発現することなどが知られており、長尺のCNTを利用して複合材料、導電材料などの実用化に向けた研究が進められている。
しかしながら、こうしたCNTはファンデルワールス力による凝集力が強く、各種溶媒への分散が非常に困難であり、凝集物の形態で存在するCNTは、本来有する上記優れた特性を発現することができず、産業上の利用性を阻むものとなっている。
そこで、CNTの特徴である高アスペクト比を維持したまま分散性を向上させるための各種方法が提案されている。
従来の製造方法の1つを、図5を参照して説明する。従来の製造方法では、CNTの分散性向上のためにCNTの表面処理を行うことが試みられている。この表面処理としては例えばCNTを硝酸と硫酸との混酸液中で湿式酸化処理して、溶媒に対する分散性を向上させる。
以上が表面処理工程である。
表面処理によりCNT表面や末端がカルボキシル基(−COOH)の他にスルホン基(−SO3H)、ニトロ基(−NO2)、アルデヒド基(−CHO)、アミノ基(−NH2)、水酸基(−OH)などの官能基を化学修飾することにより、所望の溶媒に対して分散性を向上させることが可能となる。
この表面処理工程の後、湿式酸化されたCNTをろ過、精製する段階で一旦、CNTを乾燥処理する。
これが乾燥処理工程である。
従来製法では、この乾燥処理工程が必須とされている。
その理由は、濃度が規定されたCNT分散液を製造する場合に、CNTの重量を計測する必要があり、その計測のためには当該CNTをウェットの状態から一旦乾燥させた状態とする必要があるからである。
そして、この乾燥したCNTの重量を計測した後、回収すると共に、その回収したCNTは当該溶媒に対しての分散性が向上する処理が前記したように施されているので、当該CNTを溶媒中に入れると、当該CNTがその溶媒中で均一に分散したCNT分散液を得ることができるとされている。(例えば、特許文献1参照)。
しかしながら、この方法では、表面処理工程と分散処理工程との間に乾燥処理工程があるために、CNTに溶媒に対して分散性が向上する処理が施されていたとしても、そのアスペクト比が高いが故に乾燥後のCNTは絡み合って塊状の凝集物を形成してしまい、分散処理工程で、溶媒中にCNTが均一に分散したCNT分散液を得ることが困難となる。
特に、長尺CNTの場合では、上記困難さは、より大きくなるという課題がある。例えば発明者らが鋭意検討を重ねた結果では、前記硝酸と硫酸の混酸液中での湿式酸化処理に対し、過酸化水素水と硫酸の混酸液中での湿式酸化処理の方がより長尺のCNTが得られることが確認されている(特願2011−2485号、平成23年1月7日出願、発明の名称「CNT単離分散液」)。この場合、湿式酸化処理後に一旦乾燥させたCNTは溶媒中への分散が極めて困難となる。
また、CNTが乾燥された状態に置かれると、表面の官能基が該表面から消失してしまったり、水中では安定して存在している前記官能基が空気中の例えば二酸化炭素等のガスと反応してしまったりする、などの課題がある。
特開2005−154200号公報
本発明は、上記に鑑みてなされたものであり、CNTの分散性向上の表面処理の後の工程に、乾燥工程というCNT重量計測のための工程を経なくても、溶媒中にCNTが均一に分散しかつ必要とする濃度のCNT分散液を得ることができるようにして、前記乾燥工程に起因した上記諸課題を解決したものである。
本発明に係るCNT分散液の製造方法は、CNTが溶媒中に均一に分散された分散液を製造する方法であって、未処理のCNTを前記溶媒中でのCNTの分散性向上のための処理剤中で該CNTに対して表面処理する第1工程と、前記第1工程の後、前記水溶液に前記溶媒を入れて、前記表面が処理された前記CNTの表面に付着する水分を前記溶媒と置換処理する第2工程と、前記第2工程の後、前記CNTを前記溶媒中で分散処理する第3工程と、前記第3工程の後、前記溶媒中のCNTの濃度を吸光度法により定量する第4工程と、を含むことを特徴とする。
前記CNTには、2層以上の多層CNT、カップスタック型CNTの中から選ばれる少なくとも1種類のCNTを含む。
本発明においては、第1工程で、未処理CNTを溶媒に対してCNTの分散性が向上するようCNTの表面を処理する処理剤中に入れ、超音波照射する。
これにより、CNTはその溶媒に対して分散性が向上する。
次いで、第2工程で、前記水溶液に前記溶媒を入れていきCNTの表面に付着する水分を前記溶媒と置換処理する。
これにより、CNTはその溶媒中に入った状態となる。
この状態ではCNTは分散していないので、第3工程で、CNTを前記溶媒中で分散処理して、CNT分散液を得る。
そして、ここまでの工程では、乾燥工程が無いので、CNTが定量されていない。
そこで、第4工程で、吸光度法により前記溶媒中で分散しているCNTの濃度を定量する。
こうして、CNT分散液の製造においては、従来のようにCNTの分散性向上の表面処理の後の工程に乾燥工程を経る必要がなくなり、これにより、乾燥工程でCNTが絡まり合い凝集することによる前記諸課題を解消することができる。
好ましい態様は、前記第1工程において、前記表面処理が、未処理のCNTを硝酸と硫酸との混酸液中、または硫酸と過酸化水素水との混酸液中に静置してから、超音波照射をする処理、を含む。この静置は、例えば1時間程度が好ましい。また、超音波照射の周波数は、例えば20kHzから100kHzの範囲が好ましい。
この態様では、ファンデルワールス力により塊状もしくは束状に凝集集合してなる複数のCNTが1本1本単離分散した状態にするという効果を得ることができる。
好ましい態様は、前記第2工程において、前記溶媒は、その沸点が水の沸点より高く、かつ、前記第1工程後の前記水溶液に溶媒を投入し、減圧留去により前記水溶液から水分を蒸発させることで前記置換を行う。
この態様では、CNT表面に吸着した水分子を分散媒と混合し、沸点の違いを利用して減圧留去により水分を除去することで、分散媒にCNTを分散することができるという効果を得ることができる。
好ましい態様は、前記第2工程において、前記溶媒が、沸点が水の沸点より高い溶剤と、樹脂とを含むものである。
好ましい態様は、前記CNTの長さの平均長が1μm以上のものである。さらに好ましい態様は、前記CNTの長さの平均長が3μm以上のものである。
本発明では、CNT分散液の製造における第1ないし第3工程で示すように、従来のようにCNTの分散性向上の表面処理工程の後工程に乾燥工程が無く、表面処理工程で分散性を高めたCNTをウェット状態を維持したまま分散処理工程に移行するので、分散処理工程でCNT重量の計測のための乾燥工程が不要となり、結果、乾燥工程を経ることによる前記諸課題が一挙に解消されると共に、乾燥処理工程が無いが、その後の溶媒中のCNTの濃度を吸光度法により定量処理する第4工程でCNT濃度が分かり、目的とする濃度のCNT分散液を得ることができる。
また、乾燥処理工程が無いことにより、CNTが乾燥状態に置かれることによる不具合、つまり、表面の官能基が該表面から消失してしまったり、水中では安定して存在している官能基が空気中の例えば二酸化炭素等のガスと反応してしまったりする、などの課題を解消することができる。
図1は、本発明の実施形態1に係るCNT分散液の製造工程図である。 図2は、吸光度−濃度検量線の一例を示す図である。 図3(a)(b)は、CNTが単離分散している状態を示す各倍率のSEM写真である。 図4は、図3に対応する硫酸と硝酸とが3:1の比率で混合された混酸をCNTの分散性向上のための処理剤として使用した場合のCNT長さのヒストグラムである。 図5は、従来のCNT分散液の製造工程図である。 図6は、図7に対応する硫酸と30%過酸化水素水が4:1の比率で混合された混酸をCNTの分散性向上のための処理剤として使用した場合のCNT長さのヒストグラムである。 図7(a)(b)は、比較的長尺のCNTが単離分散している状態を示す各倍率のSEM写真である。
以下、添付した図面を参照して、本発明の実施の形態に係るCNT分散液の製造方法を説明する。
また、この実施形態では、多層CNTを用いた。実施形態では、多層CNTの長さの平均長は1μm以上のCNTである。ただし、本発明では、この実施形態のCNTに限定されるものではなく、カップスタック型CNT等を用いることも可能である。
まず、図1を参照して本実施の形態の製造方法を概略説明する。
この製造方法は、
未処理CNTを前記溶媒中でのCNTの分散性向上のための処理剤中に入れて、該CNTに対して表面処理する表面処理工程と、
前記表面処理工程の後、前記水溶液に前記溶媒を入れて、前記表面が処理された前記CNTの表面に付着する水分を前記溶媒と置換処理する置換処理工程と、
この置換処理工程の後、前記CNTを前記溶媒中で分散処理する分散処理工程と、
前記分散処理工程の後、前記溶媒中で分散しているCNTの濃度を吸光度法により定量処理する濃度検出処理工程と、を含む。
表面処理工程における未処理CNTとしては、例えば特開2007−126311号公報に記載されているような熱CVD法を用いて基板上にアルミニウム、鉄からなる触媒膜を成膜し、CNTの成長のための触媒金属を微粒子化し、加熱雰囲気中で炭化水素ガスを触媒金属に接触させることにより製造したものを用いた。アーク放電法、レーザ蒸発法などその他の製造方法により得たCNTを使用することも可能であるが、CNT以外の不純物を極力含まないものを使用することが好ましい。
[実施形態1]
(表面処理)
a)未処理のCNT80mgをビーカーに入れると共に、このビーカーに、混酸240ml(硝酸60ml、硫酸180ml)を加えてから1時間静置する。これは、CNTと処理液をよくなじませ、その後の超音波処理でCNTの分散の均一化を図るためである。この結果、CNTは、各種溶媒に対して分散性が向上する。
b)前記ビーカー中のCNTは、塊状もしくは束状に凝集集合している状態であるので、CNTが1本1本単離分散した状態にするために、PTFE攪拌棒(羽根付き)にて毎分200回転で攪拌しながら、バス式超音波洗浄機(アズワン製USD−2R)を用いて2時間分散させる。これにより、前記混酸中のCNTは、1本1本に単離分散した状態となる。この場合の超音波の周波数範囲は20kHzから100kHzである。また、この超音波処理により、CNT表面には、官能基としてカルボキシル基(−COOH)が形成される。この官能基の他の例としては、前記カルボキシル基(−COOH)の他に、スルホン基(−SO3H)、ニトロ基(−NO2)、アルデヒド基(−CHO)、アミノ基(−NH2)、水酸基(−OH)などがある。
c)前記で得られた処理液は、混酸処理液中にCNTが分散された状態であるので、この処理液の除去のために減圧ろ過する。このろ過の方法については、減圧ろ過に限定されるものではなく、自然ろ過、加圧ろ過、遠心ろ過などの方法でも適用可能である。
d)前記減圧ろ過でフィルター上に得られたCNTは、そのCNT表面に混酸処理液が吸着した状態であるので、完全に混酸処理液を取り除くためにアンモニア水で中和する。その後、そのアンモニア水の除去のためにCNTを純水で洗浄する。
(置換処理)
前記表面処理により表面処理されたCNTを、溶媒であるN,N−ジメチルホルムアミド中に浸漬を数回繰り返し、CNT表面の水分を置換する。
溶媒例として、上記N,N−ジメチルホルムアミド以外に、1−ブタノール、酢酸nーブチル、酢酸n−プロピル、酢酸n−ペンチル、酢酸イソブチル、酢酸イソペンチル、クロロベンゼン、キシレン、クレゾール、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノール、メチル−n−ブチルケトン、メチルイソブチルケトン、スチレン、テトラクロロエチレン、トルエン、N―メチルピロリドン、テルピネオール、イソブチルアルコール、イソペンチルアルコール、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノーn−ブチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、多価アルコール、シリコーンオイル、フッ素オイルなどがあり、これら溶媒のいずれか1種または複数の組み合わせとしてよい。これらは沸点が水より高い溶媒である。
さらに、エタノール、メタノール、1−プロパノール、2-プロパノール、tert−ブチルアルコール、ヘキサン、ベンゼン、ジエチルエーテル、クロロホルム、酢酸エチル、塩化メチレン、テトラヒドロフラン、アセトン、アセトニトリル、四塩化炭素、二硫化炭素、ジクロロメタン、ジクロロエタン、トリクロロエタン、ジクロロエチレン、トリクロロエチレン、シクロペンチルメチルエーテルなどがあり、これらのいずれか1種または複数の溶媒の組み合わせとしてもよい。これらは、沸点が水のそれより低い溶媒である。
なお、溶媒としては、沸点が水のそれより高い溶媒でも、低い溶媒でもよい。また、溶媒として溶剤と樹脂とを組み合わせたCNT分散液としてもよい。
(分散処理)
前記置換処理されたCNTをエタノール100mlに加え、バス式超音波洗浄機を用いて分散させ、CNT分散液を得る。このCNT分散液中ではCNTは単離分散している。CNTが単離分散するのはCNTと溶媒との親和性が向上することによる。単離分散は後述する。
(濃度検出処理)
前記分散処理で得られた分散液を一部サンプリングし所定の濃度に希釈した後、分光光度計(日本分光製)を用いて計測した吸光度(波長:500nm)を吸光度−濃度検量線により、前記濃度を算出処理する。このような濃度検出を、本明細書では便宜的に吸光度法と称する。この吸光度法においては、図2に一例として示すように、横軸にCNT濃度(wt%)、縦軸に吸光度(Abs)とする座標において、予め濃度既知の溶液を測定しておいて、この座標上において吸光度とCNT濃度との関係を、例えば黒丸(●)でプロットしたグラフを吸光度−濃度検量線として作成しておき、これに試料の測定吸光度を測定し、この測定した吸光度に対応する濃度を前記検量線から求める方法である。図2で示す例では、各プロット位置でのCNT濃度は、0.0005wt%、0.001wt%、0.0015wt%、0.002wt%である。CNT濃度と吸光度は、比例関係にあるので、直線でプロットすることができる。
なお、上記したように、濃度の算出において、前記分散処理で得られた分散液を一部サンプリングし所定の濃度に希釈するが、おおよそのCNT濃度は判るので、検量線グラフに入るよう希釈する。例えば、100倍に希釈する。そして、CNT分散液の吸光度(Abs)を前記分光光度計で計測し、図2の検量線からCNT分散液のCNT濃度(wt%)を算出すると共に、この濃度に前記希釈倍率である100を乗じた値がCNT分散液の濃度となる。
なお、上記のように検量線グラフからCNT濃度が判るが、図2で横軸をx(CNT濃度)、縦軸をy(吸光度)とすると、検量線グラフはy=260.4xで表せるので、この式のyに吸光度を代入することで、xをCNT濃度として算出することができる。
[実施形態2]
(表面処理)
a)未処理のCNT 80mgをビーカーに入れ、混酸240ml(硝酸60mlと硫酸180mlの混合物)を加えた後、1時間静置する。この場合も、前記実施形態1と同様、CNT表面には官能基COOHが形成され、所要溶媒に対して分散性が向上する。
b)前記静置後のビーカーをPTFE攪拌棒(羽根付き)にて毎分200回転で攪拌しながら、バス式超音波洗浄機(アズワン製USD−2R)を用いて2時間分散させる。
c)前記処理液を減圧ろ過する。
d)前記減圧ろ過でフィルター上に得られたCNTをアンモニア水で中和する。その後純水で洗浄する。
(置換処理)
前記表面処理されたCNTを、溶媒であるN,N−ジメチルホルムアミド100ml中に浸漬する。N,N−ジメチルホルムアミドを溶媒として選定した。
そして、ロータリーエバポレーターを用いて水分を減圧留去により除去する。N,N−ジメチルホルムアミドは、沸点が水の沸点より高いので、減圧留去により水分が蒸発し、これにより置換を行うことができる。沸点が水より高い溶媒の他の例としては、1−ブタノール、酢酸nーブチル、酢酸n−プロピル、酢酸n−ペンチル、酢酸イソブチル、酢酸イソペンチル、クロロベンゼン、キシレン、クレゾール、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノール、メチル−n−ブチルケトン、メチルイソブチルケトン、スチレン、テトラクロロエチレン、トルエン、N―メチルピロリドン、テルピネオール、イソブチルアルコール、イソペンチルアルコール、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノーn−ブチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、多価アルコール、シリコーンオイル、フッ素オイルなどがあり、これら溶媒のいずれか1種または複数の組み合わせとしてよい。
この溶媒は1種類だけでなく、複数の種類の組み合わせでもよく、例えば、溶媒として溶剤と樹脂とを組み合わせたCNT分散液としてもよい。この場合の溶剤としては、上記で列挙した溶媒がある。また、樹脂としてはフェノール、エポキシ、ウレタン、アクリル、ポリエステル、シリコーン、ABS樹脂などを例示することができる。
(分散処理)
前記置換処理で得られた液を、バス式超音波洗浄機を用いてCNTを分散させ、CNTが単離分散したCNT分散液を得る。溶媒がN,N−ジメチルホルムアミドである液中でCNTが単離分散するのはCNTと溶媒との親和性が向上していることの理由による。単離分散は後述する。
(濃度検出処理)
前記分散処理で得られた分散液を、一部サンプリングし、所定の濃度に希釈した後、分光光度計(日本分光製)を用いて計測した吸光度(波長:500nm)を吸光度−濃度検量線により算出する。
この濃度検出処理は、実施形態1の濃度検出処理と同様であるので、説明を略する。
なお、実施形態1、実施形態2におけるCNT分散液は、超音波処理の工程により、分散液中ではCNTは単離分散する。
ここで、CNTの単離分散とは、CNTが1本ずつ物理的に分離して絡み合っていない状態で溶液中に分散している状態を言う。ここで「物理的に分離して絡み合っていない」とは複数のCNTがファンデルワールス力により塊状もしくは束状に凝集集合してなる形態をとらずに1本1本単離した状態で存在していることである。ただし、凝集集合形態が一部含まれていてもかまわないものであり、分散液中のほとんどのCNTが単離状態にあれば実質的に単離分散液であるとすることができる。
また、実施形態1,2の処理剤として、硫酸と硝酸とが3:1の比率で混合された混酸を選定する。そして未処理CNTを浸漬してある混酸に対して周波数が2種以上の超音波を交互に照射する。超音波の切替周波数は一例として28kHzと45kHzである。この超音波照射後に、混酸から未処理CNTを引き上げて純水で希釈すると共に中和洗浄し、溶液中に分散させる。こうして表面炭素が酸処理されたCNTを製造することができる。
以上いずれの製法においても、実施形態のCNT単離分散液が得られる。図3(a)(b)に上記製法により製造されたCNT分散液において、その中で単離分散しているCNTのSEM写真を示す。
このSEM写真は、上記実施形態1,2のうち、実施形態1によるSEM写真であるが、実施形態2の方も同様にCNT分散液において、CNTは単離分散する。
図3(a)は、倍率5000、図3(b)は倍率10000のSEM写真である。このSEM写真で示すCNTは、長さが5μmあるいはそれ以上の長尺CNTもある。このSEM写真で示すように、CNTは、1本ずつ物理的に分離して絡み合っていない状態で溶媒中に分散、いわゆる単離分散していることが明らかである。
図4にCNT長さのヒストグラムを示す。このヒストグラムは、図3のSEM写真に対応するものである。このヒストグラムでCNT長さの平均長は、3.8μmである。なお、ヒストグラムは、CNT長さのバラツキの分布状態を棒グラフで表示したものであり、縦軸が度数分布表の頻度(%)であり、横軸がCNT長さ(μm)のデータ区間である。
このヒストグラムで明らかであるように、本実施形態のCNT単離分散液におけるCNT長さの平均長は、1μm以上である。
なお、前記CNT単離分散液中のCNTの平均長は、以下の方法で測定した。ここで、CNT単離分散液は、溶媒中に樹脂を含むと共に、複数のCNTが単離分散された溶液であり、前記CNT分散液を基板上に一定量塗布すると共に、その塗布したCNT分散液を加熱することにより、前記溶媒および樹脂を除去して、基板上に前記複数のCNTのみを残す。そして、走査型電子顕微鏡により、基板上のCNTを撮影して、CNTのSEM画像を得る。得られたSEM画像をパソコンに取り込み、この取り込んだSEM画像について画像解析ソフト(WinROOF(三谷商事株式会社製))により画像解析することで、複数のCNTそれぞれの長さを測定した。
こうして測定して得られた複数のCNTそれぞれの長さのデータに基づき、CNTの長さの平均長を演算した。
そして、前記測定を複数回数繰り返した結果、CNTの平均長は、1μm以上であった。その結果、前記測定の繰り返し回数によっては、CNTの長さの平均長は最低では1μmであるが、3μmあるいはそれ以上となる場合もある。
なお、本明細書でCNTの長さの平均長とは、前記解析ソフトで画像解析した結果、SEM画像に表れる複数のCNTのうちの約50%以上のCNTの長さが1μm以上という意味である。
また、前記SEM画像は2次元情報になるため高さ方向にCNTが伸びている場合は、測定できないが、CNTは単離分散されて基板上にほとんどのCNTが張り付いていると考えられ、実際長さとの誤差はほとんど無いものと考えられる。
なお、実施形態1、実施形態2における混酸は、硝酸と硫酸との混酸であったが、これに限定されず、例えば硝酸、塩酸、硫酸、過酸化水素、りん酸、重クロム酸、およびこれらの混酸を用いることができる。中でも硫酸と硝酸の混酸、または硫酸と過酸化水素の混酸を使用することが好ましい。
図6に硫酸と30%過酸化水素水が4:1の比率で混合された混酸をCNTの分散性向上のための処理剤として使用した場合のCNT長さのヒストグラムを示す。このヒストグラムは図7(a)、(b)のSEM写真に対応するものである。このSEM写真で示すCNTは、長さが10μmあるいはそれ以上の長尺CNTもある。このヒストグラムでCNT長さの平均長は、6.4μmである。本実施形態の発明を利用することにより、平均長5μmを超える長さのCNTを溶媒中に均一に分散した分散液を得ることが可能となる。
なお、CNT分散液にはその特性を調整するための各種添加剤を含んでもよい。添加剤として、たとえば陽イオン系、陰イオン系、非イオン系、両性イオン系などの界面活性剤、高分子系分散剤など市販の分散剤を使用することができる。

Claims (3)

  1. カーボンナノチューブが所定の溶媒中に均一に分散された分散液を製造する方法であって、
    前記カーボンナノチューブの分散水溶液中で、前記カーボンナノチューブの表面を表面処理する第1工程と、
    前記第1工程後に、その沸点が水の沸点より高い溶媒である前記溶媒を、前記第1工程後の前記分散水溶液に投入すると共に、減圧留去により前記分散水溶液から水分を蒸発させ、前記カーボンナノチューブ表面の水分を前記溶媒に置換する第2工程と、
    前記第2工程後に、前記カーボンナノチューブを前記溶媒中で超音波照射により分散させ、前記カーボンナノチューブが単離分散したカーボンナノチューブ分散液を得る第3工程と、
    前記第3工程後に、前記カーボンナノチューブ分散液中の前記カーボンナノチューブの濃度を吸光度法により定量する第4工程と、
    を含み、
    前記第1工程ないし前記第3工程の間に前記カーボンナノチューブの乾燥工程が無く、前記カーボンナノチューブはウェット状態で維持され、
    前記第1工程において、前記表面処理が、前記カーボンナノチューブを硝酸と硫酸との混酸液中、または硫酸と過酸化水素水との混酸液中に静置してから、超音波照射をする処理、を含み、
    前記溶媒はN,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドンのいずれか1種または組み合わせである
    ことを特徴とするカーボンナノチューブ分散液の製造方法。
  2. 前記カーボンナノチューブは、その長さの平均長が1μm以上である、請求項1に記載のカーボンナノチューブ分散液の製造方法。
  3. 前記カーボンナノチューブは、その長さの平均長が3μm以上である、請求項1に記載のカーボンナノチューブ分散液の製造方法。
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