以下に、添付図面を参照して、本発明に係る入室許可管理装置及び入室許可管理方法の実施形態について説明し、本発明の理解に供する。尚、以下の実施形態は、本発明を具体化した一例であって、本発明の技術的範囲を限定する性格のものではない。
<入室許可管理装置>
本発明に係る入室許可管理装置は、部屋R(例えば、製造ライン)への入室作業者の入室を許可する入室許可管理装置1であって、図1に示すように、除電切替手段10と、抵抗値測定手段11と、抵抗値判定手段12と、入室許可手段13と、を備える。除電切替手段10は、入室作業者U1が接触した接触抵抗値測定器11aによる接触抵抗値の測定の際に、当該接触抵抗値測定器11aの基準電極端子の電気的接続を、測定回路の端子から、接地電極端子へ、予め登録された除電時間(例えば、数十msec〜数百msec)だけ切り替える。抵抗値測定手段11は、前記除電時間経過後、前記基準電極端子の電気的接続が前記測定回路の端子へ戻ると、前記接触抵抗値測定器11aに基づいて、前記入室作業者U1の装着物(例えば、左右の靴Ua)の接触抵抗値を測定する。抵抗値判定手段12は、前記接触抵抗値が測定されると、当該測定された接触抵抗値が、予め登録された許可値の範囲内か否かを判定する。入室許可手段13は、前記判定の結果、前記接触抵抗値が前記許可値の範囲内である場合に、予め登録された許可時間だけ、前記部屋Rの入室ドアR1(ゲート)を開錠して入室作業者U1の入室を許可し、前記接触抵抗値が前記許可値の範囲内でない場合に、前記部屋Rの入室ドアR1を開錠しない。
ここで、除電切替手段10と、抵抗値測定手段11と、抵抗値判定手段12と、入室許可手段13とは、例えば、図1に示すように、パーソナルコンピューター、ノートパソコン等の端末装置2、携帯端末装置、タブレット型端末装置等が、各手段に対応するプログラムを実行することで当該各手段の機能を実現する。例えば、端末装置2のCPUが、例えば、RAMを作業領域として利用し、ROM、HDD、SSD等に記憶されているプログラムを実行し、各手段の処理を実行する。各手段に対応するハードフェア等を用意しても構わない。後述する手段も同様である。又、接触抵抗値とは、導体同士を接触させた時の抵抗値を意味し、導体単体の抵抗値を意味しない。接触抵抗値を測定することで、作業者Uの装着物に帯電した静電気が留まらずに除電される除電能力を概算することが出来る。
これにより、入室作業者U1の装着物の接触抵抗値を正確に判定して、静電気が帯電している入室作業者U1の入室を確実に防止することが可能となる。即ち、静電気は、外気の温度、湿度の変化により生じ得るため、入室許可管理装置1により装着物の接触抵抗値が測定される前に、入室作業者U1の衣服等に予め静電気が帯電している場合がある。入室作業者U1に静電気が帯電している状態で、接触抵抗値測定器11aが、入室作業者U1の装着物の接触抵抗値を測定すれば、測定する接触抵抗値に測定誤差が生じる。仮に、入室作業者U1に静電気が帯電した状態で装着物の接触抵抗値を測定すると、装着物の接触抵抗値が潜在的に高い(除電能力が低い)場合であっても、測定値として低い接触抵抗値が測定される。例えば、装着物の静電用の靴Uaの正規の接触抵抗値は、常温で、0.1MΩ〜100MΩの範囲内であるが、入室作業者U1が靴Uaで有る程度動き回って静電気を帯電させた状態とし、その入室作業者U1の靴Uaの接触抵抗値を接触抵抗値測定器11aで測定すると、測定値は、正規の接触抵抗値に対して数%〜数十%低い接触抵抗値となる。後述するアースバンドUbであっても同様である。特に、靴UaやアースバンドUbは、通常、摩耗や劣化により、正規の接触抵抗値が高くなる傾向にあることと相まって、正常に機能しない靴UaやアースバンドUbの接触抵抗値が、入室作業者U1の静電気の帯電により低く評価され、摩耗・劣化により接触抵抗値が高くなった装着物の入室作業者U1を誤って入室許可する確率は、数%から数十%と高くなる。このような靴UaやアースバンドUbを身に付けた入室作業者U1が作業すれば、当然、作業対象の電子部品に静電気が帯電し、トラブルの元になる。本発明では、入室作業者U1の装着物の接触抵抗値を測定する直前に、接触抵抗値測定器11aの基準電極端子の電気的接続を前記接地電極端子に切り替えることで、入室作業者U1に帯電した静電気を予め除電する。これにより、上述した接触抵抗値の測定誤差を無くし(実質ゼロ)、入室作業者U1の装着物の接触抵抗値を正確に測定することが出来る。
そして、本発明では、測定された入室作業者U1の装着物(例えば、靴Ua)の接触抵抗値が、許可値の範囲内であれば、入室作業者U1は入室を許可され、許可値の範囲内でなければ、入室作業者U1は部屋Rへ入ることが出来ない。そのため、本発明では、静電気が帯電している入室作業者U1の入室を物理的に防止(遮断)することが可能となり、従来のように、静電気が帯電している入室作業者U1の入室を誤って許可するという可能性をゼロにし、静電気が帯電している入室作業者U1であるにもかかわらず部屋Rへ入って電子部品を取り扱う事態を確実に防止することが可能となる。尚、入室が許可されなかった入室作業者U1の装着物は、摩耗・劣化が激しいと考えられるため、その装着物を新品に取り換える等の対応をすれば良い。
ここで、本発明では、更に、情報受付手段14と、在室管理手段15と、を備えても良い。情報受付手段14は、前記接触抵抗値測定器11aによる接触抵抗値の測定が開始させる際に、前記入室作業者U1から識別情報(例えば、「aaa」)の入力を入力識別情報として受け付ける。在室管理手段15は、前記部屋R内に存在する在室作業者U2の識別情報を在室識別情報として管理し、前記受け付けられた入力識別情報(「aaa」)が前記在室識別情報に存在しないか否かを判定し、前記入力識別情報(「aaa」)が前記在室識別情報に存在しない場合、前記接触抵抗値の測定を開始させ、前記入力識別情報(「aaa」)が前記在室識別情報に存在する場合、前記接触抵抗値の測定を停止する。又、在室管理手段15は、前記入室作業者U1の入室が許可された場合に、当該入室作業者U1の入力識別情報(「aaa」)を在室識別情報として記憶する。
これにより、この入室作業者U1が、何らかの原因により、例えば、部屋Rの退室ドアR2から共連れにより外部に出た場合、入室作業者U1の識別情報は在室識別情報として残ったままであり、入室作業者U1は在室作業者として管理されている。そのため、入室作業者U1が、再度、前記部屋Rに入ろうとしても、共連れで部屋Rの外部に出ていることから、前記接触抵抗値の測定が行われず、入室が禁止される。その結果、共連れをした入室作業者U1に限定して入室を禁止し、共連れで出る入室作業者U1を確実に取り締まることが可能となる。
又、情報受付手段14は、前記在室作業者U2が前記部屋Rを退室する際に、当該在室作業者U2から識別情報(例えば、「bbb」)の入力を入力識別情報として受け付ける。在室管理手段15は、前記受け付けられた入力識別情報(「bbb」)が前記在室識別情報に存在するか否かを判定し、前記入力識別情報(「bbb」)が前記在室識別情報に存在する場合、前記部屋Rの退室ドアR2を開錠して前記在室作業者U2の退室を許可し、前記在室識別情報を消去し、前記入力識別情報(「bbb」)が前記在室識別情報に存在しない場合、前記部屋Rの退室ドアR2を開錠しない。
これにより、在室作業者U2が、何らかの原因により、例えば、部屋Rの入室ドアR1から共連れにより部屋Rの内部に入った場合、在室作業者U2の識別情報は在室識別情報として記憶されていない状態であり、在室作業者U2は入室作業者として管理される。そのため、この在室作業者U2が、前記部屋Rから出ようとしても、共連れで部屋Rの内部に入っていることから、退室が禁止される。その結果、共連れをした在室作業者U2に限定して退室を禁止し、共連れで入る在室作業者U2を確実に取り締まることが可能となる。
又、本発明では、更に、履歴出力手段16を備えても良い。履歴出力手段16は、前記入室を許可された入室作業者U1と前記入室を不許可された入室作業者U1との識別情報と、前記在室識別情報とを、ネットワーク16aを介して通信可能に接続された上位端末装置16bに出力する。
これにより、入室作業者U1が入室できた場合であってもできなかった場合であっても、当該入室作業者U1の識別情報を区別して管理され、入室許可管理装置1は、入室作業者U1の入室結果を当該上位端末装置16bに送信する。そのため、従来のように、入室作業者U1が、静電気の帯電を確認したか否かの履歴を手書きメモ等で取る必要が無くなり、部屋Rの入室及び静電気の帯電確認に関係する入室作業者U1の管理を容易にすることが可能となる。
更に、上位端末装置16bの管理者が、例えば、区別された入室作業者U1との識別情報を確認すれば、誰が静電気の帯電の確認を行ったか否かを一見して把握することが出来るため、その確認履歴も容易に管理することが可能となる。そのため、入室作業者U1の入室許可を管理する管理者にとって一元管理し易いという利点がある。
又、履歴出力手段16が、前記在室識別情報を前記上位端末装置16bに出力することで、入室許可管理装置1のある部屋Rにどのような在室作業者U2が存在するか、在室作業者U2の数はどれくらいか一見して把握することが可能となる。そのため、在室作業者U2を管理する管理者に対して一元管理の手間を軽減することが出来る。特に、部屋Rの災害時又は情報漏えいが発生した時での在室作業者U2の確認に有効である。
又、本発明では、更に、自己診断手段17を備えても良い。自己診断手段17は、自己診断指示が入力されると、既知抵抗値を有する(図示しない)自己診断用抵抗の抵抗値を前記接触抵抗値測定器11aで測定することで、当該接触抵抗値測定器11aの接触抵抗値の測定能力を自己診断する。
これにより、管理者や入室作業者U1が、自己診断指示を入室許可管理装置1に入力することで、自己診断用抵抗の既知の抵抗値を前記接触抵抗値測定器11aで測定させて、当該接触抵抗値測定器11aの測定能力に異常が発生しているか否かを判断することが出来る。測定能力の異常は、例えば、長期使用による抵抗値の劣化等が考えられる。そのため、前記接触抵抗値測定器11aに異常が発生し、静電気が帯電している入室作業者U1を誤って入室させる事態を確実に防止することが可能となる。尚、異常が発生した場合には、管理者等が接触抵抗値測定器11aの劣化部を新品に取り換える等の対応をすれば良い。
ここで、入室作業者U1が入室する部屋Rは、本発明の目的を阻害しない限り、特に限定は無いが、例えば、静電気の悪影響を回避する必要がある電子部品の組立部屋、静電気管理エリア、製造ライン、クリーンルーム、電子部品取り扱いルーム、特殊用途の作業部屋等を挙げることが出来る。
又、除電切替手段10の構成は、本発明の目的を阻害しない限り、特に限定は無いが、例えば、下記の構成を挙げることが出来る。図2に示すように、接触抵抗値測定器11aの基準電極端子20と、抵抗値測定手段11に関係する測定回路21の端子22との間に接点切替部23が設けられ、前記基準電極端子20と、前記測定回路21の端子22との間に接地電極端子24が設けられる。又、前記測定回路21から測定器用端子25が前記接触抵抗値測定器11aへ向けて延出され、電気的に接続される。除電切替手段10は、前記接触抵抗値の測定の開始指示を受けると、前記接点切替部23を用いて、前記基準電極端子20と前記接地電極端子24とを電気的に接続し、除電を開始する。そして、除電開始から前記除電時間が経過すると、除電切替手段10は、前記接点切替部23を用いて、前記基準電極端子20と前記測定回路21の端子22とを電気的に接続する。
又、接触抵抗値測定器11aは、本発明の目的を阻害しない限り、特に限定は無いが、例えば、装着物が靴Uaである場合、図1に示すように、入室作業者U1が靴Uaを履いたまま、所定の靴用金属板に当該靴Uaを乗せるだけで当該靴用金属板と靴Uaとの接触抵抗値を測定する測定器を挙げることが出来る。当該測定した接触抵抗値により、(静電)靴Uaの優位性を判断すること出来る。
ここで、入室作業者U1の装着物は、本発明の目的を阻害しない限り、特に限定は無いが、例えば、電子部品の取り扱いで、特に、静電破壊の原因となる靴UaやアースバンドUb等を採用することが出来る。
又、測定される接触抵抗値は、入室作業者U1の靴Uaに、入室作業者U1が腕に装着しているアースバンドUbを追加して、それぞれの接触抵抗値を測定するよう構成しても良い。このアースバンドUbは、例えば、電子部品を取り扱う作業者Uが、通常、身に付ける静電気帯電防止のためのバンドである。
又、許可値は、入室作業者U1が電子部品を取り扱う際に当該電子部品に許容される静電気量等に対応して適宜設定される。又、許容値の範囲は、例えば、上限許容値と、下限許容値とで構成される範囲であり、適宜設定される。
又、抵抗値判定手段12は、前記接触抵抗値が前記許可値の範囲内であるか否かのみを判定しても良いし、例えば、前記許可値よりも所定数値だけ低いプレ許可値を用いて、相互に重複しない、許容値の範囲とプレ許容値の範囲の複数の範囲を設定し、前記接触抵抗値が、前記許容値の範囲内であるか、前記プレ許容値の範囲内であるかを更に判定し、前記測定された接触抵抗値を多段階で判定しても構わない。具体的には、前記アースバンドUbの接触抵抗値は、作業すると電子部品に支障を来たす第一のレベルと、作業しないのであれば電子部品に支障を来たさない第二のレベルと、全く支障を来たさない第三のレベルの3種類に区分することが出来るため、この区分数に対応して、許可値とプレ許可値とを適宜設定し、前記アースバンドUbの接触抵抗値がいずれの区分に属するかを判定するよう構成しても構わない。このようなプレ許容値の設定は、例えば、入室作業者U1が、単なる入室のみの者(例えば、ゲスト等)か、現実に半導体等を操作する者かのいずれかで区別して判定する場合に、特に有効である。
又、入室許可手段13が部屋Rの入室ドアR1を開錠する方法は、本発明の目的を阻害しない限り、特に限定は無いが、例えば、図1に示すように、端末装置2と部屋Rの入室ドアR1の施錠部R1aとを通信可能に接続し、入室許可手段13が、当該施錠部R1aに開錠信号を送信することで、当該施錠部R1aが部屋Rの入室ドアR1を開錠する方法等を挙げることが出来る。尚、退室ドアR2の施錠部R2aも入室ドアR1の施錠部R1aと同様である。
又、前記部屋Rの入室ドアR1が開錠される許容時間は、本発明の目的を阻害しない限り、特に限定は無いが、例えば、入室作業者U1が接触抵抗値の測定を完了してから部屋Rの入室ドアR1に入ることが出来る時間に適宜設定される。
又、入室許可手段13が部屋Rの入室ドアR1の開錠を停止する方法は、本発明の目的を阻害しない限り、特に限定は無いが、例えば、前記施錠部R1aに施錠信号を送信することで、当該施錠部R1aが部屋Rの入室ドアR1を施錠する方法等を挙げることが出来る。
又、入室許可手段13は、入室を許可した入室作業者U1について、予め登録された再入室許可時間内(例えば、4時間等)であれば、入室作業者U1の識別情報の入力のみにより、再入室を許可するように構成しても良い。一度、接触抵抗値測定器11aによる検査を受けた入室作業者U1であれば、装着物の接触抵抗値が直ぐに高くなることは考え難く、入室作業者U1の利便性を考慮すると、特定の再入室許可時間内であれば、識別情報の入力のみで再入室を許可出来るように構成した方が好ましい。
又、入室作業者U1及び在室作業者U2の識別情報は、作業者を一義的に識別することが可能な情報であれば、本発明の目的を阻害しない限り、特に限定は無いが、例えば、作業者の社員番号、整理番号、コード、氏名等を挙げることが出来る。
又、情報受付手段14が、入室作業者U1又は在室作業者U2により識別情報の入力を受け付ける方法は、本発明の目的を阻害しない限り、特に限定は無い。例えば、入室作業者U1又は在室作業者U2が端末装置2のキーボード、マウス等の情報入力手段を用いて自己の識別情報を入力することで当該入力を受け付ける方法、入室作業者U1又は在室作業者U2が自己のICカードをICカードリーダーで読み取ることで当該ICカードに記憶された識別情報の入力を受け付ける方法、端末装置2のタッチパネルを介して入室作業者U1又は在室作業者U2の操作により識別情報の入力を受け付ける方法等を挙げることが出来る。尚、バーコードであっても同様である。
又、情報受付手段14は、例えば、入室作業者U1又は在室作業者U2の識別情報をリスト化したリスト画面を、入室許可管理装置1に備え付けのタッチパネル上に表示し、入室作業者U1又は在室作業者U2が自己の識別情報を選択すると、情報受付手段14が、当該選択された識別情報の入力を受け付けるよう構成しても良い。
又、在室管理手段15が、前記入室作業者U1が前記部屋Rを入室する際に、前記接触抵抗値の測定を停止した場合、その後の処理に特に限定は無いが、例えば、エラー画面を表示したり、予め登録された管理者の端末装置、上位端末装置16b等に、前記在室識別情報に存在する入力識別情報の入室作業者U1を共連れの疑いがある旨を通知したりしても良い。在室管理手段15が、前記在室作業者U2が前記部屋Rを退室する際に、前記部屋Rの退室ドアR2を開錠しない場合も同様である。
又、共連れの入室作業者U1が正常に入室出来るようにするために、例えば、入室作業者U1が管理者に電話等で連絡し、在室管理手段15が、管理者の端末装置2からの操作により、共連れの入室作業者U1の在室識別情報を消去し、前記接触抵抗値の測定を行ったり、入室ドアR1を特定の時間だけ開錠したりするようにすれば良い。又、共連れの在室作業者U2が正常に退室出来るようにするために、例えば、在室作業者U2が管理者に電話等で連絡し、在室管理手段15が、管理者の端末装置2からの操作により、共連れの在室作業者U2の識別情報を在室識別情報として記憶し、退室ドアR2を特定の時間だけ開錠するようにすれば良い。このように、管理者による強制的な入室ドアR1又は退室ドアR2の開錠は、後で履歴を残すために、管理者の識別情報を、共連れの入室作業者U1又は共連れの在室作業者U2の識別情報と関連付けて記憶させると好ましい。
又、在室管理手段15は、前記入室作業者U1の入室結果を受けて、前記入室が許可された入室作業者U1或いは前記入室が不許可とされた入室作業者U1の識別情報と区別して管理する。履歴出力手段16は、その管理結果に基づいて、上位端末装置16bへ出力する。
又、在室管理手段15が前記入室作業者U1の識別情報を区別して管理する方法は、本発明の目的を阻害しない限り、特に限定は無いが、例えば、入室作業者U1の識別情報が予め登録されたテーブルにおいて、前記入室が許可された入室作業者U1の識別情報に、当該入室許可を示す情報(例えば、「OK」)を関連付けて記憶させ、前記入室が不許可とされた入室作業者U1の識別情報に、当該入室不許可を示す情報(例えば、「NG」)を関連付けて記憶させる方法等を挙げることが出来る。
ここで、在室管理手段15が前記入室作業者U1の識別情報を管理する際に、例えば、当該入室作業者U1が識別情報を入力した日時や接触抵抗値を測定した日時等を、前記テーブルの入室作業者U1の識別情報に、更に関連付けて記憶させるよう構成しても良い。これにより、管理者が、前記テーブルを一見すれば、誰がいつ部屋の入室をしようとしたかを容易に確認することが可能となる。
又、在室管理手段15が前記日時を前記テーブルの入室作業者U1の識別情報に関連付けて記憶させる際に、例えば、カレンダーから、当該日時が休日か否かを関連付けて記憶させても良い。これにより、入室作業者U1の作業日が休日であるか否かも容易に確認することが可能となる。
又、在室管理手段15が前記入室作業者U1の識別情報を管理する際に、例えば、当該入室作業者U1で測定された接触抵抗値を、前記テーブルの入室作業者U1の識別情報に、更に関連付けて記憶させるよう構成しても良い。ここで、例えば、靴Uaの接触抵抗値とアースバンドUbの接触抵抗値を測定する場合には、在室管理手段15が、各対象物(靴Ua、アースバンドUb)毎の接触抵抗値を関連付けて記憶させるように構成される。これにより、靴Uaへの静電気の帯電具合(例えば、靴Uaの汚れや磨耗具合)やアースバンドUbの有効性を履歴として残すことが可能となる。
又、本発明では、履歴出力手段16は、在室管理手段15が管理する情報、例えば、前記テーブルを、端末装置2の液晶ディスプレイに表示させたり、データとして外部端末装置に出力させたり、プリンタで印刷させたりするよう構成することが出来る。これにより、管理者は、入室作業者U1の装着物の接触抵抗値等の履歴を簡単に確認することが出来るとともに、例えば、部屋Rの電子部品で静電破壊が生じた場合に、前記テーブルに基づいて静電破壊の原因となった入室作業者U1を容易にトレースすることが可能となる。尚、在室管理手段15による在室作業者U2の識別情報の管理方法も、上述の入室作業者U1の管理方法と同様である。
又、履歴出力手段16が出力するタイミングは、上位端末装置16bの管理者の操作による出力指示を受けた時点、予め登録された期間の終期又は初期(例えば、月初)等を挙げることが出来る。又、出力先の上位端末装置16bが複数存在する場合、管理者の設定により特定の上位端末装置16bにのみ出力されたり、全ての上位端末装置16bに出力されたりするようにしても良い。
又、在室管理手段15の入室作業者U1及び在室作業者U2の識別情報は、端末装置2、上位端末装置16b、外部端末装置等によりアプリケーション上で設定したり編集したり出来る。特に、入室許可管理装置1が導入される際に、管理者がアプリケーションを操作して、既存の部屋Rの端末装置から入室作業者U1及び在室作業者U2の識別情報を吸い上げることが出来ると好ましい。
又、自己診断手段17が自己診断する方法に特に限定は無いが、例えば、自己診断手段17が、前記自己診断用抵抗の抵抗値を前記接触抵抗値測定器11aで測定し、この測定された接触抵抗値と、前記自己診断用抵抗の既知抵抗値とを比較する。例えば、前記接触抵抗値が前記既知抵抗値と同等の値であれば、前記接触抵抗値測定器11aは正常であると判断出来る。一方、前記接触抵抗値が前記既知抵抗値と異なる値であれば、前記接触抵抗値測定器11aは異常であると判断出来る。
この自己診断手段17は、入室作業者U1の操作或いは上位端末装置15bにより、前記自己診断指示を受け付ける。そして、自己診断手段17は、診断した接触抵抗値測定器11aの接触抵抗値の測定能力を、端末装置2を介して表示したり、前記上位端末装置16bに通知したりする。
又、測定回路21は、例えば、基準電極端子20と、他の基準電極端子とを備え、抵抗値測定手段11は、基準電極端子20と他の基準電極端子との間の基準抵抗値が、予め設定された開始抵抗値以下か否かを判定し、当該判定の結果、前記基準抵抗値が前記開始抵抗値以下の場合に、前記接触抵抗値測定器11aによる接触抵抗値の測定を開始するよう構成しても良い。又、抵抗値測定手段11が接触抵抗値を測定する測定時間は、例えば、3秒以下と設定することが出来る。
又、本発明は、予め設けられたリセットスイッチがONされると、通信規則(プロトコル)以外の制御を初期状態に戻すリセット手段を更に備えても良い。リセット手段が、入室許可管理装置1の状態を初期状態に戻した場合、その旨を上位端末装置15bに通知する。
又、本発明は、電源ON中では、電源ランプを点灯し、待機中では、状態ランプを待機中の色で点灯し、測定中では、状態ランプを測定中の色で点灯する点灯手段を更に備えても良い。
又、本発明は、入室ドアR1と退室ドアR2とを別個それぞれ設ける構成であるが、例えば、入室ドアR1と退室ドアR2とを一つの出入口ドアとして兼ねて構成しても良い。又、入室ドアR1の開閉制御は、端末装置2と接続された入室側管理装置21で管理され、退室ドアR2の開閉制御は、端末装置2と接続された退室側管理装置22で管理されているが、例えば、入室側管理装置21と退室側管理装置22とにそれぞれ端末装置2を設けても構わない。
<入室許可管理方法>
次に、図1、図3を参照しながら、本発明の実施形態に係る入室許可管理方法の実行手順について説明する。
先ず、入室処理において、入室作業者U1が、電子部品を取り扱うために、部屋Rの入室ドアR1へ赴き、図4Aに示すように、当該入室ドアR1の近傍に設けられた入室許可管理装置1の入室側管理装置21の前に立つ。ここで、前記部屋Rの入室ドアR1は施錠されており、入室作業者U1が物理的に当該部屋Rに入室することが出来ない状態になっている。
そこで、入室作業者U1は、入室側管理装置21のタッチパネル上に表示された画面のうち、自己の識別情報に対応するキーを選択したり、備え付けのカードリーダーで自己のカードを読み取らせたりすることで、自己の識別情報を入力する(図3:S101)。すると、入室許可管理装置1の情報受付手段14が、前記入室作業者U1の識別情報を入力識別情報として受け付け、入室許可管理装置1の在室管理手段15は、所定のテーブルに記憶された、前記部屋R内の在室作業者U2の在室識別情報を参照し、前記受け付けられた入力識別情報が前記在室識別情報に存在しないか否かを判定する(図3:S102)。
前記判定の結果、前記入力識別情報が前記在室識別情報に存在しない場合(図3:S102YES)、在室管理手段15は、その旨を入室許可管理装置1の除電切替手段10に通知し、前記接触抵抗値の測定を開始させる。
除電切替手段10は、前記接触抵抗値測定器11aの基準電極端子20の電気的接続を、測定回路21の端子22から、接地電極端子23へ、前記除電時間だけ切り替える(図3:S103)。これにより、入室作業者U1に帯びている静電気が除電される。
前記除電時間が経過すると、除電切替手段10は、前記接触抵抗値測定器11aの基準電極端子20の電気的接続を、前記接地電極端子23から前記測定回路21の端子22へ戻す。すると、入室許可管理装置1の抵抗値測定手段11は、前記接触抵抗値測定器11aを用いて、当該入室作業者U1の(左右の)靴U1の接触抵抗値を測定する(図3:S104)。
ここで、前記接触抵抗値測定器11aは、入室許可管理装置1の下方に設置された、入室作業者U1の左右の靴Uaに対応する二つの靴用金属板(検知部)と、入室許可管理装置1のキーボードの近傍に設置された、入室作業者U1のアースバンドUbに対応する一つのバンド用金属板(検知部)とを備えている。
入室作業者U1が、図4B、図4Cに示すように、靴Uaを履いたまま、当該靴用金属板の上にそれぞれ乗り、更に、アースバンドUbが装着された手を、当該バンド用金属板の上に乗せることで、抵抗値測定手段11が、右の靴用金属板と右の靴Uaとの接触抵抗値と、左の靴用金属板と左の靴Uaとの接触抵抗値と、バンド用金属板とアースバンドUbとの接触抵抗値とをそれぞれ測定する。
さて、抵抗値測定手段11が、接触抵抗値を測定すると、入室許可管理装置1の抵抗値判定手段12が、前記測定された接触抵抗値が予め登録された許可値の範囲内であるか否かを判定する(図3:S105)。
ここで、上述のように、入室作業者U1が、靴Uaの接触抵抗値とアースバンドUbの接触抵抗値とをそれぞれ測定する場合には、抵抗値判定手段12が、前記靴Uaの接触抵抗値が、これに対応する靴用許可値の範囲内であるか否かを判定するとともに、前記アースバンドUbの接触抵抗値が、これに対応するバンド用許可値の範囲内であるか否かを判定する。
前記判定の結果、前記接触抵抗値が前記許可値の範囲内である場合(図3:S105YES)、即ち、前記靴Uaの接触抵抗値が靴用許可値の範囲内であり、アースバンドUbの接触抵抗値がバンド用許可値の範囲内である場合、抵抗値判定手段12は、前記入室作業者U1の入室を許可してもよいと判定する。そして、入室許可管理装置1の入室許可手段13は、前記許可時間だけ、前記部屋Rの入室ドアR1を開錠して入室作業者U1の入室を許可する(図3:S106)。この際、入室許可手段13が、例えば、入室側管理装置21のタッチパネルに、入室許可を示す画面を表示して、入室作業者U1にその旨を知らせても良い。これにより、装着物の除電能力が有効である入室作業者U1のみ入室を許可することが可能となる。
入室作業者U1は、装着物の除電能力が有効であることを確認した上で、図4Dに示すように、部屋Rの入室ドアR1を開けて、中へ入り、電子部品を取り扱う。尚、前記許可時間が経過すれば、入室許可手段13が、前記部屋Rの入室ドアR1を施錠し、上述と同様に、入室作業者U1が物理的に当該部屋Rに入室することが出来ない状態に戻すことになる。
さて、入室許可手段13が前記入室作業者U1の入室を許可すると、在室管理手段15は、前記入室作業者U1の入力識別情報を、前記部屋R内に存在する在室作業者U2の在室識別情報として記憶し、管理する(図3:S107)。
具体的には、在室管理手段15が、前記入室を許可された入室作業者U1の入力識別情報に、当該入室の許可を示す情報「OK」を関連付けて所定のテーブルに記憶させる。この際に、入室許可の日時等も合わせて記憶させると好ましい。これにより、入室作業者Uの測定結果や入室の有無を履歴として残すことが可能となる。
一方、S102において、前記判定の結果、前記入力識別情報が前記在室識別情報に存在する場合(図3:S102NO)、在室管理手段15は、タッチパネル上に、入室を許可出来ないことを示すエラー画面を表示して(図3:S108)、前記接触抵抗値の測定を停止する。これにより、共連れで出る入室作業者U1を確実に取り締まることが可能となる。
ここで、S108で入室処理を完了しても良いが、例えば、在室管理手段15は、前記入力識別情報に、共連れの可能性がある旨の情報「違反者」を関連付けて記憶し、管理する(図3:S107)。これにより、共連れで出る入室作業者U1の履歴を残すことが出来る。又、エラーの日時等も合わせて記憶させると好ましい。
一方、S105において、前記接触抵抗値が前記許可値の範囲内でない場合(図3:S105NO)、即ち、前記靴Uaの接触抵抗値が靴用許可値の範囲内でない(範囲外)、又は、前記アースバンドUbの接触抵抗値がバンド用許可値の範囲内でない(範囲外)、前記靴Uaの接触抵抗値が靴用許可値の範囲内でない、且つ、アースバンドUbの接触抵抗値がバンド用許可値の範囲内でない場合、抵抗値判定手段12は、前記入室作業者U1の入室を不許可とすると判定し、前記部屋Rの入室ドアR1を開錠しない。
この場合、例えば、在室管理手段15は、抵抗値判定手段12からの通知を受けて、タッチパネル上に、入室不許可を示すエラー画面を表示して(図3:S108)、入室作業者U1に、装着物の除電能力が有効でない旨を知らせても良い。
ここで、在室管理手段15が、前記エラー画面を表示する際に、例えば、接触抵抗値が許可値の範囲内であった項目(例えば、靴Ua)と、接触抵抗値が許可値の範囲内でなかった項目(例えば、アースバンドUb)とを区別して表示すると好ましい。これにより、入室作業者U1は、装着物の除電能力の有効性を各装着物毎に知ることが可能となる。
S108の場合は、例えば、入室作業者U1が、装着物を新品に取り換える等の所定の対応を実施した上で、再度、S101に戻って、作業をし直すことになる。
又、S105NOにおいて、在室管理手段15は、上述と同様に、前記入室を不許可とされた入室作業者U1の識別情報を管理する(図3:S107)。
具体的には、在室管理手段15が、前記入室を不許可された入室作業者U1の識別情報に、当該入室の不許可を示す情報「NG」を関連付けて所定のテーブルに記憶させ、前記入室を許可された入室作業者U1の識別情報と区別して管理する。又、入室不許可の日時等も合わせて記憶させると好ましい。これにより、入室の許可/不許可の入室作業者U1の測定結果を区別して集約することが可能となり、管理者が、作業者Uの入室許可/不許可の履歴を容易に管理することが可能となる。このようにして、入室処理が完了する。
次に、退室処理において、在室作業者U2が、作業を終えて、部屋の退室ドアR2へ赴き、当該入室ドアR1の近傍に設けられた退室許可管理装置22の前に立ち、退室側管理装置22のタッチパネル上に表示された画面を介して、自己の識別情報を入力する(図3:S201)。識別情報の入力方法は、上述と同様である。
すると、入室許可管理装置1の情報受付手段14が、前記在室作業者U2の識別情報を入力識別情報として受け付け、入室許可管理装置1の在室管理手段15は、前記部屋R内の在室作業者U2の在室識別情報を参照し、前記受け付けられた入力識別情報が前記在室識別情報に存在するか否かを判定する(図3:S202)。
前記判定の結果、前記入力識別情報が前記在室識別情報に存在する場合(図3:S202YES)、在室管理手段15は、前記部屋Rの退室ドアR2を開錠して前記在室作業者U2の退室を許可する(図3:S203)。この際、在室管理手段15は、退室側管理装置22のタッチパネルに、退室許可を示す画面を表示して、在室作業者U2にその旨を知らせても良い。
そして、在室管理手段15は、所定のテーブルに記憶された、前記存在した入力識別情報に対応する在室識別情報を消去し、管理する(図3:S204)。これにより、退室した在室作業者U2は、退室作業者として区別され、再度、入室作業者U1として入室しようとした場合、適切に入室することが出来る。尚、在室識別情報を完全に消去せずに、在室管理手段15の判定対象から除外して、後で履歴を残すように構成しても良い。又、消去の日時等も合わせて記憶させると好ましい。
一方、S202において、前記判定の結果、前記入力識別情報が前記在室識別情報に存在しない場合(図3:S202NO)、在室管理手段15は、タッチパネル上に、退室不許可を示すエラー画面を表示して(図3:S205)、前記部屋Rの退室ドアR2を開錠しない。これにより、共連れで出る在室作業者U2を確実に取り締まることが可能となる。
ここで、S205で退室処理を完了しても良いが、例えば、又、在室管理手段15は、前記入力識別情報に、共連れの可能性がある旨の情報「違反者」を関連付けて記憶し、管理する(図3:S204)。これにより、共連れで入る在室作業者U2の履歴を残すことが出来る。又、エラーの日時等も合わせて記憶させると好ましい。このようにして、退室処理が完了する。
ところで、例えば、管理者が、上位端末装置16bから入室許可管理装置1へ履歴出力の指示を送信すると、入室許可管理装置1の履歴出力手段16が、前記入室を許可された入室作業者U1と前記入室を不許可された入室作業者U1との識別情報と、前記在室作業者の在室識別情報とを、前記上位端末装置15bに返信する。これにより、管理者が、その場にいなくても、入室作業者U1の入室許可/不許可の履歴、在室作業者U2の人数等を容易に確認することが出来る。又、「違反者」の情報を有する、入室作業者U1及び在室作業者U2の識別情報を合わせて返信しても良い。
又、管理者が、特定のタイミングで、上位端末装置16bから入室許可管理装置1へ自己診断指示を送信すれば、入室許可管理装置1の自己診断手段17は、前記自己診断用抵抗の抵抗値を前記接触抵抗値測定器11aで測定することで、当該接触抵抗値測定器11aの接触抵抗値の測定能力を自己診断する。そして、自己診断手段17は、診断結果を上位端末装置16bへ返信する。これにより、管理者が、その場にいなくても、接触抵抗値測定器11aの異常の発生を確認することが出来る。
尚、本発明では、一の入室作業者U1と一の在室作業者U2について適用したが、当該一の入室作業者U1又は一の在室作業者U2に対して一の識別情報が設けられるため、複数の入室作業者U1又は複数の在室作業者U2について適用しても構わないことは言うまでも無い。
又、本発明では、入室作業者U1又は在室作業者U2が自己の識別情報を入力する構成は、例えば、下記の構成でも良い。即ち、作業者Uに予め割り振られた社員証(ICカード)を利用して、当該社員証を読み取るICカードリーダーを情報受付手段14に接続する。そして、入室作業者U1が入室する際に、自己の社員証をICカードリーダーに接触させることで、情報受付手段14が当該社員証の識別情報を取得する。これにより、入室作業者U1が入室の際に、自己の識別情報や自己の氏名を入力する手間を解消することが可能になるとともに、入室に要する時間を短縮することが可能となる。在室作業者U2であっても同様である。
入室許可管理装置1では、入室側管理装置21、退室側管理装置22のディスプレイとキーボード等に代えて、キー入力と画面表示を兼ね備えたタッチパネルにすることが出来るが、その際に、入室作業者U1又は在室作業者U2一人一人の氏名をキーとして表示して、入室作業者U1又は在室作業者U2が自己の氏名のキーを選択することで、自己の識別情報を入力する場合がある。この場合は、例えば、タッチパネルのサイズの関係で、各氏名のキーの間隔が小さかったり、表示される氏名のキーのサイズが小さかったりして、入室作業者U1又は在室作業者U2がキーを判別し難く、誤って他の作業者の氏名のキーを選択する可能性があった。又、入室作業者U1又は在室作業者U2が他の作業者になりすまして入室の接触抵抗値の確認をしている場合もあった。そのため、ICカードリーダーを採用することで、入室に要する手間を軽減するとともに、入室作業者U1又は在室作業者U2の認証を確実にし、入室作業者U1又は在室作業者U2の不正な接触抵抗値の確認を防止することが可能となる。
又、本発明では、入室許可管理装置1の端末装置2(入室側管理装置21)と、接触抵抗値測定器11aとを別体としたが、他の構成でも良い。例えば、図5に示すように、所定の外装に端末装置2と接触抵抗値測定器11aとを収納することで、一体としても良い。これにより、入室許可管理装置1全体をコンパクト設計にすることが可能となり、設置場所を選ばずに何処にでも設置可能となる。尚、図5Aには、タッチパネル型の端末装置2と接触抵抗値測定器11aとICカードリーダー3とを長方形状の外装に納めて、壁掛け可能な壁掛け型の入室許可管理装置1が示されている。又、図5Bには、タッチパネル型の端末装置2と接触抵抗値測定器11aとICカードリーダー3とを、断面形状が略L字形状の外装に納めて、所定の台に直置き可能な直置き型の入室許可管理装置1が示されている。
図6Aに示すように、入室作業者U1が、部屋Rの入室許可管理装置1へ訪れて、図6Bに示すように、靴Uaを履いたまま、接触抵抗値測定器11aの靴用金属板の上にそれぞれ乗り、入室許可管理装置1へ識別情報を入力して、図6Cに示すように、接触抵抗値測定器11aのバンド用金属板の上に、アースバンドUbを装着した手を置くと、除電切替手段10は、除電を実行し、抵抗値測定手段11が、右の靴用金属板と右の靴Uaとの接触抵抗値と、左の靴用金属板と左の靴Uaとの接触抵抗値と、バンド用金属板とアースバンドUbとの接触抵抗値とをそれぞれ測定する。入室を許可された入室作業者U1の靴Uaの裏の埃を取るために、靴Uaを履いたまま乗ることが出来る吸気装置を近傍に設置したり、入室ドアR1内には、クリーンルーム用のエアーシャワー装置を設置したりしても良い。
又、本発明では、例えば、図7に示すように、部屋R(作業エリア)近傍の入室許可管理装置1に、端末装置2と、カードリーダー3とを組み込んで、単体型のシステムを構成しても良い。この場合、入室ドアR1には、接触抵抗値測定器11aを備えた入室側管理装置21(除電切替手段10、抵抗値測定手段11、抵抗値判定手段12、入室許可手段13、情報受付手段14、在室管理手段15、履歴出力手段16)と、カードリーダー3とが少なくとも組み込まれ、退室ドアR2には、退室側管理装置22(情報受付手段14、在室管理手段15、履歴出力手段16)と、カードリーダー3とが少なくとも組み込まれる。在室識別情報は、例えば、ネットワーク16aを介して、入室側管理装置21と退室側管理装置22とで共有化される。又、ネットワーク16aに接続された上位端末装置16b(管理者端末装置)は、入室側管理装置21と退室側管理装置22とを管理する。
入室側管理装置21では、予め登録された入室作業者U1の識別情報(氏名)が選択キーとして選択可能に表示された入室画面が表示され、退室側管理装置22では、在室作業者U2の識別情報(氏名)が選択キーとして選択可能に表示された退室画面が表示される。又、上位端末装置16bでは、入室許可管理装置1が管理する部屋Rの在室作業者U2の識別情報(氏名)、在室作業者U2の人数を表示する。
又、図8に示すように、一つの部屋Rに入室側管理装置21と退室側管理装置22とを設けた入室許可管理装置1を複数設け、入室側管理装置21と退室側管理装置22とをネットワーク16aに接続し、一方で、事務所等の管理部屋Raに上位端末装置16b(管理者端末装置)をネットワーク16aに接続した一括管理型のシステムを構成しても良い。一括管理型のシステムでは、上位端末装置16bが、複数の入室許可管理装置1を管理し、情報を一元化する。又、各入室許可管理装置1には、入室作業者U1の入室の許可/不許可及び在室作業者U2の退室の許可/不許可を実行する。これにより、複数の入室許可管理装置1における入室作業者U1の入室管理及び在室作業者U2の退室管理を容易に監視することが出来る。
ここで、例えば、入室許可管理装置1の履歴出力手段16は、入室作業者U1が入室不許可であった場合、入室作業者U1が共連れで出た場合、在室作業者U2が共連れで入った場合に、当該入室作業者U1の識別情報及び「NG」、当該入室作業者U1の識別情報及び「違反者」、当該在室作業者U2の識別情報及び「違反者」との履歴情報を上位端末装置16bに送信する。上位端末装置16bでは、各入室許可管理装置1の履歴出力手段16から受信した、履歴情報を所定の期間(例えば、半日、1日等)毎に集計し、その期間が経過後に、集計した全ての作業者の識別情報のリストをディスプレイ上に表示する。図8に示すように、上位端末装置16bでは、各部屋毎の在室作業者U2の識別情報(氏名)、在室作業者U2の人数を表示するだけでなく、時系列的に、入室作業者U1と在室作業者U2の履歴をリスト状に表示しても良い(リスト表示、チェック表示)。これにより、管理者は、このリストを確認することで、入室不許可の入室作業者U1、共連れの入室作業者U1、共連れの在室作業者U2を簡単に特定することが可能となる。又、リスト表示することで、管理者は、入室不許可の入室作業者U1、共連れの入室作業者U1、共連れの在室作業者U2を漏れなく確認することが出来る。
尚、履歴出力手段16は、入室許可又は不許可にかかわらず、接触抵抗値を確認した入室作業者U1の識別情報と入室許可/不許可の測定結果(「OK」又は「NG」)とを上位端末装置16bに送信し、上位端末装置16bは、受信した全ての作業者の識別情報と入室許可/不許可の測定結果とをリストにしてディスプレイ上に表示しても良い。又、履歴出力手段16が、入室不許可の入室作業者U1の識別情報と「NG」とを所定の期間毎に集計し、その期間が経過後に、集計した全ての作業者の識別情報のリストを上位端末装置16bにメール送信するよう構成しても良い。更に、履歴出力手段16は、管理者の操作により入退室した共連れの作業者の識別情報、時刻、管理者の識別情報等を上位端末装置16bに出力しても良い。
又、図8に示すように、上位端末装置16bでは、共連れの入室作業者U1、在室作業者U2の入退室を許可するための許可画面が表示され、共連れの入室作業者U1、在室作業者U2の識別情報(氏名)が選択可能に表示される。管理者が許可画面を介して特定の識別情報を選択すると、それが入室許可管理装置1の在室管理手段15に送信され、在室管理手段15がドアの開錠を制御する。
又、入室側管理装置21では、氏名を表示した入室画面の他に、上位端末装置16bと同様にリスト表示で、入室作業者U1の識別情報を受け付けても良いし、カードリーダー3が設けられているのであれば、入室作業者U1に静電気除去の検査を促すメッセージ画面を表示しても構わない。
又、本発明では、入室ドアR1又は退室ドアR2として通常のドアを想定したが、他の構成でも良い。例えば、図9に示すように、垂直方向に延出された基材R11の上端部に軸R12を設け、この軸R12に軸支されたゲート部R13を設けて、このゲート部R13を上下方向に昇降可能とする。そして、入室許可手段13又は在室管理手段15は、通過不可状態として、ゲート部R13を水平方向に位置させ、入室ドアR1又は退室ドアR2を施錠し、入室作業者U1の入室又は在室作業者U2の退室を不許可する。又、入室作業者U1が入室許可の場合に、入室許可手段13が、水平方向のゲート部R13を下方に降ろすか、上方に上げるかして、通過可能状態とし、入室ドアR1を開錠し、入室作業者U1の入室を許可する。在室管理手段15が在室作業者U2の退室を許可する場合も同様である。その他に、入室ドアR1(退室ドアR2)を、回転木戸のゲート又は三脚の回転木戸のゲートとして、入室許可された入室作業者U1の後ろに他の入室作業者U1が追従して共連れすることを防止して、当該他の入室作業者U1が不正に入室することを防止しても良い。更に、入室ドアR1又は退室ドアR2に、共連れを検知するセンサー、詳しくは、入室作業者に追従して動く他の入室作業者を検知するセンサーと、共連れを検知すると、アラームを鳴らす報知部を追加しても良い。
又、本発明では、在室管理手段15が、テーブルの内容を監視し、例えば、所定の期日(月初め)が到来した場合に、当該期日よりも前の月のテーブルを他のメモリーに記憶させて、前月のテーブル(データ)のバックアップを自動的に行うよう構成しても良い。又、管理者が、前記テーブル(ファイル)を読み込む際に、在室管理手段15が、当該読み込む前のテーブルを他のメモリーに記憶させて、当該テーブルのバックアップを取るよう構成しても良い。これにより、管理者が、前記テーブルの管理、読込、書換等を実施する際に、誤って当該テーブルのデータを消去したり修正したりして、元のテーブルに戻すことが出来なくなった場合であっても、他のメモリーに記憶された(操作前の)テーブルを利用することで、簡単に元の状態に復元することが可能となる。尚、在室管理手段15が、前記テーブルを取り扱う場合は、例えば、EXCELファイルテーブルやCSVファイルテーブルとして取り扱う(入力/出力)するよう構成すると、汎用性が向上して好ましい。