以下、図面に基いて本発明の実施形態を詳述すると、その本発明に係る擬似餌(B)の装飾スカート(S)はゴム状弾性や伸縮性に富む熱可塑性エラストマー(TPE)から一体成形された製品として、図1〜3に示すような釣り針(フック)(10)への取付チューブ(11)と、そのチューブ(11)から後向き連続的に拡開する円錐形のフレアー(12)と、そのフレアー(12)から更に後方へ連続的に張り出し延長された多数の吹流し状又は麺線状足群(13)とを備えており、使用中その足群(13)が釣り針(10)を見え難く隠蔽すると共に、自づとアットランダムに揺れ動く。(14)は上記足群(13)を1本づつ分離するスリット(割り溝)である。
上記装飾スカート(S)の素材をなす熱可塑性エラストマー(TPE)としては、広くオレフィン系やスチレン系、アクリル系、ポリエステル系、塩化ビニル系などの採用を考えることができるが、特に耐候性、柔軟性又は伸縮性に富むもの(例えばスチレン系熱可塑性エラストマー)を採用することが好ましい。
上記装飾スカート(S)のサイズを例示すると、その取付チューブ(11)の長さ(L1)は25mm〜30mm(好ましくは28mm)、同じく外径(D1)は5.5mm〜7.0mm(好ましくは6.0mm)、内径(口径)(d)は釣り針(10)における軸部(10b)の外径(D4)(4.5mm〜5.5mm)よりも必らず小さく、好ましくは1.5mm〜2.0mm、フレアー(12)の長さ(L2)は10mm〜15mm(好ましくは12mm)、同じく最大部分の外径(D2)は13mm〜15mm、足群(13)の長さ(L3)は120mm〜150mm(好ましくは130mm)、各足の外径(D3)は2.0mm〜2.5mmであるが、その各足の断面形状としては扁平なテープ形よりも、図示のようなほぼ半円形のほか、円形や角形が好ましい。素材の熱可塑性エラストマーと相俟って、生(なま)麺のような柔らかい感触を発揮し得るからである。又、その足群(13)の長さ(L3)としてもすべて同一である構成だけに限らず、長短差のある構成でもさしつかえない。
何れにしても、上記装飾スカート(S)の軟質素材である熱可塑性エラストマーには、例えばタコらしい体の色を示す赤色や、海草(昆布)と同様の緑色、イカらしい体の色を示す銀色、その他の適当な着色カラーが与えられている。又、その着色カラーを与える代りに、例えばラメ(金箔や銀箔などの光輝性がある微細な破片)が混入された透明な上記軟質素材から成形することにより、生きたイカにおける体表の色素胞や斑模様などを印象づけても良い。更に、上記着色カラーのみならず、その装飾スカート(S)の表面に各種模様を印刷したり、塗装したりすることも考えられる。
本発明の擬似餌(B)は図4〜7のように、上記構成の装飾スカート(S)を釣り針(10)に取り付けユニット化したものであり、その取り付けに当っては図8に示す如く、装飾スカート(S)の取付チューブ(11)を釣り針(10)の鋭利な針先部(10a)から差し込んで、軸部(10b)の屈曲形状(フック形状)に沿って根元部の取付リング(10c)に到達する位置まで押し進めれば良い。
そうすれば、装飾スカート(S)はゴム状弾性や伸縮性に富む熱可塑性エラストマーから成り、しかもその取付チューブ(11)の内径(口径)(d)が釣り針(10)における軸部(10b)の外径(D4)よりもかなり小寸法に設定されているため、その取付チューブ(11)の内径(口径)(d)が上記差し込み進行過程において強制的に拡張され、これに伴なう復元的な収縮力により、釣り針(10)の軸部(10b)へ強く圧着一体化することになる。
釣り針(10)への取付作業を工具類の必要なく、釣り人の指先だけですばやく円滑に行えるにも拘らず、その装飾スカート(S)が使用中の不慮に滑り移動したり、まして釣り針(10)から離脱したりするおそれはなく、擬似餌(B)としての安定な構成を確保できるのである。
上記のように、釣り針(10)に装飾スカート(S)が取り付けユニット化された擬似餌(B)としての安定な構成では、その釣り針(10)を装飾したスカート(S)の足群(13)が自然と垂れ下がる如く、釣り針(10)を隠蔽(カムフラージュ)すると共に、使用中不規則(アットランダム)に揺れ動いて、捕獲対象魚に生餌(ベイト)の活発な動きを印象づけ、その捕獲対象魚の有効な集魚作用を営なむ。
そのため、上記擬似餌(B)における釣り針(10)の取付リング(根元部)(10c)に釣り糸(15)を連結した状態で、その擬似餌(B)を言わば単独使用できるが、その装飾スカート(S)はゴム弾性や伸縮性に富む熱可塑性エラストマーからの一体成形品であるため、その取付チューブ(11)を特に図4〜7に示す如く、釣り針(10)における根元部の取付リング(10c)へ覆いかぶさる(包囲する)ように差し込み圧着させることにより、その取付リング(10c)の金属素材が露出する(裸状態となる)ことを防止した擬似餌(B)として準備した上、上記取付リング(10c)に連結した釣り糸(15)へ、図9〜12のように特殊な中空の魚形ルアー(A)も通し込みセットして、大型回遊魚(例えばマグロやカジキ、カツオなど)のトローリングに使用することが好ましい。
そうすれば、本発明の擬似餌(B)とこれと一緒に使う特殊な中空魚形ルアー(A)との協働(相乗)作用によって、捕獲対象魚の優れた集魚効果を期待することができるからである。
そこで、その特殊な中空の魚形ルアー(A)について説明すると、これは柔軟性を有するアクリル樹脂やポリスチレン、その他の透明な熱可塑性樹脂から、図13〜27のような捕獲対象魚(例えばマグロ)の生餌となる魚(ベイトフィッシュ)(例えばイワシ)の輪郭形状(魚形)に成形された左右対称な一対のボディハーフセグメント(ボディ半割り体)(16L)(16R)と、その各ボディハーフセグメント(16L)(16R)とほぼ同じ大きさ・輪郭形状をなすホログラムシート(17)のホログラム形成面に、上記生餌となる魚の外観状態(意匠)と同じ又は類似の画像(18)がカラー印刷された転写シート(19L)(19R)の左右一対とを備え、両ボディハーフセグメント(16L)(16R)の裏面(内面)に対応的な一対の上記転写シート(19L)(19R)を、その画像(18)がボディハーフセグメント(16L)(16R)の表側(外側)から透視される関係状態として、各々無色の有機溶剤又は接着剤により貼り付け一体化した後、その両ボディハーフセグメント(16L)(16R)における魚形の少なくとも半分(好ましくは約3分の2以上)を占める前頭側だけを、無色の有機溶剤又は接着剤により縁取り状態に貼り合わせて、断面ほぼ楕円形の中空ルアーボディ(16)に組み立て、両ボディハーフセグメント(16L)(16R)における魚形の残る多くとも半分(好ましくは約3分の1以下)を占める後尾側を、貼り合わせない開放状態に保った構成である。
そして、その魚形ルアー(A)における中空ルアーボディ(16)の開放状態にある後尾側から、図9〜12のような擬似餌(B)を先端部に付属している釣り糸(15)へ通し込みセットするようになっており、その使用中魚形ルアー(A)の中空ルアーボディ(16)は釣り糸(15)に沿って前後方向へ移動したり、釣り糸(15)の長手軸線廻りに360度回転したりできる状態にある。その場合、釣り針(10)の根元部をなす取付リング(10c)に、擬似餌(B)の装飾スカート(S)が被覆状態に取り付け一体化されていることは、既述のとおりである。
上記魚形ルアー(A)の中空ルアーボディ(16)に組み立てられる一対のボディハーフセグメント(ボディ半割り体)(16L)(16R)は、図24〜27から明白なように、その魚形の口部(20)や背ビレ部(21)、腹ビレ部(22)、尻ヒレ部(23)並びに尾ビレ部(24)も含む全体的な左右対称の輪郭形状を備えた向かい合う断面ほぼ半楕円形に成形されている。
(25b)は各ボディハーフセグメント(16L)(16R)における魚形の口部(20)から背ビレ部(21)の後端位置付近までの間を、背中面に沿って連続的に縁取るフラットな背中側接合面、(25s)は同じく各ボディハーフセグメント(16L)(16R)における魚形の口部(20)から尻ヒレ部(23)の中間位置付近までの間を、腹面に沿って連続的に縁取るフラットな腹側接合面であり、そのボディハーフセグメント(16L)(16R)の背中側接合面(25b)同士並びに腹側接合面(25s)同士が無色の有機溶剤又は接着剤によって、図13〜20のような合掌状態に貼り合わせ一体化されるようになっている。
つまり、上記ボディハーフセグメント(16L)(16R)における背ビレ部(21)の後端位置付近と尻ヒレ部(23)の中間位置付近とを結ぶ仮想線(Z−Z)よりも前頭側が、その背ビレ部(21)の全体並びに尻ヒレ部(23)の約前半分も含む縁取り状態の貼り合わせによって、断面ほぼ楕円形の中空ルアーボディ(16)に組み立てられるのである。その貼り合わせ部分を図15に施したドットによって示している。
他方、上記ボディハーフセグメント(16L)(16R)における背ビレ部(21)の後端位置付近と尻ヒレ部(23)の中間位置付近とを結ぶ仮想線(Z−Z)よりも後尾側は、貼り合わされておらず、開放状態にあり、これによってルアーボディ(16)の尾ビレ部(24)が図16のように、左右方向へ自由自在に振れ動く如く、開閉できるようになっている。
(26)は上記ボディハーフセグメント(16L)(16R)における背中側接合面(25b)同士並びに腹側接合面(25s)同士の貼り合わされた組立状態のもとで、ルアーボディ(16)の中空内部と連通することになる釣り糸挿通孔、(27)は同じくボディハーフセグメント(16L)(16R)の表側(外側)凸曲面に賦形された円形の目玉受け入れ凹段面であり、ここに生餌となる魚(先に例示したイワシ)の目玉を表わす転写シール(28)が、各々嵌め込み状態に接着されることとなる。
上記左右一対の転写シート(19L)(19R)は各ボディハーフセグメント(16L)(16R)とほぼ同じ大きさ・輪郭形状(先に例示したイワシの魚形)を有しており、何れも印刷用ホログラムシート(17)の表面(片面)に生餌となる魚(ベイトフィッシュ)の外観状態(意匠となる模様又は/及び色彩)と同一又は類似するリアルな画像(絵柄)(18)をカラー印刷したものである。
その各転写シート(19L)(19R)の上記ホログラムシート(17)は図21〜23に抽出して示す如く、印刷上の搬送特性を有する紙質基材シート(台紙)(29)とホログラム形成樹脂シート(30)並びにそのホログラム形成面にアルミニウムや銀などの金属粉が融着又は金属箔が蒸着された金属反射層(31)とから成る積層体であり、その金属反射層(31)の金属光沢を反射する表面に、上記生餌となる魚を印象づけるリアルな画像(絵柄)(18)が、好ましくは紫外線硬化型インキや油性インキを用いて、オフセット印刷方式により多色刷りされている。
このような画像(絵柄)(18)のカラー印刷は、その転写シート(19L)(19R)をルアーボディ(16)のボディハーフセグメント(16L)(16R)へ貼り付ける前に、そのホログラムシート(17)の表面へ行われるものであるため、その作業上の制約を受けることがなく、しかも希望する各種魚(ベイトフィッシュ)の高精度な外観状態(意匠)を得られることになる。
そして、上記ボディハーフセグメント(16L)(16R)の縁取り状態に延在している背中側接合面(25b)と腹側接合面(25s)を除き、その断面ほぼ半楕円形をなしている裏側(内側)凹曲面の全体と尾ビレ部(24)のフラット面へ、その裏側(内側)から上記転写シート(19L)(19R)を図24〜27のように、ケトン類(好ましくはアセトン)やその他の無色な有機溶剤又は無色の接着剤によって、その画像(18)がルアーボディ(16)の表側(外側)から透視される転写状態に貼り付けるのである。
その貼り付け作業は断面ほぼ半楕円形に成形されているボディハーフセグメント(16L)(16R)の裏面(内面)へ、転写シート(19L)(19R)を転動ローラー(図示省略)などによって押し付けながら行うため、その押し付け力を受けたボディハーフセグメント(16L)(16R)が、断面ほぼ半楕円形の弯曲した成形状態から展開して、扁平状態に変形することとなる。
その際、上記転写シート(19L)(19R)のホログラムシート(17)を形作っているホログラム形成樹脂シート(30)は、ポリエチレン樹脂やポリエチレンテレフタレート樹脂、その他の柔軟性を有する熱可塑性樹脂の表面に、レリーフ型のホログラムが賦形されたものであるため、ボディハーフセグメント(16L)(16R)に追従・変形することができ、上記押し付け力を解除すれば、そのボディハーフセグメント(16L)(16R)と一緒に復元するが、上記ホログラム形成樹脂シート(30)の裏打ち状態にある印刷用の紙質基材シート(台紙)(29)は、ボディハーフセグメント(16L)(16R)に追従・変形できる伸縮性や柔軟性を有しないため、その転写シート(19L)(19R)を貼り付けられた扁平状態のボディハーフセグメント(16L)(16R)が、貼り付け前の断面ぼほ半楕円形に復元変形することを阻害することになり、生餌となる魚(ベイトフィッシュ)に酷似した太さのルアーボディ(16)を得られないのである。
そこで、ルアーボディ(16)のボディハーフセグメント(16L)(16R)に転写シート(19L)(19R)を貼り付けたならば、そのボディハーフセグメント(16L)(16R)を湯水に漬けて、上記転写シート(19L)(19R)の繊維がほぐれ軟化した紙質基材シート(29)を、ブラシ(図示省略)などによって掻き取り除去する。その紙質基材シート(29)の除去方法はブラシの使用による掻き取りだけに限らず、薬品による溶解やその他の適当な方法を採用することができる。
何れにしても、ホログラムシート(17)に生餌となる魚(ベイトフィッシュ)の画像(絵柄)(18)を施された転写シート(19L)(19R)は、表側(外側)から透明のルアーボディ(16)によって被覆されることとなるため、その画像(18)が表側(外側)から汚損されるおそれはなく、ホログラム像との混合状態に透視・観察される画像(18)として、金属反射層(31)の光反射作用とも相俟ち、魚(ベイトフィッシュ)の鱗がキラキラと輝く活動を強く印象づけることができる。
上記魚形ルアー(A)の組立状態を示す図13〜20から明白なように、そのルアーボディ(16)における背ビレ部(21)の後端位置付近と尻ヒレ部(23)の中間位置付近とを結ぶ仮想線(Z−Z)よりも前頭側は、ルアーボディ(16)における全体長さの約3分の2以上、好ましくは約5分の3を占有して、ケトン類(好ましくはアセトン)やその他の無色な有機溶剤又は無色の接着剤により、縁取り状態に貼り合わされた中空の断面ほぼ楕円形をなしているが、その仮想線(Z−Z)よりも後尾側に約3分の1以下、好ましくは約5分の2だけ残る占有部位は貼り合わされておらず、自然な開放状態にある。
そのため、上記魚形ルアー(A)を図9、10に示唆する如く、そのルアーボディ(16)の開放状態にある後尾側から、予じめ先端部(後端部)に上記擬似餌(B)の釣り針(10)が連結されている釣り糸(15)へ挿入して、そのルアーボディ(16)の釣り糸挿通孔(26)を経て前方へ導出配線することができる。
その結果、釣り糸(15)への通し込み状態に保たれる魚形ルアー(A)は使用中、その釣り糸(15)に沿って前後方向へ移動し、その先端部(後端部)に付属している擬似餌(B)の釣り針(10)が図10のように、ルアー(A)から引き離されることとなる所謂針落ち状態を達成し得るのである。
その場合、釣り糸(15)の先端部(後端部)は図11、12のような折り返し状態にかしめ付け固定された接続リング(32)として、釣り針(10)の根元部(前端部)に形成された取付リング(10c)と直かに、又は高強度な合成繊維の可撓な紐(33)を介して連結されており、上記擬似餌(B)の釣り針(10)をルアーボディ(16)における腹側接合面(25s)の後端部(開放縁部)へ後尾側から係止させて、その釣り針(10)の鋭利な針先部(10a)側だけが部分的に、ルアーボディ(16)の外方(下方)へ張り出し露呈するようになっている。
しかも、擬似餌(B)を構成する釣り針(10)の取付リング(根元部/前端部)(10c)には既述のとおり、装飾スカート(S)の取付チューブ(11)が覆いかぶさる(包囲する)ように圧着一体化されており、その取付リング(11)の金属素材が裸状態とならぬように保たれている。
そのため、柔軟性を有する透明な熱可塑性樹脂から成るボディハーフセグメント(16L)(16R)の裏面(内面)や、就中そこに貼り付け一体化された転写シート(19L)(19R)のホログラム形成樹脂シート(30)が、金属製釣り針(10)の取付リング(10c)と直かに、しかも頻繁に摺れ合って、早期に損傷してしまう危険から防護することができ、上記擬似餌(B)との併用により魚形ルアー(A)の耐久性を向上し得るのである。
又、上記装飾スカート(S)の取付チューブ(11)は釣り針(10)の根元部から膨出した取付リング(10c)へ、その口径収縮力により覆いかぶさる(包囲する)状態に圧着一体化しているため、その釣り針(10)の軸部(10b)に沿う移動や釣り針(10)からの脱落が完全に防止されることにもなる。
尚、(34)は上記ルアーボディ(16)の口部(20)付近へ、その両ボディハーフセグメント(16L)(16R)による左右方向からの挟み付け状態に内蔵設置された口部保形芯筒であって、透明なポリカーボネートやその他の高強度な熱可塑性樹脂から断面ほぼ楕円形に一体成形されており、その長手中心線上に貫通形成された釣り糸挿通孔(35)が、上記ルアーボディ(16)の釣り糸挿通孔(26)と合致連通する。(36)は釣り糸(15)の接続リング(32)を折り返し状態にかしめ付け固定した1個又は複数個のリベット、(37)はそのリベット(36)の全体を被覆する軟質な合成樹脂のカバーチューブであり、釣り糸(15)に通し込まれている。
更に言えば、リベット(36)がすべて軟質合成樹脂のカバーチューブ(37)により被覆されているため、金属素材としては釣り針(10)の針先部(10a)側を除く約前半分だけが、上記中空ルアーボディ(16)の内面(裏面)と直かに摺れ合う裸状態にあるが、その釣り針(10)における取付リング(根元部/前端部)(10c)を含む約前半分は、上記擬似餌(B)における装飾スカート(S)の取付チューブ(11)によって被覆(包囲)されているため、上記金属製釣り針(10)との頻繁な摺れ合いによる中空ルアーボディ(16)の損傷を予防できるのである。
先の図9〜12では、本発明の擬似餌(B)と特殊な中空の魚形ルアー(A)との併用によるトローリングの準備状態を示したが、上記擬似餌(B)を付属使用した釣り糸(15)へ、魚形ルアー(A)に代る図28〜32のような中空のイカ形ルアー(C)を通し込みセットして、同じく大型回遊魚のトローリングに供することも可能である。
そこで、その特殊な中空のイカ形ルアー(C)について説明すると、これはラメ(金箔や銀箔などの光輝性がある微細な破片)入りのゴム状弾性や伸縮性に富むスチレン系熱可塑性エラストマーやアクリル系熱可塑性エラストマー、その他の透明な熱可塑性エラストマー(TPE)から捕獲対象魚の生餌(ベイト)となるイカ(烏賊)の輪郭形状に一体成形された中空のルアーボディ(38)と、透明な軟質合成樹脂ホース(39)の外周面にホログラムシート(40)が被覆状態に貼り付けられた発色リング(DR)の複数個と、同じく透明な軟質合成樹脂ホース(39)の外周面に左右一対の目玉シート(41)が貼り付けられた目玉保持リング(ER)の1個とを備え、その中空のルアーボディ(38)におけるイカ形状の胴部(38a)へ複数個の発色リング(DR)と頭部(38b)へ1個の目玉保持リング(ER)とを、図32のような全体として同芯連通する直列状態に圧入一体化した構成である。
つまり、ルアーボディ(38)は左右一対のヒレ(耳部)(38c)を有する弾丸形の胴部(38a)から、左右一対の目玉被覆面(42)が隆起する頭部(38b)を経て、多数の平行なスリット(割り溝)(43)を有する吹流し状又は麺線状の足部(38d)に至るまで連続一体に成形されており、そのルアーボディ(38)の長手中心線に沿って延在する空洞が、足部(38d)での全開状態に保たれている。
上記ラメは光輝性を有する微細な破片として、生きたイカにおける体表の色素胞や斑模様などを印象づけるため、そのルアーボディ(38)の素材である透明な熱可塑性エラストマーへ、適当量だけ点在分布状態に混入されたものであり、キラキラと光る金色や銀色などの輝きのみならず、その他の各種着色カラーも与えることができる。
上記発色リング(DR)の複数個(図例では合計5個)はその各個の輪切り状態にある透明な軟質合成樹脂ホース(好ましくはナイロンホースやビニルホース)(39)と、その外周面(表面)へ貼り付けられたホログラムシート(40)とから成り、そのホログラムシート(40)におけるホログラムの光反射作用や着色がルアーボディ(38)を透過し、そのルアーボディ(38)のラメとも相俟って、生きたイカの鮮やかな輝きと動きを印象づけ、捕獲対象魚の優れた集魚効果を得られるようになっている。
又、上記目玉保持リング(ER)の1個はやはり輪切り状態の同じ透明な軟質合成樹脂ホース(39)と、その外周面(表面)に貼り付けられた左右一対の円形な目玉シート(41)とから成り、その目玉保持リング(ER)の軟質合成樹脂ホース(39)が上記発色リング(DR)のそれと同芯連通する直列状態に圧入一体化されており、その左右一対の目玉シート(41)とルアーボディ(38)の上記目玉被覆面(42)とが対応位置する関係状態にある。
そして、上記中空のルアーボディ(38)におけるイカ形状の全開状態にある足部(38d)側から、図29のような釣り針(10)を先端部に付属している釣り糸(15)へ通し込みセットするようになっており、その使用中イカ形ルアー(C)の中空ルアーボディ(38)は360度のあらゆる方向へ自由自在に屈曲変形して、捕獲対象魚に生きたイカの動きを印象づけることができるほか、やはり釣り糸(15)に沿って前後方向へ移動したり、釣り糸(15)の長手軸線廻りに360度回転したりできる状態にある。
その場合にも、上記擬似餌(B)における装飾スカート(S)の取付チューブ(11)を図32に示す如く、釣り針(10)の根元部をなす取付リング(10c)へ覆いかぶさる(包囲する)状態に差し込み圧着させて、その金属製釣り針(10)の取付リング(10c)が露出する(裸状態となる)ことを防ぐことが好ましい。
そうすれば、中空ルアーボディ(38)の内面(裏面)を形作っている軟質合成樹脂ホース(39)が、釣り針(10)の取付リング(10c)と直かに、しかも頻繁に摺れ合って、早期に損傷してしまうおそれを予防でき、そのイカ形ルアー(C)の耐久性を上記擬似餌(B)との併用によって向上し得るからである。
尚、(44)は上記ルアーボディ(38)における胴部(38a)の先端に形成された釣り糸挿通孔、(45)は釣り糸(15)の先端部(後端部)をなす接続リングであり、やはり釣り針(10)の根元部( 前端部) をなす取付リング(10c)と直かに、又は合成繊維の可撓な連結紐(46)を介して連結されている。(47)は上記釣り糸(15)の接続リング(45)を折り返し状態にかしめ付け固定した1個又は複数個のリベット、(48)はそのリベット(47)の全体を被覆した軟質合成樹脂のカバーチューブであり、釣り糸(15)に通し込まれていることは言うまでもない。
本発明の上記構成を備えた擬似餌(B)は、図9〜27のような中空の魚形ルアー(A)や図28〜32のような中空のイカ形ルアー(C)と一緒に使用して、漁師が大型回遊魚のトローリングを行う漁船のみに限らず、一般的な釣り人がプレジャーボート(クルーザー)を利用したスポーツフィッシングとしての特異なトローリングに供することもできる。
その本発明の擬似餌(B)と上記中空の魚形ルアー(A)との併用による大型回遊魚(例えばマグロ)のトローリング漁法を図33〜36に基いて説明すると、そのトローリングを行うに当っては先端部(後端部)に擬似餌(B)の釣り針(10)を付属している釣り糸(15)へ、予じめ前方から魚形ルアー(A)を通し込みセットして、上記擬似餌(B)の釣り針(10)がその魚形ルアー(A)の中空ルアーボディ(16)により、言わば針先部(10a)だけ張り出し露呈する約前半分の包み込み被覆状態に保つと共に、その魚形ルアー(A)と擬似餌(B)との併用状態にある釣り糸(15)を、後述する適当な長さの枝糸(ブランチライン)(BL)として、その根元部(前端部)へ取り付けたスナップ開閉式の係止金具(50)により、後述する幹糸(メインライン)(ML)の途中へ着脱自在に接続できるように準備しておく。
その場合、上記擬似餌(B)を形作っている装飾スカート(S)の取付チューブ(11)は、釣り針(10)の取付リング(根元部)(10c)を被覆(包囲)した差し込み状態にあり、その装飾スカート(S)の吹流し状又は麺線状足群(13)だけが魚形ルアー(A)の開放状態にある後尾側から自づと張り出し垂下して、釣り針(10)の針先部(10a)を見え難く隠蔽することになる。
他方、プレジャーボート(クルーザー)などの船体(51)におけるコックピットデッキやその他の適当な高さ位置へ、テレスコピック式(例えば振り出し式の5本継ぎ)の繊維強化樹脂(FRP)から成る高弾力性の立て竿(スティック)(52)を、一定の背丈(例えば約7.35m)として取り付け固定すると共に、釣り人の手元になる船体(51)の適当な位置へ、巻取リール(53)が付属する釣り竿(ボートロッド)(54)の受け金具(55)を取り付け固定しておく。
そして、対象魚の捕獲後には垂れ下がることとなる比較的短かい垂れ糸(タグライン)(TL)と、これよりもはるかに長い幹糸(メインライン)(ML)とを、上記立て竿(スティック)(52)の上端部(竿先部)から海の沖方向(後方)へ繰り出して、その幹糸(ML)の先端部(後端部)へ抵抗板(56)を取り付ける。
抵抗板(56)はそれ自身の重量も含む引張抵抗力によって、上記垂れ糸(TL)と幹糸(ML)とを立て竿(52)からの一直線状に緊張させるだけでなく、海水を激しくはね上げる動きと音が捕獲対象魚に生餌となる魚(ベイトフィッシュ)の群れを感得させるものである。
更に、上記幹糸(ML)の途中に複数(図例では合計4個)の枝係止リング(57)を、適当な前後相互間隔おきに造形して、その各枝糸係止リング(57)へ図34の拡大図に示す如く、上記枝糸(BL)のスナップ開閉式係止金具(50)を着脱自在に係止させて、魚形ルアー(A)と擬似餌(B)を上記幹糸(ML)から吊り下がる接続状態に保つ。
その場合、複数の魚形ルアー(A)と擬似餌(B)を悉く海面と平均的に同じ高さか、又はその海面よりも若干浮上する高さに位置決め調整セットして、海中へ沈降しない状態に保つのである。
又、上記幹糸(ML)の根元部(前端部)は釣り竿(54)に付属している巻取リール(53)への巻き付け状態にあって、これから繰り出されるようになっており、その幹糸(ML)の途中に造形されたブレーカー係止リング(58)と、上記垂れ糸(TL)の先端部(後端部)に結束されたスナップフック金具(59)とが、図35のような組紐から成るブレーカー(60)を介して、切り離すことができる状態に連結されている。
上記幹糸(ML)が枝糸(BL)の魚形ルアー(A)と擬似餌(B)に喰い付いた捕獲対象魚の動きにより、その先端部(後端部)から強い引張り力を受けた時には、その途中に介在しているブレーカー(60)が切断されて、それまでの垂れ糸(TL)と連結していた配線系統から、釣り竿(54)の巻取リール(53)に巻き取られる配線系統へ、自づと変更されるようになっているのである。
上記のような立て竿(52)から順次垂れ糸(TL)とブレーカー(60)、幹糸(ML)並びに抵抗板(56)が一直線状になった準備完了後、船体(51)を適当な速度(例えば約5ノット〜約8ノット)で走らせ、その抵抗板(56)を曳行すると、波の抵抗を受けて、幹糸(ML)に張力差が生じ、これを弾力性がある立て竿(52)の反撥力により緩和し、その幹糸(ML)の弛緩を解消して、すばやく緊張させることになる。
又、船体(52)の走行中にはバウンドやローリング、ピッチングなどが発生し、立て竿(52)の竿先部が前後方向や左右方向へ振れ動くため、延いては幹糸(ML)から複数の枝糸(BL)を介して並列状態に吊り下がっている魚形ルアー(A)と擬似餌(B)が、波も受けて、海面を叩いたり、ジャンピング(海面から出没又は昇降)したり、トビウオの如く飛んだりすることを繰り返すことになり、これらの複雑且つ不規則(アットランダム)な動きと、これに伴なって発生する音並びに輝きが、捕獲対象魚(先に例示したマグロ)の索餌本能を大いに刺激する結果、優れた集魚効果を期待できるのである。
更に、上記魚形ルアー(A)の中空ルアーボディ(16)は透明の柔軟な熱可塑性樹脂から成り、その両ボディハーフセグメント(16L)(16R)の裏面(内面)に貼り付けられた転写シート(19L)(19R)は、ホログラムシート(17)とその表面に多色刷りされた画像(絵柄)(18)とから成るため、ルアーボディ(16)の表側(外側)からホログラム像との混合状態に透視・観察される画像(18)が、鱗のキラキラ輝く生餌(ベイトフィッシュ/イワシ)を印象づける外観状態となる。
しかも、上記ルアーボディ(16)は柔軟性を有する熱可塑性樹脂から成る中空品であり、その後尾側が開放状態にあるため、生餌となる魚(ベイトフィッシュ)が身体を屈曲させて泳ぐような弾性変形や、尾ビレ部(24)の自由な振れ動きも行え、その活発な動きも捕獲対象魚の集魚効果に寄与する。
そして、上記魚形ルアー(A)と併用されている擬似餌(B)の装飾スカート(S)も、その多数の足群(13)が釣り針(10)を見え難く隠蔽すると共に、自づと激しく揺れ動くため、上記魚形ルアー(A)との協働(相乗)作用によって、捕獲対象魚の集魚効果をますます向上させることができる。
その場合、上記魚形ルアー(A)における中空ルアーボディ(16)の内面(裏面)が擬似餌(B)における釣り針(10)の取付リング(根元部/前端部)(10c)を包み込み被覆しているとしても、更にはその魚形ルアー(A)のルアーボディ(16)が釣り糸(15)に沿って前後方向へ移動したり、360度回転したりしても、その釣り針(10)の取付リング(10c)は装飾スカート(S)の取付チューブ(11)によって包み込み被覆されていて、金属素材の露出(裸)状態にないため、上記魚形ルアー(A)の早期に損傷するおそれがなく、その耐用性も向上させ得るのである。
このような使用法(トローリング漁法)は上記魚形ルアー(A)に代るイカ形ルアー(C)であっても実質的に同じであるため、図34と対応する図37を示すにとどめて、その詳細な説明を省略するが、そのイカ形ルアー(C)と本発明の擬似餌(B)とを併用することによって、その擬似餌(B)と上記魚形ルアー(A)との併用による効果と実質的に同じ効果を期待することができる。
つまり、イカ形ルアー(C)における吹流し状又は麺線状足部(38d)の下端(裾)を、上記擬似餌(B)における装飾スカート(S)の吹流し状又は麺線状足群(13)により更に長く延長する関係状態として、釣り針(10)をますます見え難く隠蔽すると共に、その多数の足群(13)が大きく揺れ動くことになるため、捕獲対象魚の索餌本能をますます強く刺激して、その優れた集魚効果を得られるのである。
尚、図33〜37ではスポーツフィッシングとしての特異なトローリングを説示したが、その立て竿(スティック)(52)の設置を省略して、釣り竿(ボートロッド)(54)の巻取リール(53)から海の沖方向(後方)へ繰り出した上記幹糸(メインライン)(ML)の先端部(後端部)や、その幹糸(ML)から分岐した枝糸(ブランチライン)(BL)の下端部へ、各々本発明の擬似餌(B)と上記魚形ルアー(A)やイカ形ルアー(C)を接続して、その枝糸(BL)に別途取り付けた図外の重錘や潜行板などの使用により、海面からの適当な深さだけ沈む状態に保ちながら、船体(51)によって曳行するトローリングも行うことができる。
又、船体(51)から上記立て竿(52)に代る横竿(図示省略)を左右方向へ張り出して、これから幹糸(ML)又は枝糸(BL)に相当する釣り糸を経て吊り下げ状態に接続した本発明の擬似餌(B)と上記魚形ルアー(A)やイカ形ルアー(C)を、やはり海中へ沈めた状態のもとで、上記船体(51)により曳行する従来のトローリングや、船体(51)からの釣り竿(54)による1本釣りを行う使用法もあり得る。