以下、添付の図面に基づき、本発明について説明する。図1に、本発明の一実施形態にかかる、静電作像手法を用いた電子写真装置等からなる画像形成装置を示す。
図1に示す画像形成装置は、画像形成装置本体100に対して着脱可能に構成された4つのプロセスユニット1Y、1C、1M、1Bkを備えている。各プロセスユニット1Y、1C、1M、1Bkは、カラー画像の色分解成分に対応するイエロー(Y)、シアン(C)、マゼンタ(M)、ブラック(Bk)の異なる色のトナーを収容している以外は同様の構成となっている。
具体的には、各プロセスユニット1Y、1C、1M、1Bkは、像担持体としてのドラム状の感光体2と、感光体2の表面を帯電させる帯電装置3と、感光体2の表面にトナーを供給する現像装置4と、感光体2の表面をクリーニングするクリーニング装置5等を備える。なお、図1では、イエローのプロセスユニット1Yが備える感光体2、帯電装置3、現像装置4、クリーニング装置5のみに符号を付しており、その他のプロセスユニット1C、1M、1Bkにおいては符号を省略している。
各プロセスユニット1Y、1C、1M、1Bkの感光体2の上方には、感光体2の表面を露光する露光装置6が配設されている。露光装置6は、光源、ポリゴンミラー、f−θレンズ、反射ミラー等を有するレーザースキャナー(走査)ユニット、又はLEDアレイである。本実施形態においては、LEDアレイが用いられる。露光装置6は、画像データに基づいて各感光体2を露光するようになっている。
また、各プロセスユニット1Y、1C、1M、1Bkの上方には、各色に対応したトナーを供給する供給ユニット7Y、7C、7M、7Bkが配置されている。供給ユニット7Y、7C、7M、7Bkは、画像形成装置本体100に対し、回動支持された中間フレーム8に着脱可能に保持されている。
一方、各プロセスユニット1Y、1C、1M、1Bkの下方には、転写装置9が配設されている。転写装置9は、転写体としての中間転写ベルト10と、一次転写手段としての4つの一次転写ローラ11と、二次転写手段としての二次転写ローラ12と、二次転写バックアップローラ13と、クリーニングバックアップローラ14と、ベルトクリーニング装置15とを備える。
中間転写ベルト10は、無端状のベルトであり、二次転写ローラ12、および従動ローラ16に張架されている。ここでは、二次転写ローラ12が回転駆動することによって、中間転写ベルト10は、図の矢印で示す方向に周回走行(回転)するようになっている。
4つの一次転写ローラ11は、それぞれ、各感光体2との間で中間転写ベルト10を挟み込んで一次転写ニップを形成している。また、各一次転写ローラ11には、図示しない電源が接続されており、所定の直流電圧(DC)および/又は交流電圧(AC)が各一次転写ローラ11に印加されるようになっている。
二次転写ローラ12は、二次転写バックアップローラ13との間で中間転写ベルト10を挟み込んで二次転写ニップを形成している。また、一次転写ローラ11と同様に、二次転写ローラ12にも図示しない電源が接続されており、所定の直流電圧(DC)および/又は交流電圧(AC)が二次転写ローラ12に印加されるようになっている。
ベルトクリーニング装置15は、中間転写ベルト10に当接するように配設されたクリーニングブレード17等を有する。このベルトクリーニング装置15から伸びた図示しない廃トナー移送ホースは、廃トナー収容器18の入り口部に接続されている。
画像形成装置本体100の下部には、記録媒体としての用紙Pを収容した給紙トレイ19や、給紙トレイ19から用紙Pを搬出する給紙ローラ20等が設けてある。ここで、記録媒体には、普通紙以外に、厚紙、はがき、封筒、薄紙、塗工紙(コート紙やアート紙等)、トレーシングペーパ、OHPシート等が含まれる。また、図示しないが、手差し給紙機構が設けてあってもよい。
画像形成装置本体100内には、用紙Pを給紙トレイ19から二次転写ニップを通過させて、装置外へ排出するための搬送路Rが配設されている。搬送路Rにおいて、二次転写ローラ12の位置よりも用紙搬送方向上流側には、二次転写ニップへ用紙Pを搬送する搬送手段としての一対のレジストローラ21が配設されている。
また、二次転写ローラ12の位置よりも用紙搬送方向下流側には、用紙Pに転写された未定着画像を定着するための定着装置22が配設されている。この定着装置22は、図示しない加熱源によって加熱される定着部材としての定着ローラ23と、その定着ローラ23に接触して加熱される対向部材としての加圧ローラ24と、定着ローラ23から用紙Pを分離させる分離部材25等が設けてある。定着ローラ23と加圧ローラ24は、図示しない加圧手段で互いに圧接された状態にあり、圧接箇所において定着ニップを形成している。定着装置22としては、定着部材23と対向部材24のうち少なくとも一方を無端状ベルトとし、そのベルトをローラ又はパッド等によって相手側に圧接させた構成のものも使用することができる。また、定着部材と対向部材は必ずしも圧接させる必要はなく、加圧を行わずに単に接触させるだけでもよい。
定着装置22よりも搬送路Rの用紙搬送方向下流側には、用紙Pを装置外へ排出するための一対の排紙ローラ26が設けられている。また、画像形成装置本体100の上面部には、装置外に排出された用紙Pをストックするための排紙トレイ27が設けてある。
さらに、画像形成装置本体100には、紙詰まりが発生した場合に、用紙Pの除去作業を行うために開閉可能な第1カバー31が取り付けられている。第1カバー31は、画像形成装置本体100に対して、回動支点O1により、矢印A方向に回動可能に支持されている。
また、画像形成装置本体100の上面には、供給ユニット7Y、7C、7M、7Bkの交換作業を行うために開閉可能な第2カバー32が取り付けられている。第2カバー32は、排紙トレイ27を一体に有し、画像形成装置本体100に対して、回動支点O2により、矢印B方向に回動可能に支持されている。
なお、画像形成装置には、第1カバー31又は第2カバー32のいずれかを開放すると、露光装置6、各プロセスユニット1Y、1C、1M、1Bk、定着装置22、および図示しない各駆動部等への給電を遮断するインターロック機構が設けられている。
続いて、図1を参照して、本実施形態にかかる画像形成装置の基本動作について説明する。作像動作が開始されると、各プロセスユニット1Y、1C、1M、1Bkにおける各感光体2が図示しない駆動装置によって図の反時計回りに回転駆動され、各感光体2の表面が、帯電装置3によって所定の極性に一様に帯電される。帯電された各感光体2は、露光装置6によってそれぞれの表面が露光され、各感光体2の表面に静電潜像が形成される。このとき、各感光体2に露光する画像情報は、所望のフルカラー画像をイエロー、マゼンタ、シアン、およびブラックの色情報に分解した単色の画像情報である。このように各感光体2上に形成された静電潜像に、各現像装置4によってトナーが供給されることにより、静電潜像はトナー画像として顕像化(可視像化)される。
また、作像動作が開始されると、二次転写ローラ12が図の時計回りに回転駆動し、中間転写ベルト10を図の矢印で示す方向に周回走行させる。そして、各一次転写ローラ11に、トナーの帯電極性と逆極性の定電圧又は定電流制御された電圧が印加される。これにより、各一次転写ローラ11と各感光体2との間の一次転写ニップにおいて転写電界が形成される。
その後、各感光体2の回転に伴い、感光体2上の各色のトナー画像が一次転写ニップに達したときに、上記一次転写ニップにおいて形成された転写電界によって、各感光体2上のトナー画像が中間転写ベルト10上に順次重ね合わせて転写される。かくして中間転写ベルト10の表面にフルカラーのトナー画像が担持される。また、中間転写ベルト10に転写しきれなかった各感光体2上のトナーは、クリーニング装置5によって除去される。その後、図示しない除電装置によって各感光体2の表面が除電され、表面電位が初期化される。
画像形成装置本体100の下部では、給紙ローラ20が回転駆動を開始し、給紙トレイ19から用紙Pが搬送路Rに送り出される。搬送路Rに送り出された用紙Pは、レジストローラ21によってタイミングを計られて、二次転写ローラ12と二次転写バックアップローラ13との間の二次転写ニップに送られる。このとき二次転写ローラ12には、中間転写ベルト上のトナー画像のトナー帯電極性と逆極性の転写電圧が印加されており、これにより、二次転写ニップに転写電界が形成されている。
その後、中間転写ベルト10の周回走行に伴って、中間転写ベルト10上のトナー画像が二次転写ニップに達したときに、上記二次転写ニップにおいて形成された転写電界によって、中間転写ベルト10上のトナー画像が用紙P上に一括して転写される。また、このとき、用紙Pに転写されなかった中間転写ベルト10上の残留トナーは、ベルトクリーニング装置15によって除去され、除去されたトナーは廃トナー収容器18へと搬送され回収される。
その後、用紙Pは、定着装置22へと搬送され、定着装置22によって用紙P上のトナー画像が当該用紙Pに定着される。そして、用紙Pは、排紙ローラ26によって装置外へ排出され、排紙トレイ27上にストックされる。
以上の説明は、用紙P上にフルカラー画像を形成するときの画像形成動作であるが、4つのプロセスユニット1Y、1C、1M、1Bkのいずれか1つを使用して単色画像形成したり、2つ又は3つのプロセスユニットを使用して、2色又は3色の画像を形成したりすることも可能である。
次に、図2〜図15に基づき、第1カバー31、および第2カバー32の開閉状態を検出する開閉検出機構40(図3(a)(b)参照)について説明する。なお、以降の説明において、画像形成装置もしくは画像形成装置本体100の各面のうち、給紙トレイ19の出し入れ側となる面を「正面」と呼び、これと対向する面を「背面」と呼ぶ。また、正面を挟んで対向する二つの面を「側面」と呼ぶ。給紙トレイ19の出し入れ方向を符号Xで表す。
図2(a)は、第1カバー31および第2カバー32の両方が閉じた状態の画像形成装置の斜視図を示す。この状態では、通常の画像形成の動作が行われる。
図2(b)は、第1カバー31が開いた状態の画像形成装置を示す。第1カバー31には、第1突起311が設けられる。本実施形態における第1突起311は肉薄の平板状であり、第1カバー31の裏面の先端であって、かつ一方の側面側に設けられている。
また、図2(c)は、第2カバー32が開いた状態の画像形成装置を示す。第2カバー32には、第2突起321が設けられる。本実施形態における第2突起321は肉薄の平板状であり、第2カバー32の裏面の先端であって、一方の側面側に設けられる。
図3(a)には、第1カバー31および第2カバー32以外のカバーを取り外した画像形成装置本体100の斜視図を示す。画像形成装置本体100は、その両側面に配置された薄板状のフレーム33a,33bと、二つの板状フレーム33a,33b間に架け渡された定着フレーム34とを有する。定着フレーム34の内部には定着装置22が取り付けられる。
図3(a)(b)に示すように開閉検出機構40は、画像形成装置本体100の一方の側面の上方に配置される。開閉検出機構40は、給紙トレイ19の出し入れ方向Xに沿って並べた当接ユニット41と、検出ユニット42とを有する。当接ユニット41は、画像形成装置の正面側に位置し、定着フレーム34の側壁に取り付けられる。また、検出ユニット42は、画像形成装置の背面側に位置し、板状フレーム33aに取り付けられる。なお、図3(b)は、第1カバー31および第2カバー32が共に閉じた状態の画像形成装置本体100を示す。同図中では、定着フレーム34の側壁の図示が省略されている。
当接ユニット41は、図4の分解斜視図を示すように、第1スライド部材411と、第1回転部材412と、ホルダ部としての保持部材413とにより構成される。第1スライド部材411と第1回転部材412は、第1可動部410を構成する。
第1スライド部材411は、長尺な部材であり、長手方向に離隔した2個の長孔411aを有する。また、第1スライド部材411の一端側(図の左側)には、第1カバー31の第1突起311が当接する第1当接部411bが設けられ、他端側(図の右側)には、第1回転部材412を回転自在に支持する支軸411cが設けられる。
第1回転部材412は、板状の部材であり、その中心付近には、支軸411cと嵌合可能な円形の孔部412aが形成される。第1回転部材412の孔部412aを挟む径方向の両端のうち、一方の端部には、第2カバー32の第2突起321に当接する第2当接部412bが設けられ、他方の端部には、検出ユニット42の第2スライド部材421(後述する)に接触する出力部412cが設けられる。支軸411cは第1回転部材412の回転軸となり、その軸心は、第2当接部412bと出力部412cを結ぶ直線に対して半径方向にオフセットされた位置にある。
保持部材413は、第1スライド部材411を保持する。保持部材413には、第1スライド部材411の長孔411aに挿入される二つの支持ピン413aが設けられる。保持部材413の一端側(図の左側)の第1カバー31と対向する面には、第1カバー31の第1突起311を挿入するための挿入口413bが形成され、他端側(図の右側)の上方には、第2カバー32の第2突起321を挿入するための挿入口413cが形成される。また、支持ピン413aの上方には、保持部材413を定着フレーム34に取り付けるための取付部413dが設けられている。
当接ユニット41は、第1スライド部材411の支軸411cを第1回転部材412の孔部412aに挿入し、第1スライド部材411の長孔411aに保持部材413の支持ピン413aを挿入し、さらに第1スライド部材411を保持部材413に設けられた案内面413e上に載置することで組み立てられる。保持部材413の取付部413dを定着フレーム34の側壁にネジ止め等の手段で固定することにより、当接ユニット41が定着フレーム34に取り付けられる。かかる構成から、第1スライド部材411は、画像形成装置本体100に対して案内面413eの延びる方向(図4の矢印C1およびC2方向)に往復スライド可能に支持される。このスライド運動は、支持ピン413aが長孔411aの両端と当接する範囲で許容される。また、第1回転部材412は、第1スライド部材411に対し、支軸411cを中心として矢印D1およびD2で示す正逆方向に回転可能に支持される。なお、本実施形態における第1スライド部材411のスライド方向C1,C2は、給紙トレイ19の出し入れ方向X(図3(a)参照)と平行である。
一方、検出ユニット42は、図5の分解斜視図に示すように、第2スライド部材421と、第2回転部材422と、検出部423と、ベース部材424と、弾性部材(例えばバネ425)とにより構成される。第2スライド部材421と第2回転部材422は、第2可動部420を構成する。ベース部材424は図3(a)に示す板状フレーム33aに取り付けられる。
第2スライド部材421は、長尺な部材であり、長手方向に離隔して2個の長孔421aを有する。第2スライド部材421の一端(図の左側)には、第1回転部材412の出力部412cと接触する接触部421bが形成される。第2スライド部材421の他端(図の右側)には、バネ425を受けるバネ受け面421cが形成される。さらに、第2スライド部材421の2個の長孔421aの間には、上下方向に延びる支持長孔421dが形成される。ベース部材424の裏面に突出した支持ピン(図示省略)を長孔421aに挿入し、さらに第2スライド部材421の上端縁をベース部材424に形成されたガイド面424a上に載置することで、第2スライド部材421が、ベース部材424に対して、その長手方向(図中のE1およびE2方向)に往復スライド可能に支持される。この往復スライド運動は、長孔421aの両端にベース部材424の支持ピンが当接する範囲内で許容される。第2スライド部材421のスライド方向E1,E2は、第1スライド部材411のスライド方向C1,C2と平行である。
第2回転部材422は、互いに平行に配置した回転軸422aおよび制御軸422bを有する。回転軸422aは、例えば、第2回転部材422を貫通する穴にベース部材424の裏面に設けられた支持軸(図示省略)を嵌合することで構成される。制御軸422bは、例えば第2回転部材422を貫通し、その表裏両側に突出する軸状部材で構成されている。制御軸422bの一端部(ベース部材424側の端部)は、ベース部材424に設けられた円弧状のガイド孔424bに挿入されている。制御軸422bの他端部(第2スライド部材421側の端部)は、第2スライド部材421の支持長孔421dに挿入されている。以上の構成から、第2回転部材422は、ベース部材424に対して、回転軸422aの軸心O(図7参照)を中心として正逆方向(F1,F2方向)に回転可能に支持される。また、第2スライド部材421がE1,E2方向にスライドすると、制御軸422bが支持長孔421dに沿って上下にスライドし、第2スライド部材421の往復スライド運動が第2回転部材422の正逆回転運動に変換される。これにより、第2スライド部材421のスライド方向に応じて、第2回転部材422が正転方向(F1方向)もしくは逆転方向(F2方向)に回転する。
図7に示すように、第2回転部材422の外周にはカム面422cが形成されている。カム面422cは、周方向に向けて徐々に回転半径(回転中心Oからカム面422cまでの距離)を大きくしたカム部422c1と、カム部422c1に連続し、周方向で回転半径を等しくした円筒部422c2とを有する。
検出部423は、薄板状のレバー423bを有するマイクロスイッチで構成される。レバー423bをスイッチ本体に設けられた接触子423aに接触させることで検出部423がONとなり、レバー423bを接触子423aから離反させることで検出部423がOFFとなる。レバー423bは、自身の弾性により常時OFFとなる方向に付勢されている。トーションバネ等の弾性体により、レバー423bをスイッチOFFとなる方向に常時付勢してもよい。
検出部423は、図5に示すように、ベース部材424に設けた2本の保持ピン424cをスイッチ本体に設けた孔に挿入し、さらにベース部材424に設けた保持フック424dをスイッチ本体に係合させることでベース部材424に取り付けられる。この取り付け状態では、検出部423のレバー423bが、常に第2回転部材422のカム面422cに弾性接触する。
バネ425は、ベース部材424に設けられたバネ収容部424e内に収容される。バネ425は、第2スライド部材421のバネ受け面421cと、バネ受け面421cと第2スライド部材421のスライド方向(E1,E2方向)で対向するバネ収容部424eの内壁との間に圧縮状態で介装される。このバネ425で生じる付勢力Sにより、第2スライド部材421は図中の矢印E2方向に常時付勢される。なお、本実施形態においては、バネ425として圧縮コイルバネを用いているが、これに限ることはなく、引っ張りコイルバネ又はねじりコイルバネ等を用いてもよい。
続いて、図6(a)〜(c)に基づいて、開閉検出機構40の動作について説明する。図6(a)は、第1カバー31および第2カバー32を閉じた状態を示す。また、図6(b)は、第1カバー31を開くと共に、第2カバー32を閉じた状態を示し、図6(c)は、第2カバー32を開くと共に、第1カバー31を閉じた状態を示す。なお、各図において第1カバー31および第2カバー32の図示は省略されている。
先ず、第1カバー31および第2カバーの双方を閉じる場合について説明する。第1カバー31および第2カバー32が開いた状態では、検出部423のレバー423bは、カム面422cのカム部422c1のうち、回転半径が小の部分に接触しており、そのためにレバー423bがスイッチ本体の接触子423aから離反した状態にある。従って、検出部423はOFFとなる(図6(b)(c)参照)。
第1カバー31を閉じると、図6(a)に示すように、第1カバー31の第1突起311が、第1スライド部材411の第1当接部411bに当接する。これにより、第1スライド部材411が一方向(C1方向)に押圧され、当該方向にスライドする。また、第2カバー32を閉じると、第2カバー32の第2突起321が、第1回転部材412の第2当接部412bに当接し、第1回転部材412が正転方向(D1方向)に回転する。これにより第1回転部材412の出力部412cは、第1スライド部材411の一方向(C1方向)のスライドと、第1回転部材412の正転方向(D1)の回転とを合わせた運動を行う。この場合、双方のカバー31,32を開いた状態での出力部412cの位置(始点位置)と、双方のカバー31,32を閉じた状態(図6(a))での出力部412cの位置(終点位置)は、カバー31,32を閉じる順序とは無関係に一定である。これに対し、出力部412cの始点位置から終点位置に至るまでの移動軌跡は、カバー31,32を閉じる順序によって変動する。
出力部412cが規定の終点位置に達するまでの運動は、接触部421bを介して第2スライド部材421に伝達され、これによって第2スライド部材421がバネ425の弾性力に抗して一方向(E1方向)にスライドする。これに伴い、バネ425が圧縮される。さらに第2スライド部材421の一方向(E1方向)のスライドが第2回転部材422の正転方向(F1方向)の回転に変換される。第2回転部材422が回転軸422aを中心として正転方向(F1方向)に回転すると、レバー423bのカム面422cに対する接触位置が、カム部422c1の回転半径小の部分から大の部分に移行し、最終的にはカム部422c1と円筒部422c2の境界近傍、望ましくはカム部422c1に近接した円筒部422c2上に移行する(図7参照)。そのため、レバー423bがスイッチ本体側に押し込まれて接触子423aに接触し、検出部423がONとなる。これにより、インターロック機構が解除され、露光装置6、各プロセスユニット1Y、1C、1M、1Bk、定着装置22、および図示しない各駆動部への給電が開始される。
図6(b)に示すように、図6(a)の状態から第1カバー31を開くと、第1当接部411bと第1突起311の係合状態が解消され、第1スライド部材411が逆方向(C2方向)にスライド可能となる。この場合、バネ425の付勢力Sは、第2スライド部材421、接触部421b、および出力部412cを介して第1回転部材412に伝達される。これにより第1回転部材412には、逆転方向(D2方向)の回転モーメントが作用するが、第1回転部材412の同方向の回転が第2カバー32の第2突起321によって規制されているため、第2回転部材412は回転しない。従って、バネ425の付勢力Sにより、第2スライド部材421、第1回転部材412、および第1スライド部材411が一体となって、付勢力Sの作用方向(C2,E2方向)に移動する。第2スライド部材421の逆方向(E2方向)スライドにより第2回転部材422が逆転方向(F2方向)に回転するため、カム面422cにおけるレバー423bの接触位置が回転半径の小となる側に移行する。そのため、レバー423bが自己の弾性力でスイッチ本体の接触子423aから離反する方向に移動し、これによって検出部423がOFFとなり、各部への給電が遮断される。
一方、図6(c)に示すように、図6(a)の状態から第2カバー32を開くと、第2突起321と第2当接部412bとの係合状態が解消され、第1回転部材412が逆転方向(D2方向)に回転可能となる。この状態で、バネ425の付勢力Sが第2スライド部材421を介して第1回転部材412に伝達され、この付勢力Sは第1回転部材412に逆転方向(D2方向)の回転モーメントを与えるため、第1回転部材412が同方向に回転する。これに伴って第2スライド部材421が逆方向(E2方向)にスライドし、第2回転部材422が逆転方向(F2方向)に回転する。そのため、レバー423bが接触子423aから離反する方向に移動し、検出部423がOFFとなって上記各部への給電が遮断される。
本発明においては、上記のように第2回転部材422のカム面422cに回転半径が一定の円筒部422c2を設け、図6(a)に示すように第1カバー31および第2カバー32を閉じた際に、レバー423bを円筒部422c2に接触させている。各カバー31,32を閉じる際に一時的に個々のカバー31,32を過剰に押し込むと、第2スライド部材421に一方向(E1方向)のオーバーストロークが生じ、第2回転部材422がさらに正転方向(F1方向)に回転するが、その場合でもカム面422cに対するレバー423bの接触位置が円筒部422c2上に保持される。そのため、オーバーストロークにより第2回転部材422が正転方向(F1方向)に回転しても、レバー423bがさらにスイッチ本体側に押し込まれることがなく、検出部423の破損を防止することができる。このようにカム面422cに円筒部422c2を設けることにより、オーバーストロークの吸収機構Q(図7参照)を簡易な構造で提供することができ、従って、各カバー31,32を閉じ位置でロックするロック機構を設けることも容易となる。
上記の開閉検出機構40では、図8(a)に示すように、バネ425の付勢力Sが第1回転部材412に対してその逆転方向(D2方向)の回転モーメントMとなるように作用する。そのため、特に部品を追加しなくても、第2カバー32を開いた際に、第1回転部材412を自動的に逆転方向D2に回転させ、検出部423のレバー423bをOFFの位置に移動させることができる。これに対し、図8(b)に示すように、バネ425の付勢力Sのベクトルが第1回転部材412の回転中心を通る構成とした場合には、第1回転部材412に回転モーメントMが発生しない。この場合、第2カバー32を開いた際に、検出部423のレバー423bをOFFとなる位置に移動させるためには、トーションスプリング等で第1回転部材412を逆転方向(D2)方向に付勢することが必要となる。そのため、部品点数の増大や開閉検出機構40の複雑化を招く。
本発明にかかる画像形成装置は、以上に説明したとおり、画像形成装置本体100に支持されて開閉可能な第1カバー31および第2カバー32と、レバー423bを有し、レバー423bの位置に基づいて第1カバー31および第2カバー32の双方が閉じた状態であるか否かを検出する検出部423とを備えるものである。以下、この画像形成装置の特徴的な構成とその作用効果を列挙する。
(1)本発明の画像形成装置は、出力部412cを備え、第1カバー31および第2カバー32の双方と当接可能であり、かつ双方のカバー31,32との当接時に出力部412cを規定の終点位置に移動させる第1可動部410(第1スライド部材411および第1回転部材412からなる)と、第1可動部410の出力部412cと接触し、出力部412cの前記終点位置に達するまでの運動を検出部423のレバー423bに伝達してレバー423bを操作する第2可動部420(第2スライド部材421および第2回転部材422からなる)とを有する。かかる構成では、カバー31,32が当接する部材(第1可動部410)と、レバー423bを操作する部材(第2可動部420)とが別部材となる。そのため、検出部423を第1可動部410の近傍に配置する必要はない。従って、検出部423のレイアウト自由度が高まり、機器の実装密度が高い場合でも検出部423の設置が容易となる。また、二つのカバー部材31,32を閉じた際の二方向のオーバーストロークを、第1可動部410と接触する第2可動部420の一方向(E1方向)の移動に集約することができる。そのため、オーバーストローク吸収機構Qを一方向の移動のみに対応した構成とすることができ、オーバーストローク吸収機構Qの構成を簡素化することができる。以上から、画像形成装置全体の構成を簡略化してその設計自由度を高めることができる。
(2)本発明では、第1可動部410に、画像形成装置本体100に対して往復スライド可能に支持され、第1カバー31と当接する第1当接部411bを有し、第1カバー31との当接により一方向C1にスライドする第1スライド部材411と、第1スライド部材411に正逆回転可能に支持され、第2カバー32と当接する第2当接部412bを有し、第2カバー32との当接により正転方向D1に回転する第1回転部材412とを設け、かつ第1回転部材412に出力部412cを設けている。かかる構成から、二つのカバー31,32の閉じ動作を出力部412cの一方向の動作に変換することが可能となり、開閉検出機構40の構成を簡略化することができる。
(3)本発明では、第2可動部420に、画像形成装置本体100に対して往復スライド可能に支持され、第1回転部材412の出力部412cと接触し、出力部412cの前記運動で一方向E1にスライドする第2スライド部材421と、画像形成装置本体100に正逆回転可能に支持され、第2スライド部材421のスライド移動量に応じて回転し、その回転により検出部423のレバー423bを操作する第2回転部材422とを設け、第2スライド部材421に一方向E1とは逆向き(E2方向)の付勢力Sを作用させている。かかる構成から、第1可動部410で得られた一方向の動作を検出部423のレバー423bに伝達することができ、二つのカバー31,32の閉じ動作を正確に検出部423に伝達することができる。また、二つのカバー31,32を閉じた際の第2可動部420の作動方向が一方向(E1,F1)であるので、オーバーストロークの吸収機構Qを設置することも容易となる。
(4)上記(3)において、検出部423のレバー423bを第2回転部材422に設けたカム面422cで制御することで、簡易な機構で正確にレバー423bを操作することが可能となる。
(5)バネ425の付勢力Sを、第2スライド部材421を介して第1回転部材412に作用させ、その作用方向を第1回転部材412に対する逆転方向(D2方向)の回転モーメントとなるように規定しているので、第2カバー32を開いた際に第1回転部材412を自動的に逆転方向(D2方向)に回転させて検出部423をOFFにすることができ、開閉検出機構40の構成を簡略化することができる。
(6)上記のように第2可動部420では、二つのカバー31,32の閉じ動作が一方向(E1もしくはF1)の動作に集約されている。従って、第1カバー31および第2カバー32のオーバーストロークを吸収する吸収機構Qを第2可動部420に設ける場合、吸収機構Qは一方向(E1もしくはF1)のオーバーストロークを吸収できるものであれば足りる。従って、オーバーストローク吸収機構Qの構成を簡略化することができる。
(7)第2可動部420に、検出部423のレバー423bを制御するカム面422cを設け、カム面422cに回転半径の等しい円筒部422c2を形成し、第1カバー31および第2カバー32が閉じた際にカム面422cの円筒部422c2で検出部423のレバー423bを制御することで、簡易な構造のオーバーストローク吸収機構Qを構成することができる。
以下、本発明の他の実施形態を説明する。上記実施形態においては、第1回転部材412の回転軸411cと第2回転部材422の回転軸422aとを平行にした場合を例示したが、これに限ることはなく、図9に示すように、これらの回転軸が直交するように当接ユニット41と検出ユニット42を配置してもよい。本発明では、開閉検出機構40が第1可動部410と第2可動部420に分割されているため、それぞれの可動部の回転部材412,422の軸方向を独立して設定することができる。回転部材412,422は半径方向に大きな実装スペースが必要となるが、本実施形態のように二つの回転部材412,422の回転軸方向を異ならせることで、スペースに余裕がある方向に各回転部材412,422の軸方向を設定することができる。従って、実装密度が高い機器においてもレイアウトの自由度を向上させることができる。
また、以上の説明では、第1スライド部材411のスライド方向C1,C2および第2スライド部材421のスライド方向E1,E2方向を給紙トレイ19の出し入れ方向X(図3参照)と平行にする場合を例示しているが、これら三者間の方向は平行に限定されず、互いに直交させ、あるいは交差させることも可能である。例えば第1スライド部材411のスライド方向C1,C2と第2スライド部材421のスライド方向E1,E2とを直交あるいは交差させる場合には、第1可動部410の第1回転部材412と第2可動部420の第2スライド部材421との間に、カム部材やリンク機構を介在させるのが好ましい。
また、他の実施形態として、図10に示すように、第1カバー31’と第2カバー32とを隣接させて同一面(例えば上面)に配置してもよい。この場合、図11に示すように、第1カバー31’の第1突起311’に傾斜部311a’を形成するのが望ましい。このように傾斜部311a’を形成することにより、第1カバー31’を閉じた際の第1突起311’と第1スライド部材411との干渉を回避し、傾斜部311a’の案内機能によって第1スライド部材411の一方向(C1方向)にスムーズにスライド移動させることが可能となる。
さらに別の実施形態として、図12(a)〜(c)に示すように、第1突起311および第2突起321が当接ユニット41に挿入される際の挿入口413b、413cに、これらの突起311,312をガイドするテーパ状のガイド部413e,413fを設けてもよい。図12(b)は第1突起311の挿入口413bの断面図(水平断面)であり、図12(c)は第2突起312の挿入口413cの断面図(縦断面)である。第1突起311および第2突起312はカバー31,32の先端部に設けられているため、カバー31,32の公差の積み上げやユーザーの操作等に起因して各突起311,312が挿入口413b、413cと干渉する場合があるが、挿入口413b、413cにテーパ状のガイド部413e,413fを設けることで、かかる不具合を防止することができる。
図4に示す実施形態では、第2突起312の挿入口413cを、一方の側方を開放した開放空間としているが、図12(a)〜(c)に示す実施形態では、保持部材413に規制部414を一体形成することで、挿入口413cを、その周囲が閉鎖された閉鎖空間としている。これにより挿入口413c内での第2突起312の位置ずれを防止することができ、スペース上の制約から第1回転部材412を薄肉に形成した場合でも第2突起312を確実に第1回転部材412に当接させることができる。この場合、規制部414にも上述したテーパ状のガイド部413fが設けられる。
第1突起311の挿入口413bおよび第2突起312の挿入口413cの双方において、挿入口の最小幅h1,h2は、誤操作防止のためにも各突起311,312との干渉を防止できる範囲で極力小さくするのが望ましい。
図13(a)(b)は上記規制部414をさらに大型化したものであり、第2突起321と当接する第1回転部材412の当接部412bを超える位置まで規制部414の端縁を延在させた実施形態である。かかる構成であれば、第2突起312をさらに確実に第1回転部材412に当接させることができる。
ところで、画像形成装置においては、インターロック機構の検出部423として複数個(2個あるいは3個以上)のスイッチを設ける場合がある(特開2009-32412号公報、特開2002−116668号公報参照)。検出部423を複数個設けることで、検出部423としての一つのマイクロスイッチが焼き付きを起こして通電状態(ON状態)となっても、他のスイッチにより確実にOFFすることができ、あるいはカバーを開いた際に切断するべき電源ラインが、複数の電圧(例えば、5V,12V,24V等)を使用している場合にも対応することが可能となる。以下に複数の検出部423を使用した実施形態を説明する。
複数の検出部423(例えば二つの検出部423)は、図14に示すように、第2回転部材422の回転軸方向に配置することができる。この場合には、第2回転部材422のカム面422cの軸方向寸法を増し、共通のカム面422cに各検出部423のレバー423bを接触させる。かかる構成は、第2回転部材422の回転軸方向にスペースの余裕があり、第2スライド部材421のスライド方向にスペースの余裕がない場合に適合する。
また、複数の検出部423を、図15に示すように第2スライド部材421のスライド方向に配置することもできる。この場合には、第2回転部材422を検出部423と同数分だけ設置する必要がある。かかる構成は、第2スライド部材421のスライド方向にスペースの余裕があり、第2回転部材422の回転軸方向にスペースの余裕がない場合に適合する。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加え得ることは勿論である。本発明にかかる画像形成装置は、図1に示す画像形成装置に限らず、モノクロ画像形成装置や、その他の複写機、プリンタ、ファクシミリ、あるいはこれらの複合機等であってもよい。