本願発明の内容を以下の通りに説明する。
(本願発明の印刷システムの概要の説明)
(第1実施形態)
A.装置構成:
A−1.本実施例の印刷装置(インクジェットプリンター)の構造:
A−2.本実施例の印刷システムの構成:
B.インク残量管理処理:
B−1.インク残量管理処理:
B−2.インク残量管理処理の中のインクレベルチェック処理:
B−3.インク補充処理:
(第2実施形態)
C.装置構成:
C−1.本実施例の印刷装置の構造:
C−2.本実施例の印刷システムの構成:
D.インク残量管理処理:
D−1.インク残量管理処理:
D−2.インク残量管理処理の中のインクレベルチェック処理:
D−3.インク補充処理:
(第3実施形態)
E.装置構成:
E−1.本実施例の印刷装置の構造:
E−2.本実施例の印刷システムの構成:
F.インク残量管理処理:
F−1.インク残量管理処理:
F−2.インク残量管理処理の中のインクレベルチェック処理:
F−3.インク補充処理:
G.変形例:
(本願発明の印刷システムの概要の説明)
本発明は、ユーザー(操作者)が実際のインクタンクの液面レベルの位置が下限ラインの上か下かを選択することにより、ユーザー(操作者)にインクタンクにインクを補充したほうがよいかどうかを考えさせることなく、ユーザー(操作者)に容易にインク補充を促すものである。
この発明は、ユーザー(操作者)に容易な指示をすることで、ユーザー(操作者)が適切なタイミングでインクボトルなどからインクを補充することで大量の印刷が可能でありながら、劣化の進んだインクが補充されて噴射ヘッドの内部で目詰まりが生じることを回避可能な技術の提供を目的とする。
図22に、本願発明の印刷システム10の基本的な構成例を示す。印刷システム10は、情報処理装置(コンピューター)200及び印刷装置(インクジェットプリンター)100を含む。情報処理装置200は、処理部210、表示部202、入力部203、通信部205及び記憶部206を含む。処理部210は、表示制御部211、入力受付部212、通信処理部213、記憶制御部214を含む。なお、本願発明の印刷システム10は図22の構成に限定されず、その構成要素の一部を省略したり、他の構成要素に置き換えたり、他の構成要素を追加するなどの種々の変形実施が可能である。
通信処理部213は、インクタンクからのインク(印刷材)に基づいて印刷動作を行う印刷装置100との間の通信処理を行う。具体的には、通信処理部213は、通信部205を介して印刷装置100との間の通信処理を行い、例えば印刷装置100に対して印刷データ(画像データ)や指示情報(コマンド)などを送信し、印刷装置100からインク量推定情報(インク量の計数値)などを受信する。指示情報(コマンド)は、例えば印刷動作を指示する印刷コマンドやインク量推定情報を変更する指示情報などである。インク量推定情報は、例えば印刷装置100が有するRAM又はEEPROMに記憶されている各インクタンクのインク残量の計数値(又は、インク使用量の計数値)である。
表示制御部211は、表示部202の表示制御を行い、例えばユーザーがインクタンクのインク量を確認入力するための確認画面(選択画面もしくはインクレベルチェック画面ともいう。)を表示する制御を行う。また、表示制御部211は、インクタンクへのインク注入を指示する指示画面やユーザーがインクボトルの識別情報を入力するための入力画面などを表示する制御を行う。確認画面(選択画面)、指示画面及び入力画面の詳細については後述する。
入力受付部212は、ユーザーの入力情報を受け付ける。具体的には、入力受付部212は、入力部203を介してユーザーの入力情報を受け付け、例えば確認画面において、ユーザーが、インク量推定情報に基づいて推定される推定インク量を変更するインク量変更情報を入力した場合に、入力されたインク量変更情報を受け付ける。或いは、ユーザーが推定インク量を確認したことを示すインク量確認情報を入力した場合に、入力されたインク量確認情報を受け付ける。入力受付部212は、インク量変更情報及びインク量確認情報のどちらか一方を受け付けてもよいし、両方を受け付けてもよい。
推定インク量は、印刷装置100から受信したインク量推定情報により推定されるインクタンク内のインク残量の推定値であって、例えば0〜100%の値をとる。なお、インク量推定情報が推定インク量と同一であってもよい。インク量変更情報は、ユーザーが目視により確認したインク残量が推定インク量と異なる場合に、ユーザーがインク量を変更するために入力する情報である。インク量確認情報は、後述する図28(A)、図28(B)の確認画面において、ユーザーが推定インク量を確認したことを示す情報である。
通信処理部213は、推定インク量とインク量変更情報とに基づいて、印刷装置100に対して、インク量推定情報を変更する指示情報(コマンド)を送信する。
表示制御部211、入力受付部212、通信処理部213及び記憶制御部214のそれぞれの機能は、情報処理装置(コンピューター)200のOS(オペレーティングシステム)と協同して印刷装置の制御や印刷装置への設定をするためのプログラムにより実現される。即ち、後述するインク残量管理処理、インクレベルチェック処理、インク補充処理などは、情報処理装置200を制御するプログラムに基づいて実行される。プログラムは、後述するプリンタードライバー、又はプリンターユーティリティーを含む。図22では、情報処理装置上での処理機能別に、プログラムの機能を図示している。
このプログラムは、コンピューター読み取り可能な記憶媒体に記憶される。記憶媒体としては、DVDやCD等の光ディスク、光磁気ディスク、ハードディスク(HDD)、不揮発性メモリーやRAM等のメモリーなど、情報処理装置(コンピューター)によって読み取り可能な種々の記憶媒体を想定できる。
表示部202は、例えば液晶ディスプレイ等の表示装置であって、表示制御部211の制御により画像データを表示する。入力部203は、例えばキーボード、マウス(ポインティングデバイス)等の入力装置であって、ユーザーが情報処理装置200に情報を入力するために使用する。通信部205は、例えばUSBなどのインターフェース装置であって、情報処理装置200と印刷装置100との間の通信を行う。記憶部206は、例えばDRAMなどの記憶装置であって、情報処理装置200が実行する処理に必要なプログラムやデータなどを記憶する。
本願の印刷装置は、4色のカラー印刷装置で、各インク(印刷材)毎にユーザー(操作者)が補充可能なインクタンク151を備えている。インクタンク151には下限ライン153(図8参照)が付してある。インク液面のレベルが下限ライン153と同じレベルとなっていれば、印刷装置の製造メーカーが提供するインクボトル1本分のインクをインクタンク151に補充できる。印刷装置は、印刷画像データに基づき算出したインク消費量とヘッドのメンテナンスに使用したインク消費量との合計を累積してカウントしており、このカウントから各インク毎のインクタンク内のおおよそのインク残量を記憶している。以下、印刷装置が記憶しているカウントのインク残量を、インク量推定情報(計数値)という。計数値は、インクボトル1本分のインク量を100%とし、インクボトル1本分のインク量をもとにした割合で記憶されている。インク量推定情報により推定されるインク残量を推定インク量という。
印刷装置は、インク残量の推定インク量(計数値)が所定の限界値(以降、下限値ともいう。例えば、推定インク量(計数値)が0%が所定の限界値に相当する。)となるインクが1つでもあれば印刷を実行しない。印刷装置のインク残量のカウントは、インクタンク内へインクボトルからインクを補充するときに、インクボトルの識別情報(ID、識別番号)が所定の条件を満足しているとプリンタードライバーが判定すると、プリンタードライバーがインク量推定情報をリセットするためのコマンドを印刷装置に指示することにより、インク残量の推定インク量(計数値)が初期値(インク残量100%)に更新されて印刷装置に記憶される。ヘッドの空打ちによる印刷装置の故障を防止するため、及び、様々な環境で印刷装置が使用されることを想定し、推定インク量(計数値)のインク0%となったときにもインクタンク内にはインク量の5%よりもわずかに多いインクが存在するように設計されている。
図20(A)、図20(B)、図20(C)は、標準的な環境で標準的に印刷装置を使用した場合の推定インク量(計数値)のインク残量とインクタンク151内のインク液面の位置関係を示す図である。図20(A)は、インクタンクの斜視図と下限ラインを持つ面を正視した状態のインクタンクの図とともに、推定インク量(計数値)のイメージ図を示す。図20(A)では、推定インク量(計数値)のインク残量が0%となったときにインク液面レベルが下限ライン153上にあり、その後、ユーザー(操作者)によりインクタンクにインクボトルからインクを補充した直後のインクタンク151と推定インク量(計数値)のインク残量のイメージを示す。インクタンクにはインクボトル1本分のインクが補充されてフルになっており、推定インク量(計数値)のインク残量は100%となっている。
図20(B)は、図20(A)の状態から標準的に印刷装置を使用した後のインクタンク内のインク液面の位置とカウントのインク残量を示す。インクタンク内のインク液面レベルは下限ライン153上にあり、推定インク量(計数値)のインク残量は下限値(0%)となっている。
しかし、実際にインクタンクから消費されるインク量は、インクジェットプリンター100の使用環境(周囲の温度や湿度など)やインクジェットプリンター100の個体差によって変動するので、推定インク量(計数値)と実際のインクタンクのインク残量には差がでてくる。この差は、インクが蒸発しやすい印刷環境に印刷装置があること、インクジェットプリンター100に投入される印刷JOB数が多くなること、また、ユーザー(操作者)のヘッドクリーニング指示が多くなること、などで大きくなる。この場合には、推定インク量(計数値)が0%となっているときに下限ラインよりも実際のインク液面が下回っている可能性がある。そこで、噴射ヘッドの空打ちを防止するために、推定インク量(計数値)が0%となったときの下限ライン153よりも下方にインクが残るようにしておく。
他方、推定インク量が0%となり、印刷ができないにもかかわらず、インクタンク内には下限ラインよりもわずかに上の位置にインク液面レベルがあるようにインクが残る場合もある。この場合、インクタンク内にインクが残っており、インクボトルから1本分のインクを補充できない可能性があるが、ユーザーがインクボトルからインクを補充し、かつ、プリンタードライバーにインクボトルのIDを入力し、プリンタードライバーがIDを正しいものと判定し、プリンタードライバーが推定インク量を初期値に戻すためのコマンドを印刷装置に送信する処理のみでしか印刷実行への復帰ができないとすると、インクボトル内に残ったインクは、劣化が進んだのちにインクタンクに再補充される可能性がある。そこで、推定インク量が0%になっていても、インクが下限レベルに達していないときには、その旨をユーザー(操作者)がプリンタードライバーに入力することで、プリンタードライバーが印刷装置に推定インク量を所与の補正値(所定値)分戻す(たとえば、残量0%から残量5%)ことにしている。
このとき、推定インク量を5%に戻したときのインク液面レベルが下限ラインをわずかに上回っている場合には、少なくとも下限ラインよりも下に所定値分(5%分)の予備のインク容量を確保しておくことで、ヘッドの空打ちを防止することができる。
図20(C)は、印刷装置の使用例にもとづく、インクタンク内のインク液面レベルとカウントのインク残量の遷移を示した図である。
状態1は、推定インク量(計数値)が下限値(0%)となっているが、インクタンクの液面レベルが下限ラインよりを上回っている。
状態2は、状態1から、プリンタードライバーが、ユーザー(操作者)から下限ラインよりも液面レベルが上回っていることを示す入力を受け付けた後の状態を示す。インクタンクの液面レベルは状態1と同じである。インク残量を示す推定インク量(計数値)のカウンターが0%から5%となっている。
状態3は、状態2からさらに印刷を実行し、再び推定インク量(計数値)が0%となった状態である。インクタンクの液面レベルは下限ラインを下回り、インクタンクにわずかにインクが残る状態となっている。
状態4は、状態3の後、プリンタードライバーがユーザー(操作者)から液面レベルが下限ラインを下回っていることを示す入力を受け付け、さらに、ユーザー(操作者)によりインクタンクにプリンタードライバーが印刷続行が可能と判断できるIDを持つインクボトルからインクが補充された後の状態を示す。インクタンクにはインクがほぼ満杯の状態で、推定インク量(計数値)は100%となっている。
上述したように、本発明では、推定インク量が0%には達していないものの所定値未満となっている場合には、実際のインクタンク内のインクレベルが下限ラインを下回っており、インクボトル1本分のインク補充が可能な状態となっている場合もある。そこで、本発明では、推定インク量が所定値未満となったら、インク残量チェック画面にユーザー(操作者)にインクタンクの実インクのレベルが下限ラインを上回っているか、下回っているか入力を可能とし、入力を促す表示を出している。
これにより、本発明は、ユーザー(操作者)の誤操作を防止して、ヘッドの空打ちを防止し、劣化したインクがインクボトルからインクタンクに補充されることを防止しつつ、継続した印刷の実行が可能な印刷システムを提供するものである。以降、本発明の仕組みによる印刷システムについて詳述する。
(第1実施形態)
A.装置構成:
A−1.本実施例のインクジェットプリンターの構造:
図1は、本実施例の印刷装置としてのインクジェットプリンター100を例示した説明図である。図示したインクジェットプリンター100は、略箱形の外観形状をしており、前面のほぼ中央には前面カバー103が設けられ、背面側には、印刷用紙1をセットする給紙トレイ101が設けられている。また、インクジェットプリンター100の前面側で、前面カバー103の隣に相当する位置には複数の操作ボタン105が設けられており、更に、操作ボタン105が設けられた箇所の上面側には、タッチパネル式のモニター画面104が設けられている。前面カバー103は下端側で軸支されており、上端側を手前に倒すと、印刷用紙1が排出される細長い排紙口102が現れる。給紙トレイ101に印刷用紙をセットして、モニター画面104あるいは操作ボタン105を操作すると、給紙トレイ101から印刷用紙1が吸い込まれる。そしてインクジェットプリンター100の内部で、印刷用紙1の表面に画像が印刷された後、排紙口102から排出されるようになっている。
インクジェットプリンター100の側面には、箱形形状のタンクケース150が設けられている。詳細には後述するが、タンクケース150の内部には複数のインクタンクが設けられており、インクジェットプリンター100が印刷に用いるインクは、このインクタンクから供給されるようになっている。
また、印刷する画像のデータ(画像データ)は、インクジェットプリンター100に接続されたコンピューター(情報処理装置)200によって画像処理が施された後、インクジェットプリンター100に供給される。インクジェットプリンター100は、コンピューター200から画像処理後の画像データを受け取ると、印刷用紙1上にインクによるドットを形成するか否かを表したドットデータに変換して、得られたドットデータに従って印刷用紙1上にインクを噴射することによってドットを形成する。その結果、印刷用紙1上に画像が印刷される。すなわち、本実施例では、インクジェットプリンター100と、画像データに所定の画像処理を施してインクジェットプリンター100に供給するコンピューター200とによって印刷システム10が構成されていることになる。
A−2.本実施例の印刷システムの構成:
図2は、本実施例の印刷システム10の全体構成を示した説明図である。また、図中には、インクジェットプリンター100の大まかな内部構造も示されている。先ず初めに、インクジェットプリンター100の内部構造について簡単に説明する。図2に示されるように、インクジェットプリンター100の内部には、印刷用紙1の上で往復動するキャリッジ110が設けられており、キャリッジ110には、インクを噴射する噴射ヘッド112が設けられている。本実施例のインクジェットプリンター100では、シアン(以下C)色、イエロー(以下Y)色、マゼンタ(以下M)色、黒(以下K)色の4色のインクを用いて画像を印刷可能であり、このことに対応して、インクの色毎に噴射ヘッド112が設けられている。
キャリッジ110は、図示しない駆動機構に駆動されて、ガイドレール130によってガイドされながら印刷用紙1の上で往復動を繰り返す。また、インクジェットプリンター100には図示しない紙送り機構も設けられており、キャリッジ110が往復動する動きに合わせて印刷用紙1が少しずつ紙送りされていく。そして、キャリッジ110が往復動する動きと、印刷用紙1が紙送りされる動きとに合わせて、噴射ヘッド112から、C色のインク(以下、Cインク)、Y色のインク(以下、Yインク)、M色のインク(以下、Mインク)、あるいはK色のインク(以下、Kインク)を噴射することによって、印刷用紙1に画像が印刷される。
噴射ヘッド112から噴射されるインクは、タンクケース150内に設けられたインクタンク151に収容されている。本実施例のインクジェットプリンター100では、Cインク、Yインク、Mインク、Kインクの4種類のインクを使用することから、インクタンク151もインクの種類毎に、Cインク用のインクタンク151C、Yインク用のインクタンク151Y、Mインク用のインクタンク151M、およびKインク用のインクタンク151Kの4つのインクタンク151が設けられている。尚、本明細書中では、特にインクの種類を区別する必要がない場合には、インクの種類毎のインクタンク151C,151Y,151M,151Kをまとめて単にインクタンク151と称することがあるものとする。これらインクタンク151内のインクは、インクの種類毎に設けられたインクチューブ117を介して、インクの種類毎の噴射ヘッド112に供給される。
更に、キャリッジ110がガイドレール130に沿って印刷用紙1の外側まで移動した位置には、ホームポジションと呼ばれる領域が設けられており、インクジェットプリンター100が画像を印刷していない間は、キャリッジ110はホームポジションに移動している。ホームポジションには、キャップ122が設けられており、このキャップ122は図示しない昇降機構によって上下方向に移動可能となっている。そして、キャリッジ110をホームポジションに移動した状態で、キャップ122をキャリッジ110の底面側に押し当てると噴射ヘッド112を覆うように閉空間が形成され、噴射ヘッド112内のインクが乾燥することを防止可能となっている。また、キャップ122には、負圧チューブ124を介して負圧ポンプ120が接続されており、キャリッジ110の底面側にキャップ122を押し当てた状態で負圧ポンプ120を作動させることで、噴射ヘッド112内のインクを吸い出すことが可能となっている。このため、噴射ヘッド112内で乾燥が進んでインクの粘度が増加してしまった場合でも、そのようなインクを吸い出して、噴射ヘッド112内のインクを適切な粘度に維持しておくことが可能である。
また、インクジェットプリンター100には、論理演算や算術演算を行うCPUや、各種のプログラムやデータを記憶しているROM、EEPROM、CPUが一時的にデータを記憶するRAMなどによって構成された制御部140が搭載されている。制御部140は、コンピューター200から画像処理後の画像データを受け取ると、その画像データが表す画像を、インクのドットによって表現した画像データ(ドットデータ)に変換する。そして、ドットデータに従って、キャリッジ110が往復動する動作や、印刷用紙1を紙送りする動作、噴射ヘッド112がインクを噴射してドットを形成する動作を制御する。また、インクのドットを形成すると、その分だけのインクが消費されて、インクタンク151内のインク残量が減少していく。そこで本実施例の制御部140では、インクの種類毎のドットデータに基づいて、インクの種類毎にインクタンク151内のインク残量を計数してEEPROMに記憶しており、インク残量が所定の下限値(限界値)に達すると(計算上でインクがなくなると)、噴射ヘッド112からインクを噴射する動作を停止する。こうすることで、インクが供給されない状態で噴射ヘッド112が駆動されたために、噴射ヘッド112が大きなダメージを受けることを回避することが可能となる。
コンピューター200は、CPUや、ROM、RAMなどがバスによって相互にデータを通信可能に接続されて構成されており、ROMに記憶されている各種のプログラムを実行する。また、コンピューター200には、表示部(モニター画面)202も搭載されている。ROMに記憶された複数のプログラムの中には、プリンタードライバー204と呼ばれるプログラムが記憶されている。コンピューター200のユーザー(操作者)(インクジェットプリンター100のユーザー(操作者)でもある。すなわち、コンピューター200とインクジェットプリンター100からなる印刷システム10を利用するユーザーである。以下、単にユーザー(操作者)と記載する。)が、文書作成アプリケーションなどからドキュメントの印刷を実行すると、CPUがOSからの制御に基づいてプリンタードライバー204を起動する。プリンタードライバー204は、印刷しようとする画像データに対して所定の画像処理を施し、インクジェットプリンター100に出力する。
また、本実施例のプリンタードライバー204の動作を、その印刷システムとしての機能に着目して分類すると、印刷対象の画像データに対して画像処理を施す機能に関する部分(画像変換モジュール)や、インクジェットプリンター100と相互に通信しながらインクタンク151のインク残量を管理する機能に関する部分(インク残量管理モジュール)や、インク残量管理モジュールから起動されてインクタンク151にインクを補充するための機能に関する部分(インク補充モジュール)などに分類することができる。尚、ここで言う「モジュール」とは、プリンタードライバー204の動作を、機能に着目して大まかに分類した仮想的な概念であり、実際には種々の形態で具現化することができる。たとえば、所望の機能が実現されるように複数のコマンドを連ねたプログラムコード群として具現化することもできるし、あるいは、所望の機能をハードウェア的に実現するLSI群として具現化することもできる。
上述したように画像変換モジュールでは、印刷しようとする画像の画像データに対して所定の画像処理を施してインクジェットプリンター100に出力しているが、この処理自体は、一般的なプリンタードライバーで行われている処理と同様であるため、ここでは説明は省略する。また、本実施例のプリンタードライバー204では、インク残量管理モジュール及びインク補充モジュールがインクジェットプリンター100とデータを通信しながら、以下に説明するインク残量管理処理、インク残量修正処理およびインク補充処理を実行することにより、インクジェットプリンター100でインク切れが発生して印刷できなくなる事態を回避するための印刷システム10の操作をユーザー(操作者)に案内している。更に、適正でない性状のインクが補充されて噴射ヘッド112の内部で目詰まりが発生することを防止するための印刷システム10の操作をユーザー(操作者)に案内している。以下では、こうした機能を実現するために、本実施例のプリンタードライバー204の内部でインク残量管理モジュールが実行している処理について説明する。
B.インク残量管理処理:
B−1.インク残量管理処理:
図3は、本実施例のプリンタードライバー204の中で行われるインク残量管理処理を示したフローチャートである。この処理は、プリンタードライバー204のインク残量管理モジュールが、インクジェットプリンター100の制御部140と通信しながら実行する処理である。プリンタードライバー204がインストールされたコンピューター200の電源がONであり、コンピューター200に接続されたインクジェットプリンター100の電源がONであるときに、常に実行されている処理である。
図3に示すようにインク残量管理処理では、先ず初めに、インクジェットプリンター100の制御部140から、インクタンク151内のインク残量を示す推定インク量(計数値)をインクの種類毎に取得する(ステップS100)。図2を用いて前述したように、インクジェットプリンター100の制御部140では、コンピューター200から受け取った画像データをドットデータ(画像をインクドットによって表現した画像データ)に変換して噴射ヘッド112やキャリッジ110の動作などを制御するとともに、ドットデータに基づいてインクタンク151のインク残量をインクの種類ごとに計数し、それを累積して記憶している。印刷装置の電源がONしている時には、累積したインク残量をRAMに記憶し、印刷装置の電源がOFFされるときには、RAMに記憶しているインク残量をEEPROMに記憶している。また、噴射ヘッドのクリーニングのために、負圧ポンプによって噴射ヘッドから吸い出されたインクの量、また、噴射ヘッドのメンテナンスのために、負圧ポンプによらず噴射ヘッドから吐出したインクの量も含めてインク残量を計数している。以下、制御部140で計数し、RAMもしくはEEPROM内で記憶している各インクタンク毎のインク残量を単にインク残量もしくはインク量の推定インク量(計数値)という。尚、以下の処理は、すべて各色のインク毎に行われていることから、特にインクの種類を特定せずに行った説明は、すべてのインクについて該当するものとする。
インクジェットプリンター100の制御部140からインク残量を取得したら、取得したインク残量が、所定の下限値(ここでは0%)に達したか否かを判断する(ステップS102)。その結果、何れかのインクタンク151のインク残量が所定の下限値まで減少していた場合は(ステップS102:yes)、インクレベルチェック処理(ステップS200)を開始する。詳細は後述するがインクレベルチェック処理とは、ユーザー(操作者)にインクタンク151のインク残量を確認してもらうための処理である。ユーザー(操作者)に、インクタンク151内のインク液面レベルがインクタンクに付された下限ライン153を上回っているか、インク液面レベルが下限ライン153を下回っているかを確認してもらい、その確認結果をプリンタードライバーが表示する画面に入力を促し、その入力結果に基づき、プリンタードライバーが、推定インク量(計数値)が下限値となっているもののユーザー(操作者)の確認結果によりインクタンク内に下限ラインよりも上にインク液面レベルがあると判定したインクについて、インクジェットプリンター100の制御部で計数しているインク残量を修正する。
一方、S102で、インクジェットプリンター100から取得したインク残量が未だ下限値に達していない場合は(ステップS102:no)、インク残量を確認するための所定の操作が、ユーザー(操作者)によって行われたか否かを判断する(ステップS104)。インク残量を確認するための所定の操作とは、たとえば、ユーザー(操作者)がコンピューター200からプリンタードライバー204を起動してプリンタードライバー204のウインドウを開き、開かれたウインドウからインク残量確認のボタンをクリックするような操作である。その結果、インク残量を確認するための操作が行われていない場合は(ステップS104:no)、処理の先頭に戻る(S100に回帰。)。
これに対して、ユーザー(操作者)がインク残量を確認するための所定の操作を行った場合は(ステップS104:yes)、インク残量管理モジュールは、各インクタンク内のインク残量(推定インク量(計数値))について、下限値よりも大きく、所定値(たとえば、インク残量5%)以下のインクがあるかどうかを判定する(ステップ:S106)。
この結果、インク残量が下限値よりも大きく、所定値以下のインク残量(推定インク量(計数値))であるインクが少なくとも1つあれば、インクレベルチェック処理S200に移行する。この処理は、S102のインク残量が下限値に達しているものがあった場合の処理と同じ処理である。これについては、後述する。
他方、S106の判定の結果、すべてのインクタンク内のインク残量の推定インク量(計数値)が所定値よりも大きい値であったときには、インク残量が所定値よりも多いことを示すインク有り画面を表示する(ステップS108)。
図4は、すべてのインクについて、インクタンク内のインク残量(推定インク量(計数値))が所定値よりも大きかった場合に、表示部(モニター画面)202に表示されるインク有り画面401である。
Cインク、Yインク、Mインク、およびKインクのそれぞれについて、インク残量の推定インク量(計数値)が所定値よりも大きいことを示す「通常」の画像402が表示されている。また、「通常」の表示の下側には、2つのチェックボックス(□above、□below)がグレーで表示されている。これは、ユーザー(操作者)に実際のインクタンクを目視した結果、下限ラインよりもインクが上にあるか、下限ライン以下であるかに応じてチェックを入れてもらうためのボックスである。ここでは、インク残量管理モジュールはすべてのインク色について、推定インク量(計数値)は所定値よりも大きく、インクタンクへのインクの補充は必要ないと判断しているため、チェックボックス403はグレーで表示され、ユーザー(操作者)の入力が無効となる状態となっている。
この後、ユーザー(操作者)による「閉じる」ボタン404の選択有無を判定する(ステップS110)。閉じるボタン404が選択されたと判定すると、S100に回帰する。「閉じる」ボタンが選択されないときはS108に戻り画面の表示を続ける。
B−2.インクレベルチェック処理:
図5にインク残量管理モジュールにより実行されるインクレベルチェック処理のフローチャートを示す。インクレベルチェック処理は、インク残量管理モジュールがインクジェットプリンター100から取得したインク残量が所定の下限値に達していると判断した場合(ステップS102:yes)、あるいは、ユーザー(操作者)によるインク残量確認操作があり、そのときにインク残量が所定値以下に達していると判断した場合(ステップS106でYesのとき)に起動する処理である。まず、モニター画面に、確認画面(インクレベルチェック画面)を表示する(ステップS200)。
このように、表示制御部211は、確認画面として、インクタンクのインクレベルが下限値に対応するレベルの上にあるか、又は、下にあるかを選択する選択画面を表示する制御を行う。
図6と図7は、選択画面(確認画面、インクレベルチェック画面)の例である。図6の選択画面(インクレベルチェック画面)601は、インク残量管理モジュールがS102で印刷装置より取得したインク残量(推定インク量(計数値))の中で下限値に達したインク(図6の例では、イエローインク)があった場合の選択画面(インクレベルチェック画面)である。Cインク、Yインク、Mインク、およびKインクのそれぞれについて、印刷装置から取得したインク残量に基づきインク残量を示す画像が表示されている。図中に表示されたYインクのインク残量を示す画像は、黒丸の中に白抜きの×印を組み合わせた図形602となっている。これは、印刷装置から取得したインク残量が下限値に達しており、インクタンク内の実際のインク残量が下限値まで減少している(インクタンク151がほとんど空になっている)場合に、インク残量管理モジュールが表示する図形である。また、Cインク、Mインクのインク残量を示す画像には、三角形の中に!印を組み合わせた図形603となっている。これは、印刷装置から取得したインク残量が下限値に達していないものの所定値以下となっている場合に、インク残量管理モジュールが表示する図形である。更に、Kインクのインク残量を示す画像は、「通常」となっており、このインクについては、インクを補充可能なレベルにまでインク残量が減少していない旨が示されている。
図7の選択画面(インクレベルチェック画面)701は、インク残量管理モジュールが印刷装置より取得したインク残量(推定インク量(計数値))の中で、下限値に達したインクはないものの、下限値より大きく所定値以下のインク残量であるインクが少なくとも1つあった場合の選択画面(インクレベルチェック画面)である。(S106でYesを経て、インクレベルチェック処理に移行した後に表示される画面。)この例では、Cインク、Yインク、Mインクのインク残量が下限値より大きく所定値以下となっており、各々のインク残量を示す図形として、三角形の中に!印を組み合わせた図形702が表示されている。更に、Kインクのインク残量を示す画像は、「通常」となっており、このインクについては、インクを補充可能なレベルにまでインク残量が減少していない旨が示されている。
図6、図7に示したように、ステップS200でインク残量管理モジュールが表示する選択画面(インクレベルチェック画面)では、インクレベルが所定値未満となっているインクについて、□aboveと□belowのチェックボックス604、704が黒で示され、ユーザー(操作者)のチェック入力が有効な状態となっている。また、□aboveと□belowのチェックボックスは、同時にチェック状態となることはなく、択一的なチェックの入力を許可する。
このように、表示制御部211は、インクレベルが下限値に対応するレベルの上にあることをユーザーに選択させる第1のチェック領域(□aboveのチェックボックス)と、インクレベルが下限値に対応するレベルの下にあることをユーザーに選択させる第2のチェック領域(□belowのチェックボックス)とが表示された画面を、選択画面として表示する制御を行う。
また、ユーザー(操作者)に、インクタンクのインク液面の位置を目視して、インクタンク内に実際に残っているインク残量(以降、実際のインク残量という。)を確認するように促すメッセージ605、705を表示する。
図1を用いて前述したように、インクタンク151はタンクケース150内に収容されているが、タンクケース150には確認窓が設けられている。このため、ユーザー(操作者)は、それぞれのインクタンク151内のインク残量を容易に確認することが可能となっている。
図8は、タンクケース150に設けられた確認窓152からインクジェットプリンター100を観た図である。確認窓152から、インクタンク151内の実際のインク残量を確認できる。図示されているように、タンクケース150の側面には大きな確認窓152が形成されており、タンクケース150内に収容されたCインクのインクタンク151C、Yインクのインクタンク151Y、Mインクのインクタンク151M、Kインクのインクタンク151Kを、ユーザー(操作者)がそれぞれ目視できるようになっている。また、それぞれのインクタンク151C,151Y,151M,151Kは、透明あるいは半透明な樹脂材料で形成されている。このため、それぞれのインクタンク151C,151Y,151M,151Kに残ったインクの液面の位置を目視によって確認することが可能である。
また、図8に示されているように、それぞれのインクタンク151C,151Y,151M,151Kには、下限ライン153がついている。この下限ライン153は、図3に示したインク残量管理処理の中でインク残量について判断された「下限値」に対応している。すなわち、下限ライン153は、インクタンク151が満タンの状態からドットデータに基づいてインク噴射量を減算して行き、インク残量が下限値まで減少したときに、インクタンク151内のインクの液面がちょうど低下する位置に設定されている。すなわち、所定の環境で、標準のインクジェットプリンター100を使用したときに、インクタンク151にインクボトルからインクボトル内の全てのインクが充填されたときの、インクタンクの実際のインク量に対応する制御部140でのインク残量(インク残量100%)から、インク噴射量を減算していき、インク残量が所定の下限値まで減少したときに、実際のインクタンク151のインクの液面が位置する箇所が下限ラインとなるように設定されている。
図9は、タンクケース150の確認窓152からインクタンク151内のインク液面の位置を確認する様子を示した説明図である。図中に示した破線は、タンクケース150内に収容されたインクタンク151を表している。上述したようにインクタンク151は、透明あるいは半透明な樹脂材料で形成されているから、インクタンク151内のインク液面の位置を目視で確認することができる。また、図中に一点鎖線で示されているように、確認窓152からはインクタンク151に設けられた下限ライン153も、目視によって確認することができる。従って、ユーザー(操作者)は、それぞれのインクタンク151内のインク液面が、下限ライン153に達しているか否かを容易に確認することが可能である。
尚、前述したように、インクタンク151の下限ライン153は、インクタンク151の底面よりも少しだけ上の位置に設けられている。すなわち、インク液面が下限ライン153に達しても、そのインクタンク151内には、まだ一定量(インクフルを100%としたときの5%よりもわずかに多い量:Vrs)のインクが予備インクとして残っている。
以上に説明したように本実施例では、インク残量管理モジュールが、制御部140が計算しているインク残量が所定の下限値まで低下したと判断すると、図6に例示するような選択画面(インクレベルチェック画面)が表示される。そして、ユーザー(操作者)は、確認窓152から各インクタンク151内のインク液面の位置が、下限ライン153に達しているか否かを確認する。その結果を選択画面(インクレベルチェック画面)のチェックボックス□above、□belowのいずれかにチェックをいれるようになっている。
図5のステップS200に戻って、以降の処理を説明する。インク残量管理モジュールはS200で選択画面(インクレベルチェック画面)を表示した後、ユーザー(操作者)の入力を待機する(ステップS201)。
図6あるいは図7の選択画面(インクレベルチェック画面)で、ユーザー(操作者)が「キャンセル」ボタン606、706を選択(クリック)した場合には、S100へ回帰する。(インク残量の推定インク量(計数値)が下限値のものがあれば、再度、S100からインクレベルチェック処理に進み、選択画面(インクレベルチェック画面)607が表示される。インク残量の推定インク量(計数値)が、下限値のものはなく、全て所定値以下で下限値よりも大きければ、画面は閉じられる。)
図6あるいは図7の選択画面(インクレベルチェック画面)で、aboveもしくはbelowのチェックボックスにチェックが入れられた場合には、チェックボックスが入力可能となっているインクのチェックボックス全てについて、ユーザー(操作者)によるaboveもしくはbelowのチェックが終了しているかどうかを判断する(ステップS202)。
チェックボックスが入力可能状態となっているインク全てについて、ユーザー(操作者)のaboveとbelowの択一的なチェックが終了していない場合にはステップS201に戻りユーザー(操作者)の入力を待つ。
チェックボックスが入力可能状態となっているインク全てについて、ユーザー(操作者)のaboveとbelowの択一的なチェックが終了した場合には、チェックボックスがチェックされていない状態ではグレー表示されていた「次へ」ボタン(607、707)をユーザー(操作者)が選択可能な状態とし、「次へ」ボタンの表示を黒とし、その状態をユーザー(操作者)のクリック受付可能な有効な状態とする(ステップS203)。図10は、図6の選択画面(インクレベルチェック画面)を表示した後、インク残量管理モジュールが、入力可能な全てのチェックボックスがチェックされた状態となったと判定した後の選択画面(インクレベルチェック画面)を示す。これは、実際のインクタンクのインクレベルが図9の状態であったときに、ユーザー(操作者)が選択画面(インクレベルチェック画面)にチェックを入力した状態である。
図9では、Cインクのインク液面レベルが下限レベルを下回りっている。YインクとMインクのインク液面レベルは、下限ラインを上回っている。このため、ユーザー(操作者)は、選択画面(インクレベルチェック画面)1001でCインクについてはbelowのチェックボックス1002を、YインクとMインクについてはabove1003を選択している。そして、インク残量管理モジュールは、「次へ」ボタン1004の文字をグレーから黒の表示に変更し、ユーザー(操作者)からの選択を受付可能な状態にしている。
次にインク残量管理モジュールはユーザー(操作者)の入力を待機する(ステップS204)。ここで、ユーザー(操作者)が「キャンセル」ボタン1005を選択した場合にはS100に回帰する。
このように、入力受付部212は、インク量変更情報として、ユーザーにより確認入力されたインクタンクのインク量が下限値より小さいか、又は下限値より大きいかを示す情報を受け付ける。
ユーザー(操作者)が「次へ」ボタン1004をクリックし、次のステップに進むことを選択すると、インク残量管理モジュールは、推定インク量(計数値)が下限値を含む所定値以下となっているインクについて、ユーザー(操作者)が選択したチェックしたボックスが全てaboveであるかどうかを判定する(ステップS205)。
推定インク量(計数値)が所定値以下のインクについて、選択画面(インクレベルチェック画面)1001で、ユーザー(操作者)がチェックしたボックスが全てaboveであった場合には、インク残量管理モジュールは、推定インク量(計数値)が所定値以下となっているもののうち、推定インク量(計数値)が下限値となっているものがあるか判定する(ステップS206)。
下限値に達しているインクがあった場合、印刷システムは、インクタンク内の実際のインクは下限ラインに達しておらずインクが残っているにもかかわらず、推定インク量(計数値)が下限値となっているため印刷を実行できない状態にある。インク残量管理モジュールは、インジェットプリンター100を印刷実行可能な状態に復帰させるために、印刷装置に、印刷装置内に記憶されている下限値になっているインクの推定インク量(計数値)を所定カウント分(ここでは5%)戻すための指示を出す(ステップS207)。図6の選択画面(インクレベルチェック画面)が表示されている状態の例では、Yインクの推定インク量(計数値)が下限値となっているため、インク残量管理モジュールは、Yインクの印刷装置が記憶している推定インク量(計数値)を所与の補正値(所定値)分戻すための指示を出す。また、ユーザー(操作者)に対して、「印刷実行が可能」であることを示すメッセージを表示した後、インク残量管理モジュールは、S100に回帰する。
S206の判定で、所定値以下の推定インク量(計数値)の中で推定インク量(計数値)が下限値に達しているものがなかった場合には、ユーザー(操作者)に対して、「印刷の実行が可能」であることを示すメッセージを表示した後インク残量管理モジュールはS100に回帰する。
S205の判断のステップに戻り、ステップS205で、インク残量管理モジュールが、推定インク量(計数値)が所定値以下となっているインクについて、ユーザー(操作者)が選択したチェックしたボックスの中にbelowがあったと判定した場合の処理について説明する。
まず、インク残量管理モジュールは、推定インク量(計数値)が下限値であるもののチェックボックスでaboveが選択されているインクがあれば、インクジェットプリンター100に、制御部140に記憶されている下限値になっているインクの推定インク量(計数値)を所定カウント分戻すための指示を出す(ステップS208)。これはステップS207で、インク残量管理モジュールが印刷装置に対して出した指示と同じである。
このように、推定インク量が下限値であるときに、入力受付部212が、インクタンクのインク量が下限値より大きいことを示すインク量変更情報を受け付けた場合には、通信処理部213は、印刷装置100に対して、推定インク量を下限値より所与の補正値だけ増加させる指示情報を送信する。
また、推定インク量が下限値より大きく、且つ、下限値に近づいたことを表す所定値以下であるときに、入力受付部212が、インクタンクのインク量が下限値より大きいことを示すインク量変更情報を受け付けた場合には、通信処理部213は、印刷装置100に対する、推定インク量を下限値より所与の補正値だけ増加させる指示情報の送信を、非送信にする。
次に、インク残量管理モジュールは、ユーザー(操作者)に対してインクタンクへのインクを補充するための処理を説明する画面を表示する。図11は、インク補充の処理を説明する指示画面(インク補充画面)1101を示す。指示画面(インク補充画面)1101には、タンクケース150を印刷装置から取り外した図が表示されている。インク残量管理モジュールは、インク補充についてのメッセージ1102を表示する。メッセージは「インクタンク内のインクの液面レベルが下限ラインに達しているインクについて、インクタンクに、インクボトルからインクを補充してください。タンクケースをインク補充位置にしてください。インクタンクのキャップをはずし、インクを補充してください。上限ラインを超えないように注意してください。インク補充し、インクタンクをもとの位置にもどしたら、「次へ」ボタンを押してください。」である。また、インクタンク151に設けられた上限ライン157(上限ラインについては後述する。図12参照。)をインク液面が超えないように注意するといった内容も表示する。インクタンクへのインク補充方法については、後述する。
このように、入力受付部212が、インクタンクのインク量が下限値より小さいことを示すインク量変更情報を受け付けた場合には、表示制御部211は、インクタンクへのインク注入を指示する指示画面を表示する制御を行う。
次に、インク残量管理モジュールは、ユーザー(操作者)の入力を待機する(ステップS210)。
ここで、ユーザー(操作者)がインクタンクにインクを補充せずに、「戻る」ボタン1103をクリックすると、S200に回帰し、選択画面(インクレベルチェック画面)を再度表示する。ここで再表示される選択画面(インクレベルチェック画面)は、図7の選択画面(インクレベルチェック画面)と同じ画面となっている。これは、図10のインクタンクのうち、Yインクについて、インク残量が下限値であることを示すマークで選択画面(インクレベルチェック画面)が表示されていたが、S208でYインクの推定インク量(計数値)は所与の補正値(所定値)分戻されているため、インク残量が下限値よりも多く所定値以下であることを示すマークに変更されて表示されるからである。
ステップS210でユーザー(操作者)が、インクを補充せずに「キャンセル」ボタン1104をクリックすると、インク残量管理モジュールは画面を閉じて、S100に回帰する。
ステップS210で、ユーザー(操作者)がインクタンクにインクを補充し、「次へ」ボタン1105をクリックすると、インク残量管理モジュールは、インク補充モジュールを呼び出す。
B−3.インク補充処理:
まず、ユーザー(操作者)によるインクタンクへのインク補充について説明する。図1に示したように、タンクケース150は、インクジェットプリンター100とは別体に構成されており、印刷時にはインクジェットプリンター100の側面に取り付けた状態で使用される。タンクケース150がインクジェットプリンター100に取り付けられたままでは、タンクケース150内のインクタンク151にインクを補充することができない。
図12は、タンクケース150をインクジェットプリンター100から取り外した様子を示す説明図である。図12には、タンクケース150を取り外した後、インクジェットプリンター100に取り付けられていた側の面が上方を向くように、タンクケース150を回転させた状態が示されている。図示されているように、タンクケース150がインクジェットプリンター100に取り付けられる面には、4箇所に小さな突起154が立設されている。また、インクジェットプリンター100の面には、対応する位置に突起154の挿入孔109が設けられている。
タンクケース150をインクジェットプリンター100に取り付ける際には、突起154の位置と挿入孔109の位置とを合わせて、突起154を挿入孔109に押し込むようにする。すると、突起154の先端に設けられた小さな貫通穴の部分が、挿入孔109に嵌合した状態となり、タンクケース150が取り付けられた状態となる。また、タンクケース150を取り外した状態では、タンクケース150の上面に設けられた上面カバー155を倒せるようになる。そして、上面カバー155を倒すと、図12に示したようにインクタンク151が現れる。その結果、それぞれのインクタンク151の側面に表示された上限ライン157を目視によって確認することが可能になる。更に、図12に示すようにタンクケース150を回転させた状態で上面カバー155を倒すことによって、インクタンク151の上面側に設けられたキャップ156を容易に取り外すことが可能となる。
図13には、補充用のインクが収容されたインクボトル160が示されている。インクボトル160は、気密性や遮光性に優れた樹脂材料で形成された略円筒形状の容器であり、容器の頂部にはキャップ162が設けられている。また、インクボトル160の側面には、紙製のラベル164が貼付されており、このラベル164の表側には、後述するインク識別情報(ID番号)が印刷されている。
本実施例のインクボトル160は、キャップ162がインクボトル160に固着した状態で取り付けられており、この状態ではインクボトル160の内部が気密な状態に保たれている。インクを補充する際には、キャップ162をねじ切るようにして取り外すと、中から細長い注ぎ口が現れる。そこで、図12に示したようにタンクケース150を取り外した後、インクタンク151毎に設けられたキャップ156を空けて、インクボトル160内のインクを注入する。
ここで、インクボトル160内のインク量は、インクタンク151のインク液面が下限ライン153まで低下した状態でインクボトル160内の全てのインクを注入すると、インクタンク151がほぼ満タンとなり、インク液面が上限ラインを超えないようなインク量に設定されている。更に、インクボトル160のキャップ162はインクボトル160に固着されているだけなので、インクボトル160から一旦取り外してしまうと、再びキャップ162を取り付けることができないようになっている。このため、図131に示した指示画面(インク補充画面)で表示されるインクボトル160内の全てのインクを補充する旨の注意事項に従って、ユーザー(操作者)は自然と、インクボトル160内のインクを全てインクタンク151内に補充するようになる。
(インク補充モジュールによる処理)
前述したように、ユーザー(操作者)が、補充が必要な全てのインクを補充し、図11の指示画面(インク補充画面)の「次へ」ボタン1105を選択すると、インク残量管理モジュールはインク補充モジュールを呼び出す。以下に、プリンタードライバー204のインク補充モジュールが実行する処理を説明する。図14はインク補充モジュールが実行する処理のフローチャートを示している。
補充処理(ステップS300)を開始すると、インク補充モジュールは、最初に、補充したインクのインク識別情報(ID番号)を入力するよう促す画面1601を、表示部(モニター画面)202上に表示する(ステップS308)。
図15は、表示部(モニター画面)202に表示されたインク識別情報(ID番号)の入力画面1601を例示した説明図である。図示されているように、インク識別情報(ID番号)の入力画面には、前述した選択画面(インクレベルチェック画面)でユーザー(操作者)がbelowをチェックしたインク(図10の選択画面(インクレベルチェック画面)の例ではCインク)について、インク識別情報(ID番号)を入力可能な状態で入力欄1602が表示されている。また、補充が不要と判断されたインク(ここでは、Yインク、MインクおよびKインク)については、インク識別情報(ID番号)を入力できない状態で入力欄が表示されている。そこで、ユーザー(操作者)は、インクボトル160のラベル164を確認して、ラベル164の外側に印刷されているインク識別情報(ID番号)を入力した後、画面の右下隅に表示された「次へ」ボタン1603をクリックする。
このように、表示制御部211は、表示部202により指示画面が表示された後に、ユーザーがインクボトルの識別情報を入力するための入力画面を表示する制御を行う。そして入力受付部212は、ユーザーが入力したインクボトルの識別情報を受け付ける処理を行う。
次に、「次へ」ボタンが押されたものと判断すると(ステップS310:yes)、入力されたインク識別情報(ID番号)を読み取った後(ステップS312)、読み取ったインク識別情報(ID番号)が適正であるか否かを判断する(ステップS314)。インク識別情報(ID番号)は、複数の数字やアルファベットで構成された一見すると意味のないコードであるが、インクの種類(色)や、インクボトル160に充填された日時(秒単位まで含む)や、使用可能なインクジェットプリンター100の機種などの情報が含まれた一種の符号化データとなっている。
そして、特定の鍵データを用いて復号した場合にだけ、これらの情報を復号して取得することが可能となる。
プリンタードライバー204がコンピューター200にインストールされる際に、この鍵データはコンピューター200内のROMに記憶されており、インク識別情報(ID番号)を読み取ると、鍵データを用いて復号する。その結果、正常に復号が完了して、得られた各種の情報(たとえばインクの種類や、インクジェットプリンター100の機種など)が正しければ、インク識別情報(ID番号)が適正であると判断することができる。これに対して、インク識別情報(ID番号)を復号できなかった場合や、一応復号はできたものの、たとえばインクの種類やインクジェットプリンター100の機種が実際とは違っているなどのように、復号によって得られた各種の情報が矛盾している場合には、そのインク識別情報(ID番号)は適正でないと判断する。
図14に示したインク補充処理のステップS314では、このようにして、インク識別情報(ID番号)が適正であるか否かを判断する。また、詳細には後述するが、たとえ適正なインク識別情報(ID番号)であっても、一度使用されたことのあるインク識別情報(ID番号)が再び入力された場合には、そのインク識別情報(ID番号)は適正でないと判断される。
その結果、入力されたインク識別情報(ID番号)が適正ではないと判断した場合は(ステップS314:no)、インク識別情報(ID番号)の再入力を促す画面を、表示部(モニター画面)202上に表示した後(ステップS316)、再び、「次へ」ボタンが押されたか否かを判断する処理(ステップS310)を繰り返すことによって待機状態となる。
全てのインク識別情報(ID番号)が適正であると判断したら(ステップS314:yes)、今度は、適正と判断されたインク識別情報(ID番号)を、使用済み識別情報(ID番号)として、コンピューター200のROMに記憶する(ステップS316)。こうして記憶された使用済み識別情報(ID番号)は、次回以降にインク識別情報(ID番号)が適正であるか否かを判断するステップS314の処理で参照されて、入力されたインク識別情報(ID番号)が正しく復号できて、尚且つ、復号された内容に矛盾がなくても、使用済み識別情報(ID番号)に記憶されていた場合には、そのインク識別情報(ID番号)は適正でないと判断されるようになっている。
続いて、プリンタードライバー204は、インクジェットプリンター100の制御部140に向かってコマンドを送信することにより、インクジェットプリンター100の制御部140が計数している計算上のインク残量を、満タン状態に初期化させる(ステップS320:推定インク量(計数値)を100%に更新する)。図2を用いて前述したように、インクジェットプリンター100の制御部140は、計算上のインク残量が下限値に達すると、噴射ヘッド112でインクを噴射する動作を停止してしまうが、こうしてプリンタードライバー204からコマンドを送信して、計算上のインク残量を初期化することにより印刷を再開することが可能となる。このように、入力されたインク識別情報(ID番号)が適正であった場合にだけ、インク残量を初期化することが可能となることから、インク識別情報(ID番号)は、「初期化データ」に対応するものとなっている。
このように、通信処理部213は、識別情報が有効である場合には、印刷装置100に対して、推定インク量を初期値(例えば100%)に設定する指示情報を送信する。
以上のようにして、インクジェットプリンター100の制御部140で計数されている計算上のインク残量を復帰させたら、今度は、インクの補充が完了した旨を報知する画面(補充完了画面)を表示部(モニター画面)202上に表示し(ステップS322)、S100に回帰する。
以上に説明したように本実施例の印刷システム10では、噴射ヘッド112から噴射したインク量に基づいて、インクジェットプリンター100の制御部140がインク残量を計数している。そして、コンピューター200のプリンタードライバー204は、上述のインク残量管理処理を実行しながら、インクジェットプリンター100からインク残量を取得することによって、インクタンク151内のインク残量を監視している。その結果、計算上のインク残量が少なくなると、実際のインクタンクの液面レベルが下限ラインを上回っているか、下限レベルに達しているかの入力を促す選択画面(インクレベルチェック画面)を表示する。ユーザー(操作者)の入力によるインク液面レベルの情報を取得すると、ユーザー(操作者)からの入力による実際の液面レベルに合わせて、必要に応じて、推定インク量(計数値)を更新したり、インク補充処理をしたりすることができる。即ち、ユーザー(操作者)がインクタンクにインク補充が必要かどうかを考えさせることなく、ユーザー(操作者)に正しくインク補充をさせることを促すことができる。
(第2の実施形態)
C.装置構成:
C−1.本実施例のインクジェットプリンターの構造:
図16は、第2実施形態による実施例の構成を示す説明図であり、特にタンクケース150の部分を説明する図である。
第1の実施形態と第2の実施形態の違いは下の通りである。
第2の実施形態のインクタンク151は、第1の実施形態によるインクタンク151に設けられた下限ラインがない。その代わり、ユーザー(操作者)がインクタンク151内に残っている実際のインクの残量の確認をするときに、インクの液面の位置(すなわち、インク残量に相当する)を公知の測定道具で確認させる。具体的には、物差しの目盛りで測定する。そして、第2の実施形態のインクジェットプリンターはインクタンク内に収容されている実際のインク残量測定のための物差しを収容する物差し収容部を有する点、タンクケースをインクジェットプリンターへ固定する構成が異なる。
その他の点は、第1の実施形態と同じである。以下の説明では、第1の実施形態と共通の装置構成と、インク残量管理処理、インクレベルチェック処理およびインク補充処理については説明を省略し、第1の実施形態と異なる構成と処理について説明する。
なお、第2の実施形態を説明する図において、第1の実施形態と同じ構成には同じ参照番号が付されている。
図17に示されているように、タンクケース150の側面には大きな確認窓(開口)152が形成されており、タンクケース150内に収容されたCインクのインクタンク151C、Yインクのインクタンク151Y、Mインクのインクタンク151M、Kインクのインクタンク151Kをそれぞれ目視できるようになっている。また、それぞれのインクタンク151C,151Y,151M,151Kは、透明あるいは半透明な樹脂材料で形成されている。このため、それぞれのインクタンク151C,151Y,151M,151Kに残ったインクの液面Lvの位置(すなわちインクの残量)を目視によって確認することが可能である。
図17に示すように、インクジェットプリンター100とタンクケース150が平面PFに置かれている。この状態で後述する物差し収容部に収容された物差し300を取り出して、物差し300の一端を平面PFに押しあて、それぞれのインクタンク151C,151Y,151M,151Kに残っているインクの液面に対応する物差しの目盛り310を確認することで、インクタンク151の水位Lvを定量的に確認することができる。
これにより、第1の実施形態の下限ライン相当のインク残量の位置を確認することができる。なお、本実施例では、インクタンクの水位Lvの定量的確認に必要とされる精度を考慮して、10mm間隔で目盛り210が設けられている。本実施形態では、平面PFから20mmの位置を第1の実施形態の下限ラインに相当する位置とする。ユーザー(操作者)は、物差しでインク水位Lvを測定することにより、制御部140で計数しているインク残量を修正する必要があるか、また、インクタンク151にインクを補充する必要があるかどうかを判断することができる。
<物差し収容部とタンクケースのインクジェットプリンターへの固定>:
図17は、インクジェットプリンター100にタンクケース150を固定する構成を示した説明図である。図21には、タンクケース150を取り外した後、インクジェットプリンター100に取り付けられていた側の面が上方を向くように、タンクケース150を回転させた状態が示されている。図示されているように、タンクケース150がインクジェットプリンター100に取り付けられる面には、タンクケース150の上面側の2箇所にフック158が立設されている。また、インクジェットプリンター100の側面(タンクケース150が取り付けられる面)には固定カバー170が設けられており、固定カバー170には、フック158に対応する位置に固定部172が設けられている。
固定カバー170には、底部178と底部178の外周から立設する壁部177によって凹部179が形成されており、この凹部179が物差し300を収容する「物差し収容部」として機能する。したがって、この凹部179を物差し収容部179ともいう。壁部177の一方の固定部172に隣接する位置には物差し300を物差し収容部179に案内する案内開口176が設けられている。この案内開口176によって、物差し300を物差し収容部179に収容し、物差し収容部179から物差し300を取り出すことができる。なお、図21に示されているとおり、物差し300の全部が物差し収容部179に収容されている必要はなく、物差し300の一部が物差し収容部179からはみ出していても、物差し300の姿勢が安定していればよい。
次に、インクジェットプリンター100へのタンクケース150の固定について説明する。タンクケース150をインクジェットプリンター100に固定する際には、フック158が固定部172の少し上に来るようにタンクケース150を持ち上げておき、ここからインクジェットプリンター100が載置されている平面PFの方向にタンクケース150を降下させる。こうすると、上からフック158が固定部172に嵌合し、タンクケース150がインクジェットプリンター100に取り付けられる。
こうしてインクジェットプリンター100にタンクケース150が取り付けられた状態で印刷を行っているうちに、インクタンク151内のインクの残量が少なくなった場合には、第1の実施形態と同様に、インク残量管理モジュールのガイドに従って、インクタンク151にインクを補充する。先ず、タンクケース150を持ち上げて固定カバー170から取り外し、図18に示すように、インクジェットプリンター100側の面が上を向くようにタンクケース150を倒す。すると、タンクケース150の上面に設けられた上面カバー155が倒されて、インクタンク151の上面側に設けられたキャップ156が取り外しやすくなるので、キャップ156を取り外し、インクタンク151内にインクボトル160からインクを補充する。
図18は、インクジェットプリンター100を平面PFに載置している状態でのタンクケース150のフック158と固定カバー170の固定部172とが嵌合する部分の拡大図である。図示されるように、本実施例のインクジェットプリンター100では、タンクケース150とインクジェットプリンター100とを地面に置いた状態で、タンクケース150のフック158の付け根の位置が固定カバー170の固定部172の先端の位置よりも少し高くなるようになっている。従って、インクジェットプリンター100を地面に載置した状態ではタンクケース150が地面に自立するようになっており、これにより、ほとんどの時間(インクジェットプリンター100が平面PFに置かれている時間)はタンクケース150の重みが固定カバー170に掛からないようになっている。従って、固定カバー170を介してインクジェットプリンター100にタンクケース150の重みがかかり続けることで、クリープ(creep)によってインクジェットプリンター100に亀裂が入ることを防ぐことができる。
C−2.本実施例の印刷システムの構成:
第2実施形態のインクジェットプリンターを用いた印刷システムの構成は、第1の実施形態と共通であるので、説明を省略する。
D.インク残量管理処理:
D−1:インク残量修正処理:
第2の実施形態におけるプリンタードライバー204が実行するインク残量処理は第1の実施形態の図3、図5のフローチャートに示した処理と同一であるが、第1の実施形態の選択画面(インクレベルチェック画面)601、701では、ユーザー(操作者)に実際のインク残量の確認を促すときに、インクタンク151に収容されているインク液面レベルがインクタンク151の下限ラインに対してどの位置にあるかを確認させていたのに対し、第2の実施形態では物差しを利用して実際のインク液面レベルの確認を促す。これにより、第2の実施形態では、S200で表示する選択画面(インクレベルチェック画面)で表示されるメッセージが異なる。図19は、第2の実施の形態による表示部(モニター画面)202に表示されるインク残量確認画面(選択画面)を例示した図である。インク残量を大まかに示す画像の表示とインク残量を示す画像の下に□above、□belowのチェックボックスが表示される点は第1の実施形態と同様である。インク残量を示す画像の上に示されるメッセージ2002は次の通りである。「シアン、イエロー、マゼンタインクのインクタンクをみてください。インク液面の位置が印刷装置載置面から20mmよりも上であればチェックボックス[Above]をクリック、20mm以下であればチェックボックス[Below]をクリックしてください。
インク液面レベルの確認のため、プリンターに同梱されている物差しをつかってください。」
第1の実施形態の下限ラインによってインクレベルを確認していたことにかえて、第2の実施形態では物差しによってインクレベルを確認する点のみがことなり、後の処理や効果は第1の実施の形態と同一である。
D−2:インクレベルチェック処理:
第2実施形態におけるインクレベルチェック処理は、第1実施形態のインクレベルチェック処理と共通であるため、説明を省略する。
D−3.インク補充処理:
第2実施形態におけるインク補充処理は、第1実施形態のインク補充処理と共通であるため、説明を省略する。
(第3の実施形態)
E.装置構成:
E−1.本実施例の印刷装置(インクジェットプリンター)の構造:
第3の実施形態の印刷装置(インクジェットプリンター)100の構造は、上述した第1、第2の実施形態の印刷装置100の構造と共通であるから、ここでは詳細な説明を省略する。
E−2.本実施例の印刷システムの構成:
第3の実施形態の印刷システムの構成は、第1、第2の実施形態と共通であるので、ここでは詳細な説明を省略する。
F.インク残量管理処理:
F−1.インク残量管理処理:
図23は、第3の実施形態におけるインク残量管理処理を示すフローチャートである。インク残量管理処理は、上述した第1、第2の実施形態と同様に、プリンタードライバー(広義にはプログラム)204(図2)の制御により実行される。しかし第1、第2の実施形態とは異なり、プリンタードライバー204はインクレベルチェック処理及びインク補充処理の制御を行わない。これらの処理は、後述するように、プリンターユーティリティー(広義にはプログラム)の制御により実行される。
図23に示すように、最初に通信処理部213が印刷装置100からインク量推定情報を受信する(ステップS401)。処理部210は、受信したインク量推定情報によりインクタンク内の推定インク量を推定し、この推定インク量が下限値(0%)であるか否かを判断する(ステップS402)。推定インク量が下限値である場合には、ユーザーへの通知処理を実行する(ステップS404)。推定インク量が下限値でない場合、即ち推定インク量が下限値より大きい場合には、ステップS403の判断に進む。
ステップS403では、処理部210は、推定インク量が所定値以下であるか否かを判断する。推定インク量が所定値以下である場合には、ユーザーへの通知処理を実行する(ステップS404)。一方、推定インク量が所定値より大きい場合には、ステップS401に戻る。
このように推定インク量が下限値に達している場合、及び推定インク量が下限値より大きく、且つ、下限値に近づいたことを表す所定値(例えば3%)以下である場合に、ユーザーへの通知処理が実行される。この通知処理では、表示制御部211の制御により、あるいは、表示制御部211からの表示依頼を受けたOSの制御により、例えばプリンターのエラー(又は警告)を通知する表示やプリンターユーティリティーの起動を促す表示などが表示部202の画面上に表示される。こうすることで、ユーザーはプリンターに何らかのエラーが生じていることなどを認識することができる。
なお、推定インク量が下限値に近づいたことを表す所定値は、3%に限定されるものではなく、例えば5%であってもよいし、他の値であってもよい。
F−2.インクレベルチェック処理:
図24は、第3の実施形態におけるインクレベルチェック処理を示すフローチャートである。第3の実施形態では、プリンターユーティリティー(広義にはプログラム)の制御によりインクレベルチェック処理が実行される。プリンターユーティリティーは、上記の通知処理によってプリンターエラー等を認識したユーザーが、プリンターユーティリティーを起動させるためのアイコン等をクリックすることなど(起動指示情報)により、起動することができる。
ユーザーからの起動指示情報によりプリンターユーティリティーが起動されると、表示制御部211は表示部202に起動画面を表示する制御を行う(ステップS501)。図25(A)、図25(B)に、プリンターユーティリティーの起動画面の例を示す。図25(A)は、推定インク量が下限値である場合に表示される起動画面であり、例えばエラーが発生している旨のメッセージ等が表示される。また、図25(B)は、推定インク量が下限値より大きく、且つ、所定値以下である場合に表示される起動画面であり、例えばプリンターに関するメッセージがあることなどが表示される。
次にユーザーが例えば起動画面上の「プリンターウインドウ」アイコン等をクリックすることにより、表示制御部211は表示部202に警告画面を表示する制御を行う(ステップS502)。図26(A)、図26(B)に、警告画面の例を示す。図26(A)は、推定インク量が下限値である場合に表示される警告画面であり、推定インク量が下限値に達したため印刷が実行できないこと、継続して印刷するためにはインク残量を目視で確認する必要があることなどのメッセージが表示される。また、図26(B)は、推定インク量が下限値より大きく、且つ、所定値以下である場合に表示される警告画面であり、継続して印刷可能であるがインク残量が少ないこと、インクを補充する場合はインク残量を目視で確認する必要があることなどのメッセージが表示される。
次にユーザーが例えば警告画面上の「OK」又は「続行」ボタン等をクリックすることにより、表示制御部211は表示部202に推定インク量表示画面を表示する制御を行う(ステップS503)。図27(A)、図27(B)に、推定インク量表示画面の例を示す。図27(A)は、推定インク量が下限値である場合に表示される推定インク量表示画面であり、各インクタンク毎に推定インク量が下限値に達していることを示すイメージ図が表示される。また、図27(B)は、推定インク量が下限値より大きく、且つ、所定値以下である場合に表示される推定インク量表示画面であり、各インクタンク毎に推定インク量が下限値より大きく、且つ、所定値以下であることを示すイメージ図が表示される。
なお、図27(A)、図27(B)は、4色の推定インク量が全て下限値、或いは下限値より大きく所定値以下である場合を示す。例えば4色のうちの一部について推定インク量が所定値より大きい場合には、該当するインク色については上記のイメージ図ではなく、例えばインク残量が十分あることを示すイメージ図などを表示する。
次にユーザーが推定インク量表示画面上の「OK」ボタン等をクリックすることにより起動画面に戻り、さらに起動画面上の「インク残量チェック」アイコンをクリックすることにより、表示制御部211は表示部202にユーザーがインクタンクのインク量を確認し、必要に応じてインク量を入力するための確認画面を表示する制御を行う(ステップS504)。
具体的には、表示制御部211は、確認画面として、インクタンクのインクレベルが下限値に対応するレベルの上にあるか、又は、下にあるかを選択する選択画面を表示する制御を行う。より具体的には、推定インク量が下限値より大きい場合には、表示制御部211は、確認表示として、インクレベルが下限値に対応するレベルの上にあることが選択されたデフォールト表示を、確認画面として表示する制御を行う。また、推定インク量が下限値である場合には、表示制御部211は、確認表示として、インクレベルが下限値に対応するレベルの下にあることが選択されたデフォールト表示を、確認画面として表示する制御を行う。このように、実際のインクレベルをユーザーが目視で確認する前に、インクの色毎の推定インク量に対応したデフォールト表示を確認画面として表示する制御を行う。
さらに表示制御部211は、インクレベルが下限値に対応するレベルの上にあることをユーザーに選択させる第1のチェック領域CK1と、インクレベルが下限値に対応するレベルの下にあることをユーザーに選択させる第2のチェック領域CK2とが表示された画面を、選択画面として表示する制御を行う。このようなチェック領域を表示することで、必要であればユーザーがデフォールト表示を実際のインクタンクの液面レベルに適合するように選択することができる。こうすることで、確認と選択が、1つの画面で行うことができる。
図28(A)、図28(B)に、色毎のインクレベルがデフォールト表示として表示される確認画面の例を示す。図28(A)は、推定インク量が下限値である場合にデフォールト表示として表示される確認画面であり、インクレベルが下限値に対応するレベルの下にあることを選択するボタン(広義には第2のチェック領域CK2)が選択されている。一方、図28(B)は、推定インク量が下限値より大きい場合にデフォールト表示として表示される確認画面であり、インクレベルが下限値に対応するレベルの上にあることを選択するボタン(広義には第1のチェック領域CK1)が選択されている。なお、図28(A)、図28(B)に示す確認画面は例であって、例えば図6、図7、図10に示す確認画面であってもよい。
ユーザーは、目視によりインクタンクのインクレベルを確認し、実際のインクタンクのインクレベルが下限値に対応するレベル(下限ライン)より上にあるか、下にあるかが、デフォールト表示と異なっている場合に、デフォールト表示を変更する入力を行う。具体的には、図28(A)に示す確認画面において、例えば4色の全てについてインクレベルが下限ラインより下である場合には、デフォールト表示を変更することなく、「次へ」のボタンをクリックする。こうすることで、入力受付部212は、ユーザーが入力したインク量確認情報を受け付けることができる。
或いは、例えばイエローについてのみ、インクレベルが下限ラインより上である場合には、イエローについて「線より上」のボタン(第1のチェック領域)をクリックして、「次へ」のボタンをクリックする。また、図28(B)に示す選択画面において、例えば4色の全てについてインクレベルが下限ラインより上である場合には、「次へ」のボタンをクリックする。或いは、例えばマゼンタについてのみ、インクレベルが下限ラインより下である場合には、マゼンタについて「線より下」のボタン(第2のチェック領域)をクリックして、「次へ」のボタンをクリックする。こうすることで、入力受付部212は、ユーザーが入力したインク量変更情報を受け付けることができる。
なお、上述した第2の実施形態のように、ユーザーがインクタンク内のインク残量を確認するときに、インクの液面の位置(インクレベル)を公知の測定道具(例えば物差しの目盛り)で確認してもよい。
このようにすることで、入力受付部212は、ユーザーがインク量推定情報により推定される推定インク量を変更するインク量変更情報を入力した場合に、入力されたインク量変更情報を受け付ける(ステップS505)。具体的には、入力受付部212は、インク量変更情報として、ユーザーにより確認入力されたインクタンクのインク量が下限値より小さいか、又は下限値より大きいかを示す情報を受け付ける。
インク量変更情報とは、ユーザーが目視により確認したインク残量が推定インク量と異なる場合に、ユーザーがインク量を変更するために入力する情報である。具体的には、推定インク量は下限値であるが、目視により確認したインクレベルが下限ラインより上にある場合に、ユーザーが推定インク量を下限値より大きい値に変更するための情報である。或いは、推定インク量は下限値より大きいが、目視により確認したインクレベルが下限ラインより下にある場合に、ユーザーが推定インク量を下限値に変更するための情報である。
インク量確認情報とは、推定インク量が下限値であり、目視により確認したインクレベルが下限ライン以下である場合、或いは推定インク量が下限値より大きく、目視により確認したインクレベルも下限ラインより上にある場合に、ユーザーがそれを確認したことを示す情報である。
次に、処理部210の入力受付部212は、確認画面で、ユーザーによる「次へ」ボタンが押されたことにより、インク量変更情報且つ/又はインク量確認情報の入力を受けつける。処理部210は、確認画面でユーザーにより確認且つ/又は選択入力された(すなわち、入力受付部212が受け付けた)インク量確認情報且つ/又はインク量変更情報により、インクレベルが下限値レベル(下限値に対応するレベル)の上であるか、下であるかを判断する(ステップS506)。インクレベルが下限値レベルより上である場合には、ステップS507に進む。インクレベルが下限値レベルより下である場合には、インク補充処理が実行される(ステップS510)。このインク補充処理は、既に説明した図14に示すフローチャートのステップS300〜S322と共通である。
ステップS507では、処理部210は、推定インク量が下限値であるか否かを判断する。推定インク量が下限値である場合には、通信処理部213は、印刷装置100に対して、推定インク量を下限値より所与の補正値だけ増加させる指示情報(コマンド)を送信する(ステップS508)。即ち、推定インク量が下限値であるときに、入力受付部212がインクタンクのインク量が下限値より大きいことを示すインク量変更情報を受け付けた場合には、通信処理部213は、印刷装置100に対して、推定インク量を下限値より所与の補正値だけ増加させる指示情報(コマンド)を送信する。補正値は、上述した所定値(例えば3%)と同じ値にすることができるが、他の値にしてもよい。このようにすることで、インクタンクに残ったインクを使用して印刷が可能になると共に、ヘッドの空打ちを防止することができる。
ステップS507において、推定インク量が下限値でない場合、即ち推定インク量が下限値より大きい場合には、ステップS508を実行せずにステップS509に進む。即ち、推定インク量が下限値より大きく、且つ、所定値以下であるときに、入力受付部212がインクタンクのインク量が下限値より大きいことを示すインク量変更情報を受け付けた場合には、通信処理部213は、印刷装置100に対して、推定インク量を下限値より所与の補正値だけ増加させる指示情報を非送信にする。
最後のステップS509では、表示制御部211が印刷可能である旨のメッセージを表示する制御を行う。
F−3.インク補充処理:
インク補充処理は、既に説明した図14に示すフローチャートのステップS300〜S322と同様であるから、ここでは詳細な説明を省略する。第3の実施形態では、プリンタードライバーのインク補充モジュールではなく、プリンターユーティリティーの制御によりインク補充処理が実行される。
具体的には、図28(A)に示す確認画面において、ユーザーがインクレベルの確認又は変更を入力した後に、「次へ」のボタンをクリックすることにより、表示制御部211はインクタンクへのインク注入を指示する指示画面(例えば図11に示す画面)を表示する制御を行う。そしてユーザーがインクを補充した後に、表示制御部211は、ユーザーがインクボトルの識別情報(ID番号)を入力するための入力画面(例えば図15に示す画面)を表示する制御を行う。
インク注入を指示する指示画面の表示は、補充する必要のあるインク色、即ちインクレベルが下限値レベルより下であるインク色についてのみ実行される。また、インクボトルの識別情報(ID番号)を入力するための入力画面では、補充する必要のあるインク色についてのみ、識別情報(ID番号)を入力できるようにしてもよい。
そして入力受付部212は、ユーザーが入力したインクボトルの識別情報を受け付ける処理を行う。通信処理部213は、識別情報が有効である場合には、印刷装置100に対して、推定インク量を初期値(例えば100%)に設定する指示情報を送信する。
G.変形例:
上述した第1、第2及び第3の実施形態の印刷システム10では、プリンタードライバー204又はプリンターユーティリティーがコンピューター200上で、インク残量管理処理を実行するものとして説明した。しかし、印刷装置(インクジェットプリンター)100にも、CPUやRAM、ROMによって構成される制御部140や、モニター画面104、操作ボタン105などが設けられていることから、インクジェットプリンターの制御部140がインクジェットプリンター100上で、インク残量管理処理、インクレベルチェック処理、インク補充処理の全て、もしくは、いずれかを実行するようにしても良い。
第2実施形態の公知の測定道具として、目盛りがふられた物差しとして説明したが、測定道具は物差しに限定されない。例えば、平面PFから下限ラインに相当する高さを持つ物体であればよく、ブロックなどでもよい。
図29は、上述した確認画面、又は選択画面におけるデフォールト表示、インク量変更情報の入力制限、及び、インク量確認情報若しくはインク量変更情報制御が入力された後の処理を説明する図である。
確認画面(選択画面)のデフォールト表示は、各インク色毎に、推定インク量と所定値、下限値との大小関係によって決まる。即ち、推定インク量>所定値であるインク色(A色)、及び所定値≧推定インク量>下限値であるインク色(B色)については、インクレベルが下限値レベルの上であることを示すデフォールト表示である。また、推定インク量=下限値であるインク色(C色)については、インクレベルが下限値レベルの下であることを示すデフォールト表示である。なお、以下の説明では、インクレベルが下限値レベルの上であることを「上」と表記し、インクレベルが下限値レベルの下であることを「下」と表記する。
ユーザーからのインク量変更情報が入力可能であるか否かは、以下のようになる。上記のA色については、「上」の選択は固定であり、ユーザーが「下」を選択することはできない。B色については、「上」の選択はデフォールトで選択されているが、ユーザーが「下」を選択することも可能である。C色については、「下」の選択はデフォールトで選択されているが、ユーザーが「上」を選択することも可能である。
インク量確認情報若しくはインク量変更情報制御が入力された後の処理は、以下のようになる。ユーザーにより確認若しくは変更されたインク量が、全インク色について、「上」である場合には、A色及びB色については推定インク量を補正値だけ増加させる指示情報を送信しないが、C色については指示情報を送信する。そして、印刷可能である旨のメッセージの画面に遷移する。例えば、図28(B)の画面で「次へ」ボタンが選択されると、印刷可能である旨のメッセージ画面に遷移する。
また、「上」であるインク色と「下」であるインク色とが混在する場合には、A色及びB色については指示情報を送信しないが、C色については「上」のときは指示情報を送信し、「下」のときは指示情報を送信しない。そしてインク補充を指示する指示画面(図11の補充インク方法指示画面)に遷移する。
また、ユーザーにより確認若しくは変更されたインク量が、全インク色について、「下」である場合には、A色、B色、C色について指示情報を送信しない。そしてインク補充を指示する指示画面に遷移する。
以上説明したように、上述した課題の少なくとも一部を解決するために、本発明のプログラムは次の構成を採用した。
すなわち、外部からインクを補充可能なインクタンクと、該インクタンクから供給されたインクを噴射する噴射ヘッドと、を備え、該インクタンクから該噴射ヘッドに供給されたインク量の推定インク量(計数値)が所定の下限値(限界値)に達すると該噴射ヘッドからのインクの噴射を停止する機能を有する印刷装置の動作を、コンピューターを用いて実現する印刷装置制御プログラムであって、前記インク量の推定インク量(計数値)が前記下限値(限界値)に達したか否かを少なくとも判別可能な情報を、前記印刷装置から取得する第1の機能と、前記インク量の推定インク量(計数値)が前記下限値(限界値)に達している場合には、前記インクタンク内のインク量が所定のレベルを上回っているか、前記所定のレベルに達しているかを確認するように前記印刷装置のユーザー(操作者)を促す所定の画像を表示可能で、前記所定のレベルを上回っているか、もしくは、前記所定のレベルに達しているかのいずれのレベルにあるかを示すユーザー(操作者)の選択を受け付け可能な第2の機能と、を有していることを要旨とする。
このような印刷装置制御プログラムにおいては、印刷システムがインクタンクの残量が下限値(限界値)に達すると、ユーザー(操作者)にインク液面が所定のレベルを上回っているか、もしくは、所定のレベルに達しているかを選択可能な画面を表示し、ユーザー(操作者)にインクタンクへのインクの補充が必要なのかどうかを考えさえることなく、ユーザー(操作者)の選択に応じてインクタンクへのインク補充を促すことができる。
前記印刷装置制御プログラムは、さらに、前記ユーザー(操作者)の選択が、前記所定のレベルを上回っているとの選択であった場合、前記インク量の推定インク量(計数値)を前記下限値(限界値)前の所定値に戻す動作を前記印刷装置に指示する第3の機能と、を有していることを特徴とする。
このような印刷装置制御プログラムにおいては、インクタンクにインクが残っている場合には、推定インク量(計数値)を下限値(限界値)から所定値に戻すことにより、印刷の継続ができる。
前記印刷装置制御プログラムは、さらに、前記ユーザー(操作者)の選択が、前記所定のレベルに達しているとの選択であった場合、前記ユーザー(操作者)に前記インクタンクにインクを補充することを促す画像を表示する第4の機能と、を有していることを特徴とする。
以上説明したプリンタードライバーやユーティリティプログラムの機能と制御は、コンピューターのOSと協同で、もしくは、OSを介して、実現されてもよい。
なお、以上のように各実施形態について詳細に説明したが、本発明の新規事項および効果から実体的に逸脱しない多くの変形が可能であることは当業者には容易に理解できるであろう。従って、このような変形例はすべて本発明の範囲に含まれるものとする。例えば、明細書又は図面において、少なくとも一度、より広義または同義な異なる用語と共に記載された用語は、明細書又は図面のいかなる箇所においても、その異なる用語に置き換えることができる。またプログラム、記憶媒体、情報処理装置及び印刷システムの構成、動作も各実施形態で説明したものに限定されず、種々の変形実施が可能である。