JP5966304B2 - 加飾シート及び加飾樹脂成形品 - Google Patents
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Description
このような課題に対し、本出願人は、表面保護層に対してシリカを配合することにより、艶消し等の質感を付与した加飾シートを先に出願している(特許文献1段落0047参照)。
本発明は、このような状況下で、耐傷付き性と耐摩耗性と三次元成形性とを兼ね備える表面保護層を有する加飾シート、及び前記特性を備える加飾樹脂成型品を提供することを課題とする。
[1]少なくとも基材フィルム層と表面保護層とを有し、該表面保護層が、合成樹脂粒子としてウレタンビーズ及びナイロンビーズから選ばれる少なくとも1種と、ポリカーボネート(メタ)アクリレート及び/又はアクリルシリコーン(メタ)アクリレートとを含む電離放射線硬化性樹脂組成物の硬化物からなることを特徴とする加飾シート、及び
[2]少なくとも射出樹脂層、基材フィルム層、模様インキ層、及び表面保護層を順に有し、該表面保護層が、合成樹脂粒子としてウレタンビーズ及びナイロンビーズから選ばれる少なくとも1種と、ポリカーボネート(メタ)アクリレート及び/又はアクリルシリコーン(メタ)アクリレートとを含む電離放射線硬化性樹脂組成物の硬化物からなることを特徴とする加飾樹脂成形品、
を提供する。
本発明の加飾シートは、少なくとも基材フィルム層と表面保護層とを有し、該表面保護層が、合成樹脂粒子とポリカーボネート(メタ)アクリレート及び/又はアクリルシリコーン(メタ)アクリレートとを含む電離放射線硬化性樹脂組成物の硬化物からなることを特徴とするものである。
前記本発明によれば、特定の電離放射線硬化性樹脂を含む表面保護層に対して、マット剤として合成樹脂粒子を配合するため、この合成樹脂粒子が有する弾力性により、耐傷付き性と耐摩耗性と三次元成形性とを兼ね備える加飾シートを得ることができる。
本発明に用いる合成樹脂粒子の粒径は、加飾シートの表面になめらかな風合いを付与し、意匠性を向上させる観点から、5〜50μmが好ましく、5〜30μmがより好ましく、8〜12μmが更に好ましい。
なお、本発明における粒径は、島津レーザ回折式粒度分布測定装置SALD-2100-WJA1を使用し、圧縮空気を利用してノズルから測定対象となる粉体を噴射し、空気中に分散させて測定する噴射型乾式測定方式によるものを指す。
合成樹脂粒子の比重は、表面保護層の表層に合成樹脂粒子を存在させる観点、及び耐傷付き性、耐摩耗性を向上させる観点から、0.7〜1.5g/cm3が好ましく、0.8〜1.2g/cm3がより好ましく、0.85〜1.15g/cm3が更に好ましい。
本発明においては、前記合成樹脂粒子を電離放射線硬化性樹脂組成物に配合したものにより表面保護層を形成するが、形成する際の前記樹脂組成物の塗布量は、5〜50g/m2が好ましく、5〜25g/m2がより好ましく、8〜12g/m2が更に好ましい。塗布量が前記範囲内であれば、コストを抑えた上で、表面保護層からの合成樹脂粒子の脱落を抑制することができる。
本発明において、前記合成樹脂粒子は表面保護層の表面から粒子の一部が突出していてもよく、表面保護層の内部に埋没していてもよい。ただし、粒子の一部が表面保護層から突出している方が耐傷付き性と耐摩耗性とが向上するため好ましい。
図1は、本発明の加飾シートの一態様を示す模式図である。図1は、基材フィルム層上に絵柄層、プライマー層、表面保護層が順次積層されている。なお、表面保護層は、前記電離放射線硬化性樹脂組成物を硬化して形成されるものである。
基材フィルム層は、三次元成形性や射出樹脂との相性等考慮して選定され、代表的には熱可塑性樹脂からなる樹脂フィルムが好ましく使用される。該熱可塑性樹脂としては、一般的には、アクリロニトリル/ブタジエン/スチレン樹脂(以下「ABS樹脂」という)、アクリロニトリル/スチレン/アクリル酸エステル樹脂(以下「ASA樹脂」という)、アクリル樹脂、ポリプロピレン、ポリエチレン等のポリオレフィン系樹脂、ポリカーボネート樹脂、塩化ビニル樹脂等が好ましく使用される。なかでも、ABS樹脂が三次元成形性の観点から好ましい。また、基材フィルム層は、これら樹脂の単層シート、あるいは同種又は異種樹脂による複層シートとして使用することができる。
上記酸化法としては、例えばコロナ放電処理、クロム酸化処理、火炎処理、熱風処理、オゾン紫外線処理法等が挙げられ、凹凸化法としては、例えばサンドブラスト法、溶剤処理法等が挙げられる。これらの表面処理は、基材の種類に応じて適宜選択されるが、一般にはコロナ放電処理法が効果及び操作性等の面から好ましく用いられる。
また該基材フィルム層はプライマー層を形成する等の処理を施してもよいし、色彩を整えるための塗装や、デザイン的な観点での模様があらかじめ形成されていてもよい。
絵柄層は加飾樹脂成形品に装飾性を与えるものであり、通常基材フィルム層上に設けられる。絵柄層は、種々の模様のインキを、グラビア印刷、オフセット印刷、シルクスクリーン印刷、転写シートからの転写による印刷、インクジェット印刷等の通常の印刷方法により形成される。模様としては、木目模様、大理石模様(例えばトラバーチン大理石模様)等の岩石の表面を模した石目模様、布目や布状の模様を模した布地模様、タイル貼模様、煉瓦積模様等があり、これらを複合した寄木、パッチワーク等の模様もある。これらの模様は通常の黄色、赤色、青色、及び黒色のプロセスカラーによる多色印刷によって形成される他、模様を構成する個々の色の版を用意して行う特色による多色印刷等によっても形成される。
着色剤としては、カーボンブラック(墨)、鉄黒、チタン白、アンチモン白、黄鉛、チタン黄、弁柄、カドミウム赤、群青、コバルトブルー等の無機顔料、キナクリドンレッド、イソインドリノンイエロー、フタロシアニンブルー等の有機顔料又は染料、アルミニウム、真鍮等の鱗片状箔片からなる金属顔料、二酸化チタン被覆雲母、塩基性炭酸鉛等の鱗片状箔片からなる真珠光沢(パール)顔料等が用いられる。また、金属(メッキ)調の意匠を所望する場合は、蒸着、スパッタリング等により、絵柄層として金属薄膜層を設けても良い。
本発明の加飾シートは、表面保護層の延伸部に微細な割れや白化を生じにくくするため、所望により、絵柄層と表面保護層との間にプライマー層を好ましく有することができる。
プライマー層の厚さは0.1μm以上であることが好ましい。0.1μm以上であると、表面保護層の割れ、破断、白化等を防ぐ効果を有する。一方、プライマー層の厚さが10μm以下であれば、プライマー層を塗布した際、塗膜の乾燥、硬化が安定であるので三次元成形性が変動することがなく好ましい。この観点からプライマー層の厚さは1〜10μmであることが好ましい。
(破断伸度測定の測定条件)
JIS K7127:1999に準拠し、プライマー層を構成するプライマー組成物を硬化(50℃72時間加熱)して製膜した幅25mm×長さ(チャック間距離)50mm×厚さ40±10μmのサンプルを120℃のオーブン投入後、120秒放置した後、引張速度:50mm/minで破断伸度を測定する。
架橋後の表面保護層との密着性、表面保護層を積層後の相互作用の生じにくさ、物性、成形性の面から、ポリオールとしてアクリルポリオール、又はポリエステルポリオールと、架橋材としてヘキサメチレンジイソシアネート、4,4−ジフェニルメタンジイソシアネートとから組み合わせることが好ましく、特にアクリルポリオールとヘキサメチレンジイソシアネートとを組み合わせて用いることが好ましい。
プライマー層は、ブロッキングを防止する観点から、無機粒子を含むことが好ましい。無機粒子としては、シリカ、アルミナ、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、カオリン等の無機粒子が好ましく挙げられる。
無機粒子の平均粒径は、意匠性向上の観点から、0.1〜5μmが好ましく、1〜5μmがより好ましく、2〜5μmが更に好ましい。また、無機粒子の含有量は、樹脂100質量部に対して0.01〜5質量部が好ましく、0.1〜1質量部がより好ましい。
本発明における表面保護層は、前記合成樹脂粒子を含有する層であり、電離放射線硬化性樹脂としてポリカーボネート(メタ)アクリレート及び/又はアクリルシリコーン(メタ)アクリレートを含む電離放射線硬化性樹脂組成物を硬化して得られる層である。
電離放射線硬化性樹脂組成物とは、電離放射線硬化性樹脂を含む組成物をいう。電離放射線硬化性樹脂とは、電離放射線を照射することにより、架橋、硬化する樹脂を指す。なお、電離放射線とは、電磁波又は荷電粒子線のうち、分子を重合あるいは架橋しうるエネルギー量子を有するものを意味し、通常紫外線(UV)又は電子線(EB)が用いられるが、その他、X線、γ線等の電磁波、α線、イオン線等の荷電粒子線も含むものである。
本発明においては、電離放射線硬化性樹脂組成物として、ポリカーボネート(メタ)アクリレート及び/又はアクリルシリコーン(メタ)アクリレートが用いられる。本発明において、「(メタ)アクリレート」とは「アクリレート又はメタクリレート」を意味し、他の類似するものも同様の意である。
本発明に用いられるポリカーボネート(メタ)アクリレートは、ポリマー主鎖にカーボネート結合を有し、かつ末端あるいは側鎖に(メタ)アクリレートを有するものであれば特に限定されない。また、この(メタ)アクリレートは、架橋、硬化する観点から、2官能以上有することが好ましい。
原料として用いられるジオール化合物(A)は、一般式HO−R1−OHで表される。ここで、R1は、炭素数2〜20の2価炭化水素基であって、基中にエーテル結合を含んでいても良い。例えば、直鎖、又は分岐状のアルキレン基、シクロヘキシレン基、フェニレン基である。
以上説明したポリカーボネートポリオールの製造方法は、例えば、特開昭64−1726号公報に記載されている。また、このポリカーボネートポリオールは、特開平3−181517号公報に記載されているように、ポリカーボネートジオールと3価以上の多価アルコールとのエステル交換反応によっても製造することができる。
なお、本明細書におけるポリカーボネート(メタ)アクリレートの重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー法により、ポリスチレンを標準物質として測定した値である。
本発明に用いられるアクリルシリコーン(メタ)アクリレートは、特に限定されず、1分子中に、アクリル樹脂の構造の一部がシロキサン結合(Si−O)に置換しており、かつ官能基としてアクリル樹脂の側鎖及び/又は主鎖末端に(メタ)アクリロイルオキシ基(アクリロイルオキシ基又はメタアクリロイルオキシ基)を2個以上有しているものであればよい。このアクリルシリコーン(メタ)アクリレートの例としては、例えば、特開2007−070544号公報に開示されるような側鎖にシロキサン結合を有するアクリル樹脂の構造が好ましく挙げられる。
(メタ)アクリレートモノマーとしては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート等が挙げられる。これら(メタ)アクリレートモノマーは1種を単独で又は2種を組み合わせて用いられる。
上述のアクリルシリコーン(メタ)アクリレートは、1種を単独で又は2種を組み合わせて用いられる。
本発明で用いられる電離放射線硬化性樹脂組成物は、多官能(メタ)アクリレートを含んでいてもよい。本発明において、多官能(メタ)アクリレートは、2官能以上の(メタ)アクリレートであれば特に制限はない。ただし、硬化性の観点から3官能以上の(メタ)アクリレートが好ましい。ここで、2官能とは、分子内にエチレン性不飽和結合である(メタ)アクリロイル基を2個有することをいう。
また、多官能(メタ)アクリレートは、オリゴマー及びモノマーのいずれでも良いが、三次元成形性向上の観点から多官能(メタ)アクリレートオリゴマーが好ましい。
更に、多官能(メタ)アクリレートオリゴマーとしては、他にポリブタジエンオリゴマーの側鎖に(メタ)アクリレート基をもつ疎水性の高いポリブタジエン(メタ)アクリレート系オリゴマー、主鎖にポリシロキサン結合をもつシリコーン(メタ)アクリレート系オリゴマー、小さな分子内に多くの反応性基をもつアミノプラスト樹脂を変性したアミノプラスト樹脂(メタ)アクリレート系オリゴマー等が挙げられる。また、多官能(メタ)アクリレートオリゴマーと併用して、ノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノール型エポキシ樹脂、脂肪族ビニルエーテル、芳香族ビニルエーテル等の分子中にカチオン重合性官能基を有するオリゴマー等を用いてもよい。
これらのオリゴマーの重量平均分子量は、1,000〜20,000であることが好ましく、1,000〜10,000であることがより好ましい。
更に、本発明においては、成形性を向上させる目的から、その他の性能を阻害しない範囲で熱可塑性樹脂を配合してもよい。具体的には、アクリル樹脂、アクリル変性ポリオレフィン樹脂、塩素化ポリオレフィン樹脂、ポリアミド樹脂、ゴム系樹脂等を配合することができる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
また、紫外線吸収剤や光安定剤として、分子内に(メタ)アクリロイル基等の重合性基を有する反応性の紫外線吸収剤や光安定剤を用いることもできる。また、表面保護層としての性能(耐傷付き性と三次元成形性)を損なわない程度に共重合して使用することもできる。
表面保護層の形成は上述の電離放射線硬化性樹脂組成物と合成樹脂粒子とを含有する塗布液を調製し、これを塗布し硬化することで得ることができる。なお、塗布液の粘度は、後述の塗布方式により、基材の表面に未表面保護層を形成し得る粘度であれば良く、特に制限はない。
本発明においては、調製された塗布液を、前記の塗布量となるよう基材フィルム層、絵柄層、又はプライマー層の上に、グラビアコート、バーコート、ロールコート、リバースロールコート、コンマコート等の公知の方式、好ましくはグラビアコートにより塗布し、未硬化樹脂層を形成させる。
なお、電子線の照射においては、加速電圧が高いほど透過能力が増加するため、基材フィルム層として電子線により劣化する基材を使用する場合には、電子線の透過深さと樹脂層の厚みが実質的に等しくなるように、加速電圧を選定することにより、基材フィルム層への余分な電子線の照射を抑制することができ、過剰電子線による基材の劣化を最小限にとどめることができる。
また、照射線量は、樹脂層の架橋密度が飽和する量が好ましく、通常5〜300kGy(0.5〜30Mrad)、好ましくは10〜50kGy(1〜5Mrad)の範囲で選定される。
更に、電子線源としては、特に制限はなく、例えばコックロフトワルトン型、バンデグラフト型、共振変圧器型、絶縁コア変圧器型、あるいは直線型、ダイナミトロン型、高周波型等の各種電子線加速器を用いることができる。
隠蔽層は、通常不透明色で形成することが多く、その厚さは1〜20μm程度の、いわゆるベタ印刷層が好適に用いられる。隠蔽層を形成するインキ組成物は、上記した絵柄層に用いられるものから適宜選択して採用することができる。隠蔽層を設けることにより、基材フィルム層表面の色の変化、ばらつきによる影響を抑制することができる。
隠蔽層はグラビア印刷、オフセット印刷、シルクスクリーン印刷、転写シートからの転写による印刷、インクジェット印刷等の通常の印刷方法やグラビアコート、グラビアリバースコート、グラビアオフセットコート、スピンナーコート、ロールコート、リバースロールコート等の通常の塗布方法により形成される。
透明樹脂フィルム層を形成する樹脂フィルムは、透明性、三次元成形性、形状安定性、耐薬品性等を考慮して適宜決定されるが、熱可塑性樹脂のフィルムが好ましい。熱可塑性樹脂としては、一般的には、アクリル樹脂、ポリプロピレン、ポリエチレン等のポリオレフィン樹脂、ポリカーボネート樹脂、アクリロニトリル/ブタジエン/スチレン樹脂(以下「ABS樹脂」という)、ポリエチレンテレフタレート(PET)やポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステル樹脂、塩化ビニル樹脂等が使用される。これらの中でも、耐傷付き性、耐薬品性の観点から、アクリル樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリカーボネート樹脂、及びポリエステル樹脂が好ましく、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂がより好ましく、ポリエステル樹脂が更に好ましい。
透明樹脂フィルム層の厚さは、特に限定されるわけではないが、コスト、三次元成形性、形状安定性等を考慮すると、10〜200μmが好ましく、15〜150μmがより好ましい。
≪接着剤層≫
接着剤層には、射出樹脂に応じて、熱可塑性樹脂又は硬化性樹脂が用いられる。熱可塑性樹脂としては、アクリル樹脂、アクリル変性ポリオレフィン樹脂、塩素化ポリオレフィン樹脂、塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体、熱可塑性ウレタン樹脂、熱可塑性ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ゴム系樹脂等が挙げられ、これらは1種又は2種以上を混合して用いることができる。また、熱硬化性樹脂としては、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂等が挙げられる。
本発明の加飾樹脂成形品は、少なくとも射出樹脂層、基材フィルム層、模様インキ層、及び表面保護層を順に有し、該表面保護層が、合成樹脂粒子とポリカーボネート(メタ)アクリレート及び/又はアクリルシリコーン(メタ)アクリレートとを含む電離放射線硬化性樹脂組成物の硬化物からなるものである。より具体的には、本発明の加飾樹脂成形品は、前記本発明の加飾シートを用いて、インサート成形法、射出成形同時加飾法、ブロー成形法、ガスインジェクション成形法等の各種射出成形法、好ましくはインサート成形法及び射出成形同時加飾法により作製することができる。
なお、本発明の加飾樹脂成形品においては、例えば射出樹脂層と基材フィルム層との間に、必要に応じて前述の接着剤層を設けてもよい。
なお、射出成形同時加飾法では、射出樹脂による熱圧を加飾シートが受けるため、平板に近く、加飾シートの絞りが小さい場合には、加飾シートは予熱してもしなくてもよい。
なお、ここで用いる射出樹脂としてはインサート成形法で説明したものと同様のものを用いることができる。
なお、実施例及び比較例で使用した材料は以下のとおりである。
(電離放射線硬化性樹脂組成物(EB1))
2官能ポリカーボネートアクリレート(重量平均分子量=10,000):80質量部
6官能ウレタンアクリレートオリゴマー(重量平均分子量=6,000):20質量部
(電離放射線硬化性樹脂組成物(EB2))
アクリルシリコーンアクリレート (重量平均分子量=20,000):70質量部
(硬化後の架橋点間平均分子量=200)
6官能ウレタンアクリレートオリゴマー(重量平均分子量=5,000):30質量部
(1)三次元成形性(真空成形)
各実施例及び比較例で得られた加飾シートについて以下に示す条件で真空成形を行い、成形後の外観にて評価した。評価基準は以下のとおりである。
◎;三次元形状部又は最大延伸部の一部に微細な塗膜割れ又は白化が発生せず、実用
上問題なし。
○;三次元形状部又は最大延伸部の一部に微細な塗膜割れ又は白化が認められたが実用
上問題なし。
△;三次元形状部又は最大延伸部の一部に軽微な塗膜割れ又は白化が発生した。
×;型の形状に追従できずに表面保護層に塗膜割れや白化が見られた。
<真空成形の条件>
加飾シートを赤外線ヒーターで160℃に加熱し、軟化させる。次いで、真空成形用型を用いて真空成形を行い(最大延伸倍率:100%)、型の内部形状に成形する。シートを冷却後、型より加飾シートを離型する。
加飾シート、及び加飾成形品を目視にて観察し、表面の状態を以下の基準で評価した。
〇;電離放射線硬化性樹脂がムラ、ブツ、マット剤の凝集なく均一に塗布出来ている。
△;電離放射線硬化性樹脂がムラ、ブツ、マット剤の凝集なくある程度塗布出来ている。
×;電離放射線硬化性樹脂がムラ、ブツ、マット剤の凝集があり、均一に塗布出来て
いない。
(3)耐摩耗性
加飾シートをテーバー摩耗機(摩耗輪:CS−10、条件:1kg×500回転)で摩耗試験を行い、以下の基準で評価した。
◎;生地の露出が無い。
〇;生地の軽微な露出があり、パターンが取れている。
△;生地の露出が半分以上あり、パターンが取れている。
×;生地の著しい露出があり、パターンが完全に取れている。
(4)耐傷性
各実施例及び比較例で得られた加飾シートについて、#0000スチールウールを用いて荷重1.5kgfで10回往復後の試験片の外観を評価した。評価基準は以下のとおりである。
◎;表面に全く傷が認められず、塗膜の削れや白化はなかった。
○;表面に微細な傷が認められたが、塗膜の削れや白化はなかった。
△;表面に軽微な傷があり、塗膜の削れや白化が見られた。
×;表面に著しい傷があり、塗膜の削れや白化が見られた。
(5)触感性
5人の評価者が各サンプルの塗膜表面を軽く触り、感触について評価を行った。
◎;ソフトな触感、ヌメリ感を5人全員が感じた場合
〇;ソフトな触感、ヌメリ感を3〜4人が感じた場合
×;ソフトな触感、ヌメリ感を感じたものが2人以下だった場合
東ソー(株)製高速GPC装置を用いた。用いたカラムは東ソー(株)製、商品名「TSKgel αM」であり、溶媒はN−メチル−2−ピロリジノン(NMP)を用い、カラム温度40℃、流速0.5cc/minで測定を行なった。なお、本発明における重量平均分子量はポリスチレン換算を行った。
基材フィルム層としてABS樹脂フィルム(曲げ弾性率;1,800MPa,厚さ;400μm,以下「ABS」と称する。)を用い、該フィルムの表面に、塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体樹脂組成物からなる印刷インキを用いグラビア印刷により木目柄の絵柄層を形成した。
絵柄層上に、アクリルポリオール及びヘキサメチレンジイソシアネート(ヘキサメチレンジイソシアネートは、アクリルポリオールのOH当量と同量のNCO当量となるように配合した。)を含むプライマー組成物を2μmの厚さとなるようにグラビアリバースにより塗布してプライマー層を設けた。次いで、このプライマー層上に、ウレタンビーズを含む上記組成の電離放射線硬化性樹脂組成物(EB1)を塗布量が10g/m2となるように塗布し、この未硬化樹脂組成物層に加速電圧165kV、照射線量50kGy(5Mrad)の電子線を照射して、電離放射線硬化性樹脂組成物を硬化させて表面保護層を形成し、加飾シートを得た。得られた加飾シートについて、上記方法により評価した。評価結果を表1に示す。
表面保護層を構成する樹脂組成物として上記EB2を用いたこと以外は、実施例1と同様に加飾シートを製作し、評価を行った。結果を表1に示す。
合成樹脂粒子の配合量を表1のとおり変更したこと以外は、実施例1と同様に加飾シートを製作し、評価を行った。結果を表1に示す。
合成樹脂粒子の粒径を表1のとおり変更したこと以外は、実施例1と同様に加飾シートを製作し、評価を行った。結果を表1に示す。
合成樹脂粒子をナイロンビーズに変更したこと以外は、実施例1と同様に加飾シートを製作し、評価を行った。結果を表1に示す。
絵柄層とプライマー層との間に透明樹脂フィルム層として厚さが50μmである成形PETフィルムを設けたこと以外は、実施例1と同様に加飾シートを製作し、評価を行った。結果を表1に示す。
透明樹脂フィルム層として、厚さが125μmであるアクリルフィルムを用いたこと、厚さが350μmであるABS樹脂フィルムを基材フィルム層として用いたこと以外は、実施例6と同様に加飾シートを製作し、評価を行った。結果を表1に示す。
ウレタンビーズの代わりにシリカを用いたこと以外は実施例1と同様に加飾シートを製作し、評価を行った。結果を表1に示す。
合成樹脂粒子を用いなかったこと以外は実施例1と同様に加飾シートを製作し、評価を行った。結果を表1に示す。
また、製造された加飾樹脂成形品の表面は、優れた耐傷付き性を有することが確認された。
2 基材フィルム層
3 絵柄層
4 プライマー層
5 表面保護層
6 合成樹脂粒子
Claims (6)
- 少なくとも基材フィルム層と表面保護層とを有し、該表面保護層が、合成樹脂粒子としてウレタンビーズと、ポリカーボネート(メタ)アクリレート及び/又はアクリルシリコーン(メタ)アクリレートとを含む電離放射線硬化性樹脂組成物の硬化物からなり、合成樹脂粒子の添加量は、電離放射線硬化性樹脂100質量部に対して10〜60質量部であることを特徴とする加飾シート。
- 合成樹脂粒子の粒径は、5〜50μmである請求項1に記載の加飾シート。
- 合成樹脂粒子の比重は、0.7〜1.5g/cm3である請求項1又は2に記載の加飾シート。
- アクリルシリコーン(メタ)アクリレートの重量平均分子量が、1,000〜150,000である請求項1〜3のいずれかに記載の加飾シート。
- アクリルシリコーン(メタ)アクリレートの架橋点間平均分子量が、100〜2,500である請求項1〜4のいずれかに記載の加飾シート。
- 少なくとも射出樹脂層、基材フィルム層、模様インキ層、及び表面保護層を順に有し、該表面保護層が、合成樹脂粒子としてウレタンビーズと、ポリカーボネート(メタ)アクリレート及び/又はアクリルシリコーン(メタ)アクリレートとを含む電離放射線硬化性樹脂組成物の硬化物からなり、合成樹脂粒子の添加量は、電離放射線硬化性樹脂100質量部に対して10〜60質量部であることを特徴とする加飾樹脂成形品。
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