JP5961963B2 - カプセル製造装置及びカプセル製造方法 - Google Patents
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Description
このようなカプセル製造装置によれば、シェルに適切な硬さを持たせ、精度よくカプセルを生成することができる。
このようなカプセル製造装置によれば、液相中でカプセルのシェル(第2の液体)が適切な硬さを持ち、第3の液体とは性状が異なるため、完成後のカプセルを液相中に沈降させたり、分散させたりすることで取り扱い易くなる。また、液相からカプセルを回収するまでの時間を変更することにより、第2の液体と第3の液体との化学反応の進行を調整することができる。これにより、カプセルの使用用途や要求される機能に応じてシェルの厚さや硬さを適切に調整しながらカプセルを生成することができる。
このようなカプセル製造装置によれば、気相中でカプセルのシェル(第2の液体)が適切な硬さを持つため、当該気相の下に回収容器等を設置しておけば、完成後のカプセルが自然に下降し、回収に要する手間を少なくすることができる。
このようなカプセル製造装置によれば、人体に無害で医療分野等に対する応用性が高いカプセルを生成することができる。また、親水性のゲルによるシェルを形成することが可能であるため、保水性能が高く、また、外部環境とカプセルとの間でシェルを介しての浸透圧調整が容易なカプセルを生成することができる。
このようなカプセル製造装置によれば、液膜を貫通させるためのコア(第1の液体)の噴射速度を減少させにくく、かつ、コアが蒸発しにくい。
このようなカプセル製造装置によれば、液体保持部を貫通してから液体接触部まで移動する間におけるシェル(第2の液体)の蒸発を抑制することができる。
このようなカプセル製造装置によれば、所望のサイズのカプセルを正確かつ高精度に生成することができる。
このようなカプセル製造装置によれば、コアとそれを被覆するシェルとが同時に複数形成されるので、効率よくカプセルを生成することができるようになる。
このような医療用カプセルによれば、所望のサイズや硬さの微小カプセルが製造できるため、DDS(ドラックデリバリーシステム)のように、薬剤などのコアとそれを被覆するシェルなどを構成することにより、途中で吸収・分解されることなく患部に到達させ、患部で薬剤を放出することができる。
<カプセルとは>
図1に、本実施形態で生成されるカプセルの概念図を示す。本実施形態におけるカプセルは、図のように「コア」(内包物)、及びそれを覆う「シェル」によって構成され、球状の外形を有する。「コア」を形成するコア材は、有効成分(例えば、ハイドロキノン、セラミド、牛血清アルブミン、γ−グロブリン、リピオドール、ビフィズス菌、ビタミン、ヒアルロン酸、IPS細胞等)を含んだ物質である。コア材には当該有効成分が溶解していているもの、有効成分が分散しているもの、また、有効成分が固体もしくは気体状で存在しているものが含まれる。このようなカプセルは、食料、医薬部外品、医薬品等、種々の分野で使用されており、カプセルの大きさ(内包物の容量)や、シェルの厚さはその用途に応じて様々である。
上述のようなコアとシェルとを有するカプセルを生成する方法の概要について簡単に説明する。本実施形態では、複数種類の液体を原材料としてカプセルが生成される。コアを形成するコア形成材として第1の液体が用いられ、シェルを形成するシェル材として第2の液体が用いられるものとする。第1の液体及び第2の液体は、生成されるカプセルの機能や用途に応じてそれぞれ最適な液体材料が選択される。
なお、図2の(D)の状態では、カプセルのシェルが液体(第2の液体)のままである。そのため、当該シェルは外部環境に対して非常に不安定な場合があり、生成されたカプセルに触れるだけでシェルが破壊されてしまうおそれがある。そこで、本実施形態では、形成されたシェル(第2の液体)にシェル硬化材として第3の液体を接触させて化学反応を生じさせる。化学反応によりシェルを適切な硬さにさせることによって外部環境に対して強いカプセルを生成する。第2の液体と第3の液体との化学反応についての詳細は後で説明する。なお、硬化するとは、液体の粘度が高くなることや、液体状のものが固体状に性状変化することなどを含み、特に固体特有の強度変化に限定されるものではない。
発明を実施するためのカプセル製造装置の形態として、液体噴射装置を用いたカプセル製造装置1を例に挙げて説明する。
図3は、第1実施形態におけるカプセル製造装置1の基本的な構成を説明する概略図である。カプセル製造装置1は、液体噴射部10と、液膜保持部30と、液体接触部50とを備える。
液体噴射部10は、第1の液体(コア材)を噴射することによってマイクロカプセルのコアを形成するコア形成部である。液体噴射部10は噴射ヘッド11と第1液体タンク12とヘッド制御部HC(不図示)とを有する。
液膜保持部30は、液膜保持枠31と液膜形成機構(不図示)とを有する。
液体接触部50は、第3の液体(シェル硬化材)を液体状に貯留し、該液体接触部50において第3の液体(シェル硬化材)と第2の液体(シェル材)とを接触させることにより化学反応を生じさせる。
続いて、カプセル製造装置1を用いてカプセルを生成する際の具体的動作について説明する。図5に、第1実施形態においてカプセル製造装置1を用いてカプセルを生成する工程のフローを表す図を示す。本実施形態では、コア形成工程(S101)、シェル形成工程(S102)、シェル硬化工程(S103)の3つの工程によりカプセルが生成される。
まず、液体噴射部10から噴射されるコア材(第1の液体)の液滴(ドット)によってカプセルのコアが形成される。コア材としては、有効成分(例えば、ハイドロキノン、セラミド、牛血清アルブミン、γ−グロブリン、リピオドール、ビフィズス菌、ビタミン、ヒアルロン酸、IPS細胞等)を含んだ物質(水溶液)が用いられる。
S101で形成されたコアは、液膜保持部30に保持された液膜(第2の液体の液膜)に突入する。そして、コアが液膜を貫通する際に、第2の液体(シェル材)によって当該コアが覆われることによって、シェルが形成される(図2参照)。
S102でコアを被覆するシェルが形成された後、液体接触部50において当該シェルが硬化される。本実施形態では、液体接触部50の液体貯留槽51が液体噴射部10及び液膜保持部30の下側に設置されおり(図3参照)、Z軸方向(鉛直下方向)に噴射されたコア材(第1の液体)はシェル材の液膜(第2の液体)を貫通した後、そのまま液体貯留槽51内に進入する。そして、液体貯留槽51内に貯留された第3の液体とシェル(第2の液体)とが接触することで化学反応を生じ、シェル(第2の液体)が硬化する。
ここで、第2の液体(シェル材)としてアルギン酸ナトリウム水溶液を用い、第3の液体(シェル硬化材)として塩化カルシウム水溶液を用いた場合に生じる化学反応について説明する。図6は、アルギン酸ナトリウムの説明図である。図7は、アルギン酸ナトリウムからアルギン酸カルシウムゲルへ変化する中間の様子を示す説明図である。図8は、アルギン酸カルシウムゲルの説明図である。
2C6H7O6Na+CaCl2=(C6H7O6−Ca−C6H7O6)+2NaCl
本実施形態のカプセル製造装置では、液体噴射部10から液膜保持部30に保持された第2の液体(シェル材)の液膜に向けて第1の液体(コア材)を噴射することによりコアを形成する。そして、コアが液膜を貫通する際に、第2の液体(シェル材)によってコアを被覆させることによりシェルを形成させる。そして、液体接触部50に貯留された第3の液体(シェル硬化材)と接触させて化学反応を生じさせることによりシェルを硬化させて、カプセルを生成する。
図3に示されるカプセル製造装置1では、液体噴射部10に対して噴射ヘッド11が1個だけ配置されているが、これに限るものではない。すなわち、液体噴射部10に複数の噴射ヘッド11が配置される構成としてもよい。
第2実施形態では、第1実施形態とは液体接触部50の構成が異なるカプセル製造装置2を用いてカプセルの製造を行なう。図10に、第2実施形態におけるカプセル製造装置2の基本的な構成を説明する概略図を示す。カプセル製造装置2で、液体噴射部10と、液膜保持部30とは、カプセル製造装置1と同様の構成である。なお、本実施形態においても、上述の図9の場合と同様に、液体噴射部10が複数の噴射ヘッド11や複数のノズル111を有する構成とすることもできる。
以下、液体接触部50を中心に説明する。
本実施形態の液体接触部50は、噴霧部55と、カプセル回収部56とを有する。
噴霧部55は第3の液体(シェル硬化材)を霧状に噴霧することにより、図10のように大気中の所定の領域に第3の液体を散布する。言い換えると、大気中の所定の領域にシェル硬化材の微粒子による雰囲気(以下、シェル硬化材雰囲気とも呼ぶ)を形成する。噴霧部55は、例えばスプレーノズルを備え、第3の液体(シェル硬化材)を霧状に噴射する。
カプセル回収部56は完成したカプセルを回収する容器であり、カプセル(コア)の移動方向(第1の液体が噴射される方向)の最下流側に配置される。
第2実施形態におけるカプセル生成動作は、基本的に第1実施形態と同様であるが(図5参照)、シェル硬化工程(S103)において気相中でシェルが適切な硬さになる点が異なる。
一実施形態としてのカプセル製造装置を説明したが、上記の実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれることは言うまでもない。以下に述べる実施形態であっても、本発明に含まれるものである。
前述の各実施形態では、第1の液体〜第3の液体についてそれぞれ具体例が例示されていたが、例示された以外のカプセル生成材料を用いてカプセルを生成することも可能である。
前述の各実施形態では、液体噴射部、液膜保持部、液体接触部が鉛直方向に沿って直線状に並ぶように配置されていたが、各機器の配置はこの限りではない。例えば、液体噴射部によってコア(第1の液体)が鉛直に対して斜めの方向に噴射されるような場合には、当該コアの移動方向(進路)に沿って各機器が配置されればよい。
10 液体噴射部、11 噴射ヘッド、12 第1液体タンク、
30 液膜保持部、31 液膜保持枠、
50 液体接触部、51 液体貯留槽、55 噴霧部、56 カプセル回収部、
111 ノズル、112 液体供給路、114 ノズル連通路、116 弾性板、
PZT ピエゾ素子
Claims (9)
- 第2の液体を膜状に保持する液膜保持枠と、
第2の液体を前記液膜保持枠に塗布する刷毛状の塗布部と、
前記液膜保持枠に保持された前記第2の液体の液膜に向けて第1の液体の液滴を噴射する液体噴射部と、
前記第1の液体の液滴を被覆した前記第2の液体に第3の液体を接触させる液体接触部と、を備え、
前記第2の液体に前記第3の液体を接触させることにより化学反応を生じさせ、前記第1の液体の液滴をコア材とし、前記第2の液体をシェル材とするカプセルを形成する、カプセル製造装置であって、
前記塗布部は、前記カプセルを形成する動作の継続時間、及び、前記液体噴射部によって噴射された前記第1の液体の合計量に基づいて、前記カプセルを形成する動作中の所定のタイミングで、前記第2の液体の液膜を再形成させる、ことを特徴とするカプセル製造装置。 - 請求項1に記載のカプセル製造装置であって、
前記塗布部の幅は、前記液膜保持枠の一辺の幅以上の長さを有する、カプセル製造装置。 - 請求項1または2に記載のカプセル製造装置であって、
前記塗布部に供給する前記第2の液体を貯留するタンクを備える、カプセル製造装置。 - 請求項1〜3のいずれかに記載のカプセル製造装置であって、
前記第2の液体は多糖類または蛋白質類を含む水溶液であり、
前記第3の液体は多価金属塩を含む水溶液であり、
前記第2の液体と前記第3の液体とを接触させて架橋反応を生じさせることにより、前記第2の液体を硬化させる、カプセル製造装置。 - 請求項1〜4のいずれかに記載のカプセル製造装置であって、
前記液体噴射部から前記液膜保持枠の液膜面までの距離が10μm〜10000μmである、カプセル製造装置。 - 請求項1〜5のいずれかに記載のカプセル製造装置であって、
前記液体接触部は前記第3の液体を貯留する液体貯留槽を有し、
前記液膜保持枠の第2の液体の液膜面から前記液体貯留槽の第3の液体の液面までの距離が0.1mm〜15cmである、カプセル製造装置。 - 請求項6に記載のカプセル製造装置であって、
前記液膜保持枠の第2の液体の液膜面から前記液体貯留槽の第3の液体の液面までの距離が0.1〜50mmである、カプセル製造装置。 - 請求項1〜7のいずれかに記載のカプセル製造装置であって、
前記液体接触部は前記第3の液体を貯留する液体貯留槽を有し、
前記液膜保持枠の第2の液体の液膜面から前記液体貯留槽の第3の液体の液面までの距離は、
生成されるカプセルの直径が100μm未満である場合は、1〜100mmであり、
生成されるカプセルの直径が100μm以上1000μm以下である場合は、0.1〜15cmである、カプセル製造装置。 - 第2の液体を刷毛状の塗布部で液膜保持枠に塗布することと、
膜状に保持された第2の液体の液膜に向けて第1の液体の液滴を噴射することにより、前記第1の液体の液滴を前記第2の液体で被覆することと、
前記第1の液体の液滴を被覆した前記第2の液体を第3の液体と接触させて化学反応を生じさせることと、
を有するカプセル製造方法であって、
前記塗布部は、前記カプセルを形成する動作の継続時間、及び、噴射された前記第1の液体の合計量に基づいて、前記カプセルを形成する動作中の所定のタイミングで、前記第2の液体の液膜を再形成させる、ことを特徴とするカプセル製造方法。
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