JP5961963B2 - カプセル製造装置及びカプセル製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、カプセル製造装置、医療用カプセル、及び、カプセル製造方法に関する。
芯物質(コア)を皮膜(シェル)で覆うことによって生成されるカプセルが知られている。このようなカプセルのうち、粒径がマイクロメートルオーダーの微小なカプセルはマイクロカプセル(マイクロスフィアやゲルビーズ)と呼ばれ、近年開発が進んでいる。マイクロカプセルは、コアやシェルの形成材料を適当に選択することで様々な機能を持たせることができる。例えば、コアを外部環境から保護する機能や、外部環境へコアを放出する速度を調節する機能等を持たせることができ、現在では、機能性材料として食品、医薬品等の多岐の分野に渡って応用されている。
このようなマイクロカプセルの生成方法として、カプセルのコアを形成するコア材及びシェルを形成するシェル材(ともに液体である)を用いて、シェル材によってコア材を被覆させることでカプセルを生成する方法がある。例えば、コア材によって形成される液面の上に、該コア材よりも比重の小さいシェル材を浮かべるようにしてシェル材を液膜状に形成して保持する。そして、コア材とシェル材との界面付近(コア材液面の下側)で気泡を発生・破裂させる。この気泡が破裂する際に生じる圧力によって、コア材をシェル材の液膜側に吐出させ、シェル材によってコア材を包み込むように被覆してマイクロカプセルを生成する方法が提案されている。(例えば特許文献1)。
特開2005−224647号公報
特許文献1の方法によれば、シェルの厚さが均一なマイクロカプセルを生成しやすくなる。
しかし、特許文献1の方法では、気泡の破裂等による圧力を発生させることによってカプセルを生成するため、生成されるカプセルの粒径を厳密に制御することが難しく、精度よくカプセルを生成するのには適していない。また、コア材を液膜状に保持する必要があるため、カプセル生成時におけるコア材の歩留まりが悪くなるという問題もある。
そして、特許文献1では、シェル材がコア材を被覆した後でシェルを硬化させる方法について開示されていない。つまり、液体(シェル材)がコア材を覆っているだけの構造のカプセルを生成することは可能であるが、適切な硬さに硬化したシェルを有するカプセルを生成することはできない。そのようなカプセルでは、コアを外部環境から保護する等の機能を十分に発揮することができず、応用分野も限られる。
本発明では、シェルを適切な硬さに硬化させ、精度よくカプセルを生成するカプセル製造装置を提供することを目的としている。
上記目的を達成するための主たる発明は、第2の液体を膜状に保持する液膜保持枠と第2の液体を前記液膜保持枠に塗布する刷毛状の塗布部と、前記液膜保持枠に保持された前記第2の液体の液膜に向けて第1の液体の液滴を噴射する液体噴射部と、前記第1の液体の液滴を被覆した前記第2の液体に第3の液体を接触させる液体接触部と、を備え、前記第2の液体に前記第3の液体を接触させることにより化学反応を生じさせ、前記第1の液体の液滴をコア材とし、前記第2の液体をシェル材とするカプセルを形成する、カプセル製造装置であって、前記塗布部は、前記カプセルを形成する動作の継続時間、及び、前記液体噴射部によって噴射された前記第1の液体の合計量に基づいて、前記カプセルを形成する動作中の所定のタイミングで、前記第2の液体の液膜を再形成させる、ことを特徴とするカプセル製造装置である。
本発明の他の特徴については、本明細書及び添付図面の記載により明らかにする。
カプセルの概念図である。 シェルが形成される際の動作について概略的に説明する図である。 第1実施形態におけるカプセル製造装置1の基本的な構成を説明する概略図である。 噴射ヘッド11の構造を説明する断面図である。 第1実施形態においてカプセル製造装置1を用いてカプセルを生成する工程のフローを表す図である。 アルギン酸ナトリウムの説明図である。 アルギン酸ナトリウムからアルギン酸カルシウムゲルへ変化する中間の様子を示す説明図である。 アルギン酸カルシウムゲルの説明図である。 カプセル製造装置1の変形例について説明する図である。 第2実施形態におけるカプセル製造装置2の基本的な構成を説明する概略図である。
本明細書及び添付図面の記載により、少なくとも、以下の事項が明らかとなる。
コアを形成する第1の液体を噴射する液体噴射部と、前記コアを内包するシェルを形成する第2の液体を膜状に保持する液膜保持部と、前記シェルに第3の液体を接触させる液体接触部と、を備え、前記液膜保持部に保持された前記第2の液体の液膜に向けて前記第1の液体を噴射することにより、コアを形成し、前記コアが前記第2の液体の液膜を貫通する際に、前記第2の液体によって前記コアを被覆させることにより、前記シェルを形成させ、前記シェルを前記第3の液体と接触させて化学反応を生じさせる、ことを特徴とするカプセル製造装置。なお、化学反応とは、高分子反応、重合反応、架橋反応等を含む。
このようなカプセル製造装置によれば、シェルに適切な硬さを持たせ、精度よくカプセルを生成することができる。
かかるカプセル製造装置であって、前記液体接触部は、前記第3の液体を液体の状態で貯留する液体貯留部を有し、前記第2の液体によって被覆された前記コアを、前記液体貯留部内に進入させることによって、前記第2の液体と前記第3の液体とを接触させることが望ましい。
このようなカプセル製造装置によれば、液相中でカプセルのシェル(第2の液体)が適切な硬さを持ち、第3の液体とは性状が異なるため、完成後のカプセルを液相中に沈降させたり、分散させたりすることで取り扱い易くなる。また、液相からカプセルを回収するまでの時間を変更することにより、第2の液体と第3の液体との化学反応の進行を調整することができる。これにより、カプセルの使用用途や要求される機能に応じてシェルの厚さや硬さを適切に調整しながらカプセルを生成することができる。
かかるカプセル製造装置であって、前記液体接触部は前記第3の液体を霧状に噴霧する噴霧部を有し、前記第2の液体によって被覆された前記コアの移動方向に対して前記噴霧部から前記第3の液体を噴霧することによって、前記第2の液体と前記第3の液体とを接触させることが望ましい。
このようなカプセル製造装置によれば、気相中でカプセルのシェル(第2の液体)が適切な硬さを持つため、当該気相の下に回収容器等を設置しておけば、完成後のカプセルが自然に下降し、回収に要する手間を少なくすることができる。
かかるカプセル製造装置であって、前記第2の液体は多糖類または蛋白質類を含む水溶液であり、前記第3の液体は多価金属塩を含む水溶液であり、前記第2の液体と前記第3の液体とを接触させて架橋反応を生じさせることにより、前記シェルを硬化させる、ことが望ましい。
このようなカプセル製造装置によれば、人体に無害で医療分野等に対する応用性が高いカプセルを生成することができる。また、親水性のゲルによるシェルを形成することが可能であるため、保水性能が高く、また、外部環境とカプセルとの間でシェルを介しての浸透圧調整が容易なカプセルを生成することができる。
かかるカプセル製造装置であって、前記液体噴射部から前記液膜保持部の液膜面との距離が10μm〜10000μmである、ことが望ましい。
このようなカプセル製造装置によれば、液膜を貫通させるためのコア(第1の液体)の噴射速度を減少させにくく、かつ、コアが蒸発しにくい。
かかるカプセル製造装置であって、前記液膜保持部の液膜面から前記液体接触部の液面との距離が0.1〜50mmである、ことが望ましい。
このようなカプセル製造装置によれば、液体保持部を貫通してから液体接触部まで移動する間におけるシェル(第2の液体)の蒸発を抑制することができる。
かかるカプセル製造装置であって、前記液体噴射部は、前記第1の液体の液滴を噴射するノズルと、電圧信号によって駆動されることで前記ノズルから前記液滴を噴射させる素子と、を備え、前記電圧信号の電圧を変更することで、前記液体噴射部から噴射される前記液滴の大きさを調整することが望ましい。
このようなカプセル製造装置によれば、所望のサイズのカプセルを正確かつ高精度に生成することができる。
かかるカプセル製造装置であって、記液体噴射部は前記ノズルを複数備え、複数の前記ノズルから前記液滴を噴射することが望ましい。
このようなカプセル製造装置によれば、コアとそれを被覆するシェルとが同時に複数形成されるので、効率よくカプセルを生成することができるようになる。
また、かかるカプセル製造装置で製造された医療用カプセルが明らかなる。
このような医療用カプセルによれば、所望のサイズや硬さの微小カプセルが製造できるため、DDS(ドラックデリバリーシステム)のように、薬剤などのコアとそれを被覆するシェルなどを構成することにより、途中で吸収・分解されることなく患部に到達させ、患部で薬剤を放出することができる。
また、膜状に保持された第2の液体の液膜に向けて第1の液体を噴射することにより、コアを形成することと、前記コアが前記第2の液体の液膜を貫通する際に、前記第2の液体によって前記コアを被覆させることにより、前記コアを内包するシェルを形成することと、前記シェルを第3の液体と接触させて化学反応を生じさせることと、を有するカプセル製造方法が明らかとなる。
===概要===
<カプセルとは>
図1に、本実施形態で生成されるカプセルの概念図を示す。本実施形態におけるカプセルは、図のように「コア」(内包物)、及びそれを覆う「シェル」によって構成され、球状の外形を有する。「コア」を形成するコア材は、有効成分(例えば、ハイドロキノン、セラミド、牛血清アルブミン、γ−グロブリン、リピオドール、ビフィズス菌、ビタミン、ヒアルロン酸、IPS細胞等)を含んだ物質である。コア材には当該有効成分が溶解していているもの、有効成分が分散しているもの、また、有効成分が固体もしくは気体状で存在しているものが含まれる。このようなカプセルは、食料、医薬部外品、医薬品等、種々の分野で使用されており、カプセルの大きさ(内包物の容量)や、シェルの厚さはその用途に応じて様々である。
<カプセルの生成方法>
上述のようなコアとシェルとを有するカプセルを生成する方法の概要について簡単に説明する。本実施形態では、複数種類の液体を原材料としてカプセルが生成される。コアを形成するコア形成材として第1の液体が用いられ、シェルを形成するシェル材として第2の液体が用いられるものとする。第1の液体及び第2の液体は、生成されるカプセルの機能や用途に応じてそれぞれ最適な液体材料が選択される。
カプセルを生成する際には、薄膜状に形成されたシェル材(第2の液体による液膜であり、液膜とも呼ぶ)に対して、カプセルのコアとなるコア材(第1の液体)の液滴を突入させる。そして、コア材が液膜を貫通する際に第2の液体がコア材全体を包み込むようにして被覆することによってシェルが形成される。
図2は、シェルが形成される際の動作について概略的に説明する図である。図の(A)〜(D)はコア材が液膜を貫通する際の様子を時系列順に表したものである。図では、水平に保持された液膜(斜線部)に対して鉛直上方向から垂直にコア材が突入するものとする。尚、図2のように鉛直上方向に限定されず、上方向から斜め下方向に突入させてやっても良い。
(A)はじめに、コア材(第1の液体)の液滴によって形成されたコアが、シェル材(第2の液体)によって形成された液膜に所定の速度(液膜を貫通可能な速度)で突入する。(B)液膜と接触したコアはそのまま直進を続け、液膜を貫通しようとする。これに対して、液膜はコアを包むように変形する。なお、第1の液体と第2の液体とは、組成や比重、粘度、表面張力等の性質が異なる液体であり(例えば、水性の液体と油性の液体など界面が形成される液体の組合せ)、両者が接触した場合でも直ちに混合されることはない。(C)コアは液膜に包まれたまま直進を続ける。コアが当初の液膜の位置を通過した段階では、コアの大部分が液膜(第2の液体)によって覆われる。なお、コアが通過した部分の液膜には穴が開いたような状態となるが、その穴の周囲から第2の液体が移動することにより、液膜の穴をふさいで穴のない状態に戻そうとする。(D)コアが液膜を完全に貫通すると、コア全体が第2の液体に被覆された状態となり、コアを内包するようにシェルが形成される。また、コアが貫通することにより液膜に開いた穴は第2の液体によって閉じられる。
このような動作を経ることで、シェルによってコアが被覆された構造を有するカプセルが生成される。
なお、図2の(D)の状態では、カプセルのシェルが液体(第2の液体)のままである。そのため、当該シェルは外部環境に対して非常に不安定な場合があり、生成されたカプセルに触れるだけでシェルが破壊されてしまうおそれがある。そこで、本実施形態では、形成されたシェル(第2の液体)にシェル硬化材として第3の液体を接触させて化学反応を生じさせる。化学反応によりシェルを適切な硬さにさせることによって外部環境に対して強いカプセルを生成する。第2の液体と第3の液体との化学反応についての詳細は後で説明する。なお、硬化するとは、液体の粘度が高くなることや、液体状のものが固体状に性状変化することなどを含み、特に固体特有の強度変化に限定されるものではない。
===第1実施形態===
発明を実施するためのカプセル製造装置の形態として、液体噴射装置を用いたカプセル製造装置1を例に挙げて説明する。
カプセル製造装置1では、インクジェット方式を用いて液滴を噴射することにより、カプセルの大きさやシェル厚さを自由に調整しながら、所望のサイズのカプセルを製造(生成)する。また、インクジェット方式により微少量の液滴を噴射することで、カプセル径がナノメートル(nm)オーダーやマイクロメートル(μm)オーダーとなるような、微小サイズのカプセルを生成することが可能である。例えば、0.1〜500pl(ピコリットル)程度の容量の、所謂マイクロカプセル(マイクロスフィア)を生成することができる。
<カプセル製造装置1の構成>
図3は、第1実施形態におけるカプセル製造装置1の基本的な構成を説明する概略図である。カプセル製造装置1は、液体噴射部10と、液膜保持部30と、液体接触部50とを備える。
また、説明のため、図3に示されるように、X軸、Y軸、Z軸からなる座標軸を設定する。Z軸は鉛直方向(図3において下向きの方向)であり、X軸はZ軸に対して垂直な方向であり、Y軸はZ軸及びX軸に垂直な方向であるものとする。図3では、液体噴射部10と、液膜保持部30と、液体接触部50とがZ軸方向に沿って直線状に並んで配置されているが、これらの位置関係を変更することも可能である。詳細は後述する。
(液体噴射部10)
液体噴射部10は、第1の液体(コア材)を噴射することによってマイクロカプセルのコアを形成するコア形成部である。液体噴射部10は噴射ヘッド11と第1液体タンク12とヘッド制御部HC(不図示)とを有する。
噴射ヘッド11は第1の液体を液滴として噴射する。噴射ヘッド11による液体噴射動作については後で説明する。第1液体タンク12はコアの原料としての第1の液体を貯留しておくタンクであり、不図示の液体伝送路を介して噴射ヘッド11に第1の液体を供給する。ヘッド制御部HCは、噴射ヘッド11を駆動させるための電圧波形信号である駆動信号を生成し、後述するピエゾ素子PZTに印加することによって、噴射ヘッド11の駆動を制御し、第1の液体を噴射させる。
図4は、噴射ヘッド11の構造を説明する断面図である。噴射ヘッド11は、ノズル111、ピエゾ素子PZT、液体供給路112、ノズル連通路114(容積室に相当する)、及び、弾性板116(ダイアフラムに相当する)を有する。
第1液体タンク12に貯留された第1の液体は、液体供給路112を介してノズル連通路114に供給される。圧電素子であるピエゾ素子PZTには、ヘッド制御部HCで生成された複数のパルスを有する電圧信号が、駆動信号として印加される。駆動信号が印加されると、該駆動信号に従ってピエゾ素子PZTが伸縮し、弾性板116を振動させる。そして、ノズル連通路114の容積を変化させ、駆動信号の振幅に対応するようにノズル連通路114内に供給された第1の液体を移動させる。
第1の液体の移動について具体的に説明する。本願実施形態のピエゾ素子PZTは、電圧を印加すると図4の上下方向に収縮する特性を有する。駆動信号としてある電圧からより大きい電圧を印加した場合、ピエゾ素子PZTは図4の上下方向に収縮してノズル連通路114の容積を拡大する方向に弾性板116を変形させる。このとき、ノズル111における液体表面はノズル111の内側(図4の上側)方向に移動する。逆に、ある電圧からより小さい電圧を印加した場合、ピエゾ素子PZTは図4の上下方向に伸長し、ノズル連通路114の容積を縮小する方向に弾性板116を変形させる。このとき、ノズル111の液体表面はノズル111の外側(図4の下側)方向に移動する。このように、ノズル連通路114の容積を変化させるとノズル連通路114における圧力が変動し、ノズル連通路114に充填された液体をノズル111から噴射することができる。噴射された第1の液体は、その表面張力により球形(液滴)となる。つまり、ピエゾ素子PZTに印加される駆動信号の振幅(電圧の大きさ)を変更することによって、噴射される液滴の大きさ(液体の量)を調整することができる。これにより、所望のサイズのカプセルコアを正確に形成することができるようになる。
なお、第1の液体に酸素分子が溶け込んでいると、この圧力変動の際、ノズル連通路114において気泡が生じてしまう。よって、本実施形態において使用される第1の液体は予め中空糸などを用いて脱気されていることが望ましい。
本実施形態において、ノズル111は、例えば直径20μmであり、噴射周波数10Hz以上で第1の液体を噴射することができる。また、駆動信号の周波数を変更することにより噴射周波数を変更し、カプセル(コア)の生成効率を変化させことができる。
(液膜保持部30)
液膜保持部30は、液膜保持枠31と液膜形成機構(不図示)とを有する。
液膜保持枠31は、シェルを形成する原材料である第2の液体(シェル材)を薄膜状に保持する枠である。第2の液体(シェル材)は周囲を液膜保持枠31に取り囲まれることによって、該液膜保持枠31を外縁とする液膜を形成する。液膜保持枠31は、液膜を保持できるものであれば材質は自由であり、本実施形態では金属製(例えば、ステンレス、アルミニウム、銅、金、銀、真鍮、チタン、炭素鋼、洋白等)や樹脂製(例えば、アクリル、ポリウレタン、シリコン樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ナイロン等)の液膜保持枠を用いることができる。また、液膜を保持できるものであれば形状も自由であり、図3のような四角形以外の形状であってもよい。なお、液膜保持枠31の厚さは、保持するべき液膜の厚さを考慮して決定される。
液膜形成機構は、液膜の原料となる第2の液体(シェル材)を液膜保持部30に供給し、液膜を形成するものである。液膜形成機構は、例えば、第2の液体を貯留する第2液体タンクと、液膜保持枠31の一辺の幅以上の幅(長さ)を有する刷毛状の塗布部とを有する。そして、第2液体タンクに貯留されている第2の液体を、該塗布部を用いて液膜保持枠31に塗布することによって液膜を形成するような機構とすることができる。このような液膜形成機構によれば、カプセル生成動作(詳細は後述)中に液膜が損壊された(破れた)場合であっても、すぐに液膜を再形成することができる。
ただし、カプセル製造装置1にとって液膜形成機構は必須の構成ではなく、カプセルを生成する際に、液膜保持部30によって第2の液体の液膜が保持されていればよい。例えば、外部装置によって第2の液体の液膜が形成され、液膜保持枠31に保持されるのであってもよい。
(液体接触部50)
液体接触部50は、第3の液体(シェル硬化材)を液体状に貯留し、該液体接触部50において第3の液体(シェル硬化材)と第2の液体(シェル材)とを接触させることにより化学反応を生じさせる。
液体接触部50は、液体貯留槽51を有する。液体貯留槽51は液体を貯留しておくことができる容器である。本実施形態においては図3の斜線部で表されるように第3の液体を液体の状態で貯留して液相を形成する。液体貯留槽51の上部は開口部となっていて、当該開口部から液体貯留槽51内の液相に被接触物質を進入させ、該液体貯留槽51に貯留された第3の液体と接触させる。本実施形態においては、液膜保持部30を貫通することによりシェル(第2の液体)によって被覆されたカプセルが、第3の液体中に進入する。そして、第2の液体(シェル)が第3の液体と接触することによって、液体貯留槽51内において化学反応を生じて適切な硬さになる。
また、液体貯留槽51は、第3の液体と接触した後のカプセルを回収するための回収機構(不図示)を備えている。回収機構としては、例えば、生成されたカプセルを第3の液体中から濾し取るためのろ過装置等が備えられる。したがって、液体接触部50はカプセル回収部としての機能も有する。
<カプセル生成動作について>
続いて、カプセル製造装置1を用いてカプセルを生成する際の具体的動作について説明する。図5に、第1実施形態においてカプセル製造装置1を用いてカプセルを生成する工程のフローを表す図を示す。本実施形態では、コア形成工程(S101)、シェル形成工程(S102)、シェル硬化工程(S103)の3つの工程によりカプセルが生成される。
S101:コア形成工程
まず、液体噴射部10から噴射されるコア材(第1の液体)の液滴(ドット)によってカプセルのコアが形成される。コア材としては、有効成分(例えば、ハイドロキノン、セラミド、牛血清アルブミン、γ−グロブリン、リピオドール、ビフィズス菌、ビタミン、ヒアルロン酸、IPS細胞等)を含んだ物質(水溶液)が用いられる。
図3に表されるように、コア材を噴射する際は、液膜保持部30によって保持される液膜(シェル材の液膜)に向かって液滴が噴射される。本実施形態では、液体噴射部10が液膜保持部30の鉛直上方に設けられており、第1の液体がZ軸方向に噴射される。すなわち、XY平面に平行に保持されたシェル材の液膜に向けて垂直な方向からコア材が噴射される。ただし、コア材は、必ずしもシェル材の液膜に対して垂直な方向に噴射される必要は無く、シェル材の液膜に対して斜めの方向に噴射されるのであってもよい。
コア材を噴射する際の液体噴射量は、生成されるカプセルのコアの大きさ(容量)に応じて決定される。本実施形態においては、噴射された第1の液体による液滴がそのままコアになるためである。すなわち、コア材を噴射する量を制御することによって、生成されるカプセルのサイズ(コアの大きさ)を自由に設定することができる。上述したように、液体噴射部10から噴射されるコア材(第1の液体)の量は、駆動信号の電圧を変更することによって調整することができる。
また、このことは、コア材(第1の液体)の歩留まりが非常に高いということを意味する。すなわち、噴射されたコア材は効率よくコアを形成するため、コア材はほとんど無駄にならない。したがって、カプセルの原料コストを安く抑えることができる。特に、コア材として非常に高価な物質を使用しなければならない場合(例えば、医療用カプセルを生成する際に、医療用材料をコアとする場合)に非常に効果的である。また、使用される液体の量が最適化できるため、廃棄される液体の量が少なく環境保護という観点でも有効である。また、医療用カプセルに限らず、化粧用カプセルや食品用カプセルにおいても、上述したとおり、使用される液体の量が最適化できる。
コア材を噴射する際の液体噴射速度は、次工程のシェル形成工程(S102)において該液膜を貫通できるような速度に設定される。すなわち、噴射されたコア材の液滴が、シェル材(第2の液体)の液膜を貫通するのに十分な大きさの運動量を有するように設定される。設定するべき速度は、貫通するべき液膜の厚さ、液膜材料(シェル材)の粘度や液膜の表面張力、コア(第1の液体)の噴射量や密度等によって条件が異なる。また、液体噴射部10と液体保持部30との位置関係(距離)によっても条件が異なる。したがって、実際にカプセルが生成される条件にてあらかじめ実験を行なって、シェル材の液膜を貫通できる最小のコア材噴射速度を調べておき、当該速度を閾値として設定しておく。例えば生成されるコアのサイズや使用される液体材料毎に閾値が設定される。ヘッド制御部HCは、設定された閾値を参照してピエゾ素子PZTを駆動させ、所定の速度以上となるように第1の液体を噴射させる。
S102:シェル形成工程
S101で形成されたコアは、液膜保持部30に保持された液膜(第2の液体の液膜)に突入する。そして、コアが液膜を貫通する際に、第2の液体(シェル材)によって当該コアが覆われることによって、シェルが形成される(図2参照)。
本実施形態において、シェル材(第2の液体)としては多糖類、もしくは蛋白質類(例えば、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸カルシウム、アルギン酸カリウム、アルギン酸アンモニウム、エチルセルロース、メチルセルロース、ペクチン、ジェランガム、キトサン、コラーゲン、フィブリノーゲン等)を含んだ物質(水溶液)が用いられる。アルギン酸塩類は人体に対してほぼ無害であり、カプセルのシェル材として使用することによりカプセルの応用性の範囲が広くなる。なお、上述したように、シェル材(第2の液体)とコア材(第1の液体)とは、互いに混合しにくい液体が選択される。言い換えると、第1の液体と第2の液体とが、一定時間の間分離した状態を保つことができるように、各液体材料を選択する必要がある。
液膜保持部30は水平に設置され、液体噴射部10から噴射されたコア材(第1の液体)の液滴が液膜上に着弾するように位置が調整される。液膜に対してコアを垂直に突入させることにより、厚みのムラ等が少ない均一なシェルを形成させやすくなる。ただし、シェルを保持できるのであれば、液膜保持部30を水平面に対して傾けて設置しても、コアを被覆するシェルを形成させることは可能である。
また、液膜(第2の液体の液膜)が保持される位置と液体噴射部10との間距離(図3のZ軸方向距離)は小さい方が望ましい。コア材(第1の液体)が噴射されてから空気中を長距離移動すると、移動する間にコア材が蒸発して形成されるコアの大きさが予定よりも小さくなってしまうおそれがあるからである。特に、上述のような微小サイズのカプセル(例えば、マイクロカプセル)を生成する場合には、移動中にコア材が蒸発しやすいため、注意が必要となる。
特に、マイクロカプセルの直径が100μm未満である場合には、液膜を貫通させるための噴射速度を減少させないためにも、両者の距離は短い方が有利である。したがって、本実施形態では、コア材が噴射されてからシェル材の液膜に着弾するまでの距離が10〜10000μm程度となるように、液膜保持部30が配置される。特に、10〜5000μmの距離が速度減衰の観点から液滴蒸発に有利であるため、より望ましい。
また、マイクロカプセルの直径が100μm以上1000μm以下である場合には、コア材が噴射されてからシェル材の液膜に着弾するまでの距離が1〜1000mm程度となるように、液膜保持部30が配置される。特に、1〜300mm付近の距離が速度減衰の観点から液滴蒸発に有利であるため、より望ましい。なお、液滴の蒸発は着弾精度の低下を防ぐために、無風環境下が望ましい。さらに蒸発を抑制するために、液滴飛行環境は多湿が望ましい。
本実施形態においては、第2の液体(シェル材)を原料としてカプセルのシェルが形成される。したがって、カプセル生成動作を繰り返すうちに第2の液体が消費され、液膜の厚さが薄くなることが考えられる。この場合、形成されるシェルの厚さを均一に保つことができなくなったり、液膜自体が破れやすくなったりするおそれがある。また、カプセル生成動作を繰り返すうちに、液膜に不純物(例えば、気泡やコア材の残留物、サテライト)が混入するおそれがある。
そこで、カプセル生成動作中の所定のタイミングで、液膜を形成しなおしたり、液膜保持枠31ごと液膜を交換したりすることにより、液膜の状態が変動することを抑制する。これにより、生成されるカプセルのシェルを高品質に保つことができる。なお、液膜を交換等するタイミングは、例えば、カプセル生成動作の継続時間や、液体噴射部10によるコア材の合計噴射量等を基準として判断される。
S103:シェル硬化工程
S102でコアを被覆するシェルが形成された後、液体接触部50において当該シェルが硬化される。本実施形態では、液体接触部50の液体貯留槽51が液体噴射部10及び液膜保持部30の下側に設置されおり(図3参照)、Z軸方向(鉛直下方向)に噴射されたコア材(第1の液体)はシェル材の液膜(第2の液体)を貫通した後、そのまま液体貯留槽51内に進入する。そして、液体貯留槽51内に貯留された第3の液体とシェル(第2の液体)とが接触することで化学反応を生じ、シェル(第2の液体)が硬化する。
なお、液膜保持部30と液体貯留槽51との間の距離(Z軸方向距離)は、液滴蒸発や、第3の液体への突入速度に大きく関係し、100μm未満の直径のマイクロカプセルを生成する場合には0.1〜100mm、特に0.1〜50mmが好ましく、100μm以上1000μm以下の直径のマイクロカプセルを生成する場合には0.1〜15cm、特に0.1〜10cmが好ましい。なぜなら、液体保持部30を貫通してから液体貯留槽51までのカプセルの移動距離が長すぎると、移動中に第2の液体(シェル)が蒸発してしまうからである。なお、液滴降下中は蒸発や着弾精度の低下を防ぐために、無風環境下が望ましい。さらに、蒸発を抑制するために、液滴飛行環境は多湿であることが望ましい。
本実施形態において、第3の液体(シェル硬化材)として、ゲル化誘発因子を持つような多価金属塩(例えば、塩化カルシウム、酢酸カルシウム、硝酸カルシウム、クエン酸カルシウム、乳酸カルシウム、炭酸カルシウム等のカルシウム塩を含むものや、塩化アルミニウム、硝酸アルミニウム、硫酸アルミニウム、酢酸アルミニウム、リン酸アルミニウム等のアルミニウム塩、塩化マンガン、硝酸マンガン、酢酸マンガン、硫酸マンガン等のマンガン塩、塩化マグネシウム、硝酸マグネシウム、酢酸マグネシウム、硫酸マグネシウム等のマグネシウム塩、リン酸第一鉄、リン酸第二鉄等の鉄塩等)を含む物質(水溶液)が用いられる。
シェル硬化工程(S103)では、シェル材(第2の液体)がシェル硬化材(第3の液体)と接触して架橋反応、重合反応、高分子反応といった化学反応を生じることにより、シェル材がゲル化する。なお、ここで言う「ゲル化」とは粘度が高くなる状態も含み、以下、「硬化」とも表現する。
<化学反応について>
ここで、第2の液体(シェル材)としてアルギン酸ナトリウム水溶液を用い、第3の液体(シェル硬化材)として塩化カルシウム水溶液を用いた場合に生じる化学反応について説明する。図6は、アルギン酸ナトリウムの説明図である。図7は、アルギン酸ナトリウムからアルギン酸カルシウムゲルへ変化する中間の様子を示す説明図である。図8は、アルギン酸カルシウムゲルの説明図である。
図6に示されるように、アルギン酸ナトリウム(CNa)はアルギン酸に1価のナトリウムイオンが結合している。このアルギン酸ナトリウムが塩化カルシウム(CaCl)水溶液にと接触すると、2価のカルシウムイオン(Ca2+)が、アルギン酸ナトリウムのナトリウムイオン(Na)と置換されることで、ゲル化が進行する(図7)。このとき、ナトリウムイオン(Na)は1価であり、カルシウムイオン(Ca2+)は2価であるので、2個のナトリウムイオン(Na)に対して、1個のカルシウムイオン(Ca2+)が置換される。このとき、アルギン酸ナトリウムは、2つのアルギン酸ナトリウム間において、2つのナトリウムイオン(Na)が脱離して、2価の金属イオンである1つのカルシウムイオン(Ca2+)に置換される(図8)。そして、2つのアルギン酸間を橋架けする架橋凝縮が生じ、ゲル化(硬化)する。このような化学反応は架橋反応とも呼ばれる。なお、反応式は次のようであると考えられる。
2CNa+CaCl=(C−Ca−C)+2NaCl
ところで、図8には、破線で囲われた領域が示されている。アルギン酸カルシウムゲルでは、この破線で囲われた領域を通じてゲルの内部から外部へ水分子が移動したり、外部から内部へと水分子が移動したりする。このように破線で囲われた領域に水分子が存在することにより、弾力性のあるゲルが実現されている。そして、ゲルにおける水分子の流入量と流出量は均衡している。本実施形態において、親水性を有するゲル状のシェルが形成されることによって、人体に摂取する場合に生体親和性が高いカプセルを生成することができる。また、親水性のシェルであることから、コアと外部環境との間で該シェルを介した浸透圧の調整が容易になるという利点もある。
また、アルギン酸ナトリウムに対してグリセリンが添加されている場合には、水分子の流入量と流出量との均衡が崩れ、より水分子が外部に流出しやすくなる。図8の破線で囲われた領域にグリセリンも存在するのであるが、このグリセリンが外部に流出する際、この破線で囲われた領域の網目が収縮する。そうすると、アルギン酸カルシウムの密度が高まることから、ゲルが硬くなる。また、グリセリンはゲル化の反応速度を速くすることに貢献していると考えられ、このためゲルが硬くなるとも考えられる。
尚、グリセリンは人体に与える影響が少ないため薬剤を含むゲルを製造する際の添加剤として有利であるとともに、グリセリンは密度が高く水の中では沈みやすいという性質をもつ。そのため、グリセリンを含むゲルを製造した場合には、沈降するのに要する時間が短くなるため、生成後のカプセルを回収しやすくなる。また、短時間でゲルが沈降するので、連続してカプセルを生成しやすくなるため、生産性が向上する。
本実施形態では、このような化学反応(上述の例では架橋反応)の性質を利用して、シェルのゲルの硬さを調整することが可能である。例えば、第2の液体(シェル材)と第3の液体(シェル硬化材)との接触時間を変更することによって硬さを調整する。第2の液体の液膜を貫通することによりシェルが形成されたカプセルが、液体貯留槽51内に貯留された第3の液体に進入した後、すぐにカプセルを回収したとする。この場合、第2の液体と第3の液体との接触時間が短いため、化学反応はシェル(第2の液体)の表面では進行するが、シェルの内側では十分に進行しない。これにより、シェルが薄く、硬度の低いカプセルを生成することができる。逆に、第2の液体の液膜を貫通したカプセルが液体貯留槽51に進入した後、十分な時間が経過した後にカプセルを回収した場合、化学反応はシェル(第2の液体)の内側まで十分に進行し、シェルが厚く、硬度の高いカプセルを生成することができる。また、化学反応の進行速度は液体の濃度などによっても影響されるため、第2の液体及び第3の液体の濃度を調整することによっても、シェルの硬化速度を変えることができる。つまり、所望の時間で硬さを調整できることになる。
このようにして、形成されるシェルの厚さやゲルの硬さを自由に調整することによって、様々な用途に対応したカプセルを生成することができる。例えば、カプセルを医療分野に応用する場合、シェルの強さ(硬さ)を調整することによって人体に摂取されてからシェルが壊れて内部物質(コア)が露出するまでの時間を選択することができるようになる。具体的には、薬剤等によるコアとそれを被覆するシェル等によって構成されるカプセルを生成する。このようなカプセルによれば、人体に摂取された後、途中で吸収・分解されることなく患部まで薬剤(コア)を到達させ、患部に到達した段階で薬剤を放出させる等、DDS(ドラックデリバリーシステム)への応用が可能となる。
シェルが硬化されたカプセルは、液体接触部50に備えられた回収機構によって回収される。
<第1実施形態のまとめ>
本実施形態のカプセル製造装置では、液体噴射部10から液膜保持部30に保持された第2の液体(シェル材)の液膜に向けて第1の液体(コア材)を噴射することによりコアを形成する。そして、コアが液膜を貫通する際に、第2の液体(シェル材)によってコアを被覆させることによりシェルを形成させる。そして、液体接触部50に貯留された第3の液体(シェル硬化材)と接触させて化学反応を生じさせることによりシェルを硬化させて、カプセルを生成する。
本実施形態のカプセル製造装置によれば、第1の液体(コア材)の噴射量や第2の液体(シェル材)の液膜厚さを調整することにより、所望のサイズのカプセルを高精度に生成することができる。そして液体噴射部10(ヘッド)を駆動させる駆動信号の周波数を変化させることで第1の液体を噴射する際の噴射タイミングを変更することにより、カプセルの生成効率を自由に調整することができる。さらに、噴射された第1の液体がそのままコアを形成するため、コア材の歩留まりが非常に高く、コスト面でも有利である。
また、第2の液体(シェル材)と第3の液体(シェル硬化材)との接触時間を調節することにより、カプセルの使用用途や要求される機能に応じてシェルの厚さや硬さを適切に調整しながらカプセルを生成することができる。そして、液相中でカプセルのシェルが硬化されるため、完成後のカプセルを液相中に沈降させて回収することができる。
また、カプセル原料としての液体材料は、様々な液体を組み合わせることが可能である。例えば、シェルを形成する第2の液体(シェル材)は、液膜保持部30に液膜として保持可能であり、液体接触部50にて硬化させることができる物質であれば、様々な種類の液体を使用することができる。これにより、材料選択性が広くなり、多様なカプセルを生成することができる。
<変形例>
図3に示されるカプセル製造装置1では、液体噴射部10に対して噴射ヘッド11が1個だけ配置されているが、これに限るものではない。すなわち、液体噴射部10に複数の噴射ヘッド11が配置される構成としてもよい。
図9にカプセル製造装置1の変形例について説明する図を示す。変形例では液体噴射部10に噴射ヘッド11が4つ設けられ、同時に4つの液滴(コア)を噴射することが可能である。本実施形態では、液膜保持部30によって複数のコアに対して同時にシェルを形成することができる。また、液体接触部50によって複数のシェルを同時に硬化させることができる。したがって、液体噴射部10から噴射される液滴(コア)を増やすことにより、複数のカプセルを同時に生成することができ、カプセル生成効率をより高くすることができる。
さらに、噴射ヘッド11にノズル111が複数形成されるようにする。このようにすれば、より効率的にカプセルを生成することができる。なお、1つの噴射ヘッド11に対してノズル111が複数設けられる場合には、ピエゾ素子PZTも各ノズルに対応して設けられる。
===第2実施形態===
第2実施形態では、第1実施形態とは液体接触部50の構成が異なるカプセル製造装置2を用いてカプセルの製造を行なう。図10に、第2実施形態におけるカプセル製造装置2の基本的な構成を説明する概略図を示す。カプセル製造装置2で、液体噴射部10と、液膜保持部30とは、カプセル製造装置1と同様の構成である。なお、本実施形態においても、上述の図9の場合と同様に、液体噴射部10が複数の噴射ヘッド11や複数のノズル111を有する構成とすることもできる。
以下、液体接触部50を中心に説明する。
<液体接触部50>
本実施形態の液体接触部50は、噴霧部55と、カプセル回収部56とを有する。
噴霧部55は第3の液体(シェル硬化材)を霧状に噴霧することにより、図10のように大気中の所定の領域に第3の液体を散布する。言い換えると、大気中の所定の領域にシェル硬化材の微粒子による雰囲気(以下、シェル硬化材雰囲気とも呼ぶ)を形成する。噴霧部55は、例えばスプレーノズルを備え、第3の液体(シェル硬化材)を霧状に噴射する。
カプセル回収部56は完成したカプセルを回収する容器であり、カプセル(コア)の移動方向(第1の液体が噴射される方向)の最下流側に配置される。
<カプセル生成動作>
第2実施形態におけるカプセル生成動作は、基本的に第1実施形態と同様であるが(図5参照)、シェル硬化工程(S103)において気相中でシェルが適切な硬さになる点が異なる。
シェル形成工程(S102)において第2の液体の液膜を貫通することで第2の液体(シェル材)で被覆されたコア(カプセル)は、移動方向(図10ではZ軸方向)の途中に形成されたシェル硬化材雰囲気を通過する際に第3の液体(シェル硬化材)の微粒子と接触する。これにより、シェル表面においてシェル材とシェル硬化材とが接触した部分で化学反応が生じ、当該部分の硬さが変化する。例えば、第2の液体(シェル材)としてアルギン酸塩を含む水溶液、第3の液体(シェル硬化材)として塩化カルシウムを含む水溶液が用いられた場合には、接触部において架橋反応が生じる。架橋反応が進行して、シェル材が硬化する。なお、シェル硬化材の微粒子は気相中に均一で分布させるため、シェル硬化材はシェル材と均一に接触し、化学反応も全体的に均一に進行する。つまり、シェル表面におけるゲルの硬さのムラ等は生じにくい。
したがって、シェル硬化材雰囲気における第3の液体の濃度を適当に保つことにより、シェルが適切な硬さになったカプセルを生成することができる。なお、シェルが硬化されたカプセルは、そのまま移動方向に移動し、カプセル回収部56で回収される。
本実施形態では、気相中でシェルが硬化され、そのまま回収容器56に沈降してカプセルとして回収されるため、液相中からカプセルを回収するのと比較して、回収作業に要する手間を省略することができる。例えば、第1実施形態では液体接触部50にろ過装置のような回収機構を備え、当該回収機構によってカプセルの回収を行なう例について説明したが、本実施形態ではそのような回収機構は不要である。また、気相中でカプセルが完成するため、完成後のカプセルの個数を管理するのが容易になる。
===その他の実施形態===
一実施形態としてのカプセル製造装置を説明したが、上記の実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれることは言うまでもない。以下に述べる実施形態であっても、本発明に含まれるものである。
<カプセル生成材料について>
前述の各実施形態では、第1の液体〜第3の液体についてそれぞれ具体例が例示されていたが、例示された以外のカプセル生成材料を用いてカプセルを生成することも可能である。
<装置の配置について>
前述の各実施形態では、液体噴射部、液膜保持部、液体接触部が鉛直方向に沿って直線状に並ぶように配置されていたが、各機器の配置はこの限りではない。例えば、液体噴射部によってコア(第1の液体)が鉛直に対して斜めの方向に噴射されるような場合には、当該コアの移動方向(進路)に沿って各機器が配置されればよい。
1,2 カプセル製造装置、
10 液体噴射部、11 噴射ヘッド、12 第1液体タンク、
30 液膜保持部、31 液膜保持枠、
50 液体接触部、51 液体貯留槽、55 噴霧部、56 カプセル回収部、
111 ノズル、112 液体供給路、114 ノズル連通路、116 弾性板、
PZT ピエゾ素子

Claims (9)

  1. 第2の液体を膜状に保持する液膜保持枠と、
    第2の液体を前記液膜保持枠に塗布する刷毛状の塗布部と、
    前記液膜保持枠に保持された前記第2の液体の液膜に向けて第1の液体の液滴を噴射する液体噴射部と、
    前記第1の液体の液滴を被覆した前記第2の液体に第3の液体を接触させる液体接触部と、を備え、
    前記第2の液体に前記第3の液体を接触させることにより化学反応を生じさせ、前記第1の液体の液滴をコア材とし、前記第2の液体をシェル材とするカプセルを形成する、カプセル製造装置であって、
    前記塗布部は、前記カプセルを形成する動作の継続時間、及び、前記液体噴射部によって噴射された前記第1の液体の合計量に基づいて、前記カプセルを形成する動作中の所定のタイミングで、前記第2の液体の液膜を再形成させる、ことを特徴とするカプセル製造装置
  2. 請求項1に記載のカプセル製造装置であって、
    前記塗布部の幅は、前記液膜保持枠の一辺の幅以上の長さを有する、カプセル製造装置。
  3. 請求項1または2に記載のカプセル製造装置であって、
    前記塗布部に供給する前記第2の液体を貯留するタンクを備える、カプセル製造装置。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載のカプセル製造装置であって、
    前記第2の液体は多糖類または蛋白質類を含む水溶液であり、
    前記第3の液体は多価金属塩を含む水溶液であり、
    前記第2の液体と前記第3の液体とを接触させて架橋反応を生じさせることにより、前記第2の液体を硬化させる、カプセル製造装置。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載のカプセル製造装置であって、
    前記液体噴射部から前記液膜保持枠の液膜面までの距離が10μm〜10000μmである、カプセル製造装置。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載のカプセル製造装置であって、
    前記液体接触部は前記第3の液体を貯留する液体貯留槽を有し、
    前記液膜保持枠の第2の液体の液膜面から前記液体貯留槽の第3の液体の液面までの距離が0.1mm〜15cmである、カプセル製造装置。
  7. 請求項6に記載のカプセル製造装置であって、
    前記液膜保持枠の第2の液体の液膜面から前記液体貯留槽の第3の液体の液面までの距離が0.1〜50mmである、カプセル製造装置。
  8. 請求項1〜7のいずれかに記載のカプセル製造装置であって、
    前記液体接触部は前記第3の液体を貯留する液体貯留槽を有し、
    前記液膜保持枠の第2の液体の液膜面から前記液体貯留槽の第3の液体の液面までの距離は、
    生成されるカプセルの直径が100μm未満である場合は、1〜100mmであり、
    生成されるカプセルの直径が100μm以上1000μm以下である場合は、0.1〜15cmである、カプセル製造装置。
  9. 第2の液体を刷毛状の塗布部で液膜保持枠に塗布することと、
    膜状に保持された第2の液体の液膜に向けて第1の液体の液滴を噴射することにより、前記第1の液体の液滴を前記第2の液体で被覆することと、
    前記第1の液体の液滴を被覆した前記第2の液体を第3の液体と接触させて化学反応を生じさせることと、
    を有するカプセル製造方法であって、
    前記塗布部は、前記カプセルを形成する動作の継続時間、及び、噴射された前記第1の液体の合計量に基づいて、前記カプセルを形成する動作中の所定のタイミングで、前記第2の液体の液膜を再形成させる、ことを特徴とするカプセル製造方法
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