JP5962003B2 - ゲル製造装置、及び、ゲル製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、ゲル製造装置、医療用ゲル、及び、ゲル製造方法に関する。
ゲルの材料となる液体(ゲル材)を、該液体をゲル化させるゲル化材に向けて吐出する液滴吐出法により、ゲルを製造する方法が知られている。例えば、静止した状態のゲル化材に対して、一定の間隔を空けてゲル材を吐出する吐出口(ノズル)を配置する。そして、液滴吐出法によりノズルから吐出されるゲル材の液滴と、静止した状態のゲル化材とを反応させてゲルを製造する方法及び装置が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
特開2001−232178号公報
特許文献1の方法によれば、液滴の吐出量を調整することで所望の大きさのゲルを生成することができる。特に、微小なサイズのマイクロカプセル等を生成することができる。
これに関連したゲル量産方法として、ゲル化材を渦巻状に流動させた状態で、その流動するゲル化材に対して複数のノズルからゲル材の液滴を吐出して、両液体を反応させることによって多数のゲルを製造する方法が考えられている。しかし、ゲル化材の流動速度が部分的に異なるため、液滴が吐出される場所によっては、同じノズルから連続して吐出される2つの液滴同士がゲル化材中で互いに接触してしまう場合がある。このような場合、液滴同士が結合することにより、大きさや形状が不揃いな不良ゲルが生成されやすくなり、複数のゲルを効率的に生成することが困難となる。
本発明では、複数のゲルを効率的に生成可能なゲル製造装置を提供することを目的としている。
上記目的を達成するための主たる発明は、(A)複数のノズルが直列に並ぶノズル列から、第2の流体に向けて第1の流体の流体滴を断続的に噴射する流体噴射部と、(B)前記流体噴射部の鉛直下方に設置された円筒形容器の内部で、前記第2の流体を渦状に流動させる流動部と、(C)前記円筒形容器の半径方向に沿って配置される前記ノズル列のうち、前記半径方向の一番外側のノズルと対向する位置における前記第2の流体の流動速度に応じて、前記一番外側のノズルから噴射される第1番目の流体滴と、前記第1番目の流体滴の次に噴射される第2番目の流体滴とが、前記第2の流体中で接触しないように、前記流体噴射部から前記第1の流体が断続的に噴射される際の周波数fを調整する制御部と、を備えるゲル製造装置である。
本発明の他の特徴については、本明細書及び添付図面の記載により明らかにする。
ゲル製造装置1の概略図である。 噴射ヘッド11の構造を説明する断面図である。 流体噴射部10に設けられた複数のノズルの配置と、回転流動する第2の流体との関係について説明する図である。 あるノズルから噴射される第1の流体によってゲルが生成される過程を時系列順に説明する図である。 図5A及び図5Bは、隣り合う液滴同士の間隔Pと液滴の直径dとの関係を説明する図である。 アルギン酸ナトリウムの説明図である。 アルギン酸ナトリウムからアルギン酸カルシウムゲルへ変化する中間の様子を示す説明図である。 アルギン酸カルシウムゲルの説明図である。 ゲル製造装置2の流体噴射部10のノズル列の配置の例について説明する図である。 第2実施形態におけるゲル生成動作の概要について時系列順に説明する図である。
本明細書及び添付図面の記載により、少なくとも、以下の事項が明らかとなる。
(A)複数のノズルが直列に並ぶノズル列から、第2の流体に向けて第1の流体の流体滴を断続的に噴射する流体噴射部と、(B)前記流体噴射部の鉛直下方に設置された円筒形容器の内部で、前記第2の流体を渦状に流動させる流動部と、(C)前記円筒形容器の半径方向に沿って配置される前記ノズル列のうち、前記半径方向の一番外側のノズルと対向する位置における前記第2の流体の流動速度に応じて、前記一番外側のノズルから噴射される第1番目の流体滴と、前記第1番目の流体滴の次に噴射される第2番目の流体滴とが、前記第2の流体中で接触しないように、前記流体噴射部から前記第1の流体が断続的に噴射される際の周波数fを調整する制御部と、を備えるゲル製造装置。
このようなゲル製造装置によれば、複数のゲルを効率的に生成することができる。
かかるゲル製造装置であって、前記第1の流体によって形成されるゲルの直径をd、前記第2の流体の流動速度をvとするとき、v/f>dの関係を満たすことが望ましい。
このようなゲル製造装置によれば、複数のゲルを生成する際に、連続して形成される2つのゲル同士が接触しにくくなる。これにより、一つ一つのゲルが単独で形成され、形状や大きさの揃った高品質なゲルを効率よく生成することができる。
かかるゲル製造装置であって、前記流体噴射部は、前記半径方向に沿って並列に並ぶ複数のノズル列を有し、前記複数のノズル列のうち隣り合う2つのノズル列について、前記第2の流体が流動する方向の上流側に配置されるノズル列の前記半径方向の一番外側のノズルから噴射される第1番目の流体滴が前記第2の流体に着弾してから、前記第1番目の流体滴の次に噴射される第2番目の流体滴が前記第2の流体に着弾するまでの間に、前記第1番目の流体滴が、前記第2の流体が流動する方向の下流側に配置されるノズル列の前記半径方向の一番外側のノズルに対向する位置よりも、前記第2の流体が流動する方向の下流側に移動するように、前記周波数fを調整することが望ましい。
このようなゲル製造装置によれば、第1の流体を噴射するノズル列の数を増やすことができるため、単位時間当たりに生成可能なゲルの数を増加させることができる。つまり、ゲルの生成効率をより高くすることができる。
かかるゲル製造装置であって、前記第2の流体が流動する方向の上流側に配置されるノズル列の前記半径方向の一番外側のノズルからは、前記第1の流体の流体滴を噴射しないことが望ましい。
このようなゲル製造装置によれば、不使用ノズルを設けることにより、第1の流体を噴射する間隔を短くすることができる。これにより、ノズル列全体としては単位時間当たりに生成可能なゲルの数をさらに増加させることができ、ゲルの生成効率をさらに高くすることができる。
かかるゲル製造装置であって、前記第1の流体は多糖類または蛋白質類を含む水溶液であり、前記第2の流体は多価金属塩を含む水溶液であり、前記第1の流体を前記第2の流体と接触させて硬化反応によりゲルを生成することが望ましい。
このようなゲル製造装置によれば、人体に無害で医療分野等に対する応用性が高いゲルを効率よく生成することができる。また、親水性のゲルによるシェルを形成することが可能であるため、保水性能が高く、また、外部環境との間で浸透圧調整が容易なゲルを生成することができる。
かかるゲル製造装置であって、前記第1の流体は、冷却されることによってゲル化する液体であり、前記第2の流体は、前記第1の流体を冷却する液体であり、前記第1の流体を前記第2の流体と接触させて冷却することによりゲルを生成することが望ましい。
このようなゲル製造装置によれば、冷却温度を調整することによって硬さを自由に調節することが可能なゲルを製造することができる。また、第2の流体として水を用いることができるので、材料のコストを安価に抑えることができる。
かかるゲル製造装置であって、前記第1の流体は、酵素反応によってゲル化する液体であり、前記第2の流体は、酵素を含んだ水溶液であり、前記第1の流体を前記第2の流体と接触させて酵素反応によりゲルを生成することが望ましい。
このようなゲル製造装置によれば、第1の流体の濃度や第2の流体中に含まれる酵素の濃度を調整することによって生成されるゲルの硬さを由に調節することができる。また、医療やバイオテクノロジー等、様々な分野への応用が可能となる。
また、かかるゲル製造装置で製造された医療用ゲルが明らかなる。
また、複数のノズルが直列に並ぶノズル列を備える流体噴射部から、第2の流体に向けて第1の流体の流体滴を断続的に噴射する工程と、前記流体噴射部の鉛直下方に設置された円筒形容器の内部で、前記第2の流体を渦状に流動させる工程と、を有し、前記円筒形容器の半径方向に沿って配置される前記ノズル列のうち、前記半径方向の一番外側のノズルと対向する位置における前記第2の流体の流動速度に応じて、前記一番外側のノズルから噴射される第1番目の流体滴と、前記第1番目の流体滴の次に噴射される第2番目の流体滴とが、前記第2の流体中で接触しないように、前記流体噴射部から前記第1の流体が断続的に噴射される際の周波数fを調整する、ことを特徴とするゲル製造方法が明らかとなる。
===第1実施形態===
<ゲルについて>
本実施形態では、ゲルの原料となる第1の流体を噴射することにより流体滴を形成し、当該流体滴を第2の流体と接触させ、流体滴の一部若しくは全体を硬くする(硬化させる)ことによってゲルを生成する。この場合、流体滴がほぼ球状に形成されるため、生成されるゲルも球に近い形状となる。なお、第1の流体によって形成される流体滴の一部を第2の流体によって硬化させることにより、「カプセル」の構造を有するゲルを生成することも可能である。
以下の実施形態では、第1の流体及び第2の流体は共に液体であるものとして説明する。第1の流体及び第2の流体の具体的詳細については後で説明する。
<ゲル製造装置の構成>
第1実施形態では、第2の流体を渦状に回転するように流動させながら(以下、回転流動とも呼ぶ)、回転流動する該第2の流体に対して第1の流体を噴射するゲル製造装置1を用いて多数のゲルを生成する。図1に、ゲル製造装置1の概略図を示す。ゲル製造装置は、流体噴射部10と、流動部20と、制御部50とを備える。
また、説明のため、図1に示されるように、X軸、Y軸、Z軸からなる座標軸を設定する。Z軸は鉛直方向(図1において下向きの方向)であり、X軸はZ軸に対して垂直な方向であり、Y軸はZ軸及びX軸に垂直な方向であるものとする。
(液体噴射部10)
液体噴射部10は、第1の流体を噴射して流体滴(液滴)を形成する。液体噴射部10は噴射ヘッド11と第1流体タンク12とを有する。
噴射ヘッド11は第1の流体を所定量ずつ噴射することで、第1の流体の液滴を形成する。本実施形態では、基本的に第1の流体がZ軸方向(鉛直下向きの方向)に噴射されるものとする。ただし、噴射ヘッド11はZ軸方向に対して傾いた方向に第1の流体を噴射させることも可能である。
図2に、噴射ヘッド11の構造を説明する断面図を示す。本実施形態で、噴射ヘッド11は、ノズル111、ピエゾ素子PZT、流体供給路112、ノズル連通路114(容積室に相当する)、及び、弾性板116(ダイアフラムに相当する)を有する。図ではノズル111が1つだけ描かれているが、本実施形態の噴射ヘッド11は複数のノズルが設けられ、同時に複数の液滴を噴射することができる。噴射ヘッド11における複数のノズルの配置については後で説明する。
第1流体タンク12に貯留された第1の流体は、流体供給路112を介してノズル連通路114に供給される。圧電素子であるピエゾ素子PZTには、制御部で生成される複数のパルスを有する電圧信号が、駆動信号として印加される。駆動信号が印加されると、該駆動信号に従ってピエゾ素子PZTが伸縮し、弾性板116を振動させる。そして、ノズル連通路114の容積を変化させ、駆動信号の振幅に対応するようにノズル連通路114内に供給された第1の流体を移動させる。
第1の流体の移動について具体的に説明する。本願実施形態のピエゾ素子PZTは、電圧を印加すると図2の上下方向に収縮する特性を有する。駆動信号としてある電圧からより大きい電圧を印加した場合、ピエゾ素子PZTは図2の上下方向に収縮してノズル連通路114の容積を拡大する方向に弾性板116を変形させる。このとき、ノズル111における流体表面はノズル111の内側(図2の上側)方向に移動する。逆に、ある電圧からより小さい電圧を印加した場合、ピエゾ素子PZTは図2の上下方向に伸長し、ノズル連通路114の容積を縮小する方向に弾性板116を変形させる。このとき、ノズル111の流体表面はノズル111の外側(図2の下側)方向に移動する。このように、ノズル連通路114の容積を変化させるとノズル連通路114における圧力が変動し、ノズル連通路114に充填された第1の流体をノズル111から噴射することができる。噴射された第1の流体(液体)は、その表面張力により球形の液滴となる。つまり、ピエゾ素子PZTに印加される駆動信号の振幅(電圧の大きさ)を変更することによって、噴射される液滴の大きさ(噴射される流体の量)を調整することができる。これにより、所望のサイズのゲルを正確に形成することができるようになる。なお、第1の流体に酸素分子が溶け込んでいると、この圧力変動の際、ノズル連通路114において気泡が生じてしまう。よって、本実施形態において使用される第1の流体は予め溶存空気(酸素)が除去されていることが望ましい。
また、ピエゾ素子PZTに印加される駆動信号の周波数を変更することにより、ノズルから断続的に噴射される第1の流体の噴射周期を調整することができる。
本実施形態では、液体噴射部10が複数のノズルを備え、それぞれノズルから第1の流体を噴射することで、第1の流体による液滴を同時に複数形成することが可能である。ノズルを複数備える場合、個々のノズルに対応してピエゾ素子PZTも備えられる。すなわち、ノズルと同じ数だけピエゾ素子が備えられる。したがって、これら複数のピエゾ素子を駆動させるために印加する駆動信号をヘッド全体について共通化することにより、制御動作を単純化することができ、また、後述する制御部50にかかる負荷を軽減させることができる。つまり、1種類の駆動信号で複数のピエゾ素子を駆動させる。
第1流体タンク12はゲルの原料となる第1の流体を貯留しておくタンクであり、不図示の流体伝送路を介して噴射ヘッド11に第1の流体を供給する。
(流動部20)
流動部20は、第2の流体を所定の方向に連続的に流動させる。本実施形態において流動部20は、XY平面と平行な平面で第2の流体を渦状に回転流動させる。流動部20は、流動容器25と、スターラー26とを有する。
流動容器25は図1に示されるように上部が開口された円筒形の容器であり、内部に第2の流体を液体状に貯留する。そのため、流動容器25は第2の流体と接触しても化学反応を生じないガラス等の材質で形成される。また、流動容器25は流体噴射部10の鉛直下方に設置され、流体噴射部10から噴射された複数の第1の流体が、流動容器25の内部に貯留された第2の流体中にそれぞれ着弾するように位置が調整される。設置位置の調整の詳細は後述する。
スターラー26は、動力部261と回転子262とを有する。動力部261は流動容器25の下側に設けられ、磁力によって回転子262をXY平面と平行な平面上で回転させる。その際、回転子262の回転速度や回転方向を調整することが可能である。
回転子262は細長い棒状の部材であり、流動容器25の内部に設けられる。そして、動力部261によって回転されることにより、流動容器25の内部に貯留された第2の流体(液体)を渦状に流動させる。ここで、回転子262の回転中心は、流動容器25の中心位置と一致するように調整され、第2の流体は流動容器25の中心軸周りを渦状に流動する(図1参照)。
(制御部50)
制御部50は、噴射ヘッド11を駆動させるための電圧波形信号である駆動信号を生成し、複数のピエゾ素子PZTに印加することによって、噴射ヘッド11の駆動を制御し、第1の流体の噴射を制御する。また、スターラー26の回転速度が制御部50によって制御されるようにしてもよい。
<ゲル生成動作について>
ゲル製造装置1を用いてゲルを製造する際の、ゲル生成動作について説明する。図1に示されるように、流動部20によって流動容器25の内部で回転流動する第2の流体に対して、その上方に設置された液体噴射部10の複数のノズルからそれぞれ第1の流体が断続的に噴射される。各ノズルから噴射された第1の流体は各々液滴を形成し、第2の流体の液面に着弾することにより、第1の流体(液滴)と第2の流体とが接触する。このとき、第1の流体と第2の流体との接触部分(つまり、第1の流体の液滴の表面)において化学反応が生じ、該液滴(第1の流体)の表面から内部へと徐々にゲル化が進行する。これにより、一度に多数のゲルが生成される。なお、化学反応(ゲル化反応)の詳細については後で説明する。
図3に、流体噴射部10に設けられた複数のノズルの配置と、回転流動する第2の流体との関係について説明する図を示す。図3上側の図は、ゲル製造装置1を上側から見た時のXY平面の概略図であり、図3下側の図は、ゲル製造装置1を横から見た時のXZ断面の概略図である。
図3において、流動容器25の中心位置を原点Oとするとき、第2の流体は原点Oを回転中心としてXY平面上を時計回り方向(反時計回り方向でもよい)に回転流動する。また、流動する第2の流体の液面の鉛直上方には、流体噴射部10に設けられた5つのノズルN1〜N5がX軸方向(流動容器25の半径方向)に沿って並んでいる。図のように、回転中心である原点Oに一番近い側に配置されるノズル(半径方向の一番内側のノズル)をN1とし、回転中心から一番遠い側に配置されるノズル(半径方向の一番外側のノズル)をN5とする。以下、直列に並ぶ複数のノズルの組(図ではN1〜N5)をノズル列と呼ぶ。なお、図では5つのノズルによってノズル列が構成されているが、一つのノズル列に設けられるノズルの個数は5個には限られない。
第2の流体が回転流動する場合、第2の流体の流動速度vは、流体噴射部10のノズル111と対向する位置における第2の流体の回転方向の速度で表される。本実施形態では、流体噴射部10から鉛直下方(Z軸方向)に第1の流体が噴射される。したがって、第1の流体が、第2の流体の回転中心からrだけ離れた位置に着弾する場合、流動容器25の中心から半径rの円の接線方向における速度が、第2の流体の流動速度vとなる。例えば、図3上側の図で、半径方向の一番外側のノズルN5と対向する位置における第2の流体の流動速度は、原点Oを中心とする半径r5の円周上(図の破線で示される円)の接線方向における速度v5で表される。
また、円筒型の流動容器25の内部で第2の流体を回転流動させる場合、該流動容器25の中心からの距離が遠くなるほど、流動速度が遅くなる。したがって、図3の場合、回転中心から一番近い位置のノズルN1と対向する位置における第2の流体の流動速度v1が最も速く、回転中心から一番遠い位置のノズルN5と対向する位置における第2の流体の流動速度v5が最も遅い。
なお、第2の流体の流動速度vの値はあらかじめ実験的に求めておく。
また、本実施形態ではスターラー26を用いて第2の流体を渦状に回転流動させるため、第2の流体の液面が平面にならない部分が生じる場合がある。例えば、図3下側の図で示されるように、回転の中心(流動容器25の中心)付近では第2の流体の液面がすり鉢のような形状(漏斗状)に窪み、液面に歪が生じやすい。この窪み部分の付近では、回転の中心軸に沿ってZ軸方向の流れが強くなり、乱流が生じやすい。つまり、液面に窪みが生じている部分と液面が水平な部分とでは、第2の流体の流動速度vや流動方向の条件が大きく異なる。したがって、液面に窪みが生じている部分(水平にならない部分)に第1の流体が噴射されると、ゲルの形状が歪んだり硬さが不均一になったりして、高品質なゲルを精度よく生成できないおそれがある。特に、第1実施形態のように第1の流体と第2の流体の化学反応によって短時間でゲルが形成されるような場合、第1の流体の液滴が第2の流体中に着弾したときの形状が最終的なゲルの形状に与える影響が大きい。
そこで、本実施形態では、回転流動する第2の流体の液面がほぼ水平となる部分に第1の流体の液滴が着弾するように、液体噴射部10のノズル位置と流動部20(流動容器25)との位置関係が調整される。これにより、第1の流体の液滴と、第2の流体とが接触する際の条件が同一になりやすく、均一な大きさで均一な形状のゲルを生成しやすくなる。
<ゲル生成時の注意点>
続いて、ゲルを生成する際の注意点について説明する。本実施形態では、一つのノズルから断続的に第1の流体の液滴が噴射されるため、効率的にゲルを生成するためには噴射タイミングの調整が重要となる。図4に、あるノズルから噴射される第1の流体によってゲルが生成される過程を時系列順に説明する図を示す。
まず、第1の流体の液滴がノズル111から断続的に噴射される。図4の(a)においては、第1の番目の液滴と、それに続いて第2番目の液滴が噴射されている。そして、(b)図において、第1番目の液滴が流動速度vで流動する第2の流体中に突入してゲル化する。続いて、(c)図において、第2番目の液滴が第2の流体中に突入してゲル化する。このとき、第1番目の液滴は第2の流体の流動方向に流されているため、第1番目の液滴と第2番目の液滴とは、間隔Pだけ離れた位置関係となる。この動作を繰り返すことによって、連続的にゲルが生成される。
一方、第1の流体の噴射間隔が早すぎると、連続して噴射される2つの液滴同士(つまり、第2の流体を流動する際に隣り合う液滴同士)が、第2の流体中で接触してしまう場合がある。例えば、図4の(c)において、第1番目の液滴と第2番目の液滴との間隔Pが小さい場合、両者が接触して結合してしまうおそれがある。
図5A及び図5Bに、隣り合う液滴同士の間隔Pと液滴の直径dとの関係を説明する図を示す。本実施形態において、流体噴射部10から第1の流体が噴射される際の周波数fと、第2の流体の流動速度vとが共に一定であれば、隣り合う液滴同士の間隔PはP=v/fで表される。図5Aはこの間隔Pが、形成される液滴の直径dよりも大きい場合(d<Pの場合)を表す。この場合、隣り合う液滴と液滴とが接触しないため、液滴はそれぞれ単独の球状ゲルを形成することができる。
これに対して、図5Bは隣り合う液滴同士の間隔Pが液滴の直径d以下となる場合(d≧Pの場合)を表す。この場合、隣り合う液滴と液滴とが図の斜線で示される部分で接触するため、液滴同士が結合した状態でゲル化する。その結果、直径dのゲルを生成することはできなくなる。
したがって、正確なサイズのゲルを効率的に生成するためには、d<v/fの関係を満たすようにすればよい。ここで、本実施形態において回転流動する第2の流体の流動速度vを正確に調整することは困難である。そこで、制御部50はd<v/fの関係を満たすように、第1の流体の噴射周波数f、及び、第1の流体の噴射量(形成される液滴の径d)の制御を行なう。当該制御は、噴射ヘッド11に印加される駆動信号の波形を調節することによって行なうことができる。
また、本実施形態では複数のノズルのそれぞれの位置において第2の流体の流動速度が異なっている(図3参照)。そこで、第2の流体の流動速度vの値が最も小さくなるときの条件に合わせて駆動信号を生成する。生成したいゲルの大きさ(直径d)が決定している場合、vの値が小さいほどd・f<vを満たす条件が厳しくなるからである。言い換えると、vの値が最も小さい条件についてd・f<vを満たすようにfの値を設定しておけば、vの値が大きくなっても常にd・f<vを満たすことができる。
したがって、流動容器25の半径方向に沿って配置されるノズル列のうち、半径方向の一番外側のノズルと対向する位置における第2の流体の流動速度に応じて、第1の流体を噴射させる周波数(噴射周期)を調整する。図3の場合であれば、ノズルN5と対向する位置における第2流体の流動速度v5に応じて、噴射周波数fが決定される。そして、液滴の直径がdとなるように噴射周波数fで第1の流体を噴射させるような駆動信号が生成され、噴射ヘッド11に印加されることにより、ノズル列中の各ノズルから第1の流体が噴射される。これにより、高品質なゲルを効率的に生成することができる。
<ゲル生成材料について>
続いて、ゲルを生成する材料である第1の流体、及び、第2の流体について説明する。
(第1の流体について)
本実施形態において、第1の流体としては多糖類、もしくは蛋白質類(例えば、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸カルシウム、アルギン酸カリウム、アルギン酸アンモニウム、エチルセルロース、メチルセルロース、ペクチン、ジェランガム、キトサン、コラーゲン、フィブリノーゲン等)を含んだ物質(水溶液)が用いられる。アルギン酸塩類は人体に対してほぼ無害であり、ゲル材として使用することにより医療分野などへの応用性の範囲が広くなる。
また、第1の流体は有効成分(例えば、ハイドロキノン、セラミド、牛血清アルブミン、γ−グロブリン、リピオドール、ビフィズス菌、ビタミン、ヒアルロン酸、IPS細胞等)を含んでいてもよい。
本実施形態では、上述したように噴射された第1の流体の液滴がそのままゲル(カプセル)となるため、材料の歩留まりが非常に高い。したがって非常に高価な物質を材料として使用しなければならない場合(例えば、医療用のゲルを生成する際に、医薬品を原料としてゲルを生成する場合)等において、コストの面で非常に効果的である。また、使用される流体の量が最適化できるため、廃棄される流体の量が少なく環境保護という観点でも有効である。
(第2の流体について)
本実施形態において、第2の流体として、ゲル化誘発因子を持つような多価金属塩(例えば、塩化カルシウム、酢酸カルシウム、硝酸カルシウム、クエン酸カルシウム、乳酸カルシウム、炭酸カルシウム等のカルシウム塩を含むものや、塩化アルミニウム、硝酸アルミニウム、硫酸アルミニウム、酢酸アルミニウム、リン酸アルミニウム等のアルミニウム塩、塩化マンガン、硝酸マンガン、酢酸マンガン、硫酸マンガン等のマンガン塩、塩化マグネシウム、硝酸マグネシウム、酢酸マグネシウム、硫酸マグネシウム等のマグネシウム塩、リン酸第一鉄、リン酸第二鉄等の鉄塩等)を含む物質(水溶液)が用いられる。
本実施形態では、第1の流体が第2の流体と接触して架橋反応、重合反応、高分子反応といった化学反応を生じることにより、第1の流体による液滴の表面部分から硬化(ゲル化)する。なお、ここで言う「硬化(ゲル化)」とは粘度が高くなる状態も含む。
次に、第1の流体としてアルギン酸ナトリウム水溶液を用い、第2の流体として塩化カルシウム水溶液を用いた場合に生じる化学反応について説明する。図6は、アルギン酸ナトリウムの説明図である。図7は、アルギン酸ナトリウムからアルギン酸カルシウムゲルへ変化する中間の様子を示す説明図である。図8は、アルギン酸カルシウムゲルの説明図である。
図6に示されるように、アルギン酸ナトリウム(CNa)はアルギン酸に1価のナトリウムイオンが結合している。このアルギン酸ナトリウムが塩化カルシウム(CaCl)水溶液にと接触すると、2価のカルシウムイオン(Ca2+)が、アルギン酸ナトリウムのナトリウムイオン(Na)と置換されることで、ゲル化が進行する(図7)。このとき、ナトリウムイオン(Na)は1価であり、カルシウムイオン(Ca2+)は2価であるので、2個のナトリウムイオン(Na)に対して、1個のカルシウムイオン(Ca2+)が置換される。このとき、アルギン酸ナトリウムは、2つのアルギン酸ナトリウム間において、2つのナトリウムイオン(Na)が脱離して、2価の金属イオンである1つのカルシウムイオン(Ca2+)に置換される(図8)。そして、2つのアルギン酸間を橋架けする架橋凝縮が生じ、ゲル化(硬化)する。このような化学反応は架橋反応とも呼ばれる。
ところで、図8には、破線で囲われた領域が示されている。アルギン酸カルシウムゲルでは、この破線で囲われた領域を通じてゲルの内部から外部へ水分子が移動したり、外部から内部へと水分子が移動したりする。このように破線で囲われた領域に水分子が存在することにより、弾力性のあるゲルが実現されている。そして、ゲルにおける水分子の流入量と流出量は均衡している。本実施形態において、親水性を有するゲルが形成されることによって、生体組織として用いる場合等において生体親和性が高いゲルを生成することができる。また、親水性のゲルであることから、当該ゲルと外部環境との間でゲルを介した浸透圧の調整が容易になるという利点もある。
また、アルギン酸ナトリウムに対してグリセリンが添加されている場合には、水分子の流入量と流出量との均衡が崩れ、より水分子が外部に流出しやすくなる。図8の破線で囲われた領域にグリセリンも存在するのであるが、このグリセリンが外部に流出する際、この破線で囲われた領域の網目が収縮する。そうすると、アルギン酸カルシウムの密度が高まることから、ゲルが硬くなる。また、グリセリンはゲル化の反応速度を速くすることに貢献していると考えられ、このためゲルが硬くなるとも考えられる。なお、グリセリンは人体に与える影響が少ないため薬剤を含むゲルを製造する際の添加剤として有利である。
<第1実施形態の効果>
第1実施形態では、渦状に流動する第2の流体に対して複数のノズルから断続的に第1の流体を噴射することで一度に複数のゲルを形成する。その際、ノズル列のうち、半径方向の一番外側のノズルと対向する位置における第2の流体の流動速度を考慮して、当該ノズルから連続して噴射される2つの第1の流体の流滴が、第2の流体中で接触しないように、噴射周期を調整しながら第1の流体を噴射する。
これにより、所望の大きさ・形状のゲルを同時に多数生成することができるようになり、効率的なゲル生成が可能となる。
===第2実施形態===
第2実施形態では、ノズル列を複数有するゲル製造装置2を用いて、一度に生成されるゲルの数を増加させることにより、ゲルの生成効率をさらに高くする。
<ゲル製造装置の構成>
ゲル製造装置2では、流体噴射部10の構成がゲル製造装置1とは異なる。流動部20及び制御部50の構成はゲル製造装置1と同様である。
(液体噴射部10)
ゲル製造装置2の流体噴射部10は、ヘッド11に、複数のノズル列が並列に設けられる。ノズル列が複数である点以外は、第1実施形態とほぼ同様である。
図9は、ゲル製造装置2の流体噴射部10のノズル列の配置の例について説明する図である。図9では、第2の流体の流動方向(回転方向)の上流側のノズル列(U)と、下流側のノズル列(D)の2つのノズル列が、X軸に沿って平行に配置されている。上流側ノズル列(U)にはNU1〜NUnのn個のノズルが直列に並び、下流側ノズル列(D)にはND1〜NDnのn個のノズルが直列に並んでいる。また、回転中心(図の原点O)からNUnまでの距離と、回転中心(図の原点O)からNDnまでの距離とが等しくなるように配置されている。すなわち、上流側ノズル列(U)のノズルNUnの位置における第2流体の流動速度と、下流側ノズル列(D)のノズルNDnの位置における第2流体の流動速度とが等しくなるように配置されている。
なお、図9に示される噴射ヘッド11では、ノズル列が2列備えられているが、3列以上のノズル列を備える構成であってよい。
<ゲル生成時の注意点>
第2実施形態のゲル生成動作は基本的に第1実施形態と同様である。但し、本実施形態ではノズル列が複数あるため、ノズル列同士の関係についても考慮する必要がある。
図10に、第2実施形態におけるゲル生成動作の概要について時系列順に説明する図を示す。まず、(a)図において、流動速度vで所定方向に流動する第2の流体に対して、上流側に設けられたノズルNUnから第1の流体が断続的に噴射される。図では、第1番目の液滴U1と、第2番目の液滴U2が連続して形成される。同様に、NUnよりも下流側に設けられたノズルNDnから第1の流体が断続的に噴射され、第1番目の液滴D1と、第2番目の液滴D2が連続して形成される。
そして、最初に噴射された第1の流体による液滴U1及びD1が第2の流体に着弾し、ゲル化される((b)図参照)。
さらに、2番目噴射された第1の流体による液滴U2及びD2が第2の流体に着弾し、ゲル化される。((c)図参照)。このとき、上流側ノズルNUnから噴射された液滴U1は、第2の流体の流動方向に流されて、着弾位置よりも下流側に移動している。仮に、着弾位置から下流側に移動した後のU1の位置と、第2の流体に着弾するD2との位置が重なると、両者が結合した状態のゲルが生成される。つまり、大きさや形状が不揃いなゲルが生成されやすくなる。
そこで、(c)図に示されるように、上流側のノズルから噴射される液滴(図でU1)と、下流側のノズルから噴射される液滴(図でU2)とが接触しないようなタイミングで第1の流体を噴射する。すなわち、上流側ノズルから連続して噴射される2つの液滴のうち、最初の液滴(第1番目の液滴)が第2の流体に着弾してから、次の液滴(第2番目の液滴)が着弾するまでの間に、第1番目の液滴が下流側ノズルの位置を通過するようにタイミングが調整される。これにより、下流側のノズルNDnから噴射された液滴D2が第2の流体に着弾する時点において、U1はD2の着弾地点よりも流動方向の下流側に移動しているため、U1とD2とが接触することはない。つまり、上流側ノズルから噴射される液滴と、下流側ノズルから噴射される液滴とが第2の流体中で接触して、形状や大きさが不ぞろいな不良ゲルが生成されてしまうことが抑制される。
第2の流体の流動速度v、及び、生成したいゲルの大きさ(直径d)が決まっている場合、制御部50は、上流側ノズルと下流側ノズルとの間の距離(ノズル列間の間隔)に応じて、第1の流体を噴射する際の周波数fを調整し、駆動信号を生成する。その際、第1実施形態と同様に、半径方向の一番外側のノズルと対向する位置における第2の流体の流動速度vを基準として、d<v/fの関係を満たすように、噴射周波数fが調整される。これにより、効率的にゲルを生成することが可能となる。
<ゲル生成材料について>
第2実施形態において、第1の流体、及び、第2の流体は、第1実施形態と同様の物質を用いることができる。
<第2実施形態の効果>
第2実施形態では、半径方向に沿って並列に並ぶ複数のノズル列を用いてゲルを生成する。その際、流動方向の上流側に位置するノズル列から噴射される第1の流体の液滴と、下流側に位置するノズル列から噴射される第1の流体の液滴とが、流動する第2の流体中で接触しないように、第1の流体の噴射タイミングが調整される。
複数のノズル列を用いて多数の液滴を同時に形成することができるようになるため、ゲルの生成効率をより高くすることができる。
<変形例>
複数のノズル列が並列に並ぶ場合に、ゲルの生成効率をより高くするために所定のノズルを使用しないように設定してもよい。
第2実施形態では、第2の流体の流動速度が最も遅い条件(半径方向の一番外側に位置するノズルの条件)に合わせて第1の流体の噴射周波数fが調整される。例えば、図10の場合、上流側ノズルNUnから噴射された第1番目の液滴U1が第2の流体に着弾してから下流側ノズルNDnの位置を通過するまで、第2番目の液滴U2(D2)が第2の流体に着弾しないように、噴射周波数fが制御される。
しかし、第2の流体の流動速度vが遅い場合、上流側ノズルの位置から下流側ノズルの位置までU1が移動するまでの時間が長くなり、その分、第1の流体の噴射間隔も長くする必要が生じる。この場合、単位時間当たりに生成されるゲルの数量が少なくなり、ゲルの生成効率を高くすることが難しい。
そこで、並列して配置されるノズル列のうち、第2の流体の流動方向上流側に位置するノズル列の半径方向の一番外側に位置するノズルからは第1の流体を噴射しないようにする。図9の場合であれば、上流側ノズル列の半径方向外側のノズルNUnを不使用にする。そして、外側から2番目のノズルNUn−1の条件に合わせて上述のような制御を行う。
これにより、第2の流体の流動速度が速い条件に応じて噴射周波数fを設定できるようになる。すなわち、第1の流体の噴射間隔を短くすることによって、ノズル列全体では第1の流体をより多く噴射することができるようになる。したがって、単位時間当たりに生成されるゲルの数量が多くなり、ゲルの生成効率を高くすることができる。
なお、上流側ノズル列の半径方向の一番外側のノズルを不使用にする例について説明したが、半径方向の一番外側から数個分のノズルを不使用にする方法としてもよい。
===第3実施形態===
上述の各実施形態では、第1の流体と第2の流体とを接触させて化学反応を生じさせることにより、第1の流体をゲル化させていた。これに対して、第3実施形態では、第1の流体を冷却することによりゲル化させる。第3実施形態で用いる製造装置は上述のゲル製造装置1または2と同様である。
本実施形態では、第1の流体としてゼラチンや寒天等、常温時(若しくは高温時)には液体状であるが、冷却するとゲル化して硬くなる(ゲル化する)物質を用いる。そして、第2の流体として第1の流体を冷却する液体を用いる。例えば、冷たい水を用いることができる。なお、第2の流体は、第1の流体と化学反応せず、第1の流体を冷却することができるのであれば、水以外の物質を用いることも可能であるが、水を用いることにより、コストを安く抑えることができ、また、流体の扱いが容易になる。
ゲルを製造する際には、ゲル製造装置1または2を用いて、複数のノズルから断続的に噴射される第1の流体(例えばゼラチン)の液滴を第2の流体(冷却水)と接触させることにより、ゼラチンを冷却してゲル化させる。これにより、多数のゲルを効率的に生成することができる。その際、冷却に用いる第2の流体の温度を変更することにより、ゲルの硬さを調節することが可能である。本実施形態では、第2の流体を10℃以下の所定の温度に保つことで、第1の流体を冷却する。なお、ゼラチンを安定してゲル化させるためには、第2の流体の温度の範囲は2℃〜6℃程度とすることが望ましい。そのため、流動部20の温度を調節するための冷却装置(不図示)を設けてもよい。ただし、第1の流体をゲル化させることができるのであれば、第2の流体の温度を10℃より高くすることも可能である。また、ゼラチンの濃度を変更することによってもゲルの硬さを調整することができる。
本実施形態において、コラーゲンを主成分とするゼラチンを用いてゲルを生成することにより、上述のような医療分野への応用の他に、コラーゲンの保湿成分を利用した化粧品等にも応用しやすくなる。
<第3実施形態の効果>
第3実施形態では、冷却することによってゲル化する液体を用いて多数のゲルを効率的に生成する。第2の流体として水を用いることができるため、材料コストが安く、入手や扱いも容易となる。また、温度によって簡単にゲルの固さを調整することができるため、用途に応じて所望の固さのゲルを生成することができる。
===第4実施形態===
第4実施形態では、第1の流体を酵素反応によりゲル化させる。第4実施形態で用いる製造装置は上述のゲル製造装置1または2と同様である。
本実施形態では、第1の流体としてフィブリノーゲン等、液体状であるが、酵素反応によりゲル化して固くなる物質を用いる。そして、第2の流体として酵素を含んだ溶液を用いる。
ゲルを製造する際には、ゲル製造装置1または2を用いて、断続的に噴射される第1の流体(例えばフィブリノーゲン水溶液)の液滴を第2の流体(酵素溶液)と接触させることにより、フィブリノーゲンを酵素反応させてゲル化させる。これにより、多数のゲルを効率的に生成することができる。その際、反応に用いる第2の流体の酵素濃度を変更することにより、ゲルの固さを調節することが可能である。また、フィブリノーゲンの濃度を変更することによってもゲルの固さを調整することができる。
本実施形態において、フィブリノーゲン水溶液を用いてゲルを生成することにより、上述のような医療分野への応用の他に、細胞培養などのバイオテクノロジー分野にも応用しやすくなる。
<第4実施形態の効果>
第4実施形態では、酵素反応によってゲル化する液体を用いて多数のゲルを効率よく生成する。第1の流体や第2の流体の濃度を変更することによって簡単にゲルの硬さを調整することができるため、用途に応じて所望の硬さのゲルを生成することができる。また、様々な分野への応用が可能となる。
===その他の実施形態===
一実施形態としてのゲル製造装置を説明したが、上記の実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれることは言うまでもない。以下に述べる実施形態であっても、本発明に含まれるものである。
<ゲル生成材料について>
前述の各実施形態では、第1の流体及び第2の流体についてそれぞれ具体例が例示されていたが、例示された以外のゲル生成材料を用いてゲルを生成することも可能である。
<ゲルの用途について>
前述の各実施形態では、生成されるゲルの用途として医療分野への応用について考慮されていたが、例示された以外にも幅広い用途にゲルを利用することができる。例えば、化粧品としての用途や、機能性食品としての用途等が考えられる。
<流体噴射部10について>
前述の各実施形態では、第1の流体の液滴を噴射する液体噴射部として、圧電素子(ピエゾ素子PZT)が用いられていたが、他の機構を用いた液体噴射部であってもよい。例えば、シリンジを押すことによって液体を滴下するディスペンサを用いた機構、静電アクチュエーターを用いた液体噴射機構、静電吸引方式を用いた液体噴射機構、音響エネルギーを用いた液体噴射機構等、種々の機構を用いることができる。その際、噴射される第1の流体の量、噴射周期を任意に変更できる機構であることが望ましい。
1、2 ゲル製造装置、
10 液体噴射部、11 噴射ヘッド、12 第1流体タンク、
20 流動部、25 流動容器、26 スターラー、
261 動力部、262 回転子、
50 制御部、
111 ノズル、112 液体供給路、114 ノズル連通路、116 弾性板、
PZT ピエゾ素子

Claims (8)

  1. (A)複数のノズルが直列に並ぶノズル列から、第2の流体に向けて第1の流体の流体滴を断続的に噴射する流体噴射部と、
    (B)前記流体噴射部の鉛直下方に設置された円筒形容器の内部で、前記第2の流体を渦状に流動させる流動部と、
    (C)前記円筒形容器の半径方向に沿って配置される前記ノズル列のうち、前記半径方向の一番外側のノズルと対向する位置における前記第2の流体の流動速度に応じて、
    前記一番外側のノズルから噴射される第1番目の流体滴と、前記第1番目の流体滴の次に噴射される第2番目の流体滴とが、前記第2の流体中で接触しないように、
    前記流体噴射部から前記第1の流体が断続的に噴射される際の周波数fを調整する制御部と、
    を備えるゲル製造装置。
  2. 請求項1に記載のゲル製造装置であって、
    前記第1の流体によって形成されるゲルの直径をd、前記第2の流体の流動速度をvとするとき、
    v/f>d
    の関係を満たす、ことを特徴とするゲル製造装置。
  3. 請求項1または2に記載のゲル製造装置であって、
    前記流体噴射部は、前記半径方向に沿って並列に並ぶ複数のノズル列を有し、
    前記複数のノズル列のうち隣り合う2つのノズル列について、
    前記第2の流体が流動する方向の上流側に配置されるノズル列の前記半径方向の一番外側のノズルから噴射される第1番目の流体滴が前記第2の流体に着弾してから、前記第1番目の流体滴の次に噴射される第2番目の流体滴が前記第2の流体に着弾するまでの間に、
    前記第1番目の流体滴が、前記第2の流体が流動する方向の下流側に配置されるノズル列の前記半径方向の一番外側のノズルに対向する位置よりも、前記第2の流体が流動する方向の下流側に移動するように、
    前記周波数fを調整する、ことを特徴とするゲル製造装置。
  4. 請求項3に記載のゲル製造装置であって、
    前記第2の流体が流動する方向の上流側に配置されるノズル列の前記半径方向の一番外側のノズルからは、前記第1の流体の流体滴を噴射しない、ことを特徴とするゲル製造装置。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載のゲル製造装置であって、
    前記第1の流体は多糖類または蛋白質類を含む水溶液であり、
    前記第2の流体は多価金属塩を含む水溶液であり、
    前記第1の流体を前記第2の流体と接触させて硬化反応によりゲルを生成する、ことを特徴とするゲル製造装置。
  6. 請求項1〜4のいずれかに記載のゲル製造装置であって、
    前記第1の流体は、冷却されることによってゲル化する液体であり、
    前記第2の流体は、前記第1の流体を冷却する液体であり、
    前記第1の流体を前記第2の流体と接触させて冷却することによりゲルを生成する、ことを特徴とするゲル製造装置。
  7. 請求項1〜4のいずれかに記載のゲル製造装置であって、
    前記第1の流体は、酵素反応によってゲル化する液体であり、
    前記第2の流体は、酵素を含んだ水溶液であり、
    前記第1の流体を前記第2の流体と接触させて酵素反応によりゲルを生成する、ことを特徴とするゲル製造装置。
  8. 複数のノズルが直列に並ぶノズル列を備える流体噴射部から、第2の流体に向けて第1の流体の流体滴を断続的に噴射する工程と、
    前記流体噴射部の鉛直下方に設置された円筒形容器の内部で、前記第2の流体を渦状に流動させる工程と、
    を有し、
    前記円筒形容器の半径方向に沿って配置される前記ノズル列のうち、前記半径方向の一番外側のノズルと対向する位置における前記第2の流体の流動速度に応じて、
    前記一番外側のノズルから噴射される第1番目の流体滴と、前記第1番目の流体滴の次に噴射される第2番目の流体滴とが、前記第2の流体中で接触しないように、
    前記流体噴射部から前記第1の流体が断続的に噴射される際の周波数fを調整する、ことを特徴とするゲル製造方法。
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