JP5962003B2 - ゲル製造装置、及び、ゲル製造方法 - Google Patents
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Description
このようなゲル製造装置によれば、複数のゲルを効率的に生成することができる。
このようなゲル製造装置によれば、複数のゲルを生成する際に、連続して形成される2つのゲル同士が接触しにくくなる。これにより、一つ一つのゲルが単独で形成され、形状や大きさの揃った高品質なゲルを効率よく生成することができる。
このようなゲル製造装置によれば、第1の流体を噴射するノズル列の数を増やすことができるため、単位時間当たりに生成可能なゲルの数を増加させることができる。つまり、ゲルの生成効率をより高くすることができる。
このようなゲル製造装置によれば、不使用ノズルを設けることにより、第1の流体を噴射する間隔を短くすることができる。これにより、ノズル列全体としては単位時間当たりに生成可能なゲルの数をさらに増加させることができ、ゲルの生成効率をさらに高くすることができる。
このようなゲル製造装置によれば、人体に無害で医療分野等に対する応用性が高いゲルを効率よく生成することができる。また、親水性のゲルによるシェルを形成することが可能であるため、保水性能が高く、また、外部環境との間で浸透圧調整が容易なゲルを生成することができる。
このようなゲル製造装置によれば、冷却温度を調整することによって硬さを自由に調節することが可能なゲルを製造することができる。また、第2の流体として水を用いることができるので、材料のコストを安価に抑えることができる。
このようなゲル製造装置によれば、第1の流体の濃度や第2の流体中に含まれる酵素の濃度を調整することによって生成されるゲルの硬さを由に調節することができる。また、医療やバイオテクノロジー等、様々な分野への応用が可能となる。
<ゲルについて>
本実施形態では、ゲルの原料となる第1の流体を噴射することにより流体滴を形成し、当該流体滴を第2の流体と接触させ、流体滴の一部若しくは全体を硬くする(硬化させる)ことによってゲルを生成する。この場合、流体滴がほぼ球状に形成されるため、生成されるゲルも球に近い形状となる。なお、第1の流体によって形成される流体滴の一部を第2の流体によって硬化させることにより、「カプセル」の構造を有するゲルを生成することも可能である。
第1実施形態では、第2の流体を渦状に回転するように流動させながら(以下、回転流動とも呼ぶ)、回転流動する該第2の流体に対して第1の流体を噴射するゲル製造装置1を用いて多数のゲルを生成する。図1に、ゲル製造装置1の概略図を示す。ゲル製造装置は、流体噴射部10と、流動部20と、制御部50とを備える。
液体噴射部10は、第1の流体を噴射して流体滴(液滴)を形成する。液体噴射部10は噴射ヘッド11と第1流体タンク12とを有する。
流動部20は、第2の流体を所定の方向に連続的に流動させる。本実施形態において流動部20は、XY平面と平行な平面で第2の流体を渦状に回転流動させる。流動部20は、流動容器25と、スターラー26とを有する。
制御部50は、噴射ヘッド11を駆動させるための電圧波形信号である駆動信号を生成し、複数のピエゾ素子PZTに印加することによって、噴射ヘッド11の駆動を制御し、第1の流体の噴射を制御する。また、スターラー26の回転速度が制御部50によって制御されるようにしてもよい。
ゲル製造装置1を用いてゲルを製造する際の、ゲル生成動作について説明する。図1に示されるように、流動部20によって流動容器25の内部で回転流動する第2の流体に対して、その上方に設置された液体噴射部10の複数のノズルからそれぞれ第1の流体が断続的に噴射される。各ノズルから噴射された第1の流体は各々液滴を形成し、第2の流体の液面に着弾することにより、第1の流体(液滴)と第2の流体とが接触する。このとき、第1の流体と第2の流体との接触部分(つまり、第1の流体の液滴の表面)において化学反応が生じ、該液滴(第1の流体)の表面から内部へと徐々にゲル化が進行する。これにより、一度に多数のゲルが生成される。なお、化学反応(ゲル化反応)の詳細については後で説明する。
続いて、ゲルを生成する際の注意点について説明する。本実施形態では、一つのノズルから断続的に第1の流体の液滴が噴射されるため、効率的にゲルを生成するためには噴射タイミングの調整が重要となる。図4に、あるノズルから噴射される第1の流体によってゲルが生成される過程を時系列順に説明する図を示す。
続いて、ゲルを生成する材料である第1の流体、及び、第2の流体について説明する。
本実施形態において、第1の流体としては多糖類、もしくは蛋白質類(例えば、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸カルシウム、アルギン酸カリウム、アルギン酸アンモニウム、エチルセルロース、メチルセルロース、ペクチン、ジェランガム、キトサン、コラーゲン、フィブリノーゲン等)を含んだ物質(水溶液)が用いられる。アルギン酸塩類は人体に対してほぼ無害であり、ゲル材として使用することにより医療分野などへの応用性の範囲が広くなる。
本実施形態において、第2の流体として、ゲル化誘発因子を持つような多価金属塩(例えば、塩化カルシウム、酢酸カルシウム、硝酸カルシウム、クエン酸カルシウム、乳酸カルシウム、炭酸カルシウム等のカルシウム塩を含むものや、塩化アルミニウム、硝酸アルミニウム、硫酸アルミニウム、酢酸アルミニウム、リン酸アルミニウム等のアルミニウム塩、塩化マンガン、硝酸マンガン、酢酸マンガン、硫酸マンガン等のマンガン塩、塩化マグネシウム、硝酸マグネシウム、酢酸マグネシウム、硫酸マグネシウム等のマグネシウム塩、リン酸第一鉄、リン酸第二鉄等の鉄塩等)を含む物質(水溶液)が用いられる。
ところで、図8には、破線で囲われた領域が示されている。アルギン酸カルシウムゲルでは、この破線で囲われた領域を通じてゲルの内部から外部へ水分子が移動したり、外部から内部へと水分子が移動したりする。このように破線で囲われた領域に水分子が存在することにより、弾力性のあるゲルが実現されている。そして、ゲルにおける水分子の流入量と流出量は均衡している。本実施形態において、親水性を有するゲルが形成されることによって、生体組織として用いる場合等において生体親和性が高いゲルを生成することができる。また、親水性のゲルであることから、当該ゲルと外部環境との間でゲルを介した浸透圧の調整が容易になるという利点もある。
第1実施形態では、渦状に流動する第2の流体に対して複数のノズルから断続的に第1の流体を噴射することで一度に複数のゲルを形成する。その際、ノズル列のうち、半径方向の一番外側のノズルと対向する位置における第2の流体の流動速度を考慮して、当該ノズルから連続して噴射される2つの第1の流体の流滴が、第2の流体中で接触しないように、噴射周期を調整しながら第1の流体を噴射する。
これにより、所望の大きさ・形状のゲルを同時に多数生成することができるようになり、効率的なゲル生成が可能となる。
ゲル製造装置2では、流体噴射部10の構成がゲル製造装置1とは異なる。流動部20及び制御部50の構成はゲル製造装置1と同様である。
ゲル製造装置2の流体噴射部10は、ヘッド11に、複数のノズル列が並列に設けられる。ノズル列が複数である点以外は、第1実施形態とほぼ同様である。
第2実施形態のゲル生成動作は基本的に第1実施形態と同様である。但し、本実施形態ではノズル列が複数あるため、ノズル列同士の関係についても考慮する必要がある。
第2実施形態において、第1の流体、及び、第2の流体は、第1実施形態と同様の物質を用いることができる。
第2実施形態では、半径方向に沿って並列に並ぶ複数のノズル列を用いてゲルを生成する。その際、流動方向の上流側に位置するノズル列から噴射される第1の流体の液滴と、下流側に位置するノズル列から噴射される第1の流体の液滴とが、流動する第2の流体中で接触しないように、第1の流体の噴射タイミングが調整される。
複数のノズル列が並列に並ぶ場合に、ゲルの生成効率をより高くするために所定のノズルを使用しないように設定してもよい。
上述の各実施形態では、第1の流体と第2の流体とを接触させて化学反応を生じさせることにより、第1の流体をゲル化させていた。これに対して、第3実施形態では、第1の流体を冷却することによりゲル化させる。第3実施形態で用いる製造装置は上述のゲル製造装置1または2と同様である。
第3実施形態では、冷却することによってゲル化する液体を用いて多数のゲルを効率的に生成する。第2の流体として水を用いることができるため、材料コストが安く、入手や扱いも容易となる。また、温度によって簡単にゲルの固さを調整することができるため、用途に応じて所望の固さのゲルを生成することができる。
第4実施形態では、第1の流体を酵素反応によりゲル化させる。第4実施形態で用いる製造装置は上述のゲル製造装置1または2と同様である。
第4実施形態では、酵素反応によってゲル化する液体を用いて多数のゲルを効率よく生成する。第1の流体や第2の流体の濃度を変更することによって簡単にゲルの硬さを調整することができるため、用途に応じて所望の硬さのゲルを生成することができる。また、様々な分野への応用が可能となる。
一実施形態としてのゲル製造装置を説明したが、上記の実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれることは言うまでもない。以下に述べる実施形態であっても、本発明に含まれるものである。
前述の各実施形態では、第1の流体及び第2の流体についてそれぞれ具体例が例示されていたが、例示された以外のゲル生成材料を用いてゲルを生成することも可能である。
前述の各実施形態では、生成されるゲルの用途として医療分野への応用について考慮されていたが、例示された以外にも幅広い用途にゲルを利用することができる。例えば、化粧品としての用途や、機能性食品としての用途等が考えられる。
前述の各実施形態では、第1の流体の液滴を噴射する液体噴射部として、圧電素子(ピエゾ素子PZT)が用いられていたが、他の機構を用いた液体噴射部であってもよい。例えば、シリンジを押すことによって液体を滴下するディスペンサを用いた機構、静電アクチュエーターを用いた液体噴射機構、静電吸引方式を用いた液体噴射機構、音響エネルギーを用いた液体噴射機構等、種々の機構を用いることができる。その際、噴射される第1の流体の量、噴射周期を任意に変更できる機構であることが望ましい。
10 液体噴射部、11 噴射ヘッド、12 第1流体タンク、
20 流動部、25 流動容器、26 スターラー、
261 動力部、262 回転子、
50 制御部、
111 ノズル、112 液体供給路、114 ノズル連通路、116 弾性板、
PZT ピエゾ素子
Claims (8)
- (A)複数のノズルが直列に並ぶノズル列から、第2の流体に向けて第1の流体の流体滴を断続的に噴射する流体噴射部と、
(B)前記流体噴射部の鉛直下方に設置された円筒形容器の内部で、前記第2の流体を渦状に流動させる流動部と、
(C)前記円筒形容器の半径方向に沿って配置される前記ノズル列のうち、前記半径方向の一番外側のノズルと対向する位置における前記第2の流体の流動速度に応じて、
前記一番外側のノズルから噴射される第1番目の流体滴と、前記第1番目の流体滴の次に噴射される第2番目の流体滴とが、前記第2の流体中で接触しないように、
前記流体噴射部から前記第1の流体が断続的に噴射される際の周波数fを調整する制御部と、
を備えるゲル製造装置。 - 請求項1に記載のゲル製造装置であって、
前記第1の流体によって形成されるゲルの直径をd、前記第2の流体の流動速度をvとするとき、
v/f>d
の関係を満たす、ことを特徴とするゲル製造装置。 - 請求項1または2に記載のゲル製造装置であって、
前記流体噴射部は、前記半径方向に沿って並列に並ぶ複数のノズル列を有し、
前記複数のノズル列のうち隣り合う2つのノズル列について、
前記第2の流体が流動する方向の上流側に配置されるノズル列の前記半径方向の一番外側のノズルから噴射される第1番目の流体滴が前記第2の流体に着弾してから、前記第1番目の流体滴の次に噴射される第2番目の流体滴が前記第2の流体に着弾するまでの間に、
前記第1番目の流体滴が、前記第2の流体が流動する方向の下流側に配置されるノズル列の前記半径方向の一番外側のノズルに対向する位置よりも、前記第2の流体が流動する方向の下流側に移動するように、
前記周波数fを調整する、ことを特徴とするゲル製造装置。 - 請求項3に記載のゲル製造装置であって、
前記第2の流体が流動する方向の上流側に配置されるノズル列の前記半径方向の一番外側のノズルからは、前記第1の流体の流体滴を噴射しない、ことを特徴とするゲル製造装置。 - 請求項1〜4のいずれかに記載のゲル製造装置であって、
前記第1の流体は多糖類または蛋白質類を含む水溶液であり、
前記第2の流体は多価金属塩を含む水溶液であり、
前記第1の流体を前記第2の流体と接触させて硬化反応によりゲルを生成する、ことを特徴とするゲル製造装置。 - 請求項1〜4のいずれかに記載のゲル製造装置であって、
前記第1の流体は、冷却されることによってゲル化する液体であり、
前記第2の流体は、前記第1の流体を冷却する液体であり、
前記第1の流体を前記第2の流体と接触させて冷却することによりゲルを生成する、ことを特徴とするゲル製造装置。 - 請求項1〜4のいずれかに記載のゲル製造装置であって、
前記第1の流体は、酵素反応によってゲル化する液体であり、
前記第2の流体は、酵素を含んだ水溶液であり、
前記第1の流体を前記第2の流体と接触させて酵素反応によりゲルを生成する、ことを特徴とするゲル製造装置。 - 複数のノズルが直列に並ぶノズル列を備える流体噴射部から、第2の流体に向けて第1の流体の流体滴を断続的に噴射する工程と、
前記流体噴射部の鉛直下方に設置された円筒形容器の内部で、前記第2の流体を渦状に流動させる工程と、
を有し、
前記円筒形容器の半径方向に沿って配置される前記ノズル列のうち、前記半径方向の一番外側のノズルと対向する位置における前記第2の流体の流動速度に応じて、
前記一番外側のノズルから噴射される第1番目の流体滴と、前記第1番目の流体滴の次に噴射される第2番目の流体滴とが、前記第2の流体中で接触しないように、
前記流体噴射部から前記第1の流体が断続的に噴射される際の周波数fを調整する、ことを特徴とするゲル製造方法。
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