以下、適宜図面が参照されつつ、好ましい実施形態に基づいて本発明が詳細に説明される。
図1には、空気入りタイヤ2が示されている。図1において、上下方向がタイヤ2の半径方向であり、左右方向がタイヤ2の軸方向であり、紙面との垂直方向がタイヤ2の周方向である。図1において、一点鎖線CLPはタイヤ2の赤道面を表わす。このタイヤ2の形状は、トレッドパターンを除き、赤道面に対して対称である。
このタイヤ2は、トレッド4、一対のサイドウォール6、一対のウィング8、一対のクリンチ10、一対のビード12、カーカス14、ベルト16、バンド18、一対のエッジバンド20、インナーライナー22及び一対のチェーファー24を備えている。このタイヤ2は、チューブレスタイプである。このタイヤ2は、乗用車に装着される。
トレッド4は、半径方向外向きに凸な形状を呈している。トレッド4は、路面と接地するトレッド面26を形成する。トレッド4には、溝28が刻まれている。この溝28により、トレッドパターンが形成されている。トレッド4は、架橋ゴムからなる。このトレッド4には、耐摩耗性、耐熱性及びグリップ性が考慮された架橋ゴムが用いられる。
それぞれのサイドウォール6は、トレッド4の端から半径方向略内向きに延びている。このサイドウォール6の半径方向外側部分は、トレッド4と接合されている。このサイドウォール6の半径方向内側部分は、クリンチ10と接合されている。このサイドウォール6は、耐カット性及び耐候性に優れた架橋ゴムからなる。このサイドウォール6は、カーカス14の損傷を防止する。
それぞれのウィング8は、トレッド4とサイドウォール6との間に位置している。ウィング8は、トレッド4及びサイドウォール6のそれぞれと接合している。ウィング8は、接着性に優れた架橋ゴムからなる。
それぞれのクリンチ10は、サイドウォール6の半径方向略内側に位置している。クリンチ10は、軸方向において、ビード12及びカーカス14よりも外側に位置している。クリンチ10は、耐摩耗性に優れた架橋ゴムからなる。クリンチ10は、リム(図示されず)のフランジと当接する。
それぞれのビード12は、クリンチ10の軸方向内側に位置している。ビード12は、コア30と、このコア30から半径方向外向きに延びるエイペックス32とを備えている。コア30はリング状であり、巻回された非伸縮性ワイヤーを含む。ワイヤーの典型的な材質は、スチールである。エイペックス32は、半径方向外向きに先細りである。エイペックス32は、高硬度な架橋ゴムからなる。
カーカス14は、カーカスプライ34を備えている。このタイヤ2では、カーカス14は1枚のカーカスプライ34からなる。このカーカス14が2枚以上のカーカスプライ34で構成されてもよい。カーカスプライ34は、両側のビード12の間に架け渡されている。カーカスプライ34は、トレッド4、サイドウォール6及びクリンチ10に沿って延在している。このタイヤ2では、カーカスプライ34は、それぞれのコア30の周りにて、軸方向内側から外側に向かって折り返されている。
図示されていないが、カーカスプライ34は、並列された多数のコードとトッピングゴムとからなる。それぞれのコードが赤道面に対してなす角度の絶対値は、75°から90°である。換言すれば、このカーカス14はラジアル構造を有する。コードは、有機繊維からなる。好ましい有機繊維として、ポリエステル繊維、ナイロン繊維、レーヨン繊維、ポリエチレンナフタレート繊維及びアラミド繊維が例示される。
ベルト16は、トレッド4の半径方向内側に位置している。ベルト16は、カーカス14と積層されている。ベルト16は、カーカス14を補強する。ベルト16は、内側層36及び外側層38からなる。図1から明らかなように、軸方向において、内側層36の幅は外側層38の幅よりも若干大きい。図示されていないが、内側層36及び外側層38のそれぞれは、並列された多数のコードとトッピングゴムとからなる。それぞれのコードは、赤道面に対して傾斜している。傾斜角度の一般的な絶対値は、10°以上35°以下である。内側層36のコードの赤道面に対する傾斜方向は、外側層38のコードの赤道面に対する傾斜方向とは逆である。コードの好ましい材質は、スチールである。コードに、有機繊維が用いられてもよい。ベルト16の軸方向幅は、タイヤ2の最大幅の0.7倍以上が好ましい。ベルト16が、3以上の層を備えてもよい。
バンド18は、ベルト16の半径方向外側に位置している。軸方向において、バンド18の幅はベルト16の幅よりも大きい。図示されていないが、このバンド18は、コードとトッピングゴムとからなる。コードは、螺旋状に巻かれている。このバンド18は、いわゆるジョイントレス構造を有する。コードは、実質的に周方向に延びている。周方向に対するコードの角度は、5°以下、さらには2°以下である。このコードによりベルト16が拘束されるので、ベルト16のリフティングが抑制される。コードは、有機繊維からなる。好ましい有機繊維として、ナイロン繊維、ポリエステル繊維、レーヨン繊維、ポリエチレンナフタレート繊維及びアラミド繊維が例示される。
それぞれのエッジバンド20は、ベルト16の半径方向外側であって、かつベルト16の端の近傍に位置している。図示されていないが、このエッジバンド20は、コードとトッピングゴムとからなる。コードは、螺旋状に巻かれている。このバンド18は、いわゆるジョイントレス構造を有する。コードは、実質的に周方向に延びている。周方向に対するコードの角度は、5°以下、さらには2°以下である。このコードによりベルト16の端が拘束されるので、ベルト16のリフティングが抑制される。コードは、有機繊維からなる。好ましい有機繊維として、ナイロン繊維、ポリエステル繊維、レーヨン繊維、ポリエチレンナフタレート繊維及びアラミド繊維が例示される。
インナーライナー22は、カーカス14の内側に位置している。インナーライナー22は、カーカス14の内面に接合されている。インナーライナー22は、空気遮蔽性に優れた架橋ゴムからなる。インナーライナー22の典型的な基材ゴムは、ブチルゴム又はハロゲン化ブチルゴムである。インナーライナー22は、タイヤ2の内圧を保持する。
それぞれのチェーファー24は、ビード12の近傍に位置している。タイヤ2がリムに組み込まれると、このチェーファー24がリムと当接する。この当接により、ビード12の近傍が保護される。この実施形態では、チェーファー24は布とこの布に含浸したゴムとからなる。このチェーファー24がクリンチ10と一体とされてもよい。この場合、チェーファー24の材質はクリンチ10の材質と同じとされる。
このタイヤ2は、パーツ40をさらに備えている。このパーツ40として、制音体及びシーラント層が例示される。制音体は、タイヤ2のロードノイズの低減に寄与する。この制音体としては、例えば、ポリウレタンからなり、多数の連続気泡を有するスポンジが挙げられる。シーラント層は、走行中にタイヤ2が釘等を踏みつけることによりタイヤ2に孔が形成された場合に、この孔を埋めるように変形する。これにより、この孔から空気が漏出することが防止される。このシーラント層としては、例えば、特定の粘性を有する液状ゴムが挙げられる。なお、図1に示されたタイヤ2のパーツ40は制音体である。
本発明においては、パーツ40以外は本体42と称される。つまり、このタイヤ2は、本体42とパーツ40とを備えている。そして、この本体42が、前述された、トレッド4、一対のサイドウォール6、一対のウィング8、一対のクリンチ10、一対のビード12、カーカス14、ベルト16、バンド18、一対のエッジバンド20、インナーライナー22及び一対のチェーファー24を備えている。この本体42では、インナーライナー22がこの本体42の内面44を形成する。
このタイヤ2では、パーツ40は本体42の内面44に貼り付けられている。特に、このタイヤ2では、パーツ40は、ベルト16の内側において、本体42の内面44に貼り付けられている。言い換えれば、このパーツ40はベルト16の内側に位置している。
このタイヤ2では、パーツ40の位置は、このパーツ40の機能が考慮されて適宜決められる。パーツ40の機能が効果的に発揮されるのであれば、このパーツ40がサイドウォール6の内側において本体42の内面44に貼り付けられてもよい。このパーツ40が、トレッド4とサイドウォール6との境界部分、すなわち、バットレスの部分において、この本体42の内面44に貼り付けられてもよい。パーツ40が前述の制音体である場合、ロードノイズが効果的に低減されるとの観点から、図1に示されているように、ベルト16の内側において、このパーツ40は本体42の内面44に貼り付けられているのが好ましい。パーツ40が前述のシーラント層である場合も、シーラント層の機能の発揮の観点から、この図1に示されているように、ベルト16の内側において、このパーツ40は本体42の内面44に貼り付けられているのが好ましい。
このタイヤ2では、本体42はその内面44に研削面46を備えている。パーツ40はこの研削面46において本体42に貼り付けられている。図1に示されたタイヤ2では、パーツ40はベルト16の半径方向内側に位置している。したがって、この本体42の研削面46もこのベルト16の半径方向内側に位置している。図1において、符号PAはこの研削面46の軸方向外側端である。
このタイヤ2では、研削面46を本体42の内面44に設けるために、中間タイヤが準備される。本発明においては、中間タイヤの内面の一部を研磨してこれを除くことにより、本体42が得られる。本体42の内面44のうち、研磨が施されている部分が研削面46である。この本体42の内面44において、研削面46以外は、中間タイヤの内面と実質的に同一である。この本体42は、中間タイヤの内面の一部が除かれたものからなる。言い換えれば、この本体42は、内面の一部が除かれた中間タイヤからなる。研削面46は、本体42の内面44のうち、中間タイヤの内面が除かれている部分である。
図2には、図1のタイヤ2を得るために準備される中間タイヤ48の一部が示されている。図2において、上下方向が中間タイヤ48の半径方向であり、左右方向が中間タイヤ48の軸方向であり、紙面との垂直方向が中間タイヤ48の周方向である。図2において、一点鎖線CLMは中間タイヤ48の赤道面を表わす。この中間タイヤ48の赤道面は、前述されたタイヤ2の赤道面と一致する。
前述したように、このタイヤ2では、本体42は、内面50の一部が除かれた中間タイヤ48からなる。したがって、この中間タイヤ48は、その内面50が本体42の内面44と相違することを除いて、この本体42の構成と同等の構成を有している。つまり、この中間タイヤ48は、トレッド4、一対のサイドウォール6、一対のウィング8、一対のクリンチ10、一対のビード12、カーカス14、ベルト16、バンド18、一対のエッジバンド20、インナーライナー22及び一対のチェーファー24を備えている。
図2に示されているように、このタイヤ2では、中間タイヤ48の内面50に凹部52が設けられている。言い換えれば、中間タイヤ48はその内面50に凹部52を備えている。この凹部52は、いわゆる、窪みである。
この中間タイヤ48の内面50は、インナーライナー22で構成されている。前述の凹部52は、このインナーライナー22に形成されている。このインナーライナー22の外側には、カーカス14が位置している。図2に示されているように、この凹部52はこのカーカス14まで到達していない。
図3には、中間タイヤ48の内面50に設けられた凹部52がこの中間タイヤ48の内側から見られた様子が示されている。この図3において、この紙面の表側がこの中間タイヤ48の内面50側である。図4には、この図3のIV−IV線に沿った断面が示されている。この図4において、上下方向が中間タイヤ48の半径方向であり、左右方向が中間タイヤ48の軸方向であり、紙面との垂直方向が中間タイヤ48の周方向である。図4においては、紙面の上側がタイヤ2の内面側である。
このタイヤ2では、凹部52は第一凹み54と第二凹み56とを備えている。図4から明らかなように、第一凹み54は第二凹み56よりも深い。このタイヤ2では、第一凹み54が深く第二凹み56が浅くなるようにこの凹部52は構成されている。なお、この図4において、両矢印D1は第一凹み54の深さを表している。両矢印D2は、第二凹み56の深さを表している。
このタイヤ2では、第二凹み56の内側に第一凹み54が位置している。このタイヤ2では、第一凹み54が凹部52の中心に位置し、この第一凹み54の外側に第二凹み56が位置している。この第二凹み56と第一凹み54とは離間することなく配置されている。このタイヤ2では、第一凹み54と第二凹み56とが一体となって、この凹部52は構成されている。このタイヤ2では、第二凹み56を凹部52の中心に配置し、この第二凹み56の外側に第一凹み54を配置して、この凹部52が構成されてもよい。
以下に、図1に示されたタイヤ2の製造方法が説明される。このタイヤ2の製造では、まず、図2に示された中間タイヤ48が準備される。この製造方法は、中間タイヤ48を準備する工程を含んでいる。
中間タイヤ48の準備工程では、トレッド4、サイドウォール6等の複数のゴム部材がアッセンブリーされて、ローカバー(未加硫タイヤ2)が得られる。このローカバーが、モールド(図示されず)に投入される。投入後、モールドは閉じられる。ローカバーの外面は、モールドのキャビティ面と当接する。ローカバーの内面は、ブラダー又は中子(図示されず)に当接する。ローカバーは、モールド内で加圧及び加熱される。加圧及び加熱により、ローカバーのゴム組成物が流動する。加熱によりゴムが架橋反応を起こし、図2に示された中間タイヤ48が得られる。加圧及び加熱が終了すると、モールドが開かれ、中間タイヤ48が取り出される。
前述したように、中間タイヤ48の内面50には、凹部52が設けられている。このため、この製造方法で用いられる、ブラダー又は中子の、ローカバーと当接する部分には、この凹部52に対応する凸部(図示されず)が設けられている。ローカバーの内面がブラダー又は中子に当接すると、この凸部がローカバーにめり込む。これにより、中間タイヤ48の内面50に凹部52が形成される。
前述したように、ローカバーの外面はモールドのキャビティ面と当接する。これにより、中間タイヤ48の外面58が形付けられる。中間タイヤ48の外面58は、キャビティ面との当接により形成される面である。ローカバーの内面は、ブラダー又は中子に当接する。これにより、中間タイヤ48の内面50が形付けられる。中間タイヤ48の内面50は、ブラダー又は中子との当接により形成される面である。
この製造方法では、従来の製造方法と同様、中間タイヤ48の取り出しの容易の観点から、モールドのキャビティ面、そして、ブラダー又は中子には、離型剤が塗布される。ローカバーの外面はモールドのキャビティ面と当接するので、この中間タイヤ48の外面58には、この離型剤が付着してしまう。ローカバーの内面はブラダー又は中子に当接するので、この中間タイヤ48の内面50にもこの離型剤が付着してしまう。
この製造方法では、中間タイヤ48を得ると、この中間タイヤ48から本体42が準備される。具体的には、中間タイヤ48の内面50を研磨することで、この中間タイヤ48の内面50の一部を除き、タイヤ2の本体42が得られる。つまり、この製造方法は、中間タイヤ48の内面50を研磨することでこの内面50の一部を除き、タイヤ2の本体42を得る工程をさらに含んでいる。
この製造方法では、中間タイヤ48の内面50は、市販の工業用ナイロンブラシを用いて研磨される。この製造方法では、この内面50が10分ほどの時間をかけて500μm程度研磨されればよく、この研磨の方法に特に制限はない。研磨材を塗布したバフを用いて、この内面50が研磨されてもよい。
図2において、符号PBは中間タイヤ48の内面50の特定の位置を表している。この位置PBは、この中間タイヤ48の内面50のうち、研磨により除かれる部分の軸方向外側端である。つまり、この製造方法では、この中間タイヤ48の内面50のうち、一方の位置PBから他方の位置PB(図示されず)までの部分が、研磨により除かれる。前述したように、本体42の研削面46は、中間タイヤ48の内面50が除かれている部分である。この位置PBは、研削面46の外側端PAに対応している。この図2における赤道面CLMからこの外側端PBまでの軸方向距離は、図1における赤道面CLPから外側端PAまでの軸方向距離と一致している。
図2に示されているように、この中間タイヤ48では、凹部52は位置PBよりも軸方向内側に位置している。言い換えれば、この中間タイヤ48では、凹部52は、その内面50のうち、研磨により、この内面50が除かれる部分に位置している。このため、内面50が研磨されることにより、この凹部52は消失していく。
図5には、中間タイヤ48の内面50が研磨された状態が模式的に示されている。詳細には中間タイヤ48から得られる本体42の内面44、より詳細にはこの本体42の研削面46の様子が、この図5に示されている。なお、この図5において、点線は研磨前の中間タイヤ48の内面50の様子を表している。
図5において、両矢印TRは研磨により除かれる中間タイヤ48の厚さを表している。本発明においては、この厚さTRが、中間タイヤ48の、内面50が除かれる部分の厚さである。換言すれば、この厚さTRは、研磨により除かれる中間タイヤ48の厚さである。
この製造方法では、第一凹み54の深さD1は中間タイヤ48の内面50が除かれる部分の厚さTRと同等以上であり、第二凹み56の深さD2はこの厚さTRと同等以下である。好ましくは、第一凹み54の深さD1は中間タイヤ48の内面50が除かれる部分の厚さTRよりも大きく、第二凹み56の深さD2はこの厚さTRよりも小さい。このため、この製造方法では、図5に示されているように、研磨により、第一凹み54よりも浅い第二凹み56は消失する。そして、この第二凹み56よりも深い第一凹み54は、消失させられることなく、残存する。
本発明においては、第二凹み56の底60が消失した時点で、第二凹み56は消失したと判断される。第一凹み54の壁62が消失しても第一凹み54の底64が残存していれば、第一凹み54は残存していると判断される。そして、第一凹み54の底64が消失した時点で、第一凹み54、言い換えれば、凹部52が消失したと判断される。なお、この判断は、目視により研削面46を観察することにより行われる。目視による判断ができない場合は、拡大鏡を用いて研削面46の観察を行い、この判断が実施される。
この製造方法では、研磨で削られた部分の厚さが厚さTRに到達した時点、つまり、第二凹み56のみが消失した時点で、研磨は完了する。これにより、内面44に研削面46を備えた本体42が得られる。したがって、この研削面46には第一凹み54の一部が含まれている。
この製造方法では、本体42を得ると、この本体42の研削面46にパーツ40が貼り付けられる。つまり、この製造方法は、本体42にパーツ40を貼り付ける工程をさらに含んでいる。そして、この製造方法では、パーツ40を本体42に貼り付けることで、図1に示されたタイヤ2が得られる。
この製造方法では、パーツ40を本体42に貼り付けるための手段に特に制限はない。貼り付けのための手段として両面テープを用いて、パーツ40が本体42に貼り付けられてもよい。この貼り付けのための手段として接着剤及び粘着剤を用いて、パーツ40が本体42に貼り付けられてもよい。この貼り付けのための手段は、パーツ40の仕様に応じて適宜決められる。
前述したように、このタイヤ2は、中間タイヤ48の内面50の一部を除いた本体42に、パーツ40を貼り付けることで構成される。このタイヤ2では、この中間タイヤ48の内面50に設けられる凹部52は、この中間タイヤ48の内面50のうち、この内面50が除かれる部分に位置し、第一凹み54と第二凹み56とを備えている。第一凹み54が第二凹み56よりも深くなるように凹部52が構成されているので、このタイヤ2の製造方法では、研磨の程度によって、第二凹み56を消失させ、第一凹み54を残存させることができる。言い換えれば、第一凹み54の深さD1及び第二凹み56の深さD2を、中間タイヤ48の内面50が除かれる部分の厚さTRと関連付けることで、研磨の程度の把握が可能である。
前述したように、このタイヤ2では、第一凹み54の深さD1が中間タイヤ48の内面50が除かれる部分の厚さTRと同等以上であり、第二凹み56の深さD2がこの厚さTRと同等以下である。このため、研磨によりこの中間タイヤ48の内面50を除く場合、第二凹み56が消失し、第一凹み54が残存していることを確認することで、研磨の程度を適切にコントロールすることができる。このタイヤ2では、第一凹み54及び第二凹み56の状態を確認することにより、中間タイヤ48の内面50の研磨の程度が正確かつ簡便に把握できる。このタイヤ2では、性能を損なうことなく、離型剤が十分に取り除かれた研削面46が得られる。この研削面46には、パーツ40が十分に貼り付けられる。本発明によれば、性能を損なうことなく、内面44へのパーツ40の十分な貼り付けが達成された空気入りタイヤ2が得られる。
このタイヤ2では、中間タイヤ48の内面50が除かれる部分の厚さTRは離型剤の除去の程度とタイヤ2の性能とに影響する。このため、このタイヤ2の製造方法では、この厚さTRは最小厚さと最大厚さとで表される範囲を有しており、第二凹み56の深さD2がこの最小厚さで設定され、第一凹み54の深さD1がこの最大厚さで設定されているのが好ましい。これにより、タイヤ2の性能を損なうことなく、離型剤が十分に取り除かれた研削面46が得られる。この研削面46には、パーツ40が十分に貼り付けられる。
このタイヤ2では、第二凹み56の深さD2は0.1mm以上であり、かつ、第一凹み54の深さD1は0.5mm以下が好ましい。この深さD2が0.1mm以上に設定されることにより、離型剤が十分に除去された研削面46が得られる。このタイヤ2では、この研削面46に、パーツ40が十分に貼り付けられる。この深さD1が0.5mm以下に設定されることにより、研磨の程度が適切に維持される。このタイヤ2では、この研磨による性能への影響が効果的に抑えられている。つまり、厚さTRは0.1mmから0.5mmの範囲に設定されるのが好ましい。
図4に示されているように、このタイヤ2では、第二凹み56の底60は平面である。これにより、第二凹み56が一様な深さD2を有するように、凹部52は構成される。この第二凹み56は、研磨の程度の把握に効果的に機能する。なお、本発明において、一様な深さD2を有する第二凹み56とは、計測して得られる第二凹み56の深さが(D2−0.05)mmから(D2+0.05)mmまでの範囲にあることを意味する。一様な深さD2を有しているかは、場所を変えて少なくとも5箇所以上第二凹み56の深さを計測することで判断される。
図4に示されているように、このタイヤ2では、第一凹み54の底64は平面である。これにより、第一凹み54が一様な深さD1を有するように、凹部52は構成される。この第一凹み54は、研磨の程度の把握に効果的に機能する。なお、本発明において、一様な深さD1を有する第一凹み54とは、計測して得られる第一凹み54の深さが(D1−0.05)mmから(D1+0.05)mmまでの範囲にあることを意味する。一様な深さD1を有しているかは、場所を変えて少なくとも5箇所以上第二凹み56の深さを計測することで判断される。
前述したように、このタイヤ2では、パーツ40は研削面46において本体42に貼り付けられる。この研削面46は、本体42の内面44のうち、中間タイヤ48の内面50が除かれている部分である。図1に示されたタイヤ2では、パーツ40はベルト16の半径方向内側に位置している。このため、このタイヤ2の製造方法では、中間タイヤ48の内面50が除かれる部分は、半径方向において、ベルト16と重複しているのが好ましい。さらに好ましくは、中間タイヤ48において、その内面50が除かれる部分の全体が、半径方向において、ベルト16と重複していることである。このタイヤ2では、中間タイヤ48の内面50が除かれる部分に凹部52が設けられるので、この凹部52がパーツ40の貼り付け位置の特定に有効に機能する。しかもこの凹部52の研磨の状態で研磨の程度が適切に把握できるので、このタイヤ2の製造方法では、性能を損なうことなく、離型剤が十分に取り除かれた研削面46が適切な位置に形成される。この製造方法では、性能を損なうことなく、パーツ40が適切な位置に十分な貼り付けられたタイヤ2が安定に製造されうる。
図2に示されているように、このタイヤ2の中間タイヤ48では、その内面50の赤道上の位置に1つ、左右の位置PBの近くにそれぞれ1つ、計3つの凹部52が軸方向に設けられている。このタイヤ2の製造方法では、この軸方向における凹部52の数に、特に、制限はない。研磨の程度の把握の観点から、中間タイヤ48の内面50には、少なくとも1つの凹部52が設けられていればよい。しかし研磨による性能への影響を抑えつつ、全体にわたって離型剤が十分に取り除かれた研削面46が得られるとの観点から、軸方向、詳細には、図2に示された断面における中間タイヤ48の内面50に沿って、複数の凹部52が設けられるのが好ましい。内面50が除かれる部分全体の、研磨の程度が把握できるとの観点から、図2に示された中間タイヤ48のように、内面50が除かれる部分の中心に1つ、この内面50が除かれる部分の左右のそれぞれの端、すなわち位置PBの近くに1つずつ、計3個の凹部52が設けられているのが好ましい。凹部52の数が多くなると、凹部52の形成のために中子又はブラダーに設けられる凸部の形成が困難となる。この観点から、この軸方向における凹部52の数は9個以下が好ましく、7個以下がより好ましく、5個以下がさらに好ましい。なお、このように複数の凹部52が内面50に設けられる場合には、タイヤ2のユニフォミティへの影響が考慮され、これらの凹部52は等間隔で配置されるのが好ましい。
このタイヤ2では、パーツ40はリング状を呈している。このパーツ40は、周方向に延在している。したがって、このパーツ40が貼り付けられる研削面46も周方向に延在している。周方向全体の研磨の程度を把握するために、この凹部52は周方向に複数箇所設けられるのが好ましい。この観点から、このタイヤ2では、凹部52の周方向における配置箇所の数は3以上が好ましい。周方向における凹部52の配置箇所の数が多くなると、凹部52の研磨状態の把握のためのチェックが煩雑となり、チェックのためにかなりの時間がかかる。この場合、生産性が低下する恐れがある。良好な生産性が維持されるとの観点から、この配置箇所の数は18以下が好ましい。さらに周方向はタイヤ2の回転方向に一致するため、タイヤ2のユニフォミティへの影響が考慮され、周方向に複数箇所凹部52を設ける場合には、これらの凹部52は周方向に等間隔で配置されるのが好ましい。
前述したように、このタイヤ2では、軸方向における凹部52の数は1個以上が好ましく、9個以下が好ましい。周方向における凹部の配置箇所の数は、3以上が好ましく、18以下が好ましい。したがって、この中間タイヤ48の内面50に設けられる凹部52の総数としては、3個以上が好ましく、162個以下が好ましい。
図3に示されているように、このタイヤ2では、第二凹み56の開口66の輪郭は円である。このタイヤ2では、研磨の際に、第二凹み56の存在が確認できればよく、この輪郭に、特に、制限はない。この輪郭が矩形とされてもよく、三角形とされてもよい。この輪郭が、星形とされてもよい。形成の容易及び視認性の観点から、この輪郭は矩形又は円が好ましい。
図3に示されているように、このタイヤ2では、第一凹み54の開口68の輪郭は円である。このタイヤ2では、研磨の際に、第一凹み54の存在が確認できればよく、この輪郭に、特に、制限はない。この輪郭が矩形とされてもよく、三角形とされてもよい。この輪郭が、星形とされてもよい。形成の容易及び視認性の観点から、この輪郭は矩形又は円が好ましい。視認性の観点から、第一凹み54に、第二凹み56の輪郭とは異なる輪郭が採用されてもよい。
図3において、両矢印R2は第二凹み56の開口66の大きさを表している。このタイヤ2では、第二凹み56の開口66の輪郭は円であるので、この第二凹み56の大きさはこの円の直径で表される。なお、このタイヤ2では、この第二凹み56の大きさR2によって凹部52の大きさが表される。
前述したように、第二凹み56の輪郭には、円以外に、矩形、三角形等、様々な形状が採用される。輪郭が円以外の形状で表される場合には、特に言及がない限り、この輪郭を表す形状の外接円の直径によって、この第二凹み56の大きさは表される。
このタイヤ2では、第二凹み56の大きさR2は0.5mm以上が好ましく、60mm以下が好ましい。この大きさR2が0.5mm以上に設定されることにより、視認性に優れる第二凹み56、又は、凹部52が得られる。この第二凹み56、又は、凹部52は、研磨位置の特定に寄与する。この観点から、この大きさR2は3mm以上がより好ましい。この大きさR2が60mm以下に設定されることにより、研磨の程度を適切に把握することができる。この観点から、この大きさR2は30mm以下がより好ましく、10mm以下がさらに好ましい。
図3において、両矢印R1は第一凹み54の開口68の大きさを表している。このタイヤ2では、第一凹み54の開口68の輪郭は円であるので、この第一凹み54の大きさはこの円の直径で表される。前述したように、第一凹み54の輪郭には、円以外に、矩形、三角形等、様々な形状が採用される。輪郭が円以外の形状で表される場合には、特に言及がない限り、この輪郭を表す形状の外接円の直径によって、この第一凹み54の大きさは表される。
このタイヤ2では、第二凹み56の大きさR2に対する第一凹み54の大きさR1の比は0.15以上が好ましく、0.85以下が好ましい。この比が0.15以上に設定されることにより、視認性に優れる第一凹み54が得られる。この第一凹み54は、研磨の程度の適切なコントロールに寄与する。この観点から、この比は0.30以上がより好ましい。この比が0.85以下に設定されることにより、第一凹み54による、エア保持性能、耐久性等の性能への影響が抑えられる。この観点から、この比は0.70以下がより好ましい。
このタイヤ2では、第一凹み54の大きさR1は0.5mm以上が好ましく、7.5mm以下が好ましい。この大きさR1が0.5mm以上に設定されることにより、視認性に優れる第一凹み54が得られる。この第一凹み54は、研磨の程度の把握に寄与する。この観点から、この大きさR1は0.7mm以上がより好ましい。この大きさR1が7.5mm以下に設定されることにより、第一凹み54による、エア保持性能、耐久性等の性能への影響が抑えられる。この観点から、この大きさR1は6.5mm以下がより好ましい。
図2に示されているように、このタイヤ2の中間タイヤ48では、その内面50の輪郭は、エッジバンド20が設けられている部分、すなわち、トレッド4のショルダー部分から、その曲率半径が小さくなる様相を呈する。このため、この中間タイヤ48のように、その内面50の赤道上の位置に1つ、左右の位置PBの近くにそれぞれ1つ、計3つの凹部52が軸方向に設けられる場合には、位置PBの近くにある凹部52の研磨の程度が把握しづらくなる恐れがある。この把握の容易の観点から、凹部52が周方向に複数箇所設けられる場合には、この位置PBの近く、すなわち、トレッド4のショルダー部分において周方向に設けられる凹部52の数は、左右のショルダー部分の間、すなわち、センター部分において周方向に設けられる凹部52の数よりも多いのが好ましい。具体的には、トレッド4のショルダー部分において周方向に設けられる凹部52の数は、センター部分において周方向に設けられる凹部52の数の1.5倍以上が好ましく、3倍以下が好ましい。より具体的には、位置PBの近くにおいて周方向に設けられる凹部52の数は、赤道上において周方向に設けられる凹部52の数の1.5倍以上が好ましく、3倍以下が好ましい。
図示されていないが、このタイヤ2では、インナーライナー22の厚さが、センター部分において厚く、ショルダー部分において薄くなるように構成されることがある。この場合、このタイヤ2の中間タイヤ48のように、センター部分に1つ、左右のショルダー部分にそれぞれ1つ、計3つの凹部52が軸方向に設けられると、このショルダー部分の凹部52はセンター部分の凹部52に比べて、エア保持性能に敏感に作用する恐れがある。このため、このショルダー部分の凹部52によるエア保持性能への影響が考慮され、ショルダー部分の凹部52はセンター部分の凹部52の大きさと同等以下の大きさを有するように構成されるのが好ましい。具体的には、ショルダー部分の凹部52の大きさR2の、センター部分の凹部52の大きさR2に対する比は1.0以下が好ましく、0.5以上が好ましい。より具体的には、位置PBの近くに位置する凹部52の大きさR2の、赤道上に位置する凹部52の大きさR2に対する比は、0.5以上が好ましく、1.0以下が好ましい。
本発明では、タイヤ2の各部材の寸法及び角度は、タイヤ2が正規リムに組み込まれ、正規内圧となるようにタイヤ2に空気が充填された状態で測定される。測定時には、タイヤ2には荷重がかけられない。本明細書において正規リムとは、タイヤ2が依拠する規格において定められたリムを意味する。JATMA規格における「標準リム」、TRA規格における「Design Rim」、及びETRTO規格における「Measuring Rim」は、正規リムである。本明細書において正規内圧とは、タイヤ2が依拠する規格において定められた内圧を意味する。JATMA規格における「最高空気圧」、TRA規格における「TIRE LOAD LIMITS AT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES」に掲載された「最大値」、及びETRTO規格における「INFLATION PRESSURE」は、正規内圧である。乗用車用タイヤ2の場合は、内圧が180kPaの状態で、寸法及び角度が測定される。なお、後述するタイヤ2の各部材の寸法及び角度も、同様にして、測定される。
図6には、図3に示された凹部52の変形例が示されている。図7には、この図6のVII−VII線に沿った断面が示されている。この凹部70では、図3に示された凹部52と同様、第二凹み72と第一凹み74とは離間することなく配置されている。
この図6に示された凹部70では、その開口76の輪郭は円ではなく矩形である。第一凹み74及び第二凹み72の輪郭も、矩形である。そして、第一凹み74は、第二凹み72の内側に位置するのではなく、第二凹み72の隣に位置している。
この凹部70は、輪郭、そして、第一凹み74と第二凹み72との位置関係において、図3に示された凹部52とは相違している。この凹部70の輪郭、そして、第一凹み74と第二凹み72との位置関係以外は、図3に示された凹部52と同等の構成を有している。つまり、この凹部70は、図3に示された凹部52と同様、中間タイヤ48の内面50のうち、この内面50が除かれる部分に位置し、第一凹み74が第二凹み72よりも深くなるように構成されている。しかも、第一凹み74の深さD1が中間タイヤ48の内面50が除かれる部分の厚さTRと同等以上であり、第二凹み72の深さD2がこの厚さTRと同等以下である。このため、研磨によりこの中間タイヤ48の内面50を除く場合、第二凹み72が消失し、第一凹み74が残存していることを確認することで、研磨の程度を適切にコントロールすることができる。この凹部70を採用したタイヤ2においても、第一凹み74及び第二凹み72の状態を確認することにより、中間タイヤ48の内面50の研磨の程度が正確かつ簡便に把握できる。このタイヤ2では、性能を損なうことなく、離型剤が十分に取り除かれた研削面46が得られる。この研削面46には、パーツ40が十分に貼り付けられる。したがって、この凹部70を採用した場合においても、性能を損なうことなく、内面44へのパーツ40の十分な貼り付けが達成された空気入りタイヤ2が得られる。
図6において、両矢印Lは凹部70の長さを表している。両矢印Wは、この凹部70の幅を表している。この凹部70では、長さL及び幅Wによって、この凹部70の大きさが表される。
この凹部70では、長さLは0.5mm以上が好ましく、60mm以下が好ましい。この長さLが0.5mm以上に設定されることにより、視認性に優れる凹部70が得られる。この凹部70は、研磨位置の特定に寄与する。この観点から、この長さLは3mm以上がより好ましい。この長さLが60mm以下に設定されることにより、凹部70の大きさが適切に維持される。このタイヤ2では、凹部70による、エア保持性能、耐久性等の性能への影響が抑えられる。この観点から、この長さLは30mm以下がより好ましく、10mm以下がさらに好ましい。
この凹部70では、幅Wは0.5mm以上が好ましく、60mm以下が好ましい。この幅Wが0.5mm以上に設定されることにより、視認性に優れる凹部70が得られる。この凹部70は、研磨位置の特定に寄与する。この観点から、この幅Wは3mm以上がより好ましい。この幅Wが60mm以下に設定されることにより、凹部70の大きさが適切に維持される。このタイヤ2では、凹部70による、エア保持性能、耐久性等の性能への影響が抑えられる。この観点から、この幅Wは30mm以下がより好ましく、10mm以下がさらに好ましい。
図6において、両矢印L1は第一凹み74の長さを表している。したがって、凹部70の長さLと第一凹み74の長さL1との差(L−L1)が、この凹部70における第二凹み72の長さである。
この凹部70では、凹部70の長さLに対する第一凹み74の長さL1の比は0.15以上が好ましく、0.85以下が好ましい。この比が0.15以上に設定されることにより、視認性に優れる第一凹み74が得られる。この第一凹み74は、研磨の程度の適切なコントロールに寄与する。この観点から、この比は0.30以上がより好ましい。この比が0.85以下に設定されることにより、第一凹み74による、エア保持性能、耐久性等の性能への影響が抑えられる。この観点から、この比は0.70以下がより好ましい。
図8には、図3に示された凹部52の他の変形例が示されている。図9には、この図8のIX−IX線に沿った断面が示されている。この凹部78では、第二凹み80と第一凹み82とは間隔をあけて配置されている。
この凹部78では、第一凹み82の開口84の輪郭は円である。この凹部78においても、図3に示された凹部52と同様、開口84の輪郭に、特に、制限はない。この輪郭が矩形とされてもよく、三角形とされてもよい。この輪郭が、星形とされてもよい。形成の容易及び視認性の観点から、この輪郭は矩形又は円が好ましい。
この凹部78では、第二凹み80の開口86の輪郭も円である。この凹部78においても、図3に示された凹部52と同様、開口86の輪郭に、特に、制限はない。この輪郭が矩形とされてもよく、三角形とされてもよい。この輪郭が、星形とされてもよい。形成の容易及び視認性の観点から、この輪郭は矩形又は円が好ましい。この凹部78では、第二凹み80の輪郭に円を採用し、第一凹み82の輪郭に矩形を採用してもよい。第二凹み80の輪郭に矩形を採用し、第一凹み82の輪郭に円を採用してもよい。
この凹部78では、第一凹み82の大きさは第二凹み80の大きさと同等である。この第一凹み82が第二凹み80よりも大きくなるように、この凹部78が構成されてもよい。この第一凹み82がこの第二凹み80よりも小さくなるように、この凹部78が構成されてもよい。
この凹部78は、第一凹み82と第二凹み80との位置関係において、図3に示された凹部52とは相違している。この第一凹み82と第二凹み80との位置関係以外は、図3に示された凹部52と同等の構成を有している。つまり、この凹部78は、図3に示された凹部52と同様、中間タイヤ48の内面50のうち、この内面50が除かれる部分に位置し、第一凹み82が第二凹み80よりも深くなるように構成されている。しかも、第一凹み82の深さD1が中間タイヤ48の内面50が除かれる部分の厚さTRと同等以上であり、第二凹み80の深さD2がこの厚さTRと同等以下である。このため、研磨によりこの中間タイヤ48の内面50を除く場合、第二凹み80が消失し、第一凹み82が残存していることを確認することで、研磨の程度を適切にコントロールすることができる。この凹部78を採用したタイヤ2においても、第一凹み82及び第二凹み80の状態を確認することにより、中間タイヤ48の内面50の研磨の程度が正確かつ簡便に把握できる。このタイヤ2では、性能を損なうことなく、離型剤が十分に取り除かれた研削面46が得られる。この研削面46には、パーツ40が十分に貼り付けられる。したがって、この凹部78を採用した場合においても、性能を損なうことなく、内面44へのパーツ40の十分な貼り付けが達成された空気入りタイヤ2が得られる。
図8において、両矢印R1は第一凹み82の開口84の大きさを表している。この凹部78では、第一凹み82の開口84の輪郭は円であるので、この第一凹み82の大きさはこの円の直径で表される。前述したように、第一凹み82の輪郭には、円以外に、矩形、三角形等、様々な形状が採用される。輪郭が円以外の形状で表される場合には、特に言及がない限り、この輪郭を表す形状の外接円の直径によって、この第一凹み82の大きさは表される。
この凹部78では、第一凹み82の大きさR1は0.5mm以上が好ましく、60mm以下が好ましい。この大きさR1が0.5mm以上に設定されることにより、視認性に優れる第一凹み82が得られる。この第一凹み82は、研磨位置の特定に寄与する。この観点から、この大きさR1は3mm以上がより好ましい。この大きさR1が60mm以下に設定されることにより、第一凹み82の大きさが適切に維持される。この凹部78では、この第一凹み82による、エア保持性能、耐久性等の性能への影響が抑えられる。この観点から、この大きさR1は30mm以下がより好ましく、10mm以下がさらに好ましい。
図8において、両矢印R2は第二凹み80の開口86の大きさを表している。この凹部78では、第二凹み80の開口86の輪郭は円であるので、この第二凹み80の大きさはこの円の直径で表される。前述したように、第二凹み80の輪郭には、円以外に、矩形、三角形等、様々な形状が採用される。輪郭が円以外の形状で表される場合には、特に言及がない限り、この輪郭を表す形状の外接円の直径によって、この第二凹み80の大きさは表される。
この凹部78では、第二凹み80の大きさR2は0.5mm以上が好ましく、60mm以下が好ましい。この大きさR2が0.5mm以上に設定されることにより、視認性に優れる第二凹み80が得られる。この第二凹み80は、研磨位置の特定に寄与する。この観点から、この大きさR2は3mm以上がより好ましい。この大きさR2が60mm以下に設定されることにより、第二凹み80の大きさが適切に維持される。この凹部78では、研磨の程度が適切に把握できる。この観点から、この大きさR2は30mm以下がより好ましく、10mm以下がさらに好ましい。
図8において、両矢印DAは第一凹み82と第二凹み80との間隔を表している。この間隔は、最短距離で表される。
この凹部78においては、形成の容易の観点から、間隔DAは2mm以上が好ましい。視認性の観点から、この間隔DAは10mm以下が好ましい。
図10には、図3に示された凹部52のさらに他の変形例が示されている。図11には、この図10のXI−XI線に沿った断面が示されている。
この凹部88は、第一凹み90及び第二凹み92の輪郭を矩形とした以外は、図8に示された凹部78と同等の構成を有している。したがって、この凹部88も、図3に示された凹部52と同様、中間タイヤ48の内面50のうち、この内面50が除かれる部分に位置し、第一凹み90が第二凹み92よりも深くなるように構成されている。しかも、第一凹み90の深さD1が中間タイヤ48の内面50が除かれる部分の厚さTRと同等以上であり、第二凹み92の深さD2がこの厚さTRと同等以下である。このため、研磨によりこの中間タイヤ48の内面50を除く場合、第二凹み92が消失し、第一凹み90が残存していることを確認することで、研磨の程度を適切にコントロールすることができる。この凹部88を採用したタイヤ2においても、第一凹み90及び第二凹み92の状態を確認することにより、中間タイヤ48の内面50の研磨の程度が正確かつ簡便に把握できる。このタイヤ2では、性能を損なうことなく、離型剤が十分に取り除かれた研削面46が得られる。この研削面46には、パーツ40が十分に貼り付けられる。したがって、この凹部88を採用した場合においても、性能を損なうことなく、内面44へのパーツ40の十分な貼り付けが達成された空気入りタイヤ2が得られる。
図10において、両矢印L1は第一凹み90の長さを表している。両矢印W1は、この第一凹み90の幅を表している。この凹部88では、長さL1及び幅W1によって、この第一凹み90の大きさが表される。
この凹部88では、長さL1は0.5mm以上が好ましく、60mm以下が好ましい。この長さL1が0.5mm以上に設定されることにより、視認性に優れる第一凹み90が得られる。この第一凹み90は、研磨位置の特定に寄与する。この観点から、この長さL1は3mm以上がより好ましい。この長さL1が60mm以下に設定されることにより、第一凹み90の大きさが適切に維持される。このタイヤ2では、第一凹み90による、エア保持性能、耐久性等の性能への影響が抑えられる。この観点から、この長さL1は30mm以下がより好ましく、10mm以下がさらに好ましい。
この凹部88では、幅W1は0.5mm以上が好ましく、60mm以下が好ましい。この幅W1が0.5mm以上に設定されることにより、視認性に優れる第一凹み90が得られる。この第一凹み90は、研磨位置の特定に寄与する。この観点から、この幅W1は3mm以上がより好ましい。この幅W1が60mm以下に設定されることにより、第一凹み90の大きさが適切に維持される。このタイヤ2では、第一凹み90による、エア保持性能、耐久性等の性能への影響が抑えられる。この観点から、この幅W1は30mm以下がより好ましく、10mm以下がさらに好ましい。
図10において、両矢印L2は第二凹み92の長さを表している。両矢印W2は、この第二凹み92の幅を表している。この凹部88では、長さL2及び幅W2によって、この第二凹み92の大きさが表される。
この凹部88では、長さL2は0.5mm以上が好ましく、60mm以下が好ましい。この長さL2が0.5mm以上に設定されることにより、視認性に優れる第二凹み92が得られる。この第二凹み92は、研磨位置の特定に寄与する。この観点から、この長さL2は3mm以上がより好ましい。この長さL2が60mm以下に設定されることにより、第二凹み92の大きさが適切に維持される。この凹部88では、研磨の程度が適切に把握できる。この観点から、この長さL2は30mm以下がより好ましく、10mm以下がさらに好ましい。
この凹部88では、幅W2は0.5mm以上が好ましく、60mm以下が好ましい。この幅W2が0.5mm以上に設定されることにより、視認性に優れる第二凹み92が得られる。この第二凹み92は、研磨位置の特定に寄与する。この観点から、この幅W2は3mm以上がより好ましい。この幅W2が60mm以下に設定されることにより、第二凹み92の大きさが適切に維持される。この凹部88では、研磨の程度が適切に把握できる。この観点から、この幅W2は30mm以下がより好ましく、10mm以下がさらに好ましい。
以下、実施例によって本発明の効果が明らかにされるが、この実施例の記載に基づいて本発明が限定的に解釈されるべきではない。
[実施例1]
図1に示されたタイヤを製作した。このタイヤのサイズは、215/55R17である。このタイヤの製作では、図2に示された中間タイヤを準備した。この中間タイヤの内面の一部をナイロンブラシで研磨することで、研削面を備えた本体を得た。この本体の研削面に、パーツとしての制音体を貼り付けて、実施例1のタイヤを得た。
この実施例1では、中間タイヤの内面のうち、研削面に対応する部分には、図2で示されているように、軸方向に3個凹部を形成した。この3個の凹部を1つのユニットとして、4ユニットが周方向に等間隔に配置された(凹部の総数は12個である)。このことが、下記の表1の配置箇所数の欄に、「4」で表されている。
この実施例1では、図3に示された構成を有する凹部が採用された。第一凹みの大きさR1は3.0mmであり、第二凹みの大きさR2は6.0mmであった。したがって、大きさR2に対する大きさR1の比(R1/R2)は0.50であった。第一凹みの深さD1は0.3mmに設定され、第二凹みの深さD2は0.1mmに設定された。これにより、研磨により除く中間タイヤの厚さTRが0.1mmから0.3mmに設定された。
[比較例1]
比較例1は、従来のタイヤである。この比較例1には、凹部は設けられていない。
[比較例2]
凹部を第一凹みのみで構成した他は実施例1と同様にして、比較例2のタイヤを製作した。
[実施例2−4]
凹部の構成を下記の表1の通りとした他は実施例1と同様にして、実施例2−4のタイヤを製作した。
実施例2では、凹部の長さLは6.0mmとされ、凹部の幅Wは6.0mmとされた。第一凹みの長さL1は3.0mmとされた。第一凹みの深さD1は0.3mmに設定され、第二凹みの深さD2は0.1mmに設定された。
実施例3では、第一凹みの大きさR1は3.0mmとされた。第二凹みの大きさR2は、3.0mmとされた。第一凹みの深さD1は0.3mmに設定され、第二凹みの深さD2は0.1mmに設定された。第一凹みと第二凹みとの間隔DAは、2.0mmとされた。
実施例4では、第一凹みの長さL1は6.0mmとされ、この第一凹みの幅W1は3.0mmとされた。第二凹みの長さL2は6.0mmとされ、この第二凹みの幅W3は3.0mmとされた。第一凹みの深さD1は0.3mmに設定され、第二凹みの深さD2は0.1mmに設定された。第一凹みと第二凹みとの間隔DAは、2.0mmとされた。
[実施例5−12]
周方向における凹部(ユニット)の配置箇所数を下記の表2の通りとした他は実施例1と同様にして、実施例5−12のタイヤを製作した。
[実施例13−16]
第一凹みの大きさR1及び第二凹みの大きさR2を下記の表3の通りとした他は実施例1と同様にして、実施例13−16のタイヤを製作した。
[実施例17−20]
第一凹みの大きさR1を変えて比(R1/R2)を下記の表4の通りとした他は実施例1と同様にして、実施例17−20のタイヤを製作した。
[凹部の有効性(視認性)]
製作した中間タイヤをナイロンブラシで研磨してタイヤの本体を得た。この本体の内面を目視で観察し、研削面の状況を確認した。残存している第一凹みが容易に発見できたかを作業者に評価させた。この結果が、下記の表1−4に示されている。第一凹みを容易に発見できた場合が「A」で、第一凹みがなかなか見つからなかった場合が「C」で表されている。
[凹部の有効性(チェックに要した時間)]
製作した中間タイヤをナイロンブラシで研磨してタイヤの本体を得た。この本体の内面を目視で観察し、研削面の状況を確認した。全ての第一凹みの確認が完了するまでの時間を計測した。この結果が、下記の表1−4に示されている。5秒以内に確認が完了した場合が「A」で、20秒以内に完了した場合が「B」で、そして、この確認完了までの時間が20秒を超えた場合が「C」で表されている。
[エア保持性能]
タイヤに正規リムに組み込み、このタイヤに内圧が正規内圧となるように空気を充填した。空気を充填後、25℃の温度下で、1ヶ月間(30日間)、放置した。充填直後の圧力と放置後の圧力との差圧を求め、この差圧に基づいてエア保持性能を評価した。この結果が、指数で下記の表1−4に示されている。数値が大きいほど差圧が小さく好ましい。
[加工安定性]
タイヤに正規リムに組み込み、このタイヤに内圧が正規内圧となるように空気を充填した。空気を充填後、25℃の温度下で、1ヶ月間(30日間)、放置した。充填直後の圧力と放置後の圧力との差圧を求めた。この差圧の計測を試作したタイヤ10本について実施した。実施例1における最大の差圧を基準差圧とし、この基準差圧と同等、又は、この基準差圧よりも小さい差圧を示したタイヤの本数を計数した。この結果が、指数で、下記の表1−4に示されている。数値が大きいほど良品率が高く加工安定性に優れる。
表1−4に示されるように、実施例の製造方法では、比較例の製造方法に比べて評価が高い。この評価結果から、本発明の優位性は明らかである。