JP5960539B2 - 切削液噴射装置 - Google Patents

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Description

本発明は、例えばNC旋盤やフライス盤やボール盤等の工作機械のツールや加工対象となるワークに付着した切粉を除去する切削液噴射装置に関する。
NC旋盤やフライス盤やボール盤等の工作機械のツール(工具)やワークに付着した切粉を除去する切削液噴射装置が従来から知られている(例えば特許文献1参照)。この切削液噴射装置は、加工中のワークとクーラントノズルとが干渉することのない追従型のクーラントノズル装置を提供するものであり、クーラントノズルをツールホルダとともに主軸に着脱可能とし、ドリルやエンドミルなどの工具により被加工物を加工する場合にもクーラントノズルと被加工物とが干渉することがなく、研削や切削,穴開けなどの連続加工を可能としたものである。
実開平6−033644号公報
近年、工作機械内にクーラントノズル(以下、「ノズル」という)を備えた切削液噴射装置を設置する場合、機械内の設置環境や、切削液供給用ホースの配線の都合等により、その機械ごとに様々な設置方法が求められている。このため、実際の目的とするツール及びワークへの切削液噴射のため、より広い可動範囲でノズルを可動できるようにすることが要望されている。
この際、機械内の配線状況や切削液噴射装置の設置方法によっては、ノズルの可動域と内部配線等の障害物の位置関係が各々異なる。従来は切削液噴射装置を工作機械に取り付けた後、その取り付け状況に応じてノズルの可動範囲を手動で設定していたため、工作機械への設置状況別に個別に対応をしなければならないという問題があった。
また、工作機械への設置状況によっては、目視で障害物とノズルが干渉しているか否かの判断が困難であるという問題があった。
本発明の目的は、ノズル可動型の切削液噴射装置において、工作機械への設置環境によらずにノズルが内部配線等の障害物と干渉することなく、ノズルの可動範囲を自動設定可能な切削液噴射装置を提供することにある。
上述した課題を解決するために、本発明の請求項1に記載の切削液噴射装置は、
切削液を被切削対象物や切削用ツールに噴射する切削液噴射装置において、
切削液を噴射するノズルと、
前記切削液を噴射する前記ノズルの向きを変えるために前記ノズルを回転させるステッピングモータと、
前記切削液噴射装置を設置した状態で前記ノズルを可動範囲全域に亘り可動させた場合に、前記ステッピングモータの脱調の有無を検出するために当該ステッピングモータの駆動信号が変化したか否かを判定する判定手段と、
該判定手段により前記駆動信号が変化したと判定した場合に、該駆動信号のカウント数の直前のカウント数を前記ノズルの可動端点として記憶する可動端点記憶手段とを備え、
前記ノズルが前記可動端点記憶手段により記憶された前記ノズルの可動端点を超えて駆動しないように、前記ノズルの可動範囲を制御するモータ駆動制御手段が備えられていることを特徴としている。
請求項1に係る切削液噴射装置がこのような構成を有することで、機器ごとの設定を手動で行う必要が無く、工作機械内の障害物との干渉を自動で検知することが可能になる。
また、本発明の請求項2に係る切削液噴射装置は、請求項1に記載の切削液噴射装置において、
前記ノズルの前記可動範囲を記憶するノズル動作設定記憶手段が備えられていることを特徴としている。
請求項2に係る切削液噴射装置がこのような構成を有することで、角度調整の際に、ノズルが設置面や内部配線等の障害物に干渉することによるステッピングモータの脱調を起こさない範囲で、ノズルの可動範囲を制御することが可能となる。
本発明によると、ノズル可動型の切削液噴射装置において、工作機械への設置環境によらずにノズルが内部配線等の障害物と干渉することなく、ノズルの可動範囲を自動設定可能な切削液噴射装置を提供することができる。
本実施形態に係る切削液噴射装置の概略説明図であり、図1(a)は左側面図、図1(b)は正面図である。 本実施形態に係る切削液噴射装置のブロック説明図である。 本実施形態に係る切削液噴射装置のノズル制御部4の制御を示すフローチャートである。 本実施形態に係る切削液噴射装置の実機の作用を示した説明図である。
以下、本発明の具体的な一実施形態に係る切削液噴射装置について図面に基づいて説明する。図1及び図2は、本発明の概略説明図及び本発明のブロック説明図である。
本発明の一実施形態に係る切削液噴射装置1は、工作機械の一つであるNC旋盤に装着されたツールやワークにクーラント液を兼ねた切削液(以下単に「切削液」とする)を噴射すると共に、NC旋盤のツールやワークに付着した切粉を除去する装置である。
そして、この切削液噴射装置1は、切削液を噴射するノズル3と、切削液を噴射するノズル3の向きを変えるために回転させるステッピングモータ2と、切削液噴射装置1を設置した状態でノズル3を可動範囲全域に亘り可動させた場合に、ステッピングモータ2の駆動信号が変化したか否かを判定する判定手段43と、この判定手段43により駆動信号が変化したと判定した場合に、この駆動信号のカウント数(位置)の直前のカウント数をノズル3の可動端点として記憶する可動端点記憶手段45とを備えている。
さらに、ノズル3が可動端点記憶手段45により記憶されたノズル3の可動端点を超えて駆動しないように、ノズル3の可動範囲を制御するモータ駆動制御手段41が備えられている。
なお、ノズル3の駆動開始の原点(基準点)を設定するため、ステッピングモータ2には基準点設定のセンサが備えられており、このセンサによる検出信号を受けてモータ駆動制御手段41が基準位置にノズル3を移動させる。
また、本実施形態の切削液噴射装置には、ノズル3の可動範囲を記憶するノズル動作設定記憶手段44が備えられている。
より具体的には、本実施形態に係る切削液噴射装置1は、モータ駆動制御手段41、基準点検出手段42、判定手段43、ノズル動作設定記憶手段44、可動端点記憶手段45の構成を有している。
モータ駆動制御手段41は、モータドライバとドライバを制御する回路にて構成されており、ドライバの制御は、マイコンとその制御ファームウェア(ハードウアを制御するソフトウア)により行われている。
基準点検出手段42は、磁気センサ、メカニカルセンサと該センサ信号を検出する回路にて構成されており、信号の検出は、マイコンとその制御ファームウェア(ハードウアを制御するソフトウア)により行われている。
判定手段43は、電流検出回路とその信号を検出して処理する回路にて構成されており、信号の検出処理は、マイコンとその制御ファームウェア(ハードウアを制御するソフトウア)により行われている。
ノズル動作設定記憶手段44及び可動端点記憶手段45は、EEPROMなどの不揮発性メモリにより行われている。
これにより、工作機械に設置した後に切削液噴射装置を稼働させ、一旦停止させた後に再稼働させる場合、可動の都度ノズルの可動範囲を設定し直さなくても良い。
続いて、本発明の作用を発揮するための本実施形態に係る切削液噴射装置の初期設定に関する手順について説明する。この説明にあたっては、本実施形態に係るノズル制御部4の制御をフローチャートに基いて説明する。図3は、本発明に係る切削液噴射装置のノズル制御部4の制御を示すフローチャートである。
なお、図3に示すフローチャートはあくまで本実施形態において本発明の作用を発揮することができるルーチンの一例について説明したものに過ぎず、本発明の作用を発揮し得る範囲内であれば他のフローチャートを適用可能であることは言うまでもない。
図3に示すルーチンに従って、最初に基準点検出手段42によりノズル3の駆動開始の原点を検出し、モータ駆動制御手段41がこの検出位置にノズル3を移動させ、この位置を駆動開始の基準点として設定する(ステップS1)。なお、ステップS1においては、少なくとも点、位置の基準になる点を可動範囲内に設定する必要がある。これは、機器の電源をOFFするとステッピングモータの位置が不明となってしまうためである。実際にはセンサ等を配置し、その検出点を基準点とする。なお、基準点は必ずしも動作の端点でなくても良い。
次いで、上記ステップS1で設定した基準点に対するノズル3の移動方向を設定する(ステップS2)。次いで、モータ制御駆動手段41によりステッピングモータ2を駆動させ、所定量の駆動信号を出力させる(ステップS3)。ここで、上記ステップS3の駆動信号の出力変化の有無を判定手段43により判定する(ステップS4)。次いで、上記ステップS4で駆動信号の出力が変化していると判定したら、ステッピングモータ2が脱調したものと判断し、この駆動信号のパルスカウント数の直前のパルスカウント数をノズル3の可動端点として可動端点記憶手段45に記憶して処理を終了する(ステップS5)。
一方、上記ステップS4で駆動信号の出力が変化していないと判定した場合は、ステッピングモータ2が脱調していないものと判断し、ステッピングモータ2の駆動信号のパルスカウント数を積算する(ステップS6)。次いで、ノズル3の規定可動範囲の限界の有無を判断する(ステップS7)。ここで、ノズル3の規定可動範囲の限界である場合は、上記ステップS2の移動方向には障害物は存在しないものと判断し処理を終了する。なお、ノズル3の規定可動範囲の限界でない場合は、上記ステップS3に戻り先の駆動信号とは異なる駆動信号を出力させて、上記ステップS4以降の処理を繰り返す。また、処理が完了したら、上記ステップS2のノズル3の移動方向とは逆の方向についても同様の処理を行う。
続いて、本発明を実機に適用した例について説明する。図4は、実機の例を示した説明図である。なお、図4における点線は、ステッピングモータ2の駆動信号(所定量のパルスカウント数の出力)に対応して仮に障害物が一切存在しないと仮定したときのノズル3の仮想上の可動範囲を示している。この状態は上述したフローチャートに基づく初期の設定を行う前の状態を示している。また、障害物があるためにこの障害物を検出してこの直前の位置を可動端点として、図2に図示する実線の矢印Aの範囲内でノズル3が実際に可動する。なお、この状態は、上述したフローチャートによる初期の設定を行った後のノズル3の動作を示している。
以上説明した本実施形態に係る切削液噴射装置により、切削液噴射装置の設置後は、ノズルの可能範囲が可動端点内でしか動作しないように制限、制御されるため、運転時に角度調整が必要になった場合でも、ノズルが設置面や内部配線等の障害物に干渉することによるステッピングモータの脱調を起こさない範囲で、ノズルの可動範囲を制御することが可能となる。
以下、本発明の有用性について再確認する。従来の切削液噴射装置においては、工作機械内に切削液噴射装置を設置する場合、機械内の設置環境や、切削液供給用ホースの配線都合等により、その機械ごとに様々な設置方法が求められていた。よって、実際の目的(ツール及びワークへの切削液噴射)のためのノズル可動角度以上に広い角度範囲でノズルを可動できるようにすることが求められていた。その際、機械内の配線状況や切削液噴射装置の設置方法によりノズルが内部配線等の障害物に干渉する状況(位置関係)が異なっていた。その結果、従来は切削液噴射装置を工作機械に取り付けた後、その取り付け状況に応じてノズルの可動範囲を手動で設定していたが、以下のような課題があった。
(1)一品一様の個別対応が必要になってしまった。
(2)設置状況によっては、目視では障害物とノズルが干渉しているか分かりづらかった。
そこで、本発明は以下の特有な構成を取るようにした。まず第1に、切削液噴射装置設置後、ノズルを可動範囲全体で動作させるようにした。障害物と干渉した際はノズルの動作が阻害されるため、ノズル駆動用のステッピングモータが脱調する。第2に、ノズル制御部にてその脱調を検出するようにした。次いで、その脱調した場所の直前の場所を可動の端点とし、メモリに記憶するようにした。そして、実際のノズル動作(動作角度設定及び加工中の運転)のときには、上記にて設定された可動端点を超えてノズルが動作しないようにした。
この結果、従来技術にはない本発明特有の効果を発揮するようになった。具体的には、可動範囲設定が自動で行えることから、機器ごとに設定を手動で行う必要が無くなった。また、製品の個別設定が不要となり、標準製品にて幅広く販売が可能となり、コストの低減につながるようになった。また、ロータリーエンコーダ無しでノズルの可動範囲自動設定機能を実現することができ、さらなる低コスト化を実現することができた。更に、作業者の目視に頼らず、工作機械内の障害物との干渉を自動で検知することが可能となった。そして、手動設定ミスの削減による工作機械への損傷の低減とワークの品質向上を図れるようになった。
1 切削液噴射装置
2 ステッピングモータ
3 切削液噴射ノズル
4 ノズル制御部
41 モータ駆動制御手段
42 基準点検出手段
43 判定手段
44 ノズル動作設定記憶手段
45 可動端点記憶手段

Claims (2)

  1. 切削液を被切削対象物や切削用ツールに噴射する切削液噴射装置において、
    切削液を噴射するノズルと、
    前記切削液を噴射する前記ノズルの向きを変えるために前記ノズルを回転させるステッピングモータと、
    前記切削液噴射装置を設置した状態で前記ノズルを可動範囲全域に亘り可動させた場合に、前記ステッピングモータの脱調の有無を検出するために当該ステッピングモータの駆動信号が変化したか否かを判定する判定手段と、
    該判定手段により前記駆動信号が変化したと判定した場合に、該駆動信号のカウント数の直前のカウント数を前記ノズルの可動端点として記憶する可動端点記憶手段とを備え、
    前記ノズルが前記可動端点記憶手段により記憶された前記ノズルの可動端点を超えて駆動しないように、前記ノズルの可動範囲を制御するモータ駆動制御手段が備えられていることを特徴とする切削液噴射装置。
  2. 前記ノズルの前記可動範囲を記憶するノズル動作設定記憶手段が備えられていることを特徴とする請求項1に記載の切削液噴射装置。
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