以下、この発明につき図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。また、この実施の形態の構成要素には、発明の同一性を維持しつつ置換可能かつ置換自明なものが含まれる。また、この実施の形態に記載された複数の変形例は、当業者自明の範囲内にて任意に組み合わせが可能である。
[原子力発電プラント]
図12は、復水器を有する原子力発電プラントを示す説明図である。同図は、加圧水型原子炉(PWR:Pressurized Water Reactor)を備える原子力発電プラントを示している。
この原子力発電プラント1では、原子炉格納容器11内に、原子炉12および蒸気発生器13が格納される(図12参照)。また、原子炉12の出口側と蒸気発生器13の入口側とが第一冷却水配管14を介して相互に接続され、また、蒸気発生器13の出口側と原子炉12の入口側とが第二冷却水配管15を介して相互に接続される。また、第一冷却水配管14に加圧器16が設けられ、また、第二冷却水配管15に冷却水ポンプ15aが設けられる。
原子炉12は、加圧水型原子炉である。この原子炉12は、燃料(原子燃料)として低濃縮ウランまたはMOX(Mixed OXide)を使用し、また、一次冷却水および中性子減速材として軽水を使用する。また、原子炉12は、燃料により一次冷却水を加熱して高温高圧水を生成する。このとき、炉心部における一次冷却水の沸騰を抑制するために、加圧器16が一次冷却水を150〜160気圧程度の高圧状態に維持する。これにより、炉心全体にわたって沸騰しない高温高圧の一次冷却水が生成される。原子炉12は、この高温高圧の一次冷却水を第一冷却水配管14を介して蒸気発生器13に供給する。
蒸気発生器13は、原子炉12からの一次冷却水を用いて二次冷却水を加熱し、蒸気を発生させる。また、蒸気発生器13は、二次冷却水との熱交換により冷却された一次冷却水を、第二冷却水配管15を介して原子炉12に還流する。これにより、一次冷却水が原子炉12と蒸気発生器13との間を循環する。
また、蒸気発生器13は、第三冷却水配管18を介して蒸気タービン17に接続される。蒸気タービン17は、高圧タービン19および低圧タービン20を有し、これらのタービン19、20のロータを介して発電機21に連結される。また、高圧タービン19と低圧タービン20との間には、湿分分離加熱器22が配置される。そして、高圧タービン19の入口部が第三冷却水配管18を介して蒸気発生器13の出口部に接続され、また、高圧タービン19の出口部が低温再熱管24を介して湿分分離加熱器22の入口部に接続される。また、低圧タービン20の入口部が高温再熱管25を介して湿分分離加熱器22の出口部に接続され、低圧タービン20の出口部が復水器26に接続される。
蒸気タービン17は、蒸気発生器13からの蒸気(二次冷却水)の熱エネルギーにより駆動トルクを発生して、ロータを介して発電機21に出力する。これにより、発電機21が駆動されて電力を発生する。具体的には、蒸気発生器13からの蒸気が高圧タービン19に供給されて、高圧タービン19が駆動される。また、高圧タービン19からの蒸気が湿分分離加熱器22を介して低圧タービン20に供給されて、低圧タービン20が駆動される。そして、高圧タービン19および低圧タービン20に連結されたロータが回転して、発電機21が駆動される。これにより、蒸気発生器13からの蒸気が用いられて、発電が行われる。
復水器26は、蒸気タービン17からの蒸気(二次冷却水)と冷媒(例えば、海水)とを熱交換させて蒸気を凝縮させる。この復水器26は、取水管27および排水管28と、循環水ポンプ29とを有する。また、復水器26は、循環水ポンプ29で冷媒を汲み上げて取水管27から取り込み、この冷媒で蒸気タービン17からの蒸気を冷却して凝縮する。また、復水器26は、熱交換後の冷媒を排水管28から排出する。
また、復水器26は、第四冷却水配管30を介して脱気器31に接続される。この第四冷却水配管30には、復水ポンプ32および低圧給水加熱器33が設けられる。また、脱気器31が、第五冷却水配管34を介して蒸気発生器13に接続される。この第五冷却水配管34には、給水ポンプ35および高圧給水加熱器36が設けられる。
脱気器31は、復水器26からの凝縮水を脱臭処理する。例えば、脱気器31は、凝縮水から溶存酸素や不凝結ガス(アンモニアガス)などの不純物を除去する。低圧給水加熱器33は、低圧タービン20から抽気した低圧蒸気を用いて、復水器26からの凝縮水を加熱し、第四冷却水配管30を介して脱気器31に送る。高圧給水加熱器36は、高圧タービン19から抽気した高圧蒸気を用いて、脱気器31からの凝縮水を加熱し、第五冷却水配管34を介して蒸気発生器13に供給する。これにより、二次冷却水が蒸気発生器13と蒸気タービン17との間を循環する。
[復水器]
図1は、この発明の実施例1にかかる復水器を示す斜視図である。同図は、復水器の内部構造を簡略化して示している。また、同図では、上方が鉛直上方に一致し、左右方向が水平方向に一致している。
この実施例1の復水器26Aは、ハウジング41と、入口水室42および出口水室43と、熱交換部44と、蒸気流入口45および凝縮水出口(図示省略)とを備える(図1参照)。
ハウジング41は、四角錐台の天井部411と長尺かつ箱型の底部412とを有する中空部材であり、底部412を鉛直下方にして配置される。
入口水室42および出口水室43は、冷媒(例えば、海水)の出入口となる水室である。入口水室42は、一対の水室42a、42bを一組として構成され、ハウジング41の底部412の長手方向(水平方向)の一端部に配置される。この入口水室42は、ハウジング41の内部に対して管板421を介して区画される。また、入口水室42は、冷媒の取水管27(図12参照)に連通する。一方、出口水室43は、一対の水室43a、43bを一組として構成され、ハウジング41の底部412の長手方向の他端部に配置される。この出口水室43は、ハウジング41の内部に対して管板431を介して区画される。また、出口水室43は、冷媒の排水管28(図12参照)に連通する。これにより、ハウジング41の水平方向の両端部に、入口水室42および出口水室43がそれぞれ配置される。
熱交換部44は、細管ブロック441と、支持部材442と、固定部材443とを有し、ハウジング41に収容されて配置される。細管ブロック441は、複数の細管(冷却管)を束ねて構成される。この細管ブロック441は、一方の開口端部にて管板421を介して入口水室42に連通し、他方の開口端部にて管板431を介して出口水室43に連通する。これにより、入口水室42と出口水室43とが細管ブロック441を介して相互に連通する。支持部材442は、細管ブロック441を支持する板状部材あるいは枠状部材であり、細管ブロック441を挿通させる開口部を有する。この支持部材442は、ハウジング41内に立設され、複数の固定部材443を介してハウジング41の内壁に固定される。また、複数の支持部材442が、細管ブロック441の長手方向に所定間隔を隔てて配列され、その開口部に挿入された細管ブロック441を支持する。なお、この実施例1では、復水器26Aが一対の熱交換部44a、44bを有し、これらの熱交換部44a、44bが対応する入口水室42a、42bおよび出口水室43a、43bにそれぞれ連通して配置されている。
蒸気流入口45は、タービン17からの蒸気をハウジング41に導入するための入口であり、ハウジング41の天井部411に配置される。この実施例1では、ハウジング41の天井部411が四角錐台形状を有し、この四角錐台の頂部に蒸気流入口45が形成されている。また、蒸気流入口45が低圧タービン20の出口部(仕事後の蒸気の出口部)に接続されている。凝縮水出口(図示省略)は、ハウジング41内で生成された凝縮水の出口である。この凝縮水出口は、第四冷却水配管30(図12参照)を介して脱気器31に接続される。
この復水器26Aでは、冷媒が、取水管27から入口水室42に導入され、熱交換部44の細管ブロック441を通ってハウジング41内を長手方向(水平方向)に通過し、出口水室43から排水管28を介して排出される。また、タービン17からの蒸気が、蒸気流入口45からハウジング41に導入されて、ハウジング41内を上方から下方(鉛直方向)に向かって流れる。このとき、蒸気が、熱交換部44を通過し、細管ブロック441内の冷媒と熱交換して凝縮水となる。そして、この凝縮水が凝縮水出口から第四冷却水配管30を介して排出される。なお、この実施例1では、冷媒として海水が用いられている。
[復水器の蒸気整流構造]
図2は、図1に記載した復水器を示すA視断面図である。図3は、図1に記載した復水器の作用を示す説明図である。これらの図は、復水器26Aの蒸気整流構造およびその作用を示している。また、これらの図では、上方が鉛直上方に一致し、左右方向が水平方向に一致している。
上記のように、この実施例1の復水器26Aは、一対の熱交換部44a、44bを有する(図1および図2参照)。また、これらの熱交換部44a、44bが、細管の長手方向を揃えてハウジング41の底部412に収容される。このとき、各熱交換部44a、44bの細管ブロック441a、441bが、その長手方向(水平方向)とハウジング41内における蒸気の流れ方向(鉛直方向)とを交差させて配置される。具体的には、細管の長手方向に垂直な断面視(A視断面)にて、細管ブロック441a、441bが、ハウジング41の蒸気流入口45の鉛直下方に配置されて蒸気の流路上に位置し、また、細管ブロック441a、441bの長手方向および幅方向が、蒸気流入口45の中心軸(図示省略)に対して左右対称に配置される。また、これらの細管ブロック441a、441bが、相互に所定の隙間g1をあけつつ水平方向に配置される。したがって、これらの細管ブロック441a、441bが、ハウジング41内における蒸気に流れ方向に対向して相互に並列に配置される。また、各細管ブロック441a、441bが、ハウジング41の内壁面との間に所定の隙間g2をあけて配置される。これにより、タービン17(20)からの蒸気が、隣り合う細管ブロック441a、441bの隙間g1ならびに各細管ブロック441a、441bとハウジング41の内壁面との隙間g2を通って左右対称に流れる。
なお、この実施例1では、1つの熱交換部44a(44b)が一対の細管ブロック441_1a、441_2a(441_1b、441_2b)を有している(図2参照)。また、これらの細管ブロック441_1a、441_2a(441_1b、441_2b)が、細管の長手方向をハウジング41の長手方向に向けつつ鉛直方向に隣り合い、相互に所定の隙間をあけて配置されている。また、1つの支持部材442a(442b)に対して、一対の細管ブロック441_1a、441_2a(441_1b、441_2b)が挿通する。そして、複数の支持部材442a(442b)が細管ブロック441_1a、441_2a(441_1b、441_2b)の長手方向に配置されて、細管ブロック441_1a、441_2a(441_1b、441_2b)を支持する。また、これらの支持部材442a(442b)が複数の固定部材443を介してハウジング41の内壁面(内側側面および内側底面)に固定される。そして、これらの細管ブロック441_1a、441_2a(441_1b、441_2b)が対応する入口水室42a(42b)および出口水室43a(43b)にそれぞれ連通する(図1参照)。
また、この復水器26Aは、複数のダミー部材51a、51bを備える(図1および図2参照)。これらのダミー部材51a、51bは、例えば、ステンレススチール製の棒状部材あるいは管状部材である。また、ダミー部材51a(51b)は、隣り合う細管ブロック441a、441bの隙間g1を流れる蒸気の流路上、ならびに、細管ブロック441a(441b)とハウジング41の内壁面との隙間g2を流れる蒸気の流路上に、それぞれ配置される。
例えば、この実施例1では、復水器26Aが一対の熱交換部44a、44bを備え、1つの熱交換部44a(44b)が一対の細管ブロック441_1a、441_2a(441_1b、441_2b)をそれぞれ有している(図2参照)。そして、1つの細管ブロック441_1a(441_2a、441_1b、441_2b)が4本のダミー部材51a(51b)をそれぞれ有している。具体的には、細管の長手方向に垂直な断面視(A視断面図)にて、細管ブロック441_1a(441_2a、441_1b、441_2b)が略矩形断面を有し、その1つの側面を蒸気の流れ方向上流側に向けて配置されている。また、4本のダミー部材51a(51b)がこの細管ブロック441_1a(441_2a、441_1b、441_2b)の四隅の近傍にそれぞれ配置されている。言い換えると、細管ブロック441_1a(441_2a、441_1b、441_2b)の側面のうち蒸気の流れ方向上流側に向かって前側の側面の左右近傍および後側の側面の左右近傍に、ダミー部材51a(51b)がそれぞれ配置されている。このため、ハウジング41の内壁面沿いの隙間g2では、合計4本のダミー部材51a(51b)が蒸気の流れ方向に沿って縦列に配置されている。このとき、4本のダミー部材51a(51b)が、細管ブロック441_1a、441_2a(441_1b、441_2b)の側面に沿って配列されている。また、隣り合う細管ブロック441_1a、441_1b(441_2a、441_2b)の隙間g1では、2本を一組としたダミー部材51a、51bが蒸気の流れ方向に直交する方向に所定間隔をあけて配置され、また、4組のダミー部材51a、51bが蒸気の流れ方向に沿って配置されている。また、これらのダミー部材51a(51b)が、隙間g1(隙間g2)の中央よりも細管ブロック441_1a、441_2a(441_1b、441_2b)寄りに配置されている。
また、ダミー部材51a(51b)は、熱交換部44a(44b)の支持部材442a(442b)を補強する補強部材を兼ねる(図1および図2参照)。例えば、この実施例1では、複数の支持部材442a(442b)が細管の長手方向に配列されて細管ブロック441a(441b)を支持し、ロッド状のダミー部材51a(51b)がこれらの支持部材442a(442b)を貫通して補強している。また、4本のダミー部材51a(51b)が1つの細管ブロック441_1a(441_2a、441_1b、441_2b)の四隅を囲んで配置されることにより、細管ブロック441_1a(441_2a、441_1b、441_2b)の周囲が強固に補強されている。
この復水器26Aでは、タービン17(20)からの蒸気が、蒸気流入口45からハウジング41に流入し、各細管ブロック441a、441bにて細管を流れる冷媒と熱交換して凝縮水となる(図3参照)。その後に、この凝縮水が、ハウジング41の底部412にある凝縮水出口(図示省略)から回収されて、二次冷却水として再利用される。
ここで、ハウジング41の内壁面沿いの領域には、局所的な蒸気の高流速域が発生する。この点において、この復水器26Aでは、細管ブロック441a(441b)とハウジング41の内壁面との隙間g2にダミー部材51a(51b)が配置されるので、ダミー部材51a(51b)が抵抗体として機能して、この隙間g2における蒸気流れを減速させる。これにより、ハウジング41の内壁面沿いにおける細管ブロック441a、441bのエロージョンが抑制される。同時に、ダミー部材51a(51b)が邪魔体として機能して、この隙間g2における蒸気流れを拡散させる。これにより、この隙間g2における蒸気の滞留時間が増加して、蒸気の凝縮効率が向上する。
また、隣り合う細管ブロック441a、441bの隙間g1にダミー部材51a、51bが配置されるので、ダミー部材51a、51bが邪魔体として機能して、この隙間g1における蒸気流れを拡散させる。これにより、この隙間g1における蒸気の滞留時間が増加して、蒸気の凝縮効率が向上する。
また、水平方向(蒸気の流れ方向に交差する方向)に隣り合う細管ブロック441_1a、441_1b(441_2a、441_2b)の隙間g1、ならびに、鉛直方向(蒸気の流れ方向)に隣り合う細管ブロック441_1a、441_2a(441_1b、441_2b)の隙間では、蒸気の渦が成長し易い。したがって、この位置にダミー部材51a、51bが配置されることにより、蒸気の渦が拡散されて小さくなり、蒸気流れが整流される。これにより、細管ブロック441a、441b周りの蒸気流れが安定して、蒸気の凝縮効率が効果的に向上する。
さらに、細管ブロック441a、441bとハウジング41の内壁面との隙間g2および隣り合う細管ブロック441a、441bの隙間g1の双方に、ダミー部材51a、51bが配置されることにより、細管ブロック441a、441b周りの蒸気流れが拡散される。これにより、細管ブロック441a、441b周りにおける蒸気の滞留時間が増加して、蒸気の凝縮効率が向上する。
図4は、この発明の実施例2にかかる復水器を示す説明図である。同図は、図1に記載した実施例1の復水器26Aの変形例を示している。同図において、実施例1の復水器26Aと同一の構成要素には同一の符号を付し、その説明を省略する。
図1の復水器26Aでは、上記のように、隣り合う細管ブロック441a、441bの隙間g1および細管ブロック441a、441bとハウジング41の内壁面との隙間g2の双方に、ダミー部材51a、51bが配置されている(図2参照)。
これに対して、この実施例2の復水器26Bでは、細管ブロック441a(441b)とハウジング41の内壁面との隙間g2のみに、ダミー部材51a(51b)が配置されても良い(図4参照)。かかる構成としても、ハウジング41の内壁面沿いにおける細管ブロック441a、441bのエロージョンを抑制でき、また、蒸気の凝縮効率を向上できる。
図5は、この発明の実施例3にかかる復水器を示す説明図である。同図は、図1に記載した実施例1の復水器26Aとは異なる蒸気整流構造を有している。同図において、上記した実施例1の復水器26Aと同一の構成要素には同一の符号を付し、その説明を省略する。
図1の復水器26Aでは、隣り合う細管ブロック441a、441bの隙間g1と、細管ブロック441a、441bとハウジング41の内壁面との隙間g2との関係に限定がない(図1および図2参照)。例えば、図2の構成では、隙間g1が隙間g2よりも大きく設定されている(g1>g2)。また、これらの隙間g1および隙間g2には、ダミー部材51a、51bが配置されている。
これに対して、この実施例3の復水器26Cでは、細管ブロック441a、441bとハウジング41の内壁面との隙間g2が、隣り合う細管ブロック441a、441bの隙間g1よりも大きく設定される(g1<g2)(図5参照)。例えば、この実施例3の復水器26Cでは、実施例1の復水器26Aと比較して、左右の細管ブロック441a、441bがハウジング41の中央部に寄せられて、その隙間g1が狭められている。一方で、各細管ブロック441a、441bがハウジング41の左右の内壁面から遠ざけられて、その隙間g2が広げられている。これにより、隙間g2における蒸気の流路断面積が、隙間g1における蒸気の流路断面積よりも大きくなっている。また、隣り合う細管ブロック441a、441bとハウジング41の内壁面との位置関係が蒸気の流れ方向に対して左右対称となっている。また、隙間g1と隙間g2との比g2/g1がg2/g1=2.0に設定されている。なお、この実施例3の復水器26Cは、これらの隙間g1および隙間g2に、図1の復水器26Aのようなダミー部材51a(51b)を備えていない。
かかる構成では、隣り合う細管ブロック441a、441bの隙間g1が細管ブロック441a(441b)とハウジング41の内壁面との隙間g2よりも大きい(g1<g2)ので、ハウジング41の内壁面に沿って流れる蒸気の流速が緩和される。これにより、ハウジング41の内壁面沿いにおける細管ブロック441a、441bのエロージョンが抑制される。
なお、この実施例3の復水器26Cでは、隙間g1が隣り合う細管ブロック441a、441b間の距離を意味し、隙間g2が細管ブロック441a(441b)とハウジング41の内壁面との距離を意味する。また、これらの隙間g1および隙間g2が細管の長手方向にほぼ一様となっている。また、隙間g1および隙間g2における蒸気の流路断面積が、隙間g1および隙間g2に比例した大きさとなっている。
図6は、この発明の実施例4にかかる復水器を示す説明図である。同図は、図5に記載した実施例3の復水器26Cの変形例を示している。同図において、上記した実施例3の復水器26Cと同一の構成要素には同一の符号を付し、その説明を省略する。
実施例3の復水器26Cでは、細管ブロック441a、441bとハウジング41の内壁面との隙間g2が、隣り合う細管ブロック441a、441bの隙間g1よりも大きく設定される(図5参照)。しかし、これらの隙間g1および隙間g2には、図1の復水器26Aのようなダミー部材51a、51bが配置されていない。
これに対して、この実施例4の復水器26Dは、実施例3の復水器26Cにおいて、さらに、細管ブロック441a(441b)とハウジング41の内壁面との隙間g2にダミー部材51a(51b)を備える(図6参照)。かかる構成では、隙間g1および隙間g2の関係が適正化され(g1<g2)、さらに、隙間g2にダミー部材51a(51b)が配置されるので、ハウジング41の内壁面に沿って流れる蒸気の流速が効果的に緩和される。これにより、ハウジング41の内壁面沿いにおける細管ブロック441a、441bのエロージョンが効果的に抑制される。
図7は、この発明の実施例5にかかる復水器を示す説明図である。同図は、図6に記載した実施例4の復水器26Dの変形例を示している。同図において、上記した実施例4の復水器26Dと同一の構成要素には同一の符号を付し、その説明を省略する。
この実施例5の復水器26Eは、実施例4の復水器26Dにおいて、さらに、隣り合う細管ブロック441a、441bの隙間g1に、ダミー部材51a、51bを備える(図7参照)。かかる構成では、隙間g1および隙間g2の関係が適正化され(g1<g2)、さらに、隙間g1および隙間g2にダミー部材51a、51bが配置されるので、隙間g1および隙間g2における蒸気流れが良好となり、蒸気の凝縮効率が向上する。
なお、この実施例5の復水器26Eでは、一対の熱交換部44a、44bが合計4つの細管ブロック441_1a、441_2a、441_1b、441_2bを有し、4本のダミー部材51a(51b)が1つの細管ブロック441_1a(441_2a、441_1b、441_2b)の四隅を囲んで配置されている(図7参照)。このため、隙間g1には、2本を1組としたダミー部材51a、51bが水平方向に配列され、また、4組のダミー部材51a、51bが蒸気の流れ方向に沿って鉛直方向に配列されている。
しかし、これに限らず、隙間g1には、水平方向に1本のダミー部材のみが配置されても良い(図示省略)。かかる構成としても、同様の効果を得られる。
図8は、この発明の実施例6にかかる復水器を示す説明図である。図9は、図8に記載した復水器を示すB−B視断面図である。図10は、図8に記載した復水器のガイド部を示す説明図である。これらの図は、図1に記載した実施例1の復水器26Aの変形例を示している。これらの図において、上記した実施例1の復水器26Aと同一の構成要素には同一の符号を付し、その説明を省略する。
この実施例6の復水器26Fは、実施例1の復水器26Aにおいて、さらに、ガイド部52を備える(図8〜図10参照)。このガイド部52は、細管ブロック441a、441bよりも蒸気の上流側に配置されて、蒸気をハウジング41の中央部にガイドする部材である。ここで、ハウジング41の中央部とは、ハウジング41の内壁面沿いよりも内側の領域を意味する。かかる構成では、ガイド部52が蒸気をハウジング41の中央にガイドするので、ハウジング41の内壁面に沿って流れる蒸気の流速が緩和される。これにより、ハウジング41の内壁面沿いにおける細管ブロック441a、441bのエロージョンを抑制できる。
例えば、この実施例6の復水器26Fでは、蒸気流入口45が矩形の枠状形状を有し、ハウジング41の頂部に配置されている。また、この蒸気流入口45を介して、ハウジング41とタービン17(20)とが接続されて、タービン17(20)からの蒸気がハウジング41に流入している。また、ハウジング41内では、蒸気が鉛直上方から下方に向かって流れている。
また、蒸気流入口45の四隅に、ガイド部52がそれぞれ配置されている。また、ガイド部52が、三角形のフィン状部材から構成されている。また、ガイド部52が、蒸気の下流側(鉛直下方)に向かってハウジング41の中央部側に、その平面を傾斜させて配置されている。また、ガイド部52が、蒸気流入口45の開口断面積を蒸気の上流側から下流側に向かって狭めるように、その平面を傾斜させて配置されている。そして、ガイド部52が蒸気をハウジング41の中央にガイドすることにより、蒸気の流れがハウジング41の壁面から剥離して、ハウジング41の内壁面に沿う蒸気の流れが減速する。
なお、この実施例6の復水器26Fでは、ガイド部52が三角形のフィン状部材から成るが、ガイド部52の形状および構造は、これに限定されない。例えば、ガイド部52が蒸気を通過させる多孔部材から成り、その開口方向(孔からの蒸気の噴き出し方向)をハウジング41の中央部に向けて配置されても良い(図示省略)。また、例えば、蒸気流入口45が蒸気の上流側から下流側に向かって蒸気の流路を絞る(開口断面積を狭める)オリフィス構造を有しても良い(図示省略)。
また、この実施例6の復水器26Fでは、蒸気流入口45が4つのガイド部52を有し、蒸気の流路断面を上流側から下流側に向かって八角形に狭める形状を有している(図10参照)。しかし、これに限らず、蒸気流入口45が円弧状端面のガイド部52を有することにより、蒸気の流路断面を上流側から下流側に向かって円形あるいは楕円形に狭める形状を有してもよい(図示省略)。また、このとき、蒸気流入口45の流路断面が細管ブロック441a、441bの長手方向に長尺となることが好ましい(図示省略)。
また、この実施例6の復水器26Fは、隣り合う細管ブロック441a、441bの隙間g1ならびに細管ブロック441a、441bとハウジング41の内壁面との隙間g2に、ダミー部材51a、51bを備えている(図8および図9参照)。かかる構成では、ダミー部材51a、51bとガイド部52との相乗作用により、ハウジング41の内壁面沿いにおける細管ブロック441a、441bのエロージョンが効果的に抑制される。しかし、これに限らず、これらのダミー部材51a、51bが省略されても良い(図示省略)。かかる構成としても、エロージョンの抑制効果が得られる。
図11は、復水器の蒸気整流構造を備えるタービンを示す説明図である。同図は、図1に記載した実施例1の復水器26Aと、この復水器26Aの細管ブロック441a、441bの蒸気整流構造を備えるタービン17(20)との関係を示している。同図において、上記した実施例1の復水器26Aと同一の構成要素には同一の符号を付し、その説明を省略する。
実施例6の復水器26Fは、細管ブロック441a、441bの蒸気整流構造として、蒸気をハウジング41の中央にガイドするガイド部52を蒸気流入口45に備えている(図8〜図10参照)。
しかし、これに限らず、タービン17(20)が、ガイド部52の機能を有しても良い(図11参照)。すなわち、タービン17(20)の排気ケーシング171が復水器26Aのハウジング41との接続部(蒸気流入口45)を絞った形状を有しても良い。かかる構成では、タービン17(20)からの蒸気が、復水器26Aのハウジング41に流入するときに、排気ケーシング171によってハウジング41内の中央部にガイドされる。これにより、ハウジング41の内壁面に沿って流れる蒸気の流速が緩和されて、ハウジング41の内壁面沿いにおける細管ブロック441a、441bのエロージョンが抑制される。
[効果]
以上説明したように、この復水器26(26A)では、複数の細管ブロック441a、441bが蒸気の流れ方向に対向して相互に所定の隙間g1をあけつつ並列に配置される(図1および図2参照)。また、細管ブロック441a、441bがハウジング41の内壁面との間に所定の隙間g2をあけて配置される。また、復水器26は、細管ブロック441a(441b)とハウジング41の内壁面との隙間g2を流れる蒸気の流路上にダミー部材51a(51b)を備える。
かかる構成では、細管ブロック441a(441b)とハウジング41の内壁面との隙間g2を流れる蒸気が、ダミー部材51a(51b)にあたって減速する(図3参照)。したがって、蒸気が高速となり易いハウジング41の内壁面沿いの領域に、ダミー部材51a(51b)が配置されることにより、蒸気の局所的な高流速域が減少する。これにより、細管ブロック441a、441bを通過する蒸気の流速が均一化されて、蒸気の凝縮効率が向上する利点がある。
また、かかる構成では、ハウジング41の内壁面沿いの隙間g2における蒸気の流速を低減できるので、この隙間g2に面する細管ブロック441a、441bのエロージョンを抑制できる利点がある。
また、この復水器26(26A)では、上記の構成において、ダミー部材51a(51b)が、隣り合う細管ブロック441a、441bの隙間g1を流れる蒸気の流路上に配置される(図2参照)。かかる構成では、この隙間g1を流れる蒸気が、ダミー部材51a(51b)にあたって拡散される(図3参照)。これにより、この隙間g1における蒸気流れが良好となり、蒸気の凝縮効率が向上する利点がある。
特に、隣り合う細管ブロック441a、441bの隙間g1および細管ブロック441a、441bとハウジング41の内壁面との隙間g2の双方に、ダミー部材51a、51bが配置されることにより、細管ブロック441a、441b周りの蒸気流れが良好となる。これにより、蒸気の凝縮効率が効果的に向上する利点がある。
また、この復水器26(26A)は、上記の構成において、細管の長手方向に配列されて細管ブロック441a(441b)を支持する複数の支持部材442a(442b)を備える。そして、ダミー部材51a(51b)がこれらの支持部材442a(442b)の補強部材を兼ねる(図1および図2参照)。これにより、細管ブロック441a(441b)の支持構造を補強できる利点がある。
また、この復水器26(26D、26E)では、上記の構成において、隣り合う細管ブロック441a、441bの隙間g1における蒸気の流路断面積が、細管ブロック441a(441b)とハウジング41の内壁面との隙間g2における蒸気の流路断面積よりも小さい(図5〜図7参照)。かかる構成では、ハウジング41の内壁面に沿って流れる蒸気の流速が緩和される。これにより、ハウジング41内における蒸気流れが良好となり、蒸気の凝縮効率が向上する利点がある。また、かかる構成では、ハウジング41の内壁面沿いの隙間g2における細管ブロック441a、441bのエロージョンを抑制できる利点がある。
また、この復水器26(26F)では、上記の構成において、細管ブロック441a、441bよりも蒸気の上流側に配置されて蒸気をハウジング41内の中央部にガイドするガイド部52を備える(図8〜図10参照)。かかる構成では、ガイド部52が蒸気をハウジング41の中央にガイドするので、ハウジング41の内壁面に沿って流れる蒸気の流速が緩和される。これにより、ハウジング41内における蒸気流れが良好となり、蒸気の凝縮効率が向上する利点がある。また、かかる構成では、ハウジング41の内壁面沿いの隙間g2における細管ブロック441a、441bのエロージョンを抑制できる利点がある。