以下、実施例に基づいて本発明を詳細に説明する。図1は、本実施例のパチンコ機GMを示す斜視図である。このパチンコ機GMは、島構造体に着脱可能に装着される矩形枠状の木製外枠1と、外枠1に固着されたヒンジ2を介して開閉可能に枢着される前枠3とで構成されている。この前枠3には、遊技盤5が、裏側からではなく、表側から着脱自在に装着され、その前側には、ガラス扉6と前面板7とが夫々開閉自在に枢着されている。
ガラス扉6の外周には、LEDランプなどによる電飾ランプが、略C字状に配置されている。一方、ガラス扉6の下側には、スピーカが配置されている。
前面板7には、発射用の遊技球を貯留する上皿8が装着され、前枠3の下部には、上皿8から溢れ出し又は抜き取った遊技球を貯留する下皿9と、発射ハンドル10とが設けられている。発射ハンドル10は発射モータと連動しており、発射ハンドル10の回動角度に応じて動作する打撃槌によって遊技球が発射される。
上皿8の外周面には、チャンスボタン11が設けられている。このチャンスボタン11は、遊技者の左手で操作できる位置に設けられており、遊技者は、発射ハンドル10から右手を離すことなくチャンスボタン11を操作できる。このチャンスボタン11は、通常時には機能していないが、ゲーム状態がボタンチャンス状態となると内蔵ランプが点灯されて操作可能となる。なお、ボタンチャンス状態は、必要に応じて設けられるゲーム状態である。
上皿8の右部には、カード式球貸し機に対する球貸し操作用の操作パネル12が設けられ、カード残額を3桁の数字で表示する度数表示部と、所定金額分の遊技球の球貸しを指示する球貸しスイッチと、ゲーム終了時にカードの返却を指令する返却スイッチとが設けられている。
図2に示すように、遊技盤5の表面には、金属製の外レールと内レールとからなるガイドレール13が環状に設けられ、その略中央には、背面側に延びる中央開口HOが設けられている。そして、中央開口HOの奥底には、液晶カラーディスプレイで構成された表示装置DISPが配置されている。なお、表示装置DISPでは、予告演出時などに3D画像が表示される。
遊技領域5aの適所には、図柄始動口15、大入賞口16、普通入賞口17、ゲート18が配設されている。これらの入賞口15〜18は、それぞれ内部に検出スイッチを有しており、遊技球の通過を検出できるようになっている。
表示装置DISPは、大当り状態に係わる特定図柄を変動表示すると共に背景画像や各種のキャラクタなどをアニメーション的に表示する装置である。この表示装置DISPは、中央部に特別図柄表示部Da〜Dcと右上部に普通図柄表示部19を有している。そして、特別図柄表示部Da〜Dcでは、大当り状態の招来を期待させるリーチ演出が実行されたり、特別図柄表示部Da〜Dc及びその周りでは、当否結果を不確定に報知する予告演出などが実行される。
普通図柄表示部19は普通図柄を表示するものであり、ゲート18を通過した遊技球が検出されると、普通図柄が所定時間だけ変動し、遊技球のゲート18の通過時点において抽出された抽選用乱数値により決定される停止図柄を表示して停止するようになっている。
図柄始動口15は、左右一対の開閉爪を備えた電動式チューリップで開閉されるように構成され、普通図柄表示部19の変動後の停止図柄が当り図柄を表示した場合には、開閉爪が所定時間だけ、若しくは、所定個数の遊技球を検出するまで開放されるようになっている。
図柄始動口15に遊技球が入賞すると、特別図柄表示部Da〜Dcの表示図柄が所定時間だけ変動し、図柄始動口15への遊技球の入賞タイミングに応じた抽選結果に基づいて決定される停止図柄で停止する。なお、特別図柄表示部Da〜Dc及びその周りでは、一連の図柄演出の間に、予告演出が実行される場合がある。
大入賞口16は、例えば前方に開放可能な開閉板16aで開閉制御されるが、特別図柄表示部Da〜Dcの図柄変動後の停止図柄が「777」などの大当り図柄のとき、「大当りゲーム」と称する特別遊技が開始され、開閉板16aが開放されるようになっている。
大入賞口16の開閉板16aが開放された後、所定時間が経過し、又は所定数(例えば10個)の遊技球が入賞すると開閉板16aが閉じる。このような動作は、最大で例えば15回まで特別遊技が継続され、遊技者に有利な状態に制御される。なお、特別図柄表示部Da〜Dcの変動後の停止図柄が特別図柄のうちの特定図柄であった場合には、特別遊技の終了後のゲームが高確率状態(確変状態)となるという特典が付与される。
図3は、上記した各動作を実現するパチンコ機GMの全体回路構成を示すブロック図である。図中の一点破線は、主に、直流電圧ラインを示している。
図示の通り、このパチンコ機GMは、AC24Vを受けて各種の直流電圧や、電源異常信号ABN1,ABN2や、システムリセット信号(電源リセット信号)SYSなどを出力する電源基板20と、遊技制御動作を中心統括的に担う主制御基板21と、主制御基板21から受けた制御コマンドCMDに基づいてランプ演出・音声演出・画像演出を実行する演出制御基板22と、主制御基板21から受けた制御コマンドCMD’に基づいて払出モータMを制御して遊技球を払い出す払出制御基板23と、遊技者の操作に応答して遊技球を発射させる発射制御基板25と、を中心に構成されている。
図示の通り、主制御基板21が出力する制御コマンドCMDは、コマンド中継基板26と演出インタフェイス基板24を経由して、演出制御基板22に伝送される。また、主制御基板21が出力する制御コマンドCMD’は、主基板中継基板28を経由して、払出制御基板23に伝送される。なお、この実施例では、演出インタフェイス基板24と演出制御基板22とは、互いのコネクタが連結されることで一体化され、全体として演出制御部を構成している。
これら主制御基板21、演出制御基板22、及び払出制御基板23には、Z80CPUや16ビットCPUをコアとするワンチップマイコンや、32ビットCPUを搭載したSOC(system-on-a-chip)を備えるコンピュータ回路がそれぞれ搭載されている。そこで、これらの制御基板21〜23に搭載された回路、及びその回路によって実現される動作を機能的に総称して、本明細書では、主制御部21、演出制御部22、及び払出制御部23と言うことがある。なお、演出制御部22と払出制御部23の全部又は一部がサブ制御部である。
ところで、このパチンコ機GMは、図3の破線で囲む枠側部材GM1と、遊技盤5の背面に固定された盤側部材GM2とに大別されている。枠側部材GM1には、ガラス扉6や前面板7が枢着された前枠3と、その外側の木製外枠1とが含まれており、機種の変更に拘わらず、長期間にわたって遊技ホールに固定的に設置される。一方、盤側部材GM2は、機種変更に対応して交換され、新たな盤側部材GM2が、元の盤側部材の代わりに枠側部材GM1に取り付けられる。なお、枠側部材1を除く全てが、盤側部材GM2である。
図3の破線枠に示す通り、枠側部材GM1には、電源基板20と、払出制御基板23と、発射制御基板25と、枠中継基板32とが含まれており、これらの回路基板が、前枠3の適所に各々固定されている。一方、遊技盤5の背面には、主制御基板21、演出制御基板22が、表示装置DISPやその他の回路基板と共に固定されている。そして、枠側部材GM1と盤側部材GM2とは、一箇所に集中配置された接続コネクタC1〜C4によって電気的に接続されている。
電源基板20は、接続コネクタC2を通して、主基板中継基板28に接続され、接続コネクタC3を通して、電源中継基板30に接続されている。そして、主基板中継基板28は、電源基板20から受けた電圧異常信号ABN1、バックアップ電源BAK、DC12V、DC32Vを、そのまま主制御部21に出力している。なお、払出制御基板23は、主制御部21が受けると同様の電源異常信号ABN2や、バックアップ電源BAKを、その他の電源電圧と共に直接的に受けている。
電源中継基板30は、電源基板20から受けたシステムリセット信号SYSや、交流及び直流の電源電圧を、演出インタフェイス基板24に出力している。なお、演出インタフェイス基板24は、受けたシステムリセット信号SYSを、そのまま演出制御部22に出力している。
電源基板20には、交流電源の投入と遮断とを監視する電源監視部MNTが設けられている。電源監視部MNTは、交流電源が投入されたことを検知すると、所定時間だけシステムリセット信号SYSをLレベルに維持した後に、これをHレベルに遷移させる。また、電源監視部MNTは、交流電源の遮断を検知すると、電源異常信号ABN1,ABN2を、直ちにLレベルに遷移させる。なお、電源異常信号ABN1,ABN2は、電源投入後に速やかにHレベルとなる。
図4は、電源基板20の電源回路を示す回路図である。この電源回路は、演出インタフェイス基板24に供給される直流電圧を生成する第二電源部SDと、主制御部21と払出制御部23に供給される直流電圧を生成する第一電源部FRと、電源投入と電源遮断とを監視する電源監視部MNTと、過大な交流電圧を受けるとグランドラインを遮断する電源遮断部CUTと、を有して構成されている。なお、払出制御部23に供給される他の直流電圧(DC32V)や、演出インタフェイス基板24に供給される他の直流電圧(DC32V,DC15V)については、図示を省略している。
<第二電源部SD>
第二電源部SDは、ダイオードD1〜D4による全波整流回路と、平滑コンデンサC1と、直流電圧VB(12V)を生成するDC−DCコンバータと、直流電圧Vcc(5V)を生成するDC−DCコンバータと、平滑コンデンサC2,C3とを有して構成されている。2つのDC−DCコンバータは、何れもチョッパ型であり、平滑コンデンサC1を共通的に受けて動作している。第二電源部SDで生成された直流電圧は、演出インタフェイス基板24に伝送された後、適宜に降圧されて、演出インタフェイス基板24と、演出制御基板22とで使用される。
<第一電源部FR>
第一電源部FRは、ダイオードD1,D2,D5,D6による全波整流回路と、平滑コンデンサC4と、直流電圧VB(12V)を生成するDC−DCコンバータと、直流電圧Vcc(5V)を生成するDC−DCコンバータと、平滑コンデンサC5,C6と、ダイオードD7及びコンデンサCbとで構成された蓄電部BKとを有して構成されている。この2つのDC−DCコンバータも、チョッパ型であり、平滑コンデンサC4を共通的に受けて動作している。また、蓄電部BKで生成された直流電圧は、主制御部21と払出制御部23のワンチップマイコンの内蔵RAMのデータを保持するバックアップ電源BAKとなる。
第一電源部FRで生成された直流電圧VBと直流電圧Vccは、主制御部21と払出制御部23だけに供給されており、演出インタフェイス基板24に伝送される直流電圧とは配線上で区別されている。そのため、主制御部21や払出制御部23が、他のサブ制御部22,23と電源ラインを経由して接続されることがなく、高周波ノイズなどの伝送が阻止される。
なお、主制御部21や払出制御部23での総電流は、最大でも、電源電圧VBラインで600mAを超えることがなく、また、電源電圧Vccラインでも300mAを超えることがないので、各電源電圧VB,Vccの給電ラインの電圧降下は、全く問題にならない。
<電源遮断部CUT>
電源遮断部CUTは、交流電圧AC24Vから所定レベルの直流電圧を生成する整流部51と、交流電源ラインLN1,LN2の過電圧時にON動作する交流監視部52と、交流監視部52のON動作に対応してOFF動作するスイッチ回路53と、を有して構成されている。
整流部51は、交流電源ラインLN2から交流電圧を受けるダイオードD12と、電流制限抵抗R1と、コンデンサC8及びツェナーダイオードZD2の並列回路と、が直列に接続されて構成されている。そして、正常時には、コンデンサC8の両端電圧は、ツェナーダイオードZD2の降伏電圧に一定化されている。
スイッチ回路53は、大電流容量のMOSトランジスタQ2と、コンデンサC8に並列接続されたバイアス抵抗R5と、を有して構成されている。ここで、トランジスタQ2は、コンデンサC8の両端電圧が所定レベルである限り、ON状態であって、遊技機の全回路のグランドラインとフレームグランドFGとを接続状態にしている。
交流監視部52は、交流電源ラインLN1,LN2に接続された2つのダイオードD8,D9と、ダイオードD8,D9の接続点に接続されたツェナーダイオードZD1と、バイアス抵抗R2,R3及びコンデンサC7の並列回路と、バイアス抵抗R3の両端電圧が上昇するとON動作するトランジスタQ1と、トランジスタQ1の電流制限抵抗R4とを有して構成されている。
ツェナーダイオードZD1は、通常は、OFF状態であるが、交流電源ラインLN1,LN2に過大な交流電圧(例えばAC100V)が加わると、降伏状態となる。この降伏状態では、バイアス抵抗R3の両端電圧が上昇してトランジスタQ1がON動作することでコンデンサC8の両端電圧が降下する。
すると、それまでON状態であったトランジスタQ2がOFF遷移することで、回路グランドとフレームグランドFGとが非接続となって、全ての遊技機の全ての電源電圧が遮断状態となる。電源遮断部CUTの動作内容は、以上の通りであり、交流電源ラインLN1,LN2の両端電圧が限界値を超えると、全ての遊技機の全ての電源電圧を一気に遮断する機能を果たしている。
<電源監視部MNT>
次に、電源監視部MNTについて説明する。電源監視部MNTは、交流電源ラインLN1,LN2の電圧レベルを監視する給電監視部54と、電源電圧Vccを受けて比較基準電圧Voを出力する比較電圧部55と、給電監視部54と比較電圧部55の出力電圧を対比して電源異常を検出する異常検出部56と、標準レベルのシステムリセット信号SYSを生成する電源リセット部57と、を有して構成されている。なお、本明細書では、電源電圧が公称値5Vの回路素子(又は回路)が、正常に認識する電圧レベルを標準レベルと称し、電源電圧5V未満(公称値)の回路素子(又は回路)が、正常に認識する低圧レベルとは区別している。
[給電監視部54]
給電監視部54は、交流電源ラインLN1,LN2に接続された2つのダイオードD10,D11と、ダイオードD10,D11の接続点に接続された抵抗R6及びツェナーダイオードZD3の直列回路と、ツェナーダイオードZD3に並列接続されたダイオードD13及び平滑コンデンサC9の直列回路と、平滑コンデンサC9に並列接続された抵抗R7,R8の直列回路と、抵抗R8を短絡させるコンパレータA3と、を有して構成されている。
この実施例では、ツェナーダイオードZD3の降伏電圧が5.1V程度であり、ツェナーダイオードZD3は、電流制限抵抗R6を通して、交流電圧AC24Vを受けている。そのため、交流入力電源の給電状態であれば、平滑コンデンサC9の両端電圧は、4.5V程度の一定値となる。また、2つの抵抗R7,R8は、その抵抗値がR8>>R7に設定されているので、抵抗R8の両端電圧Vsは、正常レベルの交流電圧AC24Vに対応して約4.5Vとなる。但し、コンパレータA3の出力がLレベルであると、これに対応して、抵抗R8の両端電圧Vsは、ほぼ0Vとなる。なお、抵抗R7は、Lレベル出力時のコンパレータA3に対する電流制限抵抗として機能する。
コンパレータA3は、他のコンパレータA1〜A4と共に、QUADコンパレータ(NJM2901)で構成されている。このQUADコンパレータには、4つのコンパレータA1〜A4が内蔵されているが、何れのコンパレータA1〜A4も、オープンコレクタタイプとなっている(図5(f)参照)。
そして、コンパレータA3のマイナス端子には、比較電圧部55の出力電圧Voが供給され、プラス端子には、定常状態では2.8V程度の比較電圧V1が供給されている。この比較電圧V1は、第一電源部FRが生成した二種類の電源電圧Vcc,VBを抵抗で分圧して生成されている。
後述するように、電源投入時には、比較電圧部55の出力電圧Voは、レベル上昇中の電源電圧Vccに対応したレベルとなる(Vo=Vcc−Vf−Δ)。なお、VfとΔは、ダイオードD14,D15と、抵抗R9における電圧降下である。
一方、比較電圧V1は、電源電圧Vcc,VBを分圧して生成されるので、電源投入直後は、比較電圧部55の出力電圧Voより低い。そのため、電源投入直後の過渡状態では、コンパレータA3の出力がLレベルとなって抵抗R8を短絡させ、その結果、給電監視部54の出力電圧Vsがほぼ0Vとなる。
一方、電源電圧Vcc,VBが所定レベルに達した定常状態では、比較電圧V1が、2.8V程度となる一方、比較電圧部55の出力電圧Voは2.5V程度に一定化される。つまり、コンパレータA3は、[プラス入力への入力電圧]>[マイナス端子への入力電圧]の大小関係となるが、コンパレータA3の出力部がオープンコレクタであり(図5(f)参照)、図4に示す通り、その出力端子がプルアップされていないので、コンパレータA3の出力部は開放状態となって他の回路に影響を与えない。
以上説明した給電監視部54の動作を整理すると以下の通りである。
(1)交流電圧AC24Vが投入された電源投入直後は、抵抗R8がコンパレータA3の出力部によって短絡されるので、抵抗R8の両端電圧Vsがほぼ0Vとなる。
(2)その後、電源電圧Vccが正常レベル近くまで増加すると、コンパレータA3の出力部が開放状態となるので、抵抗R8の両端電圧Vsは、ツェナーダイオードZD3の両端電圧に対応してほぼ4.5Vとなる。
(3)交流電圧AC24Vが遮断状態となると、抵抗R8の両端電圧Vsは、素早く0Vまで降下する。しかし、交流電圧AC24Vが遮断されても、しばらくは、電源電圧Vcc,VBが所定レベルを維持するので、コンパレータA3の出力部は、そのまま開放状態を維持する。
[比較電圧部55]
比較電圧部55は、第一電源部FRと第二電源部SDとで別々に生成された2つの電源電圧Vcc,Vccを各アノード端子に受けるダイオードD14,D15と、ダイオードD14,D15の各カソード端子に接続される電流制限抵抗R9と、電圧生成部GNと、が直列に接続されて構成されている。この実施例では、電圧生成部GNとして、シャントレギュレータ(HA17431:RENESAS)を使用している。
このシャントレギュレータは、アノード端子Aとカソード端子Kと比較端子REFとを有するが、アノード端子Aとカソード端子Kとを接続した図示の状態では、ツェナーダイオードと同等に機能して、降伏動作時には、アノード・カソード端子間に一定の基準電圧Vo(2.5V)を出力する(図5(e)参照)。一方、非降伏動作時には、内部回路がOFF動作して、アノード・カソード端子間が開放状態となる。
したがって、電源投入時、電源電圧Vccが所定レベルに達するまでは、比較電圧部55(電圧生成部GN)の出力電圧Voは、レベル上昇中の電源電圧Vccに対応して、Vo=Vcc−Vf−Δとなる。一方、電源電圧Vccが所定レベルに達すると、比較電圧部55の出力電圧Voは、一定の比較基準電圧(2.5V)となる。
[異常検出部56]
異常検出部56は、主制御部21への電源異常信号ABN1を生成するコンパレータA1と、払出制御部23への電源異常信号ABN2を生成するコンパレータA2と、各コンパレータA1,A2のプルアップ抵抗R10,R11と、各コンパレータA1,A2の入力端子間に接続されたコンデンサCsとを有して構成されている。各コンパレータA1,A2のマイナス端子には、比較電圧部55の出力電圧Voが供給され、プラス端子には、抵抗R8の両端電圧Vsが供給されている。なお、コンパレータA1,A2は、先に説明したQUADコンパレータ(NJM2901)に内蔵されている。
図示を省略しているが、コンパレータA1,A2から出力される電源異常信号ABN1、ABN2は、主制御部21と払出制御部23の入力ポートに供給されている。そして、各入力ポートの入力端子とグランド間には、適宜なコンデンサを接続されており、各入力ポートが、適宜な抵抗を経由して電源異常信号を受けることで耐ノイズ性を確保している。また、適宜なソフトウェア処理によって、スパイクノイズの影響を排除している。
給電監視部54が前記した(1)〜(3)の通りに動作するので、これに対応して異常検出部56は、以下の通りに動作する。
(1)交流電圧AC24Vが投入された電源投入直後は、抵抗R8の両端電圧Vsがほぼ0Vであり、一方、比較電圧部55の出力電圧Voは、レベル上昇中の電源電圧Vccに対応して、Vcc−Vf−Δとなる。そのため、コンパレータA1,A2が出力する電源異常信号ABN1,ABN2は、レベル変動することなく、Lレベルを安定的に維持する。図5(c)のタイミングT0〜T1は、この電源投入時の安定したLレベル状態を示している。
(2)その後、レベル上昇中の電源電圧Vccが所定レベルを超えた後は、比較電圧部55の出力電圧Voは、2.5Vを維持する。また、電源電圧Vccが正常レベル近くまで増加すると、コンパレータA3の出力部が開放状態となるので、抵抗R8の両端電圧Vsは、ツェナーダイオードZD3の両端電圧に対応してほぼ4.5Vとなる。
そのため、コンパレータA1,A2が出力する電源異常信号ABN1,ABN2がHレベルに遷移して、その後は、正常状態を示すHレベルを定常的に維持する。図5(c)のタイミングT1以降は、正常レベルの電源異常信号ABN1,ABN2を示している。
(3)その後、何らかの理由で交流電圧AC24Vが遮断状態となると、抵抗R8の両端電圧Vsは、素早く0Vまで降下する。しかし、電源電圧Vcc,VBは、しばらく所定レベルを維持するので、コンパレータA3や比較電圧部55は、それまでの動作を維持する。
したがって、図5(a)のタイミングT2において、交流電圧AC24Vが遮断状態になると、コンパレータA1,A2が出力する電源異常信号ABN1,ABN2は、直ちに、HレベルからLレベルに遷移して異常事態の発生を示す。なお、主制御部21と払出制御部23では、この電源異常信号ABN1,ABN2を定時的にチェックしており、電源異常信号ABN1,ABN2がLレベルに遷移したことを確認すると、直ちにバックアップ処理を開始するようになっている。
[電源リセット部57]
次に、コンパレータA4で構成された電源リセット部57について説明する。図示の通り、コンパレータA4の出力端子には、プルアップ抵抗R12が接続され、出力端子とプラス端子との間には、抵抗RfとコンデンサCfの直列回路が接続されている。また、コンパレータA4のマイナス端子には、比較電圧部55の出力電圧Voが供給され、プラス端子には、定常状態では2.95V程度の比較電圧V2が供給されている。この比較電圧V2は、第二電源部SDが生成した二種類の電源電圧Vcc,VBを抵抗で分圧して生成されている。
電源リセット部57は、上記の通りに構成されているので、以下の通りに動作する。
(1)交流電圧AC24Vが投入された電源投入直後は、比較電圧部55の出力電圧Voは、レベル上昇中の電源電圧Vccに対応して、Vcc−Vf−Δとなる。一方、比較電圧V2は、第二電源部SDの電源電圧Vcc,VBを分圧して生成されるので、レベル上昇中の出力電圧Voより低い。そのため、このような過渡状態では、コンパレータA4から出力されるシステムリセット信号SYSがLレベルとなる(図5(a)参照)。
(2)その後、レベル上昇中の電源電圧Vccが所定レベルに達した後は、比較電圧部55の出力電圧Voは、2.5Vを維持する。また、電源電圧Vcc,VBが正常レベル近くまで増加すると、比較電圧V2が定常値2.95Vに近づく。そのため、コンパレータA4から出力されるシステムリセット信号SYSは、適宜なタイミングで、LレベルからHレベルに遷移する。このシステムリセット信号SYSは、電源電圧5Vで動作する回路や回路素子をリセットする電圧レベルである。
このようにして生成されたシステムリセット信号SYSは、演出インタフェイス基板24を経由して、演出制御部22に伝送される。そして、演出制御部22に設けられた遅延回路などを経由してCPUやその他のICを適宜な順番で電源リセットしている。
以上の通り、システムリセット信号SYSは、直流電圧に基づいて生成されているので、交流電源が瞬間的に停止される瞬停状態では、システムリセット信号SYSがアクティブレベルに変化することはない。したがって、交流電源が遮断されても、直流電源が維持されている限り、演出制御部22は、それまでの動作を継続する。
図3に戻って回路構成を説明すると、主制御部21は、主基板中継基板28を経由して、払出制御部23に制御コマンドCMD’を送信する一方、払出制御部23からは、遊技球の払出動作を示す賞球計数信号や、払出動作の異常に係わるステイタス信号CONや、動作開始信号BGNを受信している。ステイタス信号CONには、例えば、補給切れ信号、払出不足エラー信号、下皿満杯信号が含まれる。動作開始信号BGNは、電源投入後、払出制御部23の初期動作が完了したことを主制御部21に通知する信号である。
ここで、主制御部21と払出制御部23のワンチップマイコンは、電源電圧5Vで動作しており、制御コマンドCMD,CMD’やその他の信号は、理論値0Vか理論値5Vか何れかである標準レベルの電圧値である。
また、主制御部21は、遊技盤中継基板29を経由して、遊技盤5の各遊技部品に接続されている。そして、遊技盤上の各入賞口16〜18に内蔵された検出スイッチのスイッチ信号を受ける一方、電動チューリップなどのソレノイド類を駆動している。ソレノイド類や検出スイッチは、主制御部21から給電された電源電圧VB(12V)で動作するよう構成されている。そして、図柄始動口15への入賞状態などを示す各スイッチ信号は、電源電圧VB(12V)と電源電圧Vcc(5V)とで動作するインタフェイスICにおいて、標準レベルのスイッチ信号に変換された上で、主制御部21に伝送される。
この実施例では、RAMクリア信号CLRは、主制御部21で生成されて主制御部21と払出制御部23のワンチップマイコンに伝送されている。ここで、RAMクリア信号CLRは、各制御部21,23のワンチップマイコンの内蔵RAMの全領域を初期設定するか否かを決定する標準レベルの信号であって、係員が操作する初期化スイッチSWのON/OFF状態に対応した値を有している。
枠中継基板32は、音声演出を実現するスピーカ群や、ランプ演出を実現するLED群に接続されている。また、チャンスボタンからのスイッチ信号を受けている。この枠中継基板32は、接続コネクタC4を通して、遊技盤側の枠中継基板31に接続され、更に、演出インタフェイス基板24を経由して、演出制御部22に接続されている。
演出制御部22は、主制御部21が出力する標準レベルの制御コマンドCMDに基づいて、互いに同期した音声演出とランプ演出と画像演出とを実行している。ここで、スピーカ群を駆動する音声信号AOR,AOLは、演出インタフェイス基板24に搭載されたデジタルアンプ62(図7)で増幅され、枠中継基板31→枠中継基板32を経由してスピーカに供給される。
また、LED群を駆動するランプ信号は、演出制御部22→演出インタフェイス基板24のバッファ回路61(図7)→ランプ接続基板63を経由して伝送される。なお、枠側のLED群を駆動する場合には、演出制御部22→演出インタフェイス基板24→枠中継基板31→枠中継基板32を経由して伝送される。
また、演出インタフェイス基板24は、電源中継基板30を経由して電源基板20から受けたDC32Vをインバータ基板64に伝送している。そして、インバータ基板64に搭載されているインバータ回路は、DC32Vに基づいて高電圧の交流電圧を生成し、液晶ディスプレイDISPのバックライト部65に供給している。バックライト部65は、冷陰極線管で構成され、大型の液晶ディスプレイDISPを鮮やかに明るく発光させることで、迫力ある図柄演出を実現している。
次に、演出制御基板22の構成については図7に基づいて説明する。図7に示すように、演出制御部22は、各種の演出動作を制御するコンピュータ回路(制御プロセッサ)と、表示装置DISPを駆動するコンピュータ回路(画像プロセッサ)とを内蔵する複合チップ41(SOC:system-on-a-chip)を中心に構成されている。
実施例の複合チップ41は、TC8520XBG(TOSHIBA )の単一チップで構成されており、組込み用プロセッサ(制御プロセッサ)として、ARM1176(ARM社Advanced RISC Machines)を内蔵すると共に、3次元画像演出用の3D−グラフィックスプロセッサ(画像プロセッサ)を内蔵している。そして、制御プロセッサは、主制御部21が出力する制御コマンドCMDに基づいて、音声演出・ランプ演出・画像演出などの演出制御処理を統一的に実行している。
また、演出制御部22は、複合チップ41の動作用の直流電圧を生成する電源部42と、演出インタフェイス基板24から受ける標準レベルのシステムリセット信号SYSなどに基づいて複合チップ41や他のICをリセットするリセット部43と、画像演出・音声演出・ランプ演出用の制御プログラムや必要な管理データ(演出シナリオなど)を記憶する制御用ROM44と、グラッフィクスデータをデータ圧縮状態で記憶するCGROM45aと、音声信号の元データである圧縮音声データを記憶する音声用メモリ(音声ROM)45bと、画像出力用のVRAM(Video RAM )46と、複合チップ41から出力されるRGB信号を差動信号に変換するLVDSインタフェイス部47(low voltage differential signaling)と、を有して構成されている。
図7に示す通り、演出制御基板22の複合チップ41には、主制御基板21から出力された標準レベルの制御コマンドCMDとストローブ信号(割込み信号)STBが、演出インタフェイス基板24の入力バッファ60を経由して供給されている。
図6は、入力バッファ60の回路構成を図示したものであり、標準レベルの制御コマンド及びストローブ信号は、磁性材料としてフェライト(ferrite )を使用するインダクタZと、抵抗R及びコンデンサCによるLPF回路とを経由して、バッファ回路BUFに供給されている。バッファ回路BUFは、例えば、シュミットトリガバッファ(SN74LV8151)で構成され、T/Cバー端子がHレベル、OEバー端子がLレベルに固定されていることで、制御コマンドCMDとストローブ信号STBは、論理レベルを維持した状態で演出制御部22に伝送される。
但し、バッファ回路BUFは、電源電圧3.3Vで動作しており、T/C端子やOE端子にも、低圧レベルの電圧が供給されている。そのため、制御コマンドCMDとストローブ信号STBの電圧レベルは、バッファ回路BUFにおいて、標準レベルから低圧レベルに降下される。なお、図6の回路構成において、インダクタZは、0〜1000MHzの周波数帯域において、120Ω程度のインピーダンスを有する耐ノイズ部品である。ここで、インピーダンス値は、周波数範囲0〜1000MHzにおいて、120Ω±30%の値にほぼ一定化されており、遊技機に発生する可能性のある全ての高周波イズに同等の効果を発揮するよう構成されている。一方、抵抗R=1KΩ、C=1000pF程度に設定することで、最も、懸念される周波数帯域について、インダクタZと共に、高周波ノイズの侵入を効果的に阻止している。
以上の通り、実施例では、主制御部21から演出インタフェイス基板24に、標準レベルの制御コマンドCMD及びストローブ信号STBを伝送することでノイズマージンを確保し、また、入力バッファ60の入力側に、インダクタZ、抵抗R、及びコンデンサCを配置することで、高周波ノイズなどによる誤動作の可能性を大幅に低減している。
ところで、入力バッファ60でレベル変換された割込み信号STBは、制御プロセッサ70の割込み端子INT(不図示)に供給され、ストローブ信号STBによって起動される受信割込み処理によって、演出制御部22は、レベル変換後の低圧レベルの制御コマンドCMDを取得することになる。
演出制御部22が取得する制御コマンドCMDには、(1)異常報知その他の報知用制御コマンドなどの他に、(2)図柄始動口への入賞に起因する各種演出動作の概要を特定する制御コマンド(変動パターンコマンド)が含まれている。ここで、変動パターンコマンドで特定される演出動作の概要には、演出開始から演出終了までの演出総時間と、大当り抽選における当否結果とが含まれている。なお、これらに加えて、リーチ演出や予告演出の有無などを含めて変動パターンコマンドで特定しても良いが、この場合でも、演出内容の具体的な内容は特定されていない。
そのため、演出制御部22では、変動パターンコマンドCMDを取得すると、これに続いて演出抽選を行い、取得した変動パターンコマンドで特定される演出概要を更に具体化している。例えば、リーチ演出や予告演出について、その具体的な内容が決定される。そして、決定された具体的な遊技内容にしたがい、LED群などの点滅によるランプ演出や、スピーカによる音声演出や、表示装置DISPでの画像演出を実行する。
図8は、複合チップ41の内部構成を、これに接続される他のICと共に図示した構成図である。先に説明した通り、実施例の複合チップ41は、制御プロセッサ70(ARM1176)と、3Dグラフィックスプロセッサ71とが内蔵されて構成されている。そして、複合チップ41の内部は、ROMなどの外部装置との入出力動作を実現する3.3V電源ラインと、プロセッサ類を動作させる1.2V電源ラインと、SDRAM(Dynamic Random Access Memory)で構成されたVRAM46に対してDDR(Double Data Rate)動作を実現する1.8V電源ラインと、内蔵DRAM76(Embedded DRAM )用の2.5V電源ラインとに分離されて、低電力での高速化を実現している。
図示の通り、複合チップ41は、ROMインタフェイス部73を経由して、3.3Vを電源電圧とする制御用ROM44とデータ用ROM(CGROM45a、音声ROM45b)に接続されている。ここで、制御用ROM44は、23ビット長のアドレス信号に基づき、データ長32ビット単位にアクセスされ、8,388,608×16×2ビット長の記憶容量を有している。また、データ用ROM45は、26ビット長のアドレス信号に基づき、データ長32ビット単位でアクセスされ、4Gビット×4ビット長の記憶容量を有している。
一方、複合チップ41は、DDR2インタフェイス部74を経由して、1.8Vを電源電圧とするVRAM46に接続されている。VRAM46は、データ長32ビット単位にアクセスされ、4Gビット長の記憶領域を有している。ここで、VRAM46に対するアドレス信号線及びデータ信号線は、制御用ROM44やデータROM45に対するアドレス信号線及びデータ信号線とは別個に設けられており、電源電圧の相違は問題にならず、究極的な低電力化を実現している。
また、制御プロセッサ70は、パラレルポート79を経由して、演出インタフェイス基板24の入力バッファ60から転送される、低圧レベルの制御コマンドCMD及びストローブ信号STBを受けている。一方、グラフィックスプロセッサ71は、内蔵DRAM76に接続されて動作して、LCDインタフェイス部77を経由してRGB信号や同期信号をLVDS部47に出力している。LCDインタフェイス部77から出力されるRGB信号は、制御コマンドCMDに基づく画像演出を演出シナリオに基づいて実現するものである。
演出シナリオは、表示装置DISPに図柄を変動表示して実現される画像演出と、スピーカSPを駆動して実現される音声演出と、装飾ランプやLEDランプを駆動して実現されるランプ演出とを、一括して時間管理する進行テーブルである。そのため、この演出シナリオは、画像演出用フィールド、音声演出用フィールド、ランプ演出用フィールドに区分されており、各フィールドには、CGROM45aから読み出すべき画像データと、音声ROM45bから読み出すべき一群の音声データと、制御ROM44のデータ領域から生み出すべきランプデータとが、各演出の開始時刻に対応して特定されている。
そして、制御プロセッサ70は、演出シナリオに規定されている演出開始時刻に達すると、該当する画像演出、音声演出、ランプ演出の実行を開始する。具体的には、画像演出は、グラフィックスプロセッサ71に必要な指示データを出力することで実行され、音声演出は、音声ROM45に格納されている音声データを適宜に読み出し、オーディオインタフェース部78を経由して、デジタルアンプ62(図7)に音声信号を出力することで実行される。また、ランプ演出は、制御ROM44のデータ領域から適宜に読み出したランプデータを、パラレルポート79を経由してバッファ回路61(図7)に出力することで実行される。なお、ランプデータは、バッファ回路61からランプ接続基板63に転送され、ランプ接続基板63でシリアルデータに変換されて各ランプの駆動ICに伝送される。
その他、複合チップ41には、GPIO部(General Purpose I/O )80、UART部(Universal Asynchronous Receiver Transmitter )81、SPI部(Serial Peripheral Interface )82が設けられているが、本実施例では、特に使用していない。
図9は、複合チップ41と、演出インタフェイス基板24との接続関係や、複合チップ41の動作を説明する図面である。図示の通り、演出インタフェイス基板24から伝送される低圧レベルの制御コマンド(8ビット長)CMD及びストローブ信号(1ビット長)STBは、コネクタCN1を経由して演出制御基板22に供給される。
全9ビットの信号は、9個のプルアップ抵抗PUで3.3Vにプルアップされた状態で、9個のコンデンサC及び抵抗Rで構成されたフィルタ回路CRを各々経由して、3状態バッファBUF1に供給されている。なお、3状態バッファBUF1は、電源電圧を3.3Vとするシュミットトリガタイプである。
ここで、フィルタ回路の時定数C*Rは、0.5〜2.0μS程度に設定されており、全9ビットの信号エッジを、それほど鈍らせることなく、伝送路で重畳した高周波ノイズを排除している。また、3状態バッファBUF1は、シュミットトリガタイプであるので、CR回路で鈍った波形は正しく整形され、複合チップ41のパラレルポート79に正しく認識される。
図9の中段に示す通り、直流電圧12V,5Vと、標準レベルのシステムリセット信号SYSは、演出インタフェイス基板24を経由して演出制御基板のコネクタCN2に伝送される。ここで、直流電圧12Vは、複合チップ41を定常的に空冷しているファンモータFANに供給されている。そして、ファンモータFANが回転していることを示すセンサ出力は、直流電圧3.3Vにプルアップされている抵抗R20と、フィルタ回路を構成する抵抗R21及びコンデンサC21を経由して低圧レベルに降下される。そして、3.3Vを電源電圧とする2つのNOTゲートG1,G2を経由して、センサ信号FNPLSとして、複合チップ41の入力ポートに供給される。
本実施例では、単一の複合チップ41を使用して、組込みプロセッサ70による画像制御・音声制御・ランプ制御動作と、グラッフィクスプロセッサ71のよる画像信号の生成とを実行しており、しかも、その他の多数の回路素子を単一のチップに集積しているので、各部が如何に低い電源電圧で動作しているとはいえ、電力損の総和は少なくない。そのため、万一、ファンモータFANが回転を停止すれば、複合チップ41の動作を停止するべくセンサ信号FNPLSを常時監視している。なお、複合チップ41の動作を停止することなく、画像、音声、ランプなどにより異常状態である旨を報知するようにしてもよい。
ところで、演出インタフェイス基板24からコネクタCN2に供給された標準レベルのシステムリセット信号SYSは、抵抗R23及びコンデンサC22よるフィルタ回路を経由して、NOTゲートG3に供給されている。なお、抵抗R23は、抵抗R22によって直流電圧5Vにプルアップされている。そして、NOTゲートG3の出力は、次段のNOTゲートG4で論理レベルを変換した後、電源シーケンサ83の制御端子ENに供給される。なお、制御端子ENは、プルアップ抵抗R24で直流電圧5Vにプルアップされている。
電源シーケンサ83は、例えば、LM3881(Power Sequencer )で実現され、制御端子ENの電圧が立上ると、それから一定時間t1後に第1制御信号EN1が立上り、これにt2遅れて第2制御信号EN2が立上るよう構成されている。一方、制御端子ENの電圧が立下ると、所定時間t3後に、先ず第2制御信号EN2が立下り、これにt4遅れて第1制御信号EN1が立下るよう構成されている(図9(b)参照)。
ここで、第1制御信号EN1は、DC/DCコンバータ84の制御端子に供給されて、コンバート動作を制御している。このDC/DCコンバータ84は、演出インタフェイス基板から受けた直流5Vを、直流1.2Vに変換する回路であり、変換された直流1.2Vは、複合チップ41の組込みプロセッサ70の電源電圧として、複合チップ41に供給されている。
一方、第1制御信号EN2は、DC/DCコンバータ85,87と電圧レギュレータ86の制御端子に各々供給されて、各素子の動作を許可又は禁止している。ここで、DC/DCコンバータ85とDC/DCコンバータ86は、演出インタフェイス基板から受けた直流5Vを、各々、直流1.8Vと直流3.3Vに変換している。そして、直流1.8Vは、DDR2インタフェイス部74の電源電圧として、複合チップ41に供給され、直流3.3Vは、ROMインタフェイス部73の電源電圧として複合チップ41に供給され、CGROM45や制御用ROM45の電源電圧としても活用される。また、電圧レギュレータ86は、演出インタフェイス基板から受けた直流5Vを、直流2.5Vに降下させて、降下した直流2.5Vは、内蔵DRAM76の電源電圧として、複合チップ41に供給される。
このように、本実施例では、電源シーケンサ83によって、複合チップ41に必要な各電源電圧について、電源起動順序と電源遮断順序とが制御されている。具体的には、複合チップ41に、先ず、電源電圧1.2Vが供給されて組込みプロセッサ70が起動され、その後に他の回路が起動される。一方、電源遮断時には、組込みプロセッサ70の直流電源1.2Vが最後まで維持される(図9(b)参照)。
以上、電源電圧の起動順序と遮断順序を説明したが、これらを制御する制御信号ENは、負論理ORゲートG5の入力端子にも供給されている。ここで、負論理ORゲートG5の電源電圧は3.3Vであるが、他の入力端子には、ウォッチドッグタイマWDTの異常信号ERRが供給されている。ウォッチドッグタイマWDTには、複合チップ41から定期的にクリアパルスWDCLRが受けるが、プログラムの暴走などによってクリアパルスWDCLRが途絶えると、ウォッチドッグタイマWDTは、Lレベルの異常信号ERRを出力するよう構成されている。
そのため、システムリセット信号SYSがLレベルであるか、或いは、異常信号ERRがLレベルであると、負論理ORゲートG5の出力もLレベルとなる。そして、このLレベルの信号は、2つのNOTゲートG6,G7を経由して、制御ROM44やCGROM45のリセット端子に供給されている。また、NOTゲートG7の出力は、NOTゲートG8,G9を更に経由して、複合チップ41のリセット端子SYSRESETに供給されている。
ここで、制御信号ENが5個のゲートG5〜G9を通過することで生じる遅延時間τは、制御信号ENに対する第2制御信号EN2の遅延時間t1+t2より長く設定されている(図9(c)参照)。そのため、第1制御信号EN1に制御される電源電圧1.2Vの起動時から、複合チップ41へのリセット信号SYSRESETの立上り時までに、必要なリセット時間TM(=τ−t1)が確保され、且つ、全ての電源電圧が安定してからの余裕時間(τ−t1−t2)も確保されるので、組込みプロセッサ70やグラフィックスプロセッサ71の正常な起動動作が担保される(図9(c)参照)。
また、電源遮断時(図5のT2)に、システムリセット信号SYSが降下しても(図5のT3)、組込みプロセッサ70の電源電圧(=1.2V)は、他の電源電圧より長く維持されるので、停電時などでも表示装置DISPの異常画面などの出現が防止される。なお、全ての電源電圧1.2V〜3.3Vは、電源用コンデンサの充電によって所定時間維持されるので、電源遮断時にも組込みプロセッサ70やグラフィックスプロセッサ71は正常にリセットされる。
図10は、複合チップ41と、CGROM45と、制御用ROM44と、各メモリICのチップセレクト信号を生成するアドレスデコード部50との接続関係を示す回路ブロック図である。図示の通り、複合チップ41は、29ビット長のアドレスバスと、32ビット長のデータバスとを経由して各ICに接続されている。なお、図10は、3.3V系のメモリ回路だけを図示しており、1.8V系のアドレスバスやデータバスで接続されるVRAM46については、図示していない。
先ず、制御用ROM44について説明すると、実施例の制御ROMは、3.3Vの電源電圧で動作するフラッシュメモリIC(MX29GL128EHMC−90G)2個で構成されている。このメモリICは、図11(a)の内部構成を有しており、8,388,608×16ビット長の記憶容量を有している。また、チップセレクト信号CEがLレベルである状態で、出力制御信号OEをLレベルにすると、23ビット長アドレス信号(A0〜A22)で選択された16ビット長のデータ読出し動作が実現される(図11(b)参照)。
そこで、本実施例では、アドレスデコード部50の一部を構成する論理回路51に、複合チップ41の制御信号と、デコーダ52の出力信号と、3ビット長のアドレス信号A23〜A25とを供給して、図11(b)に示すチップセレクト信号CEと出力制御信号OEとを生成している。なお、論理回路51の電源電圧は3.3Vである。
ここで、通常の回路構成なら論理回路51の出力を、そのままフラッシュメモリICに供給するが、本実施例では、集合抵抗ARY0を経由して、チップセレクト信号CEと出力制御信号OEとを供給している。このような構成は、電源電圧が低いメモリIC(電源電圧=3.3V)を、高速でアクセスした場合に、制御信号CE,OEの信号ラインの長さに拘らず、制御信号CE,OEのリンギングを抑制するためであり、2本の信号ラインに50〜100Ω程度の集合抵抗ARY0が各々ダンピング抵抗として直列接続される。したがって、本実施例によれば、複雑高度な画像演出を実行するべく、制御用ROM44を高速アクセスしても、電源電圧の低さに拘らず、制御プログラムの読出しミスなどの誤動作が生じない。
逆に、本実施例の構成を採らない場合には、信号ラインのL成分と、信号ラインとグランド間の浮遊容量成分とによって、信号立上り時に、高レベルのアンダーシュートが生じて、HレベルのデータをLレベルに誤認識するおそれがある。なお、信号ラインとグランドとの間に平滑コンデンサを配置しても、アンダーシュートの継続期間が長引き、同じ弊害が懸念される。
なお、制御信号CE,OEは、制御用ROM44を構成する2個のフラッシュメモリICに並列的に供給され、これに対応して、各メモリICには共通の23ビット長アドレス信号が供給されている。そのため、各メモリICからは、アドレス信号で選択された同一番地のデータが各々16ビット長で出力され、これがデータバスに供給されることで、32ビット長のデータ(実際にはプログラムコード)となる。
以上の通り、制御用ROM44には、23ビット長のアドレス信号を供給する必要がある。そこで、この点にも関連して、本実施例では、複合チップ41のアドレスバスの26ビット長(A0〜A25)を、16ビット長(A0〜A15)と、10ビット長(A16〜A25)とに区分して、各々、バスバッファ55,56と集合抵抗ARYとを経由して、その一部(A0〜A22)を、制御用ROM44に供給している。なお、バスバッファ55,56としては、例えば、16ビット長のバスバッファSN74LVCH16244Aが使用され、電源電圧3.3Vで動作している。
ところで、アドレス信号(A0〜A22)を、集合抵抗ARYを経由して制御用ROMに供給するのは、低電源電圧での高速メモリアクセスにおいて、アドレス信号線の長さに拘らず、アドレス信号A0〜A22のリンギングを抑制するためであり、ここでも、各信号ラインに50〜100Ω程度の集合抵抗ARYが各々ダンピング抵抗として直列接続される。図11(b)のタイムチャートから確認される通り、低電源電圧での高速メモリアクセスにおいて、アドレス信号の立上り時に、高レベルのアンダーシュートが生じると、目的の番地がアクセスできないおそれがある。
図10に示す通り、集合抵抗ARYから出力される26ビット長のアドレス信号(A0〜A25)は、CGROM45に供給されている。ここで、CGROM45は、4Gビットの記憶容量を有するPROM(Programmable Read Only Memory )であり、例えば、MSP88LV040(FUJITSU )が使用される。なお、CGROM45を構成するメモリICの電源電圧は3.3Vである。
図12のブロック図に示される通り、MSP88LV040は、各々1Gビット長の記憶容量を有する4ブロック(H1,H0,L1,L0)に区分されている。各記憶ブロックは、アドレス信号A0〜A25によって、0番地〜67108863番地までアドレッシングされており、各番地から16ビット長データが読出し可能に構成されている。
4つの記憶ブロック(H1,H0,L1,L0)の何れを選択するかは、チップセレクト信号CEと出力制御信号OEとで制御されるが、この実施例では、H1ブロックとL1ブロックとを同時にアクセスするべく、CEH1端子とCEL1端子とを外部接続すると共に、OEH1端子とOEL1端子とを外部接続している。
また、H0ブロックとL0ブロックとを同時にアクセスするべく、CEH0端子とCEL0端子とを外部接続すると共に、OEH0端子とOEL0端子とを外部接続している。
したがって、例えば、チップセレクト信号CE7(図12参照)がLレベルとなると、H1ブロック及びL1ブロックが同時に選択され、アドレス信号A0〜A25で選択される16ビット長データが、出力制御信号OE7がLレベルになるタイミングで、出力端子DQH0〜15と出力端子DQL0〜15に、各々出力されることになる。
図10に示す通り、CGROM45を構成するメモリICの出力端子は、32ビット長のデータバスに接続されているので、結局、この実施例では、アドレス信号A0〜A25に基づいて、全32ビット長のCGデータが読出されることになる。なお、CGROM45のアドレス空間は、チップセレクト信号CE0で選択される67,108,864番地が最下位であり、以下、チップセレクト信号CE1→CE2・・・→CE7で選択される67108864番地の順番に高位となり、合計で、67,108,864×8×32=16Gビットとなる。
図13は、CGROM45のデータ読出し時の動作を示すタイムチャートである。図示の通り、チップセレクト信号CEがLレベルである状態で、出力制御信号OEをLレベルにすると、26ビット長アドレス信号(A0〜A25)で選択された16ビット長(実施例の構成では32ビット長)のデータ読出し動作が実現される(図13(a)参照)。
また、このCGROM45では、上記した通常のメモリリード動作だけでなく、ページリード動作も可能に構成されている。この場合には、上位20ビットのアドレス信号A3〜A24を確定させた状態で、下位3ビットのアドレス信号A0〜A2を変化させることで、1回のページリードサイクルにおいて、連続する8番地のデータを順番に読み出すことが可能となる。なお、図13(b)では、便宜上、アドレス変化(Aa→Ab→Ac)を3回としているが、アドレス信号A0〜A2を000→001→010→・・・・→111と変化させることで、8回のアドレス変化が可能である。
鮮明な3D画像を円滑に移動させて斬新な動画演出を実現するには、扱うデータ量が膨大化する。しかし、本実施例では、上記したメモリリード動作を活用することで、必要な大量のCGデータをCGROM45から迅速に読出し、所定の演算を経て表示装置DISPに出力することで複雑高度な動画演出を実現している。
ところで、このような動画演出を実現するには、32ビット単位のデータアクセスも必要であり、そのためには、8種類のチップセレクト信号CEiと、8種類の出力制御信号OEiとが必要となる。そこで、アドレスデコード部50には、3ビット長のアドレス信号A26〜A28を受けて8種類のチップセレクト信号CEiを生成するデコーダ52と、デコーダ52の8ビット出力を受ける集合抵抗ARY1と、集合抵抗ARY1の出力と複合チップ41の制御信号とを受けて8種類の出力制御信号OEiを生成する論理回路53と、論理回路53の出力を受ける集合抵抗ARY2とを接続して構成されている。
ここで、デコーダ52は、汎用の3−8デコーダであり、例えば、SN74LVC138Aが使用され、電源電圧3.3Vで動作している。また、集合抵抗ARY1,ARY2は50〜100Ω程度の8個の抵抗で構成されており、各々、信号ラインのアンダーシュートを抑制するダンピング抵抗として機能している。なお、実施例では、集合抵抗ARY,ARY0〜ARY2として、75Ωを採用している。
また、論理回路53は、電源電圧3.3V動作して、チップセレクト信号CEに基づいて出力制御信号OEを生成する回路である。
図10に示す通り、8種類のチップセレクト信号CEと、8種類の出力制御信号OEは、何れも、集合抵抗ARY1,ARY2を経由して、CGROM45の該当端子に供給されている。また、26ビットのアドレス信号A0〜A25についても、集合抵抗ARYを経由してCGROM45の該当端子に供給されている。
そのため、低電源電圧3.3Vにおいて、ページリード動作などによってCGROM45を高速アクセスしても、誤動作が生じないことは前記した通りである。
このようにして読み出された32ビット単位のCGデータは、バスバッファ54を経由して、複合チップ41のデータバスに伝送される。ここで、バスバッファ54は、汎用の16ビットバスバッファ(SN74LVCH16244A)2個で構成され、各々、電源電圧3.3Vで動作している。また、バスバッファ54は、1〜5KΩ程度の集合抵抗ARY3によってグランドにプルダウンされており、この構成によって、バスバッファ54の出力インピーダンスと信号ライン(データバス)とのインピーダンスマッチングをとっている。そのため、データバスの信号ラインの長さに拘らず、信号(CGROMデータや音声ROMデータ)の反射を防止することができ、生成される高画質の動画の信頼性を担保している。
以上、本発明の実施例について具体的に説明したが、具体的な記載内容は特に本発明を限定するものではない。特に、画像制御を実現するICなどの回路素子は、一例を例示したに過ぎず、同様に機能する他の回路素子を使用できるのは勿論である。
例えば、本発明は、弾球遊技機に限定されず、スロットマシン(回胴式遊技機)などにも好適に適用可能であることは言うまでもない。また、実施例では、コマンド中継基板26を設けたが、主制御基板21から直接、演出インタフェイス基板24に制御コマンドCMDを伝送する構成も好適である。この場合も制御コマンドCMDが標準レベルであるので、十分なノイズマージンが確保できる。