JP5959417B2 - 光学活性α−置換プロリン類の製造方法 - Google Patents

光学活性α−置換プロリン類の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、鎖状ケトン化合物から光学活性α−置換プロリン類を製造する工業的方法に関する。本発明によって製造される光学活性α−置換プロリン類は、ペプチドの構造化学において、また医薬中間体として有用な化合物である。
光学活性α−置換プロリン類は、それを含むペプチドにおいて非常に限られたねじれ角しか許容しないため、回転自由度が低く限られた立体構造のペプチドのみを生成すると考えられ、近年非常に注目されている(例えば非特許文献1参照。)。さらにその揺らぎの少ない構造から、高選択的な医薬品の部分構造として有用であると考えられ、創薬研究において盛んに利用されている。
光学活性α−置換プロリン類の合成法としては、L−プロリンを原料とし、アミノ酸をピバルアルデヒドで保護した後、強塩基とアルキル化剤を用いてアルキル化する方法が知られている(例えば非特許文献2参照。)。また、この改良法として、ピバルアルデヒドの替わりにクロラールを用いる方法(例えば非特許文献3参照。)がある。しかしながらいずれの方法でも、−78℃の極低温でLDA等の高価な強塩基を用いる必要があり、工業的に適しているとはいえない。また、これらの方法では、安価なL−プロリンからはS体のα−置換プロリンのみしか製造できないという問題もある。
L−アラニン等のアミノ酸を原料とし、分子内環化反応で光学活性α−置換プロリン類を合成する方法も知られている(例えば非特許文献4、特許文献1参照。)。しかしながら分子内環化反応工程でカリウムヘキサメチルジシラジドやリチウムヘキサメチルジシラジド等の高価な強塩基を必要とするという問題があった。一方、類似の反応を安価な水酸化カリウムを用いて実施する方法(非特許文献5参照。)も報告されているが、水酸化カリウムを粉体にすりつぶすという工業的に困難な操作が必要であり、また溶媒として30倍体積量のDMSOを用いるため生産性が低いという課題が残されていた。さらにいずれの場合でも、分子内環化反応工程で、カルボキシル基及びアミノ基を保護しておく必要があり、保護、脱保護のため、全体の製造工程が多くなるという欠点があった。
光学活性4級アンモニウム塩を用いた触媒的不斉合成法も知られている(例えば非特許文献6参照。)。この方法の立体選択性及び収率は非常に高いものの、基質としてターシャリーブチルエステル、アルキル化剤としてヨウ化物、塩基として水酸化セシウムを用いる必要がある。これらの資材はいずれも工業的に高価であり、この手法は安価な製造が求められる医農薬中間体向けには適切ではない。
一方、ラセミ体のα−メチルプロリンアミドを酵素的に分割し、光学活性α−メチルプロリン及び光学活性α−メチルプロリンアミドを得る方法も知られている(非特許文献1参照。)。この文献において、酵素分割自体は比較的効率的であるものの、分割の原料であるラセミ体のα−メチルプロリンアミドの合成に多段階を要する。すなわち、アラニンアミドとベンズアルデヒドのイミン形成、水素化ナトリウムを用いたアクリロニトリルへの付加、イミンの加水分解、水素添加の4工程が必要である。また、酵素分割で得られる(S)−α−メチルプロリンと(R)−α−メチルプロリンアミドの分離にイオン交換樹脂精製を用いているが、イオン交換樹脂精製では生成物が希薄な水溶液として得られるため、その濃縮に多量のエネルギーと時間が必要であり、安価な工業的製造法として好ましいとはいえない。
イオン交換樹脂精製を行わず、晶析によってα−メチルプロリンを取得する例も知られている(非特許文献7参照)。この文献では、α−メチルプロリン前駆体を塩酸と反応させ、α−メチルプロリン塩酸塩を含む溶液を得た後に、エタノール中で酸化プロピレンと反応させることでα−メチルプロリンの結晶を得ている。しかしながら、本発明者らが検討したところ、アルコール中で酸化プロピレンと反応させて得られるα−メチルプロリンは、純度の点から、高い純度が要求される医薬中間体用としては十分ではない。また、その他の晶析方法として、イオン交換樹脂精製の後、メタノールと酢酸エチルを用いて晶析する例が知られている(非特許文献2及び8参照)。
しかしながら、これらの方法は、比較的極性の低い酢酸エチルを溶媒として用いているため、極性の高いα−メチルプロリンの光学異性体や、α−メチルプロリンに近い物性を有する不純物の除去には適当ではないと考えられる。また、高極性溶媒である水を用いた晶析の例は知られていない。これは、α−メチルプロリン類が水に対して非常に高い溶解度を有しているため、水を用いた場合はα−メチルプロリン類の回収率が下がると考えられるためである。
短工程でラセミ体のα−置換プロリンアミドを製造する方法として、2−シアノ−2−置換ピロリジン類を水和することによって合成する方法が考えられる。この方法の鍵となる2−シアノ−2−置換ピロリジン類のうち、1−(1−フェニルエチル)−2−シアノ−2−メチルピロリジンの合成例が報告されているが(非特許文献9参照。)、特殊なアミノニトリルを必要とする上、目的物は13%の低収率でしか得られていない。一方、同一著者の別の論文(非特許文献10参照。)では、ビシクロ骨格を有する2−シアノピロリジンが比較的高収率(最大80%)で得られている。この結果の違いは、ビシクロ骨格によってシアノ基の脱離が抑制されている系では高収率で2−シアノピロリジンが得られるものの、そのような安定化がない場合には、2−シアノピロリジンを高収率で得ることは困難であることを示している。また、1,7−ジクロロ−4−ヘプタノンからビシクロ骨格を有する2−シアノピロリジンを合成する例も報告されている(非特許文献11参照。)。この例においてもビシクロ骨格が高収率の達成に必須であることは明白である。なお、この報告においてシアン化カリウムを用いた含水溶媒中の反応では副反応が顕著であり、アセトンシアノヒドリンや2−アミノ−2−メチルプロパンニトリルを用い、非水系で反応させる必要があると述べられているが、いずれも熱分解等で青酸ガスを発生する危険があり、工業的に好ましい製造方法とはいえない。
本発明と類似の化合物として、ビシクロ骨格を有するN−保護プロリンアミドからプロリン誘導体を合成する方法が知られている(非特許文献12参照。)。塩酸水でアミドを加水分解し、さらにパラジウム炭素を用いた水素添加で1−フェニルエチル基を除去しているが、この文献では、生成物であるプロリン誘導体はイオン交換樹脂を用いて精製している。このように、従来の方法では、アミドの加水分解で用いる酸や生成するアンモニアを除去するためには、製造上コストの高いイオン交換樹脂精製が不可避であった。
国際公開第2006/110816号
Chem.Eur.J.,2009,15,8015. Org.Synth.,1995,72,62. Synlett,1999,33. J.Am.Chem.Soc.,2006,128,15394. J.Am.Chem.Soc.,2008,130,4153. Tetrahedron,2010,66,4900. Tetrahedron Asym.,1998,9,2769. J.Poly.Sci.Poly.Chem.Ed.,1977,15,1413. Tetrahedron Asym.,2007,18,290. Tetrahedron Asym.,2006,17,252. Heterocycles,1997,45,1447. Tetrahedron Asym.,2010,21,2868.
本発明は、光学活性α−置換プロリン類を、短工程かつ温和な条件で製造する実用上適した工業的方法を提供することを目的とする。
本発明者らが上記課題を解決するために鋭意検討した結果、光学活性N,α−置換プロリンアミド類を加水分解して光学活性N,α−置換プロリン類とする工程、当該光学活性N,α−置換プロリンアミド類の窒素原子上の置換基を脱保護して光学活性α−置換プロリン類とする工程を経ることで、光学活性α−置換プロリン類が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。光学活性N,α−置換プロリンアミド類は、鎖状ケトン化合物を1級アミン又はその塩、及びシアノ化剤と反応させることで2−シアノピロリジン類とする工程、更に当該2−シアノピロリジン類を水和してN,α−置換プロリンアミド類とする工程、当該N,α−置換プロリンアミド類を分割して光学活性N,α−置換プロリンアミド類とする工程により、製造することができる。
即ち、本発明によれば、以下の発明が提供される。
[1] 下記工程(d)及び(e)を含む、一般式(6)
Figure 0005959417
(式中、Rは置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアリール基、又は置換されていてもよいヘテロアリール基を示し、Rはそれぞれ独立して、水素原子、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアリール基、置換されていてもよいヘテロアリール基、置換されていてもよい水酸基、置換されていてもよいアミノ基、置換されていてもよいチオール基、又はハロゲン原子を示し、2つ以上のRが1つ又は複数の環構造を形成していてもよく、*は不斉炭素を示し、該不斉炭素の立体配置について、R体:S体(モル比)=90:10〜100:0又はR体:S体(モル比)=10:90〜0:100である。)で表される光学活性α−置換プロリン類又はその塩の製造方法;
(d)下記一般式(4)
Figure 0005959417
(式中、R、R及び*は前述と同義であり、Rはアミノ基の保護基を示す。)で表される光学活性N,α−置換プロリンアミド類又はその塩を加水分解することにより、一般式(5)
Figure 0005959417
(式中、各記号は前述と同義である。)で表される光学活性N,α−置換プロリン類又はその塩を得る;及び
(e)一般式(5)で表される光学活性N,α−置換プロリン類又はその塩の保護基Rを除去することにより、一般式(6)
Figure 0005959417
(式中、各記号は前述と同義である。)で表される光学活性α−置換プロリン類又はその塩を得る。
[2] 下記工程(a)乃至(e)を含む、一般式(6)
Figure 0005959417
(式中、各記号は前記[1]と同義である。)で表される光学活性α−置換プロリン類又はその塩の製造方法;
(a)一般式(1)
Figure 0005959417
(式中、R及びRは前述と同義であり、Xはハロゲン原子、又はスルホニルオキシ基を示す。)で表される鎖状ケトン化合物を1級アミン又はその塩、及びシアノ化剤と反応させることにより、一般式(2)
Figure 0005959417
(式中、各記号は前記[1]と同義である。)で表される2−シアノピロリジン類又はその塩を得る;
(b)一般式(2)で表される2−シアノピロリジン類又はその塩を水和することにより、一般式(3)
Figure 0005959417
(式中、各記号は前述と同義である。)で表されるN,α−置換プロリンアミド類又はその塩を得る;
(c)一般式(3)で表されるN,α−置換プロリンアミド類又はその塩を分割することにより、一般式(4)
Figure 0005959417
(式中、各記号は前述と同義である。)で表される光学活性N,α−置換プロリンアミド類又はその塩を得る;
(d)一般式(4)で表される光学活性N,α−置換プロリンアミド類又はその塩を加水分解することにより、一般式(5)
Figure 0005959417
(式中、各記号は前述と同義である。)で表される光学活性N,α−置換プロリン類又はその塩を得る;及び
(e)一般式(5)で表される光学活性N,α−置換プロリン類又はその塩の保護基Rを除去することにより、一般式(6)
Figure 0005959417
(式中、各記号は前述と同義である。)で表される光学活性α−置換プロリン類又はその塩を得る。
[3] さらに、一般式(5)
Figure 0005959417
(式中、各記号は前記[1]と同義である。)で表される光学活性N,α−置換プロリン類又はその塩の精製工程を含む請求項1又は2に記載の方法であって、精製方法が、極性有機溶媒を用いた抽出、又は、一般式(5)で表されるN,α−置換プロリン類又はその塩を金属塩として晶析する方法である方法。
[4] さらに、一般式(6)
Figure 0005959417
(式中、各記号は前記[1]と同義である。)で表される光学活性α−置換プロリン類のハロゲン化水素塩をエポキシ化合物の存在下に精製することを特徴とする、請求項1又は2に記載の方法。
[5] 一般式(6)
Figure 0005959417
(式中、各記号は前記[1]と同義である。)で表される光学活性α−置換プロリン類を、水を含有する溶媒系から晶析することにより精製することを特徴とする、一般式(6)で表される光学活性α−置換プロリン類の製造方法。
[6] 式(7)
Figure 0005959417
(式中、*は不斉炭素を示す。)で表される光学活性α−メチル−N−(1’−フェニルエチル)プロリン又はその塩。
本発明によれば、安価かつ入手容易な公知化合物から医薬品の鍵合成中間体として有用な光学活性α−置換プロリン類を効率的に製造できる。
本発明において、Rは置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアリール基、又は置換されていてもよいヘテロアリール基を示す。
「置換されていてもよいアルキル基」の「アルキル基」としては、炭素数1〜10の直鎖、分枝鎖又は環状のアルキル基、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基等の炭素数1〜10の直鎖状アルキル基;イソプロピル基、1−メチルプロピル基、t−ブチル基等の炭素数3〜10の分岐状アルキル基;シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等の炭素数3〜10の環状アルキル基が挙げられる。
当該アルキル基が有していてもよい置換基としては、フッ素原子;炭素数2〜6のアルケニル基(例、ビニル基等);炭素数1〜6のアルコキシ基(例、メトキシ基、エトキシ基等);炭素数1〜6のアルキル基(例、メチル基、エチル基、イソプロピル基等)、ハロゲン原子(例、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、炭素数2〜6のアルケニル基(例、ビニル基等)、炭素数1〜6のアルコキシ基(例、メトキシ基、エトキシ基等)などから選ばれる1〜3個の置換基を有していてもよい炭素数6〜10のアリール基(例、フェニル基、ナフチル基等)等が挙げられる。当該置換基の数は、特に限定されないが、1〜3個が好ましい。置換基が2個以上ある場合は、置換基の種類は同一でも異なっていてもよい。
置換アルキル基としては、具体的には、ベンジル基、4−メトキシベンジル基、アリル基、2−フルオロエチル基等が挙げられる。
「置換されていてもよいアリール基」の「アリール基」としては、炭素数6〜10の芳香族炭化水素基、例えば、フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基等が挙げられる。
当該アリール基が有していてもよい置換基としては、ハロゲン原子(例、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子);炭素数1〜6のアルキル基(例、メチル基、エチル基、イソプロピル基等);炭素数2〜6のアルケニル基(例、ビニル基等);炭素数1〜6のアルコキシ基(例、メトキシ基、エトキシ基等);ハロゲン原子(例、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、炭素数1〜6のアルキル基(例、メチル基、エチル基、イソプロピル基等)、炭素数2〜6のアルケニル基(例、ビニル基等)、炭素数1〜6のアルコキシ基(例、メトキシ基、エトキシ基等)などから選ばれる1〜3個の置換基を有していてもよい炭素数6〜10のアリール基(例、フェニル基、ナフチル基等)等が挙げられる。当該置換基の数は、特に限定されないが、1〜3個が好ましい。置換基が2個以上ある場合は、置換基の種類は同一でも異なっていてもよい。
「置換されていてもよいヘテロアリール基」の「ヘテロアリール基」としては、環構成原子として、炭素原子以外に、窒素原子、酸素原子及び硫黄原子から選ばれる1〜4個のヘテロ原子を含む5又は6員の芳香族へテロ環基、例えば、ピロリル(例、1−ピロリル、2−ピロリル、3−ピロリル)、フリル(例、2−フリル、3−フリル)、チエニル(例、2−チエニル、3−チエニル)、ピラゾリル(例、1−ピラゾリル、3−ピラゾリル、4−ピラゾリル)、イミダゾリル(例、1−イミダゾリル、2−イミダゾリル、4−イミダゾリル)、イソオキサゾリル(例、3−イソオキサゾリル、4−イソオキサゾリル、5−イソオキサゾリル)、オキサゾリル(例、2−オキサゾリル、4−オキサゾリル、5−オキサゾリル)、イソチアゾリル(例、3−イソチアゾリル、4−イソチアゾリル、5−イソチアゾリル)、チアゾリル(例、2−チアゾリル、4−チアゾリル、5−チアゾリル)、トリアゾリル(1,2,3−トリアゾール−4−イル、1,2,4−トリアゾール−3−イル)、オキサジアゾリル(1,2,4−オキサジアゾール−3−イル、1,2,4−オキサジアゾール−5−イル)、チアジアゾリル(1,2,4−チアジアゾール−3−イル、1,2,4−チアジアゾール−5−イル)、テトラゾリル、ピリジル(例、2−ピリジル、3−ピリジル、4−ピリジル)、ピリダジニル(例、3−ピリダジニル、4−ピリダジニル)、ピリミジニル(例、2−ピリミジニル、4−ピリミジニル、5−ピリミジニル)、ピラジニル(例、2−ピラジニル、3−ピラジニル)等が挙げられる。
当該ヘテロアリール基が有していてもよい置換基としては、ハロゲン原子(例、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子);炭素数1〜6のアルキル基(例、メチル基、エチル基、イソプロピル基等);炭素数2〜6のアルケニル基(例、ビニル基等);炭素数1〜6のアルコキシ基(例、メトキシ基、エトキシ基等);ハロゲン原子(例、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、炭素数1〜6のアルキル基(例、メチル基、エチル基、イソプロピル基等)、炭素数2〜6のアルケニル基(例、ビニル基等)、炭素数1〜6のアルコキシ基(例、メトキシ基、エトキシ基等)などから選ばれる1〜3個の置換基を有していてもよい炭素数6〜10のアリール基(例、フェニル基、ナフチル基等)等が挙げられる。当該置換基の数は、特に限定されないが、1〜3個が好ましい。置換基が2個以上ある場合は、置換基の種類は同一でも異なっていてもよい。
これらの中で好ましくは、Rは置換されていてもよいアルキル基であり、更に好ましくはメチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、ベンジル基、アリル基であり、特に好ましくは、最も簡単な構造でα−置換プロリンの特性を示すメチル基である。
本発明において、Rはアミノ基の保護基を示す。
アミノ基の保護基の具体例は以下に挙げられ、これらに限定されるものではないが、ホルミル基、アセチル基、クロロアセチル基、ジクロロアセチル基、トリクロロアセチル基、トリフルオロアセチル基、プロピオニル基、ベンゾイル基、4−クロロベンゾイル基等のアシル基;メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、t−ブトキシカルボニル基、ベンジルオキシカルボニル基、アリルオキシカルボニル基等の置換されていてもよいアルコキシカルボニル基;ベンジル基、4−メトキシベンジル基、4−ブロモベンジル基、1−フェニルエチル基、1−(1−ナフチル)エチル基、1−(2−ナフチル)エチル基、カルボキシフェニルメチル基、カルバモイルフェニルメチル基、2−ヒドロキシ−1−フェニルエチル基等の置換されていてもよいアリールアルキル基;アリル基、クロチル基等の置換されていてもよいアリル基;プロパルギル基;メタンスルホニル基、p−トルエンスルホニル基、2−ニトロベンゼンスルホニル基等のスルホニル基が挙げられる。またアミノ基の保護基が不斉点を有する場合、R体であってもS体であっても、ラセミ体であってもよい。
これらの中で好ましくは、Rは置換されていてもよいアリールアルキル基又は置換されていてもよいアリル基であり、より好ましくは幅広い反応条件下で高い安定性を有するアリールアルキル基であり、更に好ましくは容易に除去可能なベンジル基、1−フェニルエチル基、1−(1−ナフチル)エチル基、1−(2−ナフチル)エチル基、カルバモイルフェニルメチル基であり、特に好ましくは、工業的にも安価な1級アミン又はその塩から誘導可能なベンジル基、1−フェニルエチル基、カルバモイルフェニルメチル基である。
本発明において、Rはそれぞれ独立して、水素原子、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアリール基、又は置換されていてもよいヘテロアリール基、置換されていてもよい水酸基、置換されていてもよいアミノ基、置換されていてもよいチオール基、又はハロゲン原子を示す。また、可能な場合は2つ以上のRが1つ又は複数の環構造を形成してもよい。
「置換されていてもよいアルキル基」の「アルキル基」としては、炭素数1〜10の直鎖、分枝鎖又は環状のアルキル基、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基等の炭素数1〜10の直鎖状アルキル基;イソプロピル基、1−メチルプロピル基、t−ブチル基等の炭素数3〜10の分岐状アルキル基;シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等の炭素数3〜10の環状アルキル基が挙げられる。
当該アルキル基が有していてもよい置換基としては、ハロゲン原子(例、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子);炭素数2〜6のアルケニル基(例、ビニル基等);炭素数1〜6のアルコキシ基(例、メトキシ基、エトキシ基等);炭素数1〜6のアルキル基(例、メチル基、エチル基、イソプロピル基等)、ハロゲン原子(例、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、炭素数2〜6のアルケニル基(例、ビニル基等)、炭素数1〜6のアルコキシ基(例、メトキシ基、エトキシ基等)などから選ばれる1〜3個の置換基を有していてもよい炭素数6〜10のアリール基(例、フェニル基、ナフチル基等)等が挙げられる。当該置換基の数は、特に限定されないが、1〜3個が好ましい。置換基が2個以上ある場合は、置換基の種類は同一でも異なっていてもよい。
置換アルキル基としては、具体的には、ベンジル基、4−メトキシベンジル基、アリル基、2−クロロエチル基等が挙げられる。
「置換されていてもよいアリール基」の「アリール基」としては、炭素数6〜10の芳香族炭化水素基、例えば、フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基等が挙げられる。
当該アリール基が有していてもよい置換基としては、ハロゲン原子(例、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子);炭素数1〜6のアルキル基(例、メチル基、エチル基、イソプロピル基等);炭素数2〜6のアルケニル基(例、ビニル基等);炭素数1〜6のアルコキシ基(例、メトキシ基、エトキシ基等);ハロゲン原子(例、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、炭素数1〜6のアルキル基(例、メチル基、エチル基、イソプロピル基等)、炭素数2〜6のアルケニル基(例、ビニル基等)、炭素数1〜6のアルコキシ基(例、メトキシ基、エトキシ基等)などから選ばれる1〜3個の置換基を有していてもよい炭素数6〜10のアリール基(例、フェニル基、ナフチル基等)等が挙げられる。当該置換基の数は、特に限定されないが、1〜3個が好ましい。置換基が2個以上ある場合は、置換基の種類は同一でも異なっていてもよい。
「置換されていてもよいヘテロアリール基」の「ヘテロアリール基」としては、環構成原子として、炭素原子以外に、窒素原子、酸素原子及び硫黄原子から選ばれる1〜4個のヘテロ原子を含む5又は6員の芳香族へテロ環基、例えば、ピロリル(例、1−ピロリル、2−ピロリル、3−ピロリル)、フリル(例、2−フリル、3−フリル)、チエニル(例、2−チエニル、3−チエニル)、ピラゾリル(例、1−ピラゾリル、3−ピラゾリル、4−ピラゾリル)、イミダゾリル(例、1−イミダゾリル、2−イミダゾリル、4−イミダゾリル)、イソオキサゾリル(例、3−イソオキサゾリル、4−イソオキサゾリル、5−イソオキサゾリル)、オキサゾリル(例、2−オキサゾリル、4−オキサゾリル、5−オキサゾリル)、イソチアゾリル(例、3−イソチアゾリル、4−イソチアゾリル、5−イソチアゾリル)、チアゾリル(例、2−チアゾリル、4−チアゾリル、5−チアゾリル)、トリアゾリル(1,2,3−トリアゾール−4−イル、1,2,4−トリアゾール−3−イル)、オキサジアゾリル(1,2,4−オキサジアゾール−3−イル、1,2,4−オキサジアゾール−5−イル)、チアジアゾリル(1,2,4−チアジアゾール−3−イル、1,2,4−チアジアゾール−5−イル)、テトラゾリル、ピリジル(例、2−ピリジル、3−ピリジル、4−ピリジル)、ピリダジニル(例、3−ピリダジニル、4−ピリダジニル)、ピリミジニル(例、2−ピリミジニル、4−ピリミジニル、5−ピリミジニル)、ピラジニル(例、2−ピラジニル、3−ピラジニル)等が挙げられる。
当該ヘテロアリール基が有していてもよい置換基としては、ハロゲン原子(例、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子);炭素数1〜6のアルキル基(例、メチル基、エチル基、イソプロピル基等);炭素数2〜6のアルケニル基(例、ビニル基等);炭素数1〜6のアルコキシ基(例、メトキシ基、エトキシ基等);ハロゲン原子(例、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、炭素数1〜6のアルキル基(例、メチル基、エチル基、イソプロピル基等)、炭素数2〜6のアルケニル基(例、ビニル基等)、炭素数1〜6のアルコキシ基(例、メトキシ基、エトキシ基等)などから選ばれる1〜3個の置換基を有していてもよい炭素数6〜10のアリール基(例、フェニル基、ナフチル基等)等が挙げられる。当該置換基の数は、特に限定されないが、1〜3個が好ましい。置換基が2個以上ある場合は、置換基の種類は同一でも異なっていてもよい。
置換されていてもよい水酸基としては、水酸基及びその保護体;メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、n−ブトキシ基、n−デシルオキシ基、1−メチルエトキシ基、1,1−ジメチルエトキシ基、シクロプロピルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基等の炭素数1〜10のアルコキシ基;フェニルオキシ基、2−ナフチルオキシ基等の炭素数6〜10のアリールオキシ基;2−チエニルオキシ基、3−ピリジルオキシ基等のヘテロアリールオキシ基が挙げられ、当該アルコキシ基、アリールオキシ基及びヘテロアリールオキシ基は、ハロゲン原子(例、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子);炭素数1〜6のアルキル基(例、メチル基、エチル基、イソプロピル基等);炭素数2〜6のアルケニル基(例、ビニル基、アリル基等);炭素数1〜6のアルコキシ基(例、メトキシ基、エトキシ基等);アリールアルキル基(例、ベンジル基等)などから選ばれる任意の置換基を有してもよい。当該置換基の数は、特に限定されないが、1〜3個が好ましい。置換基が2個以上ある場合は、置換基の種類は同一でも異なっていてもよい。
また、水酸基の保護体として用いられる保護基は通常の条件で除去可能なものであれば特に限定されないが、その具体例は、ホルミル基、アセチル基、クロロアセチル基、プロピオニル基、ベンゾイル基等のアシル基;ベンジル基、4−メトキシベンジル基、4−ブロモベンジル基、1−フェニルエチル基等の置換されていてもよいアリールアルキル基;メトキシメチル基、エトキシエチル基、ベンジルオキシメチル基等のアセタール型保護基;トリメチルシリル基、t−ブチルジメチルシリル基等のシリル基が挙げられる。
置換されていてもよいアミノ基は、任意の置換基及び/又は保護基を1又は2個有していてもよい。
置換基の具体例は以下に挙げられ、これらに限定されるものではないが、炭素数1〜6のアルキル基(例、メチル基、エチル基、イソプロピル基等);炭素数2〜6のアルケニル基(例、ビニル基、アリル基等);水酸基;炭素数1〜6のアルコキシ基(例、メトキシ基、エトキシ基等);アリールアルキル基(例、ベンジル基等)が挙げられる。
保護基の具体例は以下に挙げられ、これらに限定されるものではないが、ホルミル基、アセチル基、クロロアセチル基、ジクロロアセチル基、トリクロロアセチル基、トリフルオロアセチル基、プロピオニル基、ベンゾイル基、4−クロロベンゾイル基等のアシル基;メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、t−ブトキシカルボニル基、ベンジルオキシカルボニル基、アリルオキシカルボニル基等の置換されていてもよいアルコキシカルボニル基;ベンジル基、4−メトキシベンジル基、4−ブロモベンジル基、1−フェニルエチル基等の置換されていてもよいアリールアルキル基;メタンスルホニル基、p−トルエンスルホニル基、2−ニトロベンゼンスルホニル基等のスルホニル基が挙げられる。
置換されていてもよいチオール基としては、チオール基及びその保護体;メチルチオ基、エチルチオ基、n−プロピルチオ基、n−ブチルチオ基、n−デシルチオ基、1−メチルエチルチオ基、1,1−ジメチルエチルチオ基、シクロプロピルチオ基、シクロヘキシルチオ基等の炭素数1〜10のアルキルチオ基;フェニルチオ基、2−ナフチルチオ基等の炭素数6〜10のアリールチオ基;2−チエニルチオ基、3−ピリジルチオ基等のヘテロアリールチオ基が挙げられ、当該アルキルチオ基、アリールチオ基及びヘテロアリールチオ基は、ハロゲン原子(例、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子);炭素数1〜6のアルキル基(例、メチル基、エチル基、イソプロピル基等);炭素数2〜6のアルケニル基(例、ビニル基、アリル基等);炭素数1〜6のアルコキシ基(例、メトキシ基、エトキシ基等);アリールアルキル基(例、ベンジル基等)などから選ばれる任意の置換基を有してもよい。当該置換基の数は、特に限定されないが、1〜3個が好ましい。置換基が2個以上ある場合は、置換基の種類は同一でも異なっていてもよい。
また、チオール基の保護体として用いられる保護基は通常の条件で除去可能なものであれば特に限定されないが、その具体例は、ホルミル基、アセチル基、クロロアセチル基、プロピオニル基、ベンゾイル基等のアシル基;ベンジル基、4−メトキシベンジル基、4−ブロモベンジル基、1−フェニルエチル基等の置換されていてもよいアリールアルキル基;メトキシメチル基、エトキシエチル基、ベンジルオキシメチル基等のアセタール型保護基;トリメチルシリル基、t−ブチルジメチルシリル基等のシリル基が挙げられる。
ハロゲン原子の具体例は、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子である。
これらの中で好ましくは、Rは水素原子である。
本発明においてXはハロゲン原子、又はスルホニルオキシ基を示す。
ハロゲン原子の具体例は、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子である。
スルホニルオキシ基の具体例は以下に挙げられ、これらに限定されるものではないが、メタンスルホニルオキシ基、クロロメタンスルホニルオキシ基、トリフルオロメタンスルホニルオキシ基等の置換されていてもよいアルキルスルホニルオキシ基;p−トルエンスルホニルオキシ基、p−クロロベンゼンスルホニルオキシ基、2−ニトロベンゼンスルホニルオキシ基等の置換されていてもよいアリールスルホニルオキシ基が挙げられる。
これらの中でXとして好ましくは、ハロゲン原子であり、更に好ましくは対応する鎖状ケトン化合物が工業的に安価な塩素原子である。
上記一般式(1)で表される鎖状ケトン化合物は、1−置換−1−ブタノンの4位にハロゲン原子等の脱離基を有する化合物である。
上記一般式(1)で表される鎖状ケトン化合物の具体例としては、5−フルオロ−2−ペンタノン、5−クロロ−2−ペンタノン、5−ブロモ−2−ペンタノン、5−ヨード−2−ペンタノン、5−(メタンスルホニルオキシ)−2−ペンタノン、5−(クロロメタンスルホニルオキシ)−2−ペンタノン、5−(トルエンスルホニルオキシ)−2−ペンタノン、6−クロロ−3−ヘキサノン、6−ブロモ−3−ヘキサノン、1−クロロ−4−オクタノン、6−クロロ−2−メチル−3−ヘキサノン、4−クロロ−1−シクロプロピル−1−ブタノン、4−クロロ−1−シクロヘキシル−1−ブタノン、4−ブロモ−1−シクロヘキシル−1−ブタノン、7−クロロ−1−ヘプテン−4−オン、4−クロロ−1−フェニル−1−ブタノン、4−ブロモ−1−フェニル−1−ブタノン、4−クロロ−1−(4−メトキシフェニル)−1−ブタノン、4−クロロ−1−(4−クロロフェニル)−1−ブタノン、4−クロロ−1−(2−チエニル)−1−ブタノン、4−クロロ−1−(3−ピリジル)−1−ブタノンが挙げられる。
上記一般式(2)で表される2−シアノピロリジン類は、ピロリジンの2位に置換基とシアノ基を有し、ピロリジンの窒素原子上にアミノ基の保護基を有する化合物である。
上記一般式(2)で表される2−シアノピロリジン類は、ピロリジンの2位の炭素原子に不斉点を有する。分子内にこれ以外の不斉点を有しない場合、ラセミ体であっても、80%ee未満の任意の光学純度を有するS体又はR体のいずれの光学活性体であってもよい。この場合の光学純度は、好ましくは、70%ee以下、より好ましくは60%ee以下、特に好ましくは50%ee以下である。
また、分子内に複数の不斉点を有する場合、いずれの立体化学を有するジアステレオマー又はジアステレオマー混合物であってもよい。この場合、ジアステレオマー純度は任意の値でよく、通常、ピロリジンの2位の立体化学について、R体:S体(モル比)=10:90〜90:10の任意の比率を持つジアステレオマー又はジアステレオマー混合物である。好ましくは、ピロリジン2位の立体化学について、R体:S体(モル比)=15:85〜85:15、より好ましくはR体:S体(モル比)=20:80〜80:20、特に好ましくはR体:S体(モル比)=25:75〜75:25である。また、S体に対するR体の比率の低い混合物の方がより容易に合成できるため好ましい。
上記一般式(2)で表される2−シアノピロリジン類の具体例としては、1−ベンジル−2−シアノ−2−メチルピロリジン、2−シアノ−2−メチル−1−(1−フェニルエチル)ピロリジン、2−シアノ−2−メチル−1−(1−(1−ナフチル)エチル)ピロリジン、2−シアノ−2−メチル−1−(1−(2−ナフチル)エチル)ピロリジン、1−(カルバモイルフェニルメチル)−2−シアノ−2−メチルピロリジン、2−シアノ−2−エチル−1−(1−フェニルエチル)ピロリジン、2−ブチル−2−シアノ−1−(1−フェニルエチル)ピロリジン、2−シアノ−2−(1−メチルエチル)−1−(1−フェニルエチル)ピロリジン、2−シアノ−2−シクロプロピル−1−(1−フェニルエチル)ピロリジン、2−シアノ−2−シクロへキシル−1−(1−フェニルエチル)ピロリジン、2−アリル−2−シアノ−1−(1−フェニルエチル)ピロリジン、2−シアノ−2−フェニル−1−(1−フェニルエチル)ピロリジン、2−シアノ−2−(4−メトキシフェニル)−1−(1−フェニルエチル)ピロリジン、2−(4−クロロフェニル)−2−シアノ−1−(1−フェニルエチル)ピロリジン、2−シアノ−1−(1−フェニルエチル)−2−(2−チエニル)ピロリジン、2−シアノ−1−(1−フェニルエチル)−2−(3−ピリジル)ピロリジンが挙げられる。
上記一般式(3)で表されるN,α−置換プロリンアミド類、及び、上記一般式(4)で表される光学活性N,α−置換プロリンアミド類は、ピロリジンの2位に置換基とカルバモイル基を有し、ピロリジンの窒素原子上にアミノ基の保護基を有する化合物である。
上記一般式(3)で表されるN,α−置換プロリンアミド類は、カルバモイル基が結合するピロリジン2位の炭素原子に不斉点を有する。分子内にこれ以外の不斉点を有しない場合、ラセミ体であっても、80%ee未満の任意の光学純度を有するS体又はR体のいずれの光学活性体であってもよい。この場合の光学純度は、好ましくは、70%ee以下、より好ましくは60%ee以下、特に好ましくは50%ee以下である。
また、分子内に複数の不斉点を有する場合、いずれの立体化学を有するジアステレオマー又はジアステレオマー混合物であってもよい。この場合、ジアステレオマー純度は任意の値でよく、通常、ピロリジンの2位の立体化学について、R体:S体(モル比)=10:90〜90:10の任意の比率を持つジアステレオマー又はジアステレオマー混合物である。好ましくは、ピロリジン2位の立体化学について、R体:S体(モル比)=15:85〜85:15、より好ましくはR体:S体(モル比)=20:80〜80:20、特に好ましくはR体:S体(モル比)=25:75〜75:25である。また、S体に対するR体の比率の低い混合物の方がより容易に合成できるため好ましい。
上記一般式(4)で表される光学活性N,α−置換プロリンアミド類は、カルバモイル基が結合するピロリジン2位の炭素原子に不斉点を有する。分子内にこれ以外の不斉点を有しない場合、80%ee以上の任意の光学純度を有するS体又はR体のいずれの光学活性体であってもよい。この場合の光学純度は、好ましくは90%ee以上、更に好ましくは95%ee以上、医薬品及びその中間体の場合、高い光学純度が要求されるため、特に好ましくは99%ee以上である。
また、分子内に複数の不斉点を有する場合、いずれの立体化学を有するジアステレオマー又はジアステレオマー混合物であってもよい。この場合、ジアステレオマー純度は任意の値でよく、通常、ピロリジンの2位の立体化学について、R体:S体(モル比)=90:10〜100:0又はR体:S体(モル比)=10:90〜0:100、純度が高いほど、後段の工程での精製負荷が小さくなるため、更に好ましくはR体:S体(モル比)=97.5:2.5〜100:0又はR体:S体(モル比)=2.5:97.5〜0:100である。医薬品及びその中間体の場合、高い光学純度が要求されるため、より好ましくはR体:S体(モル比)=99:1〜100:0又はR体:S体(モル比)=1:99〜0:100、特に好ましくはR体:S体(モル比)=99.5:0.5〜100:0又はR体:S体(モル比)=0.5:99.5〜0:100である。
上記一般式(3)で表されるN,α−置換プロリンアミド類、及び、上記一般式(4)で表される光学活性N,α−置換プロリンアミド類の具体例としては、N−ベンジル−α−メチルプロリンアミド、α−メチル−N−(1−フェニルエチル)プロリンアミド、α−メチル−N−(1−(1−ナフチル)エチル)プロリンアミド、α−メチル−N−(1−(2−ナフチル)エチル)プロリンアミド、N−(カルバモイルフェニルメチル)−α−メチルプロリンアミド、α−エチル−N−(1−フェニルエチル)プロリンアミド、α−ブチル−N−(1−フェニルエチル)プロリンアミド、α−(1−メチルエチル)−N−(1−フェニルエチル)プロリンアミド、α−シクロプロピル−N−(1−フェニルエチル)プロリンアミド、α−シクロヘキシル−N−(1−フェニルエチル)プロリンアミド、α−アリル−N−(1−フェニルエチル)プロリンアミド、α−フェニル−N−(1−フェニルエチル)プロリンアミド、α−(4−メトキシフェニル)−N−(1−フェニルエチル)プロリンアミド、α−(4−クロロフェニル)−N−(1−フェニルエチル)プロリンアミド、N−(1−フェニルエチル)−α−(2−チエニル)プロリンアミド、N−(1−フェニルエチル)−α−(3−ピリジル)プロリンアミドが挙げられる。
上記化合物は、塩基性の官能基を有する場合があり、塩を形成していてもよい。そのような塩としては、無機酸塩(例えば塩酸塩、硫酸塩、硝酸塩、リン酸塩等);有機酸塩(例えば酢酸塩、プロピオン酸塩、メタンスルホン酸塩、4−トルエンスルホン酸塩、シュウ酸塩、マレイン酸塩等);酒石酸類(L−酒石酸、D−酒石酸、(2S,3S)−ジベンゾイル酒石酸、(2R,3R)−ジベンゾイル酒石酸、(2S,3S)−ジ(p−トルオイル)酒石酸、(2R,3R)−ジ(p−トルオイル)酒石酸等);マンデル酸類((S)−マンデル酸、(R)−マンデル酸等);アミノ酸誘導体(N−アセチル−L−アラニン、N−アセチル−L−フェニルグリシン、N−アセチル−D−フェニルグリシン、N−ベンジル−L−フェニルグリシン、N−ベンジル−D−フェニルグリシン、N−アセチル−L−フェニルアラニン、N−アセチル−L−グルタミン酸、N−アセチル−L−アスパラギン酸等);光学活性スルホン酸((S)−10−カンファースルホン酸、(R)−10−カンファースルホン酸、(S)−1−フェニルエタンスルホン酸、(R)−1−フェニルエタンスルホン酸等)等が挙げられる。これらの中で好ましくは、ジアステレオマー塩同士の溶解度差が大きいと期待できる光学活性な酸との塩であり、さらに好ましくは酒石酸類、マンデル酸類との塩であり、特に好ましくは、安価なL−酒石酸、D−酒石酸、(S)−マンデル酸、(R)−マンデル酸との塩である。
上記一般式(4)で表される光学活性N,α−置換プロリンアミド類のうち、N−(1’−フェニルエチル)−α−メチルプロリンアミドと光学活性な酸及び/又はアキラルな酸との塩の具体例としては、(2S,1’S)−N−(1’−フェニルエチル)−α−メチルプロリンアミド・D−酒石酸塩、(2S,1’S)−N−(1’−フェニルエチル)−α−メチルプロリンアミド・L−酒石酸塩、(2S,1’R)−N−(1’−フェニルエチル)−α−メチルプロリンアミド・D−酒石酸塩、(2S,1’R)−N−(1’−フェニルエチル)−α−メチルプロリンアミド・L−酒石酸塩、(2R,1’R)−N−(1’−フェニルエチル)−α−メチルプロリンアミド・D−酒石酸塩、(2R,1’R)−N−(1’−フェニルエチル)−α−メチルプロリンアミド・L−酒石酸塩、(2R,1’S)−N−(1’−フェニルエチル)−α−メチルプロリンアミド・D−酒石酸塩、(2R,1’S)−N−(1’−フェニルエチル)−α−メチルプロリンアミド・L−酒石酸塩、(2S,1’S)−N−(1’−フェニルエチル)−α−メチルプロリンアミド・(S)−マンデル酸塩、(2S,1’S)−N−(1’−フェニルエチル)−α−メチルプロリンアミド・(R)−マンデル酸塩、(2S,1’R)−N−(1’−フェニルエチル)−α−メチルプロリンアミド・(S)−マンデル酸塩、(2S,1’R)−N−(1’−フェニルエチル)−α−メチルプロリンアミド・(R)−マンデル酸塩、(2R,1’R)−N−(1’−フェニルエチル)−α−メチルプロリンアミド・(S)−マンデル酸塩、(2R,1’R)−N−(1’−フェニルエチル)−α−メチルプロリンアミド・(R)−マンデル酸塩、(2R,1’S)−N−(1’−フェニルエチル)−α−メチルプロリンアミド・(S)−マンデル酸塩、(2R,1’S)−N−(1’−フェニルエチル)−α−メチルプロリンアミド・(R)−マンデル酸塩、(2S,1’S)−N−(1’−フェニルエチル)−α−メチルプロリンアミド・4−トルエンスルホン酸塩、(2R,1’R)−N−(1’−フェニルエチル)−α−メチルプロリンアミド・4−トルエンスルホン酸塩、(2S,1’S)−N−(1’−フェニルエチル)−α−メチルプロリンアミド・シュウ酸塩、(2R,1’R)−N−(1’−フェニルエチル)−α−メチルプロリンアミド・シュウ酸塩が挙げられる。
上記一般式(5)で表される光学活性N,α−置換プロリン類は、ピロリジンの2位に置換基とカルボキシル基を有し、ピロリジンの窒素原子上にアミノ基の保護基を有する化合物である。また、上記一般式(5)で表される光学活性N,α−置換プロリン類は、カルボキシル基が結合する炭素原子に不斉点を有する光学活性体であり、分子内にこれ以外の不斉点を有しない場合、S体及びR体のいずれでもよい。光学純度は任意の値でよいが、好ましくは80%ee以上、より好ましくは90%ee以上、更に好ましくは95%ee以上、医薬品及びその中間体の場合、高い光学純度が要求されるため、特に好ましくは99%ee以上である。
分子内に複数の不斉点を有する場合、いずれの立体化学を有するジアステレオマー又はジアステレオマー混合物であってもよい。ジアステレオマー純度及び/又は光学純度は任意の値でよいが、ピロリジンの2位の立体化学について、好ましくはR体:S体(モル比)=90:10〜100:0又はR体:S体(モル比)=10:90〜0:100、より好ましくはR体:S体(モル比)=97.5:2.5〜100:0又はR体:S体(モル比)=2.5:97.5〜0:100、更に好ましくはR体:S体(モル比)=99:1〜100:0又はR体:S体(モル比)=1:99〜0:100である。医薬品及びその中間体の場合、高い光学純度が要求されるため、特に好ましくはR体:S体(モル比)=99.5:0.5〜100:0又はR体:S体(モル比)=0.5:99.5〜0:100である。
上記一般式(5)で表される光学活性N,α−置換プロリン類の具体例としては、(S)−N−ベンジル−α−メチルプロリン、(R)−N−ベンジル−α−メチルプロリン、(2S,1’S)−α−メチル−N−(1’−フェニルエチル)プロリン、(2S,1’R)−α−メチル−N−(1’−フェニルエチル)プロリン、(2R,1’S)−α−メチル−N−(1’−フェニルエチル)プロリン、(2R,1’R)−α−メチル−N−(1’−フェニルエチル)プロリン、(2S,1’S)−α−メチル−N−(1’−(1−ナフチル)エチル)プロリン、(2S,1’R)−α−メチル−N−(1’−(1−ナフチル)エチル)プロリン、(2R,1’S)−α−メチル−N−(1’−(1−ナフチル)エチル)プロリン、(2R,1’R)−α−メチル−N−(1’−(1−ナフチル)エチル)プロリン、(2S,1’S)−α−メチル−N−(1’−(2−ナフチル)エチル)プロリン、(2S,1’R)−α−メチル−N−(1’−(2−ナフチル)エチル)プロリン、(2R,1’S)−α−メチル−N−(1’−(2−ナフチル)エチル)プロリン、(2R,1’R)−α−メチル−N−(1’−(2−ナフチル)エチル)プロリン、(2S,1’S)−N−(カルバモイルフェニルメチル)−α−メチルプロリン、(2S,1’R)−N−(カルバモイルフェニルメチル)−α−メチルプロリン、(2R,1’S)−N−(カルバモイルフェニルメチル)−α−メチルプロリン、(2R,1’R)−N−(カルバモイルフェニルメチル)−α−メチルプロリン、(2S,1’S)−α−エチル−N−(1’−フェニルエチル)プロリン、(2S,1’R)−α−エチル−N−(1’−フェニルエチル)プロリン、(2R,1’S)−α−エチル−N−(1’−フェニルエチル)プロリン、(2R,1’R)−α−エチル−N−(1’−フェニルエチル)プロリン、(2S,1’S)−α−ブチル−N−(1’−フェニルエチル)プロリン、(2S,1’R)−α−ブチル−N−(1’−フェニルエチル)プロリン、(2R,1’S)−α−ブチル−N−(1’−フェニルエチル)プロリン、(2R,1’R)−α−ブチル−N−(1’−フェニルエチル)プロリン、(2S,1’S)−α−(1−メチルエチル)−N−(1’−フェニルエチル)プロリン、(2S,1’R)−α−(1−メチルエチル)−N−(1’−フェニルエチル)プロリン、(2R,1’S)−α−(1−メチルエチル)−N−(1’−フェニルエチル)プロリン、(2R,1’R)−α−(1−メチルエチル)−N−(1’−フェニルエチル)プロリン、(2S,1’S)−α−シクロプロピル−N−(1’−フェニルエチル)プロリン、(2S,1’R)−α−シクロプロピル−N−(1’−フェニルエチル)プロリン、(2R,1’S)−α−シクロプロピル−N−(1’−フェニルエチル)プロリン、(2R,1’R)−α−シクロプロピル−N−(1’−フェニルエチル)プロリン、(2S,1’S)−α−シクロヘキシル−N−(1’−フェニルエチル)プロリン、(2S,1’R)−α−シクロヘキシル−N−(1’−フェニルエチル)プロリン、(2R,1’S)−α−シクロヘキシル−N−(1’−フェニルエチル)プロリン、(2R,1’R)−α−シクロヘキシル−N−(1’−フェニルエチル)プロリン、(2S,1’S)−α−アリル−N−(1’−フェニルエチル)プロリン、(2S,1’R)−α−アリル−N−(1’−フェニルエチル)プロリン、(2R,1’S)−α−アリル−N−(1’−フェニルエチル)プロリン、(2R,1’R)−α−アリル−N−(1’−フェニルエチル)プロリン、(2S,1’S)−α−フェニル−N−(1’−フェニルエチル)プロリン、(2S,1’R)−α−フェニル−N−(1’−フェニルエチル)プロリン、(2R,1’S)−α−フェニル−N−(1’−フェニルエチル)プロリン、(2R,1’R)−α−フェニル−N−(1’−フェニルエチル)プロリン、(2S,1’S)−α−(4−メトキシフェニル)−N−(1’−フェニルエチル)プロリン、(2S,1’R)−α−(4−メトキシフェニル)−N−(1’−フェニルエチル)プロリン、(2R,1’S)−α−(4−メトキシフェニル)−N−(1’−フェニルエチル)プロリン、(2R,1’R)−α−(4−メトキシフェニル)−N−(1’−フェニルエチル)プロリン、(2S,1’S)−α−(4−クロロフェニル)−N−(1’−フェニルエチル)プロリン、(2S,1’R)−α−(4−クロロフェニル)−N−(1’−フェニルエチル)プロリン、(2R,1’S)−α−(4−クロロフェニル)−N−(1’−フェニルエチル)プロリン、(2R,1’R)−α−(4−クロロフェニル)−N−(1’−フェニルエチル)プロリン、(2S,1’S)−N−(1’−フェニルエチル)−α−(2−チエニル)プロリン、(2S,1’R)−N−(1’−フェニルエチル)−α−(2−チエニル)プロリン、(2R,1’S)−N−(1’−フェニルエチル)−α−(2−チエニル)プロリン、(2R,1’R)−N−(1’−フェニルエチル)−α−(2−チエニル)プロリン、(2S,1’S)−N−(1’−フェニルエチル)−α−(3−ピリジル)プロリン、(2S,1’R)−N−(1’−フェニルエチル)−α−(3−ピリジル)プロリン、(2R,1’S)−N−(1’−フェニルエチル)−α−(3−ピリジル)プロリン、(2R,1’R)−N−(1’−フェニルエチル)−α−(3−ピリジル)プロリンが挙げられる。
上記化合物は、塩基性又は酸性の官能基を有する場合があり、塩を形成していてもよい。そのような塩としては、例えば無機酸塩(例えば塩酸塩、硫酸塩、硝酸塩、リン酸塩等);有機酸塩(例えば酢酸塩、プロピオン酸塩、メタンスルホン酸塩、4−トルエンスルホン酸塩、シュウ酸塩、マレイン酸塩等);酒石酸類(L−酒石酸、D−酒石酸、(2S,3S)−ジベンゾイル酒石酸、(2R,3R)−ジベンゾイル酒石酸、(2S,3S)−ジ(p−トルオイル)酒石酸、(2R,3R)−ジ(p−トルオイル)酒石酸等);マンデル酸類((S)−マンデル酸、(R)−マンデル酸等);アミノ酸誘導体(N−アセチル−L−アラニン、N−アセチル−L−フェニルグリシン、N−アセチル−D−フェニルグリシン、N−ベンジル−L−フェニルグリシン、N−ベンジル−D−フェニルグリシン、N−アセチル−L−フェニルアラニン、N−アセチル−L−グルタミン酸、N−アセチル−L−アスパラギン酸等);光学活性スルホン酸((S)−10−カンファースルホン酸、(R)−10−カンファースルホン酸、(S)−1−フェニルエタンスルホン酸、(R)−1−フェニルエタンスルホン酸等);アルカリ金属塩(例えばナトリウム塩、カリウム塩等);アルカリ土類金属塩(例えばカルシウム塩、マグネシウム塩、バリウム塩等);有機塩基塩(例えばトリメチルアミン塩、トリエチルアミン塩、ピリジン塩、ピコリン塩、ジシクロヘキシルアミン塩等)等が挙げられる。
これらの中で好ましくは、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、有機塩基塩等のカルボン酸と塩基の塩であり、更に好ましくは、一般に水に対する溶解度が低く、水溶液からの精製が可能なアルカリ土類金属塩であり、特に好ましくはカルシウム塩、バリウム塩である。
上記一般式(5)で表される光学活性N,α−置換プロリン類の塩の具体例としては、(S)−N−ベンジル−α−メチルプロリンカルシウム、(S)−N−ベンジル−α−メチルプロリンバリウム、(R)−N−ベンジル−α−メチルプロリンカルシウム、(R)−N−ベンジル−α−メチルプロリンバリウム、(2S,1’S)−α−メチル−N−(1’−フェニルエチル)プロリンカルシウム、(2S,1’S)−α−メチル−N−(1’−フェニルエチル)プロリンバリウム、(2S,1’R)−α−メチル−N−(1’−フェニルエチル)プロリンカルシウム、(2S,1’R)−α−メチル−N−(1’−フェニルエチル)プロリンバリウム、(2R,1’S)−α−メチル−N−(1’−フェニルエチル)プロリンカルシウム、(2R,1’S)−α−メチル−N−(1’−フェニルエチル)プロリンバリウム、(2R,1’R)−α−メチル−N−(1’−フェニルエチル)プロリンカルシウム、(2R,1’R)−α−メチル−N−(1’−フェニルエチル)プロリンバリウムが挙げられる。
上記一般式(6)で表される光学活性α−置換プロリン類は、ピロリジンの2位に置換基とカルボキシル基を有する化合物である。
また、上記一般式(6)で表される光学活性α−置換プロリン類は、カルボキシル基が結合する炭素原子に不斉点を有する光学活性体であり、分子内にこれ以外の不斉点を有しない場合、S体及びR体のいずれでもよい。光学純度は任意の値でよいが、好ましくは80%ee以上、より好ましくは90%ee以上、更に好ましくは95%ee以上である。医薬品及びその中間体の場合、高い光学純度が要求されるため、特に好ましくは99%ee以上である。
分子内に複数の不斉点を有する場合、いずれの立体化学を有するジアステレオマー又はジアステレオマー混合物であってもよい。ジアステレオマー純度は任意の値でよいが、ピロリジンの2位の立体化学について、好ましくはR体:S体(モル比)=90:10〜100:0又はR体:S体(モル比)=10:90〜0:100、より好ましくはR体:S体(モル比)=97.5:2.5〜100:0又はR体:S体(モル比)=2.5:97.5〜0:100、更に好ましくはR体:S体(モル比)=99:1〜100:0又はR体:S体(モル比)=1:99〜0:100である。医薬品及びその中間体の場合、高い光学純度が要求されるため、特に好ましくはR体:S体(モル比)=99.5:0.5〜100:0又はR体:S体(モル比)=0.5:99.5〜0:100である。
上記一般式(6)で表される光学活性α−置換プロリン類の純度は任意の値でよいが、一般には90重量パーセント以上、及び/又は、HPLC分析で90Area%以上である。医薬品及びその中間体の場合、高い純度が要求されるため、好ましくは95重量パーセント以上、及び/又は、HPLC分析で95Area%以上、更に好ましくは98重量パーセント以上、及び/又は、HPLC分析で98Area%以上、特に好ましくは99重量パーセント以上、及び/又は、HPLC分析で99Area%以上である。
上記一般式(6)で表される光学活性α−置換プロリン類の具体例としては、(S)−α−メチルプロリン、(R)−α−メチルプロリン、(S)−α−エチルプロリン、(R)−α−エチルプロリン、(S)−α−ブチルプロリン、(R)−α−ブチルプロリン、(S)−α−(1−メチルエチル)プロリン、(R)−α−(1−メチルエチル)プロリン、(S)−α−シクロプロピルプロリン、(R)−α−シクロプロピルプロリン、(S)−α−シクロヘキシルプロリン、(R)−α−シクロヘキシルプロリン、(S)−α−アリルプロリン、(R)−α−アリルプロリン、(S)−α−フェニルプロリン、(R)−α−フェニルプロリン、(S)−α−(4−メトキシフェニル)プロリン、(R)−α−(4−メトキシフェニル)プロリン、(S)−α−(4−クロロフェニル)プロリン、(R)−α−(4−クロロフェニル)プロリン、(S)−α−(2−チエニル)プロリン、(R)−α−(2−チエニル)プロリン、(S)−α−(3−ピリジル)プロリン、(R)−α−(3−ピリジル)プロリンが挙げられる。
上記化合物は、塩基性又は酸性の官能基を有しており、塩を形成していてもよい。そのような塩としては、例えば無機酸塩(例えば塩酸塩、硫酸塩、硝酸塩、リン酸塩等);有機酸塩(例えば酢酸塩、プロピオン酸塩、メタンスルホン酸塩、4−トルエンスルホン酸塩、シュウ酸塩、マレイン酸塩等);酒石酸類(L−酒石酸、D−酒石酸、(2S,3S)−ジベンゾイル酒石酸、(2R,3R)−ジベンゾイル酒石酸、(2S,3S)−ジ(p−トルオイル)酒石酸、(2R,3R)−ジ(p−トルオイル)酒石酸等);マンデル酸類((S)−マンデル酸、(R)−マンデル酸等);アミノ酸誘導体(N−アセチル−L−アラニン、N−アセチル−L−フェニルグリシン、N−アセチル−D−フェニルグリシン、N−ベンジル−L−フェニルグリシン、N−ベンジル−D−フェニルグリシン、N−アセチル−L−フェニルアラニン、N−アセチル−L−グルタミン酸、N−アセチル−L−アスパラギン酸等);光学活性スルホン酸((S)−10−カンファースルホン酸、(R)−10−カンファースルホン酸、(S)−1−フェニルエタンスルホン酸、(R)−1−フェニルエタンスルホン酸等);アルカリ金属塩(例えばナトリウム塩、カリウム塩等);アルカリ土類金属塩(例えばカルシウム塩、マグネシウム塩、バリウム塩等);有機塩基塩(例えばトリメチルアミン塩、トリエチルアミン塩、ピリジン塩、ピコリン塩、ジシクロヘキシルアミン塩等)等が挙げられる。
また、上記一般式(6)で表される光学活性α−置換プロリン類を医薬中間体として使用する際に、酸または塩基の塩の場合、中和する必要があるため、上記一般式(6)で表される光学活性α−置換プロリン類は塩を形成していないことが好ましい。
上記式(7)で表される光学活性α−メチル−N−(1’−フェニルエチル)プロリンは、ピロリジンの2位にメチル基とカルボキシル基を有し、ピロリジンの窒素原子上に1−フェニルエチル基を有する化合物である。
当該光学活性α−メチル−N−(1’−フェニルエチル)プロリンはピロリジンの2位とピロリジン窒素原子上の置換基(1’位)の2つの不斉点を有しており、いずれの立体化学を有するジアステレオマー又はジアステレオマー混合物であってもよい。ピロリジン窒素原子上の置換基(1’位)の不斉炭素は、対応する工程(a)で用いられる1級アミン又はその塩であるα−メチルベンジルアミンに由来するため、反応中にエピメリ化がない場合は、用いたα−メチルベンジルアミンの光学純度が1’位の不斉純度となる。1’位の絶対配置はR体、S体、ラセミ体のいずれであってもよく、その不斉純度は任意の値でよいが、1’位の不斉によってピロリジン2位についての異性体を分割することができるため、高いことが好ましく、1’位についてR体:S体(モル比)=90:10〜100:0又はR体:S体(モル比)=10:90〜0:100、更に好ましくはR体:S体(モル比)=97.5:2.5〜100:0又はR体:S体(モル比)=2.5:97.5〜0:100、特に好ましくはR体:S体(モル比)=99.5:0.5〜100:0又はR体:S体(モル比)=0.5:99.5〜0:100である。
ピロリジン2位の絶対配置はR体、S体、ラセミ体のいずれであってもよく、その不斉純度は任意の値でよいが、ピロリジン2位の不斉純度が脱保護後の光学活性α−メチルプロリンの光学純度となるため、高いことが好ましく、2位についてR体:S体(モル比)=90:10〜100:0又はR体:S体(モル比)=10:90〜0:100、更に好ましくはR体:S体(モル比)=97.5:2.5〜100:0又はR体:S体(モル比)=2.5:97.5〜0:100、特に好ましくはR体:S体(モル比)=99.5:0.5〜100:0又はR体:S体(モル比)=0.5:99.5〜0:100である。
上記式(7)で表される光学活性α−メチル−N−(1’−フェニルエチル)プロリンは、塩基性のアミノ基、及び酸性のカルボキシル基を有しており、塩を形成していてもよい。そのような塩としては、例えば無機酸塩(例えば塩酸塩、硫酸塩、硝酸塩、リン酸塩等);有機酸塩(例えば酢酸塩、プロピオン酸塩、メタンスルホン酸塩、4−トルエンスルホン酸塩、シュウ酸塩、マレイン酸塩等);酒石酸類(L−酒石酸、D−酒石酸、(2S,3S)−ジベンゾイル酒石酸、(2R,3R)−ジベンゾイル酒石酸、(2S,3S)−ジ(p−トルオイル)酒石酸、(2R,3R)−ジ(p−トルオイル)酒石酸等);マンデル酸類((S)−マンデル酸、(R)−マンデル酸等);アミノ酸誘導体(N−アセチル−L−アラニン、N−アセチル−L−フェニルグリシン、N−アセチル−D−フェニルグリシン、N−ベンジル−L−フェニルグリシン、N−ベンジル−D−フェニルグリシン、N−アセチル−L−フェニルアラニン、N−アセチル−L−グルタミン酸、N−アセチル−L−アスパラギン酸等);光学活性スルホン酸((S)−10−カンファースルホン酸、(R)−10−カンファースルホン酸、(S)−1−フェニルエタンスルホン酸、(R)−1−フェニルエタンスルホン酸等);アルカリ金属塩(例えばナトリウム塩、カリウム塩等);アルカリ土類金属塩(例えばカルシウム塩、マグネシウム塩、バリウム塩等);有機塩基塩(例えばトリメチルアミン塩、トリエチルアミン塩、ピリジン塩、ピコリン塩、ジシクロヘキシルアミン塩等)等が挙げられる。
これらの中で好ましくは、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、有機塩基塩等のカルボン酸と塩基の塩であり、更に好ましくは、一般に水に対する溶解度が低く、水溶液からの精製が可能なアルカリ土類金属塩であり、特に好ましくはカルシウム塩、バリウム塩である。
上記式(7)で表される光学活性α−メチル−N−(1’−フェニルエチル)プロリン及びその塩の具体例としては、(2S,1’S)−α−メチル−N−(1’−フェニルエチル)プロリン、(2S,1’R)−α−メチル−N−(1’−フェニルエチル)プロリン、(2R,1’S)−α−メチル−N−(1’−フェニルエチル)プロリン、(2R,1’R)−α−メチル−N−(1’−フェニルエチル)プロリン、(2S,1’S)−α−メチル−N−(1’−フェニルエチル)プロリンカルシウム、(2S,1’S)−α−メチル−N−(1’−フェニルエチル)プロリンバリウム、(2S,1’R)−α−メチル−N−(1’−フェニルエチル)プロリンカルシウム、(2S,1’R)−α−メチル−N−(1’−フェニルエチル)プロリンバリウム、(2R,1’S)−α−メチル−N−(1’−フェニルエチル)プロリンカルシウム、(2R,1’S)−α−メチル−N−(1’−フェニルエチル)プロリンバリウム、(2R,1’R)−α−メチル−N−(1’−フェニルエチル)プロリンカルシウム、(2R,1’R)−α−メチル−N−(1’−フェニルエチル)プロリンバリウムが挙げられる。
工程(a)
上記一般式(2)で表される2−シアノピロリジン類は、上記一般式(1)で表される鎖状ケトン化合物を1級アミン又はその塩、及びシアノ化剤と反応させることにより合成できる。
上記一般式(1)で表される鎖状ケトン化合物は、5−クロロ−2−ペンタノン、4−クロロ−1−フェニル−1−ブタノン等が試薬として購入可能である。また、その他の化合物については、3−クロロプロピオン酸クロリドと芳香族化合物のフリーデルクラフツ反応、γ−ブチロラクトンとエステル類のクライゼン縮合と続くハロゲン化水素での処理等の方法で任意に製造できる(例えばChem.Pharm.Bull.,1989,37,958.参照)。
工程(a)で用いられる1級アミン又はその塩とは、反応系中において1級アミンを提供できる化合物であればよく、その具体例は以下に挙げられ、これらに限定されるものではないが、ベンジルアミン、4−メトキシベンジルアミン、4−ブロモベンジルアミン、α−メチルベンジルアミン、1−(1−ナフチル)エチルアミン、α−フェニルグリシン、α−フェニルグリシンアミド、α−フェニルグリシノール、アリルアミン、プロパルギルアミン等の1級アミン;及びこれらの塩が挙げられる。これらの1級アミン又はその塩から選ばれる2種以上を混合して用いてもよい。なお、1級アミン又はその塩は塩酸塩、酢酸塩、炭酸塩等の塩であってもよく、また不斉点を有する場合、R体であってもS体であっても、ラセミ体であってもよい。これらの中で好ましくは、安価なベンジルアミン、不斉点を有することでジアステレオ選択的に反応を行うことができる(S)−α−メチルベンジルアミン及び(R)−α−メチルベンジルアミンである。
1級アミン又はその塩の使用量は、上記一般式(1)で表される鎖状ケトン化合物に対して0.5〜10当量、好ましくは0.7〜3当量、さらに好ましくは0.8〜1.5当量である。
工程(a)で用いられるシアノ化剤の具体例は以下に挙げられ、これらに限定されるものではないが、シアン化ナトリウム、シアン化カリウム、シアン化銅等の無機シアン化物;トリメチルシリルシアニド、テトラブチルアンモニウムシアニド、トリブチルチンシアニド等の有機シアン化物;青酸;アセトンシアンヒドリン等のシアンヒドリン類;2−アミノ−2−メチルプロパンニトリル等のアミノニトリル化合物等が挙げられる。これらから選ばれる複数のシアノ化剤を混合して用いてもよい。なお、使用するシアノ化剤がアミノニトリル化合物の場合、1級アミン又はその塩を兼ねることもできる。これらの中で好ましくは、自然分解で猛毒の青酸ガスを発生する恐れの少ない無機シアン化物であり、さらに好ましくは、工業的に安価なシアン化ナトリウム、シアン化カリウムである。
シアノ化剤の過剰使用は高濃度のシアン廃液を生じるため好ましくなく、上記一般式(1)で表される鎖状ケトン化合物に対して1〜3当量、好ましくは1.0〜1.5当量、さらに好ましくは1.0〜1.2当量である。
工程(a)において、反応系内を弱酸性〜弱アルカリ性にする目的で、酸性物質を添加することが好ましい。酸性物質の添加は、強アルカリ性で起こりうるシクロプロパン化等の副反応を抑制し、反応を円滑に進行させる目的で行われる。そのため、添加時に酸性でなくても反応系中において加水分解等により酸を発生するカルボン酸エステル等の化合物であってもよく、またアンモニウム塩等の弱塩基と酸の塩であってもよい。その具体例は以下に挙げられ、これらに限定されるものではないが、塩酸、硫酸、硝酸等の鉱酸;酢酸、ギ酸、トリフルオロ酢酸、安息香酸、シュウ酸等のカルボン酸類;メタンスルホン酸、トルエンスルホン酸等のスルホン酸類;リン酸、リン酸二水素ナトリウム、リン酸二水素カリウム、リン酸水素二ナトリウム等のリン酸類;酢酸エチル、酢酸メチル、安息香酸メチル等のカルボン酸エステル類;塩化アンモニウム、硫酸アンモニウム、硫酸水素アンモニウム、硝酸アンモニウム等の鉱酸アンモニウム塩;炭酸アンモニウム、炭酸水素アンモニウム、リン酸一アンモニウム、リン酸水素二アンモニウム等の無機酸アンモニウム塩;酢酸アンモニウム、ギ酸アンモニウム、クエン酸アンモニウム等の有機酸アンモニウム塩が挙げられる。これらから選ばれる複数の酸性物質を混合して用いてもよい。
これらの酸性物質の中で好ましくは、反応によって塩化水素が発生しても反応液を弱酸性に保つことのできる弱酸性のカルボン酸類、カルボン酸エステル類、又は緩衝能の高いリン酸類であり、さらに好ましくはカルボン酸類であり、特に好ましくは工業的に安価な酢酸、ギ酸である。
酸性物質の使用量は、強アルカリ性にならないように部分的に中和できればよく、上記一般式(1)で表される鎖状ケトン化合物に対して0.01〜10当量、好ましくは0.1〜5当量、さらに好ましくは0.3〜3当量である。
工程(a)で用いられる溶媒としては、反応に悪影響を与えない限り特に限定されないが、具体的にはヘキサン、ヘプタン、ベンゼン、トルエン等の炭化水素系溶媒;エチルエーテル、プロピルエーテル、シクロペンチルメチルエーテル、t−ブチルメチルエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル系溶媒;ジクロロメタン、クロロホルム、ジクロロエタン、クロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素系溶媒;酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系溶媒;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶媒;ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン等のアミド系溶媒;炭酸ジメチル、炭酸ジエチル等の炭酸エステル系溶媒;アセトニトリル等のニトリル系溶媒;ジメチルスルホキシド、スルホラン等の含硫黄系溶媒;メタノール、エタノール、2−プロパノール、t−ブタノール等のアルコール系溶媒;水等が挙げられる。これらから選ばれる複数の溶媒を任意の割合に混合して用いてもよい。好ましい溶媒としては、上記一般式(1)で表される鎖状ケトン化合物、1級アミン又はその塩、及び/又はシアノ化剤を溶解する、テトラヒドロフラン、アセトン、ジメチルホルムアミド、アセトニトリル、ジメチルスルホキシド、アルコール系溶媒、水、及びこれらを含む混合溶媒が挙げられ、更に好ましくは、好ましいシアノ化剤であるシアン化ナトリウム、シアン化カリウム、添加することが好ましい酸性物質等を比較的よく溶解し、反応系内を弱酸性〜弱アルカリ性にすることで副反応を抑制できるアルコール系溶媒、水、及びこれらを含む混合溶媒であり、特に好ましくは、水、及び水を含む混合溶媒である。また、溶媒の使用量としては、任意の量の溶媒を用いることができるが、通常は上記一般式(1)で表される鎖状ケトン化合物に対して1〜50倍体積量、好ましくは1〜20倍体積量、更に好ましくは2〜10倍体積量である。
工程(a)の反応温度は、反応に悪影響を与えない範囲であれば特に限定はないが、通常、−20〜120℃であり、好ましくは10〜80℃、更に好ましくは30〜70℃である。
工程(a)の反応時間は、反応に悪影響を与えない範囲であれば特に限定はないが、10分間〜24時間の範囲で行うことが製造コストを抑える観点からも好ましく、更に好ましくは1〜10時間である。
工程(a)で得られる上記一般式(2)で表される2−シアノピロリジン類は、晶析、抽出及び/又は蒸留等の方法で精製することもでき、精製することなく工程(b)の水和反応に使用することもできる。この際、抽出のみで十分な純度と水分除去が達成されるため、それ以上の精製操作を行わず、必要に応じて濃縮操作をした後に次工程に用いることが、作業を簡便にし生産性を高めるため好ましい。
抽出に用いる溶媒は特に限定されないが、ヘキサン、ヘプタン、ベンゼン、トルエン等の炭化水素系溶媒;エチルエーテル、プロピルエーテル、シクロペンチルメチルエーテル、t−ブチルメチルエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル系溶媒;ジクロロメタン、クロロホルム、ジクロロエタン、クロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素系溶媒;酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系溶媒;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶媒;炭酸ジメチル、炭酸ジエチル等の炭酸エステル系溶媒;メタノール、エタノール、2−プロパノール、1−ブタノール、t−ブタノール等のアルコール系溶媒等が挙げられる。これらから選ばれる複数の溶媒を任意の割合に混合して用いてもよく、また、抽出の際に溶媒を添加せず、反応溶媒のみを抽出溶媒として用いてもよい。反応溶媒が水のみの場合は、有機溶媒を使用せずに、分離した水層を除去する抽出であってもよい。好ましい抽出溶媒としては、ヘキサン、ヘプタン、トルエン、酢酸エチル、t−ブタノール、反応溶媒又はこれらの混合溶媒が挙げられ、有機溶媒を添加することなく抽出を行うことが生産性を高めるため更に好ましい。
工程(b)
上記一般式(3)で表されるN,α−置換プロリンアミド類は、上記一般式(2)で表される2−シアノピロリジン類を水和させることにより合成できる。
工程(b)の水和反応は、ニトリルからアミドへの水和反応を進行させる触媒の存在下で行うことができる。水和反応で用いられる触媒の具体例は以下に挙げられ、これらに限定されるものではないが、過酸化水素;t−ブチルハイドロパーオキシド等のハイドロパーオキシド類;過酢酸、メタクロロ過安息香酸等の有機過酸;過硫酸、過ヨウ素酸等の無機過酸;塩酸、臭化水素酸、硫酸、リン酸等の無機酸;トリフルオロメタンスルホン酸、メタンスルホン酸、トリフルオロ酢酸等の有機酸;水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸カリウム等の無機塩基;[{Rh(OMe)(cod)}]PCy、{PtH(PMeOH)(PMeO)H}等の錯体触媒;ニトリルヒドラターゼ活性を有する酵素等が挙げられる。これらから選ばれる複数の触媒を混合して用いてもよい。
これらの中で好ましい触媒は、上記一般式(2)で表される2−シアノピロリジン類の窒素上の置換基によって異なるが、Rが置換されていてもよいアリールアルキル基又は置換されていてもよいアリル基の場合、不安定な基質の分解等の副反応を抑制できる無機酸、有機酸、錯体触媒、酵素であり、さらに好ましくは、工業的に安価な無機酸である。
一方、Rがアセチル基又はt−ブトキシカルボニル基の場合、好ましい触媒は、温和な条件で水和反応を行うことのできる、過酸化水素水と無機塩基の組み合わせ、錯体触媒、酵素であり、さらに好ましくは、工業的に安価な過酸化水素水と無機塩基の組み合わせである。
用いる触媒の活性によってその好ましい使用量は変わるが、一般に上記一般式(2)で表される2−シアノピロリジン類に対して0.01〜100当量、好ましくは0.02〜20当量、さらに好ましくは0.1〜10当量である。
工程(b)では、必要に応じて溶媒を用いても良い。用いられる溶媒としては、反応に悪影響を与えない限り特に限定されないが、具体的にはヘキサン、ヘプタン、ベンゼン、トルエン等の炭化水素系溶媒;エチルエーテル、プロピルエーテル、シクロペンチルメチルエーテル、t−ブチルメチルエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル系溶媒;ジクロロメタン、クロロホルム、ジクロロエタン、クロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素系溶媒;酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系溶媒;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶媒;ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン等のアミド系溶媒;炭酸ジメチル、炭酸ジエチル等の炭酸エステル系溶媒;アセトニトリル等のニトリル系溶媒;ジメチルスルホキシド、スルホラン等の含硫黄系溶媒;メタノール、エタノール、2−プロパノール、t−ブタノール等のアルコール系溶媒;水等が挙げられる。これらから選ばれる複数の溶媒を任意の割合に混合して用いてもよい。好ましい溶媒としては、トルエン、酢酸エチル、テトラヒドロフラン、アセトン、ジメチルホルムアミド、アセトニトリル、ジメチルスルホキシド、アルコール系溶媒、水、及びこれらの混合溶媒が挙げられ、更に好ましくはアルコール系溶媒、水、及びこれらの混合溶媒である。また、溶媒の使用量としては、任意の量の溶媒を用いることができるが、通常は上記一般式(2)で表される2−シアノピロリジン類に対して0〜50倍体積量、好ましくは0〜20倍体積量、更に好ましくは0〜10倍体積量である。特に触媒が好ましい無機酸の場合、過剰の溶媒は触媒の活性を低下させるため、好ましい溶媒の使用量は0〜5倍体積量、更に好ましくは0〜1倍体積量である。
工程(b)の反応温度は、反応に悪影響を与えない範囲であれば特に限定はないが、通常、−20〜120℃であり、好ましくは10〜80℃、更に好ましくは30〜70℃である。
工程(b)の反応時間は、反応に悪影響を与えない範囲であれば特に限定はないが、10分間〜24時間の範囲で行うことが製造コストを抑える観点からも好ましく、更に好ましくは1〜10時間である。
工程(b)で得られる上記一般式(3)で表されるN,α−置換プロリンアミド類は、抽出、蒸留及び/又は晶析等の方法で精製することもでき、精製することなく工程(c)の分割反応に使用することもできる。
抽出及び/又は晶析等に用いる溶媒は特に限定されないが、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエン等の炭化水素系溶媒;エチルエーテル、プロピルエーテル、シクロペンチルメチルエーテル、t−ブチルメチルエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル系溶媒;ジクロロメタン、クロロホルム、ジクロロエタン、クロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素系溶媒;酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系溶媒;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶媒;炭酸ジメチル、炭酸ジエチル等の炭酸エステル系溶媒;1−ブタノール、2−ブタノール、1−ヘキサノール等のアルコール系溶媒等が挙げられる。これらから選ばれる複数の溶媒を任意の割合に混合して用いてもよい。好ましい抽出溶媒としては、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン、トルエン、酢酸エチル、1−ブタノール又はこれらの混合溶媒が挙げられる。
ここで晶析とは、溶液中に貧溶媒、酸、塩基等の添加、又は水等の富溶媒の共沸除去により溶解度を下げることで目的物を結晶として取り出す通常の晶析に加え、一旦得られた粗結晶等を適当な溶媒に溶解させた後、再度結晶化させる再結晶も含む。ここで得られる結晶は、酸又は塩基成分を含まないα−置換プロリンアミド類であっても、α−置換プロリンアミド類と酸又は塩基の塩であってもよい。
工程(c)
ピロリジンの2位の立体化学がR体:S体(モル比)=90:10〜10:90である、上記一般式(3)で表されるN,α−置換プロリンアミド類異性体混合物を分割することによって、ピロリジンの2位の立体化学がR体:S体(モル比)=90:10〜100:0又はR体:S体(モル比)=10:90〜0:100である、上記一般式(4)で表される光学活性N,α−置換プロリンアミド類とすることができる。
効率的に分割できる手法であれば特に限定されないが、具体的には(f)ジアステレオマー塩形成による分割;(g)カラムクロマトグラフィーによる分離が挙げられる。本発明の分割工程は、工程(f)又は(g)のいずれか単独の工程でもよいし、工程(f)又は(g)の工程を組み合わせてもよい。
工程(f):ジアステレオマー塩形成による分割
工程(f)におけるジアステレオマー塩形成による分割とは、一般式(3)で表されるN,α−置換プロリンアミド類異性体混合物がピロリジンの2位以外に不斉点を持たない場合は光学活性な酸、N,α−置換プロリンアミド類異性体混合物が不斉点を複数持つジアステレオマー混合物の場合は、光学活性な酸又はアキラルな酸を作用させ、生成した結晶性及び/又は非晶性の塩をろ過等の方法により分離することで分割する方法である。この操作により、ピロリジンの2位の立体化学がR体:S体(モル比)=90:10〜100:0又はR体:S体(モル比)=10:90〜0:100である、上記一般式(4)で表される光学活性N,α−置換プロリンアミド類が得られる。
工程(f)において用いられる光学活性な酸の具体例は以下に挙げられ、これらに限定されるものではないが、L−酒石酸、D−酒石酸、(2S,3S)−ジベンゾイル酒石酸、(2R,3R)−ジベンゾイル酒石酸、(2S,3S)−ジ(p−トルオイル)酒石酸、(2R,3R)−ジ(p−トルオイル)酒石酸等の酒石酸類;(S)−マンデル酸、(R)−マンデル酸等のマンデル酸類;N−アセチル−L−アラニン、N−アセチル−L−フェニルグリシン、N−アセチル−D−フェニルグリシン、N−ベンジル−L−フェニルグリシン、N−ベンジル−D−フェニルグリシン、N−アセチル−L−フェニルアラニン、N−アセチル−L−グルタミン酸、N−アセチル−L−アスパラギン酸等のアミノ酸誘導体;(S)−10−カンファースルホン酸、(R)−10−カンファースルホン酸、(S)−1−フェニルエタンスルホン酸、(R)−1−フェニルエタンスルホン酸等の光学活性スルホン酸等が挙げられる。これらの中で好ましくは、工業的に安価で一般に高い分割能を示す酒石酸類、又はマンデル酸類である。
工程(f)において用いられるアキラルな酸の具体例は以下に挙げられ、これらに限定されるものではないが、塩酸、硫酸、硝酸等の鉱酸;酢酸、ギ酸、トリフルオロ酢酸、安息香酸、シュウ酸、マレイン酸、コハク酸等のカルボン酸類;メタンスルホン酸、トルエンスルホン酸等のスルホン酸類が挙げられる。これらの中で好ましくは、工業的に安価で一般に塩の結晶性が高い塩酸、酢酸、安息香酸、シュウ酸、マレイン酸、コハク酸、トルエンスルホン酸である。
なお、用いられる光学活性な酸及び/又はアキラルな酸が、酸性基を複数有する2価以上の酸である場合、生成するジアステレオマー塩は1対1の塩でも1対2以上の塩であってもよい。
光学活性な酸及び/又はアキラルな酸の使用量は、上記一般式(3)で表されるN,α−置換プロリンアミド類異性体混合物に対して0.1〜10当量、過剰使用は結晶化を妨げることから、好ましくは0.2〜3当量、さらに好ましくは0.3〜1当量である。なお、ここでいう使用量とは、塩形成に使用される酸の当量である。
工程(f)において用いられる溶媒は特に限定されないが、ヘキサン、ヘプタン、ベンゼン、トルエン等の炭化水素系溶媒;エチルエーテル、プロピルエーテル、シクロペンチルメチルエーテル、t−ブチルメチルエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル系溶媒;ジクロロメタン、クロロホルム、ジクロロエタン、クロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素系溶媒;酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル等のエステル系溶媒;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶媒;炭酸ジメチル、炭酸ジエチル等の炭酸エステル系溶媒;アセトニトリル等のニトリル系溶媒;ジメチルスルホキシド、スルホラン等の含硫黄系溶媒;メタノール、エタノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、t−ブタノール等のアルコール系溶媒;水等が挙げられる。これらから選ばれる複数の溶媒を任意の割合に混合して用いてもよい。
好ましい溶媒としては、上記一般式(3)で表されるN,α−置換プロリンアミド類異性体混合物、及び光学活性な酸、又はアキラルな酸に対して十分な溶解度を持ち、生成するジアステレオマー塩の溶解度が十分低いものが良く、エチルエーテル、プロピルエーテル、シクロペンチルメチルエーテル、t−ブチルメチルエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル系溶媒;酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル等のエステル系溶媒;メタノール、エタノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、t−ブタノール等のアルコール系溶媒及びこれらの溶媒と任意の溶媒の混合溶媒であり、さらに好ましくは酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル等のエステル系溶媒及びこれらの溶媒と任意の溶媒の混合溶媒である。
また、ジアステレオマー塩の溶解度が低い溶媒を反応溶液に添加することで、結晶化を促進してもよい。この時用いられる溶媒としては、ヘキサン、ヘプタン、ベンゼン、トルエン等の炭化水素系溶媒;酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル等のエステル系溶媒が挙げられる。
用いられる溶媒の使用量は、通常上記一般式(3)で表されるN,α−置換プロリンアミド類異性体混合物に対して1〜50倍体積量、析出したジアステレオマー塩の流動性が確保できる量が必要で、かつ使用量が少ない方が生産性が高いため、好ましくは2〜20倍体積量、さらに好ましくは3〜10倍体積量である。
結晶化を誘起するために種結晶を添加しても良い。工程(f)で得られるジアステレオマー塩を種結晶として用いることができる。また、純度の高い、上記一般式(4)で表される光学活性N,α−置換プロリンアミド類と光学活性な酸、又はアキラルな酸を溶解させた後、濃縮乾固、冷却、物理的衝撃等の操作を行うことにより得たものでもよい。
工程(f)の温度は特に限定はないが、通常、−20〜120℃、好ましくは−10〜80℃、更に好ましくは0〜70℃である。種結晶を用いる場合、比較的溶解度の高い高温で種結晶を添加し、徐々に冷却することが、純度の高い結晶を得るうえで好ましい。
工程(f)において、ろ液のジアステレオマー純度及び/又は光学純度を高めることで分割を達成しても良いが、結晶の純度を高めることは一般に容易であるため、結晶として得られるジアステレオマー塩のジアステレオマー純度を高めることで分割を達成することが好ましい。また、得られる上記一般式(4)で表される光学活性N,α−置換プロリンアミド類のジアステレオマー純度及び/又は光学純度が不十分である場合は、再結晶等の方法で純度を高めることが好ましい。
工程(f)で得られる上記一般式(4)で表される光学活性N,α−置換プロリンアミド類のジアステレオマー純度及び/又は光学純度は任意の値でよいが、純度が低い場合は本工程以外で純度を高める必要があるため、ピロリジンの2位の立体化学について、好ましくはR体:S体(モル比)=90:10〜100:0又はR体:S体(モル比)=10:90〜0:100、更に好ましくはR体:S体(モル比)=97.5:2.5〜100:0又はR体:S体(モル比)=2.5:97.5〜0:100であることが好ましい。医薬品及びその中間体の場合、高い光学純度が要求されるため、より好ましくはR体:S体(モル比)=99:1〜100:0又はR体:S体(モル比)=1:99〜0:100、特に好ましくはR体:S体(モル比)=99.5:0.5〜100:0又はR体:S体(モル比)=0.5:99.5〜0:100である。
工程(f)で得られる上記一般式(4)で表される光学活性N,α−置換プロリンアミド類のジアステレオマー塩は、抽出等の方法で光学活性α−置換プロリンアミド類と光学活性な酸及び/又はアキラルな酸を分離することができる。また、分離した光学活性な酸及び/又はアキラルな酸は、回収、再利用してもよい。
工程(f)の後に続けて反応を行う場合、上記ジアステレオマー塩を原料として用いてもよく、光学活性な酸及び/又はアキラルな酸を分離した上記一般式(4)で表される光学活性N,α−置換プロリンアミド類を原料として用いてもよい。
工程(g):カラムクロマトグラフィーによる分離
工程(g)におけるカラムクロマトグラフィーによる分離とは、上記一般式(3)で表されるN,α−置換プロリンアミド類異性体混合物がジアステレオマー混合物の場合に、アキラルな充填剤を詰めたカラムを通すことでそれぞれのジアステレオマーを分離する方法である。この操作により、上記一般式(4)で表される光学活性α−置換プロリンアミド類が得られる。
工程(g)に用いられるカラムクロマトグラフィーの例は以下に挙げられ、これらに限定されるものではないが、球状シリカゲル(中性)、球状シリカゲル(酸性)を用いたシリカゲルカラムクロマトグラフィー;炭素数18、炭素数8等の直鎖状アルキル基が結合したシリカゲルを用いた逆相カラムクロマトグラフィー;スチレン−ジビニルベンゼン系合成吸着剤を用いたカラムクロマトグラフィー等が挙げられる。なお、合成吸着剤の具体例としては、三菱化学社製HP20、HP21、SP70、SP207、SP700、SP825、SP850等が挙げられる。これらの中で好ましくは、安価かつ繰り返し利用の容易なシリカゲルカラムクロマトグラフィー、合成吸着剤を用いたカラムクロマトグラフィーであり、さらに好ましくは、溶離液に安価な水系溶媒を用いることができる合成吸着剤を用いたカラムクロマトグラフィーである。
また、分離の方法としては、毎回チャージしたサンプルを完全溶出させるバッチ式カラムクロマトグラフィーであってもよく、擬似移動床を用いた連続式カラムクロマトグラフィーであってもよい。
工程(g)において用いられる溶媒は特に限定されないが、ヘキサン、ヘプタン、ベンゼン、トルエン等の炭化水素系溶媒;エチルエーテル、プロピルエーテル、シクロペンチルメチルエーテル、t−ブチルメチルエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル系溶媒;ジクロロメタン、クロロホルム、ジクロロエタン、クロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素系溶媒;酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル等のエステル系溶媒;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶媒;炭酸ジメチル、炭酸ジエチル等の炭酸エステル系溶媒;アセトニトリル等のニトリル系溶媒;ジメチルスルホキシド、スルホラン等の含硫黄系溶媒;メタノール、エタノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、t−ブタノール等のアルコール系溶媒;水等が挙げられる。これらから選ばれる複数の溶媒を任意の割合に混合して用いてもよい。
好ましい溶媒は用いられるカラムクロマトグラフィーの種類によって異なるが、好ましい合成吸着剤を用いたカラムクロマトグラフィーの場合、ケトン系溶媒;ニトリル系溶媒;アルコール系溶媒;水が好ましく、さらに好ましくは安価なアセトン、メタノール、水である。
また、必要に応じてpH調整のための添加剤を加えても良い。添加剤の具体例としては、酢酸、ギ酸等の酸;酢酸アンモニウム、酢酸ナトリウム、塩化アンモニウム等の塩;アンモニア、水酸化ナトリウム等の塩基等が挙げられ、これらを任意の割合で混合して用いても良い。
工程(g)において得られる上記一般式(4)で表される光学活性α−置換プロリンアミド類は、カルバモイル基が結合する炭素原子のみに不斉点を有する場合、80%ee以上とすることが好ましく、90%eeとすることがより好ましく、95%ee以上とすることが更に好ましい。医薬品及びその中間体の場合、高い光学純度が要求されるため、99%ee以上とすることが特に好ましい。また、分子内に複数の不斉点を有する場合、ピロリジンの2位の立体化学について、R体:S体(モル比)=90:10〜100:0又はR体:S体(モル比)=10:90〜0:100とすることが好ましく、R体:S体(モル比)=97.5:2.5〜100:0又はR体:S体(モル比)=2.5:97.5〜0:100とすることが更に好ましい。医薬品及びその中間体の場合、高い光学純度が要求されるため、より好ましくはR体:S体(モル比)=99:1〜100:0又はR体:S体(モル比)=1:99.5〜0:100であり、R体:S体(モル比)=99.5:0.5〜100:0又はR体:S体(モル比)=0.5:99.5〜0:100とすることが特に好ましい。
工程(d)
上記一般式(5)で表される光学活性N,α−置換プロリン類は、上記一般式(4)で表される光学活性N,α−置換プロリンアミド類を、1当量以上の水の存在下、加水分解することにより合成できる。
工程(d)の加水分解反応は、アミドをカルボン酸へ加水分解する触媒及び/又は反応試薬の存在下で行うことができる。加水分解反応で用いられる触媒及び/又は反応試薬の具体例は以下に挙げられ、これらに限定されるものではないが、塩酸、臭化水素酸、硫酸、リン酸等の無機酸;トリフルオロメタンスルホン酸、メタンスルホン酸、トリフルオロ酢酸等の有機酸;水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸カリウム等の無機塩基;アミダーゼ活性を有する酵素等が挙げられる。これらから選ばれる複数の触媒を混合して用いてもよい。
これらの中で好ましい触媒及び/又は反応試薬は、工業的に安価な無機酸、有機酸、無機塩基、酵素であり、さらに好ましくは無機酸である。
用いる触媒及び/又は反応試薬の活性によってその好ましい使用量は変わるが、一般に上記一般式(4)で表される光学活性N,α−置換プロリンアミド類に対して0.01〜100当量、好ましくは0.02〜20当量、さらに好ましくは0.1〜10当量である。
工程(d)では、必要に応じて溶媒を用いても良い。用いられる溶媒としては、反応に悪影響を与えない限り特に限定されないが、具体的にはヘキサン、ヘプタン、ベンゼン、トルエン等の炭化水素系溶媒;エチルエーテル、プロピルエーテル、シクロペンチルメチルエーテル、t−ブチルメチルエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル系溶媒;ジクロロメタン、クロロホルム、ジクロロエタン、クロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素系溶媒;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶媒;ジメチルスルホキシド、スルホラン等の含硫黄系溶媒;メタノール、エタノール、2−プロパノール、1−ブタノール、t−ブタノール等のアルコール系溶媒;水等が挙げられる。これらから選ばれる複数の溶媒を任意の割合に混合して用いてもよい。好ましい溶媒としては、トルエン、テトラヒドロフラン、アセトン、ジメチルスルホキシド、アルコール系溶媒、水、及びこれらの混合溶媒が挙げられ、更に好ましくはアルコール系溶媒、水、及びこれらの混合溶媒である。また、溶媒の使用量としては、任意の量の溶媒を用いることができるが、通常は上記一般式(4)で表される光学活性N,α−置換プロリンアミド類に対して0〜50倍体積量、好ましくは0〜20倍体積量、更に好ましくは0〜10倍体積量である。特に触媒が好ましい無機酸の場合、過剰の溶媒は触媒の活性を低下させるため、好ましい溶媒の使用量は0〜5倍体積量、更に好ましくは0〜1倍体積量である。
工程(d)の反応温度は、反応に悪影響を与えない範囲であれば特に限定はないが、通常、−20〜120℃であり、好ましくは10〜80℃、更に好ましくは30〜70℃である。
工程(d)の反応時間は、反応に悪影響を与えない範囲であれば特に限定はないが、10分間〜24時間の範囲で行うことが製造コストを抑える観点からも好ましく、更に好ましくは1〜10時間である。
工程(d)で得られる上記一般式(5)で表される光学活性N,α−置換プロリン類は、精製することなく次工程に使用することができるが、以降の工程での精製負荷軽減のため、精製することが好ましい。特に、好ましい触媒及び/又は反応試薬である無機酸を用いた場合、無機酸と反応で生成するアンモニアの塩が混入するため、工程(d)において塩を除去しておくことが好ましい。効率的に塩及び不純物が除去できる方法であれば精製方法は特に限定されないが、具体的には極性有機溶媒による抽出、金属塩としての晶析等が挙げられる。
極性有機溶媒による抽出に用いる溶媒は特に限定されないが、エチルエーテル、プロピルエーテル、シクロペンチルメチルエーテル、t−ブチルメチルエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル系溶媒;ジクロロメタン、クロロホルム、ジクロロエタン、クロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素系溶媒;酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系溶媒;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶媒;炭酸ジメチル、炭酸ジエチル等の炭酸エステル系溶媒;アセトニトリル、プロピオニトリル等のニトリル系溶媒;1−ブタノール、2−ブタノール、1−ヘキサノール等のアルコール系溶媒等が挙げられる。これらから選ばれる複数の溶媒を任意の割合に混合して用いてもよい。好ましい抽出溶媒は、高極性物質の抽出に優れたアルコール系溶媒であり、更に好ましくは1−ブタノールである。
また、上記一般式(5)で表される光学活性N,α−置換プロリン類の回収率を高める目的で、分液後の水層を有機溶媒で繰り返し抽出することが好ましい。好ましい再抽出の回数は1〜10回、更に好ましくは2〜6回、繰り返し回数が多いと作業時間が増えて煩雑になるため、特に好ましくは2〜4回である。
抽出においてpHを適切にコントロールすることが、カルボキシル基とアミノ基の両方を有する光学活性N,α−置換プロリン類の抽出効率を高める上で好ましい。好ましいpHの範囲は2〜7であり、更に好ましくは3〜6であり、特に好ましくは4〜5である。
晶析に用いる溶媒は特に限定されないが、具体的にはヘキサン、ヘプタン、ベンゼン、トルエン等の炭化水素系溶媒;エチルエーテル、プロピルエーテル、シクロペンチルメチルエーテル、t−ブチルメチルエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル系溶媒;ジクロロメタン、クロロホルム、ジクロロエタン、クロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素系溶媒;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶媒;ジメチルスルホキシド、スルホラン等の含硫黄系溶媒;メタノール、エタノール、2−プロパノール、1−ブタノール、t−ブタノール等のアルコール系溶媒;水等が挙げられる。これらから選ばれる複数の溶媒を任意の割合に混合して用いてもよい。
加水分解反応に好ましい無機酸を用いた場合、反応液中には無機酸と加水分解で生じるアンモニアが含まれるため、これらを溶解させることができる、水、又は水と混和する溶媒と水の混合溶媒等が好ましく、更に好ましくはアルコール系溶媒、水、又はこれらの混合溶媒である。また、溶媒の使用量としては、任意の量の溶媒を用いることができるが、通常は上記一般式(5)で表される光学活性N,α−置換プロリン類に対して1〜50倍体積量、好ましくは2〜20倍体積量、更に好ましくは3〜10倍体積量である。
ここで晶析とは、溶液中に貧溶媒、酸、塩基等の添加、又は水等の富溶媒の共沸除去により溶解度を下げることで目的物を結晶として取り出す通常の晶析に加え、一旦得られた粗結晶等を適当な溶媒に溶解させた後、再度結晶化させる再結晶も含む。ここで得られる結晶は、酸又は塩基成分を含まない光学活性N,α−置換プロリン類であっても、光学活性N,α−置換プロリン類と酸又は塩基の塩であってもよい。
上記一般式(5)で表される光学活性N,α−置換プロリン類は、晶析において好ましい溶媒である水、又は水と混和する溶媒と水の混合溶媒に対して溶解度が高いため、光学活性N,α−置換プロリン類を金属塩としての晶析させることが好ましい。一般に、カルボン酸のアルカリ土類金属塩は水やその他の溶媒に対して難溶性であるため、アルカリ土類金属塩として結晶を析出させることがより好ましく、カルシウム塩、バリウム塩として結晶を析出させることが特に好ましい。
好ましい光学活性N,α−置換プロリン類の金属塩を晶析させる方法としては、光学活性N,α−置換プロリン類を含む溶液に金属の水酸化物及び/又はその溶液を添加してもよく、溶液をアルカリ性とした後に、金属の塩化物等の中性塩及び/又はその溶液を添加してもよい。また、光学活性N,α−置換プロリン類を含む溶液を、金属を含む溶液に添加してもよい。
金属塩として晶析させることによって得られる光学活性N,α−置換プロリン類の金属塩は、酸と反応させることによって塩を含まない光学活性N,α−置換プロリン類とすることができる。その方法は塩が除去できれば特に限定されないが、溶媒中に懸濁させ、光学活性N,α−置換プロリン類より強い酸を添加することで塩の交換を行い、通常析出する添加した酸の金属塩をろ過等により除去することが、抽出等より簡便に光学活性N,α−置換プロリン類を取得できるため好ましい。
塩の除去に用いる酸は、塩交換を行うことができる光学活性N,α−置換プロリン類より強い酸であれば特に限定されないが、具体的には、塩酸、硫酸、硝酸等の鉱酸;ギ酸、酢酸、プロピオン酸、ブタン酸、ヘキサン酸、トリフルオロ酢酸、安息香酸、シュウ酸等のカルボン酸類;メタンスルホン酸、トルエンスルホン酸等のスルホン酸類;リン酸、リン酸二水素ナトリウム、リン酸二水素カリウム、リン酸水素二ナトリウム等のリン酸類等が挙げられる。これらから選ばれる複数の酸を混合して用いてもよい。
これらの酸の中で好ましくは、過剰に加えても光学活性N,α−置換プロリン類と塩を形成しないカルボン酸類であり、さらに好ましくはギ酸、酢酸、プロピオン酸、ブタン酸、ヘキサン酸であり、特に好ましくは工業的に安価な酢酸、プロピオン酸である。
酸性物質の使用量は、光学活性N,α−置換プロリン類金属塩に対して0.8〜10当量、好ましくは1.0〜5当量、さらに好ましくは1.1〜2当量である。
塩の除去に用いる溶媒は特に限定されないが、具体的にはヘキサン、ヘプタン、ベンゼン、トルエン等の炭化水素系溶媒;エチルエーテル、プロピルエーテル、シクロペンチルメチルエーテル、t−ブチルメチルエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル系溶媒;ジクロロメタン、クロロホルム、ジクロロエタン、クロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素系溶媒;酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル等のエステル系溶媒;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶媒;ジメチルスルホキシド、スルホラン等の含硫黄系溶媒;メタノール、エタノール、2−プロパノール、1−ブタノール、t−ブタノール等のアルコール系溶媒等が挙げられる。これらから選ばれる複数の溶媒を任意の割合に混合して用いてもよい。
これらの溶媒の中で好ましくは、塩交換により生じる光学活性N,α−置換プロリン類の溶解度の高い、エーテル系溶媒、エステル系溶媒、ケトン系溶媒、アルコール系溶媒であり、更に好ましくは次の工程(e)において好ましい溶媒であるアルコール系溶媒であり、特に好ましくはメタノール、エタノールである。また、溶媒の使用量としては、任意の量の溶媒を用いることができるが、通常は上記一般式(5)で表される光学活性N,α−置換プロリン類に対して1〜50倍体積量、好ましくは2〜20倍体積量、更に好ましくは3〜10倍体積量である。
塩の除去によって得られる光学活性N,α−置換プロリン類の溶液は、濃縮して結晶を取得してから次工程に用いてもよいが、得られた溶液のまま次工程に用いることが、操作の簡略化のため好ましい。
工程(e)
上記一般式(6)で表される光学活性α−置換プロリン類は、上記一般式(5)で表される光学活性N,α−置換プロリン類の保護基を除去、すなわち置換基Rを水素原子へと変換することにより合成できる。
工程(e)の保護基の除去反応は、用いられる保護基の種類によりその反応条件が異なるが、Rがより好ましい保護基であるアリールアルキル基の場合、金属触媒を用いた水素添加反応、三臭化ホウ素等のルイス酸を用いた反応、2,3−ジクロロ−5,6−ジシアノパラベンゾキノン等の酸化剤を用いた反応等が挙げられる。これらの中では、好ましくは、触媒のろ過後に原料由来の不純物が残存しない、金属触媒を用いた水素添加反応である。
用いられる金属触媒の具体例は以下に挙げられ、これらに限定されるものではないが、パラジウム炭素、水酸化パラジウム炭素等のパラジウム触媒;白金炭素、酸化白金等の白金触媒、ラネーニッケル、ニッケル炭素等のニッケル触媒等が挙げられる。これらの中で好ましくは、安価かつ回収も容易なパラジウム触媒である。
金属触媒の使用量は、上記一般式(5)で表される光学活性N,α−置換プロリン類に対して通常0.0001〜1当量、好ましくは0.001〜0.2当量、さらに好ましくは0.005〜0.1当量である。
工程(e)で用いられる溶媒としては、反応に悪影響を与えない限り特に限定されないが、具体的にはヘキサン、ヘプタン、ベンゼン、トルエン等の炭化水素系溶媒;エチルエーテル、プロピルエーテル、シクロペンチルメチルエーテル、t−ブチルメチルエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル系溶媒;ジクロロメタン、クロロホルム、ジクロロエタン、クロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素系溶媒;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶媒;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピペリジノン等のアミド系溶媒;ジメチルスルホキシド、スルホラン等の含硫黄系溶媒;メタノール、エタノール、2−プロパノール、1−ブタノール、t−ブタノール等のアルコール系溶媒;水等が挙げられる。これらから選ばれる複数の溶媒を任意の割合に混合して用いてもよい。好ましい溶媒としては、原料である光学活性N,α−置換プロリン類及び生成物である光学活性α−置換プロリン類の溶解度が高いアルコール系溶媒であり、更に好ましくはメタノール、エタノールである。
また、溶媒の使用量としては、任意の量の溶媒を用いることができるが、通常は上記一般式(5)で表される光学活性N,α−置換プロリン類に対して1〜50倍体積量、好ましくは2〜20倍体積量、更に好ましくは3〜10倍体積量である。
工程(e)の反応温度は、反応に悪影響を与えない範囲であれば特に限定はないが、通常、−20〜120℃であり、好ましくは10〜80℃、更に好ましくは30〜70℃である。
工程(e)の反応時間は、反応に悪影響を与えない範囲であれば特に限定はないが、10分間〜24時間の範囲で行うことが製造コストを抑える観点からも好ましく、更に好ましくは1〜10時間である。
工程(e)で好ましい金属触媒を用いた場合、イオン交換樹脂等で精製することもできるが、触媒をろ過で除去した後、晶析により上記一般式(6)で表される光学活性α−置換プロリン類を取得することが、工業的に簡便であり、好ましい。なお、残留金属を含む不純物除去の目的で、活性炭等で処理した後に晶析を行ってもよい。また、上記一般式(6)で表される光学活性α−置換プロリン類がハロゲン化水素との塩を形成している場合、エポキシ化合物と反応させることにより、塩を含まない光学活性α−置換プロリン類として晶析することが、医薬中間体として使用する際にハロゲン化水素塩を中和する必要がないため好ましい。
一般式(6)で表される光学活性α−置換プロリン類のハロゲン化水素塩としては、フッ化水素酸塩、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩が挙げられる。これらの中で好ましくは、着色等の恐れや毒性の懸念が少ない塩酸塩である。
ここで用いられるエポキシ化合物は、塩を形成しているハロゲン化水素を効率的に除去できれば特に限定されないが、具体的には、酸化エチレン、酸化プロピレン、酸化イソブチレン等の脂肪族エポキシ化合物;酸化スチレン、酸化ジビニルベンゼン等の芳香族エポキシ化合物等が挙げられ、好ましくは沸点が低く濃縮操作で除去の容易な脂肪族エポキシ化合物であり、更に好ましくは工業的に安価で低沸点ながら常温で液体のため扱いの容易な酸化プロピレンである。
また、エポキシ化合物の使用量としては、任意の量を用いることができるが、通常は上記一般式(6)で表される光学活性α−置換プロリン類に対して1〜50倍体積量、好ましくは2〜20倍体積量、更に好ましくは3〜10倍体積量である。
晶析に用いる溶媒は特に限定されないが、具体的にはヘキサン、ヘプタン、ベンゼン、トルエン等の炭化水素系溶媒;エチルエーテル、プロピルエーテル、シクロペンチルメチルエーテル、t−ブチルメチルエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル系溶媒;ジクロロメタン、クロロホルム、ジクロロエタン、クロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素系溶媒;酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル等のエステル系溶媒;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶媒;炭酸ジメチル、炭酸ジエチル等の炭酸エステル系溶媒;アセトニトリル等のニトリル系溶媒;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピペリジノン等のアミド系溶媒;ジメチルスルホキシド、スルホラン等の含硫黄系溶媒;メタノール、エタノール、2−プロパノール、1−ブタノール、t−ブタノール等のアルコール系溶媒;水等が挙げられる。これらから選ばれる複数の溶媒を任意の割合に混合して用いてもよい。好ましい溶媒としては、エーテル系溶媒、ケトン系溶媒、ニトリル系溶媒、アミド系溶媒、含硫黄系溶媒、アルコール系溶媒、水及びこれらの混合溶媒であり、より好ましくはエーテル系溶媒、ケトン系溶媒、ニトリル系溶媒、アミド系溶媒、含硫黄系溶媒、及びアルコール系溶媒から選ばれる1種類以上の溶媒と水の混合溶媒であり、更に好ましくは、エーテル系溶媒、ケトン系溶媒、ニトリル系溶媒、及び含硫黄系溶媒から選ばれる1種類以上の溶媒とアルコール系溶媒と水の混合溶媒であり、特に好ましくはケトン系溶媒、アルコール系溶媒、及び水のそれぞれから1種類以上を選択する混合溶媒である。
また、溶媒の添加方法として、好ましくは光学活性α−置換プロリン類に対する溶解度が適度に高いアルコール系溶媒及び水、又はこれらの混合溶媒に光学活性α−置換プロリン類を溶解した後に、光学活性α−置換プロリン類に対する溶解度が比較的低く、その他の不純物を比較的良好に溶解させるケトン系溶媒を加える方法が好ましい。
溶媒の使用量としては、任意の量の溶媒を用いることができるが、通常は上記一般式(6)で表される光学活性α−置換プロリン類に対して1〜50倍体積量、好ましくは2〜20倍体積量、更に好ましくは3〜10倍体積量である。また、混合溶媒として添加することが好ましい水の使用量は、少なすぎると不純物の除去効果が少ない一方、多すぎると光学活性α−置換プロリン類の回収率が著しく低下するため、通常は上記一般式(6)で表される光学活性α−置換プロリン類に対して0.01〜5倍体積量、好ましくは0.1〜3倍体積量、更に好ましくは0.2〜1倍体積量である。
ここで晶析とは、溶液中に貧溶媒、酸、塩基等を添加する又は水等の富溶媒を共沸除去することによって、目的物の溶解度を下げ、目的物を結晶として取り出す通常の晶析に加え、一旦得られた粗結晶等を適当な溶媒に溶解させた後、再度結晶化させる再結晶も含む。本発明で得られる結晶は、酸又は塩基成分を含まない光学活性α−置換プロリン類であってもよく、光学活性α−置換プロリン類と酸又は塩基の塩であってもよい。
以下、本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。
[実施例1]
1−ベンジル−2−シアノ−2−メチルピロリジンの製造(上記一般式(2)において、R=Me、R=Bn、R=H;工程(a)ベンジルアミン、酢酸使用、t−ブタノール−水溶媒での反応)
Figure 0005959417
フラスコに5−クロロ−2−ペンタノン0.57ml(5.0mmol)、シアン化ナトリウム270mg(5.5mmol)、ベンジルアミン1.64ml(15mmol)、酢酸0.86ml(15mmol)、水2.5ml、t−ブタノール2.5mlを仕込み、50℃で2時間反応させた。反応液に酢酸エチル10mlと50w/v%NaOH水溶液1.2mlを加えた後、水層を除去した。有機層を濃縮し、淡褐色油状物質2.15gを得た。NMR分析の結果から、この油状物質は1−ベンジル−2−シアノ−2−メチルピロリジンを47重量%(1.01g、定量的)、ベンジルアミンを48重量%、酢酸エチルを2重量%、t−ブタノールを3重量%含有する混合物であった。
H−NMR(400MHz,CDCl)δ1.56(3H,s),1.74−1.95(3H,m),2.30−2.45(2H,m),2.99(1H,ddd,J=9.8,8.3,3.3Hz),3.35(1H,d,J=13.1Hz),4.02(1H,d,J=13.1Hz),7.24−7.37(5H,m).
[実施例2]
1−ベンジル−2−シアノ−2−メチルピロリジンの製造(上記一般式(2)において、R=Me、R=Bn、R=H;工程(a)酢酸エチル−水溶媒での反応)
フラスコに5−クロロ−2−ペンタノン2.28ml(20mmol)、シアン化ナトリウム1.08g(22mmol)、ベンジルアミン2.40ml(22mmol)、酢酸1.26ml(22mmol)、水4.6ml、酢酸エチル9.1mlを仕込み、50℃で3時間反応させた。反応液に50w/v%NaOH水溶液0.8ml(10mmol)とシアン化ナトリウム0.50g(10mmol)を加えた後、さらに50℃で2時間反応させた。室温に冷却した後、水層を除去し、有機層を濃縮し、淡褐色油状物質4.30gを得た。NMR分析の結果から、この油状物質は1−ベンジル−2−シアノ−2−メチルピロリジンを78重量%(3.35g、収率84%)、5−クロロ−2−ペンタノンを2重量%、鎖状中間体である2−ベンジルアミノ−5−クロロ−2−シアノペンタンを12重量%、ベンジルアミンを6重量%、酢酸エチルを1重量%含有する混合物であった。
[実施例3]
1−ベンジル−2−シアノ−2−メチルピロリジンの製造(上記一般式(2)において、R=Me、R=Bn、R=H;工程(a)トルエン−水溶媒での反応)
フラスコに5−クロロ−2−ペンタノン0.57ml(5.0mmol)、シアン化ナトリウム270mg(5.5mmol)、ベンジルアミン0.60ml(5.5mmol)、酢酸0.32ml(5.5mmol)、水1.1ml、トルエン2.3mlを仕込み、50℃で2時間反応させた。反応液にシアン化ナトリウム0.17g(3.5mmol)を加えた後、さらに50℃で4時間反応させた。反応液をNMRで分析したところ、原料である5−クロロ−2−ペンタノン、目的物である1−ベンジル−2−シアノ−2−メチルピロリジン、及び鎖状中間体である2−ベンジルアミノ−5−クロロ−2−シアノペンタンが0.04:1:0.27の比率で存在していた。
[実施例4]
N−ベンジル−α−メチルプロリンアミドの製造(上記一般式(3)において、R=Me、R=Bn、R=H;工程(a)エタノール−水溶媒での反応、工程(b)硫酸による水和)
Figure 0005959417
フラスコに5−クロロ−2−ペンタノン0.57ml(5.0mmol)、シアン化ナトリウム270mg(5.5mmol)、ベンジルアミン0.60ml(5.5mmol)、酢酸0.32ml(5.5mmol)、水1.1ml、エタノール1.1mlを仕込み、40℃で3時間反応させた。反応液にベンジルアミン0.16ml(1.5mmol)を加えた後、さらに40℃で2時間反応させた。反応液をNMRで分析したところ、原料である5−クロロ−2−ペンタノン、目的物である1−ベンジル−2−シアノ−2−メチルピロリジン、鎖状中間体である2−ベンジルアミノ−5−クロロ−2−シアノペンタン、及び原料のシアノヒドリンである5−クロロ−2−シアノ−2−ペンタノールが0.02:1:0.02:0.08の比率で存在していた。この反応液に50w/v%NaOH水溶液0.40ml(5.0mmol)を加えた後、トルエンで抽出し、有機層を濃縮して、橙色油状物質1.44gを得た。
別のフラスコに水0.090ml、硫酸1.47g(15mmol)を仕込み、氷冷下、上記橙色油状物質1.44gを添加し、トルエン0.30mlで洗い入れた。60℃で3時間反応させた後、氷冷下、水0.57ml、28%アンモニア水2.4mlをゆっくり添加した。酢酸エチルで抽出し、有機層を濃縮して、橙色油状物質2.0gを得た。HPLCにより分析したところ、N−ベンジル−α−メチルプロリンアミドが770mg(3.52mmol、収率70%)含まれていた。
H−NMR(400MHz,CDCl)δ1.34(3H,s),1.68−1.89(3H,m),2.13−2.22(1H,m),2.40(1H,td,J=9.1,7.3Hz),2.97−3.03(1H,m),3.35(1H,d,J=13.1Hz),3.88(1H,d,J=13.1Hz),5.36(1H,brs),7.24−7.37(5H,m),7.55(1H,brs).
[実施例5]
N−ベンジル−α−メチルプロリンアミドの製造(上記一般式(3)において、R=Me、R=Bn、R=H;工程(a)水溶媒での反応、工程(b)硫酸による水和)
フラスコに5−クロロ−2−ペンタノン6.03g(50mmol)、シアン化ナトリウム2.7g(55mmol)、ベンジルアミン6.0ml(55mmol)、酢酸3.2ml(55mmol)、水11.4mlを仕込み、40℃で3時間反応させた。反応液に50w/v%NaOH水溶液4.0ml(50mmol)を加えた後、さらに60℃で1時間反応させた。反応液をNMRで分析したところ、ほぼ目的物である1−ベンジル−2−シアノ−2−メチルピロリジンであった。水層を分離して、淡褐色油状物質を得た。
別のフラスコに硫酸14.7g(150mmol)を仕込み、氷冷下、上記淡褐色油状物質を添加し、トルエン2.0mlで洗い入れた。60℃で7時間、70℃で2時間反応させた後、内温50℃以下で、水50ml、トルエン6.0ml、50w/v%NaOH水溶液32mlをゆっくり添加し、pHを10とした。生じた結晶をろ過し、水で洗浄し、減圧乾燥して、淡褐色固体としてN−ベンジル−α−メチルプロリンアミド8.67gを得た。HPLC分析の結果、純度98wt%(39.0mmol、収率78%)であった。
[実施例6]
1−ベンジル−2−シアノ−2−メチルピロリジンの製造(上記一般式(2)において、R=Me、R=Bn、R=H;工程(a)酢酸添加なし、エタノール−水溶媒での反応)
フラスコに5−クロロ−2−ペンタノン0.57ml(5.0mmol)、シアン化ナトリウム270mg(5.5mmol)、ベンジルアミン0.60ml(5.5mmol)、水1.1ml、エタノール1.1mlを仕込み、50℃で1.5時間反応させた。反応液をNMRで分析したところ、原料である5−クロロ−2−ペンタノン、目的物である1−ベンジル−2−シアノ−2−メチルピロリジン、及び原料から副生したシクロペンチルメチルケトンが0.02:1:0.32の比率で存在していた。本実施例は、酢酸を添加した後述の実施例20と比較して系内が強い塩基性となったため、シクロペンチルメチルケトンが副生したが、目的物である1−ベンジル−2−シアノ−2−メチルピロリジンを主生成物として得た。
[実施例7]
1−ベンジル−2−シアノ−2−メチルピロリジンの製造(上記一般式(2)において、R=Me、R=Bn、R=H;工程(a)酢酸添加なし、酢酸エチル−水溶媒での反応)
フラスコに5−クロロ−2−ペンタノン0.57ml(5.0mmol)、シアン化ナトリウム270mg(5.5mmol)、ベンジルアミン0.60ml(5.5mmol)、水1.1ml、酢酸エチル2.3mlを仕込み、50℃で4.5時間反応させた。反応液をNMRで分析したところ、原料である5−クロロ−2−ペンタノン、目的物である1−ベンジル−2−シアノ−2−メチルピロリジン、及び鎖状中間体である2−ベンジルアミノ−5−クロロ−2−シアノペンタンが0.02:1:0.06の比率で存在しており、シクロペンチルメチルケトンは観測されなかった。本実施例は、後述の実施例22と同様に酸を添加していないが、酢酸エチルが加水分解を受けて酢酸が生じたため、系内が強い塩基性とならず、シクロペンチルメチルケトンの副生が抑制されたと考えられる。
[実施例8]
(2R,1’R)−1−(1’−フェニルエチル)−2−シアノ−2−メチルピロリジン及び(2S,1’R)−1−(1’−フェニルエチル)−2−シアノ−2−メチルピロリジンの製造(上記一般式(2)において、R=Me、R=(R)−1−フェニルエチル、R=H;工程(a)(R)−α−メチルベンジルアミン使用、水溶媒での反応)
Figure 0005959417
フラスコに5−クロロ−2−ペンタノン1.14ml(10mmol)、シアン化ナトリウム0.54g(11mmol)、(R)−α−メチルベンジルアミン1.4ml(11mmol)、酢酸0.63ml(11mmol)、水2.3mlを仕込み、40℃で3時間反応させた。反応液に50w/v%NaOH水溶液0.80ml(10mmol)を加えた後、さらに60℃で1時間反応させた。室温に冷却した後、酢酸エチルで抽出し、有機層を硫酸マグネシウムで乾燥し、有機層を濃縮して、淡褐色油状物質2.35gを得た。NMR分析の結果、この油状物質は(2R,1’R)−1−(1’−フェニルエチル)−2−シアノ−2−メチルピロリジン及び(2S,1’R)−1−(1’−フェニルエチル)−2−シアノ−2−メチルピロリジンを83重量%(1.95g、収率91%)、5−クロロ−2−ペンタノンを2重量%、(R)−α−メチルベンジルアミンを11重量%、酢酸エチルを4重量%含有する混合物であり、ジアステレオマー比は、(2R,1’R):(2S,1’R)=7:3であった。2位の立体化学は、光学活性α−メチルプロリンに誘導し決定した(参考例2参照)。
(2R,1’R)−1−(1’−フェニルエチル)−2−シアノ−2−メチルピロリジン
H−NMR(400MHz,CDCl)δ1.02(3H,s),1.48(3H,d,J=6.8Hz),1.79−1.92(3H,m),2.22−2.32(1H,m),2.75−2.83(1H,m),3.18−3.25(1H,m),3.92(1H,q,J=6.8Hz),7.21−7.39(5H,m).
(2S,1’R)−1−(1’−フェニルエチル)−2−シアノ−2−メチルピロリジン
H−NMR(400MHz,CDCl)δ1.48(3H,d,J=6.8Hz),1.67(3H,s),1.69−1.78(2H,m),1.92−1.99(1H,m),2.32−2.39(1H,m),2.47(1H,dt,J=9.6,8.1Hz),2.84−2.91(1H,m),3.84(1H,q,J=6.8Hz),7.21−7.39(5H,m).
[実施例9]
(2R,1’R)−N−(1’−フェニルエチル)−α−メチルプロリンアミド及び(2S,1’R)−N−(1’−フェニルエチル)−α−メチルプロリンアミドの製造(上記一般式(4)において、R=Me、R=(R)−1−フェニルエチル、R=H;工程(a)(R)−α−メチルベンジルアミン使用、水溶媒での反応、工程(b)硫酸による水和、工程(g)シリカゲルカラムクロマトグラフィーによる分離)
Figure 0005959417
フラスコに5−クロロ−2−ペンタノン1.25ml(11mmol)、シアン化ナトリウム0.54g(11mmol)、(R)−α−メチルベンジルアミン1.28ml(10mmol)、酢酸0.63ml(11mmol)、水2.0mlを仕込み、40℃で3時間反応させた。反応液に50w/v%NaOH水溶液0.80ml(10mmol)を加えた後、さらに60℃で2時間反応させた。室温に冷却した後、水層を分離し、淡褐色油状物質を得た。
別のフラスコに硫酸3.9g(40mmol)を仕込み、水浴上で上記淡褐色油状物質を添加し、トルエン1.0mlで洗い入れた。60℃で6時間反応させた後、水浴上で水2.0ml、50w/v%NaOH水溶液6.4mlをゆっくり添加し、pHを10とした。酢酸エチルで抽出し、有機層を硫酸マグネシウムで乾燥し、有機層を濃縮した。濃縮残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製し、(2R,1’R)−N−(1’−フェニルエチル)−α−メチルプロリンアミド及び(2S,1’R)−N−(1’−フェニルエチル)−α−メチルプロリンアミドの2つの分画を得た。2位の立体化学は、光学活性α−メチルプロリンに誘導し決定した(参考例2参照)。
分画1:0.48g。NMR分析の結果、(2R,1’R):(2S,1’R)=96:4、純度85%、1.75mmol、収率18%であった。
分画2:1.52g。NMR分析の結果、(2R,1’R):(2S,1’R)=60:40、純度88%、5.80mmol、収率58%であった。
(2R,1’R)−N−(1’−フェニルエチル)−α−メチルプロリンアミド
H−NMR(400MHz,CDCl)δ1.30(3H,d,J=6.6Hz),1.37(3H,s),1.64−1.73(2H,m),1.80−1.88(1H,m),2.16−2.32(2H,m),2.69−2.75(1H,m),3.62(1H,q,J=6.6Hz),5.45(1H,brs),7.22−7.28(1H,m),7.28−7.35(4H,m),7.45(1H,brs).
(2S,1’R)−N−(1’−フェニルエチル)−α−メチルプロリンアミド
H−NMR(400MHz,CDCl)δ1.41(3H,s),1.42(3H,d,J=6.8Hz),1.66−1.89(3H,m),2.12−2.22(1H,m),2.90−3.00(1H,m),3.09−3.15(1H,m),4.04(1H,q,J=6.8Hz),5.17(1H,brs),7.02(1H,brs),7.20−7.27(1H,m),7.29−7.35(4H,m).
[参考例1]
(R)−α−メチルプロリンアミドの製造(1−フェニルエチル基の除去)
Figure 0005959417
フラスコに実施例9で得られた分画1の(2R,1’R)−N−(1’−フェニルエチル)−α−メチルプロリンアミド0.48g(1.75mmol、ジアステレオマー比96:4)、酢酸0.11ml(1.9mmol)、メタノール2.0ml、10%パラジウム炭素(NEケムキャット社製、PE−type、55%含水品)21mg(0.0090mmol)を添加した。常圧水素雰囲気下、60℃で2時間反応させた。反応液をセライトろ過し、ろ液を濃縮して、無色油状物質として(R)−α−メチルプロリンアミド0.40gを得た。NMR分析の結果、純度58wt%(定量的)であった。
[参考例2]
(R)−α−メチルプロリンの製造(上記一般式(6)において、R=Me、R=H;アミド加水分解、α−メチルプロリンの絶対配置決定)
Figure 0005959417
フラスコに参考例1で得られた(R)−α−メチルプロリンアミド0.40g(純度58wt%、1.78mmol)、6mol/l塩酸2.0mlを仕込み、90℃で4時間反応させた。HPLC分析の結果、光学純度89%eeの(R)−α−メチルプロリン204mg(1.58mmol、収率90%)を含んでいた。
[実施例10]
(2S,1’S)−N−(1’−フェニルエチル)−α−メチルプロリンアミド及び(2R,1’S)−N−(1’−フェニルエチル)−α−メチルプロリンアミドの製造(上記一般式(3)において、R=Me、R=(S)−1−フェニルエチル、R=H;工程(a)(S)−α−メチルベンジルアミン使用、水溶媒での反応、工程(b)硫酸による水和)
Figure 0005959417
フラスコに5−クロロ−2−ペンタノン13.3g(110mmol)、シアン化ナトリウム5.4g(110mmol)、(S)−α−メチルベンジルアミン12.1g(100mmol)、酢酸6.3ml(110mmol)、水24mlを仕込み、40℃で3時間反応させた。反応液に50w/v%NaOH水溶液8.0ml(100mmol)を加えた後、さらに60℃で2時間反応させた。室温に冷却した後、水層を分離し、淡褐色油状物質を得た。
別のフラスコに硫酸39g(400mmol)を仕込み、水浴上で上記淡褐色油状物質を添加し、トルエン6.0mlで洗い入れた。60℃で3時間、70℃で3時間反応させた後、水浴上で水36ml、28%アンモニア水60ml、酢酸エチル60mlをゆっくり添加し、pHを9とした。酢酸エチルで抽出し、有機層を水で3回、飽和食塩水で1回洗浄し、有機層を濃縮して、淡褐色油状物質として(2S,1’S)−N−(1’−フェニルエチル)−α−メチルプロリンアミド及び(2R,1’S)−N−(1’−フェニルエチル)−α−メチルプロリンアミド23.8gを得た。HPLC分析の結果、純度80wt%、81.4mmol、収率81%、(2S,1’S):(2R,1’S)=7:3)であった。
[実施例11]
(2S,1’S)−N−(1’−フェニルエチル)−α−メチルプロリンアミド及び(2R,1’S)−N−(1’−フェニルエチル)−α−メチルプロリンアミドの製造(上記一般式(4)において、R=Me、R=(S)−1−フェニルエチル、R=H;工程(g)シリカゲルカラムクロマトグラフィーによる分離)
実施例10の方法に準じて得られた(2S,1’S)−N−(1’−フェニルエチル)−α−メチルプロリンアミド及び(2R,1’S)−N−(1’−フェニルエチル)−α−メチルプロリンアミド(純量9.80g、42.2mmol)に酢酸2.5ml(44mmol)を添加して、シリカゲル100g(関東化学社製シリカゲル60N(球状、中性)粒子径63〜210μm)を用いたカラムクロマトグラフィーにて精製し、(2S,1’S)−N−(1’−フェニルエチル)−α−メチルプロリンアミド及び(2R,1’S)−N−(1’−フェニルエチル)−α−メチルプロリンアミドの2つの分画を得た(溶離液/ヘキサン:酢酸エチル(w:w)=2:1〜1:1)。
分画1:6.71g。NMR分析の結果、(2S,1’S):(2R,1’S)=100:0、純度72%、20.8mmol、収率49%であり、酢酸20wt%、酢酸エチル8wt%を含んでいた。
分画2:3.11g。NMR分析の結果、(2R,1’S):(2S,1’S)=87:13、純度82%、11.0mmol、収率25%であり、酢酸13wt%、酢酸エチル5wt%を含んでいた。
[実施例12]
(2S,1’R)−N−(1’−フェニルエチル)−α−メチルプロリンアミド・D−酒石酸塩の製造(上記一般式(4)において、R=Me、R=(R)−1−フェニルエチル、R=H;工程(f)D−酒石酸によるジアステレオマー塩分割)
Figure 0005959417
バイアルに実施例9で得られた分画2の(2R,1’R)−N−(1’−フェニルエチル)−α−メチルプロリンアミド及び(2S,1’R)−N−(1’−フェニルエチル)−α−メチルプロリンアミド48.4mg(0.21mmol、(2R,1’R):(2S,1’R)=60:40)、D−酒石酸31.3mg(0.21mmol)、酢酸エチル0.20ml、メタノール0.10mlを添加し、50℃に加熱し、溶解させた。室温に冷却し、生じた結晶をろ過し、減圧乾燥して、白色結晶18.9mgを得た。HPLC分析及びNMR分析の結果、得られた結晶は、(2S,1’R)−N−(1’−フェニルエチル)−α−メチルプロリンアミドとD−酒石酸の1:1塩(0.049mmol、収率24%、(2S,1’R):(2R,1’R)=20:1)であった。
H−NMR(400MHz,DMSO−d6)δ1.28(3H,s),1.35(3H,d,J=6.8Hz),1.62−1.79(3H,m),1.95−2.03(1H,m),2.83−2.91(1H,m),3.05−3.12(1H,m),3.99−4.06(1H,m),4.26(2H,s),6.96(2H,brs),7.19−7.24(1H,m),7.28−7.34(2H,m),7.35−7.39(2H,m).
[実施例13]
(2R,1’S)−N−(1’−フェニルエチル)−α−メチルプロリンアミド・L−酒石酸塩及び(2S,1’S)−N−(1’−フェニルエチル)−α−メチルプロリンアミドの製造(上記一般式(4)において、R=Me、R=(S)−1−フェニルエチル、R=H;工程(f)L−酒石酸によるジアステレオマー塩分割)
Figure 0005959417
フラスコにL−酒石酸0.18g(1.2mmol)とメタノール0.60mlを仕込み、60℃に加熱し溶解させた。この混合物に実施例10の方法に準じて製造した(2S,1’S)−N−(1’−フェニルエチル)−α−メチルプロリンアミド及び(2R,1’S)−N−(1’−フェニルエチル)−α−メチルプロリンアミドの酢酸エチル溶液2.24g(純度32wt%、3.0mmol、(2S,1’S):(2R,1’S)=7:3)、メタノール0.40ml、酢酸エチル3.0mlを添加し、氷冷下で撹拌した。生じた結晶をろ過し、酢酸エチルで洗浄し、減圧乾燥し、白色結晶として(2R,1’S)−N−(1’−フェニルエチル)−α−メチルプロリンアミド・L−酒石酸塩314mg(0.82mmol、収率27%、(2R,1’S):(2S,1’S)=94:6)を得た。また、ろ液を濃縮後、酢酸エチルと飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加えた後、水層を除去し、有機層を硫酸マグネシウムで乾燥し、濃縮し、淡黄色油状物質として(2S,1’S)−N−(1’−フェニルエチル)−α−メチルプロリンアミド683mgを得た。HPLC分析の結果、純度77wt%、2.26mmol、収率73%、(2S,1’S):(2R,1’S)=95:5であった。
[実施例14]
(2S,1’S)−N−(1’−フェニルエチル)−α−メチルプロリンアミド・(S)−マンデル酸塩の製造(上記一般式(4)において、R=Me、R=(S)−1−フェニルエチル、R=H;工程(f)(S)−マンデル酸塩種結晶の取得)
Figure 0005959417
バイアルに実施例11で得られた(2S,1’S)−N−(1’−フェニルエチル)−α−メチルプロリンアミドの分画1を50mg(純度72%、0.16mmol、(2S,1’S):(2R,1’S)=100:0)、(S)−マンデル酸32.7mg(0.22mmol)、酢酸エチル0.20mlを添加し、加熱溶解させた。室温で開放系にして放置し、酢酸エチルを揮発させた。2週間後、生じた結晶を酢酸エチルに懸濁させた後、ろ過し、減圧乾燥して、白色結晶41mg(0.11mmol、収率69%)を得た。HPLC及びNMR分析の結果、得られた結晶は(2S,1’S)−N−(1’−フェニルエチル)−α−メチルプロリンアミド・(S)−マンデル酸塩(1:1)であった。
H−NMR(400MHz,acetone−d6)δ1.28(3H,s),1.28(3H,d,J=6.6Hz),1.65−1.81(3H,m),2.07−2.18(1H,m),2.29(1H,q,J=8.5Hz),2.68−2.75(1H,m),3.66(1H,q,J=6.6Hz),5.20(1H,s),7.20−7.25(1H,m),7.27−7.34(3H,m),7.34−7.39(2H,m),7.42−7.47(2H,m),7.49−7.53(2H,m).
[実施例15]
(2S,1’S)−N−(1’−フェニルエチル)−α−メチルプロリンアミド・(S)−マンデル酸塩の製造(上記一般式(4)において、R=Me、R=(S)−1−フェニルエチル、R=H;工程(f)(S)−マンデル酸によるジアステレオマー塩分割)
フラスコに実施例10の方法に準じて製造した(2S,1’S)−N−(1’−フェニルエチル)−α−メチルプロリンアミド及び(2R,1’S)−N−(1’−フェニルエチル)−α−メチルプロリンアミドの酢酸エチル溶液2.23g(純度32wt%、3mmol、(2S,1’S):(2R,1’S)=7:3)、(S)−マンデル酸456mg(3.0mmol)を添加し、40℃で加熱溶解させた。30℃に冷却後、実施例14の方法に準じて製造した(2S,1’S)−N−(1’−フェニルエチル)−α−メチルプロリンアミド・(S)−マンデル酸塩の種結晶を極少量添加したところ、結晶が析出した。20℃に冷却した後、結晶をろ過し、酢酸エチルで洗浄し、減圧乾燥し、白色結晶として(2S,1’S)−N−(1’−フェニルエチル)−α−メチルプロリンアミド・(S)−マンデル酸塩753mg(1.96mmol、収率64%、94.2%de)を得た。
[実施例16]
(2S,1’S)−N−(1’−フェニルエチル)−α−メチルプロリンアミド・(S)−マンデル酸塩の製造(上記一般式(4)において、R=Me、R=(S)−1−フェニルエチル、R=H;工程(f)(S)−マンデル酸によるジアステレオマー塩分割)
フラスコに実施例10の方法に準じて製造した(2S,1’S)−N−(1’−フェニルエチル)−α−メチルプロリンアミド及び(2R,1’S)−N−(1’−フェニルエチル)−α−メチルプロリンアミドの酢酸エチル溶液7.26g(純度32wt%、10.0mmol、(2S,1’S):(2R,1’S)=7:3)、(S)−マンデル酸1.22g(8.0mmol)を添加し、40℃で加熱溶解させた。40℃で実施例14の方法に準じて製造した(2S,1’S)−N−(1’−フェニルエチル)−α−メチルプロリンアミド・(S)−マンデル酸塩の種結晶を極少量添加したところ、結晶が析出した。氷冷下で撹拌した後、結晶をろ過し、酢酸エチルで洗浄し、減圧乾燥し、白色結晶として(2S,1’S)−N−(1’−フェニルエチル)−α−メチルプロリンアミド・(S)−マンデル酸塩2.36gを得た。(6.13mmol、収率61%、96.6%de)
[実施例17]
(2S,1’S)−N−(1’−フェニルエチル)−α−メチルプロリンアミド及び(2R,1’S)−N−(1’−フェニルエチル)−α−メチルプロリンアミドの逆相HPLC分離(工程(g)逆相HPLCによる分離)
実施例10で得られた(2S,1’S)−N−(1’−フェニルエチル)−α−メチルプロリンアミド及び(2R,1’S)−N−(1’−フェニルエチル)−α−メチルプロリンアミド((2S,1’S):(2R,1’S)=7:3)を以下の逆相HPLC条件で分析したところ、保持時間の大きな差が認められた。このことより、擬似移動床を含む逆相カラム分取クロマトグラフィーが効率的に適応可能であるといえる。
逆相HPLC条件
カラム:化学物質評価研究機構製L−column(4.6mm×250mm)、移動相:20mmol/l酢酸−20mmol/l酢酸アンモニウム水溶液/メタノール(w/w)=40/60、流速:1.0ml/分、カラム温度:40℃、UV:220nm、保持時間:(2R,1’S)−N−(1’−フェニルエチル)−α−メチルプロリンアミド5.8分、(2S,1’S)−N−(1’−フェニルエチル)−α−メチルプロリンアミド9.3分
[実施例18]
(2S,1’S)−N−(1’−フェニルエチル)−α−メチルプロリンアミド及び(2R,1’S)−N−(1’−フェニルエチル)−α−メチルプロリンアミドの合成吸着剤カラムクロマトグラフィー分離(工程(g)合成吸着剤カラムクロマトグラフィーによる分離)
実施例10で得られた(2S,1’S)−N−(1’−フェニルエチル)−α−メチルプロリンアミド及び(2R,1’S)−N−(1’−フェニルエチル)−α−メチルプロリンアミド((2S,1’S):(2R,1’S)=7:3)を以下の合成吸着剤カラムを用いたHPLC条件で分析したところ、保持時間の大きな差が認められた。このことより、擬似移動床を含む合成吸着剤カラム分取クロマトグラフィーが効率的に適応可能であるといえる。
合成吸着剤カラムを用いたHPLC条件
カラム:三菱化学社製MCI(登録商標)−GEL CHP10M(4.6mm×150mm)、移動相:20mmol/l酢酸−20mmol/l酢酸アンモニウム水溶液/アセトニトリル=50/50、流速:1.0ml/分、カラム温度:40℃、UV:220nm、保持時間:(2R,1’S)−N−(1’−フェニルエチル)−α−メチルプロリンアミド3.7分、(2S,1’S)−N−(1’−フェニルエチル)−α−メチルプロリンアミド5.1分
[実施例19]
(2S,1’S)−N−(1’−フェニルエチル)−α−メチルプロリン塩酸塩の製造(上記一般式(5)において、R=Me、R=(S)−1−フェニルエチル、R=H;工程(d)塩酸での加水分解反応)
Figure 0005959417
実施例16の方法に準じて製造した(2S,1’S)−N−(1’−フェニルエチル)−α−メチルプロリンアミド・(S)−マンデル酸塩142g(370mmol、ジアステレオマー純度99.9%de以上)及びトルエン711mlの混合液に、10%水酸化ナトリウム水溶液285mlを滴下し室温で撹拌後、分液し、水層を分離した。得られた有機層に再度10%水酸化ナトリウム水溶液213mlを滴下し室温で撹拌した。撹拌終了後、分液し、水層を分離して有機層を回収した。得られた有機層に、室温で35%塩酸213mlを滴下し撹拌した。撹拌終了後、分液し水層を回収した。残った有機層に再度35%塩酸213mlを滴下し撹拌した後、水層を再度回収した。
回収した水層を合わせ、加熱還流した。反応時間は12時間であり、転化率は100%に達した。反応終了後、反応液を冷却し、外温60℃で減圧濃縮した。229gまで濃縮した後、2−プロパノール427mlを添加し、減圧濃縮した。190gまで濃縮した後、2−プロパノール427mlを添加して減圧濃縮した。158gまで濃縮した後、濃縮残渣に2−プロパノール356mlを添加し、冷却した。9℃で1時間撹拌後、析出した固形物をろ過により除去し、2−プロパノール71mlで洗い込んだ。得られたろ液は(2S,1’S)−N−(1’−フェニルエチル)−α−メチルプロリン塩酸塩を含む453gの淡黄色溶液であった。
[実施例20]
(S)−α−メチルプロリンの製造(上記一般式(6)において、R=Me、R=H;工程(e)パラジウム炭素を用いた水素添加による脱保護反応、酸化プロピレンを用いた精製)
実施例19で得られた(2S,1’S)−N−(1’−フェニルエチル)−α−メチルプロリン塩酸塩を含む溶液400gと5%パラジウム炭素51.7g(Johnson Matthey社製、Type39、59.5%含水品)を仕込み、温度40℃〜60℃、水素圧0.5MPaの条件で水素添加を実施した。反応時間は14時間であり、転化率は99.5%に達した。反応終了後、加圧ろ過によりパラジウム炭素を除去し、2−プロパノール66mlで洗い込んだ。得られたろ液は489gの青緑色溶液であった。そのろ液に活性炭4.4g(日本エンバイロケミカルズ社製、商品名:白鷺P)を添加し、室温で1時間撹拌後、ろ過した。2−プロパノール44mlで洗い込み、ろ液509gを得た。得られたろ液を外温40℃で留出液がなくなるまで減圧濃縮した。
得られた濃縮残渣に2−プロパノール265mlを加え溶液とし、室温で酸化プロピレン141gを滴下した。滴下後、43℃まで昇温すると結晶の析出が確認された。再度、酸化プロピレン18gを滴下し撹拌した。撹拌終了後、外温50℃で370mlまで濃縮した(留出液137g)。析出した結晶を2−プロパノール44mlで洗浄し、ろ過することにより1番晶として粗(S)−α−メチルプロリンの湿体27.3gを得た。HPLC分析の結果、1番晶の純度は97.9Area%であった。母洗液を濃縮し、濃縮残渣にアセトンを滴下し2番晶を得た(湿体として9.02g)。HPLC分析の結果、2番晶の純度は54.0Area%であった。得られた湿体を集め、乾燥することにより粗(S)−α−メチルプロリン23.1gを得た。
得られた粗(S)−α−メチルプロリン23.0g、水10.4g及びエタノール58mlを仕込み、66℃に昇温して完溶させた。次いで60℃に冷却し、アセトン76mlを滴下した。滴下後、1時間撹拌し、3時間かけて15℃まで冷却した。15℃で1時間撹拌後、結晶をろ過した。得られた結晶をエタノール8.1mlと水2.3mlの混合溶液で洗浄し、60℃で減圧乾燥して、白色針状結晶の(S)−α−メチルプロリン16.0g(124mmol、収率38%)を得た。HPLC分析の結果、純度99.9Area%以上、光学純度99.9%ee以上であり、市販品を基準とした含量分析の結果は102%であった。
以上のように、2−プロパノール中、酸化プロピレンと反応させた後、2−プロパノール中から得られた(S)−α−メチルプロリンの結晶の純度は十分に高いものではなかった。一方、水、エタノール及びアセトンの混合溶媒から得られた(S)−α−メチルプロリンの結晶は、HPLC純度99.9Area%以上、光学純度99.9%ee以上であり、非常に高い純度であった。このことより、水を含有する溶媒系からの晶析が、純度向上に有効であると言える。
HPLCの分析条件は以下の通りである。
工程分析
カラム:インタクト株式会社製Unison UK−C18(4.6mm×250mm、3μm)、移動相:A:10mM酢酸アンモニウム水溶液 B:10mM酢酸アンモニウムメタノール溶液、Gradient(B濃度):0分0%→5分0%→25分90%→35分90%、流速:1.0ml/分、カラム温度:40℃、検出波長:UV210nm
含量分析
カラム:ASTEC社製CLC−D(4.6mm×150mm、5μm)、移動相:2mM CuSO水溶液、流速:1.0ml/分、カラム温度:45℃、検出波長:UV254nm
[実施例21]
(2S,1’S)−N−(1’−フェニルエチル)−α−メチルプロリンの製造(上記一般式(5)において、R=Me、R=(S)−1−フェニルエチル、R=H;工程(d)塩酸での加水分解反応、1−ブタノールを用いた抽出精製)
Figure 0005959417
実施例16の方法に準じて製造した(2S,1’S)−N−(1’−フェニルエチル)−α−メチルプロリンアミド・(S)−マンデル酸塩69.2g(180mmol、ジアステレオマー純度99.9%de以上)及びトルエン346mlの混合液に、10%水酸化ナトリウム水溶液138mlを滴下し室温で撹拌後、分液し、水層を分離した。得られた有機層に再度10%水酸化ナトリウム水溶液104mlを滴下し室温で撹拌した。撹拌終了後、分液し、水層を分離した後、有機層を濃縮し、淡黄褐色油状物質として(2S,1’S)−N−(1’−フェニルエチル)−α−メチルプロリンアミド42.1g(181mmol、収率100%)を得た。
得られた(2S,1’S)−N−(1’−フェニルエチル)−α−メチルプロリンアミド20g(86.1mmol)と35%塩酸132mlを仕込み、加熱還流した。反応時間は11時間であり、転化率は100%に達した。反応終了後、反応液を外温75℃で減圧濃縮し、濃縮残渣62gを得た。これに50%水酸化ナトリウム水溶液を滴下し、pHを8.8に調整した後、1−ブタノール99mlを添加し10℃で撹拌した。そこに酢酸を滴下し、pHを4.5に調整した後、分液して有機層を回収した。同様にして水層を10℃で撹拌しながら酢酸でpHを4.5に調整しつつ、1−ブタノール66mlで3回再抽出した。得られた有機層を合わせて、外温70℃で含水率が1000ppm以下となるまで減圧濃縮した。得られた濃縮残渣90g(水分573ppm)にメタノール100mlを加え、15℃で1時間撹拌した。その後、ろ過により固形物を除去し、1−ブタノール/メタノール=1/1(v/v)溶液17mlで洗浄し、(2S,1’S)−N−(1’−フェニルエチル)−α−メチルプロリン/1−ブタノール・メタノール溶液174gを得た。HPLC分析の結果、(2S,1’S)−N−(1’−フェニルエチル)−α−メチルプロリンを69mmol含有しており、収率80%であった。
H−NMR(400MHz,CDCl)δ1.59(3H,d,J=6.5Hz),1.65(3H,s),1.65−1.85(2H,m),1.90−1.98(1H,m),2.45−2.57(2H,m),2.95−2.97(1H,m),3.93−3.94(1H,m),7.28−7.43(5H,m).
[実施例22]
(S)−α−メチルプロリンの製造(上記一般式(6)において、R=Me、R=H;工程(e)パラジウム炭素を用いた水素添加による脱保護反応)
実施例21で得られた(2S,1’S)−N−(1’−フェニルエチル)−α−メチルプロリン/1−ブタノール・メタノール溶液108g(43mmol)及び水20mlをオートクレーブに仕込み、5%パラジウム炭素1.0g(Johnson Matthey社製、Type434、54.7%含水品)を加え撹拌した。その後、反応液を35〜45℃に調整し、0.8MPaの窒素で3回反応器内を置換した後、0.8MPaの水素で3回反応器内を水素で置換した。水素置換終了後、水素圧0.5MPa、35〜45℃の条件で脱フェネチル反応を行った。反応時間は8時間であり、転化率は99.5%に達した。反応終了後、反応液を冷却し、吸引ろ過によりパラジウム炭素をろ別し、50%メタノール水溶液10mlで洗浄した。得られたろ液を外温60℃で減圧濃縮した。40mlまで濃縮した後、アセトン50mlを加え、氷冷下で1時間撹拌した。その後、吸引ろ過により結晶を回収し、アセトン5.0mlで洗浄した。得られた結晶5.44gを減圧乾燥して、白色粉体の粗(S)−α−メチルプロリン(39mmol、収率91%)を得た。HPLC分析の結果、粗体の純度は91.3Area%であった。
[実施例23]
実施例22の方法に準じて製造した粗(S)−α−メチルプロリン0.80g(HPLC95.8Area%、純度100wt%として6.2mmol)と80%2−プロパノール水溶液2.4ml(2−プロパノール1.92ml、水0.48ml)を仕込み、加熱還流した。その後、50℃でアセトン3.2mlを滴下し、その後7℃に冷却した。7℃で1時間撹拌後、吸引ろ過し、冷2−プロパノール1mlで洗浄した。得られた結晶を減圧乾燥させ、白色粉体の(S)−α−メチルプロリン0.68g(5.3mmol、収率86%)を得た。HPLC分析の結果、純度は99.9Area%以上であった。
[実施例24]
(2S,1’S)−N−(1’−フェニルエチル)−α−メチルプロリンカルシウムの製造(上記一般式(5)において、R=Me、R=(S)−1−フェニルエチル、R=H;工程(d)カルシウム塩での晶析精製)
Figure 0005959417
実施例19の方法に準じて製造した(2S,1’S)−N−(1’−フェニルエチル)−α−メチルプロリンアミドの加水分解反応液70ml(52mmol、ジアステレオマー純度99.9%de以上)に、50%水酸化ナトリウム水溶液を約130ml滴下し、pHを11〜12に調整した。30〜40℃で5%塩化カルシウム水溶液91.8g(62.4mmol)を滴下し、カルシウム塩化を行った。滴下終了後、0〜10℃まで冷却し、1時間撹拌後、ろ過した。これを水100ml及びエタノール50mlで洗浄し、40℃で減圧乾燥させ、白色粉体の(2S,1’S)−N−(1’−フェニルエチル)−α−メチルプロリンカルシウム13.9g(1/2カルシウム塩として54mmol、定量的)を得た。
[実施例25]
(2S,1’S)−N−(1’−フェニルエチル)−α−メチルプロリンバリウムの製造(上記一般式(5)において、R=Me、R=(S)−1−フェニルエチル、R=H;工程(d)バリウム塩での晶析精製)
実施例19の方法に準じて製造した(2S,1’S)−N−(1’−フェニルエチル)−α−メチルプロリンアミドの加水分解反応液20ml(15mmol、ジアステレオマー純度99.9%de以上)に50%水酸化ナトリウム水溶液を滴下し、pHを11〜12に調整した。30〜40℃で5%水酸化バリウム水溶液を滴下し、バリウム塩化を行った。滴下終了後、0〜10℃まで冷却し、1時間撹拌後、ろ過した。これを水50ml及びエタノール30mlで洗浄し、50℃で減圧乾燥させて、白色粉体の(2S,1’S)−N−(1’−フェニルエチル)−α−メチルプロリンバリウム0.40g(1/2バリウム塩として1.3mmol、収率9%)を得た。
[実施例26]
(2S,1’S)−N−(1’−フェニルエチル)−α−メチルプロリンの製造(上記一般式(5)において、R=Me、R=(S)−1−フェニルエチル、R=H;工程(d)カルシウム塩のフリー化)
実施例24で得られた(2S,1’S)−N−(1’−フェニルエチル)−α−メチルプロリンカルシウム5.0g(1/2カルシウム塩として19.8mmol)とエタノール50mlを仕込み、35〜45℃で撹拌した。そこにプロピオン酸1.8g(25mmol)のエタノール(10ml)溶液を滴下し、35〜45℃で1時間撹拌した。その後、5〜15℃まで冷却し、さらに1時間撹拌した。撹拌後、固形物をろ別し、エタノール5.0mlで洗い込み、得られた溶液を50℃で25mlまで減圧濃縮することにより、(2S,1’S)−N−(1’−フェニルエチル)−α−メチルプロリンのエタノール溶液20.2gを得た。
[実施例27]
(S)−α−メチルプロリンの製造(上記一般式(6)において、R=Me、R=H;工程(e)パラジウム炭素を用いた水素添加による脱保護反応)
実施例26で得られた(2S,1’S)−N−(1’−フェニルエチル)−α−メチルプロリンのエタノール溶液20.2gをオートクレーブに仕込み、5%パラジウム炭素0.21g(Johnson Matthey社製、Type434、54.7%含水品)を加え撹拌した。その後、反応液を35〜45℃に調整し、0.8MPaの窒素で3回反応器内を置換した後、0.8MPaの水素で3回反応器内を水素で置換した。水素置換終了後、水素圧0.5MPa、35〜45℃の条件で脱フェネチル反応を行った。反応時間は7時間であり、転化率は99.5%に達した。反応終了後、冷却し、吸引ろ過によりパラジウム炭素をろ別し、エタノール5.0mlで洗浄した。得られたろ液を外温50℃で減圧濃縮した。9.63gまで濃縮した後、1−ブタノール25mlを加え、外温60℃で減圧濃縮し、濃縮残渣11.1gを得た。濃縮残渣に室温でアセトン25mlを滴下し撹拌した。滴下終了後、氷水で冷却し、さらに1時間撹拌した。その後、吸引ろ過により結晶を回収し、アセトン5.0mlで洗浄した。得られた湿結晶を減圧乾燥させ、白色粉体の粗(S)−α−メチルプロリン1.36g(10.5mmol、収率53%)を得た。
[参考例3]
α−メチルプロリンアミド塩酸塩の製造
フラスコに、酢酸アンモニウム95.9g(1.25mol)、水100ml、酢酸エチル200ml、5−クロロ−2−ペンタノン50g(0.42mol)、シアン化ナトリウム12.2g(0.25mol)を仕込み、60℃に加熱した。28%アンモニア水28.8gを分割添加し、pHを7.4〜7.6に調整しながら反応を行った。3時間後、シアン化ナトリウム12.2g(0.25mol)を添加し、更に3時間反応させた。室温に冷却した後、水層を除去し、2−シアノ−2−メチルピロリジンの酢酸エチル溶液を得た。
別のフラスコに、硫酸40.7g(0.42mol)を仕込み、氷冷下、得られた2−シアノ−2−メチルピロリジンの酢酸エチル溶液を滴下した。静置後、酢酸エチル層を除去し、硫酸層をシクロヘキサン50mlで2回洗浄した。更に硫酸81.4g(0.83mol)を添加し、40〜60℃で4時間反応させた。反応液を氷冷し、水180ml、28%アンモニア水151gをゆっくり添加した。得られた溶液に1−ブタノール330mlを添加した後、水層を除去し、水層を1−ブタノール165mlで再抽出し、α−メチルプロリンアミドの1−ブタノール溶液を得た。この溶液を濃縮して水を除去した後、析出した固形分をろ別した。濃塩酸27.3g(0.26mol)、シクロヘキサン50mlを添加し、常圧加熱還流下ディーンスタークで共沸脱水を行った。室温に冷却した後、結晶をろ過し、1−ブタノールと酢酸エチルで洗浄し、減圧乾燥し、淡黄色結晶としてα−メチルプロリンアミド塩酸塩29.7gを得た。HPLC分析の結果、純度94wt%、0.171mol、収率41%であった。
[参考例4]
(S)−α−メチルプロリンの製造
500ml三角フラスコに、参考例3の方法に準じて製造したα−メチルプロリンアミド塩酸塩32.2g(純度97wt%、190mmol)と水34.7mlを仕込み、5%水酸化ナトリウム水溶液でpHを7.0にした。混合液にペプチダーゼR(商品名、天野エンザイム社製、リゾプス・オリゼー由来)2.3gの水(15.5ml)溶液を添加し、40℃、撹拌数250rpmで60時間反応させた。HPLC分析の結果、(S)−α−メチルプロリンの純分は10.5g(81.0mmol、収率342.7%)で、光学純度は99.0%eeであった。得られた反応液に、水50mlと活性炭15gを添加し、25℃で1時間振とうさせた。セライトろ過で活性炭を除去し、得られた水溶液をイオン交換樹脂(Amberlyst(登録商標) A−26(OH))に通液し、その後水を通液して(R)−α−メチルプロリンアミドを回収した。HPLC分析の結果、(R)−α−メチルプロリンアミドが12.6g(98.5mmol、収率52%、87.1%ee)回収されていた。さらに1mol/l酢酸水溶液を通液し、(S)−α−メチルプロリンを溶出させ、(S)−α−メチルプロリン11.3g(87.6mmol、収率46%、99.0%ee、HPLC分析)を回収した。
[実施例28]
フラスコに、参考例4の方法に準じて製造した(S)−α−メチルプロリン189.6g(化学純度79.9wt%、光学純度97.8%ee)を入れ、水80ml、エタノール400mlを添加し、50℃に加温して溶解させた後、アセトン500mlを滴下した。滴下途中で、結晶が析出し溶液が白濁した。さらに、温度を徐々に下げ、6〜8℃で、約30分間攪拌した。その後、析出した結晶を吸引ろ過し、10℃以下に冷却したエタノールとアセトンの混合溶液(エタノール/アセトン(v/v)=1/5)60mlで懸洗した。得られた結晶は、恒量になるまで(5時間以上)、60℃で乾燥させ、白色結晶として(S)−α−メチルプロリン116.5g(収率76.9%)を得た。HPLC分析の結果、化学純度98.9wt%、光学純度99.8%eeであった。結果を表1に示す。なお、表1において、(S)−α−メチルプロリンをAMPと表記する。
[実施例29]
フラスコに、(S)−α−メチルプロリン17.34g(化学純度70.5wt%、光学純度95.2%ee)を入れ、水4ml、エタノール20mlを添加し、55℃に加温して溶解させた後、アセトン70mlを滴下した。滴下途中で、結晶が析出し溶液が白濁した。さらに、温度を徐々に下げ、4〜7℃で、約30分間攪拌した。その後、析出した結晶を吸引ろ過し、10℃以下に冷却したエタノールとアセトンの混合溶液(エタノール/アセトン(v/v)=1/7)4mlで懸洗した。得られた結晶は、恒量になるまで(5時間以上)、60℃で乾燥させ、白色結晶として(S)−α−メチルプロリン11.8g(収率96.2%)を得た。HPLC分析の結果、化学純度96.5wt%、光学純度98.6%eeであった。結果を表1に示す。
[実施例30]
(S)−α−メチルプロリン17.62g(化学純度63.0wt%、光学純度95.2%ee)、水6ml、エタノール50ml、アセトン50mlを使用したこと以外は、実施例28と同様に行った。結果を表1に示す。
[実施例31]
(S)−α−メチルプロリン5.28g(化学純度62.1wt%、光学純度98.0%ee)、水1ml、エタノール3ml、アセトン9mlを使用したこと以外は、実施例28と同様に行った。結果を表1に示す。
[実施例32]
(S)−α−メチルプロリン3.67g(化学純度82.0wt%、光学純度98.0%ee)、水1.5ml、エタノール5ml、アセトン6mlを使用したこと以外は、実施例28と同様に行った。結果を表1に示す。
[実施例33]
(S)−α−メチルプロリン2.21g(化学純度56.9wt%、光学純度98.0%ee)、水1ml、エタノール5ml、アセトン5mlを使用したこと以外は、実施例28と同様に行った。結果を表1に示す。
Figure 0005959417
表1に示された通り、水を含む有機溶媒中で晶析することにより、化学純度の低いサンプルであっても、一度の晶析でほぼ満足できる水準まで化学純度および光学純度を高めることができる。化学純度については、晶析前が56.9〜82.0wt%であったものが、晶析後には96.5〜99.2wt%に向上している。特に回収率が高かった実施例29を除くと、いずれも98wt%以上である。また、光学純度については、晶析前が95.2〜98.0%eeであったものが、晶析後には98.6〜99.8%eeに向上している。特に回収率が高かった実施例29を除くと、いずれも99.6ee%以上である。さらに実施例29では、回収率が96.2%と非常に高かったにも関わらず、化学純度が70.5wt%から96.5wt%へ、光学純度が95.2%eeから98.6%eeへと向上している。また、実施例28、30〜33においても、回収率は61.3〜80.5%と十分高かった。以上のように、水を含む晶析によって、(S)−α−メチルプロリン(AMP)を効率的に精製することができる。一方、実施例20に示した通り、水を含まない溶媒系から晶析を行った場合、化学純度を十分に向上させることができない。
[実施例34]
1−(カルバモイルフェニルメチル)−2−シアノ−2−メチルピロリジンの製造(上記一般式(2)において、R=Me、R=カルバモイルフェニルメチル、R=H;工程(a)D−フェニルグリシンアミド塩酸塩使用、酢酸エチル−水溶媒での反応)
Figure 0005959417
フラスコに、5−クロロ−2−ペンタノン0.60g(5.0mmol)、シアン化ナトリウム0.37g(7.5mmol)、D−フェニルグリシンアミド塩酸塩0.93g(5.0mmol)、酢酸0.43ml(7.5mmol)、50w/v%NaOH水溶液0.40ml(5.0mmol)、水1.2ml及び酢酸エチル2.4mlを仕込み、40℃で2時間、50℃で2時間反応させた。反応液に50w/v%NaOH水溶液0.20ml(2.5mmol)を加え、さらに60℃で2時間反応させた後、室温に冷却した。反応液に50w/v%NaOH水溶液0.20ml(2.5mmol)と酢酸0.086ml(1.5mmol)を加えた後、結晶をろ過し、水と酢酸エチルで洗浄し、減圧乾燥した。白色結晶として1−(カルバモイルフェニルメチル)−2−シアノ−2−メチルピロリジン0.96g(3.9mmol、収率79%)を得た。なお、α−メチルプロリンへと誘導したところラセミ体であったことから、本反応中にカルバモイルフェニルメチル基のエピメリ化が進行したものと考えられる(参考例5参照)。
H−NMRでは7:3のジアステレオマー混合物を観測した。
主生成物:H−NMR(400MHz,CDCl)δ1.62(3H,s),1.74−1.99(3H,m),2.29−2.41(2H,m),2.78−2.84(1H,m),4.51(1H,s),5.81(1H,brs),6.97(1H,brs),7.31−7.44(5H,m).
副生成物:H−NMR(400MHz,CDCl)δ0.85(3H,s),1.74−1.99(3H,m),2.29−2.41(1H,m),2.70−2.78(1H,m),3.43−3.50(1H,m),4.19(1H,s),5.58(1H,brs),6.15(1H,brs),7.31−7.44(3H,m),7.52−7.58(2H,m).
[実施例35]
N−(カルバモイルフェニルメチル)−α−メチルプロリンアミドの製造(上記一般式(3)において、R=Me、R=カルバモイルフェニルメチル、R=H;工程(b)硫酸による水和)
Figure 0005959417
フラスコに、実施例34で得られた1−(カルバモイルフェニルメチル)−2−シアノ−2−メチルピロリジン0.30g(1.23mmol)及び硫酸1.0g(10mmol)を仕込み、50℃で2時間反応させた後、水浴上で水及び28%アンモニア水を添加した。酢酸エチルで抽出し、有機層を硫酸マグネシウムで乾燥後、濃縮し、無色油状物質としてN−(カルバモイルフェニルメチル)−α−メチルプロリンアミドの粗生成物0.50gを得た。NMR分析の結果、ジアステレオマー比>5:1であった。なお、得られたジアステレオマーの立体化学は未確認である。
H−NMR(400MHz,CDCl)δ1.45(3H,s),1.63−1.72(1H,m),1.80−1.94(2H,m),2.19−2.27(1H,m),2.99−3.05(1H,m),3.42−3.49(1H,m),4.48(1H,s),5.31(1H,brs),5.38(1H,brs),5.58(1H,brs),6.97(1H,brs),7.29−7.47(5H,m).
[参考例5]
α−メチルプロリンの製造(上記一般式(6)において、R=Me、R=H;カルバモイルフェニルメチル基の除去、アミド加水分解)
フラスコに、実施例35で得られたN−(カルバモイルフェニルメチル)−α−メチルプロリンアミドの粗生成物0.50g、酢酸0.070ml(1.2mmol)、10%パラジウム炭素(NEケムキャット社製、PE−type、55%含水品)29mg(0.012mmol)及びメタノール2.0mlを添加し、常圧水素雰囲気下、60℃で2時間反応させた。反応液をセライトろ過後、濃縮し、α−メチルプロリンアミドの粗生成物を得た。この粗生成物に水1.0ml及び硫酸0.26ml(4.9mmol)を添加し、5時間還流し、アミドの加水分解を行った後、反応液をキラルHPLCで分析したところ、ラセミ体のα−メチルプロリンが生成していた。
[実施例36]
1−(カルバモイルフェニルメチル)−2−シアノ−2−メチルピロリジンの製造(上記一般式(2)において、R=Me、R=カルバモイルフェニルメチル、R=H;工程(a)D−フェニルグリシンアミド塩酸塩使用、DMSO溶媒での反応)
フラスコに、5−クロロ−2−ペンタノン0.25ml(2.2mmol)、シアン化ナトリウム0.29g(6.0mmol)、D−フェニルグリシンアミド塩酸塩0.37g(2.0mmol)、酢酸0.34ml(6.0mmol)、DMSO1.0ml及び水0.20mlを仕込み、室温で6時間反応させた。反応液に水3.8mlを加えた後、結晶をろ過し、水で洗浄し、減圧乾燥した。淡褐色結晶として1−(カルバモイルフェニルメチル)−2−シアノ−2−メチルピロリジン0.32g(1.3mmol、収率67%)を得た。なお、実施例35、参考例5と同様にしてα−メチルプロリンへと誘導したところラセミ体であったことから、本反応中にカルバモイルフェニルメチル基のエピメリ化が進行したものと考えられる。
[実施例37]
1−ベンジル−2−シアノ−2−フェニルピロリジンの製造(上記一般式(2)において、R=Ph、R=Bn、R=H;工程(a)4−クロロ−1−フェニル−1−ブタノン、ベンジルアミン及び酢酸使用、t−ブタノール−水溶媒での反応)
Figure 0005959417
フラスコに、4−クロロ−1−フェニル−1−ブタノン0.32ml(2.0mmol)、シアン化ナトリウム0.11g(2.2mmol)、ベンジルアミン0.66ml(6.0mmol)、酢酸0.34ml(6.0mmol)、水1.0ml及びt−ブタノール1.0mlを仕込み、50℃で9時間反応させた。反応液に50w/v%NaOH水溶液0.48mlと食塩を加え、酢酸エチルで抽出し、有機層を硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒を留去し、淡黄色油状物質1.05gを得た。
NMR分析の結果から、この油状物質は1−ベンジル−2−シアノ−2−フェニルピロリジンを45重量%(0.47g、収率90%)、ベンジルアミンを46重量%、酢酸エチルを9重量%含有する混合物であった。
H−NMR(400MHz,CDCl)δ1.91−2.28(4H,m),2.52−2.60(1H,m),3.16−3.23(1H,m),3.28(1H,d,J=12.9Hz),3.74(1H,d,J=13.1Hz),7.23−7.39(6H,m),7.41−7.46(2H,m),7.73−7.77(2H,m).

Claims (5)

  1. 下記工程(d)及び(e)を含む、一般式(6)
    Figure 0005959417

    (式中、Rは置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアリール基、又は置換されていてもよいヘテロアリール基を示し、Rはそれぞれ独立して、水素原子、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアリール基、置換されていてもよいヘテロアリール基、置換されていてもよい水酸基、置換されていてもよいアミノ基、置換されていてもよいチオール基、又はハロゲン原子を示し、2つ以上のRが1つ又は複数の環構造を形成していてもよく、*は不斉炭素を示し、該不斉炭素の立体配置について、R体:S体(モル比)=90:10〜100:0又はR体:S体(モル比)=10:90〜0:100である。)で表される光学活性α−置換プロリン類又はその塩の製造方法;
    (d)下記一般式(4)
    Figure 0005959417

    (式中、R、R及び*は前述と同義であり、Rはアミノ基の保護基を示す。)で表される光学活性N,α−置換プロリンアミド類又はその塩を加水分解することにより、一般式(5)
    Figure 0005959417

    (式中、各記号は前述と同義である。)で表される光学活性N,α−置換プロリン類又はその塩を得る;及び
    (e)一般式(5)で表される光学活性N,α−置換プロリン類又はその塩の保護基Rを除去することにより、一般式(6)
    Figure 0005959417

    (式中、各記号は前述と同義である。)で表される光学活性α−置換プロリン類又はその塩を得る。
  2. 下記工程(a)乃至(e)を含む、一般式(6)
    Figure 0005959417

    (式中、各記号は請求項1と同義である。)で表される光学活性α−置換プロリン類又はその塩の製造方法;
    (a)一般式(1)
    Figure 0005959417

    (式中、R及びRは前述と同義であり、Xはハロゲン原子、又はスルホニルオキシ基を示す。)で表される鎖状ケトン化合物を1級アミン又はその塩、及びシアノ化剤と反応させることにより、一般式(2)
    Figure 0005959417

    (式中、各記号は請求項1と同義である。)で表される2−シアノピロリジン類又はその塩を得る;
    (b)一般式(2)で表される2−シアノピロリジン類又はその塩を水和することにより、一般式(3)
    Figure 0005959417

    (式中、各記号は前述と同義である。)で表されるN,α−置換プロリンアミド類又はその塩を得る;
    (c)一般式(3)で表されるN,α−置換プロリンアミド類又はその塩を分割することにより、一般式(4)
    Figure 0005959417

    (式中、各記号は前述と同義である。)で表される光学活性N,α−置換プロリンアミド類又はその塩を得る;
    (d)一般式(4)で表される光学活性N,α−置換プロリンアミド類又はその塩を加水分解することにより、一般式(5)
    Figure 0005959417

    (式中、各記号は前述と同義である。)で表される光学活性N,α−置換プロリン類又はその塩を得る;及び
    (e)一般式(5)で表される光学活性N,α−置換プロリン類又はその塩の保護基Rを除去することにより、一般式(6)
    Figure 0005959417

    (式中、各記号は前述と同義である。)で表される光学活性α−置換プロリン類又はその塩を得る。
  3. さらに、一般式(5)
    Figure 0005959417

    (式中、各記号は請求項1と同義である。)で表される光学活性N,α−置換プロリン類又はその塩の精製工程を含む請求項1又は2に記載の方法であって、精製方法が、極性有機溶媒を用いた抽出、又は、一般式(5)で表されるN,α−置換プロリン類又はその塩を金属塩として晶析する方法である方法。
  4. さらに、一般式(6)
    Figure 0005959417

    (式中、各記号は請求項1と同義である。)で表される光学活性α−置換プロリン類のハロゲン化水素塩をエポキシ化合物の存在下に精製することを特徴とする、請求項1又は2に記載の方法。
  5. 式(7)
    Figure 0005959417

    (式中、*は不斉炭素を示す。)で表される光学活性α−メチル−N−(1’−フェニルエチル)プロリン又はその塩。
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