以下、本発明の好適な実施の形態について説明する。
図1に示すように、本実施の形態に係るプリンタ1(液体噴射装置)は、キャリッジ2、インクジェットヘッド3、用紙搬送ローラ4、制御装置101などを備えている。キャリッジ2は、ガイド部材5に沿って走査方向(図1の左右方向)に往復移動する。インクジェットヘッド3は、キャリッジ2に搭載されており、その下面に形成された複数のノズル15(図2参照)からインクを噴射する。用紙搬送ローラ4は、記録用紙Pを走査方向と直交する紙送り方向(図1の手前方向)に搬送する。
そして、プリンタ1においては、用紙搬送ローラ4により紙送り方向に搬送される記録用紙Pに、キャリッジ2とともに走査方向に往復移動するインクジェットヘッド3からインクを噴射することにより、記録用紙Pに印刷を行う。これらの各部の駆動は、制御装置101によって制御される。制御装置101を含むプリンタ1の電気的な構成については後述する。
次に、インクジェットヘッド3について、図2及び図3を参照しつつ説明する。インクジェットヘッド3は、圧力室10、ノズル15などのインク流路が形成された流路ユニット21と、圧力室10内のインクに圧力を付与するための圧電アクチュエータ22とを備えている。
流路ユニット21は、キャビティプレート31、ベースプレート32、マニホールドプレート33及びノズルプレート34の4枚のプレートが互いに積層されることによって形成されている。4枚のプレート31〜34のうち、ノズルプレート34を除く3枚のプレート31〜34は、ステンレスなどの金属材料からなり、ノズルプレート34は、ポリイミドなどの合成樹脂材料からなる。あるいは、ノズルプレート34も他のプレート31〜33と同様、金属材料によって構成されていてもよい。
キャビティプレート31には、複数の圧力室10が形成されている。圧力室10は、走査方向を長手方向とする略楕円の平面形状を有しており、紙送り方向に沿って配列されることによって圧力室列8を形成している。また、キャビティプレート31には、このような圧力室列8が、走査方向に沿って4列形成されている。ベースプレート32には、複数の圧力室10の長手方向に関する両端部と対向する部分に、それぞれ、略円形の貫通孔12、13が形成されている。
マニホールドプレート33には、上記4つの圧力室列8に対応して4つのマニホールド流路11が形成されている。各マニホールド流路11は、紙送り方向に延びており、対応する圧力室列8の図2における略右半分と対向している。4つのマニホールド流路11には、その下端部に設けられた4つのインク供給口9からインクがそれぞれ供給される。4つのインク供給口9には、ブラック(Bk)、シアン(Cy)、マゼンタ(Mg)及びイエロー(Ye)の4色のインクが色別に供給される。本実施形態では、ブラックインクには顔料系のインクが用いられ、Cy、Mg及びYeのカラーインクには染料系のインクが用いられる。また、マニホールドプレート33には、複数の貫通孔13と対向する部分に、略円形の複数の貫通孔14が形成されている。
ノズルプレート34には、複数の貫通孔14と対向する部分にN個(N:2以上の自然数)のノズル15が形成されている。N個のノズル15は、圧力室列8に対応して、ノズル列15Bk,15Cy,15Mg及び15Yeを構成している。これら4本のノズル列は、ブラック(Bk)、シアン(Cy)、マゼンタ(Mg)及びイエロー(Ye)の4色に対応している。
そして、流路ユニット21においては、マニホールド流路11が貫通孔12を介して圧力室10と連通しており、圧力室10が貫通孔13、14を介してノズル15に連通している。これにより、流路ユニット21には、マニホールド流路11の出口から圧力室10を経てノズル15に至る複数の個別インク流路16が形成されている。
圧電アクチュエータ22は、振動板41、圧電層42、共通電極43、表面電極44、及び、複数の個別電極45を備えている。振動板41は、チタン酸鉛とジルコン酸鉛との混晶であるチタン酸ジルコン酸鉛を主成分とする圧電材料からなり、複数の圧力室10を覆うように、流路ユニット21の上面(つまり、キャビティプレート31の上面)に接合されている。なお、振動板41は、以下に説明する圧電層42とは異なり、金属材料など圧電材料とは異なる材料によって構成されていてもよい。圧電層42は、振動板41と同様の圧電材料からなり、振動板41の上面に、複数の圧力室10にまたがって連続的に延びている。
共通電極43は、振動板41と圧電層42との間に、その全域にわたって形成されている。表面電極44は、圧電層42の上面の、図2の最も右側の圧力室列8よりも右側、及び、最も左側の圧力室列8よりも左側の部分に配置されており、それぞれ、紙送り方向に延びている。共通電極43と表面電極44とは、圧電層42の共通電極43と表面電極44とに挟まれた部分に形成されたスルーホール47を介して互いに導通している。表面電極44の上面には、バンプ48が設けられている。表面電極44は、バンプ48、及び、後述のCOF50に形成されたグランド配線54を介して、図示しない電源のグランド端子に接続されており、常にグランド電位に保持されている。そして、表面電極44と導通した共通電極43も常にグランド電位に保持されている。
複数の個別電極45は、圧電層42の上面の、複数の圧力室10の略中央部と対向する部分にそれぞれ配置されている。これにより、複数の個別電極45も、圧力室列8と同様、紙送り方向に沿った4本の列を構成している。各個別電極45は、圧力室10よりも一回り小さい略楕円の平面形状を有している。また、個別電極45の長手方向に関するノズル15と反対側(図2の右側)の端部は、圧力室10と対向しない部分まで延びており、その先端部が接続端子45aとなっている。
接続端子45aには、バンプ49が形成されており、複数の個別電極45は、バンプ49、及び、後述のCOF50に形成された駆動配線53を介して、ドライバIC52に接続されている。そして、複数の個別電極45には、ドライバIC52により、グランド電位及び駆動電位(例えば、20V程度)のいずれかが選択的に付与される。
また、上述したように共通電極43と複数の個別電極45とが配置されていることにより、圧電層42の複数の圧力室10の略中央部と対向する部分が、それぞれ、共通電極43と個別電極45とに挟まれており、圧電層42のこれらの部分は、それぞれ、その厚み方向に分極されている。
ここで、インクジェットヘッド3において、圧電アクチュエータ22を駆動して、ノズル15からインクを噴射させる方法について説明する。圧電アクチュエータ22においては、共通電極43及び全ての個別電極45が、予めグランド電位に保持されている。そして、あるノズル15からインクを噴射させるためには、ドライバIC52により当該ノズル15に対応する個別電極45に駆動電位を付与する。
すると、圧電層42の当該個別電極45と共通電極43とに挟まれた部分には、共通電極43と個別電極45との電位差により、その厚み方向の電界が生じる。この電界の向きは圧電層42の分極方向と平行であるので、圧電層42のこの部分は、電界の方向と直交する面方向に収縮する。これにより、振動板41及び圧電層42の圧力室10と対向する部分が、全体として圧力室10側に凸となるように変形し、圧力室10の容積が減少する。この圧力室10の容積の減少により、圧力室10内のインクの圧力が上昇し、この圧力室10に連通するノズル15からインクが噴射される。
なお、本実施の形態では、振動板41及び圧電層42の各圧力室10に対向する部分、当該圧力室10に対応する個別電極45、及び、共通電極43のうち当該個別電極45に対向する部分を合わせたものが、それぞれ、本発明に係る駆動素子に相当する。
次に、COF(Chip On Film)50について、図4を参照しつつ説明する。
COF50は、基材51、ドライバIC52(液体噴射用アクチュエータの駆動装置)、複数の駆動配線53、グランド配線54などを備えている。なお、本実施の形態では、COF50からドライバIC52を除いた、基材51、複数の駆動配線53及びグランド配線54を合わせたものが、本発明に係る配線基板に相当する。
基材51は、紙送り方向に長尺のフィルムなどであり、圧電アクチュエータ22(圧電層42)の上方に配置されている。なお、基材51は、インクジェットヘッド3に取り付けられキャリッジ2に組み付けられた状態では、途中部分において図4(a)の紙面手前側に折り曲げられているが、図4(a)では基材51を延ばした状態で図示している。ドライバIC52は、基材51の長手方向に関する一端部近傍の下面に実装されている。また、ドライバIC52は、基材51に形成された複数の配線59を介して、基材51の長手方向に関する一端部に設けられた接続端子70aに接続されている。接続端子70aは、制御装置101に接続されている。
複数の駆動配線53は、基材51の下面に、複数のノズル15に対応して形成されている。各駆動配線53の一端は、これと対応するバンプ49と対向している。駆動配線53の他端は、基材51上に設けられた端子53aを介してドライバIC52の出力端子52aと接続されている。駆動配線53の上記一端の表面には、それぞれ、ランド56が形成されている。ランド56は、各バンプ49と対向しており、バンプ49は、個別電極45のそれぞれに設けられている。このため、ランド56全体も、個別電極45と同様に、4本の列を構成している。バンプ49とランド56とが接合されることによって、個別電極45と駆動配線53とが接続されている。ドライバIC52は、後に詳しく説明する通り、圧電アクチュエータ22の個別電極45のそれぞれに各駆動配線53を介して駆動信号を供給する。
ドライバIC52の出力端子52aは、駆動配線53の数に応じてN個設けられている。なお、図を見やすくするため、図4はN=16の態様で図示されているが、本実施形態は、N=300など、多数のチャンネルが設けられた態様に適用されてもよい。N=16個の出力端子52aは、図4(b)に示すように、走査方向に沿って並んでいる。これら16個の出力端子52aのうち、図4(b)において左から1〜4番目のものは、ノズル列15Bkに対応する4個のランド56に接続されている。同様に、5〜8番目のものはノズル列15Cyに対応する4個のランド56に、9〜12番目のものはノズル列15Mgに対応する4個のランド56に、13〜16番目のものはノズル列15Yeに対応する4個のランド56にそれぞれ接続されている。
グランド配線54は、基材51の、幅方向に関して、いずれの駆動配線53よりも外側の領域に、表面電極44と対向するように配置されている。グランド配線54の下面には、複数のバンプ48と対向する部分にランド57が形成されており、バンプ48とランド57とが接合されることによって、表面電極44とグランド配線54とが接続されている。また、グランド配線54は、基材51の長手方向に沿って、基材51の全長にわたって延びており、その両端部が、基材51の長手方向に関する両端部に設けられた接続端子70bに接続されている。接続端子70bは、図示しない電源のグランド端子に接続されている。
次に、プリンタ1のインクの噴射に関する部分についての、電気的な構成について、図5〜図7を参照しつつ説明する。図5に示すように、制御装置101は、インクジェットヘッド3を駆動するドライバIC52と配線59を介して電気的に接続されている。配線59は、制御装置101において生成された各種信号を種類別にドライバIC52に伝送する信号線121〜124を含んでいる。このうち、信号線123を通じて、制御装置101からドライバIC52へとクロック信号CLKが転送される。クロック信号CLKは、ドライバIC52の各部の動作において同期を取るための信号である。ドライバIC52と圧電アクチュエータ22とは、駆動配線53により電気的に接続されている。各駆動配線53はノズル15のチャンネルCh1〜ChNのそれぞれに対応する。
制御装置101は、それぞれ特定の機能を有する機能部である画素データ記憶部111、波形生成部112、選択データ生成部113及び種類情報生成部114を備えている。制御装置101は、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)や各種のASIC(Application Specific Integrated Circuit)等のハードウェアと、ROM等に記憶されたプログラムなどのソフトウェアとから構築されている。制御装置101の各機能部が有する機能は、ハードウェアとソフトウェアとが協働することにより実現されている。
画素データ記憶部111は、パソコン等の外部機器から伝送された、印字される画像に関する画素データを記憶する。
波形生成部112は、圧電アクチュエータ22を駆動して階調印字等を行うために使用される複数の波形(駆動波形)を示す波形信号を生成する。波形生成部112は、6種類の波形信号(FIRE1〜FIRE6)を生成し、信号線121を通じてドライバIC52に供給する。ドライバIC52及び圧電アクチュエータ22は、後述の通り、これら6種類の波形信号FIRE1〜FIRE6に基づく階調印字が可能に構成されている。
図7(a)に示すように、6種類の波形信号FIRE1〜FIRE6は、LO及びHIの2つの状態を選択的に取る信号である。LO状態は個別電極45の電位をグランドとする状態に相当し、HI状態は個別電極45の電位を駆動電位とする状態に相当する。FIRE1〜FIRE6の各信号は、HI状態が所定時間Aだけ継続するパルス信号を複数含んでいる。所定時間Aは、個別電極45が駆動電位となった際に、その個別電極45に対応する1つのノズル15からインクが1回噴射されるのに必要なエネルギーを、対応する圧力室10内のインクに供給できる長さに設定されている。したがって、1個のパルス信号は、1つのノズル15から1回インクを噴射させる信号に相当する。
FIRE1〜FIRE6のうち、FIRE1〜FIRE3の3種類の波形信号は、パルス数が互いに異なるため、ノズル15からのインク噴射回数が互いに異なる。これにより、階調制御が可能となる。つまり、印字周期内に、FIRE1の場合は1回、FIRE2の場合は2回、そして、FIRE3の場合は3回、インク滴が噴射されることにより、1印字周期におけるインク噴射量が変化することになる。FIRE4〜FIRE6は、例えば、履歴制御を行うための信号などの、FIRE1〜FIRE3とはパルスの幅や間隔等が異なる信号である。なお、履歴制御とは、直前のインクの噴射態様に応じて、印字品質の向上を図るために通常の波形信号FIRE1〜FIRE3とは異なる信号を使用する制御である。
本実施形態では、さらに、ブラックインク用とカラーインク用とで異なる波形信号が用いられる。これは、インクの特性が異なるとノズル15からの噴射特性が異なることによる。特に、本実施形態では、上記の通り、ブラックインクには顔料系のインクが用いられ、カラーインクには染料系のインクが用いられている。したがって、例えば、ノズル15から同じ量のインクを噴射させるために必要なインクへの供給エネルギーが、ブラックインクとカラーインクとで異なる。このため、カラーインク用の波形信号とブラックインク用の波形信号とは、互いにパルスの幅、パルスの間隔、印字周期内のパルスの立ち上がりタイミング等が異なるものが用いられる。
図7(b)は、一例として、図7(a)とはパルスの幅が異なる波形信号を示している。例えば、図7(a)の波形信号はブラックインク用の波形信号として用いられ、図7(b)の波形信号はカラーインク用の波形信号として用いられる。図7(b)の波形信号FIRE1’〜FIRE6’のパルス幅は、波形信号FIRE1〜FIRE6のパルス幅Aより小さい。このパルス幅は、1印字周期内に噴射されるインクの量がブラックインクとカラーインクとで等しくなるように調整されている。
ドライバIC52には、図7(a)に示すFIRE1〜FIRE6のみが信号線121を介して伝送される。FIRE1’〜FIRE6’は、後述の通り、ドライバIC52内の波形調整部163によってFIRE1〜FIRE6から生成される。ドライバIC52では、これら波形信号FIRE1〜FIRE6に基づく6種類と、インクを噴射しないことを示す波形信号(以下、不噴射用波形信号とする)を加えた、計7種類の波形信号の何れかが、個別電極45へと供給する駆動信号として選択される。不噴射用波形信号は、個別電極45の電位をグランドに保持する信号である。あるいは、FIRE1’〜FIRE6’と不噴射用波形信号との計7種類の波形信号のいずれかが選択される。
画素データ記憶部111に格納される画素データは、1つのノズル15から噴射するインクの量を、ノズル15のそれぞれについて印字周期ごとに指示する。印字周期ごとに1つのノズル15から噴射するインクの量には、大、中及び小の3種類が存在する。これら3種類のインクの量は、FIRE1〜FIRE3(あるいは、FIRE1’〜FIRE3’)の3種類の波形信号又はFIRE4〜FIRE6(あるいは、FIRE4’〜FIRE6’)の3種類の波形信号に対応する。
選択データ生成部113は、画素データ記憶部111に格納された画素データに基づいて、ドライバIC52において、各チャンネルの各印字周期に対して6種類の波形信号FIRE1〜FIRE6(FIRE1’〜FIRE6’)のいずれかを選択するか、あるいは、インクを噴射しないかを指示する選択データSINを生成する。選択データSINは、各チャンネルの各印字周期について、3ビットのデータを含んでいる。3ビットのデータが示す数値のうち、6種類の数値は、FIREx又はFIREx’(x=1〜6)に対応している。その他の数値のうち、1種類の数値は、不噴射波形信号を選択するように指示するデータに相当する。FIRE1〜FIRE6かFIRE1’〜6’かの選択は、選択データSINではなく、後述のノイズ種類情報に基づいてなされる。選択データ生成部113が生成した選択データSINは、信号線122を通じてドライバIC52へとシリアル出力される。
ところで、本実施形態では、上記の通り、ノズル列15Bk、15Mg、15Cy及び15Yeが、ドライバIC52の出力端子52aに、図4(b)に示すように割り当てられている。一方、上記の通り、ブラックインクを噴射するノズル15とカラーインクを噴射するノズル15とでは、互いに異なる種類の波形信号が使用される。したがって、ドライバIC52は、ブラックインクを噴射するノズル15に割り当てられた各出力端子52aに対しては、ブラックインクに対応した波形信号を選択すると共に、カラーインクを噴射するノズル15に割り当てられた出力端子52aに対しては、カラーインクに対応した波形信号を選択するように適切に構成されている必要がある。
ここで、仮に、ノズルの種類(カラーインクかブラックインクか)と出力端子52aとの対応関係が固定されているとする。つまり、各出力端子52aに関して、ブラックインクに対応した波形信号を出力するか、カラーインクに対応した波形信号を出力するかが常に一定になるように、ドライバIC52が構成されているとする。この場合、本実施形態とはノズルの構成が異なるインクジェットヘッドにドライバIC52を使用できない場合がある。
本実施形態では、出力端子52aに対するノズル15の種類(カラーインクかブラックインクか)の割り当て方が図4(b)とは異なる場合にも採用できるようにドライバIC52を構成する。例えば、図9(a)は、後述の通り、奇数番目の出力端子52aのみがインク噴射に使用される。偶数番目の出力端子52aは、インク噴射に使用されない。そして、1,3、5番目の出力端子52aはブラックインクを噴射するノズル15に割り当てられ、7、9、11、13、15番目の出力端子52aはカラーインクを噴射するノズル15に割り当てられている。
図4(b)及び図9(a)のいずれの場合にもドライバIC52を使用できるようにするためには、どの出力端子52aにどのような種類のノズル15を割り当てるかをドライバIC52に指示すると共に、その指示に応じてドライバIC52が各出力端子52aに対して波形信号を適切に選択できるようにしなければならない。
そこで、制御装置101の種類情報生成部114は、出力端子52aにどの種類のノズル15が割り当てられるかを出力端子52aごとに指示するノズル種類情報を生成し、ドライバIC52へと出力する。種類情報生成部114は、ノズル種類情報を格納するメモリを有しており、このメモリには、プリンタ1の製造時に、ノズル15の構成に応じたノズル種類情報が格納される。種類情報生成部114は、メモリに格納されたノズル種類情報に基づき、ノズル種類情報を示す信号を生成する。
ノズル種類情報は、具体的には、各出力端子52aがブラックインク及びカラーインクのいずれを噴射するノズル15に割り当てられているかを指示する情報を含んでいる。ここで、図9(a)のように、インク噴射に使用しない出力端子52aが含まれている場合には、その出力端子52aは、ブラックインク及びカラーインクのいずれを指示する情報でもよいが、いずれかの情報がダミー情報としてノズル種類情報に含まれる。このようなダミー情報に基づき、出力端子52aから信号が出力されても、その出力端子52aが圧電アクチュエータ22の駆動に用いられていなければ(つまり、その出力端子52aが個別電極45に接続されていなければ)、圧電アクチュエータ22が不要に駆動されることはない。
例えば、図4(b)に示す割り当てによれば、ノズル種類情報は、1番目〜4番目の出力端子52aにはブラックに対応するノズル15が割り当てられ、5番目〜16番目の出力端子52aにはカラーに対応するノズル15が割り当てられていることを指示する。また、図9(a)に示す割り当てによれば、ノズル種類情報は、1、3、5番目の出力端子52aにはブラックに対応するノズル15が割り当てられ、7、9,11、13、15番目の出力端子52aにはカラーに対応するノズル15が割り当てられていることを指示する。偶数番目の出力端子52aに関しては、カラー及びブラックのいずれかに対応するノズル15が割り当てられていることを指示する情報がダミー情報として含まれる。
次に、ドライバIC52の構成についてより詳細に説明する。以下の説明は、1個のドライバIC52の構成に係る。1個のドライバIC52は、N個のノズル15に対応してN個の出力端子52aのそれぞれから駆動信号を出力する。図6に示すように、ドライバIC52は、制御装置101から波形信号FIRE1〜FIRE6、選択データ、転送クロックCLK及びノズル種類信号を示す信号がそれぞれ入力される波形信号入力部151(波形入力部)、選択データ入力部152、クロック入力部153及び種類情報入力部154を有している。また、ドライバIC52は、シフトレジスタ161、D−フリップフロップ162、波形調整部163、第1波形選択部164(波形種類選択部)、第2波形選択部165、ドライブバッファ166(信号生成部)及びストローブ生成部167を有している。
クロック入力部153には、制御装置101から転送クロックCLKが入力される。この転送クロックCLKは、シフトレジスタ161、波形調整部163及びストローブ生成部167に入力される。このうち、ストローブ生成部167は、入力される転送クロックCLKに基づいてストローブ制御信号を生成し、D−フリップフロップ162へ出力する。
波形信号入力部151には、6種類の波形信号FIRE1〜FIRE6が制御装置101から入力される。この波形信号FIRE1〜FIRE6は、さらに、波形調整部163に入力される。波形調整部163は、波形信号FIRE1〜FIRE6に基づいて、ブラックインク用の波形信号W1とカラーインク用の波形信号W2とを生成する。波形信号W1は、FIRE1〜FIRE6の組み合わせ及びFIRE1’〜FIRE6’の組み合わせのいずれか一方を含んでおり、W2は他方を含んでいる。
波形調整部163は、転送クロックCLKに基づいて所定のタイミングごとに、波形信号W1及びW2を第1波形選択部164へ出力する。
種類情報入力部154には、制御装置101からノズル種類情報を示す信号が入力される。この信号は、さらに、第1波形選択部164に入力される。第1波形選択部164は、種類情報取得部172と、N個の出力端子52a(出力部)に一対一に対応したN個の波形選択回路171とを有している。種類情報取得部172は、ノズル種類情報に基づいて、出力端子52aごとにノズル15の種類(ブラックインクかカラーインクか)を示す信号を生成すると共に、生成した信号を当該出力端子52aに対応する波形選択回路171へと出力する。
各波形選択回路171は、種類情報取得部172からの信号に基づいて、波形調整部163からの波形信号W1及びW2のうちいずれかを選択し、第2波形選択部165へと出力する。このように、波形選択回路171によって波形信号W1及びW2のいずれかが選択されることが、本発明において複数種類の駆動波形のうちから1種類が選択されることに対応する。
選択データ入力部152には、各チャンネルの1印字周期について3ビットの選択データが制御装置101からシリアル入力される。この選択データは、さらに、シフトレジスタ161にシリアルに入力される。各3ビットの選択データは、転送クロックCLKに同期しつつ、シフトレジスタ161にビットごとにシリアル入力される。例えば、あるチャンネルのある3ビットの選択データのうち、1ビット目、2ビット目及び3ビット目のそれぞれのデータが、転送クロックCLKが印加されるごとに順にシフトレジスタ161に入力される。
シフトレジスタ161は、シリアル入力された3ビットの選択データをパラレルに変換し、チャンネルごとのパラレル信号Sx-0,Sx-1,Sx-2(x:0以上且つN−1以下の整数)を、D−フリップフロップ162へ出力する。
ラッチ回路としてのD−フリップフロップ162は、ストローブ生成部167からのストローブ制御信号STBの立ち上がりに従って、各パラレル選択信号Sx-0,Sx-1,Sx-2を、選択信号SELx-0,SELx-1,SELx-2として、マルチプレクサで構成された第2波形選択部165に出力する。
第2波形選択部165は、N個の波形選択回路171と一体一に対応したN個の波形選択回路181を含んでいる。各波形選択回路181には、対応する第1波形選択部164から波形信号W1及びW2のいずれかが入力されると共に、D−フリップフロップ162から選択信号SELx-0,SELx-1,SELx-2が入力される。波形信号W1には波形信号FIRE1〜FIRE6が、波形信号W2には波形信号FIRE1’〜FIRE6’がそれぞれ含まれている。第2波形選択部165は、これら各6種類の波形信号及び不噴射波形信号から、選択信号SELx-0,SELx-1,SELx-2として入力された3ビットの選択データに対応する1つの波形信号を選択し、その波形信号Bxをドライブバッファ166に出力する。
ドライブバッファ166は、波形選択回路181から出力された波形信号Bxを、駆動電位とグランド電位の電位差に相当する所定電圧の噴射パルス信号OUTxとして、対応する出力端子52aから圧電アクチュエータ22へと出力する。
以上説明した本実施形態によると、制御装置101の種類情報生成部114にノズル種類情報を格納しておけば、ドライバIC52が、種類情報生成部114からノズル種類情報を取得し、これに基づいて、ブラックインクに対応した波形信号かカラーインクに対応した波形信号かを出力端子52aごとに適切に選択する。従って、ノズル15の構成が異なる装置にドライバIC52を採用する場合にも、種類情報生成部114に格納させるノズル種類情報をそのノズル15の構成に応じて適宜変更すればよい。これにより、カラーインク用の波形信号及びブラックインク用の波形信号のいずれか適切な方が、ノズル15の構成に応じて出力端子52aから出力される。
このように、各々の出力端子52aに対して、対応するノズル15に係るノズル種類情報が個別に取得され、このノズル種類情報に応じて駆動波形が選択される。よって、各出力端子52aに対応するノズル種類情報を適宜変更することにより、特定の種類のノズル数が異なるなど、ノズルの構成が異なる装置にも同じドライバIC52を使用できる。
[第1変形例]
以下、出力端子52aに対するノズル15の割り当てが図4(b)とは異なる変形例について説明する。第1変形例に係る図8(a)は、図4(b)の場合とは異なり、本変形例に係るドライバIC252において、左から1〜4番目の出力端子52aをブラックインク(Bk)を噴射するノズル15に、5番目〜13番目の出力端子52aをカラーインク(例えば、Mg,Cy,Ye)を噴射するノズル15にそれぞれ割り当てると共に、14〜16番目は、インク噴射には使用しない場合を示している。このように、本変形例では、インク噴射に使用する出力端子52aが連続して並んでいると共に、インク噴射に使用しない出力端子52aも連続して並んでいる。
図8(a)のようにインク噴射には使用しない出力端子52aを含んでいる場合、ドライバIC252がCOF上に実装される際には、インク噴射に使用する1〜13番目の出力端子52aのみが局部的にCOFに接続されるのではなく、全ての出力端子52aが均一にCOFに接続されることが好ましい。そこで、本変形例に用いるCOFには、図8(a)に示すように、1〜16番目の全ての出力端子52aに対応する16個の端子53aが形成される。そして、16個の端子53aと16個の出力端子52aとが接続される。その上で、インク噴射に使用する出力端子52aに対応する端子53aは駆動配線253を介して個別電極45と接続されるが、インク噴射に使用しない出力端子52aに対応する端子53aは、駆動配線にも個別電極45にも接続されない。
ところで、インク噴射に使用しない出力端子52aは、個別電極45に接続されないので、どのような信号が出力されてもよいとも考えられる。例えば、常に不噴射波形信号が出力されてもよいと考えられる。しかしながら、常に不噴射波形信号が出力されるとすると(つまり、使用しない出力端子52aが常時グランドであると)、その出力端子52aと隣接する出力端子52aからFIRE1〜FIRE6などの波形信号が出力されるたびに、これら隣接する2つの出力端子52aに接続されたCOF上の端子53a間に電圧が生じる。この電圧によってCOF上の2つの端子53a間にマイグレーションが進行する。このマイグレーションによって、インク噴射に使用する出力端子52aから出力される駆動信号に影響が出る。
そこで、本変形例に係る制御装置201及びドライバIC252は、図8(b)に示すように構成されていることが好ましい。なお、図8(b)は、以下の説明において必要な構成のみ図示している。その他の構成については、制御装置101及びドライバIC52の構成と同様であるため、図示を省略している。制御装置201は、種類情報生成部114の代わりに、種類情報生成部214を有している。種類情報生成部214は、ドライバIC252へとノズル種類情報を出力する。本変形例のノズル種類情報は、使用する出力端子52aに関してはカラーインクに対応するかブラックインクに対応するかを指示する情報を含んでおり、使用しない出力端子52aに関しては、不使用であることを示す情報を含んでいる。
ドライバIC252は、種類情報取得部172の代わりに、種類情報取得部272を有していると共に、波形変更部267を有している。種類情報取得部272は、種類情報取得部172と同様に、波形信号W1及びW2のいずれを選択するか指示する信号を第1波形選択部164へと出力する。また、種類情報取得部272は、ノズル種類情報に含まれる出力端子52aの不使用を示す情報に基づいて、使用しない出力端子52aに関しては、波形信号を変更するように指示する信号を波形変更部267へと出力する。波形変更部267は、種類情報取得部272からの信号に基づき、第2波形選択部165から出力された波形信号B0〜BM〜BN(M:0以上且つN以下の整数)のうち、使用しない出力端子52aに対応する波形信号BMを特定の波形信号BM’に変更した波形信号B0〜BM’〜BNをドライブバッファ166へと出力する。
種類情報取得部272は、具体的には、以下のように波形変更部267に波形信号の変更を指示する。図8(a)の場合、インク噴射に使用する13番目の出力端子52aとインク噴射に使用しない14番目の出力端子52aとが隣り合っている。そして、14番目の出力端子52aには、15及び16番目のインク噴射に使用しない出力端子52aが連なっている。このような場合、種類情報取得部272は、使用しない出力端子52aのうち、使用する出力端子52aに隣り合っているものには、その使用する出力端子52aから出力される波形信号と同じ波形信号が出力されるように、波形変更部267に指示する。また、その他の使用しない出力端子52aからも同じ波形信号が出力されるように、波形変更部267に指示する。これにより、波形変更部267は、各印字周期において、図8(a)の14〜16番目の出力端子52aに対応する波形信号B14〜B16を、13番目の出力端子52aから出力される波形信号B13とそれぞれ等しい波形信号B14’〜B16’に変更する。
これにより、インク噴射に使用する13番目の出力端子52aとインク噴射に使用しない14番目の出力端子52aとから同じ波形信号が出力されるため、これらの間に電圧が生じるのが回避される。したがって、これらに接続された端子53a間に電圧が生じるのが回避され、マイグレーションの進行が抑制される。また、インク噴射に使用しない14〜16番目の全ての出力端子52aからも同じ波形信号が出力されるため、これらの出力端子52a同士にも電圧が生じるのが回避される。よって、これらの出力端子52aに接続された端子53a間のマイグレーションも抑制される。
なお、インク噴射に使用しない全ての出力端子52aに波形信号が出力されるのではなく、インク噴射に使用する出力端子52aに隣接するインク噴射に使用しない出力端子52aを含む一部の出力端子52aにのみ、波形信号が出力されてもよい。例えば、図8(a)の14番目の出力端子52aにのみ、13番目の出力端子52aと同じ波形信号が出力されてもよいし、14及び15番目の出力端子52aにのみ、13番目の出力端子52aと同じ波形信号が出力されてもよい。これは、インク噴射に使用しない出力端子52aと接続された端子53a間にマイグレーションが生じることよりも、インク噴射に使用する出力端子52aに接続された端子53aとインク噴射に使用しない出力端子52aに接続された端子53aとの間にマイグレーションが生じることの方が、インク噴射に直接関わるので、問題が大きいためである。
[第2変形例]
第2変形例に係る図9(a)は、本変形例に係るドライバIC352において、奇数番目の出力端子52aのみ、インク噴射に使用し、偶数番目の出力端子52aはインク噴射に使用しない。したがって、奇数番目の出力端子52aは駆動配線353を介して個別電極45に接続されるが、偶数番目の出力端子52aは駆動配線に接続されない。使用する出力端子52aのうち、1、3、5番目はブラックインクを噴射するノズル15に割り当てられ、7、9、11、13、15番目はカラーインクを噴射するノズル15に割り当てられる。このように飛び飛びに出力端子52aを使用するのは、使用する端子53a間の距離を大きくすることにより、端子53a間でマイグレーションが生じるのをなるべく抑制するためである。
この場合にも、インク噴射に使用しない出力端子52aには、第1変形例と同様、インク噴射に使用する隣接した出力端子52aと同じ波形信号が出力されることが好ましい。しかしながら、インク噴射に使用しない6番目の出力端子52aが、ブラックインクを噴射するノズル15に割り当てられた5番目の出力端子52aと、カラーインクを噴射するノズル15に割り当てられた7番目の出力端子52aとに挟まれている。この場合、ブラックとカラーのいずれの出力端子52aに応じて波形信号を選択すればよいかが問題となる。
そこで、本変形例の場合には、制御装置301及びドライバIC352が、図9(b)に示すように構成されていることが好ましい。制御装置301の種類情報生成部314が出力するノズル種類情報は、第1変形例のノズル種類情報に加えて、現在の記録モードを示す記録モード情報を含んでいる。本変形例の記録モードには、第1記録モード及び第2記録モードの2つがある。第1記録モードは、ブラックインクを使用して文字の印字のみを行う印刷処理に対応する。第2記録モードは、少なくともカラーインクを使用して写真画像等を印刷する処理に対応する。この2つの記録モードは、制御装置101によって選択され、モードに応じた印刷処理が実行される。
なお、第2記録モードは、少なくともカラーインクを使用して写真画像等を印刷する処理に対応するモードであればよい。したがって、第2記録モードは、ブラックインクとカラーインクの両方を使用するモードであってもよいし、カラーインクのみを使用するモードであってもよい。あるいは、これらの2つを切り換えるモードであってもよい。例えば、写真画像の印刷ではカラーインクのみを使用するモードであるが、文書と挿入画像との組み合わせをカラー印刷する場合には、ブラックインクとカラーインクとを両方、使用するモードであってもよい。カラーインクのみが使用される際、ブラックはトリカラーで表現される(つまり、3色のインクの混色によりブラックが表現される)。
ドライバIC352の種類情報取得部372は、ノズル種類情報に基づき、インク噴射に使用されない出力端子52aのうち、ブラックインクを噴射するノズル15に割り当てられた出力端子52aと、カラーインクを噴射するノズル15に割り当てられた出力端子52aとに挟まれたもの(以下、特定出力端子52aとする)を取得する。図9(a)では、6番目の出力端子52aがこれに対応する。
次に、種類情報取得部372は、ノズル種類情報に基づき、現在のモードが第1記録モードである場合、特定出力端子52aに対応する波形信号を、特定出力端子52aに隣接するブラックインクのノズル15に割り当てられた出力端子52aに対応する波形信号に変更するよう、波形変更部267に指示する。図9(a)の場合、6番目の出力端子52aに対応する波形信号が5番目の出力端子52aに対応する波形信号に変更されるように波形変更部267が指示される。
一方、種類情報取得部372は、ノズル種類情報に基づき、現在のモードが第2記録モードである場合、特定出力端子52aに対応する波形信号を、特定出力端子52aに隣接するカラーインクのノズル15に割り当てられた出力端子52aに対応する波形信号に変更するよう、波形変更部267に指示する。図9(a)の場合、6番目の出力端子52aに対応する波形信号が7番目の出力端子52aに対応する波形信号に変更されるように波形変更部267が指示される。第2記録モードにおいて、カラー側の出力端子52aの波形信号が選択されるのは、特定出力端子52aとカラー側の出力端子52aとの間の電圧により生じるマイグレーションの方が、特定出力端子52aとブラック側の出力端子52aとの間の電圧により生じるマイグレーションよりも、問題が大きいためである。
なお、第2記録モードにおいて、特定出力端子52aに対して常にカラー側の出力端子52aの波形信号を選択するのではなく、カラー側の出力端子52aとブラック側の出力端子52aとの両方の波形信号を適宜選択してもよい。例えば、図9(a)において、5番目の出力端子52aからあるタイミングである波形信号が出力され、7番目の出力端子52aから別のタイミングである波形信号が出力される場合には、前者のタイミングにおいては5番目の出力端子52aと同じ波形信号が選択され、後者のタイミングにおいては7番目の出力端子52aと同じ波形信号が選択されてもよい。
また、種類情報取得部372は、インク噴射に使用しない出力端子52aのうち、特定出力端子52a以外のものについては、記録モードに限らず、以下の波形信号に変更するように波形変更部267に指示する。ブラック側の出力端子52a(図9(a)の2,4番目)に対しては、隣接する出力端子52aから出力される波形信号と同じ波形信号が選択される。例えば、2番目に対しては、1番目又は3番目と同じ波形信号が選択されてよい。同様に、4番目に対しては、3番目又は5番目と同じ波形信号が選択されてもよい。
カラー側の出力端子52a(図9(a)の8、10、12、14、16番目)に対しては、隣接する出力端子52aから出力される波形信号と同じ波形信号が選択される。例えば、8番目に対しては、7番目と同じ波形信号が選択されてよい。あるいは、8及び10番目に対しては、9番目と同じ波形信号が選択されてもよい。同様に、10及び12番目には11番目と同じ波形信号が選択されてもよいし、12及び14番目には13番目と同じ波形信号が選択されてもよいし、14及び16番目には15番目と同じ波形信号が選択されてもよい。
[第3変形例]
第3変形例は、出力端子52aへのノズル15の割り当ては図4(b)の割り当てと同じであるが、カラーインク用の波形信号FIRE1’〜FIRE6’の構成が異なる場合に係る。本変形例に係る図10(a)に示す波形調整部463は、波形調整部163の代わりに用いられる。波形調整部463は、図10(c)に一例を示すように、カラーインク用の波形信号FIRE1’〜FIRE6’を、波形信号FIRE1〜FIRE6と比べて、パルスの数、パルス幅、パルスの間隔は同じであるが、パルスのタイミングが半クロック分、遅延するように生成する。
ところで、印刷処理のデューティが高まると、インク噴射の頻度が高くなることにより、チャンネル同士でインク噴射に影響を与え合うクロストークの問題が大きくなる。一方で、本変形例のFIRE1’〜FIRE6’のように、FIRE1〜FIRE6に対してタイミングを遅延させてパルスを供給すると、クロストークの問題が抑制される。
そこで、本変形例に関して、本変形例に係る制御装置401(図10(b)参照)は、本来ブラックインク用の波形信号を供給するべきチャンネルに対して、カラーインク用の波形信号を供給する。例えば、制御装置401の種類情報生成部414は、画像データに基づき、印刷処理のデューティがどの程度かを評価する。そして、デューティが所定の基準より高いと評価した場合、種類情報生成部414は、図4(b)の1、3番目の出力端子52aからはブラックインク用の波形信号(FIRE1〜FIRE6に対応する信号)が出力されるが、2、4番目の出力端子52aからはカラーインク用の波形信号(FIRE1’〜FIRE6’に対応する信号)が出力されるように、ノズル種類情報を生成してドライバIC52へと出力する。一方、デューティが所定の基準より低いと評価した場合、種類情報生成部414は、図4(b)の1〜4番目の出力端子52aから、本来のブラックインク用の波形信号(FIRE0〜FIRE6に対応する信号)が出力されるように、ノズル種類情報を生成してドライバIC52へと出力する。
以上により、本変形例では、デューティが高くクロストークが発生しやすい場合には、ブラック用の波形信号と、ブラック用の波形信号から半クロック分、遅延させたカラー用の波形信号とを併用することにより、クロストークの影響を抑制する。
(その他の変形例)
以上、本発明の好適な実施の形態について説明したが、本発明は上述の実施形態や変形例に限られるものではなく、特許請求の範囲に記載した限りにおいてさらに様々な設計変更が可能なものである。
例えば、上述の実施形態や各種の変形例では、ノズル15の種類としてブラックインク用及びカラーインク用があり、この種類に応じて波形信号が異なっている。しかし、ノズルの種類として径の異なるものが含まれており、ノズル径に応じて波形信号が異なっている場合に本発明が適用されてもよい。なお、上述の実施形態や変形例では、いずれも、ブラックインク用及びカラーインク用の両方のノズルが設けられている。しかし、いずれの実施例に係るドライバICも、ブラックインク用のノズルのみが設けられている場合や、カラーインク用のノズルのみが設けられている場合にも採用できる。
また、上述の実施形態や各種の変形例では、制御装置に設けられた種類情報生成部114がドライバICへとノズル種類情報が出力される。しかし、ドライバIC内にノズル種類情報を格納するメモリ等の格納部を設け、プリンタ1の最初の駆動までにあらかじめ、かかる格納部へとノズル種類情報を転送しておき、その後は格納部からノズル種類情報を取得してもよい。この場合、最初にドライバICにノズル種類情報を格納すれば、その後はドライバICに外部からノズル種類情報を入力する必要がない。
また、上述の第1変形例及び第2変形例では、ノズル種類情報に不使用情報が含まれ、種類情報取得部が不使用情報に基づいて、インク噴射に使用しない出力端子52aに係る波形信号を変更するように波形変更部267に指示する。これにより、使用しない出力端子52aから、その隣の使用する出力端子52aから出力されるのと同じ波形信号を出力させる。しかし、選択データ生成部が、使用しない出力端子52aから、その隣の使用する出力端子52aから出力されるのと同じ波形信号を出力させるような選択データSINを生成し、ドライバIC52へと出力してもよい。これにより、ドライバIC52の構成を変えなくても、第1変形例及び第2変形例の目的を達成できる。
また、上述の実施形態や各種の変形例は、本発明を、記録用紙に画像を記録するインクジェットプリンタに適用したものであるが、画像等の記録以外の様々な用途で使用される液滴噴射装置においても本発明は適用されうる。例えば、噴射対象体としての基板に導電性の液体を噴射して、基板表面に導電パターンを形成する液滴噴射装置にも、本発明を適用することが可能である。