JP5956311B2 - 積層体及びタイヤ - Google Patents
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Description
(1)本発明による積層体は、エネルギー線硬化型塗料を硬化してなる着色層と、該着色層の下に配設され、エポキシ変性ゴムを配合したゴム組成物を適用してなる下層ゴムと、を備え、前記ゴム組成物における老化防止剤の含有量が、ゴム成分100質量部に対して3質量部以下であることを特徴とする。
(2)また、前記エポキシ変性ゴムは、エポキシ変性ジエン系ゴムであることが好ましい。
(3)さらに、前記エポキシ変性ジエン系ゴムは、エポキシ変性天然ゴム又はエポキシ変性ブタジエンゴムであることがより好ましい。
(4)前記ゴム組成物は、ゴム成分中、前記エポキシ変性ゴム5〜100質量%配合することが好ましい。
(5)前記エネルギー線硬化型塗料は、光カチオン重合性塗料であることが好ましい。
(6)前記エネルギー線は、紫外線又は赤外線であることが好ましい。
(7)前記着色層の下層として、白色インク層をさらに備えることが好ましい。
(8)本発明によるタイヤは、上述した積層体を、サイドウォール部に用いてなることを特徴とする。
本発明による積層体は、図1に示すように、着色層13と、該着色層に接して設けられた着色層12と、を備える。
以下に、各部材の説明を行う。
本発明の積層体を構成する着色層は、エネルギー線硬化型塗料を硬化してなることを特徴とする。
前記エネルギー線硬化型塗料を用いることにより、所望の加飾や視認性を確保しつつ、着色層と該着色層の下に配設された下層ゴムとの密着性を向上できるとともに、該エネルギー線硬化型塗料は、熱硬化型や溶剤揮発型の塗料に比べて塗膜の硬化時間を大幅に短縮することが可能となり、また塗膜の硬化時に熱がかからないため下層ゴムの変質を防止できるという効果を奏する。
ここで、該着色剤としては、有機又は無機の顔料又は染料が使用できる。例えば、無機顔料としては、酸化チタン等が挙げられる。例えば、白色着色剤としては、酸化チタン、アンチモン白、硫化亜鉛等が挙げられ、赤色着色剤としては、ベンガラ、カドミウムレッド、鉛丹、硫化水銀、カドミウム、パーマネントレッド4R、リソールレッド、ピラゾロンレッド、ウォッチングレッド、カルシウム塩、レーキレッドD、ブリリアントカーミン6B、エオシンレーキ、ローダミンレーキB、アリザリンレーキ、ブリリアントカーミン3B、C.I.ピグメントレッド2等が挙げられ、青色着色剤としては、C.I.ピグメントブルー15:3、C.I.ピグメントブルー15、紺青、コバルトブルー、アルカリブルーレーキ、ビクトリアブルーレーキ、フタロシアニンブルー、無金属フタロシアニンブルー、フタロシアニンブルー部分塩素化物、ファーストスカイブルー、インダンスレンブルーBC等が挙げられ、黄色着色剤としては、黄鉛、亜鉛黄、カドミウムイエロー、黄色酸化鉄、ミネラルファーストイエロー、ニッケルチタンイエロー、ネーブルイエロー、ナフトールイエローS、ハンザイエローG、ハンザイエロー10G、ベンジジンイエローG、ベンジジンイエローGR、キノリンイエローレーキ、パーマネントイエローNCG、タートラジンレーキ、C.I.ピグメントイエロー12等が挙げられる。なお、着色剤の使用量は、オリゴマーとモノマーの総量の1〜50質量%の範囲が好ましい。
光カチオン重合開始剤を用いた場合の光硬化反応を、以下に示す。
例えば、前記エネルギー線硬化型塗料を、加硫済みの下層ゴム表面上に、スクリーン印刷、インクジェット印刷、凸版印刷、タンポ印刷等の方法で塗布した後に、塗布層にエネルギー線を照射して硬化させることで、下層ゴムの外表面に着色層を形成することができる。また、予めエネルギー線硬化型塗料を、剥離フィルム等の上に塗布し、エネルギー線を照射して硬化させて得たフィルムをタイヤ等のゴム材料の加硫時に挿入するインモールド成型によって、ゴム材料表面に着色層を設けてもよい。
本発明の積層体は、図1に示すように、前記着色層12の下に、下層ゴム11を備え、該下層ゴムは、エポキシ変性ゴムを配合したゴム組成物を適用することを特徴とする。該下層ゴム11を構成するゴム組成物に配合されたエポキシ変性ゴムの持つ極性によって、前記エネルギー線硬化型塗料の濡れ性が向上し、さらに、前記変性ゴムのエポキシ基が着色層塗料のラジカルやカチオンと反応するため、前記下層ゴム11と前記着色層12との接着性及び加飾耐久性を大幅に向上できる。
例えば、前記着色層との接着性をより向上する点からは、エポキシ変性ジエン系ゴム、より具体的には、エポキシ変性天然ゴム又はエポキシ変性ブタジエンゴムを用いることが好ましい。
また、前記エポキシ変性天然ゴムのエポキシ化度については、10%以上であることが好ましい。
本発明のゴム積層体は、図1に示すように、前記着色層12上に、保護層13をさらに備えることが好ましい。該保護層13は、その弾力性や、耐衝撃性、耐磨耗性等を有し、前記着色層12を保護するための層である。
紫外線吸収剤は、例えば、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、トリアジン系紫外線吸収剤又はシアノアクリレート系紫外線吸収剤等、市販の紫外線吸収剤を用いることができる。
本発明によるタイヤは、上述した本発明の積層体を、サイドウォール部に用いてなることを特徴とする。
例えば、図2に示すように、前記タイヤは、一対のビード部1と、一対のサイドウォール部と、両サイドウォール部に連なるトレッド部3と、該ビード部1に各々埋設されたビードコア4間にトロイド状に延在させたカーカス5と、該カーカス5のクラウン部のタイヤ半径方向外側に配置したベルト6とを具え、サイドウォール部2のタイヤ外表面の一部に着色層7を具え、該着色層7のタイヤ内面側(図示例では、タイヤ幅方向内側)に隣接して下層ゴム8、タイヤ外面側に保護層9を具える。
・積層体の作製
表1に示す原材料を、バンバリーミキサーにより混合して、ゴム組成物を調製した。その後、得られたゴム組成物を160℃、13分の条件で加硫することで、下層ゴムを作製した。
次に、得られた下層ゴムの表面上に、表2に示す紫外線硬化型塗料を、膜厚が 2 μmになるようにインクジェット法で塗布した。そして、SUBZERO 085(UVランプシステム,インテグレーション社製,出力100W/cm)を用いて、積算光量が200mJ/cm2、ピーク照度が1200mW/cm2の条件でインク組成物(紫外線硬化型塗料)を硬化した。積算光量及びピーク照度の測定は、紫外線光量計Power Pack(EIT社製)を用いて行った。これにより、着色層及び加層ゴムを備える積層体のサンプルを作製した。
(1)着色層の耐剥離性
各積層体のサンプルを60℃の恒温槽中に48時間放置した後、着色層に対して、JIS K5600−5−6に準拠して碁盤目密着試験を行い、着色層の密着性を評価した。比較例1のタイヤの着色層の剥がれた碁盤目の数の逆数を100として、指数表示した。指数値が高い程、着色層の耐剥離性(下層ゴムとの密着性及び加飾耐久性)が高いことを示す。
各積層体のサンプルについて、屋外にて暴露評価を行い、暴露30日後の色差と初期の色差の変化の大きさを測定し、耐汚染性の評価を行った。測定は、分光測色計(コニカミノルタ(株)製 CM−700D)を用いた。
評価については、比較例1の色差を100としたときの指数値として表示し、数値が大きいほど色差が小さく、耐汚染性が良好となる。評価結果を表1に示す。
※1: RSS製 #1
※2: JSR製 BR01
※3: カーボンブラック、FEF、ヨウ素吸着量=43g/kg、DBP吸油量=121ml/100g、N2SA(窒素吸着比表面積)=42m2/g、旭カーボン(株)製 「旭#65」
※4: ミヨシ油脂製 MXST
※5:N−(1,3−ジメチルブチル)−N’−p−フェニレンジアミン、大内新興化学(株)製 ノックラック6C
※6: 日本精蝋社製 オゾエース−0701
※7: 九州白水製 「ハクスイテック」
※8: N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、大内新興化学(株)製 ノクセラーCZ−G
※9: ジベンゾチアジルジスルフィド、大内新興化学(株)製 ノクセラーDM−P
※10: 四国化成工業株式会社製 ミュークロンOT−20
※11: UV硬化型塗料はBASF社製 IRGACURE250を使用
Claims (8)
- エネルギー線硬化型塗料を硬化してなる着色層と、
該着色層の下に配設され、エポキシ変性ゴムを配合したゴム組成物を適用してなる下層ゴムと、を備え、
前記ゴム組成物における老化防止剤の含有量が、ゴム成分100質量部に対して3質量部以下であることを特徴とする積層体。 - 前記エポキシ変性ゴムは、エポキシ変性ジエン系ゴムであることを特徴とする請求項1に記載の積層体。
- 前記エポキシ変性ジエン系ゴムは、エポキシ変性天然ゴム又はエポキシ変性ブタジエンゴムであることを特徴とする請求項2に記載の積層体。
- 前記ゴム組成物は、ゴム成分中、前記エポキシ変性ゴム5〜100質量%配合することを特徴とする請求項1に記載の積層体。
- 前記エネルギー線硬化型塗料は、光カチオン重合性塗料であることを特徴とする請求項1に記載の積層体。
- 前記エネルギー線は、紫外線又は赤外線であることを特徴とする請求項1に記載の積層体。
- 前記着色層の下層として、白色インク層をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の積層体。
- 請求項1〜7のいずれか1項に記載の積層体を、サイドウォール部に用いてなることを特徴とするタイヤ。
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