JP2013154849A - タイヤ - Google Patents
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Abstract
【課題】塗膜層が高い密着性で配設されたタイヤを提供する。
【解決手段】下地ゴム7と、該下地ゴム7の上に設けられた塗膜層8とを具え、前記下地ゴム7に、ワックスの含有量がゴム成分100質量部に対して0〜0.5質量部であるゴム組成物を適用したことを特徴とするタイヤである。該下地ゴムに適用するゴム組成物は、老化防止剤の含有量が前記ゴム成分100質量部に対して0〜0.5質量部であることが好ましく、また、前記ゴム成分の少なくとも一部として非ジエン系ゴムを含むことが好ましい。
【選択図】図1
【解決手段】下地ゴム7と、該下地ゴム7の上に設けられた塗膜層8とを具え、前記下地ゴム7に、ワックスの含有量がゴム成分100質量部に対して0〜0.5質量部であるゴム組成物を適用したことを特徴とするタイヤである。該下地ゴムに適用するゴム組成物は、老化防止剤の含有量が前記ゴム成分100質量部に対して0〜0.5質量部であることが好ましく、また、前記ゴム成分の少なくとも一部として非ジエン系ゴムを含むことが好ましい。
【選択図】図1
Description
本発明は、タイヤ、特には、乗用車用タイヤとして使用するのに好適なタイヤに関するものである。
天然ゴムに代表される主鎖に不飽和結合を有するジエン系ゴムは、一般的な剛性樹脂等と比較して、オゾンや紫外線等により変質や硬化等が起き易いことが知られている。これに対して、オゾンや紫外線等による変質を受け難いブチルゴム(IIR)やエチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)等の非ジエン系ゴムでは、こうした問題が生じ難いが、これら非ジエン系ゴムは、ゴム物性や他部材との接着性への影響が大きい。
上記ジエン系ゴムにおける耐候性対策として、ワックスや老化防止剤等のゴムの劣化、変質を抑制する効果を有する薬品を配合する技術が挙げられるが、こうした薬品は、その薬品自体又はその酸化物が有色である場合が多く、配合によって、ゴム製品が変色するという問題があった。これに対して、着色の問題が比較的生じ難い老化防止剤も知られているが、かかる特殊な老化防止剤は一般的に高価であり、価格面でのデメリットが大きい。一方、特開平10−35212号公報には、フェニレンジアミン系老化防止剤がゴム成分100重量部に対して0.5重量部以下で、かつワックスが0.5重量部以下配合されたゴム組成物をサイドウォールに適用した空気入りタイヤが開示されており、該タイヤによれば、サイド部の外観性と耐オゾンクラック性の双方を良好な状態に保てることが報告されている。
一方、タイヤ等のゴム製品においても、他の成型品と同様、加飾や視認性の向上等を目的として、表面への塗装及び印刷といった着色加工が広く行われている。タイヤにおいても、同様に各種塗料を用いた着色が可能であり、例えば、特開2010−125440号公報には、タイヤに紫外線硬化型インクにて加飾する方法が開示されている。また、特表2004−526814号公報、特表2009−520616号公報には、ポリウレタン層からなる着色層をサイドウォールに設けたタイヤが開示されている。
上記のように、加飾や視認性の向上等を目的として、表面に塗膜層を設けたタイヤにおいては、該塗膜層の下に位置するゴムの表面にワックスや老化防止剤が移行すると、塗膜層とその下に位置するゴムとの接着が阻害され、塗膜層が剥がれる等の外観上の不良が生じるという問題があった。また、塗膜層の下に位置するゴムに含まれる物質がゴムの表面に移行することによって、該ゴムの上に設けた塗膜層が変色したり、ゴムと塗膜層との密着力が低下するといった問題もあった。
そこで、本発明の目的は、上記従来技術の問題を解決し、塗膜層が高い密着性で配設されたタイヤを提供することにある。
本発明者らは、上記目的を達成するために鋭意検討した結果、塗膜層の下に、ワックスの含有量がゴム成分100質量部に対して0〜0.5質量部であるゴム組成物からなる下地ゴムを配設することで、塗膜層と下地ゴムとの接着性が向上して、塗膜層を高い密着性でタイヤに設けることが可能になることを見出し、本発明を完成させるに至った。
即ち、本発明のタイヤは、下地ゴムと、該下地ゴムの上に設けられた塗膜層とを具え、
前記下地ゴムに、ワックスの含有量がゴム成分100質量部に対して0〜0.5質量部であるゴム組成物を適用したことを特徴とする。かかる本発明のタイヤにおいては、塗膜層と下地ゴムとの密着性が非常に高い。
前記下地ゴムに、ワックスの含有量がゴム成分100質量部に対して0〜0.5質量部であるゴム組成物を適用したことを特徴とする。かかる本発明のタイヤにおいては、塗膜層と下地ゴムとの密着性が非常に高い。
本発明のタイヤの好適例において、前記下地ゴムに適用するゴム組成物は、老化防止剤の含有量が前記ゴム成分100質量部に対して0〜0.5質量部である。この場合、塗膜層と下地ゴムとの密着性が特に優れる。
本発明のタイヤの他の好適例において、前記下地ゴムに適用するゴム組成物は、前記ゴム成分の少なくとも一部として非ジエン系ゴムを含む。この場合、下地ゴムと塗膜層との密着性が高い上、下地ゴムの耐候性も高くなる。
本発明のタイヤの他の好適例において、前記下地ゴムに適用するゴム組成物は、前記ゴム成分の40質量%以上が前記非ジエン系ゴムである。この場合、下地ゴムの耐候性が特に高くなる。
本発明のタイヤの他の好適例においては、前記塗膜層が紫外線硬化型塗料を硬化させてなる。この場合、塗膜層の形成に要する時間が短くなり、タイヤの生産性を向上させることができる。
本発明によれば、ワックスの含有量がゴム成分100質量部に対して0〜0.5質量部であるゴム組成物からなる下地ゴムの上に塗膜層が設けられており、塗膜層が高い密着性で配設されたタイヤを提供することができる。
以下に、本発明を、その実施形態を例示して詳細に説明する。本発明のタイヤは、下地ゴムと、該下地ゴムの上に設けられた塗膜層とを具え、前記下地ゴムに、ワックスの含有量がゴム成分100質量部に対して0〜0.5質量部であるゴム組成物を適用したことを特徴とする。本発明のタイヤにおいては、塗膜層の下(例えば、塗膜層のタイヤ内面側)に、ワックスの含有量がゴム成分100質量部に対して0.5質量部以下であるゴム組成物を用いた下地ゴムが配設されているため、ワックスの表面側への移行(ブルーム)量が少なくなり、ワックスによる塗膜層の変色や、塗膜層とタイヤ(下地ゴム)との密着性の低下を防止できる。
上述の通り、本発明において、下地ゴムに適用するゴム組成物は、ワックスの含有量がゴム成分100質量部に対して0〜0.5質量部である。下地ゴムに適用するゴム組成物において、ワックスの含有量がゴム成分100質量部に対して0.5質量部を超えると、ワックスの表面側への移行(ブルーム)量が多くなり、塗膜層とその下に位置する下地ゴムとの密着性が低下する。
上記ワックスとしては、特に限定されるものではく、タイヤに用いられる公知のワックスを使用することができ、例えば、マイクロクリスタリンワックス等を使用することができる。
また、上記塗膜層と下地ゴムとの密着性の観点から、該下地ゴムに適用するゴム組成物は、老化防止剤の含有量が上記ゴム成分100質量部に対して0〜0.5質量部であることが好ましい。下地ゴムに適用するゴム組成物において、老化防止剤の含有量がゴム成分100質量部に対して0.5質量部以下であれば、塗膜層と下地ゴムとの密着性が更に向上する。
上記老化防止剤としては、例えば、N−フェニル−N’−(1,3−ジメチルブチル)−p−フェニレンジアミン(6PPD)、2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリン重合体(TMDQ)、6−エトキシ−2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリン(AW)、N,N’−ジフェニル−p−フェニレンジアミン(DPPD)、N,N′−ジ−sec−ブチル−p−フェニレンジアミン、N−フェニル−N’−(メチルヘプチル)−p−フェニレンジアミン等が挙げられる。
また、上記下地ゴムに適用するゴム組成物のゴム成分としては、天然ゴム(NR)や合成ゴムを使用することができる。ここで、合成ゴムとしては、合成ポリイソプレンゴム(IR)、スチレン−ブタジエン共重合体ゴム(SBR)、ポリブタジエンゴム(BR)等のジエン系ゴム、ブチルゴム(IIR)、ハロゲン化ブチルゴム[臭素化ブチルゴム(Br−IIR)、塩素化ブチルゴム(Cl−IIR)等]、エチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)等の非ジエン系ゴムが挙げられる。これらゴム成分は1種単独で用いても、2種以上を混合して用いてもよい。なお、本発明において、非ジエン系ゴムとは、該非ジエン系ゴムを構成するモノマー単位中のジエン系モノマー由来の単位の割合が5mol%以下のゴムを意味する。ここで、ジエン系モノマーとしては、1,3−ブタジエン、イソプレン、1,3−ペンタジエン、2,3−ジメチルブタジエン等が挙げられる。一方、非ジエン系ゴムを構成するジエン系以外(非ジエン系)のモノマーとしては、エチレン、プロピレン、イソブテン等が挙げられる。
本発明のタイヤにおいて、上記下地ゴムに適用するゴム組成物のゴム成分は、上記非ジエン系ゴムを含むことが好ましい。該非ジエン系ゴムは、耐オゾン性等の耐候性に優れるため、下地ゴムに適用するゴム組成物のゴム成分が非ジエン系ゴムを含む場合、下地ゴムの耐候性が向上する。
上記下地ゴムに適用するゴム組成物においては、上記ゴム成分の40質量%以上が上記非ジエン系ゴムであることが好ましい。下地ゴムに適用するゴム組成物のゴム成分の40質量%以上が非ジエン系ゴムであると、下地ゴムの耐候性が大幅に向上する。
上記下地ゴムに適用するゴム組成物には、上述のゴム成分、ワックス、老化防止剤の他に、更に、カーボンブラック等の充填剤、硫黄等の加硫剤、加硫促進剤、プロセスオイル、スコーチ防止剤、亜鉛華、ステアリン酸等のゴム工業で通常使用される配合剤を、本発明の目的を害しない範囲内で適宜選択して配合することができる。これら配合剤としては、市販品を好適に使用することができる。上記下地ゴムに適用するゴム組成物は、ゴム成分に、必要に応じて適宜選択した各種配合剤を混練り、熱入れ、押出等することにより製造することができる。
本発明においては、塗料を、例えば、下地ゴムを具える加硫済みのタイヤの該下地ゴムの上に、スクリーン印刷、インクジェット印刷、凸版印刷、タンポ印刷等の方法で塗布した後に、塗布層を硬化させて、タイヤの下地ゴムの上に塗膜層を形成することができる。また、本発明においては、予め塗料を、剥離フィルム等の上に塗布し、硬化させて得たフィルムをタイヤの加硫時に挿入するインモールド成型により、上記塗膜層をタイヤの下地ゴムの上に設けてもよい。
本発明のタイヤにおいて、上記塗膜層の形成に用いる塗料としては、特に限定されるものではなく、蒸発乾燥塗料、酸化重合塗料、アロマフリー塗料、大豆油塗料、紫外線硬化型塗料等を挙げることができるが、これらの中でも、紫外線硬化型塗料が好ましい。該紫外線硬化型塗料は乾燥時間等が短いため、塗膜層の形成に紫外線硬化型塗料を用いた場合、塗膜層の形成に要する時間が短くなり、作業性が向上し、その結果として、タイヤの生産性を向上させることが可能になる。
上記紫外線硬化型塗料は、紫外線を照射することにより硬化する塗料であり、通常は、光重合開始剤、オリゴマー、モノマー、着色剤を主要成分とし、更に、必要に応じて紫外線吸収剤、酸化防止剤、光安定剤、接着促進剤、レオロジー調整剤、分散剤等の配合剤が配合される。また、本発明のタイヤの塗膜層の原料として使用する紫外線硬化型塗料は、粘度調整のため、溶剤で希釈されていてもよい。
上記光重合開始剤として、一般には、ラジカル光重合開始剤が使用される。ここで、光重合開始剤として、より具体的には、ベンゾフェノン、o−ベンゾイル安息香酸メチル、4−ベンゾイル−4’−メチルジフェニルサルファイド、イソプロピルチオキサントン、ジエチルチオキサントン、4−(ジエチルアミノ)安息香酸メチル等の水素引き抜き型開始剤;ベンゾインエーテル、ベンゾイルプロピルエーテル、ベンジルジメチルケタール等の分子内開裂型開始剤;2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、アルキルフェニルグリオキシレート、ジエトキシアセトフェノン等のα−ヒドロキシアルキルフェノン型開始剤;2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパノン−1、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)ブタノン−1等のα−アミノアルキルフェノン型開始剤;アシルフォスフィンオキサイド等を挙げることができる。これら光重合開始剤は、一種単独で使用してもよいし、2種以上組み合わせて使用してもよい。なお、光重合開始剤の使用量は、後述するオリゴマーとモノマーの総量の0.1〜10.0質量%の範囲が好ましい。
上記オリゴマーとしては、ウレタン(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート、アクリル樹脂の(メタ)アクリレート等の反応性オリゴマーの他、反応性官能基を持たない化合物も適宜使用することができる。ここで、「(メタ)アクリレート」は、アクリレートとメタクリレートの両方を包含する。なお、紫外線硬化型塗料中のオリゴマーの含有量は、20〜80質量%の範囲が好ましい。
上記モノマーとしては、アクリレートモノマー及びメタクリレートモノマーが好ましい。ここで、アクリレートモノマー及びメタクリレートモノマーは、下地ゴムとの接着性の向上、弾性率制御の役割を担っており、紫外線硬化型塗料の塗布液の粘度調整にも必要である。その配合量は、使用するオリゴマーによって適宜調整して決定される。上記モノマーの具体例としては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシルポリエトキシ(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、トリシクロデカンモノ(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、モルホリンアクリレート(アクリロイルモルホリン)、N−ビニルカプロラクタム、2−ヒドロキシ−3−フェニルオキシプロピル(メタ)アクリレート、o−フェニルフェニルオキシエチル(メタ)アクリレート、イソボニル(メタ)アクリレート等の1官能性モノマー;ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジプロポキシジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ジメチロールトリシクロデカンジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ノナンジオールジ(メタ)アクリレート等の2官能性モノマー;トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、トリス〔(メタ)アクリロキシエチル〕イソシアヌレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート等の多官能性モノマーを挙げることができる。なお、紫外線硬化型塗料中のモノマーの含有量は、10〜80質量%の範囲が好ましい。
上記着色剤は、塗膜層を下地ゴムと異なる色にするために配合され、例えば、下地ゴムが黒色である場合は、黒色以外の着色剤を使用することが好ましい。ここで、該着色剤としては、有機又は無機の顔料又は染料が使用できる。例えば、白色着色剤としては、酸化チタン、アンチモン白、硫化亜鉛等が挙げられ、赤色着色剤としては、ベンガラ、カドミウムレッド、鉛丹、硫化水銀、カドミウム、パーマネントレッド4R、リソールレッド、ピラゾロンレッド、ウォッチングレッド、カルシウム塩、レーキレッドD、ブリリアントカーミン6B、エオシンレーキ、ローダミンレーキB、アリザリンレーキ、ブリリアントカーミン3B、C.I.ピグメントレッド2等が挙げられ、青色着色剤としては、C.I.ピグメントブルー15:3、C.I.ピグメントブルー15、紺青、コバルトブルー、アルカリブルーレーキ、ビクトリアブルーレーキ、フタロシアニンブルー、無金属フタロシアニンブルー、フタロシアニンブルー部分塩素化物、ファーストスカイブルー、インダンスレンブルーBC等が挙げられ、黄色着色剤としては、黄鉛、亜鉛黄、カドミウムイエロー、黄色酸化鉄、ミネラルファーストイエロー、ニッケルチタンイエロー、ネーブルイエロー、ナフトールイエローS、ハンザイエローG、ハンザイエロー10G、ベンジジンイエローG、ベンジジンイエローGR、キノリンイエローレーキ、パーマネントイエローNCG、タートラジンレーキ、C.I.ピグメントイエロー12等が挙げられる。なお、着色剤の使用量は、オリゴマーとモノマーの総量の1〜50質量%の範囲が好ましい。
また、上記紫外線硬化型塗料に配合されるその他の配合剤は、耐候性、耐熱性等の向上、粘度調整等のため適宜配合される。
本発明のタイヤは、塗膜層を具え、更に、該塗膜層の下、例えば、塗膜層のタイヤ内面側に特定の配合の下地ゴムを具える限り、特に制限されるものではないが、塗膜層及び下地ゴムを、サイドウォール部に具えることが好ましい。サイドウォール部は最も視認され易い部分であるため、本発明においては、塗膜層及び下地ゴムをサイドウォール部に具えることが最も効果的である。
以下に、本発明の好適態様のタイヤを、図1を参照しながら詳細に説明する。図1に示すタイヤは、一対のビード部1と、一対のサイドウォール部2と、両サイドウォール部2に連なるトレッド部3と、該ビード部1に各々埋設されたビードコア4間にトロイド状に延在させたカーカス5と、該カーカス5のクラウン部のタイヤ半径方向外側に配置したベルト6とを具える。また、図1に示すタイヤは、更に、一方のサイドウォール部2の一部に下地ゴム7を具え、該下地ゴムの上(図示例では、タイヤ幅方向外側)に塗膜層8を具え、該塗膜層8がタイヤ外表面の一部に配置されている。
図示例のカーカス5は、一枚のカーカスプライから構成され、また、一対のビードコア4間にトロイド状に延在する本体部と、各ビードコア4の周りで、タイヤ幅方向の内側から外側に向けて半径方向外方に巻上げた折り返し部とからなるが、本発明のタイヤにおいて、カーカス5のプライ数及び構造は、これに限られるものではない。また、図示例のタイヤにおいては、カーカス5のクラウン部のタイヤ半径方向外側には二枚のベルト層からなるベルト6が配置されており、該ベルト層は、通常、タイヤ赤道面に対して傾斜して延びるスチールコードのゴム引き層からなり、2枚のベルト層は、該ベルト層を構成するスチールコードが互いにタイヤ赤道面を挟んで交差するように積層されてベルト6を構成する。なお、図中のベルト6は、二枚のベルト層からなるが、本発明のタイヤにおいては、ベルト6を構成するベルト層の枚数は、3枚以上であってもよい。また、図1に示すタイヤは、乗用車用タイヤであるが、本発明のタイヤはこれに限定されない。
また、図1に示すタイヤは、サイドウォール部2の一部に下地ゴム7を具え、その上(タイヤ外面側)に塗膜層8を具えるが、本発明のタイヤは、これに限定されるものではなく、例えば、サイドウォール部2のカーカス5のタイヤ幅方向外側に配置するサイドゴムの全体が下地ゴム7であり、その上に塗膜層8が配置されているタイヤ等も本発明の好適態様の一つである。
以下に、実施例を挙げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明は下記の実施例に何ら限定されるものではない。
(実施例1−1〜1−4及び比較例1−1〜1−2)
<ゴム組成物及び塗膜層の作製>
表1に示す原材料をバンバリーミキサーにより混合して、ゴム組成物を調製した。得られたゴム組成物を160℃で、13分間で加硫して、加硫ゴムを作製した。次に、得られた加硫ゴムの表面上に、市販のアクリル系塗料(サンデーペイント株式会社製、FRP・プラスチック用塗料)を塗布し、乾燥させて塗膜層を作製した。得られたサンプルに対して、下記の方法で、塗膜層の密着性、耐オゾン性、塗膜層の変色性を評価した。結果を表1に示す。
<ゴム組成物及び塗膜層の作製>
表1に示す原材料をバンバリーミキサーにより混合して、ゴム組成物を調製した。得られたゴム組成物を160℃で、13分間で加硫して、加硫ゴムを作製した。次に、得られた加硫ゴムの表面上に、市販のアクリル系塗料(サンデーペイント株式会社製、FRP・プラスチック用塗料)を塗布し、乾燥させて塗膜層を作製した。得られたサンプルに対して、下記の方法で、塗膜層の密着性、耐オゾン性、塗膜層の変色性を評価した。結果を表1に示す。
(1)塗膜層の密着性
上記のようにして塗膜層を形成した加硫ゴムサンプルを60℃の恒温槽中に48時間放置した後、塗膜層に対して、JIS K 5600−5−6に準拠して碁盤目密着試験を行い、塗膜層の密着性を評価した。実施例1−1の塗膜層の剥がれた碁盤目の数の逆数を100として、指数表示した。指数値が高い程、塗膜層の密着性が高いことを示す。
上記のようにして塗膜層を形成した加硫ゴムサンプルを60℃の恒温槽中に48時間放置した後、塗膜層に対して、JIS K 5600−5−6に準拠して碁盤目密着試験を行い、塗膜層の密着性を評価した。実施例1−1の塗膜層の剥がれた碁盤目の数の逆数を100として、指数表示した。指数値が高い程、塗膜層の密着性が高いことを示す。
(2)耐オゾン性
上記のようにして塗膜層を形成した加硫ゴムサンプルを48時間放置した後、オゾンウェザーメーターで加硫ゴムの外観を評価した。実施例1−1の加硫ゴムの表面のクラック発生程度を100として、指数表示した。指数値が高い程、加硫ゴムの耐オゾン性が高く、耐候性に優れることを示す。
上記のようにして塗膜層を形成した加硫ゴムサンプルを48時間放置した後、オゾンウェザーメーターで加硫ゴムの外観を評価した。実施例1−1の加硫ゴムの表面のクラック発生程度を100として、指数表示した。指数値が高い程、加硫ゴムの耐オゾン性が高く、耐候性に優れることを示す。
(3)塗膜層の変色性
上記のようにして塗膜層を形成した加硫ゴムサンプルを80℃で、24時間保管した後、塗膜層の変色程度を評価した。実施例1−1の塗膜層の変色程度を色差計を用いて測定した値を100として、指数表示した。指数値が小さい程、塗膜層の変色程度が小さいことを示す。
上記のようにして塗膜層を形成した加硫ゴムサンプルを80℃で、24時間保管した後、塗膜層の変色程度を評価した。実施例1−1の塗膜層の変色程度を色差計を用いて測定した値を100として、指数表示した。指数値が小さい程、塗膜層の変色程度が小さいことを示す。
*1 ブチルゴム(IIR):非ジエン系ゴム、日本ブチル製、BROMOBUTYL2244
*2 エチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM):非ジエン系ゴム、JSR製、EP57F
*3 ワックス:マイクロクリスタリンワックス、日本精蝋製、オゾエース
*4 老化防止剤:N−(1,3−ジメチルブチル)−N’−p−フェニレンジアミン、大内新興化学(株)製、ノックラック6C
*5 加硫促進剤DM:ジベンゾチアジルジスルフィド、大内新興化学(株)製、ノクセラーDM−P
*2 エチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM):非ジエン系ゴム、JSR製、EP57F
*3 ワックス:マイクロクリスタリンワックス、日本精蝋製、オゾエース
*4 老化防止剤:N−(1,3−ジメチルブチル)−N’−p−フェニレンジアミン、大内新興化学(株)製、ノックラック6C
*5 加硫促進剤DM:ジベンゾチアジルジスルフィド、大内新興化学(株)製、ノクセラーDM−P
表1中の実施例1−1〜1−2と比較例1−1との比較から、ワックスの配合量がゴム成分100質量部に対して0.5質量部を超えると、塗膜層の密着性が低下し、また、塗膜層の変色が大きくなることが分かる。
また、実施例1−1と実施例1−3との比較から、下地の加硫ゴムに適用するゴム組成物のゴム成分の40質量%以上が非ジエン系ゴムである場合、下地の加硫ゴムの耐候性が大幅に向上することが分かる。
また、実施例1−3と比較例1−2との比較から、下地の加硫ゴムに適用するゴム組成物のゴム成分の40質量%未満が非ジエン系ゴムである場合、ワックスの配合量がゴム成分100質量部に対して0.5質量部を超えると、塗膜層の密着性が低下することに加え、塗膜層の変色が非常に大きくなることが分かる。
(実施例2−1〜2−4及び比較例2−1〜2−2)
<紫外線硬化型塗料の調製>
ウレタンアクリレート(UV2000B、日本合成化学(株)製)50質量部と、フェニルグリシジルエーテルエポキシアクリレート(R−128H;日本化薬(株)製)25質量部と、フェノキシエチルアクリレート(R−561;日本化薬(株)製)25質量部と、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(イルガキュア184;チバガイギー(株)製)1質量部と、酸化チタン20質量部を混合して、紫外線硬化型塗料を調製した。
<紫外線硬化型塗料の調製>
ウレタンアクリレート(UV2000B、日本合成化学(株)製)50質量部と、フェニルグリシジルエーテルエポキシアクリレート(R−128H;日本化薬(株)製)25質量部と、フェノキシエチルアクリレート(R−561;日本化薬(株)製)25質量部と、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(イルガキュア184;チバガイギー(株)製)1質量部と、酸化チタン20質量部を混合して、紫外線硬化型塗料を調製した。
<ゴム組成物及び塗膜層の作製>
表2に示す原材料をバンバリーミキサーにより混合して、ゴム組成物を調製した。得られたゴム組成物を160℃で、13分間で加硫して、加硫ゴムを作製した。次に、得られた加硫ゴムの表面上に、上記のようにして調製した紫外線硬化型塗料を、膜厚が25μmになるようにインクジェット法で塗布し、SUBZERO 085(UVランプシステム,インテグレーション社製,出力100W/cm)を用いて、積算光量が200mJ/cm2、ピーク照度が1200mW/cm2の条件で紫外線硬化型塗料を硬化させた。積算光量及びピーク照度の測定は、紫外線光量計Power Pack(EIT社製)を用いて行った。これにより、加硫ゴムの上に塗膜層を作製した。得られたサンプルに対して、上記の方法で、塗膜層の密着性、耐オゾン性、塗膜層の変色性を評価した。なお、各試験において、結果は、実施例2−1を100とした指数で表示した。結果を表2に示す。
表2に示す原材料をバンバリーミキサーにより混合して、ゴム組成物を調製した。得られたゴム組成物を160℃で、13分間で加硫して、加硫ゴムを作製した。次に、得られた加硫ゴムの表面上に、上記のようにして調製した紫外線硬化型塗料を、膜厚が25μmになるようにインクジェット法で塗布し、SUBZERO 085(UVランプシステム,インテグレーション社製,出力100W/cm)を用いて、積算光量が200mJ/cm2、ピーク照度が1200mW/cm2の条件で紫外線硬化型塗料を硬化させた。積算光量及びピーク照度の測定は、紫外線光量計Power Pack(EIT社製)を用いて行った。これにより、加硫ゴムの上に塗膜層を作製した。得られたサンプルに対して、上記の方法で、塗膜層の密着性、耐オゾン性、塗膜層の変色性を評価した。なお、各試験において、結果は、実施例2−1を100とした指数で表示した。結果を表2に示す。
表2中の実施例2−1〜2−2と比較例2−1との比較から、ワックスの配合量がゴム成分100質量部に対して0.5質量部を超えると、塗膜層の密着性が低下し、また、塗膜層の変色が大きくなることが分かる。
また、実施例2−1と実施例2−3との比較から、下地の加硫ゴムに適用するゴム組成物のゴム成分の40質量%以上が非ジエン系ゴムである場合、下地の加硫ゴムの耐候性が大幅に向上することが分かる。
また、実施例2−3と比較例2−2との比較から、下地の加硫ゴムに適用するゴム組成物のゴム成分の40質量%未満が非ジエン系ゴムである場合、ワックスの配合量がゴム成分100質量部に対して0.5質量部を超えると、塗膜層の密着性が低下することに加え、塗膜層の変色が非常に大きくなることが分かる。
1 ビード部
2 サイドウォール部
3 トレッド部
4 ビードコア
5 カーカス
6 ベルト
7 下地ゴム
8 塗膜層
2 サイドウォール部
3 トレッド部
4 ビードコア
5 カーカス
6 ベルト
7 下地ゴム
8 塗膜層
Claims (5)
- 下地ゴムと、該下地ゴムの上に設けられた塗膜層とを具え、
前記下地ゴムに、ワックスの含有量がゴム成分100質量部に対して0〜0.5質量部であるゴム組成物を適用したことを特徴とするタイヤ。 - 前記下地ゴムに適用するゴム組成物は、老化防止剤の含有量が前記ゴム成分100質量部に対して0〜0.5質量部であることを特徴とする請求項1に記載のタイヤ。
- 前記下地ゴムに適用するゴム組成物は、前記ゴム成分の少なくとも一部として非ジエン系ゴムを含むことを特徴とする請求項1に記載のタイヤ。
- 前記下地ゴムに適用するゴム組成物は、前記ゴム成分の40質量%以上が前記非ジエン系ゴムであることを特徴とする請求項3に記載のタイヤ。
- 前記塗膜層が紫外線硬化型塗料を硬化させてなることを特徴とする請求項1に記載のタイヤ。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2012019206A JP2013154849A (ja) | 2012-01-31 | 2012-01-31 | タイヤ |
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-
2012
- 2012-01-31 JP JP2012019206A patent/JP2013154849A/ja active Pending
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