JP2013154853A - タイヤ - Google Patents

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Abstract

【課題】塗膜層が高い発色性で配設されたタイヤを提供する。
【解決手段】白色充填剤を含む白色ゴム7と、該白色ゴム7の上に設けられた塗膜層8とを具えることを特徴とするタイヤである。該タイヤは、前記白色ゴム7及び塗膜層8を、サイドウォール部2に具えることが好ましく、また、前記白色ゴム7には、ゴム成分の少なくとも一部として非ジエン系ゴムを含むゴム組成物を適用することが好ましく、ゴム成分の30質量%以上が前記非ジエン系ゴムであるゴム組成物を適用することが更に好ましい。
【選択図】図1

Description

本発明は、タイヤ、特には、乗用車用タイヤとして使用するのに好適なタイヤに関するものである。
従来、タイヤのファッション性等を向上させるために、タイヤのサイドウォール部に白色ゴムを適用することが知られており、例えば、特開平6−41374号公報、特開2008−88381号公報には、白色ゴムをサイドウォール部に適用しつつ、隣接部材との接着性を改良したり、白色ゴム自体の耐カット性や耐亀裂成長性を改良する技術が開示されている。
一方、タイヤ等のゴム製品においても、他の成型品と同様、加飾や視認性の向上等を目的として、表面への塗装及び印刷といった着色加工が広く行われている。例えば、タイヤに関して、特開2010−125440号公報には、タイヤに紫外線硬化型インクにて加飾する方法が開示されており、また、特表2004−526814号公報、特表2009−520616号公報には、ポリウレタン層からなる着色層をサイドウォールに設けたタイヤが開示されている。
特開平6−41374号公報 特開2008−88381号公報 特開2010−125440号公報 特表2004−526814号公報 特表2009−520616号公報
ところで、タイヤの構成部材に用いられるゴム組成物には、耐破壊性や耐候性を向上させる目的で黒色充填剤であるカーボンブラック(CB)を配合することが一般的である。しかしながら、かかる黒色充填剤が配合されたゴムは黒色であり、該黒色のゴムの上に、加飾や視認性の向上等を目的として、塗膜層を形成した場合、該塗膜層の色が下地である黒色ゴムの影響を受けて、塗膜層の発色性が悪化する問題がある。かかる問題を回避するために、塗膜層の下に白色の下塗りを施すことが考えられるが、塗装工程の増加により、タイヤの生産コストが増加したり、タイヤの生産性が低下する等の問題がある。
そこで、本発明の目的は、上記従来技術の問題を解決し、塗膜層が高い発色性で配設されたタイヤを提供することにある。
本発明者らは、上記目的を達成するために鋭意検討した結果、塗膜層の直下に、白色充填剤を含む白色ゴムを配設することで、塗膜層を高い発色性でタイヤに設けることが可能になることを見出し、本発明を完成させるに至った。
即ち、本発明のタイヤは、白色充填剤を含む白色ゴムと、該白色ゴムの上に設けられた塗膜層とを具えることを特徴とする。かかる本発明のタイヤにおいては、塗膜層の発色性が非常に高い。
本発明のタイヤは、前記白色ゴム及び塗膜層を、サイドウォール部に具えることが好ましい。サイドウォール部は最も視認され易い部分であるため、前記白色ゴム及び塗膜層をサイドウォール部に具えることが最も効果的である。
本発明のタイヤにおいては、前記白色ゴムに、ゴム成分100質量部に対して前記白色充填剤を10〜200質量部配合してなるゴム組成物を適用することが好ましい。この場合、塗膜層の発色性を十分に向上させることができ、また、ゴム組成物の混練りにおける作業性も良好である。
本発明のタイヤにおいては、前記白色ゴムに、ゴム成分の少なくとも一部として非ジエン系ゴムを含むゴム組成物を適用することが好ましい。この場合、塗膜層の発色性が高い上、白色ゴムの耐候性も高くなる。
本発明のタイヤの好適例において、前記白色ゴムに適用するゴム組成物は、前記ゴム成分の30質量%以上が前記非ジエン系ゴムである。この場合、白色ゴムの耐候性が特に高くなる。
本発明のタイヤの他の好適例においては、前記塗膜層が紫外線硬化型塗料を硬化させてなる。この場合、塗膜層の形成に要する時間が短くなり、タイヤの生産性を向上させることができる。
本発明によれば、塗膜層の下に、白色充填剤を含む白色ゴムが配設されており、塗膜層の発色性に優れたタイヤを提供することができる。
本発明のタイヤの一好適態様の断面図である。 実施例及び比較例において、加硫ゴムの上に塗膜層を形成して作製したサンプルの断面図である。
以下に、本発明を、その実施形態を例示して詳細に説明する。本発明のタイヤは、白色充填剤を含む白色ゴムと、該白色ゴムの上に設けられた塗膜層とを具えることを特徴とする。本発明のタイヤにおいては、塗膜層の下(例えば、塗膜層のタイヤ内面側)に、白色充填剤を含む白色ゴムが配設されているため、下地が黒色である場合の塗膜層の発色性の低下を防ぎつつ、下塗りを行うことによる作業工程の増加を回避することができる。
本発明のタイヤは、塗膜層を具え、更に、該塗膜層の下、例えば、塗膜層のタイヤ内面側に白色充填剤を含む白色ゴムを具える限り、特に制限されるものではないが、白色ゴム及び塗膜層を、サイドウォール部に具えることが好ましい。サイドウォール部は最も視認され易い部分であるため、本発明においては、白色ゴム及び塗膜層をサイドウォール部に具えることが最も効果的である。
上記白色ゴムに含有される白色充填剤としては、シリカ、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、クレー、タルク、アルミナ、酸化チタン等が挙げられ、これら白色充填剤は、一種単独で使用してもよいし、二種以上を組み合わせて使用してもよい。
上記白色ゴムには、ゴム成分に上述の白色充填剤を配合したゴム組成物が適用される。ここで、白色充填剤の配合量は、ゴム成分100質量部に対して10〜200質量部の範囲が好ましい。白色充填剤の配合量がゴム成分100質量部に対して10質量部以上であれば、塗膜層の発色性を十分に向上させることができ、また、白色充填剤の配合量がゴム成分100質量部に対して200質量部以下であれば、ゴム組成物の混練りにおける加工性も良好である。
上記白色ゴムに適用するゴム組成物のゴム成分としては、天然ゴム(NR)や合成ゴムを使用することができる。ここで、合成ゴムとしては、合成ポリイソプレンゴム(IR)、スチレン−ブタジエン共重合体ゴム(SBR)、ポリブタジエンゴム(BR)等のジエン系ゴム、ブチルゴム(IIR)、ハロゲン化ブチルゴム[臭素化ブチルゴム(Br−IIR)、塩素化ブチルゴム(Cl−IIR)等]、エチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)等の非ジエン系ゴムが挙げられる。これらゴム成分は1種単独で用いても、2種以上を混合して用いてもよい。なお、本発明において、非ジエン系ゴムとは、該非ジエン系ゴムを構成するモノマー単位中のジエン系モノマー由来の単位の割合が5mol%以下のゴムを意味する。ここで、ジエン系モノマーとしては、1,3−ブタジエン、イソプレン、1,3−ペンタジエン、2,3−ジメチルブタジエン等が挙げられる。一方、非ジエン系ゴムを構成するジエン系以外(非ジエン系)のモノマーとしては、エチレン、プロピレン、イソブテン等が挙げられる。
本発明のタイヤにおいて、上記白色ゴムに適用するゴム組成物のゴム成分は、上記非ジエン系ゴムを含むことが好ましい。該非ジエン系ゴムは、耐オゾン性等の耐候性に優れるため、白色ゴムに適用するゴム組成物のゴム成分が非ジエン系ゴムを含む場合、白色ゴムの耐候性が向上する。
上記白色ゴムに適用するゴム組成物においては、上記ゴム成分の30質量%以上が上記非ジエン系ゴムであることが好ましい。白色ゴムに適用するゴム組成物のゴム成分の30質量%以上が非ジエン系ゴムであると、白色ゴムの耐候性が大幅に向上する。
上記白色ゴムに適用するゴム組成物には、上述のゴム成分、白色充填剤の他に、更に、硫黄等の加硫剤、加硫促進剤、プロセスオイル、スコーチ防止剤、亜鉛華、ステアリン酸等のゴム工業で通常使用される配合剤を、本発明の目的を害しない範囲内で適宜選択して配合することができる。これら配合剤としては、市販品を好適に使用することができる。上記白色ゴムに適用するゴム組成物は、ゴム成分に、白色充填剤と、必要に応じて適宜選択した各種配合剤とを混練り、熱入れ、押出等することにより製造することができる。
本発明においては、塗料を、例えば、白色ゴムを具える加硫済みのタイヤの該白色ゴムの上に、スクリーン印刷、インクジェット印刷、凸版印刷、タンポ印刷等の方法で塗布した後に、塗布層を硬化させて、タイヤの白色ゴムの上に塗膜層を形成することができる。また、本発明においては、予め塗料を、剥離フィルム等の上に塗布し、硬化させて得たフィルムをタイヤの加硫時に挿入するインモールド成型により、上記塗膜層をタイヤの白色ゴムの上に設けてもよい。
本発明のタイヤにおいて、上記塗膜層の形成に用いる塗料としては、特に限定されるものではなく、蒸発乾燥塗料、酸化重合塗料、アロマフリー塗料、大豆油塗料、紫外線硬化型塗料等を挙げることができるが、これらの中でも、紫外線硬化型塗料が好ましい。該紫外線硬化型塗料は乾燥時間等が短いため、塗膜層の形成に紫外線硬化型塗料を用いた場合、塗膜層の形成に要する時間が短くなり、作業性が向上し、その結果として、タイヤの生産性を向上させることが可能になる。
上記紫外線硬化型塗料は、紫外線を照射することにより硬化する塗料であり、通常は、光重合開始剤、オリゴマー、モノマー、着色剤を主要成分とし、更に、必要に応じて紫外線吸収剤、酸化防止剤、光安定剤、接着促進剤、レオロジー調整剤、分散剤等の配合剤が配合される。また、本発明のタイヤの塗膜層の原料として使用する紫外線硬化型塗料は、粘度調整のため、溶剤で希釈されていてもよい。
上記光重合開始剤として、一般には、ラジカル光重合開始剤が使用される。ここで、光重合開始剤として、より具体的には、ベンゾフェノン、o−ベンゾイル安息香酸メチル、4−ベンゾイル−4’−メチルジフェニルサルファイド、イソプロピルチオキサントン、ジエチルチオキサントン、4−(ジエチルアミノ)安息香酸メチル等の水素引き抜き型開始剤;ベンゾインエーテル、ベンゾイルプロピルエーテル、ベンジルジメチルケタール等の分子内開裂型開始剤;2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、アルキルフェニルグリオキシレート、ジエトキシアセトフェノン等のα−ヒドロキシアルキルフェノン型開始剤;2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパノン−1、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)ブタノン−1等のα−アミノアルキルフェノン型開始剤;アシルフォスフィンオキサイド等を挙げることができる。これら光重合開始剤は、一種単独で使用してもよいし、2種以上組み合わせて使用してもよい。なお、光重合開始剤の使用量は、後述するオリゴマーとモノマーの総量の0.1〜10.0質量%の範囲が好ましい。
上記オリゴマーとしては、ウレタン(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート、アクリル樹脂の(メタ)アクリレート等の反応性オリゴマーの他、反応性官能基を持たない化合物も適宜使用することができる。ここで、「(メタ)アクリレート」は、アクリレートとメタクリレートの両方を包含する。なお、紫外線硬化型塗料中のオリゴマーの含有量は、20〜80質量%の範囲が好ましい。
上記モノマーとしては、アクリレートモノマー及びメタクリレートモノマーが好ましい。ここで、アクリレートモノマー及びメタクリレートモノマーは、白色ゴムとの接着性の向上、弾性率制御の役割を担っており、紫外線硬化型塗料の塗布液の粘度調整にも必要である。その配合量は、使用するオリゴマーによって適宜調整して決定される。上記モノマーの具体例としては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシルポリエトキシ(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、トリシクロデカンモノ(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、モルホリンアクリレート(アクリロイルモルホリン)、N−ビニルカプロラクタム、2−ヒドロキシ−3−フェニルオキシプロピル(メタ)アクリレート、o−フェニルフェニルオキシエチル(メタ)アクリレート、イソボニル(メタ)アクリレート等の1官能性モノマー;ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジプロポキシジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ジメチロールトリシクロデカンジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ノナンジオールジ(メタ)アクリレート等の2官能性モノマー;トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、トリス〔(メタ)アクリロキシエチル〕イソシアヌレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート等の多官能性モノマーを挙げることができる。なお、紫外線硬化型塗料中のモノマーの含有量は、10〜80質量%の範囲が好ましい。
上記着色剤は、目的とする塗膜層の色に応じて適宜選択して使用することができる。上述のように、本発明のタイヤにおいては、塗膜層の下に白色ゴムが配置されているため、塗膜層の発色性が非常に高く、選択した着色剤に基づく色彩を良好に発色させることができる。ここで、該着色剤としては、有機又は無機の顔料又は染料が使用できる。例えば、白色着色剤としては、酸化チタン、アンチモン白、硫化亜鉛等が挙げられ、赤色着色剤としては、ベンガラ、カドミウムレッド、鉛丹、硫化水銀、カドミウム、パーマネントレッド4R、リソールレッド、ピラゾロンレッド、ウォッチングレッド、カルシウム塩、レーキレッドD、ブリリアントカーミン6B、エオシンレーキ、ローダミンレーキB、アリザリンレーキ、ブリリアントカーミン3B、C.I.ピグメントレッド2等が挙げられ、青色着色剤としては、C.I.ピグメントブルー15:3、C.I.ピグメントブルー15、紺青、コバルトブルー、アルカリブルーレーキ、ビクトリアブルーレーキ、フタロシアニンブルー、無金属フタロシアニンブルー、フタロシアニンブルー部分塩素化物、ファーストスカイブルー、インダンスレンブルーBC等が挙げられ、黄色着色剤としては、黄鉛、亜鉛黄、カドミウムイエロー、黄色酸化鉄、ミネラルファーストイエロー、ニッケルチタンイエロー、ネーブルイエロー、ナフトールイエローS、ハンザイエローG、ハンザイエロー10G、ベンジジンイエローG、ベンジジンイエローGR、キノリンイエローレーキ、パーマネントイエローNCG、タートラジンレーキ、C.I.ピグメントイエロー12等が挙げられる。なお、着色剤の使用量は、オリゴマーとモノマーの総量の1〜50質量%の範囲が好ましい。
また、上記紫外線硬化型塗料に配合されるその他の配合剤は、耐候性、耐熱性等の向上、粘度調整等のため適宜配合される。
以下に、本発明の好適態様のタイヤを、図1を参照しながら詳細に説明する。図1に示すタイヤは、一対のビード部1と、一対のサイドウォール部2と、両サイドウォール部2に連なるトレッド部3と、該ビード部1に各々埋設されたビードコア4間にトロイド状に延在させたカーカス5と、該カーカス5のクラウン部のタイヤ半径方向外側に配置したベルト6とを具える。また、図1に示すタイヤは、更に、一方のサイドウォール部2の一部に白色ゴム7を具え、該白色ゴムの上(図示例では、タイヤ幅方向外側)に塗膜層8を具え、該塗膜層8がタイヤ外表面の一部に配置されている。
図示例のカーカス5は、一枚のカーカスプライから構成され、また、一対のビードコア4間にトロイド状に延在する本体部と、各ビードコア4の周りで、タイヤ幅方向の内側から外側に向けて半径方向外方に巻上げた折り返し部とからなるが、本発明のタイヤにおいて、カーカス5のプライ数及び構造は、これに限られるものではない。また、図示例のタイヤにおいては、カーカス5のクラウン部のタイヤ半径方向外側には二枚のベルト層からなるベルト6が配置されており、該ベルト層は、通常、タイヤ赤道面に対して傾斜して延びるスチールコードのゴム引き層からなり、2枚のベルト層は、該ベルト層を構成するスチールコードが互いにタイヤ赤道面を挟んで交差するように積層されてベルト6を構成する。なお、図中のベルト6は、二枚のベルト層からなるが、本発明のタイヤにおいては、ベルト6を構成するベルト層の枚数は、3枚以上であってもよい。また、図1に示すタイヤは、乗用車用タイヤであるが、本発明のタイヤはこれに限定されない。
また、図1に示すタイヤは、サイドウォール部2の一部に白色ゴム7を具え、その上(タイヤ外面側)に塗膜層8を具えるが、本発明のタイヤは、これに限定されるものではなく、例えば、サイドウォール部2のカーカス5のタイヤ幅方向外側に配置するサイドゴムの全体が白色ゴム7であり、その上に塗膜層8が配置されているタイヤ等も本発明の好適態様の一つである。
以下に、実施例を挙げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明は下記の実施例に何ら限定されるものではない。
(実施例1−1〜1−2及び比較例1−1〜1−2)
<ゴム組成物及び塗膜層の作製>
表1に示す原材料をバンバリーミキサーにより混合して、ゴム組成物を調製した。得られたゴム組成物を160℃で、13分間で加硫して、加硫ゴム(白色ゴム又は黒色ゴム)を作製した。次に、得られた加硫ゴムの表面上に、市販のアクリル系塗料(サンデーペイント株式会社製、FRP・プラスチック用塗料)を塗布し、乾燥させて塗膜層を作製し、図2の(a)に示す構成のサンプルを得た。得られたサンプルに対して、下記の方法で、塗膜層の発色性、塗膜層の密着性、塗膜層の変色性を評価した。結果を表1に示す。
また、上記と同様にして得られた加硫ゴムの表面上に、上記と同じアクリル系塗料を塗布し、乾燥させて塗膜層を作製し、図2の(b)に示す構成のサンプルを得た。得られたサンプルに対して、下記の方法で、耐オゾン性を評価した。結果を表1に示す。
(1)塗膜層の発色性
上記のようにして加硫ゴムの上に塗膜層を形成したサンプルの塗膜層の発色性を目視で観察し、本来の色彩が反映されている場合を「○」とし、本来の色彩よりも暗い色に発色している場合を「×」とした。
(2)塗膜層の密着性
上記のようにして加硫ゴムの上に塗膜層を形成したサンプルを60℃の恒温槽中に48時間放置した後、塗膜層に対して、JIS K 5600−5−6に準拠して碁盤目密着試験を行い、塗膜層の密着性を評価した。実施例1−1の塗膜層の剥がれた碁盤目の数の逆数を100として、指数表示した。指数値が高い程、塗膜層の密着性が高いことを示す。
(3)塗膜層の変色性
上記のようにして加硫ゴムの上に塗膜層を形成したサンプルを80℃で、24時間保管した後、塗膜層の変色程度を評価した。実施例1−1の塗膜層の変色程度を色差計を用いて測定した値を100として、指数表示した。指数値が小さい程、塗膜層の変色程度が小さいことを示す。
(4)耐オゾン性
上記のようにして加硫ゴムの上に塗膜層を形成したサンプルを48時間放置した後、オゾンウェザーメーターで加硫ゴムの外観を評価した。実施例1−1の加硫ゴムの表面のクラック発生程度を100として、指数表示した。指数値が高い程、加硫ゴムの耐オゾン性が高く、耐候性に優れることを示す。
Figure 2013154853
*1 ブチルゴム(IIR):非ジエン系ゴム、日本ブチル製、BROMOBUTYL2244
*2 エチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM):非ジエン系ゴム、JSR製、EP57F
*3 カーボンブラック:東海カーボン製、シースト300
*4 クレー:J.M.Huber製、ポリフィル HG90
*5 老化防止剤6PPD:N−(1,3−ジメチルブチル)−N’−p−フェニレンジアミン、大内新興化学(株)製、ノックラック6C
*6 ワックス:マイクロクリスタリンワックス、日本精蝋製、オゾエース
*7 加硫促進剤DM:ジベンゾチアジルジスルフィド、大内新興化学(株)製、ノクセラーDM−P
白色ゴムの上に塗膜層を設けた実施例1−1〜1−2では、塗膜層の発色性が高かったが、黒色ゴムの上に塗膜層を設けた比較例1−1〜1−2では、下地の色の影響により本来の色彩よりも暗い発色となり、発色性に問題があることが確認された。
また、下地の白色ゴムに適用するゴム組成物のゴム成分の30質量%以上が非ジエン系ゴムである実施例1−1においては、図2の(b)に示す構成のように白色ゴムが露出していても、オゾンによるクラックが見られなかったが、下地の白色ゴムに適用するゴム組成物のゴム成分の30質量%未満が非ジエン系ゴムである実施例1−2においては、図2の(b)に示す構成のように白色ゴムが露出している部分にオゾンによるクラックが見られた。これらの結果から、白色ゴムに適用するゴム組成物のゴム成分は、30質量%以上が非ジエン系ゴムであることが好ましいことが分かった。なお、白色ゴムに適用するゴム組成物のゴム成分の30質量%未満が非ジエン系ゴムである場合は、耐候性の観点から、図2の(a)に示す構成のように、白色ゴムの全体に塗膜層を配設することが好ましい。
(実施例2−1〜2−2及び比較例2−1〜2−2)
<紫外線硬化型塗料の調製>
ウレタンアクリレート(UV2000B、日本合成化学(株)製)50質量部と、フェニルグリシジルエーテルエポキシアクリレート(R−128H;日本化薬(株)製)25質量部と、フェノキシエチルアクリレート(R−561;日本化薬(株)製)25質量部と、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(イルガキュア184;チバガイギー(株)製)1質量部と、酸化チタン20質量部を混合して、紫外線硬化型塗料を調製した。
<ゴム組成物及び塗膜層の作製>
表2に示す原材料をバンバリーミキサーにより混合して、ゴム組成物を調製した。得られたゴム組成物を160℃で、13分間で加硫して、加硫ゴム(白色ゴム又は黒色ゴム)を作製した。次に、得られた加硫ゴムの表面上に、上記のようにして調製した紫外線硬化型塗料を、膜厚が25μmになるようにインクジェット法で塗布し、SUBZERO 085(UVランプシステム,インテグレーション社製,出力100W/cm)を用いて、積算光量が200mJ/cm2、ピーク照度が1200mW/cm2の条件で、紫外線硬化型塗料を硬化させた。積算光量及びピーク照度の測定は、紫外線光量計Power Pack(EIT社製)を用いて行った。これにより、加硫ゴムの上に塗膜層を作製し、図2の(a)に示す構成のサンプルを得た。得られたサンプルに対して、上記の方法で、塗膜層の発色性、塗膜層の密着性、塗膜層の変色性を評価した。なお、各試験において、結果は、実施例2−1を100とした指数で表示した。結果を表2に示す。
また、上記と同様にして得られた加硫ゴムの表面上に、上記と同様にして紫外線硬化型塗料を塗布し、紫外線硬化させて塗膜層を作製し、図2の(b)に示す構成のサンプルを得た。得られたサンプルに対して、上記の方法で、耐オゾン性を評価した。結果を表2に示す。
Figure 2013154853
白色ゴムの上に塗膜層を設けた実施例2−1〜2−2では、塗膜層の発色性が高かったが、黒色ゴムの上に塗膜層を設けた比較例2−1〜2−2では、下地の色の影響により本来の色彩よりも暗い発色となり、発色性に問題があることが確認された。
また、下地の白色ゴムに適用するゴム組成物のゴム成分の30質量%以上が非ジエン系ゴムである実施例2−1においては、図2の(b)に示す構成のように白色ゴムが露出していても、オゾンによるクラックが見られなかったが、下地の白色ゴムに適用するゴム組成物のゴム成分の30質量%未満が非ジエン系ゴムである実施例2−2においては、図2の(b)に示す構成のように白色ゴムが露出している部分にオゾンによるクラックが見られた。
1 ビード部
2 サイドウォール部
3 トレッド部
4 ビードコア
5 カーカス
6 ベルト
7 白色ゴム
8 塗膜層

Claims (6)

  1. 白色充填剤を含む白色ゴムと、該白色ゴムの上に設けられた塗膜層とを具えることを特徴とするタイヤ。
  2. 前記白色ゴム及び塗膜層を、サイドウォール部に具えることを特徴とする請求項1に記載のタイヤ。
  3. 前記白色ゴムに、ゴム成分100質量部に対して前記白色充填剤を10〜200質量部配合してなるゴム組成物を適用したことを特徴とする請求項1に記載のタイヤ。
  4. 前記白色ゴムに、ゴム成分の少なくとも一部として非ジエン系ゴムを含むゴム組成物を適用したことを特徴とする請求項1に記載のタイヤ。
  5. 前記白色ゴムに適用するゴム組成物は、前記ゴム成分の30質量%以上が前記非ジエン系ゴムであることを特徴とする請求項4に記載のタイヤ。
  6. 前記塗膜層が紫外線硬化型塗料を硬化させてなることを特徴とする請求項1に記載のタイヤ。
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