本明細書において一般に図面に描写され例示される実施形態の構成要素を多種多様な異なる形態で配置して設計できることは容易に理解される。したがって、図面に表される様々な実施形態の以下の更に詳細な説明は、特許請求の範囲に記載される開示の範囲を限定しようとするものではなく、様々な実施形態の代表的なものにすぎない。実施形態の様々な態様が図面に示されているが、具体的に示されていない限り、図面は、必ずしも一定の縮尺で描かれているとは限らない。
「に接続され」、「に連結され」、「と連通する」という表現は、機械的、電気的、磁気的、電磁的、流体的、および熱的な相互作用を含む、2つ以上の実体間の任意の形態の相互作用を指す。2つの構成要素は、それらが互いに直接接触していなくても、互いに連結される場合がある。「当接する」という用語は、直接物理的に接触している物品を指すが、必ずしも物品同士が取り付けられていない場合もある。
膨張可能なエアバッグシステムは、衝突シナリオにおいて搭乗者の負傷を最小限に抑えるために幅広く使用される。エアバッグモジュールは、ステアリングホイール、インストルメントパネル、サイドドア内もしくはサイドシート内、車両のルーフレール近傍、頭上位置、または、膝もしくは脚の位置を含むがこれらに限定されない車両内の様々な箇所に設置されてきた。以下の開示において、「エアバッグ」は、膨張可能なカーテンエアバッグ、頭上エアバッグ、フロントエアバッグ、ニーエアバッグ、または任意の他のエアバッグタイプを指す場合がある。これらのエアバッグの特徴の少なくとも一部を他のエアバッグ類と共に用いることも可能であり得るが、以下に考察する実施形態は主にニーエアバッグ類に関するものである。
フロントエアバッグは、典型的には、車両のステアリングホイール内やインストルメントパネル内に設置される。設置中に、エアバッグは、巻回され、折り畳まれ、および/またはさもなければ包装され、ならびにカバーの裏側にパッケージ状態で保持される。衝突事象中に、車両センサは、エアバッグに膨張ガスを急速に充填するインフレータの作動を引き起こす。したがって、エアバッグは、包装形態から拡張形態へと立体構造を急速に変化させる。
図1A〜図1Bは、エアバッグクッションの一部を形成し得るパネル材101の上面図である。パネル101は、ナイロン織物、または当技術分野で周知の材料などの任意の他の適切な材料を備え得る1枚の布を備える。パネル101は、外縁105により画定される矩形形状を備え、第1の部分102、第2の部分103、および中央部104を有する。第1のテザー130および第2のテザー135は、切断された後にパネル101が「I字」または「H字」形状を有すると言えるようにパネル101の中央部から切断されてもよい。パネル101の長さおよび/または幅は、種々の実施形態によって変更してもよい。例えば、幅W1は、約400mm〜約600mmであってもよく、長さL1は、約600mm〜約900mmであってもよい。
図1Bは、第1のテザー130および第2のテザー135がパネル101から切断された後のパネル101を描いており、切断後には、第2の幅W2が中央部104により画定される。W2は、約250mm〜約550mmであってもよい。中央部104の幅W2は、エアバッグアセンブリ100のエアバッグハウジングの幅の約110%を含むことができる。インフレータ挿入開口123およびインフレータ装着用ステム開口124を、切断、打ち抜きにより、またはワンピース織り技術を用いた結果として、中央部104に形成してもよい。図1Bでは、図1Aに示すパネルの角部と比較して、パネル101の角部が裁断された状態で描かれているが、角部は裁断しても、裁断しなくてもよい。角部が裁断されていないパネルから形成される膨張可能なエアバッグクッションの実施形態は、図1Bに示すように、パネルの角部を横切るような角度で延びる外縁継ぎ目を有してもよく、この場合、クッションの膨張可能な空隙が図1Bに示す角部と同様の角部を備えてもよい。
図2〜図4は、エアバッグアセンブリ100の一部の斜視図であり、図2は底面斜視図であり、図3は上面斜視図であり、図4は側面斜視図である。アセンブリ100は、クッション110と、第1のテザー130と、第2のテザー135と、補強材140と、ヒートパネル145と、バッグストラップ150と、スタビライザストラップ170とを備えてもよい。第1および第2のテザーがパネル材101から切断された後に、折り目109を形成するために、パネルが中央部104で折り畳まれてもよい。パネル101を折り畳むときに、第1の部分102と第2の部分103の平面が実質的に平行な向きとなるように、第1および第2の部分とを接近させる。折り目109は、1つまたは複数の別個の折り目を備えてもよく、または折り目は、より一般的な「U字」形状を備えてもよい。
膜101が折り畳まれた時点で、第1の部分102および第2の部分103を互いに連結するために縫い目106を外縁105の周りに施してもよい。折り畳まれて縫合された後に、パネル材101が膨張可能なエアバッグクッション膜110として構成されたと言うことができ、このエアバッグクッションは、膨張可能なエアバッグクッション、クッション膜、クッション、またはエアバッグと称されることもある。そのようなものとして、クッション膜は、膨張可能な空隙118を有する。アセンブリ100の様々な構造および特性の描写を明確にするため、以下の図の一部において、クッション110は外縁が縫い合わされていない状態で示されている。
クッション膜110は、上部111、下部112、前面113、および後面114を有するものとして説明することができる。本明細書において、用語「上」、「下」、「前」、「後」、および他の方向を示す用語は、車両乗員の視点から見た、エアバッグアセンブリ100またはその構成要素が車両内に設置されたときに有することができる向きに対して使用される。例えば、クッション膜110の部分と面の方向を示す用語は、車両乗員から見た、車両内のクッション膜110の展開状態に対して使用される。特に、クッション膜110が展開すると、後面114は車両乗員からより遠ざかる(例えば、車両の前方端部に近接する)ことができ、したがって、車両乗員の視点からクッションの後部を表すのに対して、前面113は、車両乗員により近接する(例えば、車両の後方端部により近接する)ことができ、したがって、車両乗員の視点からクッションの前部を表す。クッション110の上部111は、クッションが展開状態にあるときに、車両のヘッドライナに最も近接するクッションの部分である。下部112は、クッション110が展開状態にあるときに上部111よりも下方にあり、車両の床に最も近接する。用語「下部」は、クッションが展開状態にあるときの、クッション110の中央の水平面よりも下方のクッション部分に必ずしも限定されず、クッションの下部部分の半分未満の部分、半分を超える部分、またはちょうど半分の部分を含む場合がある。同様に、用語「上部」は、クッション110の中央の水平面よりも上方のクッション部分に必ずしも限定されず、クッションの上部部分の半分未満の部分、半分を超える部分、またはちょうど半分の部分を含む場合がある。
当業者には理解されるように、本開示の範囲および精神から逸脱することなく、種々のタイプおよび形態のエアバッグクッション膜を利用することができる。例えば、クッション膜の大きさ、形状、および寸法比は、種々の車両または車両内の種々の箇所における使用によって異なってもよい。また、クッション膜は、当技術分野で周知の材料(例えば、ナイロン織布)などの一片または複数片の任意の適切な材料を備えてもよい。加えて、エアバッグクッションは、ワンピース織り、「切断と縫い付け」、および/またはこれらの2つの技術の組み合わせなどの種々の技術を使用して製造してもよい。更に、クッション膜を、封止されたまたは未封止の継ぎ目を使用して製造してもよく、継ぎ目は、縫製、接着剤、テープ止め、高周波溶着、熱融着、または任意の他の適切な技術もしくは技術の組み合わせにより形成される。
パネル材が膨張可能なクッション110として一旦構成されると、図2に描かれるような膨張可能なエアバッグクッションアセンブリ100を形成するために、クッションを追加の構成要素と連結することができる。図示の実施形態において、バッグストラップ150、スタビライザストラップ170、および第1のテザー130は、中央部104で膜101に連結されている。第2のテザー135は、第1のテザー130よりも上部111に近接して膜101に連結される。第1のテザー130および第2のテザー135は、前面113に連結されるとともに、後面114に延びて後面114に連結される。言い換えれば、第1および第2のテザーは、テザーが膨張可能なエアバッグクッションの膨張可能な空隙118内に位置すると言えるように前面と後面との間に位置する。第1のテザー130および第2のテザー135は、縫合または任意の他の適切な技術により、前面113と後面114に連結してもよい。
各テザーは、前面と後面でクッション膜に対称に取り付けなくてもよい。例えば、膜の後面114に連結された第1および第2のテザーの部分は、膜の前面113に連結された第1および第2のテザーの部分よりも約20mm〜30mm折り目109に近接して位置してもよい。言い換えれば、第1および第2のテザーが膨張可能なクッション膜の前面に連結される点は、第1および第2のテザーが膨張可能なクッションの後面に連結される点よりもクッションの上部側に位置してもよい。
第1のテザー130は、中央部104と第1および第2の部分102、103との間に位置してもよく、クッション110の中央部にわたって横断方向に延在するような向きとされてもよい。一実施形態において、第1のテザーは、外縁から外縁へとクッションの幅全体にわたって延在する。第1のテザー130は、図1Bに描かれているように、1つまたは複数の開口(131)を備えてもよく、これらの開口は、膨張ガスが第1のテザーの第1の側からテザーの第2の側へと流れることができるように構成される。第1のテザー130は、クッション110の幅の大部分にわたって幅方向に延在すると説明することができ、クッションの前面113と後面114に連結される。第1のテザー130は、クッションが展開したときに第1のテザーがハウジングの外側に位置するように、クッション110内に位置決めされる。第1のテザー130は、複数の開口により膨張ガスがテザーのインフレータ基端側からテザーのインフレータ先端側へと通過できるように、インフレータ180(図15を参照)と膨張可能な空隙118の一部との間に位置してもよい。そのようなものとして、開口は、膨張ガスがインフレータから膨張可能な空隙に流入できるようにしてもよい。開口は、各々約33mmの直径を備えてもよく、単一針本縫いにより約3mmのオフセットで同心円状に縫い付けられてもよい。
第2のテザー135は、第1のテザー130からクッション110上部111の上縁までの距離の約33%〜約50%の間に位置してもよい。通常、第2のテザーは、幅がエアバッグクッションの幅の約50%であってもよい。例えば、一実施形態において、第2のテザーは幅が約250mmであり、膨張可能なエアバッグクッションは幅が約500mmである。
バッグストラップ150は、クッション110の取付部120に連結される一片の織布を備えてもよい。取付部120は、中央部104における前面113に位置する。そのようなものとして、バッグストラップ150は、クッション110の前面113に連結され、縫製または任意の他の適切な技術によりクッションに連結されてもよい。バッグストラップ150は、クッション110をパッケージ形態で保持し、好ましいエアバッグクッション展開特性を得、かつクッションをエアバッグハウジングに連結するのに有用であり得る。
1つまたは複数の補強材140は、アセンブリ100における高応力点に位置決めされてもよく、補強材が、クッション110を形成する布と同一であっても異なってもよい一片または複数片の布を備えてもよい。例えば、1つまたは複数の補強材は、クッション110の中央部104が前面113および後面114の下部112となるように延びる場所付近の外縁継ぎ目107に縫い付けられてもよい。加えて、1層または複数層の補強材が、取付領域120におけるクッション110にインフレータ開口123および124付近で連結されてもよく、補強材が、補強材140と同一の材料または異なる材料を備えてもよい。
耐熱布145は、インフレータ取付領域120付近で連結されてもよく、インフレータ開口123および124における補強材に加えてまたは補強材の代わりに用いられてもよい。耐熱布は、シリコーンコーティングを有するガラス繊維平織物を備えてもよく、布のガラス繊維ストランドは、Eガラス、Sガラス、またはS2ガラスグレードのガラス繊維を備える。シリコーンコーティングが存在する場合には、布の片面にシリコーンコーティングを塗布してもよく、また、布は、アセンブリ100内においてシリコーンコーティング側がインフレータに面するような向きとされてもよい。
当業者であれば、補強材だけでなく、種々のタイプおよび形態の耐熱材およびコーティングを本開示の精神から外れることなく用いることができることを認識するであろう。例えば、布は、平織りされる必要はなく、サンボンド材料(sun bond material)のよりランダムな繊維配向を有してもよい。また、耐熱材は、Kevlarブランドの繊維として販売されているパラアラミド合成繊維、炭素、麻、ナイロン、およびポリエステルなどの1つまたは複数の種々の異なる繊維を備えてもよい。更に、耐熱コーティングは、ネオプレン、ウレタン、フェノール材料、および他の可撓性エポキシ樹脂などの1つまたは複数の材料を備えてもよい。いくつかの実施形態において、補強材および耐熱材は、同一の材料を備えてもよい。
図3は、エアバッグアセンブリ100の一部を上面斜視図で描いており、図2の眺めからエアバッグアセンブリを180°回転させている。この図において、クッション110の前面113は後面114よりも下方にあり、第1および第2のテザー130、135の破線で示した輪郭を見て取ることができる。インフレータ挿入開口123、インフレータステム開口124、ならびに補強材および/または熱シールド140/145の破線で示した輪郭もまた示されている。
プリーツ115を後面パネル114に形成してもよく、その結果として、前面パネルは前面パネル113ほど長くならない。言い換えれば、後面114に関しては、上部111から下部112までの距離が前面113よりも短い。プリーツ115は、第1のテザー130と第2のテザー135との間に位置し、クッション膜110の、前面パネル113の方向に膨張可能な空隙118内に延びる折り目が形成されるように、後面パネル114をそれ自体に対して折り重ねることにより形成されてもよい。二本針環縫いを用いてプリーツ115を保持してもよい。プリーツの各端部に2つの円弧状の縫い目を作成しかつプリーツの中央に直線縫いを作成することにより、プリーツをクッション110に緩やかに形成し保持してもよく、または別の実施形態において、プリーツが端部でテーパ状となるように、プリーツの端部を縫製してもよい。別の実施形態において、縫い目およびプリーツは単一半径の円弧を形成してもよい。
前面に向かって延びるプリーツ部分の長さは約20mmであってもよく、その場合、後面パネルが約40mm短くなる。別の実施形態において、プリーツは約50mm延び、結果として、後面パネルが約100mm短くなる。プリーツ115の全深さ部分の幅は、プリーツの全深さである部分がテザーとほぼ同一幅となるように第1および第2のテザー130、135の幅と一致してもよい。一実施形態において、エアバッグクッションは幅が約500mmであり、テザーは幅が約240mmであり、また、プリーツ全体は約400mm延びるが、プリーツの全深さ部分もまた幅が約240mmである。
第1のテザー130、第2のテザー135、およびプリーツ115は、膨張可能なクッション膜が所定の展開軌跡に従うのを補助するように構成される。加えて、テザーおよびプリーツは、膨張可能なクッションが展開中および完全な膨張時または実質的に完全な膨張時に所定の形状となるように構成されてもよい。例えば、膨張可能クッションは、完全にまたは実質的に完全に膨張すると、ほぼ「C字」形状、バナナ形状、または三日月形状となるものとして様々に説明することができる。
図4は、エアバッグアセンブリ100の一部の斜視図であり、クッション110、第1のテザー130、第2のテザー135、プリーツ115、およびバッグストラップ150を描いている。第1および第2のテザーの一部は、前面113と後面114との間に見て取ることができる。バッグストラップ150は、クッションの中央部104でクッション110の前面113に連結される。
図5はエアバッグアセンブリ100の一部の側面図である。本明細書で説明するように、膨張可能なエアバッグクッション110は、上部111および下部112を備える。上部111は、前面113および後面114の端部により画定され得る上縁部108を備え、または代替的に、上縁部は、前面および後面が連結される点に形成された継ぎ目により画定されてもよい。下部112は、1つまたは複数の継ぎ目補強材140、1つまたは複数のヒートパネル145、バッグストラップ150、およびスタビライザストラップ170だけでなく、折り目109が形成された中央部104を備えてもよい。
第1のテザー130および第2のテザー135は各々、膨張可能な空隙118内に位置するように前面113および後面114に連結される。エアバッグクッションの後面114にプリーツ115を形成することにより、前面と比較して後面が短くなる。そのようなものとして、後面114の最上点108は、前面113の最上点と比較して、エアバッグクッションの底部112により近接している。バッグストラップ150は、バッグストラップループ160と係合部155とを備えてもよい。描かれている実施形態において、バッグストラップのループ160は、バッグストラップ材の折り目またはプリーツを備え、係合部155はバッグストラップ材の巻回または折り目を備える。スタビライザストラップ170は、下部112でクッション110に連結されてもよい。
図6は、膨張可能なエアバッグクッション110の一部の拡大側面図であり、この図では、プリーツ115および第1のテザー130を見て取ることができる。プリーツ115は、後面114上の2点を互いに引き寄せ、次いで縫い目133でそれら2点を互いに連結することにより形成してもよい。明確にするため、エアバッグの展開中にプリーツが断裂しないように継ぎ目補強材を使用してもよい理由から、2点は互いに接触しておらず、互いのすぐ近傍に位置してもいない。プリーツ115は、後面114から膨張可能な空隙118内へと前面113の方向に突出してもよい。プリーツが前面から突出し得る距離D1は、約20mm〜約50mmであってもよい。第1のテザー130は、第1および第2の端部を有し、これらの端部の各々は、クッション110の前面113および後面114に連結される前に巻回されまたは折り畳まれてもよい。前面113上のテザー取付点が後面114のテザー取付点よりもインフレータ(図示せず)またはインフレータ取付領域(図示せず)から離れて位置するように、第1のテザー130を前面および後面に非対称に連結してもよい。補強材および/またはヒートパネル140/145は、第1のテザー取付点の各々が4層以上の材料層を備えるように、第1のテザー取付点まで延びてもよい。第1のテザー130を縫い目132でクッション110に連結してもよい。
図7は、膨張可能なエアバッグクッション110の一部の拡大側面図であり、この図では、膨張可能な空隙118内に第2のテザー135を見て取ることができる。第2のテザー135を、一方の取付点が前面113に位置しかつ他方の取付点が後面114に位置する2つの取付点でクッション110に連結してもよい。図7の描写において、2つのテザーに対する2つの取付点は、インフレータからほぼ等しい距離に位置してもよい。別の実施形態において、前面113上の第2のテザー135の取付点は、図6で第1のテザー130に描かれているように、後面114の取付点よりもインフレータ(図示せず)に近接して位置してもよい。第2のテザー135を、各取付点で3層の材料層を横断する縫い目136でクッション110に連結してもよい。
図8A〜図8Cは、バッグストラップ150を斜視図で描いており、図8Aはバッグストラップに形成される前のパネル材の全長を描いており、図8Bはバッグストラップの下部部分が巻回された後の図8Aのパネル材を描いており、図8Cはバッグストラップにループが形成された後の図8Bのパネル材を描いている。図8Aは、所定の長さを有しかつバッグストラップを形成し得るパネル材152を描いている。パネル152は、膨張可能なエアバッグクッションを形成する材料と同様の一片のナイロン織物を備えてもよい。パネル152は、前面(図示せず)および後面164を有し、エアバッグクッション部151、インフレータ挿入開口153、インフレータステム開口154、係合部155、係合開口156、スタビライザストラップ開口157、およびミシン目162を備えてもよい。パネル152における開口およびミシン目は、所定の箇所に形成され、3つの開口の水平方向の横列と3つの開口の垂直方向の縦列とを形成すると説明することもできる。開口の横列は異なる機能を有する開口を備え、開口の縦列は同一の機能を有する開口を備える。
図8Bは、巻回係合部158を形成するために係合部155が巻回された後の図8Aのパネル152を描いている。巻回部158は、パネル152の係合部155の所定の長さを後面164に向けてクッション部151の方向に折り畳むことにより形成される。折り目の間隔は、開口156が互いに位置合わせされ、また同様に、開口157も互いに位置合わせされるような大きさである。バッグストラップ150は、折り畳まれた後、短くなった長さL2を有する。別の実施形態において、バッグストラップは、折り畳み係合部を備えなくてもよい。そのような実施形態において、バッグストラップを形成するパネル材は、2つのインフレータステム開口と、1つのスタビライザストラップ開口とを備えてもよい。図8Bはまた、ループを形成するためにパネル材が折り畳まれ得る方向を示す矢印を描いており、このループの形成が、バッグストラップを形成するための方法のステップであってもよい。
図8Cは、ループが後面164に位置しかつミシン目162がループの一部となるようにループ160が形成された後の図8Bのパネル152を描いている。ループ160は、バッグストラップ150を形成するパネル152の折り目またはプリーツであると説明することもできる。ループ160は、折り目であると説明することもできる頂端161を有する。ループ160は、破断縫い目166または任意の他の適切な技術もしくは構造により保持されてもよい。破断縫い目166は、膨張可能なエアバッグの展開中に断裂するように構成される。当業者であれば、他の糸数でも同様に、バッグストラップ150に損傷を与えることなく、膨張可能なエアバッグの展開中に破断縫い目166の断裂を可能にすることを理解するであろうが、一実施形態において、破断縫い目は、100ミリメートル当たり約25本の糸を含む。したがって、破断縫い目166は、バッグストラップに損傷を与えることなく、またクッション展開を遅らせまたは改変することなく、エアバッグクッションの展開中に断裂するように構成される。
描かれている実施形態において、破断縫い目166はバッグストラップ150を横切って延在するが、他の実施形態において、破断縫い目は、バッグストラップの幅の一部にのみ形成してもよく、または1つもしくは複数の軽い止め縫いを画定してもよい。破断縫い目166およびミシン目162は、エアバッグクッション110の展開中に断裂するように構成され、結果的に、破断縫い目がミシン目より先に断裂する。ミシン目162は、展開中にバッグストラップ150を2つの断片に切断することができるように構成されてもよい。ミシン目162は、バッグストラップループ160内に位置するものとして描かれているが、別の実施形態において、ミシン目がバッグストラップの異なる部分に沿って位置してもよい。
パネル152は、ループ160および折り畳み部158の形成によりパネルを短くした後に得られるバッグストラップがパネル材の全長よりも短い所定の長さL3を有するように所定の長さを有している。バッグストラップ150の最も短い長さ(L3)を巻き付き長さと呼ぶことができる。また、巻き付き長さは、(図8Bに描かれている)展開長さL2よりも短い。
バッグストラップの巻き付き長さは、バッグストラップが巻回されおよび/または折り畳まれた膨張可能なエアバッグクッションに巻き付くことができ、かつクッションをこの「パッケージ」形態または「折り畳み」形態で保持できるように構成される。上述したように、バッグストラップを巻き付き長さに保持する破断縫い目は、エアバッグ展開時に、バッグストラップが展開長さとなるように断裂する。バッグストラップの展開長さは、エアバッグクッションがバッグストラップに再び張力を付与し始める前に、エアバッグクッションが最大約150mmまで拡張できるように構成される。エアバッグが拡張し続けるときに、ミシン目が断裂してエアバッグが自由に展開し続けられるようになるまで、少しの間、バッグストラップがエアバッグの拡張を遅らせる。
図9〜図10は、エアバッグアセンブリ100の一部の拡大斜視図であり、図9の眺めと比較して図10を180°回転させている。図面に描かれているように、前面113と後面114を連結するために、縫い目106を使用してもよい。補強材および/または熱シールド140/145は、中央部104付近でクッション110に連結されると理解することができる。バッグストラップ150は、前面113に連結される。バッグストラップのインフレータ開口153は、クッション110のインフレータ開口123と位置合わせされており、また同様に、インフレータステム開口154はクッションのインフレータステム開口124と位置合わせされる。バッグストラップループ160、破断縫い目166、およびミシン目162は、クッション110に連結されたバッグストラップ150のクッション部151とバッグストラップ150の係合部155との間に位置する。ループ160は、前面163から離れる方向に延びるように構成される。言い換えれば、ループ160が後面164に形成されるので、ループの頂端161は後面から延びる。係合部155は、折り畳み係合部158と、インフレータ装着用ステム係合開口156と、スタビライザストラップ開口157とを備えてもよい。
スタビライザストラップ170は、幅が約10mmでありかつ中央部104付近で前面113のバッグストラップ150とクッション110に連結される一片のウェビングを備えてもよい。スタビライザストラップ170は、縫い目がインフレータ挿入開口123/153およびインフレータステム開口124/154の中心と位置合わせされるように、縫い目171でクッション110に連結してもよい。描かれている実施形態において、縫い目171は、単一の縫い目線を備えるが、別の実施形態において、縫い目はボックス縫いを備えてもよい。ボックス縫いを用いる場合には、インフレータまたはクッション110の取付領域120に対して閉鎖されるボックス縫い部分をインフレータ開口123/153および124/154の中心と位置合わせしてもよい。
エアバッグクッションを折り畳むための方法を用いることにより、膨張可能なエアバッグクッション110をパッケージ形態に構成してもよく、この方法は、本明細書に開示するエアバッグクッション膜を得ることと、クッションを取り付け得るエアバッグハウジングの幅よりもクッションの幅が小さくなるまでクッションの側部を中心側へ折り返すことと、任意選択の止め縫いまたは破断縫いを施すことと、クッションの折り返された頂部を1回逆に巻回しまたは逆に折り畳むことと、折り返された頂部を逆に巻回しまたは逆に折り畳み続けることと、バッグストラップを折り畳みクッションに巻き付けることと、バッグストラップを少なくとも1つのインフレータ装着用ステムにしっかりと固定することとを含んでもよい。一実施形態において、折り畳み方法により、最大5回巻回されまたは折り畳まれたエアバッグクッションが得られる。
図11A〜図14は、膨張可能なエアバッグクッションをパッケージングするための方法のステップ中およびステップが実行された後のエアバッグクッションアセンブリ100の様々な図を描いている。図11A〜図11Cは、アセンブリ100の正面図であり、図11Aは、パッケージング前の形態にあるアセンブリを描いており、図11Bは、エアバッグクッションをパッケージングするための方法の第1のステップが実行された後のアセンブリを描いており、図11Cは、別のステップが実行された後のアセンブリを描いている。図11A〜図11Cの眺めにおいて、上部111および下部112、後面114、第1の半体116、第2の半体117、インフレータ挿入開口123、ならびにインフレータ装着用ステム開口124を有するクッション110と、クッション部151、係合部155、インフレータ装着用ステム係合開口156、スタビライザストラップ開口157、巻回部158、ループ160、ミシン目162、および後面164を有するバッグストラップ150とを含む、アセンブリ100の様々な構造および特徴を見て取ることができる。
図11Aの描写において、アセンブリ110は平坦形態にあり、この形態においては、クッション110のどのようなしわまたは折り目も除去されており、かつ後面114および164が「上」向きである言うことができる。膨張可能なエアバッグクッションを準備しかつクッションを平坦にすることは、膨張可能なエアバッグクッションを折り畳むまたはパッケージングするための方法の第1のステップを含むと言うことができる。
図11Bは、第1および第2の半体116、117がクッション110の中線側へ折り返された後のクッション110を描いている。折り返しは、クッションの各半体をクッションへ「裏返しに」押し付けることにより行なうことができる。言い換えれば、エアバッグクッションの第1および第2の半体は各々、第1および第2の半体の各々の前面および後面が中央部の上部パネルと下部パネルとの間に位置決めされるようにエアバッグクッションの中央部へ折り返される。折り返しステップが実行された後、クッション110は折り返された上部119を備える。
図11Cは、クッション100の折り返された上部119が前面113から離れるように後面114の方向に一度折り畳まれた後のクッション110を描いている。そのようなものとして、折り返された上部119は、下部112およびバッグストラップ150側へ下方に折り畳まれる。
図12A〜図12Dは、エアバッグアセンブリ100を側面図で描いており、アセンブリには、膨張可能なエアバッグクッションをパッケージングするための方法のステップが実施されている。それらの図では、前面113と、後面114と、取付領域120とを有するクッション110、ならびに、クッション部151と、折り畳み係合部158と、ループ160とを有するバッグストラップ150を見て取ることができる。図12Aは、アセンブリ100を描いた側面図であり、アセンブリが図11Cに描かれた段階と同一のパッケージング段階にある。上部折り返し部119は、後面114側へバッグストラップ150の方向に一度折り畳まれており、その結果、折り目121が形成されている。
図12Bは、上部折り返し部119の折り目121が後面114の方向に巻回され始めた後の図12Aのエアバッグアセンブリ100を描いている。巻回が後面の方向になされるので、これは「逆」巻きであると説明することができる。別の実施形態において、エアバッグクッションは、巻回されるのではなく、折り畳まれてもよい。しかしながら、連続的に折り畳みがなされるので、巻回のようになり得ることに気付くであろう。
図12C〜図12Dは、エアバッグクッションの上部折り返し部の折り畳み部が後面114側へバッグストラップ150の方向に巻回され続けた後の図12Bのエアバッグアセンブリ100を描いている。クッション110が巻回されたとき、クッションは、膨張可能な巻回エアバッグクッション122を備える。先に述べたように、取付領域120はクッション110の前面113に位置し、バッグストラップ150はバッグストラップのクッション部151でクッションに連結される。クッション110は、巻回クッション122が巻回されてクッションの折り目109に達するまで、バッグストラップ150の方向に巻回され続けてもよい。そのようなものとして、バッグストラップ150のクッション部151は、クッションと一緒に部分的に巻回されてもよい。本明細書に開示するパッケージング方法の次のステップは、バッグストラップの後面164が巻部の内側になり、かつ前面163がパッケージングされたエアバッグアセンブリの外側になるように、バッグストラップ150をクッション110に巻き付けること含んでもよい。
図13A〜図13Bは、エアバッグクッションアセンブリ100を正面図で描いている。これらの図では、クッション110、ならびに、クッション部151と、インフレータ挿入開口153と、インフレータステム開口154と、インフレータ係合開口156と、ストラップ開口157と、折り畳み係合部158と、ループ160と、ミシン目162と、前面163と、後面164と、破断縫い目166とを有するバッグストラップ150を見て取ることができる。
図13Aの描写において、アセンブリは、図12Dに描かれた段階と同一のパッケージング段階にある。クッション110は、巻回クッション122を備えるように巻回されており、バッグストラップ150の後面164は、巻回エアバッグクッションに後面164が巻き付けられ得るように位置決めされる。本明細書で述べるように、インフレータ挿入開口153は、クッション110のインフレータ挿入開口123と位置合わせされ、またインフレータ装着用ステム開口154は、インフレータ装着用ステム開口124と位置合わせされる。
図13Bは、エアバッグクッションをパッケージングするための方法の次のステップを描いており、このステップは、インフレータステム係合開口156がインフレータ挿入開口123/153およびインフレータ装着用ステム開口124/154と位置合わせされるように、バッグストラップ150を巻回クッション122に巻き付けることを含んでもよい。バッグストラップ150の後面がパッケージングされたエアバッグクッションの内側にあるので、前面163を見て取ることができる。任意選択のスタビライザストラップが存在する場合には、スタビライザストラップがストラップ開口157から突出してもよい。クッション110の巻回を完了するのに先立ち、バッグストラップ150の折り畳み係合部158に位置する開口123/153および開口156からインフレータ装着用ステムが突出するように、インフレータをクッション110に挿入してもよい。バッグストラップ150の長さは、ループ160が巻回されたクッション122の所定の位置に位置するように構成される。ループ160が所定の箇所に位置するので、ミシン目162および破断縫い目166もまた巻回されたクッション122の所定の箇所に位置する。
図14は、クッション110が巻回形態122で配置され、巻回クッションがバッグストラップ150で包まれ、かつインフレータ180がクッションに挿入された後のエアバッグアセンブリ100の一部を側面図で描いている。クッション110の取付領域120は、バッグストラップのクッション部151が連結される領域であると同時に、インフレータ180を取り付けることができる領域である。パッケージ形態において、折り畳み係合部158は、クッション部151の近傍にあり、後面164は、包まれたクッション122の近傍にあり、前面163は、パッケージングされたエアバッグアセンブリの外側に位置する。第1のインフレータ装着用ステム182および第2のインフレータ装着用ステム(見て取ることができない)は、クッション110の取付領域120、バッグストラップ150のクッション部151、および折り畳み係合部158から突出してもよい。バッグストラップループ160は、クッション110の所定の箇所に位置し、ループは、ループの頂端161がバッグストラップとクッションとの間に位置するような向きとされる。
図15は、エアバッグクッション100が、折り畳み形態またはパッケージ形態に折り畳まれおよび/または巻回され、バッグストラップで包まれ、かつエアバッグハウジング190内に配置された後のエアバッグアセンブリ100の斜視図である。エアバッグクッション110は、ハウジング190内にあるときには、図13Bおよび図14に示すような形態にあるが、明確さおよび便宜のために、エアバッグクッション110を図15のハウジング190の内側に図示していない。ハウジング190は、金属および/またはプラスチックなどの任意の適切な材料を備えることができ、膨張可能なエアバッグクッションが取付固定され得る容器を画定することができる。ハウジング190は、車両内に装着されるように構成され、膨張可能なクッション110が所定の特性で展開できるようにエアバッグアセンブリ100を位置決めするのに使用することができる。例えば、ハウジング190は、膨張可能なエアバッグクッション110が通過して展開できる展開開口部196を画定することができる。図示の実施形態において、展開開口部196は、ハウジング190の前方端部にありかつ(「LONG」と表示された矢印が示す)長手方向に細長く、この開口部は、アセンブリ100を車両内に装着するときに、車幅方向と一致し得る。展開開口部196は、ハウジング190の前方端部にあり、後方下向きに傾斜している。少なくとも展開の初期段階において、膨張可能なエアバッグクッション110は、ハウジング190から展開開口部196を通して実質的に車両の左右方向に直交する方向に車両の乗員に向かって外方に展開することができる。
ハウジング190は、長手方向に細長いものとすることができ、ハウジング190の第1の側端部194と第2の側端部195との間に延びる長手方向軸線ALONGを画定することができる。図示の実施形態において、インフレータ180により画定される長手方向軸線は、長手方向軸線ALONGと同一直線上にある。他の実施形態においては、インフレータ180の長手方向軸線を、長手方向軸線ALONGと平行となるように長手方向軸線ALONGに対してオフセットすることができる。他の実施形態においては、インフレータ180の長手方向軸線を長手方向軸線ALONGに対して傾斜させおよび/またはオフセットすることができる。
図示の実施形態において、ハウジング190は、インフレータ180の一部が貫通できるおよび/またはさもなければハウジング190の外側から簡単にアクセス可能である開口部を第2の側端部195に画定する。インフレータ180の露出した端部は、インフレータ180のイニシエータ186部分を含んでもよい。露出したイニシエータ186により、アセンブリ100の製造中および/または車両内でのアセンブリ100の設置中に、リード線アセンブリをイニシエータと簡単に連結することが可能となる。
いくつかの実施形態において、ハウジング190は、任意の適切な種類のカバー片197と連結される。カバー片197は、ハウジング190の展開開口部196を跨ぐまたはさもなければ覆うことができる。図示の実施形態において、カバー片197は、当技術分野で知られているような、膨張可能なエアバッグクッション110が展開するときに容易に開放することができるカバー198を含む。例えば、いくつかの実施形態において、カバー198は、弱化領域を含むことができ、エアバッグクッション110がカバーを通過できるように破断または破裂するように構成することができる。他の実施形態において、カバー198を揺動開放するようにヒンジ連結することができ、これにより、エアバッグクッション110がカバーを通過できるようにする。
先に考察したように、インフレータ180の一部をエアバッグクッション110の膨張可能な空隙118に挿入することができる。更に、インフレータ180をハウジング190と連結することができる。よって、他の実施形態に関して以下に更に考察するように、インフレータ180を介して膨張可能なエアバッグクッション110をハウジング190と連結することができる。例えば、図示の実施形態において、ハウジング190は、第1および第2のインフレータ装着用ステム182、183が突出できる複数の開口(見て取ることができない)を画定する。また、インフレータ装着用ステム182は、膨張可能なエアバッグクッション110のインフレータ装着用ステム開口124(例えば、図9を参照)を貫通することができ、インフレータ装着用ステム183は、インフレータ挿入開口123(例えば、図9を参照)に位置決めすることができる。図15に示すように、第1および第2のインフレータ装着用ステム182、183は、装着用金具184(例えば、ボルト)を受けてもよく、結果的に、インフレータ180と膨張可能なクッション110がハウジング190に連結固定されてもよい。ハウジング190は、車両構造体に連結固定されてもよい。
ハウジング190は、膨張可能なエアバッグクッション110の展開中に、スタビライザストラップ170をハウジング190に対して固定しおよび/またはスタビライザストラップ170の一部をハウジング190の外側で保持する保持構成要素または装着用構成要素191を画定することができる。図示の実施形態において、装着用構成要素191は、ハウジング190を貫通するスタビライザストラップ開口192を備え、この開口は、スタビライザ開口部またはスタビライザ開口と称されることもある。装着用構成要素191は更に、留め具193を備える。留め具193の任意の適切な配置が考えられる。図示の実施形態において、留め具193は、ハウジング190の外側上面から外方に突出するとともに前方に延びるフックを備える。スタビライザストラップ170の一部は、ハウジングの内側から後方にスタビライザストラップ開口192を貫通し、ハウジング190の後方端部にハウジング190の前方端部に向けて巻き付けられ、かつ留め具193に保持される。図示の実施形態において、スタビライザストラップ170は、留め具193に掛かるように前進させる装着用開口172を画定する、換言すれば、留め具193がスタビライザストラップ170の装着用開口172を貫通する。よって、スタビライザストラップ170の少なくとも一部は、スタビライザストラップ170をハウジング190に取付固定するために、留め具193を取り囲むまたは留め具193の周囲に延びると言うことができる。
膨張可能なエアバッグクッション110が展開すると、留め具193は、ハウジング190の外側でスタビライザストラップ170の一部を保持する。よって、エアバッグクッション110に取り付けられたスタビライザストラップ170の一部は、ハウジング190に対してほぼ固定された関係で保持される。いくつかの実施形態において、エアバッグクッション110のこの部分は、エアバッグクッション110が完全に展開したときに、ハウジング190内にあってもよく、その結果、スタビライザストラップ170が、スタビライザストラップ170の取り付けられたエアバッグクッション110部分をハウジング190の内側で保持する。他の実施形態において、スタビライザストラップ170が取り付けられたエアバッグクッション110の部分は、スタビライザストラップ170により適所に保持される前に、実際には展開開口部196を通してハウジング190の外に出てもよい。そのような場合には、スタビライザストラップ170がもたらす拘束により、クッション110上の取付点よりも後方にあるエアバッグクッション110の一部をハウジング190内に維持することができる。いずれかの取り付けのシナリオにおいて、スタビライザストラップ170は、エアバッグクッション110の少なくとも一部をハウジング190内に保持するように機能することができる。その上、いずれかの取り付けのシナリオにおいて、スタビライザストラップ170は、エアバッグクッション110の展開の少なくとも後期段階中に、エアバッグクッション110の一部をハウジング190に対して固定された関係で維持するように機能する。
図示の実施形態において、留め具193およびスタビライザ開口192は、留め具193がスタビライザ開口192よりも前方にある状態で、ハウジング190の長手方向のほぼ同位置にある。開口192がハウジング190の後方端部にあるのに対して、留め具193はハウジング190の上端部にある。スタビライザ開口192は、留め具193がもたらす規制に加えて、スタビライザストラップ170の動きを規制することができる。例えば、スタビライザ開口192と留め具193をハウジング190の異なる側面または端部に配置することにより、スタビライザストラップ170が、スタビライザ開口192の上側の周囲に延びかつその上側に摩擦係合することができる。エアバッグクッション110の展開の後期段階などにおいて、スタビライザストラップ170が張力下にある場合、摩擦係合により、スタビライザストラップ170の長手方向への移動を防止することができる。その上、スタビライザ開口192の側縁部は同様に、スタビライザストラップ170の長手方向への移動を防止することができる。図示の実施形態において、展開開口部196を通過してエアバッグクッション110が展開する方向に沿ったスタビライザ開口192と留め具193との位置合わせにより、展開の後期段階においてエアバッグクッション110をハウジング190の外に移動させる傾向のある力をほぼ直接打ち消すことができるので、いずれにしても、スタビライザストラップ170の長手方向への移動を最小限にすることができる。
装着用構成要素191の他の適切な配置も可能である。例えば、いくつかの実施形態において、装着用構成要素191は、スタビライザストラップ170が貫通できるスタビライザ開口192を備え、また、タブ、(装着用金具自体に加えて)装着用金具を受けるための開口、直線状の延在部、またはスタビライザストラップ170をハウジング190に対して固定された関係で保持するための任意の他の適切な配置を更に含むことができる。いくつかの実施形態において、スタビライザ開口192および留め具193は、エアバッグクッション110の初期の展開方向に沿って位置合わせされない。更に他の実施形態において、装着用構成要素191は、図22〜図26に関して以下に更に考察するように、図15に示す開口とは異なる形状とされ得るスタビライザ開口192のみを含んでもよい。
インフレータ180は、車両センサにより検出またはさもなければ判定される所定の車両条件に応じて作動するように構成することができる。作動時に、インフレータ180が膨張ガスを急速に発生させまたは放出し、この膨張ガスにより、エアバッグクッション110がカバー198を通過するように押し出され、クッション110が急速に膨張する。インフレータ180は、火工式インフレータ、貯蔵ガスインフレータ、または複合インフレータなどの任意の適切な種類のものであってもよい。加えて、インフレータ180は、単段または多段式インフレータを備えてもよい。当業者には理解されるように、インフレータ180を作動させるか否かを決定する一連の所定の条件を構成するために、種々のタイプおよび形態の1つまたは複数の車両センサを利用することができる。例えば、一実施形態においては、乗員の座席がエアバッグ展開表面からどの程度近いかまたは離れているかを検出するために、座席レールセンサが利用される。別の実施形態においては、乗員が座席に座っている否かを判定し、座っている場合に、乗員のおおよその体重を確認するために、座席スケール(seat scale)を使用してもよい。更に別の実施形態においては、乗員のおおよその表面積および/またはエアバッグ展開表面からの距離を判定するために、光学センサまたは赤外線センサを使用してもよい。別の実施形態においては、車両が受ける負の加速度の大きさを測定するために加速度計が用いられ、この加速度計は、事故が発生したか否かおよび事故の程度を表示してもよい。加えて、これらおよび/または他の適切なセンサのタイプの任意の適切な組み合わせを使用してもよい。
インフレータ180は、膨張可能なエアバッグクッション110を膨張させるために、膨張ガスがインフレータ180から流出する開口部187を画定することができる。図示の実施形態において、開口部187は、イニシエータ端部186と対向するインフレータ180端部にある。開口部187は、ハウジング195の側端部194、195間の中間位置に位置することができる。例えば、開口部187は、第2の側端部195から第1の側端部194までの距離の約1/4、1/3、1/2、または2/3以下の距離に位置することができる。したがって、クッション110の後方端部の中間横方向位置において、膨張ガスを膨張可能なエアバッグクッション110の膨張可能な空隙118に導入することができる。
換言すれば、インフレータ180は、ハウジング180の側端部194、195間の全距離に延びていなくてもよい。よって、インフレータ180を介してエアバッグクッション110の一部をハウジング190に装着できるが、インフレータ180は、ハウジング190の全長手方向範囲にわたって、エアバッグクッション110をハウジング190にしっかりと固定するわけではない。以下に更に考察するように、このような配置では、スタビライザストラップ170とその関連のハウジング190の装着用構成要素191がない場合、エアバッグクッション110の膨張の後期段階でエアバッグクッション110が歪曲する可能性がある。図示の実施形態において、インフレータ180は、ハウジング190の第2の側端部195により近接する位置でハウジング190に連結され、装着用構成要素191は、ハウジング190の第1の側端部194により近接している。先に考察したように、このようなインフレータ180のオフセット位置により、イニシエータ186またはインフレータ180の電気接点へのアクセスが容易に可能となる。
エアバッグクッション110の展開の初期段階中に、膨張ガスがもたらす圧力により、ハウジング190の後方端部の内面に対してエアバッグクッション110の後方端部全体を十分に維持することができる。しかしながら、エアバッグクッション110が完全に膨張すると、より多量のエアバッグクッション110がハウジングの外側にありかつエアバッグクッション110の一部または全てに張力がかかった状態で、エアバッグクッション110がハウジング190から引き離されやすくなる可能性がある。スタビライザストラップ170とその関連のハウジング190の装着用構成要素191がない場合、エアバッグクッションがインフレータ180装着構造を介してハウジング190の長手方向範囲の一部にのみ取り付けられるので、エアバッグクッション110がそのように引き離されることにより、エアバッグクッションが歪曲および回転する可能性がある(図26および関連の考察を参照)。スタビライザストラップ170は、そのような歪曲力および回転力を打ち消すことができる。
図16〜図20は、膨張可能なクッションエアバッグアセンブリ200の別の実施形態の複数の部分の様々な図であり、これらの図は、インフレータ280をエアバッグクッション膜210およびエアバッグハウジング290に連結するための方法で使用される構造を描いている。これらの図はまた、クッションが所定の展開特性を達成するのを補助するスタビライザストラップ270を描いている。膨張可能なクッションエアバッグアセンブリ200は、ある点において上記のエアバッグアセンブリ100に類似し得る。よって、類似の特徴は、先頭の桁を「2」に増やした類似の参照符号で表す。したがって、同様に識別される特徴に関して上述した関連する開示については、以下に繰り返さない場合がある。その上、エアバッグアセンブリ200の特定の特徴を、図中の参照符号により図示もしくは識別しない場合があり、または以下の明細書で具体的に考察しない場合がある。しかしながら、そのような特徴は、他の実施形態で描かれた特徴および/またはそのような実施形態に関して説明した特徴と明らかに同一または実質的に同一であってもよい。よって、そのような特徴の関連する説明は、エアバッグアセンブリ200の特徴にも等しく当てはまる。エアバッグアセンブリ100に関して説明した特徴およびその変形の任意の適切な組み合わせをエアバッグアセンブリ200に用いることができ、逆もまた同様である。
図16は、膨張可能なクッションエアバッグアセンブリ200の一部の拡大切欠き斜視図である。膨張可能なクッション膜210を本明細書で説明したクッション膜110のように構成してもよく、またはクッション210を異なるように構成してもよい。クッション210は、縫い目206を備える継ぎ目207により形成される膨張可能な空隙を画定する。クッション210は、装着用開口272を画定するナイロンウェビングのループにより形成されるスタビライザストラップ270を備えてもよい。ストラップ270は、幅が約10mmであってもよく、所定の長さを有する。ストラップ270をクッション210に連結するために、縫い目271を使用してもよい。
図17は、製造の中間段階におけるエアバッグアセンブリ200の背面斜視図であり、エアバッグクッション210は、クッションがハウジング290に連結されるのに先立ち、ハウジング290の近傍に位置している。ハウジング290は、図17に示す向きにおいて、下方を向いた空洞を画定することができる。よって、エアバッグクッション210は、図17のハウジング290の前側壁(図17には図示せず、図18を参照)の近傍に示されている。クッション210は、折り畳み中央部204、インフレータ取付領域220、インフレータ挿入開口223、およびインフレータステム開口224を備える。縫い目271の最下部273が開口223および224の中心と位置合わせされるように、ストラップ270をクッション210上に位置決めしてもよい。ストラップ270の装着用開口272は、図18に関して以下に更に考察するように、ハウジング290に位置する留め具293が受けるように構成される。図示の実施形態において、留め具293は、ハウジングの外面から外方に延びかつほぼ長手方向に延びるフックを備える。ハウジング290はまた、インフレータ装着用ステムを収容するように構成された開口299を備える。
図18は、ハウジング290のスタビライザストラップ開口292を見て取ることができるアセンブリ200の拡大切欠き正面斜視図である。スタビライザストラップ開口292は、スタビライザ開口部もしくは開口またはストラップ開口と称されることもある。スタビライザストラップ270は、ストラップ開口292から前方へ突出し、留め具293まで後方へ延びるように、ハウジング290の前方端部に巻き付けられる。ストラップ装着用開口272は、留め具293にぴったり嵌りかつ保持されるように構成される。
換言すれば、図17および図18を参照するに、ハウジング290は、スタビライザ開口292と留め具293とを含む取付用構成要素291を画定する。スタビライザ開口292は、ハウジング290の前方端部にある。留め具293は、ハウジング290の上面から外方に延びる。スタビライザストラップ270の一部は、ハウジングの内側からスタビライザストラップ開口292を通して前方に延びかつ留め具293で保持される。留め具293に掛かるように装着用開口272を前進させる、換言すれば、留め具293が装着用開口272を貫通する。よって、スタビライザストラップ270の少なくとも一部は、スタビライザストラップ270をハウジング290に取付固定するために、留め具293の周囲に延びるまたは留め具193を取り囲むと言うことができる。
膨張可能なエアバッグクッション210が展開すると、留め具293は、ハウジング290の外側でスタビライザストラップ270の一部を保持する。よって、エアバッグクッション210に取り付けられたスタビライザストラップ270の一部は、ハウジング290に対してほぼ固定された関係で保持される。
図示の実施形態において、留め具293およびスタビライザ開口292は、スタビライザ開口292が留め具293よりも前方にある状態で、ハウジング290の長手方向のほぼ同位置にある。開口292がハウジング290の前方端部にあるのに対して、留め具293はハウジング290の上端部にある。スタビライザ開口292は、留め具293がもたらす規制に加えて、スタビライザストラップ270の動きを規制することができる。例えば、スタビライザ開口292と留め具293をハウジング290の異なる側面または端部に配置することにより、スタビライザストラップ270が、スタビライザ開口292の上側の周囲に延びかつその上側に摩擦係合することができる(図18を参照)。エアバッグクッション210の展開の後期段階などにおいて、スタビライザストラップ270が張力下にある場合、摩擦係合により、スタビライザストラップ270の長手方向への移動を防止することができる。その上、スタビライザ開口292の側縁部は同様に、スタビライザストラップ270の長手方向への移動を防止することができる。図示の実施形態において、ハウジング290からエアバッグクッション210が展開する方向に沿ったスタビライザ開口292と留め具293との位置合わせにより、展開の後期段階においてエアバッグクッション210をハウジング290の外に移動させる傾向のある力をほぼ直接打ち消すことができるので、いずれにしても、スタビライザストラップ270の長手方向への移動を最小限にすることができる。
図19A〜図20は、膨張可能なクッションエアバッグアセンブリ200の一部の斜視図であり、これらの図は、インフレータ280をエアバッグクッション膜210およびエアバッグハウジング290に連結するための方法および構造を描いている。インフレータ280、クッション210、およびハウジング290は、エアバッグクッションをエアバッグハウジングに連結するための方法で用いられ得るように構成される。
図19Aは、膨張可能なクッションエアバッグアセンブリ200の一部の拡大切欠き斜視図であり、この図は、インフレータ280の第1の端部285を挿入することを含み得る方法の第1のステップを描いている。また、第1のインフレータステム282は、クッション210のインフレータ挿入開口223に挿入される。クッション210は、インフレータ挿入開口223とインフレータステム開口224とを備え、それらの開口が所定の大きさの直径D3およびD2をそれぞれ有する。インフレータ装着用ステム開口224の直径D2は、インフレータ装着用ステム開口がインフレータからの装着用ステムを受けることができるように構成される。そのようなものとして、装着用ステム開口の直径は、装着用ステムの直径にほぼ等しくてもよく、または装着用ステムの直径よりも僅かに大きくてもよい。開口223の直径D3は、開口がインフレータ280の直径D4を収容できるように構成される。そのようなものとして、開口223のD3がインフレータ280の直径D4よりも大きくてもよく、または直径がほぼ等しい大きさであってもよい。いくつかの実施形態において、D2の大きさは、約4.0mm〜約8.0mmであってもよい。一実施形態において、D2の大きさは約6.5mmである。いくつかの実施形態において、D3の大きさは、約20mm〜約30mmであってもよい。一実施形態において、D3の大きさは約25mmである。インフレータ挿入開口および/またはインフレータ装着用ステム開口は、縫い目または追加材料により強化および/または補強してもよい。いくつかの実施形態において、インフレータ直径D4の大きさは、約20mm〜約30mmであってもよい。一実施形態において、D4の大きさは約25mmである。
インフレータ280は、第1および第2の装着用ステム282、283がインフレータ本体から直交方向に突出する筒状体281を備えた火工式インフレータを備えてもよい。インフレータ280は、第1の端部285および第2の端部287を画定し、第1の端部285は、膨張ガスを放出できる1つまたは複数の通気孔286を有し得る。インフレータ280は、所定の長さL4を備える。いくつかの実施形態において、インフレータ長さL4の大きさは、約100mm〜約120mmであってもよい。一実施形態において、L4の大きさは約108mmである。装着用ステム間の距離は、約70mm〜約90mmであってもよい。一実施形態において、装着用ステムの距離は、約80mmである。そのようなものとして、インフレータ挿入開口とインフレータ装着用ステム開口との間の距離は、約100mm〜約120mmであってもよく、一実施形態において、その距離は約80mmである。
図19Bは、インフレータの第1の端部285と第1の装着用ステム282がインフレータ挿入開口に挿入された後の図94Aの膨張可能なクッションエアバッグアセンブリの拡大切欠き斜視図である。その方法は、インフレータ280をクッション210のインフレータステム開口224に向けて押し込むことを更に含んでもよい。インフレータ280は、第1のインフレータステム282が開口224とほぼ位置合わせされるまでインフレータステム開口224の方向に押し込まれ続けてもよいが、第2の端部287はインフレータ挿入開口223に押し通されていない。
図19Cは、図19Bの膨張可能なクッションエアバッグアセンブリ200の拡大切欠き斜視図である。インフレータを介してエアバッグクッションをエアバッグハウジングに連結するための方法は、第1の装着用ステム282をインフレータステム開口224に挿通するまたはその開口224を通して前進させることを更に含んでもよい。インフレータ280が適切に位置決めされると、第1の端部285がクッション210内に位置し、インフレータステム282が開口224から突出し、第2のインフレータステム283および第2の端部287が開口223から突出する。ステム283は、開口223の周縁でクッション210に当接してもよい。第1のインフレータステム282の直径とインフレータスタッド開口224の直径は、展開中にステムと開口との間の接合部が実質的に気密であるように構成してもよい。同様に、インフレータ本体281の直径とインフレータ挿入開口223の直径は、展開中にインフレータと開口との間の接合部が実質的に気密であるように構成してもよい。
図20は、インフレータを取り付けるための方法の別のステップが実行された後の膨張可能なクッションエアバッグアセンブリ200の拡大切欠き斜視図である。その方法は、インフレータ280の第1および第2のインフレータステム282、283を対応するハウジング取付開口299(図17も参照)に挿通するまたは前進させることを更に含んでもよい。その後、第1のインフレータステム282と第2のインフレータステム283に嵌合係合する(ボルト284などの)装着用金具を介して、クッション210を第1のハウジング290に取付固定してもよい。先の方法は、インフレータを取り付けるための方法、またはエアバッグクッションをエアバッグハウジングに取り付けるための方法であると言ことができる。
図20はまた、ストラップがストラップ開口292(図18)に挿通されかつストラップを留め具293で受けた後のスタビライザストラップ270を描いている。スタビライザストラップ270は、上記のように、インフレータを介してエアバッグクッションをハウジングに連結するための方法と関連付けられた構造と組み合わせて使用してもよいし、使用しなくてもよい。スタビライザストラップ270は、膨張可能なエアバッグクッションの展開中にクッションがインフレータとクッションとの取付点の周りを回転しないように、クッション210およびインフレータ280と組み合わせて使用してもよい。そのようなものとして、スタビライザストラップは、エアバッグクッションが展開中に歪曲するのを防止する。スタビライザストラップ270により防止できる回転および歪曲のタイプの更なる考察について図26に関して以下に更に述べる。
図21〜図26は、ある点において上記のエアバッグアセンブリ100、200に類似し得る膨張可能なクッションエアバッグアセンブリ300の別の実施形態を描いている。よって、類似の特徴は、先頭の桁を「3」に増やした類似の参照符号で表す。したがって、同様に識別される特徴に関して上述した関連する開示については、以下に繰り返さない場合がある。その上、エアバッグアセンブリ300の特定の特徴を、図中の参照符号により図示もしくは識別しない場合があり、または以下の明細書で具体的に考察しない場合がある。しかしながら、そのような特徴は、他の実施形態で描かれた特徴および/またはそのような実施形態に関して説明した特徴と明らかに同一または実質的に同一であってもよい。よって、そのような特徴の関連する説明は、エアバッグアセンブリ300の特徴にも等しく当てはまる。エアバッグアセンブリ100、200に関して説明した特徴およびその変形の任意の適切な組み合わせをエアバッグアセンブリ300に用いることができ、逆もまた同様である。
図21を参照するに、エアバッグアセンブリ300は、上記のような膨張可能なエアバッグクッション310を含むことができる。例えば、エアバッグクッション310は、ニーエアバッグとして使用されるような大きさ、形状、および/またはさもなければ構成とすることができる。任意の適切な手法で、スタビライザストラップ370をエアバッグクッション310と連結することができる。図示の実施形態において、スタビライザストラップ370は、縫い目371でエアバッグクッション310に取り付けられる。スタビライザストラップ370は、厚さの異なる複数の部分を含むことができる。
図21および図24を参照するに、図示の実施形態において、スタビライザストラップ370は、薄肉部374と厚肉部375とを含む。以下の考察により明らかになる理由から、薄肉部374は、「挿通部」と称されることもあり、厚肉部375は「保持部」と称されることもある。「薄肉」と「厚肉」という用語は、スタビライザストラップ370自体に対して使用される。したがって、保持部375は、挿通部374よりも厚い。その上、以下の考察から理解できるように、保持部375は、複数の厚さを有することができる。図示の実施形態において、保持部375は、挿通部374の両側で異なる厚さを画定し、その各々が挿通部374自体の厚さよりも厚い。
図示の実施形態において、スタビライザストラップ370は、任意の適切な種類のストラップ材の単片を備える。例えば、様々な実施形態において、ストラップ材料は、ナイロンウェビングなどの任意の適切な布を備えることができる。保持部375が複数層のストラップ材から形成されるのに対して、挿通部374は単層のストラップ材から形成される。特に、保持部375は、単層のストラップ材をそれ自体に対して2回巻回または折り畳み、その後、得られた3層のストラップ材に縫い目376を通してしっかりと固定することにより形成することができる。図示の実施形態において、縫い目376は、折り畳まれたストラップ材の3層部分にあるほぼ中間点に形成される。結果として、保持部375が、図21および図24に示すように、挿通部374に対して横方向に延びるような向きとされる場合、保持部375は、縫い目376の一方側における2層の重なり合うストラップ材層と、縫い目376の他方側における3層の重なり合うストラップ材層とを含む。スタビライザストラップ370は、保持部375が挿通部374に対して横断方向の向きとされたときに実質的にT字形状を画定する。図示の実施形態において、保持部375は、挿通部374の両側で挿通部374からほぼ同一距離だけ横方向外方に延びる。
図24で分かるように、図示の実施形態においては、ストラップ材の先端部を2層のストラップ材の間に挟持することができ、したがって、保持部375の内側に位置決めすることができる。その上、保持部375は、スタビライザストラップ370の先端部に位置することができる。他の実施形態において、スタビライザストラップ370の保持部375は、スタビライザストラップ370のより中間の位置にあってもよい(例えば、挿通部374は、保持部375に対して先端側および基端側の両方に延びてもよい)。しかしながら、図示の実施形態において、保持部375が挿通部374の先端部にあるスタビライザストラップ370のT字形状は、アセンブリ300のハウジング390部分のT字形状部と相補的であり得る。そのような配置は、以下に更に考察するように、アセンブリ300の製造を容易にすることができ、またはさもなければその製造に有用であり得る。
図22を参照するに、ハウジング390は、エアバッグクッション310の展開中に、スタビライザストラップ370の少なくとも一部をハウジング390に対して固定された状態で維持するように、スタビライザストラップ370と相互作用するように構成された装着用構成要素391を画定することができる。図示の実施形態において、装着用構成要素391は、スタビライザ開口392を備える。図22では、組立前の状態にあるエアバッグクッション310およびハウジング390を示している。スタビライザ開口392を通してスタビライザストラップ370をハウジング390に連結するための方法について図23A〜図23Dに関して以下に考察する。この考察では、図23D(すなわち、SW1およびSW3)および図24(すなわち、ST1、ST2、およびSW2)で識別するスタビライザストラップ370および開口部392の様々な寸法に注目する。
図23Aは、ハウジング390の内面を描いている。図示のように、スタビライザ開口392は、実質的に互いに直交方向に延びる2つの実質的に直線状のセクション392a、392bを含むことができる。換言すれば、スタビライザ開口392は、スタビライザストラップ370のT字形状と実質的に相補的であるT字形状を画定することができる。いくつかの実施形態において、以下に更に考察するように、開口392のT字形状の少なくとも一部は、スタビライザストラップ370のT字形状部よりも僅かに大きい。図示の実施形態において、セクション392aの幅SW1(図23D)は、セクション392bの幅SW2(図24)よりも大きい。したがって、セクション392bが幅狭セクション392bと称されることもあるのに対し、セクション392aは、本明細書で幅広セクション392aと称されることもある。その上、以下の考察から明らかになる理由から、セクション392aは、挿入セクション392aと称されることもあり、セクション392bは、維持セクション392bと称されることもある。
図23Aと図26の両方を参照するに、図示の実施形態において、挿入セクション392aは、長手方向に対して実質的に横断方向に延び、かつ、「DEPLOY」と表示された矢印により図26で特定するエアバッグクッション310の少なくとも早期段階の展開方向と概ね一致する方向に細長い。維持セクション392bは長手方向に細長く、したがって、エアバッグの一般的な展開方向に対して実質的に横断方向に延びる。エアバッグクッション310は通常、ハウジング390に対して前方向に展開するが、単一方向に展開しないことに留意されたい。例えば、いくつかの実施形態において、エアバッグクッション310は、ハウジング390の底面におけるカバー(図示せず)を開放するために、先ずハウジング390から下方へ進み、次に、実質的に水平な方向に前方へ進み、その後、インストルメントパネルの底面に沿って上方と前方の両方に拡張してもよく、これは、ニーエアバッグにとって望ましい軌跡であり得る。よって、エアバッグクッション310がハウジング390から展開するときに進む全体的方向または実質的方向を概略的に示すために、図26には展開方向「DEPLOY」が与えられている。
図23Aを再び参照するに、スタビライザストラップ370をハウジング390に連結する初期段階において、スタビライザストラップ370の保持部375が開口部392の挿入セクション392aの中央軸線と関連付けられる(例えば、同一平面となる)ように、またスタビライザストラップ370の薄肉部が開口部392の維持セクション392bの中央軸線と関連付けられる(例えば、同一平面となる)ように、スタビライザストラップ370をスタビライザ開口392と位置合わせすることができる。図23Aに太矢印で示すように、この向きにある間に、スタビライザストラップ370をスタビライザ開口部392に向けて前進させることができる。
図23Bに描かれているように、スタビライザストラップ370の端部部分は、スタビライザ開口部392を通して前進させることができる。この前進段階中に、開口部390を画定するハウジング390の壁に対して、スタビライザストラップ370の長手方向軸線を傾斜させることができる。この角度は、維持セクション392bの長さにより影響を受ける可能性がある。維持セクション392bの長さが長いほど、スタビライザストラップ370とハウジング壁との間の角度が小さくなる可能性がある。ストラップ370とハウジングとの間のこの角度関係およびハウジング壁の厚さのため、いくつかの実施形態においては、保持部375が挿入セクション392aを容易に通過できることを確実にする目的で、スタビライザ開口390の挿入セクション392aの幅をスタビライザストラップ370の保持部375の厚さよりも若干大きくすることが望ましい。
図23Cに描かれているように、スタビライザストラップ370の保持部375が開口部390の挿入セクション392aを通過した後に、スタビライザストラップ370を回転させることができる。したがって、挿通部374の少なくとも一部はハウジング390の内側に留まるが、保持部375はハウジング390の外側にある。
図23Dに描かれているように、開口部392の維持セクション392bを通して、スタビライザストラップ370を挿入セクション392aに対向する開口部端部まで前進させることができる。様々な実施形態において、そのようなスタビライザストラップ370の横方向への移動を容易にするために、維持セクションの392bの幅SW2をスタビライザストラップ370の挿通部374の厚さST2とほぼ同一かまたはそれよりも大きくすることができる。その代わりに、他の実施形態において、維持セクション392bの幅SW2は、そのようなスタビライザストラップ370の横方向への移動を可能にするだけでなく、かかる横方向への移動に対して摩擦抵抗を付与するために、挿通部374の厚さST2よりも僅かに小さくすることができる。いずれの場合にも、望ましくは、維持セクション392bの幅SW2(図24)をスタビライザストラップ370の保持部375の最大厚さST1(図24)よりも小さくすることができ、これにより、保持部375がハウジング390の外側から開口部392の維持セクション392bを通してハウジング390の内側に引き込まれるのを防止することができる。その上、望ましくは、スタビライザストラップ370の幅SW3(図23D)を開口部390の挿入セクション392aの幅SW1(図23D)よりも大きくすることができ、これによりまた、万一スタビライザストラップ370が挿入セクション392aの方へ引き戻される場合に、保持部375がハウジング390の外側から開口部392の挿入セクション392aを通してハウジング390の内側に引き込まれるのを防止することができる。
図24を参照するに、他の実施形態において、スタビライザストラップ370の保持部375の最大厚さST1は、開口部392の維持セクション392bの幅SW2よりも小さくてもよい。そのような場合、維持セクション392bを画定するハウジング390の部分は、保持部375がハウジング290内に引き込まれるのを更に防止することができるが、これは、縫い目376から外方に延びる保持部375の部分が、スタビライザストラップ370が張力下で移動するにつれて寄り集まることができ、結果として、維持セクション392bの幅SW2よりも厚みのあるストラップ材の塊ができる理由からである。
図25は、部分的に組み立てられたエアバッグ組立体300を図示している。エアバッグクッション310の後方端部は、ハウジング390と連結されている。エアバッグクッション310は、展延状態または非パッケージ状態で示されている。他の製造工程において、エアバッグクッション310は、ハウジング390と連結されるのに先立ち、上で説明したような手法によりパッケージ状態で配置することができる。
ハウジング390の一方の側端部では、スタビライザストラップ370が、装着用構成要素391(すなわち、スタビライザ開口部392)と連結されている。したがって、エアバッグクッション310は、ハウジング390のその側端部でハウジング390にしっかりと固定される。ハウジング390の他方の側端部では、インフレータ380が、インフレータステム382、383および装着用金具384を介してハウジング390と連結されている。上で考察したように、このような配置でエアバッグクッション390をインフレータ380とハウジング390との間に挟持または保持することができる。よって、エアバッグクッション310は、ハウジング390の両側端部でハウジング390にしっかりと固定される。そのような配置により、エアバッグクッション310のバランスの取れたまたは安定した展開が可能となる。
図26は、エアバッグクッション310が完全に展開したアセンブリ300の実施形態の平面図である。図示の実施形態において、エアバッグクッション310は、ハウジング390から少しの距離だけ水平方向に延び、次いで垂直方向上方に(すなわち、紙面の外へ)湾曲する。他の実施形態において、エアバッグクッション310の上端部または先端部側への湾曲は、より緩やかであってもよい。例えば、エアバッグクッション310の上部は、実質的に垂直に(例えば、水平面に対して約90度で)延びるよりむしろ、より緩やかな角度で上方に延びてもよい。その代わりに、いくつかの実施形態において、エアバッグクッション310が、車両の前面パネルまたはコントロールパネルの下面の輪郭に従ってもよい。
先に考察したように、スタビライザストラップ370は、エアバッグクッション310の後方端部をハウジング390内に維持することができ、エアバッグクッション310が回転または歪曲するのを防止することができる。ハウジング390の一方の側端部では、エアバッグクッション310は、インフレータ380とその関連のステム382、383および装着用金具384を介してハウジング390にしっかりと固定される。しかしながら、膨張可能なエアバッグ310がハウジング390の他方の側端部にしっかりと固定されなければ、その非固定部分がハウジング390の外に出やすくなる可能性があり、この非固定部分により、結果として、エアバッグ310の歪曲および/または回転が望ましくない形で生じ得る。図26には、起こり得る歪曲および回転の一例を仮想線で示している。特に、エアバッグクッション310は、インフレータ380の周囲(例えば、インフレータ380を介してハウジング390にしっかりと固定されたエアバッグクッション310部分の周囲)で歪曲するまたはその周囲を回転する可能性がある。また、このような歪曲および回転を、エアバッグクッション310上部の中心を通過する中心軸線ACENTに対して説明することができる。図示の実施形態において、中心軸線ACENTは、実質的に垂直である(例えば、紙面の内外へ延びている)。他の実施形態において、中心軸線ACENTは、水平面(すなわち、紙面の平面)に対して別の角度を画定することができる。中心軸線ACENTは、ハウジング390の長手方向軸線ALONGを2等分する垂直平面「VERT」内に含まれ得る。エアバッグクッション310の側端部が固定されていないときには、エアバッグクッション310が、中心軸線ACENTの周囲を回転しおよび/またはその軸線に対して歪曲する可能性がある。
図26で分かるように、スタビライザストラップ370は、そのようなエアバッグクッション310の回転および歪曲を防止する。特に、スタビライザストラップ370は、縫い目371でスタビライザストラップ370に取り付けられたそのエアバッグクッション310の部分をハウジング390に対して実質的に固定された位置に維持する。
特定の実施形態において、スタビライザ開口部392は、挿入セクション392aがハウジング390の長手方向軸線ALONGに対して実質的に横断するような、かつ維持セクション392bがハウジング390の長手方向軸線ALONGと(図示されるように)平行かまたは長手方向軸線ALONGと同一線上となるような向きとされる。その上、挿入セクション392aは、外方横方向位置にあり、維持セクション392bは、ハウジング390の中心に向かって挿入セクション392aから離れる方向に(例えば、ハウジング390の垂直中心平面に向かって)延びる。その代わりに、このような配置において、一般的にエアバッグクッション310を回転または歪曲させる傾向がある展開力は、スタビライザストラップ370を挿入セクション392aとは反対側のスタビライザ開口392端部に向けて付勢し、これにより、スタビライザストラップ370が挿入セクション392aを通してハウジング390から引き抜かれる危険性を低減する。図示の実施形態において、スタビライザ開口部392の維持セクション392bは、装着用金具384およびインフレータ380のステム382、383と位置合わせされ、結果として、エアバッグクッション310がハウジング390の全横幅に沿ってハウジング390から実質的に一定の距離で展開することができる。しかしながら、例えば、スタビライザストラップ370は他の実施形態において長さが異なってもよいので、スタビライザ開口392が位置合わせされない他の配置もまた可能である。
アセンブリ300は、エアバッグクッション310の自由端部をハウジング390に取り付けるための簡単かつ確実な手法を提供するので有効であり得る。その上、その配置により、材料コストを低減しかつ組み立てを容易にすることが可能となる。例えば、スタビライザストラップ370が単一の材料片から形成され、スタビライザストラップ370をハウジングから延びる別個の留め具または他の部材に巻き掛けない。
図面に示していない他の実施形態も考えられる。例えば、スタビライザストラップ370は、他の手法で形成することができる。いくつかの実施形態において、単一の材料片を折り畳みかつ縫製するよりむしろ、別個の片を一片のストラップ材に縫い付けてもよい。その代わりに、例えば、保持部375は、長いストラップ材の端部に縫い付けられたボタン状片の硬質材料(例えば、プラスチックまたは金属)により形成することができる。
図27〜図29は、ある点において上記のエアバッグアセンブリ100、200、300に類似し得る膨張可能なクッションエアバッグアセンブリ400の別の実施形態を描いている。よって、類似の特徴は、先頭の桁を「4」に増やした類似の参照符号で表す。したがって、同様に識別される特徴に関して上述した関連する開示については、以下に繰り返さない場合がある。その上、エアバッグアセンブリ400の特定の特徴を、図中の参照符号により図示もしくは識別しない場合があり、または以下の明細書で具体的に考察しない場合がある。しかしながら、そのような特徴は、他の実施形態で描かれた特徴および/またはそのような実施形態に関して説明した特徴と明らかに同一または実質的に同一であってもよい。よって、そのような特徴の関連する説明は、エアバッグアセンブリ400の特徴にも等しく当てはまる。エアバッグアセンブリ100、200、300に関して説明した特徴およびその変形の任意の適切な組み合わせをエアバッグアセンブリ400に用いることができ、逆もまた同様である。
図27を参照するに、エアバッグアセンブリ400は、上記のような膨張可能なエアバッグクッション410を含むことができる。例えば、エアバッグクッション410は、ニーエアバッグとして使用されるような大きさ、形状、および/またはさもなければ構成とすることができる。任意の適切な手法で、任意の所望の数のスタビライザストラップ470をエアバッグクッション410と連結することができる。図示の実施形態において、アセンブリ400は、更に以下に考察するように、2つのスタビライザストラップ470を含む。各スタビライザストラップ470は保持部475を含むことができ、この保持部475は、図示の実施形態において、保持部375に関して上で考察したような手法で折り畳まれ縫製されたスタビライザストラップ475の端部セクションから形成される。図示の実施形態において、スタビライザストラップ470は、エアバッグクッション410の両側にある。エアバッグクッション410は、インフレータ挿入開口423とインフレータステップ開口424とを含んでもよく、個々のスタビライザストラップ470は、開口423、424のいずれかの側でエアバッグクッション410に取り付けることができる。図示の実施形態において、開口423、424とスタビライザストラップ470の取付領域とは、実質的に互いに位置合わせされる(例えば、実質的に互いに同一直線上にある)。他の配置も考えられる。
エアバッグアセンブリ400は、エアバッグクッション410を中にパッケージングできるハウジング490を更に含むことができる。ハウジング490は、個々のスタビライザストラップ470と連結されるように各々構成された任意の適切な数の取付用構成要素491を含むことを除いて、上で考察したハウジング390に類似し得る。図示の実施形態において、ハウジング490は、ハウジング490のいずれかの側端部494、495側に位置決めされた2つの取付用構成要素491を含む。
図28および図29を参照するに、図示の実施形態において、各取付用構成要素491は、各々が挿入セクション492aと維持セクション492bとを含むスタビライザ開口492により画定される。図29に示すように、挿入セクション492aは、ハウジング490の側端部の最も近くに位置決めすることができ、維持セクション492bは、挿入セクション492aからハウジング490の中心垂直平面VERTに向かって内方に延びることができる。各スタビライザストラップ470がスタビライザ開口492と協働して、エアバッグクッション410展開中にエアバッグクッションの歪曲を防止する目的で(例えば、縫い目471で)スタビライザストラップ470に連結されたエアバッグクッション410部分のエアバッグクッション410の動きをハウジング490に対して制限するように、上で考察した手法でスタビライザストラップ470をスタビライザ開口492と連結することができる。
図28および図29を再び参照するに、エアバッグクッション410は、上で考察したような手法でハウジング490に取り付けることができる。図示の実施形態において、インフレータ480は、インフレータ挿入開口423に挿入され、インフレータ480から延びる装着用ステム482は、インフレータステム開口424にエアバッグクッション410の内側から外側へと挿通される。別の装着用ステム483は、インフレータ挿入開口423(図19Cを参照)の少なくとも一部から突出する。したがって、インフレータ480は、インフレータステム482、483および装着用金具484を介してハウジング490と連結される。上で考察したように、エアバッグクッション490を、このような配置でインフレータ480とハウジング490との間に挟持または保持することができる。したがって、ハウジングの中間領域または中央領域でインフレータ480を介してエアバッグクッション410をハウジング490に締結固定することができる。更に、ハウジング490の両側端部でエアバッグクッション410をハウジング490にしっかりと固定するために、スタビライザストラップ470をインフレータ480のいずれかの側端部から間隔を隔てて配置することができる。そのような配置により、エアバッグクッション410のバランスの取れたまたは安定した展開が可能となる。
図30Aおよび図30Bは、エアバッグアセンブリ500の別の実施形態の展開順序を図示しており、エアバッグアセンブリ500は、ある点において上記のエアバッグアセンブリ100、200、300、400に類似し得る。よって、類似の特徴は、先頭の桁を「5」に増やした類似の参照符号で表す。したがって、同様に識別される特徴に関して上述した関連する開示については、以下に繰り返さない場合がある。その上、エアバッグアセンブリ500の特定の特徴を、図中の参照符号により図示もしくは識別しない場合があり、または以下の明細書で具体的に考察しない場合がある。しかしながら、そのような特徴は、他の実施形態で描かれた特徴および/またはそのような実施形態に関して説明した特徴と明らかに同一または実質的に同一であってもよい。よって、そのような特徴の関連する説明は、エアバッグアセンブリ500の特徴にも等しく当てはまる。エアバッグアセンブリ100、200、300、400に関して説明した特徴およびその変形の任意の適切な組み合わせをエアバッグアセンブリ500に用いることができ、逆もまた同様である。
図30Aに示すように、エアバッグアセンブリ500は、ハウジング590内でパッケージ状態にあるエアバッグ510を含む。ハウジング590は、カバー598により閉鎖される展開開口部596を画定する。図30Aおよび図30Bには装着用金具を示していないが、エアバッグ510は、上で考察したような手法でインフレータ580を介してハウジング590にしっかりと固定される。アセンブリ500は、インストルメントパネルまたはダッシュボード501の下面にしっかりと固定される。ハウジング590は、各ストラップ570の保持部575がハウジング590の外側で保持され得るように1つまたは複数のスタビライザストラップ570がそれぞれ貫通できる1つまたは複数のスタビライザ開口(図示せず;例えば、図29を参照)を画定することができる。スタビライザストラップ570は、上で考察したような任意の適切な手法でエアバッグ510に取り付けられる。図30Aから理解できるように、スタビライザ開口および展開開口596は、ハウジング590の対向する側面にある。
図30Bは、部分展開状態(破線)および完全展開状態(実線)にあるエアバッグ510を図示している。ダッシュボード501の下面に沿って上方向に膨張するように、エアバッグ510を構成することができる。スタビライザストラップまたはストラップ570は、エアバッグクッション510の展開中に、特にエアバッグクッション510が図示のように一旦完全に膨張すると、エアバッグクッション510の歪曲を防止することができる。
当業者であれば、本開示の精神から逸脱することなく、種々のインフレータおよびエアバッグハウジングを使用し得ることを理解するであろう。例えば、インフレータの大きさおよび形状は、本明細書で説明したものと異なっていてもよい。更に、インフレータ装着用ステムは、インフレータと一体ではなく、むしろいくつかの実施形態では、装着用ステムを備えるインフレータハウジングを用いてもよい。加えて、インフレータおよび/またはハウジングは、2つ未満または2つより多くの装着用ステムを備えてもよく、それらの装着用ステムはインフレータ本体に対して、本明細書で説明するような直交方向よりむしろ、軸方向の向きとされてもよい。エアバッグハウジング290は、完全なハウジングを備えるのではなく、むしろエアバッグハウジングの従属構成要素であってもなくてもよい装着構造を画定してもよい。
本明細書に開示した任意の方法は、説明した方法を実行するための1つもしくは複数のステップまたは動作を含む。方法のステップおよび/または動作を互いに入れ替えてもよい。言い換えれば、ステップまたは動作の特定の順序が実施形態の適切な実施に必須でない限り、特定のステップおよび/または動作の順序および/または使用を変更してもよい。
更に詳述しなくても、当業者であれば前述の説明を用いて本開示を最大限に利用することができると考えられる。本明細書に開示した実施例および実施形態は、単なる例示として解釈されるべきであり、決して本開示の範囲を限定するものではない。本明細書で説明した開示の基本を成す原理から逸脱することなく、上記の実施形態の細部に対して変更を成し得ることは、当業者にとって明らかである。言い換えれば、上の説明で具体的に開示した実施形態の様々な修正および改良は、添付の特許請求の範囲内にある。それゆえ、開示の範囲は、以下の特許請求の範囲により定義される。