JP5950384B2 - 冷凍・冷蔵システム - Google Patents

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Description

本発明は冷凍・冷蔵システムに関し、特に無着霜運転を実現する場合に適用して有用なものである。
従来技術に係る冷気強制循環方式の冷凍・冷蔵システムの概略図を図31に示す。同図に示すように、当該冷凍・冷蔵システムでは、一個の蒸発器で冷却された空気を分岐させて冷凍室、冷蔵室へ送風するものである。かかる従来技術に関しては、次のような問題がある。まず、蒸発器が1つしかないので、0℃〜4℃の冷蔵室温度に関わらず、−18℃の冷凍室温度を維持するために、−20℃以下の蒸発温度が必要になる。これにより、サイクルCOPは高くない。次に、蒸発温度(-20℃以下)が冷蔵室空気の露点より相当低いので、蒸発器の表面に霜が着き、電気ヒーターにより定期的に除霜することが必要となる。さらに、霜取水の自動除去装置を設置しなければならない。また、ヒーター発熱の一部分(約30%)のみが除霜に使われ、残りの多くの熱が、冷蔵室内の加熱になり、この熱は余計な冷却負荷となる。
かかる問題点を解決する技術として、冷凍専用と冷蔵専用のそれぞれ独立した冷却器を揃えたツイン冷却システムが提案され、着霜・除霜に関しては、冷却器に付いた霜の融解熱で冷蔵室・野菜室を冷却するもの等が提案されている。
また、吸着剤を用いた冷蔵室に関する発明として、例えば特許文献1(特開2006−308232号公報)や特許文献2(特開2008−256257号公報)が公知となっている。
特開2006−308232号公報 特開2008−256257号公報
しかしながら、従来技術は何れも冷却器に対する無着霜運転を開示・示唆するものではない。
本発明は、上記従来技術に鑑み、熱交換される空気の水分を吸着して乾燥させることにより冷凍用の熱交換器においても着霜を未然に防止し得、さらに吸着機能の再生も行い得る冷凍・冷蔵システムを提供することを目的とする。
上記目的を達成する本発明の第1の態様は、
吸着剤付の熱交換器である第1の熱交換器、第1の膨脹手段、第2の熱交換器、圧縮機、第3の熱交換器および第2の膨張手段が順次直列に接続され、前記圧縮機から吐出される冷媒を前記第3の熱交換器、前記第1の膨張手段および第2の膨張手段、前記第1の熱交換器および前記第2の熱交換器を介して前記圧縮機に戻るように循環させる冷媒循環流路と、
前記第1の熱交換器および前記第2の熱交換器を蒸発器として機能させるとともに前記第3の熱交換器を外気と熱交換する凝縮器として機能させる冷凍・冷蔵・吸着モード運転において、冷蔵室から排出された空気を、少なくとも前記第1の熱交換器を流通させて熱交換させ、前記冷蔵室との間で循環させるように構成した第1の空気流路と、
前記冷凍・冷蔵・吸着モード運転において、前記第1の熱交換器および前記第2の熱交換器で熱交換された空気を冷凍室との間で循環させるように構成した第2の空気流路とを有し、
前記第1の熱交換器を凝縮器として機能させ、前記第2の熱交換器を蒸発器として機能させるとともに前記第3の熱交換器を単なる冷媒の流路として機能させる潤い冷蔵・脱着モード運転において、
前記冷蔵室から排出された空気を、前記第1の熱交換器および前記第2の熱交換器を流通させて熱交換させ、前記冷蔵室との間で循環させるように構成した第4の空気流路を有することを特徴とする冷凍・冷蔵システムにある。
本態様によれば、蒸発器として機能させる第1の熱交換器における吸着剤でこの第1の熱交換器を流通する空気の水分を吸着して乾燥させることができるので、冷凍用の蒸発器として機能させる第2の熱交換器における無着霜運転を実現し得る。
また、第4の空気流路を利用して空気を循環させることにより第1の熱交換器の吸着剤に吸着された水分をこれを流通する空気に吸収させ、さらに第2の熱交換器で冷却された低温の湿り空気として冷蔵室に戻すことができるので、第1の熱交換器の吸着剤の脱着を行いつつ冷蔵室の潤い冷蔵運転を行うことができる。
本発明の第2の態様は、
第1の態様に記載する冷凍・冷蔵システムにおいて、
前記第1の熱交換器を凝縮器として機能させ、前記第2の熱交換器を蒸発器として機能させるとともに前記第3の熱交換器を単なる冷媒の流路として機能させる冷蔵・脱着モード運転において、
前記冷蔵室から排出された空気を、前記第2の熱交換器を流通させて熱交換させ、前記冷蔵室との間で循環させるように構成した第3の空気流路を有することを特徴する冷凍・冷蔵システムにある。
本態様によれば、第1の熱交換器を凝縮器として機能させるとともにこれを流通する空気を外気との間で熱交換させることができるので、吸着剤に吸着された水分を蒸発させて脱着させることができる。一方、第3の空気流路を利用することで蒸発器として機能させる第2の熱交換器で熱交換して冷却された空気を冷蔵室に循環させることができるので、冷蔵機能は継続的に維持することができる。
本発明の第の態様は、
第1又は第2の態様に記載する冷凍・冷蔵システムにおいて、
前記第1の空気流路は、前記冷蔵室から排出された空気を、前記第1の熱交換器および前記第2の熱交換器を流通させて熱交換させ、前記冷蔵室に戻すように構成されるとともに、
前記第2の空気流路は、前記冷凍室から排出された空気を、前記第2の熱交換器の入口側で前記第1の空気流路を流通する空気と合流させ、前記第2の熱交換器で熱交換させて前記第2の熱交換器の出口側から排出された空気を前記第1の空気流路から分岐させて前記冷凍室に戻すように構成されていることを特徴とする冷凍・冷蔵システムにある。
本態様によれば、冷凍・冷蔵モードの運転を実現する空気流路の構成を具体的に提供できる。本態様によれば、特に冷凍室還気の相対湿度が低いとき、特に良好な効率を得ることができる。
本発明の第の態様は、
第1又は第2の態様に記載する冷凍・冷蔵システムにおいて、
前記第1の空気流路は、前記冷蔵室から排出された空気を、前記第1の熱交換器および前記第2の熱交換器を流通させて熱交換させ、前記冷蔵室に戻すように構成されるとともに、
前記第2の空気流路は、前記冷凍室から排出された空気を、前記第1の熱交換器の入口側で前記第1の空気流路を流通する空気と合流させ、前記第1の熱交換器および前記第2の熱交換器を流通させて熱交換させ、前記第2の熱交換器の出口側で前記第1の空気流路から分岐させて前記冷凍室に戻すように構成されていることを特徴とする冷凍・冷蔵システムにある。
本態様によれば、冷凍・冷蔵モードの運転を実現する空気流路の構成を具体的に提供できる。本態様の場合、冷凍室から直接排気された空気を第1の熱交換器に流入させているので、冷蔵室や冷凍室の空気の相対湿度がいくら高くなっても無着霜運転を維持できる。
本発明の第の態様は、
第1又は第2の態様に記載する冷凍・冷蔵システムにおいて、
前記第1および第2の空気流路は、前記冷蔵室から排出された空気を、前記第1の熱交換器および前記第2の熱交換器を流通させて熱交換させ、前記冷凍室に戻すとともに、該冷凍室から排出された空気を前記冷蔵室に供給することで前記冷蔵室、前記第1の熱交換器、前記第2の熱交換器および前記冷凍室を循環させるように構成されていることを特徴とする冷凍・冷蔵システムにある。
本態様によれば、冷凍・冷蔵モードの運転を実現する空気流路の構成を具体的に提供できる。本態様の第1および第2の空気流路が同様の循環路として構成されるので、空気流路の構造が最も簡単なものとなる。
本発明の第の態様は、
第1又は第2の態様に記載する冷凍・冷蔵システムにおいて、
前記第1の空気流路は、前記冷蔵室から排出された空気を、前記第1の熱交換器を流通させて熱交換させ、前記冷蔵室に戻すように構成されるとともに、
前記第2の空気流路は、前記冷凍室から排出された空気を、前記第1の空気流路を流通する空気と前記第1の熱交換器の入口側で合流させ、前記第1の熱交換器および前記第2の熱交換器を流通させて熱交換させた空気を、前記第2の熱交換器の出口側で前記第1の空気流路から分岐させて前記冷凍室に戻すように構成されていることを特徴とする冷凍・冷蔵システムにある。
本態様によれば、冷蔵室や冷凍室の空気の相対湿度がいくら高くなっても無着霜運転を行うことができるばかりでなく、冷凍、冷蔵負荷をほぼ分別して処理することができるので高効率の運転を実現し得る。
本発明の第7の態様は、
吸着剤付の熱交換器である第1の熱交換器、吸着剤付の熱交換器である第4の熱交換器、第2の熱交換器、圧縮機、第3の熱交換器および膨張手段が順次直列に接続され、前記圧縮機から吐出される冷媒を前記第3の熱交換器、前記膨張手段、前記第1の熱交換器、前記第4の熱交換器および前記第2の熱交換器を介して前記圧縮機に戻るように循環させる冷媒循環流路と、
前記第1の熱交換器、第4の熱交換器および第2の熱交換器を蒸発器として機能させるとともに前記第3の熱交換器を外気と熱交換する凝縮器として機能させる冷凍・冷蔵・吸着モード運転において、冷蔵室から排出された空気を、前記第1の熱交換器を流通させて熱交換させ、前記冷蔵室との間で循環させるように構成した第1の空気流路と、
前記冷凍・冷蔵・吸着モード運転において、冷凍室から排出された空気を、前記第4の熱交換器及び第2の熱交換器を流通させて熱交換させ、前記冷凍室との間で循環させるように構成した第2の空気流路とを有することを特徴とする冷凍・冷蔵システムにある。
本態様によれば、冷凍、冷蔵を完全に分けることができるので、最も高効率の運転を実現できる。
本発明の第の態様は、
の態様に記載する冷凍・冷蔵システムにおいて、
前記第1の熱交換器の出口側と前記第4の熱交換器の入口側との間、および前記第4の熱交換器の出口側と前記第2の熱交換器の入口側との間にそれぞれ他の膨張手段を設けるとともに、
前記第1の熱交換器および前記第4の熱交換器を凝縮器として機能させ、前記第2の熱交換器を蒸発器として機能させるとともに前記第3の熱交換器を単なる冷媒の流路として機能させる冷蔵・脱着モード運転において、
前記冷蔵室から排出された空気を、前記第2の熱交換器を流通させて熱交換させ、前記冷蔵室との間で循環させるように構成した第3の空気流路を有することを特徴とする冷凍・冷蔵システムにある。
本態様によれば、冷凍、冷蔵を完全に分けることができるので、最も高効率の運転を実現できるばかりでなく、第1および第4の熱交換器の吸着剤の脱着も行うことができるので、所定の無着霜運転を長期に亘り安定的に継続させることができる。
本発明の第の態様は、
または第の態様に記載する冷凍・冷蔵システムにおいて、
前記第1の熱交換器および第4の熱交換器を凝縮器として機能させ、前記第2の熱交換器を蒸発器として機能させるとともに前記第3の熱交換器を単なる冷媒の流路として機能させる潤い冷蔵・脱着モード運転において、
前記冷蔵室から排出された空気を、前記第1の熱交換器、前記第4の熱交換器および前記第2の熱交換器を流通させて熱交換させ、前記冷蔵室との間で循環させるように構成した第4の空気流路を有することを特徴する冷凍・冷蔵システムにある。
本態様によれば、冷凍、冷蔵を完全に分けることができるので、最も高効率の運転を実現できるばかりでなく、第1および第4の熱交換器の吸着剤の脱着も行いつつ冷蔵室の潤い冷蔵運転も行うことができる。
本発明の第10の態様は、
第1〜第の態様のいずれか一つに記載する冷凍・冷蔵システムにおいて、
前記第1の熱交換器と第1の膨張弁との間に気液分離器を配設し、該気液分離器で分離された冷媒のガス成分を前記圧縮機の冷媒吸入口と冷媒吐出口の途中に戻すように構成したことを特徴とする冷凍・冷蔵システムにある。
本態様によれば、圧縮機の圧縮動力の低減を図ることができる。
本発明によれば、第1の熱交換器の吸着剤で空気を予め除湿することにより、冷凍室専用の第2の熱交換器である蒸発器の表面に霜が着くのを未然に防止し得るので、従来技術における除霜運転、霜取り水の除去装置などは不要になる。また、吸着剤の再生には、冷媒の凝縮熱を利用する一方、冷媒の蒸発熱で冷蔵室の空気の冷却は継続することができるので、システム性能の向上も図り得る。
また、潤い冷蔵・脱着運転モードにおいては、充分な潤い冷気で野菜等を冷却することができるので、長期間に亘り鮮度を良好に維持することができる。
本発明の第1の実施の形態に係る冷凍・冷蔵システムを示す概略構成図である。 図1に示すシステムの冷凍・冷蔵・吸着モードの態様を示す概略構成図である。 図2に示すシステムの冷媒のP−h線図である。 図2に示すシステムの空気の状態変化を示す特性図である。 図1に示すシステムの冷蔵・脱着モードの態様を示す概略構成図である。 図5に示すシステムの冷媒のP−h線図である。 図5に示すシステムの空気の状態変化を示す特性図である。 図1に示すシステムの潤い冷蔵・脱着モードの態様を示す概略構成図である。 図8に示すシステムの冷媒のP−h線図である。 図8に示すシステムの空気の状態変化を示す特性図である。 図1に示すシステムの運転モードの切替制御の第1の態様を示す概略構成図である。 図11に示す制御のフローチャートである。 図1に示すシステムの運転モードの切替制御の第2の態様を示す概略構成図である。 図13に示す制御のフローチャートである。 図1に示すシステムの運転モードの切替制御の第3の態様を示す概略構成図である。 図15に示す制御のフローチャートである。 本発明の第2の実施の形態に係る冷凍・冷蔵システムを示す概略構成図である。 図17に示すシステムの冷凍・冷蔵・吸着モードの態様を示す概略構成図である。 本発明の第3の実施の形態に係る冷凍・冷蔵システムを示す概略構成図である。 図19に示すシステムの冷凍・冷蔵・吸着モードの態様を示す概略構成図である。 本発明の第4の実施の形態に係る冷凍・冷蔵システムを示す概略構成図である。 図21に示すシステムの冷凍・冷蔵・吸着モードの態様を示す概略構成図である。 本発明の第5の実施の形態に係る冷凍・冷蔵システムを示す概略構成図である。 図23に示すシステムの冷凍・冷蔵・吸着モードの態様を示す概略構成図である。 図23に示すシステムの冷蔵・脱着モードの態様を示す概略構成図である。 図23に示すシステムの潤い冷蔵・脱着モードの態様を示す概略構成図である。 図23に示すシステムの運転モードの切替制御の第1の態様を示す概略構成図である。 図27に示す制御のフローチャートである。 図23に示すシステムの運転モードの切替制御の第2の態様を示す概略構成図である。 図29に示す制御のフローチャートである。 従来技術に係る冷凍・冷蔵システムを示す概略構成図である。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づき詳細に説明する。なお、各実施の形態は、1)冷凍・冷蔵・吸着モード、2)冷蔵・脱着モード、3)潤い冷蔵・脱着モードの3種類の運転モードでそれぞれ運転される。そこで、第1〜第5の実施の形態においては、各運転モードに対応する第1〜第4の空気流路を有している。
ここで、第1の空気流路は、冷凍・冷蔵・吸着モードにおいて、少なくとも冷蔵室は循環する空気の流路である。第2の空気流路は、冷凍・冷蔵・吸着モードにおいて、少なくとも冷凍室は循環する空気の流路である。第3の空気流路は、冷蔵・脱着モードにおいて、冷蔵室を循環する空気の流路である。第4の空気流路は、潤い冷蔵・脱着モードにおいて、冷蔵室を循環する空気の流路である。これら第1〜第4の空気流路は、機能的には独立しているが、構造的には第1〜第5の実施の形態において一部が共用される場合や全部が共用される場合がある。
<第1の実施の形態>
図1は本発明の第1の実施の形態に係る冷凍・冷蔵システムを示す概略構成図である。同図に示すように、冷媒循環流路Iは、吸着剤付の熱交換器である第1の熱交換器1、気液分離器7、第1の膨張手段であるキャピラリー6、第2の熱交換器2、圧縮機4、第3の熱交換器3および第2の膨張手段である膨張弁5が順次直列に接続されて構成されている。かくして、圧縮機4から吐出される冷媒を、第3の熱交換器3、膨張弁5、第1の熱交換器1、気液分離器7、キャピラリー6および第2の熱交換器2を介して前記圧縮機4に戻るように循環させる。
また、本形態に係る冷凍・冷蔵システムは、第1の空気流路II−11、第2の空気流路II−21および第3の空気流路II−31を有する。本形態において、潤い冷蔵・脱着モードの際に冷蔵室を循環する空気の流路である第4の空気流路は第1の空気流路II−11と共用される。
さらに詳言すると、第1の空気流路II−11は冷蔵室Rから排出され第1の熱交換器1および第2の熱交換器2で熱交換された空気を、冷蔵室Rに戻るように循環させる。第2の空気流路II−21は冷凍室Fから排出され第1の空気流路II−11を流通する空気と合流されて第2の熱交換器2で熱交換された空気が、第1の空気流路II−11から分岐されて冷凍室Fに戻るように循環させる。このため、第2の空気流路II−21には、第2の空気流路II−11との合流点に流路切替手段V11が、第1の空気流路II−11との分岐点には流路切替手段V21がそれぞれ配設されている。
第3の空気流路II−31は、冷蔵室Rから排出され第2の熱交換器2で熱交換された空気を冷蔵室Rに戻すように循環させる。すなわち、冷蔵室Rから排出された空気が、第1の空気流路II−11から分岐されるとともに、第1の熱交換器1と第2の熱交換器2との間で第1の空気流路II−11に合流されて第2の熱交換器2で熱交換された後、冷蔵室Rに戻るように循環される。このため、第3の空気流路II−31には、第1の空気流路II−11との分岐点に流路切替手段V31が、第1の空気流路II−11との合流点に流路切替手段V41がそれぞれ配設されている。
流路切替手段V11〜V41は、例えば各流路を開閉するダンパで好適に構成することができる。
流路切替手段V11〜V41の切替状態を制御することで後に詳述する1)冷凍・冷蔵・吸着モード、2)冷蔵・脱着モード、3)潤い冷蔵・脱着モードの何れかの運転モードを選択し得る。
ここで、本形態における各運転モードの態様を詳細に説明する。
1) 冷凍・冷蔵・吸着モード(F・R・A mode)
図2に冷凍・冷蔵・吸着モードサイクルを示す。当該運転モードにおいては、膨張弁5を絞り、第1および第2の熱交換器1,2は蒸発器、第3の熱交換器3は凝縮器として機能させる。図3に本モードにおける冷媒のP-h線図を、図4に空気の状態変化特性を示す。両図に示すように、圧縮機4を出た冷媒aは第3の熱交換器3で外気OAによって冷却され、過冷却の冷媒bとなる。冷媒bは膨張弁5で中間圧力まで膨張し、冷媒cとなって第1の熱交換器1(Eva1)に至る。冷蔵室Rの冷蔵室還気RAは第1の熱交換器1の表面に付いた吸着剤によって除湿され、乾燥空気DAとなる。乾燥空気DAが冷凍室Fの冷凍室還気FAと混合されて混合空気MAとなり、第2の熱交換器2(Eva2)に至る。膨張弁5を出た冷媒cは、除湿に伴う吸着熱により一部分蒸発し、冷媒dとなる。冷媒dは、気液分離器7に入り、気体冷媒e*と液体冷媒eとに分離される。液体冷媒eは、キャピラリー6で冷媒fまで減圧され、第2の熱交換器2(Eva2)に流入し、混合空気MAと熱交換され、過熱ガスgとなり圧縮機4に流入し、中間圧力(Pmiddle)まで1段圧縮(1st Com)される。一方、気体冷媒e*は圧縮機4の吸入口と吐出口との間に注入され、1段目圧縮後の冷媒hと混ざり、冷媒h*の状態になる。冷媒h*はさらに高圧力(Phigh)まで圧縮される。混合空気MAが第2の熱交換器2で冷媒と熱交換されて低温空気SAとなってから二つに分岐して冷凍室Fおよび冷蔵室Rへ送風される。
2) 冷蔵・脱着モード(R・D mode)
図5に冷蔵・脱着モードサイクルを示す。当該運転モードにおいては、膨張弁5を全開とし、第1の熱交換器1を凝縮器(Con)とし、第2の熱交換器を蒸発器(Eva)とする。第3の熱交換器3では、ただ冷媒が通過する。図6に本モードにおける冷媒のP-h線図を、図7に空気の状態変化特性を示す。図5〜図7に示すように、圧縮機4を出た冷媒aは、第3の熱交換器3、膨張弁5を通過し、第1の熱交換器1(Con)においては外気OAを昇温させた後、過冷却状態の冷媒bとなる。一方、外気OAは昇温により、吸着剤から水分を脱着させた後、排気EAとなる。冷媒bはキャピラリー6で減圧し、低圧の冷媒cとなり、第2の熱交換器2(Eva)に至る。冷媒cは冷蔵室Rの冷蔵室還気RAと熱交換し、冷媒dとなり、再び圧縮機4に戻る。一方、低温となった低温空気SAを冷蔵室Rへ送風する。これで、吸着剤が再び水蒸気を吸着できる状態に戻り、システムとしての一周期の運転が終わる。
3) 潤い冷蔵・脱着モード(Moist-R・D mode)
これは、例えば冷蔵室(野菜室)Rの湿度を保つことが優先される場合に、吸着された水分を冷蔵室Rへ戻す運転モードである。図8に潤い冷蔵・脱着モードにおけるサイクルを示す。当該運転モードでは、膨張弁5を全開とし、第1の熱交換器1を凝縮器(Con)とし、第2の熱交換器を蒸発器(Eva)とする。第3の熱交換器3では、ただ冷媒が通過する。図9に当該運転モードにおける冷媒のP-h線図、図10に空気の状態変化特性を示す。図8〜図10に示すように、圧縮機4を出た冷媒aは、第3の熱交換器3、膨張弁5を通過し、第1の熱交換器1(Con)においては冷蔵室還気RAを昇温させた後、過冷却状態の冷媒bになる。一方、冷蔵室Rの冷蔵室還気RAは昇温により、吸着剤から水分を脱着させた後、高温高湿空気HAとなる。冷媒bはキャピラリー6で減圧され、低圧の冷媒cとなり、第2の熱交換器2(Eva)に至る。冷媒cは、第2の熱交換器2(Eva)においては高温高湿空気HAと熱交換し、冷媒dとなり、再び圧縮機4に戻る。一方、相対湿度100%で、低温となった低温空気SAが冷蔵室Rへ送風される。この結果、第2の熱交換器2では、高温高湿空気HAから回収された水が排出される。これで、吸着剤が再び水蒸気を吸着できる状態に戻り、システムとしての一周期の運転が終わる。
かかる各運転モードの切替制御としては、次のように1)空気露点とタイマー併用による制御、2)吸着剤の平衡吸着量による制御および3)タイマーによる制御が考えられる。
1) 空気露点とタイマー併用による制御
システムの一部を抽出して制御の概略図を図11(a)〜図11(c)に、制御のフローチャートを図12に示す。両図に示すように、第2の熱交換器2の入口側で空気の流路に配設した露点センサーで検出する混合空気MAの露点DPと、第2の熱交換器2の出口側で冷媒の流路に配設した第1の冷媒温度センサーで検出する冷媒が蒸発する温度Tと、第1の熱交換器1の入口側で冷媒の流路に配設した第2の冷媒温度センサーで検出する冷媒の温度Tとを制御パラメータとしている。ここで、温度Tに対応させて予め冷蔵・脱着モード運転時間Δτdethを決めている。
かくして、DP<Tのときは、冷凍・冷蔵・吸着モード運転を行う。(T−DP)の値が所定の温度差ΔTadthとなった時点で、冷蔵・脱着モード運転または潤い冷蔵・脱着モードに切り替え、所定の設定時間τdeの間は冷蔵・脱着モード運転または潤い冷蔵・脱着モード運転を行う。最後に、設定時間τdeが所定の運転時間Δτdethとなった時点で冷凍・冷蔵・吸着モード運転に戻し、同様の動作を繰り返す。ここで、露点DPの温度の値が時間的に変化しない時点まで、吸着剤が飽和状態になってないので、第1の熱交換器1の無着霜運転も維持できる。
2) 吸着剤の平衡吸着量による制御
システムの一部を抽出して制御の概略図を図13(a)〜図13(c)に示し、制御のフローチャートを図14に示す。両図に示すように、第1の熱交換器1の入口側と出口側で空気の流路に配設した一対の湿度センサーで検出する空気湿度Xi、Oに基づき制御を行う。ここで、Xo<Xiのときは、冷凍・冷蔵・吸着モード運転を行う。(Xi−Xo)の値が所定の湿度差ΔXadthとなった時点で、冷蔵・脱着モード運転または潤い冷蔵・脱着モード運転に切り替え、Xo>Xiの条件の下で冷蔵・脱着モード運転または潤い冷蔵・脱着モード運転を行う。最後に、(Xo−Xi)の値が所定の湿度差ΔXdethとなった時点で、冷凍・冷蔵・吸着モード運転に戻し、同様の動作を繰り返す。
3) タイマーによる制御
システムの一部を抽出して制御の概略図を図15(a)〜15(c)に示し、制御のフローチャートを図16に示す。両図に示すように、第1の熱交換器1の入口側における冷媒温度Trを温度センサーで検出しており、この冷媒温度Trに対応させて予め定められた時定数に基づく設定時間τad、τdeを管理することにより制御を行う。すなわち、所定の設定時間τadでは冷凍・冷蔵・吸着モード運転を行う。次に、設定時間τadが所定の切り替え値Δτadthとなった時点で、冷蔵・脱着モード運転または潤い冷蔵・脱着モード運転に切り替え、所定の設定時間τdeの間は冷蔵・脱着モード運転または潤い冷蔵・脱着モード運転を行う。最後に、設定時間τdeが所定の切り替え時間Δτdethとなった時点で冷凍・冷蔵・吸着モード運転に戻り、同様の動作を繰り返す。
<第2の実施の形態>
図17は本発明の第2の実施の形態に係る冷凍・冷蔵システムを示す概略構成図である。同図に示すように、冷媒循環流路Iは、第1の実施の形態と同様に構成されており、圧縮機4から吐出される冷媒を、第3の熱交換器3、膨張弁5、第1の熱交換器1、気液分離器7、キャピラリー6および第2の熱交換器2を介して前記圧縮機4に戻るように循環させる。
一方、本形態に係る冷凍・冷蔵システムは、第1の実施の形態と同様に、第1の空気流路II−12、第2の空気流路II−22および第3の空気流路II−32を有するが、第2の空気流路II−22の構造が、第1の実施の形態と異なる構成となっている。すなわち、第2の空気流路II−22は、冷凍室Fから冷凍室Fの外部に排出された空気を、第1の熱交換器1の入口側で第1の空気流路II−12を流通する空気と合流させている。その後、混合空気は、第1の熱交換器1および第2の熱交換器2を流通されて熱交換され、第2の熱交換器2の出口側で第1の空気流路II−12から分岐されて冷凍室Fに戻る。このため、流路切替手段V12は、第1の熱交換器1の入口側において、第1の空気流路II−12と第2の空気流路II−22との合流点に配設してある。
本形態において、第1の空気流路II−12および第3の空気流路II−32は、第1の実施の形態における第1の空気流路II−11および第3の空気流路II−31と同様の構成である。したがって、流路切替手段V22,V32,V42は、第1の実施の形態の流路切替手段V21,V31,V41と同様に構成されている。また、本形態においても、潤い冷蔵・脱着モードの際に冷蔵室を循環する空気の流路である第4の空気流路は第1の空気流路II−12と共用される。
本形態の冷凍・冷蔵・吸着モードにおいては、第1の実施の形態と同様に、膨張弁5を絞り、第1および第2の熱交換器1、2は蒸発器、第3の熱交換器3は凝縮器として機能させる。一方、図18に示すように、第2の空気流路II−22を流通する冷凍室還気FAは、流路切替手段V12を介して第1の空気流路II−12を流通する冷蔵室還気RAと混合され、第1の熱交換器1および第2の熱交換器2で熱交換した後、流路切替手段V22を経て冷凍室Fに戻る。ここで、第1の熱交換器1を流通する空気は、その吸着剤で乾燥される。したがって、本形態では、かかる乾燥空気が第2の熱交換器2を流通する。この結果、第2の熱交換器2における無着霜運転を実現できる。
本形態における冷蔵・脱着モードおよび潤い冷蔵・脱着モードの運転態様は第1の実施の形態と同様である。
<第3の実施の形態>
図19は本発明の第3の実施の形態に係る冷凍・冷蔵システムを示す概略構成図である。同図に示すように、本形態は、第2の実施の形態に対し第1、第2および第4の空気流路II−13,II−23,II−43の構成が異なる。本形態における第1および第2の空気流路II−13,II−23は、冷蔵室Rから排出された空気を、第1の熱交換器1および第2の熱交換器2を流通させて熱交換させ、冷凍室Fに戻すとともに、冷凍室Fから排出された空気を冷蔵室Rに再度供給することで冷蔵室R、第1の熱交換器1、第2の熱交換器2および冷凍室Fを循環させるように構成されている。すなわち、本形態における第1および第2の空気流路II−13,II−23は両者で共用するように構成されている。
一方、第4の空気流路II−43は、冷蔵室R内の空気が、流路切替手段V33および流路切替手段V13を経て第1の熱交換器1の入口側に至り、第1の熱交換器1および流路切替弁V43を介して第2の熱交換器2で熱交換した後、流路切替手段V23を介して冷蔵室Rに戻るように構成してある。
第3の空気流路II−33は、図17に示す第2の実施の形態の第3の空気流路II−32と同様に構成してある。すなわち、第3の空気流路II−33は、冷蔵室R内の空気が、流路切替手段V33,V43を経て第2の熱交換器2の入口側に至り、第2の熱交換器2で熱交換した後、流路切替手段V23を介して冷蔵室Rに戻るように構成してある。
本形態の冷凍・冷蔵・吸着モードにおいては、第2の実施の形態と同様に、膨張弁5を絞り、第1および第2の熱交換器1,2は蒸発器、第3の熱交換器3は凝縮器として機能させる。冷凍室Fから冷蔵室Rを経て外部に排出される空気は、第1の熱交換器1および第2の熱交換器2で熱交換した後、冷凍室Fに戻る。すなわち、空気は冷凍室Fから冷蔵室Rを経て第1および第2の熱交換器1,2の間で循環される。かかる空気の循環に伴い、第1の熱交換器1を流通する空気は、その吸着剤で乾燥され、かかる乾燥空気が第2の熱交換器2を流通する。したがって、第2の熱交換器2における無着霜運転を実現できる。
本形態における冷蔵・脱着モードおよび潤い冷蔵・脱着モードの運転態様は第1〜第2の実施の形態と同様である。
<第4の実施の形態>
図21は本発明の第4の実施の形態に係る冷凍・冷蔵システムを示す概略構成図である。同図に示すように、冷媒循環流路Iは、第1の実施の形態と同様に構成されており、圧縮機4から吐出される冷媒を、第3の熱交換器3、膨張弁5、第1の熱交換器1、気液分離器7、キャピラリー6および第2の熱交換器2を介して前記圧縮機4に戻るように循環させる。
一方、本形態に係る冷凍・冷蔵システムは、第1の空気流路II−14、第2の空気流路II−24および第3の空気流路II−34とともに、第4の空気流路II−44が独立させて構成してある。
さらに詳言すると、第1の空気流通路II−14は、冷蔵室Rから排出された空気が、流路切替手段V34,V14を介して第1の熱交換器1に至り、第1の熱交換器1で熱交換した後、流路切替手段V54,V64を介して冷蔵室Rに戻るように構成してある。
第2の空気流路II−24は、冷凍室Fから排出された空気が、流路切替手段V14を介して第1の熱交換器1に至り、さらに流路切替手段V54,V44を介して第2の熱交換器2に至り、第1および第2の熱交換器1、2で熱交換した後、流路切替手段V24を介して冷凍室Fに戻るように構成してある。すなわち、途中に流路切替手段V54が配設されている点を除き、図17に示す第2の実施の形態における第2の空気流路II−22と同様の構成となっている。
第3の空気流路II−34は、冷蔵室Rから排出された空気が、流路切替手段V34,V44を介して第2の熱交換器2に至り、第2の熱交換器2で熱交換した後、流路切替手段V24,V64を介して冷蔵室Rに戻るように構成してある。すなわち、図17に示す第2の実施の形態における第3の空気流路II−32と同様の構成となっている。
第4の空気流路II−44は、冷蔵室Rから排出された空気が、流路切替手段V34,V14を介して第1の熱交換器1に至り、流路切替手段V54,V44を介して第2の熱交換器2に至り、第1および第2の熱交換器1、2で熱交換した後、流路切替手段V24,V64を介して冷蔵室Rに戻るように構成してある。すなわち、途中に流路切替手段V54が配設されている点を除き、図17に示す第2の実施の形態における第1の空気流路II−12と同様の構成となっている。
本形態の冷凍・冷蔵・吸着モードにおいては、第2の実施の形態と同様に、膨張弁5を絞り、第1および第2の熱交換器1,2は蒸発器、第3の熱交換器3は凝縮器として機能させる。一方、図22に示すように、空気は、流路切替手段V34,V14,V54,V64による流路の選択により、冷蔵室Rから排出された空気が、流路切替手段V34,V14を介して第1の熱交換器1に至り、第1の熱交換器1で熱交換した後、流路切替手段V54,V64を介して冷蔵室Rに戻るように流通させる。この結果、蒸発器として機能する第1の熱交換器1で冷媒と熱交換した空気で冷蔵室R内が冷却される。
同時に、流路切替手段V14,V54,V44,V24による流路の選択により、冷凍室Fから排出された空気が、流路切替手段V14を介して第1の熱交換器1に至り、さらに流路切替手段V54,V44を介して第2の熱交換器2に至り、第1および第2の熱交換器1,2で熱交換した後、流路切替手段V24を介して冷凍室Fに戻るような流路が構成される。この結果、蒸発器として機能する第1および第2の熱交換器1,2で冷媒と熱交換した空気で冷凍室F内が冷却される。ここで、本形態においても、第1の熱交換器1を流通する空気は、その吸着剤で乾燥され、かかる乾燥空気が第2の熱交換器2を流通する。したがって、第2の熱交換器2における無着霜運転を実現できる。
本形態における冷蔵・脱着モードおよび潤い冷蔵・脱着モードの運転態様は第1〜第3の実施の形態と同様である。
<第5の実施の形態>
図23は本発明の第5の実施の形態に係る冷凍・冷蔵システムを示す概略構成図である。同図に示すように、冷媒循環流路IIIは、第1の熱交換器1と第2の熱交換器2との間に配設された第4の熱交換器8を有するとともに、これに伴い第1の熱交換器1と第4の熱交換器8との間に配設された膨張弁9と、第4の熱交換器8と第2の熱交換器2との間に配設されたキャピラリー6とを有している。かくして、圧縮機4から吐出される冷媒を、第3の熱交換器3、膨張弁5、第1の熱交換器1、気液分離器7、膨張弁9、第4の熱交換器8、キャピラリー6、第2の熱交換器2を介して前記圧縮機4に戻るように循環させる。
一方、本形態に係る冷凍・冷蔵システムは、第1の空気流路II−15、第2の空気流路II−25および第3の空気流路II−35とともに、第4の空気流路II−45が独立させて構成してある。
さらに詳言すると、第1の空気流通路II−15は、冷蔵室Rから排出された空気が、流路切替手段V35を介して第1の熱交換器1に至り、第1の熱交換器1で熱交換した後、流路切替手段V55,V65を介して冷蔵室Rに戻るように構成してある。
第2の空気流路II−25は、冷凍室Fから排出された空気が、流路切替手段V15を介して第4の熱交換器8に至り、さらに流路切替手段V45を介して第2の熱交換器2を流通することにより、第4および第2の熱交換器8,2で熱交換した後、流路切替手段V25を介して冷凍室Fに戻るように構成してある。
第3の空気流路II−35は、冷蔵室Rから排出された空気が、流路切替手段V35,V45を介して第2の熱交換器2に至り、第2の熱交換器2で熱交換した後、流路切替手段V25,V65を介して冷蔵室Rに戻るように構成してある。すなわち、図21に示す第4の実施の形態における第3の空気流路II−34と同様の構成となっている。
第4の空気流路II−45は、冷蔵室Rから排出された空気が、流路切替手段V35を介して第1の熱交換器1に至り、その後第4および第2の熱交換器8,2を流通して、第4および第2の熱交換器8,2で熱交換した後、流路切替手段V25,V65を介して冷蔵室Rに戻るように構成してある。すなわち、図21に示す第4の実施の形態における第4の空気流路II−34と類似の構成となっている。
一方、図24に示すように、空気は、流路切替手段V35,V55,V65による流路の選択により、冷蔵室Rから排出された空気が、流路切替手段V35を介して第1の熱交換器1に至り、第1の熱交換器1で熱交換した後、流路切替手段V55,V65を介して冷蔵室Rに戻るように流通させる。この結果、蒸発器として機能する第1の熱交換器1で冷媒と熱交換した空気で冷蔵室R内が冷却される。
同時に、流路切替手段V15,V45,V25による流路の選択により、冷凍室Fから排出された空気が、流路切替手段V15を介して第4の熱交換器8および第2の熱交換器2を流通し、蒸発器として機能する第4および第2の熱交換器8,2で熱交換して流路切替手段V25を介し冷凍室Fに戻る。この結果、第4および第2の熱交換器8,2で冷媒と熱交換した空気で冷凍室F内が冷却される。
このように、本形態における冷凍・冷蔵・吸着モードにおいては、冷蔵と冷凍とを分離し、それぞれの空気を吸着剤付の第1の熱交換器1および第4の熱交換器8で乾燥させているので、蒸発器として機能する第1の熱交換器1、第4の熱交換器8および第2の熱交換器2における無着霜運転を効率よく実現できる。
本形態における冷蔵・脱着モードでは、膨張弁5,9を全開とし、第1および第4の熱交換器1,8は凝縮器、第2の熱交換器2は蒸発器として機能させる。第3の熱交換器3は単なる冷媒の通路とする。
一方、図25に示すように、空気は、流路切替手段V35,V45による流路の選択により、冷蔵室Rから排出された空気が、流路切替手段V35を介して第2の熱交換器2に至り、ここで熱交換した後、流路切替手段V25,V65を介して冷蔵室Rに戻るように流通させる。この結果、蒸発器として機能している第2の熱交換器2で冷媒と熱交換した空気で冷蔵室R内が冷却される。ここで、凝縮器として機能する第1の熱交換器1および第4の熱交換器8では、これらを流通する冷媒を外気OAと熱交換させる。
この結果、第1および第4の熱交換器1,8の吸着剤に吸着された水分が蒸発して脱着される。
本形態における潤い冷蔵・脱着モードでは、冷蔵・脱着モードと同様に、膨張弁5,9を全開とし、第1および第4の熱交換器1,8は凝縮器、第2の熱交換器2は蒸発器として機能させる。第3の熱交換器3は単なる冷媒の通路とする。
一方、図26に示すように、空気は、流路切替手段V35,V55,V15,V45,V25,V65による流路の選択により、冷蔵室Rから排出された空気が、流路切替手段V35を介して第1の熱交換器1および第4の熱交換器8を流通して第2の熱交換器2で熱交換した後、流路切替手段V25,V65を介して冷蔵室Rに戻るように流通させる。この結果、蒸発器として機能する第2の熱交換器2で冷媒と熱交換した空気で冷蔵室R内が冷却される。
同時に、凝縮器として機能している第1および第4の熱交換器1,8では、流路切替手段V35,V55,V15による流路の選択により、第1および第4の熱交換器1,8を流通する空気により第1および第4の熱交換器1,8の吸着剤に吸着された水分が脱着される。この結果、冷蔵室R内には適度の湿り気を帯びた冷却空気が供給される。また、第2の熱交換器2においては熱交換した空気の水分がドレインとなって排出される。
本形態における各運転モードの切替制御としては、第1〜第4の実施の形態と同様に、1)空気露点とタイマー併用による制御、2)吸着剤の平衡吸着量による制御および3)タイマーによる制御が考えられるが、1)空気露点とタイマー併用による制御、2)吸着剤の平衡吸着量による制御の内容は若干異なる。具体的には下記の通りである。
1) 空気露点とタイマー併用による制御
システムの一部を抽出して制御の概略図を図27(a)〜図27(c)に、制御のフローチャートを図28に示す。両図に示すように、本制御方式では、第1の熱交換器1および第2の熱交換器2のそれぞれの入口側における空気の流路にそれぞれ配設した露点センサーで検出する冷蔵室還気RAおよび冷凍室還気FAの露点DP,DPと、第1の熱交換器1および第2の熱交換器2のそれぞれの出口側における冷媒の流路にそれぞれ配設した冷媒温度センサーで検出する冷媒が蒸発する温度T,Tと、第1の熱交換器1の入口側で冷媒の流路に配設した冷媒温度センサーで検出する冷媒の温度Tとを制御パラメータとしている。ここで、温度Tに対応させて予め冷蔵・脱着モード運転時間Δτdethを決めている。
かくして、DP<TまたはDP<Tのときは、冷凍・冷蔵・吸着モード運転を行う。ここで、(T−DP)<所定の温度差ΔTadth1と、(T−DP)<所定の温度差ΔTadth2との何れか一方の条件が成立した場合、前者では第1の空気流路II−15を閉じて第1の熱交換器1における熱交換を中止させ、後者では第2の空気流路II−25を閉じて第4および第2の熱交換器8,2における熱交換を中止させる。
その後、(T−DP)<ΔTadth1と(T−DP)<ΔTadth2との条件が何れも成立した時点で、冷蔵・脱着モード運転または潤い冷蔵・脱着モードに切り替え、所定の設定時間τdeの間は冷蔵・脱着モード運転または潤い冷蔵・脱着モード運転を行う。最後に、設定時間τdeが所定の運転時間Δτdethとなった時点で冷凍・冷蔵・吸着モード運転に戻し、同様の動作を繰り返す。
2) 吸着剤の平衡吸着量による制御
システムの一部を抽出して制御の概略図を図29(a)〜図29(c)に、制御のフローチャートを図30に示す。両図に示すように、本制御方式では、第1の熱交換器1および第4の熱交換器8のそれぞれの入口側および出口側における空気の流路にそれぞれ配設した各一対の湿度センサーで検出する冷蔵室還気RAおよび冷凍室還気FAの空気湿度(X,X)、(X,X)に基づき制御を行う。
具体的には、X<XまたはX<Xの条件が成立しているときは、冷凍・冷蔵・吸着モード運転を行う。ここで、(X−X)<第1の所定の湿度差ΔXadth1、または(X−X)<第1の所定の湿度差ΔXadth2の何れかの条件が成立した場合、前者では第1の空気流路II−15を閉じて第1の熱交換器1における熱交換を中止させ、後者では第2の空気流路II−25を閉じて第4および第2の熱交換器8,2における熱交換を中止させる。
その後、(X−X)<ΔXadth1と(X−X)<ΔXadth2との条件が何れも成立した時点で、冷蔵・脱着モード運転または潤い冷蔵・脱着モード運転に切り替える。
かくして、X>XまたはX>Xの条件が成立しているときは、冷蔵・脱着モード運転または潤い冷蔵・脱着モード運転を継続させる。ここで、(X−X)<第2の所定の湿度差ΔXdeth1、または(X−X)<第2の所定の湿度差ΔXdeth2の何れかの条件が成立した場合、前者では第1の熱交換器1における外気OAとの熱交換を中止させ、後者では第4の熱交換器8における外気OAとの熱交換を中止させる。
その後、(X−X)<ΔXdeth1および(X−X)<ΔXdeth2となった時点で冷凍・冷蔵・吸着モード運転に戻し、同様の動作を繰り返す。
3) タイマーによる制御
かかるタイマーによる制御は、第1の実施の形態に関連して図15に基づき説明した制御と同様であり、本形態における運転モードの切替え制御としても適用し得る。
<他の実施の形態>
上述の如き第1〜第5の実施の形態では、冷蔵・脱着モードと潤い冷蔵・脱着モードの二種類の脱着モードの運転を行う場合について説明したが、何れか一方のみの脱着モードであっても構わない。冷蔵・脱着モードのみの場合には、第4の空気流路II−4が不要になり、潤い冷蔵・脱着モードのみの場合には、第3の空気流路II−3が不要になる。
また、原理的には、上流側で空気中の水分を吸着して第2の熱交換器に流入する空気を乾燥させることができれば、本願の目的を達成することはできるので、脱着モードを有しない場合を排除するものではない。すなわち、第1および第2の空気流路のみを有する冷凍・冷蔵システムも本願発明の技術思想中に含まれる。
本発明は冷凍・冷蔵システムを製造・販売する産業分野で有効に利用することができる。
I,III 冷媒循環流路
II−11〜II−45 第1〜第4の空気流路
V11〜V65 流路切替手段
1 第1の熱交換器
2 第2の熱交換器
3 第3の熱交換器
4 圧縮機
5,9 膨張弁
6 キャピラリー
7 気液分離器
8 第4の熱交換器

Claims (10)

  1. 吸着剤付の熱交換器である第1の熱交換器、第1の膨脹手段、第2の熱交換器、圧縮機、第3の熱交換器および第2の膨張手段が順次直列に接続され、前記圧縮機から吐出される冷媒を前記第3の熱交換器、前記第1の膨張手段および第2の膨張手段、前記第1の熱交換器および前記第2の熱交換器を介して前記圧縮機に戻るように循環させる冷媒循環流路と、
    前記第1の熱交換器および前記第2の熱交換器を蒸発器として機能させるとともに前記第3の熱交換器を外気と熱交換する凝縮器として機能させる冷凍・冷蔵・吸着モード運転において、冷蔵室から排出された空気を、少なくとも前記第1の熱交換器を流通させて熱交換させ、前記冷蔵室との間で循環させるように構成した第1の空気流路と、
    前記冷凍・冷蔵・吸着モード運転において、前記第1の熱交換器および前記第2の熱交換器で熱交換された空気を冷凍室との間で循環させるように構成した第2の空気流路とを有し、
    前記第1の熱交換器を凝縮器として機能させ、前記第2の熱交換器を蒸発器として機能させるとともに前記第3の熱交換器を単なる冷媒の流路として機能させる潤い冷蔵・脱着モード運転において、
    前記冷蔵室から排出された空気を、前記第1の熱交換器および前記第2の熱交換器を流通させて熱交換させ、前記冷蔵室との間で循環させるように構成した第4の空気流路を有することを特徴とする冷凍・冷蔵システム。
  2. 請求項1に記載する冷凍・冷蔵システムにおいて、
    前記第1の熱交換器を凝縮器として機能させ、前記第2の熱交換器を蒸発器として機能させるとともに前記第3の熱交換器を単なる冷媒の流路として機能させる冷蔵・脱着モード運転において、
    前記冷蔵室から排出された空気を、前記第2の熱交換器を流通させて熱交換させ、前記冷蔵室との間で循環させるように構成した第3の空気流路を有することを特徴する冷凍・冷蔵システム。
  3. 請求項1又は2に記載する冷凍・冷蔵システムにおいて
    前記第1の空気流路は、前記冷蔵室から排出された空気を、前記第1の熱交換器および前記第2の熱交換器を流通させて熱交換させ、前記冷蔵室に戻すように構成されるとともに、
    前記第2の空気流路は、前記冷凍室から排出された空気を、前記第2の熱交換器の入口側で前記第1の空気流路を流通する空気と合流され、前記第2の熱交換器で熱交換させて前記第2の熱交換器の出口側から排出された空気を前記第1の空気流路から分岐させて前記冷凍室に戻すように構成されていることを特徴とする冷凍・冷蔵システム。
  4. 請求項1又は2に記載する冷凍・冷蔵システムにおいて
    前記第1の空気流路は、前記冷蔵室から排出された空気を、前記第1の熱交換器および前記第2の熱交換器を流通させて熱交換させ、前記冷蔵室に戻すように構成されるとともに、
    前記第2の空気流路は、前記冷凍室から排出された空気を、前記第1の熱交換器の入口側で前記第1の空気流路を流通する空気と合流させ、前記第1の熱交換器および前記第2の熱交換器を流通させて熱交換させ、前記第2の熱交換器の出口側で前記第1の空気流路から分岐させて前記冷凍室に戻すように構成されていることを特徴とする冷凍・冷蔵システム。
  5. 請求項1又は2に記載する冷凍・冷蔵システムにおいて
    前記第1および第2の空気流路は、前記冷蔵室から排出された空気を、前記第1の熱交換器および前記第2の熱交換器を流通させて熱交換させ、前記冷凍室に戻すとともに、該冷凍室から排出された空気を前記冷蔵室に供給することで前記冷蔵室、前記第1の熱交換器、前記第2の熱交換器および前記冷凍室を循環させるように構成されていることを特徴とする冷凍・冷蔵システム。
  6. 請求項1又は2に記載する冷凍・冷蔵システムにおいて
    前記第1の空気流路は、前記冷蔵室から排出された空気を、前記第1の熱交換器を流通させて熱交換させ、前記冷蔵室に戻すように構成されるとともに、
    前記第2の空気流路は、前記冷凍室から排出された空気を、前記第1の空気流路を流通する空気と前記第1の熱交換器の入口側で合流させ、前記第1の熱交換器および前記第2の熱交換器を流通させて熱交換させた空気を、前記第2の熱交換器の出口側で前記第1の空気流路から分岐させて前記冷凍室に戻すように構成されていることを特徴とする冷凍・冷蔵システム。
  7. 吸着剤付の熱交換器である第1の熱交換器、吸着剤付の熱交換器である第4の熱交換器、第2の熱交換器、圧縮機、第3の熱交換器および膨張手段が順次直列に接続され、前記圧縮機から吐出される冷媒を前記第3の熱交換器、前記膨張手段、前記第1の熱交換器、前記第4の熱交換器および前記第2の熱交換器を介して前記圧縮機に戻るように循環させる冷媒循環流路と、
    前記第1の熱交換器、第4の熱交換器および第2の熱交換器を蒸発器として機能させるとともに前記第3の熱交換器を外気と熱交換する凝縮器として機能させる冷凍・冷蔵・吸着モード運転において、冷蔵室から排出された空気を、前記第1の熱交換器を流通させて熱交換させ、前記冷蔵室との間で循環させるように構成した第1の空気流路と、
    前記冷凍・冷蔵・吸着モード運転において、冷凍室から排出された空気を、前記第4の熱交換器及び第2の熱交換器を流通させて熱交換させ、前記冷凍室との間で循環させるように構成した第2の空気流路とを有することを特徴とする冷凍・冷蔵システム。
  8. 請求項7に記載する冷凍・冷蔵システムにおいて、
    前記第1の熱交換器の出口側と前記第4の熱交換器の入口側との間、および前記第4の熱交換器の出口側と前記第2の熱交換器の入口側との間にそれぞれ他の膨張手段を設けるとともに、
    前記第1の熱交換器および前記第4の熱交換器を凝縮器として機能させ、前記第2の熱交換器を蒸発器として機能させるとともに前記第3の熱交換器を単なる冷媒の流路として機能させる冷蔵・脱着モード運転において、
    前記冷蔵室から排出された空気を、前記第2の熱交換器を流通させて熱交換させ、前記冷蔵室との間で循環させるように構成した第3の空気流路を有することを特徴とする冷凍・冷蔵システム。
  9. 請求項7または請求項8に記載する冷凍・冷蔵システムにおいて、
    前記第1の熱交換器および第4の熱交換器を凝縮器として機能させ、前記第2の熱交換器を蒸発器として機能させるとともに前記第3の熱交換器を単なる冷媒の流路として機能させる潤い冷蔵・脱着モード運転において、
    前記冷蔵室から排出された空気を、前記第1の熱交換器、前記第4の熱交換器および前記第2の熱交換器を流通させて熱交換させ、前記冷蔵室との間で循環させるように構成した第4の空気流路を有することを特徴する冷凍・冷蔵システム。
  10. 請求項1〜請求項9のいずれか一つに記載する冷凍・冷蔵システムにおいて、
    前記第1の熱交換器と第1の膨張弁との間に気液分離器を配設し、該気液分離器で分離された冷媒のガス成分を前記圧縮機の冷媒吸入口と冷媒吐出口の途中に戻すように構成したことを特徴とする冷凍・冷蔵システム。
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