JP5950206B2 - ナビゲーション装置及びナビゲーションプログラム - Google Patents
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Description
これらのナビゲーション装置で目的地を設定して経路探索を行った際に、自分が通りたいエリアの経路が探索されていない場合、ユーザは経由地点を指定したり、通過道路指定を行うことで、再度経路探索をする必要があった。
しかし、ユーザによっては、経由したい地点や通過したい道路が明確になっているとは限らず、例えば、途中桜を観ながら目的地まで走行したいといった場合があり、このような場合であっても具体的な地点を指定する必要があり煩わしい操作となっていた。
しかし、特許文献1記載技術であっても、特定地点の定義を必ずしなければならず、操作が煩わしかった。
また、定義した特定地点を含む所定エリアを経由する案内ルートについて、具体的にどの様な経路にするのか、また、どの地点(道路)から所定エリアに進入し、どの地点から退出するのかといった具体的な探索方法については開示されていない。
一般には、所定エリアに進入可能な全ての地点を出発地、退出可能な全ての地点(全進入地点と一致する)を目的地とすることで、取り得る全ての経路を探索し、その中から最適な経路を所定エリア内の走行経路とする、ことが考えられる。
しかし、所定エリアを通過する経路として、取り得る全ての経路を探索する場合には膨大な処理が必要となり、探索時間が遅くなったり、装置の処理負担が増加するという問題もある。
(2)請求項2に記載の発明では、前記指定された通過領域の中心点から各道路までの距離が小さいほど小さい係数を乗じることで、前記通過領域内の各道路の道路コストを補正するコスト補正手段を備え、前記経路探索手段は、前記コスト補正手段による補正後の道路コストを用いて、前記各通過領域走行経路コストを求める、ことを特徴とする請求項1に記載のナビゲーション装置を提供する。
(3)請求項3に記載の発明では、前記中心点からの各道路までの距離は、各道路までの最短距離、各道路の始点までの距離と終点までの距離との平均値、各道路における中央点までの距離、各道路の始点までの距離と終点までの距離のうちの短い方の距離、道路を構成する各リンクに対する最短距離、のうちの何れかであることを特徴とする請求項2に記載のナビゲーション装置を提供する。
(4)請求項4に記載の発明では、前記出発地側境界地点から前記目的地側境界地点までの通過領域走行経路の走行距離が大きいほど小さな係数を乗じることで、各通過領域走行経路の通過領域走行経路コストを補正するコスト補正手段を備え、前記経路探索手段は、前記コスト補正手段による補正後の通過領域走行経路コストを用いて、前記各通過領域走行経路コストを求める、ことを特徴とする請求項1に記載のナビゲーション装置を提供する。
(5)請求項5に記載の発明では、前記コスト補正手段は、前記出発地から前記通過領域を通り前記目的地までの走行経路の全走行距離に対する、前記通過領域走行経路の走行距離の値が大きいほど小さな係数を乗じることで、前記通過領域内の各道路の道路コストを補正することを特徴とする請求項4に記載のナビゲーション装置を提供する。
(6)請求項6に記載の発明では、前記通過領域を走行する距離又は時間の閾値を取得する閾値取得手段を備え、前記経路探索手段は、前記各出発地側境界地点から前記各目的地側境界地点までの各通過領域走行経路のうち、走行距離又は走行時間が前記閾値以下となる通過領域走行経路を対象外とする、ことを特徴とする請求項1から請求項5のうちのいずれか1の請求項に記載のナビゲーション装置を提供する。
(7)請求項7に記載の発明では、コンピュータによって読み取られ実行されるナビゲーションプログラムであって、前記コンピュータを、請求項1から請求項6のうちのいずれか1の請求項に記載のナビゲーション装置として機能させることを特徴とするナビゲーションプログラムを提供する。
また、ユーザにとっては、通過を希望する具体的な地点や道路の指定ではなく、大まかな情報としての通過領域を指定するだけでよいので指定操作が容易になる。
(1)実施形態の概要
本実施形態のナビゲーション装置では、ユーザが通過したい場所を、特定の地点や道路で指定するのではなく、領域を指定するだけでその領域を通過する経路探索を行う。
図1は、本実施形態による、領域を通過する走行経路探索の方法について表したものである。
図1に表したように、ユーザは、出発地Sと目的地Gを指定すると共に、画面表示された地図上で通過領域Aを指定する。この通過領域Aは、画面上で2点を指定することで、指定された2点間を半径とする円形領域として指定されるが、2点間を直径とする円形領域や、2点間を対角線とする方形領域として指定するようにしてもよい。また、予め規定されている領域(例えば、花見ができる地域を規定した領域)の領域名を指定することで通過領域が指定されるようにしてもよい。
そこで、本実施形態では、図1に示すように、指定された通過領域Aの全境界地点のうち、出発地側境界地点s1〜s3と、目的地側境界地点g1〜g4を決定し、出発地Sから各出発地側境界地点s1〜s3までの3経路(目的地側走行経路)、各出発地側境界地点s1〜s3から各目的地側境界地点g1〜g4までの12経路(通過領域走行経路)、及び、各目的地側境界地点g1〜g4から目的地までの4経路(目的地側走行経路)の合計19回の経路探索を行うことで、効率良く経路探索を行うことができる。
そして、ナビゲーション装置では、3つの目的地側走行経路と、12の通過領域走行経路、及び、4つの目的地側走行経路の各組み合わせのうち、合計コストが最小となる組を、出発地Sから通過領域Aを通り目的地Gに至る走行経路とする。
図1に示すように、設定された出発地Sから通過領域Aに対して2本の接線を引き、両接線に挟まれている出発地S側の通過領域Aの境界線上にある境界地点を、出発地側境界地点s1〜s3とする。
同様に、目的地Gから通過領域Aに対して引いた2本の接線に挟まれている、目的地G側の通過領域Aの境界線上にある境界地点を目的地側境界地点g1〜g4とする。
図2は本実施形態が適用されるナビゲーション装置の構成図である。
ナビゲーション装置は、図2に示すように、現在位置検出装置10、情報処理制御装置20、入出力装置40及び情報記憶装置50とを備えている。
現在位置検出装置10は、方位センサ12、距離センサ13、GPS受信装置14を備え、それぞれ以下のように構成されている。
方位センサ12は、基準角度(絶対方位)に対して、相対的に変化した角度を検出する手段であり、本実施形態では、角速度を利用して角度の変化を検出するジャイロセンサを使用している。なお、ハンドルの回転部に取り付けた光学的な回転センサや回転型の抵抗ボリューム或いは車輪部に取り付ける角度センサでもよい。また、方位センサ12として、例えば、磁石に基づいてN方向の検出から、車両がいずれの方向に位置するかを検出する地磁気センサであり、絶対方位を検出する手段であってもよい。
GPS(グローバル・ポジショニング・システム)受信装置14は、人工衛星からの信号を受信する装置であり、信号の発信時刻、受信装置の位置情報、受信装置の移動速度、受信装置の進行方向など様々な情報を得ることができる。
中央処理装置(CPU)21は、ナビゲーション装置全体の総括的な演算及び制御を行う。
ROM22は、目的地までの経路の探索、表示案内や音声案内等のナビゲーションに関するプログラムや、本実施形態による通過領域指定探索処理プログラム等の各種プログラムを格納している。
センサ入力インターフェイス23は、現在位置検出装置10からの情報を受け取る手段である。
例えば、入力された出発地S、目的地G、通過領域A、通過領域Aの境界上に位置する出発地側境界地点sと目的地側境界地点g、これら各地点S、s、g、G間について算出した走行経路のコスト、各出発地Sから通過領域Aを通り目的地Gまで探索した各走行経路についての総走行経路コスト、最小走行経路コスト、等がRAM24に記憶される。
時計28は、例えば、水晶振動子などを用いて構成されており、時刻を刻んだり、発振によってナビゲーション装置の各部の動作タイミングを提供したりする。
その他、CPU21で処理されたベクトル情報を画像情報に処理するための画像処理専用の画像プロセッサ、画像プロセッサで処理された画像情報を格納する画像メモリ、情報記憶装置50から読み込まれた音声情報を処理しスピーカ43に出力する音声処理専用の音声プロセッサを配設するようにしてもよい。
入力装置41は、例えば、タッチパネル、タッチスイッチ、ジョイスティック、キースイッチ等で構成される。入力装置41のユーザ操作により出発地Sや目的地Gが入力されたり、通過領域Aが指定されたりする。
ディスプレイ42には、現在地周辺の地図や、目的地までの走行経路が表示される。
情報記憶装置50は、地図データファイル51、その他のデータファイル52(例えば、走行経路を音声により案内する場合の音声データ等)を格納している。
この情報記憶装置50は、一般的には、光学的記憶媒体であるDVD−ROM、CD−ROMや磁気的記憶媒体であるハードディスクなどで構成されるが、光磁気ディスク、各種半導体メモリなどの各種情報記憶媒体で構成してもよい。
なお、書き換えが必要な情報については、書き換え可能なハードディスク、フラッシュメモリなどで構成し、その他の固定的な情報についてはCD−ROM、DVD−ROMなどのROMを使用するようにしてもよい。
地図データとしては、全国道路地図、各地域の道路地図または住宅地図等が記憶されている。道路地図は、主要幹線道路、高速道路、細街路等の各道路と地上目標物(施設等)から構成される。住宅地図は、地上建造物等の外形を表す図形及び、道路名称等が表示される市街図である。細街路とは、例えば、国道、県道以下の道幅が所定値以下の比較的狭い道路である。
地図データは、車両現在位置やユーザに指定された地点を含む、所定縮尺による一定範囲の地図がディスプレイ42に表示される。この地図上には、車両の現在位置や指定された地点が表示される。
道路データは、各道路の位置と種類及び車線数及び各道路間の接続関係等の道路に関するデータで、ノード情報とリンク情報で構成される。この道路データは、経路探索やマップマッチングに使用されると共に、探索した走行経路を地図データ上に重ねて表示する場合にも使用される。
この見どころ領域指定マップには、後述する図4(c)に示されるように、桜、梅、菖蒲等の自然を鑑賞することが可能な、自然領域、寺社や城下町等の建造物を観察することが可能な建造物領域等の、当該領域を車両で走行することにより特定の自然や建造物などを観察することができる、各種見どころ領域について規定されている。
見どころ領域指定マップは、各見どころをユーザが指定する際に画面表示される見どころの「名称」と共に、各見どころ領域の境界を規定する座標値が保存される。
なお、ユーザが通過領域Aとして見どころ領域を指定する場合には、地域やカテゴリから順次絞り込みながら検索する場合のほか、入力された出発地Sと目的地Gを結ぶ直線距離から所定距離Nkm以内に存在する「見どころ領域」を抽出、表示することで、ユーザが選択するようにしてもよい。
図3は、通過領域指定探索処理の内容を表したフローチャートである。
ナビゲーション装置のCPU21は、出発地S、目的地G、通過領域Aを取得する(ステップ11)。
出発地Sと目的地Gは、ユーザが入力装置41から入力した出発地S、目的地Gを取得する。但し、ユーザ入力が現在値を指定した場合、又は、出発地Sの入力がない場合、CPU21は、現在位置検出装置10で検出した車両の現在位置を出発地Sとして取得する。
一方、通過領域Aは、ユーザがディスプレイ42に表示されている地図、又は見どころ領域指定マップを見ながら指定した領域を通過領域Aとして取得する。
本実施形態では、図4(a)に示す方法によるが、(a)の方法に変えて(b)、(c)の方法とすることも可能であり、またいずれか2つ、又は3つの方法、更に他の方法を含めた中からユーザが指定方法を選択した上で通過領域Aを指定するようにしてもよい。
図4(a)の通過領域Aの指定方法では、ユーザが指で入力装置41の画面上の2点を指定し、CPU21は、最初に指定された点を中心とし、次に指定した点を通る円形領域を通過領域Aとして取得する。
なお、この方法では、ユーザが指定した2点間を半径とする円形領域が取得されるが、ユーザが指定した2点を通り、両点間の距離を直径とする円形領域を通過領域Aとして取得するようにしてもよい。また指定された2点を焦点とする楕円を通過領域Aとして取得するようにしてもよい。
その他、ユーザが3点以上の点を指定し、CPU21は、指定された各点を指定順に結ぶことで通過領域Aを取得するようにしてもよい。また複数の点を指定するのではなく、ユーザが画面を指定したまま画面上を移動させることで囲んだ任意の閉領域を通過領域Aとして取得するようにしてもよい。
そしてCPU21は、表示した見どころリストからユーザによって最終的に選択された見どころに対応する領域データを地図データファイル51から読み取ることで、通過領域Aを取得する。
すなわち、CPU21は、図1に示すように、出発地Sと目的地Gの両地点から、通過領域Aを挟むように、それぞれ2本ずつの接線を引く。
なお、この接線は仮想の接線であり、出発地S、目的地Gを通るそれぞれ2本の直線が通過領域Aと接する点(合計4接点)を求める処理であってもよい。
いずれの場合であっても当該処理は内部処理として行われ、仮想の接線や接点はディスプレイ42には表示されない。
すなわち、CPU21は、図1に示すように、指定された通過領域Aの全境界地点のうち、出発地Sを通る2本の接線に挟まれた出発地S側の出発地側境界地点s(図1の例ではs1〜s3)を抽出すると共に、目的地Gを通る2本の接線に挟まれた目的地G側の目的地側境界地点g(図1の例ではg1〜g4)を抽出する。
すなわち、図1の例では、CPU21は、出発地Sから出発地側境界地点s1〜s3の3地点をそれぞれ仮目的地とする走行経路探索を行い、出発地Sから出発地側境界地点s1〜s3までの3つの出発地側走行経路と、各々の出発地側走行経路コストを、RAM24に保存する。
すなわち、図1の例では、CPU21は、出発地側境界地点s1〜s3の3地点をそれぞれ仮出発地とし、各目的地側境界地点g1〜g4をそれぞれ仮目的地とする走行経路探索を行い、12の通過領域走行経路と、各々の通過領域走行経路コストを、RAM24に保存する。
すなわち、図1の例では、CPU21は、目的地側境界地点g1〜s4の4地点をそれぞれ仮出発地とし、目的地Gまでの走行経路探索を行い、4つの目的地側走行経路と、各々の目的地側走行経路コストを、RAM24に保存する。
なお、以上のステップ14〜16の各走行経路探索については、何れの順番で行うようにしてもよく、また並列処理によることも可能である。
そして、CPU21は、ステップ18〜ステップ18−2による出発地側境界地点数のループと、当該ループ内でのステップ19〜ステップ19−2による目的地側境界地点数のループとにより、ステップ20〜ステップ23の処理を行う。
これにより、出発地S、出発地側境界地点s1〜s3、目的地側境界地点g1〜g4、及び目的地Gの各地点間に対して算出した走行経路コストから、各出発地Sから通過領域Aを通り目的地Gまでの各走行経路に対する総走行経路コストの最小値を求める。
図5に示すように、No1〜12は、出発地Sから通過領域Aを通り目的地Gまでの各走行経路であり、各地点間の走行経路コストと、その合計値である総走行経路コストが表わされている。通過領域Aに対する出発地側境界地点s1〜s3、目的地側境界地点g1〜g4については、図1の例に従っている。
そして、CPU21は、当該ループにおいて選択した走行経路に対する、総走行経路コスト=出発地側走行経路コスト+通過領域走行経路コスト+目的地側走行経路コストを算出する(ステップ20)。
すなわち、走行経路1の場合、出発地側走行経路コスト=300、通過領域走行経路コスト=250、目的地側走行経路コスト=400から、総走行経路コスト=950が算出される。
総走行経路コストが最小走行経路コスト未満であれば(ステップ22;Y)、RAM24の最小走行経路コストを、ステップ20で算出した総走行経路コストに更新する(ステップ23)。
なお、ステップ17の初期化の際に設定する初期値として、想定しうる最大のコストよりも大きな値を設定しておくことで、ステップ20で算出した最初の走行経路1に対する総走行経路コストは、常に初期値未満となるので、ステップ21を省略するようにしてもよい。
例えば、北海道最北端の「宗谷岬」を出発地とし、最東端の「納沙布岬」を経由して、九州最南端の「佐多岬」を目的地とする、高速道路を使用しない走行経路の総走行経路コストをMとした場合、2Mを初期値として設定する。
次のループにおいてCPU21は、走行経路2の総走行経路コスト900が、当該ループでの最小走行経路コスト950未満なので(ステップ22;Y)、最小走行経路コストを900に更新する。
次の走行経路3でも同様に、CPU21は、総走行経路コスト880が、当該ループでの最小走行経路コスト900未満なので(ステップ22;Y)、最小走行経路コストを880に更新する。
そして、CPU21は、次の走行経路4の総走行経路コスト1100は、当該ループでの最小走行経路コスト880以上なので(ステップ22;N)、更新することなく次のループに移行する。
そして、CPU21は、全ループが完了した時点でRAM24に保存されている最小走行経路コストに対応する走行経路を、取得した出発地Sから通過領域Aを通過して目的地Gに至るまでの走行経路に決定し(ステップ24)、メインルーチンにリターンする。
なお、図5の例では、最小走行経路コスト880に対応する走行経路3、すなわち、図1の出発地Sから出発地側境界地点s1と目的地側境界地点g3を通り目的地Gに至る走行経路に決定される。
また、ナビゲーション装置は、指定された通過領域Aの境界線上に位置する全ての境界地点を領域の進入地点、退出地点として走行経路を探索をするのではなく、全境界地点のうち出発地Sに面した側の境界地点、目的地Gに面した側の境界地点に限定することで、走行経路探索の回数を少なくし、処理負担を軽減することができる。
例えば、説明した実施形態では、ステップ15で実施した、各出発地側境界地点sから各目的地側境界地点gまでの全ての通過領域走行経路を対象として、ステップ20の総走行経路コストを算出する場合について説明した。
これに対して、各出発地側境界地点sから各目的地側境界地点gまでの全ての通過領域走行経路のうち、通過領域走行経路コストが所定の閾値以下となる通過領域走行経路を総走行経路コストの算出対象外としてもよい。
これは、総走行経路コストが最小となる走行経路を決定するにあたり、通過領域走行経路の距離が短いと、通過領域走行経路コストも小さくなり、結果として最小の総走行経路コストとなる可能性が高くなる。
例えば図4(b)のように方形の通過領域が指定された場合に、1の頂点を挟む両辺の頂点近くにそれぞれ出発地側境界地点sと目的地側境界地点gが存在する場合が該当する。
しかし、このような場合にはユーザが指定した通過領域Aを通過はしているが、必ずしもユーザが短い距離の通過を望んでいない可能性も高いと考えられる。
そこで、指定された通過領域A内を走行する距離(通過領域走行経路の距離)が所定の閾値以下となる通過領域走行経路を対象外とするものである。
さらに、ユーザの設定ではなく、ナビゲーション装置が自動的に閾値を選択するようにしてもよい。例えば、ユーザによる2点の指定により通過領域Aを取得した場合、CPU21は、指定された2点間の距離Lを基準として、例えば、L/2等の値を閾値を決定する。
これに対して、ナビゲーションセンタ等のサーバ装置において、図3で説明した通過領域指定探索処理を実行するようにしてもよい。
この場合サーバ装置では、車載ナビゲーション装置や上記ナビゲーション機能を備えた端末装置から受信することで、出発地S(現在位置を出発地とする場合には端末装置で求めた現在位置)、通過領域A、目的地Gを取得する。
この第2、第3実施形態では、通過領域Aの端をかすめるだけの通過領域走行経路ではなく、通過領域A内では適切な距離を走行する経路が選択されるようにするため、通過領域A内の各道路や、通過領域走行経路に対するコストを補正するものである。
なお、この第2実施形態、第3実施形態におけるナビゲーション装置の構成は、図2で説明した第1実施形態と同様である。
なお、図6に示した、出発地側境界地点s1〜s3、目的地側境界地点g1〜g5については、第1実施形態と同様にして決定されるものとする。
また、図6以降の説明では通過領域Aとして円が指定された場合について表しているが、第1実施形態と同様に方形領域や予め規定されている領域名の指定をすることも可能であり、その指定方法も第1実施形態と同様である。
図6からも理解されるように、通過領域走行経路として出発地側境界地点s1から目的地側境界地点g1の通過領域走行経路は、他の通過領域走行経路の距離よりもかなり短い。
このため図7に示されるように、出発地側境界地点s1から目的地側境界地点g1を通るNo1の通過領域走行経路コストは300であり、他の通過領域走行経路コストが600〜1250であるのに比べてかなり小さいため、総走行経路コストが1600で最小値となる。
その結果、図6に示されるような領域Aが指定された場合には、最小総走行経路コスト1600に対応する走行経路1、すなわち、図6の出発地Sから出発地側境界地点s1と目的地側境界地点g1を通り目的地Gに至る走行経路が決定されてしまうことになる。
図8は、通過領域A内に存在する各補正単位となる道路の道路番号と、各道路のコスト及び中心から各道路までの距離、及び補正後の道路コストを表したものである。
図8(a)に示されるように、補正単位となる各道路は、通過領域内に存在する各交差点間の道路、及び交差点から出発地側境界地点sまでの道路、及び交差点から目的地側境界地点gまでの道路が対象となる。図8(図6)の例では、道路R1〜R13の各々が補正対象となる。
図8(b)に示す道路コストは、本実施形態では第1実施形態でコストを算出している場合と同様に、道路の距離を道路コストとして使用しているが、道路の途中や始点、終点に信号機が存在する場合に信号機コストを加算する等の修正をする場合には同様にして算出した道路コストを使用する。
(a)中心Pから、当該道路の始点までの距離と終点までの距離との平均値
(b)中心Pから、当該道路における中央点までの距離
(c)中心Pから、当該道路の始点までの距離と終点までの距離のうちの短い方の距離
(d)中心Pから、当該道路を構成する各リンクに対する最短距離
K=k×(L1/L2)…式1
ここで、kは補正前の道路コスト、L1は中心Pから当該道路までの距離である。
またL2は、通過領域Aの大きさにより決まる基準距離で、中心Pから通過領域Aまでの距離の最大値である。
なお、基準距離L2は図8のように通過領域Aの形状が円である場合にはその半径であり、図4(b)のように方形である場合には中心Pから頂点までの距離である。
例えば、中心Pからの距離が大きい道路R1の場合、補正前の道路コストk=300に対し、中心Pからの距離L1=400なので、K=300×(400/500)=240となる。
一方、中心Pからの距離が小さい道路R5の場合、k=300、L1=30なので、K=300×(30/500)=18となる。
このように、道路R1とR5は共にその距離が300mで道路コストが300と同じ値であるが、中心Pから離れている道路R1は補正後の道路コストが240であるのに対し、中心Pに近い道路R5は補正後の道路コストが18とかなり小さな値となる。これにより、中心Pに近い道路の道路コストがより小さな値となることで、中心Pの近くを通る道路が選択されやすくなる。
図9(a)に示すように、道路コストの補正を行わない場合(図7と同じ)には、総走行経路コストが1600と最も小さい走行経路1、すなわち、図8の出発地Sから出発地側境界地点s1と目的地側境界地点g1を通り目的地Gに至る経路が走行経路に決定される。
この出発地側境界地点s1と目的地側境界地点g1を通る通過領域走行経路は、通過領域Aを走行する距離が300mと短いため好ましくない、走行経路の決定となっている。
一方、補正しない場合の総走行経路コストが最小値であった走行経路1は、補正した新道路コストを反映させることで、総走行経路コストが8番目の1540となっている。
この第3実施形態では、出発地側境界地点sから目的地側境界地点gまでの通過領域走行経路の走行距離が大きいほど小さな補正係数γを乗じる補正を行うことで、通過領域A内の走行距離が適度な大きさの通過領域走行経路が決定されやすくするものである。
具体的には、出発地Sから目的地Gまでの全走行距離をL3、通過領域走行経路の走行距離をL4、通過領域走行経路以外の距離をL5とした場合、補正係数γ=L5/L3とする。
ここでL5=L3−L4であるから、補正係数γ=L5/L3=(L3−L4)/L3となる。すなわち、補正係数γは、通過領域走行経路の走行距離L4が大きいほど小さな値となる。
C2=C1×(L4−L3)/L3…式2
なお、図10では、図6、図8で表した通過領域Aの走行経路を対象として算出している。
図10において、例えば、通過領域走行経路1の場合、通過領域走行経路コストC1=300、通過領域走行経路の距離=300、全体距離=1600である。
補正後の通過領域走行経路コスト(新コスト)C2は、式2から次の通りである。
C2=300×(1600−300)/1600=244
C2=1250×(2450−1250)/2450=244
図10(a)に示すように、道路コストを補正を行わない場合(図7、図9(a)と同じ)には、総走行経路コストが1600と最も小さい走行経路1、すなわち、図8の出発地Sから出発地側境界地点s1と目的地側境界地点g1を通り目的地Gに至る経路が走行経路に決定される。
これに対して図10(b)に示されるように、図10(a)で示す補正係数γによる補正後の各通過領域走行経路コストを使用した場合、総走行経路コストの最小値は、出発地側境界地点s2と目的地側境界地点g4を通る走行経路4(総走行経路コスト1535)となり、走行経路4が決定される。
一方、補正しない場合の総走行経路コストが最小値であった走行経路1は、補正した新道路コストを反映させることで、総走行経路コストが2番目の1544となっている。
このため、第3実施形態によれば、適度な距離を走行する通過領域走行経路が選択されやすくなり、ユーザが設定した通過領域Aを適切距離だけ走行する走行経路を選択することができる。
ステップ20において、CPU21は、各ループで選択した走行経路に対する、総走行経路コスト=出発地側走行経路コスト+補正後の通過領域走行経路コスト+目的地側走行経路コストを算出する。
すなわち、第2実施形態の場合には、図8(b)に示すように数式(1)で補正した各道路コストKを用いて補正した補正後の通過領域走行経路コストを使用して総走行経路コストが算出される(図9(b)参照)。
また大3実施形態の場合には、数式2で補正した後の通過領域走行経路コストC2を使用して、総走行経路コストが算出される(図11(b)参照)。
第2実施形態、第3実施形態に対しては、第1実施形態で説明した各種変形例を適用するようにしてもよい。
例えば、各出発地側境界地点sから各目的地側境界地点gまでの全ての通過領域走行経路のうち、通過領域走行経路コストが所定の閾値以下となる通過領域走行経路を総走行経路コストの算出対象外とし、閾値を越える通過領域走行経路に対して通過領域走行経路コストの補正と、総走行経路コストの算出を行い、最小走行経路コストの決定を行うようにしてもよい。
20 情報処理制御装置
21 CPU
40 入出力装置
50 情報記憶装置
Claims (7)
- 出発地と目的地を取得する地点取得手段と、
通過領域の指定を受け付ける通過領域指定手段と、
前記指定された通過領域における、前記出発地側の出発地側境界地点と前記目的地側の目的地側境界地点を特定する特定手段と、
前記出発地から前記通過領域を通り前記目的地までの走行経路として、前記出発地から前記出発地側境界地点までの出発地側走行経路と、前記出発地側境界地点から前記目的地側境界地点までの通過領域走行経路と、前記目的地側境界地点から前記目的地までの目的地側走行経路とを探索する経路探索手段と、を備え、
前記特定手段は、前記取得した目的地から前記通過領域に対して2本の接線を引いた場合に、当該2本の接線で挟まれる、前記出発地側の前記通過領域の境界上に前記出発地側境界地点を、前記通過領域を通過する道路に対応して複数特定し、前記取得した出発地から前記通過領域に対して2本の接線を引いた場合に、当該2本の接線で挟まれる、前記目的地側の前記通過領域の境界上に前記目的地側境界地点を、前記通過領域を通過する道路に対応して複数特定し、
前記経路探索手段は、前記出発地から前記各出発地側境界地点までの各出発地側走行経路コストと、前記各出発地側境界地点から前記各目的地側境界地点までの各通過領域走行経路コストと、前記各目的地側境界地点から前記目的地までの目的地側走行経路コスト、を求め、出発地側走行経路と通過領域走行経路と目的地側走行経路の組合せのうち、合計コストが最小となる組を走行経路とする、
ことを特徴とするナビゲーション装置。 - 前記指定された通過領域の中心点から各道路までの距離が小さいほど小さい係数を乗じることで、前記通過領域内の各道路の道路コストを補正するコスト補正手段を備え、
前記経路探索手段は、前記コスト補正手段による補正後の道路コストを用いて、前記各通過領域走行経路コストを求める、
ことを特徴とする請求項1に記載のナビゲーション装置。 - 前記中心点からの各道路までの距離は、各道路までの最短距離、各道路の始点までの距離と終点までの距離との平均値、各道路における中央点までの距離、各道路の始点までの距離と終点までの距離のうちの短い方の距離、道路を構成する各リンクに対する最短距離、のうちの何れかであることを特徴とする請求項2に記載のナビゲーション装置。
- 前記出発地側境界地点から前記目的地側境界地点までの通過領域走行経路の走行距離が大きいほど小さな係数を乗じることで、各通過領域走行経路の通過領域走行経路コストを補正するコスト補正手段を備え、
前記経路探索手段は、前記コスト補正手段による補正後の通過領域走行経路コストを用いて、前記各通過領域走行経路コストを求める、
ことを特徴とする請求項1に記載のナビゲーション装置。 - 前記コスト補正手段は、前記出発地から前記通過領域を通り前記目的地までの走行経路の全走行距離に対する、前記通過領域走行経路の走行距離の値が大きいほど小さな係数を乗じることで、前記通過領域内の各道路の道路コストを補正する
ことを特徴とする請求項4に記載のナビゲーション装置。 - 前記通過領域を走行する距離又は時間の閾値を取得する閾値取得手段を備え、
前記経路探索手段は、前記各出発地側境界地点から前記各目的地側境界地点までの各通過領域走行経路のうち、走行距離又は走行時間が前記閾値以下となる通過領域走行経路を対象外とする、ことを特徴とする請求項1から請求項5のうちのいずれか1の請求項に記載のナビゲーション装置。 - コンピュータによって読み取られ実行されるナビゲーションプログラムであって、
前記コンピュータを、請求項1から請求項6のうちのいずれか1の請求項に記載のナビゲーション装置として機能させることを特徴とするナビゲーションプログラム。
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