JP5949564B2 - シールドパイプ一体型コネクタ - Google Patents

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本発明は、シールドパイプと一体化されたシールドシェルを備えたシールドコネクタに関する。
従来、シールドパイプに接続されたシールドコネクタとして、例えば、下記特許文献1に記載のものが知られている。このシールドコネクタは、シールドシェルとシールドパイプが編組線を介して接続され、この編組線は、第1および第2の接続リングによって夫々シールドシェルとシールドパイプにかしめられている。シールドパイプの内部には電線が配設されており、この電線は、シールドパイプの端部から編組線の内部を通ってシールドコネクタに接続されている。シールドパイプは、電線を保護する保護機能と、この電線から発生するノイズを遮断するシールド機能の2つを兼ね備えている。また、下記特許文献2のシールドコネクタは、シールドシェルに対して編組線をかしめリングによって装着した後、ゴムブーツによって編組線が覆われたものとなっている。このゴムブーツは、主に編組線の保護と、防水機能を目的として装着されている。
特開2010−40396号公報 特開2006−313698号公報
しかしながら、上記の構成では、編組線をシールドパイプやシールドシェルに接続するための圧着部品が必要であり、かつ接続作業が煩雑である。また、編組線を保護するためのゴムブーツが必要になるため、更に部品点数が増加することになる。したがって、生産性等を考慮すると、編組線をなくして部品点数を削減し、煩雑な接続作業をなくすことが切望されていた。
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、編組線をなくして部品点数を削減し、煩雑な接続作業をなくすことを目的とする。
本発明のシールドパイプ一体型コネクタは、金属製のシールドパイプと、前端位置において開口する前端開口縁部と後端位置において開口する後端開口縁部とを有し、後端開口縁部をシールドパイプの前端開口部に継ぎ目無く連続する形態で一体化させたシールドシェルと、このシールドシェルに覆われた樹脂製のハウジングと、このハウジングに固定された端子と、この端子に接続された電線とを備え、シールドシェルの前端開口縁部には、取付フランジが周設され、シールドシェルは、取付フランジを除く全体がハウジングに埋設された状態とされている構成としたところに特徴を有する。
このような構成によると、シールドパイプの開口部をプレス加工することによってシールドシェルを形成したから、シールドシェルとシールドパイプが一体化され、編組線を使用しなくてもシールドシェルとシールドパイプを接続することができる。このため、従来のように、編組線を接続する接続リング等を使用しなくてもよい。したがって、編組線をなくして部品点数を削減し、煩雑な接続作業をなくすことができる。
本発明の実施の態様として、以下の構成が好ましい。
ハウジングは、シールドパイプの内部空間をシール状態に保持するシール部を備え、このシール部には、電線をシール状態で挿通させる電線挿通孔が形成されている構成としてもよい。
このような構成によると、シール部の電線挿通孔に電線を挿通させつつシールドパイプの内部空間をシール状態に保持することができる。加えて、従来必要としていたゴムブーツを使用しなくてもよい。
ハウジングは、端子および電線と一体成形されている構成としてもよい。
このような構成によると、シールドシェルの内部空間に流し込まれた樹脂が、シールドパイプの内部空間に漏れ出さないように樹脂流れを防止する部材(例えば仕切壁)としてシール部を利用することができる。
シール部は、シールドパイプの内周面との間を止水する第1シールリングと、電線の外周面との間を止水する第2シールリングとを備えている構成としてもよい。
このような構成によると、第1シールリングによってシール部とシールドパイプの内周面との間を止水することができ、第2シールリングによってシール部と電線の外周面との間を止水することができる。
のような構成によると、シールドパイプとシールドシェルを継ぎ目無く連続して形成することができ、もってシールド性能を向上させることができる。
本発明によれば、編組線をなくして部品点数を削減し、煩雑な接続作業をなくすことができる。
シールドパイプ一体型コネクタを斜め前方から見た斜視図 シールドパイプ一体型コネクタを斜め後方から見た斜視図 シールドパイプ一体型コネクタの平面図 図3におけるA−A線断面図 シールドパイプ一体型コネクタの側面図 図5におけるB−B線断面図 シールド一体型コネクタの正面図 シールド一体型コネクタの背面図 仕切壁をシールドパイプの前端開口部に組み付ける前の状態を斜め前方から見た斜視図 仕切壁をシールドパイプの前端開口部に組み付ける前の状態を斜め後方から見た斜視図 仕切壁をシールドパイプの前端開口部に組み付ける前の状態であって図6に対応する断面図 仕切壁をシールドパイプの前端開口部に組み付ける前の状態であって図4に対応する断面図 仕切壁をシールドパイプの前端開口部に組み付けた後の状態を斜め後方から見た斜視図 仕切壁をシールドパイプの前端開口部に組み付けた後の状態であって図6に対応する断面図 仕切壁をシールドパイプの前端開口部に組み付けた後の状態であって図4に対応する断面図
<実施形態>
本発明の実施形態を図1ないし図15の図面を参照しながら説明する。本実施形態におけるシールドパイプ一体型コネクタは、図1に示すように、ハウジング10と、このハウジング10にインサート成形された端子付き電線30と、ハウジング10を覆うシールドシェル50と、このシールドシェル50と一体に形成されたシールドパイプ60とを備えて構成されている。なお、以下において前後方向とは、図3における上下方向を基準とし、図示下側を前側として説明する。
ハウジング10は合成樹脂製であって、図1および図4に示すように、横長の長円の断面を有して前後方向に延びるブロック状とされている。このハウジング10のうちシールドシェル50の前面開口から前方に突出した部分の外周面には、シールリング11が嵌着されている。ハウジング10には、図示3本の端子付き電線30が横方向に並んでインサート成形されている。
端子付き電線30は、図4に示すように、端子31と、この端子31に接続された電線32とからなる。端子31は、平板状をなして端子台(図示せず)にボルト締結される端子接続部33と、この端子接続部33の後方に連なって形成され、電線32の芯線に接続された電線接続部34とを備えて構成されている。ハウジング10の内部には、電線接続部34の全域とこれに接続された電線32の端末部が埋設されている。これにより、端子付き電線30がハウジング10に保持されている。
シールドシェル50はアルミニウム等の導電性金属からなり、円筒形状をなすシールドパイプ60の前端開口部61に絞り加工(プレス加工の一例)を施して拡開することによって形成されている。つまり、シールドシェル50は、アルミニウム等の導電性金属からなるシールドパイプ60の一部を絞り加工することによって形成したものであって、シールドパイプ60の前端開口部61に継ぎ目無く連続する形態で一体化させたものである。したがって、編組線を用いてシールドシェルとシールドパイプをシールド接続するよりも格段にシールド性能を向上させることができる。
シールドシェル50の開口縁部には、取付フランジ51が周設されている。この取付フランジ51は、シールドシェル50の開口縁部から径方向外側に張り出す形態をなしている。取付フランジ51の左右両側には、一対のボルト孔52が形成されている。このボルト孔52に取付ボルト(図示せず)を挿通して機器のケース(図示せず)に締結することによってシールドシェル50がケースに固定される。これに伴って、ハウジング10のうち取付フランジ51よりも前方に突出した部分が、機器のケースに設けられた取付孔(図示せず)に嵌合し、シールリング11によって機器のケース内が液密状にシールされる。
図6に示すように、シールドパイプ60の前端開口部61の内周には、仕切壁20が装着されている。この仕切壁20は合成樹脂製であって、本発明でいうシール部に相当する。仕切壁20は、シールドパイプ60の内部に嵌合可能な円形の板状とされている。仕切壁20には、電線32を前後方向に挿通させる電線挿通孔21が形成されている。この電線挿通孔21は、3本の電線32に対応して3箇所設けられている。
仕切壁20の外周面には、第1シールリング22が嵌着される嵌着溝が形成されている。仕切壁20をシールドパイプ60の前端開口部61に装着した状態では、第1シールリング22が仕切壁20の外周面の嵌着溝とシールドパイプ60の内周面との間で全周に亘って挟持されることで、仕切壁20の外周面とシールドパイプ60の内周面との間が止水される。
また、仕切壁20における電線挿通孔21の前端部には、第2シールリング23が嵌着される嵌着孔が電線挿通孔21よりも一回り大きめに形成されている。第1シールリング22の場合と同様に、仕切壁20をシールドパイプ60の前端開口部61に装着した状態では、第2シールリング23が電線挿通孔21の嵌着孔と電線32の外周面との間で全周に亘って挟持されることで、電線挿通孔21の嵌着孔の内周面と電線32の外周面との間が止水される。
図13に示すように、シールドシェル50の後壁53には、シールドパイプ60の前端開口部61が連続しており、この連続部分には、係止孔54が開口されている。この係止孔54は、シールドシェル50の後壁53からシールドパイプ60に亘って略L字状に切り欠かれることで形成されている。すなわち、係止孔54は、シールドシェル50の後壁53では前後方向に貫通し、シールドパイプ60の前端開口部61では左右方向に貫通する形態をなしている。係止孔54は、シールドパイプ60の左右両側にそれぞれ設けられている。
左右一対の係止孔54には、仕切壁20の左右両側に形成された一対の係止突起24がそれぞれ嵌まり込んでいる。各係止突起24は、図14に示すように、仕切壁20の外周面における前端側にそれぞれ配され、図9に示すように、左右両側に突出して設けられている。再び図14に戻って、係止突起24は、係止孔54の後縁(左右方向に貫通する部分)に前方から係止している。これにより、仕切壁20は、シールドパイプ60の前端開口部61において後方に抜け止めされた状態に保持される。このとき、仕切壁20の前面は、シールドシェル50の後壁53よりもやや後方に位置している。
図4および図6に示すように、ハウジング10は、シールドシェル50の内部に樹脂を流し込むことによって形成されている。このとき、樹脂は、仕切壁20によってシールドパイプ60の内部に流出することが防止されている。ハウジング10の後面12は、仕切壁20の前面と面一をなすように配されている。これにより、ハウジング10の後面12が仕切壁20の前面に前方から係止するため、仕切壁20の前方への移動が防止される。
また、ハウジング10の後面12は、シールドシェル50の後壁53のやや後方、すなわちシールドシェル50の後壁53の外周側に位置している。同様に、ハウジング10の周面13は、シールドシェル50の周壁55の外周側に位置している。このため、シールドシェル50は、取付フランジ51を除く全体が樹脂に埋設された状態となっている。したがって、図2に示すように、ハウジング10の周面13には、シールドシェル50の取付フランジ51のみが露出した状態となり、ハウジング10の後面12には、係止突起24とシールドパイプ60の双方が露出した状態となる。
本実施形態は以上のような構成であって、続いてその作用を説明する。ここでは、シールドパイプ一体型コネクタの製造方法について簡単に説明する。まず、シールドパイプ60の内部に電線32を配設しておき、シールドパイプ60の前端開口部61を絞り加工することによって拡開させ、シールドシェル50を形成する。この後、シールドパイプ60の内部から電線32を引き出し、仕切壁20に各シールリング22,23を嵌着させた状態とし、各電線32を仕切壁20の各電線挿通孔21に先通しする。
次に、図9に示すように、各電線32の端末に露出させた芯線を各端子31の電線接続部34にそれぞれかしめ圧着する。そして、仕切壁20をシールドシェル50の内部に戻してシールドパイプ60の前端開口部61に前方から装着すると、図13に示すように、係止突起24が係止孔54の後縁に前方から係止することで仕切壁20が正規の位置に装着される。こうして、端子付き電線30が仕切壁20によってシールドパイプ60の前端開口部61に組み付けられた状態になる。
次に、シールドシェル50を成形型にセットし、この成形型の内部に形成された成形用キャビティに樹脂を射出すると、この樹脂がシールドシェル50の内外に行き渡り、成形用キャビティに樹脂が充填され、この樹脂が冷え固まった後、成形型を開いて成形品を取り出す。これにより、シールドシェル50の周壁55および後壁53がハウジング10によってインサート成形される。そして、ハウジング10のうちシールドシェル50から前方に突出した部分の外周面にシールリング11を嵌着させる。こうして、シールドパイプ一体型コネクタが製造される。
このように仕切壁20は、インサート成形の際に、樹脂が成形用キャビティ(仕切壁20の前面よりも前方領域)を乗り越えてシール領域(仕切壁20の後面よりも後方領域)に流出することを防止するための隔壁として機能している。仮に樹脂が第1シールリング22および第2シールリング23にかかってしまうと、シール性能が低下してシール領域にまで浸水するおそれがあるため、これを防止するための隔壁として仕切壁20が設けられている。すなわち、仕切壁20は、樹脂の射出圧によるシール領域への漏れ出しを抑止し、成形用キャビティで確実に樹脂をストップさせるためのものである。
以上のように本実施形態では、シールドパイプ60の開口部(前端開口部61)をプレス加工することによってシールドシェル50を形成したから、シールドシェル50とシールドパイプ60が一体化され、編組線を使用しなくてもシールドシェル50とシールドパイプ60を接続することができる。このため、従来のように、編組線を接続する接続リング等を使用しなくてもよい。したがって、編組線をなくして部品点数を削減し、煩雑な接続作業をなくすことができる。
ハウジング10は、シールドパイプ60の内部空間をシール状態に保持するシール部(仕切壁20)を備え、このシール部(仕切壁20)には、電線32をシール状態で挿通させる電線挿通孔21が形成されている構成としてもよい。このような構成によると、シール部(仕切壁20)の電線挿通孔21に電線32を挿通させつつシールドパイプ60の内部空間をシール状態に保持することができる。加えて、従来必要としていたゴムブーツを使用しなくてもよい。
ハウジング10は、シールドシェル50の内部空間に樹脂を流し込むことで端子31および電線32と一体成形され、シールドシェル50の内部空間に流し込まれた樹脂は、シール部(仕切壁20)によってシールドパイプ60の内部空間への流出が防止される構成としてもよい。このような構成によると、シールドシェル50の内部空間に流し込まれた樹脂が、シールドパイプ60の内部空間に漏れ出さないように樹脂流れを防止する部材(仕切壁20)としてシール部を利用することができる。
シール部(仕切壁20)は、シールドパイプ60の内周面との間を止水する第1シールリング22と、電線32の外周面との間を止水する第2シールリング23とを備えている構成としてもよい。このような構成によると、第1シールリング22によってシール部(仕切壁20)とシールドパイプ60の内周面との間を止水することができ、第2シールリング23によってシール部(仕切壁20)と電線32の外周面との間を止水することができる。
シールドシェル50は、シールドパイプ60の開口部(前端開口部61)を絞り加工によって拡開させて形成したものである構成としてもよい。このような構成によると、絞り加工によってシールドシェル50を形成したから、シールドパイプ60とシールドシェル50を継ぎ目無く連続して形成することができ、もってシールド性能を向上させることができる。
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
(1)上記実施形態では端子31をインサート成形することによってハウジング10を形成しているものの、本発明によると、端子31とは別体のハウジングを形成しておき、このハウジングに端子31を組み付けてもよい。その場合には、シールドシェル50とは別体のハウジングを形成しておき、このハウジングをシールドシェル50に組み付けるようにしてもよい。
(2)上記実施形態ではシール部として仕切壁20を例示しているものの、本発明によると、一括ゴム栓のシール部としてもよい。
(3)上記実施形態では第1シールリング22が仕切壁20の嵌着溝に嵌着されているものの、本発明によると、第1シールリングを嵌着する嵌着溝をシールドパイプの開口部の内周面に設けてもよい。
(4)上記実施形態ではシールドパイプ60の前端開口部61を拡開させてシールドシェル50を形成しているものの、本発明によると、シールドパイプと同径のシールドシェルを形成してもよい。
(6)上記実施形態では係止突起24が露出した状態となっているものの、本発明によると、係止突起24を覆うように樹脂でモールドしてもよい。要するに、係止孔54を塞ぎ、かつ、仕切壁20が動かないようにするために必要な分だけ樹脂でモールドしていればよい。
10…ハウジング
20…仕切壁(シール部)
21…電線挿通孔
22…第1シールリング
23…第2シールリング
30…端子付き電線
31…端子
32…電線
50…シールドシェル
60…シールドパイプ
61…前端開口部(開口部)

Claims (4)

  1. 金属製のシールドパイプと、
    前端位置において開口する前端開口縁部と後端位置において開口する後端開口縁部とを有し、前記後端開口縁部を前記シールドパイプの前端開口部に継ぎ目無く連続する形態で一体化させたシールドシェルと、
    このシールドシェルに覆われた樹脂製のハウジングと、
    このハウジングに固定された端子と、
    この端子に接続された電線とを備え
    前記シールドシェルの前記前端開口縁部には、取付フランジが周設され、前記シールドシェルは、前記取付フランジを除く全体が前記ハウジングに埋設された状態とされているシールドパイプ一体型コネクタ。
  2. 前記ハウジングは、前記シールドパイプの内部空間をシール状態に保持するシール部を備え、このシール部には、前記電線をシール状態で挿通させる電線挿通孔が形成されていることを特徴とする請求項1に記載のシールドパイプ一体型コネクタ。
  3. 前記ハウジングは、前記端子および前記電線と一体成形されていることを特徴とする請求項2に記載のシールドパイプ一体型コネクタ。
  4. 前記シール部は、前記シールドパイプの内周面との間を止水する第1シールリングと、前記電線の外周面との間を止水する第2シールリングとを備えていることを特徴とする請求項2または請求項3に記載のシールドパイプ一体型コネクタ。
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