JP5949244B2 - プリズムシート型の製造方法、及びプリズムシート - Google Patents

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Description

本発明は、プリズムシートを成形する為のプリズムシート型の製造方法と、プリズムシートに関する。特に、単位プリズムの延在方向を、帯状のプリズムシートの流れ方向に平行ではなく、幅方向に平行に成形して製造するのに好適なプリズムシート型を製造できる方法と、プリズムシートに関する。
液晶表示パネルなどのディスプレイパネルを組み込んだ各種画像表示装置が普及しており、こうしたディスプレイパネルには各種光学シートが使用されている。例えば、透過型の液晶表示パネルの背面側には、LEDや蛍光管からの光源光を、液晶セル面に均一に導くために、導光板を通した後、拡散シート、プリズムシートなどが使用されている。
プリズムシートは、柱状の単位プリズムが多数互いにその延在方向を平行に配列したプリズム群からなる光学構造を有する。
プリズムシートは、プリズムシート型として円筒状の成形型を用いて、連続的に帯状シートの形態で製造することで、高精度にかつ生産性よく製造できる(特許文献1)。
図10の斜視図は、従来のプリズムシート型40を示す。円筒状のプリズムシート型40の外周面の型面には、成形しようとする単位プリズムとは逆凹凸形状の溝41を有する。この溝41は、プリズムシート型40の回転方向でもある円周方向に、平行乃至は略平行に設けられている。溝41が円周方向に完全に平行にリング状に設けられる場合は、単位プリズムの数と同じ本数の溝41が設けられる。溝41が円周方向に略平行に設けられる場合は、1本乃至は複数本の溝41がネジ溝のように螺旋状に設けられる。
なお、同図では、型面上の溝41は全数ではなくそのうちの一部のみを図示してある。
溝41を、プリズムシート型40の円周方向に平行乃至は略平行に設ける理由は、プリズムシート型40の製造を、旋盤を用いて円筒状のプリズムシート型40の元になる円筒状基材を、円筒の中心軸を回転軸として円周方向に一定の角速度で回転させながら、(a)螺旋の溝41を形成時は切削工具を円筒状基材の回転軸方向に連続的に移動させて切削し、(b)リング状の溝41を形成時は切削工具を回転軸方向に断続的に移動させて切削することで、容易に製造できるからである。
特開2000−334834号公報
しかしながら、溝が円筒状のプリズムシート型の円周方向に平行乃至は略平行にではなく、図1の様に、溝1が回転軸方向に平行乃至は略平行に設けられたプリズムシート型が望まれることがある。
例えば、透過型の液晶表示パネルが背面側に有する偏光板と、この偏光板の背面側に設置するプリズムシートとを一体化して、偏光板を兼用するプリズムシートが出来れば、部品点数を減らせて低コスト化が図れ、また厚みを薄くして薄型化も可能となる。この為には、偏光板とプリズムシートとを、それぞれ帯状シートの形態で貼り合わせて一体化した後、所定の枚葉シートに切断するのが、生産性が良く、より低コスト化が図れる。
この際、帯状の偏光板と帯状のプリズムシートとを、それぞれ完成品のシートを貼り合わせるのではなく、偏光板は、通常、延伸したポリビニルアルコールフィルムからなる偏光子の両面に保護フィルムを貼り合わせた層構成である為、この保護フィルムとしてプリズムシートを用いれば、さらに低コスト化と薄型化とが図れることになる。
ところで、市販の偏光サングラスは、水面からの反射光は光の振動方向が水平方向で、これを遮断できるように、吸収軸は地面に対して水平に、透過軸は地面に対して垂直になるように設定されている。このため、図11のように、テレビ100に用いる液晶表示パネル50では、その液晶セル51の前面側の偏光板52fは、地面Eに立ってテレビ100を見る視聴者Vが偏光サングラスを着用していても見えるように、偏光サングラスと同様に透過軸Dtを垂直に設定してある。同図では、透過軸Dtは紙面に平行で図面上下方向の両矢印の方向である。したがって、液晶表示パネル50に於いては、一般に、前面側の偏光板52fと背面側の偏光板52rとは互いの透過軸Dtが直交するように配置される為、この液晶表示パネル50の背面側の偏光板52rは、透過軸Dtを水平に、吸収軸は垂直に設定してある。
一方、プリズムシート60の単位プリズムの延在方向Dvは、プリズムシート60に入射させる光源光を発する光源70の配置に関係する。光源70を、横長のテレビ画面の長辺と短辺のうち照射距離が短くなる方の長辺側にエッジライト型として配置した場合は、水平方向となる(同図では紙面に垂直)。
したがって、こうした光源の配置に対応させて、液晶表示パネル50の背面側の偏光板52rと、その背面側に設けるプリズムシート60とを積層一体化した帯状シートとして製造するには、背面側に用いていた偏光板52r中の偏光子の透過軸Dtが水平方向であるから、偏光子の透過軸Dtの水平方向に対しては、プリズムシート60の単位プリズムの延在方向(水平方向であった)を平行にして貼り合わせれば良い。
延伸させて製造される偏光子の透過軸Dtは延伸軸に垂直となるから、延伸軸を流れ方向とした帯状の偏光子の透過軸Dtは流れ方向に直交する幅方向である。この偏光子に貼り合せる帯状のプリズムシート60は単位プリズムの延在方向を幅方向としたものを使えば良いことになる。
ところが、従来のプリズムシート60は、前記したようにプリズムシート型の製造の容易さの観点から、単位プリズムの延在方向は流れ方向であり、単位プリズムの延在方向を幅方向としたプリズムシートを製造できなくては、前記したような、プリズムシートと偏光板乃至は偏光子との積層一体化による低コスト化、薄型化は実現しない。
単位プリズムの延在方向を幅方向にして、単位プリズム4を流れ方向に一様に配列させたプリズムシート60を製造するためには、筒状のプリズムシート型の回転軸方向に平行乃至は略平行に、溝を全円周に亘って一定の配列ピッチで切削加工することになる。したがって、溝を切削加工していき、最初に切削加工した溝の直前まで到達したときに、最後に切削加工する溝は、最初に切削加工した溝との間隔つまり配列ピッチを、いままで切削加工してきた溝の配列ピッチと等しくする必要がある。しかし、切削装置の加工精度によって、いくばくかの誤差が生じ、最後の溝まで一定の配列ピッチで理想的に切削加工することは容易ではない。このため、最後に切削加工する溝の配列ピッチが、それまで切削加工してきた溝の配列ピッチと異なると、配列ピッチの異なる部分が、一様に一定の配列ピッチで配列された溝に対して、配列の継ぎ目として目立ってしまうことがある。
このため、溝を全円周に亘って切削加工したエンドレスのプリズムシート型において、配列の継ぎ目が存在すると、このプリズムシート型で成形される帯状のプリズムシートからは、配列の継ぎ目の部分は除いた部分からしか製品として採取できない。したがって、帯状のプリズムシートの流れ方向のどの位置からも、流れ方向において自在な寸法で枚葉のプリズムシートを裁断して得ることができず、枚葉のプリズムシートの寸法毎にプリズムシート型が必要になるという問題が生じる。
すなわち、本発明の課題は、単位プリズムの延在方向を帯状のプリズムシートの流れ方向に平行にではなく幅方向に略平行乃至は平行にした帯状のプリズムシートを製造可能なプリズムシート型を、単位プリズムに対応した溝を全周に、溝の配列の継ぎ目を目立ち難くして、精度良く製造できる方法を提供することである。
また、本発明の課題は、透明基材の遅相軸と、単位プリズムの延在方向とが特定の角度関係のプリズムシートを提供することである。
そこで、本発明では、次の様な構成のプリズムシート型の製造方法、及びプリズムシートとした。
(1)外周面の全周に成形しようとする複数の単位プリズムに対応する溝を複数有し、この溝が円筒状のプリズムシート型の回転軸方向に実質的に平行乃至は略平行である、プリズムシート型の製造方法であって、
少なくとも、切削工具が円筒状基材の回転軸方向に移動して外周面内の型面の一端から他端まで切削している間は、前記円筒状基材は円周方向に常に一定角速度で回転している状態にして、回転軸方向に実質的に平行乃至は略平行な溝を切削加工するに際して、
前記切削工具を前記回転軸方向に一定速度で移動させつつ、前記円周方向に平行な方向において一定速度で移動するとともに停止も含み得る揺動動作をさせることで、前記円筒状基材の型面に垂直な方向から観察したときに、谷線が折れ線形状となる溝を、切削加工していく、プリズムシート型の製造方法。
(2)透明基材と、この透明基材の面上に形成され、柱状の単位プリズムがその延在方向を互いに平行にして複数配列したプリズム構造を有するプリズム層と、を含み、
前記単位プリズムは、前記透明基材の面に垂直な方向から観察したときの前記単位プリズムの稜線が折れ線形状をしており、
前記透明基材は、前記単位プリズムの延在方向に対して、直交しているか、或いは80°以上90°未満で略直交している、遅相軸を有する、プリズムシート。
(1)本発明のプリズムシート型の製造方法によれば、延在方向が回転軸方向に実質的に平行乃至は略平行な溝が形成されたプリズムシート型を精度よく製造できる。このため、延在方向が幅方向に実質的に平行乃至は略平行な単位プリズムを有するプリズムシートを製造することが可能なプリズムシート型を精度よく製造できる。
しかも、全周に切削加工されている溝は、切削加工の最初の溝と最後の溝との配列ピッチと他の部分の配列ピッチとの違いを、溝の配列の継ぎ目として目立ち難くして、精度良く製造できる。
この結果、溝が全周加工されたエンドレスのプリズムシート型が得られ、プリズムシート型で成形される帯状のプリズムシートは、その流れ方向のどの位置からも、流れ方向において自在な寸法で枚葉のプリズムシートを裁断して得ることが可能なプリズムシート型となる。
(2)本発明のプリズムシートによれば、透明基材の遅相軸とプリズムシートの単位プリズムの延在方向とが互いに平行乃至は略平行な関係が好ましい用途に使用可能なシートとすることができる。
本発明によるプリズムシート型の製造方法の一実施形態を説明する斜視図。 平面に展開された型面で溝が順次形成されていく様子を説明する平面図。 溝の谷線が成す折れ線形状の一例(三角波)を示すグラフ。 溝の谷線が成す折れ線形状の一例(不規則な折れ線)を示すグラフ。 切削工具の揺動速度の時間変化の一例を説明するグラフ。 切削工具を揺動させるための駆動機構の一例を示す側面図。 溝を2本ずつ同時に切削加工する為に、二つの刃先を用いる切削工具の例示と、二つの刃先の刃先間隔を示す側面図。 二つの刃先で同時に2本の溝を切削加工する様子を模式的に説明する説明図。 本発明によるプリズムシートの一実施形態を示す平面図(a)と断面図(b)。 従来のプリズムシート型を説明する斜視図。 テレビにおける液晶表示パネルの偏光板の透過軸の関係を説明する説明図。
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。なお、図面は概念図であり、説明上の都合に応じて適宜、構成要素の縮尺関係、縦横比等は誇張されていることがある。
《1》用語の定義
プリズムシート型10、及び、円筒状基材10Aに於いて、「略平行」、「実質的に平行」とは、以下の意味である。
「実質的に平行」とは、完全に平行は含まず、完全平行ではないが、完全平行からの傾斜角θがプリズムシート使用時に許容される回転角度以下に収まる角度となることを言う。具体的には、前記許容される回転角度が±0.2°、好ましくは±0.1°とされるから、傾斜角θが−0.2°〜+0.2°の範囲(±0.2°)、より厳しくすれば、−0.1°〜+0.1°の範囲(±0.1°)、さらに厳しくすればこの10倍の安全率をとって、−0.01°〜+0.01°の範囲(±0.01°)、の範囲で完全平行は除いた範囲を意味する。
「略平行」とは、意識的にある程度平行からずらした角度などがこの範疇に入り、前記傾斜角θが−5°〜+5°の範囲内(±5°)であって、上記実質的に平行(最大で±0.2°)は除いた範囲のことを意味する。
プリズムシート20において、「略直交」の意味は、80°以上90°未満の角度を意味する。
溝の「谷線」とは、溝によって成形される単位プリズムの稜線に相当する。
溝或いは単位プリズムの「延在方向」とは、溝の谷線、或いは単位プリズムの稜線が、本発明においては、折れ線形状であることから、この折れ線形状を、溝或いは単位プリズムが配列された面、具体的には、溝では円筒状基材の型面、単位プリズムではプリズムシートのシート面に、垂直な方向から、大局的に観察して直線と見なしたときの、この直線の延在方向のことを意味する。
「仮想的基準谷線」とは、谷線に対する、前記大局的に観察したときの直線を意味する。
「仮想的基準谷線」乃至は、前記大局的に観察したときの直線は、数学的には、折れ線が有する全ての屈曲点を用いて、折れ線を最小二乗法によって直線近似して得られた直線と見なすことができる。
「主切断面形状」とは、本来は、折れ線形状の溝或いは単位プリズムにおいて、その折れ線を構成する個々の直線の局所的な延在方向に対して、垂直な面における形状である。ただ、本発明においては、前記折れ線を構成する個々の直線の延在方向は、溝或いは単位プリズムの延在方向に近い。
そこで、本発明においては、「主切断面形状」とは、溝或いは単位プリズムの延在方向に垂直な面における形状を意味する。ただし、本発明においては、溝1に対する前記延在方向は円筒状基材の回転軸方向に対して実質的に平行乃至は略平行と平行に近いので、回転軸方向に垂直である円周方向に平行な断面における形状として捉えても良い。
《2》プリズムシート型の製造方法
本発明によるプリズムシート型の製造方法の一実施形態について、図1を参照して説明する。
図1は、溝1を一本ずつ順番に切削加工していき、単位プリズムの延在方向が帯状のプリズムシートの幅方向と完全に平行ではないが、実質的に平行乃至は略平行となるプリズムシートを製造するためのプリズムシート型10を製造する場合である。
図1では、XYZ直交座標系と、rφz円柱座標系を定義してある。
XYZ直交座標系では、円筒状基材10Aは、その回転軸Arを地面Eに対して水平にして、切削工具2は前回転軸Arと地面Eから同じ高さの位置を基準にして切削加工することを想定している。そして、XYZ直交座標系では、Z軸方向が回転軸Arの回転軸方向Daであり、Y軸方向が地面Eに対して垂直方向であり、X軸方向が地面Eに対して水平方向であり且つ円筒状基材10Aの回転軸Arと切削工具2の基準高さを結ぶ線分に平行な方向でもある。
前記切削工具2の基準高さとは、切削工具2が前進した位置にも後退した位置にもいない揺動動作の中位点の位置を意味する。
rφz円柱座標系では、z軸方向が円筒状基材10Aの回転軸方向Daであり、φ軸方向が円筒状基材10Aの円周方向Dfであり、r軸方向が円筒状基材10Aの半径方向である。
図1に示す、製造中のプリズムシート型10は、その外周面に、成形する単位プリズムに対応する溝1を多数有する。本実施形態では、この溝1は円筒状のプリズムシート型10の回転軸Arの回転軸方向Daに対して、完全に平行ではないが、実質的に平行乃至は略平行である。
プリズムシート型10の原型となる円筒状基材10Aの寸法は、幅1600mm、円周長930mm、外周面のうち溝1を形成する領域である型面3の回転軸方向Daに於ける寸法は1350mmである。
形成しようとする溝1の目標寸法は、溝1とは逆凹凸形状の単位プリズムの寸法で、この単位プリズムの主切断面形状が二等辺三角形で、頂角66°、高さ38μm、底辺50μmである。
溝1の円周方向Dfでの配列ピッチPは50μmである。より正確には、溝1の谷線Tの仮想的基準谷線TSに対する配列ピッチPが50μmである。
このため、溝1は、その谷線Tが従来のように直線形状であったと仮定した場合には、円筒状基材10Aの外周面の円周方向Dfに、溝1同士の間に間隔を空けずに形成されることになる。
本発明では、旋盤によって、少なくとも、切削工具2としての切削バイトが円筒状基材10Aの回転軸方向Daに一定速度で移動して外周面内の型面3の一端3sから他端3eまで切削している間は、円筒状基材10Aは円周方向Dfに常に一定の角速度(周速度)で回転している状態にして、回転軸方向Daに実質的に平行乃至は略平行な溝1を切削加工する。
本実施形態に於いては、各溝1を、順次、1本目、2本目、3本目、4本目、5本目、・・と切削する。
本実施形態では、切削工具2が型面3の切削開始位置である一端3sから切削終了位置である他端3eまで移動して切削している最中と共に、次に切削工具2が切削終了位置である型面3の他端3eから、次の切削開始位置である一端3sまで移動して復帰している間も、円筒状基材10Aは円周方向Dfに一定の角速度で常に回転している。
回転の向きはどちらでも良いが、図1に示す本実施形態では、円筒状基材10Aの紙面手前側の外周面が、図面で下から上に移動する向きである。
切削工具2は、回転軸方向Daに外周面内の型面3の一端3sから他端3eまで移動して切削している間、円周方向Dfに平行な方向、より具体的にはXYZ直交座標系でY軸方向に、前進又は後退する移動時は一定速度で移動する揺動動作をしている。
前進及び後退の向きはどちらでもよいが、本発明においては、前進とはY軸方向で+方向に移動することとし、後退とはY軸方向で−方向に移動することとする。したがって、
切削工具2の前進は、図面上方への移動に該当し、Y軸で言うと地面Eから遠ざかる方向への移動であり、切削工具2の後退は、図面下方への移動に該当し、Y軸で言うと地面Eに近づく方向への移動とする。
切削工具2は、回転軸方向Daに外周面内の型面3の一端3sから他端3eまで移動して切削している間、円筒状基材10Aの回転軸Arに向かう半径方向Dr(XYZ直交座標系ではX軸方向である)に対しては、変位しない。
こうして、深さ一定で折れ線形状の溝1が全円周に切削加工されたプリズムシート型10が製造される。
図2は、円筒状基材10Aの外周面中の型面3の全領域を、二次元曲面から平面に展開し、多数の溝1が順次形成されていく様子を説明する平面図である。rφz円柱座標系にて、図面上下方向がφ軸方向であり、図面左右方向がz軸方向であり、紙面に対して垂直方向がr軸方向である。
溝1の円周方向Dfでの配列ピッチPは、図面では上下方向で実際に比べて誇張して大きく描いてある。
同図では、溝1は、図面上方の溝1から下方の溝1に向かって順番に1本ずつ切削加工される。
同図では、型面3の全領域に対して、溝1は、簡略化して、切削加工の最初の3本と、最後の1本の合計4本のみを代表して描いてある。さらに、切削加工で形成されていく溝1として、円筒状基材10Aの円周面を一周する直前の最後の1本の溝1の次に、最初の1本目の溝1も、型面3の一部と共に示してある。
図2では、切削工具2(不図示)の揺動動作も含めた切削動作中の軌跡乃至は溝1は、折れ線形状の実線矢印で示し、切削工具2の復帰動作中の軌跡は、直線形状の点線矢印で示してある。
切削工具2は、型面3の切削開始位置である一端3sから切削終了位置である他端3eまで移動するにつれて、円筒状基材10Aの型面3に対して相対的に、溝1の配列ピッチPの1/2だけ円周方向Dfで図面下方に移動する。同図では、最初の1本目の溝1では、ポイントG1が、その切削工具2の切削開始位置である一端3sにおけるφ軸方向での位置座標も考慮した位置あり、ポイントG2が切削工具2の切削終了位置である他端3eにおけるφ軸方向での位置座標も考慮した位置である。
次に、切削工具2が他端3eから一端3sまで、切削加工せずに移動して復帰するときも、円筒状基材10Aの型面3に対して相対的に、溝1の配列ピッチPの1/2だけ円周方向Dfで図面下方に移動する。同図で、ポイントG2からポイントG3に向かう点線矢印がそのときの切削工具2の軌跡である。そして、次の2本目の溝1に対する切削開始位置であるポイントG3の一端3sに到達する。
この後も、同様にして、2本目、3本目、・・・の溝1を切削加工していく。すなわち、ポイントG1からポイントG2に向かう折れ線形状の谷線T1の溝1、ポイントG3からポイントG4に向かう折れ線形状の谷線T2の溝1、ポイントG5からポイントG6に向かう折れ線形状の谷線T3の溝1、・・・・、そして最後に谷線Tkの溝1が順に切削加工されていく。
[折れ線形状]
溝1の谷線Tを、型面3に垂直な方向、つまりrφz円柱座標系でr軸方向から観察したときに示す折れ線形状は、本発明においては、図3に示すような、振幅及び周期が一定な三角波のような規則的な折れ線でも良い。
溝1の谷線Tを折れ線形状とすることで、図2で示す最後の溝1の谷線Tkと、最初に切削加工された溝1の谷線T1との間の間隔、つまり最後の配列ピッチPeが、他の部分の配列ピッチPと完全に等しくなくても、溝1の配列の継ぎ目として目立ち難くして、精度良く製造できる。
最後の配列ピッチPeは、溝1の配列の継ぎ目として目立ち難くなっているとは言え、他の部分の配列ピッチPに対して、違いは小さい方が好ましいが、より目立ち難くする観点からは、この違いは大きくても、せいぜい±40%以下、好ましくは20%以下、より好ましく10%以下が望ましい。
さらに、本実施形態においては、谷線Tの折れ線形状は、図2で示すように、隣接する溝1同士で互いに独立した折れ線形状となっている。このため、図2で示すように、谷線T1と次の谷線T2とで説明すれば、谷線T1と谷線T2との円周方向Dfでの間隔は、一端3sから他端3eまで一定でなく、例えば、間隔Wi、間隔Wj、間隔Wkの各々は、互いに等しくない。
さらに、本実施形態においては、前記折れ線形状が不規則な折れ線形状となっている。
このように、溝1の谷線Tが示す折れ線形状は、隣接する溝1同士で互いに独立で不規則な折れ線形状が、より好ましい。こうした折れ線形状は、図2では配列ピッチPeとして示してある、最初と最後の溝1間の配列ピッチPが、他の部分の配列ピッチPと不揃いとなったときに、溝1の配列の継ぎ目を、より効果的に目立ち難くすることができる。また、こうした折れ線形状は、規則性を有する折れ線形状の場合に生じることがあり得る複数の谷線T同士の形状類似性に起因する縞模様を、目立ち難くさせることができる。
折れ線形状の谷線Tは、複数の直線Lからなり、直線L同士の連結点が、谷線Tの屈曲点Fとなっている。
不規則とは、折れ線を構成する複数の直線Lについて言えば、直線Lの長さ及び傾きのいずかれ1以上が、溝1の一端3sから他端3eまで一定でないことを意味する。
図4は、溝1の谷線Tが示す折れ線形状の具体例を示すグラフである。ここで示す折れ線形状は、不規則な折れ線形状の一例である。
[配列ピッチP]
谷線Tが直線形状の溝1ならば、その延在方向Dvは、谷線Tが示す直線の延在方向に一致する。
谷線Tが折れ線形状の溝1の延在方向Dvは、溝1の谷線Tの折れ線形状を大局的に観察して直線と見なしたときの、この直線の延在方向を意味する。同図で、ポイントG1からポイントG2を結ぶ直線が、前記大局的に観察したときの直線であり、仮想的基準谷線TSである。仮想的基準谷線TSとは、平易に言えば、切削工具2が円周方向Dfに揺動動作をしないで直線形状の溝1を切削加工したと仮定したときの切削工具2の軌跡である。
「仮想的基準谷線TS」は、数学的には、谷線Tの折れ線が有する全ての屈曲点Fを用いて、折れ線を最小二乗法によって直線近似して得られた直線と見なすことができる。
図2に例示するように、一端3s及び他端3eにおいて、仮想的基準谷線TSと谷線Tとは、必ずしも交差するとは限らない。つまり、仮想的基準谷線TSは、1本目の谷線T1で言えば、一端3sにおける谷線Tの切削開始位置であるポイントG1と、他端3eに於ける谷線Tの切削終了位置であるポイントG2とを、結んだ直線になるとは限らない。換言すれば、谷線Tは、常に仮想的基準谷線TS上から切削加工し、常に仮想的基準谷線TS上で切削加工を終了する必要はない。
そして、谷線Tが折れ線形状の溝1に対する配列ピッチPは、仮想的基準谷線TSに対する配列ピッチPで捉える。
[切削工具2の揺動動作]
図4で示した谷線Tの不規則な折れ線形状のように、切削工具2の揺動動作は、常に前進又は後退をしている必要はなく、停止している時間があっても良く、停止している時間では同図で言うと、仮想的基準谷線TSに平行な直線部分となる。
図5は、切削工具2の揺動速度の時間変化の一例を示すグラフである。Sp´は、図3のような規則的な折れ線形状である三角波を与える速度変化の一例を示し、Spは、図4のような不規則的な折れ線形状を与える一例を示す。
切削工具2の円周方向Dfでの揺動動作が、図5で言えば+方向の領域、或いは−方向の領域に入っている時間が、いずれかに極度に偏って大きいと、折れ線形状の屈曲点Fから求めた仮想的基準谷線TS、つまり実際に切削加工された後の溝1の谷線Tを計測して、その屈曲点Fから最小二乗法によって算出した仮想的基準谷線TSと、切削工具2を揺動動作させずに移動させたときの切削工具2の軌跡から求めた仮想的基準谷線TSとに違いが生じる可能性がある。これでもよいが、基本的には、図5のグラフで説明すれば、+の時間と−の時間、より詳しくは、+になっているときの+側の面積と、−になっているときの−側の面積とが同一面積に近くなるようにして、揺動させるのが好ましい。溝1の1本毎の個別の配列ピッチPのバラツキを少なくすることができるからである。このような揺動動作は、精密NC旋盤などに対して、その切削工具2の揺動動作を、予めプログラミングしておくことで、資材の折れ線形状とすることができる。
揺動動作は、一例を示せば、回転軸方向Daで10mm当たり、前進又は後退を10μmする程度で良い。これは、回転軸方向Daの移動に対して、Y軸方向の移動が1/1000に該当する。したがって、谷線Tの折れ線形状を構成する個々の直線の延在方向は、溝1の延在方向Dvに対して非常に近いものとなる。上記1/1000の関係で言えば、arctan(1/1000)から、角度にして0.05°のズレである。
ここで、「最大揺動比率」を、揺動動作の円周方向Drでの最大の大き、つまり仮想的基準谷線TSからの最大の変位量の絶対値、溝1で成形しようとする単位プリズム4の底辺の寸法に対する百分率として定義する。最大揺動比率は、成形するプリズムシートの光学性能に支障を来たさない範囲内で適宜に設定することができる。最大揺動比率は大きすぎると、前記光学性能に支障を来たすことがあり、小さすぎると、配列の継ぎ目を目立ち難くする効果を充分に得られないことがある。例えば、本実施形態においては単位プリズム4の底辺は50μmであったが、最大揺動比率は20%とすることができる。最大揺動比率の下限は、例えば、5%以上とすることができる。
本発明においては、谷線Tは折れ線形状であり、谷線Tを三角関数など曲線のみからなる波形状とする場合に比べて、前記した+側面積と−側面積とをなるべく同一面積に近くなるようにするなどの、切削工具2の揺動動作のプログラミングを、簡便且つ平易なものとすることができ、より容易にプリズムシート型10を製造することが可能となる。
[溝1の傾斜角θ]
以上の結果、溝1の延在方向Dvと回転軸方向Daとの平行関係については、溝1が外周面内の型面3の回転軸方向Daでの一端3sから延びて他端3eまで到達した位置では、配列ピッチPの半分の25μmだけ、つまり溝1の2分の1本分だけ円周方向Dfでずれた位置となるため、溝1の延在方向Dvは回転軸方向Daとは完全平行(傾斜角θ=0°)とは言えないが、実質的に平行であると言える。溝1の延在方向Dvの回転軸方向Daに対する傾斜角θは、arctan(0.025mm/1350mm)であるから、傾斜角θ=0.0011°である。従って、溝1は回転軸方向Daに対して充分に平行である。つまり、回転軸方向Daに実質的に平行な溝1が形成される。
なお、各溝1の仮想的基準谷線TSは、切削工具2の軌跡として捉えれば、互いに完全に平行となるが、谷線Tが示す折れ線の屈曲点Fから最初二乗法で求めた直線として捉えれば、完全平行又は実質的に平行となる。
[本実施形態における効果]
以上のように、本発明の製造方法によれば、円筒状基材10Aの回転軸方向Daに実質的に平行乃至は略平行な溝1を、切削工具2を円筒状基材10Aの回転軸方向Daに移動させて形成するときでも、円筒状基材10Aは常にわずかだが回転している状態で溝1を形成するために、円筒状基材10Aの回転を停止させて形成する際の円周方向Dfでの微妙な円筒状基材10Aのブレによる溝1の不本意な蛇行が回避される。その結果、本発明によれば、延在方向Dvが回転軸方向Daに実質的に平行乃至は略平行な溝1が形成されたプリズムシート型10を精度よく製造できる。
こうして製造されたプリズムシート型1010を用いてプリズムシートを製造すれば、単位プリズムの延在方向Dvがシートの幅方向に実質的に平行な帯状のプリズムシートを連続的に容易に製造できる。
しかも、全周に切削加工されている溝1は、切削加工の最初の溝1と最後の溝1との配列ピッチPeと他の部分の配列ピッチPとの違いを、溝1の配列の継ぎ目として目だち難くして、精度良く製造できる。
[円筒状基材10A]
円筒状基材10Aとしては、金属製、セラミック製など従来公知のものを用いることができる。
[切削工具2]
切削工具2としては、切削バイトなど、従来公知のものを用いることができる。切削工具2によって円筒状基材10Aに、谷線Tが折れ線形状の溝1を切削加工するには、公知の精密NC旋盤などを利用することができる。
切削工具2を、円筒状基材10Aの円周方向Dfに揺動動作させる駆動機構は特に限定されない。
例えば、図6に示すように、切削工具2を固定する刃物台5の上に、揺動手段としてアクチュエータ6を介して、切削工具2を固定する揺動機構を採用することができる。アクチュエータ6としては、図面でY軸方向の厚みが電圧により変化する圧電素子を用いることができる。この圧電素子にはピエゾ素子などの公知のものを用いることができる。圧電素子に加える電圧を制御することにより、谷線Tが目的とする折れ線形状となる様な、揺動方向DcがY軸方向となる揺動動作を切削工具2に与えることができる。
[完全平行な溝形成]
ところで、切削工具2が回転軸方向Daに移動して溝1を切削加工するとき、具体的には、切削工具2が回転軸方向Daに外周面の型面3の一端3sから他端3eまで移動する間、円筒状基材10Aは角速度ゼロの回転を停止した状態とすれば、回転軸方向Daに完全平行な延在方向Dvを有する溝1を切削加工できることになる。
しかし、旋盤上で、その主軸にチャックで固定された円筒状基材10Aは、制御機構上、回転を停止した状態にしても、実際には微妙に円周方向Dfに前進と後退を繰り返しており、見かけ上停止しているに過ぎないことが判明した。このため、円周方向Dfでの微妙な円筒状基材10Aのブレによる溝1の不本意な蛇行が生じて、精度よく形成できない。
ブレを解消する為に、回転の停止は、円筒状基材10A自体、又は、円筒状基材10Aを旋盤の主軸に保持するチャック等の保持具或いは主軸自体を、一対のブレーキパッドによる対向する押圧力を加えて摩擦力により、一時的に回転を確実に停止させることも可能である。切削工具2が他端3eから一端3sまで復帰動作する間は、回転の停止を解除して、次の切削の位置まで、所定角度分だけ円筒状基材10Aを回転させる。
しかし、いずれにしろ、円筒状基材10Aの回転と停止とを交互に繰り返す必要がある。質量が大きく慣性モーメントが大きい円筒状基材10Aに対して、回転と停止を交互に繰り返すのでは、円滑な切削加工は難しい。
一方、本実施形態では、円筒状基材10Aは常に一定の角速度で回転させている為に、円滑な切削加工が可能であり、しかも実質的に平行乃至は略平行でブレのない精度の良い溝1の形成が可能である。
《変形形態》
本発明は、上記した実施形態以外のその他の形態をとり得る。以下、その一部を説明する。
[レンズ要素の包含]
本発明では、単位プリズムに代えて単位レンズを有する光学シートも「プリズムシート」と呼ぶことにし、その単位レンズも含めて単位プリズムと呼ぶことにする。
本来、「プリズム」とは、主切断面形状において、光が出入りする外面を成す部分が直線からなる光学要素を意味する。一方、「レンズ」とは、本来、主切断面形状において、光が出入りする外面を成す部分が曲線からなる光学要素を意味する。ただし、製造上の誤差により「単位プリズム」でもその頂角に丸みを帯びた形状、またその頂角を意識的に若干の丸みを帯びさせた形状(例えば曲率半径5μm程度の部分円弧)は「単位レンズ」に含めない。
また、単位プリズムと単位レンズが複合化した単位光学要素も「単位プリズム」に含める。
[回転と停止の交互繰り返し]
上記実施形態では、円筒状基材10Aは切削工具2が移動して溝1を切削加工時も、切削終了位置である他端3eから切削開始位置である一端3sに復帰動作時も、常に一定の角速度で回転している例であった。
しかし、切削工具2が切削終了位置である他端3eから切削開始位置である一端3sに復帰動作しているときは、回転を一時的に停止させても良い。
この結果、他端3eでの切削終了位置と、一端3sでの次の切削開始位置との円周方向Dfでの位置を同じにして、切削加工できる。
[同時複数本の溝形成]
上記実施形態では、切削工具2が溝1を一本ずつ切削加工する例であった。
しかし、切削工具2で、同時に複数本の溝1を切削加工しても良い。例えば、図7に示すように、刃先2cとして刃先2c1と刃先2c2とを、切削工具2の本体である一つのシャンク2sに装着した一つの切削工具2を用いて、同時に2本の溝1を切削加工しても良い。二つの刃先2c1及び刃先2c2は、共に同一形状の溝1を切削できるものを用いてある。
同図は、切削対象の円筒状基材10Aの回転軸Arに平行な方向が紙面に垂直方向となる、側面図である。
同時に2本の溝1を切削加工すれば、全ての溝1を切削加工するに必要な時間を1/2に短縮することができる。
同時に2本の溝1を切削加工すれば、切削工具2が復帰動作中に切削加工していない無駄な時間を埋め合わせることができる。
刃先間隔Cは、隣接した溝1を2本同時に切削加工するならば、溝1の配列ピッチPに等しくても良い。ただ、現実には、このように非常に接近した位置に二つの刃先2c1と刃先2c2とをシャンク2sに正確に位置合わせして取付けるのは、極めて難しく、確率的に非常に少ないことであるが、偶然に位置が合ってしまうことを除けば、不可能に近い。
このため、現実的には、刃先間隔Cは、例えば、大よそ12.000mmを目標に、二つの刃先2c1及び刃先2c2を位置固定して、この刃先間隔Cの正確な寸法と、目標とする配列ピッチPと、円筒状基材10Aの実際の円周長Lとの、三者の寸法関係から、目標とする配列ピッチPを増加乃至は減少させる微調整をして切削加工するのが好ましい。
なお、本発明においては、刃先2c1と刃先2c2とは、それぞれ別々のシャンク2sに取り付けて、2本の切削バイトを切削工具2として用いて、同時に2本の溝1を切削加工しても良い。
同時に2本の溝1を切削加工するときは、次の(a)、(b)及び(c)の3条件を満たす寸法関係として切削加工するのが好ましい。これにより、二つの刃先2c1及び刃先2c2のうち、一方の刃先2c1(又は2c2)が切削した溝1を、他方の刃先2c2(又は2c1)が再度切削する無駄な切削加工をしないようにすることができる。
(a)二つの刃先2c1と刃先2c2との円周方向Dfでの刃先間隔Cは、溝1の配列ピッチPの奇数倍とする。つまり、
刃先間隔C=(2n+1)×配列ピッチP (nは0又は正の整数である)、
となる、刃先間隔Cと配列ピッチPとの寸法関係とする。
なお、前記円周方向Dfでの刃先間隔Cは、図1に示したXYZ直交座標系及びrφz円柱座標系、並びに図7で示したXYZ直交座標系からも判るように、Y軸方向での間隔と捉えても良い。
(b)切削工具2を、円周方向Dfで、刃先2cが直前に切削加工された溝1の一端3sでの切削開始位置から、前記刃先2cと同じ刃先2cが、次に切削加工する溝1の一端3sでの切削開始位置まで移動させる移動ピッチMは、溝1の配列ピッチPの2倍とする。つまり、
移動ピッチM=2×配列ピッチP、
となる、移動ピッチMと配列ピッチPとの寸法関係とする。
(c)円筒状基材10Aの円周長Lは、溝1の配列ピッチPの偶数倍とする。
つまり、
円周長L=2×配列ピッチP (nは正の整数である)、
となる、円周長Lと配列ピッチPとの寸法関係とする。
図8を参照して、刃先2cとして二つの刃先2c1及び刃先2c2によって、溝1を2本ずつ同時に切削加工していく、様子を説明する。但し、同図では、判り易いように、二つの刃先2c1と刃先2c2との刃先間隔Cは、実際に切削加工する溝1の配列ピッチPの奇数倍として3倍で説明する。
図8(a)が、切削工具2が、最初に、一端3sから他端3eまで切削加工する、第1切削の過程を示す。
図8(b)が、切削工具2が、第1切削の次に、一端3sから他端3eまで切削加工する、第2切削の過程を示す。
図8(c)が、切削工具2が、第2切削の次に、一端3sから他端3eまで切削加工する、第3切削の過程を示す。
以降の切削過程は、最後の切削過程を除いて、図面では省略されている。
図中、左側から右側に向けて順番に、1、2、3、4、5、6、7、8、・・・・と付した数字は、切削した或いはこれから切削する溝1が順番に何本目の位置のものかを表わすと共に、その位置に達した刃先2c1または刃先2c2を表わす。点線で示したV字形が切削前の溝1であり、実線で示した逆三角形が切削中或いは切削済みの溝1である。
本変形形態に於いては、刃先2cとしての二つの刃先2c1及び刃先2c2の刃先間隔Cは3Pであるから、図8(a)に示す第1切削では、刃先2c2は1本目の溝1を切削し、刃先2c1は4本目の溝1を切削する。
本発明においては、二つの刃先2c1及び刃先2c2による切削工具2が、一端3sから他端3eまで移動する毎に、溝1を、順番に、1本目、2本目、3本目、4本目、5本目、・・と切削するのではない。
次に、図8(b)に示すように、第2切削の過程では、切削開始位置は図面で右側に、配列ピッチPの2倍の移動ピッチMで移動し、3本目の溝1と、6本目の2本の溝1とを同時切削する。
次に、図8(c)に示すように、第3切削の過程では、再度、切削開始位置は移動ピッチMで図面右側に移動し、5本目の溝1と、8本目の溝1とを同時切削する。
このようにして、第1切削で1本目と4本目と配列ピッチPで3ピッチ離した2本の溝1を同時切削し、次いで第2切削で3本目と6本目の2本の溝1を同時切削し、次いで第3切削で5本目と8本目の2本の溝1を同時切削していく。
そして、図8(d)に示すように、円筒状基材10Aが丁度一回転に達する直前の、第n切削の過程で、残った2本目の溝1も切削する。なお、前記nは自然数である。この2本目の溝1の切削は、2本目の3ピッチ前の溝1を、つまり、全円周での溝1の本数をk本とすると、k−1本目の溝1を、刃先2c2によって切削するとき、刃先2c1によって同時に行われる。
ここで、移動ピッチMが2Pであったことを思い出すと、移動ピッチMが配列ピッチPの2倍であることから、図面右側の先頭にたって切削する刃先2c1は、4本目から常に偶数本目の溝1を切削し、図面左側の後ろ側で切削する第2の刃先2c2は、1本目から常に奇数本目の溝1を切削していることが理解できるであろう。
以上のように、刃先2c1は4本目の溝1から、常に偶数本目の溝1を切削し、刃先2c2は1本目の溝1から、常に奇数本目の溝1を切削している。
このため、残った2本目の溝1を刃先2c1で切削するには、2本目の溝1がk本目の溝1から数えて偶数本目に当たるように、本数kを設定すれば良い。逆に言えば、kを偶数に設定すれば良い。
一方、残った2本目の溝1を刃先2c2で切削するには、2本目の溝1がk本目の溝1から数えて奇数本目に当たるように、本数kを設定すれば良い。逆に言えば、kを奇数に設定すれば良い。しかし、残った2本目の溝1を刃先2c2で切削しているときに、先頭にたって切削する刃先2c1は、既に切削済みの5本目の溝1をなぞることになってしまう。
このような、刃先2c1が既に切削済みの5本目の溝1をなぞる無駄を回避するには、切削せずに残していった2本目の溝1を、先頭にたって切削する刃先2c1によって切削すれば良く、このためには、先に説明した方の、本数kを偶数に設定すれば良いことになる。
このため、円筒状基材10Aの全円周長での溝1の本数は、偶数に設定することが好ましい。
[大きな傾斜角θ]
なお、切削工具2が回転軸方向Daに一端3sから他端3eまで移動する間に、円筒状基材10Aを円周方向Dfに一定の角速度で回転させながら、且つ円筒状基材10Aを1回転させない範囲内で、溝1を切削加工すれば、略平行よりも傾斜角θが大きい溝1を有するプリズムシート型も製造可能である。ただし、円筒状基材10Aを1回転以上、回転させると、溝1はネジ溝の様に螺旋状となる。最大でも1回転させない範囲内、つまり、1回転未満とすれば、非螺旋の溝1を形成したプリズムシート型を製造することができる。
《3》プリズムシート
図9は、本発明によるプリズムシート20の一実施形態を説明する図であり、図9(a)は平面図、図9(b)は断面図である。
本実施形態のプリズムシート20は、透明基材21と、この透明基材21の面上に形成され、柱状の単位プリズム4がその延在方向を互いに平行にして複数配列したプリズム構造を有するプリズム層22と、を含み、
単位プリズム4は、プリズムシート20のシート面として透明基材21の面に垂直な方向から観察したときの単位プリズム4の稜線が折れ線形状をしており、
透明基材21は、単位プリズム4の延在方向Dvに対して、直交しているか、或いは80°以上90°未満で略直交している、遅相軸Asを有する。
さらに、本実施形態のプリズムシート20は、単位プリズム4の稜線が、隣接する単位プリズム4同士で互いに独立した折れ線形状となっている。さらに、本実施形態においては、前記折れ線形状が不規則な折れ線形状となっている。このため、単位プリズム4の配列ピッチPの配列の継ぎ目を、よりいっそう目立たなくさせている。
なお、前記「略直交」を80°以上90°未満とするのは、透明基材21の遅相軸Asの面内バラツキを許容することを考慮した角度範囲とするためである。
[透明基材21]
透明基材21としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリオレフィン系樹脂等の透明樹脂材料を用いることができる。これらの透明樹脂材料は、延伸処理されたものを用いることができる。
透明基材21は、シート、フィルム、板のいずれの形態でも良い。例えば、実用上、透明基材21の厚さは、25μm〜5mm等である。
[プリズム層22]
プリズム層22は、前記したプリズムシート型10を用いて容易に形成することができる。
プリズム層22は、好適には帯状の透明基材21に対して、樹脂液を接触させ且つ該樹脂液をプリズムシート型10と前記透明基材21とで挟んだ状態で、硬化反応等の化学反応或いは冷却によって固化させる成形法によって形成することができる。樹脂液に紫外線や電子線等の電離放射線で硬化する電離放射線硬化性樹脂を使用して電離放射線で硬化させる場合は、所謂2P法(フォトポリマー法)と呼ばれている。
或いは、プリズム層22は、熱可塑性樹脂を用いた押し出し成形法によって形成することもできる。
本実施形態におけるプリズムシート20は、透明基材21として、延伸処理されたポリエチレンテレフタレートからなる透明樹脂フィルムを用い、このフィルムの面上に、アクリル樹脂系の電離放射線硬化性樹脂の硬化物からなるプリズム層22として多数の単位プリズム4を有する。
[その他の層]
透明基材21のプリズム層22が形成された面とは反対側の面には、その他の層が適宜積層されていても良い。例えば、反射防止層、着色層などの光学機能層、ハードコート層、粘着剤層などの、光学シートにおいて公知の各種機能層を積層することができる。前記光学機能層として、偏光子や、偏光子の両面又は片面に保護フィルムを積層した偏光板などが積層されていても良い。
また、プリズム層22の面にも、プリズム層22の機能に支障を来たさない範囲内で、光学シートにおいて公知の各種機能層を積層することができる。こうした機能層は、例えば、帯電防止層などである。
本発明のプリズムシート20は、その用途は特に限定されない。ただ、本発明のプリズムシート20は、特に、液晶表示パネルの背面側の偏光板乃至は偏光子と共に用いる用途のものとして好適である。液晶表示パネルに適用される偏光子乃至は偏光板の透過軸及び吸収軸と、液晶表示パネルを照明する背面光源からの照明光の集光方向を最適化させて配置される用途に好適である。
1 溝
2 切削工具
2c 刃先
2s シャンク
2c1,2c2 刃先
3 型面
3s 一端(切削開始位置)
3e 他端(切削終了位置)
4 単位プリズム
5 刃物台
6 アクチュエータ
10 プリズムシート型
10A 円筒状基材
20 プリズムシート
21 透明基材
22 プリズム層
40 従来のプリズムシート型
41 溝
50 液晶表示パネル
60 (従来の)プリズムシート
70 光源
100 テレビ
Ar (円筒状基材の)回転軸
As (透明基材の)遅相軸
C (円周方向での)刃先間隔
Da 回転軸方向
Dc 切削加工時の切削工具の揺動方向
Df 円周方向(回転方向に平行な方向)
Dr 半径方向(回転軸と交差し回転軸に接近又は離間する方向)
Dt (偏光子の)透過軸方向
Dv (溝或いは単位プリズムの)延在方向
E 地面
F 屈曲点
G1,G3,G5 型面上の位置(切削開始位置)
G2,G4,G6 型面上の位置(切削終了位置)
L 直線
M (切削工具の)移動ピッチ
P (溝或いは単位プリズムの)配列ピッチ
Pe (最初の溝と最後の溝の間の最後の)配列ピッチ
T 谷線
T1,T2,T3 谷線
TS 仮想的基準谷線
Wi,Wj,Wk (局所的な谷線同士の)間隔
θ 傾斜角(溝の延在方向と回転軸方向との成す角度)

Claims (2)

  1. 外周面の全周に成形しようとする複数の単位プリズムに対応する溝を複数有し、この溝が円筒状のプリズムシート型の回転軸方向に実質的に平行乃至は略平行である、プリズムシート型の製造方法であって、
    少なくとも、切削工具が円筒状基材の回転軸方向に移動して外周面内の型面の一端から他端まで切削している間は、前記円筒状基材は円周方向に常に一定角速度で回転している状態にして、回転軸方向に実質的に平行乃至は略平行な溝を切削加工するに際して、
    前記切削工具を前記回転軸方向に一定速度で移動させつつ、前記円周方向に平行な方向において一定速度で移動するとともに停止も含み得る揺動動作をさせることで、前記円筒状基材の型面に垂直な方向から観察したときに、谷線が折れ線形状となる溝を、切削加工していく、プリズムシート型の製造方法。
  2. 透明基材と、この透明基材の面上に形成され、柱状の単位プリズムがその延在方向を互いに平行にして複数配列したプリズム構造を有するプリズム層と、を含み、
    前記単位プリズムは、前記透明基材の面に垂直な方向から観察したときの前記単位プリズムの稜線が折れ線形状をしており、
    前記透明基材は、前記単位プリズムの延在方向に対して、直交しているか、或いは80°以上90°未満で略直交している、遅相軸を有する、プリズムシート。
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