JP2014015027A - プリズムシート型の製造方法、及びプリズムシート - Google Patents
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Abstract
【解決手段】切削工具2が円筒状基材10Aの回転軸方向Daに移動して外周面内の型面3の一端3sから他端3eまで切削し溝1を切削加工中は、円筒状基材は円周方向Dfに一定の角速度で微回転状態にし、回転軸方向に実質的に平行な溝のプリズムシート型10を製造するに際し、切削工具を円周方向Dfに前進又は後退する移動時は一定速度で移動する揺動動作させて、折れ線形状、例えば隣接する溝同時で互いに独立で不規則な折れ線形状の溝を全円周に亘って切削する。
【選択図】図1
Description
図10の斜視図は、従来のプリズムシート型40を示す。円筒状のプリズムシート型40の外周面の型面には、成形しようとする単位プリズムとは逆凹凸形状の溝41を有する。この溝41は、プリズムシート型40の回転方向でもある円周方向に、平行乃至は略平行に設けられている。溝41が円周方向に完全に平行にリング状に設けられる場合は、単位プリズムの数と同じ本数の溝41が設けられる。溝41が円周方向に略平行に設けられる場合は、1本乃至は複数本の溝41がネジ溝のように螺旋状に設けられる。
なお、同図では、型面上の溝41は全数ではなくそのうちの一部のみを図示してある。
この際、帯状の偏光板と帯状のプリズムシートとを、それぞれ完成品のシートを貼り合わせるのではなく、偏光板は、通常、延伸したポリビニルアルコールフィルムからなる偏光子の両面に保護フィルムを貼り合わせた層構成である為、この保護フィルムとしてプリズムシートを用いれば、さらに低コスト化と薄型化とが図れることになる。
延伸させて製造される偏光子の透過軸Dtは延伸軸に垂直となるから、延伸軸を流れ方向とした帯状の偏光子の透過軸Dtは流れ方向に直交する幅方向である。この偏光子に貼り合せる帯状のプリズムシート60は単位プリズムの延在方向を幅方向としたものを使えば良いことになる。
このため、溝を全円周に亘って切削加工したエンドレスのプリズムシート型において、配列の継ぎ目が存在すると、このプリズムシート型で成形される帯状のプリズムシートからは、配列の継ぎ目の部分は除いた部分からしか製品として採取できない。したがって、帯状のプリズムシートの流れ方向のどの位置からも、流れ方向において自在な寸法で枚葉のプリズムシートを裁断して得ることができず、枚葉のプリズムシートの寸法毎にプリズムシート型が必要になるという問題が生じる。
また、本発明の課題は、透明基材の遅相軸と、単位プリズムの延在方向とが特定の角度関係のプリズムシートを提供することである。
(1)外周面の全周に成形しようとする複数の単位プリズムに対応する溝を複数有し、この溝が円筒状のプリズムシート型の回転軸方向に実質的に平行乃至は略平行である、プリズムシート型の製造方法であって、
少なくとも、切削工具が円筒状基材の回転軸方向に移動して外周面内の型面の一端から他端まで切削している間は、前記円筒状基材は円周方向に常に一定角速度で回転している状態にして、回転軸方向に実質的に平行乃至は略平行な溝を切削加工するに際して、
前記切削工具を前記回転軸方向に一定速度で移動させつつ、前記円周方向に平行な方向において一定速度で移動するとともに停止も含み得る揺動動作をさせることで、前記円筒状基材の型面に垂直な方向から観察したときに、谷線が折れ線形状となる溝を、切削加工していく、プリズムシート型の製造方法。
前記単位プリズムは、前記透明基材の面に垂直な方向から観察したときの前記単位プリズムの稜線が折れ線形状をしており、
前記透明基材は、前記単位プリズムの延在方向に対して、直交しているか、或いは80°以上90°未満で略直交している、遅相軸を有する、プリズムシート。
しかも、全周に切削加工されている溝は、切削加工の最初の溝と最後の溝との配列ピッチと他の部分の配列ピッチとの違いを、溝の配列の継ぎ目として目立ち難くして、精度良く製造できる。
この結果、溝が全周加工されたエンドレスのプリズムシート型が得られ、プリズムシート型で成形される帯状のプリズムシートは、その流れ方向のどの位置からも、流れ方向において自在な寸法で枚葉のプリズムシートを裁断して得ることが可能なプリズムシート型となる。
(2)本発明のプリズムシートによれば、透明基材の遅相軸とプリズムシートの単位プリズムの延在方向とが互いに平行乃至は略平行な関係が好ましい用途に使用可能なシートとすることができる。
プリズムシート型10、及び、円筒状基材10Aに於いて、「略平行」、「実質的に平行」とは、以下の意味である。
「実質的に平行」とは、完全に平行は含まず、完全平行ではないが、完全平行からの傾斜角θがプリズムシート使用時に許容される回転角度以下に収まる角度となることを言う。具体的には、前記許容される回転角度が±0.2°、好ましくは±0.1°とされるから、傾斜角θが−0.2°〜+0.2°の範囲(±0.2°)、より厳しくすれば、−0.1°〜+0.1°の範囲(±0.1°)、さらに厳しくすればこの10倍の安全率をとって、−0.01°〜+0.01°の範囲(±0.01°)、の範囲で完全平行は除いた範囲を意味する。
「略平行」とは、意識的にある程度平行からずらした角度などがこの範疇に入り、前記傾斜角θが−5°〜+5°の範囲内(±5°)であって、上記実質的に平行(最大で±0.2°)は除いた範囲のことを意味する。
溝或いは単位プリズムの「延在方向」とは、溝の谷線、或いは単位プリズムの稜線が、本発明においては、折れ線形状であることから、この折れ線形状を、溝或いは単位プリズムが配列された面、具体的には、溝では円筒状基材の型面、単位プリズムではプリズムシートのシート面に、垂直な方向から、大局的に観察して直線と見なしたときの、この直線の延在方向のことを意味する。
「仮想的基準谷線」とは、谷線に対する、前記大局的に観察したときの直線を意味する。
「仮想的基準谷線」乃至は、前記大局的に観察したときの直線は、数学的には、折れ線が有する全ての屈曲点を用いて、折れ線を最小二乗法によって直線近似して得られた直線と見なすことができる。
「主切断面形状」とは、本来は、折れ線形状の溝或いは単位プリズムにおいて、その折れ線を構成する個々の直線の局所的な延在方向に対して、垂直な面における形状である。ただ、本発明においては、前記折れ線を構成する個々の直線の延在方向は、溝或いは単位プリズムの延在方向に近い。
そこで、本発明においては、「主切断面形状」とは、溝或いは単位プリズムの延在方向に垂直な面における形状を意味する。ただし、本発明においては、溝1に対する前記延在方向は円筒状基材の回転軸方向に対して実質的に平行乃至は略平行と平行に近いので、回転軸方向に垂直である円周方向に平行な断面における形状として捉えても良い。
図1は、溝1を一本ずつ順番に切削加工していき、単位プリズムの延在方向が帯状のプリズムシートの幅方向と完全に平行ではないが、実質的に平行乃至は略平行となるプリズムシートを製造するためのプリズムシート型10を製造する場合である。
XYZ直交座標系では、円筒状基材10Aは、その回転軸Arを地面Eに対して水平にして、切削工具2は前回転軸Arと地面Eから同じ高さの位置を基準にして切削加工することを想定している。そして、XYZ直交座標系では、Z軸方向が回転軸Arの回転軸方向Daであり、Y軸方向が地面Eに対して垂直方向であり、X軸方向が地面Eに対して水平方向であり且つ円筒状基材10Aの回転軸Arと切削工具2の基準高さを結ぶ線分に平行な方向でもある。
前記切削工具2の基準高さとは、切削工具2が前進した位置にも後退した位置にもいない揺動動作の中位点の位置を意味する。
rφz円柱座標系では、z軸方向が円筒状基材10Aの回転軸方向Daであり、φ軸方向が円筒状基材10Aの円周方向Dfであり、r軸方向が円筒状基材10Aの半径方向である。
プリズムシート型10の原型となる円筒状基材10Aの寸法は、幅1600mm、円周長930mm、外周面のうち溝1を形成する領域である型面3の回転軸方向Daに於ける寸法は1350mmである。
形成しようとする溝1の目標寸法は、溝1とは逆凹凸形状の単位プリズムの寸法で、この単位プリズムの主切断面形状が二等辺三角形で、頂角66°、高さ38μm、底辺50μmである。
溝1の円周方向Dfでの配列ピッチPは50μmである。より正確には、溝1の谷線Tの仮想的基準谷線TSに対する配列ピッチPが50μmである。
このため、溝1は、その谷線Tが従来のように直線形状であったと仮定した場合には、円筒状基材10Aの外周面の円周方向Dfに、溝1同士の間に間隔を空けずに形成されることになる。
本実施形態では、切削工具2が型面3の切削開始位置である一端3sから切削終了位置である他端3eまで移動して切削している最中と共に、次に切削工具2が切削終了位置である型面3の他端3eから、次の切削開始位置である一端3sまで移動して復帰している間も、円筒状基材10Aは円周方向Dfに一定の角速度で常に回転している。
回転の向きはどちらでも良いが、図1に示す本実施形態では、円筒状基材10Aの紙面手前側の外周面が、図面で下から上に移動する向きである。
切削工具2は、回転軸方向Daに外周面内の型面3の一端3sから他端3eまで移動して切削している間、円周方向Dfに平行な方向、より具体的にはXYZ直交座標系でY軸方向に、前進又は後退する移動時は一定速度で移動する揺動動作をしている。
前進及び後退の向きはどちらでもよいが、本発明においては、前進とはY軸方向で+方向に移動することとし、後退とはY軸方向で−方向に移動することとする。したがって、
切削工具2の前進は、図面上方への移動に該当し、Y軸で言うと地面Eから遠ざかる方向への移動であり、切削工具2の後退は、図面下方への移動に該当し、Y軸で言うと地面Eに近づく方向への移動とする。
切削工具2は、回転軸方向Daに外周面内の型面3の一端3sから他端3eまで移動して切削している間、円筒状基材10Aの回転軸Arに向かう半径方向Dr(XYZ直交座標系ではX軸方向である)に対しては、変位しない。
こうして、深さ一定で折れ線形状の溝1が全円周に切削加工されたプリズムシート型10が製造される。
溝1の円周方向Dfでの配列ピッチPは、図面では上下方向で実際に比べて誇張して大きく描いてある。
同図では、溝1は、図面上方の溝1から下方の溝1に向かって順番に1本ずつ切削加工される。
同図では、型面3の全領域に対して、溝1は、簡略化して、切削加工の最初の3本と、最後の1本の合計4本のみを代表して描いてある。さらに、切削加工で形成されていく溝1として、円筒状基材10Aの円周面を一周する直前の最後の1本の溝1の次に、最初の1本目の溝1も、型面3の一部と共に示してある。
この後も、同様にして、2本目、3本目、・・・の溝1を切削加工していく。すなわち、ポイントG1からポイントG2に向かう折れ線形状の谷線T1の溝1、ポイントG3からポイントG4に向かう折れ線形状の谷線T2の溝1、ポイントG5からポイントG6に向かう折れ線形状の谷線T3の溝1、・・・・、そして最後に谷線Tkの溝1が順に切削加工されていく。
溝1の谷線Tを、型面3に垂直な方向、つまりrφz円柱座標系でr軸方向から観察したときに示す折れ線形状は、本発明においては、図3に示すような、振幅及び周期が一定な三角波のような規則的な折れ線でも良い。
溝1の谷線Tを折れ線形状とすることで、図2で示す最後の溝1の谷線Tkと、最初に切削加工された溝1の谷線T1との間の間隔、つまり最後の配列ピッチPeが、他の部分の配列ピッチPと完全に等しくなくても、溝1の配列の継ぎ目として目立ち難くして、精度良く製造できる。
このように、溝1の谷線Tが示す折れ線形状は、隣接する溝1同士で互いに独立で不規則な折れ線形状が、より好ましい。こうした折れ線形状は、図2では配列ピッチPeとして示してある、最初と最後の溝1間の配列ピッチPが、他の部分の配列ピッチPと不揃いとなったときに、溝1の配列の継ぎ目を、より効果的に目立ち難くすることができる。また、こうした折れ線形状は、規則性を有する折れ線形状の場合に生じることがあり得る複数の谷線T同士の形状類似性に起因する縞模様を、目立ち難くさせることができる。
不規則とは、折れ線を構成する複数の直線Lについて言えば、直線Lの長さ及び傾きのいずかれ1以上が、溝1の一端3sから他端3eまで一定でないことを意味する。
谷線Tが直線形状の溝1ならば、その延在方向Dvは、谷線Tが示す直線の延在方向に一致する。
谷線Tが折れ線形状の溝1の延在方向Dvは、溝1の谷線Tの折れ線形状を大局的に観察して直線と見なしたときの、この直線の延在方向を意味する。同図で、ポイントG1からポイントG2を結ぶ直線が、前記大局的に観察したときの直線であり、仮想的基準谷線TSである。仮想的基準谷線TSとは、平易に言えば、切削工具2が円周方向Dfに揺動動作をしないで直線形状の溝1を切削加工したと仮定したときの切削工具2の軌跡である。
「仮想的基準谷線TS」は、数学的には、谷線Tの折れ線が有する全ての屈曲点Fを用いて、折れ線を最小二乗法によって直線近似して得られた直線と見なすことができる。
図4で示した谷線Tの不規則な折れ線形状のように、切削工具2の揺動動作は、常に前進又は後退をしている必要はなく、停止している時間があっても良く、停止している時間では同図で言うと、仮想的基準谷線TSに平行な直線部分となる。
切削工具2の円周方向Dfでの揺動動作が、図5で言えば+方向の領域、或いは−方向の領域に入っている時間が、いずれかに極度に偏って大きいと、折れ線形状の屈曲点Fから求めた仮想的基準谷線TS、つまり実際に切削加工された後の溝1の谷線Tを計測して、その屈曲点Fから最小二乗法によって算出した仮想的基準谷線TSと、切削工具2を揺動動作させずに移動させたときの切削工具2の軌跡から求めた仮想的基準谷線TSとに違いが生じる可能性がある。これでもよいが、基本的には、図5のグラフで説明すれば、+の時間と−の時間、より詳しくは、+になっているときの+側の面積と、−になっているときの−側の面積とが同一面積に近くなるようにして、揺動させるのが好ましい。溝1の1本毎の個別の配列ピッチPのバラツキを少なくすることができるからである。このような揺動動作は、精密NC旋盤などに対して、その切削工具2の揺動動作を、予めプログラミングしておくことで、資材の折れ線形状とすることができる。
以上の結果、溝1の延在方向Dvと回転軸方向Daとの平行関係については、溝1が外周面内の型面3の回転軸方向Daでの一端3sから延びて他端3eまで到達した位置では、配列ピッチPの半分の25μmだけ、つまり溝1の2分の1本分だけ円周方向Dfでずれた位置となるため、溝1の延在方向Dvは回転軸方向Daとは完全平行(傾斜角θ=0°)とは言えないが、実質的に平行であると言える。溝1の延在方向Dvの回転軸方向Daに対する傾斜角θは、arctan(0.025mm/1350mm)であるから、傾斜角θ=0.0011°である。従って、溝1は回転軸方向Daに対して充分に平行である。つまり、回転軸方向Daに実質的に平行な溝1が形成される。
なお、各溝1の仮想的基準谷線TSは、切削工具2の軌跡として捉えれば、互いに完全に平行となるが、谷線Tが示す折れ線の屈曲点Fから最初二乗法で求めた直線として捉えれば、完全平行又は実質的に平行となる。
以上のように、本発明の製造方法によれば、円筒状基材10Aの回転軸方向Daに実質的に平行乃至は略平行な溝1を、切削工具2を円筒状基材10Aの回転軸方向Daに移動させて形成するときでも、円筒状基材10Aは常にわずかだが回転している状態で溝1を形成するために、円筒状基材10Aの回転を停止させて形成する際の円周方向Dfでの微妙な円筒状基材10Aのブレによる溝1の不本意な蛇行が回避される。その結果、本発明によれば、延在方向Dvが回転軸方向Daに実質的に平行乃至は略平行な溝1が形成されたプリズムシート型10を精度よく製造できる。
こうして製造されたプリズムシート型1010を用いてプリズムシートを製造すれば、単位プリズムの延在方向Dvがシートの幅方向に実質的に平行な帯状のプリズムシートを連続的に容易に製造できる。
しかも、全周に切削加工されている溝1は、切削加工の最初の溝1と最後の溝1との配列ピッチPeと他の部分の配列ピッチPとの違いを、溝1の配列の継ぎ目として目だち難くして、精度良く製造できる。
円筒状基材10Aとしては、金属製、セラミック製など従来公知のものを用いることができる。
切削工具2としては、切削バイトなど、従来公知のものを用いることができる。切削工具2によって円筒状基材10Aに、谷線Tが折れ線形状の溝1を切削加工するには、公知の精密NC旋盤などを利用することができる。
例えば、図6に示すように、切削工具2を固定する刃物台5の上に、揺動手段としてアクチュエータ6を介して、切削工具2を固定する揺動機構を採用することができる。アクチュエータ6としては、図面でY軸方向の厚みが電圧により変化する圧電素子を用いることができる。この圧電素子にはピエゾ素子などの公知のものを用いることができる。圧電素子に加える電圧を制御することにより、谷線Tが目的とする折れ線形状となる様な、揺動方向DcがY軸方向となる揺動動作を切削工具2に与えることができる。
ところで、切削工具2が回転軸方向Daに移動して溝1を切削加工するとき、具体的には、切削工具2が回転軸方向Daに外周面の型面3の一端3sから他端3eまで移動する間、円筒状基材10Aは角速度ゼロの回転を停止した状態とすれば、回転軸方向Daに完全平行な延在方向Dvを有する溝1を切削加工できることになる。
しかし、旋盤上で、その主軸にチャックで固定された円筒状基材10Aは、制御機構上、回転を停止した状態にしても、実際には微妙に円周方向Dfに前進と後退を繰り返しており、見かけ上停止しているに過ぎないことが判明した。このため、円周方向Dfでの微妙な円筒状基材10Aのブレによる溝1の不本意な蛇行が生じて、精度よく形成できない。
ブレを解消する為に、回転の停止は、円筒状基材10A自体、又は、円筒状基材10Aを旋盤の主軸に保持するチャック等の保持具或いは主軸自体を、一対のブレーキパッドによる対向する押圧力を加えて摩擦力により、一時的に回転を確実に停止させることも可能である。切削工具2が他端3eから一端3sまで復帰動作する間は、回転の停止を解除して、次の切削の位置まで、所定角度分だけ円筒状基材10Aを回転させる。
一方、本実施形態では、円筒状基材10Aは常に一定の角速度で回転させている為に、円滑な切削加工が可能であり、しかも実質的に平行乃至は略平行でブレのない精度の良い溝1の形成が可能である。
本発明は、上記した実施形態以外のその他の形態をとり得る。以下、その一部を説明する。
本発明では、単位プリズムに代えて単位レンズを有する光学シートも「プリズムシート」と呼ぶことにし、その単位レンズも含めて単位プリズムと呼ぶことにする。
本来、「プリズム」とは、主切断面形状において、光が出入りする外面を成す部分が直線からなる光学要素を意味する。一方、「レンズ」とは、本来、主切断面形状において、光が出入りする外面を成す部分が曲線からなる光学要素を意味する。ただし、製造上の誤差により「単位プリズム」でもその頂角に丸みを帯びた形状、またその頂角を意識的に若干の丸みを帯びさせた形状(例えば曲率半径5μm程度の部分円弧)は「単位レンズ」に含めない。
また、単位プリズムと単位レンズが複合化した単位光学要素も「単位プリズム」に含める。
上記実施形態では、円筒状基材10Aは切削工具2が移動して溝1を切削加工時も、切削終了位置である他端3eから切削開始位置である一端3sに復帰動作時も、常に一定の角速度で回転している例であった。
しかし、切削工具2が切削終了位置である他端3eから切削開始位置である一端3sに復帰動作しているときは、回転を一時的に停止させても良い。
この結果、他端3eでの切削終了位置と、一端3sでの次の切削開始位置との円周方向Dfでの位置を同じにして、切削加工できる。
上記実施形態では、切削工具2が溝1を一本ずつ切削加工する例であった。
しかし、切削工具2で、同時に複数本の溝1を切削加工しても良い。例えば、図7に示すように、刃先2cとして刃先2c1と刃先2c2とを、切削工具2の本体である一つのシャンク2sに装着した一つの切削工具2を用いて、同時に2本の溝1を切削加工しても良い。二つの刃先2c1及び刃先2c2は、共に同一形状の溝1を切削できるものを用いてある。
同図は、切削対象の円筒状基材10Aの回転軸Arに平行な方向が紙面に垂直方向となる、側面図である。
同時に2本の溝1を切削加工すれば、全ての溝1を切削加工するに必要な時間を1/2に短縮することができる。
同時に2本の溝1を切削加工すれば、切削工具2が復帰動作中に切削加工していない無駄な時間を埋め合わせることができる。
このため、現実的には、刃先間隔Cは、例えば、大よそ12.000mmを目標に、二つの刃先2c1及び刃先2c2を位置固定して、この刃先間隔Cの正確な寸法と、目標とする配列ピッチPと、円筒状基材10Aの実際の円周長Lとの、三者の寸法関係から、目標とする配列ピッチPを増加乃至は減少させる微調整をして切削加工するのが好ましい。
刃先間隔C=(2n+1)×配列ピッチP (nは0又は正の整数である)、
となる、刃先間隔Cと配列ピッチPとの寸法関係とする。
なお、前記円周方向Dfでの刃先間隔Cは、図1に示したXYZ直交座標系及びrφz円柱座標系、並びに図7で示したXYZ直交座標系からも判るように、Y軸方向での間隔と捉えても良い。
(b)切削工具2を、円周方向Dfで、刃先2cが直前に切削加工された溝1の一端3sでの切削開始位置から、前記刃先2cと同じ刃先2cが、次に切削加工する溝1の一端3sでの切削開始位置まで移動させる移動ピッチMは、溝1の配列ピッチPの2倍とする。つまり、
移動ピッチM=2×配列ピッチP、
となる、移動ピッチMと配列ピッチPとの寸法関係とする。
(c)円筒状基材10Aの円周長Lは、溝1の配列ピッチPの偶数倍とする。
つまり、
円周長L=2×配列ピッチP (nは正の整数である)、
となる、円周長Lと配列ピッチPとの寸法関係とする。
図8(a)が、切削工具2が、最初に、一端3sから他端3eまで切削加工する、第1切削の過程を示す。
図8(b)が、切削工具2が、第1切削の次に、一端3sから他端3eまで切削加工する、第2切削の過程を示す。
図8(c)が、切削工具2が、第2切削の次に、一端3sから他端3eまで切削加工する、第3切削の過程を示す。
以降の切削過程は、最後の切削過程を除いて、図面では省略されている。
本発明においては、二つの刃先2c1及び刃先2c2による切削工具2が、一端3sから他端3eまで移動する毎に、溝1を、順番に、1本目、2本目、3本目、4本目、5本目、・・と切削するのではない。
次に、図8(c)に示すように、第3切削の過程では、再度、切削開始位置は移動ピッチMで図面右側に移動し、5本目の溝1と、8本目の溝1とを同時切削する。
このようにして、第1切削で1本目と4本目と配列ピッチPで3ピッチ離した2本の溝1を同時切削し、次いで第2切削で3本目と6本目の2本の溝1を同時切削し、次いで第3切削で5本目と8本目の2本の溝1を同時切削していく。
このため、残った2本目の溝1を刃先2c1で切削するには、2本目の溝1がk本目の溝1から数えて偶数本目に当たるように、本数kを設定すれば良い。逆に言えば、kを偶数に設定すれば良い。
一方、残った2本目の溝1を刃先2c2で切削するには、2本目の溝1がk本目の溝1から数えて奇数本目に当たるように、本数kを設定すれば良い。逆に言えば、kを奇数に設定すれば良い。しかし、残った2本目の溝1を刃先2c2で切削しているときに、先頭にたって切削する刃先2c1は、既に切削済みの5本目の溝1をなぞることになってしまう。
このような、刃先2c1が既に切削済みの5本目の溝1をなぞる無駄を回避するには、切削せずに残していった2本目の溝1を、先頭にたって切削する刃先2c1によって切削すれば良く、このためには、先に説明した方の、本数kを偶数に設定すれば良いことになる。
なお、切削工具2が回転軸方向Daに一端3sから他端3eまで移動する間に、円筒状基材10Aを円周方向Dfに一定の角速度で回転させながら、且つ円筒状基材10Aを1回転させない範囲内で、溝1を切削加工すれば、略平行よりも傾斜角θが大きい溝1を有するプリズムシート型も製造可能である。ただし、円筒状基材10Aを1回転以上、回転させると、溝1はネジ溝の様に螺旋状となる。最大でも1回転させない範囲内、つまり、1回転未満とすれば、非螺旋の溝1を形成したプリズムシート型を製造することができる。
図9は、本発明によるプリズムシート20の一実施形態を説明する図であり、図9(a)は平面図、図9(b)は断面図である。
単位プリズム4は、プリズムシート20のシート面として透明基材21の面に垂直な方向から観察したときの単位プリズム4の稜線が折れ線形状をしており、
透明基材21は、単位プリズム4の延在方向Dvに対して、直交しているか、或いは80°以上90°未満で略直交している、遅相軸Asを有する。
透明基材21としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリオレフィン系樹脂等の透明樹脂材料を用いることができる。これらの透明樹脂材料は、延伸処理されたものを用いることができる。
透明基材21は、シート、フィルム、板のいずれの形態でも良い。例えば、実用上、透明基材21の厚さは、25μm〜5mm等である。
プリズム層22は、前記したプリズムシート型10を用いて容易に形成することができる。
プリズム層22は、好適には帯状の透明基材21に対して、樹脂液を接触させ且つ該樹脂液をプリズムシート型10と前記透明基材21とで挟んだ状態で、硬化反応等の化学反応或いは冷却によって固化させる成形法によって形成することができる。樹脂液に紫外線や電子線等の電離放射線で硬化する電離放射線硬化性樹脂を使用して電離放射線で硬化させる場合は、所謂2P法(フォトポリマー法)と呼ばれている。
或いは、プリズム層22は、熱可塑性樹脂を用いた押し出し成形法によって形成することもできる。
透明基材21のプリズム層22が形成された面とは反対側の面には、その他の層が適宜積層されていても良い。例えば、反射防止層、着色層などの光学機能層、ハードコート層、粘着剤層などの、光学シートにおいて公知の各種機能層を積層することができる。前記光学機能層として、偏光子や、偏光子の両面又は片面に保護フィルムを積層した偏光板などが積層されていても良い。
また、プリズム層22の面にも、プリズム層22の機能に支障を来たさない範囲内で、光学シートにおいて公知の各種機能層を積層することができる。こうした機能層は、例えば、帯電防止層などである。
2 切削工具
2c 刃先
2s シャンク
2c1,2c2 刃先
3 型面
3s 一端(切削開始位置)
3e 他端(切削終了位置)
4 単位プリズム
5 刃物台
6 アクチュエータ
10 プリズムシート型
10A 円筒状基材
20 プリズムシート
21 透明基材
22 プリズム層
40 従来のプリズムシート型
41 溝
50 液晶表示パネル
60 (従来の)プリズムシート
70 光源
100 テレビ
Ar (円筒状基材の)回転軸
As (透明基材の)遅相軸
C (円周方向での)刃先間隔
Da 回転軸方向
Dc 切削加工時の切削工具の揺動方向
Df 円周方向(回転方向に平行な方向)
Dr 半径方向(回転軸と交差し回転軸に接近又は離間する方向)
Dt (偏光子の)透過軸方向
Dv (溝或いは単位プリズムの)延在方向
E 地面
F 屈曲点
G1,G3,G5 型面上の位置(切削開始位置)
G2,G4,G6 型面上の位置(切削終了位置)
L 直線
M (切削工具の)移動ピッチ
P (溝或いは単位プリズムの)配列ピッチ
Pe (最初の溝と最後の溝の間の最後の)配列ピッチ
T 谷線
T1,T2,T3 谷線
TS 仮想的基準谷線
Wi,Wj,Wk (局所的な谷線同士の)間隔
θ 傾斜角(溝の延在方向と回転軸方向との成す角度)
Claims (2)
- 外周面の全周に成形しようとする複数の単位プリズムに対応する溝を複数有し、この溝が円筒状のプリズムシート型の回転軸方向に実質的に平行乃至は略平行である、プリズムシート型の製造方法であって、
少なくとも、切削工具が円筒状基材の回転軸方向に移動して外周面内の型面の一端から他端まで切削している間は、前記円筒状基材は円周方向に常に一定角速度で回転している状態にして、回転軸方向に実質的に平行乃至は略平行な溝を切削加工するに際して、
前記切削工具を前記回転軸方向に一定速度で移動させつつ、前記円周方向に平行な方向において一定速度で移動するとともに停止も含み得る揺動動作をさせることで、前記円筒状基材の型面に垂直な方向から観察したときに、谷線が折れ線形状となる溝を、切削加工していく、プリズムシート型の製造方法。 - 透明基材と、この透明基材の面上に形成され、柱状の単位プリズムがその延在方向を互いに平行にして複数配列したプリズム構造を有するプリズム層と、を含み、
前記単位プリズムは、前記透明基材の面に垂直な方向から観察したときの前記単位プリズムの稜線が折れ線形状をしており、
前記透明基材は、前記単位プリズムの延在方向に対して、直交しているか、或いは80°以上90°未満で略直交している、遅相軸を有する、プリズムシート。
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