JP5948630B2 - 質量分析を用いた定量分析方法と定量分析装置 - Google Patents

質量分析を用いた定量分析方法と定量分析装置 Download PDF

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本発明は、定量分析方法および定量分析装置に関する。
液体を送液溶媒とし、検出器に質量分析器を用いた定量分析方法において、成分の分離手段を伴わずとも定量分析が可能な方法として、試料溶液を送液溶媒を用いて導入するフローインジェクション分析法(Flow Injection Analysis,FIA)を用いた分析方法(例えば、非特許文献1、非特許文献2など)がある。この定量分析方法は、検出器から出力された信号により試料中の分析対象成分ピークを検出し、ピーク面積またはピーク高さを用いて定量計算を行う。
分析対象成分や試料中に含まれる夾雑物成分によっては、試料導入部から検出器に至るまでの配管などへの吸着、送液溶媒との相性により、ピーク形状がテーリングすることがある。ピーク形状が悪い時の定量は、ピーク高さではなく、ピーク面積で行うことが妥当である(特許文献1参照)。ピーク面積を得るには、テーリングしているピークの信号強度が十分低下する時点まで積分する必要がある。そのため、分析対象成分のピークがテーリングするときは、長い分析時間を要することとなる。
液体試料の質量分析の測定時間を短縮する方法として、特許文献2に記載の方法が開示されている。これは分析対象成分のピークを検出し終えた後に、平衡化の時に送液流量を増大させるというものである。また、特許文献3には、分析中に送液流量を変化させる技術として、ピークパークという方法が開示されている。これは、ピーク検出中は、測定の精度を高めるために、送液流量を低下させる一方で、ピークとピークの間での送液流量は増大させて、全測定時間を短縮する、というものである。
特開平9−269319号公報 特開2006−276021号公報 米国特許第6,858,435号明細書
H.B.Kim et al.,Analytical Science,2000,vol.16,P871-876 K.Kameyama et al.,Biophysical Journal,2006,vol.90,P2164-2169
特許文献2では、ピークにテーリングが発生した場合、テーリングが解消するまで待つ必要があり、定量分析の迅速化という観点からすると、測定時間が長くなるという欠点がある。また、特許文献3では、ピークにテーリングが発生した場合、ピーク面積の測定精度が低下するか、もしくは、ピークパークさせる時間が増大し、測定時間が増加することとなる。
一般に、分析対象成分のピークがテーリングする場合は、送液溶媒や配管材料、試料を溶解する溶媒など、分析条件の最適化を行うことによって、ピーク形状を左右対称またはそれに近い形状となるように工夫する。しかしながら、分析装置や検出器の制限により、やむを得ず最適化ができない場合がある。例えば、試料導入部から検出器に至る分析装置の流路の材質によっては、使用できる溶液のpHや耐圧性に制約が生じる。また、質量分析器を検出器として用いる場合は、不揮発性バッファなどのようなイオン化を阻害する溶媒を用いることができず、ピーク形状の最適化が図れない場合がある。
近年、医療の現場で患者に薬剤を投与する際には、適用する患者の症状に合わせて個別に投与計画を作成することが、有効性・安全性を保障する上で重要となっている。その場合、個々の患者の体内における薬剤の血中濃度を測定することにより、治療域に収まるように用量・用法を最適化する血中濃度モニタリングが行われている。このように、医療の現場にあっては、血液中の特定の成分の含有量を迅速かつ精度よく定量することが強く求められている。
本発明は、このような状況に鑑みなされたものであり、定量分析において、分析時間を短縮し、定量分析の精度を向上させることを課題とするものである。
本発明の発明者らは、ピークのテーリングを抑制するために、送液溶媒の流量を増大させる操作を行うときの判別基準を検討し、ピーク形状が修正されることによって、測定時間が短縮され、定量分析の精度も高まること、ピーク形状が変化しても内部標準物質を添加することにより定量の精度は保障されること、キャリーオーバも同様に低減化できることを見出し、本発明に到達したものである。
即ち、本発明の定量分析方法は、検出器に質量分析器を用いて、送液部から供給される送液溶媒の流れの中に試料を導入する分析法により、前記送液溶媒中の前記試料の分析対象成分を分析し、前記分析対象成分のピークがテーリングしているかどうかを判別して、前記分析対象成分のピークがテーリングしていると判別したときは、前記送液溶媒の送液流量を増大させる、ことを特徴としている。
本発明は、定量分析において、分析時間を短縮し、定量分析の精度を向上させることができる。
本発明の定量分析装置の実施形態の構成を示すブロック図である。 本発明の定量分析装置の実施形態の変形例の構成を示すブロック図である。 分析対象成分ピークのテーリングを説明するためのグラフである。 本発明の定量分析方法の第一の実施形態を示すフローチャートである。 本発明の定量分析方法の第二の実施形態を示すグラフである。 本発明の比較例の生体試料を分析して検出されたピーク形状を示す図である。 本発明の実施形態例の送液流量プログラムである。 本発明の実施形態例の生体試料を分析して検出されたピーク形状を示す図である。
以下に、本発明の実施形態について、具体的な実施形態例を挙げつつ説明する。但し、本発明の実施形態は、以下の実施形態のみに限定されるものではない。
本発明の実施形態の定量分析方法は、検出器に質量分析器を用いて、送液部から供給される送液溶媒の流れの中に試料を導入する分析法の一例として、フローインジェクション分析法により、送液溶媒中の試料の分析対象成分を分析する定量分析方法である。ここで、フローインジェクション分析法とは、試料溶液を送液溶媒を用いてイオン化し、検出器に導入して、分析する方法をいう。特に、多数の試料を連続して分析していくときに適した方法である。
本実施形態では、検出器に質量分析器を用いていることから、ピークの同定をしつつ、定量していくことが可能である。そのため、予め、試料の各成分の厳密な分離を伴わずとも、定量分析を行うことが可能である。
図1は、本発明の定量分析装置の実施形態の構成を示すブロック図である。本定量分析装置Eは、液体の送液溶媒を用いて、液体状試料中の分析対象成分の定量分析を行うものである。主たる構成要素は、送液配管100、送液溶媒タンク101、送液ポンプ102、試料導入部103、送液制御部104、入力部105、検出部106、データ処理部107および表示部108を備えている。
本実施形態の定量分析装置Eの検出部106に用いられる検出器は、質量分析器であれば特に制限はない。質量分析器の種類としては、例えば、飛行時間質量分析器、四重極質量分析器、二次元四重極イオントラップ質量分析器、三次元四重極イオントラップ質量分析器などを挙げることができる。
質量分析器は、選択性及び正確性に優れていることから、医学的な臨床検査の分野において有用である。質量分析器は、対象成分の質量に基づいて測定するため、例えば、代謝物などの類似構造分子との識別が可能な測定装置である。
送液溶媒タンク101、送液ポンプ102、試料導入部103および検出部106は、送液配管100で接続され、送液溶媒と試料が通液される。送液溶媒タンク101に入れる溶媒は、2種類以上の送液溶媒が混合されていてもよいし、送液溶媒タンク101を2つ以上備えて混合しつつ送液してもよいし、分析中にそれらの混合比を変化させることによりピーク形状の改善やピーク検出の迅速化を図ることもできる。
本実施形態の送液溶媒としては、質量分析器において試料をイオン化することができる溶媒であれば、特に制限されない。メタノール、エタノール、アセトニトリルなどを用いることができる。これらの溶媒と酢酸、ギ酸、それらの塩などを溶かした水溶液である揮発性バッファとの混合液を用いることもできる。
本実施形態の送液配管100としては、ピークのテーリングの原因となるため、配管内に分析対象物質が吸着や滞留しないように、配管の材質や形状に留意することが好ましい。また、配管の長さや内径が大き過ぎると、分析対象物質が配管内で拡散してしまい、ピークのテーリングなどを引き起こす原因となる。そのため、配管の長さ、内径などを適切に選択することが重要である。
図2は、本発明の定量分析装置の実施形態の変形例の構成を示すブロック図である。試料導入部103と検出部106の間の送液配管100上に、スプリットバルブ109を設け、不要な送液溶媒を廃液タンク110へと排出することができる。
分析対象成分ピークの定量を、ピークの積算開始時点からピークの積算終了時点までの時間に検出された信号の積算によるピーク面積で定量する場合は、ピークの積算終了時点の検出後は、信号の積算は不要となるため、送液流量を増大させることができる。
一方、分析対象成分ピークの定量を、ピークの積算開始時点からピークトップの時点までの時間に検出された信号の積算によるピーク面積で定量する場合は、ピークトップ検出時点以降の信号の積算は不要となる。このようなときに、不要な送液を検出部106に通液して、検出器の汚染や劣化の原因となることがないように、検出部106の手前に設けたスプリットバルブ109によって、不要な送液を廃液タンク110へと排出することができる。
さらに、スプリットバルブ109によって、不要な余分の送液を排出するときは、検出部106への負担が少なくなるため、十分に送液流量を増大させることができるので、より迅速に次の測定へ移行することが可能となる。この場合、検出部106には、試料導入部103からスプリットバルブ109を経由して送液される配管100とは異なる配管111によって、送液溶媒または洗浄用の溶媒などを、分析開始時の初期流量で流し続けることが好ましい。
本実施形態の定量分析装置および定量分析方法では、上記検出器を備えた検出部106から出力された信号により、試料中の分析対象成分のピークを検出し、そのピーク面積を算出する。合わせて、試料中に特定量添加された分析対象成分に対応する内部標準物質のピーク面積も同様に算出する。そして、両者のピーク面積の比率から、当該分析対象成分の定量を行うことができる。
そのため、内部標準物質は、質量分析器による検出において、分析対象成分と同様の挙動を示し、質量が分析対象成分とはいくつか異なる物質から選ばれる。通常は、分析対象成分の同位体置換体や類似構造体が用いられる。
また、分析対象成分と内部標準物質とは分離されずに、合わせて測定される。これら2つの物質が有する質量に対応する信号は、信号のチャンネルが切り替えられながら、交互に測定される。最低限の定量精度を確保するためには、測定ポイントの数は、通常、1ピークあたり10ポイント以上、十分な精度を得るためには20ポイント以上あることが望ましい。従って、信号のチャンネルが交互に切り替えられながら測定される分析対象成分と内部標準物質の測定ポイントの数の合計は、1ピークあたり、最低でも20ポイント以上、十分な精度を得るには40ポイント以上となることが望ましい。
尚、本発明は、送液部から供給される送液溶媒の流れの中に試料を導入する分析法であれば、フローインジェクション分析法とは異なる定量分析方法・装置にも適用することができる。例えば、液体クロマトグラフのようなクロマトグラフィー装置に検出器として質量分析器を結合させた定量分析方法・装置においても、分析対象物質と同様の流出挙動を示す内部標準物質を適切に選択することにより、適用することができる。
本実施形態の定量分析装置Eのデータ処理部107は、検出部106で検出されたピークの信号データに基づいて、ピークの積算開始時点およびピークの積算終了時点であることを判定し、その後ピーク面積を積算することができる。ピークの積算開始時点およびピークの積算終了時点であることを判定するときの基準については、後述する。
本実施形態においては、定量分析装置Eの検出部106は、分析対象成分のピークを検知し、データ処理部107は、分析対象成分のピークがテーリングしているかどうかを判別する。
以下に、分析対象成分のピークがテーリングしているかどうかを判別するときの基準、即ち、データ処理部107が、検出部106からの信号に基づいて、送液制御部104に対して送液流量を変化させるための信号を発するときのトリガについて説明する。以下、特に断らない限り、ピークとは、分析対象成分あるいはその内部標準物質のピークのことをいい、ピークトップとは、分析対象成分あるいはその内部標準物質のピークの信号強度が最大となった位置のことをいう。
図3は、分析対象成分ピークのテーリングを説明するためのグラフである。ここで、横軸は経過時間、縦軸は信号強度である。図3中のt0は、分析開始以降、ピークの積算開始が検知された時点を示す。tp、Ipは、それぞれ、ピークトップが検出された時点およびピークトップの信号強度である。tp、Ipは、分析中にリアルタイムに決定される。Icは、数式(1)により計算される値である。
Ic=kIp ・・・(1)
ここで、kは、任意の1以下の正数であり、予め装置に入力されている固定値である。tcは、数式(2)により計算される値である。
tc=j(tp−t0) ・・・(2)
ここで、jは、任意の1以上の正数であり、予め装置に入力されている固定値である。kおよびjは、分析対象成分の種類、ピークの挙動、分析の目的などにより、任意に設定することができる。ピーク形状が、左右対称の形状に近いときは、テーリングをピークトップに対して低い部分で精度よく判別できるため、kは、好ましくは0.2以下、さらに好ましくは0.1以下であり、jは、好ましくは2以上、さらに好ましくは2以上で2.5未満である。
ピークがテーリングしていると判別し、送液流量を変化させるトリガは、2種類あり、以下の要件を満足したときである。2種類のトリガのうち、1番目のトリガは、図3(a)に記載されている。2番目のトリガは、図3(b)に記載されている。
1番目のトリガは、ピークトップが検出された時点tp以降で、信号強度がIcに到達したと検出された時点をt(Ic)とすると、t(Ic)>tcであると判定されたときである。
2番目のトリガは、ピークトップが検出された時点tp以降で、経過時間がtcに達した時の信号強度をI(tc)とすると、I(tc)>Icであると判定されたときである。
テーリングの判別に、いずれのトリガを適用するかは、分析対象成分の種類、ピークの挙動、分析の目的などに応じて、任意に選択することができる。
上記のトリガについて、より具体的に以下に説明する。
例えば、任意の正数であるk、jをそれぞれ、k=0.1、j=2とすることにする。このとき、Ic=0.1×Ip、tc=2(tp−t0)となる。つまり、ピークトップの信号強度の1/10となった時点、ピークの積算開始時点からピークトップに至るまでの時間の2倍の時間が経過した時点、の両者が判別の基準となる。
[1]1番目のトリガについて
信号強度はピークトップを経過した後は、低下していく。そして、信号強度が、Ic、つまり、ピークトップの信号強度の1/10となった時点、で判定がなされる。このときの経過時間は、t(Ic)として認定される。このt(Ic)とtc、つまり、ピークの積算開始時点からピークトップに至るまでの時間の2倍の経過時間、とが比較される。
このとき既に、ピークの積算開始時点からピークトップに至るまでの時間の2倍の時間が経過していれば、t(Ic)>tcとなる。即ち、トリガが働くこととなり、この時点以降、送液流量が増大される。一方、ピークの積算開始時点からピークトップに至るまでの時間の2倍の時間が経過していなければ、t(Ic)≦tcとなり、トリガが働くことはなく、この時点以降、送液流量が増大されることはない。
補足すると、図3(a)に示されたグラフのうち、実線の場合には、tp経過後において、信号強度がIcに到達するのは、t(Ic)1の時点であり、t(Ic)1はtcを超えた時点であるので、t(Ic)1>tcとなり、トリガが働くこととなる。一方、図3(a)に示されたグラフのうち、破線の場合には、tp経過後において、信号強度がIcに到達するのは、t(Ic)2の時点であり、t(Ic)2はtcの手前の時点であるので、t(Ic)2<tcとなり、トリガが働くことはない。
[2]2番目のトリガについて
信号強度はピークトップを経過した後は、低下していく。そして、経過時間が、tc、つまり、ピークの積算開始時点からピークトップに至るまでの時間の2倍の時間が経過した時点、で判定がなされる。このときの信号強度は、I(tc)として認定される。このI(tc)とIc、つまりピークトップの信号強度の1/10、とが比較される。
このとき、信号強度がまだ、ピークトップの信号強度の1/10より大きければ、I(tc)>Icとなる。即ち、トリガが働くこととなり、この時点以降、送液流量が増大される。一方、信号強度が既に、ピークトップの信号強度の1/10以下まで低下していれば、I(tc)≦Icとなり、トリガが働くことはなく、この時点以降、送液流量が増大されることはない。
補足すると、図3(b)に示されたグラフのうち、実線の場合には、tp経過後において、経過時間がtcに達した時の信号強度は、I(tc)1であり、I(tc)1は、Icより大きいので、I(tc)1>Icとなり、トリガが働くこととなる。一方、図3(b)に示されたグラフのうち、破線の場合には、tp経過後において、経過時間がtcに達した時の信号強度は、I(tc)2であり、I(tc)2は、Icより小さいので、I(tc)2<Icとなり、トリガが働くことはない。
本実施形態の定量分析装置Eのデータ処理部107は、ピークの積算開始時点、ピークの積算終了時点、ピークトップ時点を検知する。
ピークの積算開始時点の検知は、例えば、分析開始後の経過時間を設定することにより、または信号強度を設定することなどにより、任意に行うことができる。前者の設定による場合は、定量分析装置Eの試料導入部103から検出部106に至る配管の内径および長さによって決まるので、異なる分析対象成分でもおおむね一様の開始の時点を検知することができる。
ピークの積算終了時点の検知は、例えば、任意の信号強度を設定することにより、または最大信号強度の1/xに達した時点とすることなどにより、任意に行うことができる。ここで、xは1以上の任意の正数である。
因みに、例えば、ピーク信号の検出感度が不足していたり、データ処理の方法によっては、ピークの平滑化が不十分であったりすることが考えられる。そのため、設定した所定の信号強度付近を増減して、特定の時点を決定することが困難となることが考えられる。
そのような場合には、設定した任意の信号強度となり続けてからy秒経過後、または最大信号強度の1/x以下になり続けてからz秒経過後、をピークの積算終了時点とすることができる。ここで、xは1以上の任意の正数であり、yおよびzは任意の正数である。なお、ピークの検知方法は上記した方法に限るものではない。
本実施形態の定量分析装置Eの検出部106は、分析対象成分のピークを検知し、データ処理部107は、分析対象成分のピークがテーリングしているかどうかを上記の2種類のトリガのいずれかに基づき判別する。そして、上記トリガが働くと、データ処理部107は、送液制御部104に信号を送り、送液制御部104は、送液ポンプ102を制御して、送液溶媒の送液流量を初期流量よりも増大させる。
ここで、初期流量とは、原則として、ピークの積算開始時点における送液溶媒の送液流量をいう。但し、例えば、ピークを検知するまでは高い送液流量を設定し、ピークを検知するとともに送液流量を低下させるような設定をしている場合には、初期流量とは、ピークを検知するまでの高い送液流量をいうのではなく、ピークを検知後、ピークのテーリングを検知するに至るまでの低下させた送液流量(増大させる前の流量)のことをいう。
送液流量を初期流量よりも増大させることにより、ピークのテーリングは抑制され、テーリングが継続する時間を短縮させることができ、ピーク形状を左右対称またはそれに近い形状となるように改善することができる。その結果、ピーク面積の積算の精度、すなわち定量分析の精度を高めることが可能となる。また、ピークの積算終了時点が早まることとなるため、定量分析に要する時間を短縮することも可能となる。
送液溶媒の送液流量を増大させるときの、送液流量の初期流量に対する倍率Mt(倍)は、任意に設定することができる。また、テーリングしていると判別されたときに、送液流量を増大させてから継続する時間Tt(分)についても、任意に設定することができる。
Mtの上限である最大流量については、用いる配管の上限耐圧に達するときの送液流量、またはピークの信号強度がt0時の信号強度以下とならない送液流量によって決まってくる。送液流量が高過ぎると、ピークの信号強度がt0時の信号強度より低下して、精度の高い定量が困難となるからである。
本実施形態では、予め試料の分析を行い、分析対象成分ピークのテーリングの挙動を把握し、そのテーリングを抑制して、ピーク形状を改善するための送液流量の増大倍率Mtおよび増大した送液流量での継続時間Ttを検討し、その結果を送液制御部107にプリプログラムして実行させることができる。
送液溶媒の送液流量を増大させるときの、送液流量の初期流量に対する倍率Mtについては、上記のように予備検討に基づいて予め固定値として設定してあってもよいし、あるいは、信号強度がt0時の信号強度となるまで徐々に送液流量を増大していき、t0時の信号強度にまで低下した時点で、そのときの送液流量で所定の時間流す、という設定とすることもできる。Mt(倍)は、1を超える任意の正の数である。予め固定値として設定する場合には、Mtは、テーリングを効果的に抑制するためには、好ましくは1.5以上であり、より好ましくは2以上である。Mtが大きい方がテーリングを迅速に終息させることができ、測定時間を短縮させることができる。一方、Mtが小さい方が送液ポンプや送液配管に対する負荷を減らすことができる。
図4は、本発明の定量分析方法の第一の実施形態のフローチャートを示したものである。図4に示したフローチャートに基づいて、以下に説明する。尚、定量分析装置Eは、図1に示したものを用いている。
分析を開始後、定量分析装置Eの検出部106が、分析対象成分のピークを検知し(S1)、定量を開始する。当該ピークのピークトップが検出された後、分析対象成分のピークがテーリングしているかどうかが、前記トリガに基づき、データ処理部107によって判別される(S2)。
当該ピークがテーリングしていないと判別されると(S2→不検知)、送液流量は、増大されることなく、初期流量で送液され(S12)、次の測定へと進む(S13)。
一方、当該ピークがテーリングしていると判別されて、前記トリガが働くと(S2→検知)、データ処理部107は、送液制御部104に信号を送り、送液溶媒の送液流量を初期流量よりも増大させて送液させる(S3)。ここでは、送液流量は、信号強度がt0時の信号強度に近づくまで徐々に増大されていく。信号強度が、t0時の信号強度となった時点で、直ちにその時の送液流量に固定され、一定流量で、所定の時間、送液が継続される(S4)。ここで、増大された送液量による継続時間は、任意に設定することができる。
試料の測定前に、試料中の成分について予備検討を行い、その結果に基づいて、適正な送液流量プログラムを作成し、送液溶媒の送液流量を初期流量よりも増大させるときの送液流量およびその増大された送液量による継続時間を送液制御部104にプリプログラムしておき、そのプログラムに従って送液流量を変化させてもよい。
所定の時間が経過した後、送液流量は初期流量に戻されて送液される(S5)。
送液流量を初期流量に戻したときに、信号強度が、t0時の信号強度に比べて無視できないほど大きな信号強度となった場合は、キャリーオーバとして検知されて(S6→Yes)、再び送液流量を増大させて(S7)、所定の時間送液され(S8)、その後初期の流量に戻される(S9)。一方、送液流量を初期流量に戻したときに、信号強度が、t0時の信号強度に比べて無視できるほど小さな信号強度の場合は、キャリーオーバは検知されず(S6→No)、次の測定に進むことができる(S11)。ここで、t0時の信号強度に比べて無視できないほど大きな信号強度、増大させるときの送液量、増大させた送液量による継続時間、については、いずれも任意に設定することができる。
キャリーオーバとして検知されたときは、送液流量を増大させて(S7)、増大した一定流量で、所定の時間、送液が継続される(S8)。所定の時間が経過した後、再び、送液流量は初期流量に戻されて送液される(S9)。
上記の送液流量の増大と初期流量への減少という操作は、初期流量に戻したときの信号強度がt0時の信号強度に比べて無視できる大きさになるまで、繰り返し行われる(S7〜S10)。そして、送液流量を初期流量に戻したときに、信号強度が、t0時の信号強度に比べて無視できるほど小さな信号強度となった場合は、キャリーオーバは検知されず(S10→No)、次の測定に進むことができる(S11)。
このように、キャリーオーバが検知されなくなるまで上記の操作を自動的に繰り返し行うことを送液制御部にプリプログラムして実行させることができる。さらに、分析対象成分のピークの終了点を検出した後、送液溶媒の送液流量を初期流量に戻すまでの経過時間、キャリーオーバを検知したときに増大させる送液溶媒の送液流量およびキャリーオーバを検知したときに増大させた送液溶媒の送液時間、を送液制御部にプリプログラムして実行させることができる。
キャリーオーバは、配管内に付着している残渣、コンタミなどに基づくものであり、次の分析に持ち越されて、分析精度に影響を与える。また、送液流量を減少させたときにも、イオン化効率が改善されて、キャリーオーバと見なされる信号が検知されることもある。
次に、本発明の定量分析方法の第二の実施形態として、より迅速な分析が必要であるときの分析方法について、図5に示したグラフに基づいて説明する。尚、定量分析装置Eは、図1に示したものを用いている。
図5(a)は、横軸に時間、縦軸に信号強度を取り、図5(b)は、横軸に時間、縦軸に送液流量を取り、[a]〜[h]の工程に区切って、送液流量の変化の流れを示している。
より迅速な分析が必要であるときは、分析対象成分のピークが検出され、ある任意の信号強度以上となるまで送液流量を増大させて分析することができる。
まず、分析の開始後、分析対象成分のピークが検出されるまでは、第一の実施形態の初期流量よりも高い流量にて送液される[a]。
信号強度がある任意の信号強度以上となり、分析対象成分のピークが検出され始めると、その信号強度の増大を検知して、送液流量を低下させ、所定の任意の流量となったら一定流量で送液する[b]。
ピークのピークトップが検出された後、分析対象成分のピークがテーリングしているかどうかが、第一の実施形態と同様に、判別され、テーリングしていると判別されたときには、前記トリガが働き、t0時の信号強度に近づくまで、徐々に送液流量が増大される[c]。尚、ここで、t0時は、分析開始以降、ピークの積算開始が検知された時点を示す。
信号強度が、t0時の信号強度となった時点で、直ちにその時の送液流量に固定され、一定流量で、所定の時間、送液が継続される[d]。
その後、[b]における低下した所定の送液流量まで低下させて、所定の任意の時間送液される[e]。この時、[b]における信号強度に比べて無視できないほど大きな信号強度となった場合、キャリーオーバとして検知され、キャリーオーバがなくなるまで送液の増大・減少が繰り返される。このときの送液の増大・減少の状況については図示されていない[e]。
キャリーオーバがないことを検知すると、[a]と同じ送液流量に増大し、一定流量で送液を行い、次のピークの測定に進む[f]。
[f]は、[a]と同じ工程であり、以後、同様の送液流量の増減が繰り返されながら、自動で分析が行われることとなる。
図1および図2に示された、本発明の定量分析装置の実施形態のいずれを用いても、図4のフローチャートに基づいた第一の実施形態の定量分析方法、あるいは図5のグラフに示された[a]〜[h]の工程に基づいた第二の実施形態の定量分析方法を実施することができる。即ち、分析対象成分のピークがテーリングしているかどうかを判別し、ピークがテーリングしていると判別したときには、送液溶媒の送液流量を初期流量よりも増大させて、ピークのテーリングを抑制し、定量分析に要する時間を短縮し、定量分析の精度を高めることができる。また、送液流量を初期流量に戻したときに、キャリーオーバの有無を検知して、キャリーオーバが検知されなくなるまで、洗浄が繰り返し行われる。
分析対象成分のピークがテーリングしていると判別されて、前記2種類のトリガのいずれかを自動的に働かせるためには、分析開始時点からピークトップ検出時点までの時間の1倍以上の時間、もしくはピークトップの信号強度の1未満の比率を、送液制御部に予めプリプログラムしておく。このとき、分析対象成分のピークがテーリングしていると判別されたときに、自動的に送液溶媒の送液流量を初期流量よりも増大させるときの、増大させる送液溶媒の送液流量を送液制御部にプリプログラムして実行させることができる。
さらに、検出ピークの形状がブロードであることが既知である分析対象成分または夾雑物が多く含まれる試料の分析を行う場合は、制御部104に送液流量プログラムをプリプログラムして、分析を実行させることができる。
一方、検出ピークの形状が未知の分析対象成分の分析を行う場合は、前記2種類のトリガのいずれかに基づき、データ処理部107によって、ピークがテーリングしていると判別されると、送液制御部104に信号が送られ、送液流量の変化を自動化させることが可能である。
また、キャリーオーバが検知されなくなるまで自動的に洗浄を繰り返し行うことをプリプログラムして実行させることができる。
次に、本発明の定量分析方法の第一の実施形態を、実施形態例・比較例に基づいてさらに説明する。質量分析器を検出器として用い、生体試料を検体とする定量分析装置における測定例を以下に示す。
図6に、本発明の比較例として、特定の生体試料を検体として、一定の送液流量(0.1mL/min)という条件で分析して、検出されたピークを示した。ここで、横軸は時間(min)、縦軸は信号強度(cps)である。
分析対象成分のピーク形状は、非常にブロードなものとなっている。ピークトップは分析開始から0.2分で検出されるが、ピーク形状はブロードであり、2分経過後もピークの終了点が検出されない。
このような分析対象成分に関する分析の場合、ピークの積算終了時点が検出されるまで測定を続ける場合は、非常に長い測定時間が必要となり、定量精度も高いものとはなり得ない。また、測定を途中で打ち切ると、次の分析において、キャリーオーバが発生してしまうことになり、定量精度に問題が生じることとなる。
通常はここで、送液溶媒の再検討を行い、分析条件を最適化することを行うが、本比較例のように、検出部に質量分析器を用いている場合、イオン化抑制を引き起こすような送液溶媒は使用することができないため、テーリングを抑制するための分析条件の最適化には限界がある。
次に、本発明の定量分析方法の第一の実施形態の実施形態例を、表1、図7および図8を用いて説明する。
本実施形態例は、上記比較例と同じ特定の生体試料を検体として用い、同一の送液溶媒を用いて行った。
本実施形態例の分析においては、図6に示すように、分析対象成分のピークがブロードであることが既知であり、ピークの開始時点、ピークトップの検出時点が既知であったため、増大させたときの送液流量として、テーリングをある程度抑制することができ、信号強度がt0時の信号強度以下とならない送液流量を選定した。選定した送液流量に基づいて、送液流量プログラムを作成し、送液制御部にプリプログラムした。
Figure 0005948630
プリプログラムした送液流量プログラムを表1および図7に示した。本実施形態例では、送液流量は、ピークトップの検出後に最大で、初期送液流量の3倍となるように設定されている。図6のピークと同じ分析対象成分を、最適化した送液流量プログラムを用いて分析した結果を図8に示した。本実施形態の定量分析方法および定量分析装置を用いて分析したところ、ピークの積算終了時点が1.2分に検出された。
図6に示す比較例ではピークの積算終了時点が2分以上であったので、約2倍以上、スループットが向上することとなった。また、例えば、ピークの積算終了時点を1.2分に固定した場合、図8に示す本発明の実施形態例では、1.2分の時点の信号強度は、ほとんど無視できる信号強度であるが、図6に示す比較例では、1.2分の時点の信号強度は、ピークトップの信号強度の1/20程度の信号強度である。そのため、洗浄工程を挟まずに次の分析を行った場合は、キャリーオーバが起こり得る。すなわち、上記分析対象成分の定量分析において、本実施形態を用いて分析した場合は、一定の送液流量にて分析した比較例と比べて、大幅な測定時間の短縮と分析対象成分によるキャリーオーバを防ぐことが可能となった。
また、3回繰り返して測定を行った際のピーク面積の相対標準偏差を比較すると、一定流量で送液した比較例では2.9%、本発明を用いた実施形態例では1.4%となり、本発明を用いることで測定誤差が半減することが分かった。
ここで、分析を迅速に行いたいという観点からすると、初めから増大した送液流量で一定に送液すればよいのであるが、検出器に質量分析器を用いる場合は、以下に述べるような種々の問題点が存在する。定量分析の精度に流量依存性が存在し、送液流量が大きいと一般に検出器の感度が悪くなる。また、質量分析器におけるイオン化には、最適な流量が存在するため、流量を増大することには限界がある。さらに、測定ポイントの間隔を狭めることには制約があるため、ピーク幅が狭いと、ピークあたりの測定ポイントが少なくなり、ピークのプロットの精度が低下し、定量分析の精度を悪化させる。そのため、少なくともピークの開始時点からピークトップの検出時点までは、十分な感度と十分な測定ポイント数が得られるように、適切な範囲内の送液流量で分析することが好ましい。
本実施形態によれば、分析対象成分のピークの前半は、イオン化に適した送液流量で、十分に検出器の感度が高い条件で測定が行われ、ピークの後半は、イオン化抑制を引き起こさない程度まで段階的に送液流量が増大させて測定が行われるので、検出器の感度や定量分析の精度などにおける問題点を生じることなく、迅速な分析が可能である。
本実施形態例では、ピークの開始時点から終了時点までの信号を用いてピーク面積を測定して定量を行ったが、ピークの開始時点からピークトップ時点までの信号を用いてピークの前半の面積を測定して定量を行うことも可能である。その場合は、ピークトップの検出時点以降は、送液流量は本実施形態例よりも増大させることができるため、分析時間のさらなる短縮が可能となる。このとき、送液流量の上限は、装置や配管などの耐圧性に依存することとなる。
また、ピークトップの検出時点以降、送液流量を増大させ、その後送液流量を初期流量に戻すこととなるが、この時も、キャリーオーバが検知されると、図4に示したように、送液流量の増大と初期流量への減少を繰り返して、キャリーオーバがなくなったことが検知されて初めて、次の分析を開始することができる。
本実施形態は、質量分析器がクルードな試料の分析にも適用し得ることもあって、生体内物質を含有する試料の定量分析に有効に用いることができる。ここで、生体内物質を含有する試料とは、血液、血清、血漿、リンパ液、尿、痰、汗、などの生体に由来する種々の試料を挙げることができる。また、生体内物質とは、たんぱく質、ペプチド、脂質、多糖類、医薬、代謝物、などの低分子から高分子に至る種々の物質を挙げることができる。
質量分析法は、対象成分の質量に基づいて測定するため、代謝物などの類似構造分子との識別が可能な測定技術である。さらに、MS/MS解析やMSn解析などの質量分析法を複数組み合せる手法は、検知した対象成分ピークを、さらにフラグメント化した後に、再び質量分析を行うことにより、類似構造成分同士を高精度に識別することが可能である。
そのため、本実施形態は、その検出部において、MS/MS解析やMSn解析などを活用して、質量分析器を複数組み合せることにより、生体内物質の定量という目的に特に適性を有したものである。
本実施形態は、予め、分析対象となる生体内物質が明らかとなっていて、多数の検体内に含有される当該特定の生体内物質の量を連続して分析して、データを蓄積していくような場合に特に有効である。例えば、健康診断において、多数の患者の尿検査を行い、特定の代謝物の尿中濃度を迅速に計測していくようなときに使用できる。あるいは、一人の患者に医薬を投与して、その代謝物の血中濃度を経時的に定量して、血中濃度を管理するようなときに使用できる。あるいは、患者の体内に存在する特定の生体内物質の含有濃度を迅速に精度よく測定することが求められる血中モニタリング、例えばTDM(Therapeutic Drug Monitoring)のような治療方法において、非常に有用なものである。
本実施形態においては、定量分析にかける前に、試料を予め前処理することができる。
フローインジェクション分析法では、試料を、分析対象物質とそれ以外の成分とを分離しないで、送液溶媒とともにイオン源に導入することができる。そのため、生体内物質を含有する試料を扱う際には、分析対象物質以外にも多数の成分を含んでおり、正確な定量分析の妨げとなる場合もある。また、塩類などが共存していると、試料のイオン化を妨害して、定量の精度低下をもたらすことがある。そのため、生体内物質を含有する試料を分析するような場合には、本実施形態の定量分析装置において、試料を前処理する前処理部を備えた装置とすることが望ましい。前処理の内容としては、脱塩処理、膜やフィルターによるろ過、pH調整、たんぱく質除去処理などがある。
本実施形態は、生体内物質に由来する夾雑成分の影響によりピーク形状が悪化するような場合において、ピークのテーリングの影響を低減させて、分析精度を上げ、分析時間を短縮させ、前処理操作から測定までを、自動化された検査装置として利用することができるものである。
尚、本発明は、高速液体クロマトグラフのようなピークにテーリングが生じ得るクロマトグラフィー装置にも適用できるのは自明である。
100、111・・・送液配管
101・・・送液溶媒タンク
102・・・送液ポンプ
103・・・試料導入部
104・・・送液制御部
105・・・入力部
106・・・検出部
107・・・データ処理部
108・・・表示部
109・・・スプリットバルブ
110・・・廃液タンク

Claims (8)

  1. 検出器に質量分析器を用いて、送液部から供給される送液溶媒の流れの中に試料を導入する分析法により、前記送液溶媒中の前記試料の分析対象成分を分析し、
    前記分析対象成分のピークがテーリングしているかどうかを判別して、
    前記分析対象成分のピークがテーリングしていると判別したときは、前記送液溶媒の送液流量を増大させる、
    ことを特徴とする、定量分析方法。
  2. 前記分析法がフローインジェクション分析法であり、
    前記送液溶媒中の試料の分析対象成分を、前記分析対象成分と合わせて測定する内部標準物質との比率によって定量分析することを特徴とする、請求項1記載の定量分析方法。
  3. 前記分析対象成分のピークがテーリングしていると判別するときのトリガが、
    分析開始時点以降、前記分析開始時点からピークトップ検出時点までの時間の1倍以上の任意の時間が経過した時点での、前記分析対象成分の信号強度が、前記ピークトップの信号強度の1以下の任意の比率以上であること、を検知すること
    である請求項1または2に記載の定量分析方法。
  4. 前記分析対象成分のピークがテーリングしていると判別するときのトリガが、
    前記分析対象成分のピークトップ検出後、前記分析対象成分の信号強度が、前記ピークトップの信号強度の1以下の任意の比率となったことが検出された時点の、分析開始時点からの経過時間が、前記分析開始時点から前記ピークトップ検出時点までの時間の1倍以上の任意の時間であること、を検知すること
    である請求項1または2に記載の定量分析方法。
  5. 前記分析対象成分のピークの終了点を検出した後、任意の時間経過後に送液溶媒の送液流量を初期流量に戻した際に、キャリーオーバの有無を判別し、キャリーオーバを検知すると、任意の時間送液流量を増大させ、その後送液流量を初期流量に戻し、再びキャリーオーバの有無を判別し、キャリーオーバが検知されなくなるまで以上の操作を繰り返し行う請求項1〜4のいずれか1項に記載の定量分析方法。
  6. 前記試料が、生体内物質を含有するものである請求項1〜5のいずれか1項に定量分析方法。
  7. 送液溶媒を送液する送液ポンプと、
    前記送液溶媒が送液される配管と、
    前記送液溶媒中に試料を導入する試料導入部と、
    検出器に質量分析器を用い、分析対象成分を検出する検出部と、
    前記検出部から出力された信号を処理し、前記分析対象成分のピークがテーリングしているかどうかを判別するデータ処理部と、
    前記分析対象成分のピークがテーリングしていると判別されたときに、前記送液溶媒の送液流量を増大させることができる送液制御部と、
    を備えることを特徴とする、定量分析装置。
  8. 生体内物質を含有する試料を前処理する前処理部を備えた請求項に記載の定量分析装置。
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