JP5948326B2 - テトラヒドロイソキノリン誘導体の塩および溶媒和物 - Google Patents

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Description

関連出願
本出願は2010年7月21日出願の米国仮出願第61/366,367号の恩典を主張し、その全体が参照により本明細書に組み入れられる。
発明の分野
実質的に純粋な形態の(S)-2-(ジフェニルアセチル)-1,2,3,4-テトラヒドロ-6-メトキシ-5-(フェニルメトキシ)-3-イソキノリンカルボン酸がそのナトリウム塩および溶媒和物と共に記載される。該化合物、そのナトリウム塩およびその溶媒和物、ならびにそれらを含む薬学的組成物を調製するための方法も記載される。
発明の背景
PD 126055として知られるラセミ体の一方の鏡像異性体である(S)-2-(ジフェニルアセチル)-1,2,3,4-テトラヒドロ-6-メトキシ-5-(フェニルメトキシ)-3-イソキノリンカルボン酸は、2型アンジオテンシンII(AT2)受容体アンタゴニストであり、米国特許第5,246,943号(特許文献1)およびKlutchko et al., 1994, Bioorg. & Med. Chem. Lett., 4:57-62(非特許文献1)に記載されている。
最近、AT2受容体アンタゴニストは疼痛、特に炎症性疼痛(国際公開公報第2007/106938号(特許文献2))および神経因性疼痛(国際公開公報第2006/066361号(特許文献3))を処置する上で有用であると同定され、(S)-2-(ジフェニルアセチル)-1,2,3,4-テトラヒドロ-6-メトキシ-5-(フェニルメトキシ)-3-イソキノリンカルボン酸が薬物候補として同定された。
Figure 0005948326
化合物1は、ラセミ体からα-メチルベンジルアミン塩の再結晶によって得られた(米国特許第5,246,943号(特許文献1))。しかし、この方法は、薬学的目的に必要な高レベルの化学的および鏡像異性的純度を有する十分な量の化合物1を与えない。
ラセミ体、すなわち(R,S)-2-(ジフェニルアセチル)-1,2,3,4-テトラヒドロ-6-メトキシ-5-フェニルメトキシ)-3-イソキノリンカルボン酸は結晶性化合物であり、2つの異なる結晶形が本発明者らによって同定されたが、化合物1は非晶質化合物であり、著しい努力にもかかわらず、該化合物の結晶形は同定されなかった。薬学的目的で化合物1を開発することには以下を含む著しい困難が存在する。
1. 高価で時間のかかるクロマトグラフィー方法に依存せずに非晶形を薬学的目的に必要なレベルまで精製することは困難である。
2. 化合物1の非晶形は、薬学的使用に許容されるレベルまで除去することが困難な残留溶媒を保持する。
3. 化合物1の非晶形は非常に低い水溶解度を有し、これによりその経口バイオアベイラビリティが限定される。
許容される化学的純度および鏡像異性的純度で大量に得ることができ、かつ許容される水溶解度を有する形態を含む、薬学的開発に好適な化合物1の形態が必要である。
本発明は少なくとも部分的に、化合物1のナトリウム塩が非常に結晶性の高い溶媒和物を形成する傾向があったという発見に基づき、この溶媒和物は、製造プロセスの間にテトラヒドロイソキノリン環のキラル3位において何らかのエピマー化が起こる場合に、再結晶によって、この材料を向上した化学的純度で製造することを可能にするだけでなく鏡像異性的純度を向上させることも可能にする。ナトリウム塩は良好な経口バイオアベイラビリティ特性を有することもわかった。
米国特許第5,246,943号 国際公開公報第2007/106938号 国際公開公報第2006/066361号
Klutchko et al., 1994, Bioorg. & Med. Chem. Lett., 4:57-62
第1の局面では、(S)-2-(ジフェニルアセチル)-1,2,3,4-テトラヒドロ-6-メトキシ-5-(フェニルメトキシ)-3-イソキノリンカルボン酸のナトリウム塩、およびその溶媒和物が提供される。
特定の態様では、ナトリウム塩は非晶形である。他の態様では、ナトリウム塩は結晶性溶媒和物、特にエタノール和物、イソプロパノール和物または水和物の形態である。いくつかの態様では、水和物は一水和物、二水和物、三水和物、四水和物または1〜5の間の完全もしくは部分水和物である。いくつかの態様では、水和物は約2個〜約5個の水分子を有する。
別の局面では、実質的に純粋な形態の(S)-2-(ジフェニルアセチル)-1,2,3,4-テトラヒドロ-6-メトキシ-5-(フェニルメトキシ)-3-イソキノリンカルボン酸が提供される。
特定の態様では、本化合物は>97%eeの鏡像異性的純度および/または>96%の化学的純度を有する。
本発明の別の局面では、(S)-2-(ジフェニルアセチル)-1,2,3,4-テトラヒドロ-6-メトキシ-5-(フェニルメトキシ)-3-イソキノリンカルボン酸、そのナトリウム塩、または該ナトリウム塩の溶媒和物を薬学的に許容される担体、希釈剤または賦形剤と共に含む薬学的組成物が提供される。
いくつかの態様では、本組成物はナトリウム塩を含む。いくつかの態様では、本組成物は特に経口送達用の固体形態である。いくつかの態様では、ナトリウム塩は非晶形である。
本発明のさらに別の局面では、
(i) (S)-2-(ジフェニルアセチル)-1,2,3,4-テトラヒドロ-6-メトキシ-5-(フェニルメトキシ)-3-イソキノリンカルボン酸をナトリウムアルコキシドで処理する工程;
(ii) 得られた(S)-2-(ジフェニルアセチル)-1,2,3,4-テトラヒドロ-6-メトキシ-5-(フェニルメトキシ)-3-イソキノリンカルボン酸のナトリウム塩の結晶性アルコール溶媒和物を形成する工程; および
(iii) 工程(ii)において形成された溶媒和物を再結晶させる工程
を含む、(S)-2-(ジフェニルアセチル)-1,2,3,4-テトラヒドロ-6-メトキシ-5-(フェニルメトキシ)-3-イソキノリンカルボン酸のナトリウム塩を調製する方法が提供される。
一態様では、ナトリウムアルコキシドはナトリウムエトキシドである。特定の態様では、結晶性溶媒和物はエタノールまたはイソプロパノール溶媒和物、特にイソプロパノール溶媒和物である。
いくつかの態様では、工程(ii)において形成された結晶性アルコール溶媒和物の溶媒和物分子が工程(iii)の前、途中または後に別の溶媒和物分子に交換される。特定の態様では、工程(ii)において得られた結晶性アルコール溶媒和物はエタノール溶媒和物であり、工程(iii)における再結晶は、イソプロパノールを含む溶媒中で実現され、したがって、工程(iii)において得られる結晶性溶媒和物は化合物1のナトリウム塩のイソプロパノール溶媒和物となる。いくつかの態様では、工程(iii)の再結晶は非水性有機溶媒中で行われる。
本方法は、溶媒和物内のアルコールを水分子に交換することでナトリウム塩の非晶質または結晶性水和物を調製する工程をさらに含みうる。
本方法は、アルコール溶媒和物または水和物を乾燥させることで(S)-2-(ジフェニルアセチル)-1,2,3,4-テトラヒドロ-6-メトキシ-5-(フェニルメトキシ)-3-イソキノリンカルボン酸の非晶質ナトリウム塩を得る工程をさらに含みうる。いくつかの態様では、乾燥は凍結乾燥による。
本方法は、ナトリウム塩を酸性化することで実質的に純粋な形態の(S)-2-(ジフェニルアセチル)-1,2,3,4-テトラヒドロ-6-メトキシ-5-(フェニルメトキシ)-3-イソキノリンカルボン酸を得る工程をさらに含みうる。
なおさらなる局面では、
(i) (S)-1,2,3,4-テトラヒドロ-6-メトキシ-5-(フェニルメトキシ)-3-イソキノリンカルボン酸のイソキノリン窒素原子を下記式の活性化環状アミドでアシル化する工程:
Figure 0005948326
式中、A環は5員窒素含有複素環である; および
(ii) アルコール溶媒中で工程(i)の生成物をアルコキシド塩によって処理する工程
を含む、(S)-2-(ジフェニルアセチル)-1,2,3,4-テトラヒドロ-6-メトキシ-5-(フェニルメトキシ)-3-イソキノリンカルボン酸のナトリウム塩のアルコール溶媒和物を調製する方法が提供される。
いくつかの態様では、5員窒素含有複素環はピラゾール、ピロール、イミダゾール、1,2,3-トリアゾールまたは1,2,4-トリアゾール、特にピラゾールである。いくつかの態様では、アルコキシド塩はナトリウムエトキシドである。いくつかの態様では、アルコール溶媒はエタノールである。
本明細書において言及されるすべての刊行物および特許出願は、個々の刊行物または特許出願が参照により組み入れられるように具体的かつ個々に指示される場合と同程度に、その全体が参照により組み入れられる。
[本発明1001]
(S)-2-(ジフェニルアセチル)-1,2,3,4-テトラヒドロ-6-メトキシ-5-(フェニルメトキシ)-3-イソキノリンカルボン酸のナトリウム塩、およびその溶媒和物。
[本発明1002]
非晶形である、本発明1001のナトリウム塩。
[本発明1003]
結晶性溶媒和物の形態である、本発明1001のナトリウム塩。
[本発明1004]
溶媒和物が、エタノール溶媒和物、イソプロパノール溶媒和物、または約2個〜約5個の水分子を有する水和物である、本発明1003のナトリウム塩。
[本発明1005]
溶媒和物がエタノールまたはイソプロパノール溶媒和物である、本発明1004のナトリウム塩。
[本発明1006]
溶媒和物が、約2個の水分子を有する水和物である、本発明1004のナトリウム塩。
[本発明1007]
溶媒和物が、約3個〜約5個の水分子を有する水和物である、本発明1004のナトリウム塩。
[本発明1008]
前記結晶性溶媒和物が、約19.3°2θでのピークを含むX線粉末回折パターンを示す、本発明1006のナトリウム塩水和物。
[本発明1009]
前記X線粉末回折パターンが、約18.2°2θでのピークをさらに示す、本発明1008のナトリウム塩水和物。
[本発明1010]
前記結晶性溶媒和物が、約55.7、約128.2、および約151.3ppmでのピークを含む固体 13 C NMRスペクトルを示す、本発明1009のナトリウム塩水和物。
[本発明1011]
前記結晶性溶媒和物が、約15.2°2θでのピークを含むX線粉末回折パターンを示す、本発明1007のナトリウム塩水和物。
[本発明1012]
前記X線粉末回折パターンが、約4.8、約7.3、約12.0、約12.6、約23.5、および約24.5°2θからなる群より選択される少なくとも2つのピークをさらに含む、本発明1011のナトリウム塩水和物。
[本発明1013]
前記結晶性溶媒和物が、約53.7、約122.9、および約128.1ppmでのピークを含む固体 13 C NMRスペクトルを示す、本発明1012のナトリウム塩水和物。
[本発明1014]
前記結晶性溶媒和物が、約14.3°2θでのピークを含むX線粉末回折パターンを示す、本発明1005のエタノール溶媒和物。
[本発明1015]
前記結晶性溶媒和物が、約14.7°2θでのピークを含むX線粉末回折パターンを示す、本発明1005のエタノール溶媒和物。
[本発明1016]
前記結晶性溶媒和物が、約14.3、約14.7、約26.9、および約29.7°2θを含む群より選択される少なくとも2つのピークを含むX線粉末回折パターンを示す、本発明1005のエタノール溶媒和物。
[本発明1017]
前記結晶性溶媒和物が、約18.4、約139.7、および約141.4ppmでのピークを含む固体 13 C NMRスペクトルを示す、本発明1016のエタノール溶媒和物。
[本発明1018]
前記結晶性溶媒和物が、約20.6、約26.6、約27.2、約28.3、および約29.3°2θからなる群より選択される少なくとも1つのピークを含むX線粉末回折パターンを示す、本発明1005のイソプロパノール溶媒和物。
[本発明1019]
前記結晶性溶媒和物が、約25.0、約26.0、約26.6、約27.2、約28.3、および約29.3°2θからなる群より選択される少なくとも2つのピークを含むX線粉末回折パターンを示す、本発明1018のイソプロパノール溶媒和物。
[本発明1020]
前記結晶性溶媒和物が、約10.8、約14.0、約21.1、約21.9、および約22.5°2θからなる群より選択される少なくとも1つのピークをさらに含むX線粉末回折パターンを示す、本発明1018のイソプロパノール溶媒和物。
[本発明1021]
前記結晶性溶媒和物が、約63.1および約140.7ppmでのピークを含む固体 13 C NMRスペクトルを示す、本発明1020のイソプロパノール溶媒和物。
[本発明1022]
実質的に純粋な形態の(S)-2-(ジフェニルアセチル)-1,2,3,4-テトラヒドロ-6-メトキシ-5-(フェニルメトキシ)-3-イソキノリンカルボン酸。
[本発明1023]
(S)-2-(ジフェニルアセチル)-1,2,3,4-テトラヒドロ-6-メトキシ-5-(フェニルメトキシ)-3-イソキノリンカルボン酸、そのナトリウム塩、または該ナトリウム塩の溶媒和物を、薬学的に許容される担体、希釈剤、または賦形剤と共に含む、薬学的組成物。
[本発明1024]
(S)-2-(ジフェニルアセチル)-1,2,3,4-テトラヒドロ-6-メトキシ-5-(フェニルメトキシ)-3-イソキノリンカルボン酸のナトリウム塩を含む、本発明1023の薬学的組成物。
[本発明1025]
ナトリウム塩が非晶形である、本発明1024の薬学的組成物。
[本発明1026]
経口送達用に製剤化される、本発明1023〜1025のいずれかの薬学的組成物。
[本発明1027]
(i) (S)-2-(ジフェニルアセチル)-1,2,3,4-テトラヒドロ-6-メトキシ-5-(フェニルメトキシ)-3-イソキノリンカルボン酸をナトリウムアルコキシドで処理する工程、
(ii) (i)で形成され得られたナトリウム塩の結晶性アルコール溶媒和物を形成する工程、および
(iii) 溶媒和物を再結晶させる工程
を含む、(S)-2-(ジフェニルアセチル)-1,2,3,4-テトラヒドロ-6-メトキシ-5-(フェニルメトキシ)-3-イソキノリンカルボン酸のナトリウム塩またはその溶媒和物を調製する方法。
[本発明1028]
結晶性アルコール溶媒和物が、エタノール溶媒和物、イソプロパノール溶媒和物、または約2個〜約5個の水分子を有する水和物である、本発明1027の方法。
[本発明1029]
工程(ii)において形成された結晶性アルコール溶媒和物のアルコール分子が、工程(iii)の前、途中、または後に、別の溶媒和物分子に交換される、本発明1027の方法。
[本発明1030]
工程(iii)において再結晶される溶媒和物がイソプロパノール溶媒和物である、本発明1027または1029のいずれかの方法。
[本発明1031]
形成される溶媒和物が水和物である、本発明1029の方法。
[本発明1032]
溶媒和物を乾燥させるさらなる工程を含む、本発明1027〜1031のいずれかの方法。
[本発明1033]
ナトリウム塩を酸性化することで実質的に純粋な形態の(S)-2-(ジフェニルアセチル)-1,2,3,4-テトラヒドロ-6-メトキシ-5-(フェニルメトキシ)-3-イソキノリンカルボン酸を形成する工程をさらに含む、本発明1027〜1031のいずれかの方法。
[本発明1034]
(i) (S)-1,2,3,4-テトラヒドロ-6-メトキシ-5-(フェニルメトキシ)-3-イソキノリンカルボン酸のイソキノリン窒素原子を、下記式の活性化環状アミドでアシル化する工程であって、
Figure 0005948326
式中、環Aが5員窒素含有複素環である、工程、および
(ii) アルコール溶媒中で工程(i)の生成物をアルコキシド塩によって処理する工程
を含む、(S)-2-(ジフェニルアセチル)-1,2,3,4-テトラヒドロ-6-メトキシ-5-(フェニルメトキシ)-3-イソキノリンカルボン酸のナトリウム塩のアルコール溶媒和物を調製する方法。
化合物2の結晶性ナトリウム塩の特徴的X線粉末回折パターンを示す。 ナトリウム塩の結晶性エタノール溶媒和物(化合物4)の特徴的X線粉末回折パターンを示す。 ナトリウム塩の結晶性イソプロパノール溶媒和物(化合物5)の特徴的X線粉末回折パターンを示す。 少なくとも3個の水分子を有するナトリウム塩の結晶性水和物(化合物6)の特徴的X線粉末回折パターンを示す。 約2個の水分子を有するナトリウム塩の結晶性水和物(化合物7)の特徴的X線粉末回折パターンを示す。 化合物2の非晶質ナトリウム塩の特徴的固体13C NMRスペクトルを示す。 ナトリウム塩の結晶性エタノール溶媒和物(化合物4)の特徴的固体13C NMRスペクトルを示す。 ナトリウム塩の結晶性イソプロパノール溶媒和物(化合物5)の特徴的固体13C NMRスペクトルを示す。 少なくとも3個の水分子を有するナトリウム塩の結晶性水和物(化合物6)の特徴的固体13C NMRスペクトルを示す。 約2個の水分子を有するナトリウム塩の結晶性水和物(化合物7)の特徴的固体13C NMRスペクトルを示す。 イヌへの化合物1、2(非晶質ナトリウム塩)、6および7の経口投与後の経時的な(S)-2-(ジフェニルアセチル)-1,2,3,4-テトラヒドロ-6-メトキシ-5-(フェニルメトキシ)-3-イソキノリンカルボン酸(化合物1)の平均血漿中濃度を示す。図11Aは平均血漿中濃度時間曲線を線形スケールで示す。 イヌへの化合物1、2(非晶質ナトリウム塩)、6および7の経口投与後の経時的な(S)-2-(ジフェニルアセチル)-1,2,3,4-テトラヒドロ-6-メトキシ-5-(フェニルメトキシ)-3-イソキノリンカルボン酸(化合物1)の平均血漿中濃度を示す。図11Bは平均血漿中濃度時間曲線を対数スケールで示す。 図12Aは、イヌへの化合物1、2(非晶質ナトリウム塩)、6および7の経口投与後の遊離酸化合物1のCmaxを示す。 図12Bは、イヌへの化合物1、2(非晶質ナトリウム塩)、6および7の経口投与後の遊離酸化合物1のAUC(0-inf)を示す。
発明の詳細な説明
(S)-2-(ジフェニルアセチル)-1,2,3,4-テトラヒドロ-6-メトキシ-5-(フェニルメトキシ)-3-イソキノリンカルボン酸のナトリウム塩(以下、化合物2と呼ぶ)は下記式を有する。
Figure 0005948326
この化合物は、疼痛、特に炎症性および神経因性疼痛を処置する上での薬学的用途を有するAT2受容体アンタゴニストである。化合物1およびそのラセミ混合物は、AT2受容体アンタゴニストとして既に同定された。しかし、ナトリウム塩(化合物2)は、製造の容易さ、純度および経口バイオアベイラビリティに関して遊離酸(化合物1)または他の塩には見られない特定の利点を有することが現在わかった。
ラセミ形は結晶性であるが、化合物1で表される単一の鏡像異性体は結晶形で単離されておらず、したがって、その(R)-鏡像異性体(化合物3)の除去を含む薬学的に許容されるレベルまでの精製は困難である。
Figure 0005948326
さらに、化合物1のキラル3位でのエピマー化がいくつかの製造条件下で起こることがあり、したがって高い鏡像異性的純度で化合物1を得るおよび維持することは困難でありうる。
本発明者らは、ナトリウム塩、すなわち化合物2が溶媒和物、特にアルコール溶媒和物として結晶形で単離可能であることを発見した。これは化合物1の調製から直接実現することができ、したがって結晶化による精製が可能であり、高い鏡像異性的純度が実現可能である。さらに、3位でのキラル中心のエピマー化が起こる場合、結晶化を使用して望まれない鏡像異性体を除去しかつ鏡像異性的純度を向上させることができる。溶媒和物を互いに交換してもよく、薬学的に許容される純度および残留溶媒レベルを有する水和形への変換を実現することができる。これらの水和形としては結晶形および非晶形が挙げられ、後者は凍結乾燥によって調製される。
特定の態様では、化合物2は非晶形である。そのような一態様では、非晶形は約55.2、109.8、128.4および151.7ppmでのピークを含む固体13C NMRスペクトルを示す。そのような別の態様では、非晶形は図6と実質的に同一の固体13C NMRスペクトルを示す。別の態様では、固体13C NMRスペクトルは約26.2、29.8、39.0、41.9、45.7、55.2、60.4、73.6、94.4、109.8、121.3、128.4、139.9、145.0、151.7、172.2、175.7および178.8ppmでのピークを有する。
別の態様では、化合物2は結晶形である。そのような一態様では、非溶媒和ナトリウム塩結晶形は、約9.6°2θでの少なくとも1つのピークを含むXRPDパターンを示す。そのような別の態様では、結晶形は、約9.6°2θでのピークを含みかつ約6.0および19.6°2θからなる群より選択される少なくとも1つのピークを含むXRPDパターンを示す。そのような別の態様では、結晶形は、約9.6°2θでのピーク、約6.0および19.6°2θからなる群より選択される少なくとも1つのピーク、ならびに約14.0、17.9、20.6、21.8、23.3および23.9°2θからなる群より選択される少なくとも1つのピークを含むXRPDパターンを示す。そのような別の態様では、結晶形は図1と実質的に同一のXRPDパターンを示す。そのような別の態様では、非溶媒和結晶形は、2θ = 5.5、6.0、6.9、8.5、9.6、11.0、13.3、14.0、16.1、16.7、17.9、18.4、19.6、20.6、21.8、22.3、23.3、23.9、25.5、26.3および27.6でのピークを有するX線回折パターンを有する。
いくつかの態様では、溶媒和物は水またはアルコール溶媒、特に水、エタノールまたはイソプロパノールから形成される。
一態様では、ナトリウム塩の溶媒和物はエタノール溶媒和物(エタノール和物)(化合物4)である。
Figure 0005948326
一態様では、この化合物を結晶形で単離することができる。そのような一態様では、エタノール溶媒和物は、約14.3°2θでのピークを含むX線粉末回折(「XRPD」)パターンを示す。そのような別の態様では、エタノール溶媒和物ナトリウム塩結晶形は、約14.7°2θでのピークを含むXRPDパターンを示す。そのような別の態様では、エタノール溶媒和物ナトリウム塩結晶形は、約14.3、14.7、26.9および29.7°2θを含む群のうち少なくとも2つでのピークを含むXRPDパターンを示す。そのような別の態様では、結晶形は図2と実質的に同一のXRPDパターンを示す。そのような別の態様では、結晶形は、2θ = 5.5、6.7、8.0、8.7、9.3、11.1、13.4、14.3、14.7、15.8、16.1、16.6、17.4、17.8、18.8、20.3、20.9、21.4、22.2、22.8、24.2、25.4、26.9、27.6、28.7、29.7、30.3、31.3、32.1、33.5、35.7および41.0でのピークを有するX線回折パターンを有する。
一態様では、ナトリウム塩結晶形のエタノール溶媒和物は、約18.4、約139.7および約141.4ppmでのピークを含む固体13C NMRスペクトルを示す。そのような別の態様では、ナトリウム塩結晶形のエタノール溶媒和物は図7と実質的に同一の固体13C NMRスペクトルを示す。別の態様では、固体13C NMRスペクトルは約18.4、25.9、28.6、38.1、41.9、47.0、52.0、54.1、55.6、57.5、74.1、81.1、110.8、118.5、126.4、128.1、137.6、139.7、141.4、143.9、151.3、171.6および180.2ppmでのピークを有する。
別の態様では、ナトリウム塩の溶媒和物はイソプロパノール溶媒和物(イソプロパノール和物)(化合物5)である。
Figure 0005948326
この化合物を結晶形で単離することができる。そのような一態様では、ナトリウム塩結晶形のイソプロパノール溶媒和物は、約26.0、26.6、27.2、28.3および29.3°2θからなる群より選択される少なくとも1つのピークを含むXRPDパターンを示す。そのような別の態様では、結晶形は、約25.0、26.0、26.6、27.2、28.3および29.3°2θからなる群より選択される少なくとも2つのピークを含むXRPDパターンを示す。そのような別の態様では、結晶形は、約26.0、26.6、27.2、28.3および29.3°2θからなる群より選択される少なくとも1つのピーク、ならびに約10.8、14.0、21.1、21.9および22.5°2θからなる群より選択される少なくとも1つのピークを含むXRPDパターンを示す。そのような別の態様では、結晶形は図3と実質的に同一のXRPDパターンを示す。別の態様では、このイソプロパノール溶媒和物結晶形は、2θ = 5.4、6.6、7.9、8.6、9.2、10.8、13.4、14.0、15.9、16.4、17.3、17.6、18.6、20.0、20.5、21.1、21.9、22.5、23.0、24.0、25.0、25.5、26.0、26.6、27.2、28.3および29.3でのピークを有するX線回折パターンを有する。
一態様では、ナトリウム塩結晶形のイソプロパノール溶媒和物は、約63.1および約140.7ppmでのピークを含む固体13C NMRスペクトルを示す。そのような別の態様では、ナトリウム塩結晶形のイソプロパノール溶媒和物は図8と実質的に同一の固体13C NMRスペクトルを示す。別の態様では、固体13C NMRスペクトルは約25.1、28.0、41.4、46.8、48.2、53.8、55.8、56.8、58.1、63.1、74.0、111.0、118.7、126.5、128.0、137.7、140.7、143.7、151.4、171.2、173.2および180.0ppmでのピークを有する。
別の態様では、ナトリウム塩の溶媒和物は、化合物2の各分子当たり3個の水分子を含有する三水和物溶媒和物(化合物6)である。
Figure 0005948326
いくつかの研究は、化合物6が、化合物2の各分子当たり4個以上の水分子(部分水和物)を有しうることを示す。水の正確な量にかかわらず、化合物6の水和物を結晶形で単離することができる。そのような一態様では、3〜5個の水分子を有するナトリウム塩結晶形の水和物は、約15.2°2θでのピークを含むXRPDパターンを示す。そのような別の態様では、結晶形は、約15.2°でのピークならびに約4.8、7.3、12.0、12.6、23.5および24.5°2θからなる群より選択される少なくとも2つのピークを含むXRPDパターンを示す。そのような別の態様では、結晶形は図4と実質的に同一のXRPDパターンを示す。別の態様では、この水和物結晶形は、2θ = 4.8、5.5、7.3、8.3、9.9、12.0、12.6、15.2、16.7、17.2、17.9、19.0、21.5、23.5および24.5でのピークを有するX線回折パターンを有する。
一態様では、約3個〜5個未満の水分子を有するナトリウム塩結晶形の水和物は、約53.7、約122.9および約128.1ppmでのピークを含む固体13C NMRスペクトルを示す。そのような別の態様では、約3個〜5個未満の水分子を有するナトリウム塩結晶形の水和物は図9と実質的に同一の固体13C NMRスペクトルを示す。別の態様では、固体13C NMRスペクトルは約23.7、26.2、28.4、38.1、45.5、47.6、53.7、55.8、59.3、74.0、108.6、110.5、120.5、122.9、128.1、130.4、137.7、139.8、143.9、145.3、150.9、152.0、171.6、173.3および177.3ppmでのピークを有する。
さらに別の態様では、ナトリウム塩の溶媒和物は、化合物2の各分子当たり2個の水分子を含有する二水和物溶媒和物(化合物7)である。
Figure 0005948326
いくつかの研究は、化合物7が、化合物2の各分子当たり2個にはわずかに満たないが1個を超える水分子(部分水和物)を有しうることを示す。水の正確な量にかかわらず、化合物7の水和物を結晶形で単離することができる。そのような一態様では、1〜2個の水分子を有するナトリウム塩結晶形の水和物は、約19.3°2θでの少なくとも1つのピークを含むXRPDパターンを示す。そのような別の態様では、結晶形は、約19.3および18.2°2θでのピークを含むXRPDパターンを示す。そのような別の態様では、結晶形は図5と実質的に同一のXRPDパターンを示す。別の態様では、この水和物結晶形は、2θ = 4.8、5.5、7.3、8.2、12.1、12.8、15.8、16.9、18.2、19.3および25.6でのピークを有するX線回折パターンを有する。
一態様では、約1〜2個の水分子を有するナトリウム塩結晶形の水和物は、約55.7、約128.2および約151.3ppmでのピークを含む固体13C NMRスペクトルを示す。そのような別の態様では、約1〜2個の水分子を有するナトリウム塩結晶形の水和物は図10と実質的に同一の固体13C NMRスペクトルを示す。別の態様では、固体13C NMRは約25.8、28.2、46.6、55.7、73.7、75.1、109.3、119.7、128.2、137.8、139.6、144.7、151.3、172.1および178.2ppmでのピークを有する。
本明細書において使用する「鏡像異性的純度」という用語は、望まれない(R)-鏡像異性体との比較での存在する(S)-鏡像異性体の割合を意味する。例えば、純度90%は(S)-鏡像異性体90%および(R)-鏡像異性体10%を有し、純度100%は(S)-鏡像異性体のみを有し、(R)-鏡像異性体を有さない。特定の態様では、(S)-鏡像異性体の純度は高く、すなわち80%を超え、特に85%、87.5%、90%、92.5%、95%、96%、97%、98%、99%を超え、100%を含む。鏡像異性的純度は鏡像体過剰率(ee)として報告することもできる。通常、鏡像体過剰率は、下記式により計算される割合として表される:
((R-S)/(R+S)) x 100 = %ee
式中、RおよびSは、R + S = 1となる鏡像異性体の各分率である。特定の態様では、(S)-鏡像異性体のeeは高く、すなわち80%を超え、特に85%、87.5%、90%、92.5%、95%、96%、97%、98%、99%を超え、100%を含む。
本明細書において使用する「化学的純度」という用語は、生成物中に存在する不純物の割合を意味する。不純物は、例えば望まれない溶媒、分解生成物または酸化生成物の存在の形態でありうる。特定の態様では、化学的純度は高く、すなわち、(S)-2-(ジフェニルアセチル)-1,2,3,4-テトラヒドロ-6-メトキシ-5-(フェニルメトキシ)-3-イソキノリンカルボン酸は生成物の80%を超え、特に85%、87.5%、90%、92.5%、95%、96%、97%、98%、99%を超え、100%を含む。
「実質的に純粋な形態」という用語は、96%超の化学的純度、特に97%、98%もしくは99%超、より特別には100%の化学的純度、および/または97%超のee、特に98%もしくは99%超のee、より特別には100%のeeを有する生成物を意味する。
本明細書において使用する「約」という用語の意味は、それが使用される文脈に依存する。X線粉末回折(XRPD)パターン上でのピークの位置に関して使用する場合、「約」という用語は、明記される位置の±0.1°2θ以内のピークを含む。例えば、本明細書において使用する「約10.0°2θ」でのXRPDピークは、明記されるピークが9.9〜10.1°2θで起こることを意味する。固体13C NMRスペクトル上でのピークの位置に関して使用する場合、「約」という用語は、明記される位置の±0.2ppm以内のピークを含む。例えば、本明細書において使用する「約100.0ppm」での13C NMRスペクトルピークは、明記されるピークが99.8〜100.2ppmで起こることを意味する。
化合物1の調製用の合成方法は当技術分野において公知である。化合物1およびその(R)-鏡像異性体である化合物3を含有するラセミ混合物の合成、続いてキラル塩形成を使用する鏡像異性体の分割は、米国特許第5,246,943号およびKlutchko et al., Bioorg. & Med. Chem. Lett., 1994, 4:57-62に記載されている。分割に使用したキラル塩は1-(-)-α-メチルベンジルアミンであった。
ナトリウム塩、すなわち化合物2は、化合物1を水酸化ナトリウム水溶液で処理することによって得ることができる。しかし、この方法は化合物2を結晶性固体というよりもむしろ油状残渣またはゴムとして調製する。異なる溶媒和物の形態での結晶性固体の形成を導く溶媒系を選択しない限り、ナトリウム塩の結晶形は得られない。例えば、エタノール溶媒和物、すなわち化合物4は、水酸化ナトリウム水溶液を使用して調製された化合物2の非結晶形を採取し、それをエタノールで処理すること、またはより好ましくは、化合物1をエタノール中ナトリウムエトキシドで処理することによって得ることができる。同様に、イソプロパノール溶媒和物、すなわち化合物5は、水酸化ナトリウム水溶液を使用して調製された化合物2の非結晶形を採取し、それをイソプロパノールで処理することによって調製することができる。また、化合物5は、イソプロパノール含有溶媒系中のナトリウムイソプロポキシドで化合物1を処理することによって調製することができる。
また、化合物2またはその溶媒和物は、化合物2のアルコール溶媒和物を有機溶媒または水性有機溶媒(ある割合の水を加えた有機溶媒)中で再結晶させることによって得ることができる。結晶性溶媒和物は、酢酸エチル(EtOAc)/10%水、メチルエチルケトン(MEK)、1-プロパノール、EtOAc、tert-ブチルメチルエーテル(TBME)、およびヘプタンなどの炭化水素溶媒中での再結晶によって得られた。アセトニトリルからの再結晶によってナトリウム塩の非溶媒和結晶形が得られた。
水和物、すなわち化合物6および7は、結晶性エタノール和物またはイソプロパノール和物を水分、特に大気水分に曝露することによって得ることができる。相対湿度70%などの高湿度において化合物6水和物が形成され、相対湿度40%などの中程度の湿度において化合物7水和物が形成される。異なる水和形の乾燥または凍結乾燥時に、非晶質ナトリウム塩(化合物2)が生成される。
また、化合物2の非晶形は、水中での化合物2のアルコール溶媒和物の凍結乾燥によって形成することができる。
あるいは、化合物2は不斉合成によって調製することができ、ナトリウム塩は合成の終わりに結晶性溶媒和物として単離することができる。非天然キラルα-アミノ酸を調製するための当技術分野において公知の方法が存在し(例えばBurk et al., J. Am. Chem. Soc., 1993, 115, 10125-10138)、そのような方法をキラルオルト-フェニルメチルオキシ-メタ-メトキシ-フェニルアラニンの合成に適用することができる。ペンダントO-ベンジル基の保持を可能にする上で十分に穏和な条件を使用するように注意しなければならない。
キラルフェニルアラニン誘導体を調製した時点で、スキーム1に示されかつ米国特許第5,246,943号に記載されるピクテ・スペングラー反応を使用して1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリンに変換することができる。
Figure 0005948326
イソキノリン窒素原子のアシル化は、イソキノリンと、アミド結合を形成する反応のために活性化された2,2-ジフェニルエタン酸、例えば2,2-ジフェニルエタン酸の塩化物、無水物または環状活性アミドとの反応によって実現することができる。二量体、エステル化またはエピマー化副生成物の形成によって収率が減少することがあることから、この反応を慎重に制御しなければならない。酸塩化物によるイソキノリン窒素のアシル化の間に無水条件を使用しかつカルボン酸を保護することによって、副反応を回避するかまたは減少させることができる。例えば、2,2-ジフェニルエタン酸塩化物を使用するアミド結合の形成の間に、水性ワークアップの間に加水分解されるトリメチルシリル基などの加水分解が容易な保護基を使用して、カルボン酸での副反応を防止するかまたは減少させることができる。好適な保護基は当技術分野において公知であり、Greene and Wuts, Protective Groups in Organic Synthesis, 3rd Edition, 1999, John Wiley & Sonsに見ることができる。
2,2-ジフェニルエタン酸の環状活性アミドの使用は、環状活性アミドがイソキノリン窒素との反応に対してより選択的であることから、イソキノリンカルボン酸のこの一時的保護の必要性を減少させる。環状活性アミドは、2,2-ジフェニルエタン酸塩化物と5員窒素含有複素環との反応によって形成することができる。好適な複素環の例としてはピラゾール、ピロール、イミダゾール、1,2,3-トリアゾールおよび1,2,4-トリアゾールが挙げられる。ピラゾールを使用する一例をスキーム2に示す。
例えばスキーム2に示すようにアシル化反応の水性ワークアップ後にエタノール中ナトリウムエトキシドを有機抽出物に加え、反応混合物から結晶性中間体を直接単離することによってナトリウム塩のエタノール溶媒和物、すなわち化合物4を調製することによる合成プロセス全体に、化合物2の異なる溶媒和物および物理的形態に関する知識が組み入れられる。
Figure 0005948326
したがって、本発明のさらなる局面では、
(i) (S)-1,2,3,4-テトラヒドロ-6-メトキシ-5-(フェニルメトキシ)-3-イソキノリンカルボン酸のイソキノリン窒素原子を下記式の活性化環状アミドでアシル化する工程:
Figure 0005948326
式中、A環は5員窒素含有複素環である; および
(ii) アルコール溶媒中で工程(i)の生成物をアルコキシド塩によって処理する工程
を含む、(S)-2-(ジフェニルアセチル)-1,2,3,4-テトラヒドロ-6-メトキシ-5-(フェニルメトキシ)-3-イソキノリンカルボン酸のナトリウム塩のアルコール溶媒和物を調製する方法が提供される。
いくつかの態様では、5員窒素含有複素環はピラゾール、ピロール、イミダゾール、1,2,3-トリアゾールまたは1,2,4-トリアゾールである。一態様では、5員窒素含有複素環はピラゾールである。いくつかの態様では、アルコキシド塩はナトリウムエトキシドである。いくつかの態様では、アルコール溶媒はエタノールである。いくつかの態様では、ナトリウムエトキシドとエタノールとの組み合わせが使用される。
いくつかの態様では、工程(i)の生成物は工程(ii)の前にアミン塩基などの塩基で処理される。
化合物4をエタノール含有溶媒系中での再結晶によってさらに精製することで結晶性化合物4を得ることができる。同様に、化合物5を調製した場合、イソプロパノール溶媒系中での再結晶によって精製することができる。アルコール溶媒和物は、異なるアルコール含有溶媒系中での結晶化によって変換することができる。例えば、化合物5は、イソプロパノール、またはイソプロパノールと酢酸エチルなどの別の極性溶媒との混合物からの再結晶によりイソプロパノール溶媒和物(化合物5)を得ることによって作製することができる。
化合物4または5は保管してもよく、化合物2の水和物の異なる結晶形に変換してもよく、水に溶解させ、凍結乾燥させて非晶質化合物2を得てもよい。
遊離酸(化合物1)を合成中またはその単離後のいずれかにナトリウムアルコキシドで処理した後、結晶性溶媒和物を形成することによって、薬学的組成物における使用に好適な結晶形または非晶形でナトリウム塩、すなわち化合物2を調製することができる。
本明細書において使用する「アルコキシド」とは、アルコールのヒドロキシル基からの水素原子の除去によって形成されるイオンを意味する。本発明において使用可能である好適なアルコキシドとしてはメトキシド、エトキシド、プロポキシド、イソプロポキシドおよびブトキシドが挙げられる。
化合物2の結晶性溶媒和物は、好適な溶媒を使用することによるナトリウムアルコキシドでの処理によって形成することができる。例えば、化合物2のエタノール溶媒和物は、エタノール中ナトリウムエトキシドでの処理によって形成することができる。イソプロパノール溶媒和物は、イソプロパノール中ナトリウムイソプロポキシドでの処理によって形成することができる。
結晶性溶媒和物は単離された時点で好適な溶媒から再結晶される。単離された溶媒和物の再結晶を行ってもよく、再結晶の前または途中に溶媒和物を別の溶媒和物に交換してもよい。例えば、エタノール溶媒和物を単離した後、エタノール分子をイソプロパノール分子に交換してイソプロパノール溶媒和物を得ることができ、これは再結晶される。
次に、再結晶アルコール溶媒和物を大気水分への曝露を通じて水和形に変換すること、ならびに/または乾燥もしくは凍結乾燥させて非晶質化合物2を高い化学的および鏡像異性的純度で得ることができる。いくつかの態様では、結晶性アルコール溶媒和物または水和物を水に溶解させ、凍結乾燥させて、非晶質化合物2を高い化学的および鏡像異性的純度または実質的に純粋な形態で得る。
また、ナトリウム塩(化合物2)を酸性化することによって遊離酸(化合物1)を実質的に純粋な形態で得ることができる。
本発明の化合物をそのままの形態で使用することは可能だが、薬学的組成物中で少なくとも1つの薬学的に許容される担体、希釈剤または賦形剤と共により好適に使用される。
担体、希釈剤または賦形剤は、組成物の他の成分に適合性があってそのレシピエントに有害でないという意味で「許容される」ものでなければならない。
薬学的製剤としては、経口、直腸、経鼻、局所(頬側および舌下を含む)、経膣もしくは非経口(筋肉内、皮下および静脈内を含む)投与に好適であるか、または吸入もしくは吹送による投与に好適な形態であるものが挙げられる。したがって、本発明の化合物、特に化合物2は、慣習的な補助剤、担体、賦形剤または希釈剤と共に、薬学的組成物およびその単位剤形の形態中に配置することができ、そのような形態で、いずれも経口用の錠剤もしくは充填カプセル剤などの固体製剤、または溶液剤、懸濁液剤、乳剤、エリキシル剤、もしくはそれで充填されたカプセル剤などの液体製剤として、直腸投与用の坐薬の形態で、あるいは、非経口(皮下を含む)用の滅菌注射液剤の形態で使用することができる。そのような薬学的組成物およびその単位剤形は慣習的な成分を慣習的な比率で含みうるものであり、そのような単位剤形は、使用される所期の一日投与量範囲に相応である任意の好適な有効量の有効成分を含有しうる。したがって、錠剤またはカプセル剤当たり10ミリグラムもしくは25ミリグラム、またはより広範には0.1〜200ミリグラムの有効成分を含有する製剤が、好適な代表的単位剤形である。本発明の化合物、特に化合物2は、多種多様な経口および非経口剤形で投与することができる。特定の態様では、非晶質化合物2は固体剤形として製剤化される。
本発明の化合物から薬学的組成物を調製するには、薬学的に許容される担体は固体でも液体でもよい。液体製剤では、ナトリウム塩およびその溶媒和物を使用して、薬学的組成物中での使用に好適な純度レベルで化合物2を得る。固体形態調製物としては散剤、錠剤、丸剤、カプセル剤、カシェ剤、坐薬および分散性顆粒剤が挙げられる。固体担体は、希釈剤、香味料、可溶化剤、潤滑剤、懸濁化剤、結合剤、保存料、錠剤崩壊剤または封入材料としても作用しうる1つまたは複数の物質でありうる。
散剤では、担体は、微粉化有効成分と混合されている微粉化固体である。
錠剤では、有効成分は、必要な結合能力を有する担体と好適な比率で混合され、所望の形状およびサイズに圧縮される。
特定の態様では、散剤および錠剤は5または10〜約70パーセントの活性化合物を含有する。好適な担体としては炭酸マグネシウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、タルク、糖、ラクトース、ペクチン、デキストリン、デンプン、ゼラチン、トラガント、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、結晶セルロース、コロイド状二酸化ケイ素、低融点ワックス、カカオバターなどがある。「調製物」という用語は、カプセル剤を与える担体として封入材料を有する活性化合物の製剤を含むように意図されており、カプセル剤において、担体ありまたはなしの有効成分は担体に取り囲まれ、したがって担体は有効成分と結合する。同様に、カシェ剤および舐剤が含まれる。錠剤、散剤、カプセル剤、丸剤、カシェ剤および舐剤を経口投与に好適な固体形態として使用することができる。
坐薬を調製するには、脂肪酸グリセリド混合物またはカカオバターなどの低融点ワックスを最初に溶融させ、有効成分をその中に例えば攪拌によって均一に分散させる。次に溶融した均一混合物を好都合なサイズの型に注ぎ、冷却し、それにより凝固させる。
経膣投与に好適な製剤は、有効成分に加えて、適切であることが当技術分野において公知である担体を含有する、ペッサリー、タンポン、クリーム剤、ゲル剤、ペースト剤、フォーム剤またはスプレー剤として提示することができる。
液体形態調製物としては溶液剤、懸濁液剤および乳剤、例えば水または水-プロピレングリコール溶液が挙げられる。例えば、非経口注射液体調製物はポリエチレングリコール水溶液中の溶液剤として製剤化することができる。
活性薬剤は、非経口投与(例えば注射、例えばボーラス注射または持続点滴による)用に製剤化することができ、アンプル、事前充填シリンジ、少量点滴での単位剤形で、または保存料を加えた多回投与用容器で提示することができる。組成物は、油性または水性媒体中の懸濁液剤、溶液剤または乳剤などの形態を取りうるものであり、懸濁化剤、安定剤および/または分散剤などの調合剤を含有しうる。あるいは、有効成分は散剤形態であってよく、これは滅菌固体の無菌単離または溶液からの凍結乾燥によって得られ、使用前に好適な媒体、例えば滅菌パイロジェンフリー水により再構成される。
経口用に好適な水溶液剤は、活性化合物を水に溶解させ、所望に応じて好適な着色料、香料、安定剤および増粘剤を加えることによって調製することができる。
経口用に好適な水性懸濁液剤は、微粉化有効成分を天然もしくは合成ゴムなどの粘稠性材料、樹脂、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、または他の周知の懸濁化剤と共に水に分散させることによって作製することができる。水溶解度および/または経口バイオアベイラビリティが低い例えば化合物1のいくつかの態様では、化合物をトウモロコシ油などの脂質含有製剤として製剤化するかまたはゲル剤として製剤化し、カプセル剤として送達することができる。
使用直前に経口投与用の液体形態調製物に変換されるように意図される固体形態調製物も含まれる。そのような液体形態としては溶液剤、懸濁液剤および乳剤が挙げられる。これらの調製物は、有効成分に加えて、着色料、香料、安定剤、緩衝剤、人工および天然甘味料、分散剤、増粘剤、可溶化剤などを含有しうる。
表皮への局所投与では、本発明の化合物を軟膏剤、クリーム剤もしくはローション剤、または経皮パッチとして製剤化することができる。例えば、軟膏剤およびクリーム剤は、好適な増粘剤および/またはゲル化剤を加えた水性または油性基剤を用いて製剤化することができる。ローション剤は、水性または油性基剤を用いて製剤化することができ、一般に1つまたは複数の乳化剤、安定化剤、分散剤、懸濁化剤、増粘剤または着色料も含有する。
口内での局所投与に好適な製剤としては、風味付き基剤、通常はスクロースおよびアラビアゴムまたはトラガント中に活性薬剤を含む舐剤; ゼラチンおよびグリセリン、またはスクロースおよびアラビアゴムなどの不活性基剤中に有効成分を含むパステル剤; ならびに好適な液体担体中に有効成分を含む洗口剤が挙げられる。
溶液剤または懸濁液剤は、慣習的な手段、例えば点滴器、ピペットまたはスプレーによって鼻腔に直接適用される。製剤は単一用量または複数用量の形態で与えることができる。点滴器またはピペットという後者の場合、これは適切な所定の量の溶液剤または懸濁液剤を患者に投与することによって実現することができる。スプレーの場合、これは例えば計量霧化スプレーポンプによって実現することができる。経鼻送達および保持を改善するために、本発明の化合物を、シクロデキストリンと共に封入するか、または鼻粘膜中での送達および保持を強化すると予想される薬剤と共に製剤化することができる。
また、気道への投与はエアロゾル製剤によって実現することができ、エアロゾル製剤において有効成分は、クロロフルオロカーボン(CFC)、例えばジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタンもしくはジクロロテトラフルオロエタン、二酸化炭素、または他の好適な気体などの好適な噴霧剤を有する加圧パック中で与えられる。エアロゾルはレシチンなどの界面活性剤を好都合に含有してもよい。薬物の用量は計量バルブを設けることで制御することができる。
あるいは、有効成分を乾燥散剤、例えば、ラクトース、デンプン、ヒドロキシプロピルメチルセルロースなどのデンプン誘導体、およびポリビニルピロリドン(PVP)などの好適な散剤基剤中での化合物の混合散剤の形態で与えることができる。
好都合には、散剤担体は鼻腔中でゲルを形成する。散剤組成物は、例えば、ゼラチン他のカプセルもしくはカートリッジ、または、散剤をそこから吸入器によって投与可能なブリスターパック中での単位剤形で提示することができる。
鼻腔内製剤を含む、気道への投与が意図される製剤において、一般に化合物は例えば約1〜10ミクロン以下の小さな粒径を有する。そのような粒径は、当技術分野において公知の手段、例えば微粒子化によって得ることができる。
所望の場合、有効成分の持続放出を与えるように適応した製剤を使用することができる。
特定の態様では、薬学的調製物は単位剤形で存在する。そのような形態では、調製物は、適切な量の有効成分を含有する単位用量に細分される。単位剤形は包装調製物、すなわち、別々の量の調製物、例えば小包錠剤、カプセル剤、およびバイアルまたはアンプル中の散剤を含有する包装でありうる。単位剤形はカプセル剤、錠剤、カシェ剤または舐剤それ自体であってもよく、包装形態内での適切な数のこれらのいずれかであってもよい。
特定の態様では、薬学的調製物は、錠剤またはカプセル剤などの固体経口剤形である。
ここで本発明のいくつかの特定の局面を例示する以下の実施例を参照して本発明を説明する。しかし、本発明の以下の説明の特殊性が本発明の前述の説明の一般性に取って代わるものではないということを理解すべきである。
実施例1
ラセミ体の古典的分割
化合物1および化合物3のラセミ混合物を米国特許第5246943号の方法によって得て、キラル塩形成を使用する分割に供した。20個のキラル塩基を使用して、化合物1および化合物3を含有するラセミ材料から鏡像異性体をキラル塩として分離した。分割手順は、結晶化した固体形態で鏡像異性体化合物1の塩を与えるというものであり、そこから遊離酸である化合物1を調製することができた。
すべてのキラル塩基をエタノール中最大0.5モル濃度で作製した。所与の質量を使用して、エタノールに溶解しないものを固体として加えることで、塩基1.05モル当量を遊離酸の各試料に加えた。溶液を攪拌しながら50℃に加熱し、21時間かけて5℃に冷却した。結果を表1に示す。試料7および9は冷却時に再結晶された。再結晶されなかったものを10分間超音波処理した後、振盪機中にて終夜25℃で保管した。試料4、6、12および19を固体として加え、50℃では完全には溶解しなかったため、25℃で熟成させた。
(表1)初期キラル塩分割
Figure 0005948326
固体を与えた6つの試料をキラルHPLCにより分析することで、塩形成時の化合物の任意のキラル分割を評価した。結果を表2に示す。
(表2)塩のキラルHPLC分析
Figure 0005948326
チオミカミンでの処理によって試料19から収集された材料は鏡像異性体の最大の分離を示した。単離された固体では化合物3よりも化合物1の方が多く、鏡像体過剰率8.0%を示した。したがって液体では鏡像異性体化合物3の方が多く、鏡像体過剰率40%を示した。固体および液体中の各鏡像異性体の割合を分析した。表3に示す。
(表3)チオミカミン塩のキラルHPLC結果
Figure 0005948326
また、収集した固体をXRPDによって分析した。収集した各固体は、塩を形成するために使用される遊離酸またはキラル塩基のいずれの形態にも一致しない新たなディフラクトグラムを示した。
エタノール3mL中70mgを使用してチオミカミン塩を25℃で終夜スラリー化した後、濾過し、固体をキラルHPLCで分析したところ、鏡像体過剰率の増大が示され、やはり化合物1の方が多かった。エタノール600μL中の回収された固体10mgを使用してこれを繰り返したところ、化合物1の鏡像体過剰率の増大は77.8%であった。第1のスラリー化実験後の1H NMRは、このプロセスの後にチオミカミンが不変にとどまり、1:1チオミカミン塩が得られることを示す。結果を表4に示す。
(表4)チオミカミン塩をスラリー化したキラルHPLC結果
Figure 0005948326
実施例2
ラセミ体のさらなるキラル分割
溶媒500μL中遊離酸50mgを使用して、表5に記載の適切な溶媒中にラセミ化合物を溶解させた。溶液中に完全には溶解しなかったキラル塩基を遊離酸溶液に固体として加えて、溶液全体が1.05モル当量のキラル溶液を含有するようにした。溶液を攪拌しながら50℃に加熱した後、20時間かけて10℃に冷却した。
冷却時に固体を生成しなかった溶液を超音波処理器中に5分間配置し、室温で終夜静置した。この後、L-アルギニンを有する溶液のみがイソプロパノール(IPA)または酢酸エチル(EtOAc)から固体を生成しなかった。
(表5)第2のキラル塩分割
Figure 0005948326
液体を収集した際に、固体を減圧濾過し、キラルHPLCによって分析した。結果は、いくつかの塩基が、鏡像異性体を分離するために使用可能であることを示す。1つの塩基、すなわちチオミカミンのみが、鏡像異性体を分離して、固体中で過剰の所望の鏡像異性体である化合物1を与えた。したがって、これらの塩基を使用して鏡像異性体を分離することができるが、チオミカミンが、エタノール中と酢酸エチル中との両方で鏡像異性体を有効に分離して所望の鏡像異性体を与える唯一の塩基であることがわかった。
実施例3〜15の方法論
X線粉末回折(XRPD)
Siemens D5000
XRPDパターンをBruker AXSまたはSiemens D5000回折計上で収集した。
X線粉末回折パターンをSiemens D5000回折計上でCuKα線(40kV、40mA)、θ-θ角度計、自動発散および受光スリット、グラファイト二次モノクロメーターならびにシンチレーションカウンターを使用して収集した。認証コランダム標準(NIST 1976)を使用して機器を性能点検した。
周囲条件
粉末を受け取ったまま使用して、周囲条件下で処理される試料を平板検体として調製した。研磨されたゼロバックグラウンド(510)シリコンウェーハに切り込んだ空洞に試料約35mgを徐々に充填した。分析中に試料をそれ自体の平面内で回転させた。データ収集の詳細は以下の通りである。
角度範囲: 2〜42°2θ
ステップ幅: 0.05°2θ
収集時間: 4秒/ステップ-1
Bruker AXS C2 GADDS
X線粉末回折パターンをBruker AXS C2 GADDS回折計上でCuKα線(40kV、40mA)、自動XYZステージ、オートサンプルポジショニング用レーザービデオ顕微鏡およびHiStar二次元面積検出器を使用して収集した。X線光学は、単一のGobel多層ミラーと0.3mmのピンホールコリメータとの組み合わせからなる。
ビーム発散、すなわち試料上でのX線ビームの有効サイズは約4mmであった。θ-θ連続スキャンモードを、有効2θ範囲3.2°〜29.7°を与える試料-検出器距離20cmで使用した。典型的には、試料をX線ビームに120秒間曝露する。
周囲条件
粉末を受け取ったまま粉砕せずに使用して、周囲条件下で処理される試料を平板検体として調製した。試料約1〜2mgをガラススライドに軽く押しつけて平らな表面を得た。
非周囲条件
非周囲条件下で処理される試料を熱伝導性化合物と共にシリコンウェーハ上に載せた。次に試料を約20℃/分で適温に加熱し、続いて約1分間等温に保持した後、データ収集を開始した。
単結晶X線回折(SCXRD)
Oxford Cryosystems Cryostream冷却装置を備えたBruker AXS 1K SMART CCD回折計上でデータを収集した。構造を、SHELXSプログラムまたはSHELXDプログラムのいずれかを使用して解析し、Bruker AXS SHELXTLスイートの一部としてのSHELXLプログラムによって精密化した。別途明記しない限り、炭素に結合した水素原子を幾何的に配置し、ライディング等方性変位パラメータによって精密化した。ヘテロ原子に結合した水素原子を差フーリエ合成に位置づけ、等方性変位パラメータによって自由に精密化した。
1H NMR
オートサンプラーを備えたBruker 400MHz分光計上でNMRスペクトルを収集した。別途明記しない限り、試料をd6-DMSO中で調製した。
固体13C NMR
NMRスペクトルをBruker Avance DRX-200分光光度計上で収集した。試料を50.3MHzでの13C NMRのために4mm Bruker SBマジック角回転プローブ中にて5kHzで回転させた。試料を4mm ZnO NMRローターに充填し、Kell-Fキャップで封止した。13Cデータ取得の間、プロトンデカップリングのために、プロトン送信機出力を90°パルス幅2.8μ秒に対応する値に増大させた。過渡状態を1時間にわたって平均した。グリシンのカルボニル共鳴(176ppm)を使用して化学シフトを外部基準に基準化した。
示差走査熱量測定(DSC)
50ポジションオートサンプラーを備えたTA Instruments Q1000上でDSCデータを収集した。認定インジウムを使用して機器をエネルギーおよび温度較正のために較正した。
典型的には、ピンホール付きアルミニウムパン中の各試料0.5〜3mgを10℃/分で25℃から250℃に加熱した。30mL/分での窒素掃流を試料の上で維持した。
熱重量分析(TGA)
16ポジションオートサンプラーを備えたTA Instruments Q500 TGA上でTGAデータを収集した。認定アルメルを使用して機器を温度較正した。
典型的には、各試料5〜30mgを事前風袋白金るつぼおよびアルミニウムDSCパン上に載せ、10℃/分で周囲温度から350℃に加熱した。60mL/分での窒素掃流を試料の上で維持した。
重量測定蒸気吸収(GVS)
CFRSorpソフトウェアによって制御されるHiden IGASorp水分吸収分析計を使用して吸収等温線を得た。Huber再循環油浴によって試料温度を25℃に維持した。乾燥窒素流と湿潤窒素流とを総流量250mL/分で混合することによって湿度を制御した。試料の近くに位置する較正済みVaisala RHプローブ(動的範囲0〜95%RH)によって相対湿度を測定した。%RHの関数としての試料の重量変化(質量緩和)を微量天秤(精度±0.001mg)によって常にモニタリングした。
典型的には試料10〜20mgを周囲条件下で風袋メッシュステンレス鋼バスケット中に配置した。試料を40%RHおよび25℃(典型的温度条件)で載せ、取り外した。
水分吸収等温線を以下に概説するように実行した(2回のスキャンで1回の完全サイクルとする)。標準等温線を0〜90%RH範囲にわたる10%RH間隔にて25℃で実行した。パラメータを表6に示す。
(表6)
Figure 0005948326
ソフトウェアは、漸近値を予測するために最小二乗最小化手順を質量緩和モデルと共に使用する。次のRH値(%)選択する前に、測定される質量緩和値はソフトウェアが予測する値の5%以内でなければならない。最小平衡時間を1時間に設定し、最大平衡時間を4時間に設定した。
試料を等温線の完成後に回収し、XRPDによって再分析した。
カールフィッシャー電量分析(KF)による含水量決定
各試料の含水量をMettler Toledo DL39電量計上でHydranal Coulomat AG試薬およびアルゴン掃流を使用して測定した。水の進入を回避するためのスバシールに接続された白金TGAパン上で、秤量された固体試料を容器に導入した。滴定当たり試料約10mgを使用し、二つ組での決定を行った。
高速液体クロマトグラフィー(HPLC)
純度決定
ダイオードアレイ検出器を備えたAgilent HP1100シリーズシステム上でChemStationソフトウェアv9を使用して純度分析を行った。方法を表7および表8に示す。
(表7)
Figure 0005948326
(表8)キラル分析
Figure 0005948326
イオンクロマトグラフィー
データをMetrohm 861 Advanced Compact IC上でIC Netソフトウェアv2.3を使用して収集した。試料を水中1000ppmストックとして調製した。試料の溶解度が低い場合、DMSOなどの好適な溶媒を使用した。試験前に試料を適切な溶媒で50ppmまたは100ppmに希釈した。分析されるイオンの公知濃度の標準溶液との比較によって定量化を実現した。条件を表9Aおよび表9Bに示す。
(表9A)
Figure 0005948326
(表9B)
Figure 0005948326
実施例3
塩選択
表10に明記するように化合物1を溶媒イソプロパノール(IPA)またはテトラヒドロフラン(THF)に溶解させ、薬学的に許容される塩基1.05モル当量を加えた。塩基が溶解しない場合でない限りは塩基を1モル溶液で調製し、そのような場合は固体として加えた。すべての溶液に塩基1.05モル当量を加えた。
溶液を50℃で2時間攪拌した後、攪拌を続けながら3時間半かけて5℃に冷却した。次に試料を5℃で3日間保管した。溶液中に依然として存在するものを10分間超音波処理した後、それが固体を与えない場合、溶媒をゆっくりと蒸発させた。収集したすべての固体をXRPDによって分析した。結果を表10に示す。
(表10)初期の塩選択の結果
Figure 0005948326
試料のうち3つのみが任意の固体結晶性材料を与えた。IPAおよびTHFからのリジン塩、ならびにIPAからのトロメタミン塩。XRPD分析は、これらのすべてが異なる結晶パターンを有することを示す。リジン塩およびトロメタミン塩のHPLC化学的純度分析は、96.7%からリジン塩では98.0%、トロメタミン塩では97.8%への、出発原料からの純度の向上を示す。
結晶性リジン塩は40℃/75%RHおよび25℃/94%RHで潮解することがわかった。トロメタミン塩は25℃/94%RHで潮解した。結果として、これらのアミン塩はいずれも薬学的開発に好適ではなかった。
実施例4
さらなる塩選択
カリウムまたはナトリウムとの塩を作製する試みを異なる溶媒によって繰り返した。化合物1 20mgを適切な溶媒20μLに溶解させ、そこに水酸化カリウムまたは水酸化ナトリウム1.05モル当量を1モル水溶液として加えた。溶液を50℃に2時間加熱し、21時間かけて5℃に冷却し、その間ずっと攪拌した。冷却後固体が形成されない場合、溶液を超音波処理し、その後依然として固体が形成されない場合、溶媒を蒸発させて塩を結晶化させることを試みた。
(表11)カリウム/ナトリウム塩形成の結果
Figure 0005948326
溶液が固体を与えた溶媒はなく、ゴムのみが生成された。
結晶性材料を生じさせる試みにおいて、ゴムを使用して新たな一組の溶媒中でスラリー化した。溶媒100μLをゴムに加え、50℃で4時間の後、室温で4時間というサイクルで終夜熟成に供した。任意の固体を濾過し、XRPDによって分析した。結果を表12に示す。
(表12)カリウム/ナトリウム塩のスラリー化の結果
Figure 0005948326
IPAおよびエタノールからの固体は、XRPD分析による新たな結晶パターンを与えた。XRPDピークおよびそれらの強度を表13および表14に示す。
(表13)化合物4のXRPDピーク
Figure 0005948326
Figure 0005948326
(表14)化合物5のXRPDピーク
Figure 0005948326
イオンクロマトグラフィーによる分析は、固体がナトリウム1モルを含有することを示した。1H NMRは溶媒の存在を確認した。キラルHPLC分析は、著しい分解が起こらず、それが依然として純粋な鏡像異性体化合物1であったことを示す。可変温度XRPDによって分析した際に、結晶構造は135℃を超えて加熱した後に分解した。緩徐冷却、シード添加、溶媒の蒸発、および熟成によってIPAおよびエタノール中でナトリウム塩を作製する試みはいずれも失敗した。ナトリウム塩溶媒和物を40℃/75%RHに1週間置いたところ、新たなXRPDトレースが得られ、これは水3モルとエタノールまたはIPAのいずれかである溶媒の除去とに等しいTGA上での10%の重量減少によって三水和物と同定された。
実施例5
ナトリウム塩試験
ゴムからの結晶化なしに直接ナトリウム塩エタノール溶媒和物である化合物4を形成する試みとして、水中水酸化ナトリウムを使用する代わりにエタノール中ナトリウムエトキシドを使用して塩を調製した。初期調製における水の存在が結晶化を防止した可能性があると考えられた。
化合物1 25mgをエタノール50μLに室温で溶解させた。ナトリウムエトキシド18.4μL、1.0当量(エタノール中21%)。室温で静置時に固体材料は急速に結晶化した。試料を減圧濾過し、25℃で1日間減圧乾燥させた。XRPDおよびTGA分析は、生成された材料がモノエタノール溶媒和物(化合物4)であることを示す。この材料を40℃/75%RHで終夜保管したところ水和物(化合物6)が形成され、これをさらなる分析に供した。
水和物である化合物6を再度XRPDによって同定した。XRPDピークおよびそれらの強度を表15に示す。
(表15)化合物6のXRPDピーク
Figure 0005948326
可変温度XRPDによって分析した際に、材料は70℃を超えて加熱した際に結晶性を失った。
化合物6のGVS分析は、40%RHで保管した際に、分析を開始する前にこの材料が何らかの重量、すなわち2%を損失したことを示した。重量は、90%RHに引き上げられた際に徐々に+6重量%に増大し、0%RHに引き下げられた際に再度減少して-12重量%に達した。40%RHに戻した時点で材料は-6重量%に達した。重量を90%RHによって+6%に徐々に増大させた後、0%RHで-12%に低下させ、最後に40%RHで-6重量%にするというこのサイクルを繰り返した。ある範囲の湿度で重量が安定しているプラトーは存在しなかった。GVSパターンは、結晶格子の周りの雰囲気の相対湿度に応じて水が結晶格子に入るかまたはそこから出ることが可能でありうることを示唆することで、材料がその中に含まれる雰囲気の特定の相対湿度での含水量の割合を示す。したがって、湿度が75%RHと比較的高い場合に化合物6が形成されたが、湿度が40%RHと比較的低い場合には化合物7が形成された。40%RHでのGVSによって除去が行われた際の二水和物という推定は、水2モルに等しい6.6%の重量減少を示すTGAサーモグラムによって裏付けられる。GVS分析後のXRPDトレースはGVS分析前の材料のトレースと一致し、したがって、結晶と雰囲気との間の水の移動は結晶構造を改変しなかった。
40℃/75%RHで除去を行った化合物6の試料を減圧なし、40℃で4日間乾燥させた。この材料は乾燥後に同一のXRPDトレースを示したが、TGAによって分析した際に、材料は6.6%の重量減少を示し、やはり二水和物である化合物7を示した。これは、材料を40℃、但し依然として周囲相対湿度40%で保管した際のGVSを裏付けている。水4モルは12.3重量%であり、3モルは9.25%であり、2モルは6.2%である。化合物7のXRPDピークおよび強度を表16に示す。
(表16)化合物7のXRPDピーク
Figure 0005948326
引き続く化合物6のDSC-TGA分析は、13%の重量減少を示すことで、化合物6が4個の水分子または4+個の部分水分子を有しうるということを示唆した。引き続く化合物7のDSC-TGA分析は、5.5%の重量減少を示すことで、化合物7が2個未満の水分子を有する部分水和物でありうるということを示唆した。これらの引き続くDSC-TGA試験において、データはSDT Q600機器上で、周囲温度で開始して1分当たり10℃で約300℃に上昇させて得た。
実施例6
ナトリウム塩水和物
ナトリウム塩水和物は高湿度への曝露によってのみ調製され、したがって、一連の実験を、溶液から水和物を結晶化させることによりナトリウム塩溶媒和物を水和物に変換するように設定した。
水100μL当たり塩25mgを使用して、塩のIPAおよびエタノール溶媒和物を水中25℃でスラリー化したところ、HPLCで分析した際に化学的純度99.1%というXRPDによる新たなトレースを示す材料が結晶化された。TGA分析は25%の重量減少を示し、加熱を開始すると直ちに重量は減少し始めた。イオンクロマトグラフィーは、形成された新たな結晶がヘミナトリウム塩であることを示した。この材料が以前に観察された水和物よりも好ましくないことから、スラリー化によって以前の水和物を形成する試みが続けられた。ヘミナトリウム塩水和物のXRPDピークおよび強度を表17に示す。
(表17)ヘミナトリウム塩水和物のXRPDピーク
Figure 0005948326
様々な比率の水を用いてエタノールまたはIPA中でスラリー化することで水和物を形成することを試みるために、ナトリウム塩のエタノール溶媒和物を使用した。
75%水溶液中のスラリーから形成された析出物は、水100%中でスラリー化した材料と同一の、ヘミナトリウム塩を示すXRPDトレースを示した。新たな結晶XRPDパターンを示した1つの試料は、エタノール中10%水中でスラリー化された。この試料を単結晶解析に送ったところ、材料がヘミナトリウム塩一エタノール和物であることが証明された。
ナトリウム塩のエタノール溶媒和物から水和ナトリウム塩を形成する別の試みを行った。ナトリウム塩のエタノール溶媒和物である化合物4 25mgを各バイアルに秤量し、そこに水1%を含有する適切な溶媒を加えた。溶媒を一度に10μL加えることで、材料がスラリー作り出すことを確実にした後、50℃で4時間と室温で4時間とを循環させる熟成室に配置した。既に形成された水和ナトリウム塩を試料にシード添加した。熟成室から回収した際に固体が形成されない場合、5℃で保管して結晶化を促進した。5℃で3日後に固体が存在しない場合、逆溶媒ヘプタンを滴下し、溶液を熟成室に戻した。結果を表18に示す。
(表18)1%水溶液中でのスラリー化の結果
Figure 0005948326
収集した材料を濾過し、XRPDによって分析した。メチルエチルケトン(MEK)からの試料は、以前に見られなかったディフラクトグラムを示したことから、MEK溶媒和物である可能性が高い。酢酸エチル、THFおよびアセトンからの試料は、エタノール溶媒和物出発原料と一致するXRPDディフラクトグラムパターンを示した。ジオキサンから収集した材料は、以前に見られなかった新たなトレースを示したことから、ジオキサン溶媒和物である可能性が高い。残り2つの試料はゴムのみを与えた。
実施例7
一ナトリウム塩(化合物2)の多形
一エタノール和物ナトリウム塩(化合物4)約30mgを15個の各バイアルに加えた。適切な溶媒200μLを加えて、室温での溶解度を記録した。材料が完全に溶解した場合、5℃に置き、完全には溶解しなかった場合、50℃に置いた。次にすべてのバイアルを5℃で16時間保管した。固体を与えた溶液をXRPDによって分析し、溶液のままであったものを周囲条件でゆっくりと蒸発させた。結果を表19に示す。
(表19)多形スクリーンの結果
Figure 0005948326
7つの試料、すなわち試料7、10、11、12、13、14および15は固体を与え、これらをXRPDによって分析した。これら7つの試料のXRPDディフラクトグラムはアセトニトリル、MEKおよび100% EtOAcからの3つの新たなパターンを示し、100% EtOAcはtert-ブチルメチルケトン(TBME)からの試料と一致するパターンを有した。ヘプタンおよび1-プロパノールからの試料はエタノール溶媒和物と同一のパターンを示し、EtOAc中10%水からの試料はヘミナトリウム塩と同一のパターンを示した。試料10、11、13および14を25℃で1時間減圧乾燥させた後、1H NMRによって分析したところ、試料10が最小量の溶媒を保持したことが示され、このことはそれがナトリウム塩の結晶性非溶媒和形であることを示した。この試料をさらに調査し、GVS、TGA、DSCによって分析し、これら4つの試料すべてを40℃/75%RHで保管した後、さらなるXRPD分析を行った。非溶媒和ナトリウム塩(化合物2)のXRPDピークおよび強度を表20に示す。
(表20)化合物2のXRPDピーク
Figure 0005948326
アセトニトリル(MeCN)からの材料はTGA上で3.5%の重量減少を示し、重量は約120℃になるまでは徐々に失われ、その時点で重量はさらに速やかに失われ、これは、DSCにより観察されて結晶形の融解を表す吸熱と一致した。GVS分析は、40%RHから90%RHまで重量が約17%増加した後、0%RHで-2%の重量まで低下し、合計19%の重量が低下したことを示した。重量は40%RHによって6%増加し、これは水和物から観察される重量増大に一致しており、重量は当初の材料の重量に戻らなかった。繰り返しのサイクルは水和物のサイクルに一致し、GVS分析後の材料のXRPDディフラクトグラムは、それが塩の水和形であることを示した。これは、40/75%RHで保管した後の他の3つの試料のXRPDディフラクトグラムによっても同様に観察された。
実施例8
化合物1のカリウム塩
ナトリウムエトキシドを使用してナトリウム塩を形成するための手順を、カリウムエトキシドを使用して繰り返した。非晶質遊離酸である化合物1 25mgをエタノール50μLに溶解させた。カリウムエトキシド(エタノール中24%)22μL、1モル当量を加え、溶液を振盪機中にて25℃で3日間保管した。固体は析出せず、バイアルを超音波処理器中に5分間置いた後、5℃で保管して、カリウム塩の結晶化を誘導するように試みた。ある範囲の異なる溶媒を使用してこれを繰り返して遊離酸を溶解させた。結果を表21に示す。
(表21)カリウム塩形成の結果
Figure 0005948326
使用したいずれの溶媒も実験を通じて析出物を与えなかった。カリウム塩を結晶化させるためのさらなる試みにおいて、溶媒をゆっくりと蒸発させたところ、すべての試料からゴムのみが得られた。ゴムを同一の溶媒200μLに50℃で再溶解させた後、逆溶媒であるヘプタンを滴下して何らかの析出物を得た後、50℃で4時間と室温で4時間とを循環させる熟成室にこれを保管した。トルエンからの1つの試料を除くすべての試料は、濾過するとゴムまたは油状物を与えた。トルエンからの試料は、XRPDによって分析した際に、小さなピークをその内側に有する非晶質の曲線を与えた。トルエンからの試料にトルエン50μLを加え、熟成室にさらに4日間戻した後、試料をXRPDによって再分析したところ、ディフラクトグラム上でのピークのわずかな改善が示されたが、依然として主に非晶質であった。
トルエンからの試料を調査するために、塩形成をより大きなスケールで繰り返した。遊離酸である化合物1(ナトリウム塩を経由して精製)50mgをトルエン400μLに溶解させ、そこにカリウムエトキシド(エタノール中24重量%)44μLを加えた。何らかの析出物が観察されるまでヘプタンを溶液に滴下し、50℃で4時間と室温で4時間とを循環させる熟成室にバイアルを配置した。収集した材料を濾過したが、静置時にゴムが形成された。
実施例9
化合物1のカルシウム塩およびマグネシウム塩
ナトリウムイオンをカルシウムまたはマグネシウムイオンに交換する試みにおいて、化合物2の一エタノール和物ナトリウム塩を使用した。ナトリウム塩50mgをIPA/水混合物に溶解させた。塩化カルシウム5.47mgおよび塩化マグネシウム4.70mgをメタノール11mLおよび9mLにそれぞれ溶解させた。塩化カルシウム溶液と塩化マグネシウム溶液をそれぞれナトリウム塩50mgの溶液に加え、3時間攪拌した後、5℃で終夜保管した。
溶液をロータリーエバポレーター上に配置して溶媒を除去することで固体が得られた。水を加えることで、存在した可能性があるあらゆる塩化ナトリウムを除去し、材料を濾過した。
XRPD分析によれば、マグネシウム試料はゴムを与えたが、カルシウム試料は非晶質固体を与えた。これを1H NMRおよびイオンクロマトグラフィーによって分析した。1H NMRは、遊離酸について既に観察されたものと同一のピークを示した。イオンクロマトグラフィーの結果は、材料が試料中にカルシウムイオン0.07当量のみを含有したことを示すが、カルシウム塩が形成された場合は0.5であったはずである。非晶質材料は、最小量の塩化カルシウムが試料中に混合物として残留する非晶質遊離酸化合物1であったに違いない。
実施例10
ナトリウム塩から遊離酸への変換
非晶質化合物2(5.00g、8.59mmol)を酢酸エチル(50mL)に溶解させ、1M HCl(30mL)で洗浄し、MgSO4で乾燥させ、蒸発させて黄色泡状物を得た。この泡状物を50℃で2時間高真空乾燥させて黄色泡状物4.373g(100%)を得た。1H NMRスペクトル中でのδ1.25、2.39および2.87での積分は、酢酸エチル2.6% w/wが泡状物中に捕捉されたままであることを示唆した。HPLC分析は純度97.1%を示す。キラルHPLCは、試料が鏡像体過剰率>98%であることを示す。
Figure 0005948326
*微量の回転異性体を示す。
実施例11
遊離酸の再結晶
実施例10において形成された遊離酸(化合物1)を10個のバイアルに各25mgで加え、そこに適切な溶媒15μLを加え、50℃で4時間と室温で4時間とを循環させる熟成室に3日間配置した。この時間の後、再結晶されなかったものを超音波処理し、依然として固体が形成されない場合は5℃で保管した。結果を表22に示す。
(表22)遊離酸の再結晶の結果
Figure 0005948326
いずれの溶液も固体材料を再結晶させなかったことから、溶媒をゆっくりと蒸発させたが、これはゴムしか与えなかった。同一の溶媒200μLを各バイアルに加え、50℃に加熱してゴムを溶解させた。何らかの析出物が観察されるまでヘプタンを溶液に加えた後、バイアルを熟成室に配置した。水からの1つの試料を除くすべての試料はゴムまたは油状物のいずれかを与えたが、水からの試料はXRPDによって分析した際に非晶質固体を与えた。
実施例12
ナトリウム塩から遊離酸を結晶化させる試み
α-メチルベンジルアミン塩から化合物1の非晶形を調製する手順は米国特許第5,246,943号(1992年)に記載されており、これは化合物1のα-メチルベンジルアミン塩のメタノール溶液に硫酸水素カリウム水溶液を加えることを包含する。硫酸水素カリウム溶液を用いる析出によって化合物1の遊離酸形態を調製するこの技術は、この技術をナトリウム塩(化合物2)に適用する際に得られた遊離酸の物理的形態を特性決定する試みにおいて使用された。ナトリウム塩50mgを最小量のメタノールに溶解させ、硫酸水素カリウム溶液をメタノール中に(硫酸水素カリウム1%過剰で)滴下して遊離酸を析出させた。50℃と室温とを4時間毎に交替させる熟成室にバイアルを3日間配置した。試料を濾過し、XRPDディフラクトグラムは材料が非晶質であることを示したが、ディフラクトグラム中には残留無機材料の一部が引き起こすいくつかのピークが存在した。
実施例13
様々な湿度に対するエタノール溶媒和物の安定性
エタノール溶媒和物の試料を40℃/75%RHに終夜置いてナトリウム塩三水和物を形成した。この変換をXRPDによって変換した後で水和形を使用した。約600mgを調製した。
材料を90mgの6つのバッチに分割し、6つの異なる温度および湿度で保管した。材料を容器中で、40℃または25℃のいずれかで保管された酢酸カリウム、炭酸カリウムまたは亜硝酸ナトリウムのうち1つの飽和溶液の上方に保管することによって、湿度を固定した。これは、以下の表23に明記される6つの温度および湿度条件を与える。1日、7日および14日後、材料をXRPD、HPLCおよびカールフィッシャー電量分析によって分析した。
(表23)湿度安定性評価の結果
Figure 0005948326
*カールフィッシャー電量分析が2回目の処理で異なる結果を示したことから、平均の数字の代わりに両方の結果を表示する。
材料は40℃/75%RHで保管することで水和物になり、したがって、約60%RHとより低い湿度で保管したものは同一の材料にとどまり、XRPDディフラクトグラムの変化がなく、終始高い含水率の値を維持した。約20%RHと低い湿度で保管された材料は含水量が終夜低下し、XRPDディフラクトグラム上のピークのうち1つのわずかな変化を示した。12 2-θでの1つのピークは、二重ピークであることから単一ピークを有することに移行した。XRPDディフラクトグラムのこの変化は、含水量が失われた材料全体において明らかであった。約40%RHで保管された材料は、40℃で1週間かけて加熱された場合のみ水を失った。しかし25℃では、含水量、したがってXRPDディフラクトグラムは2週間を通じて同一にとどまった。材料の純度は実験を通じて維持された。低湿度または高湿度での保管によって影響されないようである。
実施例14
化合物2の溶解度および安定性
水、メタノール、アセトニトリル(ACN)およびイソプロパノールより選択される溶媒中、ならびにpH 1、2、7および8の50mMリン酸緩衝液、pH 3、4、5および6の50mMクエン酸緩衝液、ならびにpH 9の50mMホウ酸緩衝液中での化合物2の溶解度を評価した。
溶液が目に見えて飽和し、ボルテックス混合時に混濁したままになるまで、化合物2を溶媒または緩衝液10mLに加えた。各試料を往復式振盪機上にて室温で24時間配置した後、0.45μmナイロンフィルターを通じて濾過して過剰の懸濁した化合物を除去した。
次に試料を、必要な場合は表24に従って希釈し、HPLCによって分析した。結果をACN中の公知濃度の標準曲線と比較した。結果を表25に示す。
(表24)t=0およびt=1週間のストック試料希釈液
Figure 0005948326
(表25)化合物2溶液溶解度
Figure 0005948326
上記分析をt=0とした後、試料を2つに分割し、各試料の一方を5℃で1週間保管し、各試料の他方を25℃/60%相対湿度(RH)で1週間保管した。
1週間後、試料を室温に平衡化し、必要であれば(5℃で保管されたH2OおよびpH 7〜9試料)再濾過して析出物を濾過した。
試料をHPLCによって再分析した。結果を表26および表27に示す。
(表26)25℃/60%RHでの化合物2溶液安定性
Figure 0005948326
*pH 1〜5溶液の低い溶解度が理由で安定性データを決定することができなかった。
(表27)5℃での化合物2溶液安定性
Figure 0005948326
*pH 1〜5溶液の低い溶解度が理由で安定性データを決定することができなかった。
化合物2は、選択された水性緩衝液および有機溶媒中での安定性および溶解度を示した。スクリーニングされた溶媒では、化合物2はMeOH中での溶解度が最も高く>50mg/mLであり、最低の溶解度はイソプロピルアルコール中で0.7mg/mLであった。pH溶解度プロファイルは、pHの増大に従った溶解度の増大を示した。化合物1はpKa約3.86を有しており、これはpH溶解度傾向を説明している。pH 1〜5試料について得られた安定性データは、これらの緩衝液中での化合物2の低い溶解度が理由で非確定的な結果を示した。
実施例15
HPMCおよびゼラチンカプセル剤の比較
ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC、ヒプロメロースとしても知られる)とゼラチンとの両方の20個のカプセルに25±1mgの非晶質化合物2を充填することで、HPMCカプセル剤に見られるより低い含水量が該化合物の水取り込みを遅延させるか否かの決定を行った。両方のカプセル剤の種類の化合物2の試料を25℃/60%RHおよび40℃/75%RHに1週間置いた。試料をt=0およびt=1週間での含水量、抗力および純度%(面積%)について分析した。
化合物2 HPMCおよびゼラチン試料の調製
20個の透明サイズ00 HPMCカプセル剤および20個の透明サイズ00ゼラチンカプセル剤に手でAPIを充填した。
各カプセル剤にAPI 25±1mgを充填した。
2つのカプセル剤の種類をいずれもキャップ付きの2本の30cc HDPEビンに分け、25℃/60%RHと40℃/75%RHとの両方で1週間置いた。
t=0での試料分析
t=0時点で化合物2を含水量、抗力および純度%(面積%)について分析した。
含水量
含水量について化合物2の2つの試料をt=0で採取した。HPMCカプセルに充填した後に第1の試料を採取し、ゼラチンカプセルに充填した後に第2の試料を採取した。この試料採取手順を行うことで、カプセル剤に充填している間に起こった水取り込みを相殺した。
HPMCカプセル剤に充填した後、化合物2 50.3mgをクリンプバイアルに秤量した。
バイアルをカールフィッシャー分析のために直ちにクリンプした。
ゼラチンカプセル剤に充填した後、化合物2 50.4mgをクリンプバイアルに秤量した。
バイアルをカールフィッシャー分析用に直ちにクリンプした。
効力および純度%(面積%)
化合物2 76.17mgを100mLメスフラスコに直接秤量した。
フラスコをACNで満杯まで希釈し、逆さにして混合した。
1mLアリコートを分析用にHPLCバイアル中に直接移した。
試料を40℃/75%RHおよび20℃/60%RHで1週間保管した後、試料を純度%および効力%についてHPLCによって分析した。結果を表28に示す。
(表28)t=0およびt=1週間でのHPMC対ゼラチンの効力および純度の結果
Figure 0005948326
HPMC対ゼラチンのカプセル剤の比較を実行することで、HPMCカプセル剤のより低い出発含水量が化合物2による水の吸収を妨げるか否かの決定を行った。また、この実験を行うことで、含水量の増加が該化合物の効力および純度%(面積%)の減少を導くか否かを知った。結果は、HPMCカプセル剤が40℃/75%RHで保管した際に実際に水の取り込みをゼラチンに対して3.74%遅延させたことを示した。化合物2の効力および純度%(面積%)は1週間後に試験したすべての条件で変化しなかった。
実施例16
化合物2の粒径分布、粉体流、かさ密度、タップ密度および製粉可能性
化合物2の粒径分布を篩スクリーン分析によって決定した。53、106、250、500、710および1000μmメッシュスクリーンを含む一連の篩に化合物2の試料を通した。篩い分けが生じる前および後に各スクリーンを秤量することで、各粒径での化合物の量を決定した。
粉体流をFlowDex装置上で決定した。
風袋100mLメスシリンダーに化合物2を充填して、かさ密度を決定した。添加した化合物2の体積および重量を記録し、そのかさ密度を計算するために使用した。次に、化合物2を充填した同じメスシリンダーを取り、100サイクルに設定したAutotap上にそれを置くことで、タップ密度の決定を行った。新たな粉体体積を記録して、タップ密度を計算するために使用した。
24.73 mgの化合物2を風袋25mLメスフラスコに直接秤量した。フラスコをACNで満杯に希釈し、逆さにして混合した。製粉が行われる前に試料を採取して薬物の純度%(面積%)を決定した。化合物2 17.92gを採取し、1143μmスクリーンを有するコニカルミルにこの材料を通すことで製粉を行った。14.33gの化合物2を回収し、粒径分布、かさ密度およびタップ密度について再分析した。製粉された24.93mgの化合物2を風袋25mLメスフラスコに直接秤量した。フラスコをACNで満杯に希釈し、逆さにして混合した。化合物2を製粉した後に、この試料を採取して純度%(面積%)を決定した。結果を表29、30、31および32に示す。
(表29)原体化合物2粒径分布
Figure 0005948326
(表30)製粉化合物2粒径分布(1143μmスクリーン使用)
Figure 0005948326
(表31)未製粉化合物2のかさ密度およびタップ密度
Figure 0005948326
(表32)製粉化合物2のかさ密度およびタップ密度
Figure 0005948326
化合物2試料の純度の割合は製粉によって変化しなかった。
化合物2を製粉した後、T2 Turbulaブレンダー上で2.5%w/wコロイド状二酸化ケイ素であるCab-O-Sil(登録商標)と2分間ブレンドした。ブレンド粉体を収集し、その流動性をFlowDex装置上で分析した。
化合物2の粉体流をFlowDex上で決定した。第1の試験条件は原体未製粉化合物2とした。粉体は最大の利用可能な34mmのオリフィスを通過できなかった。第2の試験条件は、2.5%w/wコロイド状二酸化ケイ素とブレンドされた製粉化合物2とした。製粉およびブレンド化合物2の流れは34mmオリフィスを通過したが、32mmオリフィスを通過できなかった。
原体化合物2の低密度および大きな粒径分布が理由で、製粉プロセスを使用した。製粉プロセスは、薬物を分解することなく化合物2の平均粒径を約775μmから約560μmに低下させた。しかし、該化合物を製粉することで、該化合物が通気され、かさ密度およびタップ密度の減少が引き起こされた。
実施例17
溶解比較
固体ナトリウム塩の3つの形態、すなわち一ナトリウム三水和物(化合物6)、一ナトリウム塩二水和物(化合物7)および非晶質化合物2の溶解を分析した。
結晶性三水和物(化合物6)カプセル剤の調製
非晶質化合物2を周囲温度/75%RHに24時間曝露することで結晶性材料を作製した。乾燥室中に封止された飽和塩化ナトリウム溶液を使用してこれらの条件を作り出した。結晶性材料を作り出した時点でそれを収集し、溶解試験が行われるまで2〜8℃で保管した。25mg±1mgをサイズ00乳白色ゼラチンカプセル剤に秤量することで、溶解用の2つの試料を調製した。
結晶性二水和物(化合物7)カプセル剤の調製
化合物2のイソプロパノール溶媒和物の試料を周囲温度および湿度条件に2週間置くことで結晶性化合物7二水和物を作製した。化合物2のイソプロパノール溶媒和物は容易に二水和物に変換される。化合物7を調製した時点でそれを収集し、溶解試験を行うまで2〜8℃で保管した。25mg±1mgをサイズ00乳白色ゼラチンカプセル剤に秤量することで、溶解用の2つの試料を調製した。
化合物2カプセル剤の調製
非晶質化合物2 25mg±1mgをサイズ00乳白色ゼラチンカプセル剤に秤量することで、溶解用の2つの試料を調製した。
溶解材料およびパラメータを表33に示す。各引き抜き時間において、媒体約6mLを各容器から除去し、0.45μmナイロンフィルターを通じて濾過した。最初の溶液5mLを廃棄し、最後の1mLを分析用にUPLCバイアル中に収集した。
(表33)溶解パラメータおよび材料
Figure 0005948326
各試料の各時点での平均溶解値を評価した。表34に示す。
(表34)化合物2の異なる結晶形の溶解結果
Figure 0005948326
予想通り、化合物2の結晶形は最も遅い溶解速度を示し、一方、非晶質化合物2はかなり速やかに溶解した。
実施例18
製剤
表35に示す成分を混合して均一混合物を得て、混合物をゼラチンまたはHMPCカプセル剤中に入れた。
(表35)非晶質化合物2のプロトタイプ製剤
Figure 0005948326
選択された25mg製剤の40℃/75℃RHで1ヶ月の安定性を表36に示す。
(表36)安定性
Figure 0005948326
実施例19
遊離酸化合物1からの化合物2の調製
化合物1(31.35g、61.8mmol、純度95.82%)をジクロロメタン(DCM)(150mL)に溶解させ、ナトリウムエトキシド溶液(20.05mL、21%w/w)で処理した。混合物を蒸発乾固させた後、酢酸エチル(110mL)に溶解させた。この溶液にイソプロパノール(315mL)を攪拌しながら滴下したところ、急速な結晶化が引き起こされた。イソプロパノールの添加完了の20分後、結晶を濾過し、イソプロパノール(80mL)で洗浄し、シンターで約3時間乾燥させた。これによりクリーム色粉末28.71gを得た。この材料を蒸留水290mLに昇温(40℃)させながら溶解させ、周囲温度で1時間攪拌した結果、結晶化した。混合物を濾過し、残渣を減圧乾燥させて白色固体21.35g(65%)を得た。HPLC分析は、材料が>98%e.e.および純度99.3%であることを明らかにした。
Figure 0005948326
*微量の回転異性体を示す。
実施例20
イソキノリンのアシル化、および結晶化
アシル化工程
Figure 0005948326
ジクロロメタン(DCM)、イソキノリン(1.0当量)およびピリジン(6.0当量)の懸濁液を不活性窒素雰囲気下で-12±2℃に冷却した。内温を-10℃以下に維持しながらクロロトリメチルシラン(4.0当量)を徐々に懸濁液に加えた。添加完了後、ほぼ均一の溶液が生じる。反応混合物を最低20分間攪拌し、内温を-12±2℃に調整した。次に、内温を-10℃未満に維持しながらジフェニルアセチルクロリドのDCM溶液(0.9当量)を徐々に反応混合物に加えた。添加完了後、内温を-10℃未満に維持しながら反応混合物を最低15分間攪拌した。
反応液を2M塩酸で反応停止させ、混合物を+20±5℃に昇温した。攪拌を停止し、二相性混合物を最低15分間沈降させた。下方の相(有機相)を分離した。ナトリウムエトキシド溶液(エタノール中21%、1.0当量)を有機相に加え、得られた溶液を蒸発させてナトリウム塩エタノール溶媒和物化合物4を得た。
結晶化工程
Figure 0005948326
粗ナトリウム塩エタノール溶媒和物化合物4を酢酸エチル(EA)に溶解させた後、濃縮した。残渣を酢酸エチルに溶解させた後、+20±5℃で攪拌した。攪拌酢酸エチル溶液にイソプロパノールを制御添加で徐々に加えた。これはイソプロパノール溶媒和物である化合物5の結晶化を引き起こす。添加完了後、混合物を1時間攪拌した。結晶を濾過、イソプロパノールで洗浄した。イソプロパノールレベルが10%未満になるまで結晶を減圧乾燥させた。攪拌下のRO水に結晶を加えて急速な溶解を生じさせた。得られた溶液を2時間攪拌して濃厚析出物を形成させた。次に得られたスラリーを凍結乾燥させて化合物2を帯黄白色粉末として得た。
実施例21
ピラゾール活性エステル形成
Figure 0005948326
ガラスまたはステンレス鋼のジャケット付き容器を不活性雰囲気下に置いた。溶液にピラゾール(1.1当量)、N-メチルモルホリン(NMM)(1.3当量)および酢酸エチルを加えた。ジフェニルアセチルクロリドの酢酸エチル溶液(1.0当量)を徐々に加えた。内温を+30℃未満に維持するように反応溶液に冷却を適用した。添加完了後、内容物を最低20分間攪拌した。反応混合物を水、1M硫酸(2x)、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(2x)、水およびブラインで洗浄した。酢酸エチル相を濃縮し、残渣をヘプタンで抜き取った。
すべての固形分を溶解させるように、残渣をヘプタン中で70℃に加熱した。得られた溶液を冷却し、15±5℃で1時間保持し、同時に結晶化が生じた。結晶を濾過し、最低16時間乾燥させた。収率: ジフェニルアセチルクロリドから80〜90%。
イソキノリンのアシル化
Figure 0005948326
ガラスライニングまたはステンレス鋼容器を不活性雰囲気下に置いた。容器にDMF、テトラメチルグアニジン(1.03当量)およびイソキノリン(1.0当量)を加えた。混合物を約1時間攪拌して溶解を生じさせた(この段階では部分的溶解のみが予想された)。反応混合物にピラゾール活性エステル(1.2当量)を加えた。反応混合物を最低16時間攪拌した。IPC(HPLC)を行うことで反応の程度を確認した(合格条件: 残留イソキノリン<5.00%)。ジメチルエチレンジアミン(0.3当量)を反応混合物に加え、攪拌をさらに2時間続けた。IPC(HPLC)をピラゾール活性エステルについて行った(合格条件: ピラゾール活性エステル<0.10%)。
反応混合物をトルエンで希釈し、1M硫酸(2x)および水(2x)で洗浄した。溶媒の蒸発を通じて有機相の量を減少させた。ナトリウムエトキシド(1.0当量)を反応混合物に加えた。残留溶媒を反応混合物から蒸発させた。残渣を酢酸エチルから蒸発させた。
粗生成物を酢酸エチル中で攪拌し、混合物を攪拌容器に移した。イソプロパノールを酢酸エチル溶液に制御添加で加えて結晶化を生じさせた。混合物を最低1時間攪拌した。結晶を濾過し、少量のイソプロパノールで洗浄した。結晶を最低16時間減圧乾燥させて化合物5を得た。
水をガラスライニングまたはステンレス鋼容器に加えた。内温を40±2℃に調整した。化合物5の結晶を水にゆっくりと加えて溶解を生じさせた。温かい溶液をlyoguardトレー内に分配し、凍結乾燥器内に載せた。一次乾燥を棚温度-5℃で少なくとも3日間にわたって行った。二次乾燥相を棚温度+25℃で少なくとも24時間にわたって行う。IPC(KF)を行うことで、許容される含水量を確認した(合格条件: 水<15.0%)。化合物2をlyoguardトレーから取り除き、適切な容器に置いた。収率: イソキノリンから80〜90%。
実施例22
化合物2のバイオアベイラビリティ
HPMCカプセル剤中の化合物2を健康な男性対象(18〜55歳)に様々な量、すなわち10mg、25mg、50mg、100mgおよび200mgで1日1回、7日間経口投与した。
各投薬後の定期的な間隔で血液試料を採取し、血液試料に由来する血漿を化合物1のレベルについて分析した。得られたデータを使用して、表37に示すように薬理学的パラメータを計算した。
(表37)化合物2の薬理学的パラメータ
Figure 0005948326
n=各用量レベルでの対象の人数
実施例23
単回経口投薬後のオスビーグル犬における化合物2(非晶質)、6、7および1の薬物動態分析
この試験は、絶食状態で単回経口カプセル剤として投与された以下の4つの形態の化合物1のPKプロファイルを比較するように設計された。動物のランダム化スケジュールを以下の表に要約する。手短に言えば、試験は4匹のオスのイヌからなり、それぞれ10mg/kgの単一用量の以下の4つの各化合物、すなわち化合物2ナトリウム塩非晶質、化合物6、化合物7および化合物1遊離カルボン酸を受け取った。投薬間には4日間の休薬期間が存在した。試験1日目、4日目、8日目および11日目の所定の時点で各動物から血液試料を収集した。有効なHPLC-MS/MSアッセイによって血漿を化合物1について分析した。
Figure 0005948326
A - 化合物2(非晶質)
B - 化合物6
C - 化合物7
D - 化合物1
記述的PKパラメータを個々の血漿中濃度-時間データに基づいて標準モデル非依存的方法(Gibaldi and Perrier、1982)によって決定した。血漿中濃度を3桁の有効数字に丸めた。定量化可能なアッセイ限界未満の濃度(BQL<2.00ng/mL)を有する血漿試料には平均値計算のためにゼロの値を割り当てた。PK計算では、BQLを、投薬前の時点から第1の定量化可能な濃度の時点までゼロに設定し、その後は欠測値として設定した。名目上の時点をすべての計算に使用した。
・Cmaxは、投薬後に観察される最大血漿中濃度である。
・Tmaxは、Cmaxに到達するまでの時間である。
・T1/2は、ln(2)/λによって計算される見かけの半減期であり、λは、終末相の対数線形部分の速度定数である。血漿中濃度-時間曲線の分布相後の3つの値のうちの最小値がλの計算に必要である。
・AUC(0-T)は、線形台形法を使用して決定される、ゼロ時点から最終測定可能血漿中濃度の時点までの血漿中濃度-時間曲線下の面積である。
・AUC(0-inf)は、ゼロ時点から無限大までの血漿中濃度-時間曲線下の面積である。AUC(0-T)とTから無限大までの外挿面積とを合計することで計算される。
WinNonlin Professional 6.1(カリフォルニア州マウンテンビュー、Pharsight Corp.)モデル200を使用するノンコンパートメント解析によってPK分析を行った。
化合物2(非晶質)、化合物6、化合物7および化合物1遊離カルボン酸後の化合物1の血漿中濃度およびPKパラメータの個々の値、平均値およびSD値を表38、39、40および41にそれぞれ提示する。化合物1の平均PKパラメータを表42に要約する。異なる形態の後の化合物1の平均血漿中濃度-時間プロファイルを図11に示し、平均CmaxおよびAUC(0-inf)を図12に提示する。
10mg/kgでの化合物1の単回経口投薬後、中央Tmax値は化合物2ナトリウム塩非晶質、化合物6、化合物7および化合物1遊離カルボン酸についてそれぞれ0.750、1.00、1.00および2.00時間であった(表42)。対応する平均Cmax値はそれぞれ1590±534、1320±1050、1260±428および294±238ng/mLであった(表42)。平均AUC(0-inf)値はそれぞれ1840±516、1930±1240、2440±542および680±412ng・h/mLであった。化合物6および遊離カルボン酸後のAUCは、化合物2非晶質および化合物7水和物よりも高い対象間の変動性を示した(CV値(%)は60.6%〜81.1%の範囲; 表42参照)。化合物7水和物は最高平均AUCを生じさせ、一方、遊離カルボン酸化合物1は最低AUCを生じさせた。平均調和T1/2値は化合物2ナトリウム塩非晶質、化合物6、化合物6および遊離カルボン酸化合物1についてそれぞれ2.49±0.391、2.82±1.18、4.36±3.16および2.11±0.115時間であった(図11および表42)。
最長Tmaxは遊離カルボン酸化合物1後に中央値2時間で観察され、これに比べて化合物2(非晶質)、化合物6および化合物7では0.75〜1時間であった。最高平均Cmax値は化合物2(非晶質)後に観察され(1590±534ng/mL)、最高平均AUC値は化合物6後に観察された(2440±542ng・h/mL)。
(表38)化合物2非晶形の単回経口投薬10mg/kg後のイヌにおける化合物1の血漿中濃度(ng/mL)およびPKパラメータ
Figure 0005948326
a 中央値および範囲として表す
b 調和平均および擬似SDとして表す
BQL - 定量化可能限界未満<2.00ng/mL
NA - 該当なし
(表39)化合物6の単回経口投薬10mg/kg後のイヌにおける化合物1の血漿中濃度(ng/mL)およびPKパラメータ
Figure 0005948326
a 中央値および範囲として表す
b 調和平均および擬似SDとして表す
BQL - 定量化可能限界未満<2.00ng/mL
NA - 該当なし
(表40)化合物6の単回経口投薬10mg/kg後のイヌにおける化合物1の血漿中濃度(ng/mL)およびPKパラメータ
Figure 0005948326
a 中央値および範囲として表す
b 調和平均および擬似SDとして表す
BQL - 定量化可能限界未満<2.00ng/mL
NA - 該当なし
(表41)遊離カルボン酸形態の化合物1の単回経口投薬10mg/kg後のイヌにおける化合物1の血漿中濃度(ng/mL)およびPKパラメータ
Figure 0005948326
a 中央値および範囲として表す
b 調和平均および擬似SDとして表す
BQL - 定量化可能限界未満<2.00ng/mL
NA - 該当なし
ND - 未決定
(表42)化合物1、化合物2(非晶質)、化合物6および化合物7後のイヌにおける化合物1の平均PKパラメータの要約
Figure 0005948326
a 中央値および範囲として表す
b 調和平均および擬似SDとして表す
上記は本発明の特定の態様の詳細な説明である。本発明の具体的態様を例示目的で本明細書において説明したが、本発明の真意および範囲を逸脱することなく各種の変更を行うことができると認識されるであろう。したがって、本発明は添付の特許請求の範囲による以外では限定されない。

Claims (29)

  1. (S)-2-(ジフェニルアセチル)-1,2,3,4-テトラヒドロ-6-メトキシ-5-(フェニルメトキシ)-3-イソキノリンカルボン酸のナトリウム塩の結晶性溶媒和
  2. 溶媒和物が、エタノール溶媒和物、イソプロパノール溶媒和物、または2個〜5個の水分子を有する水和物である、請求項記載の結晶性溶媒和物
  3. 溶媒和物がエタノールまたはイソプロパノール溶媒和物である、請求項記載の結晶性溶媒和物
  4. 溶媒和物が、2個の水分子を有する水和物である、請求項記載の結晶性溶媒和物
  5. 溶媒和物が、3個〜5個の水分子を有する水和物である、請求項記載の結晶性溶媒和物
  6. 前記結晶性溶媒和物が、19.3°2θ±0.1°2θでのピークを含むX線粉末回折パターンを示す、請求項記載のナトリウム塩水和物。
  7. 前記X線粉末回折パターンが、18.2°2θ±0.1°2θでのピークをさらに示す、請求項記載のナトリウム塩水和物。
  8. 前記結晶性溶媒和物が、55.7、128.2、および151.3ppm±0.2 ppmでのピークを含む固体13C NMRスペクトルを示す、請求項記載のナトリウム塩水和物。
  9. 前記結晶性溶媒和物が、15.2°2θ±0.1° 2θでのピークを含むX線粉末回折パターンを示す、請求項記載のナトリウム塩水和物。
  10. 前記X線粉末回折パターンが、4.8、7.3、12.0、12.6、23.5、および24.5°2θ±0.1°2θからなる群より選択される少なくとも2つのピークをさらに含む、請求項記載のナトリウム塩水和物。
  11. 前記結晶性溶媒和物が、53.7、122.9、および128.1ppm±0.2 ppmでのピークを含む固体13C NMRスペクトルを示す、請求項10記載のナトリウム塩水和物。
  12. 前記結晶性溶媒和物が、14.3°2θ±0.1°2θでのピークを含むX線粉末回折パターンを示す、請求項記載のエタノール溶媒和物。
  13. 前記結晶性溶媒和物が、14.7°2θ±0.1°2θでのピークを含むX線粉末回折パターンを示す、請求項記載のエタノール溶媒和物。
  14. 前記結晶性溶媒和物が、14.3、14.7、26.9、および29.7°2θ±0.1°2θを含む群より選択される少なくとも2つのピークを含むX線粉末回折パターンを示す、請求項記載のエタノール溶媒和物。
  15. 前記結晶性溶媒和物が、18.4、139.7、および141.4ppm±0.2 ppmでのピークを含む固体13C NMRスペクトルを示す、請求項14記載のエタノール溶媒和物。
  16. 前記結晶性溶媒和物が、20.6、26.6、27.2、28.3、および29.3°2θ±0.1°2θからなる群より選択される少なくとも1つのピークを含むX線粉末回折パターンを示す、請求項記載のイソプロパノール溶媒和物。
  17. 前記結晶性溶媒和物が、25.0、26.0、26.6、27.2、28.3、および29.3°2θ±0.1°2θからなる群より選択される少なくとも2つのピークを含むX線粉末回折パターンを示す、請求項16記載のイソプロパノール溶媒和物。
  18. 前記結晶性溶媒和物が、10.8、14.0、21.1、21.9、および22.5°2θ±0.1°2θからなる群より選択される少なくとも1つのピークをさらに含むX線粉末回折パターンを示す、請求項16記載のイソプロパノール溶媒和物。
  19. 前記結晶性溶媒和物が、63.1および140.7ppm±0.2 ppmでのピークを含む固体13C NMRスペクトルを示す、請求項18記載のイソプロパノール溶媒和物。
  20. (S)-2-(ジフェニルアセチル)-1,2,3,4-テトラヒドロ-6-メトキシ-5-(フェニルメトキシ)-3-イソキノリンカルボン酸ナトリウム塩の結晶性溶媒和物を、薬学的に許容される担体、希釈剤、または賦形剤と共に含む、薬学的組成物。
  21. 経口送達用に製剤化される、請求項20記載の薬学的組成物。
  22. (i) (S)-2-(ジフェニルアセチル)-1,2,3,4-テトラヒドロ-6-メトキシ-5-(フェニルメトキシ)-3-イソキノリンカルボン酸をナトリウムアルコキシドで処理する工程、
    (ii) (i)で形成され得られたナトリウム塩の結晶性アルコール溶媒和物を形成する工程、および
    (iii) 溶媒和物を再結晶させる工程
    を含む、(S)-2-(ジフェニルアセチル)-1,2,3,4-テトラヒドロ-6-メトキシ-5-(フェニルメトキシ)-3-イソキノリンカルボン酸のナトリウム塩またはその溶媒和物を調製する方法。
  23. 結晶性アルコール溶媒和物が、エタノール溶媒和物、イソプロパノール溶媒和物、または2個〜5個の水分子を有する水和物である、請求項22記載の方法。
  24. 工程(ii)において形成された結晶性アルコール溶媒和物のアルコール分子が、工程(iii)の前、途中、または後に、別の溶媒和物分子に交換される、請求項22記載の方法。
  25. 工程(iii)において再結晶される溶媒和物がイソプロパノール溶媒和物である、請求項22または24のいずれか一項記載の方法。
  26. 形成される溶媒和物が水和物である、請求項24記載の方法。
  27. 溶媒和物を乾燥させるさらなる工程を含む、請求項2226のいずれか一項記載の方法。
  28. ナトリウム塩を酸性化することで実質的に純粋な形態の(S)-2-(ジフェニルアセチル)-1,2,3,4-テトラヒドロ-6-メトキシ-5-(フェニルメトキシ)-3-イソキノリンカルボン酸を形成する工程をさらに含み、実質的に純粋な形態は、96%超の化学的純度および/または97%ee超を有する生成物であることを示す、請求項2226のいずれか一項記載の方法。
  29. (i) (S)-1,2,3,4-テトラヒドロ-6-メトキシ-5-(フェニルメトキシ)-3-イソキノリンカルボン酸のイソキノリン窒素原子を、下記式の活性化環状アミドでアシル化する工程であって、
    Figure 0005948326
    式中、環Aが5員窒素含有複素環である、工程、および
    (ii) アルコール溶媒中で工程(i)の生成物をアルコキシド塩によって処理する工程
    を含む、(S)-2-(ジフェニルアセチル)-1,2,3,4-テトラヒドロ-6-メトキシ-5-(フェニルメトキシ)-3-イソキノリンカルボン酸のナトリウム塩のアルコール溶媒和物を調製する方法。
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