以下、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明する。ここで、図1は、本実施形態に係る排ガス処理設備1の系統図である。図2は、本実施形態に係る第2集塵装置14および圧力検出管詰り防止装置17を模式的に示した断面図である。図3は、本実施形態に係る制御装置18のブロック図である。図4は、本実施形態に係る制御装置18の正面図である。
排ガス処理システムとしての排ガス処理設備1は、直列に並べられた複数の集塵装置に、溶解炉10で発生した排ガスを通過させることにより、当該排ガスに含まれる塵埃(有害物質やダスト等)を除去(除塵)するものである。
図1に示すように、排ガス処理設備1は、上流側から順に、有価金属(貴金属)を含む有機系物質を加熱して溶解する溶解炉10と、溶解炉10の排出側に接続される第1排ガス流路11と、第1排ガス流路11を介して溶解炉10から排出された排ガスに対し、第1除塵処理を行う第1集塵装置12と、第1集塵装置12の排出側に接続される第2排ガス流路13と、第2排ガス流路13を介して第1集塵装置12から排出された第1除塵処理後の排ガスに対し、第2除塵処理を行う第2集塵装置14と、を備えている。
また、排ガス処理設備1は、第2排ガス流路13に介設され、第1除塵処理後の排ガスを第1集塵装置12側から第2集塵装置14側に圧送する主送風機15と、第2排ガス流路13に分岐接続され、主送風機15の圧送を補助する補助送風機16と、第2集塵装置14の装置内差圧の正確な検出を担保するための圧力検出管詰り防止装置17と、排ガス処理設備1を統括制御する制御装置18と、を備えている。なお、第2排ガス流路13と、主送風機15と、補助送風機16と、制御装置18と、により風量制御システムが構成されている。
溶解炉10は、多種の有価金属(例えば、金、銀、銅等)を回収するために、有価金属を含む基板等の廃棄物を溶解するものである。溶解炉10は、吸入口(図示せず。)から常温(例えば、約20°)の外気を炉内に取り込んで、燃料を燃焼させる。なお、温度の単位は摂氏であり、以下の説明でも同様とする。溶解炉10は、燃焼開始から段階的(低温→中温→高温)に炉内の温度を上げて行く。なお、本実施形態では、溶解炉10から排出される排ガスの温度は、例えば、低温時には約200°、中温時には約450°、高温時には約750°になる(図6参照)。
第1排ガス流路11および第2排ガス流路13は、それぞれ所謂排ガス用のダクトで構成されている。なお、図示は省略するが、第1排ガス流路11および第2排ガス流路13には、流路の開閉を行う開閉バルブが適宜配設されている。
第1集塵装置12は、所謂湿式の集塵装置である。第1集塵装置12は、第1集塵容器20の下部において、第1排ガス流路11の下流端が接続された第1導入口21と、第1集塵容器20の上部において、第2排ガス流路13の上流端が接続された第1排出口22と、第1集塵容器20内に導入された排ガスから塵埃を捕集するラヒシーリング部23と、ラヒシーリング部23の上側から洗浄水を加圧して噴射する第1噴射機24と、第1噴射機24から噴射する洗浄水を貯留する第1排水貯留部25と、を有している。
溶解炉10から排出された排ガスは、主送風機15および補助送風機16の駆動により、第1排ガス流路11(上流)から第2排ガス流路13(下流)へと吸引(排風)される。このため当該排ガスは、予冷塔19で予備冷却された後、第1導入口21から第1集塵容器20内に導入される。第1集塵容器20内に導入された排ガス中の塵埃は、第1噴射機24から噴射された洗浄水(の液滴)と衝突し、ラヒシーリング部23に捕集される(第1除塵処理)。そして、第1除塵処理が行われた排ガスは、第1排出口22から第2排ガス流路13に排出される。第1集塵装置12での第1除塵処理により、溶解炉10から排出された排ガスは、冷却されると共に、当該排ガスに含まれる塵埃の一部が除去される。なお、洗浄水は、第1送水ポンプ(図示せず。)の駆動により、第1排水貯留部25から第1洗浄水供給管(図示せず。)を介して第1噴射機24に供給されて噴射される。そして、排ガスに対し噴射された洗浄水は、ラヒシーリング部23を通過して第1排水貯留部25に貯留される。
第2集塵装置14は、高い除塵性能(捕集性能)を有する所謂ベンチュリースクラバーであり、第1集塵装置12(第1除塵処理)で除去できなかった排ガス中の塵埃を除去するものである。
図2に示すように、第2集塵装置14は、第2排ガス流路13の下流端が接続される導入部31と、導入部31の下流端に連設された集束部32と、集束部32の下流側に設けられた拡散部33と、拡散部33の下流端に連設された円筒部34と、集束部32と拡散部33との間に設けられたスロート部35と、が一体に形成されている。また、第2集塵装置14は、集束部32において洗浄水を加圧して噴射する第2噴射機36と、第2噴射機36から噴射する洗浄水を貯留する第2排水貯留部37と、を有している。
導入部31の上流端には第2排ガス流路13が接続され、第1除塵処理後の排ガスが、第2集塵装置14内に導入される。略円筒状に形成された導入部31の側周面には、圧力検出管詰り防止装置17の上流圧力検出管51(後述する。)が接続されている。
集束部32は、下流に向かうにしたがって漸次小径になる中空円錐台状に形成されている。拡散部33は、下流に向かうにしたがって漸次大径になる中空円錐台状に形成されている。スロート部35は、集束部32および拡散部33のそれぞれの小径部分が接続されて形成されている。
円筒部34は、略円筒状に形成されており、その側周面には、第2除塵処理が行われた排ガス(浄化されたガス)が排出される排出流路34aが接続されている。また、排出流路34aの側周面には、圧力検出管詰り防止装置17の下流圧力検出管52(後述する。)が接続されている。
第2噴射機36は、第2洗浄水供給管38を介して第2排水貯留部37に接続されている。第2噴射機36は、第2洗浄水供給管38に介設された第2送水ポンプ39を駆動することで供給された洗浄水を集束部32(スロート部35)に向かって噴射する。
導入部31の上流端から導入された排ガスは、集束部32の上流部分よりも断面積の小さなスロート部35を通る際に加速される。第2噴射機36から噴射された洗浄水も、同様に、スロート部35で加速される。そして、排ガスに含まれる塵埃と洗浄水の液滴とが高速(60〜120m/sec)で衝突し、塵埃は、洗浄水の液滴に包まれて排ガスから除去される(第2除塵処理)。第2除塵処理後の排ガスは、排出流路34aから排出される。また、塵埃を含む洗浄水は、第2排水貯留部37に貯留される。なお、第2排水貯留部37に貯留した洗浄水は、水位およびpH値等が検出され、洗浄水の補充処理および排水処理等が適宜行われる。
以上のように、第2集塵装置14の塵埃除去性能(捕集性能)を担保するには、スロート部35での排ガスの風速を所定値以上に維持することが求められる。すなわち、第2集塵装置14は、所定風量の排ガスを導入して運転する必要がある。なお、本実施形態で所定風量とは、第2集塵装置14が連続運転可能な風量(所謂定格風量)を指すものとする。本実施形態で所定風量は、例えば、30m3/minである。
次に、図1に示すように、主送風機15および補助送風機16は、例えば、ターボファン、シロッコファン、プロペラファンまたはラインファン等の所謂ダクト用の排気ファンである。主送風機15は、制御装置18のインバーター72(後述する。)に接続され、一定出力(回転数)となるように駆動制御される。補助送風機16は、インバーター72により周波数制御され、回転数を変化させることができるようになっている。なお、主送風機15は、インバーター72を介さず一定出力となるように駆動制御してもよい。
主送風機15は、溶解炉10から発生した排ガスを吸引(排風)するためのメインの排気ファンであり、排ガスの発生量に基づいて所定風量の送風(排風)が行えるものが適宜選定される。主送風機15の主吸気口15aは、第2排ガス流路13を介して第1集塵装置12に接続され、他方、主送風機15の主排気口15bは、第2排ガス流路13を介して第2集塵装置14に接続されている。主送風機15は、第2排ガス流路13を介して、第1除塵処理後の排ガスを、第1集塵装置12から吸気(排風)し、第2集塵装置14に向かって排気(送風)する。
補助送風機16は、主送風機15による排ガスの搬送を補助するために設けられており、主送風機15よりも小型かつ低出力なものである。補助送風機16は、排気側が補助流路41を介して主送風機15の吸気側に接続している。具体的には、補助送風機16の補助排気口16bは、補助流路41の上流端に接続されている。また、補助流路41の下流端は、分岐ダクト42を介して、主送風機15の吸気側近傍の第2排ガス流路13に接続されている。補助流路41には、第2排ガス流路13から排ガスが逆流することを防止するための逆流防止ダンパー43が介設されている。なお、補助送風機16の補助吸気口16aは、大気に開放されている。
次に、図1および図2を参照して、圧力検出管詰り防止装置17について説明する。圧力検出管詰り防止装置17は、第2集塵装置14の導入部31の側周面に一端を開放する上流圧力検出管51と、第2集塵装置14の円筒部34に接続された排出流路34aの側周面に一端を開放する下流圧力検出管52と、上流圧力検出管51の管内における圧力を検出する上流圧力センサー53と、下流圧力検出管52の管内における圧力を検出する下流圧力センサー54と、上流圧力検出管51および下流圧力検出管52の他端が接続され、上流圧力検出管51と下流圧力検出管52とに圧空(圧縮空気)を供給する圧空供給源55と、を備えている。
上流圧力検出管51には、第2集塵装置14(導入部31)側から順に、上流圧力センサー53と、管内の圧力を目視で確認するための上流圧力計61と、圧空供給源55から供給された圧空の流量を計測する上流流量計62と、当該圧空の流量を調整する上流ボール弁63と、が介設されている。同様に、下流圧力検出管52には、第2集塵装置14(排出流路34a)側から順に、下流圧力センサー54と、下流圧力計64と、下流流量計65と、下流ボール弁66と、が介設されている。
上流圧力検出管51および下流圧力検出管52は、各ボール弁63,66より圧空供給源55側において1の合流管56に合流し、合流管56を介して圧空供給源55に接続されている。また、合流管56には、管内の開閉を行う電磁弁57が介設されている。
上流圧力センサー53および下流圧力センサー54は、例えば、半導体ピエゾ抵抗拡散型や静電容量型等の感圧素子を用いたセンサーである。また、圧空供給源55は、排ガス処理設備1に付設された圧縮空気の供給設備である。
上記した第2集塵装置14では、所定風量の排ガスを導入するために、排ガスの導入(上流)側と排出(下流)側との差圧(圧力損失)を正確に計測する必要がある。しかし、第2集塵装置14の運転中には、上流圧力検出管51および下流圧力検出管52に、塵埃を含む排ガスおよび洗浄水が流入し、各圧力検出管51,52内に塵埃が付着する。すると、各圧力検出管51,52は、付着した塵埃により詰まってしまい、上流圧力センサー53および下流圧力センサー54による当該差圧(装置内差圧)を正確に計測することができなくなる。そこで、本実施形態の圧力検出管詰り防止装置17は、上流圧力検出管51および下流圧力検出管52の塵埃による詰りを予防し、正確な装置内差圧の検出を担保するために設けられている。
具体的には、圧空供給源55は、第2集塵装置14の導入部31(排ガスの導入側)の圧力以上の圧力で、圧空供給源55から上流圧力検出管51に圧空を供給する。同様に、圧空供給源55は、第2集塵装置14の排出流路34a(排ガスの排出側)の圧力以上の圧力で、圧空供給源55から下流圧力検出管52に圧空を供給する。圧空供給源55からの圧空の供給は、第2集塵装置14に所定風量の排ガスを導入して運転しているとき(以下、単に「運転中」と呼ぶ。)に行われる。これにより、第2集塵装置14側から上流圧力検出管51および下流圧力検出管52に排ガスに含まれる塵埃が入り込むことを防ぐとこができる。なお、詳細は後述するが、自動運転制御では第2集塵装置14が停止中においても圧空供給源55からの圧空の供給が行われる。
また、圧空供給源55から上流圧力検出管51に供給される圧空は、運転中の第2集塵装置14の導入部31の圧力よりも高いことが好ましい。同様に、圧空供給源55から下流圧力検出管52に供給される圧空は、運転中の第2集塵装置14の排出流路34aの圧力よりも高いことが好ましい。これにより、圧空供給源からの圧空が、各圧力検出管51,52から第2集塵装置14側に噴き出すため、排ガスに含まれる塵埃が各圧力検出管51,52内に流入することを有効に防止することができる。
なお、塵埃は、上流圧力検出管51および下流圧力検出管52の第2集塵装置14に開放された縁部分に付着し易くなっている。また、排ガスに含まれる塵埃は、排出(下流)よりも導入(上流)側の方が多いため、下流圧力検出管52よりも上流圧力検出管51の方が塵埃による詰りが生じ易くなっている。
次に、図3および図4に示すように、制御装置18は、排ガス処理設備1の運転を制御するシーケンサー71と、主送風機15および補助送風機16の風量を制御するインバーター72と、を有している。また、制御装置18は、第2集塵装置14の装置内差圧を表示する差圧表示部73と、各送風機15,16の運転や各弁57,63,66の開閉等の制御等のための複数のスイッチや計器を有している。複数のスイッチとしては、例えば、排ガス処理設備1の自動運転制御(運転)を開始・終了するための運転入スイッチ74や運転切スイッチ75等である。
シーケンサー71は、CPU81(Central Processing Unit)と、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリー等のメモリー82と、CPU81およびメモリー82を接続するバス83と、排ガス処理設備1の各構成が接続されるインターフェース84と、を有している。
CPU81は、メモリー82に記憶された各プロクラム等に従って演算処理を実行する。メモリー82には、後述する自動運転制御および差圧自動制御等に必要なプログラムや、その他排ガス処理設備1を統括制御するためのプログラムが記憶されている。また、メモリー82には、圧空供給源55から上流圧力検出管51および下流圧力検出管52に各々供給される圧空(以下「パージエアー」とも呼ぶ。)の所定圧力および所定流量が記憶されている。
インターフェース84には、上流圧力センサー53、下流圧力センサー54、上流ボール弁63、下流ボール弁66、上流流量計62、下流流量計65および電磁弁57が接続されている。シーケンサー71は、上流圧力センサー53および下流圧力センサー54からの出力を受信し、その出力結果から装置内差圧を算出する。また、シーケンサー71は、算出された装置内差圧に基づいてインバーター72を制御すると共に、差圧表示部73に当該装置内差圧を表示する。また、シーケンサー71は、各弁57,63,66の開閉を制御すると共に、上流流量計62および下流流量計65による測定結果から圧空の流量を算出・判断する。
インバーター72は、シーケンサー71(インターフェース84)に接続され、シーケンサー71から送信された情報(指令)により、主送風機15および補助送風機16の可変電圧可変周波数制御を行う。これにより、主送風機15は、所定風量となるように一定出力で駆動制御され、補助送風機16は、任意の回転数(風量)に駆動制御される。
また、同様に、差圧表示部73、運転入スイッチ74および運転切スイッチ75は、シーケンサー71(インターフェース84)に接続されている。
次に、図5を参照して、制御装置18による排ガス処理設備1の自動運転制御について説明する。図5は、本実施形態に係る排ガス処理設備1の自動運転制御のフローチャートである。
まず、ステップS1において、操作者により運転入スイッチ74が押されたことを制御装置18(シーケンサー71)が検出すると、ステップS2において、シーケンサー71は、排ガス処理設備1に異常の有無を判断する。そして、正常と判断された場合(ステップS2「Y」)は、ステップS3に進み、電磁弁57を開放する。また、ステップS2において、異常と判断された場合(ステップS2「N」)は、制御を終了する。
電磁弁57が開放後、ステップS4では、圧空供給源55からの圧空が、上流圧力検出管51および下流圧力検出管52に供給され、上流流量計62および下流流量計65により当該圧空(パージエアー)の流量が測定される。
ステップS5では、当該圧空の流量の測定結果は、シーケンサー71のメモリー82に予め記憶されたパージエアーの所定流量と比較される。シーケンサー71は、比較結果が所定範囲内である場合(正常)には、当該測定結果の流量でパージエアーの供給を続ける(ステップS5「Y」)。比較結果が所定範囲外である場合には、シーケンサー71は、パージエアーの流量を所定範囲内になるように、各ボール弁63,66の開度制御を行う。各ボール弁63,66の開度制御の結果、パージエアーの流量が正常となった場合には、その流量でパージエアーの供給を続ける(ステップS5「Y」)。他方、各ボール弁63,66の開度制御を行ってもパージエアーの流量が不足する場合(ステップS5「N」)には、制御装置18のスピーカー76(図4参照)から警報を発し(ステップS6)、制御をステップS2に戻す。この場合、ステップS2で異常と判定されるため制御が終了する。
また、ステップS3で電磁弁57を開放した後、ステップS4と並行して、ステップS7が実行される。ステップS7では、上流圧力センサー53および下流圧力センサー54は、パージエアーの圧力を検出する。そして、シーケンサー71は、上流圧力センサー53および下流圧力センサー54の出力結果(パージエアーの圧力値)に基づいて、停止中の第2集塵装置14における装置内差圧(以下「停止状態差圧」とも呼ぶ。)を算出する。
具体的には、シーケンサー71は、上流圧力センサー53の検出結果(PA0)と、下流圧力センサー54の検出結果(PB0)との差を停止状態差圧(ΔP0=PA0−PB0)として算出する。なお、上流圧力センサー53および下流圧力センサー54の検出結果(PA0,PB0)は、シーケンサー71のメモリー82に記憶され、排ガス処理設備1の自動運転制御の度に更新される。なお、本実施形態では、例えば、パージエアーの圧力は10000Paとなっている。
なお、各圧力センサー53,54の検出結果が、シーケンサー71のメモリー82に予め記憶されたパージエアーの所定圧力と比較して異常と判断された場合に、スピーカー76から警報を発し、制御を終了するようにしてもよい。また、例えば、上流圧力センサー53の検出結果(PA0)が異常に高く、停止状態差圧ΔP0が異常と判断された場合には、上流圧力検出管51に塵埃が詰まっているものと判断し、操作者に詰まった塵埃を除去するように促すようにしてもよい。この場合、差圧表示部73に異常を示す表示をしたり、スピーカー76から警報を発してもよい。
続く、ステップS8では、シーケンサー71は、ステップS7で算出した停止中の第2集塵装置14における装置内差圧をゼロ(0)とみなす補正(以下、単に「ゼロ補正」と呼ぶ。)を行う。すなわち、第2集塵装置14の停止中における装置内差圧ΔP0を0(ΔP0=PA0−PB0=0)とする。ここで、上流圧力検出管51と下流圧力検出管52とにおける塵埃の付着・堆積の程度が異なる場合、上流圧力センサー53と下流圧力センサー54とが検出するパージエアーの圧力は当然異なる値となる。この場合、各圧力検出管51,52の詰りによる圧力損失の影響で、後述する運転中の第2集塵装置14における装置内差圧に誤差が生じる。このため、第2集塵装置14を所定風量で運転することができず、所望の集塵性能を得ることができない。そこで、本実施形態では、ゼロ補正を行うことで、上流圧力検出管51と下流圧力検出管52との詰りによる圧力損失の影響を排除するようになっている。ゼロ補正の後、シーケンサー71は、第2集塵装置14の停止中における装置内差圧ΔP0(0)を差圧表示部73に表示する。
次に、ステップS9では、シーケンサー71は、第2集塵装置14の装置内差圧の差圧自動制御を開始する。シーケンサー71は、主送風機15を一定出力で制御すると共に、主送風機15との協働により所定風量となるように補助送風機16の出力の可変制御(差圧自動制御)を行う。なお、差圧自動制御の詳細は後述する。
ステップS2で正常と判断された後、ステップS3やステップS4と並行して、ステップS10が実行される。ステップS10では、シーケンサー71は、主送風機15の運転を開始する。主送風機15は、溶解炉10が高温時(約750度)の場合に、所定風量(例えば、30m3/min)の排ガスを、第2集塵装置14に送り込むことができるような一定出力で運転される。なお、主送風機15は、補助送風機16が差圧自動制御される前に運転開始される。
続く、ステップS11では、シーケンサー71は、第1集塵装置12の第1送水ポンプおよび第2集塵装置14の第2送水ポンプ39等の運転を開始する。また、説明は省略するが、このとき第1集塵装置12および第2集塵装置14の運転に必要な各機器(攪拌装置、水位計、pH調整装置等(いずれも図示せず。))の運転も開始される。
以上により、主送風機15および補助送風機16が運転を開始し、第1集塵装置12および第2集塵装置14が起動する。そして、排ガス処理設備1が自動運転される。
ここで、シーケンサー71は、パージエアーの圧力を除外した上で、運転中の第2集塵装置14における装置内差圧(ΔP2)を算出する。そして、シーケンサー71は、算出した装置内差圧(ΔP2)を差圧表示部73に表示する。
具体的には、運転中の上流圧力センサー53の検出結果をPA1とし、下流圧力センサー54の検出結果PB1とすると、第2集塵装置14の導入部31(上流側)の圧力PA2と、排出流路34a(下流側)の圧力PB2は、第2集塵装置14の停止中におけるパージエアーの圧力値PA0,PB0を用いて以下のように表される。なお、PA2とPB2とは、ともに正圧である。
PA2=PA0−PA1
PB2=PB0−PB1
そして、シーケンサー71は、以下に示す計算を実行し、第2集塵装置14の運転中における装置内差圧ΔP2を算出する。
ΔP2=PA2−PB2
(=PA0−PA1−(PB0−PB1))
(=(PA0−PB0)−(PA1−PB1))・・・(1)
式(1)において、(PA0−PB0)は、上記した停止状態差圧(ΔP0)であり、(PA1−PB1)は、運転中の第2集塵装置14において、パージエアーの圧力の影響を含んだ状態の装置内差圧(以下「運転状態差圧(ΔP1)」とも呼ぶ。)である。すなわち、運転中の第2集塵装置14において、パージエアーの圧力を除外した状態の装置内差圧(ΔP2)は、停止状態差圧(ΔP0)と運転状態差圧(ΔP1)との差として算出される(ΔP2=ΔP0−ΔP1)。なお、本実施形態に係る自動運転制御では、ステップS8においてゼロ補正を行っているため、装置内差圧(ΔP2)は、運転状態差圧(ΔP1)と同値となる。
次に、図6を参照して、上記したステップS9で実行される第2集塵装置14の装置内差圧の差圧自動制御について説明する。図6は、本実施形態に係る排ガス処理設備1において、第2集塵装置14に導入される排ガスの風量と、溶解炉10から排出される排ガスの温度と、時間との関係を示したグラフである。
一般的に、溶解炉10内が高温の場合には、ガスの発生量も多く、ガスの膨張量(率)も大きいため、当該風量は増加する。他方、溶解炉10内が低温の場合には、ガスの発生量・膨張量(率)ともに小さくなる。従って、図6に示すように、溶解炉10内の温度と主送風機15によって第2集塵装置14に導入される風量とは段階的に上昇する。このため、溶解炉10内の温度が低い場合、主送風機15を所定風量となるように駆動していたとしても、第2排ガス流路13における圧力損失により、所定風量の排ガスを第2集塵装置14に送ることができない。そこで、本実施形態に係る差圧自動制御では、第2集塵装置14の運転中における装置内差圧ΔP2に基づいて、補助送風機16の出力の可変制御を実行している。
まず、シーケンサー71は、算出した装置内差圧ΔP2から所定風量に対して不足している風量(不足風量)を算出する。そして、図6に示すように、シーケンサー71は、算出した不足風量を出力するように補助送風機16を制御する。すなわち、所定風量に不足している分が、補助送風機16によって補われる。なお、本実施形態では、主送風機15と補助送風機16とにより排ガスを圧送(送風)している場合の風量は、所定風量よりも僅かに低い27m3/minとなるように制御している。
具体的には、溶解炉10が低温時(例えば、約200°)において、主送風機15の一定出力による風量が、例えば、15m3/minであった場合、シーケンサー71は、不足風量を12m3/min(=27−15)と算出する(ステップS9)。そして、ステップS12では、シーケンサー71は、補助送風機16が不足風量を出力するようにインバーター72に情報を送信する。そして、インバーター72は、不足風量(12m3/min)を出力するように補助送風機16を制御する(図6に示す(A)参照)。
図5に示すように、シーケンサー71は、制御装置18の運転切スイッチ75が押されるまで、連続的に変化する溶解炉10内の温度および排ガスの風量に対応するように、インバーター72を介して補助送風機16の出力(風量)を連続的に制御する(ステップS13「N」)。シーケンサー71は、溶解炉10内の温度が上がり、排ガスの風量が27m3/min以上となった場合、補助送風機16の運転(駆動)を停止させる(図6に示す(B)参照)。また、シーケンサー71は、排ガスの風量が27m3/min未満となった場合、補助送風機16の運転(駆動)を再開する(図6に示す(C)参照)。なお、補助送風機16の運転を停止および再開する場合、シーケンサー71は、逆流防止ダンパー43も適宜制御する。
シーケンサー71は、制御装置18の運転切スイッチ75が押されると、電磁弁57等の各種弁を閉じ、主送風機15および補助送風機16等の各機器を停止させ、排ガス処理設備1の自動運転制御を終了する(ステップS13「Y」)。
なお、本実施形態では、補助送風機16により補助した時の風量を27m3/minとしたが、これに限定されるものではなく、所定風量(30m3/min)を超えない範囲で設定することができる。
本実施形態によれば、主送風機15は、一定出力で駆動され、補助送風機16は、主送風機15による風量と合わせて所定風量(または所定風量より僅かに低い風量)となるように出力が調整されて駆動される。このため、主送風機15と補助送風機16とにより、第2集塵装置14に所定風量の排ガスを圧送(送風)することができる。これにより、第2集塵装置14による集塵効率の低下を防止することができ、所望の集塵性能を得ることができる。
また、本実施形態によれば、例えば、溶解炉10内の温度が低い場合に、溶解炉10内に常温の燃焼用エアーが過剰に供給されることを防止することができる。これにより、加熱燃料を効率良く使用し、溶解炉10内の昇温を安定させることができる。
さらに、本実施形態によれば、第2排ガス流路13において、補助送風機16の排気側が、主送風機15の吸気側に接続されている。仮に、補助送風機16の排気側を、主送風機15の排気側に接続した場合、補助送風機16は、主送風機15の排気側の正圧よりも大きな圧力(正圧)を出力しなければならない。これに対し、本実施形態では、負圧となっている主送風機15の吸気側に、補助送風機16からの排気が入力されるため、補助送風機16からの出力(圧力)を小さくすることができる。すなわち、補助送風機16として小型で安価なものを用いることができる。これにより、排ガス処理システムとしての排ガス処理設備1の省スペース化や省コスト化を図ることができる。また、主送風機15の吸気側は負圧であるため、停止状態の補助送風機16が逆回転することを防止することができる。これにより、逆流防止ダンパー43が開いている場合であっても、円滑に補助送風機16を駆動(回転)させることができる。さらに、一般的に、補助送風機16は、大型のものよりも小型のものの方が、インバーター72による分解能の高い制御が可能となる。これにより、補助送風機16の繊細な出力可変制御が可能となる。
なお、第2排ガス流路13内の排ガスの温度および抵抗値と、排ガスの風量との関係が設定されたテーブルを、シーケンサー71のメモリー82に予め記憶しておき、差圧自動制御での不足風量を、当該テーブルに基づいて算出するようにしてもよい。
また、本実施形態の圧力検出管詰り防止装置17は、第2集塵装置14としてのベンチュリースクラバーにおける各圧力検出管51,52の詰りを防止するものであったが、これに限定されるものではなく、その他の湿式集塵装置や乾式集塵装置(バグフィルター方式やサイクロン方式等)に適用してもよい。すなわち、本実施形態の圧力検出管詰り防止装置17は、塵埃を含む排ガスの導入(上流)側と排出(下流)側とに差圧が生じる集塵装置であれば適用することができる。
なお、上記した自動運転制御では、第2集塵装置14の運転中において、圧空供給源55は、上流圧力検出管51と下流圧力検出管52とに同一の圧力(および流量)の圧空を供給していたが、上流圧力検出管51と下流圧力検出管52とで異なる圧力の圧空を供給するようにしてもよい。例えば、第2集塵装置14の導入部31(上流側)の圧力は9000Paで、排出流路34a(下流側)の圧力は2000Paである場合、上流圧力検出管51へのパージエアーの圧力を10000Paとし、下流圧力検出管52へのパージエアーの圧力を3000Paとしてもよい。上記したように下流圧力検出管52よりも上流圧力検出管51の方が塵埃による詰りが生じ易いため、上流圧力検出管51へのパージエアーの圧力を大きくすることにより、上流圧力検出管51の詰りを有効に防止することができる。この場合、停止中の装置内差圧を計測する場合のパージエアーは、上流圧力検出管51および下流圧力検出管52に同一の圧力を供給する。
なお、上記した自動運転制御において、停止中の第2集塵装置14における装置内差圧ΔP0が、ゼロ(0)である場合または無視できる程度の小さな値である場合には、ゼロ補正を省略してもよい。また、圧力検出管詰り防止装置17により上流圧力検出管51および下流圧力検出管52の詰り防止が図られているため、塵埃の除去作業後から一定期間のゼロ補正を省略してもよい。
なお、上記した自動運転制御では、ステップS2以降の制御が複数並行して実行されているが、これに限定されるものではなく、例えば、ステップS1からS12までを順番に実行してもよい。
なお、上記した本発明の実施の形態の説明は、本発明に係る排ガス処理システムにおける好適な実施の形態を説明しているため、技術的に好ましい種々の限定を付している場合もあるが、本発明の技術範囲は、特に本発明を限定する記載がない限り、これらの態様に限定されるものではない。さらに、上記した本発明の実施の形態における構成要素は適宜、既存の構成要素等との置き換えが可能であり、かつ、他の既存の構成要素との組合せを含む様々なバリエーションが可能であり、上記した本発明の実施の形態の記載をもって、特許請求の範囲に記載された発明の内容を限定するものではない。