JP5946180B2 - ナノファイバの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明はナノファイバの製造方法に関する。
ナノファイバからなるシートに各種の機能を付与するために、繊維形成能を有する化合物の溶液に固体粒子や、該固体粒子の前駆体を添加した液を調製し、該液を静電噴霧法に付してナノファイバを製造する方法が知られている。例えば特許文献1には、ポリアクリロニトリル、N,N−ジメチルホルムアミド及び粒径2μmの多孔質被覆酸化チタンを含む液を、静電噴霧法に付すことが記載されている。また、ポリ塩化ビニル、テトラヒドロフラン、N,N−ジメチルホルムアミド及びチタンテトラブトキシドを含む液を静電噴霧法に付して繊維構造体を製造し、次いで該繊維構造体をオートクレーブ中で水熱処理して、チタンテトラブトキシドから酸化チタンを生成させることが記載されている。
WO2004/091785A1
しかし、静電噴霧法に付す液に含有されている固体粒子の粒径が小さくなると、該粒子の凝集が甚だしくなり、該粒子が均一に分散した状態の繊維を製造しにくくなる。その結果、固体粒子を繊維に担持させることによって生じ得る種々の利点が減殺されてしまうことがある。
したがって本発明の課題は、前述した従来技術が有する欠点を解消し得るナノファイバの製造方法を提供することにある。
本発明は、繊維形成能を有する無機ナノ粒子と、保護コロイドを有する貴金属ナノ粒子と、繊維形成能を有する有機物とを含む原料液を調製する工程と、
前記原料液をエレクトロスピニング法に付して、該原料液からナノファイバ構造体を得る工程と、
前記ナノファイバ構造体の後処理により、該ナノファイバ構造体から前記有機物を除去する工程とを含む、ナノファイバの製造方法を提供するものである。
本発明によれば、貴金属ナノ粒子が均一に分散された状態のナノファイバを容易に製造することができる。
図1(a)は、本発明の製造方法に従い得られたナノファイバの一例の構造を示す模式図であり、図1(b)は、図1(a)の要部拡大模式図である。 図2は、エレクトロスピニング法を実施するための装置を示す模式図である。 図3(a)は、実施例1で得られたナノファイバの走査型電子顕微鏡像であり、図3(b)は、図3(a)に示すナノファイバの横断面の透過型電子顕微鏡像であり、図3(c)は、図3(a)に示すナノファイバの長さ方向断面の透過型電子顕微鏡像である。 図4は、実施例1で得られたナノファイバについての細孔容積分布測定結果を示すグラフである。 図5は、実施例2で得られたナノファイバの横断面の透過型電子顕微鏡像である。 図6は、比較例1で得られたナノファイバの走査型電子顕微鏡像である。 図7は、比較例1で得られたナノファイバについての細孔容積分布測定結果を示すグラフである。 図8は、参考例1で得られたナノファイバの走査型電子顕微鏡像である。 図9は、参考例1で得られたナノファイバの横断面をSEM−EDX分析して得られた像である。
以下本発明を、その好ましい実施形態に基づき図面を参照しながら説明する。先ず本発明の製造方法の説明の前に、該製造方法によって製造されるナノファイバについて説明する(以下、このナノファイバのことを便宜的に「本発明のナノファイバ」ともいう。)。本発明のナノファイバは、複数個が連結することによって繊維を形成し得る繊維形成能を有する、無機物(ただし貴金属は除く)からなるナノサイズの粒子(以下「無機ナノ粒子」ともいう。)と、貴金属からなるナノサイズの粒子(以下「貴金属ナノ粒子」ともいう。)とを含んでいる。本明細書において「ナノサイズの粒子」とは、1μm未満の粒径を有する粒子のことである。
本発明のナノファイバは、複数の無機ナノ粒子の連結体から繊維骨格が形成されている。この連結体内に貴金属ナノ粒子が保持されている。貴金属ナノ粒子は、その表面の一部が周囲環境と接することが可能な状態で該連結体内に保持されている。
無機ナノ粒子は、本発明のナノファイバにおいて主材となるものであり、ナノファイバの繊維骨格を構成する材料である。一方、貴金属ナノ粒子は、ナノファイバに各種の機能を付与するために用いられる材料である。ナノファイバは無機ナノ粒子を1種又は2種以上含んでいてもよい。同様に、ナノファイバは貴金属ナノ粒子を1種又は2種以上含んでいてもよい。
ナノファイバは、その太さを円相当直径で表した場合、一般に10〜3000nm、特に10〜1000nmのものである。ナノファイバの太さは、例えば走査型電子顕微鏡(SEM)観察によって10000倍に拡大して観察し、その二次元画像から欠陥(ナノファイバの塊、ナノファイバの交差部分、ポリマー液滴)を除き、繊維(ナノファイバ)を任意に10本選び出し、繊維の長手方向に対して直交する線を引き、その繊維径を直接読み取ることで測定することができる。ナノファイバの長さは本発明において臨界的でなく、ナノファイバの製造方法に応じた長さのものを用いることができる。
ナノファイバを構成する主材の原料としては、水不溶性材料からなる無機材料の粒子が用いられる。同様に、貴金属ナノ粒子の原料としても、水不溶性材料からなる貴金属の粒子が用いられる。無機ナノ粒子は一般に、その粒子としての形状をある程度とどめた状態で、ナノファイバを構成している。一方、貴金属ナノ粒子も、ナノファイバ内に保持された状態において、原料の状態とほぼ同様の粒子の形状が維持されている。
図1(a)には、本発明のナノファイバの一例が模式的に示されている。同図に示すナノファイバ10は、複数の無機ナノ粒子11どうしが連結してなる連結体から構成されている。なお図1(a)においてはナノファイバ10の断面のみが示されており、側面の状態が示されていないが、側面の状態は断面の状態とほぼ同じである。無機ナノ粒子11は、該粒子11を構成する材料が有する結合力によって、他の主材粒子11と結合している。同図に示すナノファイバ10は、無機ナノ粒子11が、粒子としての形態をある程度とどめた状態のものである。
図1(b)には、図1(a)に示すナノファイバ10の要部拡大模式図が示されている。図1(b)に示すように、ナノファイバ10は、その内部に、複数の無機ナノ粒子11が連結して形成された複数の三次元空間Sを有している。三次元空間Sは、ナノファイバ10内に形成された連通部(図示せず)によって周囲環境と通じている。そして、貴金属ナノ粒子12は、三次元空間S内に保持されている。貴金属ナノ粒子12は、ナノファイバ10内に均一に分散した状態で存在している。また該貴金属ナノ粒子12は、該粒子どうしが凝集しておらず、個々に分散した状態でナノファイバ10内に存在している。三次元空間S内に保持されている貴金属ナノ粒子12の表面の少なくとも一部は、無機ナノ粒子11で被覆されていない。すなわち該表面の少なくとも一部は露出している。したがって、三次元空間S内に保持されている貴金属ナノ粒子12は、その露出した表面が、前記連通部を通じて周囲環境と接することが可能になっている。周囲環境とは、ナノファイバ10の外界の空間のことである。
三次元空間Sは、貴金属ナノ粒子12の体積よりも大きな体積を有する空間である。図1(b)においては、1つの三次元空間S内に1つの貴金属ナノ粒子12が保持されている状態が示されているが、これに限られず、周囲環境と接することが可能である限りにおいて、1つの三次元空間Sに2つ以上の貴金属ナノ粒子12が保持されていてもよい。また複数の三次元空間Sが連結していてもよい。
図1(a)及び(b)に示す構造を有するナノファイバ10においては、貴金属ナノ粒子12は、その表面の一部が、周囲環境と接することが可能な状態でナノファイバ10内に保持されている。従来のナノファイバと異なり、本実施形態においては、周囲環境と接している貴金属ナノ粒子12の表面は、主材粒子11の無機ナノ粒子11によって被覆されていない。貴金属ナノ粒子12の表面のうち、周囲環境と接していない部分は、連結体としてのナノファイバ10内に包埋されており、それによってナノファイバ10に強固に保持されている。ナノファイバ10がこのような構成を有していることによって、貴金属ナノ粒子12が本来有する機能、例えば触媒機能等が十分に発揮される。これとともに、貴金属ナノ粒子12がナノファイバ10内に確実に保持され、その脱落が効果的に防止される。
図1(a)及び(b)に示すナノファイバ10では、該ナノファイバ10を構成する無機ナノ粒子の割合は、該ナノファイバ10の質量を基準として、50質量%以上であることが好ましく、52質量%以上であることが更に好ましく、55質量%以上であることが一層好ましい。上限値に関しては、99質量%以下であることが好ましく、97質量%以下であることが更に好ましく、95質量%以下であることが一層好ましい。例えば50質量%以上99質量%以下であることが好ましく、52質量%以上97質量%以下であることが更に好ましく、55質量%以上95質量%以下であることが一層好ましい。一方、ナノファイバ10における貴金属ナノ粒子の割合は、該ナノファイバ10の質量を基準として、1質量%以上であることが好ましく、3質量%以上であることが更に好ましく、5質量%以上であることが一層好ましい。上限値に関しては、50質量%以下であることが好ましく、48質量%以下であることが更に好ましく、45質量%以下であることが一層好ましい。例えば1質量%以上50質量%以下であることが好ましく、3質量%以上48質量%以下であることが更に好ましく、5質量%以上45質量%以下であることが一層好ましい。ナノファイバ10における無機ナノ粒子及び貴金属ナノ粒子の割合をこの範囲内に設定することで、無機ナノ粒子11どうしが密接しやすくなり、ナノファイバ10の成形性が良好となることに加え、貴金属ナノ粒子12が無機ナノ粒子11の周囲に散在することで、貴金属ナノ粒子12の表面が露出した構造が得られやすくなるので好ましい。
図1(a)及び(b)に示すナノファイバ10では、原料として用いられる無機ナノ粒子11の粒径及び貴金属ナノ粒子12の粒径は、ナノファイバ10の直径よりも小さくなっている。また、無機ナノ粒子11の粒径と貴金属ナノ粒子12の粒径との間には大きな相違はない。原料として用いられる無機ナノ粒子11の粒径を基準として、ナノファイバ10の直径は、200%以上であることが好ましく、500%以上であることが更に好ましく、1000%以上であることが一層好ましい。上限値に関しては、10000%以下であることが好ましく、8000%以下であることが更に好ましく、5000%以下であることが一層好ましい。例えば200%以上10000%以下であることが好ましく、500%以上8000%以下であることが更に好ましく、1000%以上5000%以下であることが一層好ましい。このように、ナノファイバ10の直径に対して十分に小さい粒径を有する無機ナノ粒子11及び貴金属ナノ粒子12を用いることで、無機ナノ粒子11によって形成される三次元空間S内に貴金属ナノ粒子12を首尾よく保持することができる。なお、無機ナノ粒子11の粒径と貴金属ナノ粒子12の粒径との間に大きな相違がないことは先に述べたとおりであるところ、無機ナノ粒子11の粒径を基準として、貴金属ナノ粒子12の粒径は、10%以上であることが好ましく、15%以上であることが更に好ましく、20%以上であることが一層好ましい。上限値に関しては、2000%以下であることが好ましく、1500%以下であることが更に好ましく、1000%以下であることが一層好ましい。例えば10%以上2000%以下であることが好ましく、15%以上1500%以下であることが更に好ましく、20%以上1000%以下であることが一層好ましい。
ナノファイバ10は、それに担持されている貴金属ナノ粒子の性質を生かして、例えば触媒等として好適に用いられる。
ナノファイバ10は、通常、複数の該ナノファイバ10がランダムに堆積してなるナノファイバシートの形態で用いられる。このナノファイバシートは、ナノファイバ10のみから構成されていることが好ましい。尤も、ナノファイバシートが、ナノファイバ10に加えて他のナノファイバや他の成分を含むことは妨げられない。
ナノファイバシートの厚みや坪量は、その具体的な用途に応じて適切な範囲が設定される。
ナノファイバシートにおいて、ナノファイバ10は、それらの交点において結合しているか、又はナノファイバ10どうしが絡み合っている。それによって、ナノファイバシートは、それ単独でシート状の形態を保持することが可能となる。ナノファイバどうしが結合しているか、あるいは絡み合っているかは、ナノファイバシートの製造方法によって相違する。
ナノファイバシートは、それ単独で用いることもでき、あるいは他のシート材料や他のナノファイバシートと積層して用いることもできる。
次に、ナノファイバの原料である無機ナノ粒子及び貴金属ナノ粒子について説明する。無機ナノ粒子は、ナノファイバの質量を基準として、一般にナノファイバを構成する材料の中で最も高い質量%を示す水不溶性の材料である。無機ナノ粒子は、一般に、その粒子としての形状をある程度とどめた状態で、粒子どうしが結合してナノファイバを構成することができる。そのような材料としては、例えば水不溶性の金属又は半金属の酸化物又は水酸化物等が挙げられる。
水不溶性の金属又は半金属の酸化物又は水酸化物としては、それらの材料からなる粒子どうしが、金属又は半金属元素と酸素との架橋によって結合可能なものが好適に用いられる。そのような材料としては、二酸化ケイ素、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、酸化スズなどが挙げられる。これらの材料においては、二酸化ケイ素を例にとると、二酸化ケイ素からなる粒子の表面に存在する水酸基の脱水縮合によって−Si−O−Si−の結合が生じ、この結合が多数生じることによって粒子どうしが結合する。
貴金属ナノ粒子としては、無機ナノ粒子とは異なる材料であって、周期表の第8族、第9族、第10族及び第11族の元素からなる粒子が用いられる。第8族元素としてはRu及びOsが挙げられる。第9族元素としては、Rh及びIrが挙げられる。第10族元素としては、Pd及びPtが挙げられる。第11族元素としては、Ag及びAuが挙げられる。
次に、本発明の製造方法について説明する。本製造方法では、複数個が連結することによって繊維を形成し得る繊維形成能を有する無機ナノ粒子と、保護コロイドを有する貴金属ナノ粒子と、繊維形成能を有する有機物とを含み、該有機物が溶解した状態になっている水系コロイドを原料液として用いる。この原料液をエレクトロスピニング法に付してナノファイバ構造体を製造する。次に製造されたナノファイバ構造体から後処理において前記有機物を除去することで、目的とするナノファイバが得られる。
原料液に含まれる有機物は、ナノファイバ構造体を製造するために用いられるものであり、後に該構造体から除去されるものである。この観点から、該有機物は、それ単独を含む水性液を用いてエレクトロスピニング法に付したときに、ナノファイバの形成が可能な材料であることが好ましい。そのような材料としては、水溶性樹脂を用いることが好ましい。この水溶性樹脂としては、天然高分子及び合成高分子のいずれをも用いることができる。本明細書において「水溶性樹脂」とは、1気圧・23℃の環境下において、水溶性樹脂を1g秤量した後に、10gのイオン交換水に浸漬し、24時間経過後、浸漬した水溶性樹脂の0.5g以上が溶解する性質を有する樹脂をいう。
水溶性樹脂の具体例としては、プルラン、ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸、ポリ−γ−グルタミン酸、変性コーンスターチ、β−グルカン、グルコオリゴ糖、ヘパリン、ケラト硫酸等のムコ多糖、セルロース、ペクチン、キシラン、リグニン、グルコマンナン、ガラクツロン、サイリウムシードガム、タマリンド種子ガム、アラビアガム、トラガントガム、大豆水溶性多糖、アルギン酸、カラギーナン、ラミナラン、寒天(アガロース)、フコイダン、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース等の天然高分子、部分ケン化ポリビニルアルコール(後述する架橋剤と併用しない場合)、低ケン化ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリエチレンオキサイド、ポリアクリル酸ナトリウム等の合成高分子等が挙げられる。これらの水溶性樹脂は単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。これらの水溶性樹脂のうち、ナノファイバ構造体の調製が容易である観点から、プルラン、並びにけん化度80〜96mol%の部分ケン化ポリビニルアルコール、低ケン化ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン及びポリエチレンオキサイド等の合成高分子を用いることが好ましい。
原料液中での水溶性樹脂の濃度は、好ましくは1質量%以上であり、更に好ましくは5質量%以上である。上限値に関しては好ましくは50質量%以下であり、更に好ましくは20質量%以下である。例えば好ましくは1質量%以上50質量%以下であり、更に好ましくは5質量%以上20質量%以下であることが、ナノファイバ構造体を首尾よく製造し得る点から有利である。
無機ナノ粒子は、水系コロイドの状態で供給されることが好ましい。無機ナノ粒子は、該コロイドから液媒体を除去した後に、該無機ナノ粒子どうしが結合して三次元構造体を形成する能力を有するものであることが好ましい。結合の態様としては、粒子表面に存在する水酸基の脱水縮合反応によって生じる、金属又は半金属元素と酸素との架橋が挙げられる。
無機ナノ粒子としては、粒径が10nm以上のものを用いることが好ましい。上限値に関しては500nm以下であることが好ましく、100nm以下であることが更に好ましく、50nm以下であることが一層好ましい。例えば10nm以上500nm以下であることが好ましく、10nm以上100nm以下であることが更に好ましく、10nm以上50nm以下であることが一層好ましい。無機ナノ粒子の粒径は、例えば動的光散乱法、レーザー回折法等によって測定することができる。
原料液中での無機ナノ粒子の濃度は、好ましくは1質量%以上、更に好ましくは5質量%以上である。上限値に関しては好ましくは80質量%以下であり、更に好ましくは50質量%以下である。例えば好ましくは1質量%以上80質量%以下であり、更に好ましくは5質量%以上50質量%以下であることが、目的とするナノファイバを首尾よく製造し得る点から有利である。
貴金属ナノ粒子も水系コロイドの状態で供給されることが好ましい。また、貴金属ナノ粒子は、保護コロイドによって分散安定化されているものを用いることが好ましい。保護コロイドとは、微粒子に作用して、媒体中で該微粒子の凝集を防ぎ、かつ分散を安定化させる物質のことをいう。保護コロイドは、微粒子に対して物理的又は化学的に親和性を有するか又は結合(例えば水素結合、イオン結合、配位結合、化学結合等)して、該微粒子を安定化させるものであることが好ましい。保護コロイドとしては、例えば、窒素原子含有有機化合物(例えば、アミン類、アミド類、ニトロ化合物、ニトリル類)、酸素原子含有有機化合物(例えば、アルコール類、エーテル類、カルボン酸類、ケトン類、エステル類、アルデヒド類など)、硫黄原子含有有機化合物などが挙げられる。保護コロイドは、低分子化合物であってもよく、あるいは高分子化合物であってもよい。貴金属ナノ粒子の分散安定性が高いという観点から、保護コロイドとしてPVP、PAA、PEI、TMA、ペプチド、ゼラチン、アルブミン、アラビアゴム、及びプロタルビンなどが好適に用いられる。
保護コロイドによって貴金属ナノ粒子の分散を安定化させるためには、該貴金属ナノ粒子を含む分散液に、適切な量の保護コロイドを添加し、該分散液を撹拌すればよい。
保護コロイドによって被覆された貴金属ナノ粒子の粒径は、1nm以上であることが好ましい。上限値に関しては100nm以下であることが好ましく、80nm以下であることが更に好ましく、30nm以下であることが一層好ましい。例えば1nm以上100nm以下であることが好ましく、1nm以上80nm以下であることが更に好ましく、1nm以上30nm以下であることが一層好ましい。貴金属ナノ粒子の粒径の測定法は、例えば、動的光散乱法、TEM画像のスケールから測定することができる。
原料液中での貴金属ナノ粒子の濃度は、好ましくは0.1質量%以上、更に好ましくは1質量%以上である。上限値に関しては好ましくは50質量%以下であり、更に好ましくは30質量%以下である。例えば好ましくは0.1質量%以上50質量%以下であり、更に好ましくは1質量%以上30質量%以下であることが、目的とするナノファイバを首尾よく製造し得る点から有利である。
原料液に含まれる媒体としては、水、又は水と水溶性有機溶剤とからなる水性液を用いることができる。原料液中での媒体の量は、50質量%以上、特に70質量%以上が好ましく、上限値に関しては、95質量%以下であることが好ましく、特に85質量%以下であることが好ましい。例えば50質量%以上95質量%以下、特に70質量%以上85質量%以下であることが好ましい。
また、原料液は、無機ナノ粒子及び貴金属ナノ粒子に加えて、架橋剤、分散剤、粘度調整剤等を含むことができる。
以上の各成分を混合して、水系コロイド(水系ゲル)からなる原料液を得る。この場合、貴金属ナノ粒子は、上述したとおり保護コロイドの作用によってその分散が安定化されているので、原料液中に均一に、かつ非凝集又は低凝集の状態で分散している。この原料液をエレクトロスピニング法に付してナノファイバ構造体を製造する。図2には、エレクトロスピニング法を実施するための装置30が示されている。エレクトロスピニング法を実施するためには、シリンジ31、高電圧源32、導電性コレクタ33を備えた装置30が用いられる。シリンジ31は、シリンダ31a、ピストン31b及びキャピラリ31cを備えている。キャピラリ31cの内径は10μm以上1000μm以下程度である。シリンダ31a内には、前記の原料液が充填されている。高電圧源32は、例えば10kV以上40kV以下の直流電圧源である。高電圧源32の正極はシリンジ31における原料液と導通している。高電圧源32の負極は接地されている。導電性コレクタ33は、例えば金属製の板であり、接地されている。シリンジ31におけるキャピラリ31cの先端と導電性コレクタ33との間の距離は、例えば30mm以上300mm以下程度に設定されている。図2に示す装置30は、大気中で運転することができる。運転環境に特に制限はなく、温度20℃以上40℃以下、湿度10%RH以上50%RH以下とすることができる。
シリンジ31と導電性コレクタ33との間に電圧を印加した状態下に、シリンジ31のピストン31bを徐々に押し込み、キャピラリ31cの先端から原料液を押し出す。押し出された原料液においては、液媒体が揮発するとともに、繊維形成能を有する有機物が固化しつつ、電位差によって伸長変形しながらナノファイバを形成し、導電性コレクタ33に引き寄せられる。伸長変形しながらナノファイバが形成される際に、液媒体が揮発するとともに、ナノファイバの表面に該有機物が移動して有機物層(例えば水溶性樹脂層)が形成される。その結果、無機ナノ粒子及び貴金属ナノ粒子は繊維の内部に取り込まれ、粒子どうしが密に接触した構造が形成される。この場合、貴金属ナノ粒子は、上述したとおり保護コロイドの作用によってその分散が安定化されているので、貴金属ナノ粒子と無機ナノ粒子とは均一に混合した状態で繊維の内部に取り込まれる。有機物中に取り込まれた無機ナノ粒子は、一般に該無機ナノ粒子どうしが直接結合する。特に無機ナノ粒子が微細なシリカ粒子等の表面活性の高い無機酸化物粒子からなる場合には、粒子表面の水酸基の脱水縮合反応によって結合が容易に生じる。無機ナノ粒子及び貴金属ナノ粒子の粒径が、目的とするナノファイバの直径よりも十分に小さいと、図1(a)及び(b)に示す形態のナノファイバを容易に得ることができるので好ましい。繊維形成能を有する有機物を用いず、無機ナノ粒子と貴金属ナノ粒子を含む原料液を用い、これをエレクトロスピニング法に付しても、無機ナノ粒子どうしを直接結合させることは容易でない。このようにしてナノファイバ構造体が製造される。ナノファイバ構造体は、その製造の原理上は、無限長の連続繊維となる。
このようにして製造されたナノファイバ構造体は、目的とするナノファイバ10に対応する主骨格部位と、該主骨格部位の周囲を被覆する被覆部位とを有する。主骨格部位の構造は、目的とするナノファイバ10の構造と同一であり、無機ナノ粒子及び貴金属ナノ粒子を含む。一方、被覆部位は、繊維形成能を有する有機物から構成されている。被覆部位の厚みは、原料液中における有機物の濃度に応じて変化する。
このようにして得られたナノファイバ構造体はその複数本がランダムに堆積されてシートを形成している。この状態のナノファイバ構造体を後処理に付して被覆部位、すなわち繊維形成能を有する有機物を除去する。該有機物の除去には、例えば該有機物が水溶性である場合には、それを利用して、該構造体を水洗して、該有機物を水中に溶出させる方法を採用することができる。あるいは、ナノファイバ構造体を熱処理して有機物を熱分解させることで、該有機物を除去することもできる。両者を併用しても構わない。水洗によって有機物を除去する場合には、例えばナノファイバ構造体を水中に浸漬し、超音波を照射する方法を採用することができる。熱処理によって有機物を除去する方法は、無機ナノ粒子及び貴金属ナノ粒子のいずれもが耐熱性を有するものである場合に有効である。該有機物の除去はすべて行うことが望ましいが、貴金属ナノ粒子の機能が発現する範囲内で該有機物が残存していても差し支えない。
このようにして、被覆部位、すなわち繊維形成能を有する有機物が除去される。また、保護コロイドとして用いられる各種の分散剤も除去される。これによって目的とするナノファイバが得られる。このナノファイバは、該有機物の除去後であってもシート状の形態を維持している。このナノファイバにおいては、保護コロイドの作用によって貴金属ナノ粒子と無機ナノ粒子とが均一に混合されており、該貴金属ナノ粒子がナノファイバ中に均一に分散した状態になっている。
繊維形成能を有する有機物の除去後に、必要に応じ、無機ナノ粒子どうしの直接結合を一層強固なものとすることを目的として、熱処理を行ってもよい。加熱温度は、無機ナノ粒子表面の水酸基の脱水縮合反応が生じる温度に設定すればよい。
上述した実施形態に関し、本発明は更に以下のナノファイバの製造方法を開示する。
<1> 繊維形成能を有する無機ナノ粒子と、保護コロイドを有する貴金属ナノ粒子と、繊維形成能を有する有機物とを含む原料液を調製する工程と、
前記原料液をエレクトロスピニング法に付して、該原料液からナノファイバ構造体を得る工程と、
前記ナノファイバ構造体の後処理により、該ナノファイバ構造体から前記有機物を除去する工程とを含む、ナノファイバの製造方法。
<2> ナノファイバ構造体におけるナノファイバは、無機ナノ粒子を1種又は2種以上含んでおり、貴金属ナノ粒子を1種又は2種以上含んでいる前記<1>に記載のナノファイバの製造方法。
<3> ナノファイバ構造体におけるナノファイバにおいては、該ナノファイバを構成する無機ナノ粒子の割合が、該ナノファイバの質量を基準として、50質量%以上であることが好ましく、52質量%以上であることが更に好ましく、55質量%以上であることが一層好ましく、99質量%以下であることが好ましく、97質量%以下であることが更に好ましく、95質量%以下であることが一層好ましく、50質量%以上99質量%以下であることが好ましく、52質量%以上97質量%以下であることが更に好ましく、55質量%以上95質量%以下であることが一層好ましい前記<1>又は<2>に記載のナノファイバの製造方法。
<4> ナノファイバ構造体におけるナノファイバにおいては、該ナノファイバにおける貴金属ナノ粒子の割合が、該ナノファイバの質量を基準として、1質量%以上であることが好ましく、3質量%以上であることが更に好ましく、5質量%以上であることが一層好ましく、50質量%以下であることが好ましく、48質量%以下であることが更に好ましく、45質量%以下であることが一層好ましく、1質量%以上50質量%以下であることが好ましく、3質量%以上48質量%以下であることが更に好ましく、5質量%以上45質量%以下であることが一層好ましい前記<1>ないし<3>のいずれか1に記載のナノファイバの製造方法。
<5> 原料として用いられる無機ナノ粒子の粒径を基準として、ナノファイバ構造体におけるナノファイバの直径は、200%以上であることが好ましく、500%以上であることが更に好ましく、1000%以上であることが一層好ましく、10000%以下であることが好ましく、8000%以下であることが更に好ましく、5000%以下であることが一層好ましく、200%以上10000%以下であることが好ましく、500%以上8000%以下であることが更に好ましく、1000%以上5000%以下であることが一層好ましく、
無機ナノ粒子の粒径を基準として、貴金属ナノ粒子の粒径は、10%以上であることが好ましく、15%以上であることが更に好ましく、20%以上であることが一層好ましく、2000%以下であることが好ましく、1500%以下であることが更に好ましく、1000%以下であることが一層好ましく、10%以上2000%以下であることが好ましく、15%以上1500%以下であることが更に好ましく、20%以上1000%以下であることが一層好ましい前記<1>ないし<4>のいずれか1に記載のナノファイバの製造方法。
<6> 無機ナノ粒子の粒径が10nm以上500nm以下であり、貴金属ナノ粒子の粒径が1nm以上100nm以下である前記<1>ないし<5>のいずれか1に記載のナノファイバの製造方法。
<7> 無機ナノ粒子として、粒径が10nm以上のものを用いることが好ましく、上限値に関しては500nm以下であることが好ましく、100nm以下であることが更に好ましく、50nm以下であることが一層好ましい。例えば10nm以上500nm以下であることが好ましく、10nm以上100nm以下であることが更に好ましく、10nm以上50nm以下であることが一層好ましい前記<1>ないし<6>のいずれか1に記載のナノファイバの製造方法。
<8> 原料液中での無機ナノ粒子の濃度は、好ましくは1質量%以上、更に好ましくは5質量%以上、好ましくは80質量%以下であり、更に好ましくは50質量%以下であり、好ましくは1質量%以上80質量%以下であり、更に好ましくは5質量%以上50質量%以下である前記<1>ないし<7>のいずれか1に記載のナノファイバの製造方法。
<9> 保護コロイドによって被覆された貴金属ナノ粒子の粒径は、1nm以上であることが好ましく、100nm以下であることが好ましく、80nm以下であることが更に好ましく、30nm以下であることが一層好ましい。例えば1nm以上100nm以下であることが好ましく、1nm以上80nm以下であることが更に好ましく、1nm以上30nm以下であることが一層好ましい前記<1>ないし<8>のいずれか1に記載のナノファイバの製造方法。
<10> 原料液中での貴金属ナノ粒子の濃度は、好ましくは0.1質量%以上、更に好ましくは1質量%以上、好ましくは50質量%以下であり、更に好ましくは30質量%以下であり、好ましくは0.1質量%以上50質量%以下であり、更に好ましくは1質量%以上30質量%以下である前記<1>ないし<9>のいずれか1に記載のナノファイバの製造方法。
<11 > 後処理が熱処理である前記<1>ないし<10>のいずれか1に記載のナノファイバの製造方法。
<12> 無機ナノ粒子が、水不溶性の金属又は半金属の酸化物又は水酸化物からなる前記<1>ないし<11>のいずれか1に記載のナノファイバの製造方法。
<13> 水不溶性の金属又は半金属の酸化物又は水酸化物として、それらの材料からなる粒子どうしが、金属又は半金属元素と酸素との架橋によって結合可能なものが好適に用いられる前記<12>に記載のナノファイバの製造方法。
<14> 無機ナノ粒子が、二酸化ケイ素、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム又は酸化スズである前記<12>又は<13>に記載のナノファイバの製造方法。
<15> 無機ナノ粒子が二酸化ケイ素である前記<14>に記載のナノファイバの製造方法。
<16> 貴金属ナノ粒子として、無機ナノ粒子とは異なる材料であって、周期表の第8族、第9族、第10族又は第11族の元素からなる粒子が用いられる前記<1>ないし<15>のいずれか1に記載のナノファイバの製造方法。
<17> 貴金属ナノ粒子としては、第8族元素としてRu又はOsが用いられ、第9族元素としてRh又はIrが用いられ、第10族元素としてPd又はPtが用いられ、第11族元素としてAg又はAuが用いられる前記<16>に記載のナノファイバの製造方法。
<18> 貴金属ナノ粒子としてPtが用いられる前記<17>に記載のナノファイバの製造方法。
<19> 貴金属ナノ粒子としてAuが用いられる前記<17>に記載のナノファイバの製造方法。
<20> 原料液に含まれる有機物は、それ単独を含む水性液を用いてエレクトロスピニング法に付したときに、ナノファイバの形成が可能な材料である前記<1>ないし<19>のいずれか1に記載のナノファイバの製造方法。
<21> 有機物が水溶性樹脂である前記<20>に記載のナノファイバの製造方法。
<22> 原料液中での水溶性樹脂の濃度は、好ましくは1質量%以上であり、更に好ましくは5質量%以上であり、好ましくは50質量%以下であり、更に好ましくは20質量%以下であり、好ましくは1質量%以上50質量%以下であり、更に好ましくは5質量%以上20質量%以下である前記<21>に記載のナノファイバの製造方法。
<23> 水溶性樹脂として天然高分子又は合成高分子が用いられる前記<21>又は<22>に記載のナノファイバの製造方法。
<24> 水溶性樹脂としては、プルラン、ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸、ポリ−γ−グルタミン酸、変性コーンスターチ、β−グルカン、グルコオリゴ糖、ヘパリン、ケラト硫酸等のムコ多糖、セルロース、ペクチン、キシラン、リグニン、グルコマンナン、ガラクツロン、サイリウムシードガム、タマリンド種子ガム、アラビアガム、トラガントガム、大豆水溶性多糖、アルギン酸、カラギーナン、ラミナラン、寒天(アガロース)、フコイダン、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース等の天然高分子、架橋剤と併用しない部分ケン化ポリビニルアルコール、低ケン化ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリエチレンオキサイド、ポリアクリル酸ナトリウム等の合成高分子が用いられ、これらの水溶性樹脂を単独で又は2種以上を組み合わせて用い、これらの水溶性樹脂のうち、プルラン、並びにけん化度80〜96mol%の部分ケン化ポリビニルアルコール、低ケン化ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン及びポリエチレンオキサイド等の合成高分子を用いることが好ましい前記<21>ないし<23>のいずれか1に記載のナノファイバの製造方法。
<25> 水溶性樹脂がプルランである<24>に記載のナノファイバの製造方法。
<26> 無機ナノ粒子の連結体から形成されており、該連結体内に、貴金属ナノ粒子が保持されており、該貴金属ナノ粒子は、その表面の一部が、該連結体の表面において露出しており、かつその表面の残部が該連結体内に包埋されていることで、周囲環境と接することが可能な状態で保持されているナノファイバを製造する前記<1>ないし<25>のいずれか1に記載のナノファイバの製造方法。
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明する。しかしながら本発明の範囲は、かかる実施例に制限されない。特に断らない限り、「%」は「質量%」を意味する。
〔実施例1〕
(1)原料液の調製
以下の各成分を混合して、水系コロイドからなる原料液を調製した。
・ポリビニルアルコール(水溶性樹脂、クラレ(株)製のPVA217、けん化度88mol%) 0.48g(固形分)
・コロイダルシリカ(無機ナノ粒子、日産化学工業(株)製のスノーテックス40、粒径20nm) 2.5g(固形分40%)
・保護コロイド付き白金ナノコロイド(貴金属ナノ粒子、日本板硝子(株)製、粒径5nm) 1.5g(固形分7.5%)
・水 3.42g
(2)ナノファイバ構造体の製造
図2に示す装置を用い、以下の条件でエレクトロスピニング法を実施し、ナノファイバ構造体がランダムに堆積されたナノファイバ構造体シートを得た。
・印加電圧:30kV
・キャピラリ−コレクタ間距離:150mm
・原料液吐出量:1.0ml/h
・製造環境:30℃、25%RH
(3)ナノファイバの製造
得られたシートを通常(大気)雰囲気下に、600℃で60分間にわたり加熱して、水溶性樹脂を除去した。このようにして得られたナノファイバを含むナノファイバシートのSEM像を図3(a)に示す。1本のナノファイバの横断面のTEM像及び長さ方向断面のTEM像を図3(b)及び(c)に示す。図3(b)及び(c)から明らかなように、本実施例で得られたナノファイバは、多数のシリカ粒子が粒子形状を保持したまま結合した多孔体構造であり、その内部及び/又は外部に白金粒子が複合化した構造を取っていることが判る。このナノファイバについて、細孔容積分布測定を行ったところ、図4に示す結果が得られた。この結果から、ナノファイバ内に、無機ナノ粒子間空隙に起因する細孔の存在が確認され、ナノファイバ内に存在する白金ナノ粒子が、周囲環境と接することが可能な状態で存在していることが判る。なお、図4に示す細孔容積分布測定は、例えば水銀圧入法による細孔分布測定装置(島津製作所製 オートポアIV)を使用して測定できる。
〔実施例2〕
以下の各成分を混合して、水系コロイドからなる原料液を調製した。
・ポリビニルアルコール(水溶性樹脂、クラレ(株)製のPVA217、けん化度88mol%) 0.46g(固形分)
・コロイダルシリカ(無機ナノ粒子、日産化学工業(株)製のスノーテックス40、粒径20nm) 2g(固形分40%)
・保護コロイド付き金ナノコロイド(貴金属ナノ粒子、日本板硝子(株)製、粒径2〜12nm) 0.9g(固形分10%)
・水 3.84g
これ以外は実施例1と同様にしてナノファイバを製造した。得られたナノファイバの横断面のTEM像を図5に示す。
〔比較例1〕
(1)原料液の調製
本比較例は、繊維形成能を有する無機ナノ粒子を用いずにナノファイバを製造した例であり、特許文献1に対応するものである。以下に示すポリビニルブチラール樹脂(繊維形成能をもつ有機物)及び貴金属ナノ粒子を溶媒に分散し、原料液を調製した。
・ポリビニルブチラール樹脂(パウダー状、積水化学工業(株)製のエスレックBM−1) 0.5g(固形分)
・疎水性PtDAコロイドトルエン溶液(貴金属ナノ粒子、田中貴金属(株)製、粒径2nm) 0.5g(固形分10%)
・エタノール 2g
・トルエン 2g
(2)ナノファイバ構造体の製造
図2に示す装置を用い、以下の条件でエレクトロスピニング法を実施し、ナノファイバ構造体がランダムに堆積されたナノファイバ構造体シートを得た。
・印加電圧:25kV
・キャピラリ−コレクタ間距離:165mm
・原料液吐出量:1.0ml/h
・製造環境:25℃、21%RH
(3)ナノファイバの製造
得られたナノファイバを含むナノファイバシートのSEM像を図6に示す。このナノファイバについて、細孔容積分布測定を行ったところ、図7に示す結果が得られた。この結果から、ナノファイバ内に、細孔の存在は確認されず、ナノファイバ内に存在する白金ナノ粒子が、周囲環境と接することができない状態で存在していることが判る。
〔参考例1〕
(1)原料液の調製
本参考例は、保護コロイドを有さない貴金属コロイドを用いた例である。以下の各成分を混合して、水系コロイドからなる原料液を調製した。
・ポリビニルアルコール(水溶性樹脂、クラレ(株)製のPVA217、けん化度88mol%) 0.75g(固形分)
・コロイダルシリカ(無機ナノ粒子、日産化学工業(株)製のスノーテックス40、粒径20nm) 2.5g(固形分40%)
・金ナノコロイド(貴金属ナノ粒子、日本板硝子(株)製、粒径1〜10nm、保護コロイドなし) 1.1g(固形分11.26%)
・水 5g
(2)ナノファイバ構造体の製造
図2に示す装置を用い、以下の条件でエレクトロスピニング法を実施し、ナノファイバ構造体がランダムに堆積されたナノファイバ構造体シートを得た。
・印加電圧:29kV
・キャピラリ−コレクタ間距離:120mm
・原料液吐出量:1.0ml/h
・製造環境:20℃、35%RH
(3)ナノファイバの製造
得られたシートを通常(大気)雰囲気下に、600℃で60分間にわたり加熱して、水溶性樹脂を除去した。このようにして得られたナノファイバを含むナノファイバシートのSEM像を図8に示す。このナノファイバについて、SEM−EDX分析により、ナノファイバ横断面における貴金属ナノ粒子の分布状態を調べたところ、図9に示す画像が得られた。金の存在する部分は、より明るく表示されることから、金ナノ粒子が凝集してより大きな構造体を形成していることが判る。この結果から、保護コロイドなしの貴金属ナノ粒子を原料液に分散し、エレクトロスピニングによりナノファイバを製造すると、粒子が凝集した状態で固定化されて存在することが判る。
〔評価1〕
実施例1及び実施例2並びに参考例1で得られたナノファイバについて、貴金属ナノ粒子の凝集状態を評価した。その結果を以下の表1に示す。ナノファイバ中の貴金属ナノ粒子に目立った凝集がない場合はA、目立った凝集がある場合はBと評価する。TEM像から貴金属ナノ粒子の存在状態を評価する。なお、表1中、「繊維形成能を有する材」とは、「繊維形成能を有する無機ナノ粒子」及び「繊維形成能を有する有機物」の総称のことである(以下に示す表2についても同じ。)。
表1に示す結果から明らかなとおり、保護コロイド付きの貴金属ナノ粒子を用いて製造された実施例のナノファイバは、ナノファイバ内に存在する貴金属ナノ粒子に、目立った凝集がなく分散した状態で存在している。一方、保護コロイドを有さない貴金属ナノ粒子を用いて製造された参考例のナノファイバは目立った凝集が存在し、分散性が低いことが判る。
〔評価2〕
実施例1及び比較例1で得られたナノファイバについて、過酸化水素の分解反応についての触媒性能を評価した。白金0.1mgを含有するナノファイバを、20gの過酸化水素水(10.62%)に入れ、発生する酸素の量を測定した。結果を以下の表2に示す。酸素の量が多いほど、触媒性能が高いことを意味する。
表2に示す結果から明らかなとおり、保護コロイド付きの貴金属ナノ粒子を用いて製造された実施例1のナノファイバは、ナノファイバ内に存在する白金ナノ粒子が、周囲環境と接することが可能な状態で存在している。一方、繊維形成能をもつ有機物と貴金属ナノ粒子とを溶媒に分散した原料液からエレクトロスピニングした比較例1のナノファイバは、ナノファイバ内に存在する白金ナノ粒子が、周囲環境と接することができない状態で存在しているため、実施例1のナノファイバよりも触媒性能が低いことが判る。
10 ナノファイバ
11 無機ナノ粒子
12 貴金属ナノ粒子
S 空間

Claims (5)

  1. 繊維形成能を有する無機ナノ粒子と、保護コロイドを有する貴金属ナノ粒子と、繊維形成能を有する有機物とを含む原料液を調製する工程と、
    前記原料液をエレクトロスピニング法に付して、該原料液からナノファイバ構造体を得る工程と、
    前記ナノファイバ構造体の後処理により、該ナノファイバ構造体から前記有機物を除去する工程とを含む、ナノファイバの製造方法。
  2. 前記無機ナノ粒子の粒径が10nm以上500nm以下であり、前記貴金属ナノ粒子の粒径が1nm以上100nm以下である請求項1に記載の製造方法。
  3. 前記後処理が熱処理である請求項1又は2に記載の製造方法。
  4. 前記無機ナノ粒子が、金属又は半金属の酸化物又は水酸化物からなる請求項1ないし3のいずれか一項に記載の製造方法。
  5. 前記無機ナノ粒子の連結体から形成されており、該連結体内に、前記貴金属ナノ粒子が保持されており、該貴金属ナノ粒子は、その表面の一部が、該連結体の表面において露出しており、かつその表面の残部が該連結体内に包埋されていることで、周囲環境と接することが可能な状態で保持されているナノファイバを製造する請求項1ないし4のいずれか一項に記載の製造方法。
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