JP5945410B2 - レジスト現像装置およびモールド製造方法 - Google Patents
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Description
本発明の第1の態様は、処理対象となる基体を保持する保持部と、前記保持部が保持する前記基体に対して液体の供給を行う液体供給部と、前記液体の蒸発によって熱が奪われる前記基体を雰囲気露点温度より高温状態にすべく当該基体の熱損失を補填するための熱損失補填媒体を当該基体に対して供給する媒体供給部とを備えることを特徴とする流体供給装置である。
本発明の第2の態様は、第1の態様に記載の発明において、前記媒体供給部は、気体状の前記熱損失補填媒体を前記基体に対して噴出することを特徴とする。
本発明の第3の態様は、第2の態様に記載の発明において、前記熱損失補填媒体は、常温のドライ窒素ガスであることを特徴とする。
本発明の第4の態様は、基体の主表面に現像液を供給して現像処理するレジスト現像装置であって、前記基体を保持する保持部と、前記保持部が保持する前記基体に対して前記現像液の供給を行う現像液供給部と、前記現像液による現像処理がされた前記基体に対して洗浄処理または基体温度調整処理をする液体の供給を行う液体供給部と、前記液体の蒸発によって熱が奪われる前記基体を雰囲気露点温度より高温状態にすべく当該基体の熱損失を補填するための熱損失補填媒体を当該基体に対して供給する媒体供給部とを備えることを特徴とするレジスト現像装置である。
本発明の第5の態様は、第4の態様に記載の発明において、前記基体は、ナノインプリント用のモールド基板であることを特徴とする。
本発明の第6の態様は、基体の主表面に所定パターンが形成されてなるモールド基板を製造するモールド製造方法であって、レジスト層が設けられた前記主表面にエネルギービームを照射して前記所定パターンの露光処理を行う露光工程と、前記露光処理後の前記主表面に現像液を供給して前記所定パターンの現像処理を行う現像工程と、前記現像液による現像処理がされた前記基体に液体を供給して当該基体に対する洗浄処理または基体温度調整処理を行う液体供給工程と、前記液体の蒸発によって熱が奪われる前記基体を雰囲気露点温度より高温状態にすべく当該基体の熱損失を補填するための熱損失補填媒体を当該基体に対して供給する媒体供給工程とを備えることを特徴とするモールド製造方法である。
本実施形態で説明する「流体供給装置」は、処理対象物である基体に流体を供給して所定の処理を行う装置であり、その一例としてはフォトリソグラフィ技術の分野で用いられるレジスト現像装置が挙げられる。ただし、「流体供給装置」がレジスト現像装置に限られることはなく、他の技術分野において基体を対象に流体を供給する流体供給装置全般に広く適用することが可能である。例えば、基体の装飾や保護を目的として、液状の塗料を噴射し供給する塗装装置にも適用可能である。
基体に対して供給する「流体」は、複数種類が存在し得る。ただし、その場合、複数種類の少なくとも一つには「液体」が含まれるものとする。つまり、基体に対して供給する「流体」には、少なくとも「液体」が含まれる。ここでいう「液体」は、例えば、流体供給装置がレジスト現像装置である場合には、上述した「現像液」とは別のものであり、「現像液」による現像処理がされた後の基体に対して基体温度調整処理をするために供給する「結露防止媒体」が該当する。この「結露防止媒体」については、詳細を後述する。
ここで、本発明に係る流体供給装置について、その一例であるレジスト現像装置を具体例として挙げて、図面を参照しながら詳細に説明する。
ここでは、処理対象物である「基体」に対して、「液体」としての「結露防止媒体」の供給を行うように構成されたレジスト現像装置を例に挙げる。
レジスト現像装置1は、大別すると、現像処理部10と、現像液供給部20と、リンス液供給部(ただし不図示)と、液体供給部30と、媒体供給部40と、を備えて構成されている。以下、これらの各部10,20,30,40について順に詳述する。
現像処理部10は、処理対象物である基体2に対して現像処理を行う部分である。現像処理の対象となる基体2は、露光済みのレジスト層を有する基板である。具体的には、その一例として、ナノインプリント用のモールド基板を挙げることができる。ナノインプリント用のモールド基板(以下、単に「モールド基板」ともいう)は、ナノインプリント法によってパターンの転写を行う場合に、その元型となるマスターモールドの基材となる基板である。
テーブル12aは、例えば、基体2が円板状であれば、これと相似の平面視円形に形成されている。また、テーブル12aの平面視形状は円形に限らず、矩形を含む多角形であってもよい。また、テーブル12aは、少なくとも基体2と対向する側の面(図例ではテーブル上面)が水平に配置されているおり、その上面に基体2を載置した状態で、この基体2を下面側から支持するように構成されている。さらに、テーブル12aは、真空吸着方式で基体2を固定し得る構成になっている。具体的には、テーブル基体2は、その上面に複数の吸引孔(または吸引溝)を有し、これらの吸引孔を通して基体2の下面に真空引きによる吸引力を作用させることにより、基体2を吸着(真空吸着)し得る構成になっている。ただし、テーブル12aによる支持構造は、ここで挙げた真空吸着方式に限らず、他の方式(たとえば、ピン等を用いた突き当て方式など)で基体2を固定状態に支持する構成であってもよい。
スピンドル軸12bは、駆動部13の駆動力をもって回転駆動される軸である。スピンドル軸12bは、ボルト等の締結手段を用いて、テーブル12aの下面側の中心部に連結されている。そのため、スピンドル軸12bが回転すると、これと一体にテーブル12aが回転する。スピンドル軸12bは、箱状の壁で区画された処理室11の底壁を貫通する状態で配置されている。また、処理室11の底壁におけるスピンドル軸12bの貫通部分には、シール部材14が設けられている。シール部材14は、スピンドル軸12bの回転を許容しつつ、スピンドル軸12bの貫通部分から処理室11外への液体(現像液を含む)の漏出を防止するものである。
現像液供給部20は、処理室11内で保持部12が保持する基体2に対して、当該基体2の現像処理を行う現像液21を供給する部分である。現像液供給部20は、少なくとも、現像液21を貯留する貯留部22と、現像液21を供給(輸送)する供給管23と、を備える。
リンス液供給部は、現像処理を終えた処理室11内の基体2に対して、当該基体2の現像を止めて洗浄する処理(以下、単に「洗浄処理」または「リンス処理」という)を行うリンス液を供給する部分である。リンス液供給部は、現像液供給部20と同様の構成を備えたものであればよい。すなわち、リンス液供給部は、基体2に対して供給する液種が現像液供給部20とは異なるだけで、他は現像液供給部20と同様に構成されているものとする。
液体供給部30は、現像処理および洗浄処理を終えた処理室11内の基体2に対して、当該基体2の温度を調整する処理(以下、単に「基体温度調整処理」という)を行う媒体である結露防止媒体31を供給する部分である。液体供給部30は、少なくとも、結露防止媒体31を貯留する貯留部32と、結露防止媒体31を供給(輸送)する供給管33と、を備える。
媒体供給部40は、基体温度調整処理を終えた処理室11内の基体2に対して、当該基体2の熱損失を補填するための媒体である熱損失補填媒体41を供給する部分である。媒体供給部40は、少なくとも、熱損失補填媒体41の供給源42と、熱損失補填媒体41を供給(輸送)する供給管43と、を備える。
これに対して、複数の噴出部43bを設ける場合には、基体2の主表面側および裏面側の両方から熱損失補填媒体41を供給するように構成することが考えられる。基体2の両面側から熱損失補填媒体41を供給すれば、基体2の温度を非常に迅速に熱損失補填媒体41の温度へと調節することができる。その場合に、各噴出部43bは、平面的に重なる位置に配されていてもよいし、それぞれが平面的に異なる位置に配されていてもよい。
また、基体2の両面側から熱損失補填媒体41を供給する場合、各噴出部43bは、下流側(末端側)で分岐するように配管された供給管43のそれぞれの先端部分に個別に設けることが考えられる。ただし、供給管43を分岐させるのではなく、各噴出部43bに対応して供給源42および供給管43をそれぞれ別個に設けても構わない。その場合には、基体2の主表面側と裏面側に対して、それぞれ異なる種類の熱損失補填媒体41を供給し得るようになる。また、複数の噴出部43bを設ける場合には、それぞれに対応して開閉弁を設けるようにすれば、基体2の主表面側と裏面側に対して選択的な熱損失補填媒体41の噴出を行い得るようになる。
ここで、上述した構成のレジスト現像装置1にて取り扱う結露防止媒体31および熱損失補填媒体41について順に説明する。
先ず、液体供給部30が基体2に対して供給する結露防止媒体31について、具体例を挙げて詳細に説明する。
「常温」とは、基体2の周辺雰囲気の平常の温度、すなわち基体2が保持される処理室11内の平常の室温であり、一般的には「15℃〜25℃の範囲内の温度」が相当する。貧溶媒を「常温」とする理由は、「常温」であれば、雰囲気露点温度より低温状態にある基体2を、確実に雰囲気露点温度を超える温度に上昇させることができるからであり、またそのために貧溶媒に対する温度調整機能を要することもないからである。
また「貧溶媒」とは、ある物質に対して溶解度の小さい溶媒である。ここでいう「ある物質」は、具体的には基体2におけるレジスト層の構成物質のことである。したがって、「貧溶媒」は、レジスト層と実質的には反応しない、またはレジスト層を溶解しない溶媒であるといえる。このような貧溶媒を用いれば、溶媒が基体2と反応したり基体2を溶解したりするのを抑制でき、また化学反応や溶解等が発生しても現像するパターンの精度に与える影響を微少に抑えることができる。このような貧溶媒の具体例としては、例えば、IPA(イソプロピルアルコール)、メタノール・エタノール等のアルコール系化合物、フルオロカーボン等のフッ素系溶媒のいずれかが挙げられる。
続いて、媒体供給部40が基体2に対して供給する熱損失補填媒体41について、具体例を挙げて詳細に説明する。
常温であれば、熱が奪われて雰囲気露点温度より低温状態にある基体2を、確実に雰囲気露点温度を超える温度に上昇させることができ、またそのために熱損失補填媒体41に対する温度調整機能を要することもない。
また、ドライ窒素ガスであれば、水分を含まないドライ状態であるから結露の防止に有効であり、さらには不活性ガスのため基体2を溶解したり反応したりするのを抑制することができる。
次に、上述した構成のレジスト現像装置1の動作例を説明する。
ここでは、モールド基板を製造するモールド製造方法に、上述した構成のレジスト現像装置1を用いる場合を例に挙げる。
ここで、レジスト現像装置1の動作例の説明に先立ち、モールド製造方法の概要について簡単に説明する。
なお、レジスト層がポジ型レジストである場合には、電子線描画した箇所が抜き部となり、基体2上における所定パターンの溝の位置に対応することになる。一方、レジスト層がネガ型レジストである場合には、電子線描画した箇所が残し部となり、基体2上における所定パターンの溝以外の位置に対応することになる。以下の説明では、ポジ型レジストを用いた場合、すなわちレジスト層の上に描画している部分が抜き部となり、所定パターンの溝の位置に対応する場合を例に挙げる。
レジスト層の厚さは、基体2へのエッチングが完了するまで残存する程度の厚さであることが好ましい。描画パターン部分の基体2を除去する際、この部分の基体2のみならず、レジスト層も少なからず除去されていくためである。
次に、上述した一連のモールド製造方法におけるレジスト現像装置1の動作について、当該レジスト現像装置1が行う現像工程、液体供給工程、媒体供給工程および乾燥工程に分けて、それぞれ順に説明する。
図3は、本発明が適用されたレジスト現像装置における動作例を示す概略図である。
なお、レジスト現像装置1の動作は、当該レジスト現像装置1のプログラムコントローラからの制御指令に基づいて行われる。
現像工程に際し、レジスト現像装置1の現像液供給部20は、貯留部22内に現像液21を貯留しておくとともに、その現像液21を図示しない液温制御手段によって設定温度(例えば−10℃)に維持しておく。現像液21としては、露光済みのレジスト層を可溶し得るもので、かつ、設定温度でも凍らないものを用いる。具体的には、レジスト材料との関係にもよるが、例えば酢酸イソアミルのように現像液として公知のものを用いることが考えられる。
以上のことから、レジスト現像装置1は、現像処理およびリンス処理を終えると、その後、処理室11内の基体2に対して、当該基体2の温度を調整する媒体である結露防止媒体31を供給して、当該基体2に対する基体温度調整処理を行う液体供給工程を実行する。すなわち、レジスト現像装置1の液体供給部30は、現像液21等の供給によって周辺雰囲気の露点温度を下回った状態となった基体2に対して、結露防止媒体31の供給を行って、雰囲気露点温度を超えるまで当該基体2の温度を上昇させるのである。
また、二つの吐出部33bを用いれば、簡素な構成で基体2の両面に結露防止媒体31を吐出することができる。ただし、吐出部の位置移動機構や吐出部からの吐出媒体経路の分岐機構等を備えていれば、一つの吐出部から基体2の両面への結露防止媒体31の吐出を行うようにしても構わない。さらには、三つ以上の吐出部から基体2の両面への結露防止媒体31の吐出を行うことも考えられる。
なお、基体2への結露防止媒体31の吐出は、少なくとも当該基体2の一方の面に対して行えばよい。つまり、結露防止媒体31の吐出は、基体2の主表面(被処理面)に対してのみ行ってもよいし、基体2の裏面(主表面の反対面)に対してのみ行ってもよいし、主表面と裏面との両面に対して行ってもよい。少なくとも一方の面に対して結露防止媒体31を吐出すれば、当該結露防止媒体31との熱交換によって、基体2の温度調整(雰囲気露点温度を超えるまでの温度上昇)を行い得るからである。
なお、基体2の温度または基体2の温度とみなせる温度(例えば基体2の近傍位置の温度)を検知する機能が処理室11内に設けられている場合には、液体供給部30は、その温度検知結果をモニタリングしながら、基体2の温度が雰囲気露点温度を超えた時点で結露防止媒体31の供給を停止するようにしてもよい。
以上のことから、レジスト現像装置1は、液体供給工程での結露防止媒体31の供給を終えると、その後に行う乾燥工程までの間に、処理室11内の基体2に対して、基体2の熱損失を補填する媒体である熱損失補填媒体41を供給する媒体供給工程を実行する。すなわち、レジスト現像装置1の媒体供給部40は、結露防止媒体31の蒸発に伴う熱損失によって周辺雰囲気の露点温度を下回った状態となった基体2に対して、その熱損失を補填するための熱損失補填媒体41の供給を行って、雰囲気露点温度を超えるまで当該基体2の温度を上昇させるのである。
さらに、熱損失補填媒体41がドライ窒素ガス等の気体状媒体であれば、液体状媒体を供給する場合とは異なり、基体2の面上の乾燥(残存する結露防止媒体31の噴き飛ばしを含む)を促進させ得るようになる。したがって、結露防止媒体31の蒸発による熱損失を補填して基体温度を上昇させる処理のみならず、基体2の面上を乾燥させる処理についても、その迅速化が期待できる。
なお、熱損失補填媒体41の噴出は、基体2の主表面に加えて、当該基体の裏面(主表面の反対面)に対して行うことも考えられる。すなわち、熱損失補填媒体41の噴出は、基体2の主表面と裏面との両面に対して行ってもよい。
なお、基体2の温度または基体2の温度とみなせる温度(例えば基体2の近傍位置の温度)を検知する機能が処理室11内に設けられている場合には、媒体供給部40は、その温度検知結果をモニタリングしながら、基体2の温度が雰囲気露点温度を超えた時点で熱損失補填媒体41の供給を停止するようにしてもよい。
媒体供給工程を行った後においても、処理室11内の基体2の面上には、結露防止媒体31以外の液体(例えばリンス液)が残存していることもあり得る。また、熱損失補填媒体41が液体状媒体である場合は、当該熱損失補填媒体41が残存していることも考えられる。このことから、レジスト現像装置1の現像処理部10は、処理室11内の基体2に対して、必要に応じて乾燥工程を実行する。具体的には、現像処理部10は、保持部12のテーブル12a上に基体2が支持された状態のまま、駆動部13を駆動してスピンドル軸12bを回転させ、これにより基体2を支持しているテーブル12aをスピンドル軸12bと一体に回転させることで、基体2のスピン乾燥を行う。
ここで、上述した各工程を経た場合の基体2の温度の経時的な変化について説明する。
図4は、基体2の温度の経時的な変化の具体例を示す説明図である。
図例のように、現像工程において、現像処理が行われると、常温にあった基体2は、雰囲気露点温度より低い温度(設定温度)に設定維持された現像液の供給散布と同時にその温度が降下し、現像液の設定温度と同じ温度になる。そして、現像液の供給散布が終わるまで、現像液の設定温度と同じ温度に維持される。その後、現像工程において、リンス処理が行われると、現像液と同じく雰囲気露点温度より低い温度(設定温度)に設定維持されたリンス液の供給散布と同時に、現像液からリンス液への切り替え時に僅かに温度上昇するものの、基体2の温度は、リンス液の設定温度に維持される。そして、リンス液の供給停止と同時に、すなわち乾燥工程の開始と同時に、基体2の温度は徐々に常温に向かう。その際、リンス液が乾燥工程によって蒸発すると、基板には、結露が発生してしまう可能性がある。
図例の場合、現像工程において、現像処理が行われると、常温にあった基体2は、雰囲気露点温度より低い温度(設定温度)に設定維持された現像液の供給散布と同時にその温度が降下し、現像液の設定温度と同じ温度になる。そして、現像液の供給散布が終わるまで、現像液の設定温度と同じ温度に維持される。その後、現像工程において、リンス処理が行われると、現像液と同じく雰囲気露点温度より低い温度(設定温度)に設定維持されたリンス液の供給散布と同時に、現像液からリンス液への切り替え時に僅かに温度上昇するものの、基体2の温度は、リンス液の設定温度に維持される。そして、リンス液の供給が停止すると、それと同時に、液体供給工程にて、常温の結露防止媒体31の供給散布が開始される。このとき、基体2は、外気に露出することがなく、結露が発生することはない。常温の結露防止媒体31の供給散布が開始されると同時に、基板2の温度は、常温に向かって上昇を開始する。その後、液体供給工程では、結露防止媒体31の供給散布を継続し、基体2の温度が常温に達して安定したところで、結露防止媒体31の供給散布を停止する。すると今度は、結露防止媒体31の蒸発によって基体2の熱が奪われ、これにより再び基体2の温度が雰囲気露点温度に向かうことがある。しかしながら、比較的揮発性が低く、かつ、蒸発熱が比較的小さな物質を結露防止媒体31とした場合であれば、基体2の温度は雰囲気露点温度を下回ることはなく、その結果、基体2には結露が発生しない。
図例の場合、現像工程において、現像処理が行われると、常温にあった基体2は、雰囲気露点温度より低い温度(設定温度)に設定維持された現像液の供給散布と同時にその温度が降下し、現像液の設定温度と同じ温度になる。そして、現像液の供給散布が終わるまで、現像液の設定温度と同じ温度に維持される。その後、現像工程において、リンス処理が行われると、現像液と同じく雰囲気露点温度より低い温度(設定温度)に設定維持されたリンス液の供給散布と同時に、現像液からリンス液への切り替え時に僅かに温度上昇するものの、基体2の温度は、リンス液の設定温度に維持される。そして、リンス液の供給が停止すると、それと同時に、液体供給工程にて、常温の結露防止媒体31の供給散布が開始される。このとき、基体2は、外気に露出することがなく、結露が発生することはない。常温の結露防止媒体31の供給散布が開始されると同時に、基体2の温度は、常温に向かって上昇を開始する。その後、液体供給工程では、結露防止媒体31の供給散布を継続し、基板2の温度が常温に達して安定したところで、結露防止媒体31の供給散布を停止する。すると今度は、結露防止媒体31の蒸発によって基体2の熱が奪われ、これにより再び基体2の温度が雰囲気露点温度に向かうことがある。この場合、結露防止媒体31の種類によっては、すなわち比較的揮発性が高くかつ蒸発熱が比較的大きな物質を結露防止媒体31とした場合、基体2の温度は雰囲気露点温度を下回り、その結果、基体2には結露が発生する可能性がある。
図例の場合、現像工程において、現像処理が行われると、常温にあった基体2は、雰囲気露点温度より低い温度(設定温度)に設定維持された現像液の供給散布と同時にその温度が降下し、現像液の設定温度と同じ温度になる。そして、現像液の供給散布が終わるまで、現像液の設定温度と同じ温度に維持される。その後、現像工程において、リンス処理が行われると、現像液と同じく雰囲気露点温度より低い温度(設定温度)に設定維持されたリンス液の供給散布と同時に、現像液からリンス液への切り替え時に僅かに温度上昇するものの、基体2の温度は、リンス液の設定温度に維持される。そして、リンス液の供給が停止すると、それと同時に、液体供給工程にて、常温の結露防止媒体31の供給散布が開始される。このとき、基体2は、外気に露出することがなく、結露が発生することはない。常温の結露防止媒体31の供給散布が開始されると同時に、基体2の温度は、常温に向かって上昇を開始する。その後、液体供給工程では、結露防止媒体31の供給散布を継続し、基体2の温度が常温に達して安定したところで、結露防止媒体31の供給散布を停止する。すると今度は、結露防止媒体31の蒸発によって基体2の熱が奪われ、これにより再び基体2の温度が雰囲気露点温度に向かうことがある。この場合、結露防止媒体31の種類によっては、そのまま放置すると、基体2の温度は、雰囲気露点温度に到達し、あるいは雰囲気露点温度を下回る。そこで、基体2の温度が雰囲気露点温度に達する前に、媒体供給工程において、常温の熱損失補填媒体41の供給散布を開始する。これにより(すなわち熱損失補填媒体41の供給散布開始と同時に)、基体2の温度は、再び常温に向かって上昇を始め、その後常温に達して安定することになる。
本実施形態で説明した流体供給装置、その一例であるレジスト現像装置、および、そのレジスト現像装置を用いて行うモールド製造方法によれば、以下に述べる効果が得られる。
本発明は、上述した実施形態の内容に限定されることはなく、例えば以下に述べる変形例のように、その要旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。
上述した実施形態では、低温現像の後に結露防止媒体31を供給して基体温度調整処理を行う場合を例に挙げた。これに対して、ここで挙げる第1変形例では、結露防止媒体31の供給を行わずに、リンス液が基体温度調整処理を行う機能を兼ね備える。つまり、現像処理後の基体2に対するリンス処理において、例えば常温のIPAをリンス液として基体2に供給し、そのリンス液によりリンス処理と併せて基体温度調整処理を行う。したがって、第1変形例では、リンス液が本発明の「液体」に、リンス液を供給するリンス液供給部が本発明の「液体供給部」に、リンス液供給部が行うリンス液の供給工程が本発明の「液体供給工程」に、それぞれ該当することになる。
上述した実施形態では、主として基体2の主表面(レジスト層の形成面)に対して熱損失補填媒体41を供給する場合を例に挙げた。これに対して、ここで挙げる第2変形例では、基体2の裏面(主表面の反対面)に対して熱損失補填媒体41を供給する。その場合、熱損失補填媒体41の供給を、基体2の裏面に対してのみ行ってもよいし、主表面と裏面との両面に対して行ってもよい。
つまり、本発明による熱損失補填媒体41の供給は、基体2の主表面に対してのみ行ってもよいし、基体2の裏面に対してのみ行ってもよいし、主表面と裏面との両面に対して行ってもよい。
上述した実施形態では、熱損失補填媒体41として、常温の媒体を供給する場合を例に挙げた。これに対して、ここで挙げる第3変形例では、熱損失補填媒体41を加熱して、常温よりも高温の状態で、基体2に対して供給する。その場合、熱損失補填媒体41は、気体状の媒体であってもよいし、液体状の媒体であってもよい。このように、熱損失補填媒体41を加熱して基体2への供給を行えば、熱損失補填媒体41が常温である場合に比べて、基体2の温度上昇を迅速に行うことが可能となる。また、特に熱損失補填媒体41が液体状である場合は、当該熱損失補填媒体41の蒸発によって基体2が冷却され得るが、その場合であっても当該熱損失補填媒体41が加熱によって高温状態となっていれば、冷却前における基体2も高温状態となるので、冷却によって基体2の温度が低下しても当該冷却後の基体温度が雰囲気露点温度を下回らないようにすることが可能となる。
また、現像液21、結露防止媒体31、熱損失補填媒体41等を基体2に対して供給するための構成(機構)についても、上述した実施形態の内容に限定されることはない。例えば、現像液供給部20の供給管23について、当該供給管23に付属して設けられる部材としては、開閉弁24やポンプ25に限らず、供給管23に付設されて現像液21(液体)の流れを制御するための部材であればよい。具体的には、例えば、開閉弁以外の弁部材(流量制御弁等)や、T型継手等の継手部材を、それぞれ付属部材として設けてもよい。液体供給部30における供給管33、および、媒体供給部40における供給管43についても、全く同様である。
2…基体
10…現像処理部
12…保持部
20…現像液供給部
21…現像液
30…液体供給部
31…結露防止媒体
40…媒体供給部
41…熱損失補填媒体
Claims (5)
- 基体の主表面に0℃以下の設定温度でも凍らない現像液を供給して現像処理するレジスト現像装置であって、
前記基体を保持する保持部と、
前記保持部が保持する前記基体に対して前記現像液の供給を行う現像液供給部と、
前記現像液による現像処理がされた前記基体に対して洗浄処理または基体温度調整処理をする液体であってレジストに対して貧溶媒の液体の供給を行う液体供給部と、
前記液体の蒸発によって熱が奪われる前記基体を雰囲気露点温度より高温状態にすべく当該基体の熱損失を補填するための熱損失補填媒体を当該基体に対して供給する媒体供給部とを備えており、
前記液体供給部は、前記基体の表裏から前記液体を供給可能であることを特徴とするレジスト現像装置。 - 前記基体は、ナノインプリント用のモールド基板である
ことを特徴とする請求項1記載のレジスト現像装置。 - 前記設定温度は、−10℃を中心値として制御される温度である
ことを特徴とする請求項1または2記載のレジスト現像装置。 - 基体の主表面に所定パターンが形成されてなるモールド基板を製造するモールド製造方法であって、
レジスト層が設けられた前記主表面にエネルギービームを照射して前記所定パターンの露光処理を行う露光工程と、
前記露光処理後の前記主表面に0℃以下の設定温度でも凍らない現像液を供給して前記所定パターンの現像処理を行う現像工程と、
前記現像液による現像処理がされた前記基体の表裏にレジストに対して貧溶媒の液体を供給して当該基体に対する洗浄処理または基体温度調整処理を行う液体供給工程と、
前記液体の蒸発によって熱が奪われる前記基体を雰囲気露点温度より高温状態にすべく当該基体の熱損失を補填するための熱損失補填媒体を当該基体に対して供給する媒体供給工程と
を備えることを特徴とするモールド製造方法。 - 前記設定温度は、−10℃を中心値として制御される温度である
ことを特徴とする請求項4記載のモールド製造方法。
Priority Applications (1)
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