JP5942363B2 - 床材 - Google Patents

Description

本発明は屋内の建造物床面に敷設して用いる床材に関するものであって、特に洗面所、台所、トイレ等の水廻りに施工され、耐水性を有しかつ耐衝撃性を有し、かつ歩行感が良好なクッション性を有する床材に関する。

近年の屋内床面にはフローリング材が多く用いられている。フローリング材には、合板、ＭＤＦ、パーチクルボード等を基材とした木質系材料が一般的に使用されている。
しかしながら、台所、洗面所、トイレ等の水廻りに、上記木質系材料を用いたフローリング材を施工すると、高湿環境下あるいは水がかかった際に木質基材の膨潤や変色、腐れ等の不具合が発生することがしばしばあった。そこで、耐水性のある塩ビ等の樹脂で構成されたクッションフロアや塩ビシートが使用されているようになってきている。

一方、高齢者はとりわけ冬季において、入浴時の寒暖の差によって洗面所において倒れる、よろけることによる転倒事故の発生が懸念されている。転倒することで床面に頭部を打ち付け重大な損傷を負うことが危惧される。前記クッションフロアや塩ビシートは、その厚みは２．０ｍｍ程度のものが一般的であり、転倒衝突時の衝撃を緩和する能力は備わっていない。

そのため、洗面所等の水廻りに使用しても、膨潤、変色、腐れの発生がなく、かつ転倒衝突時の耐衝撃性に優れた耐水耐衝撃床材が求められてきている。耐衝撃性を発現させるために単に軟質層を厚いものにしていっても良いが、足が沈み込みフワフワした歩行感になり、逆に転倒の可能性が高まる。そこで表面側を硬くある程度の剛性を持った構成とすることで、足の沈み込みを抑制することが考えられたが、硬く剛性が高すぎると下面の軟質層の効果を発揮できずに転倒衝突時の耐衝撃性が発現されない。つまり表面側の硬質層、下面側の軟質層のバランスをとることが困難であった。

特開２００７−２９１８３６ 特開２０１０−１０６６５４

本発明はこのような問題点を解決するためになされたものであり、すなわちその課題とするところは、耐水性があり、しっかりとした歩行感持ちつつ、十分な衝撃吸収性を有する床材を提供することにある。

本発明はこの課題を解決したものであり、すなわちその請求項１記載の発明は、床面表面に敷設して用いる床材の、少なくとも表面側に硬質層、床面側に軟質層を有し、かつ、前記硬質層の表面にポリオレフィン系樹脂シートを基材とする化粧シートを積層してなる三層構造の床材であって、
前記硬質層と前記軟質層が同じポリオレフィン系樹脂からなり、
前記硬質層がＪＩＳ Ｋ ７１７１に準拠して測定した曲げ弾性率が２３８５ＭＰａであり、発泡倍率が１．５倍、無機充填剤を２０．７重量％含有してなり、かつ、この硬質層の厚みが５．５ｍｍであり、
前記軟質層がＪＩＳ Ｋ ７２２０に準拠して測定した圧縮弾性率が０．０２ＭＰａであり、かつ、この軟質層の厚みが６．５ｍｍであり、
ＪＩＳ Ｋ ６５１９に定めるＧｓ値が６３になることを特徴とする床材である。

本発明はその請求項１記載の発明により、耐水性に優れ、所定の曲げ弾性率の硬質層と所定の圧縮弾性率の軟質層とを、表面側に硬質層、床面側に軟質層を積層することでしっかりした歩行感と表面の耐傷性を有しつつ、十分な衝撃吸収性を有する床材を提供することが可能となるという効果を奏する。また、十分な衝撃吸収性を有しつつ、施工適性に優れた床材を提供することが可能となるという効果を奏する。

本発明はその請求項２記載の発明により、より、しっかりした歩行感と表面の耐傷性を有する床材を提供することが可能となるという効果を奏する。

本発明はその請求項３記載の発明により、床材としてポリオレフィン系樹脂により一体化して塩化ビニルを用いることがなく、層間強度にも優れることでさらにしっかりした床材を得ることが可能となるという効果を奏する。

本発明の床材の一実施例の断面の形状を示す説明図である。

以下、本発明を図面に基づき詳細に説明する。図１に本発明の床材の一実施例の断面の形状を示す。軟質層１と硬質層３と化粧シート５とを、適宜の接着剤層２、４で貼り合わせてなる。

本発明における軟質層１としてはポリオレフィン系樹脂シートであり、ＪＩＳ Ｋ ７２２０に準拠して測定した圧縮弾性率が０．０１〜０．０６ＭＰａのものを用いる。この値の範囲内であれば、後述する硬質層との組み合わせにより、十分な耐水性と衝撃吸収性と歩行感を有する床材とすることが可能となる。本発明者らはこの条件設定を見出すために試行錯誤したが、条件設定が決まっていれば、あとは従来公知の材料や製造技術により所望のものを調整して得ることは可能である。具体的には厚み３〜９ｍｍでのものが好適に用いられる。ポリオレフィン系樹脂としてはポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、エチレンビニルアルコール、ホモポリプロピレン、ランダムポリプロピレン、ブロックポリプロピレン、プロピレン−α−オレフィン共重合体、エチレン−プロピレン共重合体、これら数種のうちの２種以上の混合体などがあげられる。

接着剤層２は、前記軟質層１と後述する硬質層３を接着するために適宜使用され、接着可能となるものであれば特に限定されるものではない。２液ウレタン水性接着剤や１液酢酸ビニル樹脂エマルジョン系接着剤、湿気硬化型ウレタン樹脂系ホットメルト接着剤などがあげられるが、具体的には前記のポリオレフィン系樹脂シートと後述するポリオレフィン系樹脂に無機充填剤を配合した樹脂基材とであれば、湿気硬化型ウレタン系ホットメルト接着剤が好適に用いられる。厚みとしては乾燥後で１０〜１００μｍ程度が好適である。

本発明における硬質層３としては、ＪＩＳ Ｋ ７１７１に準拠して測定した曲げ弾性率が１０００〜６０００ＭＰａのポリオレフィン系樹脂からなるものであり、発泡倍率が１〜３倍、無機充填剤が２５〜６０重量％であるものを用いる。この値の範囲内であれば、前記軟質層との組み合わせにより、十分な耐水性と衝撃吸収性と歩行感とを有する床材とすることが可能となる。本発明者らはこの条件設定を見出すために試行錯誤したが、条件設定が決まっていれば、あとは従来公知の材料や製造技術により所望のものを調整して得ることは可能である。具体的には、厚み３〜９ｍｍに溶融押出成形した樹脂基材からなるものが好適に用いられる。ポリオレフィン系樹脂としては前記軟質層で用いたものと同様のものを用いる。

接着剤層４は、前記硬質層３と後述する化粧シート５を接着するために適宜使用され、接着可能となるものであれば特に限定されるものではない。２液ウレタン水性接着剤や１液酢酸ビニル樹脂エマルジョン系接着剤、湿気硬化型ウレタン樹脂系ホットメルト接着剤などがあげられるが、具体的には前記のポリオレフィン系樹脂に無機充填剤を配合した樹脂基材と後述するポリオレフィン系樹脂シートを基材とする化粧シートであれば、湿気硬化型ウレタン系ホットメルト接着剤が好適に用いられる。厚みとしては乾燥後で１０〜１００μｍ程度が好適である。

本発明における化粧シート５としては、基材シート上に意匠性を付与する絵柄模様層、床材表面の耐傷性や各種物性を付与する表面保護層等からなる公知のものであれば適宜使用可能である。特にはポリオレフィン系樹脂シートを基材シートとするものが好適に用いられる。ポリオレフィン系樹脂としては前記軟質層で用いたものと同様のものが使用可能である。

本発明の床材としては、その転倒衝突時の床のかたさ試験（ＪＩＳ Ａ ６５１９）におけるＧｓ値が５５〜８０のものが好適である。この試験は体育館用鋼製床下地構成材に関するものであり、１００が体育館床、６０が柔道用畳床の規格範囲となっているが、本発明の床材としては、５５より低いものであると柔らかすぎて施工適性を著しく欠くものとなり、８０を超えるものであると硬すぎて十分な衝撃吸収性があるものとはいえなくなる。

＜硬質層の作製＞
低密度ポリエチレン（密度：０．９２ｇ／ｃｍ^３、メルトインデックス：３．６ｇ／１０分）１００重量部に発泡剤としてアゾジカルボンアミド１５重量部、無機充填剤３０重量部をヘンシェルミキサーに投入し、３００ｒｐｍで３分間回転させ、さらに１０００ｒｐｍで３分間回転させた。それを１６０℃のＴ台から押出し、架橋させた後、２３０℃の縦型熱風発泡機に連続的に導入し発泡倍率１．５倍、厚み５．５ｍｍの硬質層を得た。これをＪＩＳ Ｋ ７１７１に準拠して測定した曲げ弾性率は２３８５ＭＰａであった。

＜軟質層の作製＞
低密度ポリエチレン（密度：０．９２ｇ／ｃｍ^３、メルトインデックス：３．６ｇ／１０分）１００重量部に発泡剤としてアゾジカルボンアミド１５重量部をヘンシェルミキサーに投入し、３００ｒｐｍで３分間回転させ、さらに１０００ｒｐｍで３分間回転させ、た。それを１６０℃のＴ台から押出し、架橋させた後、２３０℃の縦型熱風発泡機に連続的に導入し発泡倍率１０倍、厚み６．５ｍｍの軟質層を得た。これをＪＩＳ Ｋ ７２２０に準拠して圧縮弾性率を測定すると０．０２ＭＰａの測定値を得た。

＜化粧シートの作製＞
厚み０．０７０ｍｍのポリプロピレン樹脂製着色熱可塑性樹脂層（ＲＩＶＥＳＴ ＴＰＯ リケンテクノス社製）に絵柄模様層として２液ウレタン樹脂系バインダー樹脂製のグラビアインキにて木目柄を印刷し、その上に透明熱可塑性樹脂層として透明ポリプロピレン樹脂を押出しラミネートし、更に、表面に表面保護を設ける前に、乾燥後の塗布量１．３ｇ／ｍ^２塗の２液ウレタン樹脂のリコーと層の上に紫外線硬化型塗料を１０ｇ／ｍ^２塗布、硬化させ、化粧シートを得た。

＜床材の作製＞
前記化粧シートの裏面に湿気硬化型ウレタン樹脂系ホットメルト接着剤（ＤＩＣ（株）製「タイフォース」）を５０μｍとなるように塗布し、前記硬質層の表面に貼り合わせた。その後、前記硬質層の裏面と軟質層の表面とを、軟質層の表面に湿気硬化型ウレタン樹脂系ホットメルト接着剤（ＤＩＣ（株）製「タイフォース」）を５０μｍとなるように塗布し、貼り合わせ、床材を作製した。

＜比較例１＞
軟質層として、厚み２．０ｍｍで発泡倍率２０倍のポリエチレンフォームを用いた以外は、実施例１と同様にして床材を得た。ＪＩＳ Ｋ ７２２０に準拠して圧縮弾性率を測定すると０．００７ＭＰａであった。

＜比較例２＞
硬質層として発泡倍率を５倍とした以外は実施１と同様にして床材を得た。ＪＩＳ Ｋ ７１７１に準拠して測定した曲げ弾性率が７６０ＭＰａであった。

＜比較例３＞
硬質層として無機充填剤を６５％とした以外は実施例１と同様にして床材を得た。ＪＩＳ Ｋ ７１７１に準拠して測定した曲げ弾性率が１２３５ＭＰａであった。

＜転倒衝突時の床のかたさ試験＞
転倒衝突時の床のかたさ試験（ＪＩＳ Ａ ６５１９）にてＧｓ値を測定した。

＜デュポン衝撃試験＞
落下物が落ちた際の床材のへこみ方の確認として、ＪＩＳ Ｋ５４００に準拠してデュポン衝撃試験を実施した。半径６．３５ｍｍ撃ち型、おもり５００ｇ、高さ５００ｍｍの条件下で撃ち型を床材に落として目視にて確認した。

＜耐水性試験＞
耐水性試験として常温水に４８時間浸漬した後の膨潤量及び外観観察を行った。
以上の結果を表１に示す。

本発明の床材は、特に洗面所、台所、トイレ等の水廻りに施工され、耐水性を有しかつ耐衝撃性を有し、かつ歩行感が良好なクッション性を有する床材として利用可能である。

１…軟質層
２…接着剤層
３…硬質層
４…接着剤層
５…化粧シート

Claims (1)

1. 床面表面に敷設して用いる床材の、少なくとも表面側に硬質層、床面側に軟質層を有し、かつ、前記硬質層の表面にポリオレフィン系樹脂シートを基材とする化粧シートを積層してなる三層構造の床材であって、
   前記硬質層と前記軟質層が同じポリオレフィン系樹脂からなり、
   前記硬質層がＪＩＳ Ｋ ７１７１に準拠して測定した曲げ弾性率が２３８５ＭＰａであり、発泡倍率が１．５倍、無機充填剤を２０．７重量％含有してなり、かつ、この硬質層の厚みが５．５ｍｍであり、
   前記軟質層がＪＩＳ Ｋ ７２２０に準拠して測定した圧縮弾性率が０．０２ＭＰａであり、かつ、この軟質層の厚みが６．５ｍｍであり、
   ＪＩＳ Ｋ ６５１９に定めるＧｓ値が６３になることを特徴とする床材。