JP5942133B2 - 蛍光プローブ及びこれを用いた酵素活性検出方法 - Google Patents

蛍光プローブ及びこれを用いた酵素活性検出方法 Download PDF

Info

Publication number
JP5942133B2
JP5942133B2 JP2012199260A JP2012199260A JP5942133B2 JP 5942133 B2 JP5942133 B2 JP 5942133B2 JP 2012199260 A JP2012199260 A JP 2012199260A JP 2012199260 A JP2012199260 A JP 2012199260A JP 5942133 B2 JP5942133 B2 JP 5942133B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
amino
diamino
alkyl
pteridin
ylmethyl
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2012199260A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2014055113A (ja
Inventor
靖 河合
靖 河合
美奈子 松本
美奈子 松本
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
EDUCATIONAL CORP KANSAI BUNRI SOUGOUGAKUEN
Original Assignee
EDUCATIONAL CORP KANSAI BUNRI SOUGOUGAKUEN
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by EDUCATIONAL CORP KANSAI BUNRI SOUGOUGAKUEN filed Critical EDUCATIONAL CORP KANSAI BUNRI SOUGOUGAKUEN
Priority to JP2012199260A priority Critical patent/JP5942133B2/ja
Publication of JP2014055113A publication Critical patent/JP2014055113A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5942133B2 publication Critical patent/JP5942133B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Apparatus Associated With Microorganisms And Enzymes (AREA)
  • Measuring Or Testing Involving Enzymes Or Micro-Organisms (AREA)

Description

本発明は、蛍光プローブ及びこれを用いた酵素活性検出方法に関する。さらに詳しくは、本発明は、分子中に酵素反応の基質と蛍光部位を併せ持つ蛍光プローブ、及びこれを用いた酵素活性検出方法に関する。
生きている細胞内における生体分子の存在や局在、活性や変化を視覚的に捉えることができる可視化プローブの創製は、様々な生命現象の作用機構の解明に大きく貢献してきた。近年では、蛍光プローブを利用したバイオイメージング技術の開発が盛んに研究されており、光誘起電子移動(Photoinduced electron Transfer:PeT)機構に基づき蛍光を制御する方法(非特許文献1及び2)、さらにはPeT機構を利用したバイオイメージングプローブ(非特許文献3〜8)が報告されている。例えば、蛍光色素を利用した細胞内小分子の検出技術として、生体内での作用が注目されている活性酸素種の1つである次亜塩素酸イオンの選択的測定においてフルオレセインを分子内に有する蛍光プローブが、有用であることが報告されている(特許文献1)。
プテリジン構造を有するプテリンや4−アミノプテリンは、フルオレセイン等と同様に蛍光物質として知られている。プテリジン誘導体の特徴を応用し、葉酸が蛍光特性を有するプテリジン誘導体まで分解されると蛍光を発する現象を利用した、活性酸素の量を定量する技術が報告されている(特許文献2)。
国際公開WO2007/10061号公報 特開2006−119085号公報
J. Am. Chem. Soc., 126, 14079-14085 (2004) Proc. Jpn. Acad. Ser., B86, 837-847 (2010) J. Am. Chem. Soc., 130, 14533-14543 (2008) J. Am. Chem. Soc., 128, 6938-6946 (2006) J. Am. Chem. Soc., 129, 3918-3929 (2007) J. Am. Chem. Soc., 128, 15946-15947 (2006) J. Am. Chem. Soc., 124, 1653-1657 (2002) Org. Lett., 11, 2732-2735 (2009)
従来の酵素活性検出方法は、蛍光剤や発色剤と基質とを別々に添加する必要があり、それらの組み合わせの相性や配合比等をあらかじめ検討する必要がある点で煩雑であり、より簡便に利用できる技術の開発が期待されていた。
また、PeT機構を利用した技術は未だ発展途上であり、PeT機構を適用可能な蛍光化合物群や、PeT機構を利用した物質の検出方法のさらなる開発が求められている。
さらに、現在までに報告されている蛍光プローブは、単に特定の物質を検出するために開発されたものが一般的であり、酵素による代謝や情報伝達における可逆的な反応を捉えることを可能とする蛍光プローブは未だ開発されていない。
したがって、本発明の目的は、簡便に使用することができ、加えて、代謝や情報伝達における特定の酵素反応等、細胞内でダイナミックに起きている現象を視覚的に捉えることが可能な、新しいタイプの蛍光プローブ並びにこれを用いた酵素活性検出キット及び酵素活性検出方法を提供することにある。
そこで、本発明者は、上記目的を達成するため鋭意研究を重ねた結果、蛍光プローブとして利用可能である特定の化学構造を有するプテリジン誘導体を見出し、それを利用した簡便な酵素活性測定方法を開発して本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、以下の蛍光プローブ並びにこれを用いた酵素活性検出キット及び酵素活性検出方法に関する。
(1)以下の式I:
[式中:
、R、R、R及びRは、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、−OR10、−SR11、−NR1213、ニトロ、シアノ、−OSOOH、−NHSOOH、−COR14、C1−12アルキル、C2−12アルケニル、C2−12アルキニル、アリール及びヘテロアリールからなる群から選択され、ここで前記アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール及びヘテロアリールはR15から独立して選択される1以上の置換基で置換されていてもよく;
は、−OR16、−SR17、−NR1819、C1−12アルキル、C2−12アルケニル及びC2−12アルキニルからなる群から選択され、ここで前記アルキル、アルケニル及びアルキニルはR20から独立して選択される1以上の置換基で置換されていてもよく;
は、ヒドロキシ、メルカプト又は−NR2122であり;
、R、R12、R13、R21及びR22は、それぞれ独立して、水素原子、−COR231−12アルキル、C2−12アルケニル、C2−12アルキニル、アリール及びヘテロアリールからなる群から選択され、ここで前記アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール及びヘテロアリールはR24から独立して選択される1以上の置換基で置換されていてもよく;
10、R11、R16及びR17は、それぞれ独立して、水素原子、−COR25、−C(=NR26)−R27、PO(OR28、C1−12アルキル、C2−12アルケニル、C2−12アルキニル、アリール及びヘテロアリールからなる群から選択され、ここで前記アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール及びヘテロアリールはR29から独立して選択される1以上の置換基で置換されていてもよく;
14、R23及びR25は、それぞれ独立して、−OR30、−SR31、−NR3233、C1−12アルキル、C2−12アルケニル、C2−12アルキニル、アリール及びヘテロアリールからなる群から選択され、ここで前記アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール及びヘテロアリールはR34から独立して選択される1以上の置換基で置換されていてもよく;
15、R20、R24、R29及びR34は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシ、C1−12アルコキシ、メルカプト、C1−12アルキルチオ、アミノ、グアニジノ、C1−12アルキルアミノ、ジ(C1−12アルキル)アミノ、C1−12アルキルカルボニルアミノ、C1−12アルキルアミノカルボニル、ジ(C1−12アルキル)アミノカルボニル、C1−12アルキルカルボニル、カルボキシ、C1−12アルコキシカルボニル、シアノ、ニトロ、トリフルオロメチル、C1−12アルキル、C2−12アルケニル、C2−12アルキニル、ベンジル、アリール及びヘテロアリールからなる群から選択され;
18、R19、R26、R27、R28、R30、R31、R32及びR33は、それぞれ独立して、水素原子、C1−12アルキル、C2−12アルケニル、C2−12アルキニル、ベンジル、アリール及びヘテロアリールからなる群から選択され、ここで前記アルキルは、ハロゲン原子、ヒドロキシ、C1−12アルコキシ、メルカプト、C1−12アルキルチオ、アミノ、C1−12アルキルアミノ、ジ(C1−12アルキル)アミノ、C1−12アルキルカルボニルアミノ、C1−12アルキルアミノカルボニル、ジ(C1−12アルキル)アミノカルボニル、C1−12アルキルカルボニル、カルボキシ、C1−12アルコキシカルボニル、シアノ、ニトロ、トリフルオロメチル、C1−12アルキルからなる群から選択されから独立して選択される1以上の置換基で置換されていてもよい]により示される化合物又はその塩。
(2)Rが、−OR10、−SR11、−NR1213又は−COR14であり;
、R、R及びRが、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、ニトロ、シアノ及びC1−12アルキルからなる群から選択され;
が、C1−12アルキル、C2−12アルケニル及びC2−12アルキニルからなる群から選択され、ここで前記アルキル、アルケニル及びアルキニルはR20から独立して選択される1以上の置換基で置換されていてもよく;
が、ヒドロキシ又はアミノであり;
及びRが、水素原子であり;
ここで、R10、R11、R12、R13、R14及びR20は、それぞれ項目(1)において定義されたとおりである、項目(1)に記載の化合物又はその塩。
(3)Rが、C1−12アルキルであり;
10及びR11が、それぞれ独立して、−COR25であり;
12が、水素であり;
13が、−COR23であり;
ここで、R23及びR25は、それぞれ項目(1)において定義されたとおりである、項目(2)に記載の化合物又はその塩。
(4)Rが、アセトキシ又はアセトアミドであり;
が、メチルである;
項目(3)に記載の化合物又はその塩。
(5)酢酸 4−[アセチル−(2,4−ジアミノ−プテリジン−6−イルメチル)−アミノ]−フェニルエステル;
酢酸 4−[アセチル−(2,4−ジアミノ−プテリジン−6−イルメチル)−アミノ]−2−クロロ−フェニルエステル;
N−(4−アセチルアミノ−2,5−ジクロロ−フェニル)−N−(2,4−ジアミノ−プテリジン−6−イルメチル)−アセトアミド;
酢酸 4−[(2,4−ジアミノ−プテリジン−6−イルメチル)−プロピオニル−アミノ]−フェニルエステル;
N−(2,4−ジアミノ−プテリジン−6−イルメチル)−N−(4−ヒドロキシ−フェニル)−プロピオンアミド;
酢酸 4−[ブチリル−(2,4−ジアミノ−プテリジン−6−イルメチル)−アミノ]−フェニルエステル;
N−(2,4−ジアミノ−プテリジン−6−イルメチル)−N−(4−ヒドロキシ−フェニル)−ブチルアミド;
酢酸 4−[(2,4−ジアミノ−プテリジン−6−イルメチル)−ペンタノイル−アミノ]−フェニルエステル;
酢酸 4−[(2,4−ジアミノ−プテリジン−6−イルメチル)−ペンタノイル−アミノ]−フェニルエステル;
N−(2,4−ジアミノ−プテリジン−6−イルメチル)−N−(4−ヒドロキシ−フェニル)−ペンタン酸アミド;
アミノ酢酸 4−[アセチル−(2,4−ジアミノ−プテリジン−6−イルメチル)−アミノ]−フェニルエステル;
2−アミノ−3−メチル−酪酸 4−[アセチル−(2,4−ジアミノ−プテリジン−6−イルメチル)−アミノ]−フェニルエステル;
2−アミノ−3−メチルスルファニル−酪酸 4−[アセチル−(2,4−ジアミノ−プテリジン−6−イルメチル)−アミノ]−フェニルエステル;
2−アミノ−3−フェニル−プロピオン酸 4−[アセチル−(2,4−ジアミノ−プテリジン−6−イルメチル)−アミノ]−フェニルエステル;
ピロリジン−2−カルボン酸 4−[アセチル−(2,4−ジアミノ−プテリジン−6−イルメチル)−アミノ]−フェニルエステル;
2−アミノ−3−メルカプト−プロピオン酸 4−[アセチル−(2,4−ジアミノ−プテリジン−6−イルメチル)−アミノ]−フェニルエステル;
2−アミノ−3−ヒドロキシ−プロピオン酸 4−[アセチル−(2,4−ジアミノ−プテリジン−6−イルメチル)−アミノ]−フェニルエステル;
2−アミノ−3−ヒドロキシ−酪酸 4−[アセチル−(2,4−ジアミノ−プテリジン−6−イルメチル)−アミノ]−フェニルエステル;
2−アミノ−3−(1H−インドール−3−イル)−プロピオン酸 4−[アセチル−(2,4−ジアミノ−プテリジン−6−イルメチル)−アミノ]−フェニルエステル;
2−アミノ−スクシンアミド酸 4−[アセチル−(2,4−ジアミノ−プテリジン−6−イルメチル)−アミノ]−フェニルエステル;
2−アミノ−4−カルバモイル−酪酸 4−[アセチル−(2,4−ジアミノ−プテリジン−6−イルメチル)−アミノ]−フェニルエステル;
2−アミノ−ペンタン二酸 1−{4−[アセチル−(2,4−ジアミノ−プテリジン−6−イルメチル)−アミノ]−フェニル}エステル;
2,6−ジアミノ−ヘキサン酸 4−[アセチル−(2,4−ジアミノ−プテリジン−6−イルメチル)−アミノ]−フェニルエステル;及び
2−アミノ−5−グアニジノ−ペンタン酸 4−[アセチル−(2,4−ジアミノ−プテリジン−6−イルメチル)−アミノ]−フェニルエステル;
からなる群から選択される化合物又はその塩。
(6)項目(1)〜(5)のいずれかに記載の化合物又はその塩を含む、蛍光プローブ。
(7)項目(6)に記載の蛍光プローブを含有する、酵素活性検出キット。
(8)項目(7)に記載の蛍光プローブを使用して酵素活性を検出する方法であって、
当該蛍光プローブを試料と接触させる工程と、
接触後の試料の蛍光を測定する工程と、
を含む、前記方法。
本発明の化合物は蛍光プローブとして利用することができる。また、酵素反応部位を有する蛍光プローブを採用することで、簡便な酵素活性検出方法が可能となる。特に、蛍光on/offの特性をそれぞれ有する本発明の蛍光プローブを組み合わせて使用すれば、酵素活性を検出あるいは評価して生体内の様々な情報を収集することができ、さらには生体現象の解明に貢献することができる。
図1は、本発明の蛍光プローブである酢酸 4−[アセチル−(2,4−ジアミノ−プテリジン−6−イルメチル)−アミノ]−フェニルエステル(1)の、酵素によるエステル加水分解反応の進行を蛍光強度により測定した結果を示す。 図2は、本発明の蛍光プローブである酢酸 4−[アセチル−(2,4−ジアミノ−プテリジン−6−イルメチル)−アミノ]−2−クロロ−フェニルエステル(3)の、酵素によるエステル加水分解反応の進行を蛍光強度により測定した結果を示す。 図3は、本発明の蛍光プローブの、酵素によるアセチル化反応の前後の蛍光強度を比較した写真を示す。
化合物及びその塩
本発明の1つの実施形態としては、以下の一般式(I)で表される化合物又はその塩が挙げられる:
[式中:
、R、R、R及びRは、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、−OR10、−SR11、−NR1213、ニトロ、シアノ、−OSOOH、−NHSOOH、−COR14、C1−12アルキル、C2−12アルケニル、C2−12アルキニル、アリール及びヘテロアリールからなる群から選択され、ここで前記アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール及びヘテロアリールはR15から独立して選択される1以上の置換基で置換されていてもよく;
は、−OR16、−SR17、−NR1819、C1−12アルキル、C2−12アルケニル及びC2−12アルキニルからなる群から選択され、ここで前記アルキル、アルケニル及びアルキニルはR20から独立して選択される1以上の置換基で置換されていてもよく;
は、ヒドロキシ、メルカプト又は−NR2122であり;
、R、R12、R13、R21及びR22は、それぞれ独立して、水素原子、−COR231−12アルキル、C2−12アルケニル、C2−12アルキニル、アリール及びヘテロアリールからなる群から選択され、ここで前記アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール及びヘテロアリールはR24から独立して選択される1以上の置換基で置換されていてもよく;
10、R11、R16及びR17は、それぞれ独立して、水素原子、−COR25、−C(=NR26)−R27、PO(OR28、C1−12アルキル、C2−12アルケニル、C2−12アルキニル、アリール及びヘテロアリールからなる群から選択され、ここで前記アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール及びヘテロアリールはR29から独立して選択される1以上の置換基で置換されていてもよく;
14、R23及びR25は、それぞれ独立して、−OR30、−SR31、−NR3233、C1−12アルキル、C2−12アルケニル、C2−12アルキニル、アリール及びヘテロアリールからなる群から選択され、ここで前記アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール及びヘテロアリールはR34から独立して選択される1以上の置換基で置換されていてもよく;
15、R20、R24、R29及びR34は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシ、C1−12アルコキシ、メルカプト、C1−12アルキルチオ、アミノ、グアニジノ、C1−12アルキルアミノ、ジ(C1−12アルキル)アミノ、C1−12アルキルカルボニルアミノ、C1−12アルキルアミノカルボニル、ジ(C1−12アルキル)アミノカルボニル、C1−12アルキルカルボニル、カルボキシ、C1−12アルコキシカルボニル、シアノ、ニトロ、トリフルオロメチル、C1−12アルキル、C2−12アルケニル、C2−12アルキニル、ベンジル、アリール及びヘテロアリールからなる群から選択され;
18、R19、R26、R27、R28、R30、R31、R32及びR33は、それぞれ独立して、水素原子、C1−12アルキル、C2−12アルケニル、C2−12アルキニル、ベンジル、アリール及びヘテロアリールからなる群から選択され、ここで前記アルキルは、ハロゲン原子、ヒドロキシ、C1−12アルコキシ、メルカプト、C1−12アルキルチオ、アミノ、C1−12アルキルアミノ、ジ(C1−12アルキル)アミノ、C1−12アルキルカルボニルアミノ、C1−12アルキルアミノカルボニル、ジ(C1−12アルキル)アミノカルボニル、C1−12アルキルカルボニル、カルボキシ、C1−12アルコキシカルボニル、シアノ、ニトロ、トリフルオロメチル、C1−12アルキルからなる群から選択されから独立して選択される1以上の置換基で置換されていてもよい]。
ここで、一般式(I)において定義される置換基R〜Rは、酵素反応の基質として働き得るあらゆる基(例えば、アシル基、イミノ基、リン酸基又はアミノ酸残基等)によってさらに置換されていてもよい。
本発明のより好ましい実施形態として、以下の一般式(II)で表される化合物又はその塩が挙げられる:
[式中:
は、−OR10、−SR11、−NR1213又は−COR14であり;
、R、R及びRは、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、ニトロ、シアノ及びC1−12アルキルからなる群から選択され;
は、C1−12アルキル、C2−12アルケニル及びC2−12アルキニルからなる群から選択され、ここで前記アルキル、アルケニル及びアルキニルはR20から独立して選択される1以上の置換基で置換されていてもよく;
は、ヒドロキシ又はアミノであり;
12及びR13は、それぞれ独立して、水素原子、−COR231−12アルキル、C2−12アルケニル、C2−12アルキニル、アリール及びヘテロアリールからなる群から選択され、ここで前記アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール及びヘテロアリールはR24から独立して選択される1以上の置換基で置換されていてもよく;
10及びR11は、それぞれ独立して、水素原子、−COR25、−C(=NR26)−R27、PO(OR28、C1−12アルキル、C2−12アルケニル、C2−12アルキニル、アリール及びヘテロアリールからなる群から選択され、ここで前記アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール及びヘテロアリールはR29から独立して選択される1以上の置換基で置換されていてもよく;
14、R23及びR25は、それぞれ独立して、−OR30、−SR31、−NR3233、C1−12アルキル、C2−12アルケニル、C2−12アルキニル、アリール及びヘテロアリールからなる群から選択され、ここで前記アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール及びヘテロアリールはR34から独立して選択される1以上の置換基で置換されていてもよく;
15、R20、R24、R29及びR34は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシ、C1−12アルコキシ、メルカプト、C1−12アルキルチオ、アミノ、グアニジノ、C1−12アルキルアミノ、ジ(C1−12アルキル)アミノ、C1−12アルキルカルボニルアミノ、C1−12アルキルアミノカルボニル、ジ(C1−12アルキル)アミノカルボニル、C1−12アルキルカルボニル、カルボキシ、C1−12アルコキシカルボニル、シアノ、ニトロ、トリフルオロメチル、C1−12アルキル、C2−12アルケニル、C2−12アルキニル、ベンジル、アリール及びヘテロアリールからなる群から選択され;
26、R27、R28、R30、R31、R32及びR33は、それぞれ独立して、水素原子、C1−12アルキル、C2−12アルケニル、C2−12アルキニル、ベンジル、アリール及びヘテロアリールからなる群から選択される]。
本発明のさらに好ましい実施形態として、以下の一般式(II)で表される化合物又はその塩が挙げられる:
[式中:
は、−OR10、−SR11、−NR1213又は−COR14であり;
、R、R及びRは、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、ニトロ、シアノ及びC1−12アルキルからなる群から選択され;
は、C1−12アルキルであり;
は、ヒドロキシ又はアミノであり;
10及びR11は、それぞれ独立して、−COR25であり;
12は、水素原子であり;
13は−COR23であり;
14、R23及びR25は、それぞれ独立して、−OR30、−SR31、−NR3233、C1−12アルキル、C2−12アルケニル、C2−12アルキニル、アリール及びヘテロアリールからなる群から選択され、ここで前記アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール及びヘテロアリールはR34から独立して選択される1以上の置換基で置換されていてもよく;
34は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシ、C1−12アルコキシ、メルカプト、C1−12アルキルチオ、アミノ、グアニジノ、C1−12アルキルアミノ、ジ(C1−12アルキル)アミノ、C1−12アルキルカルボニルアミノ、C1−12アルキルアミノカルボニル、ジ(C1−12アルキル)アミノカルボニル、C1−12アルキルカルボニル、カルボキシ、C1−12アルコキシカルボニル、シアノ、ニトロ、トリフルオロメチル、C1−12アルキル、C2−12アルケニル、C2−12アルキニル、ベンジル、アリール及びヘテロアリールからなる群から選択され;
30、R31、R32及びR33は、それぞれ独立して、水素原子、C1−12アルキル、C2−12アルケニル、C2−12アルキニル、ベンジル、アリール及びヘテロアリールからなる群から選択される]。
本発明のよりさらに好ましい実施形態として、以下の一般式(III)で表される化合物又はその塩が挙げられる:
[式中:
は、アセトキシ又はアセトアミドであり;
、R、R及びRは、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、ニトロ、シアノ及びC1−12アルキルからなる群から選択され;
は、ヒドロキシ又はアミノである]。
本発明の最も好ましい実施形態としては、以下の化合物又はその塩が挙げられる:
酢酸 4−[アセチル−(2,4−ジアミノ−プテリジン−6−イルメチル)−アミノ]−フェニルエステル;
酢酸 4−[アセチル−(2,4−ジアミノ−プテリジン−6−イルメチル)−アミノ]−2−クロロ−フェニルエステル;
N−(4−アセチルアミノ−2,5−ジクロロ−フェニル)−N−(2,4−ジアミノ−プテリジン−6−イルメチル)−アセトアミド;
酢酸 4−[(2,4−ジアミノ−プテリジン−6−イルメチル)−プロピオニル−アミノ]−フェニルエステル;
N−(2,4−ジアミノ−プテリジン−6−イルメチル)−N−(4−ヒドロキシ−フェニル)−プロピオンアミド;
酢酸 4−[ブチリル−(2,4−ジアミノ−プテリジン−6−イルメチル)−アミノ]−フェニルエステル;
N−(2,4−ジアミノ−プテリジン−6−イルメチル)−N−(4−ヒドロキシ−フェニル)−ブチルアミド;
酢酸 4−[(2,4−ジアミノ−プテリジン−6−イルメチル)−ペンタノイル−アミノ]−フェニルエステル;
酢酸 4−[(2,4−ジアミノ−プテリジン−6−イルメチル)−ペンタノイル−アミノ]−フェニルエステル;
N−(2,4−ジアミノ−プテリジン−6−イルメチル)−N−(4−ヒドロキシ−フェニル)−ペンタン酸アミド;
アミノ酢酸 4−[アセチル−(2,4−ジアミノ−プテリジン−6−イルメチル)−アミノ]−フェニルエステル;
2−アミノ−3−メチル−酪酸 4−[アセチル−(2,4−ジアミノ−プテリジン−6−イルメチル)−アミノ]−フェニルエステル;
2−アミノ−3−メチルスルファニル−酪酸 4−[アセチル−(2,4−ジアミノ−プテリジン−6−イルメチル)−アミノ]−フェニルエステル;
2−アミノ−3−フェニル−プロピオン酸 4−[アセチル−(2,4−ジアミノ−プテリジン−6−イルメチル)−アミノ]−フェニルエステル;
ピロリジン−2−カルボン酸 4−[アセチル−(2,4−ジアミノ−プテリジン−6−イルメチル)−アミノ]−フェニルエステル;
2−アミノ−3−メルカプト−プロピオン酸 4−[アセチル−(2,4−ジアミノ−プテリジン−6−イルメチル)−アミノ]−フェニルエステル;
2−アミノ−3−ヒドロキシ−プロピオン酸 4−[アセチル−(2,4−ジアミノ−プテリジン−6−イルメチル)−アミノ]−フェニルエステル;
2−アミノ−3−ヒドロキシ−酪酸 4−[アセチル−(2,4−ジアミノ−プテリジン−6−イルメチル)−アミノ]−フェニルエステル;
2−アミノ−3−(1H−インドール−3−イル)−プロピオン酸 4−[アセチル−(2,4−ジアミノ−プテリジン−6−イルメチル)−アミノ]−フェニルエステル;
2−アミノ−スクシンアミド酸 4−[アセチル−(2,4−ジアミノ−プテリジン−6−イルメチル)−アミノ]−フェニルエステル;
2−アミノ−4−カルバモイル−酪酸 4−[アセチル−(2,4−ジアミノ−プテリジン−6−イルメチル)−アミノ]−フェニルエステル;
2−アミノ−ペンタン二酸 1−{4−[アセチル−(2,4−ジアミノ−プテリジン−6−イルメチル)−アミノ]−フェニル}エステル;
2,6−ジアミノ−ヘキサン酸 4−[アセチル−(2,4−ジアミノ−プテリジン−6−イルメチル)−アミノ]−フェニルエステル;及び
2−アミノ−5−グアニジノ−ペンタン酸 4−[アセチル−(2,4−ジアミノ−プテリジン−6−イルメチル)−アミノ]−フェニルエステル。
本発明でいう「C1−12アルキル」とは、炭素数1〜12の、直鎖状、分枝鎖状、環状、又はそれらの組み合わせのアルキル基をいい、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、シクロプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、シクロプロピルメチル等が含まれる。C1−12アルキルには、例えば、C1−6アルキル及びC1−4アルキル等が含まれる。
本発明でいう「C2−12アルケニル」とは、炭素数2〜12の、1個以上、例えば1個又は2個の二重結合を含む、直鎖状、分枝鎖状、環状、又はそれらの組み合わせのアルケニル基をいい、例えば、ビニル、1−プロペニル、アリル、イソプロペニル、1−ブテニル等が含まれる。C2−12アルケニルには、例えば、C2−6アルケニル及びC2−4アルケニル等が含まれる。
本発明でいう「C2−12アルキニル」とは、炭素数2〜12の、1個以上、例えば1個又は2個の三重結合を含む、直鎖状又は分枝鎖状のアルキニルをいい、例えば、エチニル、1−プロピニル、2−プロピニル、1−ブチニル等が含まれる。C2−12アルキニルには、例えば、C2−6アルキニル及びC2−4アルキニル等が含まれる。
本発明でいう「アリール」とは、例えば炭素数3〜14の、単環性又は縮合多環性の芳香族炭化水素基をいい、例えば、フェニル、ナフチル等が含まれる。アリールには、例えば、C3−10アリール及びC3−6アリール等が含まれる。
本発明でいう「ヘテロアリール」とは、例えば3〜14員の、環構成原子として1個以上、例えば1個又は2個のヘテロ原子を含む単環性又は縮合多環性の芳香族基をいう。ヘテロ原子としては、例えば、窒素原子、酸素原子、又はイオウ原子等が含まれ、2個以上のヘテロ原子を含む場合には、それらは同一でも異なっていてもよい。ヘテロアリールの一例は、フリル、チエニル、ピロリル、ピリジル、イミダゾリル、ピリミジル、キノリル、キナゾリニル等である。ヘテロアリールには、例えば、C3−10ヘテロアリール及びC3−6ヘテロアリール等が含まれる。
本発明でいう「C1−12アルコキシ」とは、炭素数1〜12個の、直鎖状、分枝鎖状、環状、又はそれらの組み合わせのアルキル基を有するヒロドキシ基をいい、メトキシ、エトキシ、プロポキシ等が含まれる。C1−12アルコキシには、例えば、C1−6アルコキシ及びC1−4アルコキシ等が含まれる。
本発明でいう「C1−12アルキルチオ」とは、炭素数1〜12個の、直鎖状、分枝鎖状、環状、又はそれらの組み合わせのアルキル基を有するチオ基をいい、メチルチオ、エチルチオ、プロピルチオ、イソプロピルチオ等が含まれる。C1−12アルキルチオには、例えば、C1−6アルキルチオ及びC1−4アルキルチオなどが含まれる。
本発明でいう「C1−12アルキルアミノ」とは、炭素数1〜12個の、直鎖状、分枝鎖状、環状、又はそれらの組み合わせのアルキル基を1個有するアミノ基をいい、メチルアミノ、エチルアミノ、プロピルアミノ等が含まれる。C1−12アルキルアミノには、例えば、C1−6アルキルアミノ及びC1−4アルキルアミノ等が含まれる。
本発明でいう「ジ(C1−12アルキル)アミノ」とは、炭素数1〜12個の、直鎖状、分枝鎖状、環状、又はそれらの組み合わせのアルキル基を2個有するアミノ基をいい、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、エチルメチルアミノ、ジプロピルアミノ等が含まれる。ジ(C1−12アルキル)アミノには、例えば、ジ(C1−6アルキル)アミノ及びジ(C1−4アルキル)アミノ等が含まれる。
本発明でいう「C1−12アルキルカルボニルアミノ」とは、炭素数1〜12個の、直鎖状、分枝鎖状、環状、又はそれらの組み合わせのアルキル基を有するカルボニルアミノ基をいい、アセトアミド、プロピオンアミド、ブチルアミド等が含まれる。C1−12アルキルカルボニルアミノには、例えば、C1−6アルキルカルボニルアミノ及びC1−4アルキルカルボニルアミノ等が含まれる。
本発明でいう「C1−12アルキルアミノカルボニル」とは、炭素数1〜12個の、直鎖状、分枝鎖状、環状、又はそれらの組み合わせのアルキル基を1個有するアミノカルボニル基をいい、N−メチルアミノカルボニル、N−エチルアミノカルボニル、N−プロピルアミノカルボニル等が含まれる。C1−12アルキルアミノカルボニルには、例えば、C1−6アルキルアミノカルボニル及びC1−4アルキルアミノカルボニル等が含まれる。
本発明でいう「ジ(C1−12アルキル)アミノカルボニル」とは、炭素数1〜12個の、直鎖状、分枝鎖状、環状、又はそれらの組み合わせのアルキル基を2個有するアミノカルボニル基をいい、N,N−ジメチルアミノカルボニル、N,N−ジエチルアミノカルボニル、N,N−ジプロピルアミノカルボニル等が含まれる。ジ(C1−12アルキル)アミノカルボニルには、例えば、ジ(C1−5アルキル)アミノカルボニル及びジ(C1−4アルキル)アミノカルボニル等が含まれる。
本発明でいう「C1−12アルキルカルボニル」とは、炭素数1〜12個の、直鎖状、分枝鎖状、環状、又はそれらの組み合わせのアルキル基を有するカルボニル基をいい、アセチル、エチルカルボニル、プロピルカルボニル等が含まれる。C1−12アルキルカルボニルには、例えば、C1−6アルキルカルボニル及びC1−4アルキルカルボニル等が含まれる。
本発明でいう「C1−12アルコキシカルボニル」とは、炭素数1〜12個の、直鎖状、分枝鎖状、環状、又はそれらの組み合わせのアルキル基を有するヒロドキシカルボニル基をいい、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、プロポキシカルボニル、イソプロポキシカルボニル等が含まれる。C1−12アルキルカルボニルには、例えば、C1−6アルキルカルボニル及びC1−4アルキルカルボニル等が含まれる。
本発明でいう「ハロゲン原子」とは、フッ素原子、塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子を意味する。
本明細書において、特定の化学構造が1以上の置換基を有する場合、当該置換基は1個の置換基又は同一若しくは異なっていてもよい複数の置換基であってもよく、置換基の数は、例えば1〜6個、好ましくは1〜3個である。
本発明における蛍光プローブとして用いる化合物は、塩を形成してもよい。塩の種類は化合物の官能基の種類に応じて適宜選択することができる。例えば、塩酸塩、硫酸塩若しくは硝酸塩等の鉱酸塩又は酒石酸塩、p−トルエンスルホン酸塩、リンゴ酸塩、シュウ酸塩若しくは酢酸塩等の有機酸塩等の酸付加塩、あるいはナトリウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩若しくはカルシウム塩等の金属塩、アンモニウム塩又はメチルアミン塩若しくはトリエチルアミン塩等の有機アミン塩等を挙げることができる。また、本発明における化合物又はその塩は、水和物や溶媒和物を形成する場合があるが、任意の水和物又は溶媒和物も本発明の範囲に包含される。
化合物又はその塩の合成
本発明において、蛍光プローブとして用いる化合物の合成法は特に限定されない。例えば、以下のスキーム1に従って、プテリジン誘導体と、アミノフェニル誘導体とをカップリングすることにより合成することができる。
スキーム1に示される一般式(I)の化合物又はその塩の一般的合成方法は、以下の工程(a)、(b)及び(c)を含む。
工程(a):溶媒に出発化合物であるプテリジン誘導体のアルコール体を溶解させ、ハロゲン化試薬を加えて反応させることで、中間体1を合成する。使用するハロゲン化試薬は特に限定されず、例えば、塩化チオニル、三臭化リン、ジブロモトリフェニルホスホラン(PhPBr)、ヨウ化水素等を用いることができ、特にジブロモトリフェニルホスホランが好ましい。
工程(b):溶媒に中間体1及びアニリン誘導体を溶解させて撹拌することにより、中間体2を合成する。
工程(c):溶媒に中間体2を溶解させ、アシル化試薬(例えば、塩化アセチル等のアセチル化試薬)の存在下で反応させることにより、最終化合物を合成する。ここで、合成された化合物は、さらなる工程を経て塩を形成させることができる。
なお、当業者であれば当然理解できるように、使用する出発原料は市販の原料を使用してもよいが、公知の合成方法を使用して合成してもよい。また、プテリジン部分とフェニル部分とをアミノメチル基を介してカップリングして中間体2を合成する方法は、工程(a)と(b)との組み合わせに限定されず、公知のあらゆる方法により合成できる。さらに、一般式(I)において定義される各置換基の導入はいずれの段階で行われてもよく、その際、保護基の導入及び脱保護の工程も、必要に応じて行われる。
工程(a)〜(c)において使用する溶媒は特に限定されず、例えば、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド等を用いることができ、特にジメチルアセトアミドが好ましい。また、反応温度や反応時間も特に限定されず、出発原料、溶媒、ハロゲン化試薬の種類に応じて当業者であれば適宜調節することができる。
蛍光プローブ
本発明の一態様である上記化合物又はその塩は、蛍光プローブとして使用することができる。蛍光プローブは、化合物又はその塩のほか、公知の添加剤を含有していてもよい。
本発明における「蛍光プローブ」には、紫外から可視の波長領域の光により励起され、可視光領域(中心波長390〜700nm)に発光領域をもつ化合物が含まれ、さらに、蛍光特性を有さない化合物であって、外部からの修飾を受けることで上記発光領域を有することになる化合物も含まれる。
PeT機構として解明されているように、蛍光の発光と消光にはベンゼン環部位の被占軌道のエネルギーレベルが大きく影響しており、アミノプテリン化合物では、6位にメチレンを介してフェニルアミノ基が置換すると蛍光が消失し、さらにフェニルアミノ基のアミノ基をアセチル化すると蛍光性に戻る現象が見られた。
本発明の一態様においては、ベンゼン環部位の被占軌道のエネルギーレベルが蛍光部位であるプテリン部位のHOMOよりも高いレベルにある場合は光誘起電子移動により消光し、低いレベルにある場合は電子移動が起きずにそのまま基底状態に戻るため蛍光を発する原理を利用して蛍光プローブの分子設計を行うことができる。つまり、量子力学計算によりプテリジン誘導体の蛍光(on)と消光(off)のメカニズムを本発明の蛍光プローブに応用すると、蛍光on/offを制御することができる。
より具体的には、本発明の蛍光プローブは、例えば、Gaussian09(Gaussian社)を用いて、密度汎関数法(B3LYP)・6-311G++(2d,p)レベルの基底関数で構造最適化を行い、TD-DFT計算により励起エネルギーを計算することにより、蛍光on/off可能な蛍光プローブを分子設計することができる。
本発明の蛍光プローブは、例えば、一般式(I)で示される化合物又はその塩の連結部位の窒素原子上の置換基、あるいはフェニル基の置換基を種々選択することで被占軌道のエネルギーレベルを変化させると、蛍光のon/offが制御できる。加えて、酵素反応の前後で蛍光がonとoffになる化合物の組み合わせは、基質部分へ目的の酵素と反応する基を導入することにより適宜設計することができる。
酵素反応の基質となり得る基は、フェニル基の置換基として導入することが好ましく、アミノ基に対するパラ位に導入することがより好ましいが、プテリジン環や窒素原子上に酵素反応の基質となり得る基を導入することもできる。また、化合物を安定化する基を、連結部位の窒素原子上に導入することがより好ましい。ただし、化合物が安定化されている限りにおいて、窒素原子上の官能基は水素原子であってもよい。
酵素反応の基質となり得る基は、特に限定されないが、例えば、式(I)〜(III)のR〜Rの定義において、ヒドロキシ、アミノ、アミド、エステル(アセテート等)、リン酸基又はアミノ酸残基等が挙げられる。
酵素の種類は特に限定されないが、酵素活性が知られている公知のものを適用することができ、例えば、プロテアーゼ(サブチリシン、α−キモトリプシン、トリプシン等)、リパーゼ(リパーゼASアマノ等)、エステラーゼ(ホスホジエステラーゼ等)、グルタチオン S−転移酵素(GST)、β−ガラクトシダーゼ、キナーゼ等の酵素が挙げられ、プロテアーゼ、リパーゼ、エステラーゼが特に好ましく、リパーゼASアマノ、サブチリシンがさらに好ましい。また、本発明の化合物又はその塩は、導入する基によっては酵素以外の細胞内小分子や生体内の物性値を検出することができ、例えば、NO、ROS、金属イオン、pH等が検出対象となり得る。
本発明における蛍光プローブとしては、以下の表1に示す化合物又はその塩を用いることができる。
蛍光プローブ(蛍光on/offプローブの組み合わせ)
本発明の別の態様として、修飾されて蛍光off可能な「蛍光性プローブ」と、蛍光性プローブが修飾されて生成する蛍光off化合物であって、さらに修飾されて蛍光on可能な「消光性プローブ」とからなる蛍光プローブの組み合わせが含まれる。本発明における蛍光プローブの組み合わせとしては、以下の表2に示す組み合わせが挙げられる。
蛍光プローブの蛍光測定
本発明において、蛍光プローブとして用いる化合物の蛍光スペクトル及び蛍光強度や、酵素活性検出方法における蛍光強度の測定は、公知の方法で測定することができ、定量、定性又は診断等の目的に利用可能な方法を使用することができる。ここで、蛍光強度は、蛍光スペクトルから算出することもできる。
酵素活性検出キット
本発明でいう「酵素活性検出キット」は、本発明の蛍光プローブを含有する組成物をいう。酵素活性検出キットには、公知のキットに含まれ、測定試薬の調整に通常用いられる媒体や添加剤が配合されていてもよい。
酵素活性キットに配合される媒体の種類は特に限定されないが、例えば、生理食塩水や緩衝液等の水性媒体、又はエタノール、アセトン、エチレングリコール、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド等の水混合性の有機溶媒と水性媒体との混合物を使用することができる。
添加剤の種類も特に限定されず、酵素の種類に応じて適宜選択されるが、例えば、溶解補助剤、pH調節剤、緩衝剤、等張化剤等の添加剤を用いることができる。
検出対象の酵素の種類は、蛍光プローブとして用いる化合物又はその塩の分子内に配置される酵素反応部位によって決定されるため、蛍光プローブに関して具体的に記載した酵素(場合によっては酵素以外の物質)を検出対象とする。
酵素活性検出キットの形態は特に限定されず、公知のキットに適用可能な形態、例えば、粉末剤、凍結乾燥剤、顆粒剤、錠剤、液剤等を採用することができる。
酵素活性検出方法
本発明における「酵素活性検出方法」とは、本発明における蛍光プローブを使用して蛍光強度から試料中に含まれる酵素活性を検出する方法をいい、in vitro及びin vivoのいずれの方法で行ってもよい。
酵素活性検出方法に用いる媒体、添加剤、酵素の種類等は、蛍光プローブとして用いる化合物又はその塩の分子内に配置される基質によって適宜選択され、酵素活性検出キットに関して記載されているものを適宜使用する。
酵素活性検出方法の各工程は特に限定されず、公知の工程を適用することができ、試料と蛍光プローブを接触させる工程、試料の蛍光強度を測定する工程を含む。より具体的には、酵素特異的な蛍光プローブを使用し、試料中に含まれる酵素と蛍光プローブとを反応させ、添加前後の蛍光強度を測定することで酵素の存在を検出したり、試料に含まれる酵素量を定量的に測定することができる。
例えば、酵素反応により消光するタイプのアセチル基を有する蛍光プローブの酵素活性は、リパーゼやプロテアーゼを用いてアセテート体をアルコール体まで加水分解させることで検出することができる。これに対し、酵素反応により蛍光を発光するタイプの水酸基を有する蛍光プローブの酵素活性の検出は、アセチル化試薬(例えば、酢酸ビニル)の存在下、リパーゼやプロテアーゼを用いた酵素反応により逆反応であるアセチル化反応を進行させ、復活した蛍光を検出することにより行うことができる。
以下、本発明を実施例に基づき詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
化合物の特性は、以下の機器を用いて測定した。また、蛍光強度は蛍光スペクトルから算出した。
・蛍光スペクトル: 日立製作所製、F-2500
H−NMR及び13C−NMR: 日本電子製、JNM-AL400、JNM-ECX500
実施例1:アミノプテリン誘導体の合成
酢酸 4−[アセチル−(2,4−ジアミノ−プテリジン−6−イルメチル)−アミノ]−フェニルエステル(1)の合成
6−ヒドロキシメチルアミノプテリン塩酸塩(アルドリッチ; 1 g)のジメチルアセトアミド(和光純薬; 12 mL)溶液にトリフェニルホスフィンジブロマイド(アルドリッチ; 5.2 g)を18℃で加え4時間撹拌した。エタノール(和光純薬; 0.24 mL)を加えた後にベンゼン(和光純薬; 40 mL)を加えて静置し、得られた沈殿を吸引濾過で回収し、2−プロパノール(和光純薬)で再結晶し6−ブロモメチルアミノプテリン(0.75 g)を得た。得られた6−ブロモメチルアミノプテリン(50 mg)をジメチルアセトアミド(和光純薬; 10 mL)に溶かし、酢酸 p−アミノフェニルエステル(30 mg)を加えて、室温で2日間撹拌した。減圧下で溶媒を留去した後、少量のジメチルホルムアミド(和光純薬)を加えて懸濁させ得られた沈殿を吸引濾過で回収し、減圧乾燥することで、黄色固体のN−(2,4−ジアミノ−プテリジン−6−イルメチル)−N−(4−アセトキシ−フェニル)−アミン(32 mg)を得た。得られたN−(2,4−ジアミノ−プテリジン−6−イルメチル)−N−(4−アセトキシ−フェニル)−アミン(11 mg)をジメチルアセトアミド(和光純薬; 10 mL)に溶かし、塩化アセチル(和光純薬; 30 mg)のジメチルアセトアミド(和光純薬; 10 mL)溶液を加え、室温で2時間反応させた。減圧下で溶媒を留去し、GPCカラム(日本分析工業、GS-310、21.5 x 500 mm)によるHPLC(日本分析工業、LC-9201、ジメチルホルムアミド)で精製し酢酸 4−[アセチル−(2,4−ジアミノ−プテリジン−6−イルメチル)−アミノ]−フェニルエステル(1)(8.5 mg)を得た。
1H NMR(400 MHz, DMSO-d6):δ1.91(s, 3H), 2.26(s, 3H), 5.10(s, 2H), 7.18(d, J=7.9 Hz, 2H), 7.53(d, J=7.9 Hz, 2H), 8.87(s, 1H); 13C NMR(100 MHz, DMSO-d6):δ20.9, 22.4, 51.8, 121.6, 122.6, 129.0, 139.9, 145.2, 149.1, 149.3, 149.4, 155.8, 162.3, 168.7, 169.7
MS [(M+H)+]: m/z 368.3(100%); 理論値C17H18N7O3 +: m/z 368.2。
N−(2,4−ジアミノ−プテリジン−6−イルメチル)−N−(4−ヒドロキシ−フェニル)−アセトアミド(2)の合成
上記化合物(1)における合成方法と同じ方法で得た6−ブロモメチルアミノプテリン(0.18 g)をジメチルアセトアミド(和光純薬; 10 mL)に溶かし、p−ヒドロキシアニリン(東京化成; 0.31 g)を加えて、55℃で4時間撹拌した。水(100 mL)を加えた後に減圧下で溶媒を留去し、少量の水を加えてから1 M硫酸でpH 2程度にして得られた沈殿を吸引濾過で回収し、減圧乾燥することで、褐色固体のN−(2,4−ジアミノ−プテリジン−6−イルメチル)−N−(4−ヒドロキシ−フェニル)−アミン(0.14 g)を得た。得られたN−(2,4−ジアミノ−プテリジン−6−イルメチル)−N−(4−ヒドロキシ−フェニル)−アミン(22 mg)をジメチルアセトアミド(和光純薬; 5 mL)に溶かし、塩化アセチル(和光純薬; 30 mg)のジメチルアセトアミド(和光純薬; 5 mL)溶液を加え、室温で2時間反応させた。水を少量加えた後、1 M水酸化ナトリウムを加えて中性にした後に減圧下で溶媒を留去し、少量の水を加えて得られた沈殿を吸引濾過で回収し、減圧乾燥することで、褐色固体のN−(2,4−ジアミノ−プテリジン−6−イルメチル)−N−(4−ヒドロキシ−フェニル)−アセトアミド(2)(9.0 mg)を得た。
1H NMR(400 MHz, DMSO-d6):δ1.83(s, 3H), 4.95(s, 2H), 6.71(d, J=8.4 Hz, 2H), 7.12(d, J=8.4 Hz, 2H), 8.82(s, 1H); 13C NMR(100 MHz, DMSO-d6):δ22.3, 51.8, 115.7, 121.1, 129.0, 133.7, 146.5, 149.5, 151.5, 156.4, 160.0, 162.4, 169.9
MS [(M+H)+]: m/z 326.2(100%); 理論値C15H16N7O2 +: m/z 326.1。
酢酸 4−[アセチル−(2,4−ジアミノ−プテリジン−6−イルメチル)−アミノ]−2−クロロ−フェニルエステル(3)の合成
実施例1の方法で合成した6−ブロモメチルアミノプテリン(0.20 g)をジメチルアセトアミド(和光純薬; 10 mL)に溶かし、p-アミノ-o-クロロフェニル酢酸エステル(0.15 g)を加えて、室温で2日間撹拌した。減圧下で溶媒を留去した後、少量のジメチルホルムアミド(和光純薬)を加えて懸濁させ、得られた沈殿を吸引濾過で回収し減圧乾燥することで、黄色固体のN−(2,4−ジアミノ−プテリジン−6−イルメチル)−N−(3−クロロ−4−アセトキシ−フェニル)−アミン(180 mg)を得た。得られたN−(2,4−ジアミノ−プテリジン−6−イルメチル)−N−(3−クロロ−4−アセトキシ−フェニル)−アミン(63 mg)をジメチルアセトアミド(和光純薬; 10 mL)に溶かし、塩化アセチル(和光純薬; 14 mg)のジメチルアセトアミド(和光純薬; 5 mL)溶液を加え、室温で2時間反応させた。減圧下で溶媒を留去し、GPCカラム(日本分析工業、GS-310、21.5 x 500 mm)によるHPLC(日本分析工業、LC-9201、ジメチルホルムアミド)で精製し酢酸 4−[アセチル−(2,4−ジアミノ−プテリジン−6−イルメチル)−アミノ]−2−クロロ−フェニルエステル(3)(21 mg)を得た。
1H NMR(500 MHz, DMSO-d6):δ1.95(s, 3H), 2.32(s, 3H), 5.11(s, 2H), 7.37(d, J=7.7 Hz, 1H), 7.56(d, J=7.7 Hz, 1H), 7.89(s, 1H), 8.88(s, 1H); 13C NMR(125 MHz, DMSO-d6):δ20.3, 22.4, 51.7, 121.8, 124.8, 126.2, 128.3, 129.8, 141.4, 145.3, 145.8, 149.3, 149.6, 155.8, 162.6, 168.2, 169.9
MS [(M+H)+]: m/z 402.1(100%); 理論値C17H17ClN7O3 +: m/z 402.1。
N−(2,4−ジアミノ−プテリジン−6−イルメチル)−N−(4−ヒドロキシ−フェニル)−アセトアミド(4)の合成
実施例1の方法で合成した6−ブロモメチルアミノプテリン(50 mg)をジメチルアセトアミド(和光純薬; 10 mL)に溶かし、m−クロロ−p−ヒドロキシアニリン(和光純薬; 0.11 g)を加えて、55℃で4時間撹拌した。水(100 mL)を加えた後に減圧下で溶媒を留去し、少量の水を加えて得られた沈殿を吸引濾過で回収し、減圧乾燥することで、褐色固体のN−(2,4−ジアミノ−プテリジン−6−イルメチル)−N−(4−ヒドロキシ−フェニル)−アミン(40 mg)を得た。得られたN−(2,4−ジアミノ−プテリジン−6−イルメチル)−N−(4−ヒドロキシ−フェニル)−アミン(40 mg)をジメチルアセトアミド(和光純薬; 10 mL)に溶かし、塩化アセチル(和光純薬; 40 mg)のジメチルアセトアミド(和光純薬; 5 mL)溶液を加え、室温で2時間反応させた。水を少量加えた後、1 M水酸化ナトリウムを加えて中性にし、減圧下で溶媒を留去した。GPCカラム(日本分析工業、GS-310、21.5 x 500 mm)によるHPLC(日本分析工業、LC-9201、ジメチルホルムアミド)で精製し、褐色固体のN−(2,4−ジアミノ−プテリジン−6−イルメチル)−N−(4−ヒドロキシ−フェニル)−アセトアミド(4)(35 mg)を得た。
1H NMR(500 MHz, DMSO-d6) :δ1.88(s, 3H), 5.04(s, 2H), 6.95(d, J=8.6 Hz, 1H), 7.21(dd, J=2.6 and 8.6 Hz, 1H), 7.56(d, J=2.6 Hz, 1H), 8.85(s, 1H); 13C NMR(125 MHz, DMSO-d6) :δ22.2, 51.7, 116.8, 119.6, 121.7, 128.0, 129.5, 134.4, 145.3, 149.4, 149.7,152.7, 155.9, 162.6, 170.3
MS [(M+H)+]: m/z 360.2(100%); 理論値C15H15ClN7O2 +: m/z 360.1。
実施例2:蛍光評価試験
実施例1で合成したアミノプテリン誘導体の蛍光スペクトルを測定した。
トリス塩酸緩衝液(10 mM、pH 7.0)に化合物(1)及び(2)を加えて、12μmol/Lの濃度の試験溶液をそれぞれ調製した。励起波長366 nmにおける蛍光スペクトルを測定した。以下に示されるように、化合物(2)は蛍光を示さなかったのに対し、化合物(1)のみが発光することが確認された。
実施例3:酵素活性評価試験
<リパーゼ、プロテアーゼによるアセチル基の加水分解試験>
アセチル基を有する化合物(1)を用い、リパーゼ、プロテアーゼ活性の検出試験を行った。
化合物(1)(1.1 mg)をトリス塩酸緩衝液(10 mM、pH 7.0)(500 mL)に溶かして基質溶液を調製し、各種酵素(10 mg)をトリス塩酸緩衝液(10 mM、pH 7.0)(1 mL)に溶かして酵素溶液を調製した。基質溶液(2 mL)に酵素溶液を加えて25℃で反応を開始し、蛍光分光光度計により励起波長366 nm、蛍光波長460 nmで10分間蛍光測定を行い酵素活性を測定した。表3に示すように、化合物(1)が、リパーゼASアマノ及びサブチリシンに対して酵素活性を示すことが確認された。
また、化合物(1)及び(3)を用いて蛍光強度の経時変化を測定した結果を図1及び2にそれぞれ示す。図1及び2から明らかなように、化合物(1)及び(3)のアセチル基は、消光物質である化合物(2)及び(4)のヒドロキシ基へとリパーゼ、プロテアーゼにより加水分解されたことが確認された。つまり、本発明の蛍光プローブを含有する試験溶液の蛍光強度を測定することにより、リパーゼ、プロテアーゼの酵素活性を定量的に検出することができる。
<リパーゼによるアルコールのアセチル化試験>
アルコール体である消光性化合物(2)は、アセテート体である蛍光性化合物(1)へとリパーゼによってアセチル化されたことが確認された(図3)。また、試験溶液の蛍光強度を測定することにより、リパーゼの酵素活性を定量的に検出することも可能である。
<酵素活性評価結果>
リパーゼ、プロテアーゼによるアセチル基の加水分解試験及びリパーゼによるアルコールのアセチル化試験の結果から、化合物(1)及び(2)は、酵素活性を検出するための蛍光プローブ。あるいは、酵素活性を定量的に評価するための蛍光プローブとして有用であることが確認された。また、これらの結果から、化合物(1)と(2)等の対応関係のある蛍光プローブを組み合わせて用いることで、可逆的な酵素反応を観察するためのツールとして利用可能であることが確認できた。

Claims (8)

  1. 以下の式I:
    [式中:
    は、−OR 10 、−SR 11 又は−NR 12 13 であり;
    、R、R及びRは、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、−OR10、−SR11、−NR1213、ニトロ、シアノ、−OSOOH、−NHSOOH、C1−12アルキル、C2−12アルケニル、C2−12アルキニル、アリール及びヘテロアリールからなる群から選択され、ここで前記アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール及びヘテロアリールはR15から独立して選択される1以上の置換基で置換されていてもよく;
    は、−OR16、−SR17、−NR1819、C1−12アルキル、C2−12アルケニル及びC2−12アルキニルからなる群から選択され、ここで前記アルキル、アルケニル及びアルキニルはR20から独立して選択される1以上の置換基で置換されていてもよく;
    は、ヒドロキシ、メルカプト又は−NR2122であり;
    、R、R12、R13、R21及びR22は、それぞれ独立して、水素原子、−COR231−12アルキル、C2−12アルケニル、C2−12アルキニル、アリール及びヘテロアリールからなる群から選択され、ここで前記アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール及びヘテロアリールはR24から独立して選択される1以上の置換基で置換されていてもよく;
    10、R11、R16及びR17は、それぞれ独立して、水素原子、−COR25、−C(=NR26)−R27、PO(OR28、C1−12アルキル、C2−12アルケニル、C2−12アルキニル、アリール及びヘテロアリールからなる群から選択され、ここで前記アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール及びヘテロアリールはR29から独立して選択される1以上の置換基で置換されていてもよく;
    14、R23及びR25は、それぞれ独立して、−OR30、−SR31、−NR3233、C1−12アルキル、C2−12アルケニル、C2−12アルキニル、アリール及びヘテロアリールからなる群から選択され、ここで前記アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール及びヘテロアリールはR34から独立して選択される1以上の置換基で置換されていてもよく;
    15、R20、R24、R29及びR34は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシ、C1−12アルコキシ、メルカプト、C1−12アルキルチオ、アミノ、グアニジノ、C1−12アルキルアミノ、ジ(C1−12アルキル)アミノ、C1−12アルキルカルボニルアミノ、C1−12アルキルアミノカルボニル、ジ(C1−12アルキル)アミノカルボニル、C1−12アルキルカルボニル、カルボキシ、C1−12アルコキシカルボニル、シアノ、ニトロ、トリフルオロメチル、C1−12アルキル、C2−12アルケニル、C2−12アルキニル、ベンジル、アリール及びヘテロアリールからなる群から選択され;
    18、R19、R26、R27、R28、R30、R31、R32及びR33は、それぞれ独立して、水素原子、C1−12アルキル、C2−12アルケニル、C2−12アルキニル、ベンジル、アリール及びヘテロアリールからなる群から選択され、ここで前記アルキルは、ハロゲン原子、ヒドロキシ、C1−12アルコキシ、メルカプト、C1−12アルキルチオ、アミノ、C1−12アルキルアミノ、ジ(C1−12アルキル)アミノ、C1−12アルキルカルボニルアミノ、C1−12アルキルアミノカルボニル、ジ(C1−12アルキル)アミノカルボニル、C1−12アルキルカルボニル、カルボキシ、C1−12アルコキシカルボニル、シアノ、ニトロ、トリフルオロメチル、C1−12アルキルからなる群から選択されから独立して選択される1以上の置換基で置換されていてもよい]により示される化合物又はその塩。
  2. 、R、R及びRが、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、ニトロ、シアノ及びC1−12アルキルからなる群から選択され;
    が、C1−12アルキル、C2−12アルケニル及びC2−12アルキニルからなる群から選択され、ここで前記アルキル、アルケニル及びアルキニルは1以上のR20で置換されていてもよく;
    が、ヒドロキシ又はアミノであり;
    及びRが、水素原子であり;
    ここで、R10、R11、R12、R13、R14及びR20は、それぞれ請求項1において定義されたとおりである、請求項1に記載の化合物又はその塩。
  3. が、C1−12アルキルであり;
    10及びR11が、それぞれ独立して、−COR25であり;
    12が、水素であり、
    13が、−COR23であり;
    ここで、R23及びR25は、それぞれ請求項1において定義されたとおりである、請求項2に記載の化合物又はその塩。
  4. が、アセトキシ又はアセトアミドであり;
    が、メチルである;
    請求項3に記載の化合物又はその塩。
  5. 酢酸 4−[アセチル−(2,4−ジアミノ−プテリジン−6−イルメチル)−アミノ]−フェニルエステル;
    酢酸 4−[アセチル−(2,4−ジアミノ−プテリジン−6−イルメチル)−アミノ]−2−クロロ−フェニルエステル;及び
    N−(4−アセチルアミノ−2,5−ジクロロ−フェニル)−N−(2,4−ジアミノ−プテリジン−6−イルメチル)−アセトアミド;
    酢酸 4−[(2,4−ジアミノ−プテリジン−6−イルメチル)−プロピオニル−アミノ]−フェニルエステル;
    N−(2,4−ジアミノ−プテリジン−6−イルメチル)−N−(4−ヒドロキシ−フェニル)−プロピオンアミド;
    酢酸 4−[ブチリル−(2,4−ジアミノ−プテリジン−6−イルメチル)−アミノ]−フェニルエステル;
    N−(2,4−ジアミノ−プテリジン−6−イルメチル)−N−(4−ヒドロキシ−フェニル)−ブチルアミド;
    酢酸 4−[(2,4−ジアミノ−プテリジン−6−イルメチル)−ペンタノイル−アミノ]−フェニルエステル
    −(2,4−ジアミノ−プテリジン−6−イルメチル)−N−(4−ヒドロキシ−フェニル)−ペンタン酸アミド;
    アミノ酢酸 4−[アセチル−(2,4−ジアミノ−プテリジン−6−イルメチル)−アミノ]−フェニルエステル;
    2−アミノ−3−メチル−酪酸 4−[アセチル−(2,4−ジアミノ−プテリジン−6−イルメチル)−アミノ]−フェニルエステル;
    2−アミノ−3−メチルスルファニル−酪酸 4−[アセチル−(2,4−ジアミノ−プテリジン−6−イルメチル)−アミノ]−フェニルエステル;
    2−アミノ−3−フェニル−プロピオン酸 4−[アセチル−(2,4−ジアミノ−プテリジン−6−イルメチル)−アミノ]−フェニルエステル;
    ピロリジン−2−カルボン酸 4−[アセチル−(2,4−ジアミノ−プテリジン−6−イルメチル)−アミノ]−フェニルエステル;
    2−アミノ−3−メルカプト−プロピオン酸 4−[アセチル−(2,4−ジアミノ−プテリジン−6−イルメチル)−アミノ]−フェニルエステル;
    2−アミノ−3−ヒドロキシ−プロピオン酸 4−[アセチル−(2,4−ジアミノ−プテリジン−6−イルメチル)−アミノ]−フェニルエステル;
    2−アミノ−3−ヒドロキシ−酪酸 4−[アセチル−(2,4−ジアミノ−プテリジン−6−イルメチル)−アミノ]−フェニルエステル;
    2−アミノ−3−(1H−インドール−3−イル)−プロピオン酸 4−[アセチル−(2,4−ジアミノ−プテリジン−6−イルメチル)−アミノ]−フェニルエステル;
    2−アミノ−スクシンアミド酸 4−[アセチル−(2,4−ジアミノ−プテリジン−6−イルメチル)−アミノ]−フェニルエステル;
    2−アミノ−4−カルバモイル−酪酸 4−[アセチル−(2,4−ジアミノ−プテリジン−6−イルメチル)−アミノ]−フェニルエステル;
    2−アミノ−ペンタン二酸 1−{4−[アセチル−(2,4−ジアミノ−プテリジン−6−イルメチル)−アミノ]−フェニル}エステル;
    2,6−ジアミノ−ヘキサン酸 4−[アセチル−(2,4−ジアミノ−プテリジン−6−イルメチル)−アミノ]−フェニルエステル;及び
    2−アミノ−5−グアニジノ−ペンタン酸 4−[アセチル−(2,4−ジアミノ−プテリジン−6−イルメチル)−アミノ]−フェニルエステル;
    からなる群から選択される化合物又はその塩。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の化合物又はその塩を含む、蛍光プローブ。
  7. 請求項6に記載の蛍光プローブを含有する、酵素活性検出キット。
  8. 請求項6に記載の蛍光プローブを使用して酵素活性を検出する方法であって、
    当該蛍光プローブを試料と接触させる工程と、
    接触後の試料の蛍光を測定する工程と、
    を含む、前記方法。
JP2012199260A 2012-09-11 2012-09-11 蛍光プローブ及びこれを用いた酵素活性検出方法 Expired - Fee Related JP5942133B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2012199260A JP5942133B2 (ja) 2012-09-11 2012-09-11 蛍光プローブ及びこれを用いた酵素活性検出方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2012199260A JP5942133B2 (ja) 2012-09-11 2012-09-11 蛍光プローブ及びこれを用いた酵素活性検出方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2014055113A JP2014055113A (ja) 2014-03-27
JP5942133B2 true JP5942133B2 (ja) 2016-06-29

Family

ID=50612780

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2012199260A Expired - Fee Related JP5942133B2 (ja) 2012-09-11 2012-09-11 蛍光プローブ及びこれを用いた酵素活性検出方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5942133B2 (ja)

Family Cites Families (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO1999020626A1 (en) * 1997-10-17 1999-04-29 Purdue Research Foundation Folic acid derivatives
JP4247393B2 (ja) * 2004-10-25 2009-04-02 国立大学法人静岡大学 活性酸素の定量法
ES2340902B1 (es) * 2008-07-01 2011-05-03 Laboratorios Farmaceuticos Rovi, S.A. Composicion farmaceutica con glicosaminoglicanos y su uso en tratamiento de ulceras cronicas.

Also Published As

Publication number Publication date
JP2014055113A (ja) 2014-03-27

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US8143069B2 (en) Fluorescent probe and method of measuring hypochlorite ion
JP5228190B2 (ja) パーオキシナイトライト蛍光プローブ
US7524876B2 (en) Luciferin derivatives
JP5441882B2 (ja) 過酸化水素特異的蛍光プローブ
JP5733760B2 (ja) 蛍光発生分子および標的核酸検出方法
Pechalrieu et al. Synthesis of novel 3-halo-3-nitroflavanones and their activities as DNA methyltransferase inhibitors in cancer cells
Roubinet et al. A FRET-based probe for fluorescence sensing of sulfide/sulfite analytes, using a novel long-wavelength water-soluble 7-hydroxycoumarin as reporter fluorophore
US11319331B2 (en) Probe for selective detection of hypochlorous acid (HOCl) under physiological condition, and related methods
JP5843204B2 (ja) 蛍光プローブ
Turkmen et al. Synthesis of sulfanilamide derivatives and investigation of in vitro inhibitory activities and antimicrobial and physical properties
Li et al. H-aggregation of heptamethine cyanine dye induced by Smiles rearrangement for fluorescence sensing of biological species: A near-infrared ratiometric fluorescent assay for esterase
Liu et al. Synthesis and interaction studies of benzimidazole derivative with human serum albumin
JP4206381B2 (ja) パーオキシナイトライト測定用試薬
JP5942133B2 (ja) 蛍光プローブ及びこれを用いた酵素活性検出方法
Rooker et al. Peptide‐Based Fluorescent Probes for Deacetylase and Decrotonylase Activity: Toward a General Platform for Real‐Time Detection of Lysine Deacylation
JP2018145126A (ja) カルボキシペプチダーゼ活性検出用蛍光プローブ
WO2019168199A1 (ja) カルボキシペプチダーゼ活性検出用蛍光プローブ
JP5360609B2 (ja) 低酸素環境測定用試薬
JP4464614B2 (ja) バルジ塩基認識分子およびバルジ塩基検出方法
JP6116842B2 (ja) 標的細胞特異的な光増感用化合物。
JP6270127B2 (ja) ニコチンアデニンジヌクレオチド誘導体を検出する方法
EP2907877A1 (en) Reagent for imaging intracellular acetylation
JP2009215174A (ja) 近赤外光発光化合物およびその発光法
Li et al. π‐Extended BTD Derivatives: Synthesis, Photophysical Properties, and Applications in Biological Systems Imaging for Discriminating Living and Dead Cells
Lee Synthesis and photophysical studies of tricyclic cytidine analogues in oligonucleotides

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20150401

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20151203

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20151204

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20160118

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20160322

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20160420

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 5942133

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees