JP5941689B2 - 歯割り用切削器具 - Google Patents

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Description

本発明は、歯割り用の、さらに厳密にはホブ切り用の切削器具に関する。さらに具体的には、本発明は、請求項1の序文に記載の切削器具に関する。特許文献1を参照されたい。
切削器具は、製造される歯車のサイズに依存する様々なモジュールMnの歯車を歯割りするために提供される。非常に小さな歯車に関するMn=1から、非常に大きな歯車に関するMn=22又はそれ以上のモジュールが存在する。全てのモジュールの歯車に本発明に係る器具を使用することができるが、Mn=3〜Mn=8を有する歯車を歯割するのに特に適する。
特許文献1は、歯車、ラックなどの歯を有するようにワークピースをホブ切りするために形成された切削器具を示す。この切削器具は器具本体を具備し、器具本体は、回転軸線を画定し、固定端部と、反対の外側端部と、固定端部と外側端部との間において回転軸線の周囲に拡がる外周面とを有するべきである。器具本体は、相次いで配置されている多数の座を具備する。各座には切削インサートが配置されている。切削インサートは、チップ面を形成する上側部と、下側部と、互いに対向しかつ収束する2つの主切刃とを有する。主切刃は、前方の横断端切刃によって互いに接続される。切削インサートはネジによって締結され、ネジは、上側部から切削インサートの偏心孔を通過して下側部に延びる。切削インサートは、座内の溝部と係合する下側部に隆起部を有する。切削インサートの上側部はチップ面を形成し、チップ面は、回転軸線に対する半径方向平面に対して傾いている。このことは、切削されるべき歯のインボリュートの誤差を引き起こす。
特許文献2は、歯車、ラックなどの歯を有するワークピースをホブ切りするために形成された切削器具を示す。この切削器具は器具本体を具備し、器具本体は、回転軸線を画定し、固定端部と、反対の外側端部と、固定端部と外側端部との間において回転軸線の周囲に拡がる外周面とを有する。さらに、器具本体は多数の座を備え、これらの座は、一定のピッチを有するらせん状の線に沿って、外周面に相次いで配置されている。切削器具はさらに、対応する数の切削インサートを具備する。各座には、器具本体から突出する切削インサートを支持する支持面が形成される。各切削インサートは3つの歯の列を備える。各歯は、ワークピースの溝と係合するように形成される。各切削インサートは、各歯に対するチップ面を形成する上側部を有する。3つの歯のチップ面は共通の平面にあり、このことは、チップ面の法線が、らせん状の線が少なくともこれらの歯のうちの2つのチップ面と交差する箇所におけるらせん状の線の接線と鋭角を形成することを意味する。
特許文献3は、ホブ切りの切削工具のさらなる例を示す。切削インサートには歯の列が形成される。切削器具の個々の歯はらせん状の線に沿って配置される。各歯はワークピースの溝と係合するように形成される。切削インサートは、らせん状の線の接線と鋭角を形成する法線を有するチップ面を形成する上側部を有する。特許文献1に示されている切削器具と同様に、チップ面は回転軸線に対する半径方向平面に対して傾いている。
特許文献1〜3及び本発明は、切削インサートの座が本質的に半径方向に延びる切削器具に関する。切削インサートの座が本質的に正接方向に延びる、ホブ切りのための切削器具も存在する。正接方向の座を有するこのような器具の例は特許文献4に示されている。このタイプの切削器具は、少なくとも2倍の切削インサート、すなわち各溝に対して2つの切削インサートを必要とするという欠点を有する。半径方向の座を有する切削器具によって、各切削インサートに一対の主切刃を形成することができ、この一対の主切刃は、溝を囲む両方の歯と同時に係合する。
歯割のための切削器具には、ドイツ規格DINにしたがって様々な公差等級が付与される。最良の等級がAAAである。次いで、AA,A,B,C,Dと続く。公差等級A及びBが、自動車のギヤボックス用の歯車を製造するのに必要とされる。本発明による切削器具に関しては、少なくとも公差等級Bが目的とされる。
米国特許第5593254号明細書 欧州特許第2072162号明細書 特開2001−353621号公報 米国特許第4218159号明細書
本発明の目的は、歯の切削加工において高い精度を有する、歯割のための切削器具を提供することにある。さらに、経済的に好ましいやり方で歯切りすることのできる切削器具が所望される。
この目的は切削カッタ本体によって達成され、この切削カッタ本体は、本明細書の導入部によって示されると共に、各切削インサートのチップ面の延長平面が、らせん状の線が延長平面と交わる箇所におけるらせん状の線の接線に対して平行な法線を有するという点で特徴付けられる。
ワークピースの1つの溝のみと係合するように形成された各切削インサートにより、切削されるべき歯に関する切削加工及び目的とされる誤差の水準に対して最適に各切削インサートを位置決めすることができる。このような高い誤差の水準は、らせん状の線の接線に対して平行な法線を有する平面で拡がるチップ面によって得られる。歯のインボリュートは、所望の形状を得ることができる。各切削インサートが換装可能であるので、器具本体はメンテナンスの必要なしに非常に長い耐用期間を得る。切削インサートが磨耗したときに、これらのみを交換する必要がある。
本発明の1つの実施形態によれば、らせん状の線に沿って隣接する切削インサート同士の間の距離は、各対の隣接する切削インサートでは等しい。さらに、切削インサートのこのような位置取りは、歯の製造において高い精度を出すのに貢献し、その上、歯のインボリュートが所望の形状を得ることができる。
本発明のさらなる実施形態によれば、切削インサートは、複数の列であって、各列が少なくとも2つの切削インサートを具備すると共にらせん状の線の接線に対して垂直なそれぞれの線に沿って延びる、複数の列に配置される。さらには、同じ列の隣接する複数の対の切削インサートのチップ面の延長平面が、各対の切削インサートに対して互いに或る角度を、又は一定の角度を形成することができる。言い換えれば、各チップ面の延長平面は、少なくともこのような列のそれぞれの各切削インサートにとって、しかしながら実際には器具の全ての切削インサートにとって特有の平面上に位置することになる。
本発明のさらなる実施形態によれば、器具本体は外周面に細長凹部を具備し、細長凹部は、各凹部が上述の列の切削インサートのチップ面に切屑受容空間を形成するように、このような列のそれぞれに対して平行に延びると共に隣接する。
本発明のさらなる実施形態によれば、チップ面の延長平面は、切削インサートがポジティブの切刃幾何学形状(positive cutting geometry)を得るように、少なくとも主切刃の近くに位置する刃側部と共に鋭角を形成する。
本発明のさらなる実施形態によれば、各座は外周面から内向きに延びるポケットを具備する。このようなポケットは、ワークピースとの係合状態にない切削インサートの部分のための保護部として役立つことができ、有利である。
本発明のさらなる実施形態によれば、各座は外周面から突出する突出部を具備する。このような突出部は器具本体から外向きに支持面を延ばし、それにより、加工の際に切削インサートに対する改善された支持作用を提供することができる。
本発明のさらなる実施形態によれば、各ポケットは支持面と内方限定壁とによって限定され、内方限定壁は、内方限定壁と切削インサートとの間に間隙が存在するように形成される。それにより、切削インサートは後方限定壁にもたれない。この間隙により、切削インサート及びその切刃のより自由な構成が可能になる。したがって、様々な構成の切削インサート、例えば、プロチュバランス付きインサート(protuberance inserts)、トップエッジインボリュート(top edge involute)を有する歯のための切削インサート、ハイプロファイル(high profile)などの切削インサートを取り付けられるようになるので、切削器具の利用の柔軟性を改善することができる。内側を向く切削インサートの部分が、内方限定壁にもたれないので切削インサートを換装できるようにもなり、それにより切刃を提供することができる。
本発明のさらなる実施形態によれば、各座の支持面は、支持面から延びる突状部を具備し、この突状部は、切削インサートの位置を保証するように、切削インサートの下側部の対応する凹部と係合する。このような突状部及び凹部は、切削インサートが支持面に対して平行に移動できないことを保証する。有利には、突状部は、回転軸線に対して主に半径方向に延びる第一の細長隆起部と、回転軸線に対して主に軸線方向に延びる第二の細長隆起部とを備えることができる。第一の細長隆起部は回転軸線に対して平行方向に切削インサートが移動することを防ぎ、第二の細長隆起部は回転軸線に対して垂直方向に切削インサートが移動することを防ぐ。第一の細長隆起部は切削インサートの対応する第一の細長窪み部と係合し、第二の細長隆起部は切削インサートの対応する第二の細長窪み部と係合する。例えばロングエッジ・モルダ(long edge moulder)及びエンドミルによって、工具本体を切削することによって、支持面のこれらの2つの隆起部を製造することができる。
本発明のさらなる実施形態によれば、切削インサートは、上側部及び下側部を通過して延びる、好ましくは中央に位置する締結孔を具備する。切削インサートは、支持面を通過して延びるネジ孔内部において、締結孔を通過して延びる固定ネジによって座に締結される。
本発明のさらなる実施形態によれば、切削インサートの下側部は、上側部の延長平面に対して平行な延長平面において延びる。
本発明のさらなる実施形態によれば、対称線は、前記複数の対の主切刃の複数の主切刃のそれぞれと共に圧力角αを形成する。圧力角αは18〜32°の間にある。第一の変形例によれば、圧力角αは例えば20°であることができる。第二の変形例によれば、圧力角αは例えば30°であることができる。
本発明のさらなる実施形態によれば、各切削インサートは、前記複数の対の主切刃の複数の主切刃同士の間で延びる少なくとも1つの横断端切刃を具備する。端切刃は、直線的であってもよく、又は対応する主切刃への小さな曲率半径の移行刃を有しつつ直線区域を含んでもよい。
本発明のさらなる実施形態によれば、各切削インサートは、中心軸線回りに反対の2つの挿入位置同士の間で回転することによって換装することができ、それぞれの挿入位置に対応する主切刃の2つの前記対を具備する。
本発明のさらなる実施形態によれば、ポケットは、回転軸線に向かって内向きに対面する対の主切刃のための保護部を形成する。このことは、ポケットが作動状態にない主切刃に対する磨耗又は他の損傷を防ぐことができるので有利である。
本発明のさらなる実施形態によれば、切削インサートの上側部は、比較的長い対角線と比較的長い対角線に対して垂直な比較的短い対角線とを有する基本的に菱形の形状を有する。比較的長い対角線は対称線と一致してもよい。
本発明の一実施形態による切削器具を含む対の工作機械の概略斜視図。 図1の切削器具の側面図。 図1の切削器具の端面図。 図1の切削器具の拡大概略斜視図。 図1の切削器具の拡大概略側面図。 図1の切削器具の一部の側面図。 図6のVII−VII線に沿って見た断面図。 図1の切削インサートの一部の端面図。 図8のIX−IX線に沿って見た断面図。 図1の切削器具の切削インサートの斜視図。 図10の切削インサートを底から見た図。 図10の切削インサートを前から見た図。 図10の切削インサートを上から見た図。 図10の切削インサートの第一の変形例の斜視図。 図10の切削インサートの第二の変形例の斜視図。 図10の切削インサートの第三の変形例の斜視図。 図10の切削インサートの第四の変形例の斜視図。
本発明はこれより、添付の図面を参照して、様々な実施形態の記載によってより詳細に説明される。
図1〜9は、歯を有するワークピースWを歯切りするために、より厳密には、いわゆるホブ切りをするために形成された切削器具の実施形態を示す。この切削器具は、歯車、ラック、スプライン(splines)、油圧ポンプのインペラ及び類似の歯付きの要素などの様々なワークピースWを切削加工するのに適している。
切削器具は、器具本体1と多数の換装可能な切削インサート2とを具備する。切削インサート2は、器具本体1よりも固い材料、例えば超硬合金から製造される。器具本体1は、スチールから製造されてもよい。
器具本体1は、回転軸線Cを画定し、固定端部3と反対側の外側端部4とを有する。回転軸線Cは、固定端部3と外側端部4とを通って延びる。図5を参照すると、固定端部3には、フライス又は多重作動機械(multioperation machine)の器具スピンドルSに器具本体1及び切削工具を固定するための締結ピン5が存在する。器具本体1は、回転方向R(器具スピンドルSの内部から見て右に時計回り回転)に、回転軸線C回りに回転することができる。
ワークピースWは、ワークピーススピンドルSに固定され、回転方向Rに回転軸線C回りに回転することができる。示されている実施形態では、ワークピースWは、外側から見て右に時計回りに回転する。
器具本体1は外周面7を有し、外周面7は、固定端部3と外側端部4との間、より厳密には、図4及び図5を参照して外側端部4から締結ピン5までの範囲において、回転軸線Cの周囲に拡がる。器具本体1は、外周面7に複数の細長凹部8を具備する。示されている実施形態では、切削器具はこのような凹部8を6つ備える。しかしながら、切削器具は、他の数の凹部8、例えば4つ、5つ、7つ又は8つの凹部8を備えてもよいことに留意されたい。
特に図4〜7を参照すると、器具本体1はさらに、外周面7に配置された多数の分離した座9を備える。切削インサート2のうちの1つを受容するための各座9が形成される。図5を参照すると、座9及び切削インサート2が一定のピッチを有するらせん状の線xに沿って交互に配置されている。示されている実施形態では、らせん状の線xのピッチ方向は右向きである。ピッチ方向はまた、製造される歯次第では左向きであってもよい。ピッチ角βは1〜10°でもよい。
各座9は、切削インサート2を支持することができ又は支持するように構成された支持面10を備える。各座9はさらに、外周面7から内向きに延びるポケット11と、外周面7から突出する突出部12とを備える。支持面10の一部は突出部12から形成される。図1〜3を参照すると、切削インサート2は、座9に取り付けられると、ワークピースWの溝と切削係合するために、突出部12を越えて工具本体1から突出する。
図7を参照すると、各ポケット11は支持面10及び内側限定壁13によって限定され、内側限定壁13は、切削インサート2が座9に取り付けられたときに、限定壁13と切削インサート2との間に間隙14が存在するように形成される。
各座9の支持面10は、支持面10から延びる突状部を具備する。突状部は、主に半径方向に延びる第一の細長隆起部16と、主に軸線方向に延びる第二の細長隆起部17とを具備する。第一の細長隆起部16は、直角に、又は本質的に直角に第二の細長隆起部17と交差する。各細長隆起部16,17は、本質的に平坦であると共に支持面10に対して平行である上面18と、上面18を支持面10と接続する2つの斜面19とを有する。2つの斜面19は互いに鈍角を形成する。この角度は、90〜140°例えば120°であってもよい。
図10〜13を参照すると、各切削インサート2は、下側部21と、反対側の上側部22と、上側部22と下側部21とを接続する外周刃側部23とを具備する。上側部22は、延長平面pにおいて拡がるチップ面24を形成する。さらに、切削インサート2の下側部21は、上側部22又はチップ面24の延長平面と平行な延長平面において拡がる。図10〜13に示されている、切削インサート2の第一の変形例は、延長平面p及びチップ面と全体的に一致する上側部22を有し、したがって、上側部22は全体的に平面である。
示された実施形態及び図10〜17の様々な変形例では、各切削インサート2は、2対の主切刃25であって、第一の対の主切刃25と第二の対の主切刃25とを備え、これらの主切刃は、刃側部23がチップ面24と交差する箇所に形成される。したがって、各切削インサート2は、二対の主切刃25に配分された4つの主切刃25を具備する。したがって、切削インサート2は、切削器具に取り付けられるときに1つの溝のみと係合状態となることができるように形成される。さらに下記記載を参照されたい。
チップ面24は、上述の複数の対の主切刃25の複数の主切刃25を含む上述の延長平面pにおいて拡がる。中心軸線Aは、下側部21及び上側部22を通過して延びる。対称線Sは、中心軸線Aに対して垂直であり、延長平面pに対して平行に延びる。第一の対の主切刃25の2つの主切刃25は、対称線Sに対して収束しかつ対称的に配置されている。第二の対の主切刃25の2つの主切刃25も、対称線Sに対して収束しかつ対称的に配置されている。したがって、各切削インサート2は、中心軸線A回りの回転によって反対の2つの挿入位置同士の間において換装することができる。第一の挿入位置では、第一の対の主切刃25が切削工具から突出し、第二の挿入位置では、第二の対の主切刃25が切削工具から突出する。
切削インサート2の下側部21は、下側部21から延びる凹部を有する。凹部は、第一の細長窪み部26と、各挿入位置に対するものである第二の細長窪み部27とを具備する。第一の細長窪み部26は、対称線Sに対して平行に延び、切削インサート2が切削工具に取り付けられると概ね半径方向に延びる。第二の細長窪み部27は、第一の細長窪み部26と直角に又は本質的に直角に交差し、切削インサート2が切削工具に取り付けられると概ね軸線方向に延びる。
各細長窪み部26,27は、底面28及び2つの斜面29を具備する。斜面29は底面28を下側部21に接続する。これらの底面28及び斜面29は、切削インサート2が座9に取り付けられると上面18及び斜面19と協働する。斜面29は、互いに鈍角を形成する。この角度は、斜面19同士の鈍角と同一又は等しい。
したがって、第一の細長窪み部26は、支持面10の対応する第一の細長隆起部16と係合するように形成される。第二の細長窪み部27は、支持面10の第二の細長隆起部17と係合するように形成される。したがって、切削インサート2が座9に取り付けられたときに、第一の細長隆起部16及び第一の細長窪み部26は互いに係合する。第二の細長隆起部17は、第二の細長窪み部27のうちの1つと係合する。それにより、斜面19は、斜面29に対して当接する。上面18と底面28との間に間隙があってもよい。
各切削インサート2は、上側部22及び下側部21を通過する中心軸線Aと平行に延びる締結孔30を具備する。示されている実施形態では、中心軸線Aが締結孔30の中心軸線も形成する。切削インサート2は、支持面10に対して固定ネジ31によって座9に締結され、固定ネジ31は、締結孔30を通過して、支持面10を通過して延びるネジ孔32内部で延びる。図4を参照すると、ネジ孔32は、第二の細長隆起部17の半径方向外側に位置し、第一の細長隆起部16を通過して延びる。
換装可能な切削インサート2の上側部22は、対称線Sと一致する比較的長い対角線と、比較的長い対角線及び対称線Sに対して垂直である比較的短い対角線とを含む基本的に菱形の形状を有する。図13を参照すると、対称線Sは、各対の主切刃25の主切刃25のそれぞれと共に圧力角αを形成する。圧力角αは18〜32°の間にある。示されている実施形態では、圧力角αは、20°に等しく、又は本質的に等しい。別の実施形態では、圧力角αは、30°に等しく、又は本質的に等しい。この圧力角のサイズは、製造される溝に依存する。
各切削インサート2はさらに、それぞれの対の主切刃25の主切刃25同士の間で延びる2つの横断端切刃33を具備する。各端切刃33は、直線的であってもよく、又は対称線Sに対して垂直、若しくは実質的に垂直である直線的な区域を含んでもよい。したがって、2つの端切刃33又はこれらの直線的な区域は、互いに平行、又は本質的に平行である。この直線的な区域と主切刃25との間には、小さな曲率半径を有する移行刃があってもよい。第一の対の2つの主切刃は、これらの主切刃25と隣接する端切刃33の外側の点に向かって収束する。したがって、この点は、中心軸線Aよりも端切刃33からさらに離れた位置にある。第二の対の2つの主切刃は、これらの主切刃25と隣接する端切刃33の外側の点に向かって収束する。したがって、この点は、中心軸線Aよりも端切刃33からからに離れた位置にある。
図4〜6に示されているように、上述のポケット11は、回転軸線C向きに内向きに対面する一対の主切刃25と、これら2つの主切刃25を接続する端切刃33とのための保護部を形成する。
座9及び結果的に切削インサート2も複数の列に配置される。示されている実施形態では、切削器具6は切削インサート2のこのような複数の列を備える。しかしながら、切削器具は、別の数の切削インサート2の列、例えば、4、5、7又は8列の切削インサート2の列を備えることができることに留意されたい。各列は、少なくとも2つの切削インサート2及び座9を備える。示されている実施形態では、各列が5つの切削インサート2及び座9を備える。
図1〜5に示されているように、各凹部8は、切削インサート2及び座9の各列に対して平行に延びる。図1及び図3に示されているように、各凹部8は、このような列の切削インサート2のチップ面24に切屑受容空間を形成するように、それぞれの列に隣接する。
図2及び図5を参照すると、切削インサート2及び座9の各列はそれぞれの線Lに沿って延び、線Lはらせん状の線xの接線に対して垂直である。座9及び切削インサート2の隣接する列同士の間の距離は等距離であり、すなわち、この距離は各対の列に対して等しい。さらに、らせん状の線xに沿って隣接する切削インサート2同士の間の距離も等距離であり、すなわち、この距離も各対の隣接する切削インサート2に対して等しい。
切削器具の各切削インサート2のチップ面24の延長平面pは、らせん状の線xが延長平面pと交差する箇所における、らせん状の線xの接線に対して平行な法線を有する。このことは、同じ列の隣接する対の切削インサート2のチップ面24の延長平面pが互いに或る角度を形成することを意味し、このことは図8に示されている。この形状によって、切削加工の十分なクリアランスを保証するために、切削インサート2はポジティブの切刃幾何学形状でもって形成される。このことは、チップ面24の延長平面pが少なくとも主切刃25に近い刃側部23と鋭角を形成することを意味し、このことは図12に示されている。
図14に示されている切削インサート2は、図10〜13に示されている切削インサートとは、この切削インサートがいわゆるプロチュバランス付き切削加工(protuberance cutting)のために形成されているという点で異なる。このことは、主切刃25が、それぞれの端切刃33の近くに偏向部37をそれぞれ備えることを意味する。この偏向部37は、ワークピースWの溝の底面の近くにおいてより深く又はより広く切り出すことができる。
図15に示されている切削インサート2は、図14に示されている切削インサートとは、この切削インサートがいわゆるエッジチャンファ・インボリュート切削加工(edge chamfer involute cutting)のために形成されているという点で異なる。このことは、主切刃25が、第二の対の主切刃25の隣接する主切刃25に移行する付近に偏向部38をそれぞれ備えることを意味する。
図16に示されている切削インサート2は、図15に示されている切削インサートとは、この切削インサートがプロチュバランス付き切削加工のための偏向部を持たないという点のみで異なる。
図17に示されている切削インサート2は、図10〜13に示されている切削インサートとは、この切削体が上側部に切屑破壊手段を伴って形成されているという点で異なる。示された変形例では、これらの切屑破壊手段は、主切刃25及び端切刃33に隣接する平坦な又は本質的に平坦なチップ面24から内向きかつ下向きに拡がる下向き斜面部分39を具備する。
本発明は、上述の実施形態に限られないが、後の特許請求の範囲内において本発明を変形しかつ変更することができる。例えば、切削器具は、外側端部4で固定されることもできる。そのようにするときには、切削器具は、例えばDIN138にしたがって、締結ロッドを受け取るための貫通軸線方向孔を備えてもよい。さらに、1又は複数の座9は、換装可能な差込体若しくはカセットであってもよく、又はこれらから形成されてもよい。支持面10も、交換可能なシムプレートであってもよく、又はこれから形成されてもよい。さらに、示された固定ネジ以外のやり方によって、例えば切削インサート2の上側部22を押圧する締付け部材によって、1又は複数の切削インサート2をそれぞれの座9に取り付けることができる。切削インサート2が換装可能である必要はないことにも留意されたい。切削インサート2に第一の対の主切刃25を提供して、第二の対の主切刃25なしで済ますことができる。したがって、第一の対の主切刃25から離れて対面する切削インサート2の部分は、任意の形状を有することができ、例えば、この部分に、切削器具の座に当接して切削器具の回転軸線Cに対する切削インサート2の半径方向位置を保証する後方当接面を設けることができる。この実施形態において、場合により締結孔30を任意の位置に配置することができる。例えば、換装可能な切削インサートのためではなく、端切刃33の近くに締結孔を配置することができる。
1 器具本体
2 切削インサート
3 固定端部
4 外側端部
5 締結ピン
7 外周面
8 凹部
9 座
10 支持面
11 ポケット
12 突出部
13 限定壁
14 間隙
16 第一の細長隆起部
17 第二の細長隆起部
18 上面
19 斜面
21 下側部
22 上側部
23 刃側部
24 チップ面
25 主切刃
26 第一の細長窪み部
27 第二の細長窪み部
28 底面
29 斜面
30 締結孔
31 固定ネジ
32 ネジ孔
33 端切刃
37 偏向部
38 偏向部
39 斜面部分
W ワークピース
回転軸線
回転方向
回転軸線
回転方向
器具スピンドル
ワークピーススピンドル
A 中心軸線
S 対称線
p 延長平面
x らせん状の線
β ピッチ角

Claims (16)

  1. 歯を有するようにワークピースをホブ切りするために形成された切削器具であって、
    − 回転軸線(C)を画定すると共に固定端部(3)と、反対側の外側端部(4)と、固定端部(3)と外側端部(4)との間において回転軸線(C)の周囲に拡がる外周面(7)とを有する器具本体(1)であって、一定のピッチを有するらせん状の線(x)に沿って、外周面(7)に相次いで配置される分離した多数の座(9)を具備する器具本体(1)と、
    − 対応する交換可能な多数の切削インサート(2)であって、各切削インサート(2)は、下側部(21)と、チップ面(24)を形成する反対側の上側部(22)と、上側部(22)と下側部(21)とを接続する外周刃側部(23)と、下側部(21)と上側部(22)とを通過して延びる中心軸線(A)と、中心軸線(A)に対して垂直な対称線(S)と、対称線(S)に対して対称的であると共に外周刃側部(23)がチップ面(24)と交わる箇所に形成される少なくとも一対の主切刃(25)とを具備する、切削インサート(2)と、
    を具備し、
    チップ面(24)は、対の主切刃(25)の複数の主切刃(25)を含む延長平面(p)において拡がり、
    各座(9)は、切削インサート(2)のうちの1つを受容するように形成され、器具本体(1)からワークピース(W)の歯と切削係合するために突出する切削インサート(2)を支持すること可能にするように配置された支持面(10)を具備し、
    各切削インサート(2)のチップ面(24)の延長平面(p)が、らせん状の線(x)が延長平面(p)と交差する箇所におけるらせん状の線の接線に対して平行な法線を有する、
    切削器具において、
    切削インサート(2)は、複数の列であって、各列が少なくとも2つの切削インサート(2)を具備すると共にらせん状の線(x)の接線に対して垂直なそれぞれの線(L)に沿って延びる、複数の列に配置され、かつ、
    同じ列の隣接する対の切削インサート(2)のチップ面(24)の延長平面(p)が、互いに或る角度を形成する、
    切削器具。
  2. らせん状の線(x)に沿って隣接する切削インサート(2)同士の間の距離は、各対の隣接する切削インサート(2)では等しい、
    請求項1に記載の切削器具。
  3. 器具本体は外周面(7)に細長凹部(8)を具備し、細長凹部(8)は、各細長凹部(8)が列の切削インサート(2)のチップ面(24)に切屑受容空間を形成するように、このような列のそれぞれに対して平行に延びると共に隣接する、
    請求項1〜2のいずれか1項に記載の切削器具。
  4. チップ面(24)の延長平面(p)は、切削インサート(2)がポジティブの切刃幾何学形状を得るように、少なくとも主切刃(25)の近くに位置する刃側部(23)と共に鋭角を形成する、
    請求項1〜のいずれか1項に記載の切削器具。
  5. 各座(9)は外周面(7)から内向きに延びるポケット(11)を具備する、
    請求項1〜のいずれか1項に記載の切削器具。
  6. 各座(9)はさらに外周面(7)から突出する突出部(12)を具備する、
    請求項に記載の切削器具。
  7. 各ポケット(11)は支持面(10)と内方限定壁(13)とによって限定され、
    内方限定壁(13)は、内方限定壁(13)と切削インサート(2)との間に間隙(14)が存在するように形成される、
    請求項5〜6のいずれか1項に記載の切削器具。
  8. 各座(9)の支持面(10)は、支持面(10)から延びる突状部を具備し、この突状部は、切削インサート(2)の位置を保証するように、切削インサート(2)の下側部(21)の対応する凹部と係合する、
    請求項1〜のいずれか1項に記載の切削器具。
  9. 突状部は、主に半径方向に延びる第一の細長隆起部と、主に軸線方向に延びる第二の細長隆起部とを備える、
    請求項に記載の切削器具。
  10. 切削インサート(2)は、上側部(22)及び下側部(21)を通過して延びる締結孔(30)を具備し、
    切削インサート(2)は、支持面(10)を通過して延びるネジ孔(32)内部において、締結孔(30)を通過して延びる固定ネジ(31)によって座(9)に締結される、
    請求項1〜のいずれか1項に記載の切削器具。
  11. 切削インサート(2)の下側部(21)は、上側部(22)の延長平面(p)に対して平行な延長平面において延びる、
    請求項1〜10のいずれか1項に記載の切削器具。
  12. 対称線(S)は、対の主切刃(25)の複数の主切刃(25)のそれぞれと共に圧力角(α)を形成し、
    圧力角(α)は18〜32°の間にある、
    請求項1〜11のいずれか1項に記載の切削器具。
  13. 各切削インサート(2)は、対の主切刃(25)の複数の主切刃(25)同士の間で延びる少なくとも1つの横断端切刃(31)を具備する、
    請求項1〜12のいずれか1項に記載の切削器具。
  14. 各切削インサート(2)は、中心軸線(A)回りに反対の2つの挿入位置同士の間で回転することによって換装することができ、それぞれの挿入位置に対応する主切刃(25)の2つの対を具備する、
    請求項1〜13のいずれか1項に記載の切削器具。
  15. 各座(9)は外周面(7)から内向きに延びるポケット(11)を具備し、
    ポケット(11)は、回転軸線(C)に向かって内向きに対面する対の主切刃のための保護部を形成する、
    請求項14に記載の切削器具。
  16. 切削インサート(2)の上側部(22)は、比較的長い対角線と比較的長い対角線に対して垂直な比較的短い対角線とを有する基本的に菱形の形状を有する、
    請求項14〜15のいずれか1項に記載の切削器具。
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